説明

シールポットおよびシールポット内の固体粒子の流速を制御する方法

燃焼発電プラント用のシールポット(100)は、前記燃焼発電プラントの固体粒子を受け取る降下用直立管(15)と、前記降下用直立管に接続された第1端部と、当該第1端部と反対側にある第2端部とを有する床(20)と、前記床の前記第2端部に設けられた排出用直立管(30)と、前記床と前記排出用直立管との間に設けられ、前記排出用直立管を前記床から分離するオリフィス板であって、前記床から或る高さに設けられた、流動化された固体粒子とガスとを通過させる複数の開口部を備えたオリフィス板(110)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示内容は、広く、シールポットおよびシールポット内の固体粒子流速を制御する方法に関する。より具体的には、複数の開口部を有するシールポットおよび当該シールポット内の固体粒子流速を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流動床燃焼(FBC; fluidized bed combustion)は、発電プラントで用いられる燃焼技術(特に、固体燃料を燃焼させる、技術)である。FBC発電プラントは、特に石炭や石炭廃棄物やバイオマスなどの燃料によって点火させることができるという点において、従来の発電プラントもよりも柔軟性がある。FBCという用語には、流動床(fluidized bed)プロセスが全て含まれる。流動床プロセスには、循環流動床(circulating fluidized bed)ボイラー、気泡流動床(bubbling fluidized bed)ボイラーやこれらの組み合わせが含まれる。FBC発電プラントにおいて、流動床は、燃焼室における燃焼プロセスにおいて、上方に吹き付けられるエアジェットの上に保持される。これにより、タンブリング作用が生じ、この結果、気体と固体粒子との激しく混合する。タンブリング作用は流体の気泡に良く似ており、燃焼室における化学反応および熱伝導をより効果的にする手段である。
【0003】
硫黄を成分として含む燃料(例えば石炭)の燃焼プロセスにおいては、硫黄は酸化され、基本的には気体のSO2が発生する。特に、FBCは、SO2という状態で排出された硫黄の発生量を脱硫プロセスによって抑える。燃焼プロセス中の煙道ガスからSOを吸着するために、例えばCaCO3を含む石灰石など好ましい吸着剤が用いられる。燃料の燃焼および硫黄の吸着の両者を促進させるために、FBC発電プラントは従来の燃焼プラントよりも低い温度で運用される。具体的には、FBC発電プラントは、典型的には、約850℃から約900℃の範囲で運用される。これにより、石炭は低い温度で燃焼され、燃焼中に生じるNOxは他の石炭燃焼プロセスよりも少なくなる。
【0004】
更に燃料の利用および硫黄吸着の効率を向上させるため、よくサイクロン型分離機を用いて、燃焼室から出た煙道ガスの中を浮遊する固体粒子(すなわち未利用の固体粒子および/または石灰石)を分離する。離された固定粒子は、再循環パイプ等の再循環手段によって燃焼室に戻され、再び燃焼プロセスで用いられる。シールポットは、しばしば「j−leg」と呼ばれ、燃焼室とサイクロン型分離機との間を封止し、燃焼室からの煙道ガスが再循環パイプを通って逆方向に流出することを防止する。逆方向とは、分離された固体粒子が燃焼室に流入する方向と反対の方向のことである。
【0005】
FBC発電プラントにおける空調システムは、多くの機能を実現するために設計されている。例えば、空気は、燃料、燃料灰、吸着剤を含む床(bed)を流動化させ、十分に空気と混合させることにより、燃焼や熱の移動を促進し、排出物(SO2、CO、NOx、N2Oなど)を減少させるために用いられる。これらの機能を実現するために、空調システムは、空気(一次空気(PA;primary air)および二次空気(SA;secondary air)によって区別される)を様々な位置、流速、流量で噴射する。
【0006】
更に、図1に示すように、流動化されて移動する空気の多くはシールポットに供給され、固体粒子およびガスの流れを促進する。図1に示すように、従来技術のシールポット10は、降下用直立管15、流動化/移動床20、流動化空気供給源25、排出用直立管30、移動用空気供給源35、および流動化/移動床20と排出用直立管30とを隔てる堰40を有する。流動化/移動床20は、流動化用空気供給源25からの流動化された空気が供給される流動化領域と、移動用空気供給源35からの移動用空気が供給される移動領域とを含む。流動化用空気供給源25および移動用空気供給源35は、図1に示すように独立した構成要素であってもよいし、図には示されていないが、一つの空気供給源として構成されていてもよい。
