説明

ジョブネット表示システムおよびその方法とプログラム

【課題】登録されたジョブの実行種別に従って、ジョブネット図を作成することで、ジョブの実行関係を容易に識別できるようにする仕組みを提供すること
【解決手段】装置で実行するプログラムであるジョブの実行関係を示すジョブネットを表示するジョブネット表示システムであって、ジョブごとに、ジョブの実行時間、当該ジョブに先行して実行されるジョブの先行ジョブ識別情報を含む実行情報を記憶し、実行情報を取得し、取得した実行情報の先行ジョブ識別情報に従って、各ジョブの表示位置を決定し、前記実行情報にジョブの実行時間が定義されているか否かを判定し、実行時間があるジョブと実行時間がないジョブとを識別表示するように、実行時間が定義されているか否かに従って、再度表示位置を決定してジョブネットを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ジョブネット図を表示するためのジョブネット表示システムおよびその方法とプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータ上で実行するジョブ(プログラム)の実行順序を定義し実行する機能は、あるジョブの実行が終了したら、後続ジョブを実行するといったジョブの実行順序をジョブごとに定義する方法が知られており、
【0003】
同じ実行サイクル・起動条件を持つものを1つのジョブグループとして、日々の処理順序(ジョブネット)が決められ、実行されている。
【0004】
そこで、特許文献1には、ジョブの定義とその実行順序を効率的かつ視覚的に登録管理するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4683535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、バッチジョブプログラムは同じ実行サイクル・起動条件を持つものを1つのジョブグループとして、ジョブスケジューラツールを用い、実行タイミング等のスケジュール情報を登録し、登録された情報をもとに日々の処理順序(ジョブネット)が決められ、実行されている。
【0007】
バッチジョブの追加削除に当たっては、スケジュール情報の登録ミスを防ぐため、現在手作業でジョブネット図を作成し、可視化対応している。
【0008】
バッチジョブの処理順序を決めるとき、自ジョブから見て前後に処理されるジョブの関係を把握することが1つの重要な要素となるが、スケジュール定義情報の訂正(処理タイミング・起動条件変更、ジョブ追加等)がタイムリーにジョブネット図に反映されないため、第三者の訂正着手時に間違えて現状を把握する恐れがある。
【0009】
また、可視化のための手書きジョブネット図作成は、多大な時間と労力を要しており、ジョブネットが複雑化している場合、手作業によるジョブネット図の作成は困難であった。
【0010】
そこで、本発明の目的は、登録されたジョブの実行時間の有無に従って、ジョブネット図を作成することで、ジョブの実行関係を容易に識別できるようにする仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的を達成するために、装置で実行するプログラムであるジョブの実行関係を示すジョブネットを表示するジョブネット表示システムであって、ジョブごとに、ジョブの実行時間、当該ジョブに先行して実行されるジョブの先行ジョブ識別情報を含む実行情報を記憶するジョブ実行情報記憶手段と、前記ジョブ実行情報記憶手段から実行情報を取得する実行情報取得手段と、前記実行情報取得手段で取得した実行情報の先行ジョブ識別情報に従って、各ジョブの表示位置を決定する表示位置決定手段と、前記実行情報にジョブの実行時間が定義されているか否かを判定する実行時間判定手段と、実行時間があるジョブと実行時間がないジョブとを識別表示するように、前記実行時間判定手段で実行時間が定義されているか否かに従って、前記表示位置決定手段で決定した表示位置に基づき再度表示位置を決定する再決定手段と、前記表示位置決定手段と前記再決定手段で決定した表示位置に従って、ジョブに対応するオブジェクトを配置表示する表示手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、登録されたジョブの実行時間の有無に従って、ジョブネット図を作成することで、ジョブの実行関係を容易に識別できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ジョブネット作成システムの構成図
