説明

スキャン文書管理方法

【課題】画像処理装置と業務システムとファイルサーバとが連携するスキャン文書管理システムにおいて、機器の増設もしくはリプレース等に対して柔軟性を高めることのできるスキャン文書管理方法を提供する。
【解決手段】特定の業務における帳票等の管理を行う業務システムの管理のもと、文書を画像処理装置でスキャンして得た画像ファイルをファイルサーバに登録するスキャン文書管理システムにおける管理方法であって、利用可能な上記画像処理装置、上記業務システムおよび上記ファイルサーバの情報をサービス情報DBで管理し、上記業務システムもしくは上記画像処理装置からの要求に応じてアクセスに必要な情報を応答する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MFP(Multi Function Printer)等の画像処理装置と業務システムとファイルサーバとが連携するスキャン文書管理システムにおいて、機器の増設もしくはリプレース等に対して柔軟性を高めたスキャン文書管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィス内においては文書の電子化が進んでいる反面、紙の状態で入手もしくは発生する文書(プリントアウトされた文書、プリントアウトされたものに手書き内容が加えられた文書、すべて手書きの文書等)も多く、これらを統一的に管理するため、MFP等のスキャナ機能でスキャンし、画像データとして電子化した上でファイルサーバに蓄積を行う技術が注目されている。
【0003】
また、管理の対象となる文書は、見積書、注文書といった業務内容と密接に関連するものであるため、特定の業務における帳票等の管理を行う業務システムとともに用いられるのが一般的である。なお、業務システムはASP(Application Service Provider)形態で提供されるものを用いることが多い。
【0004】
スキャン文書管理システムには、大別してMFPスキャンとASPスキャンの2つのタイプがある。MFPスキャンは、MFPのオペパネ(Operation Panel)もしくはPC(Personal Computer)から業務システムの拡張機能(Javascript等による拡張)を呼び出してスキャン文書の送信先(登録先)等の情報を埋め込んだカバーページを印刷し、カバーページとともに対象の文書をMFPでスキャンし、ファイルサーバ側でカバーページの埋め込み情報に従ってスキャン文書の登録を行うものである。ASPスキャンは、MFPのオペパネから業務システムの拡張機能を呼び出し、対象の文書をスキャンしてファイルサーバに直接に登録を行うものである。
【0005】
図1は従来のスキャン文書管理システムにおけるMFPスキャンの概要を示す図である。
【0006】
図1において、MFP12のオペパネもしくはPC14から業務システム11の拡張機能でカバーシート印刷要求を行い(ステップS11)、MFP12でカバーシートの印刷を行う(ステップS12)。
【0007】
次いで、カバーシートと対象の文書を重ねてMFP12でスキャンを実行し(ステップS13)、ファイルサーバ13にスキャン画像を配信する(ステップS14)。
【0008】
ファイルサーバ13ではサーブレットによりカバーページの埋め込み情報を取得し、その情報に従ってファイルDBに登録を行う(ステップS15)。
【0009】
また、MFP12のオペパネもしくはPC14からは、業務システム11を介してファイルサーバ13の蓄積文書を参照することができる(ステップS16)。
【0010】
図2は従来のスキャン文書管理システムにおけるASPスキャンの概要を示す図である。
【0011】
図2において、MFP12のオペパネから業務システム11の拡張機能でスキャン要求を行い(ステップS21)、対象の文書のスキャンを実行し(ステップS22)、ファイルサーバ13のファイルDBに登録を行う(ステップS23)。
【0012】
また、MFP12のオペパネもしくはPC14からは、業務システム11を介してファイルサーバ13の蓄積文書を参照することができる(ステップS24)。
【0013】
なお、出願人は出願時点までに本発明に関連する公開された先行技術文献を発見することができなかった。よって、先行技術文献情報を開示していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述したようにMFPと業務システムとファイルサーバとが連携するスキャン文書管理システムが注目されてきているが、相互にお互いを強く意識した作り込みとなっているため、システムの拡張・改良にともなってMFPやファイルサーバの機器を増設したり他社製のものにリプレースしたり、業務システムを他ベンダーのサービスに切り替えたりする場合の柔軟性に乏しいという問題があった。すなわち、相互の送信先のURI(Uniform Resource Identifiers)が直接に設定され、また、通信に使用するプロトコルも固定となっていたため、システムを構成するメンバーの増加や変更があると大幅な修正が必要であった。
