説明

スイッチ装置

【課題】回転部材と押圧部材とを分離した構成において、装置全体として小型化を図る。
【解決手段】スイッチ装置は、基板と、基板に設けられ、回転可能な検出軸部を有し、この検出軸部が回転されたことを検出する回転検出器と、基板にあって基板および回転検出器の間に設けられ、押圧力を受ける被押圧部を有し、この被押圧部が押圧されたことを検出する押圧検出器と、検出軸部を貫き、押圧可能且つ検出軸部とともに回転可能に設けられ、押圧力が入力された場合には検出軸部の回転軸方向へ移動して被押圧部を押圧し、回転力を受けた場合にはその回転力を検出軸部へ伝達する押圧部材と、中心部に押圧部材を通して設けられ、押圧部材に押圧力が入力された場合には押圧部材を検出軸部の回転軸方向へ案内し、回転力が入力された場合にはその回転力を押圧部材へ伝達する回転部材と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転方向への操作力すなわち回転力を入力する回転操作と、押圧方向への操作力すなわち押圧力を入力する押圧操作との両方の操作が可能な、いわゆる複合型のスイッチ装置が提案されている。このようなスイッチ装置としては、回転力が入力される回転部材と、押圧力が入力される押圧部材とを一体に構成したものが考えられる。しかしこの場合、回転部材と押圧部材とが一体に構成されていることから、使用者は、回転操作時に誤って押圧力を入力したり、押圧操作時に誤って回転力を入力するなどして、意図しない操作をしてしまうおそれがある。
【0003】
これに対し、例えば引用文献1には、回転部材と押圧部材とが分離して構成された複合型のスイッチ装置が開示されている。このスイッチ装置によれば、回転部材に入力された回転力および押圧部材に入力された押圧力は、他方の部材に伝達されない。そのため、使用者は、回転部材に対する回転操作時に誤って押圧部材に対して押圧力を入力したり、押圧部材に対する押圧操作時に誤って回転部材に対して回転力を入力することがない。したがって、使用者の意図しない操作が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−199374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、回転部材と押圧部材とを分離して構成する場合、スイッチ装置は、回転部材が回転されたことを検出する例えばロータリスイッチなどの回転検出器と、押圧部材が押圧されたことを検出する例えばプッシュスイッチなどの押圧検出器とを、回転部材および押圧部材に対応して個別に備える必要がある。さらに、この構成のスイッチ装置では、回転検出器は、一般に、押圧検出器の外側を囲むようにして設けられるため、回転検出器が大型化する傾向があり、これに伴い、この回転検出器に対応する回転部材も大型化する傾向がある。そのため、スイッチ装置全体としての小型化が困難である。
【0006】
そこで、回転操作および押圧操作の両方の操作が可能なスイッチ装置において、回転力が入力される回転部材と押圧力が入力される押圧部材とを分離した構成を採用したとしても、装置全体として小型化を図ることができるスイッチ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態のスイッチ装置は、基板と、前記基板に設けられ、回転可能な検出軸部を有し、この検出軸部が回転されたことを検出する回転検出器と、前記基板にあって前記基板および前記回転検出器の間に設けられ、押圧力を受ける被押圧部を有し、この被押圧部が押圧されたことを検出する押圧検出器と、前記検出軸部を貫き、押圧可能且つ前記検出軸部とともに回転可能に設けられ、押圧力が入力された場合には前記検出軸部の回転軸方向へ移動して前記被押圧部を押圧し、回転力を受けた場合にはその回転力を前記検出軸部へ伝達する押圧部材と、中心部に前記押圧部材を通して設けられ、前記押圧部材に押圧力が入力された場合には前記押圧部材を前記検出軸部の回転軸方向へ案内し、回転力が入力された場合にはその回転力を前記押圧部材へ伝達する回転部材と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一実施形態によるスイッチ装置の外観を示す斜視図
【図2】一実施形態によるスイッチ装置の構成を分解して示す斜視図
【図3】一実施形態によるスイッチ装置の押圧部材および回転部材を示す斜視図
【図4】一実施形態によるスイッチ装置の構成を示す縦断側面図
