説明

シールドトンネル工事用運搬車両

【課題】 車輪ひいては車両の大型化を招くことなく、車両本体及び積載資材の荷重を受けることができ、しかも十分な制動性能が得られる鉄車輪、タイヤ車輪併用のシールドトンネル工事用運搬車両を提供する。
【解決手段】 車両本体1の左右方向中央部の前後方向に2個設けられ、単一のレールRL上を転動可能な鉄車輪3、4と、車両本体1の左右前後に4個設けられ、路面上を転動可能なタイヤ車輪5A、5B、6A、6Bと、を備える。ここで、鉄車輪3、4を駆動輪とする。また、鉄車輪3、4とタイヤ車輪5A、5Bの両方を制動輪とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドトンネル工事用の資材(セグメント等)を運搬するシールドトンネル工事用運搬車両に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、資材運搬用の車両としては、路面上をタイヤ車輪で走行するものと、軌道上を鉄車輪で走行するものとがあるが、シールドトンネル工事用の資材(セグメント等)の重量をタイヤ車輪(例えば4輪)で支持しようとすると、タイヤ車輪の大型化を招き、高さ等のスペースが制限されるトンネル内での使用には適さない。一方、鉄車輪で支持する場合は、小型化が可能となる。従って、従来のシールドトンネル工事用運搬車両としては、レールを2本敷設する手間と、制動性能に劣るという欠点はあるものの、鉄車輪の軌道車両が用いられている。
【0003】
また、特許文献1には、鉄車輪とタイヤ車輪とを併用した単レール軌道走行システムが開示されている。これは、単一のレール上に乗った前車輪(鉄車輪)により誘導し、路面上の後車輪(左右一対のタイヤ車輪)によって駆動することにより、車両をレールに沿って走行させるものであり、制動もタイヤ車輪によって行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62−120262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シールドトンネル工事用運搬車両は、従来、5〜10km/h程度で走行するが、例えば15km/h程度への走行速度向上が求められており、これに伴って制動性能の向上が求められている。このため、鉄車輪とタイヤ車輪との併用システムが見直された。
しかし、特許文献1は、鉄車輪とタイヤ車輪とを備えるものの、鉄車輪は案内輪であり、駆動輪ではない。従って、タイヤ車輪に車両本体及び積載資材の荷重の多くを受ける必要があり、タイヤ車輪の大型化を招いてしまう。また、タイヤ車輪の大型化に伴い、シールドトンネル工事用運搬車両として高さ等のスペースが制限されるトンネル内で資材及び機材の荷役スペースの確保ができない。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、車輪ひいては車両の大型化を招くことなく、車両本体及び積載資材の荷重を受けることができ、しかも十分な制動性能が得られる鉄車輪、タイヤ車輪併用のシールドトンネル工事用運搬車両を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、車両本体の左右方向中央部の前後方向に少なくとも2個設けられ、単一のレール上を転動可能な鉄車輪と、車両本体の左右前後に4個設けられ、路面上を転動可能なタイヤ車輪と、前記鉄車輪を駆動可能な駆動装置と、前記鉄車輪及び前記タイヤ車輪をそれぞれ制動可能な制動装置と、を含んで構成されるシールドトンネル工事用運搬車両を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、鉄車輪とタイヤ車輪の両方を備えて、鉄車輪で駆動し、荷重を主に鉄車輪で受けることができ、タイヤ車輪の大型化を抑えて、車輪の小型化を図ることができる。従って、車両全体をコンパクトにでき、特にトンネル内で制限される高さを抑えることができる。また、タイヤ車輪は車体左右方向のバランスを保持し安定性を向上させることができる。
【0009】
また、鉄車輪とタイヤ車輪の両方に制動装置を備えることで、優れた制動性能を得ることができる。一方で鉄車輪の駆動装置により必要な駆動性能を確保するものである。
また、レールは1本でよく、レール敷設の手間を軽減できる。その一方、レールの使用により、一定の軌条性(ステアリング性能)を確保でき、無人自動運転に好適となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態を示す車両の平面レイアウト図
【図2】同上の車両の側面レイアウト図
【図3】同上の車両の正面レイアウト図
【図4】鉄車輪取付部の正面縦断面図
