説明

ジョブ実行管理方法、ジョブ実行管理システム及びジョブ実行管理プログラム

【課題】実際の処理状況に応じてより効率よくジョブを実行することができるジョブ実行管理方法、ジョブ実行管理システム及びジョブ実行管理プログラムを提供する。
【解決手段】ジョブ実行条件データ記憶部22にはジョブの実行開始条件に関するデータが記録され、ジョブ完了情報データ記憶部23にはジョブの完了情報対象データ及び状態データが記録される。ファイルデータ記憶部25には、ジョブで用いるデータやジョブで生成されたファイルデータが記録される。管理コンピュータ20は、ファイルのステータスを監視し、実行可能となったジョブがある場合には、最遅処理開始時刻に基づいてジョブを選択し、ジョブの実行を指示する。ジョブの処理が完了すると、このジョブにおいて生成されたファイルをファイルデータ記憶部25に記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、効率的にジョブを行なうことのできるジョブ実行管理方法、ジョブ実行管理システム及びジョブ実行管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のジョブを一度に処理する場合、ジョブネット(ジョブ実行順番の定義)を設計することが行なわれている。予め設計したジョブネットに基づいてジョブを順序よく行なうことで、ジョブ処理時間を短くすることが期待できる。
【0003】
このジョブネットの設計においては、ジョブが実行できる条件が揃うタイミング、ジョブの終了時限、リソース(テープ装置やCPUなど)の競合状態などを考慮した上で、ジョブの順番が決定される。従って、ジョブネットの設計は、考慮すべき事項が多岐にわたりかつ複雑である。このため、処理するジョブの量に応じて多くの労力が必要となる。
【0004】
また、ジョブネットの設計が完了した後に、ジョブの追加、変更、廃止などが生じると、新たにジョブネットを設計し直さなければならない。従って、ジョブの追加、変更、廃止が生じた場合に、それに対して迅速に対応することが難しい。
【0005】
更に、実際にジョブを実行する場合には、状況によっては、設計した順番が最適とはならない場合がある。具体的には、図7を用いて説明する。図7に示すように、ここでは、「ジョブ1」、「ジョブ2」、「ジョブ3」及び「ジョブ4」の順番で実行順が定義されたとする。「ジョブ1」はファイルAを用いてファイルBを出力する。「ジョブ2」はファイルCを用いてファイルDを出力する。「ジョブ3」はファイルBとファイルDを用いてファイルEを出力する。「ジョブ4」はファイルBを用いてファイルFを出力する。また、ジョブを実行するコンピュータは、2つのジョブを並行処理できるものとする。従って、まず、「ジョブ1」及び「ジョブ2」の処理が並行して行なわれる。しかし、「ジョブ1」の処理が完了したが、「ジョブ2」に障害が生じ処理に遅れが生じた場合には、「ジョブ3」に用いるファイルDが作成されないため、「ジョブ3」の処理は実行されない。一方、ファイルBが完成しているので「ジョブ4」の処理が可能であるが、「ジョブ3」が開始されないため、「ジョブ4」は実行されない。この場合には、ジョブが稼動できる状況であっても、他のジョブを行なうことができず、システムリソースを有効活用できていない。従って、実際には、効率よくジョブを処理できるとは限らない。
【0006】
また、設計した時点では予想できなかったリソースの競合による不具合が発生することもあった。
従って、ジョブネットを設計してジョブを実行する場合には、設計したジョブネットで実際に試行して検証してから、実際にジョブを実施することが一般的であった(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
特許文献1に記載のセンターバッチ自動運転方式では、日々のジョブの実行実績を蓄積する。このため、センターバッチ自動運転方式では、新たなスケジュール生成時に前回のジョブ実行結果を反映させることができるので、スケジューリングの容易化、ミス、前回の不正結果等に対して、早期対応することができるとしている。
【特許文献1】特開平7−175668号公報(図9〜図11)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、従来のジョブネットを設計する場合には、短期間に多量のジョブを行なう大規模なシステムについては、設計自体が大変である。また、設計したジョブネットに基づいて処理を行なっている場合に障害が生じると、臨機応変な対応がすることができないという問題があった。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、実際の処理状況に応じてより効率よくジョブを実行することができるジョブ実行管理方法、ジョブ実行管理システム及びジョブ実行管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、ジョブ毎に、実行に必要な入力ファイルの入力ファイル識別子と、実行により生成される出力ファイルの出力ファイル識別子と、実行優先度とを関連付けて記録したジョブ管理データ記憶手段と、ファイル識別子が付与されたファイルを記録するファイルデータ記憶手段と、各データ記憶手段を管理する管理コンピュータとを用いたジョブ実行管理システムを用いて、ジョブの実行管理を行なう方法であって、前記管理コンピュータが、前記ファイルデータ記憶