スイング式建設機械
【課題】ブーム用ホースの長さが長くなることを防止できるスイング式建設機械を提供する。
【解決手段】 スイングポスト11のうちブームフート部4A1よりも下側となる位置に、ブーム用ホース33,34の途中部位を保持するホース保持具28を設ける。また、これと共に、スイングポスト11のうち連結ピン12の上部近傍となる位置に、ホース保持具28から導出されたブーム用ホース33,34をブームフート部4A1側に折返すパイプ体29,30を設ける。このパイプ体29,30により、ブーム用ホース33,34の先端側ホース33B,34Bをブームフート部4A1の下側を通してブームシリンダ4Dの基端側に最短距離で配設することができ、ブーム用ホース33,34を短くすることができる。
【解決手段】 スイングポスト11のうちブームフート部4A1よりも下側となる位置に、ブーム用ホース33,34の途中部位を保持するホース保持具28を設ける。また、これと共に、スイングポスト11のうち連結ピン12の上部近傍となる位置に、ホース保持具28から導出されたブーム用ホース33,34をブームフート部4A1側に折返すパイプ体29,30を設ける。このパイプ体29,30により、ブーム用ホース33,34の先端側ホース33B,34Bをブームフート部4A1の下側を通してブームシリンダ4Dの基端側に最短距離で配設することができ、ブーム用ホース33,34を短くすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば作業装置のブームを左,右方向に揺動可能に支持するスイングポストを備えたスイング式の油圧ショベル等のスイング式建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スイング式建設機械としては、例えばバケット等の作業具が取付けられた作業装置をスイングポストを用いて左,右方向に揺動可能に支持することにより、道路脇の側溝等を掘削するのに好適に用いられるように構成したスイング式の油圧ショベル等が知られている。
【0003】
この種の従来技術によるスイング式の油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体に連結ピンを介して左,右方向に揺動可能に取付けられたスイングポストと、フート部(基端部)が該スイングポストに俯仰動可能に取付けられ作業装置を構成するブームと、一端側が該ブームのフート部の下側に位置して前記スイングポストに設けられると共に他端側が前記ブームに取付けられるブームシリンダと、前記上部旋回体に搭載された油圧機器と前記ブームシリンダとの間を接続して設けられ途中部位が前記ブームフート部の下側に位置して前記スイングポスト内を通過するブーム用ホースとにより大略構成されている。
【0004】
そして、スイング式の油圧ショベルの作動時に、作業装置は上部旋回体に対して左,右方向に揺動する動作と上,下方向に俯仰動する動作とを行なうことができ、側溝等を効率良く掘削することができる。
【0005】
ところで、従来技術によるスイング式の油圧ショベルは、油圧ショベルの上部旋回体に搭載された油圧機器と作業装置に設けられたブームシリンダ等の複数のアクチュエータとを、ブーム用ホース等の複数のホースにより接続している。そして、スイング式の油圧ショベルは、作業装置の揺動動作と俯仰動動作とを許した状態で上部旋回体と作業装置の各アクチュエータとの間を接続できるように、各ホースの途中部位が連結ピンの側方からスイングポスト内に挿通されている。そして、各ホースは、スイングポスト内を下側から上側へと立ち上がって連結ピンの上側に導出され、作業装置に向けて延びる構成となっている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0006】
ここで、特許文献1によるスイング式の油圧ショベルは、スイングポスト内に挿通された各ホースのうちブーム用ホースを、それ以外のホースとは別の経路でスイングポスト内から導出する構成としている。すなわち、ブーム用ホース以外のホースは、スイングポスト内を下側から上側へと立ち上がって連結ピンの上側に導出されるのに対して、ブーム用ホースは、スイングポスト内を通って連結ピンの前側に導出される構成となっている。
【0007】
一方、特許文献2によるスイング式の油圧ショベルは、各ホースのうちブーム用ホース以外のホースは、スイングポスト内を下側から上側へと立ち上がって連結ピンの上側に導出されるのに対し、ブーム用ホースはスイングポストの上部を通ってブームシリンダに接続される構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−353400号公報
【特許文献2】特開2008−202238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述した従来技術による油圧ショベルのうち、例えば特許文献1によるスイング式の油圧ショベルは、スイングポスト内で連結ピンの上側に立ち上るホースと連結ピンの前側に導出されるホースとが混在する構成となっている。このため、複数のホースが互いにスイングポスト内で干渉し易くなり、各ホースの耐久性を確保しにくくなる虞がある。
【0010】
これに対して、スイングポスト内に挿通されるホースをまとめて連結ピンの上側に向けて立ち上げる構成とすることも考えられる。しかし、この場合には、例えばブーム用ホースが、ブームのフート部の上側を通って大きく回り込んだ(迂回した)状態でブームシリンダの基端部(ボトム部)に接続されるため、ブーム用ホースが長くなり、その取り回しが面倒になる。この結果、油圧ショベルの作動中にブーム用ホースが周囲の障害物と干渉するのを防止するために、ブーム用ホースを保持する個所(クランプ個所)が増大しコストが増大したり、ブームシリンダへの配管が複雑になるという問題がある。
【0011】
一方、特許文献2によるスイング式の油圧ショベルは、ブーム用ホースを短くするために当該ブーム用ホースを連結ピンの真上に配置する必要があり、このブーム用ホースの配置設計の自由度が制限されるという問題がある。また、特許文献2によるスイング式の油圧ショベルは、ブームを後方に倒した際には、スイングポスト内から連結ピンの上側に導出されたホースと連結ピンの真上を通るブーム用ホースとが近接するため、ブームの左,右方向の揺動に伴ってホースが干渉し易くなる虞がある。
【0012】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、ブーム用ホースの長さが長くなることを防止でき、しかも、ブーム用ホースの配置設計の自由度を確保できるスイング式建設機械を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するため、本発明は、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体に連結ピンを介して左,右方向に揺動可能に取付けられたスイングポストと、フート部が該スイングポストに俯仰動可能に取付けられるブームと、一端側が該ブームのフート部の下側に位置して前記スイングポストに設けられると共に他端側が前記ブームに取付けられるブームシリンダと、前記上部旋回体に搭載された油圧機器と前記ブームシリンダとの間を接続して設けられ途中部位が前記ブームフート部の下側に位置して前記スイングポスト内を通過するブーム用ホースとを備えてなるスイング式建設機械に適用される。
【0014】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記ブームフート部よりも下側に位置して前記スイングポストに設けられ、前記ブーム用ホースの途中部位を保持するホース保持具と、前記連結ピンの上部近傍に位置して前記スイングポストに設けられ、前記ホース保持具から導出された前記ブーム用ホースを前記ブームフート部側に折返す折返し部材を備える構成としたことにある。
【0015】
また、請求項2の発明は、前記スイングポストは、前記連結ピンを介して前記上部旋回体に取付けられる後面板と、該後面板の左,右両側に設けられ上側に前記ブームフート部が取付けられると共に前側に前記ブームシリンダの一端側が取付けられる左,右の側面板とにより構成し、前記スイングポストには、少なくとも前記連結ピンの上部を覆うホースカバーを設け、前記ホース保持具と前記折返し部材とは前記左,右の側面板間に位置して前記ホースカバーに設ける構成としたことにある。
【0016】
また、請求項3の発明は、前記ホースカバーは、前記スイングポストの後面板と対面しつつ上,下方向に延びる前カバー部と、該前カバー部の上側から後方へと延びる上カバー部とにより構成し、前記ホース保持具は前記前カバー部と上カバー部との境界部に配置し、前記折返し部材は前記上カバー部の上部に配置する構成としたことにある。
【0017】
また、請求項4の発明は、前記折返し部材は、折返すように屈曲した中空なパイプ体または内部に屈曲した油路が形成されたブロック体により構成したことにある。
【0018】
また、請求項5の発明は、前記上部旋回体に設けられる作業装置は、前記ブームおよびブームシリンダと、前記ブームの先端側に俯仰動可能に取付けられアームシリンダによって作動するアームと、該アームの先端側に回動可能に取付けられ作業具シリンダによって作動する作業具とにより構成し、前記上部旋回体に搭載された油圧機器と前記アームシリンダとを接続するアームシリンダ用ホースと、前記油圧機器と前記作業具シリンダとを接続する作業具シリンダ用ホースとの途中部位は、前記ブーム用ホースと共に前記ホース保持具によって保持する構成としたことにある。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、スイングポストのうち連結ピンの上部近傍に設けられた折返し部材により、ホース保持具から導出されたブーム用ホースをブームフート部側に折返す構成としているので、ブーム用ホースの長さが長くなることを防止できる。すなわち、折返し部材により、ブーム用ホースをブームフート部の下側を通してブームシリンダの基端側(ボトム側)に最短距離で配設することができ、ブーム用ホースの経路を短くすることができる。
【0020】
このため、ブーム用ホースの配管を簡素に構成できコストの低減を図れると共に、スイング式建設機械の作動時にブーム用ホースが周囲の障害物に干渉するのを抑え、作動時の安定性を確保できる。しかも、ブーム用ホースと他のホースとがスイングポスト内で同方向に立ち上がることにより、スイングポスト内での各ホースの干渉を抑えてホースの耐久性を確保でき、かつ、ブーム用ホースの配置設計の自由度を高めることができる。
【0021】
また、請求項2の発明によれば、スイングポストに設けたホースカバーにホース保持具と折返し部材とを設ける構成としているので、これらホース保持具と折返し部材とをスイングポストに安定して支持できる。また、これらホース保持具と折返し部材とをスイングポストの左,右の側面板間に位置させる構成としているので、これら左,右の側面板によりブーム用ホースが左,右方向にばたつくことを抑えられる。このため、ブーム用ホースを確実に保持して、スイングポストの揺動時の安定性を確保できる。
【0022】