【0015】
本発明は上記の従来の問題点に鑑み提案されたものであり、その目的とするところは、画像処理装置と業務システムとファイルサーバとが連携するスキャン文書管理システムにおいて、機器の増設もしくはリプレース等に対して柔軟性を高めることのできるスキャン文書管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するため、本発明にあっては、請求項1に記載されるように、特定の業務における帳票等の管理を行う業務システムの管理のもと、文書を画像処理装置でスキャンして得た画像ファイルをファイルサーバに登録するスキャン文書管理システムにおける管理方法であって、利用可能な上記画像処理装置、上記業務システムおよび上記ファイルサーバの情報をサービス情報DBで管理し、上記業務システムもしくは上記画像処理装置からの要求に応じてアクセスに必要な情報を応答するスキャン文書管理方法を要旨としている。
【0017】
また、請求項2に記載されるように、請求項1に記載のスキャン文書管理方法において、上記サービス情報DBは、ユーザと対応付けて上記画像処理装置のURI、上記業務システムのURI、上記ファイルサーバのURIおよびプロトコルのタイプを管理するようにすることができる。
【0018】
また、請求項3に記載されるように、請求項2に記載のスキャン文書管理方法において、上記業務システムからの要求に応じて上記画像処理装置のURIもしくは上記ファイルサーバのURIおよびプロトコルのタイプを応答するようにすることができる。
【0019】
また、請求項4に記載されるように、請求項2に記載のスキャン文書管理方法において、上記画像処理装置からの要求に応じて上記業務システムのURIもしくは上記ファイルサーバのURIおよびプロトコルのタイプを応答するようにすることができる。
【0020】
また、請求項5に記載されるように、請求項1に記載のスキャン文書管理方法において、上記サービス情報DBは、レジストリサーバ上に保持されるものとすることができる。
【0021】
また、請求項6に記載されるように、特定の業務における帳票等の管理を行う業務システムの管理のもと、文書を画像処理装置でスキャンして得た画像ファイルをファイルサーバに登録するスキャン文書管理システムであって、利用可能な上記画像処理装置、上記業務システムおよび上記ファイルサーバの情報を管理するサービス情報DBと、上記業務システムもしくは上記画像処理装置からの要求に応じてアクセスに必要な情報を応答する応答手段とを備えるようにすることができる。
【0022】
また、請求項7に記載されるように、請求項6に記載のスキャン文書管理システムにおいて、上記サービス情報DBは、ユーザと対応付けて上記画像処理装置のURI、上記業務システムのURI、上記ファイルサーバのURIおよびプロトコルのタイプを管理するようにすることができる。
【0023】
また、請求項8に記載されるように、請求項7に記載のスキャン文書管理システムにおいて、上記応答手段は、上記業務システムからの要求に応じて上記画像処理装置のURIもしくは上記ファイルサーバのURIおよびプロトコルのタイプを応答するようにすることができる。
【0024】
また、請求項9に記載されるように、請求項7に記載のスキャン文書管理システムにおいて、上記応答手段は、上記画像処理装置からの要求に応じて上記業務システムのURIもしくは上記ファイルサーバのURIおよびプロトコルのタイプを応答するようにすることができる。
【0025】
また、請求項10に記載されるように、請求項6に記載のスキャン文書管理システムにおいて、上記サービス情報DBを保持するレジストリサーバを備えるようにすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明のスキャン文書管理方法にあっては、画像処理装置と業務システムとファイルサーバとが連携するスキャン文書管理システムにおいて、レジストリサービスを利用して相互の連携に必要な情報を取得できるようにしたため、相互の関係が適度に疎な状態となり、機器の増設もしくはリプレース等に対して柔軟性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の好適な実施形態につき説明する。
【0028】
図3は本発明の実施形態にかかるクラス図である。
【0029】
図3において、機能部の構成要素として、サービス検索パッケージに含まれるサービス検索代理部101、サービス検索部102およびサービス情報DB103が設けられている。各部の具体的な配置は後述するが、サービス検索代理部101は業務システム1およびMFP2にそれぞれ設けられ、サービス検索部102およびサービス情報DB103はレジストリサーバ5に設けられる。
【0030】
図4は本発明の実施形態にかかるコンポーネント図である。
【0031】
