説明

スキンケア用具

【課題】肌への低刺激性に優れ、且つ、毛穴奥の汚れの拭き取り効果に優れたスキンケア用具を提供するものである。
【解決手段】熱可塑性ポリマーからなり数平均による単繊維繊度が1×10−8〜2.2×10−3dtexであるナノファイバーからなるパイル糸、及びグランド糸から構成されるパイル布帛からなるスキンケア用具およびポリマアロイ繊維をパイル糸として有するパイル布帛を海成分は溶解するがグランド糸は溶解しない液体にて処理しするスキンケア用具の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノファイバーからなるスキンケア用具に関するものである。本発明でいうスキンケアとは、全身の「皮膚を清潔にし、いたわること」を指し、スキンケア用具とは、これに用いる用具全般をいう。
【背景技術】
【0002】
洗顔において、化粧残や皮脂等の老廃物を効果的に取り除くことは、肌の健康維持・促進、ニキビ・吹き出物の予防等の観点から非常に重要である。しかしながら、皮膚のキメの奥や毛穴の奥にあるものは、通常の洗顔で取り除くことが困難である。また近年の製剤技術の進歩により開発された、「落ちない化粧料」や「落ちない日焼け止め」等は、その耐久性・効果が向上する一方で、洗顔、クレンジングの際にそれらをいかに綺麗に取り除くかという問題を抱えている。これらの化粧料に対するクレンジング剤が種々考案されているが、その中で最も洗浄力が高いといわれる油性クレンジングによっても、毛穴に詰まった化粧料や皮脂汚れなどはなかなか除去できないのが現状である。また、最近の化粧料は顔のみにとどまらず、全身、特に足や胸元を美しく見せるものも市場に出回るようになっており、これらも上記同様の問題を抱えている。
【0003】
一方、洗浄効果を高める手段として、洗顔等の際に一部に極細繊維を使用したスキンケア用具を使用することが一般的に知られている。
【0004】
例えば、繊度0.001〜1dtexの極細繊維を用いたスキンケア用具が開示されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
しかし、これは極細繊維の微少間隙を石鹸が通過することで形成されるきめ細かい泡によって洗浄効果を発揮するものであり(例えば特許文献1、段落番号0020参照)、上記のような残存性の高い化粧料等を完全に除去するには十分ではない。
【0006】
また、繊度0.001〜1dtexの極細繊維で直接汚れや古くなった角質をふき取るスキンケア用具が開示されている。(例えば、特許文献2,3)。しかし、繊度0.001〜1dtexの極細繊維を肌に直接あてて汚れや古くなった角質をふき取る方法では肌へ過度の刺激・摩擦を与えてしまい、色素沈着や角質肥厚等、場合によっては摩擦黒皮症等の肌トラブルを引き起こすことが懸念されている。
【0007】
すなわち、肌への低刺激性に優れ、且つ、毛穴奥の汚れの拭き取り効果が優れるようなスキンケア用具は未だ提供されておらず、その速やかな開発が要求されているのが現状である。
【特許文献1】特開2004−332149号公報
【特許文献2】特開2004−329628号公報
【特許文献3】登録実用新案第3100954号公報
【特許文献4】特開2005−330637号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記状況を鑑みて、従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものであり、肌への低刺激性に優れ、且つ肌にキメや毛穴の奥の汚れの拭き取り効果に優れたスキンケア用具の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、数平均による単繊維繊度が1×10−8〜2.2×10−3dtexであるナノファイバーからなるパイル糸、及びグランド糸から構成されるパイル布帛からなるスキンケア用具である。
【0010】
また本発明は、本発明のスキンケア用具を製造する方法であって、海成分と島成分とからなるポリマーアロイ繊維をパイル糸として有するパイル布帛を、前記海成分は溶解するがグランド糸は溶解しない液体にて処理し、数平均による単繊維繊度が1×10−8〜2.2×10−3dtexであるナノファイバーを生じさせる工程を含むことを特徴とする、スキンケア用具の製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、以下に説明するとおり、肌表面はもちろんのこと、肌の溝や毛穴奥の汚れに対しても、拭き取り効果が高い上に肌への低刺激に優れたスキンケア用具を得ることができる。さらに、本発明のナノファイバーからなるスキンケア用具は使用者に心地よさをも提供することができる。また、本発明のスキンケア用具は、ナノファイバーのみからなるクロスに比べて、形態安定性および風合いに優れ、且つ手持ち感も良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のスキンケア用具においてパイル糸のナノファイバーを形成する熱可塑性ポリマーとしては、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド(PPS)等を採用することができる。中でも、後述するようなナノファイバーの束形状を維持する上で、強い水素結合を有する、ナイロン6などのポリアミドが好ましい。
