説明

ジエン系ゴム接着用熱可塑性エラストマー組成物

【課題】ジエン系ゴムとの接着性と力学物性に優れる熱可塑性エラストマー組成物を提供する。
【解決手段】ブロック共重合体(A)を61〜99%およびブロック共重合体(B)を39〜1%含有する熱可塑性エラストマー組成物であって;
ブロック共重合体(A)が、ビニル芳香族化合物単位からなる重合体ブロック(i)を2個以上、および共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(ii)を1個以上有し、かつ重合体ブロック(ii)の二重結合のうち90モル%以上が水素添加されているブロック共重合体であり;
ブロック共重合体(B)が、ビニル芳香族化合物単位からなる重合体ブロック(iii)を1個以上、および共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(iv)を1個以上有し、かつ該ブロック共重合体において重合体ブロック(iii)の占める質量分率が35質量%以下であるブロック共重合体;
である、ジエン系ゴム接着用熱可塑性エラストマー組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジエン系ゴムとの接着性に優れる可塑性エラストマー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高分子材料に対する要求品質が高くなるに伴い、複数の特性(例えば、引張強さ、引張弾性、硬さ、耐磨耗性、耐熱性、耐寒性、耐油性、耐薬品性、耐候性、成型加工性など)を有する材料が期待されている。例えばゴムの特性と、そのゴムの特性とは異なる特性(例えば、樹脂の特性である高弾性など)とを有する材料が要求されている。そこで、樹脂成形部材とゴム成形部材とを接合し一体化することにより、樹脂とゴムとの特性を有する複合体として利用されることがある。
【0003】
芳香族ビニル化合物からなる重合体ブロックと、水素添加された共役ジエン化合物からなる重合体ブロックとを有するブロック共重合体は、水添スチレン系熱可塑性エラストマーとして一般に知られている。一般的にジエン系ゴムよりも耐候性に優れるほか、化学的な架橋構造を有していないため種々の成形法により溶融成形することが可能であり、所謂一般的なゴムとは異なる特性を有することが知られている。
【0004】
しかしながら、水添スチレン系熱可塑性エラストマーとゴム、例えばジエン系ゴムとを複合体として用いる場合、水添スチレン系熱可塑性エラストマーとジエン系ゴムとの間は接着性に乏しく、実用的に十分な接着強度を有しているとは言い難い。
【0005】
上記の接着性を改善したものとしては、例えば、ラジカル発生剤などの加硫剤を含有する未加硫ゴム層を介して、未加硫ゴム組成物、半加硫ゴム部材、加硫ゴム部材から選択されたゴムエレメントと、未成形樹脂組成物、半成形樹脂部材、成形樹脂部材から選択された樹脂エレメントとを接着する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この方法においては、ゴムエレメントと樹脂エレメントに加え、別途接着層として作用する未加硫ゴム層を用意する必要があり、操作が煩雑になるという問題があった。
【0006】
【特許文献1】特開2004−42486号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ジエン系ゴムとの接着性に優れる熱可塑性エラストマー組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の要件を満たす熱可塑性エラストマー組成物が、ジエン系ゴムとの接着性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
ブロック共重合体(A)およびブロック共重合体(B)を、質量比で(A):(B)=61:39〜99:1の割合で含有する熱可塑性エラストマー組成物であって;
ブロック共重合体(A)が、ビニル芳香族化合物単位からなる重合体ブロック(i)を2個以上、および共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(ii)を1個以上有し、かつ重合体ブロック(ii)に含まれる炭素−炭素不飽和二重結合のうち90モル%以上が水素添加されているブロック共重合体であり;
ブロック共重合体(B)が、ビニル芳香族化合物単位からなる重合体ブロック(iii)を1個以上、および共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(iv)を1個以上有し、かつ該ブロック共重合体において重合体ブロック(iii)の占める質量分率が35質量%以下であり、さらに重合体ブロック(iv)に含まれる炭素−炭素不飽和二重結合のうち20モル%以下が水素添加されていてもよいブロック共重合体;
である、ジエン系ゴム接着用熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ジエン系ゴムとの接着性に優れる熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のジエン系ゴム接着用熱可塑性エラストマー組成物は、ブロック共重合体(A)とブロック共重合体(B)とを含有するものであって、ブロック共重合体(A)およびブロック共重合体(B)は、それぞれ以下の構成からなるものである。
