説明

スイッチ装置

【課題】 コンパクトさを保ちながら、操作状況が容易かつ短時間に確実に把握できるスイッチ装置を提供する。
【解決手段】
スイッチ装置は、スイッチの機能を表す光を透過可能な第1表示部1aが設けられた表面を有するスイッチ・ケース本体1と、照明用光源3と、選択表示用光源4と、一端側部分がスイッチ・ケース本体1内、中途部分がスイッチ・ケース本体1の表面から外側へ突出、他端側部分が第1表示部1aの前方まで向かって延び、第1表示部1aに対し進退可能にたわみ、かつ透明で照明用光源3からの照明用光を他端側部分まで導く透明導光板7と、透明導光板7の第1表示部1aに相当する部分に設けられたタッチ・パネ8ルと、選択表示用光源4を制御する制御部2と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば車両用空調装置等の操作を行うスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスイッチ装置としては、表面側が操作パネルとされたコントロール・ボックスと、スイッチ機能および意匠がこれらの一部を光が透過可能に印刷されて操作パネルの外面側または内面側に貼り付け、またはインサート成形されたパネル・シートと、操作パネルの内面側に貼り付けられ光が透過可能なタッチセンサ・シートと、この後方に配置された光源と、を有したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このスイッチ装置は、車両空調装置用操作装置として用いられ、これとは別個に設けられた液晶ディスプレイや蛍光表示管等の表示部に操作装置の操作状況が表示され、ドライバ等のユーザーが操作状況を認識・確認できるようにしてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−179735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のスイッチ装置には、以下に説明するような問題がある。
上記従来のスイッチ装置は、静電容量方式、表面弾性波方式、音響パルス認識方式などといったタッチセンサ・シートを用いるため、周知の押し込み式スイッチ装置や回転ダイヤル式スイッチ装置に比べてコンパクトになるものの、スイッチ操作時のボタン進退感、クリック感などがないため、ユーザーは本当に所望のスイッチ操作をなし得たのか否かが明瞭に認識できないことになる。
【0005】
そこで、上記従来のスイッチ装置では、ナビゲーション・システムの液晶ディスプレイ等の別個の表示部を用いてその操作状況を表示するようにしている。したがって、上記従来のスイッチ装置にあっては、この装置とは離れた部位に設けた別の表示部が必要であるため、表示部が専用のものであれば、この分スペースをとり製造コストも高くなる。
【0006】
また、ナビゲーション・システムなど他の表示部を利用するものの場合、同時に両方の表示を行うと、本来の表示エリアがその分、減少して本来の表示が一部みえなくなったり、表示が複雑になって見づらくなったりする。あるいは表示を切り替えるようにすると、その本来の表示が見られなくなって場合によっては困る場合がある。
さらに、ユーザーはまずスイッチ装置をみてこれを操作し、その後、本当に操作されたかを確認するには表示部で確認をしなければならず、目線を次々に移動せねばならず、わずらわしく感じる場合がある。
【0007】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、コンパクトさを保ちながら、操作状況が容易かつ短時間に確実に把握できるようにしたスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のため、請求項1に記載の本発明によるスイッチ装置は、
スイッチの機能を表す光を透過可能な第1表示部が設けられた表面を有するスイッチ・ケース本体と、
スイッチ・ケース本体内に設けられて照明用の光を発する照明用光源と、
スイッチ・ケース本体内に設けられて第1表示部へ選択表示用光を発する選択表示用光源と、
一端側部分がスイッチ・ケース本体内にあって中途部分がスイッチ・ケース本体の表面から外側へ突出されて他端側部分が第1表示部の前方まで向かって延び、第1表示部に対し進退可能にたわみ、かつ透明で照明用光源から発せられた照明用光を一端側部分から他端側部分まで導く透明導光板と、
