説明

シール材およびそれを用いた光学装置

【課題】廃棄する部分を低減することのできるシール材を提供する。
【解決手段】シール材1は、光学筺体と蓋とをシールするためのシール材であって、光学筺体と蓋とをシール可能なシール部2〜5と、シール部2〜5の各々の間に設けられた変形部6a〜6cの各々とを備えている。変形部6a〜6cの各々を平面的に曲げ変形させることにより、シール部2〜5の各々を畳んだ状態から広げた状態へ変化可能である。広げた状態において、変形部6a〜6cはシール部2〜5から突出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール材およびそれを用いた光学装置に関し、より特定的には、複写機やプリンタなどの画像形成装置における光学筐体をシールするためのシール材およびそれを用いた光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタなどの画像形成装置には光学装置が含まれている。この光学装置は、複数のトナー色の各々に対応する複数の感光体ドラムに対してビーム光を照射することによって、静電潜像を書き込む役割を果たしている。光学装置の光学筐体の内部には光源やポリゴンミラーなどの機器が収納されている。これらの機器を外塵から守るために、光学筐体の内部は密閉される必要がある。光学筐体の内部を密閉するために、通常、光学筐体の上部開口には蓋が設けられており、光学筐体の上部開口の縁と蓋との間にはシール材が設けられている。
【0003】
たとえば特開2004−145181号公報(特許文献1)には、光学筐体と蓋とを密閉するために、シール材で光学筐体の開口のほぼ全面を覆い、その上から蓋を装着することによって、筐体と蓋との間にシール材を狭装することにより開口を密封する構成が開示されている。また特開2000−56533号公報(特許文献2)には、光学筐体外縁部の上部全周にわたって略外縁幅のシール材を狭装する構成が開示されている。
【特許文献1】特開2004−145181号公報
【特許文献2】特開2000−56533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1および2に開示されているような、光学筐体の内部の密閉に用いられるシール材は、通常、シート状の原材料を打ち抜き加工することにより所望の形状に成形される。しかし、この成形方法には、廃棄される原材料が多量に生じるという問題があった。すなわち、光学筐体の内部の密閉に用いられるシール材は、光学筐体の上部開口の縁に沿って設けられるため、環状の平面形状を有している。シート状の原材料から環状のシート材を打ち抜き加工すると、打ち抜いた部分の内側に存在していた部分がすべて不要な部分となる。
【0005】
ここで、上記の不要な部分を活用するため、シール材の形状を複数の部分に分けてそれぞれの部分を打ち抜き加工し、打ち抜き加工後にそれぞれの部分を繋ぎ合わせてシール材の所望の形状とする方法が考えられる。しかしこの方法では、シール材の繋ぎ目において密閉性が低下するという問題があった。また、シール材の部品点数が増加し、部品の管理が煩雑になり、作業性が低下するという問題があった。
【0006】
上記の問題は、光学装置のシール材にのみおいて生じ得るものではなく、シール材全般において生じ得る問題である。
【0007】
したがって、本発明の一の目的は、廃棄する部分を低減することのできるシール材およびそれを用いた光学装置を提供することである。
【0008】
また、本発明の他の目的は、密閉性および作業性の低下を防止することのできるシール材およびそれを用いた光学装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のシール材は、対象物をシールするためのシール材であって、対象物をシール可能な第1および第2のシール部と、第1のシール部と第2のシール部との間に設けられた変形部とを備えている。変形部を平面的に曲げ変形させることにより、第1のシール部と第2のシール部とを畳んだ状態から第1のシール部と第2のシール部とを広げた状態へ変化可能である。広げた状態において、変形部は第1および第2のシール部から突出している。
【0010】