ブロック共重合体(A):ビニル芳香族化合物単位からなる重合体ブロック(i)を2個以上、および共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(ii)を1個以上有し、かつ重合体ブロック(ii)に含まれる炭素−炭素不飽和二重結合のうち90モル%以上が水素添加されているブロック共重合体。
ブロック共重合体(B):ビニル芳香族化合物単位からなる重合体ブロック(iii)を1個以上、および共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(iv)を1個以上有し、かつ該ブロック共重合体において重合体ブロック(iii)の占める質量分率が35質量%以下であり、さらに重合体ブロック(iv)に含まれる炭素−炭素不飽和二重結合のうち20モル%以下が水素添加されていてもよいブロック共重合体。
また、ブロック共重合体(A)とブロック共重合体(B)とは、質量比で(A):(B)=61:39〜99:1の割合であり、65:35〜95:5であるのが好ましい。
【0012】
上記重合体ブロック(i)、および重合体ブロック(iii)を構成するビニル芳香族化合物単位としては、例えば、スチレン、4−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−t−ブトキシスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等の芳香環に置換基を有していてもよいスチレン系化合物、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、1,1−ジフェニルエチレン等のα−置換スチレン系化合物、4,α−ジメチルスチレンなどのα位と芳香環が置換基を有するスチレン系化合物等からなる単位が挙げられる。中でも工業的経済性、および重合の容易性の観点から、スチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレンからなる単位が好ましく、特にブロック共重合体(A)を構成する重合体ブロック(i)においてはα−メチルスチレン単位であるのが高温下での力学物性の点でより好ましい。これらは、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0013】
上記重合体ブロック(ii)、および重合体ブロック(iv)を構成する共役ジエン化合物単位としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、3,4−ジメチル−1,3−ペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン等からなる単位が挙げられる。中でも入手容易性、工業的経済性の観点から、1,3−ブタジエン、イソプレンからなる単位が好ましい。これらは、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。また本発明の効果を損なわない範囲であれば、例えばスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレンなどのビニル芳香族化合物を共重合してもよい。
【0014】
ブロック共重合体(A)において、重合体ブロック(i)の質量分率に特に制限はないが、熱可塑性エラストマーとしての性能の観点から、60質量%未満、さらには50質量%未満であることが好ましい。重合体ブロック(i)の質量分率が60質量%を超える場合には、樹脂的性質が強くなるためエラストマーとしての性能に劣ることがある。また、重合体ブロック(i)は、10質量%以上であることが好ましい。
【0015】
ブロック共重合体(A)において、重合体ブロック(ii)に含まれる炭素−炭素不飽和二重結合の水素添加(以下、「水添」と記載することがある)率は、耐候性、力学物性の観点から90モル%以上であり、95モル%以上であることが好ましい。水添率が90モル%に満たない場合は、熱可塑性エラストマー組成物の耐候性、力学物性が低下するため好ましくない。
【0016】
ブロック共重合体(A)の分子量に特に制限はないが、好ましくは10,000〜2,000,000、より好ましくは30,000〜1,000,000の範囲である。分子量が10,000以上であると、熱可塑性エラストマーの引張強度が優れたものとなり、一方、2,000,000以下であると成形性に優れたものとなる。なお、ここで言う分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される数平均分子量(Mn)を指す。
【0017】
