説明

ジチエノベンゾジチオフェン誘導体の製造方法

【課題】 高いキャリア移動度を与えると共に容易に効率よく有機半導体層を製膜することが可能となるジチエノベンゾジチオフェン誘導体を効率よく製造する方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも下記(A)〜(B)工程を経ることを特徴とするジチエノベンゾジチオフェン誘導体の製造方法。
(A)工程;触媒として塩化アルミニウムの存在下、ジチエノベンゾジチオフェンと塩化アシル化合物とのフリーデルクラフツアシル化反応により、ジチエノベンゾジチオフェンのジアシル体を製造する工程。
(B)工程;(A)工程により得られたジチエノベンゾジチオフェンのジアシル体を還元反応に供し、ジチエノベンゾジチオフェン誘導体を製造する工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機半導体材料等の電子材料への展開が可能なジチエノベンゾジチオフェン誘導体の新規な製造方法に関するものであり、特に純度が高いことから、高キャリア移動度を与えうるジチエノベンゾジチオフェン誘導体の新規な製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機薄膜トランジスタに代表される有機半導体デバイスは、省エネルギー、低コスト及びフレキシブルといった無機半導体デバイスにはない特徴を有することから近年注目されている。この有機半導体デバイスは、有機半導体層、基板、絶縁層、電極等の数種類の材料から構成され、中でも電荷のキャリア移動を担う有機半導体層は該デバイスの中心的な役割を有している。そして、有機半導体デバイス性能は、この有機半導体層を構成する有機材料のキャリア移動度により左右されることから、高キャリア移動度を与える有機材料の出現が所望されている。
【0003】
また、有機半導体層を作製する方法としては、高温真空下、有機材料を気化させて実施する真空蒸着法、有機材料を適当な溶媒に溶解させその溶液を塗布する塗布法、等の方法が一般的に知られている。そして、塗布法においては、塗布は高温高真空条件を用いることなく印刷技術を用いても実施することができる。そのため、塗布法は印刷によりデバイス作製の大幅な製造コストの削減を図ることができることから、経済的に好ましいプロセスとして期待される反面、溶液状態から溶媒が揮発し、有機半導体材料の薄膜が析出生成することから元来の材料純度がその性能に大きく影響する製法となる。
【0004】
そして、有機半導体材料、それを用いた有機半導体デバイスとしては、例えばジチエノベンゾジチオフェン誘導体及びそれからなる半導体材料(例えば特許文献1参照。)、ジヘキシルジチエノベンゾジチオフェンの真空蒸着法によるトランジスタ(例えば特許文献2参照。)、等が提案されている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2010/000670号公報(例えば特許請求の範囲参照。)
【特許文献2】特開2009/54810号公報(例えば特許請求の範囲参照。)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1には、ジヘキシルジチエノベンゾジチオフェンが、ディップコート法では1.4cm/Vsという高いホール移動度を示す反面、ドロップキャスト法においては、移動度が0.112cm/Vsに一桁低下することが記載されている。これは、ディップコート法が、溶液中に基板を浸し、ゆっくり基板を引き上げることで基板上に塗布膜を製造する方法であることから、材料に含まれる不純物が溶液中に残り、基板上には純度がより高まった材料の薄膜が形成され、高移動度が得られたと考えられる。一方、ドロップキャスト法においては、基板上で溶液を乾燥することから材料中に含まれる不純物もそのまま含まれる薄膜が形成されることにより、ディップコート法に比べ低い移動度となるものと考えられる。しかし、生産性に優れるインクジェット等の印刷プロセスにより製造を行う際には、ドロップキャスト法にて0.5cm/Vs以上の高移動度を有することが必要となる。また、特許文献2に提案されたトランジスタは、移動度が0.28cm/Vsにとどまるものである。
【0007】
そこで、本発明は、高キャリア移動度を与える有機材料として期待されるジチエノベンゾジチオフェン誘導体の新規な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討の結果、高純度を有するジチエノベンゾジチオフェン誘導体を効率よく製造する方法を見出し、本発明を完成するに到った。
【0009】
すなわち、本発明は、少なくとも下記(A)〜(B)工程を経て、下記一般式(1)で示されるジチエノベンゾジチオフェン誘導体を製造することを特徴とするジチエノベンゾジチオフェン誘導体の製造方法に関するものである。
