説明

ジルコニウム、セリウム及びスズの酸化物をベースとする組成物、その製造方法及び触媒としてのその使用

本発明は、酸化ジルコニウム及び酸化セリウム並びに随意としての別の希土類の酸化物をベースとする組成物であって、酸化スズを酸化物の重量として25%までの割合で含有することを特徴とする、前記組成物に関する。該組成物は、ジルコニウム化合物、セリウム化合物及びスズ化合物並びに随意としての別の希土類の化合物を含む混合物を形成させ;この混合物を塩基性化合物と接触させて沈殿を得て;この沈殿を水性媒体中で加熱し且つ焼成することから成る方法によって得られる。前記組成物は、触媒として、特に自動車排気ガスの処理用の触媒として、用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジルコニウム、セリウム及びスズの酸化物をベースとする組成物、その製造方法及び触媒としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃エンジンからの排気ガスを処理するため(自動車後燃え触媒作用)にはこれまで、「多機能性」触媒が用いられてきた。用語「多機能性」触媒とは、酸化、特に排気ガス中に存在する一酸化炭素及び炭化水素の酸化だけではなく、還元、特に窒素酸化物(これもまた排気ガス中に存在する)の還元をも果たすことができる触媒(「スリーウェイ」触媒)を意味するものとする。酸化ジルコニウム及び酸化セリウムは今日このタイプの触媒のために特に重要且つ有利な2種の成分であると思われる。
【0003】
有効であるためには、これらの触媒は満足できる比表面積を高い温度においてさえ示さなければならない。
【0004】
これらの触媒に要求される別の品質は、還元性である。用語「還元性」とは、ここでは及び本明細書の残りの部分については、その触媒が還元性雰囲気中で還元されることができ且つ酸化性雰囲気中では再び酸化されることができることを意味するものとする。この還元性は、水素取込み能力によって推し量ることができる。この還元性は、既知のタイプの組成物の場合においてはセリウムのせいである。セリウムは、還元又は酸化される能力を有する。この還元性及びその結果としての触媒の効力が最大になるのは、従来の既知の触媒についてはかなり高い温度においてだった。この温度は一般的に約600℃である。この温度が低くなった触媒に対する要望、より一般的にはもっと低い温度において還元性が高められた触媒に対する要望がある。
【特許文献1】フランス国特許第2570087号明細書
【特許文献2】国際公開WO98/45212号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かくして、本発明の課題は、低温において改善された還元性を有する触媒を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的で、本発明の組成物は、酸化ジルコニウム及び酸化セリウムをベースとし、酸化物の重量として25重量%までの割合で酸化スズを含むことを特徴とする。
【0007】
本発明のその他の特徴、詳細及び利点は、以下の説明及び例示目的の非限定的な具体的実施例を読めばより一層はっきりするだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下において、用語「比表面積」とは、「The Journal of the American Chemical Society」、第60巻、第309頁(1938年)に記載されたBrunauer-Emmett-Teller法から確立されたASTM法D3663−78に従って窒素吸着によって測定されるBET比表面積を意味するものとする。
【0009】
用語「希土類金属」とは、イットリウム及び周期表の原子番号57〜71の元素より成る群の元素を意味するものとする。
【0010】
以下においては、別途記載がない限り、与えられた数値範囲はその境界値を包含するものとする。
【0011】
与えられた含有率は、別途記載がない限り酸化物としてのものである。酸化セリウムは、酸化第二セリウム(CeO2)の形にある。酸化スズは酸化第二スズ(SnO2)の形にある。
【0012】
本発明の組成物は、スズ以外のベース成分の性状が異なる2つの具体例に従って提供される。
【0013】
第1の具体例に従えば、これらの組成物は酸化ジルコニウム及び酸化セリウムをベースとする。この場合、この組成物は、この組成物の構成元素及び/又は組成物表面安定剤となることができる別の元素であってセリウム以外の希土類金属の形にあるものの酸化物を含まない。
【0014】
本発明の第2の具体例の場合、組成物は酸化セリウム及び酸化ジルコニウムをベースとし、セリウム以外の希土類金属の酸化物少なくとも1種を追加的に含む。この場合、組成物は、酸化スズに加えてその他の酸化物を少なくとも3種、場合によっては少なくとも4種、さらにはそれより多く含む。セリウム以外の希土類金属は、イットリウム、ランタン、ネオジム及びプラセオジムから特に選択することができ、ランタン及びネオジムが好ましい。
【0015】
この第2の具体例の場合はまた、組成物全体の重量に対するセリウム以外の希土類金属の酸化物の重量として表わした含有率は、一般的に35%まで、特に15%まで、より一層特定的には10%までである。セリウム以外の希土類金属の含有率が最も高い組成物は、セリウム以外のこれらの希土類金属の内の少なくとも1種がプラセオジムであるものであるのが好ましい。
【0016】
酸化ジルコニウム及び酸化セリウムのそれぞれの割合は、いずれの具体例についても広い範囲内で変化することができる。好ましくは、これらの割合は、Ce/Zrのモル比が0.10〜4の範囲、より特定的には0.15〜2.25の範囲、さらにより一層特定的には0.2〜1.20の範囲となるものである。
【0017】
本発明の組成物の主な特徴は、スズ酸化物を存在させたことである。組成物全体の重量に対する酸化物(SnO2)の重量で表わしたこの酸化物の含有率は、25%までとする。この含有率は、より特定的には20%までとし、10%までであることができ、さらにより一層特定的には5%までとすることができる。
【0018】
スズの最大含有率は、それ以下では組成物の還元性についての効果がもはや観察されなくなる量である。この効果は、後にわかるだろうが、500℃未満の比較的低い温度において還元性ピークが存在することによって示される。一般的に、このスズ含有率は少なくとも0.5%、より特定的には少なくとも1%とする。
【0019】
本発明の組成物は、随意に純粋な固溶体の形で提供することができる。この固溶体の性状はCe/Zr比に応じて変化する。より特定的には、Ce/Zr比が1未満の場合、組成物は、セリウム、スズ及び適宜にその他の希土類元素がジルコニウム中で完全に固溶体の形で存在する。これらの組成物のX線回折スペクトルは特に、単位格子定数にズレがある正方晶系において結晶化した酸化ジルコニウムのものに相当する単一のはっきり識別し得る相が組成物内に存在することを示し、かくしてセリウム、スズ及びその他の元素が酸化ジルコニウムの結晶格子内に取り込まれ、かくして真の固溶体が生成していることを示す。Ce/Zr比が1より大きい場合、これらの組成物のX線回折スペクトルは、まさに結晶性酸化第二セリウムCeO2のようで実際フッ素タイプの結晶構造に相当する単一の純粋な相又は均一な相であってその単位格子定数に純粋な酸化セリウムと比較して多少のズレがある前記相が組成物内に存在することを示し、従って酸化セリウムの結晶格子中にジルコニウム、スズ及び適宜にその他の希土類金属が取り込まれたことを示し、かくしてここでもまた真の固溶体が生成していることを示す。
【0020】
この固溶体は、1000℃の温度において10時間までの焼成に付した組成物においても維持されることができる。第2の具体例に従う組成物であってCe/Zr比が1未満である組成物については、固溶体は1100℃において10時間の焼成まで維持されることさえできる。