ブロック共重合体(A)は、重合体ブロック(i)を2個以上、および重合体ブロック(ii)を1個以上有している限り、そのブロック連鎖に制限はなく、(i)−(ii)−(i)のトリブロック体、(i)−(ii)−(i)−(ii)のテトラブロック体、(i)−(ii)−(i)−(ii)−(i)又は(ii)−(i)−(ii)−(i)−(ii)のペンタブロック体等が挙げられる。これらの中でも、製造容易性の観点から(i)−(ii)−(i)のトリブロック体が好ましい。
【0018】
ブロック共重合体(B)において、重合体ブロック(iii)の質量分率は、熱可塑性エラストマー組成物のジエン系ゴムとの接着性の観点から、35質量%以下、好ましくは30質量%以下である。重合体ブロック(iii)の質量分率が35質量%を超える場合には、ジエン系ゴムとの接着性が低下することがある。また、重合体ブロック(iii)は、10質量%以上であることが好ましい。
【0019】
ブロック共重合体(B)において、重合体ブロック(iv)の水添率は、熱可塑性エラストマー組成物のジエン系ゴムとの接着性の観点から20モル%以下であり、20モル%未満であるのが好ましく、10モル%以下であるのがより好ましい。水添率が20モル%を超える場合には、熱可塑性エラストマー組成物のジエン系ゴムとの接着性が低下するため好ましくない。
【0020】
ブロック共重合体(B)の分子量に特に制限はないが、10,000〜1,000,000の範囲にあることが好ましい。分子量が10,000以上であると熱可塑性エラストマー組成物の引張強度が優れたものとなり、一方、1,000,000以下であると成形性に優れたものとなる。なお、ここで言う分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される数平均分子量(Mn)を指す。
【0021】
ブロック共重合体(B)は、重合体ブロック(iii)を1個以上、および重合体ブロック(iv)を1個以上有している限り、そのブロック連鎖には制限はなく、(iii)−(iv)のジブロック体、(iii)−(iv)−(iii)又は(iv)−(iii)−(iv)のトリブロック体、(iii)−(iv)−(iii)−(iv)のテトラブロック体等が挙げられる。これらの中でも、熱可塑性エラストマー組成物の接着性、製造容易性の観点から、(iii)−(iv)のジブロック体または(iii)−(iv)−(iii)のトリブロック体であることが好ましい。
【0022】
本発明に用いるブロック共重合体(A)およびブロック共重合体(B)の製造方法について特に制限はなく、例えば、リビングアニオン重合法を用いて製造することができる。この場合、アルキルリチウム化合物等のアニオン重合開始剤の存在下、n−ヘキサンやシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の不活性有機溶媒中で、ビニル芳香族化合物、共役ジエン化合物を逐次重合させて得ることができる。
【0023】
リビングアニオン重合によりブロック共重合体を製造するにあたり、反応を円滑に進行させるために、分子内にアニオン種と反応する官能基(水酸基、カルボニル基等)を持たず、酸素原子、窒素原子などの複素原子を有する極性化合物を、不活性有機溶媒に共存させて用いてもよい。その際の極性化合物としては、通常のリビングアニオン重合で採用されている手法に準じて適当なものを選択することができ、ジエチルエーテル、モノグライム、ジグライム、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどを挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。
【0024】
またリビングアニオン重合によりブロック共重合体を製造するにあたり、必要に応じて多官能性カップリング剤を用いてもよい。多官能性カップリング剤としては、通常のリビングアニオン重合で採用されている手法に準じて適当なものを選択することができ、安息香酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸エチル、酢酸メチル、ピバリン酸メチル、ピバリン酸フェニル、ピバリン酸エチル、α,α’−ジクロロ−o−キシレン、α,α’−ジクロロ−m−キシレン、α,α’−ジクロロ−p−キシレン、ビス(クロロメチル)エーテル、ジブロモメタン、ジヨードメタン、フタル酸ジメチル、ジクロロジメチルシラン、ジクロロジフェニルシラン、トリクロロメチルシラン、テトラクロロシラン、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。
【0025】
またリビングアニオン重合によりブロック共重合体を製造するにあたり、必要に応じて官能性キャッピング剤を用いてブロック共重合体末端に官能基を導入してもよい。官能性キャッピング剤としては、通常のリビングアニオン重合で採用される手法に準じて適当なものを選択することができ、水酸基を導入できるキャッピング剤(エチレンオキシド等のアルキレンオキシド類等)、カルボキシル基を導入できるキャッピング剤(二酸化炭素等)、アミノ基を導入できるキャッピング剤(エチレンイミン等のイミン化合物等)、メルカプト基を導入できるキャッピング剤(二硫化炭素、硫黄原子、およびエチレンスルフィド等のアルキレンスルフィド類等)等を挙げることができる。
【0026】