【0010】
【化1】

(ここで、置換基R及びRは同一又は異なって、炭素数1〜20のアルキル基を示す。)
(A)工程;触媒として塩化アルミニウムの存在下、ジチエノベンゾジチオフェンと塩化アシル化合物とのフリーデルクラフツアシル化反応により、ジチエノベンゾジチオフェンのジアシル体を製造する工程。
(B)工程;(A)工程により得られたジチエノベンゾジチオフェンのジアシル体を還元反応に供し、ジチエノベンゾジチオフェン誘導体を製造する工程。
【0011】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明のジチエノベンゾジチオフェン誘導体は、少なくとも上記(A)〜(B)工程を経て製造するものである。
【0013】
ここで、(A)工程は、触媒として塩化アルミニウムの存在下、ジチエノベンゾジチオフェンと塩化アシル化合物とのフリーデルクラフツアシル化反応により、ジチエノベンゾジチオフェンのジアシル体を製造する工程である。
【0014】
該塩化アシル化合物としては、例えば塩化メタノイル、塩化ブチリル、塩化バレロイル、塩化ヘキサノイル、塩化2−エチルヘキサノイル、塩化ノニノイル、塩化ヘプタノイル、塩化オクタノイル、塩化デカノイル、塩化ドデカノイル、塩化テトラデカノイル等を挙げることができる。該フリーデルクラフツアシル化反応は、例えばジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トルエン等の溶媒中、0℃〜40℃の温度範囲で行うことができる。
【0015】
また(B)工程は、ジチエノベンゾジチオフェンのジアシル体を還元反応に供し、ジチエノベンゾジチオフェン誘導体を製造する工程である。
【0016】
ジチエノベンゾジチオフェンのジアシル体の還元反応は、例えば還元剤としてヒドラジンを用い、ジエチレングルコール、エチレングリコール又はトリエチレングリコール中、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウム存在下、80℃〜250℃の温度範囲で行うことができる。また、例えば還元剤として水素化リチウムアルミニウム/塩化アルミニウムあるいは水素化ホウ素ナトリウム/塩化アルミニウムを用い、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテル又はTHFの溶媒中、−10℃〜80℃の温度範囲で行うこともできる。
【0017】
さらに、製造したジチエノベンゾジチオフェン誘導体は、カラムクロマトグラフィー等に供することにより精製することができ、その際の分離剤としては、例えばシリカゲル、アルミナ、溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、クロロホルム等を挙げることができる。
【0018】
また、製造したジチエノベンゾジチオフェン誘導体は、さらに再結晶により精製してもよく、再結晶の回数としては好ましくは2〜5回である。再結晶の回数を増やすことで純度を向上させることができる。再結晶に用いる溶媒としては、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等を挙げることができ、これらの任意の割合の混合物であってもよい。再結晶法としては、加熱によりジチエノベンゾジチオフェン誘導体の溶液を調製し(その際の溶液の濃度は0.01〜10.0重量%の範囲が好ましく、0.05〜5.0重量%の範囲がより好ましい。)、該溶液を冷却することでジチエノベンゾジチオフェン誘導体の結晶を析出させ単離するが、単離する際の最終的な冷却温度は−20℃から40℃の範囲にあることが好ましい。なお、純度を測定する際には液体クロマトグラフィーにより分析することが可能である。
【0019】
そして、本発明のジチエノベンゾジチオフェン誘導体の製造方法において、(A)工程に用いられるジチエノベンゾジチオフェンは、如何なる方法により製造されたものであってもよく、例えば以下に示す、少なくとも下記(C)〜(D)工程を経る方法により、容易に製造することが可能である。
【0020】
(C)工程;パラジウム触媒の存在下、3−ハロゲン化チオフェン−2−亜鉛誘導体と1,2,4,5−テトラハロゲン化ベンゼンから1,4−ジ(3−ハロゲン化チエニル)−2,5−ジハロゲン化ベンゼンを製造する工程。
【0021】
(D)工程;硫化アルカリ金属塩の存在下、(C)工程により得られた1,4−ジ(3−ハロゲン化チエニル)−2,5−ジハロゲン化ベンゼンの分子内環化によりジチエノベンゾジチオフェンを製造する工程。
【0022】
ここで、(C)工程は、パラジウム触媒の存在下、3−ハロゲン化チオフェン−2−亜鉛誘導体と1,2,4,5−テトラハロゲン化ベンゼンのクロスカップリングにより1,4−ジ(3−ハロゲン化チエニル)−2,5−ジハロゲン化ベンゼンを製造する工程である。
【0023】
