説明

ジョークラッシャ

【課題】過負荷発生時に動歯が移動しても容易に破砕作業に復帰することができ、かつ、装置の部材の寿命に与える影響を抑制することができるジョークラッシャを提供する。
【解決手段】動歯72にロッド部側の端部に取り付けられたトグルシリンダ66と、トグルシリンダ66をロッド部78が最も伸長した状態で保持するアキュムレータ67と、ボトム側油圧室の圧力が第1設定圧P1を超えたとき、その圧力を開放するリリーフ弁105と、第1油圧シリンダのボトム部側の端部が取り付けられた摺動部材68と、摺動部材の移動を拘束する制動装置70と、破砕作業中に動歯が固定歯71から離れる方向に付勢されるリターンシリンダ75とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は岩石等の被破砕物を破砕するジョークラッシャに関するものである。
【背景技術】
【0002】
岩石等の石質系材料や建設廃材等の木質系材料等(被破砕物)を破砕する破砕機の中には、破砕装置として、固定歯及びこの固定歯に対して揺動する動歯を備えるジョークラッシャがある。
【0003】
ジョークラッシャは、岩石等の被破砕物を固定歯と動歯の間に導入して破砕するが、その被破砕物に金属塊等の異物が含まれていると、破砕装置に過負荷がかかることがある。係る場合に破砕装置及びその周辺部材を過負荷から保護するものとして、動歯の支点の拘束を解いて固定歯から動歯を離す過負荷保護装置が利用されている。
【0004】
また、ジョークラッシャで生産される破砕物の粒度は、固定歯と動歯の先端に形成される隙間(排出隙間)の大きさによって制御される。均一な粒度の破砕物を生産するために、破砕装置には、破砕作業中に作用する破砕負荷(破砕反力)に抗しながら排出隙間を一定に保持する機構を具備することが望まれる。
【0005】
こうした機能を具備する過負荷保護装置として、トグルプレートを動歯との間に挟み込んで保持する部材であって、過負荷発生時に動歯が固定歯から離れる方向に移動する摺動部材を備えたものがある(特許文献1等参照)。この過負荷保護装置は、破砕作業時、制動装置で摩擦板を介して摺動部材を押圧して拘束しているが、その拘束力を超える過負荷が作用すると、摺動部材が摺動して動歯が固定歯から離れるので過負荷から部材が保護される。
【0006】
【特許文献1】特開2006−247603号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記技術のジョークラッシャに過負荷がかかって摺動部材が摺動すると、摺動部材が設定位置からずれたままになる。そのため、摺動部材の拘束を解いて排出隙間を再調整しなければならず、その調整作業中は破砕作業の中断を余儀なくされる。また、上記技術では、過負荷が作用する度に摺動部材と摩擦板が摺動するので、この摺動動作の繰り返しによってこれら部材の寿命が尽きたときには交換作業を強いられることもある。
【0008】
本発明の目的は、過負荷発生時に動歯が移動しても容易に破砕作業に復帰することができ、かつ、装置の部材の寿命に与える影響を抑制することができるジョークラッシャを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明は、上記目的を達成するために、破砕装置フレームと、この破砕装置フレームに固定された固定歯と、この固定歯に対向して配置され、偏心軸を介して揺動自在に設けられた動歯とを備えたジョークラッシャにおいて、前記動歯にロッド部側の端部が回転可能に取り付けられた第1油圧シリンダと、この第1油圧シリンダをロッド部が最も伸長した状態で保持するために、前記第1油圧シリンダのボトム側油圧室の圧力を保持する圧力保持手段と、前記ボトム側油圧室の圧力が機械保護のために設定した第1設定圧を超えたとき、前記ボトム側油圧室の圧力を開放する圧力開放手段と、前記破砕装置フレームに取り付けられたガイド部材と、前記第1油圧シリンダのボトム部側の端部が回転可能に取り付けられ、前記ガイド部材に沿って進退可能に設けられた摺動部材と、この摺動部材を押圧し、前記ガイド部材に対する前記摺動部材の移動を拘束する制動装置と、前記第1油圧シリンダの下方において、前記動歯にロッド部側の端部が回転可能に取り付けられて前記第1油圧シリンダの下方に位置し、破砕作業中に前記制動装置が前記摺動部材の移動を拘束した状態で前記動歯が前記固定歯から離れる方向に付勢される第2油圧シリンダとを備える。
【0010】
(2)上記(1)の制動装置は、好ましくは、前記ボトム側油圧室の圧力を前記第1設定圧以上に至らしめる負荷が作用するときに前記摺動部材の摺動を許す第2設定圧で前記摺動部材を押圧しているものとする。
【0011】
(3)上記(1)又は(2)において、好ましくは、前記圧力保持手段は、前記ボトム側油圧室に接続されたアキュムレータであり、前記圧力開放手段は、前記ボトム側油圧室に接続されたリリーフ弁であるものとする。