透明導光板の第1表示部に相当する部分に設けられスイッチ機能に相当する選択信号を発生可能なタッチ・パネルと、
スイッチ・ケース本体内に設けられて、タッチ・パネルから選択信号を受けたとき、選択表示用光を発するよう選択表示用光源を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の本発明によるスイッチ装置は、
請求項1のスイッチ装置において、
透明導光板の他端側部分が複数に枝分かれし、この枝分かれした部分には、それぞれ異なるスイッチ機能に対応したタッチ・パネルが設けられている、
ことを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の本発明のスイッチ装置は、
請求項1又は2に記載のスイッチ装置において、
透明導光板の他端側部分が斜めにカットされたカット面を有し、このカット面にて透明導光板を透過して来た照明用光を第1表示部に向けて拡散させるようにした、
ことを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載の本発明のスイッチ装置は、
請求項1又は2に記載のスイッチ装置において、
透明導光板の他端側部分に第1表示部とは異なるスイッチの機能を表す第2表示部が設けられている、
ことを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載の本発明のスイッチ装置は、
請求項4に記載のスイッチ装置において、
透明導光板の他端側部分が斜めにカットされたカット面を有し、このカット面にて前明導光板を透過して来た照明用光を第1表示部と反対方向の第2表示部へ向けて拡散させるようにした、
ことを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に記載の本発明のスイッチ装置は、
請求項4又は5に記載のスイッチ装置において、
透明導光板が、第2表示部を有する第1透明導光板と、第1透明導光板に向けて進退可能にたわみ、第2表示部とは互いにずれた位置に設けられた第3表示部を有する第2透明導光板と、を有し、
照明用光源および選択表示用光源、がそれぞれ前記第1透明導光板用と前記第2透明導光板用とが設けられている、
ことを特徴とする。
【0014】
また、請求項7に記載の本発明のスイッチ装置は、
請求項1乃至6のうちの1項に記載のスイッチ装置において、
照明用光源が、使用環境の明るさに応じて照明用光の点灯・消灯状態を切り替える、
ことを特徴とする。
【0015】
また、請求項8に記載の本発明のスイッチ装置は、
請求項1乃至7のうちの1項に記載のスイッチ装置において、
選択表示用光源が、照明用光とは異なる色で第1表示部を点灯あるいは点滅する、
ことを特徴とする。
【0016】
また、請求項9に記載の本発明のスイッチ装置は、
請求項1乃至8のうちの1項に記載のスイッチ装置において、
照明用光源が、スイッチ機能の種類に応じて照明光の色を切り替える、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の本発明のスイッチ装置にあっては、透明導光板がたわみ、選択したスイッチに相当する第1表示部の明るさや色が変わるので、装置のコンパクトさを保ちながら、ユーザーが操作状況を容易かつ短時間に確実に把握することができる。
【0018】
請求項2に記載の本発明のスイッチ装置にあっては、少ない照明用光源でより多くのスイッチ機能を発揮させることができる。
【0019】
請求項3に記載の本発明のスイッチ装置にあっては、第1表示部を間接照明することで簡単かつ安価な構成で第1表示部を暗い場合でも容易に視認することができるようになる。
【0020】
請求項4に記載の本発明のスイッチ装置にあっては、第1表示部と第2表示部とで組み合わせて表示することで、表示の幅を拡大することが可能となる。
【0021】
請求項5に記載の本発明のスイッチ装置にあっては、第2表示部を間接照明することで簡単かつ安価な構成で第2表示部を暗い場合でも容易に視認することができるようになる。
【0022】
請求項6に記載の本発明のスイッチ装置にあっては、第2表示部と第3表示部とのスイッチ機能を利用することで、より多くのスイッチ機能をコンパクトに持たせることができる。
【0023】
請求項7に記載の本発明のスイッチ装置にあっては、使用環境の明るさにかかわらず第1〜第3表示部の表示を安定して確実に確認できる。
