説明

ジョイントコネクタ

【課題】コストを極力抑えつつ、容易に接続することが可能なジョイントコネクタを提供すること。
【解決手段】ワイヤハーネス23の幹線23aから引き出された電線15に接続されるジョイントコネクタ11であって、幹線23aにおける電線15の引出部分を保持するプロテクタ部21と、幹線23aから引き出された電線15の端部に接続されるコネクタ27が接続可能なレセプタクル部33とが一体に設けられ、プロテクタ部21とレセプタクル部33との間に、電線15を収容する電線収容溝32が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両に配索されるワイヤハーネスに設けられるジョイントコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車等の車両に配索されるワイヤハーネスには、電線同士の接続や電力分配を行うために、ジョイントコネクタが設けられている。このジョイントコネクタは、幹線から分岐線を分岐させ、この分岐線に接続される(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−58151号公報
【特許文献2】特開2003−297451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ジョイントコネクタは、幹線から分岐させた分岐線の端部に接続されるため、幹線との間の分岐線の線長分の電線を要し、また、分岐線を束ねてテープやコルゲートチューブなどで保護する必要があり、その分コストが嵩んでしまう。
【0005】
また、幹線から離れて設けられたジョイントコネクタは、振れ回らないようにワイヤハーネスの配線時に車両のフレーム等へ固定部品によって固定しておかなければならず、したがって、ワイヤハーネスとは別にジョイントコネクタを固定するための煩雑な固定作業を要する。
【0006】
しかも、ジョイントコネクタが、複数の分岐線のそれぞれにコネクタを接続し、これらのコネクタをコネクタ本体に接続する構造であると、配線時にそれぞれのコネクタを支持する複数の治具が必要となり、また、コネクタ本体の取り付け作業も別途必要となる。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、コストを極力抑えつつ、容易に接続することが可能なジョイントコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明に係るジョイントは、下記(1)から(3)のいずれかを特徴としている。
(1) ワイヤハーネスの幹線から引き出された電線に接続されるジョイントコネクタであって、
前記幹線における電線の引出部分を保持するプロテクタ部と、前記幹線から引き出された電線の端部に接続されるコネクタが接続可能なレセプタクル部とが一体に設けられ、
前記プロテクタ部と前記レセプタクル部との間に、前記電線を収容する電線収容溝が設けられていること。
(2) 上記(1)の構成のジョイントコネクタにおいて、前記レセプタクル部は、外側面に設けられていること。
(3) 上記(2)または(2)の構成のジョイントコネクタにおいて、少なくとも、前記プロテクタ部には、前記電線の引出部分を覆う蓋部が設けられていること。
【0009】
上記(1)の構成のジョイントコネクタでは、幹線における電線の分岐部分を保持するプロテクタ部と、幹線から引き出された電線の端部に接続されるコネクタが接続可能なレセプタクル部とが一体に設けられているので、幹線から引き出して分岐させた電線をテープやコルゲートチューブで保護した分岐線をなくすことができ、コストを低減させることができる。
しかも、プロテクタ部とレセプタクル部との間では、電線収容溝に電線を収容して保持することができるので、電線の余長部分がバラけるような不具合をなくすことができる。
また、車両のフレーム等へプロテクタ部とレセプタクル部とを別々に固定する必要もなくなり、固定作業の簡略化による作業性の大幅な向上を図ることができる。また、コネクタをレセプタクル部へ挿し込むだけで配線することができるので、別個のコネクタ本体へコネクタを挿し込むものと比較して、治具の数も削減することができ、取り付け作業の容易化も図ることができる。
上記(2)の構成のジョイントコネクタでは、外側面にレセプタクル部が設けられているので、スペースの有効利用による小型化を図ることができる。
上記(3)の構成のジョイントコネクタでは、電線の引出部分を蓋部によって覆って保護することができ、引出部分で電線がバラけるような不具合をなくすことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コストを極力抑えつつ、容易に接続することが可能なジョイントコネクタを提供できる。