【0012】
(4)また、本発明は、上記目的を達成するために、破砕装置フレームと、
この破砕装置フレームに固定された固定歯と、この固定歯に対向して配置され、偏心軸を介して揺動自在に設けられた動歯とを備えたジョークラッシャにおいて、前記動歯にロッド部側の端部が回転可能に取り付けられた第1油圧シリンダと、この第1油圧シリンダをロッド部が最も伸長した状態で保持するために、前記第1油圧シリンダのボトム側油圧室の圧力を保持するアキュムレータと、前記破砕装置フレームに取り付けられたガイド部材と、前記第1油圧シリンダのボトム部側の端部が回転可能に取り付けられ、前記ガイド部材に沿って進退可能に設けられた摺動部材と、この摺動部材を摩擦部材を介して押圧し、前記ガイド部材に対する前記摺動部材の移動を拘束する制動装置と、前記第1油圧シリンダの下方において、前記動歯にロッド部側の端部が回転可能に取り付けられ、破砕作業時に前記動歯が前記固定歯から離れる方向に付勢される第2油圧シリンダとを備え、前記ボトム側油圧室内に封入された圧油は、前記ボトム側油圧室の圧力が機械保護のために設定した第1設定圧を超えたときに開放され、前記制動装置は、前記ボトム側油圧室の圧力を前記第1設定圧以上に至らしめる負荷が作用するときに前記摺動部材の摺動を許す第2設定圧で前記摺動部材を押圧し、前記動歯と前記固定歯の先端に形成される排出隙間は、前記動歯が停止され、かつ、前記制動装置による摺動部材の拘束が解除された際に、前記第2油圧シリンダによって調整される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、過負荷発生時に動歯が移動しても排出隙間を再調整する必要がないので、容易に破砕作業に復帰することができるとともに、部材同士が摺動する機会が低減するので部材の長寿命化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0015】
図1は本発明の実施の形態である自走式ジョークラッシャの側面図、図2はその上面図、図3はその正面図である。
【0016】
これらの図に示したジョークラッシャは、走行体1と、ホッパ12と、グリズリフィーダ15と、破砕装置20と、動力装置25と、排出コンベヤ40を備えている。本実施の形態におけるジョークラッシャは、例えば、ビル解体時に搬出されるコンクリート塊や道路補修時に排出されるアスファルト塊等の建設現場で発生する大小様々な建設廃材、産業廃棄物、若しくは岩石採掘現場や切羽で採掘される岩石・自然石等を処理対象とし、これらを被破砕物として受け入れ破砕処理するものである。なお、以下では、排出コンベヤ40側を前方、ホッパ12側を後方と称することがある。
【0017】
走行体1は、走行装置2と、走行装置2の上部にほぼ水平に設けられた本体フレーム3を備えている。走行装置2は、本体フレーム3の下部に取り付けられたトラックフレーム4と、トラックフレーム4の両端に設けられた従動輪5及び駆動輪6と、従動輪5及び駆動輪6に掛け回された履帯7と、駆動輪6に直結されている走行用油圧モータ8を備えている。
【0018】
ホッパ12は、被破砕物を受け入れるもので、上方に向かって拡開している。ホッパ12は、支持部材13を介して支持バー11上に設けられている。支持バー11は、本体フレーム3の上部に取り付けられた支持ポスト9,10によって支持されている。
【0019】
グリズリフィーダ15は、ホッパ12に受け入れられた被破砕物を粒度に応じて選別して破砕装置20に搬送するもので、ホッパ12の下方に設けられている。グリズリフィーダ15は、スプリング18を介して支持バー11に支持されている。また、グリズリフィーダ15は、グリズリフィーダ本体15Aと、グリズリフィーダ本体15Aを加振するフィーダ用油圧モータ19を備えている。
【0020】
グリズリフィーダ本体15A内には、複数(本実施の形態では2つ)のグリズリバー17(図2参照)が収納されている。グリズリバー17は、フィーダ用油圧モータ19に加えられる振動を利用して、ホッパ12に投入された被破砕物を破砕装置20に向けて搬送するもので、破砕装置20に向かって下る階段を形成するように配置されている。また、グリズリバー17は、本体フレーム3の幅方向に複数の櫛を並べて設けた櫛歯16(図2参照)を有しており、櫛歯16の間隔より小さい被破砕物(細粒(いわゆるズリ))をふるい落とす。グリズリバー17の下方にはシュート14(図1参照)が設けられており、櫛歯16から落下した細粒等はシュート14を介して排出コンベヤ40上に導かれる。
【0021】
破砕装置(ジョークラッシャ)20は、ホッパ12に投入された被破砕物を破砕するもので、ホッパ12及びグリズリフィーダ15の前方側に位置し、図1に示すように、本体フレーム3の長手方向中央付近に搭載されている。詳細は後述するが、破砕装置20には、対向して配置された一対の固定歯71及び動歯72(図4参照)が設けられている。
