説明

ジエチレントリアミン型金属キレート構造を有する分岐鎖高級脂肪酸ジエステル誘導体

【課題】溶解性等に優れ、血管疾患などの病巣選択的なリポソーム造影剤に適した化合物を提供する。
【解決手段】下記の一般式(I):


[式中、R1、R2、R3、及びR4はそれぞれ独立に炭素原子数7〜24個のアルキル基又は炭素原子数7〜24個のアルケニル基を示し;Xは単結合、−O−、−NH−又は−NCH3−を示し;Lは、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群から選択される原子により構成される2価の連結基を示し;Chはジエチレントリアミン五酢酸を示す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジエチレントリアミン型金属キレート構造を有する分岐鎖高級脂肪酸ジエステル誘導体に関する。本発明はさらに該化合物、該化合物を含むキレート化合物又はそれらいずれかの塩を膜構成成分として含むリポソーム及び該リポソームを含む造影剤に関する。
【背景技術】
【0002】
非侵襲的な動脈硬化の診断法としては、主にX線血管造影法が挙げられる。しかしながら、この方法は水溶性のヨード造影剤で血液の流れを造影する方法であるため、病変組織と正常組織との区別がつけにくい。そのため、狭窄が50%以上進んだ病巣しか検出することができず、虚血性疾患の発作が発症する前に病巣を検出することが困難である。
【0003】
上記以外の診断法として、近年、動脈硬化巣プラーク中に多く動態分布される造影剤を用いて核磁気共鳴トモグラフィー(MRI)により疾患を検出する方法が報告されている。
しかしながら、該造影剤として報告されている化合物はいずれも診断に用いることには問題がある。例えば、ヘマトポルフィリン誘導体(特許文献1参照)は皮膚への沈着・着色の欠点が指摘されており、また、脂質に富んだプラークに集積するとの報告があるパーフルオロ側鎖を有するガドリニウム錯体(非特許文献1参照)は、脂肪肝・腎臓上皮・菌組織の腱などの生体における脂質豊富な組織、器官への集積が危惧されている。
【0004】
化合物の観点からは、2個の脂肪酸エステルを有するホスファチジルエタノールアミン(PE)とジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)をアミド結合した化合物が知られており(例えば、非特許文献2)、この化合物のガドリニウム錯体のリポソームに関する報告(非特許文献3)もある。しかし、この錯体は難溶解性であるためにリポソーム化の際の操作性が悪く、また、生体内での蓄積や毒性における懸念がある。
【0005】
別に報告されている1個の高級脂肪酸エステル基を疎水性基として導入したガドリニウム錯体(特許文献2参照)は良好な溶解性を有しており、リポソーム製剤化にも利用できる。しかしながら。該錯体のリポソームへの導入量は低濃度にとどまるという問題がある。上記刊行物に開示された錯体はいわゆる楔形分子であるために、シリンダー型分子より形成されるリポソームとの相溶性が低いことがその理由であると類推される。
【特許文献1】米国特許第4577636号明細書
【特許文献2】特開2007−91640号公報
【非特許文献1】サーキュレーション(Circulation), 109, 2890 (2004)
【非特許文献2】ポリメリック マテリアルズ サイエンス アンド エンジニアリング(Polymeric Materials Science and Engineering), 89, 148 (2003)
【非特許文献3】インオーガニカ キミカ アクタ(Inorganica Chimica Acta), 331, 151 (2002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、病巣選択的な造影のためのリポソーム造影剤に適した化合物であって、特に溶解性及びリポソーム膜構成成分との相溶性に優れた化合物を提供することにある。また、本発明の別の課題は、該化合物を含むMRI造影剤及びシンチグラフィー造影剤などの造影剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は上記の課題を解決すべく研究を行った結果、下記の一般式(I)で表されるジエチレントリアミン型金属キレート構造を有する分岐鎖高級脂肪酸ジエステル誘導体が高い溶解性、及び造影剤としてのリポソームの構成成分として優れた性質を有していることを見出した。本発明は上記の知見を基にして完成されたものである。
【0008】
すなわち、本発明は、下記の一般式(I):
【化1】

【0009】
[式中、R1、R2、R3、及びR4はそれぞれ独立に炭素原子数7〜24個のアルキル基又は炭素原子数7〜24個のアルケニル基を示し;Xは単結合、−O−、−NH−又は−NCH3−を示し;Lは、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群から選択される原子により構成される2価の連結基を示し、ただし、Lにおいて、酸素原子は0〜8個、窒素原子は0〜7個、及び硫黄原子は0〜1個であり、Lを構成する炭素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子の総原子数は1〜40個であり、かつLの主鎖を構成する原子の個数は1〜32個であり;Chは下記の一般式(II)で示される官能基を示す。] で表される化合物又はその塩。
【0010】
【化2】

