説明

シート貼付装置及び貼付方法

【課題】他の装置にて簡単に用いることができるシート貼付装置及び貼付方法を提供すること。
【解決手段】シール装置11は、シリンダ16により対象物Wに対し進退可能なヒータ15と、ヒータ15に設けられたブラケット17とを備えている。シート貼付装置10は、接着シートSを供給する供給手段21と、供給手段21から供給された接着シートSを保持する保持手段22と、保持手段22をブラケット17に連結可能に設けられた接続手段23とを備えている。接続手段23を介して保持手段22をヒータ15に連結することにより、保持手段22をシール装置11に簡単に組み合わせて用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート貼付装置及び貼付方法に係り、更に詳しくは、シート貼付面を有する対象物に所定処理を施す装置に用いられて接着シートを貼付することができるシート貼付装置及び貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、被着体にラベル等の接着シートを貼付するシート貼付装置が広く利用されており、かかるシート貼付装置としては、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1のシート貼付装置は、接着シートを供給する供給手段と、供給手段から供給された接着シートを保持する保持手段と、保持手段を被着体に向かって移動させるシリンダとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−208629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特定の配送物を包装シート等により包み込んで、封をする場合、当該封を行う処理装置において、封と同時に、配送先住所等の所定の印刷や印字がなされた接着シートの貼付も行えるようにする要請がある。
しかしながら、特許文献1のシート貼付装置にあっては、シート保持手段がシリンダの出力軸だけにしか支持されることができない構成となっている。従って、シート保持手段をシリンダから取り外しても、前述のような処理装置に利用できるものでないため、処理装置にて被着体に所定処理を行った後、当該被着体を処理装置とは別体として配置されたシート貼付装置に搬送する必要があり、工程が長時間化する、という不都合を招来する。
【0005】
[発明の目的]
本発明の目的は、他の装置に連結して簡単に用いることができるシート貼付装置及び貼付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、シート貼付面を有する対象物に離間接近することで所定処理を施す被移動体を備えた処理装置に用いられるシート貼付装置であって、
接着シートを供給する供給手段と、この供給手段から供給された接着シートを所定の受取位置で保持する保持面を備えた保持手段とを含み、
前記保持手段は、接続手段を介して前記被移動体に連結可能に設けられる、という構成を採っている。
【0007】
また、本発明において、前記処理装置は、包装シートに離間接近することで当該包装シートをシール可能なヒータを備えたシール装置であって、前記保持手段は、接続手段を介して前記ヒータに連結可能に設けられている、という構成を採用できる。
【0008】
更に、前記接続手段は、前記保持手段を揺動可能な揺動手段を有する、という構成を採ってもよい。
【0009】
また、前記接続手段は、ダンパー手段を有する、という構成も好ましくは採用される。
【0010】
更に、前記受取位置における前記保持手段と供給手段との相対位置を位置決め可能な位置決め手段を有するとよい。
【0011】
また、本発明の貼付方法は、シート貼付面を有する対象物に離間接近することで所定処理を施す被移動体を備えた処理装置に用いられるシート貼付装置によるシート貼付方法であって、
前記被移動体に接続手段を介して保持手段を連結する工程と、
供給手段により接着シートを供給する工程と、
前記保持手段の保持面により前記供給手段から供給された接着シートを保持する工程と、
前記被移動体を移動して前記所定処理を行い、前記保持面に保持された接着シートを前記シート貼付面に貼付する工程とを備える、という方法を採っている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、接続手段を介して保持手段が被移動体に連結されるので、保持手段をシート貼付装置とは異なる別体の装置等に簡単に組み合わせて用いることができる。これにより、被移動体の移動に伴って保持手段も移動でき、当該移動により、保持手段に保持された接着シートをシート貼付面に押圧したり接近したりすることが可能となる。この結果、前述した従来のシート貼付装置単体に設けるシリンダを排除することができ、また、前述の処理装置からシート貼付装置に搬送する工程をなくして単位時間当たりの処理能力を向上させることができる。
