説明

シール装置

【課題】エンドレスタイプのバックアップリングを用いられない構造を改良してエンドレスタイプのバックアップリングを用いられるようにしたシール装置を提供する。
【解決手段】Oリング溝12には、Oリング13が組み付けられるOリング専用溝21と、バックアップリング14が組み付けられるバックアップリング専用溝22とが備えられている。Oリング専用溝21における外径に対してバックアップリング専用溝22における外径が大きくされることにより、Oリング溝12内のOリング専用溝21とバックアップリング専用溝22との境界に段差23が形成されている。バックアップリング14の内径がOリング13の内径より大きくされている。Oリング溝12より端側でOリング溝12の端側の側壁部分となる端側外周部36における外径が、バックアップリング専用溝22における外径より大きくなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種ポンプに好適に使用可能なシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、プランジャポンプのシリンダとマニホールドを接続する連通管の部分におけるシール装置として、図4に示すように、円筒状の連通管1(内側部材)のシリンダ側の端部とマニホールド側の端部とにOリング溝2,2がそれぞれ形成されるとともに、当該Oリング溝2,2にOリング3,3とバックアップリング4,4が取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記連通管1は、シリンダ側がシリンダの円筒状部分(外側部材)の内側に配置され、マニホールド側がマニホールドの円筒状部分(外側部材)の内側に配置され、シリンダの円筒状部分とマニホールド側の円筒状部分とをこれらの内側で繋いだ状態に配置される。
この連通管1の部分は、シリンダ内でプランジャが往復動することにより、高圧になるとともに、プランジャの往復動に応じて高圧の状態とそれより低圧となる状態が短い間隔で繰り返される状態となる。
【0004】
そして、Oリング3がシールすることで、シリンダとマニホールドとの接続部における液漏れを防止するようになっている。したがって、連通管1の両端部側が高圧側となり、中央側が低圧側となり、Oリング溝2,2の連通管1の端側となる方にOリング3,3が取り付けられ、さらに、当該Oリング3,3より連通管1の中央側にバックアップリング4,4が取り付けられる。
【0005】
また、図5は、上述のプランジャポンプの吸入口または吐出口において、吸入弁ユニットや吐出弁ユニットを取り付けた状態に固定するプラグ(内側部材)1aを示すものである。なお、プラグ1aは例えば、吸入弁ユニットや吐出弁ユニットを固定するための円筒状の部材の内周に形成された雌ねじにねじ込まれる雄ねじ5を備えている。また、雄ねじ5の後側にフランジ部6を備え、さらにフランジ部6の後がレンチ等でねじを回すためにレンチを接続可能な頭部7となっている。そして、上述の円筒状の部材にプラグ1aをねじ込むことにより、吸入弁ユニットや吐出弁ユニットを押し付けた状態で固定するようになっている。
【0006】
そして、プラグ1aの部分にもプランジャポンプの圧力が作用するので、プラグ1aの先端部には、上述の連通管1と同様に、Oリング溝2が設けられ、当該Oリング溝2にOリング3が配置され、さらにバックアップリング4が取り付けられている。
上述のバックアップリング4は、シール部分に高圧が作用した場合にOリング3が高圧側から低圧側に延出するように弾性変形し、Oリング3の一部が当該Oリングにシールされる隙間の低圧側に延びてはみ出した状態となる。なお、高圧でなくても、シールされる隙間が大きい場合にも上述のOリング3のはみ出しが発生する。
【0007】
このようなOリング3のはみ出しが発生すると、Oリング3の破損の原因となるので、このようなはみ出しが発生する虞のある場合には、Oリング3がはみ出す側、すなわち、低圧側にOリング3に隣接してバックアップリング4が配置される。
【0008】
バックアップリング4の外径が例えば前記連通管1の外径より大きくなっており、連通管1とシリンダもしくはマニホールドとの間の隙間のOリング3側に開放される側がバックアップリング4の外周部分でほぼ閉塞された状態となり、Oリング3が前記隙間に入れない状態となる。これにより、Oリング3の上述のようなはみ出しが防止されることになり、Oリング3のはみ出しによる破損が防止される。なお、Oリング3が破損するほどはみ出すことがない状態でも、バックアップリング4を用いることにより、Oリング3への負荷を軽減し、Oリング3の長寿命化を図ることができる。
【0009】
ここで、バックアップリング4は、Oリング溝2にOリング3に隣接して配置されることになるが、その使用目的からOリング3が弾性変形し易い素材から形成されるのに対してバックアップリング4はOリング3より弾性変形しずらく、Oリング3と同様の変形量で変形した場合に弾性限界を越えて塑性変形する虞が高い素材から形成される。
【0010】
また、Oリング3の内径は、例えば、Oリング溝2における外径と同等の径(僅かに小さい径)とされる。したがって、Oリング3の内径は、Oリング溝2の外側となる外周面の外径よりも確実に小さいものとなるが、Oリング3は、容易に弾性変形するので、Oリング3を拡径した状態に弾性変形させて、Oリング溝2内に入れることができる。
【0011】
それに対して、Oリング3の弾性変形によるはみ出しを防止する環状(エンドレスタイプ)のバックアップリング4は、Oリング3のように容易に弾性変形することができず、Oリング溝2にバックアップリング4を入れることが困難となる。また、バックアップリング4を無理やり拡径するように変形させるとバックアップリング4が弾性限界を超えて塑性変形してしまう虞がある。
【0012】
