説明

ジャンパコネクタ

【課題】 回路の短絡を防止しつつ、プローブなどによる信号検出も可能にするジャンパコネクタを提供することを目的とする。
【解決手段】 プリント基板上の複数の端子を電気的に接続する導線2と、導線2を挿通するための貫通孔34が所定間隔をおいて並設された基部31、及び貫通孔34が並設された方向に沿って基部31から突設された側壁32、33を備えた絶縁性の台座部材3と、を備え、導線2は、貫通孔34に対して側壁32、33が突設された側から挿通されるジャンパコネクタ1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板上に設けられた二つの接触子の間を電気的に接続するジャンパコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種電気機器の電気回路の構成にあたって、プリント基板が用いられる。プリント基板の回路設計においては、回路変更がされる場合があり、その場合にはジャンパコネクタを所定の基板の回路部に挿入し変更を行っている。従来のジャンパコネクタとしては、(特許文献1)及び(特許文献2)に示すように、金属薄板を折曲げて形成されたものが知られている。
【0003】
しかしながら、上述の(特許文献1)及び(特許文献2)に示すようなジャンパコネクタは金属薄板をむき出しのまま使うため、両面に回路パターンが形成されたプリント基板のように表面に回路パターンが形成されている場合にはジャンパコネクタと回路とが接触して短絡してしまうおそれがあった。そのため、従来、絶縁チューブなどで被覆されたジャンパコネクタが用いられていた。
【0004】
【特許文献1】特開平10−340747号公報
【特許文献2】特開平8−31483号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のようなジャンパコネクタは導電部分が絶縁チューブなどで完全に被覆されているためプローブなどによる信号の確認を行うことができなかった。特に、回路変更を行った場合にはプローブなどによる信号の確認等が必要であり、従来型のジャンパコネクタでは信号の確認を行うことができず不十分であった。
【0006】
そこで、本発明は上述のような課題を解決するため、回路の短絡を防止しつつ、プローブなどによる信号検出も可能にするジャンパコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のジャンパコネクタは、請求項1として、プリント基板上の複数の端子を電気的に接続する導線と、前記導線を挿通するための貫通孔が所定間隔をおいて並設された基部、及び前記貫通孔が並設された方向に沿って前記基部から突設された側壁を備えた絶縁性の台座部材と、を備え、前記導線は、前記側壁が突設された側から前記貫通孔に挿通されることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、導線が、側壁が突設された側から、絶縁性の台座部材に設けられた貫通孔に挿通されるのでプリント基板上の回路パターンと接触して短絡するのが防止される。また、導線は、基部の側壁が突設された側では露出しているので、プローブ等を用いて信号の確認などを行うことができる。
【0009】
また、請求項2は、請求項1記載のジャンパコネクタにおいて、側壁が基部の両側縁から突設され、台座部材の断面がコの字型を有することを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、側壁が基部の両側縁から突設されており、上面が開いたコの字型を有するので、導線にプローブを当てることができる。また、両側縁から側壁が突設されるのでプローブを導線に当てる際のガイドとなるとともに、プローブを当てた際に安定して接触させることが可能となる。
【0011】
また、請求項3は、請求項1又は2記載のジャンパコネクタにおいて、台座部材には所定間隔おきに切断または折断可能な切断部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4は、請求項3記載のジャンパコネクタにおいて、切断部が、隣接する貫通孔の間に設けられたことを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、台座部材には、所定間隔おきに切断または折断ができるように切断面が設けられているので、接続するプリント基板上の端子間の長さに応じて適宜長さの台座部材を得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のジャンパコネクタによれば、導線が、絶縁性の基部に設けられた貫通孔に側壁が突設された側から挿通されるので、プリント基板上の回路パターンと導線とが接触して短絡するのが防止される。また、導線は、基部の側壁が突設された側では露出しているので、プローブ等を用いて信号の確認などを行うことができる。すなわち、本発明のジャンパコネクタによれば、プリント基板上の回路の短絡を防止しつつ、プローブなどによる信号検出も可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
まず、本発明のジャンパコネクタの実施の形態(1)について図1〜4に基づいて説明する。図1及び図2は、実施の形態(1)に係るジャンパコネクタを示す斜視図及び平面図である。図3は、図2のA−A断面図である。実施の形態(1)に係るジャンパコネクタ1は、図1に示すように、基部31と基部31から突設された側壁32、33とを備えた絶縁性の台座部材3と、台座部材3に装着される導線2と、から構成される。
【0016】
導線2は、プリント基板上の複数の接触子を電気的に接続するためのものである。そして、導線2は、図3に示すように、主体部23と、主体部23から突設された脚部21、22とを有しており、コの字形に形成されている。そして、脚部21、22の間隔は、プリント基板のピッチの倍数に合致する距離となっている。
【0017】
台座部材3は、導線2の主体部23がプリント基板に電気的に接触しないようにするためのもので、絶縁性の樹脂などが用いられる。そして、台座部材3は、図1に示すように、基部31と基部31の両側縁から突設された側壁32、33とを備えており、台座部材3の断面はコの字型を有している。
【0018】