【0021】
本発明の組成物は、特異的な還元性特性を有する。
【0022】
この組成物の還元性は、温度の関数としての水素取込み能力を測定することによって決定される。水素取込みが最大になる温度、言い換えればセリウム(III)にするためのセリウム(IV)の還元が最大になる温度に相当する最大還元性温度も、この測定によって決定される。
【0023】
本発明の組成物の還元性はまた、動的態様におけるそれらの酸素貯蔵能(動的OSC)によっても測定することができる。
【0024】
本発明の場合、この動的OSCは、酸化性媒体中において酸素を貯蔵し、還元性媒体中で酸素を放出する能力を測定する試験によって示される。この試験は、組成物が、所定量の一酸化炭素が注入された時にはこれを酸素で酸化し、所定量の酸素が注入された時にはこれを消費して組成物が再び酸化される能力を評価する。用いる方法は、一酸化炭素流と酸素流とを1Hzの頻度(1秒間に1注入)で交替させるので、動的と言われる。
【0025】
第1の具体例の場合、本発明の組成物は、400℃において少なくとも0.3ミリリットルO2/g/秒のOSCを示す。このOSC値及び本明細書に与えられるすべてのものは、1000℃において10時間焼成した物質に対して適用される。このOSC値は、400℃において少なくとも0.4ミリリットルO2/g/秒であることができる。この値は、特にCe/Zr比が少なくとも0.5である組成物については、少なくとも0.9ミリリットルO2/g/秒であることができる。
【0026】
さらに、有利な特徴に従えば、第1の具体例の組成物は、もっと低い温度においても些少ではないOSCを示すことができる。かくして、より一層特定的には、この300℃におけるOSCは少なくとも0.1ミリリットルO2/g/秒であることができ、より特定的には、Ce/Zr比が少なくとも0.5である組成物については、少なくとも0.2ミリリットルO2/g/秒であることができる。
【0027】
第2の具体例に従う組成物については、この組成物は、400℃において少なくとも0.35ミリリットルO2/g/秒のOSCを示す。セリウム以外の希土類金属がイットリウムではない組成物については、このOSCは場合により少なくとも1ミリリットルO2/g/秒、より特定的には少なくとも1.5ミリリットルO2/g/秒、さらにより一層特定的には少なくとも2ミリリットルO2/g/秒であることができ、少なくとも約2.6ミリリットルO2/g/秒の値を得ることができる。
【0028】
セリウム以外の希土類金属がイットリウムではない組成物はまた、300℃において少なくとも0.2ミリリットルO2/g/秒、より一層特定的には少なくとも0.4ミリリットルO2/g/秒であることができるOSC値を有するという有利な特徴をも示す。
【0029】
本発明の組成物の還元性特性はまた、500℃未満の温度において少なくとも1つの還元性ピークが存在することによっても示すことができる。
【0030】
このピークの存在は、温度の関数としての取り込まれた水素の量を測定したグラフ(カーブ)に示され、このグラフは、上記の水素取込み測定方法によって得られる。本発明の組成物の場合、これらのグラフは、500℃未満の温度において少なくとも1つのピークを示す。本発明の好ましい態様、特に第2の具体例に従う組成物の場合には、このピークがそのグラフについての最大取込みにも相当し、これを本明細書においては最大ピークと称する。
【0031】
より特定的には、このピークは(最大ピークであるものも最大ピークではないものも)400℃未満の温度値に相当する。
【0032】
500℃未満の温度において少なくとも1つのピークが存在することは、本発明の組成物については、500℃未満の温度において始まる些少でない還元活性が存在することを示している。
【0033】
本発明の組成物は、高い焼成温度においてさえまだ高い比表面積を示し、この比表面積の値は、その具体例に応じて、そしてCe/Zr比の値に応じて変化する。
【0034】
第1の具体例であってCe/Zr比が少なくとも1である場合には、この比表面積は、1000℃において10時間の焼成後において少なくとも5m2/gである。Ce/Zr比が1未満の場合、この比表面積は少なくとも8m2/g、好ましくは少なくとも10m2/gであり、少なくとも約16m2/gの値を得ることができる。
【0035】
第2の具体例であってCe/Zr比が少なくとも1である場合には、この比表面積は、1000℃において10時間の焼成後において少なくとも5m2/g、好ましくは少なくとも10m2/gであり、少なくとも約16m2/gの値を得ることができる。Ce/Zr比が1未満の場合、この比表面積は少なくとも15m2/g、好ましくは少なくとも20m2/g、さらにより一層好ましくは少なくとも30m2/gであり、少なくとも約47m2/gの値を得ることができる。
【0036】
1100℃において10時間の焼成後には、この比表面積は、第2の具体例の組成物においてセリウム以外の希土類金属がイットリウムではない組成物については、少なくとも4m2/g、より特定的には少なくとも10m2/gであることができる。
【0037】
次に、本発明の組成物の製造方法を説明する。
【0038】
この方法は、次の工程を含むことを特徴とする:
(a)ジルコニウムの化合物、セリウムの化合物、スズの化合物及び随意としての前記希土類金属の化合物を含む混合物を形成させる工程;
(b)前記混合物を塩基性化合物と接触させて沈殿を得る工程;
(c)前記沈殿を水性媒体中で加熱する工程;
(d)こうして得られた沈殿を焼成する工程。
【0039】
かくして、この方法の第1の工程は、ジルコニウム化合物、セリウム化合物、スズ化合物及び随意としての少なくとも1種の追加の希土類金属の化合物の混合物を調製することから成る。
【0040】
この混合物は一般的に液状媒体中で調製され、この液状媒体は水であるのが好ましい。
【0041】
これらの化合物は、水溶性化合物であるのが好ましい。これらは特にジルコニウム、セリウム、スズ及び希土類金属の塩であることができる。これらの化合物は、特に硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、塩化物、第二セリウムアンモニウム硝酸塩から選択することができる。
【0042】
かくして、例えば硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニル又は塩化ジルコニルを挙げることができる。硝酸ジルコニルを用いるのが特に一般的である。また、特にセリウム(IV)塩、例えば硝酸塩又は硝酸第二セリウムアンモニウム(これがここでは特に好適である)をも挙げることができる。硝酸第二セリウムを用いることができる。純度が99.5%、より特定的には少なくとも99.9%の塩を用いるのが有利である。硝酸第二セリウム水溶液は、例えば硝酸と酸化第二セリウム水和物{これは慣用的な態様で第一セリウム塩(例えば硝酸第一セリウム)の溶液とアンモニア水とを過酸化水素水溶液の存在下で反応させることによって調製される}とを反応させることによって得ることができる。また、特に、フランス国特許第2570087号明細書に開示されたように硝酸第一セリウムの電解酸化法に従って得られる硝酸第二セリウム溶液を用いることもでき、これはこの場合における有利な出発物質を構成する。
【0043】
セリウム塩の水溶液及びジルコニル塩の水溶液は、塩基又は酸を添加することによって調節することができる初期遊離酸性度を示すものであることができるということに留意されたい。しかしながら、上記の遊離酸性度を実際に示すセリウム塩及びジルコニウム塩の初期溶液や、前もってかなり入念に中和しておいた溶液を用いることもできる。この中和は、この酸性度を制限するように上記の混合物に塩基性化合物を添加することによって実施することができる。この塩基性化合物は、例えばアンモニア水又はアルカリ金属(ナトリウム、カリウム等)水酸化物であることができるが、アンモニア水が好ましい。
【0044】