【0024】
請求項8に記載の本発明のスイッチ装置にあっては、スイッチ機能が切り替えられたか否かを色の違いにより一目でユーザーに認識させることができる。
【0025】
請求項9に記載の本発明のスイッチ装置にあっては、表示色の違いにより一目でスイッチ機能の違いをユーザーに認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る実施例1のスイッチ装置の外観を示す斜視図である。
【図2】非操作状態における実施例1のスイッチ装置の縦断面図である。
【図3】実施例1のスイッチ装置で用いられる透明電光板の他端側部分(スイッチ側部分)の横断面図である。
【図4】操作状態における実施例1のスイッチ装置の縦断面図である。
【図5】非操作状態における実施例1のスイッチ装置の第1表示部を示す図である。
【図6】操作状態における実施例1のスイッチ装置の第1表示部を示す図である。
【図7】非操作状態における本発明に係る実施例3のスイッチ装置の縦断面図である。
【図8】非操作状態における実施例3のスイッチ装置での表示を示す図である。
【図9】操作状態における実施例3のスイッチ装置での表示を示す図である。
【図10】非操作状態における実施例3のスイッチ装置の縦断面を示す図である。
【図11】非操作状態における本発明に係る実施例4のスイッチ装置図での表示である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。なお、各実施例において同じ構成のものについては同じ番号を付し、それらの説明を省略する。また、図中、矢印は光の進行方向を示す。
【0028】
[実施例1]
まず、本発明に係る実施例1のスイッチ装置の全体構成を説明する。
この実施例1のスイッチ装置は、本実施例では、車両空調装置の操作装置に用いられ、図1、2に示すように、第1表示部1aを設けたコントロール・ボックス本体1に、基板2と、照明用発光ダイオード(Light Emitting Diode: LED)3と、選択表示用発光ダイオード4と、電接用コネクタ5と、遮蔽板6と、透明導光板7と、タッチ・パネル8と、を備えている。
【0029】
コントロール・ボックス本体1は、直方体をしており、図には表れないが、裏板が取り外し可能とされ、車両のインストルメント・パネルに取り付けられて、このユーザー側面に第1表示部1aが設けられる。
第1表示部1aには、図5〜8に示すように、車両用空調装置を操作するための各機能を持たせたスイッチの機能を表す文字や意匠からなり、これらは本実施例では6個設けられて、コントロール・ボックス本体1のユーザー側面に白色印刷されており、赤色の選択表示用発光ダイオード4が点灯すると、文字や意匠が赤く通過照明される。
【0030】
第1表示部1aは、本実施例1では、図5に示すように、同図中左から順に、空調装置(エア・コンディショナ)のオン・オフ(以下、エアコンのオン・オフという)操作用スイッチ、フロント・ウィンドー側および足元側への送風選択用スイッチ、頭・胸および足元への送風選択用スイッチ、足元のみの送風選択用スイッチ、室内循環選択用スイッチ、オート選択用スイッチを表す文字や意匠が描かれている。
【0031】
基板2には、照明用発光ダイオード(Light Emitting Diode: LED)3、選択表示用発光ダイオード4、タッチ・パネル7、図示しない空調装置等に接続されて、必要な信号を受けて照明用発光ダイオード(Light Emitting Diode: LED)3や選択表示用発光ダイオード4の点灯、消灯を制御する制御回路や駆動回路が設けられている。これらの回路を有する基板2は、本発明の制御部に相当する。
【0032】
基板2には、選択表示用発光ダイオード4の上方位置に照明用発光ダイオード3を、またこの照明用発光ダイオード3の上方位置に電接用コネクタ5を、それぞれ取り付けてある。
電接用コネクタ5は、基板2を図示しない電源に接続し、またタッチ・パネル8に基板2を接続させる。
【0033】
照明用発光ダイオード(本発明の照明用光源に相当)3および選択表示用発光ダイオード(本発明の選択表示用光源に相当)4は、それぞれ照明用光、選択表示用光を発光するもので、基板2上に複数個設けられている。なお、選択表示用発光ダイオード4の個数は必要な任意の個数でよいが、選択表示用発光ダイオード4の個数は第1表示部のスイッチ機能数と同じ個数(本実施例では6個)にする。