【0007】
図1に示すように、従来のシールポット10においては、燃焼プロセスからの固体粒子は、サイクロン型分離機(図示せず)から降下用直立管15を通って下方に流れ、流動化/移動床20にたどり着く。固体粒子は、流動化用空気供給源25および/または移動用空気供給源35からの流動化用空気によって、流動化/移動床20の流動化領域にて流動化される。流動化された固体粒子は、流動化用空気供給源25およびまたは30から供給される流動化用空気によって、流動化/移動床20の移動領域を経由して排出用直立管25まで運ばれる。これにより、排出用直立管30の膨張床が形成される。より具体的には、固体粒子は、堰40の上方、膨張床から堰の高さHweirまで運ばれ、その結果、固体粒子の一部は堰を越えて排出用管30に流れる。加えて、流動化用空気供給源25からの空気および移動用空気供給源35からの空気の多くは、排出用直立管30を経由して燃焼室へ流れる。よって、シールポット10はシールを形成し、この結果、燃焼室内の煙道ガスがシールポット10を介して逆流すること(降下用直立管15を通って上方に流れ、サイクロン(図4の105で示される)に到達すること)が防止される。
【0008】
従来のシールポット10においては、固体/ガス反応の不安定性(特に動作状況の変化やそれに伴うガスや固体粒子が排出用直立管30を通って燃焼室(図示せず)に流れ込む速度の変化)のために、膨張床のサイズを制御するのが困難であった。この結果、過剰の固体粒子が堰40を越えて流入し、すなわちシールポット10の膨張床のサイズが突然大きくなり、この結果、下流の燃焼室における流動化用空気の分布が乱れる場合があった。このような場合、システムに圧力変化の周期的変動が発生する場合がある。
【0009】
更に、シールポット10内の固体粒子に許容される流速の変化範囲は、従来のシールポット10では限られていた。これは、異なる流速をもち堰40を越える固体粒子の数を正確に制御するべく、膨張床のサイズを正確に調節することができないためである。換言すれば、固体粒子は本質的に堰を越えるか否かであるところ、正確な個々の粒子の流速というものは定義することができず、従って上述の通り、特に作動状態の変化する場合、様々な流速において安定した連続的な流れを実現することは、困難である。
【0010】
従って、固体粒子の流れの制御が改善され、固体粒子の流れの変動が低減され、安定状態での封止メンテナンス性が向上し、煙道ガスの漏れが低減され、固体粒子の突発的なオーバーフローが抑制され、シールポットを用いた固体粒子の流れ制御のターンダウン比(turndown rate)が向上するといった効果(ただし、これらの効果に限定されるという意味ではない)を有するシールポット、およびこのシールポット内の固体粒子の流速を制御する方法を開発することが望まれている。
【発明の開示】
【0011】
図面に示されるように、本発明は、燃焼発電プラントのためのシールポットが提供される。このシールポットは、燃焼発電プラントの固体粒子を受け入れる降下用直立管と、第1の端と前記第1の端と反対側の第2の端とを有する床、前記床の前記第2の端に設けられる排出用直立管とを有し、前記第1の端は前記降下用直立管と接続される。オリフィス板が前記ベッドと前記排出用直立管の間に設けられ、前記床と前記排出用直立管とを分離する。前記オリフィス板は、前記ベッドの上方に設けられた複数の開口部を有し、流動化された固体粒子およびガスを前記オリフィス板を通じて制御された割合で移動させる。
【0012】
図面に示されるように、本発明は他の観点において、流動床燃焼発電プラントの固体粒分離装置と前記流動床燃焼発電プラントの燃焼室との間の封止を保つ方法を提供する。この方法は、降下用直立管を前記流動床燃焼発電プラントの前記固体収支分離装置に接続するステップと、排出用直立管を前記床の第2の反対側の端部と、前記流動床燃焼発電プラントの前記燃焼室との間に配置するステップと、オリフィス板を前記床と前記を床から分離させる前記排出用直立管との間に配置するステップとを有する。前記オリフィス板は、前記床の実質的上方にある位置に設けられた複数の開口部を有し、前記複数の開口部によって、流動化された固体粒子およびガスがオリフィス板を介して移動することが可能となる。
【0013】
上述した特徴その他の特徴は、以下に示す図および詳細な説明によって例示される。なお、図において、同一の要素には同一の符号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来のシールポットの模式的断面図である。