【0013】
また、保持手段を揺動可能な揺動手段を有するので、シート貼付面が傾斜していても、その傾斜に追従して保持手段を変位させて接着シートの貼付を良好に行うことが可能となる。
【0014】
更に、ダンパー手段を有する場合、シート貼付面の位置が変化しても、その変化に応じて保持手段を変位させることができる。しかも、保持手段によって接着シートをシート貼付面に押圧する場合、ダンパー手段の緩衝作用により押圧力を所定範囲内として接着シートを良好に貼付することが可能となる。
【0015】
また、位置決め手段を有する場合、保持手段を受取位置に精度良く配置させることが可能となり、ひいては、接着シートが位置ずれすることがなくなり、貼付精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(A)は、実施形態に係るシート貼付装置及びシール装置の概略正面図、(B)及び(C)は、接着シート貼付時の保持手段の動作説明図。
【図2】図1(A)の概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
なお、本明細書において、特に明示しない限り、「上」、「下」、「左」、「右」は、図1を基準として用いる。
【0018】
図1及び図2において、シート貼付装置10は、処理装置となるシール装置11に組み合わされて用いられる。シート貼付装置10及びシール装置11は、対象物Wを図1中紙面直交方向に搬送するベルトコンベア等からなる搬送手段CVに並設され、対象物Wは、2枚折りの包装シートW1及び当該包装シートW1の内側に配置される梱包物W2からなり、上面がシート貼付面W3となっている。シール装置11は、平行となる一対の側方体15A及びこれらの一端側を連結する中間体15Bにより形成された平面視コ字状の被移動体となるヒータ15と、このヒータ15を上下方向に移動可能に設けられ、搬送手段CV上の対象物Wに対しヒータ15を進退させる駆動機器としてのシリンダ16と、中間体15Bの上面に設けられたブラケット17とを備えている。ヒータ15は、下面が発熱可能に設けられ、包装シートW1外周側に接したときに、2枚折りになった包装シートW1の開放辺である3方(図2中二点鎖線で示される)を溶着してシール可能となっている。ブラケット17は、中間体15A上面から立設された一対の起立部17Aと、これら起立部17Aの上端間を連結して中間体15Bと平行に延びる水平部17Bとを備えている。
【0019】
前記シート貼付装置10は、接着シートSを供給する供給手段21と、供給手段21から供給された接着シートSを保持する保持手段22と、保持手段22をブラケット17に連結可能に設けられた接続手段23とを備えている。
【0020】
前記供給手段21は、ヒータ15の側方体15A間に位置し、図示しないスタンドに支持されたフレームF内に支持されている。供給手段21は、駆動機器としてのモータMによって回転される駆動ローラDRとピンチローラPRとによって、帯状の剥離シートRLを繰り出す途中でピールプレート25により折り返し、当該剥離シートRLに仮着された接着シートSを一枚ずつ剥離して保持手段22側に供給可能に設けられている。
【0021】
前記保持手段22は、接着シートSの接着面側の反対面側から保持可能な保持面22Aを有する吸着ヘッドからなり、吸着面22Aは図示しない減圧ポンプに接続されている。また、保持手段22の上面には、先細形状とされたピンPが設けられており、フレームFには、ピンPの先端側(先細形状側)を受容可能な位置決め手段PSが設けられている。位置決め手段PSでは、保持手段22が受取位置P1に位置するときに、受容部PS1内にピンPの先細形状部がぴたりと嵌り合い、これにより、保持手段22の供給手段21との相対位置を位置決め可能となっている。また、位置決め手段PSには、センサSEが設けられており、当該センサSEは、受容部PS1内でピンPの先端がぴたりと嵌り合ったときにその有無を検出可能に設けられている。なお、ピンPを磁着体で構成して位置決め手段PSを磁石で構成したり、磁石をうめ込んだりしてもよい。また、位置決め手段PSは、モータ等の駆動機器によって保持手段22を受取位置P1に位置するように、挟み込んだり、嵌め合ったりして保持する構成してもよい。
