説明

スクラブ洗浄装置

【課題】中央孔を有する円環形のワークの表面の汚れ、特に中央孔の孔縁に付着した落ちにくい汚れを、螺旋状の突条を外周面に備えたロールブラシを使用して効率的かつ確実に除去できるようにする。
【解決手段】洗浄液3中で回転するワーク1の両面の中央孔1aの下端部に近接する位置に、突条22を外周面に有する一対のロールブラシ4a,4bを当接させ、上記突条22は、ブラシの軸線方向に真っ直ぐ延びる直線部22aと、該直線部22aの両端からそれぞれ螺旋状に延出して螺旋の巻き方向が互いに逆向きである螺旋部22b,22cとで形成し、上記直線部22aをワーク1の中央孔1aの孔縁に接線状に摺接させて該孔縁に付着した汚れを除去し、上記螺旋部22b,22cをワーク1の環状面1bに摺接させて該環状面1bの汚れを除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ディスク基板や光ディスク基板あるいはガラスディスク基板のような円板形をしたワーク、特に中央孔を有する円環形のワークを、ロールブラシを用いて洗浄するスクラブ洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
中央孔を有する円環形のワークを洗浄液中においてロールブラシで洗浄するスクラブ洗浄装置は、例えば特許文献1によって公知である。この洗浄装置は、洗浄液中に鉛直に保持されて回転するワークを、水平に配設した一対のロールブラシで両側から挟持し、回転するこれらのロールブラシで該ワークの両面を摺擦して洗浄するものである。
【0003】
この種の洗浄装置で使用されているロールブラシは、通常、柔軟な合成樹脂により表面が滑らかな円柱状に形成されていて、ワークに押し付けられることによりやや圧縮された状態で該ワークに接触し、該ワークの表面の汚れを擦り取ったりブラシ表面に転移させたりして除去するものである。このときブラシの表面に付着した汚れは、その殆どが直ちに洗浄液によって洗われるが、汚れの種類によっては、一部の汚れがブラシにしばらくの間そのまま残り、再びワークと接触することによって該ワークに再付着することもある。
【0004】
また、上記ワークが中央孔を有する円環形のワークである場合、その内周縁即ち中央孔の孔縁に付着した汚れが特に落ちにくい傾向にあり、洗浄後にこの孔縁に僅かに残存する汚れがワークの品質低下を来しているとの指摘がなされている。
このため従来では、ブラシの押し付け圧を強くすることによってワーク内周縁の汚れを落とすようにしているが、押し付け圧の増加は同時にブラシに残った汚れによりワークの表面に引っ掻き傷を発生させる原因ともなるため、それらの兼ね合いが難しかった。
【0005】
一方、特許文献2及び特許文献3には、外周に螺旋状の洗浄毛あるいは螺旋溝を形成したロールブラシを使用し、このロールブラシでワークを洗浄するようにしたものが開示されている。このうち特許文献2には、ブラシの右半部と左半部とで洗浄毛の螺旋の向きを逆向きにすることも記載されている。
このようなロールブラシを用いると、その螺旋状の部分(上記洗浄毛、又は螺旋溝と螺旋溝との間の部分)がワークの表面に斜めに摺接し、その摺接部分がブラシの回転によって該ブラシの軸線方向に変移するため、ワークの表面の汚れが横方向に押し動かされて排出されることになり、表面が滑らかな通常のロールブラシを使用する場合に比べ、汚れの再付着防止効果に勝れる。
【0006】
しかし、上記ロールブラシを円環形ワークの洗浄に使用しても、螺旋状の部分がワークの中央孔の孔縁を斜めに横切ることによって該孔縁に対して点状に接触するため、孔縁に対する摺接長及び摺接時間が短く、従って、該孔縁に付着した汚れを確実に落とすことはできない。
【特許文献1】特開2001−137790号公報
【特許文献2】特開平8−150377号公報
【特許文献3】特開平9−103748号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明の目的は、中央孔を有する円環形のワークの表面の汚れ、特に中央孔の孔縁に付着した落ちにくい汚れを、螺旋状の洗浄用突条を備えた新規なロールブラシを使用して効率的かつ確実に除去することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明によれば、中央孔を有する円環形のワークを洗浄液中で回転させながら、一対の回転するロールブラシで該ワークを両側から挟んで環状面をスクラブ洗浄する洗浄装置であって、上記ロールブラシは、上記ワークの直径と同等以上の軸線方向長さを有する柔軟な合成樹脂製の摺擦部を有していて、上記中央孔の上端部又は下端部に近接する位置で該ワークに当接しかつ該ワークを横断するように配設され、上記摺擦部の外周面には、複数の洗浄用突条が形成され、これらの突条が、摺擦部の中央部をブラシの軸線方向に真っ直ぐ延びてワークの中央孔の孔縁に摺接する直線部と、該直線部の両端から摺擦部の両端に向けて螺旋状に延在し、その螺旋の巻き方向が互いに逆向きである螺旋部とからなっていることを特徴とするスクラブ洗浄装置が提供される。