【図5】一実施形態によるスイッチ装置の図4のA−A線に沿う横断底面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に示すスイッチ装置10は、回転力を入力する回転操作および押圧力を入力する押圧操作の両方の操作をすることができる、いわゆる複合型のスイッチ装置である。このスイッチ装置10は、図2に示すように、基板11、押圧検出器12、回転検出器13、覆い部材14、押圧部材15、および回転部材16を備えている。以下、基板11に対して回転部材16側をスイッチ装置10の上方として説明する。
基板11は、例えばプリント配線基板などで構成されており、この場合、矩形の板状に形成されている。基板11には、図示しない電気回路が設けられている。押圧検出器12および回転検出器13は、基板11の一方の面、この場合、上側の面である基板面111側に実装されている。また、基板11には、この基板11を円形に貫いて穴112が形成されている。
【0010】
押圧検出器12は、例えば基板実装型のプッシュスイッチなどで構成されており、この押圧検出器12に対する押圧の有無を検出してその結果を電気的に出力する。具体的には、押圧検出器12は、図4に示すように、被押圧部121および金属片122を有している。また、押圧検出器12は、詳細は図示しないが、金属片122の下側において互いに離間した複数の接点を有している。被押圧部121は、押圧力を受けた場合、基板面111に対して垂直方向であって基板面111側に向かう方向へ移動して金属片122を押圧する。金属片122は、被押圧部121に押圧されると、弾性変形して図示しない複数の接点間に接触し、これら複数の接点間を電気的に接続する。これにより、押圧検出器12は、被押圧部121が押圧力を受けたことを検出してその検出結果を電気的に出力する。このとき、押圧検出器12には、被押圧部121が金属片122から受ける弾性力の変化によって節度感つまりクリック感が生じる。
【0011】
回転検出器13は、図2および図4に示すように、台座部131および検出軸部132を有して構成されている。回転検出器13は、検出軸部132が回転されたことを検出してその検出結果を電気的に出力する。この場合、回転検出器13は、基板実装型であり、例えば、検出軸部132の回転量を所定角度毎にパルス信号として出力するロータリエンコーダや、複数の接点端子を有し検出軸部132の回転位置に応じて電気的に接続される接点端子が切替わるロータリスイッチなどで構成されている。
【0012】
回転検出器13は、図4に示すように、台座部131が基板11の基板面111側に取付けられている。また、台座部131の中央部分には、基板11との間に空間が形成され、この空間に押圧検出器12が収容されている。これにより、押圧検出器12は、基板11の基板面111にあって、基板11および回転検出器13の間に設けられている。検出軸部132は、図2および図4に示すように、筒状に形成されて台座部131の中心部を貫いて設けられている。この場合、検出軸部132の外形は、図2に示すように、円柱の一部を、その中心軸方向へ平行な平面状に切欠いて形成されている。つまり、検出軸部132は、図5にも示すように、基板面111に対して平行な断面の外形が、円形の一部を切欠いた形状すなわち半円形状に形成されている。
【0013】
また、検出軸部132の中心部には、貫通穴133が形成されている。この貫通穴133は、検出軸部132の中心部を、円形の一部を切欠いた形状で検出軸部132の中心軸方向へ貫いている。つまり、検出軸部132は、図5に示すように、基板面111に対して平行な断面において、その内側が円形の一部を切欠いた形状すなわち半円形状に形成されている。そして、この貫通穴133は、図4に示すように、押圧検出器12の被押圧部121の上方に位置している。
【0014】
これら押圧検出器12および回転検出器13は、基板11と覆い部材14との間に設けられている。具体的には、覆い部材14は、基板11に対して離間した形態で基板11に取付けられている。この覆い部材14は、板部141と、大径部142および小径部143とを一体にして構成されている。板部141は、板状に形成されて、基板11の基板面111に対して平行に配置されている。大径部142は、円柱に形成され、板部141の下面から下方へ垂直に突出して設けられている。この場合、大径部142の外径は、基板11の穴112の内径よりも大きい寸法に設定されている。
【0015】
小径部143は、大径部142よりも小径の円柱に形成されて、大径部142の下端側に設けられている。この小径部143の中心軸は大径部142の中心軸に一致している。また、小径部143の外径は、基板11の穴112の内径とほぼ同じ寸法に設定されている。この場合、大径部142および小径部143は、その外径が異なるので、大径部142および小径部143の境界に段が形成された、いわゆる段付き支柱を構成している。覆い部材14は、小径部143が基板11の穴112に挿入されて、基板11に取付けられる。これにより、覆い部材14は、基板11に対する水平方向の位置が決定されるとともに、基板11の基板面111からの距離が一定に保たれる。