【図2】クライアント端末,スケジュール登録サーバに適用可能な情報処理装置のハードウェア構成
【図3】ジョブネット図出力処理の全体のフローチャート
【図4A】ジョブネット図出力のためのジョブボックス配置座標位置(横順位)を決定するフローチャート
【図4B】ジョブネット図出力のためのジョブボックス配置座標位置(横順位)を決定するフローチャート
【図5A】ジョブネット図出力のためのジョブボックス配置座標位置(縦順位)を決定するフローチャート
【図5B】ジョブネット図出力のためのジョブボックス配置座標位置(縦順位)を決定するフローチャート
【図6】ジョブネット図を出力(生成、表示)するフローチャート
【図7A】座標位置(横順位)設定処理の説明を示す図
【図7B】座標位置(横順位)設定処理の説明を示す図
【図7C】座標位置(横順位)設定処理の説明を示す図
【図8A】座標位置(縦順位)設定処理の説明を示す図
【図8B】座標位置(縦順位)設定処理の説明を示す図
【図8C】座標位置(縦順位)設定処理の説明を示す図
【図8D】座標位置(縦順位)設定処理の説明を示す図
【図8E】座標位置(縦順位)設定処理の説明を示す図
【図9】ジョブネット図出力用情報のイメージ図
【図10】ジョブネット図の出力イメージ図
【図11】スケジュール情報を入力するためのスケジュール入力画面の一例
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明のジョブネット作成システムの構成の一例を示すシステム構成図である。
【0015】
図1は、1又は複数のクライアント端末101、102およびスケジュール登録サーバ103がローカルエリアネットワーク(LAN)を介して接続される構成となっている。
【0016】
スケジュール登録サーバ103は、クライアント端末101、102からのスケジュール登録指示に応じて、スケジュール登録処理を行い、さらにクライアント端末101、102からのデータ取得指示に応じて、スケジュール情報を抽出してクライアント端末101、102へ送信する。
【0017】
また、ジョブネット作成システムは、上述した構成の1又は複数のクライアント端末101、102およびスケジュール登録サーバ103がLANを介して接続される構成の1又は複数のWANを介して接続される構成であってもよい。
【0018】
以下、図2を用いて、図1に示したクライアント端末,スケジュール登録サーバに適用可能な情報処理装置のハードウェア構成について説明する。
【0019】
図2は、図1に示したクライアント端末,スケジュール登録サーバに適用可能な情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0020】
図2において、201はCPUで、システムバス204に接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御する。また、ROM202あるいは外部メモリ211には、CPU201の制御プログラムであるBIOS(Basic Input / Output System)やオペレーティングシステムプログラム(以下、OS)や、各サーバ或いは各PCの実行する機能を実現するために必要な後述する各種プログラム等が記憶されている。
【0021】
203はRAMで、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。CPU201は、処理の実行に際して必要なプログラム等をROM202あるいは外部メモリ211からRAM203にロードして、該ロードしたプログラムを実行することで各種動作を実現するものである。
【0022】
また、205は入力コントローラで、キーボード(KB)209や不図示のマウス等のポインティングデバイス等からの入力を制御する。206はビデオコントローラで、CRTディスプレイ(CRT)210等の表示器への表示を制御する。なお、図2では、CRT210と記載しているが、表示器はCRTだけでなく、液晶ディスプレイ等の他の表示器であってもよい。これらは必要に応じて管理者が使用するものである。
【0023】
207はメモリコントローラで、ブートプログラム,各種のアプリケーション,フォントデータ,ユーザファイル,編集ファイル,各種データ等を記憶するハードディスク(HD)や、フレキシブルディスク(FD)、或いはPCMCIAカードスロットにアダプタを介して接続されるコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリ等の外部メモリ211へのアクセスを制御する。
【0024】