出発ジルコニウム又はセリウム化合物としてゾルを用いることも可能である。用語「ゾル」とは、水性液相中の懸濁状のジルコニウム又はセリウム化合物(この化合物は一般的にジルコニウム又はセリウム酸化物及び/又は水和酸化物である)をベースとするコロイド寸法(即ち約1nm〜約500nmの範囲の寸法)の固体微粒子から成る任意の系を意味し、前記粒子は随意に残留量の結合した又は吸着したイオン(例えば硝酸イオン、酢酸イオン、塩素イオン又はアンモニウムイオン)を追加的に含んでいてもよい。かかるゾル中において、ジルコニウム又はセリウムは、全部がコロイドの形にあってもよく、イオンとコロイドとの両方の形にあってもよいということに留意されたい。
【0045】
スズ化合物については、スズ塩、例えばハロゲン化物、カルボン酸塩(特に酢酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、エチルヘキサン酸塩又はアセチルアセトナート)、硫酸塩、及び有機スズ化合物、例えばモノ−、ジ−又はトリアルキルスズオキシド又はクロリド(特にメチルのもの及びエチルのもの)を用いることができる。特にハロゲン化物、特に塩化物が用いられる。塩化スズは、水和塩の形で用いるのが特に一般的である。しかしながら、ハロゲン汚染の危険性を減らすという限りにおいては、カルボン酸塩及びより特定的にはシュウ酸塩が好ましいことがある。特に、酸化状態(IV)のスズの塩又は溶液を用いることができるが、しかし酸化状態(II)のスズを用いることも可能である。
【0046】
最後に、出発混合物がCe(III)の形にあるセリウム化合物及び/又はSn(II)の形にあるスズ化合物を含む場合には、プロセスの過程で酸化剤、例えば過酸化水素水溶液を用いるのが好ましい。この酸化剤は、工程(a)又は工程(b)の間、特に後者の終わりに反応媒体に添加することによって用いることができる。
【0047】
前記混合物は、最初は固体状態にある化合物から、次いでこれを例えば水容器底部に導入することによって得ることもでき、直接これらの化合物の溶液から、次いでこれらの溶液を任意の順序で混合することによって得ることもでき、これらの間に差はない。
【0048】
この方法の第2の工程においては、工程(a)で得られた混合物を塩基性化合物と接触させる。水酸化物タイプの物質を塩基又は塩基性化合物として用いることができる。アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物を挙げることができる。また、第2、第3又は第4級アミンを用いることもできる。しかしながら、アルカリ金属又はアルカリ土類金属カチオン汚染の危険性を減らすという限りにおいては、アミン及びアンモニア水が好ましいことがある。また、尿素を挙げることもできる。塩基性化合物は一般的に水溶液の形で用いられる。
【0049】
前記混合物とこの溶液とを接触させる方法、即ちこれらの導入順序は、臨界的なものではない。しかしながら、この接触操作は、塩基性化合物の溶液中に前記混合物を導入することによって実施することができる。固溶体の形の組成物を得るためには、この別形態が好ましい。
【0050】
前記混合物と前記溶液との接触操作又は反応、特に塩基性化合物の溶液への前記混合物の添加は、全部一度に、段階的に(即ち例えば少しずつに分けて)又は連続的に実施することができ、撹拌しながら実施するのが好ましい。これは、周囲温度において実施するのが好ましい。
【0051】
この方法の次の工程は、水性媒体中で沈殿を加熱する工程である。
【0052】
この加熱は、塩基性化合物との反応後に得られた反応媒体に対して直接実施することもでき、また、この反応媒体から沈殿を分離し、随意に洗浄して沈殿を水中に再懸濁させた後に得られた懸濁液に対して実施することもできる。媒体を加熱する温度は、少なくとも100℃、さらにより一層特定的には少なくとも130℃とする。加熱操作は、液状媒体を密閉空間(オートクレーブタイプの密閉式反応器)中に導入することによって実施することができる。上に与えた温度条件下で且つ水性媒体中において、例えば、密閉反応器中の圧力は1バール(105Pa)より大きい値〜165バール(1.65×107Pa)の範囲、好ましくは5バール(5×105Pa)〜165バール(1.65×107Pa)の範囲にすることができる。加熱はまた、開放式反応器中で100℃付近の温度で実施することもできる。
【0053】
加熱は、空気中又は不活性雰囲気下、好ましくは窒素中で実施することができる。
【0054】
加熱時間は、広い範囲内で変えることができ、例えば1〜48時間、好ましくは2〜24時間の範囲にすることができる。
【0055】
加熱する媒体は、塩基性pH、即ち7より大きいpH、より特定的には少なくとも10のpHを示すのが好ましい。
【0056】
加熱操作は、複数回実施することが可能である。かくして、加熱工程及び随意としての洗浄操作の後に得られる沈殿を水中に再懸濁させ、次いでこうして得られた媒体に対して再び加熱操作を実施することができる。この再度の加熱操作は、最初の加熱操作について記載したものと同じ条件下で実施される。
【0057】
工程(c)の終わりに得られた生成物は、随意に洗浄し且つ/又は例えば乾燥器中に通すことによって乾燥させることができる。
【0058】
この方法の最終工程は、焼成工程である。
【0059】
この焼成は、得られる生成物の結晶化度を発達させることができ、これは本発明に従う組成物に予定されるその後の操作温度に応じて調節し且つ/又は選択することができ、これは、採用する焼成温度が高くなるにつれて生成物の比表面積が小さくなるという事実を考慮に入れながら行われる。
【0060】
本発明の方法は、以下に説明する別態様に従って実施することができる。
【0061】
この別態様に従う方法は、加熱工程(c)と焼成工程(d)との間に介在する追加の工程を含む。
【0062】
この追加の工程は、上記の加熱工程(c)から得られた沈殿に、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、ポリエチレングリコール並びにカルボン酸及びそれらの塩、並びに脂肪アルコールのカルボキシメチル化エトキシラートタイプの界面活性剤から選択される添加剤を添加することから成る。
【0063】
この添加剤としては、国際公開WO98/45212号パンフレットの教示を参照することができ、この文献に開示された界面活性剤を用いることができる。
【0064】
アニオン性タイプの界面活性剤としては、エトキシカルボキシレート、エトキシ化脂肪酸、サルコシネート、リン酸エステル、サルフェート、例えばアルコールサルフェート、アルコールエーテルサルフェート及びサルフェート化アルカノールアミドエトキシラート、スルホネート、例えばスルホスクシネート、アルキルベンゼンスルホネート又はアルキルナフタレンスルホネートを挙げることができる。
【0065】
ノニオン性界面活性剤としては、アセチレン性界面活性剤、アルコールエトキシラート、アルカノールアミド、アミンオキシド、エトキシ化アルカノールアミド、長鎖エトキシ化アミン、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー、ソルビタン誘導体、 エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、ポリグリセリルエステル及びそれらのエトキシ化誘導体、アルキルアミン、アルキルイミダゾリン、エトキシ化オイル及びアルキルフェノールエトキシラートを挙げることができる。特にIgepal(登録商標)、Dowanol(登録商標)、Rhodamox(登録商標)及びAlkamide(登録商標)の商品名で販売されている製品を挙げることができる。
【0066】
カルボン酸に関しては、特に脂肪族モノ−又はジカルボン酸、これらの中でもより特定的には飽和酸を用いることができる。また、脂肪酸、より特定的には飽和脂肪酸を用いることもできる。かくして、特にギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸及びパルミチン酸を挙げることができる。ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸及びセバシン酸を挙げることができる。
