説明

スカートブラシ用パレット

【課題】スカートブラシが変形しないように梱包して輸送できるスカートブラシ用パレットを提供する。
【解決手段】パレット10には、段ボールより形成された長方形状の基板12上にスカートブラシ1のブラシ毛2が保持されているブラシ台3を固定する固定部14が配置されている。前記固定部14はゴム製の直方体であって、その中央部上面に溝が刻まれている。前記各溝にブラシ台3を嵌め込むことにより、凹状スカートブラシ1a、直線状スカートブラシ1b及び凸状スカートブラシ1cが前記基板12に立設される。次に、これら前記スカートブラシ1を立設した前記基板12に、段ボールで形成された養生用の箱形の蓋18を上から被せ、バンド等によって前記蓋18と前記基板12とを固定して、前記パレット10を輸送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、スカートガードに取り付けられるスカートブラシを梱包するためのスカートブラシ用パレットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、エスカレータや動く歩道などの欄干の内側下部に、スカートガードが設けられ、このスカートガードと踏段との間には、踏段の移動方向に沿ってスカートスカートブラシが設けられている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
上記スカートブラシを、乗客コンベアを設置する建屋まで輸送する場合に、スカートブラシをそれぞれナイロン袋に収納し、このナイロン袋に収納したスカートブラシを重ねてバンドによって固定して、段ボール箱内部に寝かせた状態で収納して輸送している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−146572号公報
【特許文献2】特開2010−180015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、段ボール箱内部でスカートブラシが正しく重ねられていても、輸送中にスカートブラシのブラシ毛が段ボール箱に接触してズレてしまい、ブラシ毛に癖が付くという問題点があった。また、バンドによってスカートブラシを固定していると、そのバンドによって固定された箇所のブラシ毛が変形するという問題点があった。
【0006】
そこで、本実施形態は上記問題点に鑑み、スカートブラシが変形しないように梱包して輸送できるスカートブラシ用パレットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態は、乗客コンベアのスカートガードに沿って取り付けられるスカートブラシを梱包するためのスカートブラシ用パレットであって、前記スカートブラシのブラシ毛が保持されているブラシ台を固定する固定部が基板に設けられ、前記ブラシ台が前記固定部で固定された状態で、前記ブラシ毛が前記基板から立設している、ことを特徴とするスカートブラシ用パレットである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態1のエスカレータであって、下階側の乗降口付近の斜視図である。
【図2】実施形態1の直線状スカートブラシの斜視図である。
【図3】実施形態1の凹状スカートブラシと直線状スカートブラシと凸状スカートブラシを並べた状態の平面図である。
【図4】実施形態1のスカートブラシ用パレットにスカートブラシを立設し、蓋を被せようとしている斜視図である。
【図5】実施形態1のブラシ台を固定部に固定した状態の拡大斜視図である。
【図6】実施形態2のスカートブラシ用パレットにスカートブラシを立設し、蓋を被せようとしている斜視図である。
【図7】実施形態3のスカートブラシ用パレットであって、一部を欠裁した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態のスカートブラシ1を梱包するスカートブラシ用パレット(以下、単に「パレット」という)10について図面に基づいて説明する。
【実施形態1】
【0010】
実施形態1のスカートブラシ1を梱包するパレット10について図1〜図5に基づいて説明する。
【0011】
(1)スカートブラシ1の構造
パレット10について説明する前に、まず、スカートブラシ1の構造について説明する。
【0012】
図1に示すように、エスカレータ100における左右一対の欄干102の下部にスカートガード104がそれぞれ設けられ、左右一対のスカートガード104に沿ってスカートブラシ1がそれぞれ取り付けられている。スカートブラシ1が取り付けられている箇所は、踏段106よりもやや上方に設けられ、スカートブラシ1は踏段106とスカートガード104との間に異物が侵入するのを防止する。
【0013】
図2に示すように、スカートブラシ1は、直毛状のブラシ毛2を束ねた状態で、ブラシ毛2の基部が、金属板を折曲したブラシ台3に固定されている。ブラシ毛2は、合成樹脂繊維より成形される素線径0.5mm程度の毛である。
