説明

スイッチング電源装置

【課題】部品点数、および、実装工数の増大を抑制するすることができるスイッチング電源装置を提供する。
【解決手段】スイッチング素子のスイッチング動作によりトランスの一次巻線に入力電力を供給し、トランスの二次巻線に形成された二次側回路から出力電力を取り出すスイッチング電源装置において、トランスA、Bの複数個で構成され、各トランスA、Bの各一次巻線1a、1bが直列接続されるとともに各トランスA、Bの各一次巻線1a、1bが1つの導体にて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2つ以上のトランスで構成されるスイッチング電源装置に関し、特に、部品点数、および、実装工数の増大を抑制するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のスイッチング電源装置は、トランスで発生する損失熱を低減する構成、および方法が提案されている。例えば、スイッチング電源装置のトランスを複数個のトランスで構成することにより、電流の集中を抑制し、損失による発熱を低減し、効率の向上を図っている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−178205号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のスイッチング電源装置は、回路上の接続についてのみ示されており、トランスを複数個とする課題に関する記載は一切示されいない。このように、トランスを複数個で構成する場合、
(1)トランスの部品点数が増大する。
(2)(1)の部品点数増大に伴い、実装する際の実装工数も増大する。
という問題点があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、複数個のトランスを備えるように構成しても、部品点数、および、実装工数の増大を抑制することができるスイッチング電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、
スイッチング素子のスイッチング動作によりトランスの一次巻線に入力電力を供給し、上記トランスの二次巻線に形成された二次側回路から出力電力を取り出すスイッチング電源装置において、
上記トランスが複数個で構成され、上記各トランスの各一次巻線が直列接続されるとともに上記各トランスの各一次巻線が1つの導体にて構成されているものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明のスイッチング電源装置は、
スイッチング素子のスイッチング動作によりトランスの一次巻線に入力電力を供給し、上記トランスの二次巻線に形成された二次側回路から出力電力を取り出すスイッチング電源装置において、
上記トランスが複数個で構成され、上記各トランスの各一次巻線が直列接続されるとともに上記各トランスの各一次巻線が1つの導体にて構成されているので、
部品点数、および、実装工数の増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1のスイッチング電源装置のトランスの構成を示す平面図である。
【図2】この発明の実施の形態2のスイッチング電源装置のトランスの構成を示す平面図である。
【図3】この発明の実施の形態2のスイッチング電源装置の他のトランスの構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
以下、本願発明の実施の形態について説明する。図1はこの発明の実施の形態1におけるスイッチング電源装置の各トンランスの一次巻線とコアと冷却路との構成を示す平面図である。図において、スイッチング電源装置は、スイッチング素子のスイッチング動作によりトランスの一次巻線に入力電力を供給し、トランスの二次巻線に形成された二次側回路から出力電力を取り出すものであり、本願トランスはトランスA、Bの複数個で構成されている。そして、トランスAは一次巻線1a、一次巻線1aと回路基板10とを接続するための端子部2aと、コア4aとを備える。また、トランスBは一次巻線1b、一次巻線1bと回路基板10とを接続するための端子部2bと、コア4bとを備える。
【0010】
トランスAとトランスBとは、それぞれの一次巻線1a、1bが接続部6にて接続されることにより直列に接続されている。一次巻線1a、1bは、一次巻線1a、1bを回路基板10上に固定するための複数の爪3と、および回路基板10と接続するための端子部2a、2bとを備える。尚、図における、コア4aおよびコア4bは、それぞれのコア4a、4bの形成領域を示したものであり、以下の実施の形態においても同様に示す。
【0011】
このように、一次巻線1aと一次巻線1bとは直列接続されており、1つの導体にて構成されている。この導体は、一枚の金属平板で、所定の隙間を隔てて巻回された状態で構成されることが望ましい。このように、1つの導体すなわち、一枚の金属平板で構成すれば、プレス加工で容易に製造することが可能となる。また、この金属平板で構成された一次巻線1a、1bを回路基板10上に実装することで、トランスA、Bの一次側のスイッチング素子との接続が容易となる。また、このように構成すると、トランスA、Bの複数個としたのにもかかわらず、一次巻線1a、1bは1つの部品にて構成することができる。
【0012】
また、端子部2a、2b、各爪3、各一次巻線1a、1bの接続部6は、一次巻線1a、1bの巻回部分と外接する矩形領域5内に形成している。このように形成することで、金属平板の無駄な捨て代を削減することができる。尚、図における、端子部2a、2bおよび各爪3は、金属平板において打ち抜かれた状態を示したもので、回路基板10に実装される場合は、端子部2a、2bおよび各爪3は回路基板10側に折り返されて使用されるものであり、以下の実施の形態においても同様に示す。
【0013】