本実施例では、照明用光は青色、選択表示用光は赤色に設定してあるが、これらに限られない。好ましくは、照明用光は刺激的でなく第1表示部1aの内容をユーザーが視認しやすい色(青や緑など)、また選択表示用光は目立ってユーザーが認識しやすい色(赤や橙など)とする。
【0034】
コントロール・ボックスにあっては、基板2の選択表示用発光ダイオード4の部分と第1表示部1aとの間には、遮蔽板6が設けられ、選択表示用発光ダイオード4から発した選択表示用光が第1表示部1aのみに向かってこれを透過するようにし、他の部位とくに透明導光板7や表示部1aの選択されたスイッチ相当表示部分以外のスイッチ表示部分には当たらないように区画するようにしてある。
【0035】
透明導光板7は、光透過性の弾性を有する材料で形成され、元の位置からたわみかつ元の位置へ復元可能であり、またこの一端側部分の端部は照明用発光ダイオード3に向けられ、その中途部分はコントロール・ボックス本体1の第1表示部A1の上方位置に設けた開口を通ってユーザー側の外側へ突出した後、下方へ曲がり、その他端側部分が第1表示部1aの下端部付近まで延ばされる。この他端側部分は、第1表示部1aに対し所定の隙間を有し、ユーザーが指でこの部分を第1表示部1aに押圧可能とされている。ユーザーが指を離すと、この他端側部分はその弾性で元の状態に復元する。言い換えると、この他端側部分はスイッチ機能を有しており、第1表示部1aに向かって進退可能である。
【0036】
すなわち、透明導光板7の他端側部分は、中途部分から6つに枝分かれされ、この枝分かれした各部分にそれぞれのスイッチ機能を持たせるため、これら枝分かれした部分の表面にはタッチ・パネル8が貼り付けてある。タッチ・パネルは、静電容量式、表面弾性波式、音響パルス認識方式など、種々の方式が利用可能である。
また、透明導光板7の一端側部分の端部には、照明用発光ダイオード3から発せられた照明用光が、中途部分を経由して他端側部分まで伝達されるように内部で反射されるようになっており、他端側部分の側面は、図3(他端側部分の横断面)に示すように、斜めにカットされて、表面に梨地処理が施されており、ここで拡散されて外側へ出た照明光が、第1表示部1aへ向かってこれを照明するようにしてある。
【0037】
上記のように構成された実施例1のスイッチ装置の作用について説明する。
図5、6は非操作時における表示例、操作時における表示例をそれぞれ示す。
まず、昼間でスイッチの非作動時には、図6に示すように、文字および意匠が白色でユーザーに見える。この状態からユーザーがたとえば、左端のエアコン・オンのスイッチ、次いで右端のオートのスイッチを選択してこれらを順に押したとする。すなわち、ユーザーが透明導光板7の対応する他端側部分を押してこれらを図4に示すようにたわませることにより、クリック感には至らないものの操作感が得られ、しかも、この操作によりタッチ・パネルから選択信号が発せられ、基板2の制御部が操作したスイッチに対応する選択表示用発光ダイオード4を点灯させる。
【0038】
すると、選択表示用発光ダイオード4から出た赤い選択表示用光は第1表示部1aの選択した、エアコン・オンのスイッチ表示部分のみを透過してこの部分を赤色表示する。同様に、オートに相当するスイッチ表示部分をもこれに対応する選択表示用発光ダイオード4が点灯して赤色表示する。この状態を図6に示すが、赤色に点灯している両端の表示部分は、便宜上細い斜線で示してある。
したがって、ユーザーは操作しているスイッチから目を離さずとも。この部分の表示色が変化するので、スイッチ切り替えが確実に行われたことを認識することができる。
【0039】
一方、夜やトンネル走行などで暗くなりユーザーがヘッド・ランプをつけたり、あるいは光度センサが暗いと判断したりした場合には、制御部が照明発用光ダイオード3から青色の照明用光を発する。この照明光は、透明導光板7の一端側部分から入り、その内部を通って他端側部分に達する。他端側部分の側面は、斜めにカットされているので、照明用光はここから第1照明部1aに向かって、これを間接照明する。この状態は、図5の表示全体が青色表示されたものとなる。したがって、ユーザーは暗いなかでも、表示内容を確認できる。
この状況で、ユーザーが上記同様、エアコン・オンおよびオートの表示を選ぶと図6のように両端の表示(斜線で示してある)が赤色となり、他の部分が青色となって昼間同様、ユーザーはたわみに加え、操作している部位の表示色の変化で、スイッチ切り替えが確実に行われたことを認識することができる。