本発明のシール材によれば、畳んだ状態から広げた状態へシール材を変化させることが可能であるので、シール時の状態よりも面積の小さい状態でシール材を製造することができる。その結果、シール材の製造時に廃棄される部分の量を低減することができる。また、シール材を一部品により構成すると、密閉性および作業性の低下を防止することができる。
【0011】
本発明のシール材において好ましくは、変形部はU字またはV字の平面形状を有する。これらの平面形状は、曲げ変形させやすいので、変形部の形状として適している。
【0012】
本発明のシール材において好ましくは、第1および第2のシール部の各々は直線部分を含んでいる。広げた状態において、第1のシール部の直線部分と第2のシール部の直線部分との各々は一の直線を構成することが可能である。
【0013】
これにより、シール時に長い直線形状となるシール材の部分を、分割された2つの短い直線部分を結合させることにより構成することができる。その結果、シール材の製造時に廃棄される部分の量を低減することができる。また、変形部に変形力が作用するため、シール性能に影響する直線部が変形することを防ぐことができる。また、直線部同士を連結させることで、密閉性が向上する。
【0014】
本発明のシール材において好ましくは、第1のシール部、第2のシール部、および変形部はいずれも弾性部材である。
【0015】
これにより、シール材の変形が容易になる。
【0016】
本発明のシール材において好ましくは、畳んだ状態において、第1のシール部と第2のシール部とのなす角が劣角となる領域に変形部が設けられている。
【0017】
これにより、広げた状態のシール材が環状である場合に、変形部をシール材の内側に突出した形状とすることができる。
【0018】
本発明のシール材において好ましくは、畳んだ状態から前記広げた状態への変化の際、前記第1および第2のシール材の平面形状は維持される。
【0019】
これにより、シール部の変形によるシール効果の低下を抑制することができる。
【0020】
本発明の光学装置において好ましくは、光学部品を有する光学筐体本体と、光学筐体本体内の光学部品を覆う蓋と、シール材とを備え、シール材は、光学筐体本体と蓋との間に位置する。
【0021】
本発明の光学装置において好ましくは、変形部は、光学筐体の内部に位置する。
【発明の効果】
【0022】
本発明のシール材およびそれを用いた光学装置によれば、廃棄する部分を低減することができる。また、密閉性および作業性の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】画像形成装置の構成を模式的に示す図である。
【図2】図1の光学機器の構成を模式的に示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1におけるシール材の畳んだ状態を模式的に示す平面図である。
【図4】本発明の実施の形態1における変形部の構成を模式的に示す平面図である
【図5】本発明の実施の形態1における他の変形部の構成を模式的に示す平面図である。
【図6】本発明の実施の形態1における変形部のさらに他の構成を模式的に示す平面図である。
【図7】本発明の実施の形態1におけるシール方法の第1工程を模式的に示す平面図である。
【図8】本発明の実施の形態1におけるシール方法の第2工程を模式的に示す平面図である。
【図9】本発明の実施の形態1におけるシール方法の第3工程を模式的に示す平面図である。
【図10】本発明の実施の形態1におけるシール方法の第4工程を模式的に示す平面図である。
【図11】図10におけるシール材1と蓋117との構成を示す斜視図である。
【図12】本発明の実施の形態1における広げた状態の変形部の構成を模式的に示す平面図である。
【図13】本発明の実施の形態1における広げた状態の他の変形部の構成を模式的に示す平面図である。
【図14】本発明の実施の形態2におけるシール材の固定方法を説明するための図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0025】
(実施の形態1)
【0026】
本実施の形態においては、始めに画像形成装置およびこれに含まれる光学機器の構成について説明する。図1は、一般的な画像形成装置の構成を模式的に示す図である。図2は、図1の光学機器の構成を模式的に示す図である。
【0027】
