シールリングを用いた連結構造
【課題】第1嵌合部を有する第1部材と、第2嵌合部を有する第2部材とを軸方向の同じ個所で固定とシールとを行い得て、連結部の軸方向の所要長さを短くでき、コンパクト化することができるとともに、脱着性も良好なシールリングを用いた連結構造を提供する。
【解決手段】第1嵌合部80を備えた第1部材4Cと、第2嵌合部86を備えた第2部材66とを、径方向に弾性圧縮状態に介挿したOリング108によるシール状態で連結する連結構造であって、第2嵌合部86の挿込方向の先端側に第1嵌合部80側に突出してOリング108に対し挿込方向と反対の後退方向に係合する第2係合部を設ける一方、第1嵌合部80には、Oリング108よりも後側位置で第2嵌合部86側に突出し、Oリング108に対して第2嵌合部86の挿込方向に係合する第1係合部を設けて、それらにより第2嵌合部86をOリング108を介して第1嵌合部80から抜け止めする。
【解決手段】第1嵌合部80を備えた第1部材4Cと、第2嵌合部86を備えた第2部材66とを、径方向に弾性圧縮状態に介挿したOリング108によるシール状態で連結する連結構造であって、第2嵌合部86の挿込方向の先端側に第1嵌合部80側に突出してOリング108に対し挿込方向と反対の後退方向に係合する第2係合部を設ける一方、第1嵌合部80には、Oリング108よりも後側位置で第2嵌合部86側に突出し、Oリング108に対して第2嵌合部86の挿込方向に係合する第1係合部を設けて、それらにより第2嵌合部86をOリング108を介して第1嵌合部80から抜け止めする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はOリング等のシールリングを用いた一対の部材の連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
筒状をなす雌嵌合部又は雄嵌合部から成る第1嵌合部を備えた第1部材と、筒状をなし、第1嵌合部に対し流路の流れの方向に軸方向に挿し込まれて第1嵌合部に嵌合する雄嵌合部又は雌嵌合部から成る第2嵌合部を備えた第2部材とをシール状態で連結するための連結構造として、ねじ部でそれらを結合固定し、また他の個所でそれらの間に介装したOリングによってシールする構造が従来公知である。
【0003】
図11はその具体例を示している。
同図において、300は内側に流路302を形成する雌嵌合部(第1嵌合部)304を備えた第1部材で、306は雌嵌合部304に内嵌する雄嵌合部(第2嵌合部)308を備えた第2部材である。
雄嵌合部308は雌嵌合部304に対して図中矢印で示す流れの方向に軸方向に挿し込まれ、外周面の雄ねじ310において雌嵌合部304の内周面の雌ねじ312に螺合されている。即ち雌嵌合部304と雄嵌合部308とは、ねじ部314で互いにねじ結合され、固定されている。
【0004】
316は、ねじ部314とは軸方向の別の個所に設けられたシール部で、このシール部316は、雄嵌合部308の外周面に環状に形成されたOリング溝318内にOリング(シールリング)330を保持しており、そのOリング330を圧縮変形状態で雌嵌合部304の平滑な内周面のシール面332に弾性接触させ、雌嵌合部304と雄嵌合部308との間をシールしている。
【0005】
しかしながらこの連結構造の場合、軸方向の2個所に亘ってねじ部314による固定と、シール部316によるシールとを行わなければならず、必然的に連結構造が軸方向に長くなってしまって、そのためのスペースを広く必要とし、連結部が大形状化してしまう。
また第1部材300と第2部材306との脱着も面倒であるといった問題がある。
【0006】
尚、本発明に関連する先行技術として下記特許文献1に「簡易スイベルホース継手」に関する発明が開示されている。
但しこの特許文献1に開示のものは、固定部とシール部とを軸方向の2個所に必要とするもので本発明と異なっている。
【0007】
また下記特許文献2には「ヘッダー」についての発明が示されている。
但しこの特許文献2に開示のものにおいても、固定部とシール部とを軸方向の別々の個所に必要とする点で本発明と異なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−295756号公報
【特許文献2】特開2009−63019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は以上のような事情を背景とし、第1嵌合部を有する第1部材と、第2嵌合部を有する第2部材とを軸方向の同じ個所で固定とシールとを行い得て、連結部の軸方向の所要長さを短くでき、コンパクト化することができるとともに、脱着性も良好なシールリングを用いた連結構造を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
而して請求項1のものは、(a)筒状をなす雌嵌合部又は雄嵌合部から成る第1嵌合部を備えた第1部材と、(b)筒状をなし、該第1嵌合部に対し流路の流れの方向に軸方向に挿し込まれて該第1嵌合部に嵌合する雄嵌合部又は雌嵌合部から成る第2嵌合部を備えた第2部材とを、該第1嵌合部の軸方向に延びるシール面と該第2嵌合部の軸方向に延びるシール面との間に径方向に弾性圧縮状態に介挿したシールリングによるシール状態で連結する、シールリングを用いた連結構造であって、前記第2嵌合部の前記挿込方向の先端側に、該第2嵌合部の前記シール面から前記第1嵌合部側に突出して、前記シールリングに対し前記挿込方向と反対の後退方向に係合する第2係合部を設ける一方、前記第1嵌合部には、前記シールリングよりも前記第2嵌合部の前記挿込方向における後側位置で、該第1嵌合部の前記シール面から前記第2嵌合部側に突出し、該シールリングに対して該第2嵌合部の該挿込方向に係合する第1係合部を設け、更に前記第1嵌合部には、軸方向と交差する方向に延び、前記第2嵌合部に当接して該第2嵌合部の前記挿込方向の移動端を規定する当接部を設けてあることを特徴とする。
【0011】
請求項2のものは、請求項1において、前記第2係合部の前記シールリングに対する係合面が、前記挿込方向に向って大径化するテーパ面となしてあることを特徴とする。
【0012】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記第1係合部の前記シールリングに対する係合面が、前記挿込方向に向って大径化するテーパ面となしてあることを特徴とする。
【0013】
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記第2嵌合部が前記当接部に当接し、位置規定された状態の下で前記第1係合部と第2係合部との間の距離が、変形前の前記シールリングにおける横断面径よりも小さいことを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0014】
以上のように本発明は、第2嵌合部の挿込入方向の先端側に、第1嵌合部側に突出してシールリングに対し、第2嵌合部の挿込方向と反対の後退方向に係合する第2係合部を設ける一方、第1嵌合部には、シールリングよりも上記挿込方向の後側位置で第2嵌合部側に突出し、シールリングに対して第2嵌合部の挿込方向に係合する第1係合部を設け、更に第1嵌合部には、第2嵌合部に当接してその挿込方向の移動端を規定する当接部を設けたものである。
【0015】
本発明の連結構造にあっては、第2係合部とシールリングとの係合によって、第2嵌合部がシールリングから後退方向に抜け防止される。
またシールリングは、第1嵌合部の第1係合部との係合によって第1嵌合部から抜け防止される。
結果として、第2嵌合部はシールリングを介して第1嵌合部から抜け防止される。
【0016】
一方その抜け方向とは反対方向の挿込方向において、第2嵌合部は第1嵌合部の側に設けられた当接部との当接によって挿込方向の移動端が規定される。
従って第2嵌合部は、第1嵌合部に対し挿込方向にもまたその反対の抜け方向(後退方向)にもシールリングを介し移動規制され、雄嵌合部即ち第2部材が、第1嵌合部即ち第1部材に対して軸方向に固定される。
【0017】
かかる本発明では、シールリングによって第1嵌合部に対する第2雄嵌合部の固定と、それらの間のシールが行われる。
従って本発明によれば第1嵌合部と第2嵌合部、即ち第1部材と第2部材との固定とシールとが軸方向の同じ1個所で行われることとなり、第1部材と第2部材との連結構造を軸方向に短いものとなし得て小型化できる。
【0018】
またシールリングを間に介在させる状態に第2嵌合部を第1嵌合部に挿し込むだけで、第1部材と第2部材との連結を行うことができ、一方でシールリングを強制的に弾性変形させつつ第2嵌合部を第1嵌合部から抜き出すことで連結を解除することができる。
従って本発明によれば第1部材と第2部材との脱着を容易に行うことができる。
【0019】
尚本発明では、第2嵌合部の挿込みによって第2嵌合部の第2係合部がシールリングよりも挿込方向の前側に位置し、また第1嵌合部の第1係合部がシールリングよりも後側に位置した状態の下で、なお第2嵌合部が第1嵌合部の当接部に当接していない場合であっても、流路に液が流れたときに、その液の流れの圧力で第2嵌合部を流れの方向に押し、当接部に当接させることができる。
以後はその流れの力によって第2嵌合部を当接部に当接状態に保持し、同位置に固定状態とすることができる。
【0020】
本発明では、第2嵌合部側の第2係合部のシールリングに対する係合面を、挿込方向に向って大径化するテーパ面となしておくことができる(請求項2)。
このようにすれば、第2係合部の係合面をシールリングに対し広い範囲に亘って面状に係合させることができ、係合力を高めることができるとともに、係合面を軸直角方向に垂直に立上がる面となした場合のように第2係合部が角部でシールリングにエッジ当りするのを良好に避け得て、シールリングの傷付きを有効に回避することができる。
【0021】
本発明ではまた、第1嵌合部側の第1係合部のシールリングに対する係合面を、第2嵌合部の上記の挿込方向に向って大径化するテーパ面となしておくことができる(請求項3)。
この場合においても、第1係合部の係合面をシールリングに対し面状に係合させることができ、係合力を高めることができるとともに、第1係合部がシールリングに対しエッジ当りしてしまうのを有効に回避し得て、シールリングを傷付けてしまうのを有効に回避することができる。
【0022】
本発明では、第2嵌合部が上記当接部に当接し、位置規定された状態で、第1係合部と第2係合部との間の距離が、変形前のシールリングにおける横断面径よりも小さいものとなしておくことができる(請求項4)。
【0023】
この場合、シールリングを用いた固定とシールとを、より小スペースで行うことが可能となるとともに、第1係合部と第2係合部とで弾性圧縮されるシールリングの弾性反発力が、第2嵌合部を当接部に当接させる向きの力として働くため、その力によって第2嵌合部を第1嵌合部の当接部に対し強制的に当接させて、その当接状態に保持することができる。即ち第2嵌合部を第1嵌合部に対して軸方向にがたつき無く安定した固定状態に保持することができる。
【0024】
本発明においては、上記の第1嵌合部の側に、シールリングよりも第2嵌合部の挿込方向の前側位置で第1嵌合部のシール面から第2嵌合部側に突出し、前記流れの圧力を受けて押されるシールリングをその下流側で受けてこれを支える壁を設けておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明をフラッシュバルブ装置に適用した実施形態の図である。
【図2】図1における連結構造を周辺部とともに示した図である。
【図3】図2における定流量弁の弁体を分解して示した斜視図である。
【図4】図2におけるA部を組付状態と組付前の状態とに分けてそれぞれ拡大して示した図である。
【図5】図1に示す実施形態の作用説明図である。
【図6】本発明の他の実施形態を示した図である。
【図7】本発明をストレーナの連結部に適用した実施形態の図である。
【図8】本発明を流調弁装置に適用した場合の実施形態を示す図である。