手段に新たに記録されたファイルのファイル識別子を特定するファイル特定段階と、前記特定したファイル識別子が入力ファイル識別子として前記ジョブ管理データ記憶手段に記録されたジョブを検索し、実行可能なジョブを特定するジョブ検索段階と、実行可能なジョブが複数ある場合には、そのジョブの実行優先度に基づいてジョブを選択して実行を指示する実行指示段階と、前記ジョブの実行完了により生成されたファイルに、出力ファイル識別子を付与して前記ファイルデータ記憶手段に記録するファイル記録段階とを実行することを要旨とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のジョブ実行管理方法において、前記実行優先度は、遅くともジョブを開始させるべき最遅処理開始時刻であることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のジョブ実行管理方法において、前記ジョブ実行管理システムは、ジョブ毎に、処理に要した実績時間に基づいて算出した予測処理時間に関するデータを記録する予測処理時間データ記憶手段と、遅くともジョブを完了させるべき最遅完了時刻を記録した最遅完了時刻データ記憶手段とを更に備え、前記管理コンピュータが、ジョブ毎に、前記ジョブの最遅完了時刻と、前記予測処理時間データ記憶手段に記録された予測処理時間に関するデータとに基づいて最遅処理開始時刻を算出し、この最遅処理開始時刻を実行優先度として前記ジョブ管理データ記憶手段に記録する最遅処理開始時刻記録段階を更に実行することを要旨とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のジョブ実行管理方法において、前記実行指示段階は、前記ジョブ管理データ記憶手段に記録された入力ファイル識別子と出力ファイル識別子とを用いて関連付けられるジョブの連鎖を特定し、前記連鎖の中に最遅完了時刻が設定されたジョブを検出した場合には、前記連鎖を構成するジョブの予測処理時間を取得して総計し、この総計値を前記最遅完了時刻から差し引いて最遅処理開始時刻を算出することを要旨とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1つに記載のジョブ実行管理方法において、前記実行指示段階は、前記ジョブを行なうリソースの状況に基づいて前記実行の指示を行なうことを要旨とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、ジョブ毎に、実行に必要な入力ファイルの入力ファイル識別子と、実行により生成される出力ファイルの出力ファイル識別子と、実行優先度とを関連付けて記録したジョブ管理データ記憶手段と、ファイル識別子が付与されたファイルを記
録するファイルデータ記憶手段と、各データ記憶手段を管理する管理コンピュータとを用いてジョブの実行管理を行なうジョブ実行管理システムであって、前記管理コンピュータが、前記ファイルデータ記憶手段に新たに記録されたファイルのファイル識別子を特定するファイル特定手段と、前記特定したファイル識別子が入力ファイル識別子として前記ジョブ管理データ記憶手段に記録されたジョブを検索し、実行可能なジョブを特定するジョブ検索手段と、実行可能なジョブが複数ある場合には、そのジョブの実行優先度に基づいてジョブを選択して実行を指示する実行指示手段と、前記ジョブの実行完了により生成されたファイルに、出力ファイル識別子を付与して前記ファイルデータ記憶手段に記録するファイル記録手段とを備えることを要旨とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のジョブ実行管理システムにおいて、前記実行優先度は、遅くともジョブを開始させるべき最遅処理開始時刻であることを要旨とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のジョブ実行管理システムにおいて、前記ジョブ実行管理システムは、ジョブ毎に、処理に要した実績時間に基づいて算出した予測処理時間に関するデータを記録する予測処理時間データ記憶手段と、遅くともジョブを完了させるべき最遅完了時刻を記録した最遅完了時刻データ記憶手段とを更に備え、前記管理コンピュータが、ジョブ毎に、前記ジョブの最遅完了時刻と、前記予測処理時間データ記憶手段に記録された予測処理時間に関するデータとに基づいて最遅処理開始時刻を算出し、この最遅処理開始時刻を実行優先度として前記ジョブ管理データ記憶手段に記録する最遅処理開始時刻記録手段を更に実行することを要旨とする。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のジョブ実行管理システムにおいて、前記実行指示手段は、前記ジョブ管理データ記憶手段に記録された入力ファイル識別子と出力ファイル識別子とを用いて関連付けられるジョブの連鎖を特定し、前記連鎖の中に最遅完了時刻が設定されたジョブを検出した場合には、前記連鎖を構成するジョブの予測処理時間を取得して総計し、この総計値を前記最遅完了時刻から差し引いて最遅処理開始時刻を算出することを要旨とする。
【0018】
請求項10に記載の発明は、請求項6〜9のいずれか1つに記載のジョブ実行管理システムにおいて、前記実行指示手段は、前記ジョブプログラムを行なうリソースの状況に基づいて前記実行の指示を行なうことを要旨とする。
【0019】
