説明

スクラッチ印刷物

【課題】秘密画像の隠蔽性を高めることが可能な削りカスが発生しないスクラッチ印刷物を提供する。
【解決手段】印刷シート100と、印刷シート100上に金属より硬度の大きい材料を含む白色インキで印刷された秘密画像110であり、白色インキの印刷部分を金属でスクラッチすることにより着色されて現れる秘密画像110と、印刷シート100上に秘密画像110に重ねてカラーインキで印刷された、行列状に配置された複数の円環模様130と、円環模様130に内接する菊花模様150とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクラッチ印刷物に関し、特にスクラッチにより隠蔽された秘密画像が着色されて現れるスクラッチ印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、販売キャンペーン等においてスクラッチ印刷物が広く利用されている。このようなスクラッチ印刷物では、「当たり」、「外れ」若しくはそれらに該当する絵柄等の秘密画像が印刷基材上に印刷され、さらに秘密画像を隠蔽する隠蔽層が設けられる。そして、隠蔽層はコイン等でスクラッチオフ(剥離除去)され、印刷された秘密画像が視認可能な状態で現れる。従って、従来のスクラッチ印刷物では、隠蔽層をスクラッチオフする際に削りカスが発生するという問題があった。
【0003】
このような問題を解決する技術として、例えば特許文献1に記載の印刷物がある。この印刷物では、秘密画像が金属よりも硬度の大きい材料を含むインキ組成物で印刷基材上に印刷される。そして、印刷部分をコインでスクラッチすると、コインの削り取られた金属で印刷部分が着色され、秘密画像が視認可能な状態で現れる。従って、この印刷物では、隠蔽層をスクラッチオフする際に削りカスが発生しない。
【特許文献1】特開昭62−297196号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のスクラッチ印刷物では、スクラッチ印刷物に光を当てる方向によっては、印刷部分をスクラッチしていない状態(秘密状態)でも秘密画像が目視可能な状態となるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、かかる問題点に鑑み、秘密画像の隠蔽性を高めることが可能な削りカスが発生しないスクラッチ印刷物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のスクラッチ印刷物は、印刷基材と、前記印刷基材上に金属より硬度の大きい材料を含む白色インキで印刷された秘密画像であり、前記白色インキの印刷部分を金属でスクラッチすることにより着色されて現れる前記秘密画像と、前記印刷基材上に前記秘密画像に重ねてカラーインキで印刷された、行列状に配置された複数の円環模様とを備えることを特徴とする。
【0007】
ここで、前記スクラッチ印刷物は、さらに、前記円環模様に内接する菊花模様を備えてもよい。また、前記円環模様及び菊花模様は、同一色の模様であってもよい。さらに、前記円環模様は、等間隔で分断されていてもよい。
【0008】
これによって、秘密画像に重ねて設けられた複数の円環模様によって、秘密状態にある秘密画像が目の錯覚により視認され難くなるので、秘密画像の隠蔽性を高めることができる。
【0009】
また、秘密画像は、秘密画像により削り取られたコインの金属が秘密画像の表面に付着して着色されて現れるので、削りカスが発生しないスクラッチ印刷物を実現することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、秘密画像の隠蔽性を高めることが可能な削りカスが発生しないスクラッチ印刷物を実現できるという効果が奏される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態におけるスクラッチ印刷物について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1(a)は、本実施の形態の商品引き換えカードのスクラッチ前の構成を示す平面図である。図1(b)は、同商品引き換えカードのスクラッチ後の構成を示す平面図である。図2は、同商品引き換えカードの断面図(図1のA−A’における断面図)である。なお、商品引き換えカードは、本発明のスクラッチ印刷物の一例である。
【0013】
この商品引き換えカードは、白色の印刷シート100、秘密画像110及びダミー画像120から構成される。
【0014】
秘密画像110は、コインを構成する金属より硬度の大きい材料を含む白色インキを用いて印刷された透明の印刷画像である。このとき、白色インキに含まれる硬度の大きい材料としては、例えば酸化チタン、酸化アルミニウム、二酸化珪素及び酸化クロム等が用いられる。秘密画像110は、ダミー画像120に重ねて印刷シート100上に印刷される。
【0015】
ダミー画像120は、白色以外のカラーインキを用いて印刷シート100上に印刷されたカラーの印刷画像である。このとき、カラーインキとしては、例えば黄色のインキが用いられる。ダミー画像120は、スクラッチ前において秘密画像110が視認され難くなるように、目の錯覚を引き起こす錯覚画像として機能し、かつスクラッチ後において視認可能な状態となった秘密画像110の背景画像として機能する。
【0016】
図3は、ダミー画像120の詳細を説明するための図である。
ダミー画像120は、円環模様130、140と菊花模様150とから構成される。
【0017】
円環模様130は、カラーの円環であり、行列状に複数配置されている。円環模様140は、円環模様130に外接する円環であって、互いに接するように行列状に複数配置されている。円環模様140は、円環模様130と異なるカラー、例えば白色の円環であり、複数の円環模様140の間は、円環模様130と同一のカラーで塗りつぶされている。
【0018】