始めに図1を参照して、画像形成装置100は、大きく分けてスキャナ部110と、転写部120と、現像部130と、給紙部140とを備えている。スキャナ部110は装置上部に設けられている。転写部120はスキャナ部110の右下に設けられており、現像部130はスキャナ部110の左下に設けられている。給紙部140は転写部120および現像部130の下に設けられている。
【0028】
スキャナ部110は、原稿から画像を読み取るための部分であり、原稿ガラス101と、自動原稿送り装置(ADF)102と、原稿載置台103と、原稿排出トレイ104とを含んでいる。原稿ガラス101上には、ADF102、原稿載置台103、および原稿排出トレイ104が配置されている。原稿載置台103に載置された原稿は、ADF102から原稿ガラス101の上へ搬送され、原稿ガラス101上において画像が読み取られる。原稿ガラス101において画像が読取られた後で、原稿は原稿排出トレイ104へ排出される。
【0029】
転写部120は、中間転写ベルト131上のトナー像を用紙に転写して用紙を排出するための部分であり、2次転写ローラ135と、定着装置136と、排紙ローラ137と、排紙部138とを含んでいる。定着装置136は、2次転写ローラ135よりも用紙搬送経路Rの下流側に配置されており、排紙ローラ137は、定着装置136よりも用紙搬送経路Rの下流側に配置されている。給紙部140から搬送されてきた用紙は、ニップ部Tにおいて2次転写ローラ135を用いてトナー像が転写される。このトナー像は中間転写ベルト131上のトナー像である。次に用紙は定着装置136に送られ、加熱ローラなどを用いて転写されたトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙は排紙ローラ137に送られ、排紙部138へ排出される。
【0030】
現像部130は、中間転写ベルト131上にトナー像を形成するための部分であり、走査装置としての光学機器Pと、中間転写ベルト131と、ローラ132〜134と、感光体ドラム125B,125M,125Y,125Cと、複数の1次転写ローラ126とを含んでいる。光学機器Pは、ブラック(B)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、およびシアン(C)のそれぞれに対応する光走査装置を含んでいる。感光体ドラム125B,125M,125Y,125Cの各々は回転しており、中間転写ベルト131の下部において1次転写ローラ126とともに中間転写ベルト131を挟んでいる。光学機器Pは、中間転写ベルト131の下部に配置されている。光学機器Pのそれぞれの光走査装置は、読み取った画像に基づき得られた濃淡値情報に対応するビーム光B,M,Y,Cを、感光体ドラム125B,125M,125Y,125Cの各々に対して出射する。これにより、感光体ドラム125B,125M,125Y,125Cの各々の表面には潜像が形成され、それに基づきトナー像が形成される。中間転写ベルト131は、ローラ132〜134によって図1中矢印Aで示す方向へ駆動されている。感光体ドラム125B,125M,125Y,125Cの各々の表面のトナー像を中間転写ベルト131に対して転写することにより、中間転写ベルト131上にトナー像が形成される。
【0031】
給紙部140は、2次転写ローラ135へ用紙を供給するための部分であり、用紙トレイ141と、給紙ローラ142と、用紙搬送ローラ143とを含んでいる。画像を形成する複数枚の用紙Sを格納する用紙トレイ141から、必要な枚数の用紙が給紙ローラ142および用紙搬送ローラ143を用いて2次転写ローラ135へ供給される。
【0032】
画像形成装置100は、さらに、CPU、RAM、ROMなどを含む情報処理部150を備えている。
【0033】
