スイッチ装置
【課題】スイッチ装置としての構造の簡素化を図るとともに、その誤動作を抑制して、高い信頼を維持することのできるスイッチ装置を提供する。
【解決手段】このスイッチ装置は、中空箱状に形成されるととも底面に開口部を有する操作ノブ50と、操作ノブ50の矢印a1,a2で示す方向に揺動可能に軸支するボディ10とを備え、操作ノブ50の揺動位置に応じて車両のウィンドウレギュレータのスイッチングを操作する。ここでは、操作ノブ50の内壁面51に同操作ノブ50と一体となって揺動する金属板60,61を設けるとともに、金属板60,61に当接するかたちで金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23を設ける。そして、操作ノブ50の揺動位置に応じて金属板60,61と金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23との間で接触状態と非接触状態とが選択的に変更されることにより、車両のウィンドウレギュレータのスイッチングを操作する。
【解決手段】このスイッチ装置は、中空箱状に形成されるととも底面に開口部を有する操作ノブ50と、操作ノブ50の矢印a1,a2で示す方向に揺動可能に軸支するボディ10とを備え、操作ノブ50の揺動位置に応じて車両のウィンドウレギュレータのスイッチングを操作する。ここでは、操作ノブ50の内壁面51に同操作ノブ50と一体となって揺動する金属板60,61を設けるとともに、金属板60,61に当接するかたちで金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23を設ける。そして、操作ノブ50の揺動位置に応じて金属板60,61と金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23との間で接触状態と非接触状態とが選択的に変更されることにより、車両のウィンドウレギュレータのスイッチングを操作する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作ノブの操作を通じて各種機器のスイッチングを操作するスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のスイッチ装置としては、例えば特許文献1に記載のスイッチ装置が知られている。この特許文献1に記載のスイッチ装置は、例えば車両の運転席の肘掛け部に設けられる操作ノブを備え、車両のユーザによる操作ノブの操作を通じて車両のウィンドウレギュレータのスイッチングを操作する。図11にこの特許文献1に記載のスイッチ装置の断面構造を示す。同図11に示されるように、この車両のスイッチ装置は、基本的には、車両のユーザにより操作される操作ノブ100と、端子T1〜T3が並設される回路基板110と、操作ノブ100の操作に基づいて端子T1〜T3の接続状態を切り替えるスイッチ機構120とを備えている。ちなみに、端子T1は車両のアースポイントに接続されてグランド電位におかれ、また、端子T2はウィンドウレギュレータを駆動させるための動力を発生するモータの給電端子に接続され、さらに、端子T3は車両のバッテリのプラス端子に接続されてバッテリ電位におかれている。ここで、端子T1,T3には上記スイッチ機構120を構成する固定接点121,123がそれぞれ設けられている。一方、端子T2の端部には図中の上方に折り曲げられるかたちで突出部111が形成されており、この突出部111が同じく上記スイッチ機構120を構成する可動接点122を揺動可能に支持する部分となっている。この可動接点122は、その中央部分にV字状の凹部122cを有し、その一方の端部122aが上記固定接点121に接触するとともに、その他方の端部122bが上記固定接点123に対向して位置している。そして、スイッチ機構120では、このように可動接点122の一方の端部122aが固定接点121に接触することで、端子T2を端子T1に接続、すなわち上記ウィンドウレギュレータのモータの給電端子を車両のアースポイントに接続する。一方、このスイッチ機構120では、可動接点122の揺動に伴いその一方の端部122aが固定接点121から離間するとともに、その他方の端部122bが固定接点123に接触することで、端子T2を端子T3に接続、すなわちウィンドウレギュレータの給電端子を車両のバッテリのプラス端子に接続する。
【0003】
一方、回路基板110及びスイッチ機構120の上方には、これらを覆うかたちでボディ130が設けられるとともに、さらに、このボディ130の上方には、開口部141を有するカバー140が設けられている。ここで、このボディ130の上面には、上記カバー140の開口部141に達するかたちで突出した中空の筒状部131が形成されている。そして、この筒状部131の上部には軸部132が設けられており、この軸部132により同操作ノブ100が上記開口部141から一部を露出させた状態で揺動可能に支持されている。そして、操作ノブ100は、下方が開放された中空箱状に形成されるとともに、その内壁104から図中の下方に突出して上記筒状部131の内部を通じて上記ボディ130の内部に達するかたちで延伸されて下方に開口部を有する中空の筒部101を有している。この筒部101の内部には、圧縮ばね102、及び同圧縮ばね102の弾性力により下方に付勢されるプッシャ103がそれぞれ設けられており、プッシャ103の先端部が上記可動接点122の凹部122cの最深部に当接することで凹部122cの部分が図中の下方に押圧されている。そして、このスイッチ装置では、このようにプッシャ103により凹部122cを押圧することにより、上記可動接点122の一方の端部122aが上記固定接点121に接触した位置を基準位置としてその位置が保持されるとともに、操作ノブ100が図中に示す位置を基準位置として保持されている。
【0004】
スイッチ装置としてのこうした構造によれば、操作ノブ100が基準位置に保持されているときには、ウィンドウレギュレータのモータの給電端子が車両のアースポイントに接続されて、ウィンドウレギュレータの駆動が停止した状態に維持される。一方、車両のユーザが操作ノブ100を図中の矢印c1で示す方向に操作したとすると、車両のユーザの操作力及びプッシャ103の押圧力により可動接点122が図中の矢印d1で示す方向に揺動し、可動接点122の一方の端部122aが固定接点121から離間するとともに、可動接点122の他方の端部122bが固定接点123に接触するようになる。すなわちこの場合には、ウィンドウレギュレータの給電端子が車両のバッテリのプラス端子に接続されて上記ウィンドウレギュレータのモータへ給電が行われ、上記ウィンドウレギュレータが駆動する。さらに、車両のユーザが操作ノブ100から指を離したとすると、プッシャ103の押圧力により可動接点122が図中の矢印d2で示す方向に揺動するとともに、操作ノブ100が図中の矢印c2で示す方向に揺動し、操作ノブ100及び可動接点122がそれぞれの基準位置に自動復帰する。すなわちこの場合には、ウィンドウレギュレータのモータの給電端子が車両のアースポイントに接続されて同ウィンドウレギュレータの駆動が停止される。したがって、スイッチ装置によれば、車両のユーザによる操作ノブ100の操作を通じてウィンドウレギュレータのスイッチング操作を行うことができるようになる。
【特許文献1】特開2001−297648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、こうしたスイッチ装置では、カバー140の開口部141の周縁部と操作ノブ100の外周部との間に隙間Sが形成されているため、例えば水滴や埃などの異物がスイッチ装置の上方から落下してきたとすると、水滴や埃などの異物が隙間Sを通じてスイッチ装置の内部へと進入する。このため、この異物が上記固定接点121,123や可動接点122に付着するようなことがあると、各接点間に短絡や導通不良等が生じる懸念がある。そしてこのように各接点間に短絡や導通不良等が生じる場合には、スイッチ装置としての誤動作をも招きかねない。そこで、このスイッチ装置では、上記固定接点121,123や可動接点122への異物の付着を防止するために、スイッチ機構120の上方をボディ130により覆うといった構造や、操作ノブ100の揺動を阻害しない範囲で同ボディ130の筒状部131の開口端を操作ノブ100の内壁104の近傍まで延伸させるといった構造を採用するようにしている。ただし、こうした構造を採用するようにした場合には、今度はスイッチ装置としての構造の複雑化を招くおそれがある。
【0006】
なお、このような課題は、上記車両のウィンドウレギュレータのスイッチングを操作するスイッチ装置に限らず、例えば車室内のインストルメントパネルの近傍に操作ノブが設けられ、同操作ノブの操作を通じて車高調整装置のスイッチングを操作するスイッチ装置において共通する課題である。また、こうした車両に搭載されるスイッチ装置に限らず、例えばオーディオ機器に搭載されて、操作ノブの操作を通じて音量調節装置のスイッチングを操作するスイッチ装置においても共通する課題である。
【0007】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、スイッチ装置としての構造の簡素化を図るとともに、その誤動作を抑制して、高い信頼を維持することのできるスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、中空箱状に形成されるとともに底面に開口部を有する操作ノブと、同操作ノブを所定の方向に移動可能に支持するボディとを備え、前記操作ノブの移動位置に応じて各種機器のスイッチングを操作するスイッチ装置において、前記操作ノブの内壁面に同操作ノブと一体となって移動する可動接点を設けるとともに、この可動接点に当接するかたちで固定接点を設け、前記操作ノブの移動位置に応じて前記可動接点と前記固定接点との間で接触状態と非接触状態とが選択的に変更されることにより前記各種機器のスイッチングを操作することを要旨としている。
【0009】
同構成によれば、可動接点及び固定接点の当接部分を操作ノブの内部に配置することができるため、たとえスイッチ装置の上方から水滴や埃などの異物が落下してきたとしても、こうした異物が可動接点及び固定接点の当接部分に付着し難くなる。したがって、水滴や埃などの異物の付着に起因する接点の短絡や導通不良等を防止することができるようになるため、スイッチ装置としての誤動作を抑制して、高い信頼性を維持することができるようになる。また、上述のように、スイッチ装置のボディを異物の進入し難い構造に形成するなど、異物の接点への付着を防止するための構造をスイッチ装置に設ける必要がなくなることから、スイッチ装置としての構造の簡素化も図ることができるようになる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスイッチ装置において、前記ボディが、前記操作ノブを揺動可能に支持する部分として前記操作ノブの内部に挿入される部分を有し、前記操作ノブの内壁面が、同操作ノブの揺動方向に半楕円状に形成され、前記可動接点が、前記操作ノブの内壁面の半楕円状に形成される部分に設けられる金属板からなり、前記固定接点が、前記ボディの前記操作ノブの内部に挿入される部分と前記可動接点との間に配設されて、その一方の端部が前記ボディに固定されるとともに、その他方の端部が前記操作ノブの内壁面に当接することで板ばねとして機能する金属ターミナルからなり、前記操作ノブの揺動に伴い前記固定接点としての金属ターミナルが前記操作ノブの内壁面を摺動することで前記可動接点としての金属板と前記固定接点としての金属ターミナルとの間で接触状態と非接触状態とが選択的に変更されることを要旨としている。
【0011】