【0067】
また、カルボン酸の塩を用いることもできる。
【0068】
最後に、脂肪アルコールのカルボキシメチル化エトキシラートタイプのものから選択される界面活性剤を用いることも可能である。
【0069】
用語「脂肪アルコールのカルボキシメチル化エトキシラートタイプの物質」とは鎖の末端にCH2−COOH基を含むエトキシ化又はプロポキシ化脂肪アルコールから成る物質を意味するものとする。
【0070】
これらの物質は、次式に相当することができる。
【化1】

ここで、R1は一般的に炭素原子22個までであって好ましくは炭素原子少なくとも12個の長さの飽和又は不飽和炭素鎖を表わし、R2、R3、R4及びR5は、すべて同一であって水素を表わすこともでき、また、R2がCH3基を表わし且つR3、R4及びR5が水素を表わすこともでき、nは0以外の整数であって、50までの範囲、より特定的には5〜15の範囲であることができ、これらの値は境界を含む。この界面活性剤は、上記の式においてR1がそれぞれ飽和若しくは不飽和であることができる物質の混合物、又は−CH2−CH2−O−基及び−CH(CH3)−CH2−O−基の両方を含む物質の混合物から成ることができる。
【0071】
界面活性剤は、2通りの方法で添加することができる。まず、先の加熱工程(c)から得られた沈殿懸濁液に直接界面活性剤を添加することができる。また、加熱を行った媒体から固体状沈殿を任意の既知の手段で分離した後に、この固体状沈殿に界面活性剤を添加することもできる。
【0072】
界面活性剤の使用量は、酸化物として計算した前記組成物の重量に対する添加剤の重量百分率として表わして、一般的に5%〜100%の範囲、より特定的には15%〜60%の範囲とする。
【0073】
懸濁した沈殿は、この懸濁液に例えばコロイドミル又は撹拌タービンを用いて剪断力を加えることによって、中庸エネルギーの微粉砕に付すことが可能である。
【0074】
上記の本発明の組成物又は上記の方法によって得られる本発明の組成物は、粉末の形で提供されるが、しかし随意に造形して可変寸法の粒体、球体、筒状体又はハニカムの形にすることもできる。これらの組成物は、触媒反応の分野において通常用いられる任意の担体、特に熱的に不活性な担体上に適用することができる。この担体は、アルミナ、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、シリカ、スピネル、ゼオライト、シリケート、結晶性シリコアルミニウムホスフェート又は結晶性アルミニウムホスフェートから選択することができる。
【0075】
前記組成物はまた、触媒系中に用いることもできる。これらの触媒系は、これらの組成物をベースとし且つ触媒特性を有するコーティング(ウォッシュコート)を例えば金属又はセラミックモノリスタイプの基材上に含むことができる。前記コーティングはそれ自体が上に挙げたもののタイプの担体を含むことができる。このコーティングは、前記組成物を前記担体と混合して、後に基材上に付着させることができる懸濁液を形成させることによって得られる。
【0076】
これらの触媒系及びより特定的には本発明の組成物は、多くの用途を有することができる。従って、これらは、様々な反応、例えば炭化水素若しくはその他の有機化合物の脱水、ヒドロ硫化、水素化脱窒素、脱硫、水素化脱硫、脱ハロゲン化水素、改質、水蒸気改質、クラッキング、水素化分解、水素化、脱水素、異性化、不均化、オキシ塩素化若しくは脱水素環化、酸化及び/若しくは還元反応、クラウス反応、内燃エンジンからの排気ガスの処理、脱金属、メタン化、シフト転化、COの酸化、低温(200℃未満、実際にはさらに100℃未満)酸化による空気浄化、リーンバーン条件下で運転しているディーゼルエンジンやガソリンエンジンのような内燃エンジンによって放出される煤の接触酸化のような反応を触媒するのに特に好適であり、かくしてそれらに利用可能である。
【0077】
触媒反応におけるこれらの用途の場合、本発明の組成物は、貴金属と組み合わせて用いることができる。これらの金属の性状及びこれらの組成物中に前記金属を組み込むための技術は、当業者によく知られている。例えば、前記金属は白金、ロジウム、パラジウム、金又はイリジウムであることができ、これらは特に含浸によって組成物中に組み込むことができる。
【0078】
上に挙げた用途の中で、内燃エンジンからの排気ガスの処理(自動車後燃え触媒作用)は、特に有利な用途である。かくして、本発明の組成物はこの場合、スリーウェイ触媒作用のために用いることができる。スリーウェイ触媒作用におけるこの用途の場合においてさらにより一層特定的には、前記組成物は、リーンバーン混合物を用いて運転しているガソリンエンジンからの排気ガスを処理するために、NOX(窒素酸化物)トラップと組み合わせて、例えばかかるトラップのスリーウェイ触媒作用層中に、用いることができる。本発明の組成物は、ディーゼルエンジン用の酸化触媒中に組み込むこともできる。
【0079】
この理由で、本発明はまた、非常に特定的には、前記の組成物又は触媒系を触媒として用いることを特徴とする、内燃エンジンからの排気ガスを処理する方法にも関する。
【0080】
その他の有利な用途は、一酸化炭素、エチレン、アルデヒド、アミン、メルカプタン又はオゾンタイプ、並びに一般的には揮発性有機化合物又は大気汚染物質、例えば脂肪酸、炭化水素、特に芳香族炭化水素、及び窒素酸化物(NO2を与えるためのNOの酸化のため)及び悪臭のある化合物のタイプの少なくとも1種の化合物を含む空気を、200℃より低い温度、さらに実際には100℃より低い温度において浄化する用途である。より特定的には、このタイプの化合物として、エタンチオール、吉草酸及びトリメチルアミンを挙げることができる。この処理は、処理すべき空気を上記の組成物若しくは触媒系又は上に詳細に記載した方法によって得られる組成物若しくは触媒系と接触させることによって実施される。
【実施例】
【0081】
以下、具体的な実施例を与えるが、これら実施例は本発明を限定するものではない。
【0082】
これらの実施例において、水素取込み能力は、以下の方法における温度プログラムされた還元によって測定する。前もって空気雰囲気中で1000℃において10時間焼成した200mgのサンプル及び石英反応器と共にMicromeritics Autochem 2920装置を用いる。気体はアルゴン中に10容量%の水素であり、その流量は25ミリリットル/分とする。周囲温度から900℃まで20℃/分の速度で昇温を行う。熱伝導度検出器によって信号を検出する。サンプルの中心部に置いた熱電対を用いて、上に挙げた最大還元性温度を測定する。
【0083】
動的OSCは、Altamira FSR装置を用いて測定する。前もって1000℃において10時間焼成した物質30mgを反応器に入れる。反応器の温度は300℃、350℃、400℃又は450℃に調節することができる。この反応器に所定量のCO(ヘリウム中5%)及びO2(ヘリウム中2.5%)を交互に1Hzの頻度で200ミリリットル/分の流量で注入する。このCO及びO2の含有率を質量分析計を用いて反応器の出口において分析する。
【0084】
OSCは、次の式から、組成物1g当たり及び1秒当たりのO2のミリリットル数(標準温度及び圧力条件下におけるもの)として表わされる。
OSC(ml・g-1・s-1)=[Δ(CO)×dCO]/[2×P]
ここで、Δ(CO)はそれぞれの注入において添加したCOの量を表わし、dCOはCO流量を表わし、Pはサンプルの重量を表わす。
【0085】
第1シリーズの例は第1の具体例に従う組成物に関し、第2シリーズの例は第2具体例に従う組成物に関する。
【0086】
例1
【0087】