図4において、サービス検索代理部101はサービス検索プロキシモジュールに属し、サービス検索部102およびサービス情報DB103はサービス検索モジュールに属している。
【0032】
図5はサービス情報DBの例を示す図であり、ユーザを識別する「ユーザ」フィールド、ユーザ毎の主たるMFPのURIを示す「Primary MFP URI(ID)」フィールド、ユーザ毎の従たるMFPのURIを示す「Secondary MFP URI(ID)」フィールド、業務システムのURIを示す「ASP URI(ID)」フィールド、ファイルサーバのURIを示す「FS URI(ID)」フィールド、ファイルサーバのプロトコルを示す「TYPE」フィールドを含んでいる。
【0033】
図6は実施形態の処理概要を示す図であり、(a)は業務システム1からMFP2を特定する場合の処理、(b)は業務システム1からファイルサーバ3を特定する場合の処理を示している。
【0034】
図6(a)において、業務システム1は業務システム1内のMFP情報取得機能F11(サービス検索代理部101に相当)に対してユーザID、ASP URIをパラメータにMFP URIの検索を要求すると(ステップS101)、MFP情報取得機能F11からレジストリサーバ5内のMFP検索機能F21(サービス検索部102に相当)に対して検索要求が伝えられる(ステップS102)。
【0035】
これに応じて、MFP検索機能F21ではサービス情報DB(103)の検索を実行し、検索結果を業務システム1に伝える(ステップS103)。
【0036】
そして、業務システム1は取得したMFP URIに基づいてMFP2にアクセスする(ステップS104)。
【0037】
図6(b)において、業務システム1は業務システム1内のFS情報取得機能F12(サービス検索代理部101に相当)に対してユーザID、ASP URIをパラメータにFS URIとTYPEの検索を要求すると(ステップS111)、FS情報取得機能F12からレジストリサーバ5内のFS検索機能F22(サービス検索部102に相当)に対して検索要求が伝えられる(ステップS112)。
【0038】
これに応じて、FS検索機能F22ではサービス情報DB(103)の検索を実行し、検索結果を業務システム1に伝える(ステップS113)。
【0039】
そして、業務システム1は取得したFS URIとTYPEに基づいてファイルサーバ3にアクセスする(ステップS114)。
【0040】
業務システム1からMFP2とファイルサーバ3を特定する場合について説明したが、MFP2から業務システム1とファイルサーバ3を特定する場合についても同様である。
【0041】
図7は実施形態の詳細な処理例を示すシーケンス図である。
【0042】
図7において、サービス検索代理部101はMFP URIの検索を開始すると(ステップS121)、サービス検索部102にMFP URIの検索を要求し(ステップS122)、サービス検索部102はサービス情報DB103にサービス検索を要求する(ステップS123)。
【0043】
サービス情報DB103からサービス検索部102に検索結果が返されると(ステップS124)、サービス検索部102はサービス検索代理部101に検索結果に含まれるMFP URIリストを返す(ステップS125)。
【0044】
また、サービス検索代理部101はFS URIの検索を開始すると(ステップS131)、サービス検索部102にFS URIの検索を要求し(ステップS132)、サービス検索部102はサービス情報DB103にサービス検索を要求する(ステップS133)。
【0045】
サービス情報DB103からサービス検索部102に検索結果が返されると(ステップS134)、サービス検索部102はサービス検索代理部101に検索結果に含まれるFS URIを返す(ステップS135)。
【0046】
また、サービス検索代理部101はFS TYPEの検索を開始すると(ステップS141)、サービス検索部102にFS TYPEの検索を要求し(ステップS142)、サービス検索部102はサービス情報DB103にサービス検索を要求する(ステップS143)。
【0047】
サービス情報DB103からサービス検索部102に検索結果が返されると(ステップS144)、サービス検索部102はサービス検索代理部101に検索結果に含まれるFS TYPEを返す(ステップS145)。
【0048】
図8は機能部の具体的な配置例を示す図である。
【0049】
図8では、各業務システム1にMFP情報取得機能F11およびFS情報取得機能F12を配置し、各MFP2にFS情報取得機能F12およびASP情報取得機能F13を配置している。
【0050】
図9はこの場合のコンポーネントの配置図であり、業務システム1にサービス検索プロキシモジュールを配置し、MFP2にサービス検索プロキシモジュールを配置し、レジストリサーバ5にサービス検索モジュールを配置している。
【0051】