同構成によるように、操作ノブの内壁面を半楕円状に形成するようにすれば、操作ノブの揺動に伴い、操作ノブの内部に挿入されるボディの一部と操作ノブの内壁面との間に形成される隙間の大きさが変化するようになるため、操作ノブの内部に挿入されるボディの一部と操作ノブの内壁面との間に配設されて板ばねとして機能する金属ターミナルに生じる弾性力が増減するようになる。したがって、操作ノブの揺動に伴い、金属ターミナルが操作ノブの内壁面を押圧する力が増減するようになる。これにより、操作ノブが所定の基準位置からずれた場合には操作ノブを基準位置に戻す復元力も生じるようになるため、従来のスイッチ装置に設けられる圧縮ばねやプッシャといった操作ノブを基準位置に復帰させるための要素を省略することができるようになる。その結果、スイッチ装置としての構造の簡素化も図ることができるようになる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のスイッチ装置において、前記操作ノブの内壁面の前記固定接点が摺動する部分には、前記操作ノブの内部に突出する突出部が形成されるとともに、同突出部の突出量が、前記固定接点としての金属ターミナルが乗り越えることのできる大きさに設定されてなることを要旨としている。
【0013】
同構成によれば、ユーザによる操作ノブの操作に伴い、固定接点が突出部を乗り越えながら操作ノブの内壁面を摺動するようになるため、固定接点が突出部を乗り越える前後では固定接点が操作ノブの内壁面を押圧する力が変化するようになる。これにより、ユーザが操作ノブを操作するのに必要な力に変化を与えることができるため、ユーザに節度感を付与することができるようになる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のスイッチ装置において、当該スイッチ装置が、車両のウィンドウレギュレータのスイッチングを操作するスイッチ装置であることを要旨としている。
【0015】
車両のウィンドウレギュレータのスイッチングを操作するスイッチ装置は通常、車両の各ドアの肘掛け部に設けられているため、例えば飲料水がこぼれて当該スイッチ装置にかかるといった状況や、車両の窓ガラスが開放されたままの状態で車室外の埃が当該スイッチ装置に直接かかるといった状況が生じ得る。このため、スイッチ装置の内部に水滴や埃などの異物が進入して、各接点間の短絡や導通不良が生じる懸念がある。したがって、こうした車両のウィンドウレギュレータのスイッチングを操作するスイッチ装置に請求項1〜3のいずれか一項に記載のスイッチ装置を適用することの意義は大きい。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかるスイッチ装置によれば、スイッチ装置としての構造の簡素化を図るとともに、その誤動作を抑制して、高い信頼を維持することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明にかかるスイッチ装置を、車両ドアの窓の開閉を行うウィンドウレギュレータのスイッチングを操作するスイッチ装置に適用した一実施形態について図1〜図9を参照して説明する。ここで、図1は、本実施形態にかかるスイッチ装置の分解斜視構造を示したものであり、はじめに、この図1を参照して、このスイッチ装置の全体構造について説明する。
【0018】
同図1に示されるように、このスイッチ装置は、基本的には、車両のユーザにより操作される部分である操作ノブ50と、同操作ノブ50を揺動可能に支持するボディ10と、各種電子部品等の実装された回路基板40とを備え、同操作ノブ50の揺動位置に応じてウィンドウレギュレータのスイッチングを操作する装置である。
【0019】
ここで、ボディ10は、絶縁性部材、例えば樹脂部材により凸形状に形成されて、図中の上方に突出する突出部11と、同突出部11の両脇に形成される肩部12,13とを有している。そして、突出部11の正面と背面には、操作ノブ50が装着されてその揺動軸として機能する一組の軸部14がそれぞれ形成されるとともに、ボディ10の肩部12,13に対応する部分には、当該スイッチ装置の固定接点として機能する金属ターミナルT11〜T13及びT21〜T23が上記突出部11に対して対称となるかたちでそれぞれ鋳込まれてインサート成形されている。そして、これら金属ターミナルT11〜T13及びT21〜T23については、その先端側の部分が上記肩部12,13から導出されてその途中で外側に折り曲げ加工されるとともに、それらの基端側の部分が上記回路基板40のスルーホール41に圧入される部分としてボディ10の底面から導出されている。ちなみに、このボディ10の底面には回路基板40が取り付けられるとともに、回路基板40の底面の中央部の二点鎖線で示す位置には外部の制御装置(図示略)と接続されるコネクタ42が取り付けられている。
【0020】
一方、操作ノブ50も、絶縁性部材、例えば樹脂部材により中空箱状に形成されるとともに、その底面に開口部を有している。そして、この操作ノブ50の前面及び背面には、同操作ノブ50の内部に貫通する一組の貫通孔52が形成されており、この貫通孔52に上記ボディ10の軸部14が摺動可能に内側から嵌合している。すなわち、この操作ノブ50は、この軸部14を中心として図中の矢印a1,a2で示す方向に揺動する。次に、図2を参照して、この操作ノブの構造をより具体的に説明する。図2は、同スイッチ装置の断面構造を示したものである。
【0021】
同図2に示されるように、この操作ノブ50の左側部には、曲率をもって滑らかに窪んだ凹部53が形成されており、ユーザはこの凹部53に指を掛けて力を加えることで、あるいは操作ノブ50の上面を押すことで操作ノブ50を揺動操作することが可能となっている。一方、この操作ノブ50の内壁面51は、半楕円形状に形成されており、この操作ノブ50の内壁面51に上記金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23の折り曲げ加工された部分が当接している。すなわち、これら金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23は、ボディ10の突出部11と操作ノブ50の内壁面51との間に配設されて板ばねとして機能し、これら金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23の折り曲げ加工された部分に生じる弾性力が上記操作ノブ50の内壁面51を押圧する力としてそれぞれ作用している。そして、金属ターミナルT11〜T13が操作ノブ50の内壁面51を押圧する力の合力Fr1と、金属ターミナルT21〜T23が操作ノブ50の内壁面51を押圧する力の合力Fr2とがそれぞれ釣り合うことで、操作ノブ50が図中の位置を基準位置として保持されている。また、この操作ノブ50の内壁面51には、これら金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23が摺動する部分に対応して、当該スイッチ装置の可動接点として機能する金属板60,61が上記突出部11に対して対称となるかたちでそれぞれ鋳込まれてインサート成形されている。すなわち、これら金属板60,61は、操作ノブ50の揺動に伴い、上記金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23に摺動しつつ、同操作ノブ50と一体となって揺動する。ちなみに、金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23が金属板60,61の内面と操作ノブ50の内壁面51との境界部分を滑らかに摺動するように、金属板60,61の内面と上記操作ノブ50の内壁面51とは段差なく面一となるように繋がっている。そして、このように本実施形態にかかるスイッチ装置では、固定接点としての金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23の折り曲げ加工された部分、及び可動接点としての金属板60,61の当接部分が操作ノブ50の内部に配置されている。すなわち、このスイッチ装置は、上方から落下してくる水滴や埃などの異物が金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23及び金属板60,61の当接部分に付着し難い構造を有している。
【0022】
次に、これら金属板60,61の構造を含め、金属板60,61付近の操作ノブ50の内壁面51の構造について具体的に説明する。なお、これら金属板60,61は、上述のように、上記突出部11に対して互いに対称な形状を有しているため、便宜上、金属板61側の構造についてのみ説明し、金属板60側の構造の説明については同様のものとして割愛する。
【0023】
ここで、図3(a)は、図2において金属ターミナルT21〜T23が金属板61に当接している部分を拡大したスイッチ装置の部分断面構造を、また、図3(b)は、同部分の斜視構造を示したものである。
【0024】
これら図3(a),(b)に示されるように、金属板61は、操作ノブ50の内壁面51に沿う形で湾曲する形状を有するとともに、操作ノブ50の内壁面51に沿って延伸される方向の長さが操作ノブ50の正面側ほど段階的に長くなるかたちで形成されている。すなわち、この金属板61の内面には、上記操作ノブ50の揺動方向に延伸される長さの最も短く設定されている領域A1、同領域A1よりも長く設定されている領域A2、及び最も長く設定されている領域A3といった3つの領域A1〜A3が設けられており、これら3つの領域A1〜A3を上記金属ターミナルT21〜T23がそれぞれ摺動する。なお、同図に示されるように、操作ノブ50が基準位置に保持されている場合には、金属ターミナルT21〜T23は金属板61の内面において図中の矢印a2で示す方向の側に位置し、金属板61の内面の領域A3の部分にのみ金属ターミナルT23が接触する状態となっている。すなわち、金属ターミナルT21〜T23は互いに電気的に接続されていない状態となっている。一方、操作ノブ50の内壁面51には、上記金属板61の領域A1,A2の図中の矢印a2で示す方向のそれぞれの端面に対応して、操作ノブ50の内部に突出する突出部54,55がそれぞれ形成されている。ここで、これら突出部54,55の突出量は、金属ターミナルT21,T22が操作ノブ50の内壁面51及び金属板61の内面を摺動する際に乗り越えることの可能な大きさに設定されている。すなわち、上記金属ターミナルT21,T22は、操作ノブ50の揺動に伴い、これら突出部54,55を乗り越えながら操作ノブ50の内壁面51及び金属板61の内面を摺動する。
【0025】
続いて、こうした構造を有するスイッチ装置の動作態様について説明する。図4(a),(b)は、上記図2に対応する図として同スイッチ装置の断面構造をそれぞれ示したものである。
【0026】
例えばいま、図4(a)に示されるように、操作ノブ50が基準位置に保持されている状態で、ユーザが上記操作ノブ50の凹部53に指を掛けて図中の矢印a2で示す方向に力Fh1を加えたとすると、操作ノブ50は上記軸部14を中心に図中の矢印a2で示す方向に揺動する。ここで、操作ノブ50の内壁面51は、上述のように、半楕円状に形成されていることから、ボディ10の突出部11と操作ノブ50の内壁面51との間に形成される隙間が、金属板61の設けられる側では小さくなるとともに、金属板60の設けられる側では大きくなる。すなわち、金属ターミナルT21〜T23の折り曲げ加工された部分については、これらに生じる弾性力が増加するようになるため、金属ターミナルT21〜T23が操作ノブ50の内壁面51を押圧する力の合力Fr2が増加するようになる。一方、金属ターミナルT11〜T13の折り曲げ加工された部分については、これらに生じる弾性力が減少するようになるため、金属ターミナルT11〜T13が操作ノブ50の内壁面51を押圧する力の合力Fr1が減少するようになる。したがって、ユーザが操作ノブ50の凹部53から指を離したとすると、これらの合力Fr1,Fr2の差分の力が操作ノブ50に作用して同操作ノブ50が図中の矢印a1で示す方向に揺動して基準位置に自動復帰する。
【0027】
一方、図4(b)に示されるように、操作ノブ50が基準位置に保持されている状態で、ユーザが上記操作ノブ50の上面の左端部に指をおいて図中の矢印a1で示す方向に力Fh2を加えたとすると、操作ノブ50は上記軸部14を中心に図中の矢印a1で示す方向に揺動する。このとき、ボディ10の突出部11と操作ノブ50の内壁面51との間に形成される隙間が、金属板60の設けられる側では小さくなるとともに、金属板61の設けられる側では大きくなる。すなわち、金属ターミナルT11〜T13の折り曲げ加工された部分については、これらに生じる弾性力が増加するようになるため、金属ターミナルT11〜T13が操作ノブ50の内壁面51を押圧する力の合力Fr1が増加するようになる。一方、金属ターミナルT21〜T23の折り曲げ加工された部分については、これらに生じる弾性力が減少するようになるため、金属ターミナルT21〜T23が操作ノブ50の内壁面51を押圧する力の合力Fr2が減少するようになる。したがって、ユーザが操作ノブ50の上面から指を離したとすると、これらの合力Fr1,Fr2の差分の力が操作ノブ50に作用して同操作ノブ50が図中の矢印a2で示す方向に揺動して基準位置に自動復帰する。