【図5】鉄車輪取付部の平面図
【図6】図4のA−A矢視図
【図7】固定側のタイヤ車輪取付部の正面縦断面図
【図8】揺動側のタイヤ車輪取付部の正面縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて、詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態を示すシールドトンネル工事用運搬車両の平面レイアウト図、図2はセグメント積載状態での車両の側面レイアウト図である。また、図3はその車両の正面レイアウト図である。
このシールドトンネル工事用運搬車両は、円形断面のセグメント坑内を走行して主にシールドトンネル工事用の資材であるセグメントの搬入を行う自走台車であり、この車両を用いるにあたっては、図3に示されるように、セグメント坑内の円弧状の路面RSの中央部に沿って1本のレールRLを敷設する。
【0012】
車両本体(台車)1は、その上面側に、セグメントSGを積載するもので、その下面側に、2個の鉄車輪3、4と、4個のタイヤ車輪(例えばゴムソリッドタイヤ)5A、5B、6A、6Bとを備える。
鉄車輪3、4は、車両本体1の左右方向中央部に前後1列に2個設けられ、それぞれ両フランジ付きで1本のレールRL上を転動可能である。
【0013】
タイヤ車輪5A、5B、6A、6Bは、車両本体1の前後左右に4個、詳しくは、前側の鉄車輪3より前方に左右一対(5A、5B)、また、後側の鉄車輪4より後方に左右一対(6A、6B)の計4個設けられる。また、図3に示されるように、セグメント坑内の円弧状の路面RSに対し、直角に接地するように、走行方向左側のタイヤ車輪5A、6Aと右側のタイヤ車輪5B、6Bは、正面から見てハの字状になるように、車輪軸を傾斜させて配置される。
【0014】
尚、本車両は単一のレールRL上を立坑から切羽まで一方向に走行してセグメントSGの搬入を行い、その後は反転することなくレールRL上を反対方向に切羽から立坑まで走行するので、本来的には、どちらが前で、どちらが後とは言えないが、便宜上、図1及び図2の左側を前側、図1及び図2の右側を後側と称することとする。
図4は鉄車輪取付部の正面図、図5はその平面図、図6は図4のA−A矢視図であり、これらによって、鉄車輪3、4及びその駆動系について説明する。尚、ここでは、前側の鉄車輪3について代表して説明するが、後側の鉄車輪4についても同様である。
【0015】
鉄車輪3は、車輪軸(回転軸)11に固定されており、車輪軸11は、鉄車輪3の左右に設けた軸受部12、12により、回転自在に支持されている。そして、軸受部12は、車体本体1にスプリング式懸架装置(サスペンション)を構成するスプリング13を介して取付けられている。そして、車両本体1側のスプリング13と軸受部12との間には、シム14を介在させて、鉄車輪3の取付高さを調整可能としている。
【0016】
車輪軸11の一方の端部には、ディスクブレーキ15を配置している。そして、車輪軸11の他方の端部には、中空軸減速機16を配置している。中空軸減速機16の特徴は、車輪軸に直接減速機を組み込めるため、スペース、部品構成が単純化される点である。この減速機16には内蔵のベベルギア等を介してその後方に配置した電動機(例えば3相誘導モータ)17及び電磁ブレーキ18を直結してスペースを小型化している。
【0017】
従って、駆動装置としての電動機17により減速機16及び車輪軸11を介して鉄車輪3、4を駆動でき、制動装置としてのディスクブレーキ15及び電磁ブレーキ18により鉄車輪3、4を制動できる。ここで、鉄車輪3、4はこれらの軸受部12を支持するスプリング13の設定により、総重量の65〜85%を受け、これらの鉄車輪3、4を介して車両の駆動、制動を行う。
【0018】
図7は前側の一対のタイヤ車輪の取付部の正面縦断面図である。
前側の一対のタイヤ車輪5A、5Bはそれぞれ個別に取付けられ、左右対称に配置されるので、一方のタイヤ車輪5Aを代表して説明する。
車両本体1にタイヤ取付用ブラケット21を介して軸受部22が保持される。この軸受部22は斜めに傾斜させて設けられる。そして、この軸受部22に車輪軸(回転軸)23が回転自在に支持され、車輪軸23の外側の端部にタイヤ車輪5Aが取付けられる。従って、軸受部22と共に車輪軸23及びタイヤ車輪5Aは斜めに傾斜させて取付けられる。これはセグメント坑内の円弧状の路面RSにタイヤ車輪5Aの角度を合わせるためである。また、車輪軸23の内側の端部には制動用のディスクブレーキ24が配置される。
【0019】
ここで、車両本体1とタイヤ取付ブラケット21との間には、シム25を介在させて、タイヤ車輪5Aの取付高さを調整可能としている。