したがって、環状のエンドレスタイプのバックアップリング4を使用できる構造は極めて限られたものとなる。そこで、バックアップリング4として、エンドレスタイプを用いることが困難な場合には、リングの一箇所を斜めに切断して開環した形状としたバイアスカットタイプや、環状ではなく、両端を有する螺旋状に形成されたスパイラルタイプのものが用いられる。上述のようなスパイラルタイプやバイアスカットタイプのバックアップリング4は、切れ目があることや両端がある螺旋状であることで容易に拡径するように弾性変形可能となり、バックアップリング4の内径を拡径して、Oリング溝2に組み付けることが可能となる。
【0013】
【特許文献1】実開昭61−64568号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、上述のプランジャポンプ(往復ポンプ)等で大型のためにシール装置の使用箇所が特に高圧となるような場合に、上述のスパイラルタイプやバイアスカットタイプのバックアップリングを用いるとバックアップリングの切れ目等で隙間が発生する虞のある部分にOリングが高圧で押し付けられることにより、これらの隙間にOリングが弾性変形して入り込むことで、はみ出した状態となる。なお、この際にバックアップリング側もその切れ目等の隙間が広がるように弾性変形している可能性がある。そして、このようなOリングのはみ出しは、Oリングの損傷の原因となり、Oリングの寿命が短くなってしまう。特に上述のプランジャポンプのように高圧と低圧とが短い間隔で繰り返す場合に、Oリングが損傷する可能性が高くなり、メンテナンスを頻繁に行う必要が生じてしまう。
【0015】
すなわち、切れ目等の隙間の無いエンドレスタイプのバックアップリングに対して、スパイラルタイプやバイアスカットタイプのバックアップリングはどうしても性能的に劣るものとなる。
【0016】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、従来エンドレスタイプのバックアップリングを使用することが困難な構造であっても、エンドレスタイプのバックアップリングを使用可能として、スパイラルタイプやバイアスカットタイプのバックアップリングを用いた場合よりもOリングの長寿命化を図るとともにメンテナンスの手間の低減を図ることができるシール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記目的を達成するために、請求項1に記載のシール装置は、少なくとも端部を円筒または円柱形状に形成された内側部材(11)において、当該端部の外周面に周方向に沿ってOリング溝(12)が設けられ、当該Oリング溝(12)にOリング(13)とバックアップリング(14)とが組み付けられ、前記端部の外側に内周面が前記Oリング(13)と当接する外側部材(62,63)が組み付けられるシール装置であって、前記Oリング溝(12)は、前記Oリング(13)が組み付けられるOリング専用溝(21)と、当該Oリング専用溝(21)に隣接して設けられ前記バックアップリング(14)が組み付けられるバックアップリング専用溝(22)とを備え、前記Oリング専用溝(21)における前記内側部材(11)の外径に対して前記バックアップリング専用溝(22)における前記内側部材(11)の外径が大きくされることにより、前記バックアップリング(14)の内径が前記Oリング(13)の内径より大とされ、前記内側部材(11)の前記端部には、前記Oリング溝(12)に隣接して、前記Oリング溝(12)の端側に端側外周部(36)が、前記Oリング溝(12)の中央側に中央側外周部(34)がそれぞれ設けられ、前記端側外周部(36)における前記内側部材(11)の外径が、前記中央側外周部(34)における前記内側部材(11)の外径より小さく、かつ前記バックアップリング専用溝(22)における前記内側部材(11)の外径より大きいことを特徴とする。
【0018】
請求項1に記載の発明においては、前記内側部材(11)の前記Oリング専用溝(21)における外径に対して前記バックアップリング専用溝(22)における外径が大きくされることにより、前記Oリング(12)の内径に対して前記バックアップリング(14)の内径が大きくされているので、バックアップリング(14)を拡径して前記内側部材(11)の端部のOリング溝(12)に入れる際に、Oリング(13)よりも拡径の変形量を小さくすることができる。
【0019】
また、前記Oリング溝(12)より端側の端側外周部(36)における前記内側部材(11)の外径が、前記Oリング溝(12)より中央側の中央外周部(34)における前記内側部材(11)の外径より小さくなっている。すなわち、バックアップリング(14)を通す部分(端側外周部(36))の外径が小さくされているので、さらにバックアップリング(14)をOリング溝(12)のバックアップリング専用溝(22)に入れるために拡径する際の変形量を小さくすることができる。
【0020】
また、バックアップリング(14)をOリング溝(12)に設置する際に、バックアップリング(14)を前記内側部材(11)の円筒状の端部の軸方向に対して斜めとする。そして、バックアップリング(14)の一部をOリング溝(12)に入れた状態とする。この状態で、バックアップリング(14)のOリング専用溝(21)に挿入された部分の180度離れた反対側となる部分を端側外周部(36)に掛けるように配置した後に端側外周部(36)を越えさせてOリング溝(12)内に移動させる。この際に、バックアップリング(14)の一部が既に端側外周部(36)より内側のOリング溝(12)(Oリング専用溝(21))内にあるので、バックアップリング(14)全体がOリング溝(12)内に入ることになる。
【0021】
上述の構造で、以上のような方法によりバックアップリング(14)をセットした場合に、バックアップリング(14)の変形量を極めて少なくすることができる。したがって、バックアップリング(14)の設置時にバックアップリング(14)の変形量が弾性限界を超えて塑性変形するのを防止し、確実に塑性変形しない状態でバックアップリング(14)をOリング溝(12)内に設置することができる。また、この状態でOリング溝(12)内のバックアップリング(14)をバックアップリング専用溝(22)に移動して容易にバックアップリング専用溝(22)の部分に組み付けることが可能となる。