【0022】
動力装置(パワーユニット)25は、各油圧アクチュエータの動力源となるエンジンや油圧ポンプを内蔵するもので、破砕装置20より更に前方側に位置し、本体フレーム3上の排出コンベヤ40側に支持部材26を介して設けられている。なお、動力装置25の後方側の区画には、運転席35が設けられている。運転席35には、走行装置2を操作するための走行用操作レバー36が設けられている。
【0023】
排出コンベヤ40は、破砕装置20で破砕した破砕物等を搬送して機外に排出するものである。排出コンベヤ40は、走行装置1の履帯7の間から、破砕装置20及び動力装置4の下方を通って、機体前方に向かって上り傾斜を形成しており、支持部材41,42等を介して本体フレーム3から吊り下げ支持されている。また、排出コンベヤ40は、コンベヤフレーム45の両端に設けた従動輪(アイドラ)46及び駆動輪47と、従動輪46及び駆動輪47に巻回した搬送ベルト50を有している。搬送ベルト50は、排出コンベヤ用油圧モータ48(図2参照)で回転駆動される駆動輪47によって循環駆動される。
【0024】
磁選機55は、排出コンベヤ40上を搬送される破砕物から鉄筋等の異物(磁性物)を除去するもので、支持部材56を介してアーム部材43に吊り下げ支持されている。磁選機55においては、その駆動輪57(図2参照)及び従動輪58(図2参照)に巻回された磁選機ベルト59が排出コンベヤ40と対向するように配置されている。駆動輪57には磁選機用油圧モータ60が直結されている。また、磁選機ベルト59の循環軌跡の内側には、磁力発生手段(図示せず)が設けられている。搬送ベルト50上の鉄筋等の異物は、磁選機ベルト59越しに作用する磁力によって磁選機ベルト59に吸着され、排出コンベヤ40の側方に搬送されて落下する。
【0025】
図4は破砕装置20の内部構造を示す側面図であり、図5は動歯移動機構65に関する油圧回路図である。
【0026】
これらの図に示す破砕装置20は、本体フレーム3(図1等参照)上に固定された破砕装置フレーム61と、破砕装置フレーム61に固定された固定歯71と、固定歯71に対向して配置され、はずみ車22の偏心軸62を介して揺動自在に設けられた動歯72と、過負荷発生時に固定歯71から動歯72を離す動歯移動機構65と、破砕作業時に動歯72を動歯移動機構65の方(前方)へ引きつけるリターンシリンダ(第2油圧シリンダ)75を備えている。
【0027】
固定歯71と動歯72は、互いの歯板が向かい合うように対向して配置されており、下方に向かって縮小する破砕室63を形成している。破砕室63に導入された被破砕物は、固定歯71と揺動する動歯72によって噛み砕かれるように破砕される。破砕装置20から排出される破砕物の粒度は、破砕室63の出口幅、すなわち固定歯71と動歯72の下端部が形成する隙間(排出隙間)によって規定される。
【0028】
はずみ車22は、破砕装置用油圧モータ21(図2参照)によってベルト(図示せず)を介して回転駆動されるものである。はずみ車22の回転運動は、偏心軸62を介して動歯72の揺動運動に変換される。なお、本実施形態では、破砕装置用油圧モータ21からはずみ車22への駆動伝達構造としてベルトを利用したものについて説明したが、例えばチェーンを介する構成でも構わない。
【0029】
動歯移動機構65は、破砕室63で異物の噛み込み等が起こる等して過負荷が生じた場合に周辺部材を過大な荷重から保護するためのもので、動歯72に対して破砕室63の反対側に設けられている。動歯移動機構65は、トグルシリンダ(第1油圧シリンダ)66と、アキュムレータ(圧力保持手段)67と、リリーフ弁(圧力開放手段)105(図5参照)と、摺動部材68と、ガイド部材69と、制動装置70を備えている。
【0030】
トグルシリンダ(第1油圧シリンダ)66は、破砕反力に対抗して動歯72を支持するもので、そのロッド部側の端部が支点ピン76を介して動歯72に回転可能に取り付けられている。すなわち、支点ピン76は、動歯72の揺動支点となっている。後述のように、通常時、トグルシリンダ66のボトム側油圧室77内は圧力保持されており、トグルシリンダ66はロッド部78が最も伸長した状態(すなわち、伸び側のストロークエンド)で保持されている。
【0031】
アキュムレータ(圧力保持手段)67は、トグルシリンダ66のボトム側油圧室77内を加圧してその圧力を保持するもので、ボトム側油圧室77と接続されている。なお、アキュムレータ67によるボトム側油圧室77の加圧は、自動で行っても良いし、保守作業員が加圧ポンプで手動で行っても良い。
【0032】
次に、図5を参照しつつ、トグルシリンダ66に関する油圧回路図について説明する。