ブロック共重合体の共役ジエン系化合物に由来する炭素−炭素二重結合の水素添加の方法としては特に限定されないが、例えばNi/Al系チーグラー触媒の存在下にブロック共重合体と水素とを反応させる方法等が挙げられる。
【0027】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、上記成分に加え、必要に応じて有機過酸化物などの加硫剤を含有させてもよい。有機過酸化物の例としては、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルオキサイド、p−メンタンヒドロペルオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。有機過酸化物の配合量は、本発明の効果を実質的に損なわない範囲であれば特に制限は無く、一般には熱可塑性エラストマー組成物100質量部に対し、0.01〜10質量部であることが好ましい。
【0028】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、一般の熱可塑性エラストマーで行われるように、他の熱可塑性樹脂、軟化剤、無機充填剤、染顔料、添加剤等を含有させてもよい。
【0029】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いることのできる他の熱可塑性樹脂としては、本発明の効果を実質的に損なわないものであれば特に制限は無く、例えばポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアミド6、ポリアミド6・6、ポリアミド6・10、ポリアミド11、ポリアミド12等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂、スチレン単独重合体、α−メチルスチレン単独重合体、スチレン・α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂等のスチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート共重合体等の(メタ)アクリレート系樹脂、天然ゴム、合成イソプレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、エピクロロヒドリンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、塩化ビニル樹脂、軟質塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1等のポリオレフィン系樹脂等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。
【0030】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いることのできる軟化剤としては、例えば、パラフィンオイル、ナフテンオイル、アロマオイル等の炭化水素系オイル等が挙げられる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いることのできる無機充填剤や染顔料としては、例えば、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、クレー、酸化チタン等を挙げることができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いることのできる添加剤としては、滑剤、光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、シリコンオイル、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、発泡剤、香料等が挙げられる。
【0031】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法には特に制限はないが、ブロック共重合体(A)およびブロック共重合体(B)、必要に応じてその他の成分を均一に混合させ得る方法であれば特に限定されない。例えば、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、ラボプラストミル、バンバリーミキサー等の装置を用い、約160〜300℃で約30秒〜30分間これらの成分を溶融混練することによって本発明の熱可塑性エラストマー組成物を得ることができる。
【0032】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の引張破断強度について特に制限はないが、実用的強度の観点から15MPa以上であることが好ましい。引張破断強度が15MPa以下である場合には、エラストマーとしての強度が劣り好ましくない。また本発明の熱可塑性エラストマー組成物の引張破断伸びについて特に制限はないが、エラストマーとしての機能の観点から100%以上であることが好ましく、より好ましくは200%以上である。引張破断伸びが100%以下である場合には、熱可塑性エラストマー組成物の樹脂的性質が強くなりエラストマーとしての性能に劣ることから好ましくない。