【0022】
また、上述のように、端側外周部(36)の外径が、中央側外周部(34)の外径より小さくされるが、当該端側外周部の外径は、バックアップリング専用溝(22)における前記内側部材(11)の外径より大きいので、Oリング溝(12)と端側外周部(36)の間には、確実に段差が生じており、Oリング(13)やバックアップリング(14)がOリング溝(12)から外れるのを防止することができる。
【0023】
すなわち、端側外周部(36)は、内径がOリング(13)より大きいバックアップリング(14)を僅かに弾性変形させる程度で通過可能となる外径に形成されるが、Oリング(13)やバックアップリング(14)を意図的に拡径させなければ、Oリング(13)やバックアップリング(14)が端側外周部(36)を通過してOリング溝(12)から外れるのを防止できる形状となっている。
【0024】
また、内側部材(11)のOリング溝(12)を有する端部は、端側外周部(36)も含めて一体の構造となっており、端側外周部(13)等を分割可能な構造として、端側外周部(13)を外した状態で、Oリング溝(12)にバックアップリング(14)を嵌めることができるような構造とはなっていない。
【0025】
また、請求項2に記載のシール装置は、請求項1に記載の発明において、前記端側外周部(36)の外周面は、端に向かうほど径が小さくなるように形成されていることを特徴とする。
【0026】
請求項2に記載の発明においては、上述のようにバックアップリング(14)を内側部材(11)の端部に対して斜めとする。そして、バックアップリング(14)の一部をOリング溝(12)に入れた状態で、前記一部の180度反対側となる部分が端側外周部(36)を越えるように移動させて、バックアップリング(14)をOリング溝(12)内に入れる場合に、端側外周部(36)が端に向かうほど小径となるように外周面がテーパー面となっているので、バックアップリング(14)の前記部分が端側外周部(36)を越える際に、バックアップリング(14)が前記テーパー面にガイドされ、円滑にOリング溝(12)に挿入される。
【0027】
また、内側部材(11)の端部に対して斜めとなったバックアップリング(14)の内径に対して、上述のように端側外周部(36)の最も端側、すなわち内側部材(11)の端部の最も端側が最も小径となる構造とすることで、Oリング溝(12)の底から180度反対側の端側外周部(36)の最も端となる部分までの距離が短くなり、バックアップリング(14)をOリング溝(12)に挿入しやすくなる。
【0028】
請求項3に記載のシール装置は、請求項1または請求項2記載の発明において、前記内側部材(11)のOリング専用溝(21)における外径の値が、前記内側部材(11)のバックアップリング専用溝(22)における外径の値の85%以上となっていることを特徴とする。
【0029】
請求項3に記載の発明においては、Oリング専用溝(21)とバックアップリング専用溝(22)との間の段差(23)が大きすぎると、バックアップリング専用溝(22)の底面(32)とバックアップリング(14)の内周面との間にOリング(13)がはみ出すように弾性変形する可能が高くなるので、これを防止するために、前記内側部材(11)のOリング専用溝(21)における外径の値を、前記内側部材(11)のバックアップリング専用溝(22)における外径の値の85%以上としている。
【0030】
すなわち、上述の段差(23)が小さければ、Oリング(13)の中心側に近い部分からバックアップリング(14)にOリング(13)が押えられた状態となり、バックアップリング(14)の内周面とバックアップリング専用溝(22)の底面(32)との間へのOリング(13)のはみ出しが生じにくい。しかし、段差(23)が大きいと、Oリング(13)の内周部分がバックアップリング(14)に押えられない状態となり、バックアップリング(14)の内周面とバックアップリング専用溝(22)の底面(32)との間へのOリング(13)のはみ出しが生じ易くなってしまう。
【0031】
ここで、本発明者らは、前記内側部材(11)のOリング専用溝(21)における外径の値が、前記内側部材(11)のバックアップリング専用溝(22)における外径の値の85%以上とすることで、Oリング(13)のバックアップリング(14)とバックアップリング専用溝(22)の底面(32)との間へのはみ出しを防止できることを見出した。なお、上述のように前記内側部材(11)の前記Oリング専用溝(21)における外径に対して前記バックアップリング専用溝(22)における外径が大きくされる必要がある。Oリング専用溝(21)とバックアップリング専用溝(22)との間の段差(23)が大きくなればなるほど、バックアップリング(14)の内径が大きくなり、バックアップリング(14)を容易にOリング溝(12)に挿入可能となる。したがって、前記内側部材(11)のOリング専用溝(21)における外径の値が、前記内側部材(11)のバックアップリング専用溝(22)における外径の値の100%以上となることはなく、100%未満となる。
【0032】
請求項4に記載のシール装置は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記内側部材(11)の端側外周部(36)における外径の値が前記内側部材(11)のバックアップリング専用溝(22)における外径の値の115%以下となっていることを特徴とする。
【0033】
請求項4に記載の発明においては、前記内側部材(11)の端側外周部(36)における外径の値が前記内側部材(11)のバックアップリング専用溝(22)における外径の値の115%以下となっていることにより、バックアップリング(14)を塑性変形させることなく、Oリング溝(12)に挿入可能となる。上述のようにバックアップリング(14)を斜めにして、180度離れた2つの部位のうちの一方の部位をOリング溝(12)内に挿入し、他方の部位を端側外周部(36)にかけた状態から、他方の部位が端側外周部(36)を越えるようにして、バックアップリング(14)をOリング溝(12)に入れる際に、端側外周部(36)における外径が小さい方が容易にバックアップリング(14)をOリング溝(12)にセットし易くなる。