図8は後側の一対のタイヤ車輪の取付部の正面縦断面図である。
後側の一対のタイヤ車輪6A、6Bは、これらのタイヤ車輪の中間部を支点として上下方向に揺動可能に支持される。
【0020】
すなわち、車両本体1の左右方向中央部に支持部31を介して揺動ピン軸受部32が固定され、この揺動ピン軸受部32に、揺動アーム33の中央部の揺動ピン34が回転自在に支持されている。
揺動アーム33は、左右方向に延び、中央部の揺動ピン34を支点として上下方向に揺動可能である。また、揺動アーム33の最大揺動角を3°程度に規制するため、車両本体1側に機械式ストッパ35を設け、また揺動アーム33側にゴムバッファ36を設けている。
【0021】
揺動アーム33の両端には、車輪軸37、37が斜め上方に傾斜させて固定され、各車輪軸37、37に軸受部38、38を介してタイヤ車輪6A、6Bが回転自在に取付けられている。車輪軸37、37を傾斜させるのは、セグメント坑内の円弧状の路面RSにタイヤ車輪6A、6Bの角度を合わせるためである。
ここで、車両本体1側の支持部31と揺動ピン軸受部32との間には、シム39を介在させて、タイヤ車輪6A、6Bの取付高さを調整可能としている。
【0022】
これら4個のタイヤ車輪5A、5B、6A、6Bは車体左右方向のバランスを保持すると共に、ディスクブレーキ24によるタイヤ車輪5A、5Bの制動時には鉄車輪3、4による制動を補助して強力な制動力を発揮する。
実際の運行にあたっては、本車両を5両連結し、1〜4両目をセグメント搬送自走台車とし、5両目を発電機搭載自走台車とする。すなわち、5両目にディーゼル発電機を搭載して、各車両に3相220Vの電力を供給するようにする。そして、各車両には、バッテリ(例えば密閉鉛酸電池)と、発電機からの電力をバッテリ充電と負荷駆動とに切換えるスイッチング電源装置とを搭載する。従って、各車両の電動機17等はバッテリ又は発電機からの電力で作動し、各車両はハイブリッド方式のバッテリーロコとなる。長距離輸送の場合、バッテリだけでは、容量が非常に大きくなる。このため、ディーゼル発電機とバッテリとのハブリッド方式として、バッテリ容量と発電機容量を最適に設定している。
【0023】
また、本車両は、無人の自動運転を基本としている。立坑では、セグメント搬送自走台車にセグメントをセグメントセッターで移載後、作業員が移載状態及び安全確認して、無線ペンダントで発進位置まで誘導する。発進位置で作業員が「切羽行き」発進釦を押して発車する(自動走行開始)。発車後は、通常の平坦路では15km/hの速度で自動走行し、地上側のマーカ等の指示に従い、途中の曲線、勾配、すれ違いポイント等では、減速、低速、停止等を指定速度で自動走行する。切羽では、自動停止する。切羽作業員の安全確認後、無線操作によりセグメント移載装置まで低速走行する。定位置停止後、セグメント移載装置によりセグメントを積降する。その後、切羽作業員が、安全確認後、「立坑行き」発進釦を押すことで、再び自動走行する。
【0024】
本車両の目的は、牽引車でなく、セグメント(例えば22t)を積載し、積載時及び空車時ともに走行可能とする必要があった。空車重量を14tとすると、積載時/空車時の重量比は36t/14tと非常に差があり、タイヤ車輪だけで積載時の荷重を受けるとすると、タイヤ車輪が非常に大きくなり現実的ではない。そこで、鉄車輪で積載時、空車時ともに総重量の65〜85%を受けることにより、装置の小型化が可能となる。
【0025】
また、鉄車輪で積載時、空車時ともに総重量の65〜85%を受けることにより、鉄車輪を駆動輪とすることで、積載時はもちろん空車時でも必要な駆動力を確保することができる。
ここで、鉄車輪側のスプリングのばね係数をk1、圧力が設定値に保たれたタイヤ車輪側のタイヤをばねとみなしてばね係数をk2として、例えば、k1=3×k2の関係になるばね係数k1のスプリングを採用すれば、
鉄車輪の車輪軸に加わる力F1=k1×x
タイヤ車輪の車輪軸に加わる力F2=k2×x (xは台車の高さ方向の変位)
となり、通常xは等しいので、常に鉄車輪で総重量の75%を受けることができる。
【0026】
つまり、タイヤの選定、タイヤの空気圧の設定と、鉄車輪側のスプリングばねの設定との協調をとることにより、鉄車輪、タイヤ車輪の受ける荷重割合をコントロールするものである。
本実施形態においても、鉄車輪3、4の軸受部12を支持するスプリング13の設定により、総重量の65〜85%を鉄車輪3、4で受けるように構成することができる。これにより、空車時でも鉄車輪3、4による駆動力、鉄車輪3、4を介しての制動力を確保することができる。
【0027】