また、請求項3の発明によれば、ホースカバーの前カバー部と上カバー部との境界部にホース保持具を配置すると共に、上カバー部の上部に折返し部材を配置する構成としているので、ホース保持具と折返し部材とをホースカバーを介して容易にスイングポストに取付けることができる。
【0023】
また、請求項4の発明によれば、折返し部材をパイプ体またはブロック体により構成しているので、折返し部材を容易に製造でき、コストを低減できる。
【0024】
さらに、請求項5の発明によれば、アームシリンダ用ホースと作業具シリンダ用ホースとの途中部位をブーム用ホースと共にホース保持具によって保持する構成としているので、これら各ホースがスイングポスト内で同方向に立ち上る。このため、これら各ホースがスイングポスト内で干渉することを抑えられ、スイングポストの揺動時の安定性と各ホースの耐久性とを確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるスイング式の油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】スイングポスト、ブーム、ブームシリンダ、ブーム用ホース、ホース保持具、折返し部材等を示す一部破断の拡大正面図である。
【図3】スイングポスト、ブーム、ブームシリンダ、ブーム用ホース、折返し部材等を図2の背面側からみた背面図である。
【図4】スイングポスト、ブーム、ブーム用ホース、折返し部材等を図2中の矢示IV−IV方向からみた平面図である。
【図5】スイングポスト、ブーム用ホース、折返し部材等を、ブーム、ブームシリンダを取り外した状態で図4と同方向からみた平面図である。
【図6】スイングポスト、ホースカバー、折返し部材等を前側からみた斜視図である。
【図7】スイングポスト、ホースカバー、折返し部材等を後側からみた斜視図である。
【図8】スイングポスト、ホースカバー、ホース保持具、折返し部材を示す分解斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態によるスイングポスト、ブーム、ブームシリンダ、ブーム用ホース、ホース保持具、折返し部材等を示す図2と同様の一部破断の拡大正面図である。
【図10】スイングポスト、ホースカバー、ホース保持具、折返し部材を示す分解斜視図である。
【図11】ブーム用ホース、ホースカバー、折返し部材をブーム用ホースを取外した状態で示す要部拡大図である。
【図12】ブーム用ホース、ホースカバー、折返し部材をブーム用ホースを接続した状態で示す図11と同様な要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態によるスイング式建設機械を油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0027】
まず、図1ないし図8は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1はスイング式の油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、該上部旋回体3の前部側に設けられた作業装置4とにより大略構成されている。
【0028】
ここで、作業装置4は、ブーム4Aと、該ブーム4Aの先端側に俯仰動可能に取付けられるアーム4Bと、該アーム4Bの先端側に回動可能に取付けられる作業具としてのバケット4C等とにより大略構成されている。そして、ブーム4Aの基端部であるブームフート部4A1が、後述のスイングポスト11に俯仰動可能に取付けられている。
【0029】
また、スイングポスト11とブーム4Aとの間にはブーム4Aを作動させるブームシリンダ4Dが設けられ、ブーム4Aとアーム4Bとの間にはアーム4Bを作動させるアームシリンダ4Eが設けられ、アーム4Bとバケット4Cとの間にはバケット4Cを作動させる作業具シリンダとしてのバケットシリンダ4Fが設けられている。ここで、ブームシリンダ4Dは、一端側となるボトム側がブームフート部4A1の下側に位置して後述のスイングポスト11に設けられると共に他端側となるロッド4D1の先端側がブーム4Aに取付けられている。
【0030】
さらに、作業装置4には、ブーム4Aの背面に沿って延びる複数本の油圧配管からなる油圧配管群4Gが設けられている。そして、油圧配管群4Gの先端側は、ホース4Hを介してアームシリンダ4E、バケットシリンダ4Fに接続され、油圧配管群4Gの基端側には、後述するアームシリンダ用ホース35、バケットシリンダ用ホース36が接続される構成となっている。
【0031】
5は上部旋回体3のベースとなる旋回フレームで、該旋回フレーム5は強固な支持構造体をなし、下部走行体2上に旋回可能に取付けられている。そして、旋回フレーム5の前端側には、後述のポスト支持部10が設けられている。また、旋回フレーム5上にはオペレータが着席する運転席6が設けられ、旋回フレーム5の後端側には作業装置4との重量バランスをとるカウンタウエイト7が設けられている。
【0032】
また、カウンタウエイト7の上部にはカバー8が設けられ、該カバー8内には、旋回フレーム5に搭載されたエンジン、油圧ポンプ等(いずれも図示せず)の搭載機器が収容されている。さらに、旋回フレーム5の前側でポスト支持部10よりも後側には油圧機器としての制御弁装置9(図1参照)が配設されている。
【0033】
ここで、制御弁装置9は複数の方向制御弁の集合体からなり、制御弁装置9の流入口は、油圧ポンプ(図示せず)の吐出口に接続され、制御弁装置9の吐出口には、後述するブーム用ホース33,34、アームシリンダ用ホース35、バケットシリンダ用ホース36、追加ホース37の基端側が接続されている。そして、制御弁装置9は、作業装置4の各シリンダ4D,4E,4F、旋回モータ、走行モータ(いずれも図示せず)等のアクチュエータに対する圧油の供給と排出を切換えることにより、当該アクチュエータの動作を制御するものである。
【0034】
10は旋回フレーム5の前端側に設けられたポスト支持部で、該ポスト支持部10は、後述のスイングポスト11を左,右方向に揺動可能に支持するものである。ここで、ポスト支持部10は、図1ないし図3に示すように、旋回フレーム5に設けられた上,下の支持ブラケット10A,10Bと、後述の連結ピン12(図2,7参照)が挿嵌される支持筒10Cとにより構成されている。
【0035】
11は上部旋回体3のポスト支持部10に連結ピン12を介して揺動可能に支持されたスイングポストで、該スイングポスト11は、連結ピン12を中心として左,右方向に揺動可能な状態で、作業装置4のブーム4Aを俯仰動可能に支持するものである。そして、スイングポスト11は、図6ないし図8に示すように、後述の後面板13、左側面板14、右側面板15、シリンダ取付ブラケット18、ホース挿通孔20、ホースカバー21等により構成されている。
【0036】
13は連結ピン12を介して上部旋回体3のポスト支持部10に揺動可能に取付けられる後面板で、該後面板13は、ポスト支持部10を上,下方向から挟むようにコ字状に形成され、上,下方向に延びている。ここで、後面板13の上,下方向の両端側は、後方に向けて水平に延びる上面部13A、下面部13Bとなっている。
【0037】
また、後面板13の上面部13Aと下面部13Bとには、ポスト支持部10の支持筒10Cと同心にピン挿嵌孔13C,13Cがそれぞれ形成されている。そして、図2に示すように、後面板13の上面部13Aと下面部13Bとに形成された各ピン挿嵌孔13Cと、ポスト支持部10の支持筒10Cとに連結ピン12を挿嵌することにより、スイングポスト11が、ポスト支持部10に左,右方向に揺動可能に取付けられる構成となっている。
【0038】
14,15は後面板13の左,右両側に互いに対向して設けられた左,右の側面板で、これら左,右の側面板14,15は、後面板13から上方及び前方に張出した板状をなしている。そして、左側面板14の上端側は、後面板13の上面部13Aよりも上方に突出したブーム取付ブラケット14Aとなり、左側面板14の前端側には、右側面板15に向けて突出する円筒状のシリンダ取付ボス14Bが設けられている。一方、右側面板15の上端側もブーム取付ブラケット15Aとなり、右側面板15の前端側には、左側面板14に向けて突出する円筒状のシリンダ取付ボス15Bが設けられている。
【0039】
そして、左,右の側面板14,15のブーム取付ブラケット14A,15Aには、作業装置4を構成するブーム4Aのブームフート部4A1がピン16を介して回動可能に取付けられている。また、左,右の側面板14,15のシリンダ取付ボス14B,15Bには、ブームシリンダ4Dのボトム側がピン17を介して回動可能に取付けられている(図2参照)。
【0040】
18は右側面板15に設けられたシリンダ取付ブラケットで、該シリンダ取付ブラケット18は、右側面板15から右側方に突出して設けられている。そして、図4ないし図5に示すように、シリンダ取付ブラケット18にはスイングシリンダ19のロッドが取付けられ、該スイングシリンダ19を伸縮させることにより、スイングポスト11が連結ピン12を中心として左,右方向に揺動する構成となっている。
【0041】
20は後面板13と左側面板14とが交わる角隅部に形成されたホース挿通孔で、該ホース挿通孔20は、後面板13と左側面板14とに跨って形成され、後述のホース収容空間27内に開口するものである。そして、ホース挿通孔20は、連結ピン12を挟んでシリンダ取付ブラケット18とは反対側に配置され、図1に示す制御弁装置9から延びる後述のブーム用ホース33,34、アームシリンダ用ホース35、バケットシリンダ用ホース36、追加ホース37は、ホース挿通孔20を通じて後述のホース収容空間27内に導かれる構成となっている。
【0042】
この場合、ホース挿通孔20を、連結ピン12を挟んでシリンダ取付ブラケット18とは反対側に配置することにより、ブーム用ホース33,34、アームシリンダ用ホース35、バケットシリンダ用ホース36、追加ホース37が、シリンダ取付ブラケット18、スイングシリンダ19等と干渉することなく、円滑にホース挿通孔20を通じてホース収容空間27内に導入される構成となっている。
【0043】
21はスイングポスト11を構成する後面板13の前側に位置して左,右の側面板14,15間に配置されたホースカバーで、該ホースカバー21は、後面板13との間に後述のホース収容空間27を形成し、後述するブーム用ホース33,34、アームシリンダ用ホース35、バケットシリンダ用ホース36、追加ホース37を保護するものである。ここで、ホースカバー21は、図8等に示すように、互いに別部材として形成された後述の前カバー部22と上カバー部23とにより大略構成され、上カバー部23により少なくとも連結ピン12の上部を覆うように構成している。
【0044】
22はホースカバー21を構成する前カバー部で、該前カバー部22は、後面板13と対面しつつ上,下方向に延びる板体として形成されている。ここで、前カバー部22の上,下方向の途中部位は、前方に突出するように屈曲した屈曲部22Aとなり、前カバー部22のうち屈曲部22Aよりも上側となる部位は、後方に向けて斜め上向きに傾斜した傾斜面22Bとなっている。
【0045】