図5において、切換弁110は、トグルシリンダ66のボトム側油圧室77への圧油供給を制御するものである。コントローラ81からの指令信号により切換弁110が供給位置110Aに切り換えられた場合には、油圧ポンプ112から吐出された圧油が切換弁110の供給位置110A及び管路106を介してボトム側油圧室77に導かれる。これにより、ボトム側油圧室77に圧油が充填されるので、ロッド部78を伸長させることができる。
【0033】
一方、コントローラ81からの指令信号が切換弁110に出力されない場合には、切換弁110は両端のばねの付勢力により中立位置110Cに復帰され、ボトム側油圧室77及び管路106内の圧油が封入される。これにより、ロッド部78が最も伸長した状態で保持される。ここでアキュムレータ67でボトム側油圧室77を加圧すると、ボトム側油圧室77の圧力を一定値以上に保持することができる。これにより破砕作業時にもロッド部78を最も伸長した状態で保持することができる。また、管路106とタンク84の間には、リリーフ弁105と、ボトム側油圧室77内の圧油を任意に開放可能とする開閉弁115が設けられている。
【0034】
リリーフ弁(圧力開放手段)105は、ボトム側油圧室77の圧力が第1設定圧P1(リリーフ圧)を超えたときにその圧力を開放するものである。第1設定圧P1は、破砕室63周辺の機械保護のために設定した値であり、トグルシリンダ66が支持可能な最大許容負荷Fmに見合う値に設定されている。ここでは、ボトム側油圧室77の圧力を第1設定圧P1に至らしめる破砕反力を第1負荷F1とする(ただし、F1<Fm)。
【0035】
なお、コントローラ81からの指令信号により切換弁110が排出位置110Bに切り換えられた場合には、管路106とタンク84とが連通されてボトム側油圧室77内の圧力がタンク圧と等しくなるので、トグルシリンダ66の伸縮動作が許容される。
【0036】
図4に戻り、摺動部材68は、板状の部材であり、トグルピン79を介してトグルシリンダ66のボトム部側の端部と回転可能に取り付けられている。摺動部材68には、トグルシリンダ66に作用する破砕反力がトグルピン79を介して伝達される。また、破砕装置フレーム61における摺動部材68の上面側と下面側の位置には、摺動部材68の進退方向を規定するガイド部材69が取り付けられている。すなわち、摺動部材68は、このガイド部材69に沿って動歯72に向かって進退可能に設けられている。
【0037】
制動装置70は、摺動部材68を押圧して、ガイド部材69に対する摺動部材68の移動を拘束するものである。制動装置70は圧油によって摺動部材68を押圧する1対の制動ピストン74を備えている。制動ピストン74は、摺動部材68の摺動方向に対して垂直な方向から摺動部材68を挟み込むように配置されている。また、制動ピストン74の摺動部材68側の面には摩擦部材73を取り付け、摩擦部材73を介して摺動部材68を押圧することが好ましい。このように摩擦部材73を介して押圧すると、摺動部材68を強固に拘束することができる。
【0038】
制動ピストン74の背面には油圧室110が形成されており、その油圧室110は破砕作業時において第2設定圧P2に保持されている。油圧室110は油圧ポンプ82(図5参照)と接続されており、その油圧ポンプから供給される圧油によって油圧室110の圧力が第2設定圧P2に達した時点で圧油が封入されるようになっている。油圧室110の圧力は圧力センサ88によって監視されており、油圧室110の圧力に変動が生じた場合には、その偏差に応じた圧油が適宜供給・排出されて、油圧室110は第2設定圧P2付近に保持されている。
【0039】
第2設定圧P2は、制動ピストン74の押圧力を決定するもので、摩擦部材73上の摺動部材68が摺動し始める破砕反力の大きさ(第2負荷F2)を規定している。第2負荷F2は、第1負荷F1以上で、かつ、最大許容負荷Fm未満の値に設定されている(F1≦F2<Fm)。すなわち、摺動部材68は、第2負荷F2が作用するときに初めて摺動されるように、制動装置70によって拘束されている。
【0040】
なお、本実施の形態の制動ピストン74は、摺動部材68の上下に1つずつ設けられており、摺動部材68を介して互いに対向して配置されている。また、摩擦部材73は、摺動動作の反復によって寿命が尽きた場合を想定して、制動ピストン74に対して交換可能に取り付けられている。
【0041】
次に、図5を参照しつつ、制動装置70に関する油圧回路図について説明する。
図5において、切換弁80は、摺動部材68の摺動動作のロック・アンロックを切り換える切換弁である。すなわち、コントローラ81からの指令信号により切換弁80がロック位置80Aに切り換えられた場合には、油圧ポンプ82から吐出された圧油が切換弁80のロック位置80A及び管路83を介して油圧室110に導かれる。これにより、制動ピストン74が摩擦部材73を摺動部材68に対して押しつけ、摺動部材68の摺動動作が制動される(すなわちロック状態となる)。