【0016】
また、覆い部材14には、小径穴144および大径穴145が形成されている。小径穴144は、覆い部材14の中心部において円形に形成され、覆い部材14を上側から板厚方向へ貫いている。大径穴145は、その中心が小径穴144の中心と一致し、小径穴144よりも内径が大きい円形の穴に形成されている。そして、この大径穴145は、覆い部材14を下側から板厚方向へ、その板厚の途中まで掘るようにして形成されている。これら小径穴144および大径穴145は、覆い部材14の板厚方向の途中で連通している。この場合、小径穴144および大径穴145は、その内径が異なるので、小径穴144および大径穴145の境界に段が形成された、いわゆる段付き穴を構成している。そして、押圧検出器12および回転検出器13は、小径穴144および大径穴145から、覆い部材14の上方へ臨んでいる。
【0017】
押圧部材15および回転部材16は、図4に示すように、小径穴144から覆い部材14の上方へ突出して設けられている。押圧部材15は、回転検出器13の検出軸部132に取付けられている。押圧部材15は、図3にも示すように、筒状に形成された筒部151を主体として、筒部151の一方の端部この場合上端部に設けられた操作部152と、筒部151の内側に設けられた棒部153と、筒部151の外周面に設けられた複数この場合四個の突部154と、を有して構成されている。この場合、筒部151、操作部152、棒部153、および突部154は、樹脂などにより一体に形成されている。
【0018】
具体的には、筒部151は、下側が開口した筒状に形成され、その中心軸が基板面111に対して垂直方向へ向けて設けられている。筒部151の内側は、検出軸部132の外形に沿った形状であって検出軸部132の外形よりもやや大きい形状に形成されている。つまり、筒部151の内側は、図5に示すように、基板面111に対して平行な断面が、円形の一部を切欠いた形状であって検出軸部132の外形よりもやや大きく形成されている。これにより、筒部151は、回転検出器13の検出軸部132との間に隙間が形成された状態で、検出軸部132の外側を覆っている。
【0019】
この押圧部材15は、回転力を受けた場合には、所定の範囲において検出軸部132に対する相対回転が許容される。このとき、押圧部材15が受けた回転力は検出軸部132に伝達されない。そして、その後さらに押圧部材15が回転力を受けると、その回転力は検出軸部132へ伝達される。すると、検出軸部132は、押圧部材15とともに一体的に回転する。つまり、押圧部材15の筒部151の内側と、検出軸部132の外側との間には隙間が形成されている。このため、押圧部材15は、回転力を受けると、この隙間分だけ検出軸部132に対して相対的に回転する。その後、押圧部材15は、筒部151の内側の切欠き部分が検出軸部132の外側の切欠き部分に係止され、これにより押圧部材15が受けた回転力が検出軸部132に伝達される。すると、押圧部材15および検出軸部132は一体的に回転する。
【0020】
操作部152は、図2に示すように、基板面111に対して平行な円板状に形成されて、筒部151の上側の端部に設けられている。使用者は、この操作部152に対して押圧操作を行う。棒部153は、筒部151の内側の中心部から下方へ突出し、図4に示すように、回転検出器13の貫通穴133に通して設けられている。この場合、棒部153は、筒部151の中心軸と同一の中心軸を有する円柱の一部を、その中心軸方向へ平行な平面状に切欠いて形成されている。すなわち、棒部153は、図5に示すように、基板面111に対して平行な断面が、円形の一部を切欠いた形状であって、回転検出器13の貫通穴133よりもやや小さい形状に形成されている。
【0021】
図4に示すように、貫通穴133に通された棒部153は、下側つまり基板面111側の端部が、押圧検出器12の被押圧部121に接触している。そして、押圧部材15は、押圧力が入力されると、押圧部材15の中心軸方向へ移動して被押圧部121を押圧する。この場合、押圧部材15は、使用者の押圧操作による押圧力を受けて押圧検出器12を作動させるボタンとして機能する。
筒部151の外周面には、複数この場合四個の突部154が設けられている。これら突部154は、筒部151の外周面から筒部151の径方向外側へ向かって突出している。この突部154は、図5に示すように、基板面111に対して平行な断面がほぼ矩形に形成され、筒部151の外周方向に等間隔に設けられている。そして、突部154は、図4にも示すように、筒部151の長手方向すなわち上下方向における上側の途中部から下端部に亘って連続して設けられている。