【0028】
そして、こうしたユーザによる操作ノブ50の操作に伴い、上記金属ターミナルT11〜T13と金属板60との接続状態、及び上記金属ターミナルT21〜T23と金属板61との接続状態が変化する。なお、金属ターミナルT11〜T13と金属板60との接続状態の変化態様、及び上記金属ターミナルT21〜T23と金属板61との接続状態の変化態様は同様であるため、以下では、便宜上、金属ターミナルT21〜T23と金属板61との接続状態の変化態様について説明する。図5〜図7は、ユーザが操作ノブ50を上記矢印a2で示す方向に操作した際の金属ターミナルT21〜T23と金属板61との接続状態が変化する様子を示したものである。ここで、図5(a),図6(a),図7(a)は、上記図3(a)に対応する図としてスイッチ装置の部分断面構造を、また、図5(b),図6(b),図7(b)は、金属ターミナルT21〜T23と金属板61との接続状態を模式的にそれぞれ示したものである。
【0029】
図5(a)に示されるように、操作ノブ50が基準位置に保持されて、金属ターミナルT21〜T23が金属板61の内面において図中の矢印a2で示す方向の側に位置しているとする。このとき、図5(b)に示されるように、また上述のように、金属板61の内面の領域A3の部分にのみ金属ターミナルT23が接触する状態となっている。そして、このように基準位置に保持されている状態から操作ノブ50が図中の矢印a2で示す方向に操作されたとすると、金属ターミナルT21〜T23に対し操作ノブ50が図中の矢印a2で示す方向に相対移動し、金属ターミナルT22が突出部55を乗り越えようとする。このとき、金属ターミナルT22が突出部55を乗り越える前後では金属ターミナルT22が操作ノブ50の内壁面51を押圧する力が変化するため、ユーザが操作ノブ50を操作するのに必要な力が変化してユーザに節度感を付与することができるようになる。そして、金属ターミナルT22が突出部55を乗り越えた後、金属ターミナルT21〜T23と操作ノブ50との位置関係が図6(a)に示されるように変化する。
【0030】
すなわち、金属ターミナルT21〜T23が金属板61の内面においてその中央に位置するようになる。このとき、図6(b)に示されるように、金属板61の内面の領域A3の部分に金属ターミナルT23が接触する状態を維持したまま、金属板61の内面の領域A2の部分に金属ターミナルT22が接触する状態となる。したがって、金属ターミナルT23と金属ターミナルT22とが電気的に接続されるようになる。そして、この状態から操作ノブ50が図中の矢印a2で示す方向に更に操作されたとすると、金属ターミナルT21〜T23に対し操作ノブ50が図中の矢印a2で示す方向に更に相対移動し、今度は金属ターミナルT21が突出部54を乗り越えようとする。したがって、このときにもユーザに節度感を付与することができるようになる。そして、金属ターミナルT21が突出部54を乗り越えた後、金属ターミナルT21〜T23と操作ノブ50との位置関係が図7(a)に示されるように変化する。
【0031】
すなわち、金属ターミナルT21〜T23が金属板61の内面において図中の矢印a1で示す方向の側に位置するようになる。このとき、図7(b)に示されるように、金属板61の内面の領域A2,A3の部分に金属ターミナルT22,T23が接触する状態を維持したまま、金属板61の内面の領域A1の部分に金属ターミナルT21が接触する状態となる。したがって、金属ターミナルT21〜T23が全て電気的に接続されるようになる。
【0032】
なお、操作ノブ50の内壁面51の金属板60の側の面にも上記突出部54,55と同様の突出部が形成されているため、ユーザが操作ノブ50を上記矢印a1で示す方向に操作した際にも、ユーザに節度感が付与される。
【0033】
このように、本実施形態にかかるスイッチ装置では、操作ノブ50が基準位置で保持されているときには、金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23は互いに電気的に接続されていない状態となっている。そしてこのように操作ノブ50が基準位置で保持されている状態から上記矢印a2で示す方向に操作されてその揺動位置が変化したとすると、金属ターミナルT11〜T13は互いに電気的に接続されていない状態を維持したまま、金属ターミナルT21〜T23の接続状態が以下の(a1)→(a2)の順をもって変化する。
【0034】
(a1)金属ターミナルT22のみが金属ターミナルT23に接続される状態。
(a2)金属ターミナルT21,T22が共に金属ターミナルT23に接続される状態。
【0035】
同様に、操作ノブ50が基準位置で保持されている状態から上記矢印a1で示す方向に操作されてその揺動位置が変化したとすると、金属ターミナルT21〜T23は互いに電気的に接続されていない状態を維持したまま、金属ターミナルT11〜T13の接続状態が以下の(b1)→(b2)の順をもって変化する。
【0036】
(b1)金属ターミナルT12のみが金属ターミナルT13に接続される状態。
(b2)金属ターミナルT11,T12が共に金属ターミナルT13に接続される状態。
【0037】
図8は、このようなスイッチ装置についてその等価回路、及びシステム構成をブロック図として示したものであり、次に、同図8を参照して、このスイッチ装置によるウィンドウレギュレータのスイッチング操作について説明する。
【0038】
同図8に示されるように、このスイッチ装置では、上記金属ターミナルT23が車両のアースポイントに接続されてグランド電位におかれており、この金属ターミナルT23、上記金属ターミナルT21、及び上記金属板61により第1のスイッチング素子SW1が、また、金属ターミナルT23、上記金属ターミナルT22、及び金属板61により第2のスイッチング素子SW2がそれぞれ構成されている。そして、金属板61の移動に伴い、金属ターミナルT21と金属ターミナルT23とが接続されて金属ターミナルT21が接地されると、制御装置70を通じて第1のスイッチング素子SW1がオンとなっている旨が検出される。同様に、金属板61の移動に伴い、金属ターミナルT22と金属ターミナルT23とが接続されて金属ターミナルT22が接地されると、制御装置70を通じて第2のスイッチング素子SW2がオンとなっている旨が検出される。一方、このスイッチ装置では、上記金属ターミナルT13、上記金属ターミナルT11、及び上記金属板60により第3のスイッチング素子SW3が、また、金属ターミナルT13、上記金属ターミナルT12、及び金属板60により第4のスイッチング素子SW4がそれぞれ構成されている。そして、第3のスイッチング素子SW3がオンとなっている旨、及び第4のスイッチング素子SW4がオンとなっている旨も制御装置70を通じて検出される。そして、制御装置70では、第1〜4のスイッチング素子SW1〜SW4のそれぞれのオン/オフの状態に基づいてドライバ回路80を介してウィンドウレギュレータ90に設けられているアクチュエータ91を駆動することにより車両ドアの窓を上昇させる操作、及び下降させる操作を実行する。
【0039】
図9は、このような第1〜4のスイッチング素子SW1〜SW4のオン/オフの状態とウィンドウレギュレータ90を通じた車両ドアの窓を上昇させる操作、及び下降させる操作との関係を示した状態遷移図である。
【0040】
同図9に示されるように、このスイッチ装置では、操作ノブ50が基準位置に保持されているときには、上述のように、金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23は互いに電気的に接続されていない状態となり、第1〜4のスイッチング素子SW1〜SW4が全てオフ状態となっている旨が判断される。そしてこのように第1〜4のスイッチング素子SW1〜SW4が全てオフ状態となっている旨が判断された場合には、上記ウィンドウレギュレータ90を通じた車両ドアの窓を上昇させる操作、及び下降させる操作の実行が停止される。そして、このように操作ノブ50が基準位置に保持されている状態から上記矢印a2で示す方向に操作されて上記(a1)の状態、すなわち金属ターミナルT22のみが金属ターミナルT23に接続される状態となったとすると、第2のスイッチング素子SW2のみがオン状態となっている旨が判断されるようになる。そしてこのように第2のスイッチング素子SW2のみがオン状態となっている旨が判断された場合には、操作ノブ50が操作されている間だけ車両ドアの窓を上昇させる操作がウィンドウレギュレータ90を通じて実行される。また、この状態から操作ノブ50が上記矢印a2で示す方向にさらに操作されて上記(a2)の状態、すなわち金属ターミナルT21,T22が共に金属ターミナルT23に接続される状態となったとすると、第1,2のスイッチング素子SW1,SW2が共にオン状態となっている旨が判断されるようになる。そしてこのように第1,2のスイッチング素子SW1,SW2が共にオン状態となっている旨が判断された場合には、ユーザが操作ノブ50から指を離して操作ノブ50が基準位置に自動復帰したとしても車両ドアの窓を上端位置まで上昇させる操作、すなわちオートアップ操作がウィンドウレギュレータ90を通じて実行される。
【0041】
一方、操作ノブ50が基準位置に保持されている状態から上記矢印a1で示す方向に操作されて上記(b1)の状態、すなわち金属ターミナルT12のみが金属ターミナルT13に接続される状態となったとすると、第4のスイッチング素子SW4のみがオン状態となっている旨が判断されるようになる。そしてこのように第4のスイッチング素子SW4のみがオン状態となっている旨が判断された場合には、操作ノブ50が操作されている間だけ車両ドアの窓を下降させる操作がウィンドウレギュレータ90を通じて実行される。また、この状態から操作ノブ50が上記矢印a1で示す方向にさらに操作されて上記(b2)の状態、すなわち金属ターミナルT11,T12が共に金属ターミナルT13に接続される状態となったとすると、第3,4のスイッチング素子SW3,SW4が共にオン状態となっている旨が判断されるようになる。そしてこのように第3,4のスイッチング素子SW3,SW4が共にオン状態となっている旨が判断された場合には、ユーザが操作ノブ50から指を離して操作ノブ50が基準位置に自動復帰したとしても車両ドアの窓を下端位置まで下降させる操作、すなわちオートダウン操作がウィンドウレギュレータ90を通じて実行される。
【0042】
スイッチ装置としてのこうした構成によれば、たとえスイッチ装置の上方から水滴や埃などの異物が落下してきたとしても、こうした異物が金属板60,61及び金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23の当接部分に付着し難いため、異物の付着に起因する接点の短絡や導通不良等を防止することができるようになる。このため、スイッチ装置としての誤動作が抑制され、ひいてはその信頼性の維持されるようになる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態にかかるスイッチによれば、以下のような効果が得られるようになる。
(1)操作ノブ50の内壁面51に可動接点としての金属板60,61を設けるとともに、この金属板60,61に当接するかたちで固定接点としての金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23を設けるようにした。そして、操作ノブ50の揺動位置に応じて金属板60,61と金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23との間の接触状態と非接触状態とを選択的に変更することによりウィンドウレギュレータ90のスイッチングを操作するようにした。これにより、金属板60,61及び金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23の当接部分を操作ノブ50の内部に配置することができるため、たとえスイッチ装置の上方から水滴や埃などの異物が落下してきたとしても、こうした異物が金属板60,61及び金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23の当接部分に付着し難くなる。したがって、水滴や埃などの異物の付着に起因する接点の短絡や導通不良等を防止することができるようになるため、スイッチ装置としての誤動作を抑制して、高い信頼性を維持することができるようになる。また、スイッチ装置のボディ10を異物の進入し難い構造に形成するなど、異物の接点への付着を防止するための構造をスイッチ装置に設ける必要がなくなることから、スイッチ装置としての構造の簡素化も図ることができるようになる。
