説明

シールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ

シールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタは、回路電流がそれを通って第1および第2の端子間を流れる能動型電極板と、能動型電極板の一方の面上に配置された第1のシールド板と、能動型電極板の他方の面上に第1のシールド板に対向して配置された第2のシールド板とを有する。第1および第2のシールド板はアースされた第3の端子に集合的に結合される。好ましい実施例において、能動型電極板およびシールド板は少なくとも部分的にハイブリッドフラットスルー基板とともに配置され、ハイブリッドフラットスルー基板は柔軟なケーブル部分または硬いケーブル部分またはその両方を有する。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は、一般に、フィードスルーフィルタ・キャパシタ・EMIフィルタに関する。特に、本発明は、ハイブリッドEMIフィルタ基板、および/または柔軟なケーブルアセンブリに関し、シールドされたフラットスルー/フィードスルー・フィルタおよび/またはエネルギー散逸回路素子として具体化される。本発明は、リード線が電子モジュールまたはシールドされたハウジング内に出入りするときに該リード線を支持する、広範囲のコネクタ、端子、および/またはハーメチックシールに適用可能である。特に、本発明は、種々の能動型埋め込み医療装置(AIMD)に適用される。
【0002】
図1〜40には、本発明の意義および新規性をよりよく理解するための技術的背景が示されている。
【0003】
図1は、実際に使用されている種々のタイプの能動型埋め込み医療装置および外部医療装置100を示したものである。図1は、多数の埋め込み医療装置を示した一般的な人体のフレームダイヤグラムである。100Aは人工内耳、圧電サウンドブリッジ・トランスデューサ等々を含む一群の聴力装置である。100Bは種々の神経刺激装置および脳刺激装置である。神経刺激装置は、例えば、てんかん、肥満および鬱病を治療すべく、迷走神経を刺激するために用いられる。
【0004】
脳刺激装置は、ペースメーカーに似た装置であり、脳の奥深くに埋め込まれた電極を有し、発作の発現を検知し、また、脳組織に対し電気的な刺激を与えることによって、発作が実際に引き起こされることを防止する。脳刺激装置に関係するリード線は、しばしばリアルタイムMRIイメージングを用いて配置される。このようなリード線の大抵のものは、リアルタイムMRIの間に配置される。100Cは従来よりよく知られた心臓ペースメーカーである。100Dは、左心室補助装置(LVAD)および「Abiocor」として知られた最近導入された人工心臓を含む人工心臓の一群である。100Eはインシュリン、化学療法薬、鎮痛剤等々の投与のために使用される薬物用ポンプの一群である。インシュリンポンプは、受動型装置から、センサおよび閉ループシステムを備えたものに進化している。すなわち、血糖値レベルのリアルタイムでのモニタリングが可能である。これらの装置は、検出回路および外部に埋め込まれたリード線を全く備えていない受動型ポンプよりもEMIに対して敏感である。100Fは骨折の早期治癒を目的とする種々の骨成長刺激装置である。100Gは失禁装置である。100Hは、鎮痛脊髄刺激装置および抗振戦刺激装置の一群である。100Hはまた、痛みをブロックするために用いられる別のタイプの神経刺激装置の一群である。100Iは埋め込み除細動器(ICD)の一群と鬱血性心不全装置(CHF)の一群である。これはまた、心臓再同期療法として、さもなくば、CRT装置として知られている。100Jは外側から着用されたパックである。このパックは、外部インシュリンポンプ、外部薬ポンプ、外部神経刺激装置または心室補助装置から構成され得る。100Kは外部プローブまたはカテーテルの挿入を表わしている。これらのプローブは、例えば、大腿動脈内に挿入され、または人体の別の部位に挿入され得る。100Lは様々な部位に置かれ得る種々のタイプの心電図/心電計外部皮膚電極の1つである。100Mは頭部に置かれた外部脳波検査電極である。
【0005】
図2は、従来の単極の円盤状フィードスルー・キャパシタであり、内部能動型電極板セット102およびアース電極板セット104を備えている。内径端子面106が能動型電極板セット102に電気的に接続される。外径端子面108ははんだ付け可能であり、かつ導電性を有している。外径端子面は電極板セット104の外径に接続される。
【0006】
図3は、図2の円盤状フィードスルー・キャパシタの断面図である。図2において、円盤状フィードスルー・キャパシタは能動型埋め込み医療装置(AIMD)のハーメチックシール112に取り付けられている。従来の円盤状フィードスルー・キャパシタにおいては、リード線114は連続している。ハーメチックシール112は典型的に心臓ペースメーカーの例えば、チタン製ハウジングに取り付けられる。アルミナ、セラミックまたはガラスのような絶縁体118が、フェルール120内に配置されて、体液に対するハーメチックシールを形成する。端子ピンまたはリード線114は、ハーメチックシール112を貫通し、絶縁体118およびキャパシタ110を貫通する通路を通ってのびている。金ろう付け122が端子ピン114および絶縁体118の間のハーメチックシール結合を形成する。別の金ろう付け124はアルミナ絶縁体118およびチタン製フェルール120の間のハーメチックシール結合を形成する。レーザ溶接部126はフェルール120およびハウジング116の間のハーメチックシール結合をもたらす。フィードスルー・キャパシタ110は米国特許第5,333,095号に従って面に設けられ、その内径金属被覆部106および能動型電極面セット102およびリード線114の間の電気的接続128を実現する。また、外径電気接続130が形成され、この接続によってキャパシタの外径金属被覆部108およびアース電極104がフェルール120に接続される。フィードスルー・キャパシタは最小の直列インピーダンスを有する高周波装置である。これによって、フィードスルー・キャパシタは非常に広い周波数範囲にわたってEMIフィルタとして動作する。再び図3を参照して、従来の円盤状フィードスルー・キャパシタ110を説明する別の方法として、3端子キャパシタとして記述することが考えられる。3端子装置は一般に、伝送ラインとして機能する。図3に示すように、リード線114内に流れる電流iが存在する。従来のAIMDに関し、体液側においては、周囲の発生源からエネルギーをピックアップし得るアンテナとして望ましくない動作をし得る、埋め込まれたリードが一般に存在する。このエネルギーは電磁干渉(EMI)として知られている。携帯電話、電子レンジ等々は、すべて能動型埋め込み医療装置に対する干渉を生じさせることに加担してきた。この干渉が、点X(図3)において、リード線114に進入した場合、フィードスルー・キャパシタ110によりその長さ方向に沿って減衰する。この望ましくない高周波数(EMI)は、出るとき、(ペースメーカーパルスまたは生物学的周波数センサのような)通常の低周波数回路電流を除去し、それによって、高周波EMIは著しく減衰せしめられる。これを見るための別の方法は、端子1から端子2(図3および4)への高周波エネルギーとして考えることであり、このエネルギーは、フィードスルー・キャパシタ110を通じて、第3のターミナルまたはターミナル3として知られたアース端子に逸らされる。フィードスルー・キャパシタ110はまた、次の2つの別の重要な機能を有している。
a)その内部アース電極102、104が電子装置またはモジュールの全体的な電磁シールドハウジングの連続した部分として機能すること、電子装置またはモジュールは完全にシールドされたハウジングのハーメチックシール112はまたは、リード線の出入りのための同様の開口を通じた高周波エネルギーの直接の進入を物理的にブロックする(このような高周波エネルギーは、シールドされたハウジング内に進入したとき、敏感な電子回路に結合してこれに干渉し得る)。
b)フィードスルー・キャパシタ110は、リード線の望ましくない高周波EMI信号を、シールドハウジングの全体に効果的に導く。シールドハウジングにおいては、このようなエネルギーは、微少な温度上昇に帰する渦電流として散逸せしめられる。
【0007】
図4は、図2および図3を参照して、上で説明した円盤状フィードスルー・キャパシタ110を示す概略図である。この図からわかるように、それは図3に示した端子1、2、3に一致した3端子装置である。
【0008】
図5は、4個のスルーホールを備えている点を除いては、既に図2で説明したものと同様の構成を有する従来の4極フィードスルー・キャパシタ132である。
【0009】
この説明の全体を通して、機能的に等価な構成要素には実施例の種類に関係なく、同一の参照番号を付してある。
【0010】
図6は、図5のキャパシタ132の内部電極102、104を示す断面図である。
【0011】
図7は、図5および図6の4極フィードスルー・キャパシタ132を備えた4個の独立なフィードスルー・キャパシタを示す概略図である。
【0012】
図8は、図2および図3の単極フィードスルー・キャパシタの内径および外径電極を示す分解図である。この図には、能動型電極板セット102およびアース電極板セット104が示されている。被覆層134が電気的絶縁性を高め、かつ機械的強度を強めるために上端および下端に設けられている。
【0013】
図9は、既に図5で説明した従来の4極フィードスルー・キャパシタ132の内部電極の分解図である。図9に示されるように、102は能動型電極板セットであり、104はアース電極板である。被覆層134は既に図8を参照して説明したもの同様の目的のために設けられる。
【0014】
図10は、ハーメチック絶縁体118の上端に取り付けられた従来の4極フィードスルー・キャパシタ132を示す図であり、この場合、ワイヤボンド基板136が上端に取り付けられる。ワイヤボンドパッド138、138’、138”、138’”、140が、便宜上、AIMDの内部回路に接続された状態で示されている。これは米国特許第7,038,990号および米国特許第7,310,216号の図75および図76に、より詳細に示されている。これらの文献の内容をここに参考文献として組み入れる。
【0015】
図11は、図10の11−11線に沿った断面図である。図11には、ワイヤボンドパッド138〜138’”に対する内部回路配線T1〜T4が示されている。再び図10を参照して、ワイヤボンド基板136の左側に付加的なワイヤボンドパッド140が示されている。これはまた、図11にも示されている。これはハーメチックシール・フェルール120の外径に対するアース接続であり、AIMDの内部のアース取付点を必要とする電子回路等々に対する便利な接続点を与える。
【0016】
図12は、図10の従来のワイヤボンドパッド4極ハーメチックフィードスルー・キャパシタ132の概略図である。
【0017】
図13は、従来のモノリシックセラミックキャパシタ(MLCC)142を示した図である。これらは1日当たり何億個も製造されて、家庭用電化製品およびその他の市場に供給されている。事実上、すべての携帯電話およびその他のタイプの電子装置はこれらを多数備えている。図13において、MLCC142は一般に、チタン酸バリウムのような高誘電率セラミックから形成された本体144を有している。それはまた、一端に、はんだ付け可能な端子面146、148を有している。これらの端子面146、148はMLCCキャパシタ142の内部電極板に接続するための簡便な方法を与える。図13はまた、四角形状、円筒形状、丸みを帯びた形状、タンタル、アルミニウム、電解、フューム積層またはその他のタイプのキャパシタを含む多数の他の型式のキャパシタによって特徴づけられる。
【0018】
図14は、図13の14−14線に沿った断面図である。150は左側電極板セットであり、152は右側電極板セットである。左側電極板セット150は外部金属被覆面146に電気的に接続される。反対側電極場セット(または右側電極板セット)152は外部金属被覆面148に接続される。従来のMLCCおよび等価チップキャパシタはまた、2端子キャパシタとして知られている。すなわち、電気エネルギーがキャパシタの本体に接続される方法が二通り存在する。図13および図14において、第1の端子「1」は左側に位置し、第2の端子「2」は右側に位置する。
【0019】
図15は、図13の従来のMLCCキャパシタ142の理想的な概略図である。
【0020】
図16は、図13に示されたMLCC142の構成が直列インダクタンスLを有するという事実を示すより現実的な配線図である。この誘導的性質は、それが2端子のデバイスであり、伝送ラインとして機能しないという事実に基づく。すなわち、そのリード線および関係する内部電極はすべて直列インダクタンスをキャパシタに加える傾向がある。MLCCキャパシタが特定の周波数において自己共鳴するということが電気技術者によく知られている。図17は、この共鳴周波数に対する公式を示している。図16に示された容量性リアクタンスが誘導性リアクタンスに等しく、かつ反対の極性をもつポイントが常に存在する。これらの2つの虚数成分が互いにキャンセルするのがこのポイントである。もし、抵抗損失が存在しなければ、共鳴周波数において、図16に示される146.1〜148.2の間のインピーダンスはゼロになる。しかしながら、インダクタンスLおよびキャパシタCの等価直列抵抗の抵抗損失がこれの発生を妨げる。これは図18を参照することによってよりよく理解される。
【0021】
図18には、3つの曲線が描かれている。理想的キャパシタ曲線は図3に示されたようなフィードスルー・キャパシタの応用性に非常に類似した曲線を描く。10,000MHzを越える非常に高い周波数に至る周波数の上昇に伴って、減衰は直線的に増大する。MLCC曲線は図13のキャパシタに対するものである。低周波数、すなわち、100MHz以下の周波数において、MLCC曲線は理想的またはフィードスルー・キャパシタに非常に接近する。しかしながら、MLCCがその自己共鳴周波数(SRF)に近づくに伴い、減衰は結果的に増大する傾向にある。これは、図16に再び示すように、誘導性および容量性リアクタンス素子が互いにキャンセルする傾向にあるという理由に基づく。既に述べたように、もし、共鳴周波数(SRF)において抵抗損失が存在しなければ、MLCCチップは短絡回路のように見え、理想的な場合には、減衰は無限大となる。このことは、これらの抵抗損失が存在しない場合、SRFにおいて無限大の減衰が生じることを意味する。あるいは、約60dBのピークが生ずる。共鳴はさておき、MLCCキャパシタは次第に誘導性を有するようになり、減衰は著しく低下する。これは、好ましくない結果であり、フィードスルー・キャパシタがEMI基板フィルタ内において使用されるという好ましい選択が、一般的になされる理由である。
【0022】
図19は、単極フィードスルー・ピンまたはリード線114のまわりに接続された3つの異なるサイズのMLCCキャパシタC1〜C3を示した図である。自己共鳴周波数はキャパシタの内部インダクタンスに依存する。このことは、図16を参照して既に説明された。物理的により微少なMLCCキャパシタを用いることで、インダクタンス値を減少させることができる。例えば、図19を参照して、従来技術において、0402、0603および0805サイズのMLCCキャパシタとして知られたものをそれぞれ使用することができる。これは例えば、0805が0.080インチの長さおよび0.050インチの幅を表すとのEIA規格に基づく。したがって、これら3つの異なるMLCCキャパシタC1〜C3は3つの共鳴周波数を有する。このことは、米国特許第5,973,907号および米国特許第5,959,336号により詳細に説明されており、これらの文献の内容をここに参考文献として組み入れる。図20は、図19の3つのMLCCキャパシタの回路図である。
【0023】
図21は、図19の3チップキャパシタ単極ハーメチックターミナルに対する減衰応答性を示したグラフである。これら3つのキャパシタC1〜C3は図20に概略的に示されるように、並列的に作用する。図21を参照して、互いに並列的に作用するこれらの個々のMLCCキャパシタの自己共鳴周波数を示す3つの共鳴ピークが存在する。参考として、図18に既に示された理想的キャパシタ応答曲線を示す。C1〜C2およびC3に対するSRFがまた示されている。物理的に最も大きなキャパシタC1は最低の自己共鳴周波数を有する一方、物理的により小さいキャパシタC3は最高の自己共鳴周波数を有する。これは一般にMLCCキャパシタが小さくなればなるほど、その内部インダクタンスが小さくなるという理由に基づく。MLCCキャパシタの望ましくない等価直列インダクタンス(ESL)の値を決定する第2の因子は、内部電極の個数および間隔、幾何学的構成、形状因子および回路基板取付技術を含んでいる。
【0024】
再び図19を参照して、このアプローチが、AIMD市場においてこれまで一般に実行されてこなかった理由は、これが複雑な構成を有していて、また、非常にコストが高くつくということにある。スペース的な制限および信頼性が原因で、多数の素子をこのような小さなスペース内にパッキングすることは非現実的である。
【0025】
図22は、例えば、図19に既に示されたMLCCキャパシタを取り付けるための異なる方法を示したものである。産業界において、これは、ツームストーン取付位置として知られ、キャパシタがEMIフィルタまたはRF減結合デバイスとして使用される場合になされ、極めて望ましくないものである(悪い取付および悪い形状因子)。これはキャパシタの誘導ループ面積L1が増大しやすいという理由による。増大した誘導ループ面積(ループの下側に結合された面積の数を積分)が、既に図16で説明したような、インダタンスLを直接増大させるという効果を奏する。これが望ましくない理由は、この特定のキャパシタが非常に低い周波数で自己共鳴しがちである(そして、それによって非常に低い有効高周波数デバイスまたはEMIフィルタを形成する)ということによる。
【0026】
図23は、図22のMLCCキャパシタ142を取り付けるためのより望ましい方法を説明した図である。これは、従来のフラット面取付技術であり、図示のように、より広い誘導ループエリアL2を生じさせる(ループの下側に形成されるエリア)。したがって、2つのキャパシタがサイズおよび電気容量値において同一であったとしても、図23に示されるMLCCキャパシタ142は誘導的になり始める前により高い周波数で共鳴する。
【0027】
図24は、従来技術において、逆配置MLCCキャパシタ142’として知られたキャパシタを示す図である。比較のために図24に示されるMLCCキャパシタの物理的なサイズは、既に図22および図23に示されたMLCCキャパシタ142と正確に同じサイズにしてある。重要なことは、端子面146’、148’の構成である。図24のMLCCキャパシタ142’はその長手方向に沿って端子面処理されている。したがって、その誘導ループエリアまたはループL3の下側に形成されるエリアは、最も面積が小さいループ配置を形成する。すなわち、図24のキャパシタ142’は、図22および図23に示されたMLCCキャパシタ142と比べて、より高い周波数で自己共鳴する。これの良好な取り扱い法が、ポルトガルのリスボンで1999年10月19日〜20日に開催された「キャパシタおよび抵抗技術」シンポジウムにおいて発表された「キャパシタのインダクタンス」という題名の論文に示されている。この論文は、エアロスペース社のロバートスティーブンソンおよびゲイリーエーベル博士の共著であった。関連する論文が、同じ著者によって、カリフォルニア州サンディエゴで1999年6月1日〜4日に開催された第49回IEEEの「エレクトロニックおよび素子技術」会議において「キャパシタのインダクタンス、一定の応用のための重要な特性」という表題で発表された。
【0028】
図25はMLCCに対する等価回路モデルが付加的に示されている点を除き、既に図16で示したものと同様の電気配線図である。抵抗IRおよびESRが付加されている。IRはキャパシタCの絶縁抵抗である。電子回路解析上の理由から、このIR抵抗はCに無視される。その理由は、典型的にIRの値が10ギガオームを越えるからである。この数字はキャパシタ回路モデルの他の素子の値に比べて遙かに大きく、よって安全に無視することができる。また、図25に示される完全な配線図に対して、キャパシタ直列抵抗(ESR)が付加される。これはセラミック材料の誘電損失正接およびすべての抵抗損失およびキャパシタそれ自体の内部および外部に存在するその他の電気的接続を含む全ESRである。既に述べたように、抵抗ESRの存在は、自己共鳴周波数において挿入ロスが無限大にならないことの理由である。
【0029】
図26は、トランソーブ(登録商標)等々のような従来のチップ過渡電圧抑制ダイオード154を示した図である。
【0030】
図27は、能動型医療装置リード線114および回路アースの間に接続された図26のダイオードチップ154を示す配線図である。図27に示される破線は、AIMDのシールドされたハウジングを示す。ダイオードチップ154(またはマルチプルダイオードアレイ)が配置される理由は、外部高電圧損傷からAIMDの敏感な電子回路を保護することを助けることにある。これらは静電放電または患者への自動対外式除細動器(AED)の適用である。AEDは現在政府機関の建物内、空港内、航空機内等々において見つけられる。ペースメーカーは、AEDの外部除細動動作がなされる間に焼き切れないことが非常に重要である。図26および図27に示されるダイオードチップ154は、典型的に、従来技術においてまた、ツェナダイオードとして知られたアバランシェ型ダイオードからなっている。言い換えれば、それらは一定の電圧閾値に到達するまでに順方向バイアスも発生させないし、またはショートもしない。これらはまた、従来技術において、「トランソーブス(Transorbs)」として知られ、また別の製品名を有している。このようなダイオードは背中合せにされ、互いに平行に配置され、二相性高電圧AEDパルスを抑制する
【0031】
図28は、従来のインダクタチップ156を示した図である。これらを製造する業者は多数存在する。これらはフェライト素子を有し、または非強磁性体からなっている。それらは種々のサイズを有し、種々のインダクタンス値および定格電圧を有している。
【0032】
図29は、図28のインダクタチップ156の回路図である。
【0033】
図30を参照して、インダクタ回路配線158が従来MLCCキャパシタ142の上端面に印刷され、または堆積せしめられて、MLCC−T160を形成している。これの長所は非常に大きな体積の市販のキャパシタ動作から生じる低コストのMLCCが用いられ、インダクタ配線158が補助的な操作としてプリントされるということにある。これはその共鳴周波数において、非常に高いインピーダンスを生じさせる並列インダクタ(L)−キャパシタ(C)共鳴(L−C)回路を形成する。これは磁気共鳴イメージング装置(MRI)等々のような単一の高周波を抑制するために有効である。このことは米国特許出願公開US2007−00112398に詳細に説明されており、この文献の内容をここに参考文献として組み入れる。
【0034】
図31は、独立の基板162上にインダクタ配線158を堆積させることによって並列L−C共鳴回路を形成する別の方法を示した図である。例えば、基板162はアルミナ、セラミック、またはその他の適当な回路基板材料から形成されている。これは薄い接着層164とともに従来のMLCCキャパシタ142に接合される。両側に対応する金属被覆面146、148を有するコンポジットMLCC−T構造160’が図34の電気配線図に示され、そしてここで、この構造は平行LおよびCタンクまたは帯域除去回路を形成することは明らかである。
【0035】
図32は、既に参照した米国特許出願第11/558,349に従って帯域除去またはタンクフィルタ166を形成する新規なコンポジットモノリシックセラミックキャパシタ並列共鳴タンク(MLCC−T)160”の等角図法による図である。外見上は、本発明のMLCC−T160”および図13に示される従来MLCCキャパシタ142の間には、如何なる差異も存在しない。しかしながら、この新規なMLCC−T160”はその対向する端子面146、148の間のキャパシタを横切って平行に接続される、埋め込まれたインダクタ162を備えている。
【0036】
図33は、図32に示される新規なMLCC−Tタンクフィルタ160”の種々の層を示す分解図である。この新規なMLCCタンク(MLCC−T)160”は埋め込まれたインダクタ162を有している。低周波数において、この埋め込まれたインダクタ162はキャパシタを一端側から他端側に向けてショートさせる。しかしながら、高周波数では、これは図34の配線図を参照してよりよく理解される平行タンク回路166を形成する。図33を再び参照して、キャパシタが上端から順次重ね合わされるに連れて、1またはそれ以上の埋め込まれたインダクタ層162に続くブランクカバーシート168のエリアが存在する。これらのインダクタの配線は、米国特許出願公開US2007−0112398A1の図83に示されるような種々の形状を有し得る。使用可能な種々の任意の形状が存在することが当業者に明らかである。そして、キャパシタ電極板セット150、152が得られる前に、多数のその他のブランクインターリーフ170が存在する。キャパシタ電極板150は左側の端子146に接続し、キャパシタ電極板セット152は右側の端子148に接続する。図33において、単一の電極のみが番号150、152として示されている。しかしながら、任意の個数のプレート“n”が積み重ねられて所望の電気容量値が得られることは当業者に明らかである。そして、下部ブランクカバーシート168が加えられることによって、タンクフィルタMLCC−T160”の全体に絶縁性および機械的強度が付与される。
【0037】
高温でのコンポジット構造の焼結の後、再び図32を参照して、最終ステップとしてはんだ付け可能な端子面146、148の適用がなされる。これらの端子面はパラジウム銀、ガラスフリット、金メッキ等々のような厚いフィルムインクからなり、公知の多くのプロセスにおいて適用される。図32に示されるMLCC−T160”の全体は、図13に示される従来のMLCC142と同じように見える。しかしながら、新規な並列インダクタ構造162が内部に埋め込まれて、図34の配線図に示されるような新規な並列タンクまたは帯域除去フィルタ166が生成される。
【0038】
図34を参照して、インダクタLがキャパシタCに並列に配置される。キャパシタCは図32に示されるモノリシック構造MLCC−T160”内に配置される。
【0039】
図35には、4極フィードスルー・キャパシタ132の1つの極だけが示されていて、図36に示されるその配線図を参照することによってよりよく理解される。図36には、C1、C2、C3およびC4として示された広帯域EMIフィルタとして知られたフィードスルー・キャパシタ110が存在する。これらの回路の各位置と合致して、並列共鳴大意か除去フィルタMLCC−T160は類似の強力な発生源から生じるMRIパルス高周波をブロックする。この帯域除去フィルタの機能は、米国特許第7,363,090号の記載を参照することによってよりよく理解される。そして、この文献の内容をここに参考文献として組み入れる。
【0040】
図35を再び参照して、金ろう付け124によってハーメチック絶縁体118に取り付けられた金属フェルール120が存在する。また、2本のリード線114、114’が存在する。リード線114は金ろう付け材料122によって機械的にかつシールされた状態で絶縁体118に取り付けられる。帯域除去フィルタまたはタンクフィルタMLCC−T160は絶縁スペーサ板170によって所定の位置に固定される。フィードスルー・キャパシタ132が上端に取り付けられる。リード線114’はタンクフィルタMLCC−T160の多端に取り付けられる。キャパシタ外径金属被覆108はキャパシタの内部アース電極104に接続する。電気接続130がキャパシタの外径金属被覆108と、フェルール120の金属部分と金ろう付け材料124との間に形成される。
【0041】