【0042】
一方、コントローラ81からの指令信号により切換弁80がアンロック位置80Bに切り換えられた場合には、管路83とタンク84とが連通されて油圧室110内の圧力がタンク圧と等しくなる。これにより摺動部材68に対する制動ピストン74の押しつけ力が開放されて、摺動部材68の摺動動作が許容される(すなわちアンロック状態になる)。
【0043】
他方、コントローラ81からの指令信号が切換弁80に出力されない場合には、切換弁80は両端のばねの付勢力により中立位置80Cに復帰され、油圧室110及び管路83内の圧油が封入される。この管路83とタンク84との間には、摺動部材68のロックを任意に開放可能とする開閉弁85と、油圧室110及び管路83内のリリーフ圧を設定するリリーフ弁86とが設けられている。また、管路83には、アキュムレータ87、油圧室110、及び管路83内の圧力を検出するための圧力センサ88が設けられている。この圧力センサ88で検出された圧力値はコントローラ81に出力されるようになっている。コントローラ81は、その検出値に応じて油圧ポンプ82駆動用のモータ89に指令信号を出力し、油圧ポンプ82を適宜駆動して油圧室110及び管路83内の圧力をほぼ第2設定圧P2に保持するようになっている。
【0044】
ところで、動歯移動機構に関する技術として、本実施の形態と異なり、トグルプレートを機体前方側から所定圧力の圧油を封入した油圧シリンダのみで支持するものがある。この種の技術は、破砕作業中の破砕反力の変動に連動して当該油圧シリンダが伸縮するので固定歯と動歯の排出隙間が変動してしまい、破砕物の粒径にバラツキが生じるという問題があった。しかし、本実施の形態は、摺動部材68と摩擦部材73の摺動面に生じる摩擦力を利用してトグルシリンダ66を堅牢に支持しているので、破砕作業中に変動する破砕反力が作用しても排出隙間を変動させることがない。したがって、本実施の形態によれば、常に一定の粒径の破砕物を生産することができる。
【0045】
図4に戻り、リターンシリンダ(第2油圧シリンダ)75は、トグルシリンダ66の下方に位置し、動歯72にロッド部側の端部が回転可能に取り付けられている。破砕作業時のリターンシリンダ75のヘッド側油圧室(図示せず)には、制動ピストン74の油圧室110同様に一定圧力の圧油が封入されている。すなわち、破砕作業中のリターンシリンダ75は、このヘッド側油圧室内の圧油によって、固定歯71から動歯72を離す方向に付勢される。このようにリターンシリンダ75を介して動歯72の下部に付勢力を作用させると、動歯72の偏心回転軌跡を安定させることができる。
【0046】
また、リターンシリンダ75は、固定歯71と動歯72の排出隙間の調整(セット調整)を行う際に用いられる。すなわち、リターンシリンダ75を適宜伸縮して動歯72の位置を変更すれば、所望の排出隙間に設定することができる。
【0047】
次に、図5を参照しつつ、油圧シリンダ75を駆動する油圧回路を説明する。
図5において、切換弁90は、油圧シリンダ75の伸縮方向及び伸縮量を制御するための切換弁である。固定歯71と動歯72の排出隙間の調整(セット調整)において、隙間を小さくする場合には、コントローラ81からの指令信号により切換弁90が伸長位置90Aに切り換えられると共に、切換弁91が連通位置91Aに、切換弁92が遮断位置92Aに切り換えられる。これにより油圧ポンプ93から吐出された圧油は、切換弁91の連通位置91A及び切換弁90の伸長位置90Aを介し、管路95を経て油圧シリンダ75のボトム側油圧室に導かれる。これにより、油圧シリンダ75が伸長し、動歯72が固定歯方向に移動して固定歯71と動歯72との隙間が小さくなる。
【0048】
一方、隙間を大きくする場合には、コントローラ81からの指令信号により切換弁90が縮短位置90Bに切り換えられる(切換弁91及び切換弁92は上記と同様の切換位置である)。これにより油圧ポンプ93からの圧油は、切換弁90の縮短位置90Bを介し管路96を経て、油圧シリンダ75のヘッド側油圧室(図示せず)に導かれる。これにより、油圧シリンダ75が縮短し、動歯72が固定歯と反対方向に移動して固定歯71と動歯72との隙間が大きくなる。なお、以上の油圧シリンダ75の伸縮動作は摺動部材66をアンロック状態とした上で行われる。
【0049】