【0044】
(2)操作ノブ50の内壁面51を半楕円状に形成するとともに、この操作ノブ50の内壁面51の部分に金属板60,61を設けるようにした。そして、ボディ10の突出部11と金属板60,61との間に金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23を設けることで、これら金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23を板ばねとしても機能するようにした。これにより、操作ノブ50を基準位置に保持することができるようになるとともに、同操作ノブ50が基準位置からずれた場合にはその位置を基準位置に戻す復元力も生じるようになるため、従来のスイッチ装置に設けられる圧縮ばねやプッシャといった操作ノブを基準位置に復帰させるための要素を省略することができるようになる。その結果、スイッチ装置としての構造の簡素化も図ることができるようになる。
【0045】
(3)操作ノブ50の内壁面51の金属ターミナルT22,T23が摺動する部分に操作ノブ50の内部に突出する突出部を、また、操作ノブ50の内壁面51の金属ターミナルT12,T13が摺動する部分にも操作ノブ50の内部に突出する突出部を設けるようにした。これにより、操作ノブ50の操作に伴いユーザに節度感を付与することができるようになる。
【0046】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態では、本発明にかかるスイッチ装置を操作ノブ50が軸部14を中心に揺動するタイプのスイッチ装置に適用するようにしたが、例えばプッシュボタンタイプのスイッチ装置に適用するようにしてもよい。図10(a),(b)は、こうしたプッシュボタンタイプのスイッチ装置の断面構造を示したものである。同図10(a)に示されるように、プッシュボタンタイプのスイッチ装置は、基本的には、図中の矢印e1,e2で示す方向に操作することの可能な操作ボタン250と、同操作ボタン250を矢印e1,e2で示す方向に移動可能に支持するボディ210と、各種電子部品等の実装された回路基板240とを備えている。ここで、操作ボタン250は、中空箱状に形成されるとともに底面に開口部を有し、その内壁面251には、同操作ボタン250と一体となって移動する可動接点としての金属板260が鋳込まれてインサート成形されている。一方、ボディ210には、固定接点としての金属ターミナルT31,T32がそれぞれ鋳込まれてインサート成形され、これら金属ターミナルT31,T32の先端部分がボディ210の上面に露出して上記金属板260の両端部分に対向するかたちで配置されている。ちなみに、金属ターミナルT31は制御装置270に接続され、また、金属ターミナルT32は接地されている。また、このボディ210の上部には、圧縮ばね212の挿入される凹部211が形成されるとともに、圧縮ばね212の弾性力により上記操作ボタン250が図中の矢印e2の方向に常時付勢されている。ここで、操作ボタン250の図中の矢印e2で示す方向への移動は、その一部がスイッチ装置のカバー220の内面に係合することにより規制され、操作ボタン250は、通常は図中の位置を基準位置として保持されている。そして、例えばユーザの指により操作ボタン250が図中の矢印e1で示す方向に操作されたとすると、図10(b)に示されるように、金属ターミナルT31,T32と金属板260とが当接すると、金属ターミナルT31が上記金属板260を介して金属ターミナルT32に接続されるようになる。すなわち、金属ターミナルT31が接地されるようになる。そして、このように金属ターミナルT31が接地されると、制御装置270は操作ボタン250がオン操作された旨を検出して各種機器のスイッチングを操作する。スイッチ装置としてのこうした構成よっても、可動接点としての金属板260と固定接点としての金属ターミナルT31,T32の当接部分を操作ボタン250の内部に配置することができるため、たとえスイッチ装置の上方から水滴や埃などの異物が落下してきたとしても、こうした異物が金属板260と金属ターミナルT31,T32の当接部分に付着し難くなる。したがって、水滴や埃などの異物の付着に起因する接点の短絡や導通不良等を防止することあできるようになるため、スイッチ装置としての誤動作を抑制して、高い信頼性を維持することができるようになる。また、上述のように、スイッチ装置のボディを異物の進入し難い構造に形成するなど、異物の接点への付着を防止するための構造をスイッチ装置に設ける必要がなくなることから、スイッチ装置としての構造の簡素化も図ることができるようになることは言うまでもない。なお、このプッシュタイプのスイッチ装置では、操作ボタン250が図10(b)で示す位置にあるときにユーザが操作ボタン250から指を離したとすると、上記圧縮ばね212の弾性力により操作ボタン250が上記基準位置に自動復帰する。このように、操作ボタン250を基準位置に復帰させるための構成にあっては、例えば圧縮ばね212など、金属ターミナルT31,T32と異なる構成とするようにしてもよい。なお、こうしたプッシュボタンタイプのスイッチ装置の他、例えばつまみを回転操作するタイプのスイッチ装置、いわゆるロータリタイプのスイッチ装置にも本発明は同様に適用可能である。
【0047】
・上記実施形態では、金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23の折り曲げ加工した部分に生じる弾性力により操作ノブ50を基準位置に保持するとともに、同弾性力を、同操作ノブ50が基準位置からずれた場合にその位置を基準位置に戻す復元力として利用するようにした。これに代えて、例えば上記軸部14に捩りコイルばねを設けるなどして、同捩りコイルばねの弾性力を利用して操作ノブ50を基準位置に保持するとともに、上記操作ノブ50の位置を基準位置に戻す復元力として利用するようにしてもよい。なおこの場合には、上記操作ノブ50の内壁面51を半楕円状ではなく、例えば半円状に形成するようにしてもよい。
【0048】
・上記実施形態では、本発明にかかるスイッチ装置を、車両のウィンドウレギュレータのスイッチングを操作するスイッチ装置に適用するようにしたが、例えば車室内のインストルメントパネルの近傍に操作ノブが設けられ、同操作ノブの操作を通じて車高調整装置のスイッチングを操作するスイッチ装置に適用するようにしてもよい。また、こうした車両に搭載されるスイッチ装置に限らず、例えばオーディオ機器に搭載されて、操作ノブの操作を通じて音量調節装置のスイッチングを操作するスイッチ装置に適用するようにしてもよい。要は、中空箱状に形成されるとともに底面に開口部を有する操作ノブと、同操作ノブを所定の方向に移動可能に支持するボディとを備え、操作ノブの移動位置に応じて各種機器のスイッチングを操作するスイッチ装置であれば本発明は適用可能である。
(付記)
次に、上記実施形態及びその変形例から把握できる技術的思想について追記する。
【0049】
(イ)請求項2又は3に記載のスイッチ装置において、前記操作ノブの内壁面に前記可動接点を設ける構造が、前記操作ノブの内壁面に前記可動接点としての金属板をインサート成型する構造からなるとともに、前記ボディに前記固定接点を固定する構造が、前記ボディに前記固定接点をインサート成型する構造からなることを特徴とするスイッチ装置。具体的には、付記イに記載の発明によるように、操作ノブの内壁面に前記可動接点を設ける構造として、同操作ノブの内壁面に可動接点をインサート成型する構造を、また、ボディに固定接点を固定する構造として、同ボディに固定接点をインサート成型する構造を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明にかかるスイッチ装置の一実施形態についてその分解斜視構造を示す斜視図。
【図2】同実施形態のスイッチ装置についてその断面構造を示す断面図。
【図3】(a),(b)は、同実施形態のスイッチ装置についてその金属板周辺の拡大断面構造及び斜視構造を示す断面図及び斜視図。
【図4】(a),(b)は、同実施形態のスイッチ装置について操作ノブが操作された際の動作態様をそれぞれ示す断面図。
【図5】(a),(b)は、同実施形態のスイッチ装置についてその金属板周辺の拡大断面構造を示す断面図、及び同金属板と金属ターミナルとの接続状態を模式敵に示す平面図。
【図6】(a),(b)は、同実施形態のスイッチ装置についてその金属板周辺の拡大断面構造を示す断面図、及び同金属板と金属ターミナルとの接続状態を模式敵に示す平面図。
【図7】(a),(b)は、同実施形態のスイッチ装置についてその金属板周辺の拡大断面構造を示す断面図、及び同金属板と金属ターミナルとの接続状態を模式敵に示す平面図。
【図8】同実施形態のスイッチ装置についてそのシステム構成を示すブロック図。
【図9】同実施形態のスイッチ装置について第1〜4のスイッチング素子SW1〜SW4のオン/オフの状態とウィンドウレギュレータ90を通じた車両ドアの窓を上昇させる操作、及び下降させる操作との関係を示す状態遷移図。
【図10】(a),(b)は、本実施形態にかかるスイッチ装置の変形例についてその断面構造をそれぞれ示す断面図。
【図11】従来のスイッチ装置についてその断面構造を示す断面図。
【符号の説明】
【0051】
SW1〜SW4…スイッチング素子、T11〜T13,T21〜T23,T31,T32…金属ターミナル、10,130,210…ボディ、11…突出部、12,13…肩部、40,110,240…回路基板、41…スルーホール、42…コネクタ、50,100…操作ノブ、51…操作ノブの内壁面、52…貫通孔、53…凹部、54,55…突出部、60,61,260…金属板、70,270…制御装置、80…ドライバ回路、90…ウィンドウレギュレータ、91…アクチュエータ、101…筒部、102…圧縮ばね、103…プッシャ、104…内壁、111…突出部、120…スイッチ機構、121,123…固定接点、122…可動接点、122a,122b…端部、122c…凹部、131…筒状部、132…軸部、140…カバー、141…開口部、211…凹部、212…圧縮ばね、220…カバー、250…操作ボタン、251…操作ボタンの内壁面。
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作ノブの操作を通じて各種機器のスイッチングを操作するスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のスイッチ装置としては、例えば特許文献1に記載のスイッチ装置が知られている。この特許文献1に記載のスイッチ装置は、例えば車両の運転席の肘掛け部に設けられる操作ノブを備え、車両のユーザによる操作ノブの操作を通じて車両のウィンドウレギュレータのスイッチングを操作する。図11にこの特許文献1に記載のスイッチ装置の断面構造を示す。同図11に示されるように、この車両のスイッチ装置は、基本的には、車両のユーザにより操作される操作ノブ100と、端子T1〜T3が並設される回路基板110と、操作ノブ100の操作に基づいて端子T1〜T3の接続状態を切り替えるスイッチ機構120とを備えている。ちなみに、端子T1は車両のアースポイントに接続されてグランド電位におかれ、また、端子T2はウィンドウレギュレータを駆動させるための動力を発生するモータの給電端子に接続され、さらに、端子T3は車両のバッテリのプラス端子に接続されてバッテリ電位におかれている。ここで、端子T1,T3には上記スイッチ機構120を構成する固定接点121,123がそれぞれ設けられている。一方、端子T2の端部には図中の上方に折り曲げられるかたちで突出部111が形成されており、この突出部111が同じく上記スイッチ機構120を構成する可動接点122を揺動可能に支持する部分となっている。この可動接点122は、その中央部分にV字状の凹部122cを有し、その一方の端部122aが上記固定接点121に接触するとともに、その他方の端部122bが上記固定接点123に対向して位置している。そして、スイッチ機構120では、このように可動接点122の一方の端部122aが固定接点121に接触することで、端子T2を端子T1に接続、すなわち上記ウィンドウレギュレータのモータの給電端子を車両のアースポイントに接続する。一方、このスイッチ機構120では、可動接点122の揺動に伴いその一方の端部122aが固定接点121から離間するとともに、その他方の端部122bが固定接点123に接触することで、端子T2を端子T3に接続、すなわちウィンドウレギュレータの給電端子を車両のバッテリのプラス端子に接続する。