208は通信I/Fコントローラで、ネットワーク(例えば、図1に示したLAN600)を介して外部機器と接続・通信するものであり、ネットワークでの通信制御処理を実行する。例えば、TCP/IPを用いた通信等が可能である。
【0025】
なお、CPU201は、例えばRAM203内の表示情報用領域へアウトラインフォントの展開(ラスタライズ)処理を実行することにより、CRT210上での表示を可能としている。また、CPU201は、CRT210上の不図示のマウスカーソル等でのユーザ指示を可能とする。
【0026】
本発明を実現するための後述する各種プログラムは、外部メモリ211に記録されており、必要に応じてRAM203にロードされることによりCPU201によって実行されるものである。さらに、上記プログラムの実行時に用いられる定義ファイル及び各種情報テーブル等も、外部メモリ211に格納されており、これらについての詳細な説明も後述する。
【0027】
以下、図3〜図6のフローチャートを用いて、本実施形態における処理について説明する。なお、フローチャートの各ステップは、各装置のCPUが実行する。
【0028】
まず、図3を用いて、ジョブネット図出力処理の全体のフローチャートについて説明する。
【0029】
図3は、スケジュール登録処理およびジョブネット図出力処理のクライアント端末、スケジュール登録サーバ側の処理の流れを示している。
【0030】
ステップS301では、図11の画面より、先行ジョブ、起動時間、サイクル等のスケジュール情報を入力する。図11は、スケジュール情報を入力するためのジョブスケジューラツールのスケジュール入力画面の一例である。
【0031】
ステップS302では、ステップS301で入力した情報の登録処理を指示する。
【0032】
ステップS303では、スケジュール登録サーバがクライアント端末より登録指示を受けた、ステップS301での入力情報をデータベースへ登録する。
【0033】
ステップS304では、クライアント端末よりジョブネット図出力対象となるスケジュール情報の抽出を指示し、ステップS305では、スケジュール登録サーバが対象データを抽出する。抽出されるデータは、スケジュールデータとして例えば、自ジョブIDと先行ジョブIDと起動時刻である。
【0034】
ステップS306では、ジョブネット図を出力する際のジョブボックス配置位置を確定するため、座標(横順位)を決定する(座標値)。後述する図4にて、詳細に説明する。
【0035】
ステップS307では、ジョブネット図を出力する際のジョブボックス配置位置を確定するため、座標(縦順位)を決定する(座標値)。後述する図5にて、詳細に説明する。
【0036】
ステップS308では、スケジュール登録サーバがジョブネット図を出力するためのジョブネット図出力用情報(スケジュール情報と、ステップS306およびステップS307で決定した座標位置(横順位/縦順位))をクライアント端末へ送信する。
【0037】
ステップS309では、クライアント端末がジョブネット図出力用情報を受信する。
【0038】
ステップS310では、ステップS309で受信したジョブネット図出力用情報を基にジョブネット図を表示し、処理を終了する。後述する図6にて、詳細に説明する。
【0039】
以下、図4A、図4Bを用いて、ジョブネット図出力のためのジョブボックス配置座標位置(横順位)を決定する処理について説明する。
【0040】
ステップS401では、スケジュールデータを順次取得する。
【0041】
ステップS402では、対象となるジョブに先行ジョブ(先行ジョブID)が存在するか確認を行う。先行ジョブが存在する場合は、後述するステップS406およびS407の確認を行う。
【0042】
先行ジョブが存在しない場合は、起動時刻の指定有無を確認し(ステップS403)、起動時刻が指定されている場合は、横順位「10」を設定し(ステップS405)、起動時刻が指定されていない場合は、横順位「15」を設定する(ステップS404)。
【0043】
ステップS406では、先行ジョブの横順位が設定されているか確認を行う。先行ジョブの横順位が設定されていない場合は、処理対象レコードを保留扱いとし、次レコードを読み込む(ステップS401)。
【0044】
先行ジョブの横順位が設定されている場合は、先行ジョブが複数存在しているか確認を行う(ステップS407)。
【0045】
複数存在している場合は、各先行ジョブの横順位の最大値に10を加算した値を、対象となるジョブの横順位として設定する(ステップS408)。
【0046】
複数存在していない場合は、先行ジョブの横順位に10を加算した値を、対象となるジョブの横順位として設定する(ステップS409)。
【0047】