【0034】
そこで、本発明者らは、実験的に内側部材(11)の端側外周部(36)における外径の値が前記内側部材(11)のバックアップリング専用溝(22)における外径の値の115%以下となっていれば、比較的容易にバックアップリング(14)をOリング溝(12)に挿入できることを見出した。なお、上述のようにOリング(13)およびバックアップリング(14)が端側外周部(36)から抜けないようにするために、端側外周部(36)は、バックアップリング専用溝(22)における外径より大きい外径である必要がある。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、従来エンドレスタイプのバックアップリングを使用することが困難であったOリング溝に、バイアスカットタイプやスパイラルタイプではなく、エンドレスタイプのバックアップリングを使用できようになり、バイアスカットタイプやスパイラルタイプを用いた場合のようにOリングを損傷する虞がなく、高圧下で使用されるOリングの長寿命化と、メンテナンスの簡便化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るシール装置を示す断面図である。
このシール装置を備える連通管(内側部材)11は、後述の往復動ポンプとしてのプランジャポンプにおいて、従来の連通管と同様にシリンダとマニホールドを繋ぐもので、シール装置は、シリンダとマニホールドとの接続部分からの漏水を防止するものとなっている。
【0037】
そして、この例の連通管11は、円筒状に形成されており、外周面も円筒形状となっている。そして、外周面の左右両端部、すなわち、シリンダ側端部と、マニホールド側端部とには、それぞれOリング溝12,12が設けられ、当該Oリング溝12,12にOリング13,13と、エンドレスタイプのバックアップリング14,14とが嵌め込まれた状態となっている。これら内側部材としての連通管11と、Oリング溝12,12、バックアップリング14,14、Oリング13,13とからなるシール装置を説明するが、連通管11の両端部は同じ構造となっているので、片方の端部のシール装置について説明する。
【0038】
Oリング13は、断面が概略楕円形状の環状部材であり、バックアップリング14は、断面長方形上の環状部材である。なお、Oリング13の断面は、半径方向が短く、それに対して半径方向に直交する軸方向が長い楕円となっており、バックアップリング14の断面は、半径方向が長く、半径方向に直交する軸方向が短くなった長方形となっている。
また、Oリング溝12に嵌った状態で、バックアップリング14の外径が、Oリング13の外径よりも僅かに大きくなっている。
【0039】
また、バックアップリング14の内径が、Oリング13の内径よりも大きくなっている。Oリング溝12は、連通管11の外周面に周方向に沿って形成される環状の溝であり、連通管11において、Oリング溝12における外径がその左右の溝の外となる部分の外径より小さくなっている。
【0040】
ここで、この例では、シリンダとマニホールドとの接合部が連通管11の左右のOリング溝12,12どうしの間に配置され、シリンダにおける圧が連通管11の左右端部側からその間に向かって作用する状態となり、各Oリング溝12のOリング13において、連通管11の端側が高圧側となり、連通管のOリング溝12,12同士の間となる中央側が低圧側となる。
【0041】
そして、バックアップリング14は、Oリング13の低圧側に配置されるので、各Oリング溝12において、Oリング13が連通管11の端側に配置され、バックアップリング14がOリング13より連通管11の中央側に配置される。また、Oリング溝12には、連通管11の軸方向に隣接してOリング13がはめ込まれるOリング専用溝21と、バックアップリング14がはめ込まれるバックアップリング専用溝22とが配置される。
【0042】
そして、上述のOリング13とバックアップリング14との配置にしたがって、各Oリング溝12において、連通管11の端側がOリング専用溝21とされ、連通管11の中央側がバックアップリング専用溝22となっている。連通管11において、Oリング専用溝21における外径がバックアップリング専用溝22における外径よりも小さくなっている。すなわち、Oリング専用溝21の方がバックアップリング専用溝22より深い。
【0043】
これにより、Oリング専用溝21とバックアップリング専用溝22との境となる部分には、段差23が形成される。なお、この段差23がOリング専用溝21の底面33から連通管11の中心までの距離としての半径と、バックアップリング専用溝22の底面32から連通管11の中心までの距離としての半径との差の高さを有する。
【0044】
同様に、Oリング13の内径の半分としての半径と、バックアップリング14の内径の半分としての半径との差も段差23の高さと同じとなる。
また、Oリング13の軸方向に沿った幅の方が、バックアップリング14の軸方向に沿った幅より長いので、Oリング専用溝21の軸方向に沿った幅の方がバックアップリング専用溝22の軸方向に沿った幅より長くなっている。
【0045】
なお、ここで、リング溝12にOリング13およびバックアップリング14が嵌った状態では、連通管11、Oリング13、バックアップリング14の軸方向は同一となるとともに、これらの部材は同軸上に配置された状態となる。また、この例の説明において、特に連通管11等に限定せずに軸方向とした場合には、連通管11もしくは連通管11に取り付けられた状態のOリング13もしくはバックアップリング14の軸方向である。
【0046】