【0022】
回転部材16は、全体として筒状に形成され、その中心部つまり筒状部分の内側に押圧部材15を通している。そして、回転部材16は、図4に示すように、押圧部材15の操作部152を筒状部分の内側から上方へ臨ませて、押圧部材15の外側を囲んでいる。この回転部材16は、図3に示すように、筒状に形成された外筒部161を主体にして、外筒部161の外側に突条部162が設けられているとともに、外筒部161の内側に内筒部163、爪部164、規制部165が設けられている。この場合、外筒部161、突条部162、内筒部163、爪部164、および規制部165は、樹脂などにより一体に形成されている。
【0023】
具体的には、図2〜4に示すように、外筒部161は、筒状に形成され、その中心軸が基板11の基板面111に対して垂直に配置されている。この場合、外筒部161の外径は、覆い部材14に形成された小径穴144の内径よりも大きな寸法に設定されている。外筒部161の外側には、外筒部161の上部から側部にかけて延びる複数の突条部162が設けられている。この突条部162は、回転部材16を装飾するとともに、回転操作時において滑り止めとして機能する。
【0024】
内筒部163は、図3に示すように、ほぼ円筒に形成され、その中心軸は外筒部161の中心軸と一致している。また、内筒部163は、図5に示すように、その外径が覆い部材14の小径穴144の内径よりも小さい寸法に設定されている。そして、回転部材16は、内筒部163を小径穴144に通して設けられている。
【0025】
また、内筒部163は、中心軸方向に二つに分割されて離間している。二つの爪部164は、これら内筒部163の離間部分において、内筒部163の中心軸に対称に設けられている。二つの爪部164は、内筒部163の径方向外側へ向かって開口する鉤状に形成された、いわゆるスナップフィットである。この二つの爪部164は、図4に示すように、覆い部材14の小径穴144に通されて、小径穴144の板厚部分を挟んでいる。つまり、爪部164は、覆い部材14の上側面と、小径穴144および大径穴145の段部分とに係止されている。このため、回転部材16は、基板11および覆い部材14に対して相対的に回転可能であるが、その中心軸方向への移動は規制されている。
【0026】
内筒部163の内側には、図3および図5に示すように、全体として円筒状に形成された規制部165が設けられている。規制部165は、その内径が押圧部材15の筒部151の外径よりもやや大きい寸法に設定されている。そして、この規制部165は、円筒の一部をその中心軸方向へ切欠かれて二つの溝部166を形成している。
溝部166は、周方向である幅方向の寸法が押圧部材15の突部154の幅方向の寸法よりやや大きく設定されている。これにより、突部154と、溝部166を形成する両側の規制部165との間には隙間が形成されている。ちなみに、突部154と規制部165との間に形成される隙間は、押圧部材15の筒部151の内側と回転検出器13の検出軸部132の外側との間に形成される隙間よりも大きい。
【0027】
回転部材16は、押圧部材15に押圧力が入力された場合には、この押圧部材15を押圧部材15の回転軸方向へ案内する。つまり、押圧部材15は、押圧部材15の回転軸方向へ沿った押圧力すなわち基板面111に対して垂直な押圧力が入力されると、突部154が溝部166を摺動する。これにより、押圧部材15は、突部154が溝部166に案内されて、押圧部材15の中心軸方向へ移動する。なお、この場合、押圧部材15は、突部154の上端部が回転部材16の内筒部163の上端部に係止されて、回転部材16の内側から抜け出ないようになっている。
【0028】
また、回転部材16は、外部から回転力が入力された場合には、所定の範囲において押圧部材15に対する相対回転が許容される。このとき、回転部材16に入力された回転力は押圧部材15に伝達されない。そして、その後さらに回転部材16に回転力が入力されると、その回転力は押圧部材15へ伝達される。つまり、突部154と、溝部166を形成する両側の規制部165との間には隙間が形成されている。このため、回転部材16は、外部から回転力が入力されると、この隙間分だけ押圧部材15に対して相対的に回転する。その後、回転部材16は、突部154が規制部165に係止され、これにより回転部材16に入力された回転力が押圧部材15に伝達される。すると、回転部材16および押圧部材15は一体的に回転する。この場合、回転部材16は、使用者の回転操作による回転力を受けて回転検出器13を作動させるダイアルとして機能する。
【0029】