【0003】
一方、回路基板110及びスイッチ機構120の上方には、これらを覆うかたちでボディ130が設けられるとともに、さらに、このボディ130の上方には、開口部141を有するカバー140が設けられている。ここで、このボディ130の上面には、上記カバー140の開口部141に達するかたちで突出した中空の筒状部131が形成されている。そして、この筒状部131の上部には軸部132が設けられており、この軸部132により同操作ノブ100が上記開口部141から一部を露出させた状態で揺動可能に支持されている。そして、操作ノブ100は、下方が開放された中空箱状に形成されるとともに、その内壁104から図中の下方に突出して上記筒状部131の内部を通じて上記ボディ130の内部に達するかたちで延伸されて下方に開口部を有する中空の筒部101を有している。この筒部101の内部には、圧縮ばね102、及び同圧縮ばね102の弾性力により下方に付勢されるプッシャ103がそれぞれ設けられており、プッシャ103の先端部が上記可動接点122の凹部122cの最深部に当接することで凹部122cの部分が図中の下方に押圧されている。そして、このスイッチ装置では、このようにプッシャ103により凹部122cを押圧することにより、上記可動接点122の一方の端部122aが上記固定接点121に接触した位置を基準位置としてその位置が保持されるとともに、操作ノブ100が図中に示す位置を基準位置として保持されている。
【0004】
スイッチ装置としてのこうした構造によれば、操作ノブ100が基準位置に保持されているときには、ウィンドウレギュレータのモータの給電端子が車両のアースポイントに接続されて、ウィンドウレギュレータの駆動が停止した状態に維持される。一方、車両のユーザが操作ノブ100を図中の矢印c1で示す方向に操作したとすると、車両のユーザの操作力及びプッシャ103の押圧力により可動接点122が図中の矢印d1で示す方向に揺動し、可動接点122の一方の端部122aが固定接点121から離間するとともに、可動接点122の他方の端部122bが固定接点123に接触するようになる。すなわちこの場合には、ウィンドウレギュレータの給電端子が車両のバッテリのプラス端子に接続されて上記ウィンドウレギュレータのモータへ給電が行われ、上記ウィンドウレギュレータが駆動する。さらに、車両のユーザが操作ノブ100から指を離したとすると、プッシャ103の押圧力により可動接点122が図中の矢印d2で示す方向に揺動するとともに、操作ノブ100が図中の矢印c2で示す方向に揺動し、操作ノブ100及び可動接点122がそれぞれの基準位置に自動復帰する。すなわちこの場合には、ウィンドウレギュレータのモータの給電端子が車両のアースポイントに接続されて同ウィンドウレギュレータの駆動が停止される。したがって、スイッチ装置によれば、車両のユーザによる操作ノブ100の操作を通じてウィンドウレギュレータのスイッチング操作を行うことができるようになる。
【特許文献1】特開2001−297648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、こうしたスイッチ装置では、カバー140の開口部141の周縁部と操作ノブ100の外周部との間に隙間Sが形成されているため、例えば水滴や埃などの異物がスイッチ装置の上方から落下してきたとすると、水滴や埃などの異物が隙間Sを通じてスイッチ装置の内部へと進入する。このため、この異物が上記固定接点121,123や可動接点122に付着するようなことがあると、各接点間に短絡や導通不良等が生じる懸念がある。そしてこのように各接点間に短絡や導通不良等が生じる場合には、スイッチ装置としての誤動作をも招きかねない。そこで、このスイッチ装置では、上記固定接点121,123や可動接点122への異物の付着を防止するために、スイッチ機構120の上方をボディ130により覆うといった構造や、操作ノブ100の揺動を阻害しない範囲で同ボディ130の筒状部131の開口端を操作ノブ100の内壁104の近傍まで延伸させるといった構造を採用するようにしている。ただし、こうした構造を採用するようにした場合には、今度はスイッチ装置としての構造の複雑化を招くおそれがある。
【0006】
なお、このような課題は、上記車両のウィンドウレギュレータのスイッチングを操作するスイッチ装置に限らず、例えば車室内のインストルメントパネルの近傍に操作ノブが設けられ、同操作ノブの操作を通じて車高調整装置のスイッチングを操作するスイッチ装置において共通する課題である。また、こうした車両に搭載されるスイッチ装置に限らず、例えばオーディオ機器に搭載されて、操作ノブの操作を通じて音量調節装置のスイッチングを操作するスイッチ装置においても共通する課題である。
【0007】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、スイッチ装置としての構造の簡素化を図るとともに、その誤動作を抑制して、高い信頼を維持することのできるスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、中空箱状に形成されるとともに底面に開口部を有する操作ノブと、同操作ノブを所定の方向に移動可能に支持するボディとを備え、前記操作ノブの移動位置に応じて各種機器のスイッチングを操作するスイッチ装置において、前記操作ノブの内壁面に同操作ノブと一体となって移動する可動接点を設けるとともに、この可動接点に当接するかたちで固定接点を設け、前記操作ノブの移動位置に応じて前記可動接点と前記固定接点との間で接触状態と非接触状態とが選択的に変更されることにより前記各種機器のスイッチングを操作することを要旨としている。
【0009】
同構成によれば、可動接点及び固定接点の当接部分を操作ノブの内部に配置することができるため、たとえスイッチ装置の上方から水滴や埃などの異物が落下してきたとしても、こうした異物が可動接点及び固定接点の当接部分に付着し難くなる。したがって、水滴や埃などの異物の付着に起因する接点の短絡や導通不良等を防止することができるようになるため、スイッチ装置としての誤動作を抑制して、高い信頼性を維持することができるようになる。また、上述のように、スイッチ装置のボディを異物の進入し難い構造に形成するなど、異物の接点への付着を防止するための構造をスイッチ装置に設ける必要がなくなることから、スイッチ装置としての構造の簡素化も図ることができるようになる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスイッチ装置において、前記ボディが、前記操作ノブを揺動可能に支持する部分として前記操作ノブの内部に挿入される部分を有し、前記操作ノブの内壁面が、同操作ノブの揺動方向に半楕円状に形成され、前記可動接点が、前記操作ノブの内壁面の半楕円状に形成される部分に設けられる金属板からなり、前記固定接点が、前記ボディの前記操作ノブの内部に挿入される部分と前記可動接点との間に配設されて、その一方の端部が前記ボディに固定されるとともに、その他方の端部が前記操作ノブの内壁面に当接することで板ばねとして機能する金属ターミナルからなり、前記操作ノブの揺動に伴い前記固定接点としての金属ターミナルが前記操作ノブの内壁面を摺動することで前記可動接点としての金属板と前記固定接点としての金属ターミナルとの間で接触状態と非接触状態とが選択的に変更されることを要旨としている。
【0011】
同構成によるように、操作ノブの内壁面を半楕円状に形成するようにすれば、操作ノブの揺動に伴い、操作ノブの内部に挿入されるボディの一部と操作ノブの内壁面との間に形成される隙間の大きさが変化するようになるため、操作ノブの内部に挿入されるボディの一部と操作ノブの内壁面との間に配設されて板ばねとして機能する金属ターミナルに生じる弾性力が増減するようになる。したがって、操作ノブの揺動に伴い、金属ターミナルが操作ノブの内壁面を押圧する力が増減するようになる。これにより、操作ノブが所定の基準位置からずれた場合には操作ノブを基準位置に戻す復元力も生じるようになるため、従来のスイッチ装置に設けられる圧縮ばねやプッシャといった操作ノブを基準位置に復帰させるための要素を省略することができるようになる。その結果、スイッチ装置としての構造の簡素化も図ることができるようになる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のスイッチ装置において、前記操作ノブの内壁面の前記固定接点が摺動する部分には、前記操作ノブの内部に突出する突出部が形成されるとともに、同突出部の突出量が、前記固定接点としての金属ターミナルが乗り越えることのできる大きさに設定されてなることを要旨としている。
【0013】
同構成によれば、ユーザによる操作ノブの操作に伴い、固定接点が突出部を乗り越えながら操作ノブの内壁面を摺動するようになるため、固定接点が突出部を乗り越える前後では固定接点が操作ノブの内壁面を押圧する力が変化するようになる。これにより、ユーザが操作ノブを操作するのに必要な力に変化を与えることができるため、ユーザに節度感を付与することができるようになる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のスイッチ装置において、当該スイッチ装置が、車両のウィンドウレギュレータのスイッチングを操作するスイッチ装置であることを要旨としている。
【0015】
車両のウィンドウレギュレータのスイッチングを操作するスイッチ装置は通常、車両の各ドアの肘掛け部に設けられているため、例えば飲料水がこぼれて当該スイッチ装置にかかるといった状況や、車両の窓ガラスが開放されたままの状態で車室外の埃が当該スイッチ装置に直接かかるといった状況が生じ得る。このため、スイッチ装置の内部に水滴や埃などの異物が進入して、各接点間の短絡や導通不良が生じる懸念がある。したがって、こうした車両のウィンドウレギュレータのスイッチングを操作するスイッチ装置に請求項1〜3のいずれか一項に記載のスイッチ装置を適用することの意義は大きい。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかるスイッチ装置によれば、スイッチ装置としての構造の簡素化を図るとともに、その誤動作を抑制して、高い信頼を維持することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明にかかるスイッチ装置を、車両ドアの窓の開閉を行うウィンドウレギュレータのスイッチングを操作するスイッチ装置に適用した一実施形態について図1〜図9を参照して説明する。ここで、図1は、本実施形態にかかるスイッチ装置の分解斜視構造を示したものであり、はじめに、この図1を参照して、このスイッチ装置の全体構造について説明する。
【0018】
同図1に示されるように、このスイッチ装置は、基本的には、車両のユーザにより操作される部分である操作ノブ50と、同操作ノブ50を揺動可能に支持するボディ10と、各種電子部品等の実装された回路基板40とを備え、同操作ノブ50の揺動位置に応じてウィンドウレギュレータのスイッチングを操作する装置である。
【0019】