【0013】
本発明のスキンケア用具においてパイル糸は、ナノファイバーからなることが重要である。ナノファイバーを採用することで、従来の極細繊維(マイクロファイバー)からなるスキンケア用具とは異なり、ナノファイバーが肌の溝や毛穴奥にも容易に入り込み、汚れを除去しやすくなる。これは、ナノファイバーの繊維径が細いことに加え、ナノファイバーは繊維の変形しやすさの指標である断面2次モーメントが従来の極細繊維に比べ、1.0×10−32〜2.5×10−3倍と小さく、繊維の柔軟性に富むことが要因であると考えられる。これにより、パイル糸が肌へ接触する際に、パイル糸を形成するナノファイバーは変形・分散しやすく、肌の溝や毛穴奥へ隙間なく密着することで、細かな汚れも除去する(図5参照)。
【0014】
また、肌にかかる応力が分散しやすく、肌に対する刺激や摩擦を極めて小さくすることができ、また毛穴の拡張を防ぐこともできる。
【0015】
また、ナノファイバーにより、直径1×10μm以下の緻密な泡の作製が可能となり、この緻密な泡によっても毛穴奥の汚れを吸着することができる。これは上述した特許文献3などで報告されている従来の極細繊維で得られる泡よりもさらに緻密なものである。
【0016】
一方、従来の極細繊維では、その単繊維繊度の太さから、十分な本数を肌の溝や毛穴へ入り込ませることができない。また、後述するような束も形成できないため、肌の溝や毛穴の形に沿って変形できず、細かな汚れを捕集することはできない。さらに、変形できない極細繊維は肌へ応力集中を起こし、角質層を損傷したり肌へ過度の摩擦を与えたりしてしまうのである。
【0017】
ナノファイバーの太さとしては、数平均による単繊維繊度で1×10−8〜2.2×10−3dtex(ナイロン6の場合、単繊維直径で1〜500nmに相当する。)であり、好ましくは4×10−4dtex以下(密度が1.14g/cmのナイロン6の場合、単繊維直径で211nm)、より好ましくは2×10−4dtex以下(ナイロン6の場合、単繊維直径で149nm以下)、さらに好ましくは1×10−4dtex以下(ナイロン6の場合、単繊維直径で106nm以下)、さらに好ましくは、8×10−6〜6×10−5dtex(ナイロン6の場合、単繊維直径で30〜82nm)である。ナノファイバーの数平均による単繊維繊度を2.2×10−3dtex以下とすることで、ナノファイバーが肌の溝や毛穴奥にも容易に入り込み、汚れを除去しやすくなる効果を奏することができる。一方、1×10−8dtexを下回ると、ナノファイバー、ひいてはパイル糸の強度に劣ることとなる。
【0018】
ナノファイバーは、乾燥時に複数凝集して束を形成することが好ましい。ナノファイバーの束は液体を吸収すると膨潤し(図4参照)、肌に接触する際に、束は押し潰され、その表面のナノファイバーが肌の溝や毛穴の形に沿って変形・分散する。すると、ナノファイバーが変形・分散すると同時に、大きな汚れは噛み砕かれ、ナノファイバーの束の奥に捕集される。また肌の溝や毛穴にある細かな汚れは、分散されたナノファイバーが肌の溝や毛穴の奥へ隙間なく密着する際に、束の奥に捕集される(図6,7参照)。拭き取られた汚れは、ナノファイバーの束の奥に捕集されることにより、肌に再付着するのを防ぐことができる。
【0019】
ここで、ナノファイバーを得るための方法としては例えば、以下のような方法を採用することができる。
【0020】
すなわち、溶剤に対する溶解性の異なる2種以上のポリマーから、易溶解性ポリマーを海(マトリックス)、難溶解性ポリマーを島(ドメイン)とするポリマーアロイ溶融体となし、これを紡糸した後、冷却固化して繊維化する。そして必要に応じて延伸・熱処理を施し、ポリマーアロイ繊維を得た後、易溶解性ポリマーを好ましくは99.9%以上、溶剤で除去することによりナノファイバーを得ることができる。
【0021】
この方法においては、ナノファイバーの前駆体であるポリマーアロイ繊維における島(ドメイン)のサイズによりナノファイバーの直径がほぼ決定される。
【0022】
島(ドメイン)のサイズの制御は、ポリマーの混練の制御によって行うことができ、混練押出機や静止混練器等によって高混練することが好ましい。
【0023】
また、ポリマーの組み合わせも、島(ドメイン)のサイズに影響する。島(ドメイン)を円形に近づけるためには、島(ドメイン)ポリマーと海(マトリックス)ポリマーとは互いに非相溶であることが好ましい。しかしながら、単なる非相溶ポリマーの組み合わせでは島(ドメイン)ポリマーを十分に超微分散化させることが難しい。そこで、ポリマーの組み合わせは溶解度パラメーター(SP値)を指標として選ぶとよい。SP値とは、(蒸発エネルギー/モル容積)1/2 で定義される物質の凝集力を反映するパラメータである。2つのポリマーのSP値の差が1〜9(MJ/m31/2であると、非相溶化による島(ドメイン)の円形化と超微分散化とを両立させやすく好ましい。例えば、ナイロン6(N6)とポリエチレンテレフタレート(PET)とはSP値の差が6(MJ/m3 1/2 程度であり、好ましい例であるが、N6とポリエチレン(PE)とはSP値の差が11(MJ/m3 1/2程度であり、好ましくない例として挙げられる。