【0011】
(式中、水素原子Ha、Hb、Hc、Hd、He、又はHfのいずれか1つの水素原子はLと置換している。)
【0012】
本発明の好ましい態様によれば、Ch中の水素原子Ha、Hb、Hd又はHfのいずれか1つがLと置換している上記化合物又はその塩が提供され、より好ましくはCh中の水素原子Hb又はHdがLと置換している上記化合物又はその塩が提供される。
【0013】
本発明の別の好ましい態様によれば、R1、R2、R3、及びR4がそれぞれ独立に炭素原子数9〜21個のアルキル基又は炭素原子数9〜21個のアルケニル基である上記化合物又はその塩が提供され、より好ましくはR1、R2、R3、及びR4がそれぞれ独立に炭素原子数9〜21個のアルキル基である上記化合物又はその塩が提供される。
【0014】
本発明のさらに別の好ましい態様によれば、Lを構成する酸素原子が0〜8個、窒素原子が0〜7個、硫黄原子が0個である上記化合物又はその塩が提供され、より好ましくはLが、−(CH2)g1COY2(CH2)h−(Y1及びY2はそれぞれ独立に単結合、−O−、−NH−又はNCH3−を示すが、Y1及びY2は同時に単結合を示すことはなく、gは2〜20の整数を示し、hは1〜4の整数を示す)で表される2価の連結基である上記化合物又はその塩が提供され、さらに好ましくは、Y1又はY2のいずれか一方が単結合である上記化合物又はその塩が提供される。本発明のさらに別の好ましい態様によれば、Lが、−(CH2)jR(CH2CH21) (CH2CH22)…(CH2CH2k)COY3(CH2)m−(Y3は単結合、−O−、−NH−又は−NCH3−を示し、R及びQ1kはそれぞれ独立に−O−、−NH−または−NCH3−を示し、jは2〜10の整数を示し、kは1〜5の整数を示し、mは1〜4の整数を示す)で表される2価の連結基である上記化合物又はその塩が提供され、さらに好ましくは、Y3が単結合である上記化合物又はその塩が提供される。
【0015】
また、本発明により上記いずれかの化合物及び金属イオンからなるキレート化合物又はその塩が提供される。この発明の好ましい態様によれば、金属イオンが原子番号21〜29、31、32、37〜39、42〜44、49、又は57〜83に相当する元素の金属イオンである該キレート化合物又はその塩;金属イオンが原子番号21〜29、42、44、又は57〜71に相当する常磁性元素の金属イオンである該キレート化合物又はその塩が提供される。
【0016】
別の観点からは、本発明により、上記の化合物又はその塩を膜構成成分として含むリポソームが提供される。その好ましい態様によれば、ホスファチジルコリン及びホスファチジルセリンを膜構成成分として含む該リポソームが提供される。
【0017】
また、本発明により、上記のリポソームを含む造影剤が提供される。この発明の好ましい態様によれば、血管疾患の造影に用いる上記造影剤;泡沫化マクロファージの影響で異常増殖した血管平滑筋細胞の造影に用いる上記造影剤;マクロファージが局在化する組織又は疾患部位の造影に用いる上記の造影剤;マクロファージが局在化する組織が肝臓、脾臓、肺胞、リンパ節、リンパ管、及び腎臓上皮からなる群から選ばれる上記の造影剤;マクロファージが局在化する疾患部位が腫瘍、炎症部位、及び感染部位からなる群から選ばれる上記の造影剤が提供される。
【0018】
本発明のさらに別の観点からは、上記造影剤の製造のための上記の化合物、キレート化合物、又はそれらいずれかの塩の使用;造影法であって、上記の化合物、キレート化合物、又はそれらいずれかの塩を膜構成成分として含むリポソームを、ヒトを含む哺乳類動物に投与した後に造影する工程を含む方法;血管疾患の病巣の造影方法であって、上記の化合物、キレート化合物、又はそれらいずれかの塩を膜構成成分として含むリポソームをヒトを含む哺乳類動物に投与した後に造影する工程を含む方法が本発明により提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明の化合物、キレート化合物、及びこれらいずれかの塩は、造影剤のためのリポソームの構成脂質として優れた性質を有しており、この化合物を含むリポソームを用いて造影することにより血管の病巣を選択的に造影できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
1、R2、R3、及びR4はそれぞれ独立に炭素原子数7〜24個のアルキル基または炭素原子数7〜24個のアルケニル基を示す。R1、R2、R3、及びR4は、互いに架橋構造を有さない直鎖状、分岐鎖状、環状、又はそれらの組み合わせからなる基のいずれでもよいが、直鎖状及び分岐鎖状が好ましい。R1、R2、R3、及びR4は同一でも異なっていてもよいが、R1及びR3が同一で、R2及びR4が同一であることがより好ましく、すべて同一であることが最も好ましい。R1、R2、R3、及びR4を構成する炭素原子数は9〜21個であることがより好ましく、12〜18個であることがさらに好ましい。R1、R2、R3、及びR4はアルキル基がより好ましい。R1、R2、R3、及びR4がアルケニル基を示す場合、その二重結合はE若しくはZ配置又はそれらの混合物のいずれであってもよく、二重結合が複数ある場合にもそれぞれの二重結合について同様である。また、二重結合の位置及び個数は特に規定されない。