ここで、ボディ10は、絶縁性部材、例えば樹脂部材により凸形状に形成されて、図中の上方に突出する突出部11と、同突出部11の両脇に形成される肩部12,13とを有している。そして、突出部11の正面と背面には、操作ノブ50が装着されてその揺動軸として機能する一組の軸部14がそれぞれ形成されるとともに、ボディ10の肩部12,13に対応する部分には、当該スイッチ装置の固定接点として機能する金属ターミナルT11〜T13及びT21〜T23が上記突出部11に対して対称となるかたちでそれぞれ鋳込まれてインサート成形されている。そして、これら金属ターミナルT11〜T13及びT21〜T23については、その先端側の部分が上記肩部12,13から導出されてその途中で外側に折り曲げ加工されるとともに、それらの基端側の部分が上記回路基板40のスルーホール41に圧入される部分としてボディ10の底面から導出されている。ちなみに、このボディ10の底面には回路基板40が取り付けられるとともに、回路基板40の底面の中央部の二点鎖線で示す位置には外部の制御装置(図示略)と接続されるコネクタ42が取り付けられている。
【0020】
一方、操作ノブ50も、絶縁性部材、例えば樹脂部材により中空箱状に形成されるとともに、その底面に開口部を有している。そして、この操作ノブ50の前面及び背面には、同操作ノブ50の内部に貫通する一組の貫通孔52が形成されており、この貫通孔52に上記ボディ10の軸部14が摺動可能に内側から嵌合している。すなわち、この操作ノブ50は、この軸部14を中心として図中の矢印a1,a2で示す方向に揺動する。次に、図2を参照して、この操作ノブの構造をより具体的に説明する。図2は、同スイッチ装置の断面構造を示したものである。
【0021】
同図2に示されるように、この操作ノブ50の左側部には、曲率をもって滑らかに窪んだ凹部53が形成されており、ユーザはこの凹部53に指を掛けて力を加えることで、あるいは操作ノブ50の上面を押すことで操作ノブ50を揺動操作することが可能となっている。一方、この操作ノブ50の内壁面51は、半楕円形状に形成されており、この操作ノブ50の内壁面51に上記金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23の折り曲げ加工された部分が当接している。すなわち、これら金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23は、ボディ10の突出部11と操作ノブ50の内壁面51との間に配設されて板ばねとして機能し、これら金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23の折り曲げ加工された部分に生じる弾性力が上記操作ノブ50の内壁面51を押圧する力としてそれぞれ作用している。そして、金属ターミナルT11〜T13が操作ノブ50の内壁面51を押圧する力の合力Fr1と、金属ターミナルT21〜T23が操作ノブ50の内壁面51を押圧する力の合力Fr2とがそれぞれ釣り合うことで、操作ノブ50が図中の位置を基準位置として保持されている。また、この操作ノブ50の内壁面51には、これら金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23が摺動する部分に対応して、当該スイッチ装置の可動接点として機能する金属板60,61が上記突出部11に対して対称となるかたちでそれぞれ鋳込まれてインサート成形されている。すなわち、これら金属板60,61は、操作ノブ50の揺動に伴い、上記金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23に摺動しつつ、同操作ノブ50と一体となって揺動する。ちなみに、金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23が金属板60,61の内面と操作ノブ50の内壁面51との境界部分を滑らかに摺動するように、金属板60,61の内面と上記操作ノブ50の内壁面51とは段差なく面一となるように繋がっている。そして、このように本実施形態にかかるスイッチ装置では、固定接点としての金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23の折り曲げ加工された部分、及び可動接点としての金属板60,61の当接部分が操作ノブ50の内部に配置されている。すなわち、このスイッチ装置は、上方から落下してくる水滴や埃などの異物が金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23及び金属板60,61の当接部分に付着し難い構造を有している。
【0022】
次に、これら金属板60,61の構造を含め、金属板60,61付近の操作ノブ50の内壁面51の構造について具体的に説明する。なお、これら金属板60,61は、上述のように、上記突出部11に対して互いに対称な形状を有しているため、便宜上、金属板61側の構造についてのみ説明し、金属板60側の構造の説明については同様のものとして割愛する。
【0023】
ここで、図3(a)は、図2において金属ターミナルT21〜T23が金属板61に当接している部分を拡大したスイッチ装置の部分断面構造を、また、図3(b)は、同部分の斜視構造を示したものである。
【0024】
これら図3(a),(b)に示されるように、金属板61は、操作ノブ50の内壁面51に沿う形で湾曲する形状を有するとともに、操作ノブ50の内壁面51に沿って延伸される方向の長さが操作ノブ50の正面側ほど段階的に長くなるかたちで形成されている。すなわち、この金属板61の内面には、上記操作ノブ50の揺動方向に延伸される長さの最も短く設定されている領域A1、同領域A1よりも長く設定されている領域A2、及び最も長く設定されている領域A3といった3つの領域A1〜A3が設けられており、これら3つの領域A1〜A3を上記金属ターミナルT21〜T23がそれぞれ摺動する。なお、同図に示されるように、操作ノブ50が基準位置に保持されている場合には、金属ターミナルT21〜T23は金属板61の内面において図中の矢印a2で示す方向の側に位置し、金属板61の内面の領域A3の部分にのみ金属ターミナルT23が接触する状態となっている。すなわち、金属ターミナルT21〜T23は互いに電気的に接続されていない状態となっている。一方、操作ノブ50の内壁面51には、上記金属板61の領域A1,A2の図中の矢印a2で示す方向のそれぞれの端面に対応して、操作ノブ50の内部に突出する突出部54,55がそれぞれ形成されている。ここで、これら突出部54,55の突出量は、金属ターミナルT21,T22が操作ノブ50の内壁面51及び金属板61の内面を摺動する際に乗り越えることの可能な大きさに設定されている。すなわち、上記金属ターミナルT21,T22は、操作ノブ50の揺動に伴い、これら突出部54,55を乗り越えながら操作ノブ50の内壁面51及び金属板61の内面を摺動する。
【0025】
続いて、こうした構造を有するスイッチ装置の動作態様について説明する。図4(a),(b)は、上記図2に対応する図として同スイッチ装置の断面構造をそれぞれ示したものである。
【0026】
例えばいま、図4(a)に示されるように、操作ノブ50が基準位置に保持されている状態で、ユーザが上記操作ノブ50の凹部53に指を掛けて図中の矢印a2で示す方向に力Fh1を加えたとすると、操作ノブ50は上記軸部14を中心に図中の矢印a2で示す方向に揺動する。ここで、操作ノブ50の内壁面51は、上述のように、半楕円状に形成されていることから、ボディ10の突出部11と操作ノブ50の内壁面51との間に形成される隙間が、金属板61の設けられる側では小さくなるとともに、金属板60の設けられる側では大きくなる。すなわち、金属ターミナルT21〜T23の折り曲げ加工された部分については、これらに生じる弾性力が増加するようになるため、金属ターミナルT21〜T23が操作ノブ50の内壁面51を押圧する力の合力Fr2が増加するようになる。一方、金属ターミナルT11〜T13の折り曲げ加工された部分については、これらに生じる弾性力が減少するようになるため、金属ターミナルT11〜T13が操作ノブ50の内壁面51を押圧する力の合力Fr1が減少するようになる。したがって、ユーザが操作ノブ50の凹部53から指を離したとすると、これらの合力Fr1,Fr2の差分の力が操作ノブ50に作用して同操作ノブ50が図中の矢印a1で示す方向に揺動して基準位置に自動復帰する。
【0027】
一方、図4(b)に示されるように、操作ノブ50が基準位置に保持されている状態で、ユーザが上記操作ノブ50の上面の左端部に指をおいて図中の矢印a1で示す方向に力Fh2を加えたとすると、操作ノブ50は上記軸部14を中心に図中の矢印a1で示す方向に揺動する。このとき、ボディ10の突出部11と操作ノブ50の内壁面51との間に形成される隙間が、金属板60の設けられる側では小さくなるとともに、金属板61の設けられる側では大きくなる。すなわち、金属ターミナルT11〜T13の折り曲げ加工された部分については、これらに生じる弾性力が増加するようになるため、金属ターミナルT11〜T13が操作ノブ50の内壁面51を押圧する力の合力Fr1が増加するようになる。一方、金属ターミナルT21〜T23の折り曲げ加工された部分については、これらに生じる弾性力が減少するようになるため、金属ターミナルT21〜T23が操作ノブ50の内壁面51を押圧する力の合力Fr2が減少するようになる。したがって、ユーザが操作ノブ50の上面から指を離したとすると、これらの合力Fr1,Fr2の差分の力が操作ノブ50に作用して同操作ノブ50が図中の矢印a2で示す方向に揺動して基準位置に自動復帰する。
【0028】
そして、こうしたユーザによる操作ノブ50の操作に伴い、上記金属ターミナルT11〜T13と金属板60との接続状態、及び上記金属ターミナルT21〜T23と金属板61との接続状態が変化する。なお、金属ターミナルT11〜T13と金属板60との接続状態の変化態様、及び上記金属ターミナルT21〜T23と金属板61との接続状態の変化態様は同様であるため、以下では、便宜上、金属ターミナルT21〜T23と金属板61との接続状態の変化態様について説明する。図5〜図7は、ユーザが操作ノブ50を上記矢印a2で示す方向に操作した際の金属ターミナルT21〜T23と金属板61との接続状態が変化する様子を示したものである。ここで、図5(a),図6(a),図7(a)は、上記図3(a)に対応する図としてスイッチ装置の部分断面構造を、また、図5(b),図6(b),図7(b)は、金属ターミナルT21〜T23と金属板61との接続状態を模式的にそれぞれ示したものである。
【0029】
図5(a)に示されるように、操作ノブ50が基準位置に保持されて、金属ターミナルT21〜T23が金属板61の内面において図中の矢印a2で示す方向の側に位置しているとする。このとき、図5(b)に示されるように、また上述のように、金属板61の内面の領域A3の部分にのみ金属ターミナルT23が接触する状態となっている。そして、このように基準位置に保持されている状態から操作ノブ50が図中の矢印a2で示す方向に操作されたとすると、金属ターミナルT21〜T23に対し操作ノブ50が図中の矢印a2で示す方向に相対移動し、金属ターミナルT22が突出部55を乗り越えようとする。このとき、金属ターミナルT22が突出部55を乗り越える前後では金属ターミナルT22が操作ノブ50の内壁面51を押圧する力が変化するため、ユーザが操作ノブ50を操作するのに必要な力が変化してユーザに節度感を付与することができるようになる。そして、金属ターミナルT22が突出部55を乗り越えた後、金属ターミナルT21〜T23と操作ノブ50との位置関係が図6(a)に示されるように変化する。
【0030】
すなわち、金属ターミナルT21〜T23が金属板61の内面においてその中央に位置するようになる。このとき、図6(b)に示されるように、金属板61の内面の領域A3の部分に金属ターミナルT23が接触する状態を維持したまま、金属板61の内面の領域A2の部分に金属ターミナルT22が接触する状態となる。したがって、金属ターミナルT23と金属ターミナルT22とが電気的に接続されるようになる。そして、この状態から操作ノブ50が図中の矢印a2で示す方向に更に操作されたとすると、金属ターミナルT21〜T23に対し操作ノブ50が図中の矢印a2で示す方向に更に相対移動し、今度は金属ターミナルT21が突出部54を乗り越えようとする。したがって、このときにもユーザに節度感を付与することができるようになる。そして、金属ターミナルT21が突出部54を乗り越えた後、金属ターミナルT21〜T23と操作ノブ50との位置関係が図7(a)に示されるように変化する。