3−ハロゲン化チオフェン−2−亜鉛誘導体は、例えばイソプロピルマグネシウムブロマイド、エチルマグネシウムクロライド、フェニルマグネシウムクロライド等の有機金属試薬を用い、2,3−ジハロゲン化チオフェンの2位のハロゲンをマグネシウムハライドに交換後、塩化亜鉛と金属交換することで調製することができる。また、該有機金属試薬の代わりにマグネシウム金属を用い、2,3−ハロゲン化チオフェンのグリニャール試薬を調製することも可能である。2,3−ジハロゲン化チオフェンのグリニャール試薬を調製する条件としては、例えばテトラヒドロフラン(以後、THFと記す。)又はジエチルエーテル等の溶媒中、−80℃〜70℃の温度範囲内で実施することができる。該グリニャール試薬の溶液に塩化亜鉛を反応させることで3−ハロゲン化チオフェン−2−亜鉛誘導体を調製することができる。塩化亜鉛はそのままの状態でもよいし、THFあるいはジエチルエーテル溶液であってもかまわない。温度としては、−80℃〜30℃の範囲内で実施できる。
【0024】
そして、3−ハロゲン化チオフェン−2−亜鉛誘導体のハロゲンとしては、それぞれ独立して、例えば塩素、臭素、フッ素、ヨウ素を挙げることができ、具体的には、例えば3−クロロチオフェン−2−亜鉛誘導体、3−ブロモチオフェン−2−亜鉛誘導体、3−ヨードチオフェン−2−亜鉛誘導体、3−フルオロチオフェン−2−亜鉛誘導体等を挙げることができ、その中でも、特に反応効率に優れることから3−ブロモチオフェン−2−亜鉛誘導体であることが好ましい。
【0025】
パラジウム触媒の存在下、調製された3−ハロゲン化チオフェン−2−亜鉛誘導体と1,2,4,5−テトラハロゲン化ベンゼンをクロスカップリングすることにより1,4−ジ(3−ハロゲン化チエニル)−2,5−ジハロゲン化ベンゼンを合成することができる。その際のパラジウム触媒としては、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム等を挙げることができ、反応温度としては、20℃〜80℃の範囲内で実施することができる。
【0026】
また、1,2,4,5−テトラハロゲン化ベンゼンのハロゲンとしては、それぞれ独立して、例えば塩素、臭素、フッ素、ヨウ素を挙げることができ、具体的には、例えば1,2,4,5−テトラクロロベンゼン、1,2,4,5−テトラブロモベンゼン、1,2,4,5−テトラフルオロベンゼン、1,2,4,5−テトラヨードベンゼン、1,4−ジブロモ−2,5−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロ−2,5−ジフルオロベンゼン、1,4−ジヨード−2,5−ジクロロベンゼン、1,4−ジブロモ−2,5−ジフルオロベンゼン、1,4−ジヨード−2,5−ジブロモベンゼン、1,4−ジヨード−2,5−ジクロロベンゼン等を挙げることができ、その中でも1,4位のハロゲンと2,5位のハロゲンとの反応性が異なることから、より容易に1,4−ジ(3−ハロゲン化チエニル)−2,5−ジハロゲン化ベンゼンを製造することが可能となることから、1,4−ジクロロ−2,5−ジフルオロベンゼン、1,4−ジヨード−2,5−ジクロロベンゼン、1,4−ジブロモ−2,5−ジフルオロベンゼン、1,4−ジブロモ−2,5−ジクロロベンゼン、1,4−ジヨード−2,5−ジブロモベンゼン、1,4−ジヨード−2,5−ジフルオロベンゼンであることが好ましく、特に1,4−ジブロモ−2,5−ジフルオロベンゼン、1,4−ジブロモ−2,5−ジクロロベンゼンであることが好ましい。
【0027】
(D)工程は、硫化アルカリ金属塩の存在下、1,4−ジ(3−ハロゲン化チエニル)−2,5−ジハロゲン化ベンゼンの分子内環化によりジチエノベンゾジチオフェンを製造する工程である。
【0028】
該硫化アルカリ金属塩としては、例えば硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化リチウム、硫化ルビジウム、その水和物等を挙げることができ、該分子内環化反応は、例えばN−メチルピロリドン(以後、NMPと記す。)、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒中、80℃〜200℃の温度範囲で行うことができる。
【0029】