【0011】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係るジョイントコネクタを示す図であって、(a)は前方側から視た斜視図、(b)は後方側から視た斜視図である。
【図2】本実施形態に係るジョイントコネクタの分解斜視図である。
【図3】参考例に係るジョイントコネクタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は本実施形態に係るジョイントコネクタを示す図であって、(a)は前方側から視た斜視図、(b)は後方側から視た斜視図、図2は本実施形態に係るジョイントコネクタの分解斜視図である。
【0015】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係るジョイントコネクタ11は、合成樹脂から成形されたジョイントコネクタ本体12及び蓋部13を有している。
【0016】
ジョイントコネクタ本体12は、プロテクタ部21を有している。このプロテクタ部21には、蓋部13が被せられる。
【0017】
このプロテクタ部21には、複数の導入口22が設けられており、これらの導入口22からワイヤハーネス23を構成する3本の幹線23aがそれぞれ導入されている。
【0018】
つまり、このジョイントコネクタ11は、3本のワイヤハーネス23の幹線23aが接続される3分岐のジョイントコネクタである。
【0019】
ワイヤハーネス23は、複数の電線15を束ねたもので、これらの電線15は、コルゲートチューブ24に通されて保護されている。コルゲートチューブ24は、樹脂から形成されたもので、蛇腹状に形成されている。
【0020】
プロテクタ部21におけるジョイントコネクタ本体12及び蓋部13には、それぞれ導入口22を形成する半円形状の凹部22aが形成されている。そして、ワイヤハーネス23の幹線23aは、そのコルゲートチューブ24が、ジョイントコネクタ本体12及び蓋部13の凹部22aによって保持されている。
【0021】
ジョイントコネクタ本体12には、プロテクタ部21に、導入口22と連通する保持溝25が形成されており、この保持溝25には、コルゲートチューブ24の端部から引き出されたワイヤハーネス23の各幹線23aの電線15が配置されている。
【0022】
そして、このプロテクタ部21の保持溝25内において、複数の電線15が配線されて3束の電線15の束が形成されている。これらの電線15の束には、その端部に、それぞれコネクタ27が接続されている。
【0023】
ワイヤハーネス23の幹線23aの電線15が引き出されるプロテクタ部21には、蓋部13が装着され、これにより、電線15の引出部分Aが蓋部13によって覆われて保護される。
【0024】
ジョイントコネクタ11には、ジョイントコネクタ本体12におけるプロテクタ部21に隣接した位置がブロック部31とされている。このブロック部31には、その上面側に、複数の電線収容溝32が並列に形成されている。そして、これらの電線収容溝32には、プロテクタ部21における引出部分Aで束ねられた電線15がそれぞれ収容されている。
【0025】
また、ジョイントコネクタ本体12のブロック部31には、プロテクタ部21と反対側の外側面31aに、複数のレセプタクル部33が形成されている。
【0026】
これらのレセプタクル部33には、引出部分Aから引き出されて電線収容溝32に収容された電線15の束の端部に接続されたそれぞれのコネクタ27が挿し込まれて接続されている。
【0027】
上記のジョイントコネクタ11をワイヤハーネス23に設けるには、まず、ジョイントコネクタ本体12を治具に保持させ、ワイヤハーネス23のコルゲートチューブ24から引き出した電線15をプロテクタ部21において配線して束ね、電線収容溝32へ収容させる。次に、電線15のそれぞれの端部にそれぞれコネクタ27を接続し、これらの電線15の端部のコネクタ27をレセプタクル部33に挿し込んで接続し、プロテクタ部21に蓋部13を装着する。
【0028】
これにより、ワイヤハーネス23の電線15を極めて簡単な作業によって分岐させてジョイントコネクタ11へ接続することができる。
【0029】
このように、上記実施形態に係るジョイントコネクタ11によれば、ワイヤハーネス23の電線15の引出部分Aを保持するプロテクタ部21と、ワイヤハーネス23の幹線23aから引き出された電線15の端部に接続されるコネクタ27が接続可能なレセプタクル部33とが一体に設けられているので、ワイヤハーネスの分岐部分から引き出してテープやコルゲートチューブで保護する分岐線をなくすことができ、コストを低減させることができる。