また、傾斜面22Bの上端側には、左,右方向に離間して2個のボルト挿通孔22C,22Cが形成され、傾斜面22Bの上端側で各ボルト挿通孔22C,22Cよりも左,右方向外側には2個の溶接クリップ22D,22Dが溶接等により固定されている。そして、前カバー部22の下端側は、スイングポスト11を構成する後面板13の下面部13Bに取付けられた略L型の取付板22Eに後述のボルト25を用いて固定されている(図2参照)。この状態で、後述するブーム用ホース33,34がクリップバンド(図示せず)を介して溶接クリップ22D,22Dに保持されることにより、ブーム4Aを最も下側に下げた際にもこのブーム4Aの下面(腹面)とブーム用ホース33,34とが干渉しないようにしている。
【0046】
23は前カバー部22の上端側に取付けられ連結ピン12の上側を覆う上カバー部で、該上カバー部23は、前カバー部22の上端側から後方へと延びる板体として形成されている。そして、上カバー部23の前端側には、前カバー部22の傾斜面22Bと平行して前,後方向に延びる傾斜面23Aが設けられ、該傾斜面23Aの後側には、後面板13の上面部13Aと平行して前,後方向に延びる水平面23Bが設けられている。
【0047】
ここで、傾斜面23Aには、前カバー部22の各ボルト挿通孔22Cと対応する位置に、裏ナット等により形成された2個の雌ねじ部23C,23Cが設けられている。また、傾斜面23Aの左,右両端部には、後述するホース保持具28に当接する左,右の当接片23D,23Dが設けられている。一方、水平面23Bの後端部には、裏ナット等により形成された2個の雌ねじ部23F,23Fが設けられている。
【0048】
そして、前カバー部22の傾斜面22Bと上カバー部23の傾斜面23Aとの間に、後述するホース保持具28を挟込んだ状態で、前カバー部22の各ボルト挿通孔22Cに挿通したボルト24を、上カバー部23の各雌ねじ部23Cに螺合することにより、前カバー部22と上カバー部23とが一体化されたホースカバー21が形成される。
【0049】
そして、図8に示すように、前カバー部22の下端側を、スイングポスト11を構成する後面板13の下面部13Bに取付けられた取付板22Eにボルト25を用いて取付けると共に、上カバー部23の水平面23Bを、ボルト26を用いて後面板13の上面部13Aに取付けることにより、ホースカバー21は、左側面板14と右側面板15との間に配置される。これにより、ホースカバー21の前カバー部22と後面板13との間には、後述するブーム用ホース33,34、アームシリンダ用ホース35、バケットシリンダ用ホース36、追加ホース37の途中部位が収容されるホース収容空間27が形成される構成となっている。
【0050】
28はホースカバー21を構成する前カバー部22と上カバー部23との境界部に配置されたホース保持具で、該ホース保持具28は、後述するブーム用ホース33,34、アームシリンダ用ホース35、バケットシリンダ用ホース36、追加ホース37の途中部位を把持するものである。ここで、ホース保持具28は、図8等に示すように、ゴム等の弾性材料を用いて左,右方向に延びる直方体状に形成されている。また、ホース保持具28には、前,後方向に貫通する複数のホース保持孔28A,28A,・・・が、左,右方向(長さ方向)に並んで設けられている。さらに、ホース保持具28の左,右方向の中央部には、前カバー部22のボルト挿通孔22Cと対応する2個のボルト挿通孔28B,28Bが左,右に離間して設けられている。
【0051】
そして、ホース保持具28は、前カバー部22と上カバー部23とを締結するボルト24をボルト挿通孔28B内に挿通することにより、前カバー部22の傾斜面22Bと上カバー部23の傾斜面23Aとの間で挟持される。これにより、ホース保持具28は、図2に示すように、連結ピン12の近傍でブームフート部4A1よりも下側に位置して前記スイングポスト11の左,右の側面板14,15間に設けられ、ブーム用ホース33,34、アームシリンダ用ホース35、バケットシリンダ用ホース36、追加ホース37の途中部位をホース保持孔28A内で保持する構成となっている。
【0052】
29,30はホース保持具28から導出された各ホース33,34,35,36,37のうちブーム用ホース33,34をブームフート部4A1側に折返す折返し部材としての1対のパイプ体で、該各パイプ体29,30は、金属管等の中空状の素材を折返すように(例えば略U字状に)屈曲させることにより形成されたものである。ここで、各パイプ体29,30は、左,右方向に延びる帯板状の支持板31の両端側にそれぞれ溶接等により固定され、支持板31に挿通したボルト32を、ホースカバー21を構成する上カバー部23の雌ねじ部23Fに螺着することにより、支持板31を介してホースカバー21に取付けられる。従って、ホースカバー21をスイングポスト11に取付けた状態で、上記各パイプ体29,30が、連結ピン12の上部近傍で、かつ、スイングポスト11を構成する左,右の側面板14,15間に配置される構成となっている。
【0053】
ここで、支持板31の左端側に固定されたパイプ体29は、ブームシリンダ4Dのボトム側に設けられたシリンダ配管4Iと上部旋回体3に設けられた制御弁装置9との間を接続する後述のブーム用ホース33の途中部位に設けられている。このために、パイプ体29の両端部にはアダプタ29A,29Bが設けられ、一方のアダプタ29Aには、制御弁装置9から導出されたブーム用ホース33の基端側ホース33Aを接続すると共に、他方のアダプタ29Bには、シリンダ配管4Iに接続されたブーム用ホース33の先端側ホース33Bを接続している。
【0054】
一方、支持板31の右端側に固定されたパイプ体30は、ブームシリンダ4Dのロッド側に設けられたシリンダ配管4Jと上部旋回体3に設けられた制御弁装置9との間を接続する後述のブーム用ホース34の途中部位に設けられている。このために、パイプ体30の両端部にもアダプタ30A,30Bが設けられ、一方のアダプタ30Aには、制御弁装置9から導出されたブーム用ホース34の基端側ホース34Aを接続すると共に、他方のアダプタ30Bには、シリンダ配管4Jに接続されたブーム用ホース34の先端側ホース34Bを接続している。
【0055】
33,34は上部旋回体3に搭載された制御弁装置9とブームシリンダ4Dとの間を接続して設けられた1対のブーム用ホースを示している。ここで、一方のブーム用ホース33は、制御弁装置9とパイプ体29との間を接続する基端側ホース33Aと、ブームシリンダ4Dのシリンダ配管4Iとパイプ体29との間を接続する先端側ホース33Bとに分割されている。そして、基端側ホース33Aは、制御弁装置9から連結ピン12の左側方を通って前方へと延び、スイングポスト11のホース挿通孔20からホース収容空間27内に導入され、左,右の側面板14,15間をホースカバー21に沿って下側から上側へと延びている。この場合、基端側ホース33Aの途中部位は、ホース保持具28によって把持され、ホース保持具28からスイングポスト11の上側に導出された基端側ホース33Aの先端は、パイプ体29のアダプタ29Aに接続されている。
【0056】
一方、ブーム用ホース33の先端側ホース33Bは、パイプ体29からブームフート部4A1の下側を通り、かつ、ブームシリンダ4Dの基端側(ボトム側)を通って前方に延び、その先端はブームシリンダ4Dに設けられたシリンダ配管4Iに接続されている。
【0057】
次に、他方のブーム用ホース34も、制御弁装置9とパイプ体30との間を接続する基端側ホース34Aと、ブームシリンダ4Dのシリンダ配管4Jとパイプ体30との間を接続する先端側ホース34Bとに分割されている。そして、基端側ホース34Aは、制御弁装置9から連結ピン12の左側方を通って前方へと延び、スイングポスト11のホース挿通孔20からホース収容空間27内に導入され、左,右の側面板14,15間をホースカバー21に沿って下側から上側へと延びている。この場合、基端側ホース34Aの途中部位は、ホース保持具28によって把持され、ホース保持具28からスイングポスト11の上側に導出された基端側ホース34Aの先端は、パイプ体30のアダプタ30Aに接続されている。
【0058】
一方、ブーム用ホース34の先端側ホース34Bは、パイプ体30からブームフート部4A1の下側を通り、かつ、ブームシリンダ4Dの基端側(ボトム側)を通って前方に延び、その先端はブームシリンダ4Dに設けられたシリンダ配管4Jに接続されている。
【0059】
このように、ホース保持具28から導出されたブーム用ホース33,34の途中部位をホースカバー21の上部に設けられたパイプ体29,30に接続することより、ブーム用ホース33,34をブームフート部4A1側に折返す構成としている。このため、ブーム用ホース33,34の先端側ホース33B,34Bを、それぞれブームフート部4A1の下側を通してブームシリンダ4Dの基端側(ボトム側)に最短距離で配設することができ、ブーム用ホース33,34を短くすることができる。また、ブーム用ホース33,34の先端側ホース33B,34Bを、ブームシリンダ4Dのボトム部(基端部)の近傍に配置することで、ブーム4Aの上下動作時にブーム用ホース33,34が無駄に揺動することを防止でき、この面からもブーム用ホース33,34の短縮化を図ることができる。
【0060】
35は上部旋回体3に搭載された制御弁装置9と作業装置4に設けられたアームシリンダ4Eとの間を接続して設けられた1対のアームシリンダ用ホースで、該各アームシリンダ用ホース35は、ブーム用ホース33,34の基端側ホース33A,34Aと同様に、途中部位がスイングポスト11内を通過している。すなわち、各アームシリンダ用ホース35は、基端側が制御弁装置9の吐出口に接続され、該制御弁装置9から連結ピン12の左側方を通って前方へと延びている。
【0061】
そして、各アームシリンダ用ホース35は、スイングポスト11のホース挿通孔20からホース収容空間27内に導入され、左,右の側面板14,15間をホースカバー21に沿って下側から上側へと延び、途中部位がホース保持具28によって把持されている。そして、ホース保持具28からスイングポスト11の上側に導出された各アームシリンダ用ホース35の先端側は、ブーム4Aの背面側へと延び、該ブーム4Aの背面に配設された油圧配管群4Gの基端側に接続されている。
【0062】
36は上部旋回体3に搭載された制御弁装置9と作業装置4に設けられたバケット4Cとの間を接続して設けられた作業具シリンダ用ホースとしての1対のバケットシリンダ用ホースで、該各バケットシリンダ用ホース36も、各アームシリンダ用ホース35と同様に、基端側が制御弁装置9の吐出口に接続されると共に、途中部位がホース保持具28によって把持されている。そして、ホース保持具28からスイングポスト11の上側に導出された各バケットシリンダ用ホース36の先端側は、ブーム4Aの背面側へと延び、該ブーム4Aの背面に配設された油圧配管群4Gの基端側に接続されている。
【0063】
37は1対の追加ホースで、該各追加ホース37は、例えば作業装置4のアーム4Bの先端側に、バケット4Cに代えてコンクリート等を破砕するブレーカ(図示せず)を取付けた場合に、当該ブレーカに作動用の圧油を給排するものである。そして、各追加ホース37も、バケットシリンダ用ホース36と同様に、基端側が制御弁装置9の吐出口に接続されると共に、途中部位がホース保持具28によって把持されている。そして、ホース保持具28からスイングポスト11の上側に導出された各追加ホース37の先端側は、ブーム4Aの側面側へと延び、該ブーム4Aの側面に配設された油圧配管4Kの基端側に接続されている。
【0064】
