説明

スイッチャ制御装置、スイッチャ制御方法および画像合成装置

【課題】エフェクト・スイッチャを用いたシステムに関して、全体の機能低下を起こさずに、カメラの撮影状態に応じた画像重畳を経済的に実現する。
【解決手段】(a)コントローラ110は、各カメラの撮影状態(位置、角度、ズーム値等)を制御する。(b)コントローラ110は、スイッチャ41に指示を送り、例えばあるカメラからの画像を選択させる。(c)カメラ46-1,46-2は、位置、角度、ズーム値等の変更が終わると、現在のそれらの値をコントローラ110に送る。(d)コントローラ110は、カメラの撮影状態情報に基づいて、重畳判断、重畳位置算出を行う。この重畳判断、重畳位置算出は、スイッチャ41でカメラからの画像を背景画像として使うと共に、それに対応する重畳画像を扱うように設定されている場合に行われる。(e)コントローラ110は、重畳および重畳位置の指示をスイッチャ41に送る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スイッチャ制御装置、スイッチャ制御方法および画像合成装置に関する。詳しくは、この発明は、エフェクト・スイッチャが背景画像としてカメラの撮影画像を選択しているとき、このカメラの角度およびズーム値の情報に基づいてカメラの撮影画像に重畳画像を重畳するか否かを判断し、その結果に応じてエフェクト・スイッチャに重畳の指示を行う構成とすることにより、全体の機能低下を起こさずに、撮影状態に応じた画像重畳を経済的に実現し得るスイッチャ制御装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
スポーツの中継放送などにおいて、競技場や選手の説明、あるいは解説者の意見などを示すために、中継画面の中に字幕、線などの図形を重畳することがある。字幕を重畳することは従来から行われている技術である。しかし、選手の位置などは刻一刻と変化し、また解説のための図形描画もその瞬間の画像に合わせて行う必要がある。
【0003】
このような重畳画像の生成にはCG(Computer Graphics)装置が使われ、それを中継画像の上に重ねる処理はエフェクト・スイッチャなどと呼ばれるスタジオ装置で行われることが多い。エフェクト・スイッチャ中で画像の重畳を扱う回路はキーヤーと呼ばれる。エフェクト・スイッチャには、通常、複数のキーヤーが設けられている。
【0004】
従来、生放送などの運用には、カメラの操作者、CG装置の操作者、エフェクト・スイッチャの操作者、オーディオミキサの操作者、画像素材の編集者、ニュースとの切り換え管理者など、多数の人員が配置されている。近年は、このような他種類の装置を一つのコンピュータシステムから制御し、省力化を進める技術が開発されてきている。
【0005】
特許文献1には、カメラのパン・チルトおよびズームの値が所定の条件に当てはまる場合に、カメラの撮影画像に、予め蓄積された文字・図形情報を重畳する、ことが記載されている。
【特許文献1】特開平4−157882公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
放送システムにおいて、画像の選択、重畳や特殊効果などの処理は、エフェクト・スイッチャなどの機器で集中的に処理されるのが一般的となっている。例えば、上述の特許文献1に記載のカメラ撮影画像に文字・図形情報を重畳する技術の適用に当たって、エフェクト・スイッチャ中の一部回路を専有することが考えられる。その場合、カメラの撮影画像を使用しない場合も、その一部回路を他の用途に使用できず、全体では機能低下となる。
【0007】
また、例えば、上述の特許文献1に記載のカメラ撮影画像に文字・図形情報を重畳する技術の適用に当たって、エフェクト・スイッチャとは別個にカメラ用の画像重畳装置を設けることが考えられる。その場合、カメラの撮影画像が使われるのは運用のごく一部であるにもかかわらず、そのために費用が掛かるものとなる。
【0008】
この発明の目的は、エフェクト・スイッチャを用いたシステムに関して、全体の機能低下を起こさずに、カメラの撮影状態に応じた画像重畳を経済的に実現することにある。また、この発明の他の目的は、画像の重畳位置の調整を自動化し、放送システムの運用に必要な人員を削減してコストを減らし、さらに重畳位置の手動操作による誤操作の危険を減らすことにある。また、この発明のさらに他の目的は、複数のカメラによる運用において、適切な重畳を経済的に実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の概念は、
カメラと、
画像の合成を行うエフェクト・スイッチャと、
上記エフェクト・スイッチャの動作を制御する制御部を備え、
上記制御部は、
上記エフェクト・スイッチャが背景画像として上記カメラの撮影画像を選択しているとき、上記カメラの角度およびズーム値の情報に基づいて、上記カメラの撮影画像に重畳画像を重畳するか否かを判断し、該判断結果に基づいて上記エフェクト・スイッチャに上記重畳画像の重畳を指示する
画像合成装置にある。
【0010】
この発明において、エフェクト・スイッチャにより画像の合成が行われる。このエフェクト・スイッチャの動作は制御部により制御される。カメラの撮影画像は、このエフェクト・スイッチャにより、例えば背景画像として選択される。
【0011】
エフェクト・スイッチャが背景画像としてカメラの撮影画像を選択しているとき、制御部では、カメラの角度(パン、チルトの方向)およびズーム値の情報に基づいて、カメラの撮影画像に重畳画像を重畳するか否かが判断される。例えば、カメラの撮像画像の中に対象物が入っている場合には、重畳画像を重畳するものと判断される。ここで、重畳画像は、例えば対象物が人物である場合はその人物の名前等とされる。
【0012】
カメラの撮像画像の中に対象物が入っているか否かの判断には、カメラの角度およびズーム値の情報の他に、例えば、対象物の位置情報およびカメラの位置情報が使用される。この場合、カメラが移動可能なカメラである場合には、カメラの移動位置の情報が使用される。
【0013】
制御部(スイッチャ制御装置)では、上述の判断結果に基づいて、エフェクト・スイッチャに、重畳画像の重畳が指示される。例えば、複数のカメラが存在する場合、制御部には、各カメラの撮影画像のそれぞれに重畳すべき重畳画像の情報が保持される。この場合、エフェクト・スイッチャが複数のカメラのうち所定のカメラの撮影画像を選択しているとき、エフェクト・スイッチャに、この所定のカメラの撮影画像に重畳すべき重畳画像の重畳が指示される。
【0014】
制御部によるエフェクト・スイッチャの動作の制御は、例えば、番組送出プログラム(キューシート=プレイリスト)に基づいて行われる。そして、この番組送出プログラムには、エフェクト・スイッチャが背景画像としてカメラの撮影画像を選択しているときに、当該カメラの撮影状態(位置、角度、ズーム値等)の情報に基づいてエフェクト・スイッチャに重畳画像の重畳を指示すること、が記憶される。
【0015】
このように、この発明においては、エフェクト・スイッチャが背景画像としてカメラの撮影画像を選択しているとき、制御部により重畳画像を重畳するか否かが自動的に判断され、その判断結果に基づいてエフェクト・スイッチャに重畳の指示が与えられる。この場合、カメラの撮影画像に重畳画像を重畳するためにエフェクト・スイッチャ中の一部回路が専有されるものでなく、必要な場合のみ使用される。また、この場合、エフェクト・スイッチャとは別個にカメラ用の画像重畳装置を設けるものでもない。そのため、全体の機能低下を起こさずに、カメラの撮影状態に応じた画像重畳を経済的に実現できる。
【0016】
また、この発明においては、エフェクト・スイッチャが複数のカメラのうち所定のカメラの撮影画像を選択しているとき、この所定のカメラの撮影状態(位置、角度、ズーム値等)の情報に基づいて、カメラの撮影画像に重畳画像を重畳するか否かが判断される。そして、エフェクト・スイッチャには、この判断結果に基づいて、この所定のカメラの撮影画像に重畳すべき重畳画像の重畳が指示される。そのため、複数のカメラの運用においても、適切な重畳を経済的に実現できる。
【0017】
この発明において、例えば、制御部は、さらに、カメラの角度およびズーム値の情報に基づいて、重畳画像の重畳位置を算出し、この算出結果に基づいて、エフェクト・スイッチャに重畳画像の重畳位置を指示してもよい。この場合、画像の重畳位置の調整が自動化されることから、放送システムの運用に必要な人員を削減してコストを減らし、さらに重畳位置の手動操作による誤操作の危険を減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下、「実施の形態」とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.変形例
【0019】
<1.実施の形態>
[番組送出制御システムの構成例]
図1は、実施の形態としての番組送出制御システム100の構成例を示している。この番組送出制御システム100は、Automation制御ブロック10と、ニュースルームコントロールシステム(NRCS:News Room Computer System)ブロック20と、MOS機器ブロック30と、Automation制御機器ブロック40とを有している。
【0020】
制御ブロック10は、複数の構成からなるプレイリスト(キューシート)に基づいて番組送出を制御する。ここで、プレイリストは番組送出プログラムを構成し、このプレイリストの各キュー(各構成)は番組送出プログラムの各項目に対応する。NRCSブロック20は、取材手配から素材発注、番組構成作成まで、ニュース番組に関する管理運営を行う。MOS( Media Object Server)機器ブロック30には、NRCSブロック20にネットワーク(MOS Protocol)接続された、プレイアウトサーバ(Play OutServer)31、CG/スチルストア32等が配されている。制御機器ブロック40には、制御ブロック10に接続された、スイッチャ(Switcher)41、デバイスコントロールユニット(DCU)42、ビデオクリップサーバ(Clip Server)43、オーディオクリップサーバ(Audio ClipServer)44が配されている。また、制御機器ブロック40には、ビデオテープレコーダ(VTR)45、遠隔制御カメラ(Robotics Camera)46、オーディオミキサ(Audio Mixer)47が配されている。
【0021】
NRCSブロック20は、MOSプロトコルのNRCSネットワークを介して、制御ブロック10およびMOS機器ブロック30に接続されている。MOSプロトコルは、主に、NRCSからニュースルームに置かれているビデオ系サーバをリモートコントロールするためのプロトコルであって、XML(Extensible Markup Language)ベースで独自拡張タグが許されている。
【0022】
NRCSクライアント上には、Automation用プラグイン(NRCS Plug-in)とプレイリストビューア(Playlist Viewer)がインストールされている。MOS機器ブロック30の各MOS機器に対して、Automation制御機器ブロック40のデバイスコントロールユニット42から、Tally/GPI等のトリガ(Trigger)によりオンエアタイミングが発行される。
【0023】
ここで、プレイアウトサーバ31は、日々入れ替わる素材をストアしておくビデオサーバであって、編集用途に使用されるため高機能が求められる。また、このプレイアウトサーバ31は、プレイリストとMOSインタフェースを持っている。プレイアウトサーバ31は、素材のフィードや編集を迅速に行う必要があるため、ビデオクリップサーバ43よりも性能の高いサーバが使用されることが多い。なお、プレイアウトサーバ31の種類によっては、続けて同じチャネルを使用して異なる素材を出力することが不可能なため、それを考慮したチャネルアサインコントロールが必要となる。
【0024】
[番組送出制御システムのソフトウエアブロックの構成例]
図2は、番組送出制御システム100のソフトウエアブロックの構成例を示している。すなわち、番組送出制御システム100は、データベース(DB)部101、NRCSプラグイン/プレイリストビューア(Plug-in/PlaylistViewer)部102、NRCSインタフェース(NRCS IF)部103を有している。また、番組送出制御システム100は、オンエアープレイリスト/セットアップ(OA Playlist/Setup)部104、デバイス制御(DeviceController)部105、ログ/アラーム管理(Log/Alarm Manager)部106を有している。番組送出制御システム100では、以上の各部により、Automationシステムが構築されている。