請求項11に記載の発明は、ジョブ毎に、実行に必要な入力ファイルの入力ファイル識別子と、実行により生成される出力ファイルの出力ファイル識別子と、実行優先度とを関連付けて記録したジョブ管理データ記憶手段と、ファイル識別子が付与されたファイルを記録するファイルデータ記憶手段と、各データ記憶手段を管理する管理コンピュータとを用いたジョブ実行管理システムを用いて、ジョブの実行管理を行なうプログラムであって、前記管理コンピュータを、前記ファイルデータ記憶手段に新たに記録されたファイルのファイル識別子を特定するファイル特定手段と、前記特定したファイル識別子が入力ファイル識別子として前記ジョブ管理データ記憶手段に記録されたジョブを検索し、実行可能なジョブを特定するジョブ検索手段と、実行可能なジョブが複数ある場合には、そのジョブの実行優先度に基づいてジョブを選択して実行を指示する実行指示手段と、前記ジョブの実行完了により生成されたファイルに、出力ファイル識別子を付与して前記ファイルデータ記憶手段に記録するファイル記録手段として機能させることを要旨とする。
【0020】
(作用)
請求項1、6又は11に記載の発明によれば、管理コンピュータは、ジョブプログラムが完了してファイルが生成されると、このファイルを入力ファイルとするジョブを検出し
、このジョブが実行可能となったかを監視する。管理コンピュータは、実行したジョブによりファイルが生成されると、上述した処理を管理コンピュータが繰り返す。このため、管理コンピュータは、ジョブを実行するためのファイルの有無に基づいて、自動的に次の実行できるジョブを決定する。従って、予めジョブを行なう順番(ジョブネット)を決定しなくても、効率よくジョブの処理を行なうことができる。また、管理コンピュータは、実行するために必要なファイルから次に実行するジョブを選択するため、1つのジョブの処理に遅れが生じても、ジョブの実際の処理状況に応じて効率よく処理を行なうことができる。また、実行可能となったジョブが複数ある場合には、実行優先度に基づいて実行するジョブを選択するので、優先度に応じて、より適切なジョブを選択することができる。更に、ジョブの追加、変更又は廃止を行なう場合にも、ジョブネットを考慮する必要がないので、追加、変更又は廃止が容易である。
【0021】
請求項2又は7に記載の発明によれば、ジョブの最遅処理開始時刻に基づいて実行するジョブが選択されるので、早く処理を行なわなければならないジョブを優先的に実行することができる。最遅処理開始時刻を算出するタイミングとして、ジョブを選択する都度に行なうことにより、状況に応じて適切なジョブを選択することができる。
【0022】
請求項3又は8に記載の発明によれば、実績に基づいて算出された予測処理時間により、最遅処理開始時刻を算出するので、より信頼性の高い最遅処理開始時刻に基づいて実行するジョブを選択することができる。
【0023】
請求項4又は9に記載の発明によれば、相互のジョブの連鎖を考慮して最遅処理開始時刻を算出するので、後続のジョブの最遅完了時刻を考慮してジョブを選択することができる。
【0024】
請求項5又は10に記載の発明によれば、リソースの状況に応じてジョブを並行処理できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、実際の処理状況に応じて、より効率的にジョブを実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を具体化した一実施形態を、図1〜図6に従って説明する。
本実施形態においてジョブを行なう管理コンピュータ20は、図示しない制御手段(CPU)、記憶手段(RAM、ROM、ハードディスク等)、通信手段等を有する。この管理コンピュータ20は、後述する処理(ファイル特定段階、ジョブ検索段階、実行指示段階、ファイル記録段階、及び最遅処理開始時刻記録段階等を含む処理)を行なう。そして、このためのジョブ実行管理プログラムを実行することにより、管理コンピュータ20は、ファイル特定手段、ジョブ検索手段、実行指示手段、ファイル記録手段、及び最遅処理開始時刻記録手段等として機能する。
【0027】
管理コンピュータ20は、ジョブ実行情報データ記憶部21、ジョブ実行条件データ記憶部22、最遅完了時刻データ記憶手段としてのジョブ完了情報データ記憶部23及び図示しない処理時間データ記憶部に接続されている。なお、本実施形態では、ジョブ実行情報データ記憶部21、ジョブ実行条件データ記憶部22及びジョブ完了情報データ記憶部23が、ジョブ管理データ記憶手段を構成する。また、管理コンピュータ20は、並行して実行できるジョブの最大数(最大同時処理数)や、同時にデータの出力が可能なテープ処理可能数に関するデータを記憶している。なお、最大同時処理数はCPUやメモリのリソースに依存し、テープ処理可能数はテープ装置の数等のリソースに依存する。
【0028】
ジョブ実行情報データ記憶部21には、ジョブの実行状況等に関するジョブ実行情報データ210が記録される。このジョブ実行情報データ210には、図2に示すように、ジョブを行なう前に予め設定される登録情報データと、実行時に自動的に設定されて使用される制御情報データとが含まれる。
【0029】
登録情報データは、ジョブ名、実行サイクル及び予想処理時間に関するデータを含む。
ジョブ名データ領域には、ジョブを特定するためにジョブに付された名称に関するデータが記録される。このジョブ名を用いることにより、ジョブ制御言語で記載され、ジョブ記憶部(図示せず)に格納されたジョブを特定することができる。