この例は、酸化セリウム、酸化ジルコニウム及び酸化スズをベースとし、酸化物の重量割合がそれぞれ21.7%、73.8%及び4.6%である組成物の調製に関する。
【0088】
233gの硝酸ジルコニウム溶液(酸化物として表わして270g/リットル)、48gの硝酸セリウム(III)溶液(酸化物として表わして496g/リットル)及び7gの塩化スズ(IV)5水和物をビーカー中に導入して撹拌する。この混合物に次いで、セリウム、ジルコニウム及びスズ塩の溶液400ミリリットルが得られるように蒸留水を補充する。
【0089】
145ミリリットルのアンモニア水(14.8モル/リットル)及び49ミリリットルの30%過酸化水素水溶液(9.8モル/リットル) を反応器に導入して撹拌し、そしてこの混合物に次いで、400ミリリットルの合計容量が得られるように蒸留水を補充する。
【0090】
この反応器に、撹拌を続けながら、前記のセリウム、ジルコニウム及びスズ塩の溶液を段階的に導入する。
【0091】
こうして得られた懸濁液を遠心分離によって篩にかけ、次いで600ミリリットルの蒸留水で2回洗浄する。この沈殿を次いでpH10の水溶液600ミリリットル中に再び懸濁させる。
【0092】
得られた溶液を、撹拌機を備えたステンレス鋼製オートクレーブ中に入れる。媒体の温度を150℃にして、2時間撹拌する。
【0093】
得られた懸濁液を遠心分離によって篩にかけ、次いで600ミリリットルの蒸留水で2回洗浄する。
【0094】
得られた生成物を次いで乾燥器中で110℃において一晩乾燥させ、最後に定常条件下で500℃において4時間焼成する。
【0095】
その後の様々な温度における焼成後に得られた比表面積を以下に示す。
4時間、700℃=76m2/g
4時間、900℃=42m2/g
10時間、1000℃=15m2/g
【0096】
例2
【0097】
この例は、酸化セリウム、酸化ジルコニウム及び酸化スズをベースとし、酸化物の重量割合がそれぞれ42.6%、53.1%及び4.3%である組成物の調製に関する。
【0098】
167gの硝酸ジルコニウム溶液(酸化物として表わして270g/リットル)、95gの硝酸セリウム(III)溶液(酸化物として表わして496g/リットル)及び6.5gの塩化スズ(IV)5水和物をビーカー中に導入して撹拌する。この混合物に次いで、セリウム、ジルコニウム及びスズ塩の溶液400ミリリットルが得られるように蒸留水を補充する。
【0099】
156ミリリットルのアンモニア水(14.8モル/リットル)及び97ミリリットルの30%過酸化水素水溶液(9.8モル/リットル)を反応器に導入して撹拌し、そしてこの混合物に次いで、400ミリリットルの合計容量が得られるように蒸留水を補充する。
【0100】
その後は、例1におけるように操作を実施する。
【0101】
その後の様々な温度における焼成後に得られた比表面積を以下に示す。
4時間、700℃=81m2/g
4時間、900℃=31m2/g
10時間、1000℃=9m2/g
【0102】
例3
【0103】
この例は、酸化セリウム、酸化ジルコニウム及び酸化スズをベースとし、酸化物の重量割合がそれぞれ57.8%、38.1%及び4.1%である組成物の調製に関する。
【0104】
120gの硝酸ジルコニウム溶液(酸化物として表わして270g/リットル)、128gの硝酸セリウム(III)溶液(酸化物として表わして496g/リットル)及び6.2gの塩化スズ(IV)5水和物をビーカー中に導入して撹拌する。この混合物に次いで、セリウム、ジルコニウム及びスズ塩の溶液400ミリリットルが得られるように蒸留水を補充する。
【0105】
164ミリリットルのアンモニア水(14.8モル/リットル)及び132ミリリットルの30%過酸化水素水溶液(9.8モル/リットル)を反応器に導入して撹拌し、そしてこの混合物に次いで、400ミリリットルの合計容量が得られるように蒸留水を補充する。
【0106】
その後は、例1におけるように操作を実施する。
【0107】
その後の様々な温度における焼成後に得られた比表面積を以下に示す。
4時間、700℃=77m2/g
4時間、900℃=33m2/g
10時間、1000℃=6m2/g
【0108】
例4(比較例)
【0109】
この例は、酸化セリウム及び酸化ジルコニウムをベースとし、酸化物の重量割合がそれぞれ20%及び80%である組成物の調製に関する。
【0110】
252gの硝酸ジルコニウム溶液(酸化物として表わして270g/リットル)及び44gの硝酸セリウム(III)溶液(酸化物として表わして496g/リットル)をビーカー中に導入して撹拌する。この混合物に次いで、セリウム及びジルコニウム塩の溶液400ミリリットルが得られるように蒸留水を補充する。
【0111】
137ミリリットルのアンモニア水(14.8モル/リットル)及び45ミリリットルの30%過酸化水素水溶液(9.8モル/リットル)を反応器に導入して撹拌し、そしてこの混合物に次いで、400ミリリットルの合計容量が得られるように蒸留水を補充する。
【0112】
その後は、例1におけるように操作を実施する。
【0113】
その後の様々な温度における焼成後に得られた比表面積を以下に示す。
4時間、700℃=72m2/g
4時間、900℃=36m2/g
10時間、1000℃=7m2/g
【0114】
1000℃において10時間の焼成後に得られた組成物の様々な特徴を下記の表1に与える。
【0115】
この表において、「TPR<500℃」の欄中の数値は、水素取込み能力の測定の際に1つ又は2つの還元性ピークの存在が検出された温度を示す。この欄に数値がないということは、500℃未満の温度においてピークが検出されなかったことを意味する。「TPR最大」の欄は、最大還元性ピークが検出された温度を示す。
【0116】
「OSC」の欄は、上記の方法に従って400℃において測定した酸素貯蔵能の値を与える。
【0117】
【表1】

【0118】
組成物2及び3は300℃においてそれぞれ0.26又は0.11ml・g-1・s-1のOSCを示した。
【0119】
以下の例は、第2の具体例に従う組成物に関する。
【0120】
例5
【0121】
この例は、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化スズ及び酸化ランタンをベースとし、酸化物の重量割合がそれぞれ21.4%、69.4%、4.4%及び4.8%である組成物の調製に関する。
【0122】
219gの硝酸ジルコニウム溶液(酸化物として表わして270g/リットル)、48gの硝酸セリウム(III)溶液(酸化物として表わして496g/リットル)、11gの硝酸ランタン溶液(酸化物として表わして450g/リットル)及び6.7gの塩化スズ(IV)5水和物をビーカー中に導入して撹拌する。この混合物に次いで、セリウム、ジルコニウム、ランタン及びスズ塩の溶液400ミリリットルが得られるように蒸留水を補充する。
【0123】
138.5ミリリットルのアンモニア水(14.8モル/リットル)及び49ミリリットルの30%過酸化水素水溶液(9.8モル/リットル)を反応器に導入して撹拌し、そしてこの混合物に次いで、400ミリリットルの合計容量が得られるように蒸留水を補充する。
【0124】
この反応器に、撹拌を続けながら、前記のセリウム、ジルコニウム及びスズ塩の溶液を段階的に導入する。
【0125】
こうして得られた懸濁液を遠心分離によって篩にかけ、次いで600ミリリットルの蒸留水で2回洗浄する。この沈殿を次いでpH10の水溶液600ミリリットル中に再び懸濁させる。
【0126】
得られた溶液を、撹拌機を備えたステンレス鋼製オートクレーブ中に入れる。媒体の温度を150℃にして、2時間撹拌する。
【0127】
得られた懸濁液を遠心分離によって篩にかけ、次いで600ミリリットルの蒸留水で2回洗浄する。
【0128】
得られた生成物を次いで乾燥器中で110℃において一晩乾燥させ、最後に定常条件下で500℃において4時間焼成する。
【0129】
その後の様々な温度における焼成後に得られた比表面積を以下に示す。