【図9】図8の要部を拡大して示した図である。
【図10】図9に示した要部の構成部材を分解して示した図である。
【図11】従来公知の連結構造を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて以下に詳しく説明する。
図1は、本発明をフラッシュ弁装置に適用した場合の例を示したもので、図中1はフラッシュ弁装置であり、このフラッシュ弁装置1は、上流部の止水栓2と、主要素であるフラッシュ弁3と、それらの間に設けられた定流量弁7とを備えて構成されている。
ここで定流量弁7は、流路の流れを絞ることで定流量化作用する。
一方フラッシュ弁3は、開弁により設定流量(総流量)の水を便器洗浄水として流した後に自動閉弁する自閉式の弁である。
【0027】
4は、フラッシュ弁装置1におけるハウジングで、フラッシュ弁3側のハウジング4Aと、止水栓2側のハウジング4Bと、定流量弁7側のハウジング4Cとを備えている。
この実施形態では、給水源からの水が流入口5から止水栓2内部に流入し、次いで定流量弁7を通過してそこで流れが定流量化される。
そしてそこで定流量化された流れがフラッシュ弁3側に流入し、流出口6から便器に向けて流出する。
【0028】
図1において、10はフラッシュ弁装置1における内部流路で、10aは定流量弁7の上流側となる流路,10bはその下流側且つフラッシュ弁3における上流側となる流路であり、10cはフラッシュ弁3における下流側となる流路である。
12は流路10を開閉する主弁であり、ピストン式の弁体(主弁体)13を有している。
弁体13は、常時は弁座(主弁座)14に着座した状態にあって、流路10における1次側の流路10bと、2次側の流路10cとを遮断した状態にある。
【0029】
このフラッシュ弁装置1では、弁体13が弁座14から図中上向きに離れて開弁することで、流路10bと流路10cとが連通状態となって、流路10bの水が流路10cへと流れ込み、便器(大便器)に対し洗浄水として給水される。
【0030】
主弁12における弁体13の背後(図中上側)には圧力室16が形成されており、弁体13は通常時はこの圧力室16内の水の圧力で図中下向きに押圧され閉弁状態に維持される。
圧力室16からは、その内部の水を流路10cに抜き出すための水抜路(第2の水抜路)26が、弁体13を貫通して延び出しており、その水抜路26上に傾動式の起動弁(第2の起動弁)28が設けられている。
【0031】
30は、この起動弁28を操作するための押ボタン式の操作部で、この操作部30を図中左向きに押込操作すると、ロッド32によって起動弁28における弁体(起動弁体)29が傾動させられ、開弁動作する。
弁体29が開弁すると、主弁12の弁体13を貫通した水抜路26が開放状態となって、圧力室16内の水が水抜路26を通じて流路10cに抜き出される。
尚、この起動弁28及び操作部30は停電時等における非常用のもので、通常は後述の起動弁20が、図示を省略する押ボタン式の操作部の操作によって動作させられる。
【0032】
上記ピストン式の主弁12の弁体13には、流路10bの水を圧力室16内に導入する、小孔から成る導入小孔34が弁体13を貫通する状態で設けられている。
この導入小孔34は、弁体13が開弁した後において、流路10bの水を圧力室16に導入し圧力室16の圧力を増大させるもので、ここでは導入小孔34は第1分岐孔34-1と第2分岐孔34-2とに分岐させられている。
そして第2分岐孔34-2に、導水制御弁38が開閉可能に設けられている。
【0033】
この導入小孔34において、一方の第1分岐孔34-1は常時開放状態とされ、また他方の第2分岐孔34-2は、導水制御弁38によって開閉されるようになっている。
この導水制御弁38は、主弁12の弁体13の開弁後における閉弁を開弁後早い段階で行うためのもので、節水を目的としたものである。
【0034】
詳しくはこの導水制御弁38は、圧力室16の圧力が高く、主弁12の弁体13が閉弁した状態の下では図中下向きに導水制御弁38における弁体が開弁した状態にあって、第2分岐孔34-2を開放した状態にあるが、後述の第1の起動弁20、或いは第2の起動弁28の開弁により圧力室16の水が流路10cに抜き出されて圧力室16の圧力が消失すると、流路10bの圧力で図中上向きに移動して一旦閉弁状態となる。
その後主弁12の弁体13が図中上向きに上昇即ち開弁動作すると、この導水制御弁38の弁体がストッパ52に当接して開弁し、第2分岐孔34-2を開放する。
【0035】
従って流路10bの水が、導入小孔34の第1分岐孔34-1と第2分岐孔34-2との両方を通って圧力室16に流入し、速やかに圧力室16の圧力を上昇せしめる。
そのために弁体13の開弁後における閉弁の開始が早い段階で行われ、便器洗浄水のための洗浄水の使用水量を低減せしめる。
【0036】
尚この実施形態では、ストッパ52がスプリング73にて下向きに付勢されており、導水制御弁38の弁体が図中上向きに移動したときにストッパ52がスプリング73を撓ませながら上向きに上昇移動する。
そして弁体13の閉弁に際してその上昇端から図中下向きに移動する際、ストッパ52がスプリング73の付勢力によって弁体13の移動とともに下降移動し、弁体13の閉弁運動の途中まで導水制御弁38の弁体を開弁状態に維持する。
【0037】
そして弁体13が閉弁位置近くまで移動したところで、ストッパ52が導水制御弁38の弁体を開放し(ストッパ52が、その下降端を規定する位置決手段によって下向きの突出量が規定されている)、ここにおいて導水制御弁38の弁体が閉弁状態となって、以後は第1分岐孔34-1を通じてのみ流路10bの水が圧力室16内に導入される。
但しこの導水制御弁38は本発明とは直接関係しないものであるため、ここでは更に詳しい説明は省略する。
尚、35は導入小孔34にごみ等が入り込み、目詰りを生ぜしめるのを防止するためのメッシュから成るストレーナである。
【0038】
上記圧力室16からはまた、その内部の水を流路10cに抜き出すための水抜路(第1の水抜路)18が延び出しており、その水抜路18上に起動弁(第1の起動弁)20が設けられている。
水抜路18は、この起動弁20にて開閉される。即ち水抜路18における1次側の上流側流路18aと下流側流路18bとが、起動弁20にて連通及び遮断される。
【0039】
ここで起動弁20は、電磁パイロット弁22とダイヤフラム弁24とを有している。
ダイヤフラム弁24は、電磁パイロット弁22にて開閉制御され、電磁パイロット弁22が開弁することで、このダイヤフラム弁24が開弁動作し、また電磁パイロット弁22が閉弁することで、ダイヤフラム弁24が閉弁動作する。
尚、起動弁20は図示を省略する押ボタン式の操作部の操作に基づいて動作する。
【0040】
この実施形態のフラッシュ弁装置では、起動弁20詳しくはダイヤフラ弁24が開弁動作すると、圧力室16内の水が水抜路18を通じて流路10cへと抜き出され、ここにおいて圧力室16内の水の圧力が消失して、ピストン式の弁体13が流路10bの圧力により図中上向きに開弁動作する。
ここにおいて流路10が開放状態となって給水が行われ、便器に洗浄水が勢い良く供給されて便器洗浄が行われる。
またダイヤフラム弁24が閉弁状態となった後、流路10bの水が上記の導入小孔34を通じて圧力室16内に流入し、これにより圧力室16の圧力が上昇して、その圧力が一定以上になると弁体13が閉弁動作して流路10を遮断し、便器洗浄のための給水を停止する。
【0041】
上記止水栓2は弁軸54を備えた弁体56と、これを着座させる弁座58と、ねじ送りで図中上下方向に進退移動し、そして下向きの移動により弁体56を閉弁方向に移動させる駆動軸60と、これを保持する保持部62とを有している。
この止水栓2は、駆動軸60の下向きの移動によって弁体56を弁座58に向けて移動させ、その開度を変化させる。
【0042】
上記定流量弁7は、ハウジング4Cの内部に弁体64を有している。
弁体64は、位置固定に設けられた固定部66と、図中左右方向に移動可能な可動部68とに分かれており、そしてそれらの間にコイルばね70が介装され、このコイルばね70によって、可動部68が固定部66から離間する方向、即ち図中左向きに付勢されている。
【0043】
図2にこの流量弁7の構成が詳しく示してある。
図2に示しているように定流量弁7のハウジング(第1部材)4Cは、小径の円筒状をなす接続部(第1嵌合部としての雌嵌合部)80を有しており、この接続部80が、フラッシュ弁3におけるハウジング4Aの円筒状をなす接続部82に内嵌され且つねじ部において固定されている。
またOリング81によって、接続部80と82との間が水密にシールされている。
【0044】
固定部(第2部材)66は、円形の盤状部83及びその中心部から図中右向きに突出するコーン状のコア部84(図3参照)と、コア部84を径方向に離隔した位置で取り囲む円筒形状のリング部(第2嵌合部としての雄嵌合部)86と、周方向の3個所でコア部84とリング部86とを径方向に連結するアーム88とを有している。
また図中左面側に凹部90を有しており、その凹部90に、コイルばね70の図中右端側の一部を収容している。
この固定部66は、リング部86においてハウジング4Cに、詳しくは小径の接続部80に固定状態に取り付けられている。その固定構造については後述する。
【0045】
一方可動部68は、図3にも示しているように底部92と円筒形状の周壁部94とを有し、図中右端側が開放された形状の容器部96を有しており、この容器部96の外側に板状のリブ98が一体に構成されている。
また底部92には凹部99が設けられており、そこにコイルばね70の図中左端側の一部が収容され、可動部68に対しコイルばね70の付勢力が図中左向きに及ぼされている。
【0046】
この可動部68は容器部96、具体的には周壁部94の内部に固定部66を嵌入させる状態に、固定部66に組み付けられ、その組付状態で容器部96の内部に水室100を形成している。そして周壁部94には、その水室100の外部と外部とを連通させるスリット状の連通孔102が形成されている。
【0047】
尚、図1に示しているようにハウジング4Cの内周面には止め輪104が装着されており、この止め輪104に対し、リブ98の当り部105が当ることによって可動部68の図中左方への移動端が規定される。
【0048】
この定流量弁7は、弁体64における固定部66の側に、詳しくはリング部86と盤状部83及びコア部84との間に流路106が形成されており、そしてその流路106の、盤状部83とリング部86との間の開口の開度が、可動部68における周壁部94にて変化せしめられるようになっている。
詳しくは、図1の流入口5から流路10内に流入する水流量が設定流量よりも多くなると、その流れの圧力で可動部68がコイルばね70の付勢力に抗して、コイルばね70を撓ませながら図中右向きに押されて移動する。
【0049】
このとき、可動部68の周壁部94が固定部66の盤状部83から右向きに突き出して流路106の流れを絞る。またこのとき周壁部94は、水の流入流量が多ければ多い程その絞りを大とし、また流入流量が少なくなればその絞りを小さく変化させる。
そして流れに対する絞りを大小変化させることで、固定部66を通過する水の流量を設定流量に定流量化する。
尚、図2においてP1は弁体64よりも上流側の流路の圧力及び水室100内の圧力を表し、またP2は弁体64の下流側の流路の圧力を表している。
【0050】
図4に、固定部66のハウジング4Cへの連結構造が詳しく示してある。
同図に示しているようにここでは弁体64、具体的にはその固定部66のリング部86が、ハウジング4Cの接続部80に対しOリング(シールリング)108によって固定され、シールされている。
図において110はリング部86の外周面の軸方向にストレート形状を成すシール面を表しており、また112は接続部80の内周面の軸方向にストレート形状を成すシール面を表している。Oリング108は、これらシール面110と112とで径方向に挟まれて圧縮変形状態でそれらに弾性接触し、シール面110と112との間を水密にシールしている。
【0051】