【0031】
すなわち、金属ターミナルT21〜T23が金属板61の内面において図中の矢印a1で示す方向の側に位置するようになる。このとき、図7(b)に示されるように、金属板61の内面の領域A2,A3の部分に金属ターミナルT22,T23が接触する状態を維持したまま、金属板61の内面の領域A1の部分に金属ターミナルT21が接触する状態となる。したがって、金属ターミナルT21〜T23が全て電気的に接続されるようになる。
【0032】
なお、操作ノブ50の内壁面51の金属板60の側の面にも上記突出部54,55と同様の突出部が形成されているため、ユーザが操作ノブ50を上記矢印a1で示す方向に操作した際にも、ユーザに節度感が付与される。
【0033】
このように、本実施形態にかかるスイッチ装置では、操作ノブ50が基準位置で保持されているときには、金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23は互いに電気的に接続されていない状態となっている。そしてこのように操作ノブ50が基準位置で保持されている状態から上記矢印a2で示す方向に操作されてその揺動位置が変化したとすると、金属ターミナルT11〜T13は互いに電気的に接続されていない状態を維持したまま、金属ターミナルT21〜T23の接続状態が以下の(a1)→(a2)の順をもって変化する。
【0034】
(a1)金属ターミナルT22のみが金属ターミナルT23に接続される状態。
(a2)金属ターミナルT21,T22が共に金属ターミナルT23に接続される状態。
【0035】
同様に、操作ノブ50が基準位置で保持されている状態から上記矢印a1で示す方向に操作されてその揺動位置が変化したとすると、金属ターミナルT21〜T23は互いに電気的に接続されていない状態を維持したまま、金属ターミナルT11〜T13の接続状態が以下の(b1)→(b2)の順をもって変化する。
【0036】
(b1)金属ターミナルT12のみが金属ターミナルT13に接続される状態。
(b2)金属ターミナルT11,T12が共に金属ターミナルT13に接続される状態。
【0037】
図8は、このようなスイッチ装置についてその等価回路、及びシステム構成をブロック図として示したものであり、次に、同図8を参照して、このスイッチ装置によるウィンドウレギュレータのスイッチング操作について説明する。
【0038】
同図8に示されるように、このスイッチ装置では、上記金属ターミナルT23が車両のアースポイントに接続されてグランド電位におかれており、この金属ターミナルT23、上記金属ターミナルT21、及び上記金属板61により第1のスイッチング素子SW1が、また、金属ターミナルT23、上記金属ターミナルT22、及び金属板61により第2のスイッチング素子SW2がそれぞれ構成されている。そして、金属板61の移動に伴い、金属ターミナルT21と金属ターミナルT23とが接続されて金属ターミナルT21が接地されると、制御装置70を通じて第1のスイッチング素子SW1がオンとなっている旨が検出される。同様に、金属板61の移動に伴い、金属ターミナルT22と金属ターミナルT23とが接続されて金属ターミナルT22が接地されると、制御装置70を通じて第2のスイッチング素子SW2がオンとなっている旨が検出される。一方、このスイッチ装置では、上記金属ターミナルT13、上記金属ターミナルT11、及び上記金属板60により第3のスイッチング素子SW3が、また、金属ターミナルT13、上記金属ターミナルT12、及び金属板60により第4のスイッチング素子SW4がそれぞれ構成されている。そして、第3のスイッチング素子SW3がオンとなっている旨、及び第4のスイッチング素子SW4がオンとなっている旨も制御装置70を通じて検出される。そして、制御装置70では、第1〜4のスイッチング素子SW1〜SW4のそれぞれのオン/オフの状態に基づいてドライバ回路80を介してウィンドウレギュレータ90に設けられているアクチュエータ91を駆動することにより車両ドアの窓を上昇させる操作、及び下降させる操作を実行する。
【0039】
図9は、このような第1〜4のスイッチング素子SW1〜SW4のオン/オフの状態とウィンドウレギュレータ90を通じた車両ドアの窓を上昇させる操作、及び下降させる操作との関係を示した状態遷移図である。
【0040】
同図9に示されるように、このスイッチ装置では、操作ノブ50が基準位置に保持されているときには、上述のように、金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23は互いに電気的に接続されていない状態となり、第1〜4のスイッチング素子SW1〜SW4が全てオフ状態となっている旨が判断される。そしてこのように第1〜4のスイッチング素子SW1〜SW4が全てオフ状態となっている旨が判断された場合には、上記ウィンドウレギュレータ90を通じた車両ドアの窓を上昇させる操作、及び下降させる操作の実行が停止される。そして、このように操作ノブ50が基準位置に保持されている状態から上記矢印a2で示す方向に操作されて上記(a1)の状態、すなわち金属ターミナルT22のみが金属ターミナルT23に接続される状態となったとすると、第2のスイッチング素子SW2のみがオン状態となっている旨が判断されるようになる。そしてこのように第2のスイッチング素子SW2のみがオン状態となっている旨が判断された場合には、操作ノブ50が操作されている間だけ車両ドアの窓を上昇させる操作がウィンドウレギュレータ90を通じて実行される。また、この状態から操作ノブ50が上記矢印a2で示す方向にさらに操作されて上記(a2)の状態、すなわち金属ターミナルT21,T22が共に金属ターミナルT23に接続される状態となったとすると、第1,2のスイッチング素子SW1,SW2が共にオン状態となっている旨が判断されるようになる。そしてこのように第1,2のスイッチング素子SW1,SW2が共にオン状態となっている旨が判断された場合には、ユーザが操作ノブ50から指を離して操作ノブ50が基準位置に自動復帰したとしても車両ドアの窓を上端位置まで上昇させる操作、すなわちオートアップ操作がウィンドウレギュレータ90を通じて実行される。
【0041】
一方、操作ノブ50が基準位置に保持されている状態から上記矢印a1で示す方向に操作されて上記(b1)の状態、すなわち金属ターミナルT12のみが金属ターミナルT13に接続される状態となったとすると、第4のスイッチング素子SW4のみがオン状態となっている旨が判断されるようになる。そしてこのように第4のスイッチング素子SW4のみがオン状態となっている旨が判断された場合には、操作ノブ50が操作されている間だけ車両ドアの窓を下降させる操作がウィンドウレギュレータ90を通じて実行される。また、この状態から操作ノブ50が上記矢印a1で示す方向にさらに操作されて上記(b2)の状態、すなわち金属ターミナルT11,T12が共に金属ターミナルT13に接続される状態となったとすると、第3,4のスイッチング素子SW3,SW4が共にオン状態となっている旨が判断されるようになる。そしてこのように第3,4のスイッチング素子SW3,SW4が共にオン状態となっている旨が判断された場合には、ユーザが操作ノブ50から指を離して操作ノブ50が基準位置に自動復帰したとしても車両ドアの窓を下端位置まで下降させる操作、すなわちオートダウン操作がウィンドウレギュレータ90を通じて実行される。
【0042】
スイッチ装置としてのこうした構成によれば、たとえスイッチ装置の上方から水滴や埃などの異物が落下してきたとしても、こうした異物が金属板60,61及び金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23の当接部分に付着し難いため、異物の付着に起因する接点の短絡や導通不良等を防止することができるようになる。このため、スイッチ装置としての誤動作が抑制され、ひいてはその信頼性の維持されるようになる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態にかかるスイッチによれば、以下のような効果が得られるようになる。
(1)操作ノブ50の内壁面51に可動接点としての金属板60,61を設けるとともに、この金属板60,61に当接するかたちで固定接点としての金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23を設けるようにした。そして、操作ノブ50の揺動位置に応じて金属板60,61と金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23との間の接触状態と非接触状態とを選択的に変更することによりウィンドウレギュレータ90のスイッチングを操作するようにした。これにより、金属板60,61及び金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23の当接部分を操作ノブ50の内部に配置することができるため、たとえスイッチ装置の上方から水滴や埃などの異物が落下してきたとしても、こうした異物が金属板60,61及び金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23の当接部分に付着し難くなる。したがって、水滴や埃などの異物の付着に起因する接点の短絡や導通不良等を防止することができるようになるため、スイッチ装置としての誤動作を抑制して、高い信頼性を維持することができるようになる。また、スイッチ装置のボディ10を異物の進入し難い構造に形成するなど、異物の接点への付着を防止するための構造をスイッチ装置に設ける必要がなくなることから、スイッチ装置としての構造の簡素化も図ることができるようになる。
【0044】
(2)操作ノブ50の内壁面51を半楕円状に形成するとともに、この操作ノブ50の内壁面51の部分に金属板60,61を設けるようにした。そして、ボディ10の突出部11と金属板60,61との間に金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23を設けることで、これら金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23を板ばねとしても機能するようにした。これにより、操作ノブ50を基準位置に保持することができるようになるとともに、同操作ノブ50が基準位置からずれた場合にはその位置を基準位置に戻す復元力も生じるようになるため、従来のスイッチ装置に設けられる圧縮ばねやプッシャといった操作ノブを基準位置に復帰させるための要素を省略することができるようになる。その結果、スイッチ装置としての構造の簡素化も図ることができるようになる。
【0045】
(3)操作ノブ50の内壁面51の金属ターミナルT22,T23が摺動する部分に操作ノブ50の内部に突出する突出部を、また、操作ノブ50の内壁面51の金属ターミナルT12,T13が摺動する部分にも操作ノブ50の内部に突出する突出部を設けるようにした。これにより、操作ノブ50の操作に伴いユーザに節度感を付与することができるようになる。