【0024】
また、溶融粘度も、島(ドメイン)のサイズに影響する。島成分を形成するポリマーの溶融粘度を海成分のそれに比べて低く設定すると、剪断力による島成分ポリマーの変形が起こりやすいため、島成分ポリマーの微分散化が進みやすくナノファイバー化の観点からは好ましい。ただし、島成分ポリマーを過度に低粘度にすると海化しやすくなり、繊維全体に対するブレンド比を高くできないため、島成分ポリマーの粘度は海成分ポリマー粘度の1/10以上とすることが好ましい。
【0025】
海(マトリックス)ポリマーを溶解し島(ドメイン)ポリマーを溶解し難い溶剤としては、アルカリ溶液、酸性溶液、有機溶媒、超臨界流体等を挙げることができる。例えば、ナイロンとポリエステルとの組み合わせにおいて、アルカリ溶液に対しては、ナイロンが難溶解性を示し、ポリエステルが易溶解性を示す。
【0026】
本発明のスキンケア用具においてパイル布帛を構成するグランド糸の素材としては、合成繊維でも天然繊維でもよいが、ポリマーアロイ繊維をパイル糸としてパイル布帛を作製した後に脱海処理する場合は、脱海処理において溶解しない素材が好ましく、さらには染色等の意匠性、風合い、使用時の触感の点から、パイルに使用しているナノファイバーと同一素材であることが好ましい。
【0027】
また、その吸水性あるいは吸油性が、パイル糸を構成するナノファイバーのそれらよりも同等以下であることが好ましい。そうすることで、肌のワイピング層として用いるナノファイバーからなるパイル糸に、水性あるいは油性のクレンジング剤や洗顔料を効率よく保持させることができる。
【0028】
グランド糸の単繊維繊度としては、8×10―4を超えることが好ましく、より好ましくは1×10−1dtex以上である。かかるグランド糸を採用することで、ナノファイバーの拭き取り性能を損なわずに、形態安定性や風合いを向上させることができる。
【0029】
パイル布帛の形態としては、織物や編物を採用することができる。編物の具体例としては、丸編物、トリコット編物、ダブルラッセル編物等を挙げることができる。
【0030】
パイル布帛におけるパイルの長さとしては、1〜10mmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは2〜5mmの範囲内である。1mm以上とすることで、ナノファイバーからなるパイル糸にしなやかさを付与し、良好な拭き取り性や湿潤時の心地よい肌触りを得ることができる。また、10mm以下とすることで、パイル糸が寝て風合いが低下するのを防ぐことができる。
【0031】
本発明のスキンケア用具は、パイル布帛において、ナノファイバーからなるパイル糸の先端がカットされていることが好ましい。そうすることにより、パイル糸におけるナノファイバーの自由度が向上し、ナノファイバーの先端が、細かい毛穴や皮膚のキメ部分へはいりこみやすくなるため、拭き取り効果を高めることができる。さらに、ワイピング時の肌にかかる応力をさらに分散させ、湿潤時の心地よい肌触りを得ることができる(図8参照)。
【0032】
尚、従来のマイクロファイバー程度の細さの繊維をパイル糸に用いた場合には、そのパイル糸の先端をカットすると、繊維の先端が肌に突き当たり肌に好ましくない刺激を与え得るものであった。このことから、スキンケア用具においてパイル糸の先端をカットすることは、事実上、ナノファイバーの採用により初めて想到し得たものと言うことができる。
【0033】
本発明のスキンケア用具の形態としては、タオル、ミトン、手袋、指サック、等を採用することができる。使用者の好みに応じて使用方法をアレンジできるという点では、タオル状のものが好ましい。また、保持のし易さという点では、ミトン、手袋、指サックなど、手や指を覆う形状のものが好ましい。
【0034】
また、シート形状を有し、パイルが当該シート形状の両面に突出しているものも、本発明のスキンケア用具の好ましい一形態である。ナノファイバーからなるパイルをシート形状の両面に突出させることにより、使用者は本発明のスキンケア用具の裏表を意識することなく使用することができ、使い勝手や使用感を向上させることができる。当該形態を得る態様としては、パイル布帛の両面に直接パイルを付与してもよいが、パイル密度の高いものを得る観点からは、片面にパイルが突出したパイル布帛を積層させて構成したものが好ましい。パイル布帛を積層させて固定する方法としては、端部を縫製する方法、ウレタン系等の接着剤にて接着させる方法等を採用することができる。
【0035】
また、洗顔料のより良い泡立ちという点では、洗顔料の泡立ちを促進させるネットなどの媒体を併用してもよい。
【0036】
また、ナノファイバーからなるパイル糸を含むパイル布帛でクッション材を被覆したものも好ましく、また、その形状がミトンや手袋であってもよい。
【0037】