雄嵌合部としてのリング部86には、軸方向且つ図中右方向の先端側、即ち接続部80に対する挿込方向(流路10における流れの方向)の先端側に、シール面110から接続部80の内周面側に突出する第2係合部114が設けられており、その第2係合部114の第2係合面116を、Oリング108に対して図中左向き、即ち挿込方向と反対の後退方向に係合させるようになっている。
【0052】
またOリング108よりも図中左側、即ち上記の挿込方向における後側位置で接続部80の内周面側に向って突出する、軸直角方向に垂直な壁118を有している。
そしてこの壁118と第2係合部114とシール面110とで形成される溝120の内部に、Oリング108の内周側の一部を収容している。
尚、溝120を形成する第2係合部114は壁118に対して突出高さが低くされており、そしてその第2係合部114の係合面116は、リング部86の挿込方向である図中右方向に向って大径化するテーパ面とされている。
尚、リング部86の図中右側の先端の外周には、係合面116とは逆向きを成すテーパ面がガイド面121として成形されている。
【0053】
一方接続部80側には、シール面112の図中左側位置でリング部86の内周面側に突出する第1係合部122が設けられており、その第1係合部122の係合面124を、Oリング108に対し図中右方向、即ちリング部86の挿込方向に係合させるようになっている。
【0054】
この係合面124もまた図中右方向に向って、即ちリング部86の挿込方向に向って大径化するテーパ面とされている。
接続部80にはまた、シール面112よりも右側位置でリング部86側に軸直角方向に垂直に突出する壁126が設けられており、これら壁126と、第1係合部122、及びシール面112とで溝128を形成しており、その溝128の内部にOリング108の外周側の一部を収容している。
ここで壁126の、Oリング108側の垂直な面は、Oリング108が流れの圧力で右方向に押されて移動したときにこれを受ける受面130を成している。
【0055】
この接続部80側においても、溝128の一部を形成している第1係合部122の突出高さが壁126よりも低くされている。
この第1係合部122には、テーパ面をなす係合面124の図中左側に、係合面124とは逆方向に傾斜したテーパ面がガイド面132として形成されている。
【0056】
接続部80の側にはまた、リング部86の挿込方向、つまり下流側に向けての移動をリング部86の先端面に当接することによって規制する当接部134が設けられている。136はその当接部134における当接面を表している。
この当接面136は軸直角方向に垂直の面を成している。
【0057】
この実施形態において、リング86の接続部80への組付けは次のようにして行うことができる。
ここでは、図4(B)に示しているように先ずOリング108をリング部86の先端から外周面に嵌め合せてそこに保持させる。
このとき、Oリング108は一旦拡径変形を伴ってリング部86の先端から第2係合部114を乗り越えて溝120に嵌り込む。
而してOリング108が第2係合部114を乗り越えて移動する際、リング部86の先端にはテーパ形状のガイド面121が設けてあるため、同部分が鋭利な角形状をなしている場合に比べて容易に第2係合部114を乗り越えることができ、且つその際にOリング108がエッジによって傷付けられるのを防ぐことができる。
【0058】
このようにしてリング部86にOリング108を組付けた後、次にリング部86を接続部80に対して図中右向きに、即ち流れの下流側に挿込み、リング部86を接続部80に対して内嵌させる。
このとき、Oリング108は接続部80側の第1係合部122を乗り越えて外周側の部分が溝128内部に入り込む。その際、第1係合部122にはテーパ形状のガイド面132が設けられているため、Oリング108は円滑に第1係合部122を乗り越えて溝128に嵌り込むことができる。
【0059】
図4(A)は、このようにしてリング部86を接続部80に組付けた状態を示している。
この状態において、Oリング108はリング部86側のシール面110と、接続部80側のシール面112とで径方向に挟まれて弾性圧縮変形し、シール面110,112に対して弾性接触してそれらの間を水密にシールする。
【0060】
また併せて、リング部86と接続部80とがOリング108によって軸方向の右向きにも左向きにも移動規制され、以ってリング部86と接続部80とがOリング108を介して水密シール状態に固定され連結される。
詳しくは、図5(B)に示しているようにリング部86が図中左方向、つまりその挿込方向と反対の後退方向(つまり流れの下流側の方向)に抜けようとすると、リング部86の第2係合部114がOリング108に係合して、リング部86がOリング108から抜け防止される。
【0061】
またOリング108が接続部80から左方向に抜けようとすると、接続部80側の第1係合部122が係合面124においてOリング108に係合し、Oリング108が接続部80から抜け防止される。
結果として、リング部86が接続部80からOリング108を介し抜け防止される。
【0062】
この実施形態において図4(A)に示す状態即ちリング部86を接続部80に挿込み組み付けた状態の下で、リング部86は接続部80に対し図中左右方向に微小範囲相対移動可能である。即ちその微小範囲内において、リング部86は接続部80に対し位置が定まっていない。
但しフラッシュ弁3の主弁12が開いて内部流路10に流れが生ずると、その流れの圧力でリング部86は、図5(A)に示すようにOリング108により摩擦力に抗して右向きに押され、先端が接続部80側の当接部134に強制的に当接させられ、以後その位置に固定状態に保持される。
即ち接続部80に対し、リング部86の軸方向位置が予定した位置に固定され保持される。
尚、図4(A)に示すように接続部80側に、リング部86のフランジ部148に当接する当接部150を設け、そしてその当接部150の垂直な当接面152を、フランジ部148に当接させることによって、リング部86の挿込方向の移動端を規定するようになしても良い。
【0063】
以上のような本実施形態では、Oリング108によって接続部80に対するリング部86の固定と、それらの間のシールが行われる。
従って本実施形態によれば、接続部80とリング部86との固定とシールとが軸方向の同じ1個所で行われることとなり、接続部80とリング部86との連結構造を軸方向に短いものとなし得て小型化できる。
【0064】
またOリング108を間に介在させる状態にリング部86を接続部80に挿し込むだけで、接続部80とリング部86との連結を行うことができ、一方でOリング108を強制的に弾性変形させつつリング部86を接続部80から抜き出すことで連結を解除することができる。
従って本実施形態によれば、接続部80とリング部86との脱着を容易に行うことができる。
【0065】
本実施形態では、リング部86側の第2係合部114のOリング108に対する係合面116がテーパ面となしてあるため、係合面116をOリング108に対し広い範囲に亘って面状に係合させることができ、係合力を高めることができるとともに、係合面116を軸直角方向に垂直に立上がる面となした場合のように係合部116が角部でOリング108にエッジ当りするのを避け得て、Oリング108の傷付きを有効に回避することができる。
【0066】
同様に接続部80側の第1係合部122の係合面124もまたテーパ面となしてあるため、係合面124をOリング108に対し面状に係合させることができ、係合力を高めることができるとともに、係合面124がOリング108に対しエッジ当りしてしまうのを有効に回避することができる。
【0067】
図6は本発明の他の実施形態を示している。
この例は、接続部80の当接部134に対してリング部86の先端を当接させた状態の下で、係合面116と係合面124との距離Lが、変形前のOリング108の横断面径dよりも小となした例である。
【0068】
このようにすれば、Oリング108を用いた固定とシールとをより省スペースで行うことが可能となるとともに、第2係合部114と第1係合部122とで弾性圧縮されるOリング108の弾性反発力が、リング部86を当接部134に当接させる向きの力として働くため、その力によって、流れの圧力によらないでもリング部86を接続部80の当接部134に対し当接状態に保持することができ、リング部86の接続部80に対する固定を安定化することができる。
尚、他の構成については上記実施形態と同様であり、符号のみを示して詳しい説明は省略する。
【0069】
図7は本発明の他の形態を示している。
この例は、内部に流路を形成するストレーナ保持部材としての筒体(第1部材)140へのストレーナ138の組付けに適用した例である。
図において142はストレーナ138におけるメッシュ部であり、144は摘み、146はその先端のリング部(雄嵌合部)である。
【0070】
ここではストレーナ138におけるリング部146が、Oリング147にて筒体140の接続部(第1嵌合部としての雌嵌合部)80にシール状態に固定され、以ってストレーナ138と筒体140とがシール状態で連結されている。
【0071】
尚、ここでは筒体140の側に、リング部146のフランジ部148に当接する当接部150が設けられ、その当接部150における軸直角方向の垂直な当接面152を、フランジ部148に当接させることで、ストレーナ138におけるリング部146の挿込方向の移動端を規定するようになしている。
尚他の点については図6に示す実施形態の連結構造と同様であり、符号のみを示して詳しい説明は省略する。
【0072】
図8は本発明の他の実施形態を示している。
この例は本発明を流量弁装置155に適用した例である。
154は流調弁装置155における本体ボデーで、内部流路上に主弁156が設けられている。
主弁156は、硬質樹脂からなる保持部材158と、この保持部材158にて保持されたゴム製のダイヤフラム膜160とからなるダイヤフラム式の主弁体162、及びこれを着座させる主弁座164を有している。
ここで主弁座164は、図中上向きに起立する円筒部166の上端部にて構成されている。
【0073】
168は、主弁156に対して上流側流路となる1次側流路で、この1次側流路168を通じて送られた水は主弁156を通過して、詳しくは主弁体162と主弁座164との間の隙間を通過して、円筒部166の内側の流路及びこれに続く流路からなる2次側流路170へと流れ、更に出側流路172を通じて外部に流出する。
【0074】
174は、主弁体162の背後に形成された圧力室で、この圧力室174は内部の圧力を主弁体162に対し閉弁方向の押圧力として作用させる。
主弁体162には、これを貫通して1次側流路168と圧力室174とを連通させる導入小孔176が設けられている。
この導入小孔176は、1次側流路168の水を圧力室174へと導き入れて圧力室174の圧力を増大させる。
【0075】
本体ボデー154には、この圧力室174と主弁156の下流側、ここでは出側流路172とを連通させる水抜き流路としてのパイロット流路178が設けられている。
ここでパイロット流路178は、圧力室174内の水を下流側に抜いて圧力室174の圧力を低下させる。
【0076】
このパイロット流路178上には、主弁156とともに流調弁を構成するパイロット弁(電磁パイロット弁)180が設けられている。
このパイロット弁180は、プランジャ式のパイロット弁体182と、これを着座させるパイロット弁座183,通電により電磁力を発生させてパイロット弁体182を開弁させる電磁コイル184,パイロット弁体182を図中下向きに付勢してこれを閉弁状態に保持するばね186を有している。
【0077】
このパイロット弁180は、パイロット弁体182の先端部のゴムシール部188をパイロット弁座183に着座させることで、パイロット流路178を連通遮断し、またパイロット弁体182をパイロット弁座183から図中上向きに離間させることで、パイロット流路178を連通状態とする。
【0078】
本実施形態において、流調弁装置155は上記のようにパイロット弁180を閉弁させることでパイロット流路178を遮断する。