【0022】
前記接続手段23は、正面視C字状に形成されてブラケット17の中間体17Bに着脱自在に設けられた装着部27と、装着部27の右側に設けられたダンパー手段28と、ダンパー手段28と保持手段22との間に設けられた揺動手段29とを備えている。装着部27の上面側には、ロックねじ31が設けられており、このねじ込みにより、ロックねじ31の先端を中間体17Bに押し付けて当該中間体17Bに接続手段23を固定できるようになっている。ダンパー手段28は、上下動可能なスライダ28Aを含み、このスライダ28Aに揺動部材29が連結されている。スライダ28Aは、下方向に常時は付勢されている。揺動部材29は、左右方向に延びるバネや樹脂等からなる弾性体からなり、保持手段22を揺動可能となっている。なお、ロックねじ31を緩めて保持手段22を中間体17Bに沿って移動させることで、シート貼付面W3に対する接着シートSの貼付位置を変更することができる。
【0023】
次に、本実施形態の全体的な動作について説明する。
【0024】
先ず、準備作業として、ブラケット17に接続手段23の装着部27を装着する。その後、ロックねじ31をねじ込み操作し、保持手段22を位置決めしてヒータ15に保持手段22を連結する。そして、ヒータ15が搬送手段CVの上方で待機する所定の待機位置で、ピンPの先細形状部がぴたりと位置決め手段PSに嵌り合う位置に、供給手段21を図示しないスタンドを介して配置させる。これにより、受取位置P1における保持手段22と供給手段21との相対位置を位置決めすることができる。
【0025】
次いで、搬送手段CVによって、2枚折りの包装シートW1内側に梱包物W2が配置された対象物Wを搬送する。そして、対象物Wが保持手段22の直下位置まで搬送されると、図示しないセンサによって検知され、搬送手段CVによる対象物Wの搬送が停止される。次に、供給手段21において、センサSEがピンPの先端を検知していることを条件として、接着シートSがピールプレート25により剥離シートRLから剥離され、受取位置P1で待機する保持手段22の下方に供給される。そして、減圧ポンプ(図示省略)を作動させ、吸着面22Aにより接着シートSが吸着保持される。なお、接着シートSには、送り主側のロゴや、保証書等の定型句が予め印刷されている。
【0026】
次いで、シリンダ16を駆動してヒータ15を下降させ、図1中二点鎖線で示される位置でヒータ15により2枚重なった包装シートW1を溶着してシールする。このとき、ヒータ15の下降と共に保持手段22も下降され、当該下降によって吸着面22Aに吸着された接着シートSが包装シートW1におけるシート貼付面W3に押圧されて貼付される。ここで、接着シートS押圧時に、対象物Wの高さに応じてダンパー手段28のスライダ28Aが図1(B)の矢印方向に作動し、所定範囲内の押圧力で接着シートSを対象物Wに貼付可能となっている。また、シート貼付面W3が傾斜している場合、当該傾斜に追従するように揺動手段29を介して保持手段22が図1(C)の矢印方向に揺動し、接着シートSの貼付が行われる。接着シートSの貼付後、吸着面22Aでの接着シートSの吸着を解除し、シリンダ16を作動してヒータ15及び保持手段22を初期位置に復帰させる。そして、以後前記と同様の動作が行われることとなる。
【0027】
従って、このような実施形態によれば、接続手段23によりヒータ15に保持手段22を簡単且つ短時間で連結することができる。これにより、シリンダ16の駆動によってヒータ15と保持手段22を一緒に昇降でき、ヒータ15及び保持手段22それぞれにシリンダを設ける場合に比べて構成の簡略化を図ることが可能となる。しかも、ヒータ15によるシールと、保持手段22に吸着された接着シートSの貼付とを略同じタイミングで行うことができ、これらを別々の装置で行う場合の比べ、単位時間当たりの処理能力向上を図ることが可能となる。
【0028】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、形状、位置若しくは配置等に関し、必要に応じて当業者が様々な変更を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0029】
例えば、保持手段22の吸着面22Aに、図示しない弁等を介して加圧ポンプを更に接続してもよい。この場合、ヒータ15の下降によって、対象物Wから若干離れた位置まで保持手段22を接近させた後、前記加圧ポンプを作動して接着シートSを対象物Wに向かって吹き付け、当該接着シートSを対象物Wに押圧して貼付可能となる。