【0025】
Automationは、コンピュータ装置上のTDA(Technical Director Assist)用のソフトウエアであって、NRCSの下でスイッチャを含む機器を制御する。一方、Automation中のサーバもプレイリストを持つ。一般に、ニュース番組の全体の構成をプロデューサ(P)が行い、その中の各ストーリの機器のアサイン、設定をテクニカルディレクタ(TD)が行う。そのテクニカルディレクタの手助けをして、機器のコントロールを行うのがAutomationシステムである。プレイリストは、番組の進行の詳細を時系列に保持するリストである。
【0026】
Automationシステムでは、(1)NRCSプラグイン/プレイリストビューア部102のNRCSで作成されたプレイリストデータは、NRCSインタフェース部103のMOSゲートウエイ(MOS GW)103Aを経由して、(2)データベース部101に送られる。そして、このプレイリストデータは、データベース部101のデータベース(DB)に格納される。
【0027】
(3)プレイリストデータは、NRCSプラグイン/プレイリストビューア部102のプレイリストビューア(Playlist Viewer)102Aに表示されると共に、オンエアー時はデバイス制御部105に送られる。(4)デバイス(Device)がプレイリストに従ってオンエアー制御されると共に、(5)、(6)機器の状態がデータベース部101のデータベース(DB)に通知される。そして、(7)プレイリストや機器の状態が、オンエアープレイリスト/セットアップ部104に送られ、表示される。ログ(log)やワーニング(Warning)は、Automationシステムの中で発生され、ログ/アラーム管理部106に送られる。
【0028】
[番組送出制御システムのソフトウエアブロックの実装例]
Automationシステムにおける上述の各ソフトウエアブロックは、ソフトウエアブロック毎に、各パーソナルコンピュータに分割してインストールすることができ、カスタマーのシステム規模に合わせ、スケーラブルなシステムを提供する。
【0029】
図3は、番組送出制御システム100のソフトウエアブロックの実装例を示している。この実装例においては、データベース部101、NRCSインタフェース部103、オンエアープレイリスト/セットアップ部104、デバイス制御部105、ログ/アラーム管理部106は、1台のコンピュータ装置110にインストールされる。また、NRCSプラグイン/プレイリストビューア部102は、NRCSクライアントがインストールされているカスタマーのコンピュータ装置120にインストールされる。
【0030】
図4は、番組送出制御システム100のソフトウエアブロックの他の実装例を示している。この実装例においては、データベース部101は、1台のコンピュータ装置110Aにインストールされる。また、ログ/アラーム管理部106は、他の1台のコンピュータ装置110Eにインストールされる。さらに、NRCSインタフェース部103、オンエアープレイリスト/セットアップ部104、デバイス制御部105は、さらに他の1台のコンピュータ装置110Bにインストールされる。また、NRCSプラグイン/プレイリストビューア部102は、NRCSクライアントがインストールされているカスタマーのコンピュータ装置120にインストールされる。
【0031】
図5は、番組送出制御システム100のソフトウエアブロックのさらに他の実装例を示している。この実装例においては、データベース部101は、1台のコンピュータ装置110Aにインストールされる。また、ログ/アラーム管理部106は、他の1台のコンピュータ装置110Eにインストールされる。さらに、NRCSインタフェース部103、オンエアープレイリスト/セットアップ部104、デバイス制御部105は、それぞれ、別個の1台の1台のコンピュータ装置110B,110C,110Dにインストールされる。また、NRCSプラグイン/プレイリストビューア部102は、NRCSクライアントがインストールされているカスタマーのコンピュータ装置120にインストールされる。
【0032】
上述のように、ログ/アラーム管理部106を独立したコンピュータ装置110Eにインストールすることで、異常系の検知に独立性を持たせることができる。また、データベース部101を独立したコンピュータ装置110Eにインストールすることで、データベースのシステム構成の自由度を持たせることができる。
【0033】
[データベースサーバを中心としたブロック構成の詳細]
ここで、Automationシステムにおけるデータベース部101のデータベースサーバ(DBServe)を中心としたブロック構成の詳細を説明する。図6は、データベースサーバを中心としたブロック構成例を示している。
【0034】
NRCSインタフェース部103は、MOSゲートウエイ(MOS GW)103Aと、オブジェクトエディタ(Object Editor)103Bと、オブジェクトマネージャ(Object Manager)103Cと、MOSデバイスインタフェース(MOSDevice I/F)103Dを含んでいる。
【0035】
MOSゲートウエイ103Aは、NRCSブロック20とMOSプロトコルで通信を行い、データベース部101を更新する。すなわち、このMOSゲートウエイ103Aは、NRCSブロックからRUNDOWN(Running Order) を受け取り、このRUNDOWNをプレイリスストに変換して、データベース部101に書き込む。
【0036】
オブジェクトエディタ103Bは、Automationシステムにつながっているデバイスのオブジェクトに対する設定を行う。ここで、Automationシステムにつながっているデバイスは、スイッチャ41、オーディミキサ47、遠隔制御カメラ46、ビデオクリップサーバ43等である。このオブジェクトエディタ103Bは、NRCSブロック20から起動され、データベース上のオブジェクトの表示、作成、変更を行う。また、このオブジェクトエディタ103Bは、オブジェクトマネージャ103Cを介して、データベース部101とオブジェクトのやりとりを行う。
【0037】
オブジェクトマネージャ103Cは、オブジェクトエディタ103Bが編集するオブジェクトを管理し、データベース部101からオブジェクトを読み出し、また、データベース部101にオブジェクトを書き込む。MOSデバイスインタフェース103Dは、MOSデバイスのステータス、チャネルアサインの情報などを取得し、データベース部101に書き込む。
【0038】
また、NRCSプラグイン/プレイリストビューア部102は、作成したプレイリストやオンエアー中のプレイリストの状態をグラフィカルに表示する。このNRCSプラグイン/プレイリストビューア部102は、Automationのプレイリストを表示するプレイリストビューア(PlaylistViewer)102Aと、オンエアー中のプレイリストを表示するオンエアープレイリスト(OA Playlist)102Bを含んでいる。
【0039】
プレイリストビューア102Aは、NRCSブロック20で作成、変更されたプレイリストの詳細を表示する。オンエアープレイリスト102Bは、プレイリストのオンエアーの進行を表示し管理する。このオンエアープレイリスト102Bは、オンエアー中のプレイリストを表示し、現在のオンエアー位置を表示する。また、オンエアープレイリスト102Bは、ビデオやオーディオ等の素材のスタンバイ状況を表示する。さらに、オンエアープレイリスト102Bは、次項目/構成の指定を行う。
【0040】
デバイス制御部105は、操作卓(MVS CCP、JL Cooper Modules)を通じてプレイリストに基づいた各種デバイスを制御する。このデバイス制御部105は、オンエアーマネージャ(OA Manager)105Aと、イベントコントローラ(EventController)105Bと、デバイスコントローラ(Device Controller)105Cと、マニュアルコントローラ(Manual Controller)105Dを含んでいる。
【0041】
オンエアーマネージャ105Aは、オンエアーの管理を行う。すなわち、このオンエアーマネージャ105Aは、プレイリストの起動やプレイリストの終了操作により、デバイス制御部105へ起動通知を行い、プレイリストのスタンバイ・終了処理を実施する。
【0042】
イベントコントローラ105Bは、プレイリスト中の1イベントを実行する。すなわち、イベントコントローラ105Bは、データベース部101上のプレイリストに基づいて、デバイスコントローラ105Cに、次のスタンバイ時に必要な動作を指示する。
【0043】
また、イベントコントローラ105Bは、オンエアー(TAKE)時に行う一連の動作を指示する。すなわち、イベントコントローラ105Bは、オンエアーのタイミング(Take Trigger)をデバイスコントローラ105Cへ送る。この場合、上記イベントコントローラ105Bは、シンボリックコマンド/タイムライン生成、送信によって、オンエアーのタイミングをデバイスコントローラ105Cに送信する。
【0044】
また、イベントコントローラ105Bは、デバイスのステータスをデータベース部101へ格納する。
【0045】
マニュアルコントローラ105Dは、手動またはマスター(Master Switcher)からの通知や時間により、オンエアーのタイミング(TakeTrigger)を発生する。また、マニュアルコントローラ105Dは、ユーティリティ/ショットボックスモジュール(Utirty/Shotbox Module)等によるアサイナブルなイベント/デバイス制御を行う。また、マニュアルコントローラ105Dは、TAKE操作や掛け合いなどプレイリスト運行に必要な制御を行う。また、マニュアルコントローラ105Dは、クイックリコール(Quick Recall)による一時イベントの実行を行う。さらに、マニュアルコントローラ105Dは、デバイスの単独制御を行う。
【0046】
デバイスコントローラ105Cは、デバイスの制御を行う。すなわち、このデバイスコントローラ105Cは、抽象化されたシンボリックコマンドを解釈し、所定のプロトコルに変換して、デバイスの制御を行う。また、デバイスコントローラ105Cは、プロトコルを抽象化されたステータスに変換し、イベントコントローラ105Bへ通知する。また、デバイスコントローラ105Cは、シンボリックコマンドのタイムラインを保持し、オンエアーのタイミング(Take Trigger)によって同期制御を行う。
【0047】
オンエアープレイリスト/セットアップ部104は、セットアップ/コンフィグ(Setup/Config)104Aにより、Automationコアシステムの設定、および制御デバイスの構成を行う。ログ/アラーム管理部106は、ログ/アラームマネージャ(Log/Alarm Manager)106Aにより、各端末に散らばった各種ログやアラームを収集し、障害が発生した場合、必要に応じ、SNMPマネージャ(SNMP Manager)へ通知する。データベース部101は、プレイリスト/イベント/セッティング/ステータスなどの情報の一元管理を行う。
【0048】
[番組送出制御システム100の要部構成、要部ソフトウエア・モジュール構成]
図7は、番組送出制御システム100の要部構成例を示している。また、図8は、番組送出制御システム100における要部ソフトウエア・モジュールの構成例を示している。
【0049】
すなわち、番組送出制御システム100は、Automation制御ブロック10と、NRCSブロック20を備えている。Automation制御ブロック10は、第一のコンピュータ装置(Automation Ctrl PC)110にインストールされたソフトウエアブロックに基づいて、プログラムされた番組送出を制御する。NRCSブロック20は、第二のコンピュータ装置120にインストールされたソフトウエアブロックに基づいて、取材手配から素材発注、番組構成作成まで、ニュース番組に関する管理運営を行う。
【0050】
また、番組送出制御システム100は、プレイアウトサーバ31、CG/スチルストア32等のMOS機器からなるMOS機器ブロック30を備える。このMOS機器ブロック30は、第二のコンピュータ装置120とネットワーク接続されている。