次に、本発明のスキンケア用具の製造方法は、本発明のスキンケア用具を製造する方法であって、海成分と島成分とからなるポリマーアロイ繊維をパイル糸として有するパイル布帛を、前記海成分は溶解するがグランド糸は溶解しない液体にて処理し、数平均による単繊維繊度が1×10−8〜2.2×10−3dtexであるナノファイバーを生じさせる工程を含むことを特徴とするものである。前述のようにポリマーアロイ繊維に対して脱海処理をする方法はしてナノファイバーを発現させる方法として好ましいが、グランド糸を海成分は溶解するがグランド糸は溶解しない液体にて脱海処理する、言い換えると、脱海処理において溶解しないグランド糸を採用することにより、脱海後もくたっとせず手持ち感に優れたパイル布帛を得ることができる。
【実施例】
【0038】
[測定方法]
(1)ポリ乳酸の重量平均分子量
試料をクロロホルムに溶かして、テトラヒドロフランを混合し、測定溶液とした。これをWaters社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)Waters2690を用いて25℃で測定し、ポリスチレン換算で重量平均分子量を求めた。
【0039】
(2)ナノファイバーの数平均による単繊維繊度
5cm×5cmの範囲から、無作為にパイル糸を5本引き抜き、各パイル糸の、繊維横断面方向に超薄切片を切り出して透過型電子顕微鏡(TEM)(日立製作所社製H−7100FA型 倍率10万倍)で繊維横断面を観察した。
TEMによる繊維横断面から、画像処理ソフト(WINROOF)を用いて、同一横断面内で無作為に抽出した300本以上を抽出し、合計1500本以上の単繊維直径を測定し、その単純平均値を求め、ナノファイバーの数平均による単繊維直径とした。
単繊維直径から単繊維繊度を次式により算出して求めた。
数平均による単繊維繊度(dtex)=(d×D×π/4)×10−8
ここに、d:比重(g/cm
D:数平均による単繊維直径(nm)。
【0040】
(3)汚れの拭き取り評価A
評価用の疑似皮膚として、発泡ポリエチレンシート(東レ(株)製「トーレペフ」(登録商標))を用いた。これに対し、耐水性の強い化粧料((株)資生堂製アイライナーフリュイド)を直径1cmの円状に塗布し、20±2℃、65±2%RHの下、12時間乾燥させた。
試験片を縦6cm×横8cmに切り取り、クレンジング剤(コーセーコスメポート(株)製ホワイトクレンジングウォーター)を試験片の質量に対し2.6倍量含浸させ、これをシリコンゴム製の板(縦6cm×横7cm×厚さ1cm)に密着させた。
試験片を、加圧0.5cN/mm(300g/2.5cm)、速度2cm/s、拭き取り幅2cmにて、前記疑似皮膚の化粧料塗布部分に対し5往復させ、拭き取り操作を行った。
拭き取り操作後の汚れの落ち具合を目視にて観察し、下記の5段階で評価した。
5:疑似皮膚のキメの間の汚れも全て落ちた。
4:疑似皮膚のキメの汚れがやや残った。
3:疑似皮膚のキメの汚れがかなり残った。
2:疑似皮膚のキメおよび表面に汚れが部分的に残った。
1:疑似皮膚のキメおよび表面に汚れがかなり残った。
【0041】
(4)汚れの拭き取り評価B
腕の内側に、耐水性の強い化粧料((株)資生堂製アイライナーフリュイド)を0.5cm×2cm塗布し、常温常湿の下、30分間乾燥させた。
試験片を縦6cm×横8cmに切り取り、クレンジング剤(コーセーコスメポート(株)製ホワイトクレンジングウォーター)を試験片質量に対し2.6倍量含浸させ、シリコンゴム製のロッド(直径約8mm)に巻き付け、腕の化粧料塗布部分に対し一定方向に10回拭き取り操作を行った。
拭き取り操作後の汚れの落ち具合をマイクロスコープ((株)キーエンス VH−6300C 倍率300倍)にて観察し、下記の5段階で評価した。
5:肌の溝・毛穴の奥の汚れも全て落ちた。
4:肌の溝・毛穴の奥の汚れがやや残った。
3:肌の溝・毛穴の奥の汚れがかなり残った。
2:肌の溝・毛穴の奥および皮膚表面に汚れが部分的に残った。
1:肌の溝・毛穴の奥および皮膚表面に汚れがかなり残った。
【0042】
(5)低刺激性評価
評価用の疑似皮膚として、寒天((株)真田製 純寒天)を水に溶かして冷却凝固させた寒天シートを用いた。
試験片を縦6cm×横8cmに切り取り、水を試験片質量に対し2.6倍量含浸させ、シリコンゴム製のロッド(直径約8mm)に巻き付け、前記寒天シートの表面に対し一定方向に10回拭き取り操作を行った。
拭き取り操作後の寒天シート表面の傷の付き具合を目視にて観察し、下記の5段階で評価した。
5:寒天の傷が目立たない。
4:寒天の傷がやや目立つ。
3:寒天の傷が目立つ。
2:寒天の傷が目立ち、傷が深い。
1:寒天の傷が目立ち、傷の数も多く、傷が深い。
【0043】
(6)泡立ち性評価
泡立ちを促進させる媒体として10cm×10cmのポリエチレンネット(8メッシュ)を用い、これを15cm×15cmの試験片で茶巾絞り状に包み込み、口を綿糸で結んで閉じたものを用意した。
洗顔料溶液(濃度20質量%、温度37℃)を試験片質量に対し0.3倍含浸させ、乳棒で100回たたいて泡立たせた。得られた泡の表面形状をマイクロスコープ((株)キーエンス VH−6300C 倍率300倍)で観察した。
【0044】
(7)モニター評価(洗顔パフ用途)
試験片を縦6cm×横8cmに切り取り、クレンジング剤(コーセーコスメポート(株)製ホワイトクレンジングウォーター)を試験片質量に対し2.6倍量含浸させた。