【図2】本発明の一実施例におけるシールポット10の模式的断面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿って見た模式図的断面図であって、図2に示す本発明の一実施例に係るシールポットオリフィス板を表す図である。
【図4】本発明の一実施例に係る、図2のシールポットを用いた流動床燃焼発電プラントの断面図を模式的に示した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、シールポットおよびシールポット内の流速を制御する方法、特に、オリフィス板を有するシールポットおよび当該シールポット内の固体粒子の流速を制御する方法を説明する。図2に示すように、本発明の一実施例に係るシールポット100は、降下用直立管15を有する。降下用直立管15は、サイクロン型分離装置105(図4に示す)等の固体粒子分離装置(図示せず)から供給される固体粒子を受け入れる。なお、サイクロン型分離装置105は単なる一例であって、本発明はこれに限定されるものではない。降下用直立管15は、固体粒子をシールポット100の流動化/移動床20に供給する。流動化用空気供給源25等から供給される前記流動化/移動床20の流動化領域には、流動化用空気供給源25等から供給された流動化用空気が供給される。あるいは、流動化用空気供給源25等から供給された流動化用空気に替えて、流動化/移動床20の移動領域に、移動用空気供給源35から供給された移動用空気などの移動ガスが供給されてもよい。あるいは、流動化用空気供給源25等から供給された流動化用空気および移動用空気供給源35等から供給された流動化用空気が流動化/移動床20の移動領域に供給されるようにしてもよい。流動化用空気供給源25および移動用空気供給源35は、図2に示すように独立した構成であってもよいし、両者は単一の空気供給源(図示せず)の構成要素であってもよい。
【0016】
シールポット100の排出用直立管30は、流動化/移動床20の移動領域に実質的に対応する領域において、流動化/移動床20と接続されている。更に、図2に示すように、オリフィス板110は、排出用直立管30と流動化/移動床20との間に設けられる。オリフィス板110は、固体粒子の通過を制限し、流動化/移動床20からの流体を排出用直立管30へ移動させる複数の開口部を有する。
【0017】
図2および3に示すように、オリフィス板110の複数の開口部は、流動化/移動床20の上方の位置に設けられる。複数の開口部は、1以上の固体粒子用開口部210と1以上のガス用開口部220とを含む。一実施例においては、固体粒子用開口部210がガス用開口部220よりも下方の位置に設けられる。具体的には、固体粒子用開口部210は、ガスおよび固体粒子を燃焼室300(図4参照)に流すための排出用直立管30のある部分を基準として、ガス用開口部220の下方に設けられる。より具体的には、固体粒子用開口部210は、堰の高さHweirよりも高く且つ最大膨張床の高さよりも低い位置にある。一方、ガス用開口部220は、最大膨張床の高さ(図3参照)よりも高い位置にある。この結果、流動化/移動床20に保持された流動化された固体粒子は、固体粒子分離装置105と燃焼室300との間の封止材として機能する。
【0018】
図3に示すように、一実施例においては、複数の開口部列が設けられる。複数の開口部列は、堰の高さHweirよりも上方で且つ最大膨張床の高さよりも下方に設けられ少なくとも1つの固体粒子用開口部210を有する第1の開口部列と、第1の開口部列よりも上方に設けられ且つ最大膨張床の高さよりも低い位置に設けられた第2の少なくとも1つの固体粒子用開口部210を有する第2の開口部列と、第2の開口部列よりも上方に設けられ且つ膨張床の最大高さよりも低い位置に設けられた少なくとも1つの固体粒子用開口部210を有する第3の開口部列と、最大膨張床の高さよりも高い位置に設けられた少なくとも1つのガス用開口部220を有する第4の開口部列とを有する。他の実施例においては、上述した構成に限定されない。すなわち、4つよりも大きい数の開口部列あるいは4つよりも小さい数の開口部列を用いてもよい。例えば、一実施例において、固体粒子用開口部210を有する第1の開口部列および第2の開口部列と、ガス用の開口部220を有する第3の開口部列を備えても良い。よって、一実施例において、シールポット100内を流れる固体粒子全体の総量は、シールポット100内を流れることが許容される最大の流量に等しい。
【0019】