ステップS410では、前述したステップS408およびステップS409で横順位を設定したジョブに、起動時刻が指定されているか確認を行う。
【0048】
起動時刻が指定されている場合、対象となるジョブの横順位(ステップS408およびステップS409で、10を加算した横順位)の下1桁が0(ZERO)か確認し(ステップS411)、0(ZERO)でない場合は5を減算した値を、対象となるジョブの横順位として再設定する(ステップS412)。0(ZERO)の場合は、後述するステップS415の確認を行う。
【0049】
起動時刻が指定されていない場合、対象となるジョブの横順位(ステップS408およびステップS409で、10を加算した横順位)の下1桁が5か確認し(ステップS413)、5でない場合は5を加算した値を、対象となるジョブの横順位として再設定する(ステップS414)。5の場合は、後述するステップS415の確認を行う。
【0050】
つまり、ステップS410では、起動時刻としてのジョブ種別を判定し、このジョブ種別の判定によってジョブの表示位置を決定する。これによって、ジョブネット図でジョブの種別(性質)によって表示位置が変更することができるため、ジョブの関係を容易に識別することが可能となり、ジョブスケジュールの修正の手間および間違いを低減することができる。
【0051】
ステップS415では、全レコードに横順位が設定されたか確認し、横順位未設定レコードが存在する場合は、次レコード読込処理を行う(ステップS401)。全レコードの横順位が設定されている場合は、処理を終了する。
【0052】
以下、図5A、図5Bを用いて、ジョブネット図出力のためのジョブボックス配置座標位置(縦順位)を決定する処理について説明する。
【0053】
ステップS501では、スケジュールデータを順次取得する。
【0054】
ステップS502では、対象となるジョブがTOPジョブであるか(先行ジョブが存在するか)確認を行う。
【0055】
TOPジョブである(先行ジョブが存在しない)場合は、後続ジョブが存在するか確認を行う(ステップS503)。
【0056】
後続ジョブが存在しない場合、レコード1件目の処理かどうか確認を行う(ステップS506)。レコード1件目の処理の場合、縦順位「1」を設定する(ステップS507)。レコード2件目以降の処理の場合は、前レコードで設定した縦順位に30を加算した縦順位を設定する(ステップS505)。
【0057】
後続ジョブが存在する場合、後続ジョブが存在しないジョブの縦順位は全て設定が完了しているかどうか確認を行う(ステップS504)。
【0058】
まだ設定していないジョブが存在する場合は、処理対象レコードを保留扱いとし、次レコードを読み込む(ステップS501)。
【0059】
後続ジョブが存在しないジョブの縦順位が全て設定完了している場合は、前レコードで設定した縦順位に30を加算した縦順位を設定する(ステップS505)。
【0060】
対象となるジョブがTOPジョブでない(先行ジョブが存在する)場合、TOPジョブの縦順位は全て設定が完了しているかどうか確認を行う(ステップS508)。
【0061】
まだ設定していないジョブが存在する場合は、処理対象レコードを保留扱いとし、次レコードを読み込む(ステップS501)。
【0062】
TOPジョブの縦順位が全て設定完了している場合は、後述するステップS509の確認を行う。
【0063】
ステップS509では、先行ジョブの縦順位が設定されているか確認を行う。先行ジョブの縦順位が設定されていない場合は、処理対象レコードを保留扱いとし、次レコードを読み込む(ステップS501)。
【0064】
先行ジョブの縦順位が設定されている場合は、先行ジョブが複数存在しているか確認を行う(ステップS510)。
【0065】
複数存在している場合は、各先行ジョブの縦順位の最大値を、対象となるジョブの縦順位として設定する(ステップS511)。複数存在していない場合は、後述するステップS514の確認を行う。
【0066】
ステップS512では、対象となるジョブの横順位と先行ジョブの横順位が2列以上離れているか確認を行う。2列以上離れている場合、縦順位に1を加算した値を縦順位として再設定する(ステップS513)。2列以上離れていない場合は、後述するステップS517の確認を行う。
【0067】
ステップS514では、対象となるジョブの横順位と先行ジョブの横順位が2列以上離れているか確認を行う。2列以上離れている場合、縦順位に1を加算した値を縦順位として再設定する(ステップS515)。2列以上離れていない場合は、先行ジョブの縦順位を、対象となるジョブの縦順位として設定する(ステップS516)。
【0068】