また、バックアップリング専用溝22の軸方向に沿った幅は、バックアップリング14の軸方向に沿った厚さよりも狭くなっており、Oリング専用溝21の軸方向の沿った幅は、Oリング13の軸方向に沿った厚さよりも広くなっている。したがって、バックアップリング専用溝22にバックアップリング14を配置すると、バックアップリング14の一部がバックアップリング専用溝22から隣接するOリング専用溝21にはみ出した状態となる。なお、Oリング溝12にOリング13とバックアップリング14とを組み込んだ状態で、Oリング溝12の幅は、バックアップリング14の軸方向に沿った厚さと、Oリング13の軸方向の沿った厚さとを合わせた長さがとなっている。したがって、Oリング溝12内に軸方向に並んで配置されたバックアップリング14とOリング13とは接した状態となっている。
【0047】
そして、このようなOリング専用溝21とバックアップリング専用溝22とを備えるOリング溝12の断面形状は、以下のようになっている。すなわち、Oリング溝12,12は、連通管11の中央側から見ていくと、Oリング溝12の連通管11の中央側の側壁面31と、当該側壁面31の下端から軸方向に沿って配置されるバックアップリング専用溝22の底面32と、バックアップリング専用溝22とOリング専用溝21との間の段差23と、Oリング専用溝21の底面33と、Oリング溝12の連通管11の端側となる側壁面35とを備える。
【0048】
Oリング溝12の断面形状は、左右の側壁面31,35の間に段違いの底面32,33を有するものとなっている。また、Oリング溝12の端側の側壁面35から連通管11の端までの部分は、端側外周部36となっており、Oリング溝12のOリング専用溝21の底面32から半径方向に拡径した状態となる。すなわち、端側外周部36における連通管11の外径は、Oリング専用溝21における連通管11の外径よりも大きくなっている。さらに、端側外周部36における連通管11の外径は、バックアップリング専用溝22における連通管11の外径より大きくなっている。なお、連通管1のOリング溝12より中央側の外周を中央側外周部34とする。
【0049】
また、この端側外周部36における連通管11の外径は、連通管11の左右のOリング溝12,12の間となる前記中央側外周部34の外径よりも小さいものとなっている。また、端側外周部36の外周面の軸方向に沿った幅のOリング溝12側の略半分となる部分は、軸方向に位置が違っても外径が同じとなる円筒状となっているが、端側外周部36の外周面の軸方向に沿った幅の端側の略半分となる部分は、軸方向に沿って端に向かうほど径が細くなる円錐台状となっている。
【0050】
そして、Oリング溝12に、バックアップリング14とOリング13とが組み付けられた状態では、Oリング溝12の連通管11の中央側の連通管11の半径方向に沿った側壁面31に一方の側面を当接した状態で、バックアップリング14が配置されている。当該バックアップリング14の内周面は、Oリング溝12内のバックアップリング専用溝22の円筒状の底面32に当接している。
【0051】
また、円筒状の底面32の軸方向に沿った幅がバックアップリング14の軸方向に沿った厚さより短いので、バックアップリング14の内周面は、バックアップリング専用溝22の底面32から端側にはみ出した状態となっている。バックアップリング14に隣接してOリング13がバックアップリング14に当接した状態に配置される。この際に、Oリング13の内周面は、Oリング溝12のOリング専用溝21の底面33に当接している。
【0052】
また、Oリング13の端側は、端側外周部36のOリング溝12側となる側壁面35に当接している。ここで、Oリング13は断面略楕円状(円状でもよい)となっているので、Oリング13とバックアップリング14との当接部分は、当該Oリング13の半径方向に沿った厚さの中央部である。この場合に、バックアップリング14の内径がOリング13の半径方向に沿った厚さの中央となる部分の直径より小さい必要がある。
【0053】
また、それに対応して、バックアップリング専用溝22における連通管11の外径が、Oリング専用溝21における連通管11の外径より大きく、かつ、Oリング専用溝21に組み付けられたOリング13の厚さの中央となる部分の直径より小さい必要がある。この場合に、前記バックアップリング専用溝22の底面32とOリング専用溝21の底面33との連通管11の半径方向に沿った距離(段差23の高さ)は、Oリング溝12に組み付けられた状態のOリング13の半径方向の沿った厚さの半分となる長さより短い。
【0054】
また、Oリング13の端側外周部36側の側壁面35への当接部位は、Oリング13の連通管11の端側となる側面の半径方向に沿った厚さの略中央部となっている。この場合には、端側外周部36がOリング13の半径方向の略中央部に当接するために、端側外周部36における連通管11の外径が、Oリング専用溝21に組み付けられたOリング13の半径方向に沿った厚さの半分となる部分の直径より大きいものとなる。
【0055】
また、上述のバックアップリング専用溝22における連通管11の外径がOリング13の半径方向に沿った厚さの中央となる部分より低く、端側外周部36における連通管11の外径がOリング13の半径方向に沿った厚さの略中央となる部分の高さとなることから、連通管11の端側外周部36における外径は、バックアップリング専用溝22における外径より大きいものとなっている。
【0056】
また、Oリング専用溝21の軸方向に沿った幅の方が、Oリング13の軸方向に沿った長さより長くなっているので、Oリング13は、Oリング専用溝21内で軸方向に移動可能となるが、上述のようにバックアップリング14がOリング専用溝21側にはみ出すことにより、Oリング溝12内においてOリング13とバックアップリング14とが当接した状態となっており、Oリング13がOリング溝12内を軸方向に沿って自由に動ける状態とはなっていない。
【0057】
なお、バックアップリング専用溝22の軸方向に沿った幅は、バックアップリング14の軸方向に沿った厚さの半分より広いものとなっており、バックアップリング14の内周面をバックアップリング専用溝22の底面(外周面)に当接させて安定して支持された状態とすることができる。