【0040】
以上の説明から分かるように、実施例1のスイッチ装置にあっては、以下の効果を有する。
すなわち、透明導光板7の他端部をユーザーがたわませることで、従来の押し込みスイッチのようにスペースを取らずに、タッチ・パネルだけの場合より操作感を分かりやすくすることができる。
【0041】
その上、この押圧操作を透明導光板7上のタッチ・パネル8が検出してこれに対応する選択表示用発光ダイオード4から赤い選択表示用光を発し、第1表示部1aの表示色を赤色にする。したがって、ユーザーは目を操作したスイッチから移動することなく即、表示色の変化をみることができるので、操作によりスイッチ切り替えが確実になされたことを認識できる。
また、使用環境が明るい場合と暗い場合によって、照明用発光ダイオード3を消灯、点灯と切り替えたので、暗い箇所でも、第1表示部1aが視認できるようになる。この場合、透明導光板7の斜めカット部分により第1表示部1aの間接照明を行うことが可能となる。
また、本実施例のスイッチ装置にあっては、コンパクトで、かつ製造コストの増大を抑えることができる。
【0042】
[実施例2]
次に、本発明に係る実施例2のスイッチ装置につき、説明する。
実施例2のスイッチ装置にあっては、図1、5に示した第1表示部1aの文字や意匠はコントロール・ボックス本体1の表面に薄い青色で印刷されている。また、図2、4の照明用発光ダイオード3は、白色と橙色との2種類で構成される。これらの照明用発光ダイオード3は、基板2の制御回路および駆動回路に接続され、制御される。その他の構成は、実施例1と同じである。
【0043】
実施例2の作用も実施例1とほぼ同様だが、第1表示部1aの表示色が実施例1と異なる。
すなわち、明るい場合には、非操作時には第1表示部1aのすべての文字や意匠は青色で表示され、ユーザーがスイッチ操作すると、タッチ・パネル7がこれを検出し、この結果、制御部が選択表示用発光ダイオード4を発光させ、操作されたスイッチ相当表示部分のみが選択表示用光により赤色で光る(非操作スイッチ相当表示部分は青色)ことになる。
一方、暗い場合には、透明導光板7からの白い照明光が第1表示部1aを間接照明することとなり、それらの表示は青く見える。ユーザーが所望のスイッチ相当部分を押すと、この操作をタッチ・パネルが検出し、制御部が選択表示用発光ダイオード4を発光させ、操作されたスイッチ相当表示部分のみが選択表示用光により赤色で光る(非操作スイッチ相当表示部分は青色)ことになる。
【0044】
また、空調装置の図示しない室内温度センサから室温を検出しており、この室温信号は制御部へも伝えられ、制御部は、例えば冷房選択時(オート、マニュアルを問わず)には、照明用発光ダイオード3を消灯(明るい場合)あるいは白色の照明用発光ダイオード3のみを発光させて(暗い場合)、第1表示部1aを青色で冷房表示し、暖房選択時は橙色の照明用発光ダイオード3のみを発光させて、
透明導光板7より第1表示部1aを間接照明して青色の文字や意匠が橙色の中に見えるように暖房表示する。この場合も、操作したスイッチ相当の表示部分は選択表示用発光ダイオード4で赤色表示する。
【0045】
以上のように、実施例2のスイッチ装置においては、実施例1と同様な効果が得られるとともに、冷房と暖房のように、スイッチ機能の種類に応じて照明用光の色を切り替えるようにしたので、ユーザーは第1表示部1aの表示色をみて即、スイッチ機能の種類を認識することができる。
【0046】
[実施例3]
次に、本発明に係る実施例3のスイッチ装置につき、説明する。
図7に示す実施例3のスイッチ装置にあっては、第1表示部1aには、スイッチ機能を表す文字や意匠に代えて、この表示エリアに白色系の拡散印刷が施されて円形が描かれている。この円形部分は、選択表示用発光ダイオード4が発する選択表示用光が透過可能である。
一方、透明導光板4の表面で前記第1表示部1aに対向する部分には第2表示部7a、すなわちスイッチ機能を表す文字や意匠が黒色で印刷されている。なお、透明導光板7の他端側部分の側面は、斜めにカットして透明導光板7の内部を通って伝わって来た照明用光が、拡散して第2表示部7aを間接的に照明するようにする。その他の構成は、実施例1と同様である。
【0047】