また、鉄車輪3、4の軸受部12とこれを支持する車両本体1との間(軸受部12とスプリング13との間)、タイヤ車輪5A、5Bの軸受部22とこれを支持する車両本体1との間(タイヤ取付ブラケット21と車両本体1との間)、タイヤ車輪6A、6Bの軸受38とこれを支持する車両本体1との間(揺動ピン軸受部32と支持部31との間)に、それぞれシム14、25、39を介装して、各車輪の取付高さを調整可能としている。これにより、実車時の各車輪の耐荷重を考慮して、取付高さを設定することができる。但し、タイヤ車輪、鉄車輪の摩耗(車輪径の変化)により各軸での荷重が変化するため、摩耗後はシム14、25、39の再調整が必要である。
【0028】
また、主に鉄車輪3、4で荷重を受けることにより、主にタイヤ車輪で荷重を受ける場合のタイヤ車輪径に比べ、鉄車輪径を小型(例えばφ750mm)にでき、車両全体寸法を要求寸法に適合させることができる。
また、鉄車輪3,4の両フランジとレールRLとの係合によりステアリングする方式として、ステアリング装置を小型化、簡略化できる。但し、ステアリングのため、鉄車輪3、4は常にレールRLと接触してガイドされることが必要であり、追従性向上のためサスペンション機構(スプリング13)を組み込んでいる。
【0029】
タイヤ車輪の取付けについて、本実施形態では、走行方向左側のタイヤ車輪5A、6Aと右側のタイヤ車輪5B、6Bとをそれぞれ傾斜させて、タイヤ車輪側をセグメント坑内の円弧状の路面RSに合わせることにより、ステアリング性能の向上を図っている。但し、タイヤ車輪を傾斜設置することは必ずしも要しない。
タイヤ車輪の取付けについては、また、前後いずれか一対のタイヤ車輪5A、5Bについては固定方式、他の一対のタイヤ車輪6A、6Bについては揺動方式として、タイヤ車輪の4輪接地を確保している。片側を揺動方式とする理由は、タイヤ車輪の接触面の状態により3点支持となるのを回避するためである。両側を揺動方式としない理由は、荷が偏荷重の時に車体が片側に傾くのを避けるためである。
【0030】
また、制動装置については、鉄車輪3、4と、タイヤ車輪5A、5Bの両方に取付けることにより、様々なシーンで十分な制動力を確保している。
ここで、鉄車輪3、4側のディスクブレーキ15は常用ブレーキとし、タイヤ車輪5A、5B側のディスクブレーキ24は非常用ブレーキ(車両が非常停止の状態になったとき、例えば鉄車輪がレールから逸脱したときや鉄車輪側のブレーキが動作不良を起こしたときに作動するブレーキ)とする。また、鉄車輪3、4側の電磁ブレーキ18は車両停止後の駐車用ブレーキとする。
【0031】
尚、下記の各条件で、鉄車輪のブレーキのみ作動させたときと、鉄車輪のブレーキとタイヤ車輪のブレーキの両方を作動させたときとについて、制動距離を測定したところ、表1のようになった。これにより、鉄車輪とタイヤ車輪の制動を併用することで、制動距離が短縮されることが確認された。
条件1:平坦路、 実車31t、車速15km/h
条件2:下り(30/1000)、実車31t、車速10km/h
条件3:下り(13/1000)、実車31t、車速15km/h
【0032】
【表1】

【0033】
本実施形態によれば、車両本体1の左右方向中央部の前後方向に少なくとも2個設けられ、単一のレールRL上を転動可能な鉄車輪3、4と、車両本体1の左右前後に4個設けられ、路面上を転動可能なタイヤ車輪5A、5B、6A、6Bと、を備えて、駆動装置(電動機17)により鉄車輪3、4で駆動し、荷重を主に鉄車輪3、4で受けることができ、タイヤ車輪の大型化を抑えて、車輪の小型化を図ることができる。従って、車両全体をコンパクトにでき、特にトンネル内で制限される高さを抑えることができる。尚、鉄車輪3、4のみで駆動するのは、トンネル資材の運搬の目的から急発進の必要性が低いからでもある。
【0034】
また、4個のタイヤ車輪5A、5B、6A、6Bは車体左右方向のバランスを保持し安定性を向上させることができる。
一方でトンネル作業の安全性確保の面からは、急停車の必要性が大きいため、鉄車輪とタイヤ車輪の両方に制動装置(ディスクブレーキ15、24)を備えることで、優れた制動性能を得ることができる。
【0035】
また、レールRLは1本でよく、レール敷設の手間を軽減できる。その一方、レールRLの使用により、ステアリング機能を持たせ、ステアリング装置の小型化、簡略化を図ることができる。
また、本実施形態によれば、タイヤ車輪のうち、前後いずれか一対のタイヤ車輪5A、5Bの軸受部を固定し、他の一対のタイヤ車輪6A、6Bの軸受部をこれらのタイヤ車輪間の中間部を支点として上下方向に揺動可能に支持したことにより、タイヤ車輪の4輪接地を確保することができる。
【0036】
また、本実施形態によれば、タイヤ車輪の制動装置(ディスクブレーキ24)は、前後いずれか一対のタイヤ車輪のうち、軸受部固定側のタイヤ車輪5A、5Bに設けることにより、装置を複雑化をすることなく、コストダウンを図ることができる。