【0030】
実行サイクルデータ領域には、ジョブの実行サイクルに関するデータが記録される。予想処理時間データ領域には、ジョブを処理するために必要な予想時間に関するデータが記録される。
【0031】
制御情報データには、最遅処理開始時刻、平均処理実績時間及び状態に関するデータが含まれる。
最遅処理開始時刻データ領域には、そのジョブの処理を開始する期限に関するデータが記録される。この最遅処理開始時刻は、後述するようにジョブ実行情報の平均処理実績時間と、ジョブ実行条件とジョブ完了情報とから、最遅完了時刻以内に終了するために算出されるジョブ開始時刻である。ただし、このジョブがまだ1回も実行されていない場合には、最遅処理開始時刻は、ジョブ実行情報データ210に登録された予想処理時間と、ジョブ実行条件とジョブ完了情報とから算出される。
【0032】
平均処理実績時間データ領域には、そのジョブの処理を実際に実行したときに要した平均時間に関するデータが記録される。
状態データ領域には、そのジョブの現在の状態に関するデータが記録される。この状態データは、初期状態では「実行条件待ち」を示すデータとなっており、実行条件が揃った時点で「実行待ち」を示すデータとなる。また、ジョブ実行中は「実行中」を示すデータ、完了時には「完了」を示すデータとなる。なお、この状態データは、ジョブの実行条件が揃ったとき、ジョブが実行されたとき又はジョブが完了されたときに、管理コンピュータ20により変更される。
【0033】
ジョブ実行条件データ記憶部22には、図3に示すようにジョブの実行開始を制御するための条件に関するジョブ実行条件データ220が記録される。このジョブ実行条件データ220は、ジョブを行なう前に予め設定されて登録される。このジョブ実行条件データ220には、各ジョブのジョブ名、実行条件種類及び実行条件対象に関するデータが含まれる。
【0034】
ジョブ名データ領域には、ジョブを特定するためにジョブに付された名称に関するデータが記録される。
実行条件種類データ領域には、ジョブの実行条件の種類を特定するためのデータが記録されている。このデータには、「ファイル」、「メッセージ」や「時刻」を示すデータなどがある。
【0035】
実行条件対象データ領域には、ジョブの実行条件の内容を特定するためのデータが記録されている。具体的には、実行条件種類が「ファイル」や「メッセージ」の場合には実行条件となるファイル名やメッセージ名が記録され、実行条件種類が「時刻」の場合には開始時刻が記録される。なお、本実施形態では、この実行条件対象データ領域に記録されたファイル名が入力ファイルのファイル識別子に相当する。
【0036】
ジョブ完了情報データ記憶部23には、図4に示すようにジョブの出力に関するジョブ完了情報データ230が記憶される。このジョブ完了情報データ230は、各ジョブが完了すると出力データとして記憶されるファイルと、このファイル以外の情報(例えばメッセージ等)でジョブの完了条件となっているデータが記録される。このジョブ完了情報データ230には、ジョブを行なう前に予め設定される登録情報データと、処理が完了すると自動的に更新される制御情報データとが含まれる。
【0037】
登録情報データには、ジョブ名、完了情報種類、完了情報対象及び最遅完了時刻に関するデータが含まれる。
ジョブ名データ領域には、ジョブを特定するためにジョブに付された名称に関するデータが記録される。
【0038】
完了情報種類データ領域には、このジョブが完了したときに作成される情報の種類に関するデータが記録される。
完了情報対象データ領域には、このジョブが完了したときに作成される完了情報対象に付与される識別子に関するデータが記録される。本実施形態では、この識別子として、出力データの名称(例えば、ファイルを生成する場合には、生成したファイルのファイル名)が設定される。なお、本実施形態では、この完了情報対象データ領域に記録されたファイル名が、出力ファイルのファイル識別子に相当する。
【0039】
最遅完了時刻データ領域には、このジョブを完了すべき時限に関するデータが記録される。
制御情報データには、ジョブの状態データが含まれる。状態データ記憶領域には、ジョブの出力データとしての完了情報の状態データが記録される。本実施形態では、状態データとして「完了」又は「未完了」のデータが記録される。なお、常時存在する固定ファイルについては、初期段階で作成済みであるため、常に「完了」の状態データが記録されている。
【0040】
一方、処理時間データ記憶部には、ジョブを処理するために実際に要した実績時間に関するデータが、そのジョブと関連付けて記録される。この実績時間データはジョブが完了する度に、処理時間データ記憶部に記録される。
【0041】
更に、図1に示すように、管理コンピュータ20は、ファイルデータ記憶手段としてのファイルデータ記憶部25とデータの送受信を行なう。このファイルデータ記憶部25には、ジョブを実行するために用いられるファイルデータが記録される。このファイルデータ記憶部25には、ジョブを実行するために予め準備されて格納されたファイルデータや、管理コンピュータ20が実行したジョブにより新たに生成されたファイルデータが記録される。このファイルデータ記憶部25は、入力システム30とデータの送受信を行ない、入力システム30を介してファイルデータを取得する。また、ファイルデータ記憶部25は、出力システム40とデータの送受信を行ない、出力システム40を介してデータを出力する。
【0042】