図37は、特定の構造を有する従来のMLCCフェルールキャパシタ142の別の例を示した図である。これは従来の技術においては、フラットスルー・キャパシタ(または別の製品名を有する)として知られている。ここでは、フラットスルー・キャパシタ174と呼ぶ。低周波数において、フラットスルー・キャパシタ174は理想的な周波数対キャパシタンスの挙動を示す。すなわち、その周波数対減衰曲線はほぼ理想的である。これは、このキャパタが従来の円盤状フィードスルー・キャパシタ110に類似した方法で伝送線として機能する3端子の装置であるからである。このことは、図38に示されるその内部電極板の構造を参照することによってよりよく理解される。貫通または能動型電極板176が2つのアース電極板178の間に挟まれている。貫通または能動型電極板175は端子面180、182によって両側に接続される。キャパシタが図37に示されるように、回路配線184および186の間に取り付けられたとき、これは回路配線を点184、186の間に接続する。図38の能動型回路配線175を参照して、進入する電流i1が存在する。もし、これが高周波EMI電流であれば、それはフラットスルー・キャパシタのキャパシタンスによってその長さ方向に沿って減衰し、端子2において、i1’と同程度の信号を生じさせる。円盤状フィードスルー・キャパシタと同様、フラットスルー・キャパシタ174は図37に示されるように、3端子キャパシタである。電流入力点i1は端子1を形成し、電流出力点i1’のは端子2を形成する。アースは端子3である。言い換えれば、回路配線を流れる高周波電流はいずれもキャパシタ174の電極175を通過しなければならない。これは高周波信号が、いずれもアースあるいは電極178とそれらの間に形成されるキャパシタンスとの間の電極板175の全長にわたってさらされるということを意味している。このことは、3端子フィードスルー・キャパシタに対する非常に新規な構造を作り出すという効果を生じさせる。このタイプのキャパシタ174の1つの欠点は、それがシールドの全体の一部を構成するように容易に取り付けることができないということである。装置を横切る望ましくない高周波カップリング188が生じるような周波数が常に存在する。これは通常100MHzまたはそれ以上の周波数になるまで生じない。1GHzを越えるような非常に高い周波数では、この問題は極めて重大になる。別の欠点は、従来の円盤状フィードスルー・キャパシタ110(回路電流がフィードスルー・ホール内の強固なリード線を通過する)と比較した場合、フラットスルー・キャパシタ回路電流は、フラットスルー・キャパシタそれ自体の電極を通過しなければならないということである(従来の円盤状/フィードスルー・キャパシタにおいては、電極内を流れる唯一の電流は高周波EMI電流である)。電極の厚みおよび導電性に関するモノリシックセラミック製造上の制限は、従来のフラットスルー・キャパシタ174が比較的高い直流抵抗をもち、数百ミリアンペアまたはせいぜい数アンペアの電流を流すことを意味する(しかしながら、埋め込み型除細動器は20アンペアを越える高電圧パルスと協働しなければならない)。従来のMLCCおよびフラットスルー電極は相対的に薄く形成され、電極を貫通するセラミック粒子の成長が促進されて、キャパシタ層が製造の間に引き剥がされ、あるいはそれに続く機械的または熱的衝撃によって潜在的な欠陥が生じないように保たれなければならない。
【0042】
図39は、図37に示される従来のフラットスルー・キャパシタ174の配線図である。この配線図は、図2および図3に示されるフィードスルー・キャパシタ110の配線図と同じであることに注意されたい。その差異は、フィードスルー・キャパシタが本来的に高周波カップリングの問題を回避する全体的にシールドの不可欠な部分として取り付けられるべく構成されていない点にある(図5〜図7参照)。
【0043】
図40は、図37のフラットスルー・キャパシタに対して示される減衰対周波数応用曲線を示したグラフである。もし、高周波エネルギーのクロスカップリングが存在するならば、それは理想的なあるいはほぼ完璧なキャパシタとして動作する。しかしながら、このクロスカップリングの存在によって減衰がこのグラフに示されるように寄生的に低下し始める一定周波数が常に存在する。この低下は携帯電話などのような高周波EMI発生源に対する保護がほとんど存在しない。能動型埋め込み医療装置(AIMD)への応用において、非常に望ましくないものである。このクロスカップリングに起因する減衰の寄生的な低下は、軍事及び宇宙開発的応用において、さらに深刻な問題となる。この場合、10または18GHzにまで達するEMIフィルタ減衰の条件が重要である(埋め込み医療装置への応用においては、通常3GHz以上の周波数における高周波エネルギーの人間の皮膚による効果的な反射および吸収に起因して、3GHz以上の周波数をフィルタリングすることは要求されない)。宇宙開発および軍事目的で使用される回路は、GHzレーダ等々のような非常に高い周波数の発生源の存在する状況において、動作しなければならない。したがって、キャパシタを横切る(またはキャパシタの周囲の外側の)クロスカップリングに起因するこの寄生的減衰低下に関係する問題を解決することができるフラットスルー形式のキャパシタが必要とされる。さらに、それらの貫通電極を通る高次の回路を取り扱うことができるフラットスルー・キャパシタが必要とされる。本発明は、これらの要請を満たし、その他の関係する長所をもたらすものである。
【発明の概要】
【0044】
本発明の第1の目的は、その内部電極が高周波シールドされ(従来のMLCCフラットスルー・膜厚電極に比べて)より大きな厚みを有し、より大きな断面積および表面積を有し(強固でより大量の貫通回路電流を運び得る)、さらに、その電極が同一平面上のインダクタ素子を組み込まれ、かつ(付加的な離散的または埋め込まれたキャパシタ、インダクタ、ダイオード、RFIDチップ等々のような)種々の表面取付け電子素子を受け入れるように選択的に形成され得るような、1またはそれ以上のフラットスルー・キャパシタを具体化する新規なシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタを提供することにある。本発明による新規なシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタの大面積の表面エリアは、フラットスルー・キャパシタンスの値を最大にする。本発明は、回路電流が第1の端子および第2の端子の間を流れる能動型電極板と、能動型電極板を実質上取り巻く複数のシールド板とを備え、シールド板はアースされた第3の端子に電気的に結合されたシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタに関するものである。好ましくは、複数のシールド板は能動型電極板の第1の面上に第1のシールド板を有し、能動型電極板の第2の面上に第1のシールド板に対向する第2のシールド板を有している。能動型電極板は、誘電体によってシールド板から電気的に絶縁されて、能動型電極板およびシールド板は協働してフラットスルー・キャパシタを形成する。リード線は典型的に絶縁された状態で少なくとも1つのシールド板を貫通する。リード線は能動型電極板に電気的に結合されて、第1の端子を形成する。シールドされた固定部が設けられ、リード線が絶縁された状態でこの固定部を貫通している。固定部は例えば、能動型埋め込み医療装置(AIMP)に対するハーメチックシールを有する。能動型電極板の表面積は最大となるように設計されて、寄生キャパシタンスを増大させ、かつ電流に対する抵抗を最小にする。
【0045】
幾つかの実施例において、複数の能動型電極板が設けられ、それぞれその第1の面上に第1のシールド板を有し、その第2の面上には第1のシールド板に対向する第2のシールド板を有している。能動型電極板はそれぞれ誘電体によってその隣接するシールド板から絶縁されて、各能動型電極板およびそれに隣接するシールド板は協同してフラットスルー・キャパシタを形成する。シールド板は共通のアースに電気的に結合される。複数本のリード線が設けられ、それぞれ絶縁された状態で少なくとも1つのシールド板を貫通する。各リード線はそれぞれの能動型電極板に電気的に結合されて、前記能動型電極板に対する第1の端子を形成する。
【0046】
シールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタはさらに、隣接するフィードスルー・キャパシタを有し、リード線は能動型電極板に電気的に結合されるのに先立って、この隣接するフィードスルー・キャパシタを貫通してのび、それによって第1の端子を形成する。
【0047】
導電パッドが能動型電極板に電気的に結合されて、第2の端子を形成する。導電パッドは誘電体の反対の外面上に配置されたワイヤボンドパッドからなり、この誘電体の本体を貫通して能動型電極板がのびている。
【0048】
シールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタは誘電体によってシールド板から絶縁された複数の同一平面上の能動型電極板を有していて、それぞれの能動型電極板およびシールド板は協同してフラットスルー・キャパシタを形成する。さらに、少なくとも1つの同一平面上の能動型電極板はインダクタを有している。幾つかの実施例において、同一平面上の第3のシールド板が同一平面上の能動型電極板の間にのびている。
【0049】
幾つかの実施例においてリード線またはピンが絶縁された状態で少なくとも1つのシールド板を貫通してのび、そして、このリード線またはピンは能動型電極板に電気的に結合されて、第2の端子を形成する。モノリシックチップキャパシタ(MLCC)が能動型電極板および少なくとも1つのアースされたシールド板の間に電気的に結合される。さらに、第3のシールド板が能動型電極板と実質上同一平面上に配置され、この第3のシールド板はアースされた第3の端子に電気的に結合される。第3のシールド板は能動型電極板を実質上取り巻き、第1および第2のシールド板の間に配置される。
【0050】
シールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタはさらに、変形されて能動型電極板の少なくとも一部がインダクタを形成する。このインダクタはスパイラル回路配線を有する。
【0051】
EMI/エネルギー散逸フィルタの幾つかの実施例において、少なくとも1つのビアホールがシールド板を互いに結合するために設けられる。ビアホールは能動型電極板の周辺のまわりに配置されて、そのシールド特性を強める。
【0052】
幾つかの実施例において、能動型電極板はL型、π型、T型、LL型、5素子型またはn素子型受動型電子ローパスフィルタの少なくとも1つの素子を形成するように構成される。さらに、能動型電極板は帯域除去フィルタ、ダイオードアレイ、またはRFIDチップの少なくとも1つの素子を形成するように構成される。能動型埋め込み型医療装置とともに用いられるとき、シールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタは、MRI周波数で使用するために最適化された受動型電子装置素子を使用する。
【0053】
幾つかの実施例において、能動型電極板、および第1および第2のシールド板は能動型電極板に電気的に結合されたリード線に対し実質上垂直に配置されて、第1の端子を形成する。別の実施例においては、能動型電極板および第1および第2のシールド板は能動型電極板に電気的に結合されたリード線に対し実質上平行に配置されて、第1の端子を形成する。
【0054】
能動型電極板およびシールド板は典型的にハイブリッドフラットスルー・基板の内部に少なくとも部分に配置される。このハイブリッドフラットスルー・基板は第3の端子を形成する金属被覆面を有している。多くの実施例においては、ハイブリットフラットスルー・基板は埋め込み医療装置に対するハーメチックシールに隣接して配置されて、金属被覆面がハーメチックシールの導電フェルールを通じて埋め込み医療装置のハウジングに電気的に結合されるようになっている。
【0055】
ハイブリッドフラットスルー基板は、柔軟なケーブル部分または硬い部分またはその両方を有している。柔軟なケーブル部分はポリイミド、カプトンまたはアクリル性である。硬い部分は高誘電率のセラミック、アルミナ、グラスファイバーまたはFR4から形成されている。
【0056】
ハイブリッド基板の硬い部分は能動型電極板に電気的に結合された少なくとも1つの受動型電子素子を有している。受動型電子素子はRDIDチップ、キャパシタ、インダクタ、帯域除去フィルタ、L−Cトラップフィルタ、ダイオード、またはダイオードアレイからなっている。キャパシタは典型的にモノリシックチップキャパシタからなり、インダクタは典型的にモノリシックチップインダクタまたはトロイダルインダクタからなっている。
【0057】
能動型電極板の第2の端子はAIMDの内部回路基板のような電子装置に対する基板に電気的に結合される。
【0058】
別の実施例においては、ハイブリットフラットスルー基板はその内部に埋め込まれた能動型電極板を備えた誘電体からなっている。能動型電極板はこの基板を少なくとも1つのビアホールに対する金属被覆面に電気結合される。シールド板はハイブリッドフラットスルー基板の外面に適用された金属被覆面を有している。導電キャップが設けられ、ハイブリッドフラットスルー基板を捕捉し、シールド板をアースに電気的に接続するようになっている。このような構造は埋め込み医療装置に対するハーメチックシールとともに使用される。ハーメチックシールは典型的に導電キャップが電気的に取り付けられる導電フェルールを有し、少なくとも1本のリード線が絶縁された状態でこのフェルールを貫通してのび、ビアホールの金属被覆面に電気的に結合される。
【0059】
シールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタは、その外部素子のすべてが体液に直接さらされることを意図して設けられた生体適合性のある物質からなっているように構成される。さらに、前述のRFIDチップはAIMD高周波テレメトリー回路に対する起動手段を有している。
【0060】
前述のシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタは、能動型埋め込み医療装置(AIMD)の埋め込みリードに対する受動型素子網内に組み込まれる。受動型素子網は基端と、末端の組織刺激、または生物学的感知電極との間にのびる長さをもつ少なくとも1本のリード線と、電極から離れた地点において患者の組織に隣接して、または患者の血液またはリンパ液の液流中に配置されたエネルギー散逸面と、リード線に関係し、電極からエネルギー散逸面にむけて高周波エネルギーを選択的に逸らせるための逸らせ回路とを備え、高周波エネルギーを熱として消散させる。受動型素子網は逸らせ回路に関係し、リード線の高周波インピーダンスを増大させるためのインピーダンス回路を有している。インピーダンス回路は典型的に逸らせ回路と少なくとも1本のリード線との間に配置され、インダクタまたは帯域除去フィルタを有している。
【0061】
少なくとも1本のリード線はプローブまたはカテーテルの一部を構成する。さらに、エネルギー散逸面はシース、絶縁体、または熱導電性を有する素子からなっている。さらに、少なくとも1本のリード線は基端と末端の組織刺激、または生物学的感知電極との間にのびる長さを有する少なくとも一対のリード線からなっている。逸らせ回路はリード線のそれぞれをエネルギー散逸面に結合させる。逸らせ回路はさらに、一対のリード線の間に結合される。
【0062】
高周波エネルギーは典型的に好ましい実施例による磁気共鳴スキャナの高周波コスト周波数からなっている。高周波エネルギーはさらに、一定範囲の選択された高周波パルス周波数からなっている。
【0063】
逸らせ回路は少なくとも1つのC型フィルタ、L型フィルタ、T型フィルタ、π型フィルタ、LL型フィルタ、5素子型フィルタ、またはn素子型フィルタを含むローパスフィルタからなっている。逸らせ回路はさらに、少なくとも1つの直列抵抗L−Cトラップフィルタからなっている。さらに、インピーダンス回路は非線形回路素子を有している。この場合、非線形回路素子はダイオードまたは過渡電圧抑制素子からなっている。幾つかの実施例において、逸らせ回路は少なくとも1つの直列抵抗L−Cトラップフィルタからなり、インピーダンス回路はインダクタまたは帯域除去フィルタからなっている。
【0064】
3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタの新規性の基本的なポイントは、それが能動型電極板を有し、この能動型電極板を通って回路電流が第1の端子および第2の端子、能動型電極板の一方の面上の第1のシールド板および能動型電極板の第2の面上の第1のシールド板に対向する第2のシールド板の間を流れ、第1および第2のシールド板がアースされた第3の端子に電気的に結合されているということである。能動型電極板およびそのまわりを取り巻くアースされたシールド板の有効キャパタンス面積またはオーバーラップ表面積は相対的に最大値をとるようにされ、それによって、3端子フラットスルー・キャパシタのより高いキャパシタンス値が得られる。能動型電極板およびそれを取り巻くアースされたシールド板の間の絶縁層の誘電率がまた、実質上増大せしめられ、それによって、3端子フラットスルー・キャパシタのより高いキャパシタンス値が達成される。好ましくは、能動型電極板およびそれを取り巻くアースされたシールド板を分離する誘電体の厚さは、相対的に最小値をとり、それによって、より高いキャパシタンス値が達成される。能動型電極板およびそれを取り巻くアースされたシールド板の多数の余分な平行層が与えられ、それによって、3端子フラットスルー・キャパシタの全キャパシタンス値が増大せしめられる。
【0065】
本発明の別の特徴および長所が以下の添付図面を参照して、より詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】多数の埋め込み医療装置を示す一般的な人体のワイヤフレームダイヤグラムである。
【図2】従来の単極円盤状フィードスルー・キャパシタの一部破断斜視図である。
【図3】能動型埋め込み医療装置(AIMD)のハーメチックシールに取り付けられた図2のフィードスルー・キャパシタの断面図である。
【図4】図2および図3に示したフィードスルー・キャパシタを示す配線図である。
【図5】4極フィードスルー・キャパシタの斜視図である。
【図6】図5の6−6線に沿った断面図である。
【図7】図5および図6の4極フィードスルー・キャパシタの配線図である。
【図8】図2および図3の単極フィードスルー・キャパシタの内径および外径電極を示す分解図である。
【図9】図5に示した4極フィードスルー・キャパシタの内部電極の分解図である。
【図10】ハーメチックシールの上端に取り付けられた4極フィードスルー・キャパシタの斜視図である。
【図11】図10の11−11線に沿った断面図である。
【図12】図10に示した4極ハーメチックフィードスルー端子の配線図である。
【図13】モノリシックセラミックキャパシタ(MLCC)の斜視図である。
【図14】図13の14−14線に沿った断面図である。
【図15】図13に示した理想MLCCキャパシタの配線図である。
【図16】図13のMLCC構造のより現実的な配線図である。
【図17】共鳴周波数の公式を与える図である。
【図18】フィルタ減衰対周波数を示すグラフである。
【図19】フィードスルー・ピンに接続された3つの異なるサイズのMLCCキャパシタを有する単極端子の斜視図である。
【図20】図19に示した構造の配線図である。
【図21】図19に示した3チップキャパシタ単極ハーメチックシールに対する減衰応答を示すクラフである。
【図22】図19に示したのと類似のMLCCキャパシタを取り付けるための異なる方法を説明する図である。
【図23】図22のキャパシタを取り付けるためのより望ましい方法を示した図である。
【図24】図22および図23のMLCCキャパシタを取り付けるためのさらに別の方法を示す図である。
【図25】MLCCチップキャパシタに対する等価回路モデルを示す配線図である。
【図26】従来のMLCC過渡電圧抑制ダイオードの斜視図である。
【図27】図26のダイオードの配線図である。
【図28】従来のチップインダクタの斜視図である。
【図29】図28のインダクタチップの配線図である。
【図30】その上に堆積せしめられたインダクタ回路配線を備えたMLCCキャパシタの斜視図である。
【図31】図30に類似の構造の分解図である。
【図32】コンポジットモノリシックセラミックキャパシタ並列共鳴タンク(MLCC−T)または帯域除去フィルタの斜視図である。
【図33】図32のMLCC−Tタンクフィルタの種々の層を示す分解図である。
【図34】図32および図33のMLCC−Tタンクまたは帯域除去フィルタの配線図である。
【図35】MLCC−Tフィルタとして具体化された4極フィードスルー・キャパシタの1つの極の断面図である。
【図36】図35に部分的に示した4極装置の配線図である。
【図37】従来のフラットスルー・キャパシタの斜視図である。
【図38】図37のフラットスルー・キャパシタの内部電極アレイを示す図である。
【図39】図37および図38の従来のフラットスルー・キャパシタの配線図である。
【図40】図37および図38の典型的なフラットスルー・キャパシタの減衰対周波数応答曲線を示すグラフである。
【図41】本発明によるシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタを具体化した図10に示したものと類似の4極EMIフィルタハーメチックシールの斜視図である。
【図42】図41の42−42線に沿った断面図である。
【図43】図41の43−43線に沿った断面図である。
【図44】図41の44−44線に沿った断面図である。
【図45】図41の45−45線に沿った断面図である。
【図46】図41の46−46線に沿った断面図である。
【図47】図41〜図46のフラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタを形成する板の分解図である。
【図48】図41の48−48線に沿った断面図である。
【図49】図41のフラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタの配線図である。
【図50】単一の同一面上の層への積み重ねられた層L1およびL2の組み込みを説明する図43および図44に類似の断面図である。
【図51】ビアホールへの接続のための能動型電極板の変形を説明する図42〜図46に類似の断面図である。
【図52】図52のビアホールの1つにのびるリード線を説明する一部破断斜視図である。
【図53】リード線の代わりのボンドパッドを示す図52に類似の斜視図である。
【図54】本発明によるシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタに置き換えられたフィードスルー・キャパシタを備えたことを除いては、図3と類似の単極ハーメチックシールの斜視図である。
【図55】リード線を取り付けるための別の方法を説明する図54の55−55線によって示されたエリアの図である。
【図56】図54の56−56線に沿った断面図である。
【図57】ビアホールが満たされ、その後、はんだの隆起に取り付けられる別の接続法を説明する図である。
【図58】図54および図56の構造を形成する種々の素子を示す分解図である。
【図59】図54、図56および図58の構造の配線図である。
【図60】図58に示す能動型電極板層の変形例を示す斜視図である。
【図61】能動型電極板がスパイラルインダクタ素子を付け加えることによって変形された図60に類似の図である。
【図62】図61の基板によって形成されたインダクタ−キャパシタフィルタの配線図である。
【図63】本発明によるシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタに組み込まれる4極フィルタの分解図である。
【図64】図63のアースされたシールド板の変形例を示す平面図である。
【図65】付加的変形を示すアースされた電極板を示す、図64に類似の図である。
【図66】アースされたシールド板のさらに別の変形例を示す、図64および図65に類似の図である。
【図67】図63の能動型電極板基板の別の構成を示す斜視図である。
【図68】別の技術を用いた図63のシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタの性能を比較する減衰対周波数のグラフである。
【図69】能動型電極板がインダクタを含むように変形された変形例を示す、図63に類似の分解図である。
【図70】エッジシールドおよび任意の分離シールドが配置されることによって、能動型電極板間または選択的に同一平面上の電極板間からEMI放射が生じることを防止する点を除いて、図63および図69と類似の分解図である。
【図71】図63に類似のシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタの別の変形例の分解図である。
【図72】図69の能動型電極板の一部を形成する曲がりくねったホイーラースパイラルを示す拡大図である。
【図73】図69、図70、および図71の能動型電極板の部分を形成する四角形のホイーラースパイラルを示す、図72に類似の図である。
【図74】幾つかの典型的なインダクタンスの蛇行形状を示す図である。
【図75】種々のタイプのローパスフィルタの減衰曲線のグラフである。
【図76】図68に示される者と同様のフィルタ減衰曲線の一群を示すグラフである。
【図77】本発明によるシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタを具体化する2極ハーメチックシールされたフィルタの斜視図である。
【図78】図77のシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタの内部層を示す分解図である。
【図79】本発明によるシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタを具体化する別の実施例の分解図である。
【図80】図79の80−80線に沿った図79の組立部分の図である。
【図81】図79および図80に示した4極のシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタの配線図である。
【図82】本発明によるシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィタルを具体化するインラインハイブリッド基板の分解図である。
【図83】図82に示した構造の配線図である。
【図84】本発明を具体化するシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタの別の変形例の分解図である。
【図85】ダイオードアレイがRFIDチップに置き換えられた点を除いて図84に類似の図である。
【図86】トロイダルインダクタが一連の表面取付チップインダクタに置き換えて使用された点を除いて図84に類似の図である。
【図87】ハイブリッド基板の一部の柔軟性を説明する図84に類似の図である。
【図88】図84の新規なハイブリッド基板の内部配線図である。
【図89】図84の新規なハイブリット基板の配線図である。
【図90】T型回路フィルタがπ型回路フィルタで置き換えられた図89の能動型回路の1つと同一のものを示す図である。
【図91】従来の4極フィードスルー・キャパシタが付け加えられた図84に類似の図である。
【図92】図84および図88のハイブリッド基板の柔軟な部分の反対側の面を示す平面図である。
【図93】図92の93−93線に沿った断面図である。
【図94】電気的接続を形成するための異なる方法を説明する図93の線94、95、96、および97によって示されるエリアの図である。
【図95】電気的接続を形成するための異なる方法を説明する図93の線94、95、96、および97によって示されるエリアの図である。
【図96】電気的接続を形成するための異なる方法を説明する図93の線94、95、96、および97によって示されるエリアの図である。
【図97】電気的接続を形成するための異なる方法を説明する図93の線94、95、96、および97によって示されるエリアの図である。
【図98】4つのビアホールを備えた柔軟なケーブルアッセンブリの変形例を示す図92に類似の図である。
【図99】はんだ付けリングまたはろう付けリングを用いた端子ピン上への基板の取付を説明する別の実施例を示す図93の99−99線で囲まれたエリアの断面図である。
【図100】別の取付法を説明する図99に類似の図である。
【図101】シールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタを種々のタイプのハーメチックまたは非ハーメチックシールに接続するために用いられる新規なアタッチメントキャップの類似図である。
【図102】図101の新規なキャップを具体化する従来のハーメチックシールの断面図である。
【図103】ビアホールのまわりの回路配線または電極端の一部を有する方法論を説明する概略図である。
【図104】図84の別の変形例を示す図である。
【図105】ハイブリッド基板の柔軟なケーブル部分を柔軟な部分に分解するための方法論を説明している点を除いて図104に類似の図である。
【図106】本発明を具体化するシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ・ハイブリッドフラットスルー基板を備えたインライン6極ハーメチック端子の斜視図である。
【図107】製造プロセスを説明するフローチャートである。
【図108】本発明を具体化する新規なハイブリッドシールド3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタを用いる典型的な16リードハーメチックシールの分解図である。
【図109】図108の構造の配線図である。
【図110】5ピン端子の斜視図である。
【図111】本発明によるシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタが取り付けられた図110の5ピン端子の斜視図である。
【図112】高周波減衰を与えるために逆立ち構造のMLCCが用いられる別の実施例を示す図111に類似の斜視図である。
【図113】本発明による電子素子の製造工程の一例を示すフローチャートである。
【図114】AIMDのハウジング内においてリード線とともに用いられる可変インピーダンス素子を示すAIMDの一例の図である。
【図115】AIMDに入り、および出ているリード線上への可変インピーダンス素子の使用を示す図114に示した構造の概略図である。
【図116】可変インピーダンス素子がキャパシタ素子からなっていることを示す概略図である。
【図117】可変インピーダンス素子がフィードスルー・キャパシタ素子からなっていることを示す図116に類似の概略図である。
【図118】可変インピーダンス素子がL−Cトラップフィルタからなっていることを示す図116および図117に類似の概略図である。