4時間、700℃=103m2/g
4時間、900℃=62m2/g
10時間、1000℃=30m2/g
10時間、1100℃=11m2/g
【0130】
例6
【0131】
この例は、界面活性剤を用いる本方法の別態様に従った例5の組成物の調製に関する。
【0132】
操作は、150℃におけるオートクレーブ中での処理の後に得られた沈殿を遠心分離によって篩にかけて得られた沈殿を600ミリリットルの蒸留水で2回洗浄するまでは、例5におけるのと同様に実施する。この沈殿50gを取り出す。
【0133】
同時に、以下の条件下でラウリン酸アンモニウムゲルを調製した:68ミリリットルのアンモニア水(12モル/リットル)及び250ミリリットルの蒸留水中に125gのラウリン酸を導入し、次いでこの混合物をスパチュラを用いて均質化する。
【0134】
このゲル15gを前記沈殿50gに添加し、次いで一緒にした混合物を均質ペーストが得られるまで混練する。
【0135】
得られた生成物を次いで定常条件下で500℃において4時間焼成する。
【0136】
その後の様々な温度における焼成後に得られた比表面積を以下に示す。
4時間、900℃=73m2/g
10時間、1000℃=45m2/g
10時間、1100℃=13m2/g
【0137】
例7
【0138】
この例は、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化スズ及び酸化ネオジムをベースとし、酸化物の重量割合がそれぞれ21.4%、69.3%、4.4%及び4.9%である組成物の調製に関する。
【0139】
218gの硝酸ジルコニウム溶液(酸化物として表わして270g/リットル)、47gの硝酸セリウム(III)溶液(酸化物として表わして496g/リットル)、11gの硝酸ネオジム溶液(酸化物として表わして524g/リットル)及び6.7gの塩化スズ(IV)5水和物をビーカー中に導入して撹拌する。この混合物に次いで、セリウム、ジルコニウム、ネオジム及びスズ塩の溶液400ミリリットルが得られるように蒸留水を補充する。
【0140】
147.5ミリリットルのアンモニア水(14.8モル/リットル)及び49ミリリットルの30%過酸化水素水溶液(9.8モル/リットル)を反応器に導入して撹拌し、そしてこの混合物に次いで、400ミリリットルの合計容量が得られるように蒸留水を補充する。
【0141】
その後は、例5におけるように操作を実施する。
【0142】
その後の様々な温度における焼成後に得られた比表面積を以下に示す。
4時間、700℃=95m2/g
4時間、900℃=55m2/g
10時間、1000℃=24m2/g
10時間、1100℃=6m2/g
【0143】
例8
【0144】
この例は、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化スズ及び酸化イットリウムをベースとし、酸化物の重量割合がそれぞれ21.7%、70.4%、4.5%及び3.4%である組成物の調製に関する。
【0145】
222gの硝酸ジルコニウム溶液(酸化物として表わして270g/リットル)、48gの硝酸セリウム(III)溶液(酸化物として表わして496g/リットル)、10gの硝酸イットリウム溶液(酸化物として表わして354g/リットル)及び6.8gの塩化スズ(IV)5水和物をビーカー中に導入して撹拌する。この混合物に次いで、セリウム、ジルコニウム、イットリウム及びスズ塩の溶液400ミリリットルが得られるように蒸留水を補充する。
【0146】
150ミリリットルのアンモニア水(14.8モル/リットル)及び49.5ミリリットルの30%過酸化水素水溶液(9.8モル/リットル)を反応器に導入して撹拌し、そしてこの混合物に次いで、400ミリリットルの合計容量が得られるように蒸留水を補充する。
【0147】
その後は、例5におけるように操作を実施する。
【0148】
その後の様々な温度における焼成後に得られた比表面積を以下に示す。
4時間、700℃=90m2/g
4時間、900℃=44m2/g
10時間、1000℃=15m2/g
10時間、1100℃=1.5m2/g
【0149】
例9
【0150】
この例は、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化スズ及び酸化ランタンをベースとし、酸化物の重量割合がそれぞれ41.4%、50.0%、4.1%及び4.5%である組成物の調製に関する。
【0151】
158gの硝酸ジルコニウム溶液(酸化物として表わして270g/リットル)、92gの硝酸セリウム(III)溶液(酸化物として表わして496g/リットル)、11gの硝酸ランタン溶液(酸化物として表わして450g/リットル)及び6.2gの塩化スズ(IV)5水和物をビーカー中に導入して撹拌する。この混合物に次いで、セリウム、ジルコニウム、ランタン及びスズ塩の溶液400ミリリットルが得られるように蒸留水を補充する。
【0152】
158ミリリットルのアンモニア水(14.8モル/リットル)及び94ミリリットルの30%過酸化水素水溶液(9.8モル/リットル)を反応器に導入して撹拌し、そしてこの混合物に次いで、400ミリリットルの合計容量が得られるように蒸留水を補充する。
【0153】
その後は、例5におけるように操作を実施する。
【0154】
その後の様々な温度における焼成後に得られた比表面積を以下に示す。
4時間、700℃=91m2/g
4時間、900℃=44m2/g
10時間、1000℃=22m2/g
10時間、1100℃=4.5m2/g
【0155】
例10
【0156】
この例は、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化スズ及び酸化ランタンをベースとし、酸化物の重量割合がそれぞれ56.3%、35.5%、3.9%及び4.3%である組成物の調製に関する。
【0157】
112gの硝酸ジルコニウム溶液(酸化物として表わして270g/リットル)、125gの硝酸セリウム(III)溶液(酸化物として表わして496g/リットル)、10gの硝酸ランタン溶液(酸化物として表わして450g/リットル)及び6gの塩化スズ(IV)5水和物をビーカー中に導入して撹拌する。この混合物に次いで、セリウム、ジルコニウム、ランタン及びスズ塩の溶液400ミリリットルが得られるように蒸留水を補充する。
【0158】
166ミリリットルのアンモニア水(14.8モル/リットル)及び128ミリリットルの30%過酸化水素水溶液(9.8モル/リットル)を反応器に導入して撹拌し、そしてこの混合物に次いで、400ミリリットルの合計容量が得られるように蒸留水を補充する。
【0159】
例11
【0160】
この例は、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化スズ及び酸化ランタンをベースとし、酸化物の重量割合がそれぞれ69.8%、22.3%、3.8%及び4.1%である組成物の調製に関する。
【0161】
70gの硝酸ジルコニウム溶液(酸化物として表わして270g/リットル)、155gの硝酸セリウム(III)溶液(酸化物として表わして496g/リットル)、10gの硝酸ランタン溶液(酸化物として表わして450g/リットル)及び5.8gの塩化スズ(IV)5水和物をビーカー中に導入して撹拌する。この混合物に次いで、セリウム、ジルコニウム、ランタン及びスズ塩の溶液400ミリリットルが得られるように蒸留水を補充する。
【0162】
173ミリリットルのアンモニア水(14.8モル/リットル)及び159ミリリットルの30%過酸化水素水溶液(9.8モル/リットル)を反応器に導入して撹拌し、そしてこの混合物に次いで、400ミリリットルの合計容量が得られるように蒸留水を補充する。
【0163】
その後は、例5におけるように操作を実施する。
【0164】
その後の様々な温度における焼成後に得られた比表面積を以下に示す。
4時間、700℃=82m2/g
4時間、900℃=36m2/g