これを用いて、20〜50代の女性50名に対してメイクのクレンジング実験を行い、化粧料の落ち具合、肌触り、低肌刺激性、使い勝手等についてアンケートを行った。
【0045】
(8)モニター評価(洗顔クロス用途)
試験片を縦6cm×横8cmに切り取り、洗顔料(ユニリーバ・ジャパン(株)製「ダヴ(登録商標)モイスチャーフォームF」)をなじませた後、泡立たせた。
これを用いて、20〜50代の女性50名に対して洗顔実験を行い、化粧料の落ち具合、肌触り、低肌刺激性、使い勝手等についてアンケートを行った。
【0046】
[実施例1]
(ポリマーアロイ繊維)
溶融粘度212Pa・s(262℃、剪断速度121.6sec-1)、融点220℃のナイロン6(N6)(45質量%)と重量平均分子量12万、溶融粘度30Pa・s(240℃、剪断速度2432sec-1)、融点170℃、光学純度99.5%以上のポリL乳酸(55質量%)とを別々に計量し、別々に下記詳細の2軸押出混練機に供給し、220℃で溶融混練してポリマーアロイチップを得た。
スクリュー型状:同方向完全噛合型 2条ネジ
スクリュー :直径37mm、有効長さ1670mm、L/D=45.1
混練部長さ :スクリュー有効長さの1/3より吐出側に位置させた。
ベント :2箇所。
【0047】
得られたポリマーアロイチップを、紡糸機に供給し、230℃で溶融し、紡糸温度230℃のスピンブロックにおいて、限界濾過径15μmの金属不織布でポリマーアロイ溶融体を濾過した後、口金孔径0.3mm、孔長0.55mm、口金面温度215℃の口金から溶融紡糸した。吐出された糸条を20℃の冷却風で1mにわたって冷却して固化し、口金から1.8m下方に設置した給油ガイドで油剤を付与し、紡速3000m/分にて引き取り、次いで延伸温度90℃、延伸倍率1.5倍、熱セット温度130℃の条件にて延伸した。
【0048】
得られたポリマーアロイ繊維のマルチフィラメントは、133dtex、48フィラメント、強度3.6cN/dtex、伸度40%、ウースター斑0.7%であった。また、得られたポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、ポリL乳酸が海(マトリックス)、N6が島(ドメイン)の海島構造であり、島(ドメイン)は数平均による直径が110nmで超微分散していた。
【0049】
(パイル糸)
上記ポリマーアロイ繊維のマルチフィラメントをパイル糸として用いた。
【0050】
(グランド糸)
総繊度75dtex、24フィラメント(単繊維繊度3.1dtex)のナイロン6マルチフィラメントをグランド糸として用いた。
【0051】
(製編)
上記ポリマーアロイ繊維のマルチフィラメントをパイル糸とし、また上記グランド糸を用いて、シンカーパイル付きシングル丸編み機にて、パイル長2.2mmの丸編のループパイル編物を作製した。
【0052】
(スキンケア用具)
上記パイル編物に対して、1%水酸化ナトリウム水溶液で温度98℃、浴比1:100にて1時間浸漬処理することで、ポリマーアロイ繊維中のポリ乳酸の99.9%以上を加水分解により除去し、N6のナノファイバーの束からなるパイル糸と、N6のマルチフィラメントからなるグランド糸とから構成されるパイル布帛からなるスキンケア用具を得た。
【0053】
N6のナノファイバーは、前記測定(1)の1500本のサンプリングにおける繊度分布が1×10−8〜4×10−4dtexの範囲内で、数平均による単繊維繊度が1×10−4dtexであった。
【0054】
得られたスキンケア用具について、汚れの拭き取り評価では、A、Bのそれぞれにおいて良好な結果が得られた。また低刺激性評価では、刺激性が極めて低かった。またモニター評価では、各項目において良好な結果が得られた。また泡立ち性評価では、直径10μm以下の緻密な泡の生成が観察できた。
【0055】
[実施例2]
(ポリマーアロイ繊維)
実施例1と同様のポリマーアロイ繊維のマルチフィラメントを作製した。
【0056】
(パイル糸)
上記ポリマーアロイ繊維のマルチフィラメントをパイル糸として使用した。
【0057】
(グランド糸)
実施例1で用いたのと同様のものをグランド糸として用いた。
【0058】
(製編)
上記パイル糸と上記グランド糸とを用いて、実施例1と同様にしてパイル編物を作製した。
【0059】
(スキンケア用具)
上記パイル編物に対して、実施例1と同様の脱海処理を施した後、エメリー加工により起毛することによりループパイルの先端をカットし、スキンケア用具を得た。
【0060】
得られたスキンケア用具について、汚れの拭き取り評価では、A、Bのそれぞれにおいて良好な結果が得られた。また低刺激性評価では、表面に傷がほとんど生じないという良好な結果が得られた。またモニター評価では、各項目において良好な結果が得られた。特に、パイル糸の先端がカットされているため、実施例1に比べ肌触りについて肯定的な回答が多く得られた。また泡立ち性評価では、直径10μm以下の緻密な泡の生成が観察できた。
【0061】
[実施例3]
(ポリマーアロイ繊維)
実施例1と同様のポリマーアロイ繊維のマルチフィラメントを作製した。
【0062】
(パイル糸)