入力システム30は、ジョブの実行に必要なデータを提供するシステムである。出力システム40は、ジョブの実行により生成されたデータを出力するシステムである。本実施形態では、管理コンピュータ20が処理を実行しファイルデータ記憶部25に記憶したデータが出力される。
【0043】
以上のように構成されたジョブ実行管理システムにおけるジョブ実行処理の処理手順を以下に説明する。本実施形態では、ジョブ実行管理処理及びジョブ実行処理の順番に説明
する。ここで、ジョブ実行管理処理は、実行するジョブを管理するための処理である。ジョブ実行処理は、ジョブの実行時に行なわれる処理である。
【0044】
(ジョブ実行管理処理)
まず、ジョブ実行管理処理について説明する。
管理コンピュータ20は、ジョブに関連するファイルのステータスを監視している(ステップS1−1)。具体的には、管理コンピュータ20は、ジョブ完了情報データ230の状態データが「完了」となったジョブにより生成されてファイルデータ記憶部25に新たに記憶されたファイルの有無や、入力システム30から入力されてファイルデータ記憶部25に新たに記憶されたファイルデータの有無など、ファイル等の登録状況を検出する。
【0045】
そして、管理コンピュータ20は、ステータスを監視することにより、実行条件を満たすか否かを判断する(ステップS1−2)。具体的には、ジョブ完了情報データ記憶部23において「未完了」となっているジョブであって、ジョブ実行条件データ記憶部22に記録されたジョブ実行条件データ220において、実行条件対象を満たすジョブを検索する。
【0046】
ここで、実行条件を満たすジョブがある場合(ステップS1−2において「YES」の場合)には、管理コンピュータ20は、そのジョブのジョブ実行情報データ210の状態データを「実行待ち」を示すデータに変更する(ステップS1−3)。
【0047】
次に、管理コンピュータ20は、最遅処理開始時刻の計算を行なう(ステップS1−4)。具体的には、管理コンピュータ20は、このジョブの完了情報対象を用いて実行可能なジョブを特定する。ここでは、ジョブ実行条件データ記憶部22から、このジョブの完了情報対象を実行条件対象として記録されたジョブ実行条件データ220を抽出する。これにより、実行可能なジョブを特定する。
【0048】
次に、特定したジョブに関するジョブ完了情報データ230をジョブ完了情報データ記憶部23から抽出し、このジョブの完了情報対象を特定する。
更に、特定したジョブの完了情報対象を用いて実行可能なジョブを、ジョブ実行条件データ記憶部22に記録されたジョブ実行条件データ220を用いて特定する。このように、完了情報対象と、この完了情報対象によって実行可能なジョブの連鎖を、順次、特定していく。
【0049】
そして、管理コンピュータ20は、ジョブ完了情報データ記憶部23に記録されたジョブ完了情報データ230を用いて、この連鎖したジョブの中に最遅完了時刻が設定されているジョブがあるかどうかを判定する。最遅完了時刻が設定されているジョブがある場合には、このジョブに至るまでに連鎖した各ジョブの平均処理実績時間をジョブ実行情報データ記憶部21から抽出する。
【0050】
次に、管理コンピュータ20は、各ジョブの平均処理実績時間を総和し、特定した最遅完了時刻から逆算することにより最遅処理開始時刻を算出する。そして、管理コンピュータ20は、算出した最遅処理開始時刻をジョブ実行情報データ記憶部21に記録する。
【0051】
次に、管理コンピュータ20は、最遅処理開始時刻に基づいてジョブを選択する(ステップS1−5)。具体的には、管理コンピュータ20は、ジョブ実行情報データ210の状態データが「実行待ち」となっているジョブを実行候補として抽出する。そして、この実行候補の中で、ジョブ実行情報データ210の最遅処理開始時刻が最も早いジョブを選択する。
【0052】
この場合、管理コンピュータ20は、ジョブの実行のために、システムのリソースが許容量以下かどうかを判断する。このリソースには、例えばテープ出力能力がある。選択したジョブにおいてテープ出力を行なう場合、現在処理中のテープ処理数にジョブの実行を加算した値が、最大テープ処理数より少ない場合には、最大テープ出力数の許容量以下であり、ジョブの実行が可能である。
【0053】
このように、リソースの許容量以下の場合には、管理コンピュータ20はそのジョブの実行を指示する(ステップS1−6)。これにより、後述するジョブ実行処理が行なわれる。
【0054】
一方、選択したジョブの実行においてリソースの許容量を越えている場合には、管理コンピュータ20は、他に「実行待ち」のジョブがあるか否かを判断する。ここで、実行待ちジョブが他にある場合には、管理コンピュータ20は、最遅処理開始時刻が次に早いジョブを選択する。
【0055】
そして、他に「実行待ち」のジョブがない場合には、管理コンピュータ20は、ステップS1−1に戻って、ステータスの監視を行なう。
なお、管理コンピュータ20は、予定されていた全ジョブのジョブ完了情報データ230の状態データが「完了」となった場合には、出力システム40に、その日に行なったジョブの結果を出力する。ここで、管理コンピュータ20は、ジョブがその日に行なわれるか否かは、ジョブ実行情報データ210の実行サイクルデータに基づいて判断する。
【0056】
(ジョブ実行処理)
次に、ジョブの実行を指示したときに行なわれるジョブ実行処理について、図6を参照して説明する。
【0057】