【0014】
図3に示すように、スカートブラシ1は、3種類存在する。第1の種類は、図1に示すように、エスカレータ100の下階側の乗降口付近のスカートガード104に設けられるスカートブラシ1であり、図3に示すように、水平な状態から傾斜状態に湾曲したものであって、以下の説明では「凹状スカートブラシ1a」という。凹状スカートブラシ1aの長さは、例えば約2mである。
【0015】
第2の種類は、図1に示すように下階から上階に直線状に延びるスカートガード104に沿って設けられているスカートブラシ1であり、図3に示すように、直線状であって、以下の説明では「直線状スカートブラシ1b」という。直線状スカートブラシ1bの長さは、例えば約2mである。
【0016】
第3の種類は、上階側の乗降口付近のスカートガード104に設けられるスカートブラシ1であり、図3に示すように、傾斜状態から水平状態に湾曲したものであって、以下の説明では「凸状スカートブラシ1c」と言う。凸状スカートブラシ1cの長さは、約2mである。
【0017】
なお、凹状スカートブラシ1a、直線状スカートブラシ1b、凸状スカートブラシ1cをまとめて呼ぶときは、スカートブラシ1という。
【0018】
また、1台のエスカレータ100においては、下階側の乗降口に左右一対の凹状スカートブラシ1aが必要であり、上階側の乗降口に左右一対の凸状スカートブラシ1cが必要であり、直線状スカートブラシ1bは、下階から上階の距離に応じた数が必要となる。
【0019】
(2)パレット10の構造
次に、スカートブラシ1を梱包するためのパレット10について説明する。
【0020】
図4に示すように、パレット10は、段ボールより形成された長方形状の基板12上に複数の固定部14が取り付けられ、これら固定部14にスカートブラシ1が立設されている。
【0021】
さらに、詳しく説明すると、図4に示すように、パレット10の基板12の一番手前側に4個の固定部14が、凹状スカートブラシ1aの湾曲状態に沿って配置されている。一方、図5に示すように、固定部14はゴム製の直方体であって、その中央部上面に溝16が刻まれている。各固定部14の溝16に凹状スカートブラシ1aのブラシ台3を嵌め込むことにより、凹状スカートブラシ1aが基板12に立設される。
【0022】
また、図4に示すように、基板12の最も外側の長辺方向に沿って4個の固定部14が、直線状態に配置されている。そして、各固定部14の溝16に直線状スカートブラシ1bのブラシ台3を嵌め込むことにより、直線状スカートブラシ1bが基板12に立設される。
【0023】
さらに、図4に示すように、凹状スカートブラシ1aと直線状スカートブラシ1bの間の基板12に4個の固定部14が、凸状スカートブラシ1cの湾曲状態に沿って配置されている。そして、各固定部14の溝16に凸状スカートブラシ1cのブラシ台3を嵌め込むことにより、凸状スカートブラシ1cが基板12に立設される。
【0024】
次に、これらスカートブラシ1を立設した基板12に、段ボールで形成された養生用の箱形の蓋18を上から被せる。
【0025】
最後に、基板12に蓋18を被せた状態で、バンド等によって蓋18と基板12を固定して、パレット10を輸送する。
【0026】
(4)効果
上記実施形態によれば、基板12に立設した状態でスカートブラシ1を固定して、蓋18を被せているため、スカートブラシ1を直接バンドで拘束したり、段重ねしたり、梱包材により押さえ込んだりすることがなく、ブラシ毛2に他の部材が輸送中に接触したりすることがないので、ブラシ毛が変形することなく、また、ブラシ毛2は垂直状態に立っているため、ブラシ毛2に癖が付くことがない。
【0027】
また、湾曲している凹状スカートブラシ1aと凸状スカートブラシ1cが並んで配置され、直線状スカートブラシ1bのみが長方形状のパレット10の長辺方向に沿って配置されていることにより、長方形の基板12に効率よく各スカートブラシ1を固定できる。
【実施形態2】
【0028】
次に、実施形態2のパレット10について図6に基づいて説明する。
【0029】
実施形態1では、ゴム製の固定部14を用いたが、これに代えて、スポンジ製の固定部20を用いる。
【0030】
すなわち、直方体状のスポンジ製の固定部20をパレット10の基板12に所定間隔毎に配置し、このスポンジ製の固定部20の上面に、凹状スカートブラシ1a、直線状スカートブラシ1b、凸状スカートブラシ1cの形状に応じた切れ目22を設け、各切れ目22にスカートブラシ1のブラシ台3を差し込む。
【0031】
これにより、本実施形態であっても図6に示すように、各スカートブラシ1を立設した状態で固定できる。
【実施形態3】
【0032】
次に、実施形態3のパレット10について図7に基づいて説明する。
【0033】