上記ポリマーアロイ繊維のマルチフィラメントをパイル糸として使用した。
【0063】
(グランド糸)
総繊度110dtex、24フィラメント(単繊維繊度4.6dtex)のナイロン6マルチフィラメントをグランド糸として用いた。
【0064】
(製編)
上記グランド糸を用いた以外は実施例1と同様にして、パイル編物を作製した。
【0065】
(スキンケア用具)
上記パイル編物に対して、実施例1と同様の脱海処理を施し、スキンケア用具を得た。
【0066】
N6のナノファイバーは、前記測定(1)の1500本のサンプリングにおける繊度分布が1×10−8〜4×10−4dtexの範囲内で、数平均による単繊維繊度が1×10−4dtexであった。
【0067】
得られたスキンケア用具について、汚れの拭き取り評価では、A、Bのそれぞれにおいて良好な結果が得られた。また低刺激性評価では、刺激性が極めて低かった。またモニター評価では、各項目において良好な結果が得られた。特に、実施例1で作製したスキンケア用具に比べ、グランド糸の単繊維繊度が太く、しっかりしているため、形態安定性がよく、使い勝手について肯定的な回答が多く得られた。また泡立ち性評価では、直径10μm以下の緻密な泡の生成が観察できた。
【0068】
[実施例4]
(ポリマーアロイ繊維)
実施例1と同様のポリマーアロイ繊維のマルチフィラメントを作製した。
【0069】
(パイル糸)
上記ポリマーアロイ繊維のマルチフィラメントをパイル糸として用いた。
【0070】
(グランド糸)
総繊度110dtex、24フィラメント(単繊維繊度4.6dtex)のナイロン6マルチフィラメントをグランド糸として用いた。
【0071】
(製編)
上記パイル糸と上記グランド糸とを用いて、実施例1と同様にしてパイル編物を作製した。
【0072】
(スキンケア用具)
上記パイル編物に対して、実施例1と同様の脱海処理を施した。
(ここまで、実施例3と同様である。)
その後、エメリー加工により起毛することによりループパイルの先端をカットし、スキンケア用具を得た。
【0073】
得られたスキンケア用具について、汚れの拭き取り評価では、A、Bのそれぞれにおいて良好な結果が得られた。また低刺激性評価では、表面に傷がほとんど生じないないという良好な結果が得られた。またモニター評価では、各項目において良好な結果が得られた。特に、パイル糸の先端がカットされているため、実施例3に比べ、肌触りが「非常に心地よい」という回答が多かった。また、実施例2で作製したスキンケア用具に比べ、グランドの単繊維繊度が太く、しっかりしているため、形態安定性がよく、使い勝手について肯定的な回答が多く得られた。また泡立ち性評価では、直径10μm以下の緻密な泡の生成が観察できた。
【0074】
[実施例5,6]
(ポリマーアロイ繊維)
実施例1と同様のポリマーアロイ繊維のマルチフィラメントを作製した。
【0075】
(パイル糸)
上記ポリマーアロイ繊維のマルチフィラメントをパイル糸として用いた。
【0076】
(グランド糸)
総繊度110dtex、24フィラメント(単繊維繊度4.6dtex)のナイロン6マルチフィラメントをグランド糸として用いた(実施例3と同様)。
【0077】
(製編)
上記パイル糸とグランド糸を用いて、ダブルラッセル編機にて、編物を構成する2層の間隔が6.0mmのダブルラッセル編物を作製した。このダブルラッセル編物に対して、パイル長が1:3となる部分で2枚にスライスし、パイル長1.5mmのカットパイル編物及びパイル長4.5mmのカットパイル編物を得た。
【0078】
(スキンケア用具)
上記2種のパイル編物のそれぞれに対して、実施例1と同様の脱海処理を施し、スキンケア用具を得た。パイル長1.5mmのものを実施例5、パイル長4.5mmのものを実施例6とする。
【0079】
実施例5,6のいずれについても、N6のナノファイバーは、前記測定(1)の1500本のサンプリングにおける繊度分布が1×10−8〜4×10−4dtexの範囲内で、数平均による単繊維繊度が1×10−4dtexであった。
【0080】
得られた両実施例のスキンケア用具について、汚れの拭き取り性評価では、A、Bのそれぞれにおいて良好な結果が得られた。また低刺激性評価では、両実施例ともに拭き取り時に傷がほとんど生じないという良好な結果が得られた。またモニター評価では、両実施例ともに各項目において良好な結果が得られた。特に実施例6は、肌触りについて肯定的な回答が多く得られた。また泡立ち性評価では、直径10μm以下の緻密な泡の生成が観察できた。
【0081】
[実施例7,8]
(ポリマーアロイ繊維)
実施例1と同様のポリマーアロイ繊維のマルチフィラメントを作製した。
【0082】
(パイル糸)
上記ポリマーアロイ繊維のマルチフィラメントをパイル糸として用いた。
【0083】
(グランド糸)
総繊度110dtex、24フィラメント(単繊維繊度4.6dtex)のナイロン6マルチフィラメントをグランド糸として用いた(実施例3と同様)。
【0084】
(製編)
上記パイル糸とグランド糸を用いて、ダブルラッセル編機にて、編物を構成する2層の間隔が6.0mmのダブルラッセル編物を作製した。このダブルラッセル編物に対して、パイル長が5:7となる部分で2枚にスライスし、パイル長2.5mmのカットパイル編物及びパイル長3.5mmのカットパイル編物を得た。