【図119】キャパシタ素子がL−Cトラップフィルタに並列に配置されていることを示す図118に類似の図である。
【図120】直列可変インピーダンス素子を強調する図115に類似の図である。
【図121】可変インピーダンス素子がインダクタからなっていることを示す図である。
【図122】可変インピーダンス素子がL−C帯域除去フィルタからなっていることを示す図である。
【図123】種々のタイプのフィルタのインピーダンス特性を示す減衰対周波数曲線のグラフである。
【図124】産業界においてL−Cトラップフィルタとして既知の直列インダクタ−キャパシタの配線図である。
【図125】L−C直列トラップフィルタに対する共鳴周波数方程式を与える図である。
【図126】図124の直列共鳴L−Cトラップフィルタのオームで測ったインピーダンスZ対周波数のグラフである。
【図127】2つの独立な直列共鳴L−Cトラップフィルタのオームで測ったインピーダンス対周波数を示す図126に類似のクラフである。
【図128】人間の心臓内に埋め込まれた心電図計リード線を備えた心臓ペースメーカーの概略図である。
【図129】深度脳刺激電極を示す人体頭部の断面図である。
【図130】AIMDに対する単極リードシステムの概略図である。
【図131】L−Cトラップフィルタを有する図130に類似の図である。
【図132】周波数選択素子が容量的素子からなっている図130に類似の図である。
【図133】容量応答が埋め込まれたリードの誘導的等量でかつ反対の極性を有するようにキャパシタンス値Cが選択されている、図130および図132に類似の図である。
【図134】典型的に軍事産業、宇宙開発産業、医療産業、通信産業等々において使用される、従来のハーメチックおよび非ハーメチックコネクタを示す図である。
【図135】従来のサブDタイプコネクタを示す図である。
【図136】従来のサブDタイプコネクタを示す図である。
【図137】従来のハーメチックコネクタを示す図である。
【図138】従来のハーメチックコネクタを示す図である
【図139】従来のマルチピンコネクタおよびシールドされた3端子フラットスルー・EMIフィルタの分解図である。
【図140】本発明によるシールドされた3端子フラットスルー・EMIフィルタが取り付けられている点を除いて図139と類似の図である。
【図141】面に取り付けられたMLCCキャパシタを示す図139の141−141線で囲まれた部分の拡大図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0067】
添付図面に示されるように、本発明は、基板内または柔軟なケーブルアッセンブリ内に埋め込まれ得るシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190に関するものである。新規な特徴は、任意の面に取り付けられた受動型または能動型素子が取り付けられた一方で、それと同時に相互接続回路がもたらされる埋め込みフラットスルー・キャパシタを構成する点にある。新規なシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190は、従来のフィードスルー・EMIフィルタキャパシタに類似の特徴を有するフラットスルー・キャパシタを具体化する。本発明によるフラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190は3端子容量的フィルタリングをもたらすとともに、フラットスルー・キャパシタの強固な高電流電極を通回路および信号のシールドをもたらす。本発明によるフラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190は従来のフィードスルー・キャパシタと極めてよく似た方法で動作する。すなわち、
a)そのアース電極は完全にシールドされたハウジング内に出入りするリード線に対するハーメチックシールまたはそれに等価な開口を通る高周波エネルギーの直接の進入を物理的に妨げる電子装置またはモジュールの電磁的シールドハウジングの連続した部分として機能する(このような高周波エネルギーはもしシールドされたハウジング内に進入するなら、敏感な電子回路に結合し、そして、それに干渉し得る)。
b)従来のフィードスルー・キャパシタと同様、本発明によるフラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190は、リード線(電極)の望ましくない高周波EMI信号をシールドハウジングの全体に散逸させ、そのエネルギーを微少な温度上昇に帰する渦電流として消散させる。もちろん、従来の円盤状/フィードスルー・キャパシタとは異なり、本発明においては、回路電流(例えば、ペースメーカー動作パルスまたはICD HV除細動高電流ショック)は、埋め込まれたフラットスルー・キャパシタの内部電力を通過しなければならない。フラットスルー技術を従来の回路基板、基板または柔軟なケーブルに一体化することによって、フラットスルー電極は非常に厚い電極(銅のシートのような)によって製造され、これらのフラットスルー電極は(外部または内部心臓除細動パルスのような)比較的大きい貫通回路電流を安全に搬送する能力を著しく増大させる。
【0068】
図41は、図10に4極EMIフィルタを備えたハーメチックシールに非常に類似した構成を示したものである。図41において、本発明によれば、フィードスルー・キャパシタ素子が完全に除去され、製造コストが著しく低減される。図10に示されたフィードスルー・キャパシタ132およびそれに関係するワイヤボンド基板136は、新規なシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190によって置き換えられている。図41において、ワイヤボンドパッド138、138’、138”、138’”、140は図10に示したワイヤボンドパッドに非常に似ている。それらは比較的高いK値をもつセラミックまたは適当なハイブリッド基板192に取り付けられている。本発明による新規な寄生フラットスルー・キャパシタは、基板192に一体化される。このことは、図42〜図46を参照することによってよりよく理解される。
【0069】
図42はアースされたシールド板194を示した図である。この場合、センターピン196がアースされている。すなわち、基板192の下側に(図示されない)ウエブ板が存在する。そしてここで、アースピン196はハーメチックシール112の金属フェルール120に電気的に結合される。これは低インピーダンス高周波アースであることが重要である。言い換えれば、ウエブ板はリード線114、114’114”114’”の貫通の点だけの穴を備えた大面積の板である。この高周波アースされたウエブ板は例えば、ハーメチック端子のフェルール120にレーザ溶接された外径と、アースされたリード線またはピン196に溶接され、またははんだ付けされた内径とを有している。センターピン196をアースするための別の方法が図48に示したハーメチックシール内に埋め込まれたアース板によって説明される。図48を参照して、リード線が絶縁された状態で金属フェルール120に向かって貫通するハーメチック絶縁体118が存在する。アース板198はハーメチックシール112の絶縁部分118内に埋め込まれ、金ろう付けによってセンターアースピン196に取り付けられる。ハーメチックシール112の絶縁体118内に埋め込まれた板を用いることによって、このセンターピン196をアースすることが米国特許第7,199,995号に記載されており、この文献の内容をここに参考文献として組み入れる。ピン196をアースするための別の方法がまた、米国特許第5,905,627号および米国特許第6,529,103号に記載されており、これらの文献の内容もまた、参考文献としてここに組み入れる。
【0070】
図43〜図46は、電極板レイアウト176、176’、176”、176’”を示した図である。これらの能動型電極板のそれぞれのオーバーラップエリア、さもなくば、有効キャパシタンスエリア(ECA)として知られたものは、フラットスルー・キャパシタを最小にすべく最大値をとるように設定される。能動型電極板176〜176’”の厚さおよび面積を最大にすることによって、それらの全体的な抵抗値が減少し、(そして、その定格電流が著しく増大する)という付加的な効果が得られる。これは以下の理由から重要である。すなわち、新規なシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190
の回路電流は、それぞれの電極板176〜176’”を通過し、それによって、新規なシールドされたフラットスルー・キャパシタ特性が達成されねばならないからである。
【0071】
既に述べたように、図37に示されるような従来のフラットスルー・キャパシタ174の1つの重大な欠点は、それが電磁シールドの全体の不可欠の一部となるように容易に取り付けることができないということである。装置を横切る望ましくない高周波カップリング188が生じるような周波数が常に存在する。これは、100MHzまたはそれ以上の周波数になるまで通常は生じない。1GHzを超える非常に高い周波数では、この問題は非常に重大となる。回路電流が貫通穴内の強固なリード線を流れるような従来の円盤状フィードスルー・キャパシタ110、132との比較において、第2の欠点は、フラットスルー・回路電流がフラットスルー・キャパシタ174それ自体の電極を通って流れなければならないということである。電極の厚さおよび導電性に関する制限は、従来のフラットスルー・キャパシタ174が比較的大きい直列抵抗値を有し、数ミリアンペアまたはせいぜい数アンペアの電流しか流さないと見積もられる、ということを意味する。しかながら、外部除細動(AED)または埋め込み除細動器の影響を受ける患者のペースメーカーのリード線は、20アンペアを越える高電圧パルスを協同しなければならない。本発明による新規なシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190は、少なくとも上端面および下端面上を取り巻くアースされたシールド板194を新規な大面積かつ比較的厚いフラットスルー能動型電極板176に組み込むことによって、従来のフラットスルー・キャパシタに関係する前述のような欠点の両方を克服する。この新規な大面積かつ比較的厚いフラットスルー能動型電極板176を通って、30アンペアまでのまたはそれ以上の回路電流が流れる。続く図面からわかるように、シールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190の新規な大面積の電極176は選択的に直流インダクタンスフィルタに付加するだけでなく、有効キャパシタンス面積(ECA)を増大させることによってフラットスルー・キャパシタンスを増大させるインダクタ部分を有し得る。
【0072】
新規なハイブリッド基板192の内部構造の全体的な図47を参照することによって最もよく理解される、フラットスルー能動型電極板176〜176’”のそれぞれは、複数のアースされたシールド板194、194’、194”、194’”、194”の間に挟まって配置される。それによって生じた高いECAは、EMIフィルタリングのためのフラットスルー・キャパシタンスの非常に高い値(典型的には、数十または数百ピコファラッド)を生じさせるという効果を奏する。対照的に、米国特許第5,683,435号および米国特許第6,473,314号に開示された狭い狭小な(小面積の)回路配線型のフラットスルー構造は、有効なキャパシタ電極とはなり得ない。これはほぼゼロのフラットスルー・キャパシタを生じさせる(それ自体によって有効なEMIフィルタ減衰を全くもたらさない浮遊容量のみ)。さらに、互いに重なり合うアースされたシールド板194の間にフラットスルー・キャパシタンスを生じさせることによって、既に図37の従来の構造とともに述べた問題が解決される。図37において、典型的な従来のフラットスルー・キャパシタに対しカップリング188が生じる周波数が存在する。この場合、高周波信号は浮遊容量、アンテナ作用または相互インダクタンスを通して、電極板175を通過せず、その代わりに、回路配線を横切って直接に隣接する回路配線に結合される。このことは、既に図40を参照して説明したように、クロスカップリングに起因する減衰の劣化としてよりよく理解される。本発明による新規なシールド3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190の大面積の電極板176をその両側(選択的に、同一平面上において)アースされた高周波シールド板194によってシールドすることにより、この浮遊カップリングの問題およびそれに関係する高周波減衰劣化は、完全に解消される。再び図37図を参照して、従来のフラットスルー・キャパシタ174の端から端までにおいて、実際に如何なるシールドバリヤも存在しない。例えば、100MHz〜1GHzのような一定の周波数範囲内において、EMIまたは高周波は従来のフラットスルー・キャパシタ174を横切る望ましくないクロスカップリングを生じさせ、あるいは潜在的にさらに悪いことには隣接する回路に結合する。
【0073】
図41〜図48に示した新規な構成を再び参照して、フラットスルー・キャパシタンスは極めて良好にシールドされる。この場合、フラットスルー・キャパシタンスは理想キャパシタとして機能し、共鳴および寄生高周波カップリング劣化を生じさせることはない。図48において、内部アースされたシールド電極板194に接続される選択的な外部金属被覆108が存在する。これは電子装置のシールドされたハウジングの全体の内側において敏感な電子回路に結合された高周波エネルギーのエッジ再輻射を妨げるのに有効である。好ましい実施例においては、外部金属被覆108は金ろう付け124に直接電気的に接続される(この場合、フェルール120の径は大きくされる必要はない)。したがって、高周波アースおよびインピーダンスフェルール120と、シールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190の外側の金属被覆108との間において低減される。この場合、センターアースピン196は取り除かれ、ハーメチック絶縁体118内の内部アース電極198がまた、除去されるということが明らかである。言い換えれば、シールド電極板194のアースが図48に示すようなセンターピン196によって達成され、あるいは外部金属被覆108と例えば、金ろう付け124との間のアタッチメントによって外周のまわりになされる。金属被覆108を付け加えることは埋め込まれたフラットスルー能動型電極板176が上側および下側のプレート194によって、そして、シールド108によってその同一平面上のエッジにおいて高周波シールドされる。これは能動型電極板176が完全にシールドされて高周波再輻射またはクロスカップリングは生じ得ないということを意味する。
【0074】
図48を再び参照して、シールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190とハーメチック絶縁体118との間に配置された絶縁ウォッシャ200が存在する。これは導電体128がハイブリッド基板192の下側に移動することができず、隣接するピンの間の短絡を生じさせることがないということを補償するものである。例えば、導電体128がピン114”およびピン114’”の間において移動した場合、これは心臓ペースメーカーの出力をショートさせる。好ましい実施例によれば、絶縁層200はまた、粘着性を有している。これは製造の間に望ましいものであり、それによってシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190は、ハーメチックシール112に対して強固に固定される。これは熱伝導性を有するポリアミド、またはエポキシまたはそれらに類するものをはんだ付けし、遠心分離器にかけることによって、それに続く電気的取付操作をより容易にする。
【0075】
再び図48を参照して、体液側はハーメチック絶縁体118の底面上にある。典型的には、AIMDの電子回路はハーメチックシールされ、電磁的にシールドされたハウジング内に配置される。しかしながら、本発明は、シールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190をAIMDのハウジング内に配置することのみに限定されるものではない。シールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190を完全に生体適合性を有する物質から形成すれば、それが体液側に置かれ得ないという如何なる理由も存在しない。ここに参考文献として組み入れられた米国特許第7,113,387号によれば、体液に直接させされることを意図して形成されたEMIフィルタキャパシタが開示される。例えば、フラットスルー能動型電極板および対応する電極シールド板は、すべてリード線を含まない高誘電率の物質内に配置され、純粋なプラチナ、金、ニオブ、タンタル、チタンまたはそれに類するもののような生物適合性を有する物質から形成されたコネクタおよび電極板およびシールド板を伴う。言い換えれば、図48に示した構造は、体液に直接さらされることに適応すべく考案されたものである。
【0076】
図49は、図41の新規なシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190の配線図である。シールド194〜194””は、大面積の能動型電極板176が、アースされたシールド電極板194によって少なくとも上下端を取り巻かれて、フラットスルー・有効キャパシタンスオーバーラップエリアを形成し、それと同時に、フラットスルー・容量的フィルタを横切る望ましくない高周波カップリングを妨げるという事実を説明している。フィードスルー・キャパシタンスC1、C2、C3、C4は、各能動型電極板176と、能動型電極板の上下端を取り巻く対応するシールド板194との間のオーバーラップエリア(ECA)によって形成される。例えば、再び図47を参照して、能動型電極板176〜176’”は、アースされたシールド板94〜194””によって上下端を取り巻かれる。アースされたシールド板194”は、金属メッキ、厚膜被覆(シルクスクリーニング)、個々の金属シート等々によって、特定の誘電体厚dを有する誘電体層上に被覆され得る。全フラットスルー・キャパシタンスに対する公式が、C=kA(n−1)/d、によって与えられることはキャパシタの設計者によく知られている。この公式において、kは絶縁誘電体それ自体の誘電率であり、Aはアースされたシールド板194、194’、および、例えば、能動型電極板176によって決定されるin.sup.2またはmm.sup.2(ECA)における有効キャパシタンスエリアであり、nは全電極面の個数であり、dは誘電体厚である。図47を参照して、(図示されない)絶縁誘電体カバーシートが付け加えられる。このシートは各電極層上に誘電体層を形成するのと同じか、または異なる絶縁および/または誘電体である(これは電気的または機械的保護を付加する目的を有する)。(必要数だけの)ブランクカバーシートがまた、能動型電極層176と、それに関係しまたはそれを取り巻くアースされたシールド板層194との間に挿入されることはキャパシタ設計の当業者に明らかである。これは誘電体dをより大きくせしめ、2つの効果をもたらす。第1の効果は、誘電体厚、よってフラットスルー・キャパシタの定格電圧を増大させることである。薄い誘電体層は比較的低電圧で容易に破壊される。したがって、埋め込み型除細動器(ICD)の電圧のような高電圧での応用に対し、例えば、低電圧ペースメーカーよりも大きな誘電体厚が必要とされる。キャパシタンスに対する上記公式をみると、誘電体厚dは分母に存在する。したがって、誘電体厚が増大すると、全フラットスルー・キャパシタンスは減少する。そこで、設計者が行なう第1の決定は、適用される定格電圧に対し必要とされる誘電体厚はどの程度かということであり、そしてさらに、フラットスルー・キャパシタンスが達成されるようにECAを調節することである。不十分なフラットスルー・キャパシタンスによって、すべての周波数の適切なフィルタリングが達成される場合がある。面取り付け、または埋め込み、または厚膜被覆によって、市場で入手可能な個々のキャパシタ、インダクタ、ダイオードおよびその他の素子をどのように組み込めば、本発明によるその全体的な性能を向上させ、特に、新規なシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190の低周波における性能を向上させることができるかが、以下に、後続の図面とともに説明される。
【0077】
図50は、図41のより層厚の小さい、そしてそれに対応して、基板全体の厚さがより小さい新規なハイブリッドEMIフイルタ基板192を製造するための方法を示す図である。これは単一の同一平面上の層上に2つ(またはそれ以上の)能動型電極板176、176’を組み込むことによって達成される。多数の能動型電極板を同一平面の層上に配置することによって、シールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190をより薄くし、製造をより容易とし、製造コストをより安くするという効果が得られる。しかしながら、これは各能動型電極板176に対する有効キャパシタンス面積(ECA)を減少させるという望ましくない効果を生じさせる。しかしながら、高K値を有する物質が使用されるとき、有効キャパシタンス面積は非常に大きくなり、このことは実際上は不利益とはならない。また、以下の図面によって、同一平面上のインダクタ−電極を加えることによってフィルタ減衰を促進するための方法が示される。同様にして、能動型電極板176”、176’”がまた、単一の層内に組み込まれる得ることは、当業者には自明である。新規なシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190、および、特に、そのハイブリット基板192は従来の柔軟な回路(柔軟なポリイミド回路等)、硬い多層基板(アルミナまたはFR4基板等)、基板またはキャリア上への厚膜被覆またはそれに類するものによって形成され得る。これらの製造技術のそれぞれに対して、積層され得る層の数に対する現実的な制限が存在する。この制限は製造プロセスの固有の制限に関係する。例えば、(8〜10以上の)十分な数の層が積層される場合、柔軟な回路は非常に硬くなってしまう。事実、柔軟なケーブルの一部が積層されて、「リジッド−フレックス」と知られる部分を形成することは、柔軟なケーブルの設計においては常識である。本発明によれば、シールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタが、完全な柔軟な基板、柔軟性および剛性を備えた層を有するハイブリッド基板または完全な硬い基板に用いられ得る。
【0078】
図41を再び参照して、ワイヤボンドパッド138〜140が存在する。ワイヤボンドパッドを加えることによって、回路接続が容易になり、また、不可欠なコストが生じる。比較において、図51は例えば、図43に示される能動型電極板176がビアホール202に接続されるように変形されることを示している。このビアホール202は図52に示されるようなリード線204または図53に示されるような丸みを帯びた(または四角形、またはそれ以外の形状の)ワイヤボンドパッド206の接続を容易にする。
【0079】
図54は、フィードスルー・キャパシタが絶縁体118および金ろう付け124の上端に取り付けられた本発明によるシールド3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190に置き換えられている点を除いて、図3に示したものと類似の単極ペースメーカーハーメチックシール112の斜視図である。シールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190のハイブリッド基板192は、既に説明した幾つかの技術を用いて製造され得る。ハイブリッド基板192の本体は高誘電率のセラミック、アルミナ、ガラスファイバー、FR4またはその他の硬い多重層をもつ基板の形成技術からなる従来の基板からなっている。加えて、それは多数の柔軟な、または柔軟なケーブルの変形からなっている。これらのポリイミド、カプトンおよびアクリル構造物に基づいて互いに積層された柔軟なケーブルを有している。別の実施例によれば、ポリイミド製の柔軟なケーブルは高温で互いに積層形成されたポリイミド製コネクタを備えている。このような形式の基板および/または回路基板および/または柔軟なケーブルはいずれも従来技術において知られている。ここに述べたものはそれらの基板のフラットスルー・フィルタへの極めて新規な応用である。以下において、種々の形態の新規なシールドされたフラットスルー・EMI/フィルタが組み込まれた新規な基板はハイブリット基板192と呼ばれる。
【0080】
図54において、ハイブリット基板192の表面上には金属被覆されたエリア208が存在する。この金属被覆されたエリア208は図56に示したハイブリット基板192内部に埋め込まれたアースされたシールド板194、194’に接続する。図54において、複数の電気的コネクタ210、210’、210’”が存在する(基板192の反対側に設けられた同じ電気的コネクタ210”、210””は図示されない)。これらの電気的コネクタは金ろう付け124に接続される。金ろう付け124はハーメチックシールの一部をなし、酸化されない高周波アースされたマルチポイントコネクタをもたらす。このことは、図54の56−56線に沿った断面図である図56を参照することによってよりよく理解される。チタンフェルール120に直接接続する代わりに、金ろう付けに接続することの重要性が米国特許第6,765,779号および米国特許第6,765,780号を参照することによってよりよく理解される。これらの文献の内容をここに参考文献として組み入れる。図56から典型的には、チタンまたはそれに類するものから形成される金属フェルール120を含む従来のハーメチックシール112が存在することがわかる。心臓ペースメーカーまたはそれに類するもののようなAIMDのチタン製ハウジングにレーザ溶接するのに適したフランジエリア212が存在する。アルミナ、セラミック、ガラスまたはそれらに類するものから形成されるハーメチック絶縁体118が存在する。この実施例において、絶縁体118およびフェルール120間の機械的およびハーメチックシールを形成する金ろう付け124が存在する。金ろう付け122はリード線114および絶縁体118間に同様の機械的およびハーメチックシールを形成する。この実施例においては、体液側は図56の断面図の底側である。電気的コネクタがリード線114および金属被覆されたビアホール202間に形成される。金属被覆されたビアホール202は新規なハイブリッド基板192の一部を形成する。ビアホール202は内部能動型電極板176(さもなくば、フラットスルー電極板として知られた)に電気的に接続し、順次、ビアホール202’に接続される。アースされたシールド板194、194’はハイブリッド基板192の外側金属被覆面208に接続される。順次、この金属被覆面208は物質210を介してハーメチックシール112の金ろう付け124に電気的に接続される。既に述べたように、金ろう付けへのこの直接接続は、信頼性のある酸化されない低インピーダンスコネクタを形成する。その重要性は、米国特許第6,765,779号および米国特許第6,765,780号に詳細に説明されている。また、ハイブリッド基板192の両側を金属被覆面208によって覆うことにより、能動型電極176上に形成されるEMIがAIMD内部に放射し、またはクロスカップルすることが妨げられる。EMIをアースされたシールド板194、194’間にボトルアップし続けることによって、その製造的な解決法となるほぼ完全なファラデー箱シールドが形成される。全体的な薄い構成とすることによって、高周波エネルギーの基板エッジからの再輻射はほとんど重要性を失い、もし、層176および層194、194’間の誘電体厚が大きくなるならば、図60とともに説明される同一平面上のエッジシールドに解決され得る。このシールド閉じ込めの新規な方法は、ここに説明するいずれの実施例にも適用可能である。
【0081】
図54を再び参照して、従来のモノリシックラミックチップキャパシタ(MLCC)142はランドに電気的に接続され、このランドは順次ビアホール202’、202”に接続される。このことは、図58の分解図を参照することによってよりよく理解される。ビアホール202’は能動型回路電極板176に接続される。MLCCキャパシタ142の他方の側はビアホール202”によってアースされたシールド電極板194、194’の両方に接続される。MLCCキャパシタ142の両側に非常に低インピーダンスコネクタが形成されることが重要である。この実施例において、任意のタイプのチップキャパシタが使用可能である。すなわち、モノリシックセラミック、フィルム積層、タンタル、電解またはそれに類するタイプのチップキャパシタが用いられる。MLCCキャパシタのアース側(左側)はビアホール202”によって高周波アースに接続される必要はないことは当業者に自明である。その代わりに、MLCC142の左側の拡張されたランドが外部金属被覆面208に直接的に高周波アースされる。
【0082】