本実施の形態によるスイング式の油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、この油圧ショベル1を用いて側溝掘り作業等を行う場合には、スイングシリンダ19により連結ピン12を中心としてスイングポスト11を左,右方向に揺動させると共に、上部旋回体3をスイングポスト11の揺動方向とは反対側に旋回させる。これにより、作業装置4を左,右方向に平行移動させることができ、この状態で作業装置4を俯仰動させることにより、側溝掘り作業を行うことができる。
【0065】
ここで、作業装置4のブームシリンダ4Dと制御弁装置9との間を接続するブーム用ホース33,34(基端側ホース33A,34A)の途中部位は、アームシリンダ用ホース35、バケットシリンダ用ホース36、追加ホース37と共に、スイングポスト11のホースカバー21に取付けられたホース保持具28によって把持されている。そして、ホース保持具28から導出されたブーム用ホース33,34の基端側ホース33A,34Aを、ホースカバー21に取付けた略U字状のパイプ体29,30に接続し、このパイプ体29,30とブームシリンダ4Dのシリンダ配管4I,4Jとの間を先端側ホース33B,34Bによって接続している。
【0066】
このように、本実施の形態によれば、連結ピン12の上部近傍に位置してスイングポスト11のホースカバー21にパイプ体29,30を設けることにより、ホース保持具28から導出されたブーム用ホース33、34をブームフート部4A1側に折返すことができる。
【0067】
この結果、ブーム用ホース33,34をブームフート部4A1の下側を通してブームシリンダ4Dのボトム側に最短距離で配設することができ、ブーム用ホース33,34を短くすることができる。このため、ブーム用ホース33,34の配管を簡素に構成できコストの低減を図れると共に、スイング式の油圧ショベル1の作動時に、ブーム用ホース33,34が周囲の障害物に干渉するのを抑え、作動時の安定性を確保できる。
【0068】
しかも、アームシリンダ用ホース35、バケットシリンダ用ホース36、追加ホース37の途中部位も、ブーム用ホース33,34と共にホース保持具28によって保持する構成としているので、これら各ホース33,34,35,36,37がスイングポスト11内で同方向に立ち上る。このため、スイングポスト11内で各ホース33,34,35,36,37が互いに干渉するのを抑えることができ、これら各ホース33,34,35,36,37の耐久性を確保できると共に、ブーム用ホース33,34の配置設計の自由度を高めることができる。
【0069】
また、スイングポスト11内に設けたホースカバー21にホース保持具28とパイプ体29,30とを設ける構成としているので、これらホース保持具28とパイプ体29,30とをスイングポスト11に安定して支持できる。また、これらホース保持具28とパイプ体29,30とをスイングポスト11の左,右の側面板14,15間に配置する構成としているので、これら左,右の側面板14,15によりブーム用ホース33,34が左,右方向にばたつくことを抑えられる。このため、ブーム用ホース33,34を確実に保持して、スイングポスト11の揺動時の安定性を確保できる。
【0070】
また、ホースカバー21の前カバー部22と上カバー部23との境界部にホース保持具28を配置すると共に、上カバー部23の上部にパイプ体29,30を配置する構成としているので、ホース保持具28とパイプ体29,30とをホースカバー21を介して容易にスイングポスト11に取付けることができる。
【0071】
さらに、パイプ体29,30は金属管等に折曲げ加工を施すことにより形成できるので、容易に製造でき、コストを低減できる。
【0072】
次に、図9ないし図12は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、折返し部材をブロック体により構成したことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0073】
図中、41はホース保持具28から導出されたブーム用ホース33,34をブームフート部4A1側に折返す折返し部材としてのブロック体で、該ブロック体41は、例えば左,右方向に延びる直方体状の金属ブロックにL字状に屈曲した2本の油路41Aを穿孔等により形成することにより構成されたものである。ここで、ブロック体41の各油路41Aは、ブロック体41をホースカバー21を介してスイングポスト11に取付けた状態でこのブロック体41の前面と上面とにそれぞれ開口している。そして、左側に位置する一方の油路41Aの両端開口部には、ブーム用ホース33の基端側ホース33Aまたは先端側ホース33Bを接続するためのアダプタ42が設けられ、右側に位置する他方の油路41Aの両端開口部には、ブーム用ホース34の基端側ホース34Aまたは先端側ホース34Bを接続するためのアダプタ43が設けられている。
【0074】
また、ブロック体41の前部には左右方向に離隔して2個のねじ挿通孔41Bが形成されており、ブロック体41は、これら各ねじ挿通孔41Bに挿通したボルト44を用いてホースカバー21の上カバー部23の上部に固定されている。
【0075】
ここで、ブロック体41に形成された一方の油路41Aには、ブームシリンダ4Dに設けられたシリンダ配管4Iと制御弁装置9とを接続するブーム用ホース33の途中部位が接続されている。すなわち、一方の油路41Aのうちブロック体41の前面側の開口部に設けられたアダプタ42には、制御弁装置9から導出されたブーム用ホース33の基端側ホース33Aが接続され、ブロック体41の上面側の開口部に設けられたアダプタ42には、ブームシリンダ4Dのシリンダ配管4Iに接続されるブーム用ホース33の先端側ホース33Bの基端側がL字継手45を介して接続されている。
【0076】
また、ブロック体41に形成された他方の油路41Aには、ブームシリンダ4Dのシリンダ配管4Jと制御弁装置9とを接続するブーム用ホース34の途中部位が接続されている。すなわち、他方の油路41Aのうちブロック体41の前面側の開口部に設けられたアダプタ43には、制御弁装置9から導出されたブーム用ホース34の基端側ホース34Aの先端側が接続され、ブロック体41の上面側の開口部に設けられたアダプタ43には、ブームシリンダ4Dのシリンダ配管4Jに接続されるブーム用ホース34の先端側ホース34Bの基端側がL字継手45を介して接続されている。
【0077】
本実施の形態によるスイング式の油圧ショベル1は、上述の如きブロック体41により、ホース保持具28から導出された各ホース33,34,35,36,37のうちブーム用ホース33,34をブームフート部4A1側に折返す構成としている。従って、本実施の形態においても、上述した第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0078】
しかも、第2の実施の形態では、2本の油路41Aを形成したブロック体41により折返し部材を構成しているので、穿孔加工等を施すことにより容易に製造できると共に、部品点数の低減も図れ、コストを低減できる。
【0079】
なお、上述した実施の形態では、1対のブーム用ホース33,34をブームシリンダ4Dの左,右方向両側にそれぞれ1本ずつ配設させた場合を例に挙げて説明したが、1対のブーム用ホースをブームシリンダの左,右方向の一方側にまとめて配設させてもよい。この場合には、支持板に対する各パイプ体の固定位置やブロック体に形成する油路の位置をブーム用ホースの配設位置に合わせて適宜調節する。
【0080】
また、上述した実施の形態では、ホースカバー21を、互いに別部材からなる前カバー部22と上カバー部23とにより構成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば一体型のホースカバーを用いてもよい。
【0081】
さらに、上述した実施の形態では、建設機械としてスイングポスト11を備えた油圧ショベル1を例に挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限らず、スイングポストを備えた他の建設機械にも広く適用することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 油圧ショベル
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 作業装置
4A ブーム
4A1 ブームフート部
4B アーム
4C バケット
4D ブームシリンダ
4E アームシリンダ
4F バケットシリンダ
9 制御弁装置(油圧機器)
11 スイングポスト
12 連結ピン
13 後面板
14 左側面板
15 右側面板
21 ホースカバー
22 前カバー部
23 上カバー部
28 ホース保持具
29,30 パイプ体(折返し部材)
33,34 ブーム用ホース
35 アームシリンダ用ホース
36 バケットシリンダ用ホース(作業具シリンダ用ホース)
41 ブロック体(折返し部材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば作業装置のブームを左,右方向に揺動可能に支持するスイングポストを備えたスイング式の油圧ショベル等のスイング式建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スイング式建設機械としては、例えばバケット等の作業具が取付けられた作業装置をスイングポストを用いて左,右方向に揺動可能に支持することにより、道路脇の側溝等を掘削するのに好適に用いられるように構成したスイング式の油圧ショベル等が知られている。
【0003】
この種の従来技術によるスイング式の油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体に連結ピンを介して左,右方向に揺動可能に取付けられたスイングポストと、フート部(基端部)が該スイングポストに俯仰動可能に取付けられ作業装置を構成するブームと、一端側が該ブームのフート部の下側に位置して前記スイングポストに設けられると共に他端側が前記ブームに取付けられるブームシリンダと、前記上部旋回体に搭載された油圧機器と前記ブームシリンダとの間を接続して設けられ途中部位が前記ブームフート部の下側に位置して前記スイングポスト内を通過するブーム用ホースとにより大略構成されている。
【0004】
そして、スイング式の油圧ショベルの作動時に、作業装置は上部旋回体に対して左,右方向に揺動する動作と上,下方向に俯仰動する動作とを行なうことができ、側溝等を効率良く掘削することができる。
【0005】
ところで、従来技術によるスイング式の油圧ショベルは、油圧ショベルの上部旋回体に搭載された油圧機器と作業装置に設けられたブームシリンダ等の複数のアクチュエータとを、ブーム用ホース等の複数のホースにより接続している。そして、スイング式の油圧ショベルは、作業装置の揺動動作と俯仰動動作とを許した状態で上部旋回体と作業装置の各アクチュエータとの間を接続できるように、各ホースの途中部位が連結ピンの側方からスイングポスト内に挿通されている。そして、各ホースは、スイングポスト内を下側から上側へと立ち上がって連結ピンの上側に導出され、作業装置に向けて延びる構成となっている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0006】