【0085】
実施例7,8のいずれについても、N6のナノファイバーは、前記測定(1)の1500本のサンプリングにおける繊度分布が1×10−8〜4×10−4dtexの範囲内で、数平均による単繊維繊度が1×10−4dtexであった。
【0086】
(スキンケア用具)
上記2種のパイル編物のそれぞれに対して、実施例1と同様の脱海処理を施し、スキンケア用具を得た。パイル長2.5mmのものを実施例7、パイル長3.5mmのものを実施例8とする。
【0087】
得られた両実施例のスキンケア用具について、汚れの拭き取り性評価では、A、Bのそれぞれにおいて良好な結果が得られた。また低刺激性評価では、両実施例ともに良好な結果が得られた。またモニター評価では、両実施例ともに各項目において良好な結果が得られた。特に、両実施例ともに、肌触りについて肯定的な回答が多く得られた。また泡立ち性評価では、直径10μm以下の緻密な泡の生成が観察できた。
【0088】
[実施例9]
(ポリマーアロイ繊維)
実施例1と同様のポリマーアロイ繊維のマルチフィラメントを作製した。
【0089】
(パイル糸)
上記ポリマーアロイ繊維のマルチフィラメントをパイル糸として用いた。
【0090】
(グランド糸)
実施例1で用いたのと同様のものをグランド糸として用いた。
【0091】
(製編)
上記パイル糸と上記グランド糸とを用いて、実施例1と同様にしてパイル編物を作製した。
【0092】
(スキンケア用具)
上記パイル編物に対して、実施例1と同様の脱海処理を施した後、エメリー加工により起毛することによりループパイルの先端をカットし、カットパイル編物を得た。
(ここまで、実施例2と同様である。)
得られたカットパイル編物を前記測定における試験片の大きさに切り取ったものをそれぞれ2枚用意し、それらのグランド糸面同士を向き合わせて重ね併せ、端部を綿糸で縫製し、パイルがシート形状の両面に突出したスキンケア用具を得た。
【0093】
得られたスキンケア用具について、汚れの拭き取り評価では、A、Bのそれぞれにおいて良好な結果が得られた。また低刺激性評価では、拭き取り時の刺激性がほとんどないという良好な結果が得られた。またモニター評価では、各項目において良好な結果が得られた。また、2枚積層しているため、手持ち感もよく、使い勝手について肯定的な回答が多く得られた。また泡立ち性評価では、直径10μm以下の緻密な泡の生成が観察できた。
【0094】
[実施例10]
(ポリマーアロイ繊維)
実施例1と同様のポリマーアロイ繊維のマルチフィラメントを作製した。
【0095】
(パイル糸)
上記ポリマーアロイ繊維のマルチフィラメントをパイル糸として用いた。
【0096】
(グランド糸)
実施例1で用いたのと同様のものをグランド糸として用いた。
【0097】
(製編)
上記パイル糸と上記グランド糸とを用いて、実施例1と同様にしてパイル編物を作製した。
【0098】
(スキンケア用具)
上記パイル編物に対して、実施例1と同様の脱海処理を施した後、エメリー加工により起毛することによりループパイルの先端をカットし、カットパイル編物を得た。
(ここまで、実施例2と同様である。)
得られたカットパイル編物を2枚用意し、それらのグランド糸面同士を向き合わせて重ね併せ、グランド糸面同士をウレタン系接着剤(大日本インキ化学工業(株)製、タイフォース(登録商標)865HV)をドット状に約4g/mの塗布量で塗布し接着させ、パイルがシート形状の両面に突出したスキンケア用具を得た。
【0099】
得られたスキンケア用具について、汚れの拭き取り評価では、A、Bのそれぞれにおいて良好な結果が得られた。また低刺激性評価では、拭き取り時の刺激がほとんどないという良好な結果が得られた。またモニター評価では、各項目において良好な結果が得られた。また、2枚積層しているため、手持ち感もよく、使い勝手について肯定的な回答が多く得られた。また泡立ち性評価では、直径10μm以下の緻密な泡の生成が確認できた。
【0100】
[比較例1]
市販のマイクロファイバー使い洗顔用クロス((株)コジット製リムーバルタオル 数平均による単繊維繊度0.22dtex)を評価の対象とした。
【0101】
汚れの拭き取り評価では、A、Bのそれぞれにおいて、本発明のスキンケア用具に劣る結果となった。また低刺激性評価では、強いスクラッチ性が認められた。またモニター評価では、各項目において本発明のスキンケア用具に比べて良好な結果は得られなかった。また泡立ち性評価では、直径100μm〜1mm程度の大きな泡の生成しか確認できなかった。
【0102】
[比較例2]
市販のマイクロファイバー使い洗顔用クロス((株)ラッキーコーポレーション製プリリ角質スッキリクロス(登録商標))を評価の対象とした。
【0103】
汚れの拭き取り評価では、A、Bのそれぞれにおいて、本発明のスキンケア用具に劣る結果となった。また低刺激性評価では、強いスクラッチ性が認められた。またモニター評価では、各項目において本発明のスキンケア用具に比べて良好な結果は得られなかった。特に、肌刺激が強く、使用後ヒリヒリ感があるという回答が多数あった。また泡立ち性評価では、直径100μm〜1mm程度の大きな泡の生成しか確認できなかった。