図54において、ハイブリッド基板192に固定されたワイヤボンドパッド138が存在する。これはリード線204の取付のための便利な取付パッドを形成する。リード線204は一般的な電子装置またはAIMDの内部回路に接続される。リード線204は熱的な、または超音波による溶接、はんだ付けまたはそれに類するものによってワイヤボンドパッド138に固定される。図55は、(典型的には、コバールから形成される)ワイヤボンドパッド138が除去された別の実施例を示した図である。図55において、異なるタイプの金属はんだ付けによる被覆されたワイヤボンドパッド139が存在する。この場合、図54に示されるように、コバールブロック138の如何なる独立のアタッチメントも必要とされない。この場合、図55において、ワイヤボンドパッド139は外部回路配線の不可欠の一部をなし、メッキ、厚膜被覆等々によって形成される。
【0083】
再び図56を参照して、能動型電極板176は2枚のアースされたシールド板194,194’の間に挟まれる。従来のMLCCキャパシタ142はビアホール202’(これはまた、能動型回路板176に接続される)およびビアホール202”の間に接続され、ビアホール202”はアース板194、194’の両方に導電性を有するように結合される。電気的な言葉で説明すれば、このことは、MLCCキャパシタ142が能動型回路板176からアース側に接続することを意味する。したがって、それは、既に述べたような、フラットスルー・キャパシタンスを完全にすべく付加的なEMIフィルタリングをもたらすための電気的バイパスローパス素子として機能する。
【0084】
図56を再び参照して、リード線114およびビアホール202間に配置された電気的接続物質214が存在する。これは導電エポキシ樹脂、または導電ポリイミドまたはそれに類するもののような熱硬化導電ポリマーから形成され得る。物質214はまた、従来技術において、はんだバンプ構造、またはボールグリッドアレイ(BGA)として知られたはんだまたはろう付けからなっている。これは、リフロー位置において、必ずしも丸いボールから始まるものではない。この物質214および金ろう付け124間の電気的絶縁性をもたらすために、1つまたはそれ以上の裏面側に接着剤を有する絶縁ウォッシャ200がハーメチックシール112およびハイブリッド基板192間に配置される。典型的には、このウォッシャ200は、裏面に接着剤を有するポリイミドまたはそれに類するものからなり、214のような導電物質が定位置に留まり、望ましくないエリアへの短絡および/または分岐(アース短絡等)を生じさせないことが保証される。ここに参考文献として組み込まれた米国特許第7,327,553号に記載されたように、層上の洩れ検出経路がウォッシャ200間に形成され、ハーメチックシールのヘリウム洩れ試験を容易にしている。
【0085】
金属被覆面208と金ろう付け124との間に配置された同様の電気的接続物質210が存在する。物質210はまた、典型的には熱硬化導電接着剤、はんだ、低温ろう付け、レーザ溶接またはそれに類するものからなっている。ワイヤボンドパッド138は能動型電極板176に接続される。このポイントでリード線114の体液側から進入する電気的ノイズ(EMI)は、すべて図56においてCおよびCp’として示されるフラットスルー・キャパシタンス、およびそれとともに動作するMLCC142のフィルタリング作用によってデカップルされる。フラットスルー・キャパシタンスの値は、MCC142よりも比較小さい。しかしながら、それは高周波を減衰させるのには非常に効果的である。低周波はより高いキャパタンス値を有するMLCCキャパシタ142によって減衰せしめられる。ワイヤボンドパッド138は1本またはそれ以上のリード線204を一般的なシールドされたモジュールまたはAIMDの内部の回路素子に接続するために便利なものである。
【0086】
図56において、ビアホール202ははんだ、低温ろう付け、熱硬化導電接着剤またはそれに類するものからなる導電体214によってリード線に接続される。別の方法が図57に示されており、ここでビアホール202は充填される。そして、はんだバンプ216に取り付けられる。はんだバンプ216はビアホール202の金属被覆106に接続する全アッセンブリを所定の温度まで加熱することによってはんだバンプ216は釘頭型リード線218を濡らし、信頼性を有する電気的および機械的接続を形成する。
【0087】
図58は図54の分解図である。アースされたシールド板194,194’への低インピーダンス高周波電気接続が非常に重要である。したがって、多数の電気的アタッチメント210〜210””が存在する。もちろんこれはアース金属被覆208のまわりの金ろう付け124に対する1つの長い連続した接続を形成する。しかしながら、ヘリウム洩れ経路を妨げないことが望ましい。これらのハーメチック端子の一体化は、体液のAIMD内への進入を妨げるために重要である。
【0088】
図56を再び参照して、ハーメチック端子絶縁体118またはそれに対応する金ろう付け122中に、クラック220またはその他の欠陥が生じている場合、体液(湿気)が閉じた電子的ハウジング内に進入し、あるいはもっと悪いことに心臓ペースメーカーのようなAIMDのハーメチックハウジグ内に進入するおそれがある。これらの端子を洩れ検出媒体としてのヘリウムを用いることによって検査することが従来技術においてよく知られている。しかしながら、関心があるのは本発明によるハイブリッド基板192のような付加素子の設置が一時的にヘリウムの流れを妨げるということにある。典型的には、ヘリウム洩れ試験は数秒間にわたって実行される。したがって、熱硬化導電接着剤210またはそれに類するものの連続的な被覆のような付加シーラントはいずれもこのような被覆を通過するヘリウムの流れを緩やかにする。したがって、本発明の好ましい実施例によれば、電気的アタッチメントのエリア間において、図54および図58に示すようなギャップを設けることが望ましい。こうしてハーメチック端子絶縁体118またはそれに関係する金ろう付け122、124中に何らかの欠陥220が存在する場合、ヘリウムは自由に流れて、洩れ検査装置によって検出される。ここに参考文献として組み入れられた米国特許第6,566,978号に記載されているように、ハイブリッド基板192を貫通するビアホールを効果的に配置することによって、ハーメチックシール検査の間にヘリウムが自由に流れるようにすることは当業者には自明である。
【0089】
図58を再び参照して、本発明の新規な特徴は、フラットスルー・キャパシタンスが能動型電極板176とそれを取り巻くアースされたシールド電極板194、194’との間に展開しているということである。このキャパシタンスはCおよびCp’で示される。このフラットスルー・キャパシタンスのキャパタンス値は、C=kA(η−1)/dによって与えられる典型的なキャパシタンス方程式に関係する。ここで、kは物質の誘電率であり、既に述べたように、図56に示される新規なハイブリット基板192は種々の異なる物質から形成され得る。例えば、ポリイミド物質の誘電率は3〜4である一方、アルミナセラミック物質は9〜11という高い誘電率を有する。チタン酸バリウムおよびチタン酸ストロンチウムのような誘電体は、5000以上の誘電率を有し得る。方程式中において、Aは有効キャパシタンス面積(ECA)である面積を表わす。これは能動型電極板176および対応するアースされたシールド板194、194’の面積間の挟まれたオーバーラップエリアによって計算される。フランジエフェクトを無視して、この面積を計算する簡単な方法は、単に挟まれたアースされたシールド板194、194’の間に形成される能動型電極板176の面積を計算することである。方程式において、ηはそれぞれの電極板の総数である。この場合、3枚の板194、176、194’が存在する。これは2つの寄生フラットスルー・キャパシタンスC、Cp’を生じさせるη−1を与える。誘電体厚dは単に194と176および176と194’を分離する誘電体の厚みである。フラットスルー・キャパシタンスC、Cp’の存在は、本発明による広帯域EMIフィルタリング性能にとって極めて重要である。このことは、図59の配線図を参照することによって理解される。フラットスルー・キャパシタンスC、Cp’・・・Cpnに加えて、能動型電極板176の長さ方向に形成される寄生インダクタンスが存在する。これはL、Lp’、Lで表わされる。能動型電極板176と隣接するアースされたシールド板194、194’との間に重なり合う有効キャパシタンス面積が大きくなればなるほど、寄生キャパシタンスCが増大することは当業者に明らかである。この場合、寄生インダクタンスは微少であり、実際フィルタリングには寄与しない。能動型電極板176の寄生インダクタンスはその長さおよびその幅の両方に比例するということは当業者にまた明らかである。言い換えれば、能動型電極板176の長さが長くなるほど、そのインダクタンスLは増大する。直列インダクタンスの存在は、これがシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190の全体的な高周波性能を改善するとき、非常に重要となる。この微少な直列寄生インダクタンスをより大きくするための方法を以下に説明する。
【0090】
図59を再び参照して、多くの位置において、シールド記号194〜194’”(ときどき「Sh」として表わす)が存在する。これはフラットスルー・キャパシタンスCおよび一般にMLCCキャパシタ142によって寄与されるキャパシタンスCからなる全アッセンブリがシールド板194の内部(その間に挟まれた状態で)に含まれる能動型電極板を有していることを示す。既に述べたように、これは非常に重要であり、高周波数における望ましくない電磁干渉は体液側を横切って分岐し、またはジャンプすること、そしてそれ故、電子装置またはAIMDのハウジング内に進入し、そして、敏感な電子回路を干渉することはできない。心臓ペースメーカーのようなAIMDに対するフィルタリングの重要性は、ここに参考文献として組み入れられた米国特許第4,424,551号、米国特許第5,333,095号および米国特許第5,905,627号に記載されている。この点で、本発明によるシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190は、従来のフィードスルー・キャパシタと同じ方法で動作し、このシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190は効果的なフィルタおよびエネルギー散逸素子であるだけでなく、そのアース電極板194はAIMDの電磁シールドされたハウジングまたはその他の等価なシールドされた電子回路の効果的な一部として機能する。
【0091】
図58を再び参照して、この構成において、インダクタンスは非常に小さな値を取るが、能動型電極板176が比較的長いことに起因して、相対的最大値を取るように設定され、比較的狭小である。また、フラットスルー・(寄生)キャパシタンスはCおよびCp’の並列結合の総和であり、能動型電極板176の大きな面積とそれがアースされたシールド板194、194’と重なり合うことによって達成される高ECAに起因して相対的に最大値を取るように設定される。フラットスルー・(寄生)キャパシタンスの総量をさらに増大させるための1つの方法は、図58中の層の数を増大させることである。モノリシック構造において、余分な層の数を繰り返し増大させることによって、キャパシタンス方程式のη−1項によるキャパシタンスを増大させることができる。フラットスルー・キャパシタンスの総量を増大させるまた別の方法は、有効キャパシタンスオーバーラップエリアECAを増大させ、誘電率を増大させ、または誘電体厚(d)を減少させることである。
【0092】
図2および図5に示され、図10に組立体として示された従来のフィードスルー・キャパシタンは非常に低インピーダンスの広帯域ローパスフィルタを形成する。これはそれらが一般にAIMDおよびその他の装置に対してリード線が出入りする位置に好ましいEMIフィルタを形成するという理由による。しかながら、フィードスルー・キャパシタは、一般に産業界においては、小さい体積中に組み込まれる。そのため、それらはより大きな体積のMLCCキャシパタと比べると、相対的に効果になりがちである。単一のフィードスルー・キャパシタが数ドルするということは異常である。この場合、MLCCキャパシタは数セントで提供され得る。くわえて、従来のフィードスルー・キャパシタはインピーダンス値が非常に小さくなりがちである(主として400〜4000ピコファラッドの範囲内にある)。このことは、従来のフィードスルー・キャパシタが25MHz以上の非常に高い有効周波数フィルタを形成するが、低周波数(5MHz以下)において、ほとんど減衰作用を生じさせないということを意味する。フィードスルー・キャパシタは一般に同じ値をもつMLCCキャパシタの100倍程高価である。しかしながら、図13を再び参照して、図18に示されるようなMLCCキャパシタおよびその高周波性能曲線に対してこれは広帯域ローパスフィルタを形成しない。一般に、MLCCはAIMDを備えた患者が被る高周波発生源を減衰させるという目的のためには、取るに足らないものであるが、あるいは不十分なものである。これは携帯電話、RFID、起動レーダ、電子レンジ等々を含む。図37とともに説明したように、1つの可能な解決法は、フラットスルー・キャパシタを用いることである。しかしながら、図40に示すようなクロスカップリングに起因する減衰の形成する劣化は重大な問題である。図37に示すような、従来のフラットスルー・キャパシタに関係する別の問題は、それが相対的に効果的であるということである。これは従来のフラットスルー・キャパシタが比較的小さな体積中に組み込まれるということが理由ではない。図37に示すように、付加的なフィードスルー端子222、222’に対して要求される付加的なコストが存在する。これらの付加された端子は自動的に形成することが難しく、重要な手作業およびそれに伴う付加的な労力を必要とする。フラットスルー・キャパシタ電極板176を図58に示すようなアースされたシールド板194、194’間に挟まれた分配寄生素子として組み込むことにより、多くの望ましい目標が達成される。とりわけ、フラットスルー・キャパシタを横切るクロスカップリングの問題が解決される。これはそれが完全にシールドされた構造内に含まれ、または挟み込まれるという理由による。したがって、高周波MIを本発明による新規なシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190を横切って結合させる如何なる方法も存在しない。加えて、回路基板に対する柔軟なケーブルが既にAIMDを含む従来の電子装置内において一般に用いられている。言い換えれば、如何なる付加的な構造も付け加えることなく、フラットスルー・キャパシタを埋め込んで、図58に示されるようなMLCCキャパシタ142(または付加的な素子)と結合させることができる。MLCCキャパシタ142は低周波減衰に対して有効であり、寄生フラットスルー・キャパシタンスCは高周波を減衰させるべく機能する。寄生キャパシタンスまたはフラットスルー・キャパシタンスは個々のMLCCキャパシタ142のキャパシタンスと並列的に機能する。個々のMLCCキャパシタ142はキロヘルツレベルの周波数10GHzまたはそれ以上の周波数までの非常に有効帯域の広い広帯域ローパスフィルタを生じさせる。このことは、図59に示した配線図にすべてまとめられている。シールド194〜194nは全フラットスルーが高周波シールド板の間に挟まれて、高周波EMI信号が能動型電極板176から再輻射し得ないようになっていることを図示している。これは非常に重要な概念である。望ましくないEMIエネルギーがアースに分離されるまでそれは電子装置またはAIMDの電磁シールドされたハウジングの全体の内部にシールドされない状態で留まることはできない。もし、シールドされない状態で留まっていれば、このような高周波ノイズは敏感なAIMD検知回路内にクロスカップルし得る。例えば、心臓ペースメーカーがこのような高周波ノイズを心拍として検知した場合、ペースメーカーはそれに依存する患者の生命を脅かすものとしてそれらをブロックする。
【0093】
図60は、既に図58において番号176で示した電極層の別の例を示した図である。図60を参照して、図58の分解された能動型電極層176を除去したものを想定し、それを能動型電極板176’に置き換えなければならない。能動型電極板176はそれ自体既に図58で示したものとそれほど異なるものではない(その表面積はわずかに小さい)。相違点は、アースされたシールド配線224が、同一面上において能動型電極板176’のまわりに堆積されていることである。能動型電極板176と同一面上でまわりを取り巻くアースされたシールド配線224の目的は、能動型電極板176’の同軸シールドを助けることにある。能動型電極板176’は、アースされたシールド板194、194’の間に挟まれており、これは、能動型電極板176’が上下端および両側においてシールドされていることを意味する。任意のエッジシールド224を付け加えることによって、シールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フイルタ190からの高周波のエッジ輻射が妨げられる。
【0094】
フラットスルー・キャパシタのフィルタ性能は、付加的なローパス回路素子によってさらに改良され得る。図61を参照して、能動型電極板176”はホイーラースパイラルインダクタ素子158を付け加えることによって変形される。ホイーラースパイラルインダクタは従来技術においていろいろな他のアプリケーションによく用いられている。ホイーラースパイラル設計方程式がまた、既に利用可能である。スパイラルインダクタ回路配線158は能動型電極板176”に実質上直列なインダクタンスを付け加え、フラットスルー・キャバシタンスオーバーラップ面積(ECA)を増大させる。図61において、広い能動型電極板面積176”を得ることによって、既に述べたような寄生フラットスルー・キャパシタンスを最大化する。言い換えれば、158のインダクタ回路配線と能動型電極板176”との間の増大した全有効オーバーラップエリア(ECA)は、それらが2枚のアースされたシールド板194、194’との間に挟まれたとき、フラットスルー・キャパシタンスC、Cp’を著しく増大させる。EMAフィルタ設計の分野において、回路に直列接続されたインダクタがアース側へのキャパシタンスに置き変えられるとき、これはLセクョンローパスフィルタとして知られる。図61のLセクションフィルタに対する配線図が図62に示される。
【0095】
図62を参照して、スパイラルホイーラーインダクタ158が能動型電極板176”に直列に接続されている。能動型電極板176”はフラットスルー・寄生キャパシタンスCおよびMLCCキャパシタ142の両方に並列に接続されて、L型フィルタを形成する。寄生キャパシタンスCは分配素子であって、回路の全体にわたって示されなければならないという事実は図62には示されていない。したがって、図62に記載のものは、高周波モデルが分配された伝送線からなるような比較的低周波数のモデルとして考えられるべきである。
【0096】
図63は、本発明による4極フィルタフィードスルー・アッセンブリを示した図である。図63に記載のものは、既に図54、56、58に示した単極の装置と非常によく似た構造を有している。図63において、多数のアースされたシールド板194、194’、194”が存在する。それに関係するビアホールは当業者に自明である。
【0097】
能動型回路電極層226、228がアースされたシールド板の間に挟まれている。フラットスルー電極回路176、176’は、電極回路配線層226上に含まれる。既に述べたように、寄生キャパシタンスまたはフラットスルー・キャパシタンスは、両側のECAオーバーラップエリアによって形成される。アースされたシールド板194、194’の間隔は、それらが離れすぎないようにすべきであるという点、または高周波の洩れが、フラットスルー電極板176、176’から外側エッジを通じて再輻射される電磁干渉信号によって発生し得るという点において重要である。この高周波の洩れは図54の単極の構成において金属被覆面208によって外側を覆うことによって防止される。このことはまた、図64に示すように、多数の導電体で満たされたビアホール230を通じてスティッチすることによって達成され得る。図64は、図53のアースされたシールド板194〜194”の変形例を示した図である。周辺の至る所において、そして内部においてさえも、複数のスティッチングバイアス230またはアースバイアスが存在する。このスティッチングバイアス230の目的は、マルチポイント低インピーダンス構造中において、3つの(またはη個の)アースされたシールド層194〜194”を互いに電気的に接続することにある。これらのスティッチングバイアスは、この積層された、サンドイッチ構造を横から見たときに、それらが有効長を減少させるという別の非常に重要な目的を生じさせる。導波管のカットオフ周波数がその幾何学的構造に関係していることは、導波管技術の分野では一般原理である。四角形断面の導波管に対し長さ対幅の比は非常に重要である。長さを短くすることによって導波管が電磁信号を通過させ始める周波数が著しく増大する。したがって、多数のスティッチングバイアス230を含めることによって、サンドイッチ構造が5〜10GHzの範囲に達するエッジ再輻射に関する高周波シールドを維持することが補償される。このことは、AIMDに対して要求される有効フィルタリング周波数以上においても良好に機能する。AIMDに対するより高い周波数は、専門家によれば3GHzと規定されている。3GHz以上の減衰がAIMD、EMIフィルタに対して要求されない理由は、非常に短い波長における人体組織の反射および吸収に関係している。したがって、電磁的フィルタは3GHzまでにおいて非常に有効であるべきであるが、それを越える周波数においてはその必要はない、ということが埋め込み医療装置ENCの技術分野において一般に受け入れられている。このことは、公表されたANSI/AAMIスタンダードPC69において言及されている。
【0098】
図63を再び参照して、多重層nが積層されることは当業者に自明である。この理由は2つある。すなわち、能動型電極板176nとそれを取り巻くアースされたシールド板194nとの間に形成されるフラットスルー・キャパシタンスに対する有効キャパシタンス面積(ECA)を増大させるため、そしてまた、付加的な余分な電極を並列接続することによって、能動型回路電極板の電流処理能力を増大させるためである。これは能動型電極の直列抵抗を減少させ、それと同時に、それらの電流および電力処理能力を増大させる傾向にある。
【0099】
図64を再び参照して、多重バイアス230に対する別の目的は、柔軟なハイブリッド基板192の機械的一体性を向上させることである。多重バイアス230を適用するとによって、前記構造が壊されることがほとんどなくなる。これを達成するための別の方法が図65にスロットパターン232を使用することによって説明される。
【0100】
図65において、多数のスロット232が存在する。これらのスロットは多数のエリア内に配置され得る。スロット232は一般にビアホールが充填されるのとは異なり、充填されない。しかしながら、スロットによって接着層が金属被覆された電極シールドを通って接続することを可能にする。例えば、典型的なポリイミド製の柔軟なケーブル構造において、ポリイミドの多重層がアクリルバインダによって積層される。こうして、スロット232を設けることによってアクリルバインダはその下側に位置する基板材料234に接着し得る。
【0101】
図65を参照して、本発明においては、スロット232を能動型電極電流の方向に整列させることで、蛇行経路が電流に対して形成されないようにすることが好ましい。これはまた、アース板の誘導的な一体性を維持する傾向がある。例えば、本発明によるシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190が心臓ペースメーカーのリード線の入る位置において使用される場合、能動型電極板はペースメーカー動作パルスを導通し、かつ生物学的検知信号を導通するために損失を小さくするようにしなければならない。言い換えれば、現在の心臓ペースメーカーは心臓の電気的な活動を能動的に検出しかつモニタする。低損失の能動型電極に対する1つの目的は、AIMDバッテリの節約である。幾人かの患者はペースメーカーに依存しておらず、それは彼らが自己の心臓の動悸が非常に低くなり過ぎたときのような、一定の危険な自体にのみペースメーカーを必要とするということを意味する。したがって、ペースメーカーの電子回路は常に心臓をモニタする。ペーシングパルスが必要とされるとき、ペースメーカーが起動し、適当な心臓組織に対して埋め込まれたリード線を通じてペーシングパルスを供給する。ついで、刺激パルスが心臓にその自然なサイン波のリズムを送る。したがって、図63の層226、228に示されるような能動型電極板は、相対的に損失が小さいものであることが非常に重要である。すなわち、能動型電極の抵抗はペーシングパルスまたは検知信号が著しく減衰せしめられるような高いものであってもならない。
【0102】
図66は、金属被覆された電極シールド内に多数の穴236を設ける方法を示した図である。これらの多数の穴236は既に図65で説明したスロット232と同じ目的を有している。
【0103】
図67は、既に図63に示した能動型電極層226に対する別の構成を示した図である。図67において、この層226’は図63の層226と置き換えられていることがわかる。
【0104】
図68は、図63のシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190を従来のフィードスルー・キャパシタおよび従来のMLCCと比較した減衰対周波数のグラフを示したものである。従来のフィードスルー・キャパシタを、本発明のMLCCキャパシタおよびシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190と比較したとき、著しい相違が存在する。図68において、フィードスルー・キャパシタおよびMLCCは等しいキャパシタンス値を有している。シールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタのキャパシタンス値は著しく小さい。フィードスルー・キャパシタはSRF1として示される微少な自己共鳴へこみを示す。フィードスルー・キャパシタは、このタイプの自己共鳴を通過した後、非常に効果的な広帯域フィルタとして機能し続けるという点で非常にユニークである。従来のMLCCキャパシタは、これとは反対の特性を有する。しかしながら、MLCCキャパシタは、実際、自己共鳴周波数SRFでは別のキャパシタとして機能するが、自己共鳴周波数SRFを越える周波数においては、減衰対周波数が減少する位置で急激に誘導的になる。このことは、携帯電話のような高周波発生源が適当に減衰されないときは、あまり望ましいものではない。本発明によるフラットスルー・キャパシタンスは寄生キャパシタンスであり、比較的低いキャパシタンス値を有する傾向がある。それは、その有効3dBポイント(またはそれが有効なフィルタになり始めるポイント)が比較的高周波数であることを意味する。この場合、3dBポイントは約1000MHzである。図63の構成によれば、MLCCキャパシタ共鳴曲線をフィードスルー寄生曲線に結合したとき(これらの2つのキャパシタンスは並列状態で加えられる)、図68はコンポジットまたは付加された共鳴減衰曲線を示す。この曲線は、能動型電極176に対し図59に示された並列な容量的素子のすべてを加えることを意味する(寄生インダクタンスLは非常に小さい値となるので、それらは無視され得る)。この実線の複合曲線を従来のフィードスルー・キャパシタの曲線と比較すると、従来のフィードスルー・キャパシタは1000MHz以上の周波数においてこの複合曲線から逸れることがわかる。このことは、フラットスルー・寄生キャパシタのキャパシタンス値を増大させ、それによって、より低い周波数において動作し始めることは当業者に明らかである。寄生キャパシタのキャパシタンス値を増大させるための有効な方法は、周囲を取り巻く誘電体の誘電率を増大させることである。図63の誘電体基板層226、228は、例えば、チタン酸バリウムまたはチタン酸ストロンチウムのような高誘電率kを有する誘電体を絶縁基板物質234として用いることを意味している。これは誘電率(k)を2000以上の領域まで増大させる。したがって、フラットスルー・キャパシタンスの値は非常に大きくなり、その結果、MLCCキャパシタンスを含ませることすら必要でなくなる。同じことを達成するための別の方法は、既に述べたようなポリイミドまたはカプトンを用いる柔軟なケーブルを適用することである。これに伴う問題は、これらの物質の誘電率が比較的小さい(典型的には、10以下)ことである。しかしながら、これを解決するための1つの方法は、能動型電極板176およびそれを取り巻く挟まれたアースされたシールド板194、194’のオーバーラップエリアにおいて有効にキャパシタンス面積を増大させること(および/または誘電体厚dを減少させること)である。
【0105】