本実施例に係るシールポット100の動作の詳細を図2および3を用いて説明する。降下用直立管15は、固体粒子(すなわち、燃焼プロセスで生じたサイクロン型分離装置105(図4)から発生する粒子)を受け入れる。固体粒子は、降下用直立管15において下方に、すなわち流動化/移動床20へ向かって流れる。固体粒子は流動化/移動床20にたどり着くと、流動化用空気供給源25から供給される流動化用空気および/または移動用空気供給源35から供給された移動用空気と混合され、流動化/移動床20(図2)の流動化領域において、流動化された固体粒子を形成する。
【0020】
この結果、流動化された固体粒子は、流動化用空気供給源25および/または移動用空気供給源35から供給された空気とともに、膨張床を形成する。図2に示すように、膨張床は流動化/移動床20を出て上方に押し上げられ、排出用直立管30に到達する。図3に示すように、膨張床は、オリフィス板110の固体粒子用開口部210に向かって排出用直立管30の上方に膨張する。より具体的には、膨張床の高さHbed expansionが堰の高さHweirを超えると、膨張床はオリフィス板110と接触する。膨張床の高さHbed expansionが更に増すと、膨張床は固体粒子用開口部210に到達し、固体粒子は固体粒子用開口部210を通過して燃焼室300(図4)に向かって下方に流れる。固体粒子の流れが固体粒子用開口部210の各列の制限を越えると、固体粒子は次に高い列に到達するまで上方に膨張する。固体粒子の流れは、供給される流動化用/移動用の空気に加え、固体粒子用開口部210の列の数および配置に基づいて制御される。
【0021】
固体粒子がオリフィス板110の固体粒子用開口部210を介して流れるのに伴い、膨張床のガス(すなわち流動化用空気供給源25および/または移動用空気供給源35から供給された空気)もまた上方へ流れ排出用直立管30に入り込む。上方に流れたガスは、ガス用開口部220を介して燃焼室300に向かって流れる。
【0022】
よって、ガス用開口部220に流れ込むガスと、固体粒子用開口部210に流れ込む固体粒子の両方とも、下方すなわち燃焼室300(図4)に向かって流れ、燃焼室300に戻される。
【0023】
一実施例おいて、シールポット100内の固体粒子の流速は、それぞれ流動化用空気供給源25およびまたは移動用空気供給源35から供給された流動化用空気およびまたは移動用空気の流速に基づく。一般的に、固体粒子の流速は流動化用空気およびまたは移動用空気の速度と関係がある。例えば、流動化用空気およびまたは移動用空気の速度が増すと、(上述の詳細な説明の通り、接触する固体粒子用開口部210が増え、)シールポット100内の対応する固体粒子の速度は増す。従って、シールポット100を有する発電プラント(図示せず)の動作に基づき、流動化用空気およびまたは移動用空気の速度を調節することによって、固体粒子の好ましい流速が維持される。
【0024】
他の実施例において、前記シールポット100内の固体粒子の流速は、固体粒子が固体粒子用開口部210を通過して流れることができるように、固体粒子と接触する固体粒子用開口部210の総数に基づく。ここで、「接触する」の一例には、「晒される」という状態が含まれる。より具体的には、固体粒子の流速は、実質的に、固体粒子に晒されている固体粒子用開口部210の総数に比例し、固体粒子に晒されている固体粒子用開口部210の総数が増えると、シールポット100内の固体粒子の流速も増加することになる。よって、固体粒子の流速は、シールポットを備えた発電プラント(図示せず)の動作に応じて、固体粒子用開口部210の総数を介して膨張床の高さを調節することで所望の値に維持される。
【0025】
更に他の実施例においては、前記シールポット100内の固体粒子の流速は、固体粒子用開口部210の少なくとも1つの開口径に基づく。具体的には、固体粒子の流速は、所定の固体粒子用開口部210の径に実質的に比例する。より具体的には、固体粒子用開口部210の径が大きくなると、固体粒子が通過することができる固体粒子用開口部210の断面積が大きくなり、シールポット100内の固体粒子の流速が増加する。よって、固体粒子の流速は、シールポットを備えた発電プラント(図示せず)の動作に応じて、固体粒子用開口部210の径を調節することで、所望の範囲に維持される。更に他の実施例において、固体粒子用開口部210は、それぞれ異なる径の開口部を有してもよい。例えば、各固体粒子用開口部210の径は同一である必要はない。さらに、固体粒子用開口部210の断面の形状は、図3に示すように、実質的に楕円であってもよい。ただし、断面形状は楕円に限られず、シールポット100内の固体粒子の流速を制御するために断面形状を変更してもよい。例えば、固体粒子用開口部210の断面形状は円、長方形、正方形、三角形、多角形やこれらの組み合わせである。