【0104】
[比較例3]
市販のマイクロファイバー使い洗顔用クロス(東レ(株)製「トレシー(登録商標)洗顔クロス」 数平均による単繊維繊度0.08dtex)を評価の対象とした。
【0105】
泡立ち評価を行ったところ、直径1〜20μmの緻密な泡が発生したが、泡の大きさは不揃いであった。
【0106】
【表1】

【0107】
【表2】

【0108】
【表3】

【0109】
【表4】

【0110】
【表5】

【0111】
【表6】

【0112】
【表7】

【0113】
【表8】

【0114】
【表9】

【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明のスキンケア用具は、肌への低刺激に優れ、且つ毛穴奥の汚れの拭き取り効果が優れていることから、スキンケア用具分野に極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明のスキンケア用具を構成する織物もしくは編物の一例を示す断面模式図である。
【図2】ナノファイバーの前駆体であるポリマーアロイ繊維の断面を示すTEM写真である。
【図3】ナイロン6ナノファイバー繊維の束の表面のSEM写真である。
【図4】ナイロン6ナノファイバー繊維の束が吸水し、膨潤した際の表面SEM写真である。
【図5】ナイロン6ナノファイバー繊維の束からなるパイル糸が疑似皮膚(牛革)に密着した際の断面マイクロスコープ写真である。
【図6】ナイロン6ナノファイバー繊維の束からなるパイル糸が汚れを捕集した様子を示すSEM写真である。円内に、捕集された汚れの粒が認められる。
【図7】ナノファイバー繊維の束が吸水して膨潤、力により変形し、毛穴奥に詰まった汚れを包み込むように捕集し、取り除く様子を示す模式図である。
【図8】ナノファイバー繊維の束からなるパイル糸の、(a)カットパイルと(b)ループパイルとの比較を示す模式図である。
【符号の説明】
【0117】
1:ループパイル糸
2:グランド糸
3:カットパイル糸
4:牛革
5:ナノファイバーからなるパイル糸
6:乾燥時のナノファイバーの束
7:膨潤時のナノファイバーの束
8:変形時のナノファイバーの束
9:肌
10:汚れの粒
11:パイル布帛のグランド(地組織)
12:島(ドメイン)
13:海(マトリックス)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリマーからなり数平均による単繊維繊度が1×10−8〜2.2×10−3dtexであるナノファイバーからなるパイル糸、及びグランド糸から構成されるパイル布帛からなるスキンケア用具。
【請求項2】
熱可塑性ポリマーがナイロンである、請求項1記載のスキンケア用具。
【請求項3】
前記ナノファイバーの数平均による単繊維繊度が4×10−4dtex以下である、請求項1または2記載のスキンケア用具。
【請求項4】
パイル糸がナノファイバーの束により構成された、請求項1〜3のいずれか記載のスキンケア用具。
【請求項5】
前記グランド糸の単繊維繊度が8×10−4dtexを超える、請求項1〜4のいずれか記載のスキンケア用具。
【請求項6】
前記グランド糸の単繊維繊度が1×10−1dtex以上である、請求項1〜5のいずれか記載のスキンケア用具。
【請求項7】
パイルの長さが1〜10mmの範囲内にある、請求項1〜6のいずれか記載のスキンケア用具。
【請求項8】
パイルの長さが2〜5mmの範囲内にある、請求項1〜7のいずれか記載のスキンケア用具。
【請求項9】
パイル糸の先端がカットされている、請求項1〜8のいずれか記載のスキンケア用具。
【請求項10】
シート形状を有し、パイルが当該シート形状の両面に突出している、請求項1〜9のいずれか記載のスキンケア用具。
【請求項11】
片面にパイルが突出した前記パイル布帛を積層させて構成した、請求項10記載のスキンケア用具。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか記載のスキンケア用具を製造する方法であって、海成分と島成分とからなるポリマーアロイ繊維をパイル糸として有するパイル布帛を、前記海成分は溶解するがグランド糸は溶解しない液体にて処理し、数平均による単繊維繊度が1×10−8〜2.2×10−3dtexであるナノファイバーを生じさせる工程を含むことを特徴とする、スキンケア用具の製造方法。

【図1】
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【図7】
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【図8】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−84989(P2007−84989A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−227531(P2006−227531)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】