実施例3のスイッチ装置では、明るい場合には、照明用発光ダイオード3を消灯しているので、非操作時には図8に示すように、第1表示部1a白色の背景の手前に第2表示部7aである黒色の文字や意匠がユーザーに見える。この状態でスイッチ操作を行うと、スイッチ装置は透明導光板7の他端側部分が第1表示部1aへ向けてたわみ、タッチ・パネル8が選択信号を出力するので、制御回路が赤色の選択表示用発光ダイオード4を発光させる。この赤い選択表示用光は、第1表示部1aを通過するが、この白色系拡散印刷部分を透過する。この結果、図9に示すように、第2表示部7aである文字や意匠の背景に第1表示部1aで赤色の円形に発光された表示が重なって見えるので、ユーザーは透明導光板7の他端側部分を押すと、赤い丸い表示が見えるので、目を大きく移動させることなく即、スイッチ切り替えが確実になされたことが認識できる。
【0048】
また、暗い場合、非操作時には、実施例同様に、照明光の青い光で第2表示部7aの文字や意匠を間接照明でユーザーに見えやすくし、操作時には、青く間接照明された黒色の第2表示部7aの文字や意匠の後ろに、明るい場合と同様、赤い丸形の表示を重ねて表示する。
したがって、実施例3のスイッチ装置にあっても、実施例1と同様な効果を得ることができる。
【0049】
[実施例4]
次に、本発明に係る実施例4のスイッチ装置につき、説明する。
図10に示す実施例4のスイッチ装置にあっては、透明導光板を、2つ、すなわち実施例1の透明導光板7と同じ構成の第1透明導光板71と、この第1透明導光板71の上方位置からこの手前かつ下方へ延びる第2透明導光板72と、から構成される。これら第1、第2の透明導光板71、72の表面には、それぞれタッチ・パネル71a、72aが貼り付けられる。
また、第1透明導光板71の一端側部分と第2透明導光板72の一端側部分は、それぞれ第1照明用発光ダイオード31と第2照明用発光ダイオード32に対面させられ、それぞれ第1照明用光、第2照明用光を受ける。これらの光の色は同じであっても、異ならせてもよい、なお、第1照明用発光ダイオード31と第2照明用発光ダイオード32は、いずれも、本発明の照明用光源に相当する。
【0050】
一方、第1透明導光板71の他端側部分と第2透明導光板72の他端側部分には、それぞれ図11に示すように、実施例3と同じ構成の第2表示部7aとオーディオ用スイッチ機能を表す第3表示部72aが設けられるが、第1透明導光板71の第2表示部7aより上に第3表示部72aが位置してこれらが2列に並ぶように配列される。なお、第3表示部72aの下部は、第2表示部7aの上部に一部重なるように設定されるとともに、コントロール・ボックス本体1の第1表示部1aは、第2表示部7aおよび第3表示部72aのそれぞれの文字や意匠の後ろに赤い丸形を表示できるように、照明用発光ダイオードも2列に配列した第1照明用発光ダイオード41と第2照明用発光ダイオード42とから構成する。遮蔽板6は、それぞれのスイッチ機能を分離独立させて、第1照明用発光ダイオード41と第2照明用発光ダイオード42からの照明用光が他のスイッチ表示相当部分を照明しないようにしてある。
【0051】
実施例4のスイッチ装置においては、スイッチ機能表示を2段にわたって増やすことができ、しかもこれらの表示色を異ならせることも可能となる。作用は、2段になっている点を除けば、実施例1、3と同じであり、実施例4のスイッチ装置も、実施例1、3と同様の効果を得ることができる。
【0052】
以上、本発明を上記各実施例に基づき説明してきたが、本発明はこれらの実施例に限られず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更等があった場合でも、本発明に含まれる。
【0053】
たとえば、本発明のスイッチ装置は、車両用空調装置の操作装置に限られず、車両用以外(たとえば家庭用)でも、また空調装置用以外(たとえばオーディオ装置用)であっても適用可能である。
【0054】
また、第1表示部1a、71a、第2表示部7a、第3表示部72aの文字や意匠、スイッチ数、色、配列は、目的に応じて任意に選択可能であり、また、照明用光源、選択表示用光源も発光ダイオード以外でもよく、個数、配列、色は目的に応じて任意に選択するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 コントロール・ボックス本体
1a、71a 第1表示部
2 基板(制御部)
3 照明用発光ダイオード(照明用光源)
4 選択表示用発光ダイオード(選択表示用光源)
5 電接コネクタ
6 遮蔽板
7 透明導光板