次に図2を参照して、光学機器Pの構成について説明する。光学機器Pは、光学筐体113と、光源ユニット114と、ポリゴンミラー116と、複数の偏向ミラー115(反射ミラー)と、蓋117と、シール材1とを含んでいる。光学筐体113の上部開口は蓋117によって覆われており、シール材1は光学筐体113と蓋117との間をシールしている。具体的には、シール材1は蓋117と光学筐体113との間において、光学筐体113の上部開口を取り囲む縁の全周にわたって狭装されている。シール材1および蓋117によって密閉された光学筐体113の内部には、光源ユニット114、ポリゴンミラー116、および複数の偏向ミラー115が収納されている。光源ユニット114から出射された複数のビーム光の各々は、ポリゴンミラー116によって感光体ドラム125B,125M,125Y,125Cの各々の軸方向(図1の奥行き方向)に走査され、偏向ミラー115の各々で反射されることによって感光体ドラム125B,125M,125Y,125Cの各々に導かれる。その結果、光学機器Pにより、感光体ドラム125B,125M,125Y,125Cの各々に対してビーム光B,M,Y,Cの各々の光路が形成される。なお、光学機器Pは、ビーム光の補正を行うためのfθレンズをさらに備えていてもよい。
【0034】
上述のように、本実施の形態のシール材は、たとえば光学機器において、光学部品が収納された光学筐体の内部に外部から粉塵が進入することを防止するために、光学筐体の内部を密閉するためのものである。続いて、本実施の形態におけるシール材の構成について説明する。
【0035】
図3は、本発明の実施の形態1におけるシール材の畳んだ状態を模式的に示す平面図である。図3を参照して、本実施の形態におけるシール材1は、平面的に見てたとえば略四角形状の外形を有しており、かつたとえば渦巻き状の形状(すなわち旋回するに従って中心CEから遠ざかるような形状)を有している。シール材1は、シール部2〜5と、変形部(折り曲げ部)6a〜6cとを備えている。シール部2(第1のシール部)とシール部3(第2のシール部)との間には変形部6aが設けられており、シール部3とシール部4との間には変形部6bが設けられており、シール部2とシール部5(第3のシール部)との間には変形部6cが設けられている。シール部2〜5は光学筐体をシール可能である。変形部6a〜6cの各々はシール部2〜5の各々から突出している。
【0036】
シール材1は、変形部6a〜6cの各々を平面的に曲げ変形させることにより、シール部2〜5の各々を畳んだ状態から、シール部2〜5の各々を広げた状態(図10)へ変化可能である。シール部自体は変形部を含んでいない。
【0037】
シール部2は辺2a〜2cを有している。辺2a〜2cの各々はたとえば変形部を含まない略直線形状を有しており、シール材1の略四角形状の外形における三辺を構成している。辺2bと辺2cとはたとえば互いに平行であり、辺2aは辺2bおよび辺2cの各々と直角に接続されている。シール部3は辺2cに対して、変形部6aを中心としてシール材1の内側(たとえば略四角形状の中心CE側)に向かって畳まれている。シール部3は辺3aおよび3bを有している。辺3aおよび3bの各々は略直線形状を有しており、互いに直角に接続されている。シール部4は辺3bに対して、変形部6bを中心としてシール材1の内側に畳まれている。シール部4はたとえば略直線形状を有している。シール部5は辺2bに対して、変形部6cを中心としてシール材1の内側に向かって畳まれている。シール部5はたとえば略直線形状を有しており、シール材1の略四角形状の外形における一辺を構成している。シール部2の辺2aの幅W1は辺2bおよび辺2cの幅W2よりも大きい。
【0038】
シール部2〜5および変形部6a〜6cの各々は、たとえばポリウレタンフォーム、ゴム、またはスポンジなどの弾性部材よりなっている。特に2つの部材の間をシールする場合には、2つの部材の各々にシール材を取り付けるための両面粘着テープをさらに備えていてもよい。
【0039】
なお、本発明のシール材の形状は任意であり、図3に示す構成に限定されるものではない。シール材が略四角形状の平面形状を有する場合であっても、略四角形状の一辺を構成するシール部は凹部9などを含んでいてもよい。
【0040】
図4は、本発明の実施の形態1における変形部の構成を模式的に示す平面図である。図4を参照して、変形部6a〜6cの各々は、変形の自由度を持った部分であり、たとえばU字形状を有している。また、図4の構成の他、変形部はたとえば図5に示すようなV字形状を有していてもよい。図4および図5においては、変形部6a〜6cの各々の両側部分にシール部が直線部分7aおよび7bを含んでおり、畳んだ状態において、直線部分7aと直線部分7bとのなす角が劣角となる領域R1に変形部6a〜6cが設けられている。領域R1に変形部6a〜6cが設けられる場合、図3に示すように、変形部6a〜6cのU字またはV字の突出部は、シール材1の内側(中心CE(図3)側)を向いている。