【0030】
しかも、プロテクタ部21とレセプタクル部33との間では、電線収容溝32に電線15を収容して保持することができるので、電線15の余長部分がバラけるような不具合をなくすことができる。
【0031】
また、車両のフレーム等へプロテクタ部21とレセプタクル部33とを別々に固定する必要もなくなり、固定作業の簡略化による作業性の大幅な向上を図ることができる。また、コネクタ27をレセプタクル部33へ挿し込むだけで配線することができるので、別個のコネクタ本体へコネクタを挿し込むものと比較して、配線時にコネクタ等を支持する治具の数も削減することができ、取り付け作業の容易化も図ることができる。
【0032】
また、外側面31aにレセプタクル部33が設けられているので、スペースの有効利用による小型化を図ることができる。
【0033】
さらに、電線15の引出部分Aを蓋部13によって覆って保護することができ、引出部分Aで電線15がバラけるような不具合をなくすことができる。
【0034】
ここで、本発明の更なる優位性を説明するため、図3に参考例を示す。
【0035】
図3は参考例のジョイントコネクタの斜視図である。
【0036】
図3に示すように、このジョイントコネクタ1は、分岐線2の端部に接続されたコネクタ3と、これらのコネクタ3が接続されるコネクタ本体4とを有している。
【0037】
このジョイントコネクタ1のコネクタ3が接続される分岐線2は、ワイヤハーネス5の幹線5aの接続箇所から引き出された電線からなるもので、束ねられてコルゲートチューブやテープによって保護されている。
【0038】
また、これらの分岐線2が引き出されたワイヤハーネス5の分岐箇所は、プロテクタ6が装着されて保護されている。
【0039】
このようなジョイントコネクタ1は、ワイヤハーネス5から分岐させた分岐線2の端部に接続されるため、ワイヤハーネス5との間の分岐線2の線長分の電線を要し、また、電線を束ねてテープやコルゲートチューブなどで保護して分岐線2とする必要があり、その分コストが嵩んでしまう。
【0040】
また、ワイヤハーネス5の分岐箇所のプロテクタ6から離れた位置に別個にジョイントコネクタ1が設けられているので、これらのプロテクタ6とジョイントコネクタ1とを、振れ回らないように配線時にそれぞれ車両のフレーム等へ固定部品によって固定しておく必要がある。このため、これらのプロテクタ6とジョイントコネクタ1の煩雑な固定作業を要し、コストアップを招いてしまう。
【0041】
また、ジョイントコネクタ1が、複数の分岐線2のそれぞれにコネクタ3を接続し、これらのコネクタ3をコネクタ本体4に接続する構造であるので、それぞれのコネクタ3へ分岐線2を接続する際に、それぞれのコネクタ3を支持する複数の治具が必要となり、また、コネクタ3へのコネクタ本体4の取り付け作業も別途必要となる。
【0042】
このように、参考例に係るジョイントコネクタ1では、煩雑な固定作業や配線作業を要するとともに、部品点数が多く、コストがかかってしまうという問題がある。
【0043】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0044】
11 ジョイントコネクタ
13 蓋部
15 電線
21 プロテクタ部
23 ワイヤハーネス
23a 幹線
27 コネクタ
31a 外側面
32 電線収容溝
33 レセプタクル部
A 引出部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤハーネスの幹線から引き出された電線に接続されるジョイントコネクタであって、
前記幹線における電線の引出部分を保持するプロテクタ部と、前記幹線から引き出された電線の端部に接続されるコネクタが接続可能なレセプタクル部とが一体に設けられ、
前記プロテクタ部と前記レセプタクル部との間に、前記電線を収容する電線収容溝が設けられていることを特徴とするジョイントコネクタ。
【請求項2】
前記レセプタクル部は、外側面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のジョイントコネクタ。
【請求項3】
少なくとも、前記プロテクタ部には、前記電線の引出部分を覆う蓋部が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のジョイントコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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