【0030】
また、接続手段23は、種々の設計変更が可能であり、例えば、保持手段22に設けられるアングル部材により接続手段23を形成し、当該アングル部材にねじを貫通可能な穴を設けてもよい。そして、ヒータ15側に前記ねじが係合可能なねじ穴を形成することで、ヒータ15と保持手段22とを連結させることができる。更に、ブラケット17は、接続手段23により接続可能な限りにおいて、プレート状にする等、変更してもよい。
【0031】
また、供給手段21は、接着シートSを供給できる限りにおいて、例えばラベルプリンタ等、種々の変更が可能である。供給手段21にラベルプリンタを採用した場合には、対象物Wの配送先や内容物の物品名等の可変情報を接着シートSに印字することができる。
【0032】
更に、前記実施形態では、シート貼付装置10をシール装置11に用いた場合を説明したが、接着シートSが貼付されるシート貼付面を有する対象物に対し、シールとは異なる所定処理を施す被移動体を備えた他の処理装置にシート貼付装置10を用いてもよい。例えば、帯状シートに離間接近することで、当該帯状シートを切断して枚葉シートを製造する切断手段を備えた切断装置等にシート貼付装置10を用いてもよい。この場合、カッター刃等の切断手段が被移動体とされ、接続手段23を介して保持手段22を切断手段に連結させ、帯状シートの切断と略同じタイミングで枚葉シートのシート貼付面に接着シートを貼付するように構成することができる。
また、対象物にスタンプや印刷を施すスタンパや刷版を被移動体としたり、複数の対象物を接続する接続手段を被移動体としたりすることができる。
更に、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【符号の説明】
【0033】
10 シート貼付装置
11 シール装置(処理装置)
15 ヒータ(被移動体)
21 供給手段
22 保持手段
22A 吸着面
23 接続手段
28 ダンパー手段
29 揺動手段
P 位置決め手段
S 接着シート
W 対象物
W1 包装シート
W3 シート貼付面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート貼付面を有する対象物に離間接近することで所定処理を施す被移動体を備えた処理装置に用いられるシート貼付装置であって、
接着シートを供給する供給手段と、この供給手段から供給された接着シートを所定の受取位置で保持する保持面を備えた保持手段とを含み、
前記保持手段は、接続手段を介して前記被移動体に連結可能に設けられていることを特徴とするシート貼付装置。
【請求項2】
前記処理装置は、包装シートに離間接近することで当該包装シートをシール可能なヒータを備えたシール装置であって、
前記保持手段は、接続手段を介して前記ヒータに連結可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載のシート貼付装置。
【請求項3】
前記接続手段は、前記保持手段を揺動可能な揺動手段を有することを特徴とする請求項1又は2記載のシート貼付装置。
【請求項4】
前記接続手段は、ダンパー手段を有することを特徴とする請求項1、2又は3記載のシート貼付装置。
【請求項5】
前記受取位置における前記保持手段と供給手段との相対位置を位置決め可能な位置決め手段を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のシート貼付装置。
【請求項6】
シート貼付面を有する対象物に離間接近することで所定処理を施す被移動体を備えた処理装置に用いられるシート貼付装置によるシート貼付方法であって、
前記被移動体に接続手段を介して保持手段を連結する工程と、
供給手段により接着シートを供給する工程と、
前記保持手段の保持面により前記供給手段から供給された接着シートを保持する工程と、
前記被移動体を移動して前記所定処理を行い、前記保持面に保持された接着シートを前記シート貼付面に貼付する工程とを備えていることを特徴とするシート貼付方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−235911(P2011−235911A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106839(P2010−106839)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】