【0021】
Xは単結合、−O−、−NH−又は−NCH3−を表す。Xは単結合または−O−であることがより好ましい。
【0022】
Lは、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群から選択される原子により構成される2価の連結基を示す。ただし、Lにおいて、酸素原子は0〜8個、窒素原子は0〜7個、及び硫黄原子は0〜1個であり、Lを構成する炭素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子の総原子数は1〜40個であり、かつLの主鎖(主鎖とはXとChを最短個数で結ぶ原子団をいう)を構成する原子の個数は1〜32個である。Lは炭素原子鎖、又は炭素原子と酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子とを任意に組み合わせた原子鎖であればよく、ヘテロ原子として好ましくは酸素原子又は窒素原子であり、最も好ましくは酸素原子である。Lが炭素原子及び水素原子のみで構成されている場合も好ましい。
なお、本明細書においてLで表される連結基を化学式(一般式)で示す場合には、左端がXに結合し,右端がCh中の水素原子Ha、Hb、Hc、Hd、He、Hfのいずれか1つの水素原子と置き換わることによってChと結合するものとする。また、Meはメチル基を示す。
【0023】
Lを構成する炭素原子及びヘテロ原子の総原子数は1〜40個であるが、7〜28個が好ましく、7〜25個がより好ましい。Lを構成する酸素原子の個数は0〜8個、窒素原子の個数は0〜7個、及び硫黄原子の個数は0〜1個の範囲にあるが、好ましい酸素原子数は2〜7個、より好ましくは2〜5個である。好ましい窒素原子数は0〜4個、より好ましくは0〜2個である。硫黄原子数は好ましくは0個である。
【0024】
Lは直鎖状、分岐鎖状、環状又はそれらの組み合わせのいずれでもよいが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。また、該連結基は飽和の基であっても、不飽和結合を含む基であってもよい。Lが不飽和結合を含む基である場合、不飽和結合の種類、位置、及び個数は特に規定されない。
【0025】
Lの主鎖を構成する原子の個数は1〜32個であるが、6〜27個が好ましく、6〜24個がより好ましい。Lの主鎖は炭素原子鎖であるか、又は炭素原子と酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子とを任意に組み合わせた原子鎖で構成されるが、ヘテロ原子として好ましくは酸素原子又は窒素原子であり、最も好ましくは酸素原子である。Lの主鎖が炭素原子のみで構成されている場合も好ましい。Lの主鎖は飽和の基であっても、不飽和結合を含む基であってもよいが、飽和の基である場合がより好ましい。
【0026】
Lの好ましい例としては、−(CH2)g1COY2(CH2)h−で表される2価の連結基が挙げられる。ただし、Y1及びY2はそれぞれ独立に単結合、−O−、−NH−又は−NMe−を示すが、Y1及びY2は同時に単結合を示すことはない。また、gは2〜20の整数を、hは1〜4の整数を示す。Y1又はY2はいずれか一方が単結合であることがより好ましく、Y1が単結合でY2が−O−又はY1が−O−でY2が単結合であることが最も好ましい。gは3〜16がより好ましく、hは1であることが最も好ましい。
【0027】
Lの別の好ましい例としては、−(CH2)jR(CH2CH21) (CH2CH22)…(CH2CH2k)COY3(CH2)m−で表される2価の連結基が挙げられる。ただし、Y3は単結合、−O−、−NH−又は−NMe−を示し、R及びQ1kはそれぞれ独立に−O−、−NH−又は−NMe−を示す。また、jは2〜10の整数を示し、kは1〜5の整数を示し、mは1〜4の整数を示す。Y3は単結合又は−O−であることが好ましく、単結合が最も好ましい。R及びQ1kは同一でも異なっていてもよいが、同一であることがより好ましく、R及びQ1kは−O−であることが最も好ましい。jは5〜10がより好ましい。kは3〜5がより好ましく、3〜4がさらに好ましい。mは1であることが最も好ましい。
【0028】
Chは下記の一般式(II)で示される官能基を示す。ただし、一般式(II)で示される水素原子Ha、Hb、Hc、Hd、He、Hfのいずれか1つは、Lと置換している。
Chは水素原子Ha、Hb、Hd、Hfのいずれか1つの水素原子がLと置換することによって、Lと連結されることがより好ましく、水素原子Hb又はHdがLと置換することによって、Lと連結されることが最も好ましい。
【0029】
【化3】