【0041】
さらに、図4および図5に示す構成の他、図6に示すように、畳んだ状態において、直線部分7aと直線部分7bとのなす角が優角となる領域R2に変形部6a〜6cが設けられてもよい。領域R2に変形部6a〜6cが設けられる場合、変形部6a〜6cのU字またはV字の突出部は、シール材1の外側を向いている。
【0042】
また、本実施の形態においてはシール部と変形部とが同一の材料よりなっており、変形部が対象物をシール可能である場合について示したが、変形部とシール部とは異なる材料よりなっていてもよく、変形部は対象物をシールする機能を有していなくてもよい。また、変形部は図4〜図6に示す形状以外の形状を有していてもよい。
【0043】
続いて、本実施の形態におけるシール材を用いて光学筐体をシールする方法について説明する。
【0044】
図7を参照して、蓋117は、たとえば略四角形状を有しており、4つの辺117a〜117dを含んでいる。辺117aと辺117dとは互いに対向しており、辺117bと辺117dとは互いに対向している。また、蓋117は、ビーム光を感光体ドラムに対して出射するためなどの複数の孔118をさらに含んでいる。
【0045】
始めに、蓋117の辺117a全体にシール材1のシール部2を配置する。具体的には、シール材1を畳んだ状態で、シール部2の辺2aを蓋117の辺117aに位置合わせする。続いて、シール部2の辺2bおよび2cの各々を、蓋117の辺117bおよび117cに位置合わせする。このように位置合わせした状態で、シール部2を両面テープなどで蓋117へ取り付ける。図7の状態では、シール部2は辺117a全体に配置されており、辺117a全体をシールしている。シール部3〜5は蓋117の略四角形状の内部に存在している。
【0046】
次に、シール部3を図7中矢印A1で示す方向に動かして変形部6aを平面的に曲げ変形させる。これにより、シール部3の辺3aを蓋117の辺117bに配置し、シール部3の辺3bを蓋117の辺117dに配置する。その結果、図8に示すようにシール部2とシール部3とを広げた状態へ形状が変化する。その後、シール部3を両面テープなどで蓋117へ取り付ける。この変形の際には、好ましくはシール部2および3の平面形状を維持することが好ましい。
【0047】
ここで、シール部3を図7中矢印A1で示す方向に動かす際に変形部6aは、図4において矢印B1で示すように、平面的に曲げ変形される。その結果、図12に示すように、変形部6aはシール部から左側(領域R1(図4))に突出した形状となる。特に、変形部6aの両側部分にシール部が直線部分7aおよび7bを含んでいる場合には、直線部分7aと直線部分7bとの各々は密着し、一の直線を構成することが好ましい。この場合には、広げた状態において変形部6aは蓋117上に突出するため(図8参照)、変形部6aの一部を切り落とす必要がない。
【0048】
また、変形部6aが図6に示す形状である場合には、図6において矢印B2で示すように、平面的に曲げ変形される。その結果、図13に示すように、変形部6aはシール部から右側(領域R2(図6))に突出した形状となる。この場合には、広げた状態において変形部6aは蓋117の外部に突出するので、光学筐体113が予め変形部6aの形状に合った形状とされてもよいし、変形部6aの一部が切り落とされてもよい。また、図4の構成において、広げた状態において変形部6aが蓋117の外部に突出するように、変形部6aを配置してもよい。
【0049】
次に、シール部4を図8中矢印A2で示す方向に動かして変形部6bを変形部6aと同様に平面的に曲げ変形させる。これにより、シール部4を蓋117の辺117dに配置する。その結果、図9に示すようにシール部3とシール部4とを広げた状態へ形状が変化する。この変形の際には、好ましくはシール部3および4の平面形状を維持することが好ましい。その後、シール部4を両面テープなどで蓋117へ取り付ける。
【0050】