また、破砕作業時には、コントローラ81から切換弁90への指令信号がOFFとなり切換弁90がばねの付勢力により中立位置90Cに復帰されると共に、切換弁91が遮断位置91Bに、切換弁92が連通位置92Bに復帰され、ヘッド側油圧室と、管路96と、管路96及び切換弁92の連通位置92Bを介して接続される管路97とに圧油が封入される(図5に示す状態)。この管路97とタンク84の間には、封入圧を任意に開放可能な開閉弁98と、ヘッド側油圧室及び管路96,97内のリリーフ圧を設定するリリーフ弁99が設けられている。また、管路97にはアキュムレータ100及びヘッド側油圧室及び管路96,97内の圧力を検出するための圧力センサ101が設けられている。この圧力センサ101で検出された圧力値は、前記の圧力センサ88と同様にコントローラ81に出力されるようになっており、前述した油圧室78及び管路83内の圧力一定保持制御と同様にして、コントローラ81によってこのヘッド側油圧室及び管路96,97内の圧力もほぼ一定に保持されるようになっている。
【0050】
次に、上記のように構成される本実施の形態のジョークラッシャの動作を説明する。
【0051】
破砕作業を行う前に、所望の粒度の破砕物を得るために、まず固定歯71と動歯72との隙間調整を行う。まず、トグルシリンダ66のボトム側油圧室77に圧油を封入してアキュムレータ67で圧力保持し、トグルシリンダ66をロッド部78が最も伸長した状態で保持しておく。次に、コントローラ81からの指令信号により切換弁80がアンロック位置80Bに切り換えられ、制動ピストン74による摺動部材68に対する押しつけ力が開放される。これにより、摺動部材68がアンロック状態になる。
【0052】
この状態で、リターンシリンダ75を用いてセット調整を行う。例えば排出隙間を小さくする場合には、コントローラ81からの指令信号により切換弁90が伸長位置90Aに切り換えられると共に、切換弁91が連通位置91Aに、切換弁92が遮断位置92Aに切り換えられ、油圧ポンプ93からの圧油が管路95を経て油圧シリンダ75のボトム側油圧室に導かれる。これにより、油圧シリンダ75が伸長し、動歯72が固定歯71の方向に移動して排出隙間が小さくすることができる。
【0053】
反対に、隙間を大きくする場合には、コントローラ81からの指令信号により切換弁90が縮短位置90Bに切り換えられ(切換弁91及び切換弁92については上記と同様の切換位置)、油圧ポンプ93からの圧油が管路96を経て油圧シリンダ75のロッド側油圧室(図示せず)に導かれる。これにより、油圧シリンダ75が縮短し、動歯72が固定歯71と反対方向に移動して排出隙間が大きくなる。
【0054】
このようにしてセット調整を終了したら、次に、コントローラ81からの指令信号により切換弁80がロック位置80Aに切り換えられ、油圧ポンプ82からの圧油が管路83を介して油圧室110に導かれる。これにより、制動ピストン74が摩擦部材73を摺動部材68に対して押しつけ、摺動部材68の摺動動作がロックされる。そして、コントローラ81からの指令信号がOFFとなって切換弁80が中立位置80Cに復帰され、油圧室110及び管路83内の圧油が摺動部材66をロックしたときの圧力(第2設定圧P2)で封入される。
【0055】
また、コントローラ81から切換弁90への指令信号がOFFとなり、切換弁90が中立位置90Cに切り換えられると共に、切換弁91及び切換弁92への指令信号もOFFとなってそれぞれが遮断位置91B及び連通位置92Bに復帰され、ヘッド側油圧室及び管路96,97内の圧油が適宜の圧力で封入される。これにより、油圧シリンダ75に縮短しようとする力が働き、動歯72が制動装置70の方へ適宜の圧縮荷重で近接する方向に付勢される。
【0056】
上記のようにセット調整されたジョークラッシャにおいて、ホッパ12に投入された被破砕物は、グリズリフィーダ15に導入され、振動により破砕装置20に向かって搬送される。その際、グリズリバー17の各櫛歯16の間隔よりも小さな細粒(ズリ等)は隙間から落下して、シュート14を介して排出コンベヤ40上に導かれる。一方、櫛歯16の隙間より大きな被破砕物(大塊)は破砕装置20へと搬送される。
【0057】
破砕装置20に導入された被破砕物は、固定歯71と動歯72との排出隙間に応じた所定の粒度に破砕処理される。破砕作業中、本実施の形態の動歯72は、伸び側のストロークエンドで保持されたトグルシリンダ66と、トグルシリンダ66の移動を拘束する制動装置70とによって堅牢に支持されるので、固定歯71との間に形成される排出隙間は破砕反力が変動しても一定に保持される。これにより一定の粒径を有する被破砕物が排出隙間から排出コンベヤ40上に排出される。排出コンベヤ40上に導かれた破砕物は、シュート14を介して導かれた細粒と合流し、磁選機55により鉄筋等の異物を吸着除去された上で機外に排出される。
【0058】
ところで、破砕作業中において、動歯72が被破砕物より受ける破砕反力は、まずトグルシリンダ66に伝達され、さらにトグルピン79を介して摺動部材68に伝達される。このとき、通常の負荷である場合には、動歯72から伝達された反力は、ボトム側油圧室77を圧力保持されたトグルシリンダ66によって受けられる。
【0059】