すると主弁体162を貫通する導入小孔176を通じて圧力室174に導かれる水により圧力室174の圧力が上昇し、主弁体162に対する閉弁方向の押圧力を高める。ここにおいて主弁体162が主弁座164に着座して閉弁状態となる。
【0079】
一方パイロット弁体182を開弁させると、パイロット流路178が連通状態となることによって、圧力室174内の水がパイロット流路178を通じて下流側に抜かれ、ここにおいて圧力室174の圧力が低下して、主弁体162が1次側流路168の給水の圧力によって図中上向きに押し上げられ開弁する。
ここにおいて1次側流路168の水が主弁156を通過して下流側へと流れ、吐水部へと供給される。
【0080】
本体ボデー154には、主弁156における主弁体162の開弁時の開度を調節することによって、通水流量を調節する流量調節軸(流量調節部材)190が設けられている。
流量調節軸190は、本体ボデー154に設けられた挿入孔191内に挿入され、そして雄ねじ軸部195において本体ボデー154の雌ねじ部に、図中上下方向即ち軸方向に進退移動可能に螺合されている。
【0081】
この実施形態では、主弁体162の開弁時における開弁位置、即ち上昇位置が、流量調節軸190の上下位置によって決定される。即ち主弁体162は、開弁時の上昇位置が流量調節軸190の上下方向の進退移動に追従して決定される。
【0082】
この実施形態では、流量調節軸190を一定の位置に維持した状態でパイロット弁180をオン・オフさせると、主弁体162がこれに応じてオン・オフ動作する。このときの主弁体162の開度は主弁体162が、詳しくは中央部に設けた突出部193が流量調節軸190の下端に当ることによって決定される。即ち流量調節軸190の位置によって決定される。従って流量調節軸190の位置が上方にあれば主弁体162の開度が大となって、主弁156を通過して流れる水の流量が大となる。
一方流量調節軸190の位置が下方にあると、主弁体162の開度が小となって、主弁156を通過する水の流量が小となる。
従ってこの実施形態では、流量調節軸190の位置を上下に調節することで、主弁156の開弁時における水の流量を変化させることができる。
【0083】
本体ボデー154内部且つ上記の2次側流路170には、1次側流路168の1次側圧力P1と2次側流路170の2次側圧力P2との差圧ΔP=P1−P2を一定とする定差圧弁192が設けられている。
【0084】
194は、その主体をなすダイヤフラム式の弁体で、ゴム製のダイヤフラム膜196と、これを保持する硬質の樹脂製の保持部材198とを有している。
弁体194は、図中上部に円筒部200を有しており、その円筒部200において本体ボデー154の円形の嵌合孔202内に図中上下方向に摺動可能に嵌合されている。
【0085】
弁体194の図中下側には1次圧室204が形成されており、そこに連通路206を通じて1次側流路168の1次側圧力P1が導入されている。
弁体194は、図中下面がその1次側圧力P1を図中上向きに受ける1次側受圧面207を成している。
【0086】
208は、弁体194周りに形成された2次圧室で、この2次圧室208に、円筒部200内の軸方向通路209及び嵌合孔202の下側の径方向通路210を通じて2次側圧力P2が導入されている。
弁体194は、円筒部200を含む上面の全体が2次側圧力P2を図中下向きに受ける2次側受圧面212を成している(但し後述のフランジ部にて形成される絞り部220を除く)。
【0087】
2次圧室208にはコイルばね214が収容されており、弁体194に対してこのコイルばね214の付勢力が図中下向き、即ち2次側圧力P2の作用方向と同じ方向に及ぼされている。
尚、コイルばね214は図中下端が弁体194に当接され、また上端が2次圧室208内において本体ボデー154に図中上向きに当接せしめられている。
【0088】
弁体194は、円筒部200とこれよりも大径をなす下側の大径部216との間に環状の溝を有しており、そこにドーナツ環状のゴム膜(弾性を有する他の材質から成る膜であっても良い)218が軸方向、即ち図中上下方向に微小ストローク相対移動可能に嵌装されている。
このゴム膜218は、2次圧室208と上記の出側流路172側の圧力との差圧によって図中上向きに押し付けられ、円筒部200と嵌合孔202との間の隙間を通じて2次圧室208の圧力が漏れるのを防ぐ働きをなしている。
【0089】
弁体194は、先端側(図中上端側)に絞り部220を有しており、この絞り部220と、本体ボデー154側のシート面222(このシート面222は絞り部220を当接可能な面である)との間で流路の流れを絞る作用をなし、その作用に基づいて1次側圧力P1と2次側圧力P2との差圧ΔP=P1−P2を一定に保持する働きをなす。
【0090】
詳しくは、給水圧の変動等によって1次側流路168の1次側圧力P1が増大すると、定差圧弁192の弁体194がその増大した1次側圧力P1によって図中上向きに押し上げられる。
すると絞り部220とシート面222とによる2次側流路170に対する絞りが大となって、2次側流路170の2次側圧力P2が増大する。そして弁体194はその移動により上昇した2次側圧力P2と1次側圧力P1とが釣合う位置で移動停止する。
【0091】
また逆に1次側圧力P1が低下すると、相対的に増大した2次側圧力P2にて弁体194が図中下向きに移動し、そして1次側圧力P1と2次側圧力P2とが釣合う位置で弁体194が停止する。
そのようにして弁体194は、1次側圧力P1と2次側圧力P2との差圧ΔPを常に一定に保つように動作する。
従って以下の式(1)から導かれるように、主弁156を通過する水の流量は主弁156の開度に応じて一定流量となる。
【0092】
【数1】
【0093】
従ってこの実施形態では、主弁156の開度に応じた一定流量で吐水口から吐水させることができる。
【0094】
図9(A)に、上記絞り部220及び周辺の構成が詳しく示してある。
図に示しているようにこの実施形態では、弁体194の先端側に、弁体194における嵌合孔202に嵌合する外面224からシート面222に沿って、シート面222と平行に径方向外方に張り出すフランジ部が一体に設けられており、そのフランジ部によって絞り部220が形成されている。
具体的には、弁体194とシート面222との間の間隔はフランジ部から成る絞り部220の部分において最も狭く、流路の絞りの大小はこの絞り部220とシート面222との間の間隔によって定まる。
【0095】
尚、弁体194における先端面(図中上端面)の、絞り部220よりも径方向内側の部分は、絞り部220から図中左向きに即ち弁体194の軸心に向って離れるにつれ、シート面222から離間するテーパ面225をなしており、弁体194先端面における絞り部220よりも径方向内側の部分は図中下向きに凹んだ凹形状をなしている。
【0096】
従って絞り部220をシート面222の直近に位置させた状態で弁体194が流路の流れを大きく絞ったとき、圧力低下は絞り部220の部分で生じ、弁体194の先端面且つ外面224よりも内側の部分には2次側圧力P2が図中下向きに作用する。
【0097】
一方、絞り部220の上面に対しては2次側圧力P2よりも低い圧力P3が図中下向きに作用するが、このフランジ部から成る絞り部220の図中下面に対しては同じ圧力P3が上向きに作用し、それらの圧力が互いに相殺され、キャンセルされる。
従って弁体194の先端面に対しては2次側圧力P2だけが下向きに作用し、圧力P3の作用は排除される。
【0098】
本実施形態においては、絞り部220に加わる圧力が定差圧弁192の動作に影響を及ぼすことを防ぐことができ、定差圧弁192を正確に定差圧動作させることができる。従って流調弁装置155における正確な流調動作を確保することができる。
【0099】
尚上記のようにして弁体194に径方向外向きに張り出したフランジ部を設けて、そのフランジ部にて絞り部220を形成するようになした場合、絞り部220を弁体194に一体に構成しておくと、弁体194を図8において嵌合孔202に対し先端側から上向きに嵌め込んで組み付けるといったことができなくなる。
【0100】
そこでここでは、絞り部220を含む先端部を別体のリング部(第2部材)226となして、その下端部の雌嵌合部(第2嵌合部)227を、円筒部200における本体部(第1部材)228の雄嵌合部(第1嵌合部)229に組み付けるようになしている。
尚、リング部226は高さ寸法(軸方向寸法)が、出側流路172の開口を通じて嵌合孔202の図中上側(奥側)の位置まで挿入可能な寸法となしてある。
【0101】
この例によれば、リング部226を出側通路172を通じて本体ボデー154内部、詳しくは図8の嵌合孔202の図中上側位置に挿入し、また弁体194における本体部228を嵌合孔202に図中下側から上向きに嵌め込むことで、本体部228とリング部226とを嵌合状態に組み付けることができる。
【0102】
図9及び図10にリング部226と本体部228との組付構造、即ち連結構造が詳しく示してある。
ここでは図6に示す実施形態の連結構造を、リング部226と本体部228との連結構造として適用している。
従ってリング部226は、Oリング108の弾性変形に基づく弾性反力で先端(図中下端)が本体部228の当接部134に当接せしめられ、流れの圧力によらないでOリング108の弾性反力によりリング部226が本体部228に軸方向に当接状態に保持される。
これにより絞り部220とシート面222との間に設定した隙間を確保することができる。
尚この実施形態では、リング部226の側にOリング108の一部を収容する溝は形成されていない。
他の構成は基本的に同様であり、符号のみを示して詳しい説明は省略する。
【0103】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば上記実施形態では係合面116,124がそれぞれテーパ面とされているが、場合によってこれらを軸直角方向の垂直面となすことも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【符号の説明】
【0104】
4C ハウジング(第1部材)
10 流路
66 固定部(第2部材)
80 接続部(第1嵌合部)
86,146 リング部(第2嵌合部)
108,147 Oリング
110,112 シール面
114 第2係合部
116,124 係合面
121,132 ガイド面
122 第1係合部
134,150 当接部
132,152 当接面
140 筒体(第1部材)
227 雌嵌合部(第2嵌合部)
229 雄嵌合部(第1嵌合部)
【技術分野】
【0001】
この発明はOリング等のシールリングを用いた一対の部材の連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
筒状をなす雌嵌合部又は雄嵌合部から成る第1嵌合部を備えた第1部材と、筒状をなし、第1嵌合部に対し流路の流れの方向に軸方向に挿し込まれて第1嵌合部に嵌合する雄嵌合部又は雌嵌合部から成る第2嵌合部を備えた第2部材とをシール状態で連結するための連結構造として、ねじ部でそれらを結合固定し、また他の個所でそれらの間に介装したOリングによってシールする構造が従来公知である。
【0003】
図11はその具体例を示している。
同図において、300は内側に流路302を形成する雌嵌合部(第1嵌合部)304を備えた第1部材で、306は雌嵌合部304に内嵌する雄嵌合部(第2嵌合部)308を備えた第2部材である。
雄嵌合部308は雌嵌合部304に対して図中矢印で示す流れの方向に軸方向に挿し込まれ、外周面の雄ねじ310において雌嵌合部304の内周面の雌ねじ312に螺合されている。即ち雌嵌合部304と雄嵌合部308とは、ねじ部314で互いにねじ結合され、固定されている。
【0004】
316は、ねじ部314とは軸方向の別の個所に設けられたシール部で、このシール部316は、雄嵌合部308の外周面に環状に形成されたOリング溝318内にOリング(シールリング)330を保持しており、そのOリング330を圧縮変形状態で雌嵌合部304の平滑な内周面のシール面332に弾性接触させ、雌嵌合部304と雄嵌合部308との間をシールしている。