【0026】
更に他の実施例において、シールポット100内の固体粒子の流速は、各固体粒子用開口部210の高さに対する膨張床ラインの高さに基づいてもよい。より具体的には、固体粒子の流速は、流動化/移動床20の上方の固体粒子用開口部210の高さに比例する。固体粒子用開口部210を用いた膨張床の高さが増すと、シールポット100内の固体粒子の流速が増大する。従って、例えば、固体粒子の流速は、シールポットを備えた発電プラント(図示せず)の動作に応じて、流動化/移動床20の上方の固体粒子用開口部210を用いた膨張床の高さを調節することで、所望の値に維持される。
【0027】
よって、一実施例によれば、流動化用空気および/または移動用空気の速度、固体粒子用開口部210の総数、各固体粒子用開口部210の径、および/または各固体粒子用開口部210の高さを変更することによって、固体粒子の流速の範囲は、実質的に増えるかまたはシールポット100において事実上最大となる。加えて、上述したようにシールポット100の高さを変更することにより、固体用粒子の流速の改善された範囲を超えても正確な制御を行うことができる。本発明の他の実施例によれば、上述した流速の制御方法に限定されず、本明細書に記載された複数の方法を全て用いてもよいし、当該複数の方法を任意の態様で組み合わせて用いてもよいが、この実施例に限定される必要もない。更に、本発明は、発電のための燃焼処理に限定されるものではなく、任意の固体粒子の配置、移動、その他のシールポットを利用した応用に適用することができる。
【0028】
一実施例において、図4に示すように、固体粒子用制御バルブ205が、流動化/移動床20の移動領域に実質的に対応する領域の実質的に反対側にある、流動化/移動床20の領域において、流動化/移動床20と接続されていてもよい。
【0029】
固体粒子用制御バルブ205(図4)は、流動化/移動床20の流動化領域における流動化された固体粒子のうち所定の一部を、排出用直立管30に導く。例えば、固体粒子の当該一部は、図4を用いて詳細に後述するように、流動化/移動床20の移動領域に到達する前に、燃焼室300に戻される。あるいは、他の実施例において、固体粒子用制御バルブ205は省略されてもよいし、または圧力シール(pressure seal;図示せず)や制御バルブ(図示せず)などの他の部材で置き換えられてもよい。なお、他の部材はこれらに限定されない。
【0030】
図4を参照すると、一実施例において、燃焼発電プラント310(より具体的には、流動床 燃焼(FBC)発電プラント310)は、燃焼室300、固体粒子分離装置105(例えばサイクロン型分離装置105)およびシールポット100を有する。FBC発電プラントの炉である300には、一次空気(PA)315、二次空気(SA)320および燃料325が供給される。加えて、石灰石等の他の物質(図示せず)などが炉300に供給されてもよい。あるいは、他の実施例においては、上述した構成要素や物質に限られない。
【0031】
他の実施例において、燃焼室300は循環型流動床(CFB;circulating FB)を有する焼室などのFBCタイプの燃焼室である。ただし、本発明はこの実施例に限られない。例えば、燃焼室300は気泡流動床型の(bubbling FB、BFB)燃焼室、移動流動床型の燃焼室または化学ループ型の燃焼室でもよい。
【0032】
燃焼室300において燃料325が燃焼すると、ガスおよび固体粒子を含む燃焼生成物が燃焼室300から排気管を通じて放出され、サイクロン型分離装置105に流入する。サイクロン型分離装置105はそこから固体粒子を分離し、その固体粒子をシールポット100の降下用直立管15に供給する。ガスは、サイクロン型分離装置105から中央ダクト335を通じて排出され、水平ダクト340を通じて環境制御設備(図示せず)などのFBC発電プラント310の構成要素に供給される。
【0033】
サイクロン型分離装置105にて分離された固体粒子は、シールポット100の降下用直立管15に導かれる。他の実施例において、図2および図3を用いて詳細に説明したように、固体粒子はシールポット100の排出用直立管30を通じて燃焼室300に戻される。
【0034】