【0051】
また、番組送出制御システム100は、スイッチャ41、デバイスコントローラ(DCU)42、ビデオクリップサーバ43、オーディオクリップサーバ44、VTR45、遠隔制御カメラ46、オーディオミキサ47等からなるAutomation制御機器ブロック40を備える。このAutomation制御機器ブロック40は、第一のコンピュータ装置110にネットワーク接続されている。
【0052】
また、番組送出制御システム100は、ビデオ・リファレンス入力を有するコントロールユニット(SCU)130を備えている。また、番組送出制御システム100は、コントロールユニット130と第一のコンピュータ装置110との間を接続する通信路140と、第一のコンピュータ装置110と第二のコンピュータ装置120とを結ぶネットワーク150とを備えている。
【0053】
コントロールユニット130には、ビデオ信号のリファレンス(Ref. In)を、通信路140を介して第一のコンピュータ装置110へ送る実行管理モジュールであるイベントイクスキュータ(Event Executor)105Eが搭載されている。
【0054】
第一のコンピュータ装置110には、プレイリスト情報を管理するソフトウエア・モジュールと、被制御ビデオ機器に対応したデバイスドライバ・ソフトウエア・モジュールが搭載されている。また、この第一のコンピュータ装置110には、イベント実行・モジュールが搭載されている。このイベント実行・モジュールは、デバイスドライバ・ソフトウエア・モジュールを追加可能なソフトウエア・インタフェースと、コントロールユニット130中のデバイスコントロール・モジュールとのソフトウエア・インタフェースを有する。
【0055】
イベントイクスキュータ105Eは、コントロールユニット130のマイクロコンピュータで動作するソフトウエア・モジュールである。Ref. Inは、リファレンス入力であり、コントロールユニット130に設備全体のリファレンス信号(例えばブラック・バースト信号)が供給されている。コントロールユニット130は、リファレンス信号により、1フィールド間隔で、内蔵のマイクロコンピュータに割り込みを掛けるように構成されている。
【0056】
イベントイクスキュータ105Eは、その割り込みが発生すると、同じマイクロコンピュータ上の他のソフトウエア・モジュール、例えばマニュアルイベントコントローラ(Manual Event Controller)105Fにそのことを通知する。同時に、イベントイクスキュータ105Eは、第一のコンピュータ装置(Automation Ctrl PC)110にも通信路140を介して通知する。より詳しくは、イベントイクスキュータ105Eは、タスク待ちの状態に入っており、リファレンス信号による割り込み処理ルーチンから待ちの解除を受けて、タスクの実行を再開し、上述の処理を行い、終わると再び待ちの状態に入る。
【0057】
マニュアルイベントコントローラ105Fは、割り込みの通知を受けることで、1フィールド間隔で幾つかの処理をまとめる。例えば、コントロールユニット130はスイッチャを制御する押しボタンを備えている。マニュアルイベントコントローラ105Fは、当該押しボタンの押下があったことを、Automation制御機器ブロック40内のAutomation制御機器であるスイッチャ41に、通信路を介してコマンドとして送信する。
【0058】
この送信を1フィールド間隔とすることで、制御に遅延無く、かつ通信が頻繁すぎて効率を落とさないようできる。マニュアルイベントコントローラ105Fは、押下されたボタンの情報を蓄積していき、割り込み通知により、1フィールド分の押下情報として、コマンドの形式にして、スイッチャ41に送信する。また、マニュアルイベントコントローラ105Fは、スイッチャ41にコマンドを送信するのみでなく、押下されたボタンの情報などを第一のコンピュータ装置(Automation Ctrl PC)110にも送信する。
【0059】
第一のコンピュータ装置(Automation Ctrl PC)110中のソフトウエア・モジュールであるイベントコントローラ105Bは、プレイリスト情報に従い、各種機器の制御イベントの実行の制御を行う。プレイリストの進行は、タイムコードに従って行われる。イベントコントローラ105Bは、コントロールユニット130から1フィールド間隔で通知を受信することにより、当該通知を時計情報として、進行を制御できる。インターレース方式で稼働している場合は、2フィールドで1フレームとなるから、通知を2回受信するとタイムコードが1だけ増える。
【0060】
タイムコードがプレイリストにある所定位置(時間位置)にくると、その位置の動作を実行する。ここで、第一のコンピュータ装置110上のソフトウエア・モジュールであるデバイスコントローラを第1のデバイスコントローラとし、コントロールユニット130上のソフトウエア・モジュールであるデバイスコントローラを第2のデバイスコントローラとする。イベントコントローラ105Bは、第1のデバイスコントローラ、第2のデバイスコントローラの少なくともいずれかに、プレイリストに従った指示を送る。
【0061】
それぞれのデバイスコントローラは、指示を被制御機器のネイティブプロトコル(各機器の制御プロトコル)に変換して、各ポート(RS422や、イーサネット(登録商標)など)から送信する。RS422や専用LANなどの、PCが通常備えていないインタフェースで制御する機器は、コントロールユニット130のポート部分を担うDCU42に接続して、制御できる。一方、汎用のイーサネットに接続されている機器は、PCに接続して、同様に制御できる。
【0062】
コントロールユニット130上のデバイスコントローラ(第2のデバイスコントローラ)は、Automation制御機器ブロック40内のスイッチャ(Switcher)41、ビデオテープレコーダ45などを制御するために、リファレンス信号に同期して制御を行う。この結果、番組送出制御システム100では、第一のコンピュータ装置 (Automation Ctrl PC)110側から制御する機器についても、コントロールユニット130側と同期して動作させることができる。
【0063】
第一のコンピュータ装置(Automation Ctrl PC)110に、リファレンス信号を受け取るハードウェアを装備する必要が無く、イーサネットによる通信路を用いることで、コストを抑えることができる。また、図3、図4、図5に示した様な、柔軟な構成が可能となり、コンピュータ装置を交換する際も汎用品が使用可能となり、経済的である。
【0064】
コントロールユニット130に接続されている機器のネイティブプロトコルへの変換は、コントロールユニット130で行う。そのため、第一のコンピュータ装置(Automation Ctrl PC)110側に負荷が集中せず、負荷を分散させて、経済的にリファレンス信号との同期に遅れることなく機器の制御を実行できる。
【0065】
図8において、イベントイクスキュータ105Eに接続されているマスターは、マスタースイッチャ(Master Switcher)のことである。マスタースイッチャは、放送局内で、スイッチャや本システムよりも上位にある切り換え装置であり、本システムが特定のスタジオなどに付属するのに対して、放送局全体でのビデオ信号の分配を行う。
【0066】
コントロールユニット(SCU)130は、マスター(Master)からGPI(General Purpose Interface)等のポートを介して、指示やタイミングを受ける。GPIは、パラレルポートに単純なOn/Offなどを受けて、指示、トリガを受けるためのポートである。マスターは、局からの出力をスタジオの出力やCMに切替えたりする。CMからスタジオ出力に切り替える際に、AutomationがGPIによりトリガを受けて、CM明けの構成を開始する。この場合、切り替えはマスター(Master)側主導となる。逆に、構成の中に「CM」という枠を設けて、スタジオからマスター(Master)に対してGPIからの出力で逆方向にトリガを与えCMに切替えさせる運用も可能である。
【0067】
また、イベントイクスキュータ105Eは、マスタースイッチャと、他のソフトウエア・モジュール、および第一のコンピュータ装置(Automation Ctrl PC)110との間の中継も行う。中継の遅延は、規定のフィールド単位以上とならない事を保証する必要がある。そのために、リファレンス信号によるタイミングで動作を開始する際に、GPI入力を読む。レベルの変化があれば、そのGPIポートの設定に従ってどの様な指示であるか判断し、それに応じて、他のソフトウエア・モジュールおよび・あるいは第一のコンピュータ装置(Automation Ctrl PC)110に通知する。
【0068】
GPIから出力を行う場合は、イベントイクスキュータ105Eが他のソフトウエア・モジュールおよび第一のコンピュータ装置(Automation Ctrl PC)110から受け取った指示を、フィールド単位で処理する。すなわち、リファレンス信号によるタイミングで動作を開始する際に、受け取った指示をまとめ、各GPIポートの設定に従ってGPI出力のレベルを変化させる。
【0069】
イベントイクスキュータ105Eがリファレンス信号によるタイミングで行う処理は複数ある。毎フィールド実行することが、そこでの遅延を1フィールド以下(受信から送信完了までは2フィールド以下)にするために必須である。処理の間の順番は、厳密に規定しなくても、遅延の上限を守ることができる。
【0070】
図6において、データベース部101のデータサーバとして、Microsoft SQL Serverを使用できる。あるアプリケーションがデータベース部101を書き換えた際に、データサーバは、MS SQLの機能を使って、他のアプリケーションに変更された項目を通知する。これは、ディスパチャー(Dispatcher)と呼ばれている。正確には、各アプリケーションは通知して欲しい項目を登録し、変更通知を受けた後に、データベース部101に読みに行く。第一のコンピュータ装置110は、プレイリストで現時点よりも先の構成に変更があったり、構成の順序が変更になったりした場合、この機能を使って制御の変更に備える。
【0071】
このように、番組送出制御システム100では、リファレンス入力を有するコントロールユニット130は、リファレンスのタイミングを第一のコンピュータ装置110に送る。そして、このリファレンスタイミングを受けたイベントイクスキュータ105Eは、第一のコンピュータ装置110中のデバイスドライバ・ソフトウエア・モジュールおよびコントロールユニット130中のデバイスコントロール・モジュールを制御する。
【0072】
これにより、番組送出制御システム100では、種々の制御インタフェースを持つビデオ機器をリファレンスのタイミングに同期してプレイリストに従って制御し、NRCSブロック20とも連携した、タイミングずれのない、送出制御を実現できる。
【0073】
[スイッチャの構成]
次に、スイッチャ41について説明する。図9は、スイッチャ41の構成例を示している。スイッチャ41は、主ユニット440と、この主ユニット440に通信路450を介して接続された選択入力部460とを備える。主ユニット440は、マトリクススイッチャ部410、第1の画像処理部420A、第2の画像処理部420Bおよび制御部430を有している。第1の画像処理部420Aおよびそれに対応したマトリクススイッチャ部410の部分は、第1のMEバンクを構成している。また、第2の画像処理部420Bおよびそれに対応したマトリクススイッチャ部410の部分は、第2のMEバンクを構成している。
【0074】
マトリクススイッチャ部410は、入力ラインL1〜L12に入力された映像信号(ビデオ信号)を選択する。第1の画像処理部420Aおよび第2の画像処理部420Bには、入力ラインL1〜L12に入力された映像信号がマトリクススイッチャ部410を介して供給される。制御部430は、マトリクススイッチャ部410、第1の画像処理部420Aおよび第2の画像処理部420Bの動作を制御する。
【0075】
スイッチャ41の入力ラインL1〜L12には、キーソース信号またはキーフィル信号となる映像信号および背景映像信号となる映像信号が入力される。マトリクススイッチャ部410は、キーソース交点列412A1,412A2を備える。このキーソース交点列412A1,412A2は、入力ラインL1〜L12に入力される映像信号のうちの1つをキーソース信号として第1の画像処理部420Aに供給する、キーソース信号選択入力バス411A1,411A2に接続されたスイッチからなる。