【0005】
しかしながらこの連結構造の場合、軸方向の2個所に亘ってねじ部314による固定と、シール部316によるシールとを行わなければならず、必然的に連結構造が軸方向に長くなってしまって、そのためのスペースを広く必要とし、連結部が大形状化してしまう。
また第1部材300と第2部材306との脱着も面倒であるといった問題がある。
【0006】
尚、本発明に関連する先行技術として下記特許文献1に「簡易スイベルホース継手」に関する発明が開示されている。
但しこの特許文献1に開示のものは、固定部とシール部とを軸方向の2個所に必要とするもので本発明と異なっている。
【0007】
また下記特許文献2には「ヘッダー」についての発明が示されている。
但しこの特許文献2に開示のものにおいても、固定部とシール部とを軸方向の別々の個所に必要とする点で本発明と異なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−295756号公報
【特許文献2】特開2009−63019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は以上のような事情を背景とし、第1嵌合部を有する第1部材と、第2嵌合部を有する第2部材とを軸方向の同じ個所で固定とシールとを行い得て、連結部の軸方向の所要長さを短くでき、コンパクト化することができるとともに、脱着性も良好なシールリングを用いた連結構造を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
而して請求項1のものは、(a)筒状をなす雌嵌合部又は雄嵌合部から成る第1嵌合部を備えた第1部材と、(b)筒状をなし、該第1嵌合部に対し流路の流れの方向に軸方向に挿し込まれて該第1嵌合部に嵌合する雄嵌合部又は雌嵌合部から成る第2嵌合部を備えた第2部材とを、該第1嵌合部の軸方向に延びるシール面と該第2嵌合部の軸方向に延びるシール面との間に径方向に弾性圧縮状態に介挿したシールリングによるシール状態で連結する、シールリングを用いた連結構造であって、前記第2嵌合部の前記挿込方向の先端側に、該第2嵌合部の前記シール面から前記第1嵌合部側に突出して、前記シールリングに対し前記挿込方向と反対の後退方向に係合する第2係合部を設ける一方、前記第1嵌合部には、前記シールリングよりも前記第2嵌合部の前記挿込方向における後側位置で、該第1嵌合部の前記シール面から前記第2嵌合部側に突出し、該シールリングに対して該第2嵌合部の該挿込方向に係合する第1係合部を設け、更に前記第1嵌合部には、軸方向と交差する方向に延び、前記第2嵌合部に当接して該第2嵌合部の前記挿込方向の移動端を規定する当接部を設けてあることを特徴とする。
【0011】
請求項2のものは、請求項1において、前記第2係合部の前記シールリングに対する係合面が、前記挿込方向に向って大径化するテーパ面となしてあることを特徴とする。
【0012】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記第1係合部の前記シールリングに対する係合面が、前記挿込方向に向って大径化するテーパ面となしてあることを特徴とする。
【0013】
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記第2嵌合部が前記当接部に当接し、位置規定された状態の下で前記第1係合部と第2係合部との間の距離が、変形前の前記シールリングにおける横断面径よりも小さいことを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0014】
以上のように本発明は、第2嵌合部の挿込入方向の先端側に、第1嵌合部側に突出してシールリングに対し、第2嵌合部の挿込方向と反対の後退方向に係合する第2係合部を設ける一方、第1嵌合部には、シールリングよりも上記挿込方向の後側位置で第2嵌合部側に突出し、シールリングに対して第2嵌合部の挿込方向に係合する第1係合部を設け、更に第1嵌合部には、第2嵌合部に当接してその挿込方向の移動端を規定する当接部を設けたものである。
【0015】
本発明の連結構造にあっては、第2係合部とシールリングとの係合によって、第2嵌合部がシールリングから後退方向に抜け防止される。
またシールリングは、第1嵌合部の第1係合部との係合によって第1嵌合部から抜け防止される。
結果として、第2嵌合部はシールリングを介して第1嵌合部から抜け防止される。
【0016】
一方その抜け方向とは反対方向の挿込方向において、第2嵌合部は第1嵌合部の側に設けられた当接部との当接によって挿込方向の移動端が規定される。
従って第2嵌合部は、第1嵌合部に対し挿込方向にもまたその反対の抜け方向(後退方向)にもシールリングを介し移動規制され、雄嵌合部即ち第2部材が、第1嵌合部即ち第1部材に対して軸方向に固定される。
【0017】
かかる本発明では、シールリングによって第1嵌合部に対する第2雄嵌合部の固定と、それらの間のシールが行われる。
従って本発明によれば第1嵌合部と第2嵌合部、即ち第1部材と第2部材との固定とシールとが軸方向の同じ1個所で行われることとなり、第1部材と第2部材との連結構造を軸方向に短いものとなし得て小型化できる。
【0018】
またシールリングを間に介在させる状態に第2嵌合部を第1嵌合部に挿し込むだけで、第1部材と第2部材との連結を行うことができ、一方でシールリングを強制的に弾性変形させつつ第2嵌合部を第1嵌合部から抜き出すことで連結を解除することができる。
従って本発明によれば第1部材と第2部材との脱着を容易に行うことができる。
【0019】
尚本発明では、第2嵌合部の挿込みによって第2嵌合部の第2係合部がシールリングよりも挿込方向の前側に位置し、また第1嵌合部の第1係合部がシールリングよりも後側に位置した状態の下で、なお第2嵌合部が第1嵌合部の当接部に当接していない場合であっても、流路に液が流れたときに、その液の流れの圧力で第2嵌合部を流れの方向に押し、当接部に当接させることができる。
以後はその流れの力によって第2嵌合部を当接部に当接状態に保持し、同位置に固定状態とすることができる。
【0020】
本発明では、第2嵌合部側の第2係合部のシールリングに対する係合面を、挿込方向に向って大径化するテーパ面となしておくことができる(請求項2)。
このようにすれば、第2係合部の係合面をシールリングに対し広い範囲に亘って面状に係合させることができ、係合力を高めることができるとともに、係合面を軸直角方向に垂直に立上がる面となした場合のように第2係合部が角部でシールリングにエッジ当りするのを良好に避け得て、シールリングの傷付きを有効に回避することができる。
【0021】
本発明ではまた、第1嵌合部側の第1係合部のシールリングに対する係合面を、第2嵌合部の上記の挿込方向に向って大径化するテーパ面となしておくことができる(請求項3)。
この場合においても、第1係合部の係合面をシールリングに対し面状に係合させることができ、係合力を高めることができるとともに、第1係合部がシールリングに対しエッジ当りしてしまうのを有効に回避し得て、シールリングを傷付けてしまうのを有効に回避することができる。
【0022】
本発明では、第2嵌合部が上記当接部に当接し、位置規定された状態で、第1係合部と第2係合部との間の距離が、変形前のシールリングにおける横断面径よりも小さいものとなしておくことができる(請求項4)。
【0023】
この場合、シールリングを用いた固定とシールとを、より小スペースで行うことが可能となるとともに、第1係合部と第2係合部とで弾性圧縮されるシールリングの弾性反発力が、第2嵌合部を当接部に当接させる向きの力として働くため、その力によって第2嵌合部を第1嵌合部の当接部に対し強制的に当接させて、その当接状態に保持することができる。即ち第2嵌合部を第1嵌合部に対して軸方向にがたつき無く安定した固定状態に保持することができる。
【0024】
本発明においては、上記の第1嵌合部の側に、シールリングよりも第2嵌合部の挿込方向の前側位置で第1嵌合部のシール面から第2嵌合部側に突出し、前記流れの圧力を受けて押されるシールリングをその下流側で受けてこれを支える壁を設けておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明をフラッシュバルブ装置に適用した実施形態の図である。
【図2】図1における連結構造を周辺部とともに示した図である。
【図3】図2における定流量弁の弁体を分解して示した斜視図である。
【図4】図2におけるA部を組付状態と組付前の状態とに分けてそれぞれ拡大して示した図である。
【図5】図1に示す実施形態の作用説明図である。
【図6】本発明の他の実施形態を示した図である。
【図7】本発明をストレーナの連結部に適用した実施形態の図である。
【図8】本発明を流調弁装置に適用した場合の実施形態を示す図である。
【図9】図8の要部を拡大して示した図である。
【図10】図9に示した要部の構成部材を分解して示した図である。
【図11】従来公知の連結構造を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて以下に詳しく説明する。
図1は、本発明をフラッシュ弁装置に適用した場合の例を示したもので、図中1はフラッシュ弁装置であり、このフラッシュ弁装置1は、上流部の止水栓2と、主要素であるフラッシュ弁3と、それらの間に設けられた定流量弁7とを備えて構成されている。
ここで定流量弁7は、流路の流れを絞ることで定流量化作用する。
一方フラッシュ弁3は、開弁により設定流量(総流量)の水を便器洗浄水として流した後に自動閉弁する自閉式の弁である。
【0027】
4は、フラッシュ弁装置1におけるハウジングで、フラッシュ弁3側のハウジング4Aと、止水栓2側のハウジング4Bと、定流量弁7側のハウジング4Cとを備えている。
この実施形態では、給水源からの水が流入口5から止水栓2内部に流入し、次いで定流量弁7を通過してそこで流れが定流量化される。
そしてそこで定流量化された流れがフラッシュ弁3側に流入し、流出口6から便器に向けて流出する。
【0028】
図1において、10はフラッシュ弁装置1における内部流路で、10aは定流量弁7の上流側となる流路,10bはその下流側且つフラッシュ弁3における上流側となる流路であり、10cはフラッシュ弁3における下流側となる流路である。
12は流路10を開閉する主弁であり、ピストン式の弁体(主弁体)13を有している。
弁体13は、常時は弁座(主弁座)14に着座した状態にあって、流路10における1次側の流路10bと、2次側の流路10cとを遮断した状態にある。
【0029】
このフラッシュ弁装置1では、弁体13が弁座14から図中上向きに離れて開弁することで、流路10bと流路10cとが連通状態となって、流路10bの水が流路10cへと流れ込み、便器(大便器)に対し洗浄水として給水される。
【0030】
主弁12における弁体13の背後(図中上側)には圧力室16が形成されており、弁体13は通常時はこの圧力室16内の水の圧力で図中下向きに押圧され閉弁状態に維持される。
圧力室16からは、その内部の水を流路10cに抜き出すための水抜路(第2の水抜路)26が、弁体13を貫通して延び出しており、その水抜路26上に傾動式の起動弁(第2の起動弁)28が設けられている。
【0031】
30は、この起動弁28を操作するための押ボタン式の操作部で、この操作部30を図中左向きに押込操作すると、ロッド32によって起動弁28における弁体(起動弁体)29が傾動させられ、開弁動作する。
弁体29が開弁すると、主弁12の弁体13を貫通した水抜路26が開放状態となって、圧力室16内の水が水抜路26を通じて流路10cに抜き出される。
尚、この起動弁28及び操作部30は停電時等における非常用のもので、通常は後述の起動弁20が、図示を省略する押ボタン式の操作部の操作によって動作させられる。
【0032】
上記ピストン式の主弁12の弁体13には、流路10bの水を圧力室16内に導入する、小孔から成る導入小孔34が弁体13を貫通する状態で設けられている。