次に、上記構成の作用について説明する。
まず、押圧操作時の作用について説明する。使用者は、押圧部材15の操作部152に対して押圧力を入力して押圧操作を行う。この押圧部材15は、操作部152に押圧力が入力されると、突部154が回転部材16の溝部166を摺動する。そして、押圧部材15は、突部154が溝部166に案内されて、押圧部材15の中心軸方向つまり検出軸部132の回転軸方向において基板面111側へ移動する。すると、押圧部材15の棒部153の下端部が押圧検出器12の被押圧部121を押圧する。これにより、押圧検出器12は、被押圧部121が押圧されたことを検出してその検出結果を電気的に出力する。このとき、使用者は、被押圧部121が金属片122から受ける弾性力の変化によって節度感つまりクリック感を得る。
【0030】
次に、回転操作時の作用について説明する。使用者は、回転部材16に対して回転力を入力して回転操作を行う。ここで、回転部材16は、所定の範囲において押圧部材15に対する相対回転が許容されている。つまり、回転部材16は、押圧部材15に対して回転力が伝達されない所定範囲を有している。この場合、所定範囲は、押圧部材15の突部154と、回転部材16の溝部166を形成する規制部165との間の隙間の大きさによって決定される。同様に、押圧部材15は、所定の範囲において回転検出器13の検出軸部132に対する相対回転が許容されている。つまり、押圧部材15は、回転検出器13の検出軸部132に対して回転力が伝達されない所定範囲を有している。この場合、所定範囲は、押圧部材15の筒部151の内側と、回転検出器13の検出軸部132の外側との間の隙間の大きさによって決定される。
【0031】
すなわち、押圧部材15は、回転部材16および検出軸部132の両方に対して相対的な回転が許容されている。この場合、回転部材16は、使用者によって回転力が入力されると、押圧部材15に対して、突部154と規制部165との間の隙間分だけ相対回転する。その後、さらに回転部材16に回転力が入力されると、その回転力は押圧部材15へ伝達され、回転部材16と押圧部材15とが一体回転する。回転部材16は、押圧部材15との一体回転が開始すると、押圧部材15とともに、検出軸部132に対して筒部151の内側と検出軸部132の外側との間の隙間分だけ相対回転する。その後、さらに回転部材16に回転力が入力されると、押圧部材15が回転部材16から受けた回転力は検出軸部132へ伝達される。つまり、このとき、回転部材16に入力された回転力は、押圧部材15を介して検出軸部132へ伝達される。これにより、回転部材16と押圧部材15と検出軸部132とが一体的に回転する。そして、回転検出器13は、検出軸部132が回転されたことを検出してその検出結果を電気的に出力する。
【0032】
これによれば、スイッチ装置10は、押圧部材15および回転部材16を備えている。押圧部材15は、押圧可能且つ回転検出器13の検出軸部132とともに回転可能に設けられている。この押圧部材15は、押圧力が入力された場合には、回転検出器13の検出軸部132における回転軸方向へ移動して、押圧検出器12の被押圧部121を押圧する。一方、回転部材16は、押圧部材15に押圧力が入力された場合には、押圧部材15を検出軸部132の回転軸方向へ案内し、回転部材16に回転力が入力された場合にはその回転力を押圧部材15へ伝達する。
【0033】
この構成によれば、使用者が誤って回転操作時に回転部材16に対して押圧力を入力したとしても、その押圧力は押圧部材15へ伝達され難い。また、押圧部材15は回転部材16の中心部に設けられているため、使用者が誤って押圧操作時に押圧部材15に対して回転力を入力することが少ない。そのため、このようなスイッチ装置10によれば、使用者の意図しない操作を低減することができる。
【0034】
また、押圧検出器12は、基板11と回転検出器13との間に設けられている。これによれば、回転検出器13は、押圧検出器12の外側を囲むようにして設ける必要がないため、回転検出器13の大型化を抑制することができる。その結果、押圧部材15および回転部材16を分離した構成を採用したとしても、スイッチ装置10全体としての小型化を図ることができる。
【0035】
さらに、押圧部材15は、回転部材16および検出軸部132の少なくともいずれか一方、本実施形態の場合は両方に対して相対的な回転が許容されている。これによれば、例えば使用者が押圧部材15を押圧操作をする際に、誤って回転部材16に触れてしまい、回転部材16に対して意図しない回転力が入力されたとしても、この回転力が押圧部材15ひいては回転検出器13の検出軸部132へ伝達されることを抑制することができる。そのため、このようなスイッチ装置10によれば、使用者の意図しない操作をより確実に低減することができる。