【0076】
また、マトリクススイッチャ部410は、キーフィル交点列414A1,414A2を備える。このキーフィル交点列414A1,414A2は、入力ラインL1〜L12に入力される映像信号のうちの1つをキーフィル信号として第1の画像処理部420Aに供給する、キーフィル信号選択入力バス413A1,413A2に接続されたスイッチからなる。
【0077】
また、マトリクススイッチャ部410は、第1の背景交点列416Aを備える。この第1の背景交点列416Aは、入力ラインL1〜L12に入力される映像信号のうちの1つを第1の背景信号として第1の画像処理部420Aに供給する、第1の背景信号選択入力バス415Aに接続されたスイッチからなる。また、このマトリクススイッチャ部410は、第2の背景交点列418Aを備える。この第2の背景交点列418Aは、入力ラインL1〜L12に入力される映像信号のうちの1つを第2の背景信号として第1の画像処理部420Aに供給する、第2の背景信号選択入力バス417Aに接続されたスイッチからなる。
【0078】
また、マトリクススイッチャ部410は、キーソース交点列412B1,412B2を備える。キーソース交点列412B1,412B2は、入力ラインL1〜L12および第1のMEバンクの出力ラインの映像信号の1つをキーソース信号として第2の画像処理部420Bに供給する、キーソース信号選択入力バス411B1,411B2に接続されたスイッチからなる。
【0079】
また、マトリクススイッチャ部410は、キーフィル交点列414B1,414B2を備える。キーフィル交点列414B1,414B2は、入力ラインL1〜L12および第1のMEバンクの出力ラインの映像信号の1つをキーフィル信号として第2の画像処理部420Bに供給する、キーフィル信号選択入力バス413B1,413B2に接続されたスイッチからなる。
【0080】
また、マトリクススイッチャ部410は、第1の背景交点列416Bを備える。この第1の背景交点列416Bは、入力ラインL1〜L12および第1のMEバンクの出力ラインに入力される映像信号のうちの1つを第1の背景信号として第2の画像処理部420Bに供給する、第1の背景信号選択入力バス415Bに接続されたスイッチからなる。また、このマトリクススイッチャ部410は、第2の背景交点列418Bを備える。この第2の背景交点列418Bは、入力ラインL1〜L12および第1のMEバンクの出力ラインに入力される映像信号のうちの1つを第2の背景信号として第2の画像処理部420Bに供給する、第2の背景信号選択入力バス417Bに接続されたスイッチからなる。
【0081】
第1の画像処理部420Aは、キー処理回路421A1,421A2と、合成回路422Aからなる。キー処理回路421A1,421A2は、キーソース信号選択入力バス411A1,411A2と、キーフィル信号選択入力バス413A1,413A2に接続されている。キー処理回路421A1,421A2には、入力ラインL1〜L12に入力される映像信号から選択されたキーソース信号とキーフィル信号が、キーソース信号選択入力バス411A1,411A2およびキーフィル信号選択入力バス413A1,413A2を介して入力される。キー処理回路421A1,421A2は、制御部430からの制御信号に応じたキー信号を、入力されたキーソース信号あるいは内蔵する波形生成回路(ワイプパターン生成回路)によって生成する。そして、キー処理回路421A1,421A2は、キー信号とキーフィル信号を合成回路422Aに供給する。
【0082】
合成回路422Aは、キー処理回路421A1,421A2に接続されているとともに、第1の背景信号選択入力バス415Aと第2の背景信号選択入力バス417Aに接続されている。この合成回路422Aには、キー処理回路421A1,421A2からキー信号とキーフィル信号が入力される。また、合成回路422Aには、入力ラインL1〜L12に入力される映像信号から選択された第1の背景信号と第2の背景信号が、第1の背景信号選択入力バス415Aおよび第2の背景信号選択入力バス417Aを介して入力される。合成回路422Aは、キー処理回路421A1またはキー処理回路421A1から供給されるキー信号およびキーフィル信号を、制御部430の制御により、選択的に使用する。そして、合成回路422Aは、制御部430の制御により、キー信号で示される領域は第1の背景信号または第2の背景信号に置き換えてキーフィル信号を合成するキーイング処理を行う。
【0083】
第2の画像処理部420Bは、キー処理回路421B1,421B2と、合成回路422Bからなる。キー処理回路421B1,421B2は、キーソース信号選択入力バス411B1,411B2と、キーフィル信号選択入力バス413B1,413B2に接続されている。キー処理回路421B1,421B2には、入力ラインL1〜L12および第1のMEバンクの出力ラインの映像信号から選択されたキーソース信号とキーフィル信号が、バス411B1,411B2およびキーフィル信号選択入力バス413B1,413B2を介して入力される。キー処理回路421B1,421B2は、制御部430からの制御信号に応じたキー信号を、入力されたキーソース信号あるいは内蔵する波形生成回路(ワイプパターン生成回路)によって生成する。そして、キー処理回路421B1,421B2は、キー信号とキーフィル信号を合成回路422Bに供給する。
【0084】
合成回路422Bは、キー処理回路421B1,421B2に接続されているとともに、第1の背景信号選択入力バス415Bと第2の背景信号選択入力バス417Bに接続されている。この合成回路422Bには、キー処理回路421B1,421B2からキー信号とキーフィル信号が入力される。合成回路422Bには、入力ラインL1〜L12および第1のMEバンクの出力ラインの映像信号から選択された第1の背景信号と第2の背景信号が、第1の背景信号選択入力バス415Bおよび第2の背景信号選択入力バス417Bを介して入力される。合成回路422Bは、キー処理回路421B1またはキー処理回路421B1から供給されるキー信号およびキーフィル信号を、制御部430の制御により、選択的に使用する。そして、合成回路422Bは、制御部430の制御により、キー信号で示される領域は第1の背景信号または第2の背景信号に置き換えてキーフィル信号を合成するキーイング処理を行う。
【0085】
上述の説明では、キー信号が二値で、背景信号かキーフィル信号かを指定するように説明をした。しかし、実際には、キー信号は、二値ではなく、キーフィル信号を背景信号に重ねる濃度を多値で示す。したがって、背景が見えたまま、キーフィル信号が半透過的に見える様な部分を持つ画像処理を行うことも可能である。
【0086】
制御部430は、例えば、マイクロコンピュータにより構成される。制御部430は、選択入力部460から通信路450を介して与えられる選択入力信号に応じた制御信号を生成し、制御線435A,435Bを介してマトリクススイッチャ部410、第1の画像処理部420Aおよび第2の画像処理部420Bの各動作を制御する。
【0087】
選択入力部460は、ボタン配置部461、キーボード462、マウスなどのポインティングデバイス463、グラフィカルディスプレイ464などが接続されたマイクロコンピュータ465からなる。ボタン配置部461のボタンで入力の選択が操作されると、主ユニット440のマトリクススイッチャ部410では、該当する入力バスに接続された交点列が制御されて入力を選択し、該当する画像処理部に映像信号を供給する。そして画像処理部において指定された合成などの加工がされて、選択された入力の映像信号を含む画面となる映像信号が出力される。
【0088】
なお、プログレッシブ方式の映像信号を対で処理するデュアルリンク方式の場合は、画像の経路はA側とB側との二重になるように対で設けられ、対になる入力をA側とB側でそれぞれ選択する様に動作する。
【0089】
図9に示すスイッチャ41では、選択入力部460が主ユニット440の制御部430と通信路450を介して通信を行い、各種処理の実行を指示する。合成回路422Aは、第1の背景信号選択入力バス415Aと第2の背景信号選択入力バス417Aとから、背景信号の入力を受け、選択入力部460からの指示に従い、いずれかの背景信号を、キーイング処理に用いる背景信号とする。あるいは、合成回路422Aは、選択入力部460からの指示に従い、2つの背景信号を指示された比率で合成して、キーイング処理に用いる背景信号とする。
【0090】
比率は、選択入力部のフェーダー・レバーなどにより手動で指示され、あるいは自動遷移(自動進行)動作の場合は、時間とともに変化して、一方の背景信号から他方の背景信号へ切り替わるように制御される。合成方法の一例として、例えば、上述の比率で2つの背景信号を画素毎に重み付け加算する方法がある。例えば、比率が30%ならば、第1の背景信号の値に0.3を乗算した値と、第2の背景信号の値に0.7を乗算した値とを加算する。
【0091】
また、合成方法の他の例として、ワイプキー波形生成回路(WKG:Wipe Key Generator)から供給されるワイプ用キー信号によって、第1の背景信号に第2の背景信号をキーイングで重ねる方法がある。ワイプキー波形生成回路で生成されるキー信号は、上述の比率とともに変化するものであり、自動遷移ならば進行の時刻を入力パラメータとしてワイプの境界線を決めるようにキー信号が生成される。自動遷移でない場合は、時刻の代わりに指示された比率を用いて、キー信号が生成される。以上は、合成回路422Bの場合も同様である。
【0092】
図10は、スイッチャ41の操作卓400の外観図を示している。この操作卓400は、デュアルリンク方式ではない場合は、主ユニット440の画像処理部の一つに対応する操作部分となる。デュアルリンク方式の場合は、画像処理部の対に対応する操作部分となる。
【0093】
図10に示すように、操作卓400には、第1背景ボタン列401、第2背景ボタン列402、キーボタン列403-1,403-2が設けられている。また、操作卓400には、ソース名表示器列404、遷移対象ボタン405A,405B、方向指定ボタン406A,406B、往復モード指定ボタン407、フェーダー・レバー408などが設けられている。
【0094】
第1背景ボタン列401は、第1の背景信号選択入力バス415Aが背景映像信号とされる映像信号を合成回路422Aに供給する入力ラインを選択するとき操作される。第2背景ボタン列402は、第2の背景信号選択入力バス417Aが背景映像信号とされる映像信号を合成回路422Aに供給する入力ラインを選択するとき操作される。
【0095】
キーボタン列403-1,403-2は、それぞれ、キーソース信号およびキーフィル信号とされる映像信号をキー処理回路421A1,421A2に供給する第1の入力ラインおよび第2のラインの組合せを選択するとき操作される。この場合、キーソース信号選択入力バス411A1,411A2が第1の入力ラインからキーソース信号とされる映像信号をキー処理回路421A1,421A2に供給する。また、キーフィル信号選択入力バス413A1,413A2が第2の入力ラインからキーフィル信号とされる映像信号をキー処理回路421A1,421A2に供給する。
【0096】
ソース名表示器列404は、図10において、下方に配置されたボタンのボタン番号に対応するインデックス番号に対応付けられた文字情報を表示する。文字情報は制御部430に記憶されており、ユーザが文字情報を設定できる。なお、文字情報を入力ライン番号に対応付けて記憶させてもよい。その場合、ボタンのボタン番号に対応するインデックス番号に対応する第1の入力ライン番号に対応付けられた文字情報、またはインデックス番号に対応する第2の入力ライン番号に対応付けられた文字情報のいずれかを表示するようにする。
【0097】
第1の入力ライン番号は、上記キーフィル信号とされる映像信号を選択する番号となり、第2の入力ライン番号は、上記キーソース信号とされる映像信号を選択する番号となる。そのため、第1の入力ライン番号と第2の入力ライン番号の対が、ボタン番号に対応するインデックス番号に対応づけられる。それにより、キーボタン列でのキーソース信号およびキーフィル信号とされる映像信号をキー処理回路に供給する第1、第2の入力ラインの組合せの選択が可能となる。
【0098】