1,4−ジ(3−ハロゲン化チエニル)−2,5−ジハロゲン化ベンゼンのハロゲンとしては、それぞれ独立して、例えば塩素、臭素、フッ素、ヨウ素を挙げることができ、具体的には、例えば1,4−ジ(3−クロロチエニル)−2,5−ジクロロベンゼン、1,4−ジ(3−ブロモチエニル)−2,5−ジブロモベンゼン、1,4−ジ(3−フルオロチエニル)−2,5−ジフルオロベンゼン、1,4−ジ(3−ヨードチエニル)−2,5−ジヨードベンゼン、1,4−ジ(3−クロロチエニル)−2,5−ジブロモベンゼン、1,4−ジ(3−クロロチエニル)−2,5−ジフルオロベンゼン、1,4−ジ(3−ブロモチエニル)−2,5−ジクロロベンゼン、1,4−ジ(3−ブロモチエニル)−2,5−ジフルオロベンゼン、1,4−ジ(3−フルオロチエニル)−2,5−ジクロロベンゼン、1,4−ジ(3−フルオロチエニル)−2,5−ジブロモベンゼン等が挙げられ、その中でもチエニル基上のハロゲンとベンゼン環上のハロゲンとが異なることにより分子内環化がより効率的に進行することから、1,4−ジ(3−クロロチエニル)−2,5−ジブロモベンゼン、1,4−ジ(3−クロロチエニル)−2,5−ジフルオロベンゼン、1,4−ジ(3−ブロモチエニル)−2,5−ジクロロベンゼン、1,4−ジ(3−ブロモチエニル)−2,5−ジフルオロベンゼン、1,4−ジ(3−フルオロチエニル)−2,5−ジクロロベンゼン、1,4−ジ(3−フルオロチエニル)−2,5−ジブロモベンゼンであることが好ましく、特に1,4−ジ(3−ブロモチエニル)−2,5−ジフルオロベンゼン、1,4−ジ(3−ブロモチエニル)−2,5−ジクロロベンゼンが好ましい。
【0030】
そして、本発明の製造方法の好ましい製造方法を(C)、(D)工程を含めた具体的な製造スキームとして以下に示す。
【0031】
【化2】

本発明の製造方法により得られるジチエノベンゾジチオフェン誘導体は、上記一般式(1)で示される誘導体であり、好ましくは純度98%以上、特に99%以上を有するものである。そして、置換基R及びRは同一又は異なって炭素数1〜20のアルキル基であり、例えばメチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘプチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、2−エチルヘキシル基、2−エチルオクチル基、2−エチルデシル基等の鎖状アルキル基;ペンタデカフルオロオクチル基、オクタデカフルオロデシル基、等の一部の水素がフッ素に置換されたハロゲン化アルキル基を挙げることができ、好ましくは炭素数4〜18のアルキル基であり、例えばブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基であり、特に好ましくは炭素数8〜16のアルキル基であり、例えばデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基を挙げることができる。
【0032】
該ジチエノベンゾジチオフェン誘導体の具体的例示としては、以下のものを挙げることができる。
【0033】
【化3】

そして、より好ましくはジメチルジチエノベンゾジチオフェン、ジn−ブチルジチエノベンゾジチオフェン、ジn−ペンチルジチエノベンゾジチオフェン、ジn−ヘキシルジチエノベンゾジチオフェン、ジ2−エチルヘキシルジチエノベンゾジチオフェン、ジn−ノニルジチエノベンゾジチオフェン、ジn−ヘプチルジチエノベンゾジチオフェン、ジn−オクチルジチエノベンゾジチオフェン、ジn−デシルジチエノベンゾジチオフェン、ジn−ドデシルジチエノベンゾジチオフェン、ジn−テトラデシルジチエノベンゾジチオフェンを挙げることができる。
【0034】
本発明の製造方法により得られるジチエノベンゾジチオフェン誘導体は、溶媒に容易に溶解しドロップキャスト等の方法等により製膜することにより高いキャリア移動度の期待できる有機半導体層を製造することができる。該有機半導体層は、電子ペーパー、有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ、ICタグ(RFIDタグ)用等のトランジスタの有機半導体層用途;有機ELディスプレイ材料;有機半導体レーザー材料;有機薄膜太陽電池材料;フォトニック結晶材料等の電子材料に利用することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明の製造方法は、高いキャリア移動度を与えると共に容易に効率よく有機半導体層を製膜することが可能となるジチエノベンゾジチオフェン誘導体を効率的に製造できることから、その効果は極めて高いものである。
【実施例】
【0036】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0037】
生成物の同定にはH−NMRスペクトル及びマススペクトルを用いた。なお、H−NMRスペクトルの測定は日本電子製の(商品名)JEOL GSX−270WB(270MHz)を用いた。マススペクトル(MS)は日本電子製の(商品名)JEOL JMS−700を用いて、試料を直接導入し、電子衝突(EI)法(70エレクトロンボルト)で測定した。
【0038】
反応の進行の確認等は薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー(GC)及びガスクロマトグラフィー−マススペクトル(GCMS)分析を用いた。