【0030】
以下に本発明の化合物の好ましい例を示すが、本発明の化合物はこれらの例に限定されることはない。
【0031】
【化4】

【0032】
【化5】

【0033】
【化6】

【0034】
【化7】

【0035】
【化8】

【0036】
以下に、本発明の化合物の一般的な合成法について説明するが、本発明の化合物の合成法はこれらに限定されるものではない。本発明の化合物の部分構造である分岐鎖長鎖脂肪酸は、通常市販されているものを使用してもよく、あるいは用途に応じて適宜合成してもよい。合成により入手する場合には、例えばJ. Org. Chem., 152, 2549-2555 (1987)に記載の方法により、対応するカルボン酸とアルキルハライド、又はマロン酸エステルとアルキルハライド等を原料として用いることができる。
【0037】
前記の分岐鎖長鎖脂肪酸は、グリセリン誘導体と縮合してジアシル化合物とした後、ω−ヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、1−イミダゾリジル蟻酸ω−ヒドロキシエステル、1−イミダゾリジル蟻酸ω−ヒドロキシアミド、ω−アミノカルボン酸、ω−ハロカルボン酸等とカップリングしてジアシル−ω−アルコール、アミンまたはハライド(塩素、臭素、又はヨウ素のいずれでもよい)へと導くことができる。この際、必要な場合には保護基を用いることもできるが、この場合の保護基とは、例えば、T. W. Greene & P. G. M. Wuts著、Protecting groups in organic synthesis(John Wiley & Sons, Inc.)に記載のものを適宜選択して用いることができる。
【0038】
上記のジアシル−ω−アルコール、アミンまたはハライド化合物は、金属配位能を有するポリアミン誘導体と連結することで本発明の化合物が合成できる。その方法は、例えば、Bioconjugate Chem., 10, 137 (1999)に記載の手法に準じて合成することができる。もっとも、これらの方法は一例であり、これらに限定されるものではない。
【0039】
本発明のキレート化合物は上述の化合物及び金属イオンからなるキレート化合物である。金属イオンの種類は特に限定されないが、MRI、X線、超音波コントラスト、陽電子放出断層撮像法(PET)、若しくはシンチグラフィーなどの造影、又は放射線治療などの目的に適切な金属イオンとして、常磁性金属、重金属、放射性金属同位体の放射性金属の金属イオンを用いることが好ましい。より具体的には、原子番号21ないし29、31、32、37ないし39、42ないし44、49、又は57ないし83から選択される元素の金属イオンが好ましい。また、MRI造影剤として本発明のキレート化合物を使用する場合に適切な金属イオンとしては、原子番号21ないし29、42、44、57ないし71から選択される元素の金属イオンが挙げられる。正のMRI剤の調製に用いるためにより好ましい金属は、原子番号24(Cr)、25(Mn)、26(Fe)、63(Eu)、64(Gd)、66(Dy)、又は67(Ho)であり、負のMRI剤の調製に用いるためにより好ましい金属は、原子番号62(Sm)、65(Tb)、又は66(Dy)である。最も好ましくは、原子番号25(Mn)、26(Fe)、又は64(Gd)の元素であり、特にMn(II)、Fe(III)、又はGd(III)が好ましい。
【0040】
また、放射性同位体を含む本発明の化合物又はキレート化合物は、シンチグラフィー用造影剤として用いることができる。該化合物に組み込む目的に用いられる放射性同位体としては、67Ga、81mKr、99mTc、111In、123I、131I、133Xe、201Tlが挙げられるが、これらは1例であり、特に限定されることはない。
【0041】
また、陽電子を放出する核種を1個以上持つ本発明の化合物又はキレート化合物は、PET法の造影に用いてもよい。より具体的には、上述キレート化合物の他に陽電子を放出する核種を本発明の化合物に組み込んだ化合物を該造影剤として好ましく用いることができる。該化合物に組み込む目的に用いられる好ましい該核種としては11C,13N,15O,18Fが挙げられる。より好ましい核種は11C,18Fである。
【0042】
本発明の化合物又はキレート化合物は1以上の不斉中心を有するが、この場合、不斉中心に基づく光学活性体又はジアステレオ異性体などの立体異性体が存在する。純粋な形態の任意の立体異性体、任意の立体異性体の混合物、又はラセミ体などは、いずれも本発明の範囲に包含される。また、本発明の化合物はオレフィン性の二重結合を1個又は2個以上有する場合があるが、その配置はE又はZのいずれであってもよく、両者の混合物として存在していてもよい。本発明の化合物は互変異性体として存在する場合もあるが、任意の互変異性体、又はそれらの混合物は本発明の範囲に包含される。さらに、本発明の化合物は塩を形成する場合があり、遊離形態の化合物又は塩の形態の化合物が水和物又は溶媒和物を形成する場合もあるが、このような場合も本発明の範囲に包含される。塩の種類は特に限定されず、酸付加塩又は塩基付加塩のいずれであってもよい。
【0043】