次に、シール部5を図9中矢印A3で示す方向に動かして変形部6cを変形部6aと同様に平面的に曲げ変形させる。これにより、シール部5を蓋117の辺117cに配置する。その結果、図10に示すようにシール部2とシール部5とを広げた状態へ形状が変化する。この変形の際には、好ましくはシール部2および5の平面形状を維持することが好ましい。その後、シール部5を両面テープなどで蓋117へ取り付ける。図11は、図10におけるシール材1と蓋117との構成を示す斜視図である。
【0051】
以上の工程により、シール材1は光学筐体113の上部開口を取り囲む縁の形状に沿った形状へと変化する。その後、図2を参照して、シール材1を光学筐体113に取り付ける。以上の工程により、蓋117と光学筐体113との間がシールされる。
【0052】
続いて、本実施の形態のシール材の効果について説明する。
【0053】
本実施の形態におけるシール材1は、光学筐体113と蓋117とをシールするためのシール材であって、光学筐体113と蓋117とをシール可能なシール部2〜5と、シール部2〜5の各々の間に設けられた変形部6a〜6cの各々とを備えている。変形部6a〜6cの各々を平面的に曲げ変形させることにより、シール部2〜5の各々を畳んだ状態から広げた状態へ変化可能である。広げた状態において、変形部6a〜6cはシール部2〜5から突出している。
【0054】
本実施の形態におけるシール材1によれば、畳んだ状態から広げた状態へシール材1を変化させることが可能であるので、シール時の状態(図10の状態)よりも面積の小さい状態(図3の状態)でシール材1を製造することができる。その結果、シール材1の製造時に廃棄される部分の量を低減することができる。また、シール材1が一部品により構成されているので、密閉性および作業性の低下を防止することができる。
【0055】
また、変形部6a〜6cの各々はU字またはV字の平面形状(変形の自由度を持った部分)を有しているので、曲げ変形させやすくなる。
【0056】
また、シール部2〜5の各々は直線部分7aおよび7bの各々を含んでおり、広げた状態において、直線部分7aと直線部分7bとは一の直線を構成することが可能である。これにより、たとえば辺117bに取り付けるシール材の部分のように、シール時に長い直線形状となる部分を、2つの短い直線部分7aおよび7bを結合させることにより構成することができる。その結果、シール材1の製造時に廃棄される部分の量を低減することができる。
【0057】
また、シール部2〜5および変形部6a〜6cはいずれも弾性部材であるので、シール材の変形が容易になる。
【0058】
また、畳んだ状態において、シール部2〜5の各々のなす角が劣角となる領域R1に変形部6a〜6cが設けられているので、広げた状態のシール材1が環状である場合に、変形部6a〜6cの各々をシール材1の内側に突出した形状とすることができる。
【0059】
また、畳んだ状態から広げた状態への変化の際、シール部2〜5の平面形状は維持されるので、シール部2〜5の変形によるシール効果の低下を抑制することができる。
【0060】
なお、本実施の形態においては、光学筐体の上部開口を取り囲む縁が全周にわたってシール材によってシールされる場合について示したが、光学筐体の上部開口を取り囲む縁の一部のみがシール材によってシールされてもよい。
【0061】
(実施の形態2)
【0062】
図14は、本発明の実施の形態2におけるシール材の固定方法を説明するための図である。図14を参照して、本実施の形態のシール材1においては、広げた状態において変形部6a〜6cの各々は環状の平面形状を有している。加えて、この環状の平面形状を利用して、シール材1は、変形部6a〜6cの各々の内部に固定具119を挿入することにより蓋117および光学筐体113に対して固定される。すなわち、蓋117は、平面的に見て変形部6a〜6cと重なる部分に孔117eを有している。同様に、光学筐体113は、平面的に見て変形部6a〜6cと重なる部分に孔を含む突出部113aを有している。孔117eと、変形部6a〜6cと、突出部113aの孔とに固定具119が挿入されている。その結果、変形部6a〜6cの各々がシール可能な材料よりなっている場合には、蓋117と突出部113aとの間を変形部6a〜6cの各々でシールすることができる。固定具119はたとえばねじやボルトなどよりなっている。
【0063】