ここで、特許文献1によるスイング式の油圧ショベルは、スイングポスト内に挿通された各ホースのうちブーム用ホースを、それ以外のホースとは別の経路でスイングポスト内から導出する構成としている。すなわち、ブーム用ホース以外のホースは、スイングポスト内を下側から上側へと立ち上がって連結ピンの上側に導出されるのに対して、ブーム用ホースは、スイングポスト内を通って連結ピンの前側に導出される構成となっている。
【0007】
一方、特許文献2によるスイング式の油圧ショベルは、各ホースのうちブーム用ホース以外のホースは、スイングポスト内を下側から上側へと立ち上がって連結ピンの上側に導出されるのに対し、ブーム用ホースはスイングポストの上部を通ってブームシリンダに接続される構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−353400号公報
【特許文献2】特開2008−202238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述した従来技術による油圧ショベルのうち、例えば特許文献1によるスイング式の油圧ショベルは、スイングポスト内で連結ピンの上側に立ち上るホースと連結ピンの前側に導出されるホースとが混在する構成となっている。このため、複数のホースが互いにスイングポスト内で干渉し易くなり、各ホースの耐久性を確保しにくくなる虞がある。
【0010】
これに対して、スイングポスト内に挿通されるホースをまとめて連結ピンの上側に向けて立ち上げる構成とすることも考えられる。しかし、この場合には、例えばブーム用ホースが、ブームのフート部の上側を通って大きく回り込んだ(迂回した)状態でブームシリンダの基端部(ボトム部)に接続されるため、ブーム用ホースが長くなり、その取り回しが面倒になる。この結果、油圧ショベルの作動中にブーム用ホースが周囲の障害物と干渉するのを防止するために、ブーム用ホースを保持する個所(クランプ個所)が増大しコストが増大したり、ブームシリンダへの配管が複雑になるという問題がある。
【0011】
一方、特許文献2によるスイング式の油圧ショベルは、ブーム用ホースを短くするために当該ブーム用ホースを連結ピンの真上に配置する必要があり、このブーム用ホースの配置設計の自由度が制限されるという問題がある。また、特許文献2によるスイング式の油圧ショベルは、ブームを後方に倒した際には、スイングポスト内から連結ピンの上側に導出されたホースと連結ピンの真上を通るブーム用ホースとが近接するため、ブームの左,右方向の揺動に伴ってホースが干渉し易くなる虞がある。
【0012】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、ブーム用ホースの長さが長くなることを防止でき、しかも、ブーム用ホースの配置設計の自由度を確保できるスイング式建設機械を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するため、本発明は、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体に連結ピンを介して左,右方向に揺動可能に取付けられたスイングポストと、フート部が該スイングポストに俯仰動可能に取付けられるブームと、一端側が該ブームのフート部の下側に位置して前記スイングポストに設けられると共に他端側が前記ブームに取付けられるブームシリンダと、前記上部旋回体に搭載された油圧機器と前記ブームシリンダとの間を接続して設けられ途中部位が前記ブームフート部の下側に位置して前記スイングポスト内を通過するブーム用ホースとを備えてなるスイング式建設機械に適用される。
【0014】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記ブームフート部よりも下側に位置して前記スイングポストに設けられ、前記ブーム用ホースの途中部位を保持するホース保持具と、前記連結ピンの上部近傍に位置して前記スイングポストに設けられ、前記ホース保持具から導出された前記ブーム用ホースを前記ブームフート部側に折返す折返し部材を備える構成としたことにある。
【0015】
また、請求項2の発明は、前記スイングポストは、前記連結ピンを介して前記上部旋回体に取付けられる後面板と、該後面板の左,右両側に設けられ上側に前記ブームフート部が取付けられると共に前側に前記ブームシリンダの一端側が取付けられる左,右の側面板とにより構成し、前記スイングポストには、少なくとも前記連結ピンの上部を覆うホースカバーを設け、前記ホース保持具と前記折返し部材とは前記左,右の側面板間に位置して前記ホースカバーに設ける構成としたことにある。
【0016】
また、請求項3の発明は、前記ホースカバーは、前記スイングポストの後面板と対面しつつ上,下方向に延びる前カバー部と、該前カバー部の上側から後方へと延びる上カバー部とにより構成し、前記ホース保持具は前記前カバー部と上カバー部との境界部に配置し、前記折返し部材は前記上カバー部の上部に配置する構成としたことにある。
【0017】
また、請求項4の発明は、前記折返し部材は、折返すように屈曲した中空なパイプ体または内部に屈曲した油路が形成されたブロック体により構成したことにある。
【0018】
また、請求項5の発明は、前記上部旋回体に設けられる作業装置は、前記ブームおよびブームシリンダと、前記ブームの先端側に俯仰動可能に取付けられアームシリンダによって作動するアームと、該アームの先端側に回動可能に取付けられ作業具シリンダによって作動する作業具とにより構成し、前記上部旋回体に搭載された油圧機器と前記アームシリンダとを接続するアームシリンダ用ホースと、前記油圧機器と前記作業具シリンダとを接続する作業具シリンダ用ホースとの途中部位は、前記ブーム用ホースと共に前記ホース保持具によって保持する構成としたことにある。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、スイングポストのうち連結ピンの上部近傍に設けられた折返し部材により、ホース保持具から導出されたブーム用ホースをブームフート部側に折返す構成としているので、ブーム用ホースの長さが長くなることを防止できる。すなわち、折返し部材により、ブーム用ホースをブームフート部の下側を通してブームシリンダの基端側(ボトム側)に最短距離で配設することができ、ブーム用ホースの経路を短くすることができる。
【0020】
このため、ブーム用ホースの配管を簡素に構成できコストの低減を図れると共に、スイング式建設機械の作動時にブーム用ホースが周囲の障害物に干渉するのを抑え、作動時の安定性を確保できる。しかも、ブーム用ホースと他のホースとがスイングポスト内で同方向に立ち上がることにより、スイングポスト内での各ホースの干渉を抑えてホースの耐久性を確保でき、かつ、ブーム用ホースの配置設計の自由度を高めることができる。
【0021】
また、請求項2の発明によれば、スイングポストに設けたホースカバーにホース保持具と折返し部材とを設ける構成としているので、これらホース保持具と折返し部材とをスイングポストに安定して支持できる。また、これらホース保持具と折返し部材とをスイングポストの左,右の側面板間に位置させる構成としているので、これら左,右の側面板によりブーム用ホースが左,右方向にばたつくことを抑えられる。このため、ブーム用ホースを確実に保持して、スイングポストの揺動時の安定性を確保できる。
【0022】
また、請求項3の発明によれば、ホースカバーの前カバー部と上カバー部との境界部にホース保持具を配置すると共に、上カバー部の上部に折返し部材を配置する構成としているので、ホース保持具と折返し部材とをホースカバーを介して容易にスイングポストに取付けることができる。
【0023】
また、請求項4の発明によれば、折返し部材をパイプ体またはブロック体により構成しているので、折返し部材を容易に製造でき、コストを低減できる。
【0024】
さらに、請求項5の発明によれば、アームシリンダ用ホースと作業具シリンダ用ホースとの途中部位をブーム用ホースと共にホース保持具によって保持する構成としているので、これら各ホースがスイングポスト内で同方向に立ち上る。このため、これら各ホースがスイングポスト内で干渉することを抑えられ、スイングポストの揺動時の安定性と各ホースの耐久性とを確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるスイング式の油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】スイングポスト、ブーム、ブームシリンダ、ブーム用ホース、ホース保持具、折返し部材等を示す一部破断の拡大正面図である。
【図3】スイングポスト、ブーム、ブームシリンダ、ブーム用ホース、折返し部材等を図2の背面側からみた背面図である。
【図4】スイングポスト、ブーム、ブーム用ホース、折返し部材等を図2中の矢示IV−IV方向からみた平面図である。
【図5】スイングポスト、ブーム用ホース、折返し部材等を、ブーム、ブームシリンダを取り外した状態で図4と同方向からみた平面図である。
【図6】スイングポスト、ホースカバー、折返し部材等を前側からみた斜視図である。
【図7】スイングポスト、ホースカバー、折返し部材等を後側からみた斜視図である。
【図8】スイングポスト、ホースカバー、ホース保持具、折返し部材を示す分解斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態によるスイングポスト、ブーム、ブームシリンダ、ブーム用ホース、ホース保持具、折返し部材等を示す図2と同様の一部破断の拡大正面図である。
【図10】スイングポスト、ホースカバー、ホース保持具、折返し部材を示す分解斜視図である。
【図11】ブーム用ホース、ホースカバー、折返し部材をブーム用ホースを取外した状態で示す要部拡大図である。
【図12】ブーム用ホース、ホースカバー、折返し部材をブーム用ホースを接続した状態で示す図11と同様な要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態によるスイング式建設機械を油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0027】
まず、図1ないし図8は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1はスイング式の油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、該上部旋回体3の前部側に設けられた作業装置4とにより大略構成されている。
【0028】
ここで、作業装置4は、ブーム4Aと、該ブーム4Aの先端側に俯仰動可能に取付けられるアーム4Bと、該アーム4Bの先端側に回動可能に取付けられる作業具としてのバケット4C等とにより大略構成されている。そして、ブーム4Aの基端部であるブームフート部4A1が、後述のスイングポスト11に俯仰動可能に取付けられている。
【0029】
また、スイングポスト11とブーム4Aとの間にはブーム4Aを作動させるブームシリンダ4Dが設けられ、ブーム4Aとアーム4Bとの間にはアーム4Bを作動させるアームシリンダ4Eが設けられ、アーム4Bとバケット4Cとの間にはバケット4Cを作動させる作業具シリンダとしてのバケットシリンダ4Fが設けられている。ここで、ブームシリンダ4Dは、一端側となるボトム側がブームフート部4A1の下側に位置して後述のスイングポスト11に設けられると共に他端側となるロッド4D1の先端側がブーム4Aに取付けられている。