ステップS517では、対象となるジョブの縦順位および横順位と同一の順位が、設定されているジョブが既に存在するか確認を行う。同一の縦順位および横順位が設定されているジョブが存在する場合は、縦順位に1を加算した値を縦順位として再設定し、同一の順位が設定されているジョブがなくなるまで、縦順位再設定処理を繰り返す(ステップS518)。
【0069】
同一の縦順位および横順位が設定されているジョブが存在しない場合は、ジョブ依存関係の線引きを行った際、コネクタ部分と重なるか確認を行う(ステップS519)。コネクタ部分と重なる場合、縦順位に1を加算した値を縦順位として再設定し、コネクタ部分と重ならなくなるまで、縦順位再設定処理を繰り返す(ステップS520)。コネクタ部分と重ならない場合は、後述するステップS521の確認を行う。
【0070】
ステップS521では、全レコードに縦順位が設定されたか確認し、縦順位未設定レコードが存在する場合は、次レコード読込処理を行う(ステップS501)。全レコードの縦順位が設定されている場合は、処理を終了する。
【0071】
なお、図5のフローチャートにより、図9のジョブネット図出力用情報が生成される。このジョブネット図出力情報が上述のステップS308で送信される。
【0072】
図9に示すように、ジョブネット図出力用テーブルは、スケジュール情報(自ジョブID、先行ジョブID、起動時刻、後続ジョブ数)と、ジョブボックス配置座標位置(横順位、縦順位)情報から構成される。
【0073】
以下、図6を用いて、ジョブネット図を出力(生成、表示)する処理について説明する。
【0074】
ステップS601では、ジョブネット図出力用情報を順次取得する。
【0075】
ステップS602では、対象となるジョブに起動時刻が指定されているか確認を行う。起動時刻が指定されている場合、ジョブボックスの背景色を変更する(ステップS603)。起動時刻が指定されていない場合は、後述するステップS604の処理を行う。これによって、ジョブネット図でジョブの種別(起動時刻ありなし)によって表示位置が変更するとともに、色を変えることができるため、ジョブの関係を容易に識別することが可能となり、ジョブスケジュールの修正の手間および間違いを低減することができる。
【0076】
ステップS604では、前述した図4,5で設定した縦順位および横順位を基に、ジョブボックスの座標位置を設定し、ジョブボックスを配置する。
【0077】
ステップS605では、対象となるジョブの先行ジョブボックスが配置されているか確認を行う。先行ジョブボックスが配置されている場合、先行ジョブボックスから、対象となるジョブのボックスに接続線(ジョブ依存関係)を引くため、コネクタを配置する(ステップS606)。
【0078】
ステップS607では、全レコードのジョブボックスが配置され、接続線が引かれたかを確認し、ジョブボックス未配置レコードが存在する場合は、次レコード読込処理を行う(ステップS601)。全レコードのジョブボックスが配置されている場合は、処理を終了する。
【0079】
この結果、生成されたジョブネット図をCRT210(表示部)へ表示される。図10は出力イメージを示す図である。図10で示す通り、同一階層のジョブであっても起動時刻が指定されているジョブといないジョブでは、座標位置(横順位)およびジョブボックスの背景色を変更して出力するため、視覚的に判別出来るように表示されている。
【0080】
次に、図7A〜図8Eを用いて、ジョブネット図出力用情報の生成処理、特に座標位置設定について説明する。
【0081】
以下、図7A、図7B、図7Cを用いて、前述した図4の座標位置(横順位)設定処理について説明する。
【0082】
ステップS701では、先行ジョブがないものをTOPジョブとし、TOPジョブの横順位を設定する(横順位「15」)。その際、起動時刻が指定されているジョブといないジョブの横順位は区別して設定する。(起動時刻が指定されていないジョブの横順位「10」)
【0083】
ステップS702およびステップS703では、対象となるジョブの先行ジョブの横順位を基に、自ジョブの横順位を設定する(横順位10加算)。その際、起動時刻が指定されているジョブといないジョブの横順位は区別して設定し、さらに設定した横順位の下1桁の値によって、再度横順位を設定しなおす。
【0084】
また、ステップS704では、先行ジョブが複数存在する場合は、各先行ジョブの横順位の最大値に10を加算し、再設定する。その際、起動時刻が指定されているジョブといないジョブの横順位は区別して設定し、さらに設定した横順位の下1桁の値によって、再度横順位を設定しなおす。先行ジョブの横順位が設定されていない場合は、保留扱いとし、次レコードを読み込む。