この導入小孔34は、弁体13が開弁した後において、流路10bの水を圧力室16に導入し圧力室16の圧力を増大させるもので、ここでは導入小孔34は第1分岐孔34-1と第2分岐孔34-2とに分岐させられている。
そして第2分岐孔34-2に、導水制御弁38が開閉可能に設けられている。
【0033】
この導入小孔34において、一方の第1分岐孔34-1は常時開放状態とされ、また他方の第2分岐孔34-2は、導水制御弁38によって開閉されるようになっている。
この導水制御弁38は、主弁12の弁体13の開弁後における閉弁を開弁後早い段階で行うためのもので、節水を目的としたものである。
【0034】
詳しくはこの導水制御弁38は、圧力室16の圧力が高く、主弁12の弁体13が閉弁した状態の下では図中下向きに導水制御弁38における弁体が開弁した状態にあって、第2分岐孔34-2を開放した状態にあるが、後述の第1の起動弁20、或いは第2の起動弁28の開弁により圧力室16の水が流路10cに抜き出されて圧力室16の圧力が消失すると、流路10bの圧力で図中上向きに移動して一旦閉弁状態となる。
その後主弁12の弁体13が図中上向きに上昇即ち開弁動作すると、この導水制御弁38の弁体がストッパ52に当接して開弁し、第2分岐孔34-2を開放する。
【0035】
従って流路10bの水が、導入小孔34の第1分岐孔34-1と第2分岐孔34-2との両方を通って圧力室16に流入し、速やかに圧力室16の圧力を上昇せしめる。
そのために弁体13の開弁後における閉弁の開始が早い段階で行われ、便器洗浄水のための洗浄水の使用水量を低減せしめる。
【0036】
尚この実施形態では、ストッパ52がスプリング73にて下向きに付勢されており、導水制御弁38の弁体が図中上向きに移動したときにストッパ52がスプリング73を撓ませながら上向きに上昇移動する。
そして弁体13の閉弁に際してその上昇端から図中下向きに移動する際、ストッパ52がスプリング73の付勢力によって弁体13の移動とともに下降移動し、弁体13の閉弁運動の途中まで導水制御弁38の弁体を開弁状態に維持する。
【0037】
そして弁体13が閉弁位置近くまで移動したところで、ストッパ52が導水制御弁38の弁体を開放し(ストッパ52が、その下降端を規定する位置決手段によって下向きの突出量が規定されている)、ここにおいて導水制御弁38の弁体が閉弁状態となって、以後は第1分岐孔34-1を通じてのみ流路10bの水が圧力室16内に導入される。
但しこの導水制御弁38は本発明とは直接関係しないものであるため、ここでは更に詳しい説明は省略する。
尚、35は導入小孔34にごみ等が入り込み、目詰りを生ぜしめるのを防止するためのメッシュから成るストレーナである。
【0038】
上記圧力室16からはまた、その内部の水を流路10cに抜き出すための水抜路(第1の水抜路)18が延び出しており、その水抜路18上に起動弁(第1の起動弁)20が設けられている。
水抜路18は、この起動弁20にて開閉される。即ち水抜路18における1次側の上流側流路18aと下流側流路18bとが、起動弁20にて連通及び遮断される。
【0039】
ここで起動弁20は、電磁パイロット弁22とダイヤフラム弁24とを有している。
ダイヤフラム弁24は、電磁パイロット弁22にて開閉制御され、電磁パイロット弁22が開弁することで、このダイヤフラム弁24が開弁動作し、また電磁パイロット弁22が閉弁することで、ダイヤフラム弁24が閉弁動作する。
尚、起動弁20は図示を省略する押ボタン式の操作部の操作に基づいて動作する。
【0040】
この実施形態のフラッシュ弁装置では、起動弁20詳しくはダイヤフラ弁24が開弁動作すると、圧力室16内の水が水抜路18を通じて流路10cへと抜き出され、ここにおいて圧力室16内の水の圧力が消失して、ピストン式の弁体13が流路10bの圧力により図中上向きに開弁動作する。
ここにおいて流路10が開放状態となって給水が行われ、便器に洗浄水が勢い良く供給されて便器洗浄が行われる。
またダイヤフラム弁24が閉弁状態となった後、流路10bの水が上記の導入小孔34を通じて圧力室16内に流入し、これにより圧力室16の圧力が上昇して、その圧力が一定以上になると弁体13が閉弁動作して流路10を遮断し、便器洗浄のための給水を停止する。
【0041】
上記止水栓2は弁軸54を備えた弁体56と、これを着座させる弁座58と、ねじ送りで図中上下方向に進退移動し、そして下向きの移動により弁体56を閉弁方向に移動させる駆動軸60と、これを保持する保持部62とを有している。
この止水栓2は、駆動軸60の下向きの移動によって弁体56を弁座58に向けて移動させ、その開度を変化させる。
【0042】
上記定流量弁7は、ハウジング4Cの内部に弁体64を有している。
弁体64は、位置固定に設けられた固定部66と、図中左右方向に移動可能な可動部68とに分かれており、そしてそれらの間にコイルばね70が介装され、このコイルばね70によって、可動部68が固定部66から離間する方向、即ち図中左向きに付勢されている。
【0043】
図2にこの流量弁7の構成が詳しく示してある。
図2に示しているように定流量弁7のハウジング(第1部材)4Cは、小径の円筒状をなす接続部(第1嵌合部としての雌嵌合部)80を有しており、この接続部80が、フラッシュ弁3におけるハウジング4Aの円筒状をなす接続部82に内嵌され且つねじ部において固定されている。
またOリング81によって、接続部80と82との間が水密にシールされている。
【0044】
固定部(第2部材)66は、円形の盤状部83及びその中心部から図中右向きに突出するコーン状のコア部84(図3参照)と、コア部84を径方向に離隔した位置で取り囲む円筒形状のリング部(第2嵌合部としての雄嵌合部)86と、周方向の3個所でコア部84とリング部86とを径方向に連結するアーム88とを有している。
また図中左面側に凹部90を有しており、その凹部90に、コイルばね70の図中右端側の一部を収容している。
この固定部66は、リング部86においてハウジング4Cに、詳しくは小径の接続部80に固定状態に取り付けられている。その固定構造については後述する。
【0045】
一方可動部68は、図3にも示しているように底部92と円筒形状の周壁部94とを有し、図中右端側が開放された形状の容器部96を有しており、この容器部96の外側に板状のリブ98が一体に構成されている。
また底部92には凹部99が設けられており、そこにコイルばね70の図中左端側の一部が収容され、可動部68に対しコイルばね70の付勢力が図中左向きに及ぼされている。
【0046】
この可動部68は容器部96、具体的には周壁部94の内部に固定部66を嵌入させる状態に、固定部66に組み付けられ、その組付状態で容器部96の内部に水室100を形成している。そして周壁部94には、その水室100の外部と外部とを連通させるスリット状の連通孔102が形成されている。
【0047】
尚、図1に示しているようにハウジング4Cの内周面には止め輪104が装着されており、この止め輪104に対し、リブ98の当り部105が当ることによって可動部68の図中左方への移動端が規定される。
【0048】
この定流量弁7は、弁体64における固定部66の側に、詳しくはリング部86と盤状部83及びコア部84との間に流路106が形成されており、そしてその流路106の、盤状部83とリング部86との間の開口の開度が、可動部68における周壁部94にて変化せしめられるようになっている。
詳しくは、図1の流入口5から流路10内に流入する水流量が設定流量よりも多くなると、その流れの圧力で可動部68がコイルばね70の付勢力に抗して、コイルばね70を撓ませながら図中右向きに押されて移動する。
【0049】
このとき、可動部68の周壁部94が固定部66の盤状部83から右向きに突き出して流路106の流れを絞る。またこのとき周壁部94は、水の流入流量が多ければ多い程その絞りを大とし、また流入流量が少なくなればその絞りを小さく変化させる。
そして流れに対する絞りを大小変化させることで、固定部66を通過する水の流量を設定流量に定流量化する。
尚、図2においてP1は弁体64よりも上流側の流路の圧力及び水室100内の圧力を表し、またP2は弁体64の下流側の流路の圧力を表している。
【0050】
図4に、固定部66のハウジング4Cへの連結構造が詳しく示してある。
同図に示しているようにここでは弁体64、具体的にはその固定部66のリング部86が、ハウジング4Cの接続部80に対しOリング(シールリング)108によって固定され、シールされている。
図において110はリング部86の外周面の軸方向にストレート形状を成すシール面を表しており、また112は接続部80の内周面の軸方向にストレート形状を成すシール面を表している。Oリング108は、これらシール面110と112とで径方向に挟まれて圧縮変形状態でそれらに弾性接触し、シール面110と112との間を水密にシールしている。
【0051】
雄嵌合部としてのリング部86には、軸方向且つ図中右方向の先端側、即ち接続部80に対する挿込方向(流路10における流れの方向)の先端側に、シール面110から接続部80の内周面側に突出する第2係合部114が設けられており、その第2係合部114の第2係合面116を、Oリング108に対して図中左向き、即ち挿込方向と反対の後退方向に係合させるようになっている。
【0052】
またOリング108よりも図中左側、即ち上記の挿込方向における後側位置で接続部80の内周面側に向って突出する、軸直角方向に垂直な壁118を有している。
そしてこの壁118と第2係合部114とシール面110とで形成される溝120の内部に、Oリング108の内周側の一部を収容している。
尚、溝120を形成する第2係合部114は壁118に対して突出高さが低くされており、そしてその第2係合部114の係合面116は、リング部86の挿込方向である図中右方向に向って大径化するテーパ面とされている。
尚、リング部86の図中右側の先端の外周には、係合面116とは逆向きを成すテーパ面がガイド面121として成形されている。
【0053】
一方接続部80側には、シール面112の図中左側位置でリング部86の内周面側に突出する第1係合部122が設けられており、その第1係合部122の係合面124を、Oリング108に対し図中右方向、即ちリング部86の挿込方向に係合させるようになっている。
【0054】
この係合面124もまた図中右方向に向って、即ちリング部86の挿込方向に向って大径化するテーパ面とされている。
接続部80にはまた、シール面112よりも右側位置でリング部86側に軸直角方向に垂直に突出する壁126が設けられており、これら壁126と、第1係合部122、及びシール面112とで溝128を形成しており、その溝128の内部にOリング108の外周側の一部を収容している。
ここで壁126の、Oリング108側の垂直な面は、Oリング108が流れの圧力で右方向に押されて移動したときにこれを受ける受面130を成している。
【0055】
この接続部80側においても、溝128の一部を形成している第1係合部122の突出高さが壁126よりも低くされている。
この第1係合部122には、テーパ面をなす係合面124の図中左側に、係合面124とは逆方向に傾斜したテーパ面がガイド面132として形成されている。
【0056】
接続部80の側にはまた、リング部86の挿込方向、つまり下流側に向けての移動をリング部86の先端面に当接することによって規制する当接部134が設けられている。136はその当接部134における当接面を表している。
この当接面136は軸直角方向に垂直の面を成している。
【0057】
この実施形態において、リング86の接続部80への組付けは次のようにして行うことができる。
ここでは、図4(B)に示しているように先ずOリング108をリング部86の先端から外周面に嵌め合せてそこに保持させる。
このとき、Oリング108は一旦拡径変形を伴ってリング部86の先端から第2係合部114を乗り越えて溝120に嵌り込む。
而してOリング108が第2係合部114を乗り越えて移動する際、リング部86の先端にはテーパ形状のガイド面121が設けてあるため、同部分が鋭利な角形状をなしている場合に比べて容易に第2係合部114を乗り越えることができ、且つその際にOリング108がエッジによって傷付けられるのを防ぐことができる。