【0039】
ガスクロマトグラフィー分析
装置;島津製作所製、(商品名)GC14B
カラム;J&Wサイエンティフィック社製、(商品名)DB−1,30m
ガスクロマトグラフィー−マススペクトル分析
装置;パーキンエルマー製、(商品名)オートシステムXL(MS部;ターボマスゴールド)
カラム;J&Wサイエンティフィック社製、(商品名)DB−1,30m
ジチエノベンゾジチオフェン誘導体の純度測定は液体クロマトグラフィー分析を用いた。
装置;東ソー製(コントローラー;PX−8020、ポンプ;CCPM−II、デガッサー;SD−8022)
カラム;東ソー製、(商品名)ODS−100V、5μm、4.6mm×250mm
カラム温度;23℃
溶離液;ジクロロメタン:アセトニトリル=4:6(容積比)
流速;1.0ml/分
検出器;UV(東ソー製、(商品名)UV−8020、波長;254nm)。
【0040】
合成例1(1,4−ジ(3−ブロモチエニル)−2,5−ジフルオロベンゼンの合成)
窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器にイソプロピルマグネシウムブロマイド(東京化成工業製、0.80M)のTHF溶液4.5ml(3.6mmol)及びTHF10mlを添加した。この混合物を−75℃に冷却し、2,3−ジブロモチオフェン(和光純薬工業製)873mg(3.61mmol)を滴下した。−75℃で30分間熟成後、塩化亜鉛(シグマ−アルドリッチ製、1.0M)のジエチルエーテル溶液3.6ml(3.6mmol)を滴下した。徐々に室温まで昇温した後、生成した白色スラリー液を減圧濃縮し、10mlの軽沸分を留去した。得られた白色スラリー液(3−ブロモチエニル−2−ジンククロライド)に、1,4−ジブロモ−2,5−ジフルオロベンゼン(和光純薬工業製)272mg(1.00mmol)、触媒としてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(東京化成工業製)39.1mg(0.0338mmol、1,4−ジブロモ−2,5−ジフルオロベンゼンに対し3.38モル%)及びTHF10mlを添加した。60℃で8時間反応を実施した後、容器を水冷し3N塩酸3mlを添加することで反応を停止させた。トルエンで抽出し、有機相を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(ヘキサンからヘキサン/ジクロロメタン=10/1)、さらにヘキサン/トルエン=6/4から再結晶精製し、1,4−ジ(3−ブロモチエニル)−2,5−ジフルオロベンゼンの薄黄色固体227mgを得た(収率52%)。
H−NMR(CDCl,21℃):δ=7.44(d,J=5.4Hz,2H),7.39(t,J=7.8Hz,2H),7.11(d,J=5.4Hz,2H)。
MS m/z: 436(M,100%),276(M−2Br,13)。
【0041】
合成例2(ジチエノベンゾジチオフェンの合成)
窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に合成例1で得た1,4−ジ(3−ブロモチエニル)−2,5−ジフルオロベンゼン200mg(0.458mmol)、NMP10ml、及び硫化ナトリウム・9水和物(和光純薬工業製)240mg(1.00mmol)を添加した。得られた混合物を170℃で6時間加熱し、得られた反応混合物を室温に冷却した。トルエンと水を添加後、分相し、有機相を2回水洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮後、得られた残渣をヘキサンで洗浄を2回実施し、ジチエノベンゾジチオフェンの淡黄色固体95mgを得た(収率69%)。
H−NMR(CDCl,60℃):δ=8.28(s,2H),7.51(d,J=5.2Hz,2H),7.30(d,J=5.2Hz,2H)。
MS m/z: 302(M,100%),270(M−S,5),151(M/2,10)。
【0042】
実施例1
100mlシュレンク反応容器に合成例2で得られたジチエノベンゾジチオフェン86.8mg(0.286mmol)及びジクロロメタン14mlを添加した。この混合物を氷冷し、塩化アルミニウム(和光純薬工業製)134mg(1.00mmol)及び塩化ヘキサノイル(和光純薬工業製)115mg(0.858mmol)を添加した。得られた混合物を室温で30時間攪拌後、氷冷し水を添加することで反応を停止させた。得られたスラリー混合物にトルエンを添加し分相した。黄色スラリー液の有機相を水洗浄後、減圧濃縮した。得られた残渣をヘキサン/トルエン=1/1及びメタノールで洗浄し、減圧乾燥した後、ジn−ヘキサノイルジチエノベンゾジチオフェンの黄色固体99.8mgを得た(収率70%)。
H−NMR(重ベンゼン,80℃):δ=7.73(s,2H),7.26(s,2H),2.58(t,J=7.2Hz,4H),1.71(m,4H),1.28(m,8H),0.86(t,J=7.0Hz,6H)。