【0033】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物のジエン系ゴムへの接着力は、ジエン系ゴムおよび加硫剤を少なくとも含有してなるジエン系ゴム組成物からなる層と、本発明のジエン系ゴム接着用熱可塑性エラストマー組成物からなる層とを加硫接着して得られる積層体の、JIS K6256に準拠して測定する剥離強さにより求めることができる。熱可塑性エラストマー組成物とジエン系ゴムとの複合体が十分な実用的強度を有するとの観点から、熱可塑性エラストマー組成物とジエン系ゴムの剥離強さは、好ましくは2.5N/mm以上、より好ましくは3N/mm以上である。剥離強さが2.5N/mm未満である場合には、複合体の実用的強度が劣るため好ましくない。上記の積層体の剥離とは、層間剥離に加えて、積層体を構成するどちらか片方の層の材料破壊をも含むものとする。
【0034】
上記したジエン系ゴムとは、天然ゴム、合成イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、スチレンイソプレンゴム、スチレン−ブタジエン−イソプレンゴム、ニトリルブタジエンゴムから選ばれる1種類以上のジエン系ゴムと加硫剤を少なくとも含有してなるジエン系ゴム組成物を指す。ジエン系ゴム組成物には、上記したジエン系ゴムと加硫剤とに加え、カーボンブラック、シリカ等の無機充填剤、ナフテンオイル等の軟化剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤、加硫促進助剤、ステアリン酸、亜鉛華、シランカップリング剤等が目的に応じ適宜配合されていてもよい。
【0035】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物とジエン系ゴムとの接着方法は特に限定されず、例えばジエン系ゴムとして加硫剤を含む未加硫または半加硫のジエン系ゴム組成物を用い、本発明の熱可塑性エラストマー組成物と貼りあわせて加硫接着する方法、ジエン系ゴムとして加硫されたジエン系ゴム組成物を用い、加硫剤を含有させた本発明の熱可塑性エラストマー組成物と貼りあわせて加硫接着する方法等が挙げられる。これらのうちでも、工程の容易性から、加硫剤を含む未加硫のジエン系ゴム組成物との加硫接着の方法を採用することが好ましい。
【実施例】
【0036】
以下、本発明を実施例等により具体的に説明するが、本発明はそれにより何ら限定されるものではない。また、以下の実施例、比較例において用いた測定機器および測定方法、使用材料を示す。
【0037】
(1)核磁気共鳴スペクトル(1H−NMRスペクトル)によるブロック共重合体の分子構造の解析
機器 : 日本電子社製核磁気共鳴装置(JNM−LA)
溶媒 : 重クロロホルム
(2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)の測定
機器 : 東ソー社製ゲルパーミエーションクロマトグラフ(HLC−8020)
カラム : 東ソー社製TSKgel GMHXL、G4000HXLおよびG5000HXLを直列に連結
溶離液 : テトラヒドロフラン、流量1.0ml/分
カラム温度 : 40℃
検量線 : 標準ポリスチレンを用いて作成
検出方法 : 示差屈折率(RI)
(3)引張破断強度、引張破断伸びの測定
圧縮成形により作製した厚さ2mmのシートからダンベル状3号形試験片を打ち抜いて作製し、JIS K6251に準拠して、万能材料試験機(インストロンジャパン社製「TM−MS−134」)を用い、500mm/分の条件下で測定した。
(4)ジエン系ゴムとの接着性試験
表1に示した割合で各種材料を配合して作製した厚さ2mmの未加硫ゴムシートと、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の厚さ2mmのシートを重ね、170℃で15分間加硫接着を行った。接着したサンプルを25mm幅の短冊状に切り出し、JIS K6256に準拠して、万能材料試験機(インストロンジャパン社製「TM−MS−134」)を用い、90°剥離、500mm/分の条件下で剥離強さを測定した。また、試験後の試験片の剥離状態を観察し、以下のように分類した。
A : 加硫ジエン系ゴムが材料破壊
B : ジエン系ゴム接着用熱可塑性エラストマー組成物が材料破壊
C : 加硫ジエン系ゴムとジエン系ゴム接着用熱可塑性エラストマー組成物が界面剥離
【0038】
【表1】

【0039】
《参考製造例1》 ブロック共重合体(A−1)の製造
(1)窒素置換を十分に行ったオートクレーブ中に、α−メチルスチレン152g、シクロヘキサン221g、ヘキサン38.5gおよびテトラヒドロフラン9.6gを投入した。
(2)続いてsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液10mL(sec−ブチルリチウムとして10ミリモル)を投入し、−10℃で3時間重合反応を行った。重合開始5時間後のポリα−メチルスチレン(重合体ブロック(i)に相当)のMn、Mw/MnをGPCにより測定したところ、Mn=10500、Mw/Mn=1.05であり、α−メチルスチレンの重合転化率は90%であった。