【0058】
このようにしてリング部86にOリング108を組付けた後、次にリング部86を接続部80に対して図中右向きに、即ち流れの下流側に挿込み、リング部86を接続部80に対して内嵌させる。
このとき、Oリング108は接続部80側の第1係合部122を乗り越えて外周側の部分が溝128内部に入り込む。その際、第1係合部122にはテーパ形状のガイド面132が設けられているため、Oリング108は円滑に第1係合部122を乗り越えて溝128に嵌り込むことができる。
【0059】
図4(A)は、このようにしてリング部86を接続部80に組付けた状態を示している。
この状態において、Oリング108はリング部86側のシール面110と、接続部80側のシール面112とで径方向に挟まれて弾性圧縮変形し、シール面110,112に対して弾性接触してそれらの間を水密にシールする。
【0060】
また併せて、リング部86と接続部80とがOリング108によって軸方向の右向きにも左向きにも移動規制され、以ってリング部86と接続部80とがOリング108を介して水密シール状態に固定され連結される。
詳しくは、図5(B)に示しているようにリング部86が図中左方向、つまりその挿込方向と反対の後退方向(つまり流れの下流側の方向)に抜けようとすると、リング部86の第2係合部114がOリング108に係合して、リング部86がOリング108から抜け防止される。
【0061】
またOリング108が接続部80から左方向に抜けようとすると、接続部80側の第1係合部122が係合面124においてOリング108に係合し、Oリング108が接続部80から抜け防止される。
結果として、リング部86が接続部80からOリング108を介し抜け防止される。
【0062】
この実施形態において図4(A)に示す状態即ちリング部86を接続部80に挿込み組み付けた状態の下で、リング部86は接続部80に対し図中左右方向に微小範囲相対移動可能である。即ちその微小範囲内において、リング部86は接続部80に対し位置が定まっていない。
但しフラッシュ弁3の主弁12が開いて内部流路10に流れが生ずると、その流れの圧力でリング部86は、図5(A)に示すようにOリング108により摩擦力に抗して右向きに押され、先端が接続部80側の当接部134に強制的に当接させられ、以後その位置に固定状態に保持される。
即ち接続部80に対し、リング部86の軸方向位置が予定した位置に固定され保持される。
尚、図4(A)に示すように接続部80側に、リング部86のフランジ部148に当接する当接部150を設け、そしてその当接部150の垂直な当接面152を、フランジ部148に当接させることによって、リング部86の挿込方向の移動端を規定するようになしても良い。
【0063】
以上のような本実施形態では、Oリング108によって接続部80に対するリング部86の固定と、それらの間のシールが行われる。
従って本実施形態によれば、接続部80とリング部86との固定とシールとが軸方向の同じ1個所で行われることとなり、接続部80とリング部86との連結構造を軸方向に短いものとなし得て小型化できる。
【0064】
またOリング108を間に介在させる状態にリング部86を接続部80に挿し込むだけで、接続部80とリング部86との連結を行うことができ、一方でOリング108を強制的に弾性変形させつつリング部86を接続部80から抜き出すことで連結を解除することができる。
従って本実施形態によれば、接続部80とリング部86との脱着を容易に行うことができる。
【0065】
本実施形態では、リング部86側の第2係合部114のOリング108に対する係合面116がテーパ面となしてあるため、係合面116をOリング108に対し広い範囲に亘って面状に係合させることができ、係合力を高めることができるとともに、係合面116を軸直角方向に垂直に立上がる面となした場合のように係合部116が角部でOリング108にエッジ当りするのを避け得て、Oリング108の傷付きを有効に回避することができる。
【0066】
同様に接続部80側の第1係合部122の係合面124もまたテーパ面となしてあるため、係合面124をOリング108に対し面状に係合させることができ、係合力を高めることができるとともに、係合面124がOリング108に対しエッジ当りしてしまうのを有効に回避することができる。
【0067】
図6は本発明の他の実施形態を示している。
この例は、接続部80の当接部134に対してリング部86の先端を当接させた状態の下で、係合面116と係合面124との距離Lが、変形前のOリング108の横断面径dよりも小となした例である。
【0068】
このようにすれば、Oリング108を用いた固定とシールとをより省スペースで行うことが可能となるとともに、第2係合部114と第1係合部122とで弾性圧縮されるOリング108の弾性反発力が、リング部86を当接部134に当接させる向きの力として働くため、その力によって、流れの圧力によらないでもリング部86を接続部80の当接部134に対し当接状態に保持することができ、リング部86の接続部80に対する固定を安定化することができる。
尚、他の構成については上記実施形態と同様であり、符号のみを示して詳しい説明は省略する。
【0069】
図7は本発明の他の形態を示している。
この例は、内部に流路を形成するストレーナ保持部材としての筒体(第1部材)140へのストレーナ138の組付けに適用した例である。
図において142はストレーナ138におけるメッシュ部であり、144は摘み、146はその先端のリング部(雄嵌合部)である。
【0070】
ここではストレーナ138におけるリング部146が、Oリング147にて筒体140の接続部(第1嵌合部としての雌嵌合部)80にシール状態に固定され、以ってストレーナ138と筒体140とがシール状態で連結されている。
【0071】
尚、ここでは筒体140の側に、リング部146のフランジ部148に当接する当接部150が設けられ、その当接部150における軸直角方向の垂直な当接面152を、フランジ部148に当接させることで、ストレーナ138におけるリング部146の挿込方向の移動端を規定するようになしている。
尚他の点については図6に示す実施形態の連結構造と同様であり、符号のみを示して詳しい説明は省略する。
【0072】
図8は本発明の他の実施形態を示している。
この例は本発明を流量弁装置155に適用した例である。
154は流調弁装置155における本体ボデーで、内部流路上に主弁156が設けられている。
主弁156は、硬質樹脂からなる保持部材158と、この保持部材158にて保持されたゴム製のダイヤフラム膜160とからなるダイヤフラム式の主弁体162、及びこれを着座させる主弁座164を有している。
ここで主弁座164は、図中上向きに起立する円筒部166の上端部にて構成されている。
【0073】
168は、主弁156に対して上流側流路となる1次側流路で、この1次側流路168を通じて送られた水は主弁156を通過して、詳しくは主弁体162と主弁座164との間の隙間を通過して、円筒部166の内側の流路及びこれに続く流路からなる2次側流路170へと流れ、更に出側流路172を通じて外部に流出する。
【0074】
174は、主弁体162の背後に形成された圧力室で、この圧力室174は内部の圧力を主弁体162に対し閉弁方向の押圧力として作用させる。
主弁体162には、これを貫通して1次側流路168と圧力室174とを連通させる導入小孔176が設けられている。
この導入小孔176は、1次側流路168の水を圧力室174へと導き入れて圧力室174の圧力を増大させる。
【0075】
本体ボデー154には、この圧力室174と主弁156の下流側、ここでは出側流路172とを連通させる水抜き流路としてのパイロット流路178が設けられている。
ここでパイロット流路178は、圧力室174内の水を下流側に抜いて圧力室174の圧力を低下させる。
【0076】
このパイロット流路178上には、主弁156とともに流調弁を構成するパイロット弁(電磁パイロット弁)180が設けられている。
このパイロット弁180は、プランジャ式のパイロット弁体182と、これを着座させるパイロット弁座183,通電により電磁力を発生させてパイロット弁体182を開弁させる電磁コイル184,パイロット弁体182を図中下向きに付勢してこれを閉弁状態に保持するばね186を有している。
【0077】
このパイロット弁180は、パイロット弁体182の先端部のゴムシール部188をパイロット弁座183に着座させることで、パイロット流路178を連通遮断し、またパイロット弁体182をパイロット弁座183から図中上向きに離間させることで、パイロット流路178を連通状態とする。
【0078】
本実施形態において、流調弁装置155は上記のようにパイロット弁180を閉弁させることでパイロット流路178を遮断する。
すると主弁体162を貫通する導入小孔176を通じて圧力室174に導かれる水により圧力室174の圧力が上昇し、主弁体162に対する閉弁方向の押圧力を高める。ここにおいて主弁体162が主弁座164に着座して閉弁状態となる。
【0079】
一方パイロット弁体182を開弁させると、パイロット流路178が連通状態となることによって、圧力室174内の水がパイロット流路178を通じて下流側に抜かれ、ここにおいて圧力室174の圧力が低下して、主弁体162が1次側流路168の給水の圧力によって図中上向きに押し上げられ開弁する。
ここにおいて1次側流路168の水が主弁156を通過して下流側へと流れ、吐水部へと供給される。
【0080】
本体ボデー154には、主弁156における主弁体162の開弁時の開度を調節することによって、通水流量を調節する流量調節軸(流量調節部材)190が設けられている。
流量調節軸190は、本体ボデー154に設けられた挿入孔191内に挿入され、そして雄ねじ軸部195において本体ボデー154の雌ねじ部に、図中上下方向即ち軸方向に進退移動可能に螺合されている。
【0081】
この実施形態では、主弁体162の開弁時における開弁位置、即ち上昇位置が、流量調節軸190の上下位置によって決定される。即ち主弁体162は、開弁時の上昇位置が流量調節軸190の上下方向の進退移動に追従して決定される。
【0082】
この実施形態では、流量調節軸190を一定の位置に維持した状態でパイロット弁180をオン・オフさせると、主弁体162がこれに応じてオン・オフ動作する。このときの主弁体162の開度は主弁体162が、詳しくは中央部に設けた突出部193が流量調節軸190の下端に当ることによって決定される。即ち流量調節軸190の位置によって決定される。従って流量調節軸190の位置が上方にあれば主弁体162の開度が大となって、主弁156を通過して流れる水の流量が大となる。
一方流量調節軸190の位置が下方にあると、主弁体162の開度が小となって、主弁156を通過する水の流量が小となる。
従ってこの実施形態では、流量調節軸190の位置を上下に調節することで、主弁156の開弁時における水の流量を変化させることができる。
【0083】
本体ボデー154内部且つ上記の2次側流路170には、1次側流路168の1次側圧力P1と2次側流路170の2次側圧力P2との差圧ΔP=P1−P2を一定とする定差圧弁192が設けられている。
【0084】
194は、その主体をなすダイヤフラム式の弁体で、ゴム製のダイヤフラム膜196と、これを保持する硬質の樹脂製の保持部材198とを有している。
弁体194は、図中上部に円筒部200を有しており、その円筒部200において本体ボデー154の円形の嵌合孔202内に図中上下方向に摺動可能に嵌合されている。
【0085】
弁体194の図中下側には1次圧室204が形成されており、そこに連通路206を通じて1次側流路168の1次側圧力P1が導入されている。
弁体194は、図中下面がその1次側圧力P1を図中上向きに受ける1次側受圧面207を成している。
【0086】
208は、弁体194周りに形成された2次圧室で、この2次圧室208に、円筒部200内の軸方向通路209及び嵌合孔202の下側の径方向通路210を通じて2次側圧力P2が導入されている。