菊花模様150は、円環模様130に内接し、菊花を描くカラーの画線である。この画線のカラーは、円環模様140のカラーと同一である。
【0019】
上記構成の商品引き換えカードでは、秘密画像110はスクラッチ前においては視認不可能な秘密状態にあり、秘密画像110がどのような画像であるかを認識できない(図1(a))。しかしながら、一旦、印刷シート100における白色インキの印刷部分がコインでスクラッチされると、秘密画像110により削り取られたコインの金属が秘密画像110の表面に付着する。その結果、秘密画像110が着色されて現れ、秘密画像110が視認不可能な状態となり、秘密画像110が1、2及び3等の数字であることを認識できるようになる(図1(b))。
【0020】
以上のように、本実施の形態の商品引き換えカードによれば、秘密画像110にはダミー画像120が重ねて設けられ、ダミー画像120は図3で示した模様で構成される。よって、秘密状態にある秘密画像110が目の錯覚により視認され難くなるので、秘密画像の隠蔽性を高めることができる。
【0021】
また、本実施の形態の商品引き換えカードによれば、秘密画像110は、秘密画像110により削り取られたコインの金属が秘密画像110の表面に付着して着色されて視認可能な状態で現れる。よって、削りカスが発生しない商品引き換えカードを実現することができる。
【0022】
(第2の実施の形態)
本実施の形態の商品引き換えカードは、ダミー画像が図3で示した模様とは異なる模様で構成されるという点で第1の実施の形態の商品引き換えカードと異なる。以下、第1の実施の形態の商品引き換えカードと異なる点を中心に説明する。
【0023】
図4は、ダミー画像220の詳細を説明するための図である。
ダミー画像220は、円環模様230、240と菊花模様250とから構成される。
【0024】
円環模様230は、カラーの円環であり、行列状に複数配置されている。円環模様230は、その円周方向(図4のA方向)に沿って等間隔で分断されている。分断された円環模様23の間は、円環模様230と異なるカラー、例えば白色で塗りつぶされている。
【0025】
円環模様240は、円環模様230に外接する円環であって、互いに接するように行列状に複数配置されている。円環模様240は、分断された円環模様230の間のカラーと同一のカラーの円環である。
【0026】
菊花模様250は、円環模様230に内接し、菊花を描くカラーの画線である。この画線のカラーは、円環模様230のカラーと同一である。菊花模様250を構成する花弁模様は、所定の間隔(図4におけるB)をおいて円環模様230の円周方向に沿って配置されている。
【0027】
以上のように、本実施の形態の商品引き換えカードによれば、秘密画像110にはダミー画像220が重ねて設けられ、ダミー画像220は図4で示した模様で構成される。よって、秘密状態にある秘密画像110が視認され難くなるので、秘密画像の隠蔽性を高めることができる。また、可能な削りカスが発生しない商品引き換えカードを実現することができる。
【0028】
以上、本発明の商品引き換えカードについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態の限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲内で当業者が思いつく各種変形を施したものも本発明の範囲内に含まれる。
【0029】
例えば、ダミー画像が図5で示される模様で構成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、スクラッチ印刷物に利用でき、特に商品引き換えカード等に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1の実施の形態の商品引き換えカードの構成を示す平面図である。
【図2】同実施の形態の商品引き換えカードの断面図(図1のA−A’における断面図)である。
【図3】同実施の形態の商品引き換えカードのダミー画像の詳細を説明するための図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態の商品引き換えカードのダミー画像の詳細を説明するための図である。
【図5】同実施の形態の商品引き換えカードのダミー画像の変形例の詳細を説明するための図である。
【符号の説明】
【0032】
100 印刷シート
110 秘密画像
120、220 ダミー画像
130、140、230、240 円環模様
150、250 菊花模様

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷基材と、
前記印刷基材上に金属より硬度の大きい材料を含む白色インキで印刷された秘密画像であり、前記白色インキの印刷部分を金属でスクラッチすることにより着色されて現れる前記秘密画像と、
前記印刷基材上に前記秘密画像に重ねてカラーインキで印刷された、行列状に配置された複数の円環模様とを備える
ことを特徴とするスクラッチ印刷物。
【請求項2】
前記スクラッチ印刷物は、さらに、前記円環模様に内接する菊花模様を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のスクラッチ印刷物。
【請求項3】
前記円環模様及び菊花模様は、同一色の模様である
ことを特徴とする請求項2に記載のスクラッチ印刷物。
【請求項4】
前記円環模様は、当該円環模様の周方向に沿って等間隔で分断されている
ことを特徴とする請求項3に記載のスクラッチ印刷物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−320293(P2007−320293A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−156436(P2006−156436)
【出願日】平成18年6月5日(2006.6.5)
【出願人】(306016268)プリンテックス株式会社 (1)
【Fターム(参考)】