ジョブの実行が指示された場合(ステップS1−6)、管理コンピュータ20は、実行が指示されたジョブのジョブ実行情報データ210の状態データを「実行待ち」から「実行中」に変更する(ステップS2−1)。
【0058】
次に、管理コンピュータ20は、ファイルデータ記憶部25に記録されたデータを用いてジョブの処理を実行する(ステップS2−2)。ここでは、ジョブ記憶部に格納されたジョブの中で、ジョブ名において特定されるジョブステップを実行する。
【0059】
その後、管理コンピュータ20はジョブ完了出力を行なう(ステップS2−3)。具体的には、管理コンピュータ20は、ジョブ処理で生成されたファイルデータやメッセージデータに、ジョブ完了情報データ230に登録された完了情報対象の識別子を付与し、これをファイルデータ記憶部25に記録する。
【0060】
次に、管理コンピュータ20は、そのジョブの状態ステータスデータを「完了」に変更する(ステップS2−4)。具体的には、管理コンピュータ20は、そのジョブのジョブ実行情報データ210の状態データを「実行中」から「完了」に変更する。更に、管理コンピュータ20は、そのジョブのジョブ完了情報データ230の状態データを「未完了」から「完了」に変更する。従って、ステップS1−1において、ファイルのステータスを監視している管理コンピュータ20は、ジョブ完了情報データ230の状態データが「完了」になったジョブにより生成されたファイルがあるため、上述したジョブ実行管理処理のステップS1−2以降の処理を行なうことになる。
【0061】
そして、管理コンピュータ20は、そのジョブの平均処理実績時間を記録する(ステッ
プS2−5)。具体的には、管理コンピュータ20は、処理が完了したジョブの今回の処理時間(実績時間)を処理時間データ記憶部に記録する。
【0062】
そして、管理コンピュータ20は、その処理時間データ記憶部にこれまで記録している実績時間データから、実績時間の平均を算出し、これをジョブ実行情報データ210の平均処理実績時間データとして記録する。以上により、ジョブ実行処理が完了する。
【0063】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
・ 本実施形態では、ジョブ実行条件データ記憶部22には、ジョブの実行開始を制御するための条件に関するジョブ実行条件データ220が記録される。そして、管理コンピュータ20は、ファイルデータ記憶部25において、ジョブに関連するファイルのステータスを監視している(ステップS1−1)。そして、実行条件を満たすジョブがある場合(ステップS1−2において「YES」の場合)には、管理コンピュータ20は、システムのリソースが許容量以下かどうかを判断し、そのジョブの実行を指示する(ステップS1−6)。このため、予めジョブを行なう順番を決定しなくても、効率よくジョブの処理を行なうことができる。また、障害が発生してジョブの処理が予定より遅れた場合であっても、ジョブに用いるファイルの有無から実行可能な他のジョブがある場合にはこれを実行することができるため、ジョブの実際の処理状況に応じて効率よく処理を行なうことができる。また、ジョブの追加、変更又は廃止を行なう場合にも、ジョブネットを考慮する必要がないため、効率的にジョブを実行することができる。
【0064】
・ 本実施形態では、管理コンピュータ20は、最遅処理開始時刻に基づいてジョブを選択する(ステップS1−5)。具体的には、管理コンピュータ20は、ジョブ実行情報データ210の状態データが「実行待ち」となっているジョブを実行候補として抽出する。そして、この実行候補の中で、ジョブ実行情報データ210の最遅処理開始時刻が最も早いジョブを選択する。この最遅処理開始時刻は、最遅完了時刻と平均処理実績時間とに基づいて算出される。具体的には、最遅完了時刻が設定されているジョブについて、このジョブに至るまでに連鎖した各ジョブの平均処理実績時間をジョブ実行情報データ記憶部21から抽出する。そして、管理コンピュータ20は、各ジョブの平均処理実績時間を総和し、特定した最遅完了時刻から逆算することにより最遅処理開始時刻を算出する。このため、複数のジョブが競合する場合、完了時刻を考慮して優先度を決めることができる。
【0065】
・ 本実施形態では、管理コンピュータ20は、実行条件を満たすジョブがある場合(ステップS1−2において「YES」の場合)、管理コンピュータ20は、ジョブの実行のために、システムのリソースが許容量以下かどうかを判断する(ステップS1−5)。このリソースには、同時処理能力やテープ出力能力がある。このため、ジョブネットを設計してジョブ管理を行なう場合と異なり、ジョブを実行する管理コンピュータ20のCPUやメモリ、テープ装置などのリソースを考慮して、効率よくジョブを実行することができる。すなわち、従来は、管理コンピュータ20のリソースが変更されると、それに伴ってジョブの実行を効率よく行なうためのジョブネットを再設計することが必要であった。本実施形態では、管理コンピュータ20は、生成されたファイルの有無からジョブを自動的に選択して実行するので、リソースの許容量を変更した場合においてもジョブに関するデータを再設定しなくても、自動的に変更したリソースに応じて効率よくジョブを実行することができる。
【0066】
・ 本実施形態では、管理コンピュータ20は、ジョブを実行できる条件として、ジョブ実行条件データ記憶部22に、入力ファイルだけでなく、メッセージのデータや開始時刻データなどを記録する。このため、ファイル以外のデータをジョブ実行条件として設定することができる。