本発明の化合物もしくはキレート化合物又はその塩はリポソームの膜構成成分として用いることができる。本発明の化合物もしくはキレート化合物又はその塩を用いてリポソームを調製する場合、本発明の化合物もしくはキレート化合物又はその塩の使用量は、膜構成成分の全質量に対して10から90質量%程度、好ましくは10から80質量%、さらに好ましくは20から80質量%である。本発明の化合物もしくはキレート化合物又はその塩は膜構成成分として1種類を用いてもよいが、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
リポソームの他の膜構成成分としては、リポソームの製造に通常用いられている脂質化合物をいずれも用いてもよい。例えば、Biochim. Biophys. Acta, 150(4), 44 (1982)、Adv. In Lipid. Res., 16(1), 1 (1978)、RESEARCH IN LIPOSOMES (P. Machy, L. Leserman著、John Libbey EUROTEXT社)、「リポソーム」(野島、砂本、井上編、南江堂)等に記載されている。脂質化合物としてはリン脂質が好ましく、特に好ましいのはホスファチジルコリン(PC)類である。ホスファチジルコリン類の好ましい例としては、eggPC(卵由来のPC)、ジミリストイルPC(DMPC)、ジパルミトイルPC(DPPC)、ジステアロイルPC(DSPC)、ジオレイルPC(DOPC)等があげられるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
リポソームの膜構成成分として好ましい例としては、ホスファチジルコリンとホスファチジルセリン(PS)との組み合わせを挙げることができる。ホスファチジルセリンとしては、ホスファチジルコリンの好ましい例として挙げたリン脂質と同様の脂質部位を有する化合物が挙げられる。ホスファチジルコリンとホスファチジルセリンとを組み合せて用いる場合、PCとPSの好ましい使用モル比はPC:PS=90:10から10:90の間であり、さらに好ましくは、30:70から70:30の間である。
【0046】
本発明のリポソームとして好ましい別の例としては、膜構成成分としてホスファチジルコリンとホスファチジルセリンとを含み、さらにリン酸ジアルキルエステルを含むリポソームが挙げられる。リン酸ジアルキルエステルのジアルキルエステルを構成する2個のアルキル基は同一であることが好ましく、それぞれのアルキル基の炭素数は6以上であることが好ましく、10以上がより好ましく、12以上がさらに好ましい。好ましいリン酸ジアルキルエステルの例としては、ジラウリルフォスフェート、ジミリスチルフォスフェート、ジセチルフォスフェート等が挙げられるが、これらに限定されることはない。この態様において、ホスファチジルコリン及びホスファチジルセリンの合計質量に対するリン酸ジアルキルエステルの好ましい使用量は1から50質量%までであり、好ましくは1から30質量%であり、さらに好ましくは1から20質量%である。
【0047】
ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、リン酸ジアルキルエステル、及び本発明の化合物を膜構成成分として含むリポソームにおいて、上記成分の好ましい質量比はPC:PS:リン酸ジアルキルエステル:本発明の化合物が5〜40質量%:5〜40質量%:1〜10質量%:15〜80質量%の間で選択することができる。
本発明のリポソームの構成成分は上記4者に限定されず、他の成分を加えることができる。その例としては、コレステロール、コレステロールエステル、スフィンゴエミリン、FEBS Lett. 223, 42 (1987); Proc. Natl. Acad. Sci., USA 85, 6949 (1988)等に記載のモノシアルガングリオキシドGM1誘導体、Chem. Lett. 2145 (1989); Biochim. Biophys. Acta 1148, 77 (1992)等に記載のグルクロン酸誘導体、Biochim. Biophys. Acta 1029, 91 (1990); FEBS Lett. 268, 235 (1990)等に記載のポリエチレングリコール誘導体が挙げられるが、これらに限られるものではない。
【0048】
本発明のリポソームは、当業者が利用可能ないかなる方法で製造してもよい。製造法の例としては、先に挙げたリポソームの総説成書類の他、Ann. Rev. Biophys. Bioeng., 9, 467 (1980)、"Liposomes" (M. J. Ostro編、MARCELL DEKKER、INC.)等に記載されている方法を利用できる。具体例としては、超音波処理法、エタノール注入法、フレンチプレス法、エーテル注入法、コール酸法、カルシウム融合法、凍結融解法、逆相蒸発法等が挙げられるが、これらに限られるものではない。本発明のリポソームのサイズは、上記の方法で作成できるサイズのいずれであってもよいが、通常は平均が400nm以下であり、200 nm以下が好ましい。リポソームの構造は特に限定されず、ユニラメラ又はマルチラメラなどのいずれの形態でもよい。また、リポソームの内部に適宜の薬物や他の造影剤の1種又は2種以上を配合することも可能である。
【0049】
本発明のリポソームを造影剤として用いる場合には、好ましくは非経口的に投与することができ、より好ましくは静脈内投与することができる。例えば、注射剤や点滴剤などの形態の製剤を凍結乾燥形態の粉末状組成物として提供し、用時に水又は他の適当な媒体(例えば生理食塩水、ブドウ等輸液、緩衝液など)に溶解ないし再懸濁して用いることができる。本発明のリポソームを造影剤として用いる場合、投与量はリポソーム中の化合物含有量が従来の造影剤の化合物含有量と同程度になるように適宜決定することが可能である。