また、Oリング溝12をさらに詳細に説明すると、連通管11のOリング専用溝21における外径の値が、連通管11のバックアップリング専用溝22における外径の値の85%以上となっている。また、連通管11の端側外周部36における外径の値が前記連通管のバックアップリング専用溝22における外径の値の115%以下となっている。
【0058】
このようなシール装置では、バックアップリング14を連通管11の軸方向に対して斜めとして、バックアップリング14の互いの180度離れて対向する2つの部位のうちの一方の部位をOリング溝12のOリング専用溝21に入れた状態で、他方の部位を端側外周部36に掛けた状態とする。そして、他方の部位を端側外周部36の端側からOリング溝12側に向かって、端側外周部36を越えるように移動させる。そして、他方の部位がOリング溝12のOリング専用溝21に入り込んだ状態となると、バックアップリング14が端側外周部36よりOリング専用溝21側となる。
【0059】
この状態で、Oリング専用溝21からバックアップリング14をバックアップリング専用溝22に組み付ける。すなわち、バックアップリング14の内周側の空間に連通管11のバックアップリング専用溝22を挿入した状態とする。次いで、Oリング13を拡径するように弾性変形させて、Oリング溝12のOリング専用溝21に組み付ける。
【0060】
以上のようなバックアップリング14およびOリング13の組み付け作業において、バックアップリング14の内径が、上述のようにOリング13の内径より大きくなっていることと、端側外周部36における外径が連通管11のOリング溝12より中央側の部分の外径より小さくなっていることから、バックアップリング14を大きく弾性変形することなく、Oリング溝12内の組み付けることが可能となる。
【0061】
ここで、バックアップリング14の組み付けを容易とする上では、バックアップリング専用溝22における連通管の外径をできるだけ大きくすることにより、バックアップリング14の内径をできるだけ大きくすることが好ましい。しかし、バックアップリング14の内径を大きくするとともに、バックアップリング専用溝22における連通管11の外径を大きくすると、例えば、バックアップリング14の内周面とバックアップリング専用溝22の底面32との間にOリング13が入り込み易い状態となる。
【0062】
たとえば、Oリング13の半径方向に沿った厚さの中央となる部分が一番内側になり、この部分にバックアップリング14の内周面とバックアップリング専用溝22の底面32との境が配置されてしまうと、Oリング13が前記境に入り込み安い状態となってしまう。したがって、上述のように、バックアップリング専用溝22の底面32が組み付けられたOリング13の径方向に沿った厚さの半分以下となっている必要があり、上述のように連通管11のOリング専用溝21における外径の値が、連通管11のバックアップリング専用溝22における外径の値の85%以上となっていることが好ましい。
【0063】
また、この例では、バックアップリング専用溝22の軸方向に沿った幅がバックアップリング14の軸方向に沿った厚さより短く、バックアップリング14の一部がバックアップリング専用溝22からOリング専用溝21側にはみ出した状態となっており、バックアップリング14とOリング13とは、バックアップリング専用溝22と、Oリング専用溝21との境ではなく、Oリング専用溝21側で当接している。
【0064】
これにより、Oリング13は、バックアップリング専用溝22とOリング専用溝21との境(段差23部分)から離れた状態となっている。このようにバックアップリング14がバックアップリング専用溝22からOリング専用溝21側に突出している状態とすることにより、Oリング13をバックアップリング専用溝22とOリング専用溝21との境となる段差23から離して、Oリング13がバックアップリング専用溝22の底面32とバックアップリング14の内周面との境にはみ出すのを防止することができる。
【0065】
また、端側外周部36における連通管11の外径を小さくしすぎると、Oリング13やバックアップリング14がOリング溝12から脱落する虞が発生するので、上述のように端側外周部36の外径は、バックアップリング専用溝22における連通管11の外径より大きいことが好ましい。さらに、端側外周部36の外径が組み付けられたOリング13の径方向の厚さの半分程度以上となっていることが好ましい。
【0066】
しかし、上述のようにOリング溝12にバックアップリング14を組み付ける上では、端側外周部36における径ができるだけ小さい方が好ましく、上述のように、連通管11の端側外周部36における外径の値が前記内側部材のバックアップリング専用溝22における外径の値の115%以下となっていることが好ましい。
【0067】
以上のようなシール装置においては、Oリング溝12にエンドレスタイプのバックアップリング14を組み付ける際に、バックアップリング14が塑性変形するようなことがなく、バイアスカットタイプやスパイラルタイプではなく、エンドレスタイプのバックアップリング14を使用可能となり、バイアスカットタイプやスパイラルタイプを用いた場合に比較してOリング13における損傷の発生を防止することができ、Oリング13の長寿命化とメンテナンスの容易化を図ることができる。
【0068】
図2は、本発明の第2の実施の形態を示すものであり、本発明の内側部材をプランジャポンプで用いられる吸入弁ユニットや吐出弁ユニットを固定するためのプラグ15としたものである。プラグ15は、概略円柱状で、その先端部にこの例のシール装置が設けられ、中央部の外周にプラグ15をねじ孔に固定する雄ねじ部41が形成され、雄ねじ部41の後方にフランジ部42が形成され、フランジ部42の後方に例えばレンチで回転させるための頭部43が形成されている。
【0069】