図69は、既に図63に示したものと類似の本発明による4極ハイブリッドEMIフィルタの分解図である。図69において、図63の回路層226、228は、インダクタ配線158〜158’”を付加されている。これらのインダクタ配線は、能動型電極板176〜176’”の一部としてそれに直列に接続されている。大抵、1つのインダクタパターンが選択され、そして、それに留められることは当業者によく知られている。例えば、電極板176には、四角形状のホイーラースパイラルインダクタ158が存在する。電極板176’には、例えば、図74に示したものを含む多くのパターンのうちの1つを有する蛇行インダクタ158’が存在する。電極板176”および176’”には、丸みを帯びた形状のホイーラースパイラルインダクタ158”、158’”が存在する。同一面上のインダクタを能動型電極板に直列に接続した状態で埋め込むことによって、現実的に付加的な費用のかからない構成とすることができる。この理由は、典型的に柔軟なケーブルまたは硬い基板を製造するために用いられる製造方法に関係している。すなわち、ソリッドメタル層はメッキまたはその他の金属被膜製造ブロセスによって全表面にわたって積層され、次いで、絶縁体がシルクスクリーンまたはそれに類似のプロセスを用いてその上に積層される。その後、化学的堆積法が用いられることによって、望まれた電極パターンを除いたすべての金属が除去される。したがって、一旦1つのステップが実行されると、図69に示すようなインダクタ素子158〜158’”を付加することは極めて低コストであり、非常に容易である。図69に示すようなインダクタを付加することの利点は、ローパスEMIフィルタを単一の素子から製造し、デュアルエレメントL型ローパスフィルタとして知られたものを形成することを含んでいる。デュアルエレメントフィルタはより急角度に傾斜した減衰曲線を有し、それ故、より効果的である。図69に示すようなインダクタ構造を付け加えることから生じる別の利点がまた存在する。これをすることによって、ECA、そしてそれ故、寄生フラットスルー・キャパシタンスを同時に増大させることができる。したがって、能動型電極板に直列接続されたインダクタンスおよびアースに並列接続された寄生キャパシタンスからなる非常に有効な分配フィルタを用いることで、目的が達成される。
【0106】
図70は、能動型電極配線層226”、228”が選択的な周囲を取り巻く同一面上のアースされたシールド224を付加された点を除き、図69によく似た図である。この周囲を取り巻くアースされたシールドは、図60で既に説明された基板エッジからの再輻射を防止する機能を有する。しかしながら、図70の実施例が図69の実施例と異なる点は、選択的な同一面上のアースされたシールド224’がまた、能動型電極配線176および能動型電極配線176’の間と、能動型電極配線176”および能動型電極配線176’”との間の層226”、228”上に配置されていることである。例えば、図70の層226”を見れば、同一面上のアースされたシールド224’は回路配線176と回路配線176’との間に配置されている。これは隣接する回路配線176、176’間のクロストークを防止することが重要である場合に用いられる。例えば、これは人工内耳において、隣接するチャンネルからの妨害ノイズの影響を受けずに、聴神経を刺激する各デジタルまたはアナログ音声チャンネルを維持するために重要である。これは特に、回路電極176、176’がその上に配置される誘電体層226”が高誘電率の誘電体からなっているときに、特に重要である。高誘電率の誘電体を用いることによって回路電極層176、176’間に生じる寄生キャパシタが増大する。同一面上のアースされたシールド配線224’の存在によって隣接する回路配線間のクロストークが防止される。クロストークシールド224’は、図7に示すように、周囲を取り巻くエッジシールド224を備えていてもよいし、備えていなくてもよい。クロストークシールド224’はまた、特定のシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190のすべてに使用される必要はなく、クロストークが隣接する回路間において注目されるような層内においてのみ必要とされる。言い換えれば、クロストークシールド224’は層226”上において用いられるが、層228”上では必要とされない。特定の基板層において、能動型電極(および選択的なクロストークシールド)の個数は(図70の176および176’のように)2個に制限されず、任意の個数nであってよい。
【0107】
図71は、既に図70に関して説明した4極シールド3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190の別の実施例を示した図である。図70と図71との差異は、絶縁接着ウォッシャ200によってハーメチック端子112に結合されたフィードスルー・キャパシタ132の付加である。フィードスルー・キャパシタ130には、従来よりよく知られており、非常に有効な高周波フィルタリングをもたらす。図71はこれらの従来のフィードスルー・キャパシタが本発明による新規なシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタと組合わせて使用され得ることを示している。好ましい実施例によれば、図71に示した構造は、MLCCキャパシタ142〜142’”の除去を可能にする(または、それらはより高い値をもつMLCCキャパシタ、フィルムチップキャパシタ、タンタルキャパシタ等々によって置き換えられる)。言い換えれば、ハイブリッド基板電極のフラットスルー・キャパシタンスと組合わせられたフィードスルー・キャパシタ132から十分なキャパシタンスが生じ、それによって、付加的なフィルタリングが高周波減衰(100MHz以上の)に対して要求されることはほとんどない。しかしながら、極端に低い周波数でのフィルタリングが望まれる場合、図71に示すようなモノリシックセラミック・フィードスルー・キャパシタがシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ、および面に取り付けられた高キャパシタンス値をもつタンタルキャパシタとともに使用される。これによって、キロヘルツオーダーの周波数範囲から10GHzオーダーの周波数範囲にわたって有効なフィルタがもたらされる。AIMDへの応用に関して、これは電子式商品監視(EAS)ゲート、または低周波RFIDレーダ(125〜132kHzまたは13.56MHzの範囲内における)から生じるような低周波発生源のフィルタリングにとって非常に重要である。これらのEASゲートは、心臓ペースメーカーをもつ患者を含む人間が小売店から出ていくときに一般に出くわす装置である。これらは、例えば、盗みを防止するために商品に付されたタグを検出する。1つの共通のシステムが58kHzで動作するセンサによって製造される。これらのEASゲートがペースメーカーおよびICDに干渉し得ることが、多数の出版物を通じて公表されてきた。本発明は、図71に示すように、58kHzからGHzオーダーの携帯電話周波数に至るまでの信号を減衰させるのに有効である。
【0108】
図72は、図69の丸みを帯びた形状のホイーラースパイラル158”、158’”の平面図である。
【0109】
図73は、既に図69で示した四角形状のホイーラースパイラル158によく似た四角形状のホイーラースパイラルの平面図である。
【0110】
図74は、幾つかの典型的な蛇行形状のインダクタ158’を示した図である。異なる種類の多くのインダクタ形状が同一面上の基板層に直列に、そして、本発明によるシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190の能動型電極板176の付加分の一部として容易に積層され得ることは当業者に明らかである。
【0111】
付加的な素子をローパスフィルタに付加することの利点が図75に示される。図75は、種々のタイプのローパスフィルタに対する減衰曲線を示すグラフである。例えば、典型的なMLCCキャパシタ曲線が示されている。この図からMLCCは自己共鳴SRFを通過し、その後、周波数に対して直線的に減衰する(MLCCは次第に誘導的となる)。しかしながら、シールドされた3端子フィードスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタに関しては、10GHzに至るまでのすべての周波数にわたって広帯域のフィルタ性能を達成している。単一の素子またはC型フィルは10毎に20dBの減衰勾配を有している。L型フィルタにおいて示されるように、これに対して直列インダクタを付加したとき、減衰勾配は10毎に40dBを増加する。フィルタをπ型またはT型にする第3の素子の付加によって減衰勾配は10毎に60dBずつ増大する。LL1またはLL2として示されるダブルL型にすると、これはインダクタが体液側に向かってまたは外側に対してポイントになることを意味するが、減衰勾配を10毎に80dB増大させる。こうして、任意の個数の素子を付加することができる。例えば、5素子型フィルタは減衰勾配を10毎に100dB増大させる。任意の個数の素子を付加することができるということは当業者には自明である。
【0112】
再び図69を参照して、ここに示される構造は図62に示されるように、L型回路としての電気配線を有している。このL型回路のキャパシタンスはインダクタ158から形成されたECAを含む能動型電極板176とそれに対向するアースされたシールド194、194’の間との間に形成される寄生フラットスルー・キャパシタCpの総和からなっている。図62のMLCCキャパシタ142はハイブリッド基板192の面上に取り付けられたキャパシタ142〜142’”の表面を表わす。MLCCキャパシタはその共鳴周波数まで有効である。しかしながら、それはフラットスルー・キャパシタンスがL型フィルタに対して図75に示すような比較的滑らかな曲線を生じさせる場合である。L型フィルタは逆転させることができるということは当業者に自明である。言い換えれば、インダクタスパイラルは既に図61、62に示したような体液側に向き合うように設計され、かつキャパシタの他方の側に配置される。加えて、新規なハイブリット基板192の内部には多数のインダクタが配置されて、π型、T型、LL型、または5素子型またはN型回路を形成することは当業者に自明である。それ故、本発明は、従来技術において既によく知られた従来のローパスEMIフィルタ回路を構成するための新規な方法を含んでいる。言い換えれば、フィードスルー・キャパシタ、L型フィルタ、π型フィルタ、T型フィルタおよびLL型フィルタは、既によく知られている。しかしながら、フラットスルー・キャパシタンスがアースされたシールド194、194’の内部に埋め込まれることは、発明者が始めて提案するものである。
【0113】
図76は、既に図68で示したものと類似の一群のフィルタ減衰曲線を示したグラフである。図76において、3dBのカットオフポイント、あるいはシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタのフラットスルー曲線(C)が有効に始めるポイントは、実質上周波数の低い側寄り(グラフの左側)に移動していることがわかる。この場合、その3dBポイントは約40MHzである。加えて、それは今やL型フィルタの一部を形成しているので、その減衰勾配の傾斜率は10毎に20〜40ずつ増加する。図76において、参照フィードスルー・キャパシタ曲線はMLCC曲線と同様に変化しない(これらの曲線は個々の素子比較曲線にすぎない)。しかしながら、シールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ基板に表面取り付けされたMLCC曲線を能動型電極フラットスルー・曲線に加えた複合曲線は、実質上改善されている。すべてのポイントにおいて、表面取り付けされたMLCCを伴ったシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタの複合曲線は、参照された従来のフィードスルー・キャパシタからずれる(それらよりも高い減衰和生じさせる)。多くの場合、改善のなされた程度は非常に実質的である。例えば、1.5テスラ装置に対して64MHzであり、3テスラ装置に対して128MHzであるMRI周波数において、10〜20dBを越える改善が生じている。これは能動型埋め込み医療装置をMRIスャンの間の干渉から保護するために極めて重要である。
【0114】
図77は、本発明による2極ハーメチックシールハイブリッド基板フィルタ190を示した図である。
【0115】
図78は、図77の78−78線に沿った内部層の分解図である。能動型電極板176、176’において、四角形状のホイーラースパイラル158、158’が拡大して描かれている。アースされたシールド板194〜194”が適切なEMIシールドおよび高周波アースを形成するためには、それらは導電体210〜210’を通じて図77に示したハーメチックシール112のフェルール120の金ろう付けリング124にアースされていることが本質的である。AIMDに関してフェルール120は典型的には、チタン、ステンレス鋼または適当な非腐食性物質から形成される。不幸にも製造工程または継続的使用の間に、チタンは望ましくない酸化物を形成し得る。これらの酸化物は、絶縁体または半導体として機能し得る。この酸化物に電気的素子が取り付けられると、望ましくない回路の振る舞いが引き起こされ得る。ローパスEMIフィルタの場合、これはEMIフィルタ性能の劣化を引き起こし得る。したがって、接続は酸化されない面に対してなされることが本質的である。図77に示されるような金ろう付け124の存在によってこのような取付に適した便利な酸化されない面が形成される。この金ろう付けへの取付は、ここに参考文献として組み入れられた米国特許第7,038,900号および米国特許第7,310,216号に記載されている。
【0116】
図77において、金属被覆バンド222と金ろう付け物質124とを接続する導電体210”が存在する。その反対側には、金属被覆バンド222’と当該金ろう付け物質とを接続する同様の導電物質210が存在する。ハイブリッド基板192の左側において、導電体210はまた、金属被覆バンド208および当該金ろう付け物質124とから接続される。また、これは図78の分解図においてアースされたシールド層194〜194”に対する電気的コネクタ210〜210”を見ればわかる。この場合、これは本発明に対する適切な(しかしながら、理想的ではない)高周波アースを形成する3端子アース系として知られている。これらの電気的取付210〜210”の間の距離が近ければ近いほど、より良好な結果が得られる。これはアースされたシールド板194〜194”に対する接触面積が増大するに連れて、電気的インピーダンスが減少し、よって、それらのシールド効果が特に高周波領域において改善されるという理由による。
【0117】
図79は本発明によるハイブリッド基板192の別の実施例を示した図である。この場合、ハイブリッド基板192は分解図に示されるように、ハーメチックシールアッセンブリ112のフェルール120内に部分的に挿入される。図示のように、便利なワイヤボンドまたは電気的接続パッド139〜139””が存在する。この場合、パッド139””はアースパッドであり、パッド139〜139’”は回路コネクタである。既に述べたように、MLCCキャパシタ142〜142’”は、(図示されない)アースされたシールド板に対して内部的にバイアスを通じてシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ(図示されない)能動型電極板から接続する。既に述べたように、十分なフラットスルー・寄生キャパシタンスがハイブリッド基板192の内部に生じていれば、MLCCキャパシタ142〜142’”は必要とされない。また、選択的な埋め込まれたホイーラースパイラルインダクタ158が存在する。これらのうちの1つは、既に述べたように、MLCCキャパシタ142〜142’”をそれぞれに直列接続される。シールドリング242が設けられて、レーザ溶接、ろう付け、はんだ付けまたはそれに類するものを通じてフェルール120に接続される。このことは重要であり、それによって、電磁的な干渉は直接絶縁体118を貫通することができず、電子装置の内部に再輻射されることもない(ハーメチック絶縁体は心臓ペースメーカーのチタン製電磁シールドハウジングの穴を形成する)。シールドリング242はビアホールに対するはんだ付けを通じてシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ構造のアースされたシールド板に接続される。接続パッド240〜240’”はリード線114〜114’”に電気的に接続される。
【0118】
図80は、図79の部分拡大図である。この場合、リード線114”、114’”は典型的にはリード線保持ブロック240”、240’”に溶接され、またはろう付けされ、またははんだ付けされる(244、244’)。また、ハーメチックシール112のフランジ120の内側に選択的な電気的コネクタ246、246’が存在する。この電気的コネクタは、ハイブリッド基板192の(図示されない)アースされたシールド板に接続する。導電体246、246’はチタン製フランジ120に接続するだけでなく、金ろう付け124に密接に接続し、それによって、高周波特性を補償するための酸化されない電気的接続が形成される。図80において、外部シールドリング242が除去され、そして、金属被覆層247によって置き換えられている。金属被覆エリア247は絶縁体118を覆う円周リングを形成しており、それによって、ハーメチックシール112を通してのEMIの再輻射が防止される。
【0119】
図81は図79および図80の4極ハイブリッドEMIフィルタの配線図である。図81はL型ローパスフィルタを示した図である。
【0120】
図82は、本発明によるインラインハイブリッド基板192を示した図である。この場合、既に詳細に説明した(図示されない)アースされたシールド板が存在する。電気的取付200〜210””からなる金ろう付け124に対する多数の電気的接続点が存在する。この場合、背中合せに配置されたMLCCキャパシタ142と(ツェナダイオードとしても知られる)電圧抑止ダイオード248が並列に組み込まれている。このことは、図83に示した配線図を参照することによって最もよく理解される。(左側の)AIMDの体液側の電子モジュールの外側から出発して、EMIが進入するとき、それはまず本発明のシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタの新規な貫通電極によるフラットスルー・キャパシタンスCにまず出くわす。ついで、図83の右側に移って、当該EMIは典型的には、ハイブリッド基板192の能動型電極板内に含まれる(図示されない)埋め込まれた同一面上のホイーラースパイラルインダクタからインダクタンスL1に出くわす。その後、当該EMIはMLCCキャパシタ142および高電圧抑止ダイオード248の並列接続に出くわす。さらに、電気的接続パッドA〜Fに達する前に、ハイブリッド基板192内に埋め込まれた別のインダクタ(任意の)L1と付加的なフラットスルー・キャパシタンスCp’が存在し得る。
【0121】
再び図82および図83を参照して、例えば、インダクタL1a、L2aのようなインダクタは、四角形または丸みを帯びた形状のホイーラースパイラルまたは既に説明した別の蛇行形状を有するいずれかのものから構成され得る。図83は、非常に有効な5素子型ローパスフィルタを示した図である。
【0122】
図84は、本発明による新規なハイブリッド基板192の変形例を示した図である。シールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190はハイブリッド基板192を含んでいる。ハイブリッド基板192は2つの部分192’、192”に分かれている。部分192’は相対的に小さい断面積の柔軟なケーブルからなり、それ故、非常に柔軟性に富んでいる。部分192”と同一または類似のものから形成され得る(または、それは柔軟な部分192’が接続される硬い基板から形成され得る)がしかし、その厚みは、従来技術において硬いケーブル表面として知られるものを形成するまで積層される。この硬い部分192”はポリイミド、カプトンまたはそれ以外の典型的な柔軟なケーブル構造から形成され得る。これはセラミックまたはFE4基板またはそれに類するものを含む硬い多層基板、または多層回路基板の一部をなしていることはまた当業者に自明である。柔軟なケーブル部分192’は典型的には通信、家電製品、軍事または宇宙空間的応用において使用されるようなAIMDまたはその他の電子装置のハーメチックシール112のピン114〜114’”上を滑り落ちるように設計されている。ハーメチックシール112は非ハーメチック端子またはプラスチック端子を含む任意のタイプの端子からなり得る。本発明は、任意の電子的アッセンブリまたは任意のリード線が電子的アッセンブリ、そのサブアッセンブリまたはハウジングに出入りするポイントに適用可能である。ハーメチックシール112の端子ピン114〜114’”への取付およびアースピン196への取付の方法が、以下に図面を参照して説明される。
【0123】
硬い部分192”を参照して多数個の受動型的または能動型的面取付電子素子が取り付けられ得る(それらはまた、埋め込まれ、従来技術において多層基板構造として知られたものを形成する)。この特定の場合において、図84のハイブリッド基板192は、おそらく能動型埋め込み医療装置の内部の集積回路またはマイクロチップ252を備えた回路基板250のランドへの容易な接続のための便利なリード線204〜204’”、196を備えている。回路基板250は、本発明の一部を構成しないが、本発明がそれに接続され、干渉し得るという点で重要である。
【0124】
図85は、アレイDが受動型的または能動型的RFIDチップのいずれかに置き換えられている点を除き、図84に非常によく似た図である。好ましい実施例によれば、これは低周波受動型RFIDチップからなり、典型的なAIMDのチタン製電磁シールドまたはその他のEMIシールドされた電子装置を容易に貫通し得る周波数で動作する。好ましい実施例によれば、RFIDチップは、125〜135kHzの国際標準化機関帯域において動作する。RFIDチップは、AIMDのモデルナンバー、シリアルナンバーの識別、重要な患者またはインプラント施術者情報、およびそれに類するものを含む多数の異なる目的のために用いられる。この点に関し、ここに参考文献として組み入れた米国特許出願公開US2006−0212096A1を参照されたい。
【0125】
図85に示したRFIDチップは、シールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタの能動型電極に取り付けられるだけでなく、電気的に接続される。受動型RFIDチップに対しては、如何なる電気的接続も必要とされない。言い換えれば、外部送信機/読取機が用いられたとき、強力な電磁場がRFIDチップ内のアンテナを励起させ、そのマイクロチップを作動させて、応答パルスを送信させるための受信電力を自動的に使用する。しかしながら、別の実施例では、図85に示されるように、RFIDチップはシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタの内部に埋め込まれた電力回路に電気的に接続され、それによって、AIMDの内部バッテリから電力供給を受ける。この場合、それは能動型RFIDチップとして知られている。能動型(電力供給を受けた)RFIDチップを用いることによって、より多くの敏感な受信回路を具体化することができ、より多くの強力な応答パルスを送信させることができる。また別の実施例では、図85に示したRFIDチップはAIMD高周波テレメトリー回路に対する起動手段として用いられ得る。
【0126】
過去において、ペースメーカーおよびICDおよび神経刺激器テレメトリーは、密接に連結された電磁コイルによって実行されていた。この従来技術において、典型的には、AIMDは当該AIMDのチタン製ハウジング内部に多数回巻線アンテナを有していた。このタイプの外部ループアンテナを用いるAIMDさえ存在していた。AIMDを再プログラムするため、物理学者または医師は、その内部に埋め込まれた類似のアンテナを備えたペン型スキャナをAIMDに近接させる。例えば、典型的なペースメーカーへの応用に関して、テレメトリーペン型スキャナは外部プログラマーに接続されたワイヤを使ってインプラント上に直接配置される。医師は、ペン型スキャナをスイートスポットが見つかるまであちこち動かす。このとき、外部プログラマーは能動的状態にあり、電気記録図およびその他の重要な情報がディスプレイ表示される。典型的には、ペン型スキャナは患者の皮膚表面に直接置かれ、またはせいぜい数センチ離れて配置される。近年、非接触高周波テレメトリーが次第に一般化されつつある。この場合、例えば、心臓ペースメーカーに対して、(EMIシールドされたチタン製ハウジングの外側)にAIMDのプラスチック製ヘッダーブロックの内部に埋め込まれた高周波アンテナが存在する。このアンテナは外部の高周波送受信プログラマーと通信する。このような通信のための典型的な周波数帯域は402〜405MHzである(MICS帯域として知られる)。別の装置が非接触高周波テレメトリーに対するより高い周波数を使用する。このような非接触テレメトリー回路に伴う1つの問題は、常時受信回路がエネルギーを消費していることである。従来技術において、ザーリングチップとして知られた1つの方法が存在する。ザーリングチップは(GHz帯域の)より高い周波数を使用し、より低い周波数の高周波テレメトリー回路を起動させる。より高い周波数はより効果的である。がしかし、装置またはチップは依然としてその起動コールを常時監視するためにAIMDバッテリから大量のアイドリングエネルギーを消費する。これの二者択一的な選択肢として、受動型RFIDチップが起動手段として用いられるような本発明の構成が存在する。このRFIDは本発明によるハイブリッド基板192に組み込まれ得る(またはAIMDのハウジングの内側または外側のいずれかの場所に取り付けられ得る)。好ましい実施例によれば、外部高周波プログラマーは低周波RFIDリーダーを組み込み得る。低周波RFIDリーダーは、AIMDのチタン製ハウジングを貫通する信号を送信し、埋め込まれたRFIDチップを起動させる。RFIDチップの回路は、AIMDの内部に含まれるテレメトリー回路に接続される。例えば、ペースメーカーの場合、外部プログラマーはRFID信号を起動コールとして送信して、テレメトリー受信回路を作動させ、それによって、ペースメーカーは外部プログラマーと通信する。
【0127】
図86は、図84に非常によく似た図である。この場合、トロイダルインダクタL3〜L3’”は表面取付チップインダクタの代わりに用いられている。チップインダクトはそのインダクタンス値および定格電流が小さい。チップインダクは2つの主要形態、a)フェライトコアを有するもの、およびb)フェライトコアを有さないものの形態を有している。磁気共鳴イメージングへの応用に対してMRスキャナの主要静電場によって飽和したときにフェライト物質を除去することが通常望ましい。この点については、米国特許出願公開US2007−0112398A1および米国特許第7,363,090号を参照されたい。これらの文献の内容をここに参考文献として組み入れる。図86において、トロイダルインダクタL3’はそのまわりに多数回巻線Wを備えたフェライトコアTCを有している。これは非常に大きなインダクタ値を生じさせる。しかしながら、上述したように、MRI環境においては、インダクタンスはフェライト素子TCそれ自体の飽和によって非常に小さい値まで減少する。フェライト素子が永久的な残留を示さないように選択されることが本発明の1つの特徴である。すなわち、一旦装置が磁気共鳴(MR)スキャナから除去されると、磁気双極子はその散乱状態に復帰し、インダクは予め意図されたように動作し続ける。トロイダルインダクタL3’〜L3’”の目的は、ローパスフィルタに対して非常に高いインダタンス値を与えることによってその3dBカットオフ周波数が非常に低い周波数になるようにすること(例えば、ESゲートに対して1MHz以下、あるいは58kHzを低下させること)にある。実際、インダクタチップは協力な鉄またはフェライトトロイダルコアを有するような大きな値の巻線インダクタからなっていることは当業者に自明である。MRスキャナにおいて、電磁場環境は非常に厳しい。がしかし、その特性はよく知られている。例えば、1.5テスラスキャナに対して高周波パルス場は64MHzで存在する。したがって、シールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタは、その寄生フラットスルー・キャパシタがMLCCキャパシタCとともに64MHzで十分な減衰をもたらし、それによって、AIMDがEMIの影響をうけず、MRスキャナ中において安全に動作する。したがって、トロイダルインダクタ156のコアが飽和すること、そして、低周波フィルタリングがMRスキャンの間、利用不能となることは重要ではない。明らかに、MRスキャナ中の人間は小売店から出ていくときに典型的に見られようなERSゲートまたはRFID読取機に出くわすことはほとんどない。重要なことは、患者がMRスキャナから出された後、トロイダルインダクタ(またはフェライトコアまたはフェライト層を備えたチップインダクタ)が永久的な残留を示すことがなく、その初期状態に戻る。その結果、それらが日常環境において患者が出くわす発生源に対する効果的な低周波フィルタリングを与え続けることである。
【0128】
図87は、部分192’の柔軟性を説明する図である。図からわかるように、柔軟な部分192’の全体を直角に折り曲げることは非常に容易である。このことは、アッセンブリの全体を、心臓ペースメーカーを含むアクテイブ埋め込み医療装置の典型的な空間および幾何学的構造内に容易に嵌め込むために重要なことである。
【0129】
図88は、図84のハイブリット基板192の断面図である。図88において、ハーメチックシール112の金ろう付け124が左側に示される。電気的コネクタBGAがシールド板194、194’に対する内部アースビアホールVと金ろう付け124との間に形成される。これらの電極/高周波シールド板194、194’は柔軟な部分192’および硬い部分192”の全幅にわたってのびている。(図示されない)別の円周ビアホールVはアースされたシールド板194、104’の間の付加的な点に対する低インピーダスアタッチメントをハーメチックシールの金ろう付け124に対して与えるために用いられる。また、付加的なアースされたシールドがビアホールVによって選択的に/付加的な高周波シールド板194”〜194””に接続される。既に述べたように、金ろう付け124に対する電気的コネクタBGAが多点コネクタからなり、非常に低いインピーダンスがアースされたシールドを高周波数におけるファラデー箱シールドとして適切に機能させるように達成されることが非常に重要である。