【0009】
本発明においては、上記ロールブラシにおける突条の直線部の長さは、上記ワークの中央孔の直径より短いことが望ましい。
また、上記ロールブラシは、複数の摺擦部を有していて、これらの摺擦部で複数のワークを同時にスクラブ洗浄するように構成されていても良い。
【0010】
本発明においては、ワークの上方外端部に当接して該ワークを回転させる複数の駆動ローラを有し、上記ロールブラシによる洗浄時の摩擦力で該ワークが上記駆動ローラに押し付けられるように構成されている。
【0011】
また、本発明によれば、中央孔を有する円環形のワークの表面をスクラブ洗浄するためのロールブラシとして、柔軟な合成樹脂からなる円柱状の摺擦部を有し、上記摺擦部が、上記ワークの直径と同等以上の軸線方向長さを有し、該摺擦部の外周面には、ワークに摺接する複数の洗浄用突条が形成されていて、これらの突条が、該摺擦部の軸線方向の中央部に位置して該軸線方向に真っ直ぐ延びる直線部と、該直線部の両端から摺擦部の両端に向けて螺旋状に延在し、その螺旋の巻き方向が互いに逆向きである螺旋部とで構成されていることを特徴とするロールブラシが提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、ロールブラシの外周に、直線部と螺旋部とからなる複数の洗浄用突条を形成し、このロールブラシをワークの中央孔の上端部又は下端部に近接する位置で該ワークに当接させてスクラブ洗浄するようにしたので、上記螺旋部が、ワークの環状面の汚れを擦り落とすと共にそれを横方向に押し動かして該環状面の外部に放出させるように機能し、また、上記直線部は、ワークの中央孔の端部において該中央孔の孔縁に接線状に摺接し、該孔縁に付着した汚れを擦り落とすように機能する。
この結果、上記突条の螺旋部と直線部との作用により、ワークの環状面と内周面とに付着した汚れが確実かつ効率的に除去されることになり、特に、上記直線部が中央孔の孔縁に接線状に摺接して汚れを擦り落とすため、長い摺接長で確実な摺擦が行われ、汚れの除去効果に勝れる。しかも、落とされた汚れはワークの外周部と内周部とを通じて洗浄液中に放出されるため、ブラシからワークに再付着することがなく、再付着防止効果にも勝れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1及び図2は本発明に係るスクラブ洗浄装置の要部を概略的に示すもので、この洗浄装置は、円形の中央孔1aを有する円環形のワーク1を、洗浄槽2内に収容された洗浄液3中で回転させながら、一対の回転するロールブラシ4a,4bで該ワーク1を両側から挟んでスクラブ洗浄するものである。
上記ワーク1としては、磁気ディスク基板や光ディスク基板あるいはガラスディスク基板などが挙げられ、また、上記洗浄液3としては、ワーク1の種類や洗浄目的等に応じて純水や洗剤溶液あるいは化学薬液などが選択的に使用される。
【0014】
上記洗浄液3は、上記洗浄槽2内を一側から他側に向けて横向きに流れる一様な流れである。従って、上記洗浄槽2は略溝形に形成され、その上流側には、洗浄液を一様な流れにして供給するための給液部が設けられ、下流側には、洗浄後の洗浄液を排出するための排液部が設けられている。しかし、それらの構成は既に公知であり、また本発明の要旨とも直接関係がないため、図示は省略されている。
【0015】
上記ワーク1は、上記洗浄液3中に該洗浄液の流れと平行に配置され、その外端部に当接する複数の駆動ローラ5によって回転させられるようになっている。図示した例では、該ワーク1が鉛直(縦向き)に配置されていて、上方外端部に当接する2つの駆動ローラ5,5で駆動されることにより、水平な軸線を中心に回転する。これらの駆動ローラ5,5は、外周にV字形の周溝5aを有するもので、この周溝5a内にワーク1の上端部が嵌合している。
【0016】