10時間、1000℃=15m2/g
10時間、1100℃=4.5m2/g
【0165】
例12
【0166】
この例は、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化スズ及び酸化ランタンをベースとし、酸化物の重量割合がそれぞれ21.2%、65.3%、8.8%及び4.7%である組成物の調製に関する。
【0167】
206gの硝酸ジルコニウム溶液(酸化物として表わして270g/リットル)、47gの硝酸セリウム(III)溶液(酸化物として表わして496g/リットル)、11gの硝酸ランタン溶液(酸化物として表わして450g/リットル)及び13.4gの塩化スズ(IV)5水和物をビーカー中に導入して撹拌する。この混合物に次いで、セリウム、ジルコニウム、ランタン及びスズ塩の溶液400ミリリットルが得られるように蒸留水を補充する。
【0168】
154ミリリットルのアンモニア水(14.8モル/リットル)及び48ミリリットルの30%過酸化水素水溶液(9.8モル/リットル)を反応器に導入して撹拌し、そしてこの混合物に次いで、400ミリリットルの合計容量が得られるように蒸留水を補充する。
【0169】
その後は、例5におけるように操作を実施する。
【0170】
その後の様々な温度における焼成後に得られた比表面積を以下に示す。
4時間、700℃=100m2/g
4時間、900℃=60m2/g
10時間、1000℃=29m2/g
10時間、1100℃=8m2/g
【0171】
例13
【0172】
この例は、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化スズ及び酸化プラセオジムをベースとし、酸化物の重量割合がそれぞれ21.1%、69.5%、4.3%及び5.1%である組成物の調製に関する。
【0173】
216gの硝酸ジルコニウム溶液(酸化物として表わして299g/リットル)、76gの硝酸セリウム(IV)溶液(酸化物として表わして255g/リットル)、11gの硝酸プラセオジム溶液(酸化物として表わして543g/リットル)及び6.5gの塩化スズ(IV)5水和物をビーカー中に導入して撹拌する。この混合物に次いで、セリウム、ジルコニウム、プラセオジム及びスズ塩の溶液400ミリリットルが得られるように蒸留水を補充する。
【0174】
109ミリリットルのアンモニア水(14.8モル/リットル)を反応器に導入して撹拌し、そしてこの混合物に次いで、400ミリリットルの合計容量が得られるように蒸留水を補充する。
【0175】
この反応器に、撹拌を続けながら、前記のセリウム、ジルコニウム、プラセオジム及びスズ塩の溶液を段階的に導入する。
【0176】
こうして得られた懸濁液を真空濾過によって濾過し、次いで600ミリリットルの蒸留水で2回洗浄する。この沈殿を次いでpH10の水溶液600ミリリットル中に再び懸濁させる。
【0177】
得られた溶液を、撹拌機を備えたステンレス鋼製オートクレーブ中に入れる。媒体の温度を150℃にして、2時間撹拌する。
【0178】
得られた懸濁液を真空濾過によって濾過し、次いで600ミリリットルの蒸留水で2回洗浄する。
【0179】
得られた生成物を次いで乾燥器中で110℃において一晩乾燥させ、最後に定常条件下で500℃において4時間焼成する。
【0180】
その後の様々な温度における焼成後に得られた比表面積を以下に示す。
4時間、700℃=92m2/g
4時間、900℃=60m2/g
10時間、1000℃=34m2/g
10時間、1100℃=11m2/g
【0181】
例14
【0182】
この例は、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化スズ及び酸化ランタンをベースとし、酸化物の重量割合がそれぞれ21.5%、72.6%、1.1%及び4.8%である組成物の調製に関する。これはスズ含有率が低い組成物である。
【0183】
225gの硝酸ジルコニウム溶液(酸化物として表わして299g/リットル)、77gの硝酸セリウム(IV)溶液(酸化物として表わして255g/リットル)、11gの硝酸ランタン溶液(酸化物として表わして450g/リットル)及び1.7gの塩化スズ(IV)5水和物をビーカー中に導入して撹拌する。この混合物に次いで、セリウム、ジルコニウム、ランタン及びスズ塩の溶液400ミリリットルが得られるように蒸留水を補充する。
【0184】
111ミリリットルのアンモニア水(14.8モル/リットル)を反応器に導入して撹拌し、そしてこの混合物に次いで、400ミリリットルの合計容量が得られるように蒸留水を補充する。
【0185】
その後は、例13におけるように操作を実施する。
【0186】
その後の様々な温度における焼成後に得られた比表面積を以下に示す。
4時間、700℃=95m2/g
4時間、900℃=65m2/g
10時間、1000℃=40m2/g
10時間、1100℃=15m2/g
【0187】
例15
【0188】
この例は、界面活性剤及び硝酸セリウム(IV)溶液を用いる本方法の別態様に従った例5の組成物の調製に関する。
【0189】
215gの硝酸ジルコニウム溶液(酸化物として表わして299g/リットル)、77gの硝酸セリウム(IV)溶液(酸化物として表わして255g/リットル)、11gの硝酸ランタン溶液(酸化物として表わして450g/リットル)及び6.7gの塩化スズ(IV)5水和物をビーカー中に導入して撹拌する。この混合物に次いで、セリウム、ジルコニウム、ランタン及びスズ塩の溶液400ミリリットルが得られるように蒸留水を補充する。
【0190】
113ミリリットルのアンモニア水(14.8モル/リットル)を反応器に導入して撹拌し、そしてこの混合物に次いで、400ミリリットルの合計容量が得られるように蒸留水を補充する。
【0191】
この反応器に、撹拌を続けながら、前記のセリウム、ジルコニウム、ランタン及びスズ塩の溶液を段階的に導入する。
【0192】
こうして得られた懸濁液を真空濾過によって濾過し、次いで600ミリリットルの蒸留水で2回洗浄する。この沈殿を次いでpH10の水溶液600ミリリットル中に再び懸濁させる。
【0193】
得られた溶液を、撹拌機を備えたステンレス鋼製オートクレーブ中に入れる。媒体の温度を150℃にして、2時間撹拌する。
【0194】
得られた懸濁液を真空濾過によって濾過し、次いで600ミリリットルの蒸留水で2回洗浄する。
【0195】
濾過ケーク50gを取り出す。
【0196】
同時に、以下の条件下でラウリン酸アンモニウムゲルを調製した:68ミリリットルのアンモニア水(12モル/リットル)及び250ミリリットルの蒸留水中に125gのラウリン酸を導入し、次いでこの混合物をスパチュラを用いて均質化する。
【0197】
このゲル15gを前記沈殿50gに添加し、次いで一緒にした混合物を均質ペーストが得られるまで混練する。
【0198】
得られた生成物を次いで乾燥器中で110℃において一晩乾燥させ、最後に定常条件下で500℃において4時間焼成する。
【0199】
その後の様々な温度における焼成後に得られた比表面積を以下に示す。
4時間、700℃=94m2/g
4時間、900℃=67m2/g
10時間、1000℃=44m2/g
10時間、1100℃=20m2/g
10時間、1200℃=4m2/g
【0200】
この組成物を500℃において焼成した後の塩素含有率は30ppm未満だった。
【0201】
例16
【0202】
この例は、界面活性剤を用い且つスズ前駆体とのしてシュウ酸第一スズを用いた本方法の別態様に従った例5の組成物の調製に関する。
【0203】
215.5gの硝酸ジルコニウム溶液(酸化物として表わして299g/リットル)、77gの硝酸セリウム(IV)溶液(酸化物として表わして255g/リットル)、11.5gの硝酸ランタン溶液(酸化物として表わして450g/リットル)及び3.9gのシュウ酸第一スズ塩化スズ(IV)5水和物をビーカー中に導入して撹拌する。この混合物に次いで、セリウム、ジルコニウム、ランタン及びスズ塩の溶液400ミリリットルが得られるように蒸留水を補充する。