そして、シール装置においては、プラグ15の先端部に、第1の実施の形態と同様にOリング溝12が設けられ、当該Oリング溝12には、Oリング専用溝21とバックアップリング専用溝22とが備えられている。そして、Oリング溝12のバックアップリング専用溝22にバックアップリング14が組み付けあれ、Oリング溝12のOリング専用溝21にOリング13が組み付けられている。また、Oリング溝12は、後端側(中央側)の側壁面31と、バックアップリング専用溝22の底面32と、Oリング専用溝21の底面33と、これら底面32および底面33の間の段差23と、先端側の側壁面35とからなっている。また、内側部材としてプラグ15の先端部のOリング溝12より先の部分が端側外周部36となっており、Oリング三溝12よりプラグ15の中央側で、雄ねじ部41とOリング溝12との間が中央側外周部34となっている。
【0070】
そして、Oリング溝12および端側外周部36の構造は、第1の実施の形態の連通管11におけるシール装置と同様の構造となっており、その詳細な説明を省略する。
第2の実施の形態のシール装置は、シール装置が設けられた部材が第1の実施の形態と異なるが、シール装置自体の構造は、上述のように第1の実施の形態のシール装置と同様であり、第1の実施の形態のシール装置と同様の作用効果を奏することができる。
【0071】
以上の第1の実施の形態および第2の実施の形態のシール装置は、以下に説明する往復ポンプ(プランジャポンプ)で使用することができる。
図3に示すように、上述のシール装置が用いられる往復ポンプは、プランジャポンプであり、クランクケース52内でクランク軸53の回転軸に対して偏芯して回転するクランクピン53aと、一方の端部が該クランクピン53aに揺動自在に連結されるコンロッド54と、このコンロッド54の他方の端部にピストンピン55aにより揺動自在に連結されるピストンロッド55と、ピストンロッド55の先端部に固定されたプランジャ56と、プランジャ56の入出により流体の吸入および吐出が行われるポンプ室57とを備えている。
【0072】
クランクケース52は、箱状のケースであり、内部にクランク軸53が回転駆動されるように配置されている。また、クランクケース52内には潤滑油が収容されている。そして、クランクケース52内には、クランク軸53の回転軸に対して偏芯したクランクピン53aが備えられ、このクランクピン53aにコンロッド54の一方の端部に設けられた大端部54aが取り付けられている。大端部54aは、環状の構造を有し、円筒状の内周面を有するものとなっている。そして、この円筒状の内周面内に円柱状のクランクピン53aが挿入された状態となっている。
【0073】
また、コンロッド54の他方の端部に設けられた小端部54bには、ピストンロッド55の基端部に設けられたピストンピン55aが取り付けられている。小端部54bは、環状の構造を有し、円筒状の内周面を有するものとなっている。そして、この内周面内に円柱状のピストンピン55aが挿入された状態となっている。ピストンロッド55には、その基端部に、クランクケース52のピストンガイド58に案内されて一直線上で往復動する被ガイド部55bが設けられている。ピストンガイド58は、クランクケース52内に当該クランクケース52と一体に形成された円筒体であり、その基端部側(図中右側)がクランク軸53側に向けて開放され、先端部側(図中左側)が後述のシリンダ62およびマニホールド63のポンプ室57側に向けて開放された状態となっている。
【0074】
前記被ガイド部55bは、有蓋筒状に形成され、クランク軸53側が開放された状態となっている。そして、被ガイド部55bの内部にピストンロッド55の軸方向に直交し、かつ、クランク軸53の軸方向と平行に前記ピストンピン55aが挿入されている。被ガイド部55bの先端の蓋部には、ピストンロッド55が固定された状態となっている。
【0075】
そして、ピストンガイド58内を被ガイド部55bが前後に円滑に往復移動可能となっている。また、ピストンロッド55の先端部には、円柱状のプランジャ56が固定されている。
前記クランクケース52の先端部側(図中左側)には、シリンダ62およびマニホールド63が取り付けられている。また、シリンダ62およびマニホールド63は、互いにボルトにより接合されているとともに、シリンダ62がクランクケース52にボルトにより接合されている。前記ピストンロッド55、被ガイド部55bおよびプランジャ56により一直線上を往復動する往復動部材が形成されている。
【0076】
シリンダ62およびマニホールド63内には、流体(液体)が吸入、吐出される前記ポンプ室57が形成されている。そして、ポンプ室57内では、プランジャ56の先端がポンプ室57の閉塞された先端側に至る上死点と、ポンプ室57の開放された基端部に至る下死点との間で往復動するようになっている。なお、ポンプ室57は、有蓋円筒状に形成され、先端側が閉塞されるとともに基端側がプランジャ56を挿入可能に開放している。
また、ポンプ室57の先端部には、シリンダ62およびマニホールド63に形成されて流体を吸入するための吸入路63aと、同じくマニホールド63に形成されて流体を吐出するための吐出路63bとが連通している。
【0077】
また、吸入路63aは、ポンプ室57の先端部に連通する一端から、マニホールド63を介して他端側となるシリンダ62に形成された吸入口63cに至るようになっている。そして、吸入路63aの一端から他端の間となるマニホールド63の右側部に吸入弁ユニット63dが配置され、当該吸入弁ユニット63dにより流体の吸入口63cからポンプ室57に至る流動が許容され、ポンプ室57から吸入口63cへの流動が規制される。
【0078】
また、吐出路63bは、ポンプ室57の先端部に連通する一端から、他端側となるマニホールド63に形成されて外部に開放した吐出口に至るようになっている。そして、吐出路63bの一端から他端の間に吐出弁ユニット63fが配置され、当該吐出弁ユニット63fにより流体のポンプ室57から吐出口に至る流動が許容され、吐出口からポンプ室57への流動が規制される。
【0079】