【0050】
いかなる特定の理論に拘泥するわけではないが、動脈硬化、若しくはPTCA(経皮的冠動脈形成術)後の再狭窄等の血管疾患においては、血管の中膜を形成する血管平滑筋細胞が異常増殖を起こすと同時に内膜に遊走し、血流路を狭くすることが知られている。正常の血管平滑筋細胞が異常増殖を始めるトリガーはまだ完全に明らかにされていないが、マクロファージの内膜への遊走と泡沫化が重要な要因であることが知られており、その後に血管平滑筋細胞がフェノタイプ変換(収縮型から合成型)をおこすことが報告されている。
【0051】
本発明のリポソームを用いると、泡沫化マクロファージの影響で異常増殖した血管平滑筋に対して規定の造影剤となる化合物を選択的に取り込ませることができる。その結果、病巣と非疾患部位とをコントラストをつけて造影することが可能である。従って、本発明の造影剤は、特に血管疾患のMRI造影に好適に使用でき、例えば、動脈硬化巣やPTCA後の再狭窄等の造影を行うことができる。
【0052】
また、例えば J. Biol. Chem., 265, 5226 (1990)に記載されているように、リン脂質よりなるリポソーム、特にPCとPSから形成されるリポソームが、スカベンジャーレセプターを介してマクロファージに集積しやすいことが知られている。従って、本発明のリポソームを使用することにより、本発明の化合物をマクロファージが局在化している組織又は疾患部位に集積させることができる。本発明のリポソームを用いると、公知技術であるサスペンジョン又はオイルエマルジョンを用いる場合に比べて、より多くの規定の化合物をマクロファージに集積させることが可能である。
【0053】
マクロファージの局在化が認められ、本発明のリポソームで好適に造影可能な組織としては、例えば、血管、肝臓、肺胞、リンパ節、リンパ管、腎臓上皮を挙げることができる。また、ある種の疾患においては、疾患部位にはマクロファージが集積していることが知られている。こうした疾患としては、腫瘍、動脈硬化、炎症、感染等を挙げることができる。従って、本発明のリポソームを用いることにより、これらの疾患部位を特定することができる。特に、アテローム性動脈硬化病変の初期過程において、スカベンジャーレセプターを介して変性LDLを大量に取り込んだ泡沫化マクロファージが集積していることが知られており〔Am. J. Pathol., 103, 181(1981); Annu. Rev. Biochem., 52, 223(1983)〕、このマクロファージに本発明のリポソームを集積化させてMRI造影をすることにより、他の手段では困難な動脈硬化初期病変の位置を特定することが可能である。
【0054】
本発明のリポソームを用いた造影方法は特に限定されない。例えば、通常のMRI造影剤を用いた造影方法と同様にして水のT1/T2緩和時間の変化を測定することにより造影を行うことができる。また、適宜、適切な金属イオンを用いることで、シンチグラフィー造影剤、X線造影剤、光像形成剤、超音波コントラスト剤としても使用することも可能である。
【実施例】
【0055】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。なお、下記の実施例中の化合物番号は上記に示した化合物例の番号に対応している。また、以下の実施例に示すスキーム中、Etはエチル基を示し、Bnはベンジル基を示し、t-Buは3級ブチル基を示し、Phはフェニル基を示し、Meはメチル基を示す。
【0056】
合成例1
1、R2、R3及びR4が同一の置換基で、かつXが単結合で、Ch中の水素原子HbとLが連結されている化合物1は以下のスキームに従って合成した。マロン酸ジエチルとブロモテトラデカンを用いてアルキル化、加水分解、脱炭酸の3工程を経て分岐鎖長鎖カルボン酸Aを合成した。AとアルコールBとを縮合剤EDC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノ)プロピルカルボジイミド塩酸塩)を用いて縮合し、化合物Cを得た。化合物Cと別途合成したカルボン酸Dとの連結を、炭酸カリウムを用いて行い化合物Eを得た。Eのベンジル基を除去し得られたFと別途合成したキレート配位子部分Gとの連結を、トリフェニルホスフィン、DMAD(ジメチルアゾジカルボキシレート)を用いて行い化合物Hを得た。酸性条件下t−ブチルエステルの脱保護を行って化合物1を合成し、さらに塩化ガドリニウムを作用させて錯体1-Gdを得ることができた。
化合物1:1H-NMR(300MHz, CD3OD)δ : 5.27-5.34(1H, m) 4.49(2H, dd) 4.38(1H, t) 4.30(2H, dd) 4.12(8H, s) 4.05-4.10(2H, m) 3.38-3.54(4H, m) 3.05-3.20(4H, m) 3.00(1H, dd) 2.80(1H, dd) 2.28-2.40(4H, m) 1.51-1.73(10H, m) 1.24-1.51( 100H, m) 0.89(12H, t)
1-Gd:Mass (ESI) : m/z 830.3 (M-2Na)2-/2
【0057】
【化9】