背景ボタン列を操作した場合には、第1の入力ライン番号によって、背景映像信号を選択する。ソース名表示器404には、通常は第1の入力ライン番号に対応づけられた文字情報を表示し、図示しない別に設けるボタンが押下されている間だけ、第2の入力ライン番号に対応づけられた文字情報を表示してもよい。これにより、操作者は、どちらの文字情報も確認できる。なお、ボタン番号に対応するインデックス番号およびインデックス番号に対応する入力ライン番号の対応付けのことを、クロスポイント・ボタン・アサインと呼ぶ。この操作卓400では、選択されているボタン(スイッチ)が点灯する。
【0099】
番組送出制御システム100では、NRCSブロック20がプレイアウトサーバ31から取得したチャネルアサイン情報を入手し、Automation制御ブロック10のプレイリストに設定されたスイッチャ41の交点列(XPT:クロスポイント)を自動的に選択する。すなわち、MOSプロトコルにより、プレイアウトサーバ31のチャネルアサイン情報がNRCSブロック20に渡される。
【0100】
Automation制御ブロック10は、MOSプロトコルのroStorySendやFTP等の手段により、プレイアウトサーバ31のチャネルアサイン情報を入手する。そして、Automation制御ブロック10は、チャネルアサイン情報を元に、スイッチャ41のクロスポイントを設定、変更する。
【0101】
プレイリスト作成において、映像ソースの選択時、プレイアウトサーバ31とだけ設定し、チャネルは設定しない。すなわち、グラフィカルディスプレイ464の表示画面において、図11のパレット464AでSVRを選択すると、図12のプレイリスト464BにSVRが設定されるが、チャネルは設定されない。Automation制御ブロック10は、NRCSブロック20よりチャネル情報を入手すると、プレイリストにプレイアウトサーバ31のチャネル情報を表示し、スイッチャ41のクロスポイントを設定する。
【0102】
すなわち、番組送出制御システム100において、第一のコンピュータ装置110に搭載されたAutomation制御ブロック10は、プレイリストを実行する。この場合、Automation制御ブロック10は、プレイアウトサーバ31がある素材を出力チャネルから出力する状態になる際にNRCSブロック20から渡された素材の情報とチャネルアサイン情報とプレイリストとを参照する。
【0103】
そして、Automation制御ブロック10は、プレイリスト中の素材の選択予定とスイッチャ41の処理予定に応じて、スイッチャ41の適切なバスにプレイアウトサーバ31の出力チャネルに接続されている入力の選択を指示する処理を行う。例えば、プレイリスト中で、ある素材を背景の映像として使うことになっている場合は、適切なバスとしては、いずれかの背景信号選択入力バスが該当し、その交点列で、該当する入力を選択するように指示する。
【0104】
あるいは、字幕の素材をキーイングする場合は、キーソース信号選択入力バスおよびキーフィル信号選択入力バスの交点列で、該当する入力を選択させ、素材を使用する。あるいは、ピクチャー・イン・ピクチャーにより子画面を出す場合は、キーフィル信号選択入力バスで該当する入力を選択させて素材の映像信号を得る。そして、この映像信号対して縮小処理などを施して子画面の部分のみのキー信号をキー処理回路内部で生成し、キーソース信号選択入力バスを経由した外部からの映像信号を用いず、子画面を形成してキーイングさせる。
【0105】
そして、スイッチャ41の操作卓400のソース名表示器列404の、プレイアウトサーバ31の出力チャネルに接続されている入力を選択する操作子に対応する位置の表示部に、第一のコンピュータ装置110から得た素材の情報を表示する。ここで、プレイアウトサーバ31の出力チャネルに接続されている入力を選択する操作子は、第1背景ボタン列401、第2背景ボタン列402、キーボタン列403-1,403-2等である。
【0106】
スイッチャ41は、操作卓400の操作子と当該スイッチャ41の入力との対応関係を設定可能な対応関係記憶部を制御部430に備えている。第一のコンピュータ装置110は、プレイアウトサーバ31の出力チャネルで、プログラムで使用予定のあるものに接続されているスイッチャ41の入力について、上述の対応関係の指示を送り、操作卓400の操作子に割り当てる。また、この対応関係の指示に素材の情報を含み、この素材の情報は操作卓400の操作子に対応して、この例ではソース名表示器404に表示される。
【0107】
なお、プレイアウトサーバ31に関して以外に、ビデオクリップサーバ43、オーディクリップサーバ44などの素材サーバが、ある出力チャネルから出力する素材を変更する際にも、同様にして、対応の変更を行っても良い。
【0108】
[番組送出の具体例]
次に、この番組送出制御システム100における番組送出の具体例を説明する。ここでは、素材サーバの出力チャネルをCH1,CH2とする。そして、この出力チャネルCH1,CH2から出力される素材をクリップA、クリップB、クリップCとする。素材サーバの出力チャネルCH1,CH2は、スイッチャ41の入力1,入力2に接続されているとする。また、プレイリスト(キューシート)において、スイッチャ41による画像加工では、表1に示す順で素材を使用するものとする。この場合、プレイリストの進行が時刻に従うとして例示している。
【0109】
【表1】

【0110】
つまり、同時に使用するのは2つのチャネルまでだが、素材としては3種類を使用する。送出制御コンピュータは、上述のプレイリストを実行するが、素材サーバの出力チャネルは2つなので、表2に示す順に出力させる。この内容は、全時刻の出力チャネル情報である。
【0111】
【表2】

【0112】
スイッチャ41の制御は、入力1、入力2として指示するので、表3に示す順となる。
【0113】
【表3】

【0114】
結果として、スイッチャ41に対しては、表4に示す順に指示を出す。なお、表4において、数字は入力番号を示している。
【0115】
【表4】

【0116】
自動制御としては、クロスポイント制御(マトリクス・スイッチャ部の制御)を上述のように実行すれば、予定された画を出力できる。手動操作に切り替わる可能性を考慮すると、スイッチャ41の操作卓400のクロスポイント・ボタンに対応したソースネーム・ディスプレイに、素材の名称(A,B,C)を表示することが好ましい。これを実現するには、ソースネーム情報をスイッチャ(操作卓を含むシステム)に供給し、素材名称との関連づけを実行する。ソースネーム情報は、各入力に対応する名称(文字列)をスイッチャ41に与えるものである。
【0117】
表5は、スイッチャ41の入力と、そのソース(信号源)の一例を示している。
【0118】
【表5】

【0119】
また、表6、表7は、クロスポイント・ボタン・アサインの設定例を示している。ここでは簡単に、ボタン番号に入力ライン番号が一つ対応づけられているとしている。
【0120】
【表6】

【0121】
【表7】

【0122】
例えば、表6のアサインでは、ボタン番号1には入力ライン番号1が対応づけられているので、表5に従えば、例えばボタン番号1に対応する表示器には、「素材サーバ1のCH1」と表示される。また、例えばボタン番号5に対応する表示器には、「中継車1」と表示される。
【0123】
このように、番組で使用する信号源のみをボタンにアサインするように、第一のコンピュータ装置110に搭載されたAutomation制御ブロック10から指示する。プレイアウトサーバ31の種類によっては、続けて同じチャネルを使用して異なる素材を出力することは不可能である。そのため、それを考慮したチャネルアサインコントロールが必要となる。
【0124】
この場合は、例えば、常に一つの素材しか使用されないプログラム(番組)であっても、2つのチャネル(CH1,CH2)を使用して運用される。例えば、プレイアウトサーバ31においては、素材AがCH1から出力され、続いて素材BがCH2から出力され、続いて素材CがCH1から出力され、続いて素材AがCH2から出力されるように、制御される。
【0125】
スイッチャ41のクロスポイントには、CH1とCH2にそれぞれ接続されている入力がアサインされる。そして、プログラムの進行で素材が使用される際に、該当する入力を選択する様に、クロスポイントが制御される。これにより、プログラム中では各時点で使用する素材が指定され、その素材がどのチャネルから出力されるかは操作者が意識する必要はなく、スイッチャで正しく選択される。
【0126】
このような、どの素材がどのチャネルから出力されるかは、第一のコンピュータ装置110が、各切り替えのタイミングの前に、制御の準備ができる時間的な余裕をもって、プレイアウトサーバ31から取得できればよい。番組が始まる前でもよく、番組の進行中であっても、上述の余裕が確保できればよい。
【0127】
Automation制御ブロック10は、プレイリストで使用する素材を知っているので、プレイリストから、使う素材を特定できる。また、使う素材がボタンに割り当てられているため、急に手動運用に移行しても、必要な素材を選択できる。
【0128】
なお、スイッチャ41の操作卓400において、クロスポイント・ボタンは、「シフト」ボタンを使って、倍の入力を選べるようになっているのが一般的である。しかし、シフトを押した側の操作は手間が掛かるため、よく使う素材は、シフト側でない若い番号のボタンに割り当てられていると便利である。ボタンの数が十分であっても、その番組で使う入力は、若い番号のボタンに割り当てておくと、手動運用時の操作性がよくなる。
【0129】
また、Automation制御ブロック10によりクロスポイント・ボタン・アサインが設定されても、スイッチャ41の操作卓400のソース名表示器列404に素材名称が表示されるので、VTR1,VTR2など含め手動での操作に支障をきたすことはない。
【0130】
[カメラの撮影画像への画像重畳]
次に、カメラの撮影画像への画像重畳について説明する。図13は、上述の図1に示す番組送出制御システム100において、カメラ46の撮影画像への画像重畳に関連した構成部分を概略的に示している。この図13において、図1、図7と対応する部分には同一符号を付し、適宜、その詳細説明は省略する。
【0131】
コントローラ110は、複数、図示の例では3台のカメラ46および一個のエフェクト・スイッチャ41を制御する。このコントローラ110は、プレイリスト(キューシート)を保持し、このプレイリストに基づいて番組送出制御、つまり、カメラ46、エフェクト・スイッチャ41等の動作を制御する。カメラ46の撮影状態は、コントローラ110から遠隔制御されるか、あるいは、カメラ46に付いている操作者により手動操作される。ここで、撮影状態には、カメラ46の位置、カメラ46の角度(パン、チルトの方向)、ズーム値等が含まれる。
【0132】
複数のカメラ46で撮影して得られた画像信号は、エフェクト・スイッチャ41の入力に接続される。エフェクト・スイッチャ41は、図示しないその他の画像信号も入力に受けて、画像の選択、画像特殊効果などを施し、出力画像(On Air)を生成する。操作卓41Aは、エフェクト・スイッチャ41を手動操作によって制御するものである。システム制御卓110Aは、コントローラ110を操作するものである。操作者は、このシステム制御卓110Aを用いた操作により、プレイリストの作成や、実行指示、その他被制御機器の手動操作が可能である。
【0133】
この実施の形態において、コントローラ110(第1のコンピュータ装置(Automation Ctrl))は、エフェクト・スイッチャ41が背景画像としてカメラ(遠隔制御カメラ)46の撮影画像を選択しているとき、カメラ撮影画像に重畳画像を重畳するか否かを判断する。そして、コントローラ110は、その判断結果に基づいて、エフェクト・スイッチャ41に重畳画像の重畳を指示する。
【0134】
コントローラ110は、例えば、カメラ46の撮像画像の中に人物等の対象物(対象被写体)が入っている場合には、重畳画像を重畳するものと判断する。ここで、重畳画像は、対象物を説明する字幕、例えば対象物が人物である場合にはその対象人物の名前等である。コントローラ110は、選択されているカメラ46の角度およびズームの情報に基づいて、カメラ46の撮影範囲を算出し、その撮影範囲に対象物の存在位置が含まれているとき、カメラ46の撮像画像の中に対象物が入っているものとする。
【0135】