MS m/z: 498(M,100%),442(M−C+1,46),427(M−C11,13)。
【0043】
そして、100mlシュレンク反応容器にジn−ヘキサノイルジチエノベンゾジチオフェン97mg(0.194mmol)、水酸化カリウム223mg(3.97mmol)、ジエチレングリコール12ml、及びヒドラジン・1水和物(和光純薬工業製)412mg(8.23mmol)を添加し、120℃で1時間攪拌後、さらに220℃で30時間攪拌した。室温に冷却後、トルエン及び水を添加分相後、有機相の水洗浄を3回繰り返した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(ヘキサン)、さらにヘキサン(和光純薬工業製ピュアーグレード)から3回再結晶精製した。なお、1回目及び2回目の再結晶の最終冷却温度は0℃とし、3回目は7℃とした。3回目の再結晶では粗生成物1mgに対し、ヘキサン0.6mlを使用し、ジn−ヘキシルジチエノベンゾジチオフェンの白色固体35mgを得た(収率38%)。
【0044】
得られたジn−ヘキシルジチエノベンゾジチオフェンの純度は液体クロマトグラフィーより99.1%であった。
H−NMR(CDCl,21℃):δ=8.17(s,2H),7.00(s,2H),2.97(t,J=7.2Hz,4H),1.78(m,4H),1.28(m,12H),0.88(t,J=7.0Hz,6H)。
MS m/z: 470(M,100%),399(M−C11,57),328(M−2C11,47)。
融点:190.2〜190.4℃。
【0045】
なお、非特許文献(アドバンスト マテリアルズ、2009年、21巻、213−216頁)によればシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製後の同一化合物の融点は150〜155℃と温度幅が広く、7%以上の不純物を含むことが示唆された。
【0046】
実施例2
塩化ヘキサノイルの代わりに塩化オクタノイル(和光純薬工業製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、ジn−オクタノイルジチエノベンゾジチオフェンの黄色固体を収率86%で得た。
H−NMR(重ベンゼン,80℃):δ=7.73(s,2H),7.26(s,2H),2.58(t,J=7.2Hz,4H),1.71(m,4H),1.28(m,16H),0.86(t,J=7.0Hz,6H)。
MS m/z: 554(M,100%),470(M−C13+1,43),455(M−C15,15)。
【0047】
そして、ジn−ヘキサノイルジチエノベンゾジチオフェンの代わりにジn−オクタノイルジチエノベンゾジチオフェンを用いた以外は、実施例1と同様の方法によりジn−オクチルジチエノベンゾジチオフェンの白色固体を収率24%で得た。
【0048】
得られたジn−オクチルジチエノベンゾジチオフェンの純度は液体クロマトグラフィーより99.4%であった。
H−NMR(CDCl,21℃):δ=8.16(s,2H),7.00(s,2H),2.96(t,J=7.2Hz,4H),1.71(m,4H),1.28(m,20H),0.88(t,J=7.0Hz,6H)。
MS m/z: 526(M,100%),427(M−C15,48),328(M−2C15,35)。
融点:180.7〜181.2℃。
【0049】
実施例3
100mlシュレンク反応容器に合成例2で得られたジチエノベンゾジチオフェン164mg(0.542mmol)及びジクロロメタン20mlを添加した。この混合物を氷冷し、塩化アルミニウム(和光純薬工業製)286mg(2.14mmol)及び塩化デカノイル(和光純薬工業製)324mg(1.69mmol)を添加した。得られた混合物を室温で30時間攪拌後、氷冷し水を添加することで反応を停止させた。得られたスラリー混合物にトルエンを添加し分相した。黄色スラリー液の有機相を水洗浄後、減圧濃縮した。得られた残渣をヘキサン/トルエン=10/1及びメタノールで洗浄し、減圧乾燥した後、ジn−デカノイルジチエノベンゾジチオフェンの黄色固体280mgを得た(収率85%)。
H−NMR(重ベンゼン,80℃):δ=7.72(s,2H),7.26(s,2H),2.58(t,J=7.2Hz,4H),1.71(m,4H),1.28(m,24H),0.86(t,J=7.0Hz,6H)。
MS m/z: 610(M,100%),498(M−C17+1,41),483(M−C19,16)。
【0050】