上記駆動ローラ5は、洗浄槽2の上部に配設された支持装置6に支持され、この支持装置6に搭載されたモータ7で駆動されるものである。即ち、上記支持装置6の一側端から洗浄槽2内に向けてローラ支持アーム10が下向きに延出し、このローラ支持アーム10の下端部にローラ軸11が水平かつ片持梁状に支持され、このローラ軸11の先端部に上記駆動ローラ5が取り付けられている。そして、上記ローラ軸11の基端部にはプーリ12が取り付けられ、このプーリ12が、支持装置6に設けられた図示しない伝動機構にベルト13を介して連結され、この伝動機構が上記モータ7に連結されており、このモータ7で2つの駆動ローラ5,5が同じ方向に駆動、回転されるようになっている。
【0017】
上記支持装置6にはまた、上記一対のロールブラシ4a,4bも支持されていて、これらのロールブラシ4a,4bが、該支持装置6上に搭載されたモータ8a,8bで駆動されるようになっている。即ち、該支持装置6からは、上記ワーク1を挟んで上流側と下流側とに位置するように前後一対のブラシ支持アーム15a,15bが洗浄槽2内に向けて下向きに延出し、これらのブラシ支持アーム15a,15bの下端部に、軸線を水平かつ洗浄液3の流れと平行に向けた上記ロールブラシ4a,4bが、ブラシ軸16の両端を回転自在に支持されることにより取り付けられている。そして、一方の第1ロールブラシ4aが、一方の第1ブラシ支持アーム15aと支持装置6とに設けられた伝動機構を介して第1モータ8aに連結され、他方の第2ロールブラシ4bが、反対側の第2ブラシ支持アーム15bと支持装置6とに設けられた伝動機構を介して第2モータ8bに連結され、これらのモータ8a,8bで2つのロールブラシ4a,4bが、個別にかつ同期的に駆動、回転されるようになっている。
しかし、上記2つのロールブラシ4a,4bは、何れか1つのモータにより一方のブラシ支持アームを通じて駆動することもできる。
なお、実際の洗浄装置においては、上記ローラ支持アーム10及びブラシ支持アーム15a,15bが、洗浄液3の流れをできるだけ乱さないように構成されることは言うまでもないことである。
【0018】
上記2つのロールブラシ4a,4bが配設されている位置は、上記ワーク1の中央ではなく、中央孔1aより僅かに下方の、該中央孔1aの下端部端縁に近接する位置であり、このような位置に上記ロールブラシ4a,4bが、ワーク1に当接した状態で該ワーク1を水平に横断するように配設されている。
また、上記ロールブラシ4a,4bの回転方向は、互いに逆向きで、それらの回転力によってワーク1が上方に押し上げられる方向である。これによって該ワーク1は、上記駆動ローラ5に押し付けられると共に、その位置に保持され、その状態でこれら一対のロールブラシ4a,4bによって両面が洗浄される。従ってこれらのロールブラシ4a,4bは、ワーク1を駆動ローラ5に押し付けるための押付手段をも兼ねるものである。
上記2つのロールブラシ4a,4bは、相互間の間隔を調整できるようになっていることが望ましく、これにより、ワーク1の挟持及び解放動作が容易になるだけでなく、洗浄圧の調整も行うことができる。
【0019】
上記ロールブラシ4a,4bは、図4及び図5からも分かるように、ワーク1の表面の汚れを落とすための円柱状の摺擦部18を有し、この摺擦部18の両側から上記ブラシ軸16が延出している。
上記摺擦部18は、金属や合成樹脂等からなる硬質の芯材19の外周に、洗浄に適した柔軟な円筒状の部材20、例えば合成樹脂製スポンジ体などを被設することにより構成されたもので、該摺擦部18の軸線方向長さLは、ワーク1の直径と同等かそれより大きく形成され、また、該摺擦部18の外径Dは、ワーク1の環状面1bの幅Hより小さく形成されている。
従って、これらのロールブラシ4a,4bを、ワーク1の中央孔1aの下端部に近接する位置で該ワーク1に当接させると、上記摺擦部18の両端は該ワーク1から外部に延出することになる。
【0020】
上記摺擦部18の外周面には、ワーク1に摺接する複数の洗浄用突条22が上記円筒状の部材20と一体に形成されている。これらの突条22は、摺擦部18の中央に位置してロールブラシの軸線方向に真っ直ぐ延びる直線部22aと、該直線部22aの両端から摺擦部18の両端に向けて螺旋状に延び、その螺旋の巻き方向が互いに逆向きである2つの螺旋部22b,22cとからなるもので、隣接する突条22,22間には螺旋溝23が区画、形成されている。図示した例では、3筋の突条22が三重螺子の要領で交互に形成されていて、これらの突条22における3つの直線部22aが、摺擦部18の中央部外周に120度間隔で位置している。しかし、上記突条22は2筋であっても4筋以上であっても良い。また、上記突条22の頂部の形状は、図示したように平坦であっても、円弧状の曲面をなしていても構わない。
【0021】