【0085】
座標位置(横順位)未設定データがなくなるまで、前述処理を繰り返す(ステップS705)。
【0086】
以下、図8A、図8B、図8C、図8D、図8Eを用いて、座標位置(縦順位)設定処理について説明する。
【0087】
ステップS801では、TOPジョブでかつ後続ジョブがないジョブに対して、縦順位を設定する。
【0088】
ステップS802およびステップS803では、TOPジョブでかつ後続ジョブがあるジョブに対して、縦順位を設定する(縦順位30加算)。
【0089】
ステップS804、ステップS805およびステップS806では、TOPジョブでないジョブに対して、縦順位を設定する。
【0090】
先行ジョブとの階層差が1(横順位が1列離れている)の場合、先行ジョブの縦順位を設定する(ステップS804)。
【0091】
同一の縦順位および横順位が設定されているジョブが存在する場合は、縦順位に1を加算した値を縦順位として再設定し(ステップS805)、同一の順位が設定されているジョブがなくなるまで、縦順位再設定処理を繰り返す(ステップS806)。
【0092】
ステップS807では、先行ジョブが複数存在し、異なる縦順位が設定されている場合、各先行ジョブの縦順位の最大値を採用し、縦順位を再設定する。また、先行ジョブの横順位が2列以上離れている場合、縦順位に1を加算した値を縦順位として再設定する。先行ジョブの縦順位が設定されていない場合は、保留扱いとし、次レコードを読み込む。
【0093】
ステップS808では、ジョブ依存関係の線引きを行った際、コネクタ部分と重なる場合、縦順位に1を加算した値を縦順位として再設定する。
【0094】
座標位置(縦順位)未設定データがなくなるまで、前述処理を繰り返す(ステップS809)。
【0095】
以上、説明したように、本実施形態によれば、登録されたジョブの実行種別(例えば、実行時間の有無)に従って、ジョブネット図を作成することで、ジョブの実行関係を容易に識別できる。
【0096】
また、Officeなどの一般的なアプリケーションでジョブネット図を表示する場合に、通常アプリケーションの標準機能である図形を使った場合に、階層構造が複雑になることにより見えづらくなる。そこで、単に登録されたスケジュール情報を階層化表示するのではなく、階層の深さをみて、表示順を決定(座標位置を決定)し、図形を配置して階層表示することで、Officeなどの一般的なアプリケーションでもジョブの実行関係を容易に識別できるようになる。
【0097】
また、起動時刻指定の有無を判定して、起動時刻指定があるジョブと、起動時刻指定がないジョブの出力位置を変更し、色を変えて表示することにより、一般的なアプリケーションでジョブネット図を作成した際に見づらくなってしまうことを解消する。
【0098】
このように、上記実施形態は、装置で実行するプログラムであるジョブの実行関係を示すジョブネットを表示するジョブネット表示システムであって、ジョブごとに、ジョブの実行時間、当該ジョブに先行して実行される先行ジョブ識別情報、表示位置を含む実行情報を記憶するジョブ実行情報記憶手段と、前記ジョブ実行情報記憶手段から実行情報を取得する実行情報取得手段と、前記実行情報記憶手段に記憶されている先行ジョブ識別情報に従って、各ジョブの表示位置を決定する表示位置決定手段と、前記実行情報にジョブの実行時間が定義されているか否かを判定する実行時間判定手段と、前記実行時間判定手段で実行時間が定義されているか否かに従って、実行時間があるジョブと実行時間がないジョブと識別表示するように、前記表示位置決定手段で決定した表示位置に従って、再度表示位置を決定する再決定手段と、前記表示位置決定手段と前記再決定手段で決定した表示位置に従って、ジョブに対応するオブジェクトを配置表示する表示手段とを備えることを特徴とする。
【0099】
また、前記表示手段は、ジョブに起動時間が定義されているか否かを判定し、起動時間が定義されている場合には、異なる色に設定したオブジェクトで配置表示することを特徴とする。
【0100】
また、前記表示手段は、配置するオブジェクトに対応するジョブの実行情報に、先行ジョブ識別情報があるか否かを判定し、先行ジョブ識別情報があると判定された場合には、先行ジョブ識別情報に対応するジョブのオブジェクトから、配置するオブジェクトとつながるように線分を配置表示することを特徴とする。
【0101】
また、前記表示位置決定手段は、ジョブの横の表示位置とジョブの縦の表示位置を決定し、前記縦の表示位置の決定は、前記再決定手段で横の表示位置を決定した後に決定することを特徴とするシステムである。
【0102】