また、コントローラ110は、エフェクト・スイッチャ41が背景画像としてカメラ(遠隔制御カメラ)46の撮影画像を選択しているとき、選択されているカメラ46の角度およびズーム値の情報に基づいて、重畳画像の重畳位置を算出する。そして、コントローラ110は、その算出結果に基づいて、エフェクト・スイッチャ41に重畳画像の重畳位置を指示する。この重畳位置および上述した撮影範囲の算出方法の詳細については、後述する。
【0136】
図14は、画像重畳を説明する図である。画像生成の意図として、撮影画面中の特定の位置に居る人物について、名前を表示したいが、その表示は人物の下に位置させたいという意図がある。図14(c)は、重畳画像の一例を示している。この重畳画像の画像信号は、エフェクト・スイッチャ41の入力に外部(CG/スチルストア32、プレイアウトサーバ(Play Out Server)31等)から供給されるか、あるいはエフェクト・スイッチャ41に内蔵されたメモリ等から読み出される。
【0137】
例えば、重畳画像の画像信号を素材サーバから得る場合、重畳画像を入力番号で設定しておくのではなく、素材クリップの識別子で記憶しておくようにされる。運用時に、エフェクト・スイッチャ41で所定のキーヤーにどの入力を選択するかは、素材サーバから送られてくる素材クリップ(識別子)と素材サーバの出力チャネルとの対応関係に基づいて判断される。
【0138】
図14(a)は、1番目のカメラ(カメラ1)に人物が入っており、画面上でその下に、重畳画像を位置させて重畳した画像の一例を示している。図14(b)は、2番目のカメラ(カメラ2)に人物が入っており、画面上でその下に、重畳画像を位置させて重畳した画像の一例を示している。この実施の形態においては、エフェクト・スイッチャ41が背景画像としてカメラ46の撮影画像を選択しているとき、出力画像として、図14(a)あるいは図14(b)に示す画像が、自動的に生成される。
【0139】
図15は、複数のカメラ46の運用状況を説明するための図である。カメラ1としてのカメラ46-1と、カメラ2としてのカメラ46-2は、別々の位置から撮影を行っている。各カメラにおいて、撮影状態の制御、すなわち、位置、角度(パン、チルトの方向)、ズーム値等の制御が、独立して行われる。この場合、撮影状態に応じて、各カメラの撮影画像中に、対象物が入る場合もあり、入らない場合もある。図示の例では、カメラ46-1と、カメラ2の双方の撮影画像中に対象物(対象人物)が含まれている。
【0140】
[撮影範囲の算出方法]
図16は、撮影範囲の算出方法の一例を示す図である。カメラ46の位置座標を(x0,y0)とし、被写体がy=0の線上に位置するとする。なお、カメラ46が固定カメラであるとき、(x0,y0)は、固定値となる。一方、カメラ46が移動可能なカメラであるとき、(x0,y0)は、カメラ46の移動位置を示すものとなる。カメラ46の角度が図示のようにRであって、ズーム値により決まる撮影範囲の角度をTとするとき、コントローラ110は、y=0上の撮影範囲を示すx1,x2の値を、以下の(1)式、(2)式により、算出する。
【0141】
x1=(y0×tan(R−T/2))+x0 ・・・(1)
x2=(y0×tan(R+T/2))+x0 ・・・(2)
【0142】
上述のx1,x2は水平方向の撮影範囲を示している。詳細説明は省略するが、垂直方向の撮影範囲についても、同様に算出される。
【0143】
コントローラ110は、対象物、例えば対象人物の位置が、上述したように算出された水平方向および垂直方向の双方の撮影範囲内にある場合、当該対象物は、撮影画像中に含まれていると判断する。なお、この場合、対象物を点として扱ってもよいが、必要に応じて、対象物の大きさ(水平方向の幅、垂直方向の幅)を考慮して、撮影範囲に入っているか否かを判断してもよい。
【0144】
図17は、ズーム値を説明するための図である。カメラ46の撮影範囲の角度をTとする。距離Lにある被写体の撮影範囲Wは、(3)式で表される。
W=2×L×tan(T/2) ・・・(3)
【0145】
ズームを値で表現する場合は、見かけの拡大率で表現する方が分かりやすいので、W、すなわちtan(T/2)の比で表現されることもある。しかし、角度Tへの変換は、上述の(3)式等によって容易に行うことができる。
【0146】
[重畳位置の算出方法]
コントローラ110は、重畳画像の重畳位置を求めるために、まず、対象物(対象被写体)の画面中の位置を算出する。図18を用いて、画面中位置の算出方法について説明する。なお、この図18において、図16と対応する部分には同一符号を付して示している。
【0147】
対象物の位置が(xt,0)の場合に、撮影画像の中心((x1+x2)/2,0)から、対象物までの入射光の角度をV(時計回り)とすると、(4)式の関係が成り立つ。
xt=(y0×tan(R+V))+x0 ・・・(4)
【0148】
この関係を使って、位置(xt,0)の対象物についてVが得られる。ここで、Vの値は、図18に示すように、対象物の位置(xt,0)が撮影画像の中心((x1+x2)/2,0)より右側にあるときは、正の値となる。また、Vの値は、対象物の位置(xt,0)が撮影画像の中心((x1+x2)/2,0)より左側にあるときは、負の値となる。
【0149】
画面の端の入射光の角度を(T/2)とすれば、通常はカメラから対象物までの距離は撮影範囲に対して十分に長いので、画面中心から端までの長さに対する、画面中心から対象物までの長さの比は、(5)式で表される。コントローラ110は、この(5)式により、位置(xt,0)の対象物の画面中の位置を得ることができる。
tan(V)/tan(T/2) ・・・(5)
【0150】
なお、上述は、対象物の画面中の水平方向位置の算出方法を示した。詳細説明は省略するが、対象物の画面中の垂直方向位置についても、同様にして算出できる。
【0151】
コントローラ110は、上述したように対象物の画面中の位置を算出した後に、重畳画像の重畳位置を求める。この場合、コントローラ110は、対象物の画面中の位置に関連した位置に、重畳画像が位置するように、当該重畳画像の重畳位置を求める。
【0152】
例えば、図14(c)のような重畳画像を扱う場合、この重畳画像の上端の中心位置が、対象物の下端の中心位置にくる様に、当該重畳画像の重畳位置(移動量)が算出される。ただし、対象物が画面の端に位置している場合、重畳画像の重畳位置を算出通りの位置にすると、重畳画像の一部が欠けてしまう。この場合は、例えば、図14(b)に示すように、重畳画像が画面内に収まるように、算出された重畳位置が調整される。例えば、図14(c)の重畳画像の場合は、左側へ移動すると画が欠けてしまうので、水平方向の移動量が負になるときは、水平方向の移動量は0に調整される。
【0153】
[制御系統の通信シーケンス]
ここで、カメラ46の撮影画像に重畳画像を重畳する場合における、制御系の通信シーケンスの一例について説明する。図19は、制御系の通信シーケンスの一例を示している。(a)コントローラ110は、各カメラの撮影状態を制御する。すなわち、コントローラ110は、カメラ46-1,46-2に対して、位置、角度(パン、チルトの方向)、ズーム値の指示を送る。なお、カメラ46-1,46-2の位置が固定である場合には、位置の指示は省略される。(b)また、コントローラ110は、エフェクト・スイッチャ41に指示を送り、例えばあるカメラからの画像を選択させる。
【0154】
(c)カメラ46-1,46-2は、位置、角度、ズーム値等の変更が終わると、現在のそれらの値をコントローラ110に送る。なお、別の例としては、カメラ46-1,46-2からの値の送信はなく、コントローラ110は、カメラ46-1,46-2の位置、角度、ズーム値等は自身が指示した値になったと仮定してもよい。また、別な例としては、カメラ46-1,46-2は、コントローラ110からの指示の通りにならなかった場合だけ、エラーをコントローラ110に返すようにしてもよい。
【0155】
(d)コントローラ110は、カメラ46-1,46-2から位置、角度、ズーム値等の値を受け取ると、重畳判断、重畳位置算出を行う。コントローラ110は、この重畳判断、重畳位置算出を、エフェクト・スイッチャ41でカメラ46-1,46-2からの画像を背景画像として使うようにしており、それに対応する重畳画像を扱うように設定されている場合に行う。コントローラ110は、背景画像に該当するカメラからの位置、角度、ズーム値等の値によって、対象物がカメラの撮影画像に入っているか判断する。コントローラ110は、対象物がカメラの撮影画像に入っていれば、重畳画像を重畳すべきと判断する。また、コントローラ110は、重畳画像を重畳すべきと判断するとき、さらに、重畳画像の重畳位置を計算する。
【0156】
(e)コントローラ110は、重畳判断、重畳位置算出を行った後に、重畳および重畳位置の指示をエフェクト・スイッチャ41に送る。
【0157】
[コントローラの機能ブロック]
コントローラ110は、上述したように、カメラ46の撮影画像への画像重畳を制御する。図20は、コントローラ110における画像重畳制御に関係する機能ブロック構成の一例を示している。コントローラ110は、カメラ制御部151、状態情報受信部152、重畳判断部153、重畳位置算出部154および重畳、重畳位置指示部155を有している。
【0158】
カメラ制御部151は、カメラ46に対して、位置、角度(パン、チルトの方向)、ズーム値の指示を送って、カメラ46の撮影状態を制御する。なお、カメラ46の位置が固定である場合には、位置の指示は送らない。また、カメラ46の撮影状態がコントローラ110から遠隔制御されるのではなく、このカメラ46に付いている操作者により手動操作される場合には、カメラ制御部151は不要となる。
【0159】
状態情報受信部152は、カメラ46から送られてくる位置、角度、ズーム値等の撮影状態の情報を受信する。なお、カメラ46から当該位置、角度、ズーム値等の撮影状態の情報が送られてこないシステムにあっては、この状態情報受信部152は不要となる。この場合、後述する重畳判断部153、重畳位置算出部154は、位置、角度、ズーム値等の撮影状態の情報を、カメラ制御部151等から取得して使用する。
【0160】
重畳判断部153は、状態情報受信部152で受信された位置、角度、ズーム値等の撮影状態の情報、対象物の位置情報などに基づいて、カメラ46の撮影範囲を算出し、その算出結果に基づいて、カメラ46の撮影画像に重畳画像を重畳するか否かを判断する。この場合、カメラ46の撮影範囲に対象物(対象被写体)が位置しているときには、重畳すると判断される。
【0161】
重畳位置算出部154は、状態情報受信部152で受信された位置、角度、ズーム値等の撮影状態の情報、対象物の位置情報などに基づいて、対象物(対象被写体)の画面中の位置を算出し、この算出結果に基づいて、重畳画像の重畳位置を求める。重畳、重畳位置指示部155は、重畳判断部153の判断結果および重畳位置算出部154の算出結果に基づいて、エフェクト・スイッチャ41に重畳および重畳位置を指示する。
【0162】
[対象物位置への重畳設定を含むプレイリストの内容例]
上述したように、コントローラ110は、プレイリスト(キューシート)を保持し、このプレイリストに基づいて番組送出制御、つまり、カメラ46、エフェクト・スイッチャ41等の動作を制御する。プレイリストには、エフェクト・スイッチャ41が背景画像としてカメラ46の撮影画像を選択しているときに、当該カメラ46の撮影状態(位置、角度、ズーム値等)の情報に基づいて、エフェクト・スイッチャ41に重畳画像の重畳を指示すること、が記憶される。
【0163】
図21は、プレイリストの内容の一例を示している。このプレイリストには、画面上の対象物位置に、重畳画像を重畳する設定が含まれている。このプレイリストは、コントローラ110内に記憶されている。このプレイリストにおいて、1行が、出力画像の一構成を示している。ある構成(行)から次の構成(行)へは、既定の時刻(開始からの経過時間)になると自動的に進むか、あるいは、手動でTakeボタンが押された際に進むかのいずれかであり、いずれかがコントローラ110に設定される。
【0164】
図21の各構成の内容において、例示されているのは、エフェクト・スイッチャ41の一つのM/Eバンクの制御状態である。各項目について説明する。BkgdAは、背景Aバス(通常背景画像として出力される画像を扱うバス)に選択する入力画像信号である。図21では、入力画像信号の名称で示しているが、番号で記憶しても同じである。BkgdBは、背景Bバスに選択する入力画像信号である。