本実施形態のパレット10は、直線状スカートブラシ1b専用のパレットである。すなわち、凹状スカートブラシ1aと凸状スカートブラシ1cは、1台のエスカレータ100では、それぞれ2個ずつであるため、上記実施形態1,2のパレット10で全て梱包可能である。しかし、直線状スカートブラシ1bはエスカレータ100の長さによって数が変わってくるため、本実施形態のような直線状スカートブラシ1b専用のパレット10が必要となる。
【0034】
本実施形態のパレット10は、直線状スカートブラシ1bを左右両側から覆う左右一対のカバー部材24を有し、この左右一対のカバー部材24の内側には、直線状スカートブラシ1bが収納される凹部26が設けられている。カバー部材24の材質としては、ポリカーバネイトやポリプロピレンなどである。
【0035】
直線状スカートブラシ1bをパレット10に梱包する場合には、左右一対のカバー部材24,24の一方のカバー部材24の凹部26に直線状スカートブラシ1bを収納した後、他方のカバー部材24を被せる。そして、左右一対のカバー部材24,24をポリカーバネイト製のバンド等により締結して固定する。
【0036】
本実施形態であっても、直線状スカートブラシ1bがカバー部材24によって覆われるため、直毛のブラシ毛2に他の部材が当たったりして変形しない。
【変更例】
【0037】
上記実施形態1では、固定部14としてゴム製のものを用いたが、これに代えて段ボール製の固定部14を用いてもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、エスカレータ1で説明したが、これに代えて動く歩道に適用してもよい。
【0039】
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
1・・・スカートブラシ、2・・・ブラシ毛、3・・・ブラシ台、1a・・・凹状スカートブラシ、1b・・・直線状スカートブラシ、1c・・・凸状スカートブラシ、10・・・スカートブラシ用パレット、12・・・基板、14・・・固定部、16・・・溝、18・・・蓋、100・・・エスカレータ、104・・・スカートガード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客コンベアのスカートガードに沿って取り付けられるスカートブラシを梱包するためのスカートブラシ用パレットであって、
前記スカートブラシのブラシ毛が保持されているブラシ台を固定する固定部が基板に設けられ、
前記ブラシ台が前記固定部で固定された状態で、前記ブラシ毛が前記基板から立設している、
ことを特徴とするスカートブラシ用パレット。
【請求項2】
前記スカートブラシが長手方向に沿って凸状、又は、凹状に湾曲しており、
前記固定部は、前記湾曲したスカートブラシに沿って前記基板に複数設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のスカートブラシ用パレット。
【請求項3】
前記スカートブラシが直線状であり、
前記固定部は、前記直線状のスカートブラシに沿って前記基板に複数設けられている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のスカートブラシ用パレット。
【請求項4】
前記固定部がゴム製であって、前記固定部が前記ブラシ台を挟持する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のスカートブラシ用パレット。
【請求項5】
前記固定部がスポンジ製であって、前記固定部が前記ブラシ台を挟持する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のスカートブラシ用パレット。
【請求項6】
前記固定部が段ボール製であって、前記固定部が前記ブラシ台を挟持する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のスカートブラシ用パレット。
【請求項7】
前記スカートブラシが固定された前記基板を覆う蓋をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のスカートブラシ用パレット。
【請求項8】
乗客コンベアのスカートガードに沿って取り付けられるスカートブラシを梱包するためのスカートブラシ用パレットであって、
前記スカートブラシのブラシ毛及び前記ブラシ毛を保持するブラシ台とを、両側から挟んで固定する左右一対のカバー部材を有する、
ことを特徴とするスカートブラシ用パレット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−95568(P2013−95568A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241392(P2011−241392)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】