以上説明したように、本発明にあっては、MFP2と業務システム1とファイルサーバ3とが連携するスキャン文書管理システムにおいて、レジストリサービスを利用して相互の連携に必要な情報を取得できるようにしたため、相互の関係が適度に疎な状態となり、機器の増設もしくはリプレース等に対して柔軟性を高めることができる。
【0052】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】従来のスキャン文書管理システムにおけるMFPスキャンの概要を示す図である。
【図2】従来のスキャン文書管理システムにおけるASPスキャンの概要を示す図である。
【図3】本発明の実施形態にかかるクラス図である。
【図4】本発明の実施形態にかかるコンポーネント図である。
【図5】サービス情報DBの例を示す図である。
【図6】実施形態の処理概要を示す図である。
【図7】実施形態の詳細な処理例を示すシーケンス図である。
【図8】機能部の具体的な配置例を示す図である。
【図9】コンポーネントの配置図である。
【符号の説明】
【0054】
1 業務システム
2 MFP
3 ファイルサーバ
4 PC
5 レジストリサーバ
101 サービス検索代理部
102 サービス検索部
103 サービス情報DB
F11 MFP情報取得機能
F12 FS情報取得機能
F13 ASP情報取得機能
F21 MFP検索機能
F22 FS検索機能
F23 ASP検索機能

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の業務における帳票等の管理を行う業務システムの管理のもと、文書を画像処理装置でスキャンして得た画像ファイルをファイルサーバに登録するスキャン文書管理システムにおける管理方法であって、
利用可能な上記画像処理装置、上記業務システムおよび上記ファイルサーバの情報をサービス情報DBで管理し、
上記業務システムもしくは上記画像処理装置からの要求に応じてアクセスに必要な情報を応答することを特徴とするスキャン文書管理方法。
【請求項2】
請求項1に記載のスキャン文書管理方法において、
上記サービス情報DBは、ユーザと対応付けて上記画像処理装置のURI、上記業務システムのURI、上記ファイルサーバのURIおよびプロトコルのタイプを管理することを特徴とするスキャン文書管理方法。
【請求項3】
請求項2に記載のスキャン文書管理方法において、
上記業務システムからの要求に応じて上記画像処理装置のURIもしくは上記ファイルサーバのURIおよびプロトコルのタイプを応答することを特徴とするスキャン文書管理方法。
【請求項4】
請求項2に記載のスキャン文書管理方法において、
上記画像処理装置からの要求に応じて上記業務システムのURIもしくは上記ファイルサーバのURIおよびプロトコルのタイプを応答することを特徴とするスキャン文書管理方法。
【請求項5】
請求項1に記載のスキャン文書管理方法において、
上記サービス情報DBは、レジストリサーバ上に保持されることを特徴とするスキャン文書管理方法。
【請求項6】
特定の業務における帳票等の管理を行う業務システムの管理のもと、文書を画像処理装置でスキャンして得た画像ファイルをファイルサーバに登録するスキャン文書管理システムであって、
利用可能な上記画像処理装置、上記業務システムおよび上記ファイルサーバの情報を管理するサービス情報DBと、
上記業務システムもしくは上記画像処理装置からの要求に応じてアクセスに必要な情報を応答する応答手段とを備えたことを特徴とするスキャン文書管理システム。
【請求項7】
請求項6に記載のスキャン文書管理システムにおいて、
上記サービス情報DBは、ユーザと対応付けて上記画像処理装置のURI、上記業務システムのURI、上記ファイルサーバのURIおよびプロトコルのタイプを管理することを特徴とするスキャン文書管理システム。
【請求項8】
請求項7に記載のスキャン文書管理システムにおいて、
上記応答手段は、上記業務システムからの要求に応じて上記画像処理装置のURIもしくは上記ファイルサーバのURIおよびプロトコルのタイプを応答することを特徴とするスキャン文書管理システム。
【請求項9】
請求項7に記載のスキャン文書管理システムにおいて、
上記応答手段は、上記画像処理装置からの要求に応じて上記業務システムのURIもしくは上記ファイルサーバのURIおよびプロトコルのタイプを応答することを特徴とするスキャン文書管理システム。
【請求項10】
請求項6に記載のスキャン文書管理システムにおいて、
上記サービス情報DBを保持するレジストリサーバを備えたことを特徴とするスキャン文書管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−52712(P2008−52712A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−170861(P2007−170861)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】