【0130】
図88の左側から出発して右側へと移ることによって、フラットスルー・キャパシタ能動型電極板176を追いかけていく。左側において、能動型電極板176はビアホールおよび穴Vによって、ハーメチック端子からリード線114に電気的に接続される。簡単のために他の3つはここに説明されるのと同一または類似のフラットスルー・キャパシタ構造であることが当業者に明らかであるにもかかわらず、4極回路176の1つを追跡することにある。寄生フラットスルー・キャパシタンスCがECAによって形成される。ECAは対向するアースされたシールド板194、194’に対の間に挟まれた能動型電極板176の長さ方向に沿って形成される。ビアホールV、V、V、V、V、およびV13(および図示されないその他のビアホール)は多点アースシステムの一部を形成し、アース板194、194’は同一の低インピーダンスシールドポテンシャルを維持する。
【0131】
さらに、図の右側に移動すると、ビアホールVよびVに出くわす。これらのビアホールはMLCC142をインダクタチップ156に並列接続する。インダクタチップ156は既に米国特許第7,363,090号および米国特許出願公開US2007−0288058A1、US2008−0071313A1(US2008−0049376A1、US2008−0161886A1、US2008−0132987A1、US2008−0116997A1)に述べられたようなMRI高周波信号およびそれに類するものを減衰させるための新規な共鳴タンクフィルタを形成する。これらの文献をここに参考文献として組み入れる。インダクタチップ156および142のこの並列接続は、上に参照された同係属特許出願による能動型電極板176に直列接続される並列接続を形成する。ハイブリッド基板192の互いに対向する面(上面および下面)にMLCC142およびインダクタチップ156を配置することは並列な共鳴信号を形成するためのまさに1つの方法である。例えば、米国特許出願公開US2007−0112398A1の図80、図85を、または図87を参照すれば、これらの新規な一体化されたL−Cチップはいずれもハイブリッド基板192の上面(または下面)の単一素子として用いられ得る。ハイブリッド基板192はMLCC142およびインダクタ156に置き換えられる。CおよびLによって形成された並列帯域除去フィルタは、シールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタの能動型電極回路中のいずれの場所にも配置され得る。言い換えれば、それは例えば、Lの後ろ側またはLの後ろ側のようにさらに右側に移動可能である。能動型電極板176とアース194、194’との間のいずれの場所にも、インダクタ−キャパシタ(L−C)トラップフィルタとして回路素子142、156を直列に配置することを含む回路素子のあらゆる結合が可能であることは当業者に自明である。
【0132】
図88を再び参照して、能動型電極板176がビアホールVを通じてインダクタLに接続し、ついで、ビアホールVを通じて能動型電極板176に再び接続する。その後、能動型電極板176はMLCCキャパシタCの右側の端子面に接続された別のビアホールVに電気的に接続される。キャパシタCの別の端子はビアホールVを通じてアースされたシールド基板194〜194’”に電気的に接続される。これはキャパシタCに対する非常に低インピーダンスの高周波アース接続を形成する。そして、能動型電極板176はビアホールV10に接続し、右側の貫通インダクタLに接続する。インダクタLの他方の他端面はLを能動型電極板176に直列接続するビアホールV11を貫通する。既に述べたように、インダクタLおよびLはフェライトチップインダクタを含むチップインダクタからなっている。あるいはそれらはトロイダル巻線インダクまたは別のタイプのインダクタから形成され得る。能動型電極板176はビアホールV12を通じて高電圧抑止ダイオードアレイDの右側に接続される。ダイオードアレイDの左側はビアホールV13を通ってアースされたシールド板194〜194’”に接続される。そして、能動型電極板176はビアホールV12からビアホールV14を通って右側に出てワイヤホンドパッド138に接続する。ワイヤボンドパッド138はリード線204に接続するために非常に便利なものである。ハイブリッド基板192の上面のアースパッドGPはビアホールVによって埋め込まれたアースされたシールド板194〜194”に接続される。
【0133】
図84を参照して、アース線196がワイヤボンドパッドエリアGBに接続される。しかしながら、これはすでのAIMDに対して必要なものではなく、一体化された回路基板250のアース回路配線をリード線196を通じてAIMDのハウジングに接続し、ついで、ハイブリッドフレックスシールド3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタのアースされたシールド板194、194’に接続するために非常に便利なポイントとなる。既に述べたように、アースされたシールド板はハーメチックシール112の金ろう付け124に接続され、この金ろう付け124は典型的には(114図の番号300で示されるように)、AIMDのチタン製ハウジングにレーザ溶接される。ハウジングはEMIシールド、電極またはエネルギー散逸面として機能し得る。すべての場合において、低インターピーダンスの高周波アースが必要とされ、それは本発明によるシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190のアースされたシールド板によって達成される。図88を再び参照して、多数の寄生フラットスルー・キャパシタンスCPが存在し、それらは本発明によれば、能動型電極板176の上面および下面を取り巻くシールド板194、194’の間に形成される。
【0134】
図89は、図84の新規なハイブリッド基板192の配線図である。例えば、回路176のような4極回路の1つを追跡すると、点「a」はリード線114の体液側に向けられ、このリード線114は図84に示したハーメチックシール112から接続している。典型的には、これはコネクタブロックを通じて、あるいは直接的にリードシステムに接続し、そして、このリードシステムおいては、電極は人体組織に接続する(単極ペースまたはセンサモードにおいてAIMDハウジングは応答電極として機能する)。ハーメチック端子の他端側において、同一のリード線114はフレキシブルハイブリッド基板192’のビアホールVに接続する。能動型電極板176は帯域除去フィルタBSFに進入し、帯域除去フィルタBSFは並列なインダクタLおよびMLCCキャパシタCからなっている。基板のシールド部分は能動型電極板176の全体がアースされたシールド板194、94’内に収容されることを意味する。帯域除去フィルタBSF、142、156から出た後、インダクタLに達する。ついで、MLCCキャパシタC2はアース194、194’の間に接続される。そして、MLCC、CはインダクタLに接続される。能動型電極176がインダクタLを出た後、ハイブリット基板92のアース板194、194’の内部にシールドされ、かつ挟まれる。その後、過渡電圧抑止ダイオードアレイDAに出くわす。この場合、ダイオードアレイはアースに接続され、高電圧抑止装置として機能する。このタイプのダイオードアレイDAは一般に、AIMD内において使用される。その理由は、ICDまたは自動外部除細動器の使用に関係している。ADDは今では、政府系機関の建物、ホテル、空港およびその他の多くの公共施設内に配備されている。これらの生命維持装置は非常に重要である。人下が意識不明になった場合、AEDの電極が人間の胸部に置かれる。そして、AEDは(心室細動のような)危険な心室性整脈を自動的に検出し、自動化された高電圧二相性ショックが電極に適用される。人間がペースメーカーを埋め込まれている場合(しばしばそれが現実である)、埋め込まれたリード線がこの高電圧ショックをピックアップし、この高電圧ショックは心臓組織を除細動するために用いられる。埋め込まれたペースメーカーが低電圧の装置であるので、この高電圧ショックは心臓ペースメーカーの敏感な内部回路に損傷を与える危険性がある。したがって、背中合せ型のダイオード、ツェナダイオード、トランソーブ、またはそれに類するものを組み込んだダイオードアレイが高電圧ショックを(集積回路、ハイブリッドチップおよびそれに類するもののような)敏感な能動型電子回路に損傷が及ぼされる前にアースするために一般に使用される。典型的に使用されるダイオードアレイは回路基板上に大きなスペースをとるので、本発明の特徴は、シールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190に容易に組み込むことによって相互接続回路上にそれを配置するためのスペースを節約することにある。そして、点「a’」において、本発明の新規なハイブリッド基板192から出て、ICワイヤホンドパッド139に電気的に接続する。図89に示す回路図を得るための別の方法は、MRIまたはその他の強力な信号周波数発生源を抑制するための帯域除去フィルタを既に図73とともに説明した3端子素子型T型フィルタに直列に接続し、かつ高電圧抑止ダイオードに直列に接続することである。帯域除寄与フィルタはC型、L型、π型、T型または5素子型フィルタの右側に配置されていることは当業者に自明である。したがって、多数個の素子が1つの便利なパッケージ内に組み立てられる。
【0135】
再び図84を参照して、資されるべき新規な柔軟なハイブリッド基板192のその他の多くの特徴が存在する。それらの特徴のうちの1つは、図84を参照することによって最もよく説明される。この図において、ビアホールは適当な電気的プローブまたは電気的試験のための拡張された四角形状部分A、B、C、およびDを有している。この部分は、ロボット、またはポゴスプリングコネクタがパッド上に置かれることによって必要な電気的試験、加速、寿命試験、通電試験、絶縁試験、対電圧試験またはその他の適当な電気的試験を容易にすることを可能にしている。これらの試験はしばしば高温で実行されるが、本発明による新規なシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190の長期間にわたる信頼性を補償するために本質的なものである。基板192”の硬い部分の反対側の端(右側端)には、類似の拡張されたパッドエリア139が設けられ、既に述べたような試験装置に対する同様の電気的接続が可能なようになっている。製造を容易にするためまた、柔軟なハイブリッド基板192の全体が平坦に形成されることは便利である。平坦に形成することは特に現代のロボットに対する固定部内に配置するのに適している。これらのロボットは典型的には、テープおよびリールコンポーネントまたはトレイにフィードされる。これらのテープおよびリールコンポーネントまたはトレイは電子素子をすべて収容する。基本的なハイブリット基板192を平坦に形成することによって、すべての素子がロボットによって迅速に配置され得る。手作業による組立体は面付けされる素子のサイズが微少なことから非現実的である。例えば、MLCCチップは故障の粒のサイズ(0.020インチ〜0.010インチ)の0201またはそれよりも小さい。すべての素子に対する電気的および機械的接続を行なうことは、従来のウェーブはんだ付けまたはそれと等価な技術の1つの問題である。これは必要な場合、自動化された光学的検査、電気的試験およびX線検査によって支援される。
【0136】
再び図84を参照して、適当な電磁干渉保護が敏感なAIMD電極および検知回路にもたらされるようにするため、インダクタLは好ましくは非フェライトコアから形成され、キャパシタCはフラットスルー・キャパシタンスCと結合して、機能するのに十分な値をとる。それによって、これらの素子はそれらのみでMRIパルス周波数において適切な保護をもたらす。例えば、1.5テスラMRスキャナに対して高周波数パルス周波数は64MHzとなる。素子C、L、Cが64MHzにおいて40dB以上の減衰をし、装置の電子回路に対して適切な保護を与えることが望ましい。図86に示すような非常に高い値をもつインダクタL3を用いることによって、典型的には、小売店において用いられる58kHz電子式処理監視(セキュリティ)ゲートのような低周波数の発生源に対する非常に高レベルの(減衰)電磁波耐性がもたらされる。さらに、低周波数(LF)RFID読取機に対して大きな電磁波耐性がもたらされ得る。これらは典型的には、自動車のキーレスエントリーシステムおよびそれに留類するものに対して用いられる。RFID読取機および店舗用セキュリゲートは、いずれもMRスキャンルーム内には存在しないので、インダクタL3’がMR環境中において飽和するかどうかは問題にならない。したがって、新規な方法がハイブリッド基板192の内部に適用され、それによって、一定数のフィルタそしはMRスキャンおよびその他の操作がなされる間に飽和することはない。キャパシタそしてCがモノリシックセラミックキャパシタ(MLCC)からなり、または非常に高い値をもつアルミニウム電解またはタンタルキャパシタからなっていることは当業者は明らかである。言い換えれば、非常に低い周波数のフィルタリングに対して数マイクロファラッドのキャパシタは数百マイクロヘンリーのトロイダル巻線インダクタとともに使用される。これによって非常に低い周波数までの減衰の低下かがもたらされる。
【0137】
図89において、CおよびLと組み合わせて機能するローパスT型フィルタとして従来より知られるLが存在する。能動型または受動型回路素子の組み合わせはいずれも容易に本発明によるシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタに適用可能である。これは図75に示されるローパスフィルタ回路のいずれかとL−Cトラップおよび/または帯域除去フィルタ(BSF)の任意の組合わせとを含んでいる。本発明の特徴は、大面積の貫通電極をそのまわりを取り巻くアース板の間に挟み込むことによって得られる3端子フラットスルー・キャパシタンスが従来の自己共鳴特性(図18参照)を補償するのに適したフラットスルー・キャパシタンスに帰し、そして、それらが本発明によるシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタとともに使用されることを可能にすることによって高帯域および有効EMIフィルタ、並びに有効エネルギーに散逸手段を達成することにある。
【0138】
図90は図86の一回路4Aの配線図である。この場合、T型ローパスフィルタがC、LおよびCからなるπ型ローパスフィルタに置き換えられている。図90において、互いに並列接続されたLおよびCからなる帯域除去フィルタBSFがアース194、194’に直列に接続されたL、CからなるL−Cトラップフィルタによって置き換えられている。よく知られているように、L−Cは直列素子が共鳴するとき、それらは共鳴周波数における短絡回路を形成する。このことは、米国特許第6,424,234号に詳細に説明されている。この文献をここに参考文献として組み入れる。再び図90を参照して、トラップ回路を設計する場合、CおよびCの並列的な作用に十分注意しなければならない。トラップフィルタがこれらの並列なキャパシタンスが存在するとき適切に機能することを補償するように、十分慎重に回路を設計しなければならない。従来よりよく知られているように、L−Cトラップフィルタを直列帯域除去フィルタともに分離することによって、それは他の並列キャパシタンスと相互作用することがない。帯域除去フィルタがトラップフィルタの一方の側または両側に挿入され、または多数のトラップフィルタ間に挿入されることは、当業者に明らかである。
【0139】
再び図90において、AIMDが磁気共鳴イメーシング環境にさらされている場合に、トラップフィルタを用いることは特に危険である。例えば、システムが1.5テスラスキャナ内に配置され、使用されている場合、トラップフィルタは64MHzで共鳴すべく設計される。これは64MHzの信号をアース(AIMDのチタン製ハウジング)にショートさせる。これは装置の電子回路に対して大きな電磁波耐性と保護を与えるだけでなく、望ましくはMRエネルギーをAIMDの金属製ハウジングに散逸させ、それによって、MRエネルギーは再反射することができず、組織インターフェースに対する末端電極チップをオーバーヒートさせることもできない。エネルギー散逸させるためのハウジングを使用することは米国仮特許出願第61/144,102号に記載されている。この文献をここに参考文献として組み入れる。
【0140】
再び図90を参照して、π型回路はMLCCキャパシタCからなっている。MLCCキャパシタCは高周波数において非常に有効となる。Lは既に図86においてL3’として述べたように、フェライトコアとともにトロイダル巻線インダクタを形成する。LCは高い値をもつタンタルキャパシタからなっている。AIMDがMRスキャナ中において動作している間に、π型回路が有効であるかどうかは問題ではない。これはL−Cトラップフィルタが磁場環境内において飽和しない素子から形成されているからである。言い換えれば、インダクタLは非共磁性体からなっており、キャパシタCは一般にMLCC構造を有している。したがって、MR環境に対するEMIフィルタリング電磁波耐性は、本発明による新規なハイブリッド基板192の寄生キャパシタンス(フラットスルー・キャパシタンス)と組み合わせて動作するトラップフィルタの動作の全体からなっている。したがって、π型フィルタは患者がMR環境の外側にいるときに、低周波信号および周波数範囲全体にわたる信号を減衰させるたに非常に有効である。言い換えれば、図90に示した構造は、MR環境の外側において約30kHzから10GHzまでの範囲内のフィルタリングを実行する。MR環境内においては、この構造は1つまたはそれ以上のトラップフィルタの選択された周波数における効果的なフィルタリングを実行する。たた1つのトラップフィルタが図示されるが、任意の個数のトラップフィルタが並列接続され、多数の高周波周波数に対する短絡回路を形成することは当業者に自明である。例えば、AIMDが1.5および3テスラスキャナのいずれに対しても有効であるようにする場合、2つのトラップフィルタが必要とされる。そのうちの一方のトラップフィルタは64MHzで共鳴し、他方のトラップフィルタは128MHzで共鳴する。L−Cトラップフィルタは、それぞれ、インダクタに並列なキャパシタからなる直列帯域除去フィルタによって分離され、よって、トラップフィルタの素子は相互作用しない。
【0141】
米国仮特許出願第61/144,102号には、多数の他の周波数選択回路がMRIスキャンの間にエネルギーをバランスさせるために用いられ得ることが記載されている。問題は、埋め込まれたリード線システムのエネルギーをより大量に取り除き、それをエネルギー散逸面を形成するAIMDの導電ハウジングに散逸させることである。米国仮特許出願第61/144,102号に記載されたスキームのいずれもが、本発明による新規なハイブリッド基板192内に埋め込まれ得ることは当業者に自明である。
【0142】
図91は、図84、図85および図86に非常によく似た図である。差異は従来のフィードスルー・キャパシタ132が本発明によるハイブリッド基板192と結合して用いられていることにある。フィードスルー・キャパシタは米国特許第4,424,551号、米国特許第5,333,695号、米国特許第5,905,627号および米国特許第6,765,779号を含む従来技術においてよく知られている。これらの文献をすべてここに参考文献として組み入れる。再び図91を参照して、フィードスルー・キャパシタ132は一般に100〜10000MHzの周波数範囲内において高周波フィルタリングを実行する。図86に記載されるように、その他の基板取付素子は、すべて高透磁性のフェライトコアを用いた非常に高キャパシタンスのタンタルまたはアルミニウム電解キャパシタ、またはトロイダルインダクを含んでいる。例えば、フィードスルー・キャパシタンス132はMRIスキャンの間に効果的な電磁波耐性をもたらし、それによって、その他の素子はすべて飽和し得る。これは一般に、10kHz〜10MHzの周波数範囲内において動作する非常に効果的な広帯域フィルタをもたらす。
【0143】
図92は、図84のハイブリッド基板の柔軟な部分192’の反対側を示す図である。ロボットによって円周状の導電熱硬化接着剤254が供給される。これは図84のハーメチック端子112の金ろう付け124に正確に整合するように設計されている。したがって、基板の全体がハーメチック端子アッセンブリ112の上に置かれ、ついで、導電熱硬化接着剤254が加熱、焼結または他のそれと同等なプロセスにおいて固められ得る。これはさらされたアースされたシールド電極板194’に対する適当な電気的および機械的接続を形成する。図92を参照して、円周状の導電熱硬化接着剤254内にギャップが残される。これらのギャップは既に述べたような精密な洩れ検出の間のヘリウムの自由な流れを許容する。また、板194を含むその他の内部アースされたシールド板に接続するために用いられるビアホールV、V、VおよびVが存在する。
【0144】
図93は、図84および図92の93−93線に沿った断面図である。電気的コネクタが例えば、ビアホールVおよび金ろう付け124の間の導電熱硬化接着剤254によって形成される。これを実行する別の方法は、図94〜97に示されるような本発明によるシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタのアースされたシールド194、194’に対する低インピーダンス高周波電気的アース接続である。
【0145】
図94は電流を発生させ、金ろう付け物質124に低温ろう付け260またはそれに類するものをリフローで接合するのに十分な温度まで上昇させることによって、リベット穴258に電極パッド256を抵抗溶接する方法を示した図である。
【0146】
図95は、フェルール120にレーザ溶接された外側ピン262を示した図である。ピンの最小限必要な数は1本であるが、本発明によるアースされたシールド板194、194’への高周波接続に適した最適の本数は4〜6本である。
【0147】
別の方法が図96に示してある。ここで、一連の対をなす穴264がフランジ120の上面に設けられ、多数本のリード線196が金ろう付けリング266とともに配置される。高温ろう付け焼結が金ろう付けリング266にリフローで接合し、次いで、ピン/リード線196をフェルール120に電気的および機械的に取り付けるために用いられる。こうして多数本のアースピン196が取り付けられ、本発明によるハイブリッド基板192の柔軟な部分192’の開いたビアホールが設けられ、アースされたシールド板194、194’に電気的に取り付けられる。
【0148】
別の高周波アース取付方法が図97に示される。図97において、フェルール120はプレスされた粉末冶金によって形成される。この場合、台座ピン268(4〜6本またはそれ以上が台座冶金の理想的な本数である)は、粉末冶金加工の一部として形成される。この場合、材料はすべて典型的にはチタンである。チタン酸化物の形成に伴う問題が原因で金スパッタリング270、メッキまたはろう付けが端子台座268に施され、それによって、適切な酸化しない電気的コネクタが本発明によるハイブリッド基板192にもたらされ得る。
【0149】
そのアースされたシールド板194、194’に対する電気的取付のための図95〜図97に示した実施例のすべてにおいて、備えるのに適した4つ(またはそれ以上の)ビアホールVHを備えた図84の柔軟なケーブルアッセンブリの柔軟な部分192’の変形例を示した図である。
【0150】
図99は、図93の99−99線で囲まれた部分の拡大図である。図99において、基板192’の能動型電極は、数種類の溶接リング272またはろう付けリングとともに、端子ピン114に取り付けられる。溶接またははんだ付けによる電気的接続が図示される。
【0151】
図100は別の方法を示す図である。図100において、リード線114は既に図84に示すように、曲げられ、低温ろう付け260が新規な柔軟なハイブリッド基板192の拡大された穴276を形成し得る。
【0152】
図101は、切欠部280を備えた新規なレーザ溶接キャップ278を示した図である。切欠部280は金属キャップ278がシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタの柔軟な部分の狭小な部分192’にわたってのびるように形成されている。レーザ溶接キャップ278は、刻印されたチタン、旋盤加工されたチタン、射出成形されたチタン、または多数のその他の金属材料から形成され得る。
【0153】
図102は、図101の102−102線に沿った断面図と図84の102−102線に沿った断面図とを組み合わせた図である。しかしながら、ハイブリッド基板192は、図101に示した新規なレーザ溶接キャップ278を収容するように変形されている。図102において、レーザ溶接キャップ278はハーメチック端子12のフランジ120に近接するように設けられている。連続的または不連続的なレーザ溶接またはろう付け284が形成される。これはハーメチックフランジ120およびレーザ溶接キャップ282に対するソリッド冶金および低インピーダンスアース接続を形成する。電気的コネクタ282は、シールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190のアース金属被覆194を形成し、それによって、非常に低インピーダンスの高周波アースをもたらす。図102において、アースされたシールド板194、194’はこの目的のために外側に位置するがしかし、それらは既に述べたように、内部に配置されてもよい。
【0154】
図103は、本発明の上で説明した多くの実施例に適用可能な、回路配線TまたはTをビアホールVのまわりによけさせることによって大面積を維持し、(ECAを最大にすべく)電的に絶縁状態に維持するための方法を説明する図である。図103において、回路配線Tはビアホールのまわりを円形に取り巻くように配線され、または一般にビアホールのまわりを回るように配線され得る。フラットスルー・キャパシタンスECAを最大にするため、上側配線は好ましい実施例をなす。
【0155】
図104は図82の変形例を示した図である。図104において、4極の構成の代わりに8極の構成が存在する。また、リード線を回路基板に組み込む代わりに、他の回路に対する便利なジャンパーワイヤの接続のためのワイヤボンドパッド286が設けられる。
【0156】
図105はハイブリッド基板192の柔軟なケーブル部分192’が例えば、一般的な電子モジュールまたはAIMD内のIC基板に対する他の場所への直接的な電気的接続のための個々のアーム/配線に分けるための方法を示している点を除き、図104に非常によく似た図である。
【0157】
図106は、インライン8極ハーメチックまたは非ハーメチック端子112を本発明によるハイブリッド基板192から分離されているが、それとともに示した図である。埋め込まれたインダクタ158に直列に接続された多数のMLCCキャパシタ142が存在する。ワイヤボンドパッド139がAIMDまたは他の電子装置の回路に対するランプワイヤの便利な接続のために端部に設けられる。
【0158】
図107は本発明によるフィルタを製造するための非常に低コストかつ高信頼性を有する製造方法を示すフロー図である。例として既に図84に示したような特定のハイブリッド基板192に関して説明する。既に述べたように、組立の間に、この基板192は平坦に保たれていることが非常に望ましい。基板192はその後、図87に示すように、任意の望まれた形状に曲げられ得る。第1のステップはロボットを用いて導電エポキシ樹脂を塗布することによって既に図92を参照して説明したような導電熱硬化接着剤254のリングを形成することである。その後、これはハーメチックシール112に組み立てられ、150〜300度の範囲内の温度で硬化される。次に、電気的チップ素子がテープおよびリールまたはキャリアトレイのいずれかからロボットによって搭載される。PチップそしはMLCCキャパシタンス142、チップインダク156、ダイオード154、帯域除去フィルタ、L−Cトラップフィルタ、IFIDチップまたはその他の電子素子の任意の組み合わせからなっている。これらはその後、自動化されたはんだ付け装置を通過し、洗浄装置を通過した後、自動化された目視検査を受ける。また、電気的検査が自動的に実行される。さらに、通電テスト、寿命試験およびそれに類するもののような高信頼性試験が自動になされ、そして、パーツはパッケージングされた後、出荷される。
【0159】
図108は、人工内耳において典型的にみられる16リードガラスハーメチックシール112を示した図である。図108には、硬い部分192”および薄い柔軟な部分192’からなる本発明による新規なハイブリッド基板192が示されている。この場合、薄い柔軟な部分192’はハーメチックシールアッセンブリ112への便利な取付のために90度曲げられている。多数のMLCCキャパシタ142が取り付けられる。本発明によるアースされたシールド板は図示されていない。MLCC142は、この応用においては2つの目的を有している。MLCC142の幾つかはフラットスルー・キャパシタ能動型電極に直列に接続され、そして、従来技術において直流フレックスキャパシタとして知られたものを形成する。これは余分な電気的刺激から人体組織を保護するためのものである。また、一般に本発明によるEMIフィルタリングを実行すべくアース接続されたMLCCャパタ142の別の列が存在する。これは図109の配線図を参照することによってよりよく理解され得る。