【0067】
・ 本実施形態では、管理コンピュータ20は、ジョブの処理が完了すると、そのジョブの平均処理実績時間を記録する(ステップS2−5)。そして、この平均処理実績時間を用いて最遅処理開始時刻の計算を行なう(ステップS1−4)。このため、管理コンピュータ20は、実際に処理に要した時間から算出した平均処理実績時間を用いて最遅処理開始時刻を算出するので、より適切な最遅処理開始時刻に基づいて実行するジョブを選択して実行することができる。
【0068】
また、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 上記実施形態においては、ファイルデータ記憶部25に記憶されるデータは、入力システム30からのネットワーク伝送の他、テープ読取装置を用いて入力であってもよい。
【0069】
○ 上記実施形態においては、管理コンピュータ20は、ジョブの実際の処理時間の平均を算出し、これをジョブ実行情報データ210の平均処理実績時間データとして記録し(ステップS2−5)、この平均処理実績時間を用いて最遅処理開始時刻の計算を行なう(ステップS1−5)。最遅処理開始時刻を算出するために用いる実績時間は、ジョブの実際の処理時間に基づいた値であれば、平均処理実績時間以外の時間を用いてもよい。例えば、最新の処理時間を用いてもよいし、最長処理時間を用いてもよい。前者の場合には、管理コンピュータ20のCPUなどのリソースが向上した場合には、それに応じた最遅処理開始時刻を算出することができる。また、後者の場合には、より確実に最遅完了時刻に間に合う最遅処理開始時刻を算出することができる。
【0070】
○ 上記実施形態においては、管理コンピュータ20は、実行可能となったジョブが複数ある場合には、最遅処理開始時刻に基づいて実行するジョブを選択した。これに限らず、実行可能となったジョブが複数ある場合には、最遅処理開始時刻以外の他の実行優先度に基づいて、ジョブを選択してもよい。例えば、生成するファイルの有用度に応じて優先度を設定してもよい。この場合、ジョブ実行条件データ記憶部22に記録されたジョブ実行条件データ220を用いて、完了情報対象に基づいて実行可能なジョブ数を計算する。そして、以降の処理において実行可能なジョブ数の多い完了情報対象を生成するジョブを決定する。また、更に、各ジョブの完了情報対象に基づいて特定される連鎖におけるジョブ数に基づいて決定してもよい。これにより、実行可能なジョブの範囲を拡大し、フレキシビリティを確保することができる。
【0071】
○ 上記実施形態においては、管理コンピュータ20は、複数の情報記憶媒体に記録された一連のファイルデータとして、複数のテープからデータを取得する場合について説明した。これに限らず、他の複数の情報記憶媒体からデータを取得する場合にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態におけるシステム概略図。
【図2】ジョブ実行情報データ記憶部に記録されたデータの説明図。
【図3】ジョブ実行条件データ記憶部に記録されたデータの説明図。
【図4】ジョブ完了情報データ記憶部に記録されたデータの説明図。
【図5】ジョブ実行管理処理の処理手順を説明するための流れ図。
【図6】ジョブ実行処理の処理手順を説明するための流れ図。
【図7】従来技術におけるジョブ実行管理処理を説明するための概念図。
【符号の説明】
【0073】
20…管理コンピュータ、21…ジョブ管理データ記憶手段としてのジョブ実行情報データ記憶部、22…ジョブ管理データ記憶手段としてのジョブ実行条件データ記憶部、2
3…ジョブ管理データ記憶手段及び最遅完了時刻データ記憶手段としてのジョブ完了情報データ記憶部、25…ファイルデータ記憶手段としてのファイルデータ記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジョブ毎に、実行に必要な入力ファイルの入力ファイル識別子と、実行により生成される出力ファイルの出力ファイル識別子と、実行優先度とを関連付けて記録したジョブ管理データ記憶手段と、ファイル識別子が付与されたファイルを記録するファイルデータ記憶手段と、各データ記憶手段を管理する管理コンピュータとを用いたジョブ実行管理システムを用いて、ジョブの実行管理を行なう方法であって、
前記管理コンピュータが、
前記ファイルデータ記憶手段に新たに記録されたファイルのファイル識別子を特定するファイル特定段階と、
前記特定したファイル識別子が入力ファイル識別子として前記ジョブ管理データ記憶手段に記録されたジョブを検索し、実行可能なジョブを特定するジョブ検索段階と、
実行可能なジョブが複数ある場合には、そのジョブの実行優先度に基づいてジョブを選択して実行を指示する実行指示段階と、
前記ジョブの実行完了により生成されたファイルに、出力ファイル識別子を付与して前記ファイルデータ記憶手段に記録するファイル記録段階と
を実行することを特徴とするジョブ実行管理方法。
【請求項2】
前記実行優先度は、遅くともジョブを開始させるべき最遅処理開始時刻であることを特徴とする請求項1に記載のジョブ実行管理方法。
【請求項3】
前記ジョブ実行管理システムは、ジョブ毎に、処理に要した実績時間に基づいて算出した予測処理時間に関するデータを記録する予測処理時間データ記憶手段と、
遅くともジョブを完了させるべき最遅完了時刻を記録した最遅完了時刻データ記憶手段とを更に備え、