【0030】
さらに、作業装置4には、ブーム4Aの背面に沿って延びる複数本の油圧配管からなる油圧配管群4Gが設けられている。そして、油圧配管群4Gの先端側は、ホース4Hを介してアームシリンダ4E、バケットシリンダ4Fに接続され、油圧配管群4Gの基端側には、後述するアームシリンダ用ホース35、バケットシリンダ用ホース36が接続される構成となっている。
【0031】
5は上部旋回体3のベースとなる旋回フレームで、該旋回フレーム5は強固な支持構造体をなし、下部走行体2上に旋回可能に取付けられている。そして、旋回フレーム5の前端側には、後述のポスト支持部10が設けられている。また、旋回フレーム5上にはオペレータが着席する運転席6が設けられ、旋回フレーム5の後端側には作業装置4との重量バランスをとるカウンタウエイト7が設けられている。
【0032】
また、カウンタウエイト7の上部にはカバー8が設けられ、該カバー8内には、旋回フレーム5に搭載されたエンジン、油圧ポンプ等(いずれも図示せず)の搭載機器が収容されている。さらに、旋回フレーム5の前側でポスト支持部10よりも後側には油圧機器としての制御弁装置9(図1参照)が配設されている。
【0033】
ここで、制御弁装置9は複数の方向制御弁の集合体からなり、制御弁装置9の流入口は、油圧ポンプ(図示せず)の吐出口に接続され、制御弁装置9の吐出口には、後述するブーム用ホース33,34、アームシリンダ用ホース35、バケットシリンダ用ホース36、追加ホース37の基端側が接続されている。そして、制御弁装置9は、作業装置4の各シリンダ4D,4E,4F、旋回モータ、走行モータ(いずれも図示せず)等のアクチュエータに対する圧油の供給と排出を切換えることにより、当該アクチュエータの動作を制御するものである。
【0034】
10は旋回フレーム5の前端側に設けられたポスト支持部で、該ポスト支持部10は、後述のスイングポスト11を左,右方向に揺動可能に支持するものである。ここで、ポスト支持部10は、図1ないし図3に示すように、旋回フレーム5に設けられた上,下の支持ブラケット10A,10Bと、後述の連結ピン12(図2,7参照)が挿嵌される支持筒10Cとにより構成されている。
【0035】
11は上部旋回体3のポスト支持部10に連結ピン12を介して揺動可能に支持されたスイングポストで、該スイングポスト11は、連結ピン12を中心として左,右方向に揺動可能な状態で、作業装置4のブーム4Aを俯仰動可能に支持するものである。そして、スイングポスト11は、図6ないし図8に示すように、後述の後面板13、左側面板14、右側面板15、シリンダ取付ブラケット18、ホース挿通孔20、ホースカバー21等により構成されている。
【0036】
13は連結ピン12を介して上部旋回体3のポスト支持部10に揺動可能に取付けられる後面板で、該後面板13は、ポスト支持部10を上,下方向から挟むようにコ字状に形成され、上,下方向に延びている。ここで、後面板13の上,下方向の両端側は、後方に向けて水平に延びる上面部13A、下面部13Bとなっている。
【0037】
また、後面板13の上面部13Aと下面部13Bとには、ポスト支持部10の支持筒10Cと同心にピン挿嵌孔13C,13Cがそれぞれ形成されている。そして、図2に示すように、後面板13の上面部13Aと下面部13Bとに形成された各ピン挿嵌孔13Cと、ポスト支持部10の支持筒10Cとに連結ピン12を挿嵌することにより、スイングポスト11が、ポスト支持部10に左,右方向に揺動可能に取付けられる構成となっている。
【0038】
14,15は後面板13の左,右両側に互いに対向して設けられた左,右の側面板で、これら左,右の側面板14,15は、後面板13から上方及び前方に張出した板状をなしている。そして、左側面板14の上端側は、後面板13の上面部13Aよりも上方に突出したブーム取付ブラケット14Aとなり、左側面板14の前端側には、右側面板15に向けて突出する円筒状のシリンダ取付ボス14Bが設けられている。一方、右側面板15の上端側もブーム取付ブラケット15Aとなり、右側面板15の前端側には、左側面板14に向けて突出する円筒状のシリンダ取付ボス15Bが設けられている。
【0039】
そして、左,右の側面板14,15のブーム取付ブラケット14A,15Aには、作業装置4を構成するブーム4Aのブームフート部4A1がピン16を介して回動可能に取付けられている。また、左,右の側面板14,15のシリンダ取付ボス14B,15Bには、ブームシリンダ4Dのボトム側がピン17を介して回動可能に取付けられている(図2参照)。
【0040】
18は右側面板15に設けられたシリンダ取付ブラケットで、該シリンダ取付ブラケット18は、右側面板15から右側方に突出して設けられている。そして、図4ないし図5に示すように、シリンダ取付ブラケット18にはスイングシリンダ19のロッドが取付けられ、該スイングシリンダ19を伸縮させることにより、スイングポスト11が連結ピン12を中心として左,右方向に揺動する構成となっている。
【0041】
20は後面板13と左側面板14とが交わる角隅部に形成されたホース挿通孔で、該ホース挿通孔20は、後面板13と左側面板14とに跨って形成され、後述のホース収容空間27内に開口するものである。そして、ホース挿通孔20は、連結ピン12を挟んでシリンダ取付ブラケット18とは反対側に配置され、図1に示す制御弁装置9から延びる後述のブーム用ホース33,34、アームシリンダ用ホース35、バケットシリンダ用ホース36、追加ホース37は、ホース挿通孔20を通じて後述のホース収容空間27内に導かれる構成となっている。
【0042】
この場合、ホース挿通孔20を、連結ピン12を挟んでシリンダ取付ブラケット18とは反対側に配置することにより、ブーム用ホース33,34、アームシリンダ用ホース35、バケットシリンダ用ホース36、追加ホース37が、シリンダ取付ブラケット18、スイングシリンダ19等と干渉することなく、円滑にホース挿通孔20を通じてホース収容空間27内に導入される構成となっている。
【0043】
21はスイングポスト11を構成する後面板13の前側に位置して左,右の側面板14,15間に配置されたホースカバーで、該ホースカバー21は、後面板13との間に後述のホース収容空間27を形成し、後述するブーム用ホース33,34、アームシリンダ用ホース35、バケットシリンダ用ホース36、追加ホース37を保護するものである。ここで、ホースカバー21は、図8等に示すように、互いに別部材として形成された後述の前カバー部22と上カバー部23とにより大略構成され、上カバー部23により少なくとも連結ピン12の上部を覆うように構成している。
【0044】
22はホースカバー21を構成する前カバー部で、該前カバー部22は、後面板13と対面しつつ上,下方向に延びる板体として形成されている。ここで、前カバー部22の上,下方向の途中部位は、前方に突出するように屈曲した屈曲部22Aとなり、前カバー部22のうち屈曲部22Aよりも上側となる部位は、後方に向けて斜め上向きに傾斜した傾斜面22Bとなっている。
【0045】
また、傾斜面22Bの上端側には、左,右方向に離間して2個のボルト挿通孔22C,22Cが形成され、傾斜面22Bの上端側で各ボルト挿通孔22C,22Cよりも左,右方向外側には2個の溶接クリップ22D,22Dが溶接等により固定されている。そして、前カバー部22の下端側は、スイングポスト11を構成する後面板13の下面部13Bに取付けられた略L型の取付板22Eに後述のボルト25を用いて固定されている(図2参照)。この状態で、後述するブーム用ホース33,34がクリップバンド(図示せず)を介して溶接クリップ22D,22Dに保持されることにより、ブーム4Aを最も下側に下げた際にもこのブーム4Aの下面(腹面)とブーム用ホース33,34とが干渉しないようにしている。
【0046】
23は前カバー部22の上端側に取付けられ連結ピン12の上側を覆う上カバー部で、該上カバー部23は、前カバー部22の上端側から後方へと延びる板体として形成されている。そして、上カバー部23の前端側には、前カバー部22の傾斜面22Bと平行して前,後方向に延びる傾斜面23Aが設けられ、該傾斜面23Aの後側には、後面板13の上面部13Aと平行して前,後方向に延びる水平面23Bが設けられている。
【0047】
ここで、傾斜面23Aには、前カバー部22の各ボルト挿通孔22Cと対応する位置に、裏ナット等により形成された2個の雌ねじ部23C,23Cが設けられている。また、傾斜面23Aの左,右両端部には、後述するホース保持具28に当接する左,右の当接片23D,23Dが設けられている。一方、水平面23Bの後端部には、裏ナット等により形成された2個の雌ねじ部23F,23Fが設けられている。
【0048】
そして、前カバー部22の傾斜面22Bと上カバー部23の傾斜面23Aとの間に、後述するホース保持具28を挟込んだ状態で、前カバー部22の各ボルト挿通孔22Cに挿通したボルト24を、上カバー部23の各雌ねじ部23Cに螺合することにより、前カバー部22と上カバー部23とが一体化されたホースカバー21が形成される。
【0049】
そして、図8に示すように、前カバー部22の下端側を、スイングポスト11を構成する後面板13の下面部13Bに取付けられた取付板22Eにボルト25を用いて取付けると共に、上カバー部23の水平面23Bを、ボルト26を用いて後面板13の上面部13Aに取付けることにより、ホースカバー21は、左側面板14と右側面板15との間に配置される。これにより、ホースカバー21の前カバー部22と後面板13との間には、後述するブーム用ホース33,34、アームシリンダ用ホース35、バケットシリンダ用ホース36、追加ホース37の途中部位が収容されるホース収容空間27が形成される構成となっている。
【0050】
28はホースカバー21を構成する前カバー部22と上カバー部23との境界部に配置されたホース保持具で、該ホース保持具28は、後述するブーム用ホース33,34、アームシリンダ用ホース35、バケットシリンダ用ホース36、追加ホース37の途中部位を把持するものである。ここで、ホース保持具28は、図8等に示すように、ゴム等の弾性材料を用いて左,右方向に延びる直方体状に形成されている。また、ホース保持具28には、前,後方向に貫通する複数のホース保持孔28A,28A,・・・が、左,右方向(長さ方向)に並んで設けられている。さらに、ホース保持具28の左,右方向の中央部には、前カバー部22のボルト挿通孔22Cと対応する2個のボルト挿通孔28B,28Bが左,右に離間して設けられている。
【0051】
そして、ホース保持具28は、前カバー部22と上カバー部23とを締結するボルト24をボルト挿通孔28B内に挿通することにより、前カバー部22の傾斜面22Bと上カバー部23の傾斜面23Aとの間で挟持される。これにより、ホース保持具28は、図2に示すように、連結ピン12の近傍でブームフート部4A1よりも下側に位置して前記スイングポスト11の左,右の側面板14,15間に設けられ、ブーム用ホース33,34、アームシリンダ用ホース35、バケットシリンダ用ホース36、追加ホース37の途中部位をホース保持孔28A内で保持する構成となっている。