他の実施例において、固体粒子用制御バルブ205は、シールポット100の流動化/移動床20内の流動化された固体粒子の所定の一部を、流動床熱交換吸気管360を通じて流動床熱交換器350に導く。図4に示すように、流動床熱交換器350によって導かれた流動化固体粒子は、燃焼室300に、流動床熱交換器排気管370を通じて供給される。他の実施例においては、固体粒子用制御バルブ205、流動床熱交換器吸気管360、流動床熱交換器350、流動床 熱交換器排気管370を設けなくてもよい。さらに他の実施例においては、上述したものに限られない。例えば、固体粒子分離装置105と図4のFBC発電プラント310の燃焼室300との間の封止を維持する方法には、シールポット100の降下用直立管15を固体粒子分離装置105に接続するステップ、シールポット100の流動化/移動床20を降下用直立管15に接続するステップ、およびオリフィス板110を有する排出用直立管30を流動化/移動床20と燃焼室300との間に接続するステップとが含まれる。
【0035】
この方法は、更に、固体粒子分離装置105から固体粒子を受け取って降下用直立管15に提供するステップ、流動化用空気供給源25(図2)から供給される空気を用いて固体粒子を流動化させるステップ、および/または流動化された固体粒子を、移動用空気供給源35(図2)から供給される空気を用いて、排出用直立管30まで移動させるステップ、流動化/移動床20から流動化された固体粒子を受け取って排出用直立管30に供給するステップ、流動化用空気供給源25と移動用空気供給源35とから供給された空気を受け取って排出用直立管30に供給するステップ、流動化された固体粒子と流動化用空気供給源25から供給された空気と、移動用空気供給源35から供給された空気とを、オリフィス板110の複数の開口部と排出用直立管30とを通じて、燃焼室300に導くステップとを有する。本発明は、排出用直立管30まで移動する流動化された固体粒子の流速を、固体粒子用開口部210の径(断面領域)、固体粒子用開口部210の形状、固体粒子用開口部210の総数、固体粒子用開口部210の高さおよび/または移動用空気供給源35から供給される空気の流速のうち少なくともいずれか1つに基づいて、制御するものである。
【0036】
一実施例において、シールポットには複数のオリフィス排気機構が設けられ、シールポット内の固体粒子の流速が制御される。従って、シールポットによって、固体粒子の流れを制御する範囲が、実質的に拡大されまたは効率的に改善される。
【0037】
加えて、このシールポットによれば、安定して密閉状態を持続する能力が向上し、通気管を通じたガスの漏れが抑制され、固体粒子が過剰になること(オーバーフロー)が抑制され、バーナ負荷調整範囲(turn down ratio)が向上する。
【0038】
上述した実施例においては、流動床燃焼発電プラントに関連するシールポット、循環流動床ボイラー、化学ループ反応装置を説明したが、他の実施例においてはこれに限られない。他の実施例において、シールポットはどのような種類の発電プラントに用いられてもよい。例えば、気泡流動床ボイラーや、従来の発電プラントや流動床燃焼発電プラントの変形であるが、本発明はこれらに限定されない。
【0039】
加えて、上述した実施例ではシールポットが1つの場合について説明したが、本発明は、複数のシールポットを設け、共通の降下用直立管から固体粒子を受け取って、流動化され固体粒子およびガスを、様々な構成要素および/または位置へ、各シールポットに対応した複数の排出用直立管を通じて分散させるようにしてもよい。よって、対応する流動化された固体粒子やガスの流れの各々についての、流速やその他のパラメータは、これまで詳説してきた各シールポットの各々の特性に基づいて制御されてもよい。シールポットは発電プラントのプロセスを制御するものとして説明してきたが、本発明は、本発明に係るシールポットを、システムにおいて固体粒子の流れおよび/または圧力の制御が必要とするような任意のプロセスに用いてもよい。
【0040】
本発明は上述した様々な実施例によって説明されたが、本発明の範囲を逸脱しない限り、当業者が種々の変更を加えたり、本発明の構成を均等物によって置き換えたりしてもよい。更に、本発明の本質的な範囲を逸脱することなく、本発明の開示内容に沿って、個別の状況または物質に適合させるべく、多数の変形を行ってもよい。従って、本発明は、発明を実施するために最適な実施例として開示された個々の実施例に限定して解釈されるものではなく、特許請求の範囲に記載された内容の範囲の全実施例を含むものである。
【0041】
アメリカ合衆国政府は、本発明について、アメリカ合衆国エネルギー省によって与えられた契約番号DE−FC26−03NT41866に従った権利を保有する。
【0042】
本願は、2009年3月31日に出願された米国仮出願番号61/165,072についての優先権を主張し、これに伴う米国特許法第119条に基づく全ての利益を主張する。その内容を全てここに援用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼発電プラント用のシールポットであって、