【0165】
Key1は、キーヤー1に選択する入力画像信号である。キーヤーへの信号選択は、フィルとソースの2本のバスに対して選択を行うのが通常である。この場合、フィルとソースの選択肢を対にしたものに付けた番号を用いることで、一つの番号で指定できるように制御を構成するのが、一般的である。このため、ここでも一つの番号で事足りる。
【0166】
Key1Controlは、キーヤー1の画像信号処理を指定する内容である。これには、キーを載せる(On)かどうか、キー信号処理の種類(ルミナンス・キーやクロマ・キーなど)、その調整値(ゲインの値など)、デジタル画像処理による拡大縮小や変形の指定、などが含まれる。Key2,Key2Controlは、キーヤー1と同様にキーヤー2に関する内容である。
【0167】
Transitionは、前の構成からその構成に変化する際の、変化の方法が書かれる。「カット」は、前の画からカットで瞬時に次の画に変わる。「Wipe 3、30Frames」は、パターン番号3番のワイプを使い、30フレームの時間を掛けて、画を切り替える。そのほか、ミックスは画素毎に徐々に合成して切り替える効果であり、CG(コンピュータグラフィックス)は記憶しているコンピュータグラフィックスを画面に重ねながら変化させるものである。
【0168】
上述の他にも、エフェクト・スイッチャ41の制御状態に関する値が、プレイリストの一構成の中に含まれる。
【0169】
Key1Control(Key2Control)の内容に、「位置情報1」という指定が含まれるものがある。これは、キーを載せるかどうか、および重畳画像の位置制御を、指定カメラからの位置情報に依存するという意味である。この中には、カメラを指定する情報(番号)を含む。カメラの指定は、通常、BkgdAバスで選択するカメラとなる。すなわち、背景画像を撮影しているカメラからの情報で、重畳を判断する。
【0170】
「位置情報1」を含む構成では、次の様にエフェクト・スイッチャ41を制御する。コントローラ110は、背景画像に指定カメラが含まれなければ、画像重畳は行わない。一方、コントローラ110は、背景画像に指定カメラが含まれる場合、この指定カメラの撮影状態(位置、角度、ズーム値)の情報から、特定の位置(座標)にある対象物(対象被写体)がカメラの撮影範囲(画枠)に含まれるか否かを判断する。含まれる場合、コントローラ110は、さらに、重畳位置を算出し、そのキーヤーで、その重畳位置に重畳画像を移動して重畳するように、エフェクト・スイッチャ41に指示する。図21中の、「位置情報2」も同様である。
【0171】
[コントローラの送出制御例]
図22のフローチャートは、コントローラ110のプレイリストによる送出制御の一部を示している。コントローラ110は、ステップST1において、カメラ画像を含むプレイリストの1構成の送出制御を開始し、その後、ステップST2の処理に移る。このステップST2において、コントローラ110は、プレイリストの着目構成から、各値、各設定を読み取る。この場合、コントローラ110は、プレイリストから、カメラ制御パラメータ、重畳画像、対象物の位置、対象M/Eバンク、利用キーヤー番号のデータ(指示)、背景画像に選択する入力(カメラ)を取得する。
【0172】
次に、コントローラ110は、ステップST3において、カメラ制御パラメータをカメラ46に送る。ここで、カメラ制御パラメータは、カメラ46の撮影状態(位置、角度、ズーム値等)を指示する情報である。
【0173】
次に、コントローラ110は、ステップST4において、カメラ46から送られてくる撮影状態(位置、角度、ズーム値等)の情報を受信する。そして、コントローラ110は、ステップST5において、位置、角度、ズーム値等からカメラ46の撮影範囲を算出し、ステップST6において、対象物がカメラ46の撮影範囲内にあるか否かを判断する。
【0174】
対象物が撮影範囲内にあるとき、コントローラ110は、ステップST7において、位置、角度、ズーム値等から、対象物の画面中の位置を算出し、その算出結果に基づいて、さらに、重畳画像の重畳位置を算出する。そして、コントローラ110は、ステップST8において、エフェクト・スイッチャ41に、利用キーヤーで重畳画像を重畳位置に重畳することを指示する。
【0175】
コントローラ110は、ステップST8の処理の後に、ステップST9において、1構成の送出制御を終了する。また、コントローラ110は、ステップST6で対象物がカメラ46の撮影範囲内にないとき、直ちに、ステップST9に移り、1構成の送出制御を終了する。
【0176】
図23のフローチャートは、プレイリストの1構成の制御を終えた後で、操作者の手動操作に対するコントローラ110による送出制御の一例を示している。ここで、手動操作は、エフェクト・スイッチャ41の操作卓41Aからでも、コントローラ110のシステム操作卓110Aからでも、どちらでもよい。
【0177】
コントローラ110は、ステップST11において、カメラ画像を含む送出制御を開始し、その後、ステップST12において、操作待ち状態となる。コントローラ110は、ステップST12で操作があるとき、ステップST13において、背景画像選択か否かを判断する。背景画像選択でないとき、コントローラ110は、ステップST12に戻り、操作待ちの状態となる。
【0178】
背景画像選択であるとき、コントローラ110は、ステップST14において、プレイリストで指定されたカメラ画像を選択する操作であるか否かを判断する。指定されたカメラ画像の選択であるとき、コントローラ110は、ステップST15において、そのカメラ46からの位置、角度、ズーム値等からカメラ46の撮影範囲を算出し、ステップST16において、対象物がカメラ46の撮影範囲内にあるか否かを判断する。
【0179】
対象物が撮影範囲内にあるとき、コントローラ110は、ステップST17において、位置、角度、ズーム値等から、対象物の画面中の位置を算出し、その算出結果に基づいて、さらに、重畳画像の重畳位置を算出する。そして、コントローラ110は、ステップST18において、エフェクト・スイッチャ41に、利用キーヤーで重畳画像を重畳位置に重畳することを指示する。コントローラ110は、ステップST18の処理の後に、ステップST12に戻り、操作待ちの状態となる。
【0180】
上述のステップST14で指定されたカメラ画像の選択でないとき、および上述のステップST16で対象物が撮影範囲内にないとき、コントローラ110は、ステップST19において、エフェクト・スイッチャ41に、重畳画像の重畳解除を指示する。その後に、コントローラ110は、ステップST12に戻って、操作待ち状態となる。
【0181】
なお、「背景画像の選択」は、エフェクト・スイッチャ41で出力に使っている背景画像であるので、一般に、Aバスと呼ばれる背景バス(BkgdA)についての操作を指す。エフェクト・スイッチャ41の種類や設定によっては、それ以外の名称のバスとなることもある。
【0182】
上述の例では、プレイリストの1構成で指定されるのが一つのカメラである例を示した。しかし、他の例として、複数カメラを対象とすることができる。複数カメラを対象とする場合、コントローラ110は、プレイリスト中か、あるいはその他の記憶部に、複数個のカメラの撮影画像のそれぞれに重畳すべき重畳画像の情報を有するようにされる。
【0183】
例えば、プレイリスト中か、あるいはその他の記憶部に、図24に示すような、重畳設定表が設定される。この重畳設定表には、複数のカメラそれぞれについて、対象カメラの番号と、対象カメラの画像信号が接続されているエフェクト・スイッチャ41の入力番号と、重畳する画像が接続されているエフェクト・スイッチャ41の入力番号が記憶されている。また、この重畳設定表には、複数のカメラそれぞれについて、利用するキーヤーの番号と、利用するキーヤーの画像信号処理(調整値など)を指定する内容と、対象物(対象被写体)の位置情報(大きさ情報を含むこともある)が記憶されている。
【0184】
なお、重畳画像の画像信号を素材サーバから得る場合、上述の図24に示す重畳設定表における「重畳画像の入力番号」の部分は、例えば、「重畳画像としての素材クリップの識別子」とされる。この場合、運用時に、エフェクト・スイッチャ41で所定のキーヤーにどの入力を選択するかは、素材サーバから送られてくる素材クリップ(識別子)と出力チャネルとの対応関係に基づいて判断される。
【0185】
図25のフローチャートは、上述したように重畳設定表が設定されている場合における、操作者の手動操作に対するコントローラ110による送出制御の一例を示している。
【0186】
コントローラ110は、ステップST21において、カメラ画像を含む送出制御を開始し、その後、ステップST22において、操作待ち状態となる。コントローラ110は、ステップST22で操作があるとき、ステップST23において、背景画像選択か否かを判断する。背景画像選択でないとき、コントローラ110は、ステップST22に戻り、操作待ちの状態となる。
【0187】
背景画像選択であるとき、コントローラ110は、ステップST24において、重畳設定表に記憶されているいずれかのカメラ画像を選択する操作であるか否かを判断する。記憶されているカメラ画像の選択であるとき、コントローラ110は、ステップST25において、重畳設定表に記憶されているそのカメラに関する設定情報を読み出して、以下の処理における使用に備える。
【0188】
次に、コントローラ110は、ステップST26において、そのカメラ46から受信した位置、角度、ズーム値等から撮影範囲を算出し、ステップST27において、対象物がカメラ46の撮影範囲内にあるか否かを判断する。
【0189】
対象物が撮影範囲内にあるとき、コントローラ110は、ステップST28において、そのカメラ46の位置、角度、ズーム値等から、対象物の画面中の位置を算出し、その算出結果に基づいて、さらに、指定の重畳画像を重畳する重畳位置を算出する。そして、コントローラ110は、ステップST29において、エフェクト・スイッチャ41に、指定キーヤーで重畳画像を重畳位置に重畳することを指示する。コントローラ110は、ステップST29の処理の後に、ステップST22に戻り、操作待ちの状態となる。
【0190】
上述のステップST24で重畳設定表に記憶されているカメラ画像の選択でないとき、および上述のステップST27で対象物が撮影範囲内にないとき、コントローラ110は、ステップST30において、スイッチャ41に、重畳画像の重畳解除を指示する。その後に、コントローラ110は、ステップST22に戻って、操作待ち状態となる。
【0191】
なお、図23、図25のコントローラ110による送出制御において、エフェクト・スイッチャ41における背景画像の選択の動作のタイミング(実行されるフィールド)と、同じタイミングで上述の重畳ないし重畳の解除を実行するように制御することが好ましい。これにより、背景画像の切り替えと、重畳の変化が同時になるため、反応の遅れを感じない出力画像を得ることが可能となる。
【0192】
[カメラの撮影状態の変化時における送出制御]
カメラ46において手動操作により位置、角度(パン、チルトの方向)、ズーム値等の撮影状態が変えられたとき、背景画像として選択されているカメラの撮影画像の状態が変化する。例えば、撮影画像における対象物の位置が変化する。また、例えば、撮影画像に位置していた対象物が、撮影画像に位置しなくなる。また、例えば、撮影画像から外れていた対象物が撮影画像に位置するようになる。この実施の形態において、コントローラ110は、カメラ46の撮影状態の変化に応じて、エフェクト・スイッチャ41による画像重畳の動作を変更するようにされる。
【0193】
図26のフローチャートは、手動操作などにより位置、角度、ズーム値等の撮影状態が変更されたカメラ46から撮影状態情報を受信した場合における、コントローラ110による送出制御の一例を示している。
【0194】
コントローラ110は、ステップST31において、撮影状態情報をカメラ46から受信したとき、送出制御を開始する。そして、コントローラ110は、ステップST32において、撮影状態情報の送信元は、現在その撮影画像を背景画像に使っているカメラ46であるか否かを判断する。撮影状態情報の送信元が、現在その撮影画像を背景画像に使っているカメラ46でないとき、コントローラ110は、直ちに、ステップST38に進み、制御処理を終了する。
【0195】