前記管理コンピュータが、ジョブ毎に、前記ジョブの最遅完了時刻と、前記予測処理時間データ記憶手段に記録された予測処理時間に関するデータとに基づいて最遅処理開始時刻を算出し、この最遅処理開始時刻を実行優先度として前記ジョブ管理データ記憶手段に記録する最遅処理開始時刻記録段階を更に実行することを特徴とする請求項2に記載のジョブ実行管理方法。
【請求項4】
前記実行指示段階は、前記ジョブ管理データ記憶手段に記録された入力ファイル識別子と出力ファイル識別子とを用いて関連付けられるジョブの連鎖を特定し、
前記連鎖の中に最遅完了時刻が設定されたジョブを検出した場合には、前記連鎖を構成するジョブの予測処理時間を取得して総計し、
この総計値を前記最遅完了時刻から差し引いて最遅処理開始時刻を算出することを特徴とする請求項3に記載のジョブ実行管理方法。
【請求項5】
前記実行指示段階は、前記ジョブを行なうリソースの状況に基づいて前記実行の指示を行なうことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のジョブ実行管理方法。
【請求項6】
ジョブ毎に、実行に必要な入力ファイルの入力ファイル識別子と、実行により生成される出力ファイルの出力ファイル識別子と、実行優先度とを関連付けて記録したジョブ管理データ記憶手段と、ファイル識別子が付与されたファイルを記録するファイルデータ記憶手段と、各データ記憶手段を管理する管理コンピュータとを用いてジョブの実行管理を行なうジョブ実行管理システムであって、
前記管理コンピュータが、
前記ファイルデータ記憶手段に新たに記録されたファイルのファイル識別子を特定するファイル特定手段と、
前記特定したファイル識別子が入力ファイル識別子として前記ジョブ管理データ記憶手
段に記録されたジョブを検索し、実行可能なジョブを特定するジョブ検索手段と、
実行可能なジョブが複数ある場合には、そのジョブの実行優先度に基づいてジョブを選択して実行を指示する実行指示手段と、
前記ジョブの実行完了により生成されたファイルに、出力ファイル識別子を付与して前記ファイルデータ記憶手段に記録するファイル記録手段と
を備えることを特徴とするジョブ実行管理システム。
【請求項7】
前記実行優先度は、遅くともジョブを開始させるべき最遅処理開始時刻であることを特徴とする請求項6に記載のジョブ実行管理システム。
【請求項8】
前記ジョブ実行管理システムは、ジョブ毎に、処理に要した実績時間に基づいて算出した予測処理時間に関するデータを記録する予測処理時間データ記憶手段と、
遅くともジョブを完了させるべき最遅完了時刻を記録した最遅完了時刻データ記憶手段とを更に備え、
前記管理コンピュータが、ジョブ毎に、前記ジョブの最遅完了時刻と、前記予測処理時間データ記憶手段に記録された予測処理時間に関するデータとに基づいて最遅処理開始時刻を算出し、この最遅処理開始時刻を実行優先度として前記ジョブ管理データ記憶手段に記録する最遅処理開始時刻記録手段を更に実行することを特徴とする請求項7に記載のジョブ実行管理システム。
【請求項9】
前記実行指示手段は、前記ジョブ管理データ記憶手段に記録された入力ファイル識別子と出力ファイル識別子とを用いて関連付けられるジョブの連鎖を特定し、
前記連鎖の中に最遅完了時刻が設定されたジョブを検出した場合には、前記連鎖を構成するジョブの予測処理時間を取得して総計し、
この総計値を前記最遅完了時刻から差し引いて最遅処理開始時刻を算出することを特徴とする請求項8に記載のジョブ実行管理システム。
【請求項10】
前記実行指示手段は、前記ジョブを行なうリソースの状況に基づいて前記実行の指示を行なうことを特徴とする請求項6〜9のいずれか1つに記載のジョブ実行管理システム。
【請求項11】
ジョブ毎に、実行に必要な入力ファイルの入力ファイル識別子と、実行により生成される出力ファイルの出力ファイル識別子と、実行優先度とを関連付けて記録したジョブ管理データ記憶手段と、ファイル識別子が付与されたファイルを記録するファイルデータ記憶手段と、各データ記憶手段を管理する管理コンピュータとを用いたジョブ実行管理システムを用いて、ジョブの実行管理を行なうプログラムであって、
前記管理コンピュータを、
前記ファイルデータ記憶手段に新たに記録されたファイルのファイル識別子を特定するファイル特定手段と、
前記特定したファイル識別子が入力ファイル識別子として前記ジョブ管理データ記憶手段に記録されたジョブを検索し、実行可能なジョブを特定するジョブ検索手段と、
実行可能なジョブが複数ある場合には、そのジョブの実行優先度に基づいてジョブを選択して実行を指示する実行指示手段と、
前記ジョブの実行完了により生成されたファイルに、出力ファイル識別子を付与して前記ファイルデータ記憶手段に記録するファイル記録手段
として機能させることを特徴とするジョブ実行管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−140791(P2007−140791A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−332097(P2005−332097)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【出願人】(592131906)みずほ情報総研株式会社 (187)
【出願人】(592073101)日本アイ・ビー・エム株式会社 (42)