前記燃焼発電プラントの固体粒子を受け取る降下用直立管と、
前記降下用直立管に接続された第1端部と、当該第1端部と反対側にある第2端部とを有する床と、
前記床の前記第2端部に設けられた排出用直立管と、
前記床と前記排出用直立管との間に設けられ、前記排出用直立管を前記床から分離するオリフィス板であって、前記床から或る高さに設けられた、流動化された固体粒子とガスとを通過させる複数の開口部を備えたオリフィス板と
を有するシールポット。
【請求項2】
前記降下用直立管は、固体粒子分離装置から前記固体粒子を受け取れ、
前記床は、前記床の前記第1の端部において前記降下用直立管から前記固体粒子を受け入れ、前記固体粒子を前記ガスを用いて流動化させ、前記床の第2の端部において該流動化された固体粒子および前記ガスを、前記オリフィス板を通じて前記排出用降下管まで移動させ、
前記排出用直立管は、該流動化された固体粒子および前記ガスを前記床から、前記複数の開口部のうちの少なくとも1つを通じて受け入れ、該流動化された固体粒子および前記ガスを前記燃料発電プラントまで導く
ことを特徴とする請求項1に記載のシールポット。
【請求項3】
前記燃焼発電プラントは、流動床燃焼発電プラント、循環流動床ボイラー、気泡流動床ボイラー、移動流動床ボイラーおよび化学ループ燃焼室の少なくともいずれか一つを含む
ことを特徴とする請求項1に記載のシールポット
【請求項4】
前記複数の開口部は、固体粒子用開口部と、前記固体粒子用開口部によりも上方に設けられたガス用開口部を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のシールポット。
【請求項5】
前記固体粒子用開口部は、堰の高さよりも高く最大床膨張高よりも低い位置に設けられる
ことを特徴とする請求項4に記載のシールポット。
【請求項6】
前記ガス用開口部は前記最大床膨張高よりも高い位置に設けられる
ことを特徴とする請求項5に記載のシールポット。
【請求項7】
前記オリフィス板は、前記床を規定する底部から、前記床の実質的上方の位置までにわたって形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のシールポット。
【請求項8】
前記床内の前記固体粒子を流動化させる前記ガスは、流動化用空気供給源から供給される空気を含み、
該流動化された固体粒子は、移動用空気供給源から供給された空気を用いて、前記排出用直立管まで移動させられ、
該流動化され前記排出用直立管まで移動させられる固体粒子の流速は、前記移動用空気供給源から供給された空気の流速、前記複数の開口部の総数、前記複数の開口部のうちの1つの開口部の径、前記複数の開口部のうちの1つの断面形状、前記複数の開口部のうちの1つの面積、および前記複数の開口部のうちの1つの断面形状が設けられる高さのうちの少なくとも1つに基づいて制御される
ことを特徴とする請求項1に記載のシールポット。
【請求項9】
該流動化された固体粒子の前記流速は、前記流動化用空気供給源から供給された前記空気の流速に更に基づいて制御される
ことを特徴とする請求項8に記載のシールポット。
【請求項10】
前記床内の前記固体粒子を流動化させる前記ガスは、流動化用空気供給源から供給される空気を含み、
該流動化された固体粒子は、移動用空気供給源から供給された空気を用いて、前記排出用直立管まで移動させられ、
該流動化され前記排出用直立管まで移動させられる固体粒子の流速の範囲は、前記移動用空気供給源から供給された空気の流速、前記複数の開口部の総数、前記複数の開口部のうちの1つの開口部の径、前記複数の開口部のうちの1つの断面形状、前記複数の開口部のうちの1つの面積、および前記複数の開口部のうちの1つの断面形状が設けられる高さのうちの少なくとも1つに基づいて、制御される
ことを特徴とする請求項1に記載のシールポット。
【請求項11】
前記床の前記第1端部に接続された固体粒子用制御バルブを更に有し、前記固体粒子用制御バルブは、前記燃焼発電プラントへ移動する固体粒子の流速を、該流動化された固体粒子の流速と、前記排出用直立管を通じて前記燃焼室に導かれる前記ガスとに基づいて、制御する
ことを特徴とする請求項1に記載のシールポット。
【請求項12】
前記複数の開口部は、
少なくとも1つの固体粒子用開口部を有する第1開口部列と、
少なくとも1つの固体粒子用開口部を有する第2開口部列と、
少なくとも1つのガス用開口部を有する第3開口部列と
を有し、