【0052】
29,30はホース保持具28から導出された各ホース33,34,35,36,37のうちブーム用ホース33,34をブームフート部4A1側に折返す折返し部材としての1対のパイプ体で、該各パイプ体29,30は、金属管等の中空状の素材を折返すように(例えば略U字状に)屈曲させることにより形成されたものである。ここで、各パイプ体29,30は、左,右方向に延びる帯板状の支持板31の両端側にそれぞれ溶接等により固定され、支持板31に挿通したボルト32を、ホースカバー21を構成する上カバー部23の雌ねじ部23Fに螺着することにより、支持板31を介してホースカバー21に取付けられる。従って、ホースカバー21をスイングポスト11に取付けた状態で、上記各パイプ体29,30が、連結ピン12の上部近傍で、かつ、スイングポスト11を構成する左,右の側面板14,15間に配置される構成となっている。
【0053】
ここで、支持板31の左端側に固定されたパイプ体29は、ブームシリンダ4Dのボトム側に設けられたシリンダ配管4Iと上部旋回体3に設けられた制御弁装置9との間を接続する後述のブーム用ホース33の途中部位に設けられている。このために、パイプ体29の両端部にはアダプタ29A,29Bが設けられ、一方のアダプタ29Aには、制御弁装置9から導出されたブーム用ホース33の基端側ホース33Aを接続すると共に、他方のアダプタ29Bには、シリンダ配管4Iに接続されたブーム用ホース33の先端側ホース33Bを接続している。
【0054】
一方、支持板31の右端側に固定されたパイプ体30は、ブームシリンダ4Dのロッド側に設けられたシリンダ配管4Jと上部旋回体3に設けられた制御弁装置9との間を接続する後述のブーム用ホース34の途中部位に設けられている。このために、パイプ体30の両端部にもアダプタ30A,30Bが設けられ、一方のアダプタ30Aには、制御弁装置9から導出されたブーム用ホース34の基端側ホース34Aを接続すると共に、他方のアダプタ30Bには、シリンダ配管4Jに接続されたブーム用ホース34の先端側ホース34Bを接続している。
【0055】
33,34は上部旋回体3に搭載された制御弁装置9とブームシリンダ4Dとの間を接続して設けられた1対のブーム用ホースを示している。ここで、一方のブーム用ホース33は、制御弁装置9とパイプ体29との間を接続する基端側ホース33Aと、ブームシリンダ4Dのシリンダ配管4Iとパイプ体29との間を接続する先端側ホース33Bとに分割されている。そして、基端側ホース33Aは、制御弁装置9から連結ピン12の左側方を通って前方へと延び、スイングポスト11のホース挿通孔20からホース収容空間27内に導入され、左,右の側面板14,15間をホースカバー21に沿って下側から上側へと延びている。この場合、基端側ホース33Aの途中部位は、ホース保持具28によって把持され、ホース保持具28からスイングポスト11の上側に導出された基端側ホース33Aの先端は、パイプ体29のアダプタ29Aに接続されている。
【0056】
一方、ブーム用ホース33の先端側ホース33Bは、パイプ体29からブームフート部4A1の下側を通り、かつ、ブームシリンダ4Dの基端側(ボトム側)を通って前方に延び、その先端はブームシリンダ4Dに設けられたシリンダ配管4Iに接続されている。
【0057】
次に、他方のブーム用ホース34も、制御弁装置9とパイプ体30との間を接続する基端側ホース34Aと、ブームシリンダ4Dのシリンダ配管4Jとパイプ体30との間を接続する先端側ホース34Bとに分割されている。そして、基端側ホース34Aは、制御弁装置9から連結ピン12の左側方を通って前方へと延び、スイングポスト11のホース挿通孔20からホース収容空間27内に導入され、左,右の側面板14,15間をホースカバー21に沿って下側から上側へと延びている。この場合、基端側ホース34Aの途中部位は、ホース保持具28によって把持され、ホース保持具28からスイングポスト11の上側に導出された基端側ホース34Aの先端は、パイプ体30のアダプタ30Aに接続されている。
【0058】
一方、ブーム用ホース34の先端側ホース34Bは、パイプ体30からブームフート部4A1の下側を通り、かつ、ブームシリンダ4Dの基端側(ボトム側)を通って前方に延び、その先端はブームシリンダ4Dに設けられたシリンダ配管4Jに接続されている。
【0059】
このように、ホース保持具28から導出されたブーム用ホース33,34の途中部位をホースカバー21の上部に設けられたパイプ体29,30に接続することより、ブーム用ホース33,34をブームフート部4A1側に折返す構成としている。このため、ブーム用ホース33,34の先端側ホース33B,34Bを、それぞれブームフート部4A1の下側を通してブームシリンダ4Dの基端側(ボトム側)に最短距離で配設することができ、ブーム用ホース33,34を短くすることができる。また、ブーム用ホース33,34の先端側ホース33B,34Bを、ブームシリンダ4Dのボトム部(基端部)の近傍に配置することで、ブーム4Aの上下動作時にブーム用ホース33,34が無駄に揺動することを防止でき、この面からもブーム用ホース33,34の短縮化を図ることができる。
【0060】
35は上部旋回体3に搭載された制御弁装置9と作業装置4に設けられたアームシリンダ4Eとの間を接続して設けられた1対のアームシリンダ用ホースで、該各アームシリンダ用ホース35は、ブーム用ホース33,34の基端側ホース33A,34Aと同様に、途中部位がスイングポスト11内を通過している。すなわち、各アームシリンダ用ホース35は、基端側が制御弁装置9の吐出口に接続され、該制御弁装置9から連結ピン12の左側方を通って前方へと延びている。
【0061】
そして、各アームシリンダ用ホース35は、スイングポスト11のホース挿通孔20からホース収容空間27内に導入され、左,右の側面板14,15間をホースカバー21に沿って下側から上側へと延び、途中部位がホース保持具28によって把持されている。そして、ホース保持具28からスイングポスト11の上側に導出された各アームシリンダ用ホース35の先端側は、ブーム4Aの背面側へと延び、該ブーム4Aの背面に配設された油圧配管群4Gの基端側に接続されている。
【0062】
36は上部旋回体3に搭載された制御弁装置9と作業装置4に設けられたバケット4Cとの間を接続して設けられた作業具シリンダ用ホースとしての1対のバケットシリンダ用ホースで、該各バケットシリンダ用ホース36も、各アームシリンダ用ホース35と同様に、基端側が制御弁装置9の吐出口に接続されると共に、途中部位がホース保持具28によって把持されている。そして、ホース保持具28からスイングポスト11の上側に導出された各バケットシリンダ用ホース36の先端側は、ブーム4Aの背面側へと延び、該ブーム4Aの背面に配設された油圧配管群4Gの基端側に接続されている。
【0063】
37は1対の追加ホースで、該各追加ホース37は、例えば作業装置4のアーム4Bの先端側に、バケット4Cに代えてコンクリート等を破砕するブレーカ(図示せず)を取付けた場合に、当該ブレーカに作動用の圧油を給排するものである。そして、各追加ホース37も、バケットシリンダ用ホース36と同様に、基端側が制御弁装置9の吐出口に接続されると共に、途中部位がホース保持具28によって把持されている。そして、ホース保持具28からスイングポスト11の上側に導出された各追加ホース37の先端側は、ブーム4Aの側面側へと延び、該ブーム4Aの側面に配設された油圧配管4Kの基端側に接続されている。
【0064】
本実施の形態によるスイング式の油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、この油圧ショベル1を用いて側溝掘り作業等を行う場合には、スイングシリンダ19により連結ピン12を中心としてスイングポスト11を左,右方向に揺動させると共に、上部旋回体3をスイングポスト11の揺動方向とは反対側に旋回させる。これにより、作業装置4を左,右方向に平行移動させることができ、この状態で作業装置4を俯仰動させることにより、側溝掘り作業を行うことができる。
【0065】
ここで、作業装置4のブームシリンダ4Dと制御弁装置9との間を接続するブーム用ホース33,34(基端側ホース33A,34A)の途中部位は、アームシリンダ用ホース35、バケットシリンダ用ホース36、追加ホース37と共に、スイングポスト11のホースカバー21に取付けられたホース保持具28によって把持されている。そして、ホース保持具28から導出されたブーム用ホース33,34の基端側ホース33A,34Aを、ホースカバー21に取付けた略U字状のパイプ体29,30に接続し、このパイプ体29,30とブームシリンダ4Dのシリンダ配管4I,4Jとの間を先端側ホース33B,34Bによって接続している。
【0066】
このように、本実施の形態によれば、連結ピン12の上部近傍に位置してスイングポスト11のホースカバー21にパイプ体29,30を設けることにより、ホース保持具28から導出されたブーム用ホース33、34をブームフート部4A1側に折返すことができる。
【0067】
この結果、ブーム用ホース33,34をブームフート部4A1の下側を通してブームシリンダ4Dのボトム側に最短距離で配設することができ、ブーム用ホース33,34を短くすることができる。このため、ブーム用ホース33,34の配管を簡素に構成できコストの低減を図れると共に、スイング式の油圧ショベル1の作動時に、ブーム用ホース33,34が周囲の障害物に干渉するのを抑え、作動時の安定性を確保できる。
【0068】
しかも、アームシリンダ用ホース35、バケットシリンダ用ホース36、追加ホース37の途中部位も、ブーム用ホース33,34と共にホース保持具28によって保持する構成としているので、これら各ホース33,34,35,36,37がスイングポスト11内で同方向に立ち上る。このため、スイングポスト11内で各ホース33,34,35,36,37が互いに干渉するのを抑えることができ、これら各ホース33,34,35,36,37の耐久性を確保できると共に、ブーム用ホース33,34の配置設計の自由度を高めることができる。
【0069】
また、スイングポスト11内に設けたホースカバー21にホース保持具28とパイプ体29,30とを設ける構成としているので、これらホース保持具28とパイプ体29,30とをスイングポスト11に安定して支持できる。また、これらホース保持具28とパイプ体29,30とをスイングポスト11の左,右の側面板14,15間に配置する構成としているので、これら左,右の側面板14,15によりブーム用ホース33,34が左,右方向にばたつくことを抑えられる。このため、ブーム用ホース33,34を確実に保持して、スイングポスト11の揺動時の安定性を確保できる。
【0070】
また、ホースカバー21の前カバー部22と上カバー部23との境界部にホース保持具28を配置すると共に、上カバー部23の上部にパイプ体29,30を配置する構成としているので、ホース保持具28とパイプ体29,30とをホースカバー21を介して容易にスイングポスト11に取付けることができる。
【0071】
さらに、パイプ体29,30は金属管等に折曲げ加工を施すことにより形成できるので、容易に製造でき、コストを低減できる。
【0072】