上記直線部22aは、ワーク1の中央孔1aの端部において該中央孔1aの孔縁に接線状に摺接することにより、該孔縁の汚れを落とすための部分であり、その長さは、上記中央孔1aの直径より短く形成されている。
【0022】
一方、上記螺旋部22b,22cは、ワーク1の環状面1bに摺接して該環状面1bの汚れを落とすと共に、落とした汚れを横移動させて該環状面1bの外に放出するための部分であって、上記直線部22の一方に連なる第1螺旋部22bは、右回りで軸線方向外側に進む右巻きの螺旋部であり、また、直線部22の他方に連なる第2螺旋部22cは、左回りで軸線方向外側に進む左巻きの螺旋部である。
そして、図3から分かるように、上記一対のロールブラシ4a,4bは、巻き方向の異なる上記第1螺旋部22bと第2螺旋部22cとを相対向させて配設されている。即ち、第1ロールブラシ4aの右巻きの第1螺旋部22b及び左巻きの第2螺旋部22cと、第2ロールブラシ4bの左巻きの第2螺旋部22c及び右巻きの第1螺旋部22bとが、それぞれ対向するように配設されている。これは、同じ構成を有する2つのロールブラシ4a,4bを、ワーク1を挟んで左右対称に配置したことを意味する。
【0023】
上記構成を有する洗浄装置において、洗浄すべきワーク1が上記一対のロールブラシ4a,4bの間に供給されると、該ワーク1は、図2の矢印方向に回転するこれらのロールブラシ4a,4bの回転力により、上端部が駆動ローラ5に当接して該駆動ローラ5からの回転駆動力を得る位置まで押し上げられ、その位置に保持されて、回転する上記駆動ローラ5で水平な中心軸線を中心にして駆動、回転されながら、洗浄液3中において両面が上記ロールブラシ4a,4bで摺擦、洗浄される。
【0024】
なお、上記ワーク1をロールブラシ4a,4bの位置まで搬送してこれらのロールブラシ4a,4b間に供給する方法については、既に公知の各種方法を用いることができる。例えば、特開2001−137790号公報に開示されているようなキャリヤとその搬送機構、及びキャリヤに保持されたワークをロールブラシの位置まで持ち上げる持上機構等を使用することができる。しかし、それらの構成及び方法については、本発明の要旨と直接関係がないため、ここでの図示と説明は省略されている。
【0025】
上記ワーク1の洗浄中、各ロールブラシ4a,4bの外周に形成された突条22の2つの螺旋部22b,22cにおいては、ワーク1の環状面1bと接触する突条部分が、ロールブラシの回転と共に該環状面1bに沿ってブラシの軸線方向に変移し、ワーク1の表面の汚れを擦り落とすと共に、落とした汚れを横方向に移動させて該環状面1bから外部に放出させる。また、この作用が洗浄液3中で行われるため、落とされた汚れの一部は、突条22間に形成された螺旋溝23を流通する洗浄液3に押し流されて洗浄槽2内に放出され、洗浄液3の流れに乗って下流側に排出される。
【0026】
ここで、上記2つのロールブラシ4a,4bが、図1及び図3に示す向き、即ち、該ロールブラシを正面から見たとき、右巻きの第1螺旋部22bが直線部22aの右側に位置し、左巻きの第2螺旋部22cが直線部22aの左側に位置するように配設されている場合には、各螺旋部22b,22cの上記環状面1bと接触する突条部分がワーク1の内周側に向けて移動するため、該環状面1bの汚れはワーク1の内周側に移動させられ、中央孔1aを通じて洗浄液3中に放出される。
従って、上記両ロールブラシ4a,4bの向きをそれぞれ左右反転させ、右巻きの第1螺旋部22bを直線部22aの左側に位置させると共に、左巻きの第2螺旋部22cを直線部22aの右側に位置させた場合には、環状面1bの汚れはワーク1の外周側に移動させられ、外周端から洗浄液3中に放出されることになる。
【0027】
一方、ロールブラシ4a,4bの摺擦部18の中央に位置する上記直線部22aは、ワーク1の中央孔1aの端部において該中央孔1aの孔縁に接線状に摺接し、該孔縁に付着した汚れを擦り落とす。落とされた汚れは、上記中央孔1aを通じて洗浄液3中に放出される。
【0028】
この結果、上記突条22の直線部22aと螺旋部22b,22cとの作用によって、ワーク1の内周面(中央孔1aの孔縁)と環状面1bとに付着した汚れが確実かつ効率的に除去されることになり、特に、上記直線部22aが中央孔1aの孔縁に接線状に摺接して汚れを擦り落とすため、長い摺接長で確実な摺擦が行われ、汚れの除去効果に勝れる。しかも、落とされた汚れはワーク1の外周部又は内周部(中央孔1a)を通じて洗浄液3中に放出されるため、ワーク1に再付着することがなく、再付着防止効果にも勝れる。