【0046】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態では、本発明にかかるスイッチ装置を操作ノブ50が軸部14を中心に揺動するタイプのスイッチ装置に適用するようにしたが、例えばプッシュボタンタイプのスイッチ装置に適用するようにしてもよい。図10(a),(b)は、こうしたプッシュボタンタイプのスイッチ装置の断面構造を示したものである。同図10(a)に示されるように、プッシュボタンタイプのスイッチ装置は、基本的には、図中の矢印e1,e2で示す方向に操作することの可能な操作ボタン250と、同操作ボタン250を矢印e1,e2で示す方向に移動可能に支持するボディ210と、各種電子部品等の実装された回路基板240とを備えている。ここで、操作ボタン250は、中空箱状に形成されるとともに底面に開口部を有し、その内壁面251には、同操作ボタン250と一体となって移動する可動接点としての金属板260が鋳込まれてインサート成形されている。一方、ボディ210には、固定接点としての金属ターミナルT31,T32がそれぞれ鋳込まれてインサート成形され、これら金属ターミナルT31,T32の先端部分がボディ210の上面に露出して上記金属板260の両端部分に対向するかたちで配置されている。ちなみに、金属ターミナルT31は制御装置270に接続され、また、金属ターミナルT32は接地されている。また、このボディ210の上部には、圧縮ばね212の挿入される凹部211が形成されるとともに、圧縮ばね212の弾性力により上記操作ボタン250が図中の矢印e2の方向に常時付勢されている。ここで、操作ボタン250の図中の矢印e2で示す方向への移動は、その一部がスイッチ装置のカバー220の内面に係合することにより規制され、操作ボタン250は、通常は図中の位置を基準位置として保持されている。そして、例えばユーザの指により操作ボタン250が図中の矢印e1で示す方向に操作されたとすると、図10(b)に示されるように、金属ターミナルT31,T32と金属板260とが当接すると、金属ターミナルT31が上記金属板260を介して金属ターミナルT32に接続されるようになる。すなわち、金属ターミナルT31が接地されるようになる。そして、このように金属ターミナルT31が接地されると、制御装置270は操作ボタン250がオン操作された旨を検出して各種機器のスイッチングを操作する。スイッチ装置としてのこうした構成よっても、可動接点としての金属板260と固定接点としての金属ターミナルT31,T32の当接部分を操作ボタン250の内部に配置することができるため、たとえスイッチ装置の上方から水滴や埃などの異物が落下してきたとしても、こうした異物が金属板260と金属ターミナルT31,T32の当接部分に付着し難くなる。したがって、水滴や埃などの異物の付着に起因する接点の短絡や導通不良等を防止することあできるようになるため、スイッチ装置としての誤動作を抑制して、高い信頼性を維持することができるようになる。また、上述のように、スイッチ装置のボディを異物の進入し難い構造に形成するなど、異物の接点への付着を防止するための構造をスイッチ装置に設ける必要がなくなることから、スイッチ装置としての構造の簡素化も図ることができるようになることは言うまでもない。なお、このプッシュタイプのスイッチ装置では、操作ボタン250が図10(b)で示す位置にあるときにユーザが操作ボタン250から指を離したとすると、上記圧縮ばね212の弾性力により操作ボタン250が上記基準位置に自動復帰する。このように、操作ボタン250を基準位置に復帰させるための構成にあっては、例えば圧縮ばね212など、金属ターミナルT31,T32と異なる構成とするようにしてもよい。なお、こうしたプッシュボタンタイプのスイッチ装置の他、例えばつまみを回転操作するタイプのスイッチ装置、いわゆるロータリタイプのスイッチ装置にも本発明は同様に適用可能である。
【0047】
・上記実施形態では、金属ターミナルT11〜T13,T21〜T23の折り曲げ加工した部分に生じる弾性力により操作ノブ50を基準位置に保持するとともに、同弾性力を、同操作ノブ50が基準位置からずれた場合にその位置を基準位置に戻す復元力として利用するようにした。これに代えて、例えば上記軸部14に捩りコイルばねを設けるなどして、同捩りコイルばねの弾性力を利用して操作ノブ50を基準位置に保持するとともに、上記操作ノブ50の位置を基準位置に戻す復元力として利用するようにしてもよい。なおこの場合には、上記操作ノブ50の内壁面51を半楕円状ではなく、例えば半円状に形成するようにしてもよい。
【0048】
・上記実施形態では、本発明にかかるスイッチ装置を、車両のウィンドウレギュレータのスイッチングを操作するスイッチ装置に適用するようにしたが、例えば車室内のインストルメントパネルの近傍に操作ノブが設けられ、同操作ノブの操作を通じて車高調整装置のスイッチングを操作するスイッチ装置に適用するようにしてもよい。また、こうした車両に搭載されるスイッチ装置に限らず、例えばオーディオ機器に搭載されて、操作ノブの操作を通じて音量調節装置のスイッチングを操作するスイッチ装置に適用するようにしてもよい。要は、中空箱状に形成されるとともに底面に開口部を有する操作ノブと、同操作ノブを所定の方向に移動可能に支持するボディとを備え、操作ノブの移動位置に応じて各種機器のスイッチングを操作するスイッチ装置であれば本発明は適用可能である。
(付記)
次に、上記実施形態及びその変形例から把握できる技術的思想について追記する。
【0049】
(イ)請求項2又は3に記載のスイッチ装置において、前記操作ノブの内壁面に前記可動接点を設ける構造が、前記操作ノブの内壁面に前記可動接点としての金属板をインサート成型する構造からなるとともに、前記ボディに前記固定接点を固定する構造が、前記ボディに前記固定接点をインサート成型する構造からなることを特徴とするスイッチ装置。具体的には、付記イに記載の発明によるように、操作ノブの内壁面に前記可動接点を設ける構造として、同操作ノブの内壁面に可動接点をインサート成型する構造を、また、ボディに固定接点を固定する構造として、同ボディに固定接点をインサート成型する構造を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明にかかるスイッチ装置の一実施形態についてその分解斜視構造を示す斜視図。
【図2】同実施形態のスイッチ装置についてその断面構造を示す断面図。
【図3】(a),(b)は、同実施形態のスイッチ装置についてその金属板周辺の拡大断面構造及び斜視構造を示す断面図及び斜視図。
【図4】(a),(b)は、同実施形態のスイッチ装置について操作ノブが操作された際の動作態様をそれぞれ示す断面図。
【図5】(a),(b)は、同実施形態のスイッチ装置についてその金属板周辺の拡大断面構造を示す断面図、及び同金属板と金属ターミナルとの接続状態を模式敵に示す平面図。
【図6】(a),(b)は、同実施形態のスイッチ装置についてその金属板周辺の拡大断面構造を示す断面図、及び同金属板と金属ターミナルとの接続状態を模式敵に示す平面図。
【図7】(a),(b)は、同実施形態のスイッチ装置についてその金属板周辺の拡大断面構造を示す断面図、及び同金属板と金属ターミナルとの接続状態を模式敵に示す平面図。
【図8】同実施形態のスイッチ装置についてそのシステム構成を示すブロック図。
【図9】同実施形態のスイッチ装置について第1〜4のスイッチング素子SW1〜SW4のオン/オフの状態とウィンドウレギュレータ90を通じた車両ドアの窓を上昇させる操作、及び下降させる操作との関係を示す状態遷移図。
【図10】(a),(b)は、本実施形態にかかるスイッチ装置の変形例についてその断面構造をそれぞれ示す断面図。
【図11】従来のスイッチ装置についてその断面構造を示す断面図。
【符号の説明】
【0051】
SW1〜SW4…スイッチング素子、T11〜T13,T21〜T23,T31,T32…金属ターミナル、10,130,210…ボディ、11…突出部、12,13…肩部、40,110,240…回路基板、41…スルーホール、42…コネクタ、50,100…操作ノブ、51…操作ノブの内壁面、52…貫通孔、53…凹部、54,55…突出部、60,61,260…金属板、70,270…制御装置、80…ドライバ回路、90…ウィンドウレギュレータ、91…アクチュエータ、101…筒部、102…圧縮ばね、103…プッシャ、104…内壁、111…突出部、120…スイッチ機構、121,123…固定接点、122…可動接点、122a,122b…端部、122c…凹部、131…筒状部、132…軸部、140…カバー、141…開口部、211…凹部、212…圧縮ばね、220…カバー、250…操作ボタン、251…操作ボタンの内壁面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空箱状に形成されるとともに底面に開口部を有する操作ノブと、同操作ノブを所定の方向に移動可能に支持するボディとを備え、前記操作ノブの移動位置に応じて各種機器のスイッチングを操作するスイッチ装置において、
前記操作ノブの内壁面に同操作ノブと一体となって移動する可動接点を設けるとともに、この可動接点に当接するかたちで固定接点を設け、前記操作ノブの移動位置に応じて前記可動接点と前記固定接点との間で接触状態と非接触状態とが選択的に変更されることにより前記各種機器のスイッチングを操作する
ことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記ボディが、前記操作ノブを揺動可能に支持する部分として前記操作ノブの内部に挿入される部分を有し、前記操作ノブの内壁面が、同操作ノブの揺動方向に半楕円状に形成され、前記可動接点が、前記操作ノブの内壁面の半楕円状に形成される部分に設けられる金属板からなり、前記固定接点が、前記ボディの前記操作ノブの内部に挿入される部分と前記可動接点との間に配設されて、その一方の端部が前記ボディに固定されるとともに、その他方の端部が前記操作ノブの内壁面に当接することで板ばねとして機能する金属ターミナルからなり、前記操作ノブの揺動に伴い前記固定接点としての金属ターミナルが前記操作ノブの内壁面を摺動することで前記可動接点としての金属板と前記固定接点としての金属ターミナルとの間で接触状態と非接触状態とが選択的に変更される
請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記操作ノブの内壁面の前記固定接点が摺動する部分には、前記操作ノブの内部に突出する突出部が形成されるとともに、同突出部の突出量が、前記固定接点としての金属ターミナルが乗り越えることのできる大きさに設定されてなる
請求項2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
当該スイッチ装置が、車両のウィンドウレギュレータのスイッチングを操作するスイッチ装置である
請求項1〜3のいずれか一項に記載のスイッチ装置。
【請求項1】
中空箱状に形成されるとともに底面に開口部を有する操作ノブと、同操作ノブを所定の方向に移動可能に支持するボディとを備え、前記操作ノブの移動位置に応じて各種機器のスイッチングを操作するスイッチ装置において、
前記操作ノブの内壁面に同操作ノブと一体となって移動する可動接点を設けるとともに、この可動接点に当接するかたちで固定接点を設け、前記操作ノブの移動位置に応じて前記可動接点と前記固定接点との間で接触状態と非接触状態とが選択的に変更されることにより前記各種機器のスイッチングを操作する
ことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記ボディが、前記操作ノブを揺動可能に支持する部分として前記操作ノブの内部に挿入される部分を有し、前記操作ノブの内壁面が、同操作ノブの揺動方向に半楕円状に形成され、前記可動接点が、前記操作ノブの内壁面の半楕円状に形成される部分に設けられる金属板からなり、前記固定接点が、前記ボディの前記操作ノブの内部に挿入される部分と前記可動接点との間に配設されて、その一方の端部が前記ボディに固定されるとともに、その他方の端部が前記操作ノブの内壁面に当接することで板ばねとして機能する金属ターミナルからなり、前記操作ノブの揺動に伴い前記固定接点としての金属ターミナルが前記操作ノブの内壁面を摺動することで前記可動接点としての金属板と前記固定接点としての金属ターミナルとの間で接触状態と非接触状態とが選択的に変更される
請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記操作ノブの内壁面の前記固定接点が摺動する部分には、前記操作ノブの内部に突出する突出部が形成されるとともに、同突出部の突出量が、前記固定接点としての金属ターミナルが乗り越えることのできる大きさに設定されてなる
請求項2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
当該スイッチ装置が、車両のウィンドウレギュレータのスイッチングを操作するスイッチ装置である
請求項1〜3のいずれか一項に記載のスイッチ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−259483(P2009−259483A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−104745(P2008−104745)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
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