しかし、異物噛み込み等により過負荷が発生し、第1負荷F1を超える破砕反力がトグルシリンダ66に作用すると、ボトム側油圧室77内の圧力が第1設定圧P1を超える。これによりボトム側油圧室77の圧力はリリーフ弁105によって開放されるので、トグルシリンダ66は縮短する。これにより動歯72を固定歯71から離すことができるので、過負荷を解消することができる。なお、上記のように第1負荷F1は最大許容負荷Fmより小さい値に設定されているので、過負荷が生じてもトグルシリンダ66等の部材を損傷から保護することができる。
【0060】
一方、破砕作業を再開するために、一旦縮短したトグルシリンダ66を再度伸長させるには、切換弁110を供給位置110Aに切り換え、油圧ポンプ112によってボトム側油圧室77内に油を充填する。ボトム側油圧室77内に油が充填されたら、アキュムレータ67でボトム側油圧室77内を加圧して再度圧力保持する。このようにボトム側油圧室77内の圧力を再度復帰させれば、トグルシリンダ66を伸び側のストロークエンドまで再度伸長させることができるので、早期に破砕作業を再開することができる。特に、上記のように摺動部材68が摺動することなくトグルシリンダ66のみが縮短した場合には、排出隙間を再度調整することなく破砕作業を再開できるので、破砕効率を向上させることができる。
【0061】
他方、破砕作業中の過負荷によって、第2負荷F2を超える破砕反力がトグルシリンダ66を介して摺動部材68に作用した場合には、トグルシリンダ66が縮短するとともに摺動部材68が後退し、動歯72が固定歯71から離れる。これにより、急激かつ巨大な負荷が作用してもトグルシリンダ66や制動装置70等を損傷から保護することができる。すなわち、本実施の形態の制動装置70と摺動部材68は、トグルシリンダ66とは別の2つ目の動歯移動装置として機能する。
【0062】
次に本実施の形態の効果について説明する。
【0063】
特許文献1に記載されている技術を本実施の形態の比較例とすると、当該比較例では、トグルプレートの移動を摺動部材で直接拘束しているため、過負荷がかかって摺動部材が移動すると、摺動部材が初期設定位置からずれたままになる。そのため、摺動部材の拘束を解いて排出隙間を再調整しなければならず、その調整作業中は破砕作業の中断を余儀なくされる。また、当該比較例では、過負荷が作用する度に摺動部材と摩擦板が摺動するので、この摺動動作の繰り返しによってこれら部材の寿命が尽きたときには交換作業を強いられることもあった。
【0064】
これに対して本実施の形態は、アキュムレータ67でトグルシリンダ66を伸び側のストロークエンドで保持した状態で破砕作業を行っており、過負荷が生じた場合にはトグルシリンダ66を縮短させて動歯72を移動させている。このように動歯移動機構65を構成すると、トグルシリンダ66が縮短しても摺動部材68の位置は初期設定のままなので、ボトム側油圧室77に再度圧油を封入するだけで隙間調整を行うことなく早期に破砕作業に復帰することができる。また、本実施の形態によれば、第2負荷F2以上の負荷がかかった場合を除き、トグルシリンダ66のみを伸縮させれば過負荷を回避することができるので、摺動部材68が摺動する機会を低減することができる。これにより、上記比較例より摺動部材68及び摩擦部材73の寿命を長期化することができる。このように、本実施の形態によれば、過負荷発生時に動歯72が移動しても排出隙間を再調整する必要がないので、容易に破砕作業に復帰することができるとともに、部材同士が摺動する機会が低減するので部材の長寿命化を図ることができる。
【0065】
また、本実施の形態は、上記に示したように、制動ピストン74によって第2設定圧P2で押圧された摺動部材68でトグルシリンダ66を支持している。このように構成すると、第1負荷F1を超える急激かつ巨大な破砕反力(第2負荷F2)が作用したときにも、破砕装置20及びその周辺機器を損傷から保護することができる。
【0066】
なお、上記では、油圧ポンプ112を用いてボトム側油圧室77に油を供給する例について説明したが、過負荷が発生した場合に保守作業員が手作業で補充油を供給する構成を採用しても良い。この場合には、ボトム側油圧室77とタンク(タンク84と異なり、油圧室77からの排出油専用のもの)を管路で接続し、当該管路にリリーフ弁105を設けることが好ましい。トグルシリンダ66に関連する構成を簡略化することができるからである。
【0067】
また、上記では、ボトム側油圧室77の圧力開放手段として、リリーフ弁105を利用した例について説明したが、これ以外の構成を利用しても良い。その例としては、管路106に設けた圧力センサ104を利用し、管路106内が第1設定圧P1を超えた場合に、切換弁110を位置110Bに切り換えてボトム側油圧室77内をタンク圧とする方法等がある。
【0068】