また、シリンダ62のポンプ室57側には、その内周面にシールパッキン60が設けられ、ポンプ室57内の流体が漏出しないようにプランジャ56の外周面をシールしている。このシールパッキン60に隣接して第1の実施の形態の連通管11が配置されている。この連通管11は、その軸方向に沿った幅の半分が概略円筒状のシリンダ62内に挿入され、他の半分がマニホールド63のシリンダ62に連通する円筒状部分に挿入されている。
【0080】
そして、連通管11がシリンダ62とマニホールド63とを連通する状態で、シリンダ62のマニホールド63に連通する円筒状部分とマニホールド63のシリンダ62に連通する円筒部分とを接続した状態となっている。そして、連通管11は、上述のシールパッキン60よりポンプ室57側となっているので、ポンプ室57と同じ圧力がかかることになる。
【0081】
そして、上述のシール装置によりポンプ室57側からマニホールド63とシリンダ62の接続部分への液漏れが防止される。なお、内側部材となる連通管11に対してシリンダ62の前記円筒状部分と、マニホールド63の前記円筒状部分がそれぞれ外側部材となる。また、マニホールド63とシリンダ62の接合部となる部分で上述の吸入路63aのマニホールド63側の吸入弁ユニット63dとシリンダ62側の吸入口63cとの接続部にも、連通管11と同様のこの例のシール装置を備えた連通管11aが用いられている。
【0082】
また、マニホールド63は、吸入路63aの部分に吸入弁取付筒部65が設けられ、吐出路63bの部分に吐出弁取付筒部66が設けられている。
そして、吸入弁取付筒部65には、吸入弁ユニット63dが挿入され、吐出弁取付筒部66には、吐出弁ユニット63fが挿入されている。また、吸入弁取付筒部65および吐出弁取付筒部66は概略円筒状で、その先端部分の内周面に雌ねじが形成され、第2の実施の形態のプラグ15がねじ込まれている。そして、プラグ15の先端部には、上述のシール装置が設けられている。
【0083】
なお、図2に示すプラグ15に対して、図3に示すプラグ15は、構成の一部が異なるものとなっており、図2に示すプラグ15では、プラグ15の先端が吸入弁ユニット63dもしくは吐出弁ユニット63fを直接押えて固定する構成となっているが、図3に示すプラグ15は内部に圧縮コイルバネを備え、当該圧縮コイルバネが吸入弁ユニット63dもしくは吐出弁ユニット63fを押えて固定する構造となっている。
【0084】
このようなプランジャポンプ装置では、プランジャ56を含む往復動部材が高速で作動することにより、上述のシール装置におけるOリング13,13の消耗や損傷が起こり易いが、上述のようなシール装置において、エンドレスタイプのバックアップリング14,14を用いられるようになることで、上述のようにOリング13,13の長寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るシール装置を示す断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係るシール装置を示す断面図である。
【図3】本発明の前記実施の形態のシール装置を備えた往復ポンプを示す断面図である。
【図4】従来のシール装置を示す断面図である。
【図5】従来のシール装置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0086】
11 連通管(内側部材)
11a 連通管(内側部材)
12 Oリング溝
13 Oリング
14 バックアップリング
15 プラグ(内側部材)
21 Oリング専用溝
22 バックアップリング専用溝
23 段差
34 中央側外周部
36 端側外周部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも端部を円筒または円柱形状に形成された内側部材(11)において、当該端部の外周面に周方向に沿ってOリング溝(12)が設けられ、当該Oリング溝(12)にOリング(13)とバックアップリング(14)とが組み付けられ、前記端部の外側に内周面が前記Oリング(13)と当接する外側部材(62,63)が組み付けられるシール装置であって、
前記Oリング溝(12)は、前記Oリング(13)が組み付けられるOリング専用溝(21)と、当該Oリング専用溝(21)に隣接して設けられ前記バックアップリング(14)が組み付けられるバックアップリング専用溝(22)とを備え、
前記Oリング専用溝(21)における前記内側部材(11)の外径に対して前記バックアップリング専用溝(22)における前記内側部材(11)の外径が大きくされることにより、前記バックアップリング(14)の内径が前記Oリング(13)の内径より大とされ、
前記内側部材(11)の前記端部には、
前記Oリング溝(12)に隣接して、前記Oリング溝(12)の端側に端側外周部(36)が、前記Oリング溝(12)の中央側に中央側外周部(34)がそれぞれ設けられ、
前記端側外周部(36)における前記内側部材(11)の外径が、前記中央側外周部(34)における前記内側部材(11)の外径より小さく、かつ前記バックアップリング専用溝(22)における前記内側部材(11)の外径より大きいことを特徴とするシール装置。
【請求項2】
前記端側外周部(36)の外周面は、端に向かうほど径が小さくなるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシール装置。
【請求項3】
前記内側部材(11)のOリング専用溝(21)における外径の値が、前記内側部材(11)のバックアップリング専用溝(22)における外径の値の85%以上となっていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシール装置。
【請求項4】
前記内側部材(11)の端側外周部(36)における外径の値が前記内側部材(11)のバックアップリング専用溝(22)における外径の値の115%以下となっていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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