【0160】
図109の体液側をみれば、シールドエリアShに入るとき、まずフラットスルー・寄生キャパシタンスCに出くわす。フラットスルー・寄生キャパシタンスCは本発明においては、(図示されない)埋め込まれたアースされたシールド板と特定の回路電極との間に形成される。ついで、MLCCAに出くわす。MLCCAは本発明による付加的な低周波EMIフィルタリングをもたらす。次に、直流ブロックキャパシタを形成する直列なMLCCDに出くわす。MLCCDは回路配線に直列に接続される。それらは共にシールドされているので、MLCCAおよびMLCCDの順序はEMI減衰の損失あるいは人体組織の保護を失うことなく、逆転させることができる。直列直流ブロックキャパタMLCCDの目的は、直流バイアスが人体組織に達することを妨げるとともに、障害または壊死を生じさせないようにすることである。実際、これらの直流ブロックキャパシタは従来技術においてよく知られており、一般に連邦食品医薬品局(FDA)のような監督官庁によって一般に要求される。
【0161】
図110は、人体組織に接続する電極を備えたリードに接続されるように設計された4本の4極リード線114〜114’”を組み込む本発明による5端子ピンハーメチックシール112を示した図である。図110には、高周波アンテナピン288としてしられた5番目のピンが示されている。高周波距離テレメトリーはAIMDに対して非常に一般的である。従来の装置においては、テレメトリーなAIMD内の埋め込まれたコイルを通して実行されることが典型的である。密接に結合したコイルは、テレメトリーピン型スキャナとしてよく知られたインプラントを通じて人体皮膚に近接して配置される。信号がこの密接に結合したテレメトリー場を通して送信され、埋め込まれた医療装置に問い合わせがなされ、再プロクラミングおよびそれに類することが実行される。このタイプのテレメトリーに伴う1つの問題は、人体皮膚を通して高周波エネルギーを効果的に結合させるために(一般に200kHz以下の)非常に低周波での動作が要求されることである。低周波に起因してデータ伝送速度は非常に遅い。現代の埋め込み型医療装置はしばしば4000以上のプログラム可能な機能を有し、ECG波形のような大量のデータを記憶するので、データ伝送速度が遅いと医療従事者は非常にイライラさせられ、時間を浪費する。加えて、相対的に低いカップリング効果のためにペン型スキャナはインプラントに非常に近接して置かれなければならない。しばしば短時間のうちにAIMDと適切に通信するためのスイートスポットが見つけ出される。アンテナ288からなる高周波テレメトリーは、一般に402MHz(MICS帯域)あるいはより高い周波数において達成される。高周波数のために、エネルギーの伝送は非常に効果的である。椅子に座っている医師が部屋を横切って椅子に座っている心臓ペースメーカーを備えた患者に問い合わせすることが可能である。また、高周波数のためにデータ伝送速度はより速くなる。言い換えれば、このシステムは非常に広帯域で動作する。しかしながら、これに伴う1つの問題は、本質的にEMIフィルタリングされ得ない、AIMD内部に進入するリード線288が備えられていることである。広帯域EMIフィルタリングが存在することで、望ましい高周波テレメトリー信号を取り除くことができる。したがって、このフィルタリングされないアンテナワイヤ288がシールドされてEMIが能動型埋め込み型医療装置内に進入することができず、敏感な回路にクロスカップすることができないように接続することが重要である。
【0162】
図111を参照して、端子ピン114〜114’”のすべてを取り巻く(任意の閉じた形状の)楕円形に形成された外側金属シールドアッセンブリ290が存在する。これはまた、本発明によるハイブリッド基板192の取付のための便利な位置を提供する。MLCCキャパシタ140には回路配線とアース金属被覆292との間に接続される。また、金属から形成され、高周波テレメトリー・ピンアンテナ288を完全に閉じ込めるシールドされた空間を与えるために用いられる新規な蓋アッセンブリ294が存在する。同軸ケーブルの接続に適した便利なアクセスポート296がまた存在する。同軸ケーブルの外部端子またはシールドはアースされたシールド290に電気的および機械的に接続する。同軸ケーブルの内部ピンは蓋アッセンブリ294によって形成された空間内に進入し、ポイント288において高周波テレメトリーピンに電気的に接続する。このアッセンブリがすべて動作した後、蓋294はレーザ溶接、はんだ付け、ろう付け、導電接着剤またはそれらに類するものによってハウジング290に取り付けられる。図111に対する変形例は、蓋294の下側にアンテナ288によってピックアップされた高周波テレメトリー信号をデジタル信号に変換するために必要とされる高周波電子モジュールを配置するのに十分大きな空間を形成する。これらのデジタル信号はEMIノイズの影響を受けることはなく、コネクタピンまたはアパーチャ296を通じて送信され得る。
【0163】
図112は、図111に示した構成の変形例を示した図である。図112において、逆配置のMLCC142が高周波減衰をもたらすために使用される。加えて、選択的なフェライトビーズ298が高周波減衰をさらに改善するために使用される。
【0164】
図113は、本発明の電子的素子のすべてを製造するための別の方法を説明するフロー図である。モノリシックセラミックキャパシタの製造方法は従来より知られている。しかしながら、これを実施するためのより効果的かつ低コストの方法は厚膜技術を用い、シールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190の構成素子をまとめて1枚のハイブリッド基板192上に配置することにある。図113を参照して、まず種々の誘電体および電極材料を接着すべく基板が調整される。そして、マルチプルプリント操作によってキャパシタ誘電体またはダイオード材料がプリントされる。典型的には、各マルチプルプリント操作の間に乾燥操作が実行される。これは望まれたキャパシタンス値、インダクタンス値等々に達するまで必要に応じて何度も実行され得る。そして、厚膜素子は典型的には、850〜950度の範囲内の温度で窒素雰囲気中において焼かれる。ついで、それは1枚の基板構造を形成する。幾つかの層がプリントされ、堆積せしめられ、キャパシタ電極および端子が形成され、そしてそれは、1枚の基板または多層基板に積層され、従来の応用プロセスを用いて積層される。そして、従来のバイアスまたはマイクロバイアスを用いることによって相互接続がなされ、再び従来のプロセスがすべて用いられることによって製造が完了する。
【0165】
本発明によるシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190の新規なハイブリッド基板192はまた、種々の検出回路を外部またはリード線に基づくセンサとともに取り付けるために使用され得る。例えば、心臓ペースメーカーの応用に関して、呼吸数センサ、血液PH濃度センサ、心室勾配センサ、心拍出量センサ、プレ/コスト心臓付加センサ、収縮性センサ、血行動態および圧力監視センサを含む多数の生物学的センサが新規な基板上に取り付けられる。このような素子はまた、血液ガスまたは血液酸素センサとともに用いられる。
【0166】
図114は、心臓ペースメーカーのようなAIMDの概略図である。図114に示されるように、金属製、典型的には、チタニウム製のハウジング300が存在する。それはレーザ溶接302によってハーメチックシールされている。それはまた、チタン製ハウジング300にレーザ溶接されたハーメチックシール112を備えている。ハウジングはまた、レーザ溶接302によってハーメチックシールされている。ハーメチックシール112は従来よりよく知られた絶縁体118を有している。この絶縁体118をリード線114〜114’”が導電ハウジング300から絶縁された状態で貫通している。典型的なペースメーカー接続ブロック304が存在する。これはIS−1、DF−1、IS−4およびそれに類するもののような種々の国際標準化機構(ISO)に準拠している。雌型のコネクタブロック304は適当な人体組織に接続され得る雄型基端プラグへのリード線の接続が検出され、または刺激されることを可能にする。リード線114〜114’”は一般に能動型埋め込み医療装置のハウジング300内に配置された回路基板、ハイブリッドまたは集積回路または基板250に接続される。これらは心臓検出回路、ペーシング回路等々を含み得る。また、リード線114’”上には可変インピーダンス素子306、308が存在する。これらの可変インピーダンス素子はすべてのリード線114〜114’”上に存在することに留意されたい。図面では、簡単のためにリード線114’”のみが可変インピーダンス素子が存在するように描かれている。新規な特徴は、AIMDの金属製ハウジングを大面積のエネルギー散逸面(EDS)として使用することにある。これはまた、米国仮特許出願第61/144,102号および同第61/149,833号に記載されている。これらの文献の内容をここに参考文献として組み入れる。本発明によるシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190は米国仮特許出願第61/144,102号および同第61/149,833号に記載されるような、種々の回路素子のすべての取付を容易にするための理想的な方法である。典型的には、AIMDは人体組織に直に接触しない胸ポケット、腹ポケットまたはその他の場所に配置される。したがって、ハウジング300がオーバーヒートした場合、それは例えば、心臓組織または脳組織のような熱的ダメージをほとんど受けない脂肪および筋肉組織によって取り囲まれている。また、図114を参照して、AIMDに関しハウジング300の面積は埋め込まれたリード線の端における電極チップと比較して、著しく大きい。言い換えれば、それはMRI高周波エネルギーを散逸させるのに適した十分大きな面積を実現している。したがって、エネルギーが電極チップの微少面積に集中し、30度以上または60度を越える温度上昇を生じさせ得るのとは対照的に、温度上昇は非常に小さい(数度程度の上昇にすぎない)。したがって、本発明の特徴は、AMDのハウジングが同軸インターフェイスに対する末端電極においてまたはその近傍において配置された帯域除去フィルタに組み合わせられて、選択的および理想的に機能するエネルギー散逸面として用いられることにある。図114において、このエネルギー散逸は矢印で示されたEDSによって表わされている。実際、エネルギー金属製ハウジング300のまわりのあらゆる点において、周囲を取り巻く体液および組織に散逸される。
【0167】
図115は、AIMDのハウジング300の内部に配置された図114の可変インピーダンス素子306、308の拡大図である。既に述べたように、可変インピーダンス素子306、308はAIMDに出入りするすべてのリード線上に設けられる。アース記号gは可変インピーダンス素子306が本発明による3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタのシールドされたアース板を通じてAIMDの金属製ハウジング300に接続されていることを示している。リード線の長さは特に重要ではない。なぜなら、それらは本発明による新規なシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタの内部に埋め込まれているからである。このことは非常に重要である。なぜなら、本発明の回路電極はそれぞれシールドされたMRIからの非常に高振幅の電磁エネルギーが(心臓ペースメーカーの検出回路のような)敏感なAIMD回路に向かって再輻射し、またはこれにクロスカップルすることができないからである。リード線S、Sの一部はシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタのシールド194、194’内に維持され、その結果、MRIからの高周波エネルギーは敏感なAIMD回路に再輻射されない。理想的には、回路素子306はリード線が出入りする場所に正確に結合されたMLCCチップ142からなっている。
【0168】
図116は、図115の可変インピーダンス素子306がMLCCチップキャパシタ142およびそれに類するものを含む任意のタイプのキャパシタ(C)素子からなっていることを説明した図である。図117は、可変インピーダンス素子306が従来技術においておよび図91を参照して説明されたように、フィードスルー・キャパシタC132から形成され得ることを説明する図である。
【0169】
図118は、可変周波数選択素子306がまた、L−Cトラップフィルタとして知られたキャパシタCに直列接続されたインダクタLから形成され得ることを説明する図である。
【0170】
図119は、図118のトラップフィルタがチップキャパシタCまたは図116に示した当該キャパシタまたは図117に示したフィードスルー・キャパシタと組み合わせて使用され得ることを説明する図である。心臓ペースメーカーまたはICDに関して、これは最も一般的な実施例である。直列共鳴トラップに対する典型的なキャパシタンス値はインダクタンスが27ナノヘンリーでキャパシタンスが22ピコファラッドである。これは64MHzにおける直列トラップフィルタ直列共鳴を形成する。一定の周波数においてトラップフィルタ306とEMIフィルタCとの組み合わせは、ある時点で並列共鳴帯域除去フィルタとなり得ることがまた重要である。このことは、トラップフィルタが誘導的になる周波数において生じる。言い換えれば、共鳴周波数において誘導的リアクタンスは容量的リアクタンスをキャンセルし、直列トラップのインピーダンスはその抵抗損失を除いて実質上ゼロになる。しかしながら、共鳴周波数以上の周波数では誘導的リアクタンス項は容量的リアクタンス項を増大させ、優位にざせる傾向がある。言い換えれば、共鳴周波数以上の周波数では、直列LCトラップはインダクタのように振る舞い、フィードスルー・キャパシタCに並列な第2の共鳴を引き起こし得る。このことは、電磁干渉に対する減衰全体における些細な劣化しか生じさせないことを意味する。この共鳴点は新しい強力な発生源の周波数においては現れるべきではない。したがって、これらの発生源の周波数での共鳴は回避されるべきである。
【0171】
図120は、直列可変インピーダンス素子308に焦点が当てられている点を除き、図115と実質上同じ図である。直列インピーダンス素子308の使用は任意であるが、敏感な回路を備えたAIMD対しては非常に望ましい。
【0172】
図121は、可変インピーダンス素子308がインダクタLから形成され得ることを説明する図である。これは従来技術においてシングルエレメントローパスフィルタとして知られたものを形成する。インダクタ素子Lは生物学的周波数のような低周波数は自由に通過させるが、MRI高周波パルス周波数、携帯電話等々のような高周波に対してより高いインピーダンスを生じさせる。
【0173】
図122は、可変インピーダンス素子308が並列接続された共鳴L−C素子からなる帯域除去フィルタ(BSF)から形成され得ることを説明する図である。帯域除去フィルタの動作は米国特許出願公告US2007/011239A1に記載されている。この文献の内容をここに参考文献として組み入れる。
【0174】
図123は、選択的な直列インピーダンス素子308が一群のローパスフィルタのうちのいずれか1つから形成され得ることを説明する図である。既に図121を参照してのべたように、これは単一のインダクタ素子L、26または単一のキャパシタ素子C、20306から形成されるシングルエレメントローパスフィルタからなっている。これはまた、インダクた素子308、26および第2のキャパシタ304、20からなる。可変リアクタンス周波数選択素子308はまた、T型フィルタまたはπ型、LL型、5素子型等々の型式のローパスフィルタを含むn素子型フィルタから形成することもできる。図123からわかるように、減衰対周波数勾配は回路素子の個数が増加するに連れて増大する。また、別の好ましい効果は、付加的なキャパシタをAIMDのハウジング300に接続することによって、エネルギー散逸面EDSに散逸させるための付加的な回路を形成することである。したがって、好ましい実施例においては、図115および図120に示したような1またはそれ以上の直列周波数応答素子308とともに機能する並列選択周波数素子306が備えられる。
【0175】
従来のフィードスルー・キャパシタが米国特許第4,424,551号または米国特許第5,333,095号または米国特許6,765,779号に記載されている。この場合、極端に低い値のインダクタンスを有するフィードスルー・キャパシタがリード線の能動型埋め込み医療装置への進入圏に設けられている。図117に示したL−Cトラップフィルタのさらなる説明が、米国特許第6,424,234号になされている。この場合、トラップフィルタAIMDへのリード線の出入り点またはシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ内の任意の場所に配置する非常に低インピーダンスの(リードレスな)方法が説明される。
【0176】
図124は、従来技術においてL−Cトラップフィルタとして一般に知られた直列インダクタL−キャパシタCフィルタの配線図である。このトラップフィルタは既に図118を参照して示されたものである。再び図124を参照して、容量的リアクタンスが誘導的リアクタンスと等量でかつ反対極性を有するとき、トラップフィルタに対する特定の周波数が存在する。この1つの周波数において、容量的リアクタンスおよび誘導的リアクタンスは互いにキャンセルしてゼロになる。この点において、寄生抵抗Rが唯一残される。非常に小さい抵抗値を意味する高品質印紙(Q)成分が選択されたとき、図124のトラップフィルタは理想的にシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190の能動型電極に接続されたリード線114〜114’”に対するコネクタを形成する点Aと点Bとの間のその共鳴周波数fにおける短絡回路のように振る舞いがちである。
【0177】
図125は、共鳴周波数方程式を与える。ここで、fはヘルツで測られた値である。再び図124を参照して、抵抗値Rが制御されることが非常に重要である。このことは、図126を参照してよりよく理解される。
【0178】
図126は、図124に示した直列共鳴L−CトラップフィルタのインピーダンスZ(単位はオーム)対周波数のグラフを示したものである。この図からわかるように、インピーダンス共鳴周波数fに達する非常に高い値をとる。この点において、直列L−Cトラップフィルタのインピーダンスは急激に低下する(ほとんどゼロオームまで低下する)。共鳴周波数fまたは以下の周波数に対しては、成分値およびそれらの品質因子(Q)の選択に依存して、インピーダンス100〜1000または10,000オームまたはそれ以上の高い値となり得る。共鳴周波数において、インピーダンスはゼロまで減少しようとし、インダクタLからの抵抗およびキャパシタCの電極板から主として生じる等価直列抵抗から一般に形成される寄生抵抗R(図124参照)の抵抗値のみ制限される。3dB帯域幅として知られたものを制御する成分の適切な選択にはトレードオフが存在する。抵抗値が極端に小さい場合、3dB帯域幅はより狭くなる。しかしながら、これはトラップフィルタの製造をより困難にする。したがって、3dB帯域幅および抵抗素子Rは、好ましくは、フィルタを形成し、それを例えば64MHzに調整すると同時に、共鳴周波数において微小なインピーダンスRを容易に生じさせるように選択されることが好ましい。抵抗値Rがゼロになるような理想的なL−C直列共鳴トラップフィルタに関して、共鳴インピーダンスはゼロオームになる。しかしながら、この場合、3dB帯域幅は非常に狭くなり、その結果、製造がほとんど不可能になる。したがって、実際には、いくらかの抵抗値Rを有していることが望ましい。
【0179】
図127は、2つの異なる周波数において共鳴するように設計された2つのトラップフィルタが備えられた場合のインピーダンス対周波数曲線を示したグラフである。この場合、キャパシタ素子Cおよびインダクタ素子Lからなる第1のトラップフィルタは、1.5テスラMRIシステムの高周波パルス周波数(64MHz)で自己共鳴するように設計されている。第2のトラップフィルタはキャパシタ素子C’およびインダクタ素子L’からなり、並列に接続され、トラップフィルタ128MHz(3テスラMRIシステムの動作周波数)で自己共鳴するように設計されている。再び図127を参照して、インダンクタLおよびキャパシタCの比率接続からなる選択的な帯域除去フィルタBSFが存在する。帯域除去フィルタの目的は、2つのトラップフィルタを分離することによってそれらが独立に動作し得るようにすることにある。帯域除去フィルタが存在することによって、2番目の共鳴が発生することが防止される。なぜなら、キャパシタC、C’はインダクタL、L’とともに並列に現れる傾向があるからである。言い換えれば、帯域除去フィルタを使用すると、より円滑な二重トラップが得られる。興味のある周波数において、L−Cトラップフィルタが個々の素子に電気的に分離されるからである。
【0180】
図128は、任意の心臓314内に埋め込まれた心臓内リード線を備えた心臓ペースメーカー310の全体的な概略図である。各リード線は2極であり、これは2本のリード線を有していることを意味する。リード線312は右心房に接続し、リード線312’は右心室頂点(RVA)に接続する。心臓リード線に対する末端電極はチップ316およびリング電極318において現れる。右心室において末端電極チップ316’は全くリング電極318’に近接している。既に述べたように、米国特許第7,363,090号による帯域除去フィルタが必要に応じて、末端電極316、316’、318、318’の位置またはその近傍に配置される。AIMDハウジング310に関し、シールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190内に組み込まれ得るリード線の各1本に関係する可変インピーダンス素子306、308が存在する。
【0181】
図129は、深度脳刺激電極320を示す人体頭部の断面図である。リード線312、312’は典型的には、頸の後ろ側および頸椎領域に接続し、AIMDに接続される(脳神経修飾物質)。図129は、本発明の特徴が心臓ペースメーカーに限定されるものではなく、既に図1を参照して述べたように、広範囲のAIMDに適用可能であることを単に説明しているにすぎない。図128に示した周波数選択素子は、頭蓋骨穿頭孔内のハウジング320内部において、本発明によるシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ内に一体化され得る。頭蓋骨穿頭孔はまた、深度脳刺激電極を支持し、または図114に示すように、AIMDハウジング内に支持される。
【0182】
図130は、能動型埋め込み医療装置に対する単極リード線システム312を示した図である。この図において、単極リード線システムは概略的に描かれている。任意の本数のリード線312が使用可能であることは当業者に自明である。図130において、このシステムはAIMDと任意の心臓314に対する単極リード線312に取り付けられたハウジング300を含んでいる。リード線312の末端において、選択的な帯域除去フィルタBSFが刺激/検知電極の位置またはその近傍に配置される。末端電極の近傍に配置された選択的な帯域除去フィルタBSFは、米国特許第7,363,090号に詳細に説明されている。この文献の内容をここに参考文献として組み入れる。埋め込まれたリード線312はその長さ方向に沿ってインダクタンスLおよび抵抗Rの特性を有している。オーム単位で測ったリード線312の全誘導的リアクタンスが図130に示されるように、公式+j・オメガ・Lによって当たられる。既に述べたように、帯域除去フィルタBSFは存在してもよいし、存在しなくてもよい。再び図130を参照して、AIMDの一般に金属製のハウジング300の内部には周波数選択素子306、308が存在する。これらの周波数選択素子は図131〜図133を参照してより詳細に示されるように、キャパシタ、インダクタおよび抵抗または短絡回路の種々の組み合わせから形成され得る。
【0183】
図131は、図130のリード線システムを示した図である。図131において、L−Cトラップフィルタ306は本発明によるシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタアッセンブリ内のハウジング300の内側に配置されている。この場合、LおよびCはMRI装置の高周波パルス周波数において共鳴するL−Cトラップフィルタとして形成される。したがって、これはAIMDハウジング300への高周波アースを形成する。AIMDハウジング300は、米国仮特許出願第61/144,102号および同第61/149,833号に記載されたエネルギー散逸面EDSとなる。AIMDハウジング300の表面積は比較的大きく、それによって、MRI高周波エネルギーが散逸されるとき、面300上に殆ど温度上昇が生じないことも望ましい。
【0184】
図132は、図130の単極リード線システムの別の実施例を示した図である。この場合、素子306はその容量的リアクタンスが式−j・オメガ・Cによって与えられる容量的素子Cを特徴とする。好ましい実施例によれば、埋め込まれたリード線の誘導的リアクタンスがまず計算され、あるいはオーム単位で測定される。したがって、キャパシンタス値は要理要的リアクタンス−j・オメガ・Cがリード線の誘導的リアクタンス+j・オメガ・Lにオーム単位で等しく、かつ反対の符号となるように選択される。この場合、リアクタンスは互いにキャンセルし、それによって、エネルギー散逸面300に対する最大のエネルギー輸送が実現される。
【0185】
図133は、既に図130および132で説明した単極リード線システムに類似のものを示す図である。この場合、図132に関して、キャパシタンス値Cが容量的リアクタンスが埋め込まれたリード線の誘導的リアクタンスに等しく、かつ反対極性となるように選択される。しかしながら、この場合、抵抗値がまたバランスをとられる。言い換えれば、埋め込まれたリード線の抵抗値RはAIMDのハウジング300の内部または外部に配置された抵抗Rの抵抗値に等しい。理想的には、抵抗Rは本発明による3端子フラッテスルーEMI/エネルギー散逸フィルタ内に組み込まれる。この場合、最大のエネルギー輸送または最大のエネルギー散逸がこの分離された抵抗Rの加熱によって実現される。好ましい実施例によれば、熱伝導性を有するが、電気的絶縁性を有する物質がシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ上において抵抗Rに被さり、かつAIMDハウジング300に接続するように配置され、それによって、抵抗Rからの最大のエネルギー輸送が生じる。実際、好ましい実施例によれば、抵抗Rは周囲を取り巻く閉じ込めに対する最大の熱輸送エリアをもたらすための効果的な大面積のハウジングを有している。再び図133を参照して、エネルギーはEDSとして示されるように、分離した抵抗素子Rから放射され、伝達される。この散逸されるエネルギーは熱エネルギーに変換される。比較的大量の熱をハウジング300内に蓄えることが望ましい。そして、AIMDハウジング300は第2の熱散逸面HDSとなる。この熱エネルギーは比較的大面積のエリア300にわたってAIMDを取り巻く人体組織の体液内に散逸される。例えば、心臓ペースメーカーへの応用においては、ハウジング300は胸筋内に存在する。
【0186】
図132および図133を参照して、リアクタンスは完全にキャンセルする必要はない。あるいは、図133の場合には、抵抗がすべて正確に等しくなっていることは特に重要ではない。実際、入力キャパシタンスのEMIフィルタリングと+jΩL成分リード線システムの正確なキャンセレーションとの感にトレードオフが存在する。結局のところ、現実の試験を通じてインピーダンスが一般にリード線システム内においてキャンセルすることによって、少なくともMRI高周波パルス場からの余分なエネルギー大部分がAIMDのハウジング300に向かって散逸することのみが実際は重要である。例えば、75ピコファラッドのキャパシタがリード線システムの誘導的リアクタンスを正確にキャンセルすると計算される場合、シールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタのフラットスルー・およびMLCCに対する1000ピコファラッドキャパシタンスをその代わりに用いることを選択してもよい。1000ピコファラッドの全キャパシタンス(C+C)は依然として、リード線システムからハウジング300へ向かって大量のMRI高周波エネルギーを引き出す。これをする理由は、1000ピコファラッドのキャパシタが高周波パルス周波数(64MHzまたは1.4テスラMRシステム)だけでなく、携帯電話およびその他の類似の発生源に対する非常に効果的なEMIフィルタリングを提供するからである。
【0187】