【0029】
図6はロールブラシの異なる構成例を示すもので、このロールブラシ4は、複数の摺擦部18,18を有していて、これらの摺擦部18,18で複数のワーク1を同時にスクラブ洗浄することができるように構成されている。上記複数の摺擦部18,18における突条22の構成、即ち直線部22aと2つの螺旋部22b,22cとに関する構成は、互いに同じであって、その構成は、図4に示すロールブラシ4a,4bの摺擦部18と同じである。
【0030】
なお、図示した実施形態においては、2つのロールブラシ4a,4bがワーク1の中央孔1aの下端部側に配設されているが、これらのロールブラシ4a,4bは、中央孔1aの上端部側に配設しても良い。
また、上記2つのロールブラシ4a,4bがワーク1を挟んで左右対称に配設されているが、これらのロールブラシ4a,4bは、互いに同じ向き、即ち、第1螺旋部22b同士及び第2螺旋部22c同士が相対向する向きに配設することもできる。
さらに、上記洗浄槽は、洗浄液が槽の底部側から上向きに流れて槽壁から溢れるオーバーフロー式のものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係るスクラブ洗浄装置の一実施形態を概略的に示す断面図ある。
【図2】図1のA−A線での断面図である。
【図3】図1の要部の平面図である。
【図4】ロールブラシの平面図である。
【図5】ロールブラシの断面図である。
【図6】ロールブラシの異なる構成例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 ワーク
1a 中央孔
1b 環状面
3 洗浄液
4a,4b ロールブラシ
18 摺擦部
22 突条
22a 直線部
22b,22c 螺旋部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央孔を有する円環形のワークを洗浄液中で回転させながら、一対の回転するロールブラシで該ワークを両側から挟んで環状面をスクラブ洗浄する洗浄装置であって、
上記ロールブラシは、上記ワークの直径と同等以上の軸線方向長さを有する柔軟な合成樹脂製の摺擦部を有していて、上記中央孔の上端部又は下端部に近接する位置で該ワークに当接しかつ該ワークを横断するように配設され、
上記摺擦部の外周面には、複数の洗浄用突条が形成され、これらの突条が、摺擦部の中央部をブラシの軸線方向に真っ直ぐ延びてワークの中央孔の孔縁に摺接する直線部と、該直線部の両端から摺擦部の両端に向けて螺旋状に延在し、その螺旋の巻き方向が互いに逆向きである螺旋部とで構成されている、
ことを特徴とするスクラブ洗浄装置。
【請求項2】
上記ロールブラシにおける突条の直線部の長さが上記ワークの中央孔の直径より短いことを特徴とする請求項1に記載のスクラブ洗浄装置。
【請求項3】
上記ロールブラシが複数の摺擦部を有していて、これらの摺擦部で複数のワークを同時にスクラブ洗浄するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のスクラブ洗浄装置。
【請求項4】
ワークの上方外端部に当接して該ワークを回転させる複数の駆動ローラを有し、上記ロールブラシによる洗浄時の摩擦力で該ワークが上記駆動ローラに押し付けられるように構成されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のスクラブ洗浄装置。
【請求項5】
中央孔を有する円環形のワークの表面を洗浄するためのロールブラシであって、柔軟な合成樹脂からなる円柱状の摺擦部を有し、
上記摺擦部が、上記ワークの直径と同等以上の軸線方向長さを有し、該摺擦部の外周面には、ワークに摺接する複数の洗浄用突条が形成されていて、これらの突条が、該摺擦部の軸線方向の中央部に位置して該軸線方向に真っ直ぐ延びる直線部と、該直線部の両端から摺擦部の両端に向けて螺旋状に延在し、その螺旋の巻き方向が互いに逆向きである螺旋部とで構成されていることを特徴とするロールブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−142590(P2008−142590A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−329842(P2006−329842)
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【出願人】(000107734)スピードファムクリーンシステム株式会社 (3)
【Fターム(参考)】