なお、上述した各種データの構成及びその内容はこれに限定されるものではなく、用途や目的に応じて、様々な構成や内容で構成されることは言うまでもない。
【0103】
例えば、本実施形態では、クライアント端末とスケジュール登録サーバを分けて処理を説明したが、クライアント端末又はスケジュール登録サーバの各装置だけで処理を実行することも可能である。つまり、ジョブネット図を表示する表示システムとすることも可能である。
【0104】
以上、一実施形態について示したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記録媒体等としての実施態様をとることが可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0105】
また、本発明におけるプログラムは、図7〜図8に示すフローチャートの処理方法をコンピュータが実行可能なプログラムであり、本発明の記憶媒体は図7〜図8の処理方法をコンピュータが実行可能なプログラムが記憶されている。なお、本発明におけるプログラムは図7〜図8の各装置の処理方法ごとのプログラムであってもよい。
【0106】
以上のように、前述した実施形態の機能を実現するプログラムを記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に格納されたプログラムを読出し実行することによっても、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
【0107】
この場合、記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムを記憶した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0108】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、DVD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、EEPROM、シリコンディスク、ソリッドステートドライブ等を用いることができる。
【0109】
また、コンピュータが読み出したプログラムを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0110】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0111】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。また、本発明は、システムあるいは装置にプログラムを供給することによって達成される場合にも適応できることは言うまでもない。この場合、本発明を達成するためのプログラムを格納した記録媒体を該システムあるいは装置に読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。
【0112】
さらに、本発明を達成するためのプログラムをネットワーク上のサーバ、データベース等から通信プログラムによりダウンロードして読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。
【0113】
なお、上述した各実施形態およびその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0114】
101 クライアント端末
102 クライアント端末
103 スケジュール登録サーバ
201 CPU
202 ROM
203 RAM
211 外部メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置で実行するプログラムであるジョブの実行関係を示すジョブネットを表示するジョブネット表示システムであって、
ジョブごとに、ジョブの実行時間、当該ジョブに先行して実行されるジョブの先行ジョブ識別情報を含む実行情報を記憶するジョブ実行情報記憶手段と、
前記ジョブ実行情報記憶手段から実行情報を取得する実行情報取得手段と、
前記実行情報取得手段で取得した実行情報の先行ジョブ識別情報に従って、各ジョブの表示位置を決定する表示位置決定手段と、
前記実行情報にジョブの実行時間が定義されているか否かを判定する実行時間判定手段と、
実行時間があるジョブと実行時間がないジョブとを識別表示するように、前記実行時間判定手段で実行時間が定義されているか否かに従って、前記表示位置決定手段で決定した表示位置に基づき再度表示位置を決定する再決定手段と、