(3)次に、1,3−ブタジエン10gを加え30分間攪拌した後、10℃まで昇温しシクロヘキサン109gを加えて重合溶液を希釈した。続いて重合溶液317gを抜き取り、さらにシクロヘキサン524gを加えた。
(4)次に、1,3−ブタジエン128gを加え、50℃で2時間重合を行った。この時点のサンプリングで得られたポリマーのMn、Mw/MnをGPCにより測定したところ、Mn=59700、Mw/Mn=1.05、H−NMR測定から求めたポリブタジエン部の1,4−結合量は60モル%であった。
(5)続いて、安息香酸フェニルのシクロヘキサン溶液10mL(安息香酸フェニルとして2.64ミリモル)をゆっくりと加え50℃にて1時間攪拌した。攪拌終了後、少量の脱気したメタノールを加えて重合を完結させた。得られたポリマーの数平均分子量をGPCにより測定したところ、Mn=119600、Mw/Mn=1.06であった。H−NMR測定から求めたα−メチルスチレン重合体ブロックの質量分率は30質量%、1,3−ブタジエン重合体ブロックの1,4−結合量は60モル%であった。
(6)オクチル酸ニッケルとトリイソブチルアルミニウムの反応生成物を水添触媒として上記(5)で得られた溶液に添加し、水素をオートクレーブ内に導入することで水添反応を行った。水添反応は水添触媒導入後、1時間かけて50℃まで昇温した後、7時間行った。得られた溶液をクエン酸と過酸化水素の水溶液、水で十分に洗浄して水添触媒を除去した後、有機層をアセトン/メタノール混合溶媒に注いでブロック共重合体を沈殿させた。得られたブロック共重合体をメタノールにて十分に洗浄し、0.1質量部の酸化防止剤(チバ・スペシャリティーズ・ケミカル社製「Irganox1010」)を添加し、60℃で真空乾燥してブロック共重合体(A−1)を得た。
【0040】
《参考製造例2》 ブロック共重合体(A−2)の製造
上記参考製造例1において、工程(6)における水添反応の時間を4時間に変更すること以外は同様の操作を行いブロック共重合体(A−2)を得た。ブロック共重合体(A−2)の分子構造を表2に示す。
【0041】
《参考製造例3》 ブロック共重合体(B−1)の製造
(1)十分に窒素置換を行ったオートクレーブ中に、α−メチルスチレン118g、シクロヘキサン179g、ヘキサン20gおよびテトラヒドロフラン4gを投入した。
(2)続いてsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液7.6mL(sec−ブチルリチウムとして9.9ミリモル)を投入し、−10℃で3時間重合を行った。重合開始3時間後のポリα−メチルスチレン(重合体ブロック(iii)に相当)のMn、Mw/MnをGPCにより測定したところ、Mn=11000、Mw/Mn=1.04であり、α−メチルスチレンの重合転化率は90%であった。
(3)次にイソプレン9.9gを加え30分間攪拌したのち、10℃まで昇温しシクロヘキサン300gを加えて重合溶液を希釈した。続いて重合溶液450.2gを抜き取り、さらにシクロヘキサン800gを加えた。
(4)次に、イソプレン348gを加え、50℃で2時間重合を行った後、少量の脱気したメタノールを加えて重合を完結させた。得られた重合溶液を水で十分に洗浄したのち、有機層をアセトン/メタノール混合溶媒に注いでブロック共重合体を沈殿させた。得られたブロック共重合体をメタノールで十分に洗浄し、0.1質量部の酸化防止剤(チバ・スペシャリティーズ・ケミカル社製「Irganox1010」)を添加し、60℃で真空乾燥してブロック共重合体(B−1)を得た。得られたブロック共重合体(B−1)のMn、Mw/MnをGPCにより測定したところ、Mn=448000、Mw/Mn=1.08であった。
【0042】
《参考製造例4》 ブロック共重合体(B−2)〜(B−3)の製造
上記参考製造例2において、使用するイソプレンの量を変更する以外は同様の操作を行い、ブロック共重合体(B−2)および(B−3)を得た。(B−2)および(B−3)の分子構造を表2に示す。
【0043】
《参考製造例5》 ブロック共重合体(A−3)の合成
(1)上記参考製造例4で得られたブロック共重合体(B−2)をシクロヘキサンに溶解させて、十分に窒素置換を行った。ここにオクチル酸ニッケルとトリイソブチルアルミニウムの反応生成物を水添触媒として添加し、水素をオートクレーブ内に導入することで水添反応を行った。水添反応は水添触媒導入後、1時間かけて50℃まで昇温した後、10時間行った。得られた溶液をクエン酸と過酸化水素の水溶液、水で十分に洗浄して水添触媒を除去した後、有機層をアセトン/メタノール混合溶媒に注いでブロック共重合体を沈殿させた。得られたブロック共重合体をメタノールにて十分に洗浄し、0.1質量部の酸化防止剤(チバ・スペシャリティーズ・ケミカル社製「Irganox1010」)を添加し、60℃で真空乾燥してブロック共重合体(A−3)を得た。ブロック共重合体(A−3)の分子構造を表2に示す。
【0044】
《参考製造例6》 ブロック共重合体(B−4)の製造
(1)十分に窒素置換を行ったオートクレーブ中に、α−メチルスチレン118g、シクロヘキサン179g、ヘキサン20gおよびテトラヒドロフラン8gを投入した。