さらに、上記では、自走式ジョークラッシャに本発明を適用した例について説明したが、定置式のものに利用可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施の形態である自走式ジョークラッシャの側面図。
【図2】本発明の実施の形態である自走式ジョークラッシャの上面図。
【図3】本発明の実施の形態である自走式ジョークラッシャの正面図。
【図4】本発明の実施の形態である自走式ジョークラッシャの破砕装置の内部構造を示す側面図。
【図5】本発明の実施の形態である自走式ジョークラッシャの動歯移動機構に関する油圧回路図。
【符号の説明】
【0070】
65 動歯移動機構
66 トグルシリンダ(第1油圧シリンダ)
67 アキュムレータ
68 摺動部材
69 ガイド部材
70 制動装置
71 固定歯
72 動歯
73 摩擦部材
74 制動ピストン
75 リターンシリンダ(第2油圧シリンダ)
77 ボトム側油圧室
78 ロッド部
105 リリーフ弁
F2 第1負荷
F2 第2負荷
P1 第1設定圧
P2 第2設定圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
破砕装置フレームと、
この破砕装置フレームに固定された固定歯と、
この固定歯に対向して配置され、偏心軸を介して揺動自在に設けられた動歯とを備えたジョークラッシャにおいて、
前記動歯にロッド部側の端部が回転可能に取り付けられた第1油圧シリンダと、
この第1油圧シリンダをロッド部が最も伸長した状態で保持するために、前記第1油圧シリンダのボトム側油圧室の圧力を保持する圧力保持手段と、
前記ボトム側油圧室の圧力が機械保護のために設定した第1設定圧を超えたとき、前記ボトム側油圧室の圧力を開放する圧力開放手段と、
前記破砕装置フレームに取り付けられたガイド部材と、
前記第1油圧シリンダのボトム部側の端部が回転可能に取り付けられ、前記ガイド部材に沿って進退可能に設けられた摺動部材と、
この摺動部材を押圧し、前記ガイド部材に対する前記摺動部材の移動を拘束する制動装置と、
前記動歯にロッド部側の端部が回転可能に取り付けられて前記第1油圧シリンダの下方に位置し、破砕作業中に前記制動装置が前記摺動部材の移動を拘束した状態で前記動歯が前記固定歯から離れる方向に付勢される第2油圧シリンダとを備えることを特徴とするジョークラッシャ。
【請求項2】
請求項1記載のジョークラッシャにおいて、
前記制動装置は、前記ボトム側油圧室の圧力を前記第1設定圧以上に至らしめる負荷が作用するときに前記摺動部材の摺動を許す第2設定圧で前記摺動部材を押圧していることを特徴とするジョークラッシャ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のジョークラッシャにおいて、
前記圧力保持手段は、前記ボトム側油圧室に接続されたアキュムレータであり、
前記圧力開放手段は、前記ボトム側油圧室に接続されたリリーフ弁であることを特徴とするジョークラッシャ。
【請求項4】
破砕装置フレームと、
この破砕装置フレームに固定された固定歯と、
この固定歯に対向して配置され、偏心軸を介して揺動自在に設けられた動歯とを備えたジョークラッシャにおいて、
前記動歯にロッド部側の端部が回転可能に取り付けられた第1油圧シリンダと、
この第1油圧シリンダをロッド部が最も伸長した状態で保持するために、前記第1油圧シリンダのボトム側油圧室の圧力を保持するアキュムレータと、
前記破砕装置フレームに取り付けられたガイド部材と、
前記第1油圧シリンダのボトム部側の端部が回転可能に取り付けられ、前記ガイド部材に沿って進退可能に設けられた摺動部材と、
この摺動部材を摩擦部材を介して押圧し、前記ガイド部材に対する前記摺動部材の移動を拘束する制動装置と、
前記第1油圧シリンダの下方において、前記動歯にロッド部側の端部が回転可能に取り付けられ、破砕作業時に前記動歯が前記固定歯から離れる方向に付勢される第2油圧シリンダとを備え、
前記ボトム側油圧室内に封入された圧油は、前記ボトム側油圧室の圧力が機械保護のために設定した第1設定圧を超えたときに開放され、
前記制動装置は、前記ボトム側油圧室の圧力を前記第1設定圧以上に至らしめる負荷が作用するときに前記摺動部材の摺動を許す第2設定圧で前記摺動部材を押圧し、
前記動歯と前記固定歯の先端に形成される排出隙間は、前記動歯が停止され、かつ、前記制動装置による摺動部材の拘束が解除された際に、前記第2油圧シリンダによって調整されることを特徴とするジョークラッシャ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−69414(P2010−69414A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−239578(P2008−239578)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】