【0058】
合成例2
また、Ch中の水素原子HdとLが連結されている化合物11は以下のスキームに従って合成した。ジアシル化合物Cと別途合成したIとを炭酸カリウムを用いて縮合し、化合物Jを得た。Jのベンジル基を除去し得られたKと別途合成したキレート配位子部分Lとの連結を、EDCを用いて行い化合物Mを得た。酸性条件下t−ブチルエステルの脱保護を行って化合物11を合成し、さらに塩化ガドリニウムを作用させて錯体11-Gdを得ることができた。
化合物11:1H-NMR(300MHz, CD3OD)δ : 5.28-5.35(1H, m) 4.50(2H, dd) 4.00-4.40 (7H, m) 3.40-3.90(10H, m) 3.21-3.35(6H, m) 2.33-2.48(6H, m) 1.98(2H, qui) 1.40-1.67(8H, m) 1.22-1.40(96H, m) 0.90(12H, t)
11-Gd:Mass (ESI) : m/z 815.8 (M-2Na)2-/2
【0059】
【化10】

【0060】
試験例1:溶解性試験
上記で合成した化合物1及び11をそれぞれ1mMになるように秤量し、クロロホルム/メタノール(1/1)混合溶媒を1mL加え、その際の溶解性(室温25℃)を調べた。その結果、本発明の化合物は均一な溶液となり、リポソーム製剤化するための優れた特性を有していることが示された。また、同様に、上記に示した化合物1-Gd及び化合物11-Gdは、それぞれクロロホルム/メタノール(1/1)混合溶媒及びクロロホルム単独に溶けて均一な溶液となった。
【0061】
試験例2:リポソームの作成
J. Med. Chem., 25(12), 1500 (1982) に記載の方法に従い、ジパルミトイル PC(フナコシ社製、No.1201-41-0225)、ジパルミトイル PS(フナコシ社製、No.1201-42-0237)、ガドリニウム錯体をナス型フラスコ内でクロロホルムに溶解して均一溶液とした後、溶媒を減圧で留去してフラスコ底面に薄膜を形成した。この薄膜を真空で乾燥後、0.9%生理食塩水(光製薬社製、No512)を適当量加え、超音波照射(Branson社製、No.3542プローブ型発振器、0.1mW)を氷冷下5分実施した後にリポソーム調製器(セントラル科学社製)を用いて粒子径85から120nmのリポソーム分散液を調製した。
【0062】
ジパルミトイル PC:ジパルミトイル PS:化合物1-Gdを50nmol:50nmol:20nmolの濃度比で1mlのクロロホルムに溶解させた後に上記手法に従うことにより、リポソーム分散液を調製することができた。
【0063】
試験例3:マウス3日間連続投与毒性試験
ICRマウス雄6週齢(日本チャールスリバー)を購入し、1週間の検疫期間の後、クリーン動物舎内(空調:へパフィルター クラス1000、室温:20℃〜24℃ 湿度:35%〜60%)で1週間馴化した。その後、MTD(最大耐量)値を求めるため、尾静脈より被験化合物のマウス血清懸濁液を投与した。被験化合物のマウス血清懸濁液は、生理食塩水(光製薬社製)又はグルコース溶液(大塚製薬社製)のいずれかを溶媒として投与した。次に求められたMTD値をもとに、その1/2量のガドリニウム錯体を3日間、尾静脈より3日間連続で投与した(n=3匹とした)。症状観察は各投与後6時間までとし、神経毒性を観察後に剖検を行ない、主要臓器について所見を取った。
【0064】
被験化合物として化合物1-Gdを用いて試験を行った結果、MTD値は400mg/kgと、低毒性であった。その1/2量の化合物1-Gdを3日間、尾静脈より3日間連続で投与した(n=3匹)ところ神経毒性も示さないことが確認された。
すなわち、本発明の化合物は低毒性であり、神経毒性も示さないことが確認できた。従って、本発明の化合物は造影剤のためのリポソームの構成脂質として優れた性質を有することが明らかである。
【0065】
また、大動脈弓部に病巣が形成されている12ヵ月齢のWHHLウサギ(北山ラベス社製)を入手し、1週間馴化飼育し、耳下静脈より上記手法に従い調製したリポソーム製剤を投与し(造影剤換算で80mg/kg)、弓部の病巣にターゲットを絞りガドリニウムMRIの造影を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(I):
【化1】