そして、窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に塩化アルミニウム(和光純薬工業製)170mg(1.27mmol)、水素化リチウムアルミニウム(和光純薬工業製)102mg(2.68mmol)、ジエチルエーテル30mlを添加した。この混合物に室温下、ジn−デカノイルジチエノベンゾジチオフェン192mg(0.314mmol)とトルエン10mlの懸濁混合物を投入した。30℃で48時間攪拌後、水冷し水を添加して反応を停止させた。さらに3N塩酸添加後、トルエンで抽出し、有機相を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(ヘキサン/トルエン=10/1、容積比→トルエン)、ヘキサン/トルエン=10/1(容積比)(何れも和光純薬工業製ピュアーグレード)から1回再結晶精製した。さらにトルエン(和光純薬工業製ピュアーグレード)から2回及びクロロホルムから2回再結晶精製し、ジn−デシルジチエノベンゾジチオフェンの白色固体93mgを得た(収率51%)。なお、トルエン及びクロロホルムを用いた再結晶では、粗生成物1mgに対し該混合溶媒0.10mlを使用した。再結晶の最終冷却温度は何れも室温(27℃)とした。
【0051】
得られたジn−デシルジチエノベンゾジチオフェンの純度は液体クロマトグラフィーより99.5%であった。
H−NMR(CDCl,21℃):δ=8.16(s,2H),7.00(s,2H),2.94(t,J=7.2Hz,4H),1.76(m,4H),1.27(m,28H),0.88(t,J=7.0Hz,6H)。
MS m/z: 582(M,100%),455(M−C19,43),328(M−2C19,23)。
融点:169.6〜170.2℃。
【0052】
実施例4
塩化ヘキサノイルの代わりに塩化ブチリル(和光純薬工業製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、ジn−ブタノイルジチエノベンゾジチオフェンの黄色固体を収率88%で得た。
H−NMR(重ベンゼン,80℃):δ=7.74(s,2H),7.24(s,2H),2.58(t,J=7.2Hz,4H),1.71(m,4H),0.86(t,J=7.0Hz,6H)。
MS m/z: 442(M,100%),414(M−C+1,51),399(M−C,18)。
【0053】
そして、ジn−ヘキサノイルジチエノベンゾジチオフェンの代わりにジn−ブタノイルジチエノベンゾジチオフェンを用いた以外は、実施例1と同様の方法によりジn−ブチルジチエノベンゾジチオフェンの白色固体を収率38%で得た。
【0054】
得られたジn−ブチルジチエノベンゾジチオフェンの純度は液体クロマトグラフィーより99.6%であった。
H−NMR(CDCl,21℃):δ=8.16(s,2H),6.99(s,2H),2.97(t,J=7.2Hz,4H),1.78(m,4H),1.28(m,4H),0.88(t,J=7.0Hz,6H)。
MS m/z: 414(M,100%),371(M−C,61),328(M−2C,49)。
融点:200.8〜201.3℃。
【0055】
実施例5
塩化ヘキサノイルの代わりに塩化バレロイル(和光純薬工業製)を用いた以外は、実施例3と同様の方法によりジn−ペンタノイルジチエノベンゾジチオフェンの黄色固体を収率84%で得た。
H−NMR(重ベンゼン,80℃):δ=7.74(s,2H),7.25(s,2H),2.58(t,J=7.2Hz,4H),1.71(m,4H),1.28(m,4H),0.86(t,J=7.0Hz,6H)。
MS m/z: 470(M,100%),428(M−C+1,49),413(M−C,20)。
【0056】
そして、ジn−ヘキサノイルジチエノベンゾジチオフェンの代わりにジn−ペンタノイルジチエノベンゾジチオフェンを用いた以外は、実施例1と同様の方法によりジn−ペンチルジチエノベンゾジチオフェンの白色固体を収率39%で得た。
【0057】
得られたジn−ペンチルジチエノベンゾジチオフェンの純度は液体クロマトグラフィーより99.5%であった。
H−NMR(CDCl,21℃):δ=8.17(s,2H),7.00(s,2H),2.97(t,J=7.2Hz,4H),1.78(m,4H),1.28(m,8H),0.88(t,J=7.0Hz,6H)。
MS m/z: 442(M,100%),385(M−C,58),328(M−2C,46)。
融点:195.6〜196.1℃。
【0058】
実施例6
塩化デカノイルの代わりに塩化ヘプタノイル(和光純薬工業製)を用いた以外は、実施例3と同様の方法によりジn−ヘプタノイルジチエノベンゾジチオフェンの黄色固体を収率87%で得た。
H−NMR(重ベンゼン,80℃):δ=7.74(s,2H),7.24(s,2H),2.58(t,J=7.2Hz,4H),1.71(m,4H),1.28(m,12H),0.86(t,J=7.0Hz,6H)。
MS m/z: 526(M,100%),456(M−C11+1,46),441(M−C13,13)。
【0059】