また、本実施形態によれば、鉄車輪の制動装置(ディスクブレーキ15)を常用ブレーキとし、タイヤ車輪の制動装置(ディスクブレーキ24)を非常用ブレーキとすることにより、大きな荷重を受ける鉄車輪を介して制動することで基本制動性能を確保する一方、非常停止時の制動性能を向上させることができる。
【0037】
また、本実施形態によれば、鉄車輪3、4の軸受部を支持するスプリング13の設定により、総重量の65〜85%を鉄車輪3、4で受けるように構成することにより、比較的簡単な構成で所望の荷重分担を達成することができる。
また、本実施形態によれば、各車輪の軸受部とこれを支持する車体本体との間にシム14、25、39を介在させて、各車輪の取付高さの調整を可能としたことにより、バランス調整等が可能であり、車輪の摩耗(車輪径の変化)にも対処可能となる。
【0038】
また、本実施形態によれば、鉄車輪3、4の駆動装置は、鉄車輪3、4のそれぞれに設けた電動機17により構成することで、中空軸減速機16の使用と合わせ、駆動系の簡略化を図ることができる。
尚、図示の実施形態はあくまで本発明を例示するものであり、本発明は、説明した実施形態により直接的に示されるものに加え、特許請求の範囲内で当業者によりなされる各種の改良・変更を包含するものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0039】
1 車両本体
3、4 鉄車輪
5A、5B、6A、6B タイヤ車輪
11 車輪軸
12 軸受部
13 スプリング(サスペンション)
14 シム
15 ディスクブレーキ
16 中空軸減速機
17 電動機
18 電磁ブレーキ
21 タイヤ取付用ブラケット
22 軸受部
23 車輪軸
24 ディスクブレーキ
25 シム
31 支持部
32 揺動ピン軸受部
33 揺動アーム
34 揺動ピン
35 ストッパ
36 ゴムバッファ
37 車輪軸
38 軸受部
39 シム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールドトンネル工事用運搬車両であって、
車両本体の左右方向中央部の前後方向に少なくとも2個設けられ、単一のレール上を転動可能な鉄車輪と、
車両本体の左右前後に4個設けられ、路面上を転動可能なタイヤ車輪と、
前記鉄車輪を駆動可能な駆動装置と、
前記鉄車輪及び前記タイヤ車輪をそれぞれ制動可能な制動装置と、
を含んで構成されるシールドトンネル工事用運搬車両。
【請求項2】
前記タイヤ車輪のうち、前後いずれか一対のタイヤ車輪の軸受部を固定し、他の一対のタイヤ車輪の軸受部をこれらのタイヤ車輪間の中間部を支点として上下方向に揺動可能に支持したことを特徴とする請求項1記載のシールドトンネル工事用運搬車両。
【請求項3】
前記タイヤ車輪の制動装置は、前後いずれか一対のタイヤ車輪のうち、軸受部固定側のタイヤ車輪に設けられることを特徴とする請求項2記載のシールドトンネル工事用運搬車両。
【請求項4】
前記鉄車輪の制動装置を常用ブレーキとし、前記タイヤ車輪の制動装置を非常用ブレーキとしたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のシールドトンネル工事用運搬車両。
【請求項5】
前記鉄車輪の軸受部を支持するスプリングの設定により、総重量の65〜85%を前記鉄車輪で受けるように構成したことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載のシールドトンネル工事用運搬車両。
【請求項6】
前記各車輪の軸受部とこれを支持する車体本体との間にシムを介在させて、前記各車輪の取付高さの調整を可能としたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載のシールドトンネル工事用運搬車両。
【請求項7】
前記駆動装置は、前記鉄車輪のそれぞれに設けた電動機により構成されることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載のシールドトンネル工事用運搬車両。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−220056(P2011−220056A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92758(P2010−92758)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【出願人】(510195032)新トモエ電機工業株式会社 (3)