[式中、R1、R2、R3、及びR4はそれぞれ独立に炭素原子数7〜24個のアルキル基又は炭素原子数7〜24個のアルケニル基を示し;Xは単結合、−O−、−NH−又は−NCH3−を示し;Lは、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群から選択される原子により構成される2価の連結基を示し、ただし、Lにおいて、酸素原子は0〜8個、窒素原子は0〜7個、及び硫黄原子は0〜1個であり、Lを構成する炭素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子の総原子数は1〜40個であり、かつLの主鎖を構成する原子の個数は1〜32個であり;Chは下記の一般式(II)で示される官能基を示す。] で表される化合物又はその塩。
【化2】

(式中、水素原子Ha、Hb、Hc、Hd、He、又はHfのいずれか1つの水素原子はLと置換している。)
【請求項2】
Ch中の水素原子Ha、Hb、Hd又はHfのいずれか1つがLと置換している請求項1に記載の化合物又はその塩。
【請求項3】
Ch中の水素原子Hb又はHdがLと置換している請求項2に記載の化合物又はその塩。
【請求項4】
1、R2、R3、及びR4がそれぞれ独立に炭素原子数9〜21個のアルキル基又は炭素原子数9〜21個のアルケニル基である請求項1ないし3のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項5】
1、R2、R3、及びR4がそれぞれ独立に炭素原子数9〜21個のアルキル基である請求項4に記載の化合物又はその塩。
【請求項6】
Lにおいて、酸素原子が0〜8個、窒素原子が0〜7個、硫黄原子が0個である請求項1ないし5のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項7】
Lが、−(CH2)g1COY2(CH2)h−(Y1及びY2はそれぞれ独立に単結合、−O−、−NH−又は−NCH3−を示すが、Y1及びY2は同時に単結合を示すことはなく、gは2〜20の整数を示し、hは1〜4の整数を示す)で表される2価の連結基である請求項6に記載の化合物又はその塩。
【請求項8】
1又はY2のいずれか一方が単結合である請求項7に記載の化合物又はその塩。
【請求項9】
Lが、−(CH2)jR(CH2CH21) (CH2CH22)…(CH2CH2k)COY3(CH2)m−(Y3は単結合、−O−、−NH−又は−NCH3−を示し、R及びQ1kはそれぞれ独立に−O−、−NH−又は−NCH3−を示し、jは2〜10の整数を示し、kは1〜5の整数を示し、mは1〜4の整数を示す)で表される2価の連結基である請求項6に記載の化合物又はその塩。
【請求項10】
3が単結合である請求項9に記載の化合物又はその塩。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の化合物及び金属イオンからなるキレート化合物又はその塩。
【請求項12】
金属イオンが原子番号21ないし29、31、32、37ないし39、42ないし44、49、又は57ないし83から選択される元素の金属イオンである請求項11に記載のキレート化合物又はその塩。
【請求項13】
金属イオンが原子番号21ないし29、42、44、又は57ないし71から選択される常磁性元素の金属イオンである請求項11に記載のキレート化合物又はその塩。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物又はその塩を膜構成成分として含むリポソーム。
【請求項15】
ホスファチジルコリン及びホスファチジルセリンを膜構成成分として含む請求項14に記載のリポソーム
【請求項16】
請求項14又は15に記載のリポソームを含む造影剤。
【請求項17】
血管疾患の造影に用いるための請求項16に記載の造影剤。
【請求項18】
泡沫化マクロファージの影響で異常増殖した血管平滑筋細胞の造影に用いる請求項16又は17に記載の造影剤。
【請求項19】
マクロファージが局在化する組織又は疾患部位の造影のための請求項16ないし18のいずれか1項に記載の造影剤。
【請求項20】
マクロファージが局在化する組織が肝臓、脾臓、肺胞、リンパ節、リンパ管、及び腎臓上皮からなる群から選ばれる請求項19に記載の造影剤。
【請求項21】
マクロファージが局在化する疾患部位が腫瘍、炎症部位、及び感染部位からなる群から選ばれる請求項19に記載の造影剤。

【公開番号】特開2009−23971(P2009−23971A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−190393(P2007−190393)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】