そして、ジn−デカノイルジチエノベンゾジチオフェンの代わりにジn−ヘプタノイルジチエノベンゾジチオフェンを用いた以外は、実施例3と同様の方法によりジn−ヘプチルジチエノベンゾジチオフェンの白色固体を収率40%で得た。
【0060】
得られたジn−ヘプチルジチエノベンゾジチオフェンの純度は液体クロマトグラフィーより99.5%であった。
H−NMR(CDCl,21℃):δ=8.15(s,2H),6.98(s,2H),2.97(t,J=7.2Hz,4H),1.78(m,4H),1.28(m,16H),0.88(t,J=7.0Hz,6H)。
MS m/z: 498(M,100%),413(M−C13,50),328(M−2C13,41)。
融点:185.4〜185.9℃。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の製造方法は、高いキャリア移動度を与えると共に容易に効率よく有機半導体層を製膜することが可能となるジチエノベンゾジチオフェン誘導体を効率的に製造できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも下記(A)〜(B)工程を経て、下記一般式(1)で示されるジチエノベンゾジチオフェン誘導体を製造することを特徴とするジチエノベンゾジチオフェン誘導体の製造方法。
【化1】

(ここで、置換基R及びRは同一又は異なって、炭素数1〜20のアルキル基を示す。)
(A)工程;触媒として塩化アルミニウムの存在下、ジチエノベンゾジチオフェンと塩化アシル化合物とのフリーデルクラフツアシル化反応により、ジチエノベンゾジチオフェンのジアシル体を製造する工程。
(B)工程;(A)工程により得られたジチエノベンゾジチオフェンのジアシル体を還元反応に供し、ジチエノベンゾジチオフェン誘導体を製造する工程。
【請求項2】
ジチエノベンゾジチオフェン誘導体が、ジメチルジチエノベンゾジチオフェン、ジn−ブチルジチエノベンゾジチオフェン、ジn−ペンチルジチエノベンゾジチオフェン、ジn−ヘキシルジチエノベンゾジチオフェン、ジ2−エチルヘキシルジチエノベンゾジチオフェン、ジn−ノニルジチエノベンゾジチオフェン、ジn−ヘプチルジチエノベンゾジチオフェン、ジn−オクチルジチエノベンゾジチオフェン、ジn−デシルジチエノベンゾジチオフェン、ジn−ドデシルジチエノベンゾジチオフェン及びジn−テトラデシルジチエノベンゾジチオフェンからなる群より選ばれる1種以上のジチエノベンゾジチオフェン誘導体であることを特徴とする請求項1に記載のジチエノベンゾジチオフェノン誘導体の製造方法。
【請求項3】
(A)工程における塩化アシル化合物が、塩化メタノイル、塩化ブチリル、塩化バレロイル、塩化ヘキサノイル、塩化2−エチルヘキサノイル、塩化ノニノイル、塩化ヘプタノイル、塩化オクタノイル、塩化デカノイル、塩化ドデカノイル及び塩化テトラデカノイルからなる群より選択される1種以上の塩化アシル化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のジチエノベンゾジチオフェン誘導体の製造方法。
【請求項4】
(B)工程における還元反応が、還元剤としてヒドラジン、水素化リチウムアルミニウム,水素化ホウ素ナトリウム及び/又は塩化アルミニウムを用いた還元反応であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のジチエノベンゾジチオフェン誘導体の製造方法。
【請求項5】
(A)工程におけるジチエノベンゾジチオフェンが、少なくとも下記(C)〜(D)工程を経て製造されたジチエノベンゾジチオフェンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のジチエノベンゾジチオフェン誘導体の製造方法。
(C)工程;パラジウム触媒の存在下、3−ハロゲン化チオフェン−2−亜鉛誘導体と1,2,4,5−テトラハロゲン化ベンゼンにより1,4−ジ(3−ハロゲン化チエニル)−2,5−ジハロゲン化ベンゼンを製造する工程。
(D)工程;硫化アルカリ金属塩の存在下、(C)工程により得られた1,4−ジ(3−ハロゲン化チエニル)−2,5−ジハロゲン化ベンゼンの分子内環化によりジチエノベンゾジチオフェンを製造する工程。
【請求項6】
(C)工程における、3−ハロゲン化チオフェン−2−亜鉛誘導体が2,3−ジブロモチオフェンのグリニャール試薬から合成されるものであることを特徴とする請求項5に記載のジチエノベンゾジチオフェン誘導体の製造方法。

【公開番号】特開2012−206952(P2012−206952A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72226(P2011−72226)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】