【0036】
また、押圧部材15は、使用者によって押圧力が入力されると、棒部153の下端部が押圧検出器12の被押圧部121を押圧する。これにより、押圧検出器12は、押圧部材15に対して押圧操作がされたことを検出する。この場合、押圧部材15は、突部154が回転部材16の溝部166に案内され、押圧部材15の回転軸方向すなわち被押圧部121の押圧方向へ移動する。これによれば、押圧部材15に入力された押圧力が、被押圧部121の押圧に寄与しない方向へ分散されることを低減することができる。したがって、押圧部材15に対する押圧操作がより確実なものとなる。
【0037】
さらに、押圧操作時に被押圧部121が金属片122から受ける弾性力は、押圧部材15を介し、節度感すなわちクリック感として使用者に作用する。この場合、被押圧部121を介して押圧部材15が金属片122から受ける弾性力は、節度感すなわちクリック感に寄与しない方向へ分散され難い。そのため、このようなスイッチ装置10によれば、使用者に対してより明瞭な節度感すなわちクリック感を与えることができる。
【0038】
また、押圧部材15は、四個の突部154を有している。この四個の突部154は、筒部151の外周面において等間隔に設けられている。これによれば、押圧部材15に対して回転部材16を取付ける際、回転部材16を押圧部材15に対して最大90°回転させれば押圧部材15の突部154と回転部材16の溝部166とを噛み合わせることができる。そのため、押圧部材15に対する回転部材16の取付けが容易なものとなり、その結果、スイッチ装置10を組立てる際の作業性が向上する。
なお、突部154の数は四個に限定されず、少なくとも一個あればよい。同様に、溝部166も、突部154に対応して少なくとも一箇所形成されていればよい。
【0039】
以上説明した実施形態によれば、スイッチ装置は、基板と、回転検出器と、押圧検出器と、押圧部材と、回転部材と、を備えている。押圧検出器は、基板および回転検出器の間に設けられている。押圧部材は、押圧力が入力された場合には検出軸部の回転軸方向へ移動して被押圧部を押圧し、回転力を受けた場合にはその回転力を検出軸部へ伝達する。また、回転部材は、押圧部材に押圧力が入力された場合には押圧部材を検出軸部の回転軸方向へ案内し、回転力が入力された場合にはその回転力を押圧部材へ伝達する。これによれば、回転力が入力される回転部材と押圧力が入力される押圧部材とを分離した構成を採用したとしても、装置全体として小型化を図ることができる。
【0040】
本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変更は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
図面中、10はスイッチ装置、11は基板、12は押圧検出器、121は被押圧部、13は回転検出器、132は検出軸部、15は押圧部材、16は回転部材を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に設けられ、回転可能な検出軸部を有し、この検出軸部が回転されたことを検出する回転検出器と、
前記基板にあって前記基板および前記回転検出器の間に設けられ、押圧力を受ける被押圧部を有し、この被押圧部が押圧されたことを検出する押圧検出器と、
前記検出軸部を貫き、押圧可能且つ前記検出軸部とともに回転可能に設けられ、押圧力が入力された場合には前記検出軸部の回転軸方向へ移動して前記被押圧部を押圧し、回転力を受けた場合にはその回転力を前記検出軸部へ伝達する押圧部材と、
中心部に前記押圧部材を通して設けられ、前記押圧部材に押圧力が入力された場合には前記押圧部材を前記検出軸部の回転軸方向へ案内し、回転力が入力された場合にはその回転力を前記押圧部材へ伝達する回転部材と、
を備えることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記押圧部材は、前記回転部材および前記検出軸部のうち少なくともいずれか一方に対して相対的な回転が許容されていることを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−51066(P2013−51066A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187324(P2011−187324)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(302038844)東芝シュネデール・インバータ株式会社 (78)
【Fターム(参考)】