(2)続いてsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液16.5mL(sec−ブチルリチウムとして21.4ミリモル)を投入し、−10℃で3時間重合を行った。重合開始3時間後のポリα−メチルスチレン(重合体ブロック(iii)に相当)のMn、Mw/MnをGPCにより測定したところ、Mn=5100、Mw/Mn=1.05であり、α−メチルスチレンの重合転化率は89%であった。
(3)次にブタジエン20gを加え30分間攪拌したのち、10℃まで昇温しシクロヘキサン150gを加えて重合溶液を希釈した。続いて重合溶液193gを抜き取り、さらにシクロヘキサン640gを加えた。
(4)次に、ブタジエン283gを加え、50℃で2時間重合を行った。この時点のサンプリングで得られたポリマーのMn、Mw/MnをGPCにより測定したところ、Mn=49000、Mw/Mn=1.05であった。H−NMR測定から求めたα−メチルスチレン重合体ブロックの質量分率は18質量%、ポリブタジエン部の1,4−結合量は66%であった。
(5)続いて、安息香酸フェニルのシクロヘキサン溶液30mL(安息香酸フェニルとして6.55ミリモル)をゆっくりと加え50℃にて1時間攪拌した。攪拌終了後、少量の脱気したメタノールを加えて重合を完結させた。得られたポリマーの数平均分子量をGPCにより測定したところ、Mn=98000、Mw/Mn=1.04であった。1H−NMRから求めたα−メチルスチレン重合体ブロックの質量分率は18質量%、ブタジエン重合体ブロックの1,4−結合量は66%であった。
(6)得られた重合溶液を水で十分に洗浄したのち、有機層をアセトン/メタノール混合溶媒に注いでブロック共重合体を沈殿させた。得られたブロック共重合体をメタノールで十分に洗浄し、0.1質量部の酸化防止剤(チバ・スペシャリティーズ・ケミカル社製「Irganox1010」)を添加し、60℃で真空乾燥してブロック共重合体(B−4)を得た。
【0045】
《参考製造例7》 ブロック共重合体(B−5)〜(B−6)の製造
上記参考製造例(5)までは参考製造例(5)と同様にしてブロック共重合体の溶液を得た。この溶液に、水添触媒としてオクチル酸ニッケルとトリイソブチルアルミニウムの反応生成物を添加し、水素をオートクレーブ内に導入することで水添反応を行った。水添反応は室温で行い、反応時間により得られるブロック共重合体の水添率を制御した。得られた溶液をクエン酸と過酸化水素の水溶液、水で十分に洗浄して水添触媒を除去した後、有機層をアセトン/メタノール混合溶媒に注いでブロック共重合体を沈殿させた。得られたブロック共重合体をメタノールにて十分に洗浄し、0.1質量部の酸化防止剤(チバ・スペシャリティーズ・ケミカル社製「Irganox1010」)を添加し、60℃で真空乾燥してブロック共重合体(B−5)、および(B−6)を得た。(B−5)および(B−6)の分子構造を表2に示す。
【0046】
ブロック共重合体(B−7)、(B−8)として、以下の商品を用いた。
ブロック共重合体(B−7) : ポリスチレン−ビニルイソプレン−スチレンブロック共重合体(クラレ社製 ハイブラー5125 スチレン含量20%)
ブロック共重合体(B−8) : ポリスチレン−水添イソプレン−スチレンブロック共重合体(クラレ社製 セプトン2004 スチレン含量18%)
【0047】
【表2】

【0048】
《実施例1〜7》 ジエン系ゴム接着用熱可塑性エラストマー組成物の製造
各種ブロック共重合体(A)と各種ブロック共重合体(B)とを表3に示した割合でラボプラストミル(東洋精機社製)に仕込み、260℃、ローター回転数100rpmの条件下で3分間混練して熱可塑性エラストマー組成物を得た。該熱可塑性エラストマー組成物について上記した引張破断強度、引張破断伸び、ジエン系ゴムとの接着性を評価したところ表3に示す通りであった。
【0049】
【表3】

【0050】
《比較例1〜7》 ジエン系ゴム接着用熱可塑性エラストマー組成物の製造
各種ブロック共重合体(A)と各種ブロック共重合体(B)とを表3に示した割合でラボプラストミル(東洋精機社製)に仕込み、260℃、ローター回転数100rpmの条件下で3分間混練して熱可塑性エラストマー組成物を得た。該熱可塑性エラストマー組成物について上記した引張破断強度、引張破断伸び、ジエン系ゴムとの接着性を評価したところ表4に示す通りであった。
【0051】
【表4】

【0052】
表3より、本発明のジエン系ゴム接着用熱可塑性エラストマー組成物はジエン系ゴムとの接着性に優れ、又エラストマーとしての性能に優れていることが分かる。
【0053】
表4よりブロック共重合体(B)を配合しなかった場合には、引張物性には優れているものの、ジエン系ゴムとの接着性が不十分であることがわかる。
【0054】
表3、4よりジエン系ゴム接着用熱可塑性エラストマー組成物を製造するにあたり、本発明の構成要件を満たしていないブロック共重合体(A−2)、(A−3)を用いた比較例2および比較例3では、ブロック共重合体(A−1)を用いた実施例1と比較して引張破断強度、ジエン系ゴムとの接着性が不十分であることがわかる。