7a 第2表示部
8、81、82 タッチ・パネル
41 第1照明用発光ダイオード
42 第2照明用発光ダイオード
51 第1選択表示用発光ダイオード
52 第2選択表示用発光ダイオード
71 第1透明導光板
72 第2透明導光板
72a 第3表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチの機能を表す光を透過可能な第1表示部が設けられた表面を有するスイッチ・ケース本体と、
該スイッチ・ケース本体内に設けられて照明用の光を発する照明用光源と、
前記スイッチ・ケース本体内に設けられて前記第1表示部へ選択表示用光を発する選択表示用光源と、
一端側部分が前記スイッチ・ケース本体内にあって中途部分が前記スイッチ・ケース本体の表面から外側へ突出されて他端側部分が前記第1表示部の前方まで向かって延び、該第1表示部に対し進退可能にたわみ、かつ透明で前記照明用光源から発せられた照明用光を前記一端側部分から前記他端側部分まで導く透明導光板と、
該透明導光板の前記第1表示部に相当する部分に設けられ前記スイッチ機能に相当する選択信号を発生可能なタッチ・パネルと、
前記スイッチ・ケース本体内に設けられて、前記タッチ・パネルから前記選択信号を受けたとき、前記選択表示用光を発するよう前記選択表示用光源を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチ装置において、
前記透明導光板は、該他端側部分が複数に枝分かれし、この枝分かれした部分には、それぞれ異なるスイッチ機能に対応した前記タッチ・パネルが設けられている、
ことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のスイッチ装置において、
前記透明導光板は、該他端側部分が斜めにカットされたカット面を有し、該カット面にて前記透明導光板を透過して来た照明用光を前記第1表示部に向けて拡散させるようにした、
ことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項4】
請求項1又は2のスイッチ装置において、
前記透明導光板は、該他端側部分に前記第1表示部とは異なるスイッチの機能を表す第2表示部が設けられている、
ことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のスイッチ装置において、
前記透明導光板は、該他端側部分が斜めにカットされたカット面を有し、該カット面にて前記透明導光板を透過して来た照明用光を前記第1表示部と反対方向の前記第2表示部へ向けて拡散させるようにした、
ことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のスイッチ装置において、
前記透明導光板は、前記第2表示部を有する第1透明導光板と、該第1透明導光板に向けて進退可能にたわみ、前記第2表示部とは互いにずれた位置に設けられた第3表示部を有する第2透明導光板と、を有し、
前記照明用光源および前記選択表示用光源は、それぞれ前記第1透明導光板用と前記第2透明導光板用とに設けられている、
ことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちの1項に記載のスイッチ装置において、
前記照明用光源は、使用環境の明るさに応じて照明用光の点灯・消灯状態を切り替える、
ことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちの1項に記載のスイッチ装置において、
前記選択表示用光源は、前記照明用光とは異なる色で前記第1表示部を点灯あるいは点滅する、
ことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちの1項に記載のスイッチ装置において、
前記照明用光源は、前記スイッチ機能の種類に応じて照明用光の色を切り替える、
ことを特徴とするスイッチ装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−238432(P2012−238432A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105639(P2011−105639)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】