なお、これ以外のシール材1の構成は、実施の形態1のシール材の構成と同様であるので、同一の部材には同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0064】
本実施の形態におけるシール材1によれば、広げた状態において変形部6a〜6cの各々は環状の平面形状を有しており、変形部6a〜6cの各々の内部に固定具119を挿入することにより蓋117および光学筐体113に対して固定可能である。これにより、シール材の位置ずれを抑制することができ、シール材1の性能を向上することができる。
【0065】
なお、上記実施の形態においては、シール材1がシール部2〜5を備えている場合について示したが、本発明のシール材は少なくとも2つのシール部(第1および第2のシール部)を備えていればよい。シール材の平面形状は任意である。
【0066】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0067】
1 シール材、2〜5 シール部、2a〜2c,3a,3b,117a〜117d 辺、6a〜6c 変形部、7a,7b 直線部分、9 凹部、100 画像形成装置、101 原稿ガラス、102 自動原稿送り装置(ADF)、103 原稿載置台、104 原稿排出トレイ、110 スキャナ部、113 光学筐体、113a 突出部、114 光源ユニット、115 偏向ミラー、116 ポリゴンミラー、117 蓋、117e,118 孔、119 固定具、120 転写部、125B,125M,125Y,125C 感光体ドラム、126 1次転写ローラ、130 現像部、131 中間転写ベルト、132〜134 ローラ、135 2次転写ローラ、136 定着装置、137 排紙ローラ、138 排紙部、140 給紙部、141 用紙トレイ、142 給紙ローラ、143 用紙搬送ローラ、150 情報処理部、A,A1〜A3,B1,B2 矢印、B,M,Y,C ビーム光、CE 中心、P 光学機器、R 用紙搬送経路、R1,R2 領域、S 用紙、T ニップ部、W1,W2 シール部の幅。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物をシールするためのシール材であって、
前記対象物をシール可能な第1および第2のシール部と、
前記第1のシール部と前記第2のシール部との間に設けられた変形部とを備え、
前記変形部を平面的に曲げ変形させることにより、前記第1のシール部と前記第2のシール部とを畳んだ状態から前記第1のシール部と前記第2のシール部とを広げた状態へ変化可能であり、
前記広げた状態において、前記変形部は前記第1および第2のシール部から突出している、シール材。
【請求項2】
前記変形部はU字またはV字の平面形状を有する、請求項1に記載のシール材。
【請求項3】
前記第1および第2のシール部の各々は直線部分を含み、前記広げた状態において、前記第1のシール部の前記直線部分と前記第2のシール部の前記直線部分との各々は一の直線を構成することが可能である、請求項1または2に記載のシール材。
【請求項4】
前記第1のシール部、前記第2のシール部、および前記変形部はいずれも弾性部材である、請求項1〜3のいずれかに記載のシール材。
【請求項5】
前記畳んだ状態において、前記第1のシール部と前記第2のシール部とのなす角が劣角となる領域に前記変形部が設けられる、請求項1〜4のいずれかに記載のシール材。
【請求項6】
前記畳んだ状態から前記広げた状態への変化の際、前記第1および第2のシール部の平面形状は維持される、請求項1〜5のいずれかに記載のシール材。
【請求項7】
光学部品を有する光学筐体本体と、
前記光学筐体本体内の光学部品を覆う蓋と、
請求項1〜6のいずれかに記載のシール材とを備え、
前記シール材は、前記光学筐体本体と前記蓋との間に位置する、光学装置。
【請求項8】
前記変形部は、前記光学筐体の内部に位置する、請求項7に記載の光学装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−8158(P2011−8158A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153548(P2009−153548)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】