【0055】
表3、4よりジエン系ゴム接着用熱可塑性エラストマー組成物を製造するにあたり、本発明の指定する範囲を逸脱してブロック共重合体(B−1)を配合した比較例4は接着性については良好であるものの、本発明の指定する範囲に従いブロック共重合体(B−1)を配合した実施例1、実施例6、実施例7と比較して引張破断強度が低下しており不十分であることがわかる。
【0056】
表3、4より、ジエン系ゴム接着用熱可塑性エラストマー組成物を製造するにあたり、ブロック共重合体(B)における重合体ブロック(iii)の質量分率が本発明の指定する範囲を逸脱したブロック共重合体(B−3)を配合した比較例5は引張破断強度については良好であるものの、ブロック共重合体ブロック(iii)の質量分率が本発明の指定する範囲内にあるブロック共重合体(B−1)、(B−2)を用いた実施例1、実施例2と比較して接着性が低下しており不十分であることがわかる。
【0057】
表3、4より、ジエン系ゴム接着用熱可塑性エラストマー組成物を製造するにあたり、ブロック共重合体(B)における重合体ブロック(iv)に含まれる炭素−炭素不飽和二重結合を本発明の指定する範囲を逸脱して水素添加したブロック共重合体(B−6)を配合した比較例6は引張破断強度が良好であるものの、重合体ブロック(iv)の水素添加率が本発明の指定する範囲内にあるブロック共重合体(B−4)、(B−5)を用いた実施例3、実施例4と比較して接着性が低下しており不十分であることがわかる。
同様にブロック共重合体(B)における重合体ブロック(iii)を構成する成分がスチレンである場合においても、本発明の範囲を逸脱して炭素−炭素不飽和二重結合が本発明の指定する範囲を逸脱して水素添加されたブロック共重合体(B−8)を配合した比較例7は引張破断強度が良好であるものの、重合体ブロック(iv)の水素添加率が本発明の指定する範囲内にあるブロック共重合体(B−7)を用いた実施例7と比較して接着性が低下しており不十分であることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明により、ジエン系ゴムとの接着性と力学物性に優れる熱可塑性エラストマー組成物が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロック共重合体(A)およびブロック共重合体(B)を、質量比で(A):(B)=61:39〜99:1の割合で含有する熱可塑性エラストマー組成物であって;
ブロック共重合体(A)が、ビニル芳香族化合物単位からなる重合体ブロック(i)を2個以上、および共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(ii)を1個以上有し、かつ重合体ブロック(ii)に含まれる炭素−炭素不飽和二重結合のうち90モル%以上が水素添加されているブロック共重合体であり;
ブロック共重合体(B)が、ビニル芳香族化合物単位からなる重合体ブロック(iii)を1個以上、および共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(iv)を1個以上有し、かつ該ブロック共重合体において重合体ブロック(iii)の占める質量分率が35質量%以下であり、さらに重合体ブロック(iv)に含まれる炭素−炭素不飽和二重結合のうち20モル%以下が水素添加されていてもよいブロック共重合体;
である、ジエン系ゴム接着用熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項2】
ブロック共重合体(A)の重合体ブロック(i)を構成するビニル芳香族化合物単位が、α−メチルスチレン単位である請求項1に記載のジエン系ゴム接着用熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項3】
重合体ブロック(ii)および重合体ブロック(iv)を構成する共役ジエン化合物単位が、ブタジエン単位又はイソプレン単位である請求項1または2に記載のジエン系ゴム接着用熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項4】
天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、スチレン−ブタジエン−イソプレンゴム、ニトリル−ブタジエンゴムから選ばれる1種類以上のジエン系ゴムおよび加硫剤を少なくとも含有してなるジエン系ゴム組成物からなる層と、該ジエン系ゴム接着用熱可塑性エラストマー組成物からなる層とを加硫接着した際に、得られる積層体の、
JIS K6256に準拠して測定される剥離強さが2.5N/mm以上であるような、請求項1〜3のいずれか1項に記載のジエン系ゴム接着用熱可塑性エラストマー組成物。

【公開番号】特開2007−154010(P2007−154010A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−350042(P2005−350042)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【Fターム(参考)】