弁体194は、円筒部200を含む上面の全体が2次側圧力P2を図中下向きに受ける2次側受圧面212を成している(但し後述のフランジ部にて形成される絞り部220を除く)。
【0087】
2次圧室208にはコイルばね214が収容されており、弁体194に対してこのコイルばね214の付勢力が図中下向き、即ち2次側圧力P2の作用方向と同じ方向に及ぼされている。
尚、コイルばね214は図中下端が弁体194に当接され、また上端が2次圧室208内において本体ボデー154に図中上向きに当接せしめられている。
【0088】
弁体194は、円筒部200とこれよりも大径をなす下側の大径部216との間に環状の溝を有しており、そこにドーナツ環状のゴム膜(弾性を有する他の材質から成る膜であっても良い)218が軸方向、即ち図中上下方向に微小ストローク相対移動可能に嵌装されている。
このゴム膜218は、2次圧室208と上記の出側流路172側の圧力との差圧によって図中上向きに押し付けられ、円筒部200と嵌合孔202との間の隙間を通じて2次圧室208の圧力が漏れるのを防ぐ働きをなしている。
【0089】
弁体194は、先端側(図中上端側)に絞り部220を有しており、この絞り部220と、本体ボデー154側のシート面222(このシート面222は絞り部220を当接可能な面である)との間で流路の流れを絞る作用をなし、その作用に基づいて1次側圧力P1と2次側圧力P2との差圧ΔP=P1−P2を一定に保持する働きをなす。
【0090】
詳しくは、給水圧の変動等によって1次側流路168の1次側圧力P1が増大すると、定差圧弁192の弁体194がその増大した1次側圧力P1によって図中上向きに押し上げられる。
すると絞り部220とシート面222とによる2次側流路170に対する絞りが大となって、2次側流路170の2次側圧力P2が増大する。そして弁体194はその移動により上昇した2次側圧力P2と1次側圧力P1とが釣合う位置で移動停止する。
【0091】
また逆に1次側圧力P1が低下すると、相対的に増大した2次側圧力P2にて弁体194が図中下向きに移動し、そして1次側圧力P1と2次側圧力P2とが釣合う位置で弁体194が停止する。
そのようにして弁体194は、1次側圧力P1と2次側圧力P2との差圧ΔPを常に一定に保つように動作する。
従って以下の式(1)から導かれるように、主弁156を通過する水の流量は主弁156の開度に応じて一定流量となる。
【0092】
【数1】
【0093】
従ってこの実施形態では、主弁156の開度に応じた一定流量で吐水口から吐水させることができる。
【0094】
図9(A)に、上記絞り部220及び周辺の構成が詳しく示してある。
図に示しているようにこの実施形態では、弁体194の先端側に、弁体194における嵌合孔202に嵌合する外面224からシート面222に沿って、シート面222と平行に径方向外方に張り出すフランジ部が一体に設けられており、そのフランジ部によって絞り部220が形成されている。
具体的には、弁体194とシート面222との間の間隔はフランジ部から成る絞り部220の部分において最も狭く、流路の絞りの大小はこの絞り部220とシート面222との間の間隔によって定まる。
【0095】
尚、弁体194における先端面(図中上端面)の、絞り部220よりも径方向内側の部分は、絞り部220から図中左向きに即ち弁体194の軸心に向って離れるにつれ、シート面222から離間するテーパ面225をなしており、弁体194先端面における絞り部220よりも径方向内側の部分は図中下向きに凹んだ凹形状をなしている。
【0096】
従って絞り部220をシート面222の直近に位置させた状態で弁体194が流路の流れを大きく絞ったとき、圧力低下は絞り部220の部分で生じ、弁体194の先端面且つ外面224よりも内側の部分には2次側圧力P2が図中下向きに作用する。
【0097】
一方、絞り部220の上面に対しては2次側圧力P2よりも低い圧力P3が図中下向きに作用するが、このフランジ部から成る絞り部220の図中下面に対しては同じ圧力P3が上向きに作用し、それらの圧力が互いに相殺され、キャンセルされる。
従って弁体194の先端面に対しては2次側圧力P2だけが下向きに作用し、圧力P3の作用は排除される。
【0098】
本実施形態においては、絞り部220に加わる圧力が定差圧弁192の動作に影響を及ぼすことを防ぐことができ、定差圧弁192を正確に定差圧動作させることができる。従って流調弁装置155における正確な流調動作を確保することができる。
【0099】
尚上記のようにして弁体194に径方向外向きに張り出したフランジ部を設けて、そのフランジ部にて絞り部220を形成するようになした場合、絞り部220を弁体194に一体に構成しておくと、弁体194を図8において嵌合孔202に対し先端側から上向きに嵌め込んで組み付けるといったことができなくなる。
【0100】
そこでここでは、絞り部220を含む先端部を別体のリング部(第2部材)226となして、その下端部の雌嵌合部(第2嵌合部)227を、円筒部200における本体部(第1部材)228の雄嵌合部(第1嵌合部)229に組み付けるようになしている。
尚、リング部226は高さ寸法(軸方向寸法)が、出側流路172の開口を通じて嵌合孔202の図中上側(奥側)の位置まで挿入可能な寸法となしてある。
【0101】
この例によれば、リング部226を出側通路172を通じて本体ボデー154内部、詳しくは図8の嵌合孔202の図中上側位置に挿入し、また弁体194における本体部228を嵌合孔202に図中下側から上向きに嵌め込むことで、本体部228とリング部226とを嵌合状態に組み付けることができる。
【0102】
図9及び図10にリング部226と本体部228との組付構造、即ち連結構造が詳しく示してある。
ここでは図6に示す実施形態の連結構造を、リング部226と本体部228との連結構造として適用している。
従ってリング部226は、Oリング108の弾性変形に基づく弾性反力で先端(図中下端)が本体部228の当接部134に当接せしめられ、流れの圧力によらないでOリング108の弾性反力によりリング部226が本体部228に軸方向に当接状態に保持される。
これにより絞り部220とシート面222との間に設定した隙間を確保することができる。
尚この実施形態では、リング部226の側にOリング108の一部を収容する溝は形成されていない。
他の構成は基本的に同様であり、符号のみを示して詳しい説明は省略する。
【0103】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば上記実施形態では係合面116,124がそれぞれテーパ面とされているが、場合によってこれらを軸直角方向の垂直面となすことも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【符号の説明】
【0104】
4C ハウジング(第1部材)
10 流路
66 固定部(第2部材)
80 接続部(第1嵌合部)
86,146 リング部(第2嵌合部)
108,147 Oリング
110,112 シール面
114 第2係合部
116,124 係合面
121,132 ガイド面
122 第1係合部
134,150 当接部
132,152 当接面
140 筒体(第1部材)
227 雌嵌合部(第2嵌合部)
229 雄嵌合部(第1嵌合部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)筒状をなす雌嵌合部又は雄嵌合部から成る第1嵌合部を備えた第1部材と、(b)筒状をなし、該第1嵌合部に対し流路の流れの方向に軸方向に挿し込まれて該第1嵌合部に嵌合する雄嵌合部又は雌嵌合部から成る第2嵌合部を備えた第2部材とを、該第1嵌合部の軸方向に延びるシール面と該第2嵌合部の軸方向に延びるシール面との間に径方向に弾性圧縮状態に介挿したシールリングによるシール状態で連結する、シールリングを用いた連結構造であって、
前記第2嵌合部の前記挿込方向の先端側に、該第2嵌合部の前記シール面から前記第1嵌合部側に突出して、前記シールリングに対し前記挿込方向と反対の後退方向に係合する第2係合部を設ける一方、
前記第1嵌合部には、前記シールリングよりも前記第2嵌合部の前記挿込方向における後側位置で、該第1嵌合部の前記シール面から前記第2嵌合部側に突出し、該シールリングに対して該第2嵌合部の該挿込方向に係合する第1係合部を設け、
更に前記第1嵌合部には、軸方向と交差する方向に延び、前記第2嵌合部に当接して該第2嵌合部の前記挿込方向の移動端を規定する当接部を設けてあることを特徴とするシールリングを用いた連結構造。
【請求項2】
請求項1において、前記第2係合部の前記シールリングに対する係合面が、前記挿込方向に向って大径化するテーパ面となしてあることを特徴とするシールリングを用いた連結構造。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記第1係合部の前記シールリングに対する係合面が、前記挿込方向に向って大径化するテーパ面となしてあることを特徴とするシールリングを用いた連結構造。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかにおいて、前記第2嵌合部が前記当接部に当接し、位置規定された状態の下で前記第1係合部と第2係合部との間の距離が、変形前の前記シールリングにおける横断面径よりも小さいことを特徴とするシールリングを用いた連結構造。
【請求項1】
(a)筒状をなす雌嵌合部又は雄嵌合部から成る第1嵌合部を備えた第1部材と、(b)筒状をなし、該第1嵌合部に対し流路の流れの方向に軸方向に挿し込まれて該第1嵌合部に嵌合する雄嵌合部又は雌嵌合部から成る第2嵌合部を備えた第2部材とを、該第1嵌合部の軸方向に延びるシール面と該第2嵌合部の軸方向に延びるシール面との間に径方向に弾性圧縮状態に介挿したシールリングによるシール状態で連結する、シールリングを用いた連結構造であって、
前記第2嵌合部の前記挿込方向の先端側に、該第2嵌合部の前記シール面から前記第1嵌合部側に突出して、前記シールリングに対し前記挿込方向と反対の後退方向に係合する第2係合部を設ける一方、
前記第1嵌合部には、前記シールリングよりも前記第2嵌合部の前記挿込方向における後側位置で、該第1嵌合部の前記シール面から前記第2嵌合部側に突出し、該シールリングに対して該第2嵌合部の該挿込方向に係合する第1係合部を設け、
更に前記第1嵌合部には、軸方向と交差する方向に延び、前記第2嵌合部に当接して該第2嵌合部の前記挿込方向の移動端を規定する当接部を設けてあることを特徴とするシールリングを用いた連結構造。
【請求項2】
請求項1において、前記第2係合部の前記シールリングに対する係合面が、前記挿込方向に向って大径化するテーパ面となしてあることを特徴とするシールリングを用いた連結構造。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記第1係合部の前記シールリングに対する係合面が、前記挿込方向に向って大径化するテーパ面となしてあることを特徴とするシールリングを用いた連結構造。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかにおいて、前記第2嵌合部が前記当接部に当接し、位置規定された状態の下で前記第1係合部と第2係合部との間の距離が、変形前の前記シールリングにおける横断面径よりも小さいことを特徴とするシールリングを用いた連結構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−77793(P2012−77793A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221513(P2010−221513)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】
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