【0204】
109ミリリットルのアンモニア水(14.8モル/リットル)及び20ミリリットルの30%過酸化水素水溶液(9.8モル/リットル)を反応器に導入して撹拌し、そしてこの混合物に次いで、400ミリリットルの合計容量が得られるように蒸留水を補充する。
【0205】
その後は、洗浄操作の際にちょうど1容量の水を用いたことを除いて、例15におけるように操作を実施する。
【0206】
その後の様々な温度における焼成後に得られた比表面積を以下に示す。
4時間、700℃=100m2/g
4時間、900℃=67m2/g
10時間、1000℃=44m2/g
10時間、1100℃=18m2/g
【0207】
得られた組成物の様々な特徴を、下記の表2に与える。
【0208】
【表2】

* この欄中の括弧内の値は、1100℃において10時間の焼成後の比表面積値である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化ジルコニウム及び酸化セリウムをベースとする組成物であって、酸化スズを酸化物の重量として表わして25重量%までの割合で含むことを特徴とする、前記組成物。
【請求項2】
酸化スズを酸化物の重量として表わして20重量%まで、より特定的には10重量%までの割合で含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
酸化スズを酸化物の重量として表わして5重量%までの割合で含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
Ce/Zrのモル比が0.10〜4の範囲、より特定的には0.15〜2.25の範囲であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
セリウム以外の希土類金属の酸化物少なくとも1種を追加的に含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記希土類金属の酸化物の割合が35%まで、より特定的には10%までであることを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記希土類金属がイットリウム、ランタン、ネオジム及びプラセオジムから選択されることを特徴とする、請求項5又は6に記載の組成物。
【請求項8】
500℃より低い温度において少なくとも1つの還元性ピークを示すことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
400℃において少なくとも0.3ミリリットルO2/g/秒のOSCを示すことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
400℃において少なくとも0.35ミリリットルO2/g/秒、より特定的には少なくとも1ミリリットルO2/g/秒のOSCを示すことを特徴とする、請求項5〜8のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも0.5のCe/Zr比及び300℃において少なくとも0.1ミリリットルO2/g/秒のOSCを示すことを特徴とする、請求項1〜4及び9のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
前記のセリウム以外の希土類金属がイットリウムではないこと、及び300℃において少なくとも 0.2ミリリットルO2/g/秒、より特定的には少なくとも0.4のミリリットルO2/g/秒のOSCを示すことを特徴とする、請求項5〜8及び10のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも1のCe/Zr比及び1000℃において10時間の焼成後に少なくとも5m2/gの比表面積、又は1より小さいCe/Zr比及び1000℃において10時間の焼成後に少なくとも8m2/gの比表面積のいずれかを示すことを特徴とする、請求項1〜4及び9のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
少なくとも1のCe/Zr比及び1000℃において10時間の焼成後に少なくとも5m2/gの比表面積、又は1より小さいCe/Zr比及び1000℃において10時間の焼成後に少なくとも15m2/gの比表面積のいずれかを示すことを特徴とする、請求項5〜8及び10のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の組成物の製造方法であって、
(a)ジルコニウムの化合物、セリウムの化合物、スズの化合物及び随意としての前記希土類金属の化合物を含む混合物を形成させる工程;
(b)前記混合物を塩基性化合物と接触させて沈殿を得る工程;
(c)前記沈殿を水性媒体中で加熱する工程;
(d)こうして得られた沈殿を焼成する工程:
を含むことを特徴とする、前記製造方法。
【請求項16】
前記工程(c)と前記焼成工程(d)との間に、工程(c)から得られる沈殿にアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、ポリエチレングリコール並びにカルボン酸及びそれらの塩並びに脂肪アルコールのカルボキシメチル化エトキシラートのタイプの界面活性剤から選択される添加剤を添加する追加工程を含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ジルコニウムの化合物、セリウムの化合物、スズの化合物及び前記希土類金属の化合物として硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物又は第二セリウムアンモニウム硝酸塩を用いることを特徴とする、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
工程(a)の混合物中にCe(III)の形のセリウムの化合物及び/又はスズ(II)化合物を用いること、並びに工程(a)又は工程(b)の際、特に後者の最後に酸化剤を添加することを特徴とする、請求項15〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
工程(c)の沈殿の加熱を少なくとも100℃の温度において実施することを特徴とする、請求項15〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
請求項1〜14のいずれかに記載の組成物を含むことを特徴とする、触媒系。
【請求項21】
請求項20に記載の触媒系又は請求項1〜14のいずれかに記載の組成物を触媒として用いることを特徴とする、内燃エンジンからの排気ガスの処理方法。
【請求項22】
一酸化炭素、アルデヒド、アミン、メルカプタン、オゾン及び揮発性有機化合物又は大気汚染物質{例えば脂肪酸、炭化水素、特に芳香族炭化水素、窒素酸化物(NO2を与えるためのNOの酸化のため)及び悪臭のある化合物}のタイプの少なくとも1種の化合物を含む空気を浄化する方法であって、前記空気を請求項20に記載の触媒系又は請求項1〜14のいずれかに記載の組成物と接触させることを特徴とする、前記方法。

【公表番号】特表2007−527845(P2007−527845A)
【公表日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502373(P2007−502373)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【国際出願番号】PCT/FR2005/000593
【国際公開番号】WO2005/100249
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(390023135)ロディア・シミ (146)
【Fターム(参考)】