前記第1開口部列は、堰の高さよりも上方で最大床膨張高よりも下方に設けられ、
前記第2開口部列は、前記第1開口部列よりも上方で前記最大床膨張高よりも下方に設けられ、
前記第3開口部列は、前記最大床膨張高よりも上方に設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載のシールポット。
【請求項13】
前記床は、流動床および移動床の少なくともいずれか1つを含む
ことを特徴とする請求項1に記載のシールポット。
【請求項14】
各々、該流動化された固体粒子およびガスを、前記降下用直立管から対応する排出用直立管まで移動させる複数のシールポットを更に有する
ことを特徴とする請求項1に記載のシールポット。
【請求項15】
燃焼発電プラントの固体粒子分離装置と該燃焼発電プラントの燃焼室との間の封止を維持する方法であって、
降下用直立管を前記燃焼発電プラントの分離装置と接続するステップと、
前記床の第1端部を前記降下用直立管と接続するステップと、
排出用直立管を前記床の前記第1端部の反対側の第2端部に設けるステップと、
前記排出用直立管を前記床から分離するオリフィス板であって、前記床から或る高さに設けられた、流動化された固体粒子とガスとを通過させる複数の開口部を備えたオリフィス板を、前記床と前記排出用直立管との間に設けるステップと
を有する方法。
【請求項16】
前記降下用直立管において前記固体粒子分離装置から固体粒子を受け入れるステップと、
前記床の前記第1端部において、前記床における前記第1降下用直立管から前記固体粒子を受け入れるステップと、
ガスを用いて前記固体粒子を流動化させるステップと、
該流動化された固体用粒子と前記ガスとを、前記床の第2端部において前記オリフィス板を通じて前記排出用直立管まで移動させるステップと、
該流動化された固体粒子と前記ガスとを、前記排出用直立管において、前記複数の開口部のうちの2つ以上を通じて、前記床から受け入れるステップと、
該流動化された固体粒子と前記ガスとを前記燃焼室まで導くステップと
を有し、
該流動化され前記排出用直立管まで移動させられる固体粒子の流速は、前記移動用空気供給源から供給された空気の流速、前記複数の開口部の総数、前記複数の開口部のうちの1つの開口部の径、前記複数の開口部のうちの1つの断面形状、前記複数の開口部のうちの1つの面積、および前記複数の開口部のうちの1つの断面形状が設けられる高さの少なくとも1つに基づいて、制御される
ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記燃焼発電プラントは、流動床燃焼発電プラント、循環流動床ボイラー、気泡流動床ボイラー、移動流動床ボイラーおよび化学ループ燃焼室の少なくともいずれか一つを含む
ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の開口部は、堰の高さよりも上方で最大膨張床高よりも下方に設けられた固体粒子用開口部を含む
ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の開口部は、最大膨張床高よりも上方に設けられたガス用開口部を含む
ことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記床は、流動床および移動床の少なくとも1つを有する
ことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項21】
固体用粒子を受け入れる吸気管と
前記吸気管に接続された第1端部と前記第1端部の反対側の第2端部とを有する床と、
前記床の前記第2端部に設けられた排出管と、
前記床と前記排出管との間に設けられ、前記排出管を前記床から分離するオリフィス板であって、前記床から或る高さに設けられた、流動化された固体粒子とガスとを通過させる複数の開口部を備えたオリフィス板と
を有するシールポット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−522207(P2012−522207A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503615(P2012−503615)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/029211
【国際公開番号】WO2010/117789
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5400 Baden, Switzerland
【Fターム(参考)】