図134は、典型的には、軍事産業、宇宙開発産業、医療産業、通信産業等々において使用されるフィルタリングされたコネクタ322a〜322hを示した図である。これらの典型的に、宇宙開発産業、軍事産業、通信産業および医療産業において用いられるようなEMIフィルタリングされたコネクタはセラミックキャパシタに対して余分な機械的ストレスを及ぼすことなしに、コネクタハウジングまたはバックシェルに対するフィードスルー・キャパシタタイプの平坦なアレイに取り付けることが非常に難しい。多数のユニークな取付方法が従来技術において提供され、それらはフィードスルー・キャパシタを機械的に分離すると同時に適切な低インピーダンスのアース接続と高周波シールド特性を付与するように設計されている。このことは、重要である。なぜなら、フィルタリングされたコネクタ内に誘発される機械的ストレスが存在するからである。問題は比較的のろいラミックフィードスルー・キャパシタをフィルタリングされたコネクタ内に取り付けることである。なぜなら、周囲を取り巻く物質の熱膨張係数の不一致や、嵌め合わせ接続するときに生じる重大な軸方向および半径方向のストレスが結果的に生じるからである。
【0188】
規定によって、コネクタはケーブルの取付の間に互いに嵌め合わされる雄型および雌型の形態をとる。EMIフィルタリングは典型的には、雄型の部分または雌型の部分のいずれかに置いて実行される。しかし、EMIフィルタリングは通常はその両方の部分において同時になされることはない。2つのコネクタを互いに挿入または嵌め合わせる間に重大な機械的な力が生じ、フィードスルー・キャパシタに伝達され得る。要するに、従来のフィルタリング機能を備えたコネクタにおけるフィードスルー・キャパシタまたは個々のキャパシタは非常に高価な取付技術を含んでいる。図134に示されるような、フィルタリング機能を備えたコネクタが数百ドルまたは数千ドルのコストを要することはよくあることである。シールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタを用いた本発明は、平坦なアレイフィードスルー・キャパシタのフィルタ機能を備えたコネクタと比較して、それと同等あるいはそれ以上の性能を有しているか、その一方で、非常に低コストで製造でき、かつコンパクト化することができる。
【0189】
図135および136を参照して、(図示されない)平坦なアレイフィードスルー・キャパシタを用いた従来のサブD型フィルタコネクタ324が存在する。
【0190】
図137および図138は、別のタイプの非常に一般的なコネクタを示した図である。この場合、図137および図138に示された従来のコネクタ326はフィルタ機能を有していない。特に、図137において、露出したコネクタピンPが存在する。これらのピンはコネクタの取付に伴って、シールドされたハウジング内に突出することが非常に一般的である。これらのピンPは本発明によるシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタに容易に接続され得る。
【0191】
図139は、本発明によるシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190の分解図を伴った典型的なコネクタアッセンブリ330の斜視図である。フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190は任意の形態をとり得る。例えば、図141は、図139の141−141線に沿った拡大図である。この図において、シールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタはMLCCキャパシタC、306を具体化している。図140は、コネクタアッセンブリ330の斜視図である。コネクタアッセンブリ330はハーメチックまたは非ハーメチックであり、本発明によるシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190に取り付けられている。
【0192】
前述したように、本発明によるシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190は広範囲にわたって応用することで、電子モジュールまたはシールドされたハウジングに出入りするリード線を支持する種々のコネクタ端子および/またはハーメチックシールするとともに使用可能である。本発明によるフラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタ190は3端子容量的フィルタリングをもたらすと同時に、フラットスルー・キャパシタの高電流電極を通過する信号および回路のシールドをもたらす。本発明によるエネルギー散逸フィルタ190の主要なコンポーネントを形成するハイブリッド基板192は、従来のフィードスルー・キャパシタとほぼ同等に機能する。すなわち、その内部アースはリード線の出入りのためのハーメチックシール、またはそれと同等の開口を通る高周波エネルギーの進入を物理的にブロックするための電子装置、またはモジュールの電磁的シールドされたハウジングの1つの連続的な部分として機能する。また、フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタは、望ましくない高周波EMI信号を、リード線(電極)からシールドハウジングへと効果的に導き、そしてそこで、そのエネルギーは、わずかな温度上昇に帰する渦電流として消散する。
【0193】
最も基本的な形態において、シールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタは回路電流がそれを通って第1および第2の端子間を流れる能動型電極板と、この能動型電極板を取り囲む複数のシールド板とを有し、シールド板はアースされた第3の端子に集合的に結合する。特に、複数のシールド板は能動型電極板の一方の面上に配置された第1のシールド板と、能動型電極板の他方の面上に第1のシールド板に対向して配置された第2のシールド板とを有している。
【0194】
これまで本発明の幾つかの実施例を詳細にわたって説明してきたが、本願の特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形例を案出することができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲にのみ限定されるのであって、これらの実施例に限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
能動型埋め込み医療装置(AIMD)に関するシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタであって、
前記AIMDに対するハウジングに関係するハーメチック端子アッセンブリと、
前記AIMDハウジングと絶縁された状態で前記端子アッセンブリを貫通する少なくとも1本のリード線と、
第1の端子および第2の端子を有する少なくとも1つの能動型電極板とを備え、
前記リード線は前記第1の端子に電気的に結合され、AIMDエレクトロニクスを前記第2の端子に電気的に接続されており、さらに、
前記能動型電極板の一方の面上に配置された第1のシールド板と、
前記能動型電極板の他方の面に前記第1のシールド板に対向して配置された第2のシールド板とを備え、前記第1および第2のシールド板はアースされた第3の端子に電気的に結合され、前記能動型電極板は誘電体によって前記シールド板から絶縁されて、前記能動型電極板および前記シールド板は協同してフラットスルー・キャパシタを形成することを特徴とするシールドされたフィルタ。
【請求項2】
前記リード線は絶縁された状態を少なくとも1つの前記シールド板を貫通するリード線からなり、前記リード線は前記能動型電極板に電気的に結合されて、前記第1の端子を形成することを特徴とする請求項1に記載のシールドされたフィルタ。
【請求項3】
それぞれ一方の面に第1のシールド板を備え、他方の面には前記第1のシールド板に対向する第2のシールド板を備えた複数の能動型電極板を有し、前記能動型電極板はそれぞれ誘電体によって隣接するシールド板から絶縁され、それぞれの前記能動型電極板およびそれに隣接するシールド板は協働してフラットスルー・キャパシタを形成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシールドされたフィルタ。
【請求項4】
前記シールド板は共通のアースに電気的に結合されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のシールドされたフィルタ。
【請求項5】
それぞれ絶縁された状態で少なくとも1つの前記シールド板を貫通する複数のリード線を有し、それぞれの前記リード線はそれぞれの能動型電極板に電気的に結合されて前記能動型電極板に対する前記第1の端子を形成することを特徴とする請求項3または請求項4に記載のシールドされたフィルタ。
【請求項6】
前記フラットスルー・キャパシタに隣接して配置され、前記フラットスルー・キャパシタに電気的に結合されたフィルタフィードスルー・キャパシタを有することを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれかに記載のシールドされたフィルタ。
【請求項7】
前記能動型電極板に電気的に結合され、前記第2の端子を形成する導電パッドを有し、前記導電パッドは、前記能動型電極板が貫通する誘電体の本体の外面上に設けられたワイヤボンドパッドからなっていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載のシールドされたフィルタ。
【請求項8】
誘電体によって前記シールド板から絶縁されて、それぞれの前記能動型電極板および前記シールド板が協働してフラットスルー・キャパシタを形成するように配置された複数の同一面上の能動型電極板を有し、少なくとも1つの前記同一面上の能動型電極板はインダクタからなり、さらに、前記同一面上の能動型電極板の間にのびる同一面上の第3のシールド板を有していることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載のシールドされたフィルタ。
【請求項9】
絶縁された状態で少なくとも1つの前記シールド板を貫通するリード線またはピンを有し、前記リード線または前記ピンは、前記能動型電極板に電気的に結合されて、前記第2の端子を形成することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載のシールドされたフィルタ。
【請求項10】
前記能動型電極板及び少なくとも1つの前記アースされたシールド板の間に電気的に結合されたモノリシックチップキャパシタ(MLCC)を有していることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載のシールドされたフィルタ。
【請求項11】
前記能動型電極板と実質上同一平面上に配置された第3のシールド板を有し、前記第3のシールド板は、前記アースされた前記第3の端子に電気的に結合され、実質上前記能動型電極板を取り巻き、前記第1および第2のシールド板の間に配置されることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかに記載のシールドされたフィルタ。
【請求項12】
前記能動型電極板の少なくとも一部は、一般的な回路配線によって形成されたインダクタ、またはスパイラル回路配線、またはホイーラースパイラルからなっていることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれかに記載のシールドされたフィルタ。
【請求項13】
前記シールド板を互いに電気的に結合するための少なくとも1つのビアホールを有していることを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれかに記載のシールドされたフィルタ。
【請求項14】
前記ビアホールは前記能動型電極板の周辺に配置されることを特徴とする請求項13に記載のシールドされたフィルタ。
【請求項15】
前記能動型電極板の表面積が、パラジティックキャパシタンスを増大させ、かつ電流に対する抵抗を最小にすべく、最大になることを特徴とする請求項1〜請求項14のいずれかに記載のシールドされたフィルタ。
【請求項16】
前記能動型電極板は、L型、π型、T型、LL型、5素子型、n素子型および受動型ローパスフィルタのうちの少なくとも1つ、または帯域除去フィルタ、ダイオードアレイおよびRFIDチップのうちの少なくとも1つを形成し、前記受動型電子デバイスはMRI周波数で使用可能なように最適化されることを特徴とする請求項1〜請求項15のいずれかに記載のシールドされたフィルタ。
【請求項17】
前記能動型電極板および前記第1および第2のシールド板は前記能動型電極板に電気的に結合されたリード線に対して実質上垂直または平行に配置されて、前記第1の端子を形成することを特徴とする請求項1〜請求項16のいずれかに記載のシールドされたフィルタ。
【請求項18】
前記能動型電極板および前記シールド板は少なくとも部分的にハイブリッドフラットスルー基板内に配置されることを特徴とする請求項1〜請求項17のいずれかに記載のシールドされたフィルタ。
【請求項19】
前記ハイブリッドフラットスルー基板は前記第3の端子を形成する金属被覆面を有していることを特徴とする請求項18に記載のシールドされたフィルタ。
【請求項20】
前記ハイブリッドフラットスルー基板は埋め込み医療装置に対するハーメチックシールに隣接して配置されて、前記金属被覆面は前記埋め込み医療装置に対するハウジングに電気結合され、前記ハイブリッドフラットスルー基板は、ポリイミド、カプトン、またはアクリルから形成された柔軟なケーブル部分を有していることを特徴とする請求項19に記載のシールドされたフィルタ。
【請求項21】
前記ハイブリッドフラットスルー基板は、少なくとも部分的に高誘電率のセラミック、アルミナ、ガラス繊維またはFR4から形成された硬い部分を有し、前記硬い部分は、前記能動型電極板に結合された少なくとも1つの受動型電子素子を有し、前記受動型電子素子は、少なくとも1つのRFIDチップ、キャパシタ、インダクタ、帯域除去フィルタ、L−Cトラップフィルタ、ダイオードまたはダイオードアレイからなっていることを特徴とする請求項18に記載のシールドされたフィルタ。
【請求項22】
前記柔軟なケーブル部分は複数の柔軟な部分からなっていることを特徴とする請求項20に記載のシールドされたフィルタ。
【請求項23】
前記能動型電極板の前記第2の端子は回路基板に電気的に結合されることを特徴とする請求項18〜請求項22のいずれかに記載のシールドされたフィルタ。
【請求項24】
前記ハイブリッドフラットスルー基板は、内部に埋め込まれた前記能動型電極板を備えた誘電体からなり、前記能動型電極板は前記基板を貫通する少なくとも1つのビアホールに対する金属被覆面に電気的に結合され、前記シールド板は前記ハイブリッドフラットスルー基板の外面に適用された金属被覆面を有していることを特徴とする請求項18〜請求項23のいずれかに記載のシールドされたフィルタ。
【請求項25】
前記ハイブリッドフラットスルー基板を捕捉し、前記シールド板をアースおよび前記埋め込み医療装置に対するハーメチックシールに電気的に結合するための導電キャップを有し、前記ハーメチックシールは前記導電キャップが電気的に接続される導電フェルールを有し、少なくとも1本のリード線が絶縁された状態で前記フェルールを貫通し、かつ前記ビアホールからの金属被覆面に電気的に結合されることを特徴とする請求項18〜請求項25のいずれかに記載のシールドされたフィルタ。
【請求項26】
そのすべての外部素子が、体液に直接さらされることを意図して、人体適応性を有する物質から形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項25のいずれかに記載のシールドされたフィルタ。
【請求項27】
前記RFIDチップは、AIMD高周波テレメトリー回路を起動させるための起動手段を有していることを特徴とする請求項21に記載のシールドされたフィルタ。
【請求項28】
能動型埋め込み医療装置(AIMD)の埋め込みリードに受動型素子網に組み込まれた、請求項1〜請求項27のいずれかに記載のシールドされた3端子フラットスルー・EMI/エネルギー散逸フィルタであって、
基端、および末端の組織刺激または生物学的感知電極間、またはそれらに向かってのびる一対の長さを有する少なくとも1本のリード線と、
前記電極から離れた位置において、患者の組織に隣接して、または患者の血液またはリンパ液の流れ中に配置されたエネルギー散逸面と、
前記リード線に関係付けられ、高周波エネルギーを前記電極から前記エネルギー散逸面に向かって選択的に逸らせることによって前記高周波エネルギーを熱として散逸させるための逸らせ回路とを備えたことを特徴とするシールドされたフィルタ。
【請求項29】
前記受動型素子網は、前記逸らせ回路に関係付けられて前記リード線の高周波インピーダンスを増大させるためのインピーダンス回路を有し、前記インピーダンス回路は、前記逸らせ回路と少なくとも1本のリード線の末端との間に配置された、インダクタまたは帯域除去フィルタからなっていることを特徴とする請求項28に記載のシールドされたフィルタ。
【請求項30】
前記少なくとも1本のリード線はプローブまたはカテーテルの一部からなり、前記エネルギー散逸面はシース、絶縁体または伝熱素子からなっていることを特徴とする請求項28に記載のシールドされたフィルタ。
【請求項31】
前記少なくとも1本のリード線は少なくとも一対のリード線からなり、前記少なくとも一対のリード線はそれぞれ、基端と、末端の組織刺激または生物学的感知電極との間にのびる長さを有し、前記逸らせ回路は、前記リード線をそれぞれ前記エネルギー散逸面に結合し、前記逸らせ回路は、前記リード線の対の間に結合されることを特徴とする請求項28に記載のシールドされたフィルタ。
【請求項32】
前記高周波エネルギーは磁気共鳴スキャナの選択された高周波パルス周波数の範囲内にあることを特徴とする請求項28に記載のシールドされたフィルタ。
【請求項33】
前記逸らせ回路はローパスフィルタからなっていることを特徴とする請求項28に記載のシールドされたフィルタ。
【請求項34】
前記ローパスフィルタは、C型フィルタ、L型フィルタ、T型フィルタ、π型フィルタ、LL型フィルタ、5素子型フィルタおよびn素子型フィルタのうちの少なくとも1つからなり、前記逸らせ回路は、少なくとも1つの直列共鳴L−Cトラップフィルタからなっていることを特徴とする請求項33に記載のシールドされたフィルタ。
【請求項35】
前記インピーダンス回路はダイオード、または過渡電圧抑止器、またはインダクタ、または帯域除去フィルタのような非線形回路素子を有していることを特徴とする請求項29に記載のシールドされたフィルタ。
【請求項36】
前記逸らせ回路は少なくとも1つの直列共鳴L−Cトラップフィルタからなっていること特徴とする請求項35に記載のシールドされたフィルタ。
【請求項37】
前記能動型電極板およびその周囲を取り巻くアースされたシールド板の有効キャパシタンス面積が最大になるように設定されて、それらの間に形成される3端子フラットスルー・キャパシタのより高い値が得られるようになっており、前記能動型電極板およびアースされたシールド板の間の絶縁層の誘電率は、前記3端子フラットスルー・キャパシタのより高いキャパシタンス値を達成すべく実質上増大せしめられ、前記能動型電極板およびアースされたシールド板を分離する誘電体厚は、前記3端子フラットスルー・キャパシタのより高いキャパシタンス値が達成されるように最小になるように設定され、前記能動型電極板およびそれを取り巻くアースされたシールド板の多数の冗長な平行層を含むことによって前記3端子フラットスルー・キャパシタの全キャパシタンス値が増加するようになっていることを特徴とする請求項1〜請求項36のいずれかに記載のシールドされたフィルタ。
【請求項38】
前記アースされた第3の端子前記AIMDの導電ハウジングであることを特徴とする請求項1〜請求項37のいずれかに記載のシールドされたフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【図75】
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【図76】
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【図77】
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【図78】
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【図79】
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【図80】
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【図81】
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【図82】
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【図83】
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【図84】
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【図85】
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【図86】
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【図87】
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【図88】
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【図89】
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【図90】
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【図91】
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【図92】
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【図93】
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【図94】
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【図95】
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【図96】
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【図97】
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【図98】
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【図99】
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【図100】
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【図101】
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【図102】
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【図103】
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【図104】
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【図105】
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【図106】
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【図107】
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【図108】
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【図109】
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【図110】
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【図111】
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【図112】
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【図113】
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【図114】
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【図115】
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【図116】
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【図117】
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【図118】
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【図119】
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【図120】
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【図121】
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【図122】
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【図123】
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【図124】
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【図125】
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【図126】
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【図127】
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【図128】
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【図129】
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【図130】
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【図131】
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【図132】
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【図133】
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【図134】
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【図135】
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【図136】
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【図137】
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【図138】
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【図139】
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【図140】
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【図141】
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【公表番号】特表2011−517970(P2011−517970A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500962(P2011−500962)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/037700
【国際公開番号】WO2009/117599
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(502211984)グレイトバッチ リミテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】Greatbatch Ltd.
【Fターム(参考)】