前記表示位置決定手段と前記再決定手段で決定した表示位置に従って、ジョブに対応するオブジェクトを配置表示する表示手段と
を備えることを特徴とするジョブネット表示システム。
【請求項2】
前記表示手段は、起動時間が定義されている場合には、異なる色に設定したオブジェクトで配置表示することを特徴とする請求項1に記載のジョブネット表示システム。
【請求項3】
前記表示手段は、配置するオブジェクトに対応するジョブの実行情報に、先行ジョブ識別情報があるか否かを判定し、先行ジョブ識別情報があると判定された場合には、先行ジョブ識別情報に対応するジョブのオブジェクトと、配置するオブジェクトとがつながるように線分を配置表示することを特徴とする請求項1又は2に記載のジョブネット表示すステム。
【請求項4】
前記表示位置決定手段は、ジョブの横の表示位置とジョブの縦の表示位置を決定し、
前記縦の表示位置の決定は、前記再決定手段で横の表示位置を決定した後に決定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のジョブネット表示システム。
【請求項5】
前記表示位置はオブジェクトを配置するための座標値であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のジョブネット表示システム。
【請求項6】
装置で実行するプログラムであるジョブの実行関係を示すジョブネットを表示するジョブネット表示システムの処理方法であって、
前記ジョブネット表示システムが、
ジョブごとに、ジョブの実行時間、当該ジョブに先行して実行される先行ジョブ識別情報、表示位置を含む実行情報を記憶するジョブ実行情報記憶ステップと、
前記ジョブ実行情報記憶ステップから実行情報を取得する実行情報取得ステップと、
前記実行情報取得ステップで取得した実行情報の先行ジョブ識別情報に従って、各ジョブの表示位置を決定する表示位置決定ステップと、
前記実行情報にジョブの実行時間が定義されているか否かを判定する実行時間判定ステップと、
実行時間があるジョブと実行時間がないジョブと識別表示するように、前記実行時間判定ステップで実行時間が定義されているか否かに従って、前記表示位置決定ステップで決定した表示位置に基づき、再度表示位置を決定する再決定ステップと、
前記表示位置決定ステップと前記再決定ステップで決定した表示位置に従って、ジョブに対応するオブジェクトを配置表示する表示ステップと
を実行することを特徴とする処理方法。
【請求項7】
装置で実行するプログラムであるジョブの実行関係を示すジョブネットを表示するジョブネット表示システムで実行可能なプログラムであって、
前記ジョブネット表示システムを、
ジョブごとに、ジョブの実行時間、当該ジョブに先行して実行されるジョブの先行ジョブ識別情報を含む実行情報を記憶するジョブ実行情報記憶手段と、
前記ジョブ実行情報記憶手段から実行情報を取得する実行情報取得手段と、
前記実行情報取得手段で取得した実行情報の先行ジョブ識別情報に従って、各ジョブの表示位置を決定する表示位置決定手段と、
前記実行情報にジョブの実行時間が定義されているか否かを判定する実行時間判定手段と、
実行時間があるジョブと実行時間がないジョブとを識別表示するように、前記実行時間判定手段で実行時間が定義されているか否かに従って、前記表示位置決定手段で決定した表示位置に基づき再度表示位置を決定する再決定手段と、
前記表示位置決定手段と前記再決定手段で決定した表示位置に従って、ジョブに対応するオブジェクトを配置表示する表示手段と
して機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図7C】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図8C】
image rotate

【図8D】
image rotate

【図8E】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2013−97726(P2013−97726A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242593(P2011−242593)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(390002761)キヤノンマーケティングジャパン株式会社 (656)
【出願人】(312000206)キヤノンMJアイティグループホールディングス株式会社 (259)
【出願人】(592135203)キヤノンITソリューションズ株式会社 (528)
【Fターム(参考)】