さらに、端子部2a、2b、各爪3、および、接続部6は各コア4a、4bが存在する領域外に形成している。また、トランスA、Bのコア4a、4bはその短手方向側同士が隣接するように配設されている。このようにコア4a、4bを配設すると、例えば水冷による冷却路11を形成する場合、図1(b)に示すように、2つのコア4a、4bに対してその下部に、コア4a、4bの長手方向に対して平行に配置することができるため、コア4a、4bを効率良く冷却することが可能となる。
【0014】
上記のように構成された実施の形態1のスイッチング電源装置は、複数のトランスの一次巻線を1つの導体にて形成することで、部品手数、実装工数の増大を抑制し、結果的にコストアップを抑制することができる。また、所定の隙間を隔てて巻回された金属平板で構成し、回路基板の表面に実装することで、いわゆる、リッツ線を巻回するタイプのトランスよりも、実装工数を抑制しつつ、大きな電流を流すことが可能となる。
【0015】
また、端子部と、爪と、一次巻線の接続部を一次巻線に外接する矩形領域内にて設けることで、金属平板の無駄な捨て代を削減することができる。
また、端子部と、爪と、一次巻線の接続部をコアの存在する領域外に設けることで、端子部および爪とコアとの電気的な関係を良好に確保することができる。
また、複数のコアに対して冷却路をコアの長手方向に並行に沿って配置することができるため、コアの冷却性能を向上することができる。
【0016】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、トランスA、Bのコア4a、4bの短手方向側同士が隣接するように配設する例を示したが、本実施の形態2では、トランスA、Bのコア4a、4bの長手方側同士が隣接するように配設するものである。図2はこの発明の実施の形態2のスイッチング電源装置の各トンランスの一次巻線とコアと冷却路との構成を示す平面図である。図において、上記実施の形態1と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。本実施の形態2では、コア4a、4bの長手方向側同士が隣接するように配設されている。このようにコア4a、4bを配設すると、例えば水冷による冷却路12を形成する場合、図2(b)に示すように、2つのコア4a、4bの中央位置の下部に各コア4a、4bの長手方向に対して平行に配置することができ、両コア4a、4bを効率良く冷却することが可能となる。尚、他の部分は上記実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0017】
また、上記実施の形態2においては一次巻線1a、1bを同一方向に巻回する例を示したが、これに限られることはなく、例えば、図3に示すように、一次巻線1a、1bの巻回方向が異なる方向にて巻回するように構成する場合も考えられ、上記実施の形態2と同様に構成することが可能である。このような一次巻線1a、1bのレイアウトとすることで、一次巻線1a、1bの接続部6の固定に用いる爪3が1つでも、回路基板10に接続部6を確実に固定することが可能となる。
【0018】
尚、上記各実施の形態は、トランスの個数が2個を例に説明したが、この限られることはなく、複数のトランスであれば、上記各実施の形態と同様に形成することができ、同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0019】
A,B トランス、1a,1b 一次巻線、2a,2b 端子部、3 爪、
4a,4b コア、5 矩形領域、6 接続部、10 回路基板、11,12 冷却路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子のスイッチング動作によりトランスの一次巻線に入力電力を供給し、上記トランスの二次巻線に形成された二次側回路から出力電力を取り出すスイッチング電源装置において、
上記トランスが複数個で構成され、上記各トランスの各一次巻線が直列接続されるとともに上記各トランスの各一次巻線が1つの導体にて構成されていることを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項2】
上記各一次巻線は、所定の隙間を隔てて巻回された金属平板にて構成され、回路基板上に実装されることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
上記各一次巻線は、上記回路基板に接続するための端子部と、上記回路基板に固定するための爪とをそれぞれ有し、
上記端子部と上記爪とは上記各一次巻線に外接する矩形領域内に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のスイッチング電源装置。
【請求項4】
上記各トランスの各コアは、当該各コアの長手方向側同士が隣接するように配設されるか、または、当該各コアの短手方向側同士が隣接するように配設され、
上記端子部および上記爪は、上記トランスのコアが存在する領域外に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のスイッチング電源装置。
【請求項5】
上記各一次巻線の接続部は、上記各一次巻線に外接する矩形領域内に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のスイッチング電源装置。
【請求項6】
上記各トランスの各コアは、当該各コアの長手方向側同士が隣接するように配設されるか、または、当該各コアの短手方向側同士が隣接するように配設され、
上記各一次巻線の接続部は、上記トランスのコアが存在する領域外に設けられていることを特徴とする請求項5に記載のスイッチング電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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