次に、図9ないし図12は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、折返し部材をブロック体により構成したことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0073】
図中、41はホース保持具28から導出されたブーム用ホース33,34をブームフート部4A1側に折返す折返し部材としてのブロック体で、該ブロック体41は、例えば左,右方向に延びる直方体状の金属ブロックにL字状に屈曲した2本の油路41Aを穿孔等により形成することにより構成されたものである。ここで、ブロック体41の各油路41Aは、ブロック体41をホースカバー21を介してスイングポスト11に取付けた状態でこのブロック体41の前面と上面とにそれぞれ開口している。そして、左側に位置する一方の油路41Aの両端開口部には、ブーム用ホース33の基端側ホース33Aまたは先端側ホース33Bを接続するためのアダプタ42が設けられ、右側に位置する他方の油路41Aの両端開口部には、ブーム用ホース34の基端側ホース34Aまたは先端側ホース34Bを接続するためのアダプタ43が設けられている。
【0074】
また、ブロック体41の前部には左右方向に離隔して2個のねじ挿通孔41Bが形成されており、ブロック体41は、これら各ねじ挿通孔41Bに挿通したボルト44を用いてホースカバー21の上カバー部23の上部に固定されている。
【0075】
ここで、ブロック体41に形成された一方の油路41Aには、ブームシリンダ4Dに設けられたシリンダ配管4Iと制御弁装置9とを接続するブーム用ホース33の途中部位が接続されている。すなわち、一方の油路41Aのうちブロック体41の前面側の開口部に設けられたアダプタ42には、制御弁装置9から導出されたブーム用ホース33の基端側ホース33Aが接続され、ブロック体41の上面側の開口部に設けられたアダプタ42には、ブームシリンダ4Dのシリンダ配管4Iに接続されるブーム用ホース33の先端側ホース33Bの基端側がL字継手45を介して接続されている。
【0076】
また、ブロック体41に形成された他方の油路41Aには、ブームシリンダ4Dのシリンダ配管4Jと制御弁装置9とを接続するブーム用ホース34の途中部位が接続されている。すなわち、他方の油路41Aのうちブロック体41の前面側の開口部に設けられたアダプタ43には、制御弁装置9から導出されたブーム用ホース34の基端側ホース34Aの先端側が接続され、ブロック体41の上面側の開口部に設けられたアダプタ43には、ブームシリンダ4Dのシリンダ配管4Jに接続されるブーム用ホース34の先端側ホース34Bの基端側がL字継手45を介して接続されている。
【0077】
本実施の形態によるスイング式の油圧ショベル1は、上述の如きブロック体41により、ホース保持具28から導出された各ホース33,34,35,36,37のうちブーム用ホース33,34をブームフート部4A1側に折返す構成としている。従って、本実施の形態においても、上述した第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0078】
しかも、第2の実施の形態では、2本の油路41Aを形成したブロック体41により折返し部材を構成しているので、穿孔加工等を施すことにより容易に製造できると共に、部品点数の低減も図れ、コストを低減できる。
【0079】
なお、上述した実施の形態では、1対のブーム用ホース33,34をブームシリンダ4Dの左,右方向両側にそれぞれ1本ずつ配設させた場合を例に挙げて説明したが、1対のブーム用ホースをブームシリンダの左,右方向の一方側にまとめて配設させてもよい。この場合には、支持板に対する各パイプ体の固定位置やブロック体に形成する油路の位置をブーム用ホースの配設位置に合わせて適宜調節する。
【0080】
また、上述した実施の形態では、ホースカバー21を、互いに別部材からなる前カバー部22と上カバー部23とにより構成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば一体型のホースカバーを用いてもよい。
【0081】
さらに、上述した実施の形態では、建設機械としてスイングポスト11を備えた油圧ショベル1を例に挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限らず、スイングポストを備えた他の建設機械にも広く適用することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 油圧ショベル
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 作業装置
4A ブーム
4A1 ブームフート部
4B アーム
4C バケット
4D ブームシリンダ
4E アームシリンダ
4F バケットシリンダ
9 制御弁装置(油圧機器)
11 スイングポスト
12 連結ピン
13 後面板
14 左側面板
15 右側面板
21 ホースカバー
22 前カバー部
23 上カバー部
28 ホース保持具
29,30 パイプ体(折返し部材)
33,34 ブーム用ホース
35 アームシリンダ用ホース
36 バケットシリンダ用ホース(作業具シリンダ用ホース)
41 ブロック体(折返し部材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体に連結ピンを介して左,右方向に揺動可能に取付けられたスイングポストと、フート部が該スイングポストに俯仰動可能に取付けられるブームと、一端側が該ブームのフート部の下側に位置して前記スイングポストに設けられると共に他端側が前記ブームに取付けられるブームシリンダと、前記上部旋回体に搭載された油圧機器と前記ブームシリンダとの間を接続して設けられ途中部位が前記ブームフート部の下側に位置して前記スイングポスト内を通過するブーム用ホースとを備えてなるスイング式建設機械において、
前記ブームフート部よりも下側に位置して前記スイングポストに設けられ、前記ブーム用ホースの途中部位を保持するホース保持具と、
前記連結ピンの上部近傍に位置して前記スイングポストに設けられ、前記ホース保持具から導出された前記ブーム用ホースを前記ブームフート部側に折返す折返し部材を備える構成としたことを特徴とするスイング式建設機械。
【請求項2】
前記スイングポストは、前記連結ピンを介して前記上部旋回体に取付けられる後面板と、該後面板の左,右両側に設けられ上側に前記ブームフート部が取付けられると共に前側に前記ブームシリンダの一端側が取付けられる左,右の側面板とにより構成し、
前記スイングポストには、少なくとも前記連結ピンの上部を覆うホースカバーを設け、前記ホース保持具と前記折返し部材とは前記左,右の側面板間に位置して前記ホースカバーに設ける構成としてなる請求項1に記載のスイング式建設機械。
【請求項3】
前記ホースカバーは、前記スイングポストの後面板と対面しつつ上,下方向に延びる前カバー部と、該前カバー部の上側から後方へと延びる上カバー部とにより構成し、前記ホース保持具は前記前カバー部と上カバー部との境界部に配置し、前記折返し部材は前記上カバー部の上部に配置する構成としてなる請求項2に記載のスイング式建設機械。
【請求項4】
前記折返し部材は、折返すように屈曲した中空なパイプ体または内部に屈曲した油路が形成されたブロック体により構成してなる請求項1,2または3に記載のスイング式建設機械。
【請求項5】
前記上部旋回体に設けられる作業装置は、前記ブームおよびブームシリンダと、前記ブームの先端側に俯仰動可能に取付けられアームシリンダによって作動するアームと、該アームの先端側に回動可能に取付けられ作業具シリンダによって作動する作業具とにより構成し、前記上部旋回体に搭載された油圧機器と前記アームシリンダとを接続するアームシリンダ用ホースと、前記油圧機器と前記作業具シリンダとを接続する作業具シリンダ用ホースとの途中部位は、前記ブーム用ホースと共に前記ホース保持具によって保持する構成としてなる請求項1,2,3または4に記載のスイング式建設機械。
【請求項1】
自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体に連結ピンを介して左,右方向に揺動可能に取付けられたスイングポストと、フート部が該スイングポストに俯仰動可能に取付けられるブームと、一端側が該ブームのフート部の下側に位置して前記スイングポストに設けられると共に他端側が前記ブームに取付けられるブームシリンダと、前記上部旋回体に搭載された油圧機器と前記ブームシリンダとの間を接続して設けられ途中部位が前記ブームフート部の下側に位置して前記スイングポスト内を通過するブーム用ホースとを備えてなるスイング式建設機械において、
前記ブームフート部よりも下側に位置して前記スイングポストに設けられ、前記ブーム用ホースの途中部位を保持するホース保持具と、
前記連結ピンの上部近傍に位置して前記スイングポストに設けられ、前記ホース保持具から導出された前記ブーム用ホースを前記ブームフート部側に折返す折返し部材を備える構成としたことを特徴とするスイング式建設機械。
【請求項2】
前記スイングポストは、前記連結ピンを介して前記上部旋回体に取付けられる後面板と、該後面板の左,右両側に設けられ上側に前記ブームフート部が取付けられると共に前側に前記ブームシリンダの一端側が取付けられる左,右の側面板とにより構成し、
前記スイングポストには、少なくとも前記連結ピンの上部を覆うホースカバーを設け、前記ホース保持具と前記折返し部材とは前記左,右の側面板間に位置して前記ホースカバーに設ける構成としてなる請求項1に記載のスイング式建設機械。
【請求項3】
前記ホースカバーは、前記スイングポストの後面板と対面しつつ上,下方向に延びる前カバー部と、該前カバー部の上側から後方へと延びる上カバー部とにより構成し、前記ホース保持具は前記前カバー部と上カバー部との境界部に配置し、前記折返し部材は前記上カバー部の上部に配置する構成としてなる請求項2に記載のスイング式建設機械。
【請求項4】
前記折返し部材は、折返すように屈曲した中空なパイプ体または内部に屈曲した油路が形成されたブロック体により構成してなる請求項1,2または3に記載のスイング式建設機械。
【請求項5】
前記上部旋回体に設けられる作業装置は、前記ブームおよびブームシリンダと、前記ブームの先端側に俯仰動可能に取付けられアームシリンダによって作動するアームと、該アームの先端側に回動可能に取付けられ作業具シリンダによって作動する作業具とにより構成し、前記上部旋回体に搭載された油圧機器と前記アームシリンダとを接続するアームシリンダ用ホースと、前記油圧機器と前記作業具シリンダとを接続する作業具シリンダ用ホースとの途中部位は、前記ブーム用ホースと共に前記ホース保持具によって保持する構成としてなる請求項1,2,3または4に記載のスイング式建設機械。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−169044(P2011−169044A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34680(P2010−34680)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】
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