基部31には、導線2の脚部21、22を挿通するための貫通孔34が所定間隔をおいて並設されている。隣接する貫通孔34の間隔は、プリント基板のピッチに合った距離となっている。そして、各貫通孔34には、基部31の側壁32、33が設けられた面から、導線2の脚部21、22が挿通される。なお、導線2の脚部21、22の貫通孔34への挿通は、導線2の主体部23が側壁32、33の凹部に接するまで行われる。
【0019】
また、側壁32、33は、貫通孔34が並設された方向に沿って基部31の両側縁から突設されたものであり、側壁32、33の間の凹部に導線2が保護される。すなわち、導線2の両側に側壁32、33が設けられるので、導線2がプリント基板上の他の端子などと接触する可能性が減少する。そして、プローブS等を用いて信号の確認を行う際にも、プローブSは側壁32、33により支持することができ、安定した状態で測定を行うことが可能となる。
【0020】
また、台座部材3には、所定間隔おきに切断又は折断するための切断部36が設けられている。具体的には、隣接する貫通孔34同士の間の中心位置において基部31から側壁32、33まで外周に渡って凹部35が設けられており、台座部材3が肉薄に形成されることで切断部36が設けられている。これにより、台座部材3を容易に切断又は折断することができ、台座部材3の大きさを使用目的に応じて簡単に調整できるようになっている。
【0021】
上記実施の形態(1)に係るジャンパコネクタ1を実際にプリント基板上に取付けた使用状態図を図4に示す。図4に示すように、ジャンパコネクタ1はプリント基板Pの取付孔Qに実装されている。具体的には、導線2の脚部21、22がプリント基板Pの取付孔Qに半田付けにより固定されている。そして、実際にジャンパコネクタ1をプリント基板上に実装した際には、プローブS等を用いて信号の確認を行い、回路が正常に動作するかどうかを確認する。
【0022】
上記実施の形態(1)に係るジャンパコネクタ1によれば、導線2の脚部22が側壁32、33が突設された側から貫通孔34に挿通され、導線2の主体部23とプリント基板との間に絶縁性の台座部材3が設けられるので、プリント基板上の回路パターンと導線2とが接触して短絡するのが防止される。
【0023】
また、導線2の主体部23は、側壁32、33の間の凹部に備えられており、上面が開放されているので、プローブ等を側壁32、33の間に挿入し導線2の主体部23に接触させるなどして信号の確認などを行うことができる。また、基部31の両側縁から突設された側壁32、33は、プローブを導線2の主体部23に当てる際のガイドとなり、迅速に測定を行うことが可能となる。また、プローブは、導線2の主体部23に当てた際に側壁32、33により支持させることができ、安定した状態で信号の確認などの測定を行うことが可能となる。
【0024】
また、台座部材3には所定間隔おきに切断または折断可能な切断部36が設けられているので、接続するプリント基板上の端子間の長さに応じて適当な長さの台座部材3を得ることができる。
【0025】
続いて、実施の形態(2)に係るジャンパコネクタについて図5及び6に基づいて説明する。ジャンパコネクタ1Aは、台座部材3Aが、実施の形態(1)で用いた台座部材3と比較して長手方向の長さが短い点で異なる。また、導線2Aの主体部23Aの長さが実施の形態(1)で用いた導線2と比較して短く、プリント基板の取付孔のピッチ間隔と同じである。そして、台座部材3Aには、隣接する貫通孔34A同士の中央部において、基部31Aから側壁32A、33Aまで外周に渡って凹部35Aが設けられ、台座部材3Aが肉薄に形成される。このような台座部材3Aは、実施の形態(1)で用いた台座部材3を切断部36から切断することによっても得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施の形態(1)に係るジャンパコネクタを示す斜視図である。
【図2】実施の形態(1)に係るジャンパコネクタを示す平面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】実施の形態(1)に係るジャンパコネクタの使用状態を表す図である。
【図5】実施の形態(2)に係るジャンプコネクタを示す斜視図である。
【図6】実施の形態(2)に係るジャンパコネクタを示す平面図である。
【符号の説明】
【0027】
1、1A ジャンパコネクタ
2、2A 導線
21、21A、22、22A 脚部
23、23A 主体部
3、3A 台座部材
31、31A 基部
32、32A、33、33A 側壁
34、34A 貫通孔
35、35A 凹部
36、26A 切断部
P プリント基板
Q 取付孔
R 部品端子
S プローブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板上の複数の端子を電気的に接続する導線と、
前記導線を挿通するための貫通孔が所定間隔をおいて並設された基部、及び前記貫通孔が並設された方向に沿って前記基部から突設された側壁を備えた絶縁性の台座部材と、を備え、
前記導線は、前記側壁が突設された側から前記貫通孔に挿通されるジャンパコネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のジャンパコネクタにおいて、側壁が基部の両側縁から突設され、台座部材の断面がコの字型を有することを特徴とするジャンパコネクタ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のジャンパコネクタにおいて、台座部材には所定間隔おきに切断または折断可能な切断部が設けられていることを特徴とするジャンパコネクタ。
【請求項4】
請求項3記載のジャンパコネクタにおいて、切断部が、隣接する貫通孔の間に設けられたことを特徴とするジャンパコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−324157(P2006−324157A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−147412(P2005−147412)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(390039480)株式会社廣杉計器 (7)