撮影状態情報の送信元が、現在その撮影画像を背景画像に使っているカメラ46であるとき、コントローラ110は、ステップST33の処理に移る。このステップST33において、コントローラ110は、そのカメラ46に対応して、プレイリスト、重畳設定表などにおいて、画像重畳が設定されているか否かを判断する。画像重畳が設定されていないとき、コントローラ110は、直ちに、ステップST38に進み、制御処理を終了する。
【0196】
画像重畳が設定されているとき、コントローラ110は、ステップST34の処理に移る。このステップST34において、コントローラ110は、受信した撮影状態(位置、角度、ズーム値等)の情報からカメラ46の撮影範囲を算出し、ステップST35において、対象物がカメラ46の撮影範囲内にあるか否かを判断する。
【0197】
対象物が撮影範囲内にあるとき、コントローラ110は、ステップST36において、位置、角度、ズーム値等から、対象物の画面中の位置を算出し、その算出結果に基づいて、さらに、指定の重畳画像を重畳する重畳位置を算出する。そして、コントローラ110は、ステップST37において、エフェクト・スイッチャ41に、指定キーヤーで重畳画像を重畳位置に重畳することを指示する。コントローラ110は、ステップST37の処理の後に、ステップST38において、制御処理を終了する。
【0198】
上述のステップST35で対象物が撮影範囲内にないとき、コントローラ110は、ステップST39において、エフェクト・スイッチャ41に、重畳画像の重畳解除を指示し、その後に、ステップST38に進み、制御処理を終了する。
【0199】
以上説明したように、図1、図13のシステム100において、エフェクト・スイッチャ41が背景画像としてカメラ46の撮影画像を選択しているとき、コントローラ110により、カメラ46の撮影状態に基づいて、重畳画像を重畳するか否かが判断される。そして、コントローラ110から、その判断結果に基づいて、エフェクト・スイッチャ41に重畳の指示が与えられる。
【0200】
この場合、カメラ46の撮影画像に重畳画像を重畳するためにエフェクト・スイッチャ41中の一部回路が専有されるものでなく、必要な場合のみ使用される。また、この場合、エフェクト・スイッチャ41とは別個にカメラ用の画像重畳装置を設けるものでもない。そのため、全体の機能低下を起こさずに、カメラ46の撮影状態に応じた画像重畳を経済的に実現できる。
【0201】
また、図1、図13のシステム100においては、エフェクト・スイッチャ41が複数のカメラ46のうち所定のカメラ46の撮影画像を選択しているとき、このカメラ46の撮影状態情報に基づいて、カメラ46の撮影画像に重畳画像を重畳するか否かが判断される。そして、エフェクト・スイッチャ41には、この判断結果に基づいて、この所定のカメラ46の撮影画像に重畳すべき重畳画像の重畳が指示される。そのため、複数のカメラ46の運用においても、適切な重畳を経済的に実現できる。
【0202】
また、図1、図13のシステム100において、コントローラ110では、カメラ46の位置、角度、ズーム値等の情報に基づいて、重畳画像の重畳位置が算出され、この算出結果に基づいて、エフェクト・スイッチャ41に重畳画像の重畳位置が指示される。この場合、画像の重畳位置の調整が自動化されることから、放送システムの運用に必要な人員を削減してコストを減らし、さらに重畳位置の手動操作による誤操作の危険を減らすことができる。
【0203】
<2.変形例>
[重畳画像の重畳位置の他の例]
なお、上述の実施の形態においては、カメラ46の撮影画像に重畳される重畳画像は、対象物(対象被写体)の画面中の位置が算出され、例えばこの対象物の下端位置に配置されるように説明した。しかし、重畳画像の重畳位置を画面中の一定位置に固定されていてもよい。このように、重畳位置が一定位置に固定されることで、対象物の画面中の位置を求めて、重畳位置を決定する処理が不要となり、処理が容易となる。
【0204】
図27は、画像重畳位置の例を示している。図27(a)〜(c)は、対象物の下端位置に重畳画像を配置した例である。これに対して、図27(d)〜(f)は、対象物の位置によらず、重畳画像を画面の中心に配置した例である。また、図27(g)〜(i)は、対象物の位置によらず、重畳画像を画面の左下に配置した例である。
【産業上の利用可能性】
【0205】
この発明は、エフェクト・スイッチャを用いたシステムに関して、全体の機能低下を起こさずに、カメラの撮影状態に応じた画像重畳を経済的に実現できるものであり、番組送出制御システム等に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0206】
【図1】この発明の実施の形態としての番組送出制御システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】番組送出制御システムのソフトウエアブロックの構成例を示す図である。
【図3】番組送出制御システムのソフトウエアブロックの実装例を示す図である。
【図4】番組送出制御システムのソフトウエアブロックの他の実装例を示す図である。
【図5】番組送出制御システムのソフトウエアブロックのさらに他の実装例を示す図である。
【図6】Automationシステムにおけるデータベース部のデータベースサーバ(DB Serve)を中心としたブロック構成例を示す図である。
【図7】番組送出制御システムの要部構成例を示す図である。
【図8】番組送出制御システムにおける要部ソフトウエア・モジュールの構成例を示す図である。
【図9】スイッチャの構成例を示す図である。
【図10】スイッチャの操作卓の外観を示す図である。
【図11】操作卓でSVRが選択したパレットを示す図である。
【図12】SVRが設定されたプレイリストを示す図である。
【図13】番組送出制御システムにおいて、カメラの撮影画像への画像重畳に関連した構成部分を概略的に示すブロック図である。
【図14】カメラの撮影画像への画像重畳を説明するための図である。
【図15】複数のカメラの運用状況を説明するための図である。
【図16】撮影範囲(画枠)の算出方法を説明するための図である。
【図17】ズーム値を説明するための図である。
【図18】対象物の画面中位置の算出方法を説明するための図である。
【図19】制御系の通信シーケンスの一例を示す図である。
【図20】コントローラにおける画像重畳制御に関係する機能ブロック構成の一例を示す図である。
【図21】対象物位置への重畳設定を含むプレイリスト(キューシート)の内容例を示す図である。
【図22】コントローラのプレイリストによる送出制御の一部を示すフローチャートである。
【図23】プレイリストの1構成の制御を終えた後で、操作者の手動操作に対するコントローラによる送出制御の一例を示すフローチャートである。
【図24】重畳設定表の一例を示す図である。
【図25】重畳設定表が設定されている場合における、操作者の手動操作に対するコントローラによる送出制御の一例を示すフローチャートである。
【図26】手動操作などにより位置、角度、ズーム値等の撮影状態が変更されたカメラから撮影状態情報を受信した場合における、コントローラによる送出制御の一例を示すフローチャートである。
【図27】画像重畳位置の例を示す図である。
【符号の説明】
【0207】
10・・・Automation制御ブロック、20・・・ニュースルームコントロールシステムブロック、30・・・MOS機器ブロック、31・・・プレイアウトサーバ、32・・・CG/スチルストア、40・・・Automation制御機器ブロック、41・・・エフェクト・スイッチャ(スイッチャ)、42・・・デバイスコントロールユニット、43・・・ビデオクリップサーバ、44・・・オーディオクリップサーバ、45・・・ビデオテープレコーダ、46・・・遠隔制御カメラ(カメラ)、47・・・オーディオミキサ、100・・・番組送出制御システム、101・・・データベース部、102・・・NRCSプラグイン/プレイリストビューア部、103・・・NRCSインタフェース部、104・・・オンエアープレイリスト/セットアップ部、105・・・デバイス制御部、106・・・ログ/アラーム管理部、110・・・コントローラ(第一のコンピュータ装置)、120・・・第二のコンピュータ装置、130・・・コントロールユニット、151・・・カメラ制御部、152・・・状態情報受信部、153・・・重畳判断部、154・・・重畳位置判断部、155・・・重畳、重畳位置指示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エフェクト・スイッチャが背景画像としてカメラの撮影画像を選択しているカメラ画像選択時に、上記カメラの角度およびズーム値の情報に基づいて、上記カメラの撮影画像に重畳画像を重畳するか否かを判断する重畳判断部と、
上記重畳判断部の判断結果に基づいて上記エフェクト・スイッチャに上記重畳画像の重畳を指示するスイッチャ指示部
を備えるスイッチャ制御装置。
【請求項2】
上記カメラ画像選択時に、上記カメラの角度およびズーム値の情報に基づいて、上記重畳画像の重畳位置を算出する重畳位置算出部をさらに備え、
上記スイッチャ指示部は、さらに、上記重畳位置算出部の算出結果に基づいて、上記エフェクト・スイッチャに上記重畳画像の重畳位置を指示する
請求項1に記載のスイッチャ制御装置。
【請求項3】
上記カメラは移動可能なカメラであり、
上記重畳判断部は、
上記カメラの角度およびズーム値の情報と共に上記カメラの移動位置の情報に基づいて、上記カメラの撮影画像に重畳画像を重畳するか否かを判断する
請求項1に記載のスイッチャ制御装置。
【請求項4】
複数個のカメラの撮像画像のそれぞれに重畳すべき重畳画像の情報を保持する情報保持部をさらに備え、
上記スイッチャ指示部は、
上記エフェクト・スイッチャが背景画像として上記複数のカメラのうち所定のカメラの撮影画像を選択しているとき、上記情報保持部に保持されている情報に基づいて、該所定のカメラの撮影画像に重畳すべき重畳画像の重畳を上記エフェクト・スイッチャに指示する
請求項1に記載のスイッチャ制御装置。
【請求項5】
エフェクト・スイッチャが背景画像としてカメラの撮影画像を選択しているとき、上記カメラの角度およびズーム値の情報に基づいて、上記カメラの撮影画像に重畳画像を重畳するか否かを判断する重畳判断ステップと、
上記重畳判断ステップの判断結果に基づいて上記エフェクト・スイッチャに上記重畳画像の重畳を指示するスイッチャ指示ステップ
を備えるスイッチャ制御方法。
【請求項6】
カメラと、
画像の合成を行うエフェクト・スイッチャと、
上記エフェクト・スイッチャの動作を制御する制御部を備え、
上記制御部は、
上記エフェクト・スイッチャが背景画像として上記カメラの撮影画像を選択しているとき、上記カメラの角度およびズーム値の情報に基づいて、上記カメラの撮影画像に重畳画像を重畳するか否かを判断し、該判断結果に基づいて上記エフェクト・スイッチャに上記重畳画像の重畳を指示する
画像合成装置。
【請求項7】
上記制御部は、さらに、
上記カメラの角度およびズーム値の情報に基づいて、上記重畳画像の重畳位置を算出し、該算出結果に基づいて、上記エフェクト・スイッチャに上記重畳画像の重畳位置を指示する
請求項6に記載の画像合成装置。
【請求項8】
上記カメラは移動可能とされており、
上記制御部は、
上記カメラの角度およびズーム値の情報と共に上記カメラの移動位置の情報に基づいて、上記カメラの撮影画像に重畳画像を重畳するか否かを判断する
請求項6に記載の画像合成装置。
【請求項9】
複数個の上記カメラを備え、
上記制御部は、
上記複数個のカメラの撮影画像のそれぞれに重畳すべき重畳画像の情報を有し、
上記エフェクト・スイッチャが、背景画像として上記複数のカメラのうち所定のカメラの撮影画像を選択しているとき、該所定のカメラの撮影画像に重畳すべき重畳画像の重畳を上記エフェクト・スイッチャに指示する
請求項6に記載の画像合成装置。
【請求項10】
上記制御部は、番組送出プログラムに基づいて、上記エフェクト・スイッチャの動作を制御し、
上記番組送出プログラムには、上記エフェクト・スイッチャが背景画像として上記カメラの撮影画像を選択しているときに上記カメラの撮影状態の情報に基づいて上記エフェクト・スイッチャに上記重畳画像の重畳を指示すること、が記憶される
請求項6に記載の画像合成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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