説明

スクランブル放送システム

【課題】複数のスクランブル鍵に対応しつつ広告情報の促進を図るスクランブル放送システムを提供する。
【解決手段】放送装置は、番組関連情報提供サーバ102で番組関連情報内にスクランブル鍵を挿入して送信し、番組とこの番組の関連情報である番組関連情報を対応付ける対応情報を受信装置に送信する。受信装置103は、上記対応情報を受信し、前記対応情報から、視聴する番組を選択し、前記視聴する番組に対応する番組関連情報を特定し、番組管理情報の視聴を行うことでスクランブル鍵を取得し、番組のスクランブル解除を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、番組にスクランブルを施して放送し、視聴を許可された受信端末のみがスクランブルを解除することによって視聴を可能とする、スクランブル放送システムに関するものである。
【0002】
特に、広告情報(コマーシャル)を視聴することで、視聴者が希望する番組のスクランブルを解除することを可能とするスクランブル解除の仕組みに適用されるものである。
【背景技術】
【0003】
従来のスクランブル放送システムとしては、共通情報(ECM:Entitlement Control Message)をコマーシャル中に挿入しているものがあった(例えば、特許文献1参照)。図6は、前記特許文献1に記載された従来のスクランブル放送を送出するビデオ送信機のブロック図を示すものである。
【0004】
図6において、デジタルビデオ送信機は、デジタル放送番組を供給する番組供給サーバ101と、コマーシャルを供給するCMサーバ302と、デジタル放送番組を所定のワークキーを使用してスクランブルするスクランブラ303と、スクランブルされたデジタル放送番組データ、コマーシャルデータ、ワークキーを含んだ番組情報を有するECMをコマーシャルデータに挿入してマルチプレクサ304で多重化させてデジタル放送データを生成するCASSコントローラ305から構成される。
【0005】
このような構成によって、放送番組の受信側ではコマーシャル中の放送データから該当するトランスポートストリームを受信し、そのコマーシャルに含まれるワークキーを含むECMを抽出し、そのECM中に含まれるワークキーでディスクランブルすることで所望のデジタル放送番組を得るようにしておくことで、必ず一回のコマーシャルを見る機会を放送番組受信者に与えるようにしたテレビ送受信機を実現していた。
【0006】
また、図7にTS(トランスポートストリーム)パケット中のECMセクション構造を示す。
【0007】
図7に示すように、ECMセクションはECMセクションヘッダ、ECM本体、セクションCRCから構成される。また、ECM本体では、プロトコル番号、有料事業体識別、ワーク鍵識別、判定タイプ、年月日時分、録画制御と、スクランブル鍵(Odd)とスクランブル鍵(Even)の2つの鍵を有する。この2つの鍵は上記でのワークキーに相当し、スクランブル解除を行う鍵として使用していた。
【特許文献1】特開2002−51321号公報(第3−4頁、図1、図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来の構成では、該ワークキーを含んだECMを放送番組本体より前のコマーシャル部分に挿入して送るため、必ず視聴者が希望する番組の直前に該当するコマーシャルを視聴する必要がある。このため、たまたま視聴者がコマーシャル配信時にチャンネルを合わせていなかった時など、番組のスクランブルを解除できないことが頻繁に起こる可能性があった。
【0009】
また、ECM中に含まれるスクランブル鍵はOddとEvenの2種類のみであり、1つのコマーシャル視聴によって書替え可能な鍵は2つに限定されてしまう。このため、コマーシャルからコマーシャルの間は2種類のみのスクランブルを施した番組しか配信できなかった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明のデジタル放送番組を提供する放送局装置は、
スクランブルを施した番組を受信装置に送信する番組送信手段と、
前記番組と前記番組の関連情報である番組関連情報とを対応付ける対応情報を作成する対応情報作成手段と、
前記対応情報を前記受信装置に送信する対応情報送信手段と、
前記番組関連情報に、スクランブル鍵を挿入して前記受信装置に送信する番組関連情報送信手段と、を具備する。前記スクランブル鍵は、ECMに挿入されて送信されてもよい。
【0011】
本発明はまた、デジタル放送番組を受信する受信装置であって、
スクランブルを施した番組を受信する番組受信手段と、
前記番組と前記番組の関連情報である番組関連情報とを対応付ける対応情報を、受信する対応情報受信手段と、
前記番組関連情報を受信する番組関連情報受信手段と、
前記対応情報から、視聴する番組を選択し、前記視聴する番組に対応する番組関連情報を特定する視聴番組関連情報特定手段と、
前記特定された番組関連情報から、スクランブル鍵を抽出するスクランブル鍵抽出手段と、
前記視聴する番組のスクランブルを、前記抽出されたスクランブル鍵を用いて解除するスクランブル解除手段と、を具備する受信装置を提供する。
【0012】
本発明はまた、デジタル放送番組を提供するデジタル放送提供方法であって、
スクランブルを施した番組を受信装置に送信する番組送信ステップと、
前記番組と前記番組の関連情報である番組関連情報とを対応付ける対応情報を作成する対応情報作成ステップと、
前記対応情報を前記受信装置に送信する対応情報送信ステップと、
前記番組関連情報に、スクランブル鍵を挿入して前記受信装置に送信する番組関連情報送信ステップと、を包含するデジタル放送提供方法を提供する。
【0013】
本発明はまた、デジタル放送番組を受信するデジタル放送受信方法であって、
スクランブルを施した番組を受信する番組受信ステップと、
前記番組と前記番組の関連情報である番組関連情報とを対応付ける対応情報を、受信する対応情報受信ステップと、
前記番組関連情報を受信する番組関連情報受信ステップと、
前記対応情報から、視聴する番組を選択し、前記視聴する番組に対応する番組関連情報を特定する視聴番組関連情報特定ステップと、
前記特定された番組関連情報から、スクランブル鍵を抽出するスクランブル鍵抽出ステップと、
前記視聴する番組のスクランブルを、前記抽出されたスクランブル鍵を用いて解除するスクランブル解除ステップと、を具備する受信方法を提供する。
【0014】
本発明の一実施態様において、前記対応情報作成手段における、前記対応情報はさらに、前記番組のシーンを特定するシーン特定情報を含む。
【0015】
前記シーン特定情報としては、スクランブル時刻情報、およびシーンを特定するためのフラグが挙げられる。
【0016】
本発明の一実施態様において、前記番組関連情報は、番組公告情報である。
【0017】
本発明はまた、上記デジタル放送提供方法または上記デジタル放送受信方法を、コンピュータに実行させるためのプログラム、ならびにこれらを記録した記録媒体を包含する。
【0018】
本構成によって、番組関連情報視聴時にスクランブル鍵を保持し、対応情報によってスクランブル時刻を指定してスクランブルを解除することが可能となる。また、複数のスクランブル鍵を保持しておくことで、スクランブルの種類を増やすことが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、番組と前記番組の関連情報である番組関連情報とを対応付ける対応情報から、視聴する番組を選択し、前記視聴する番組に対応する番組関連情報を特定し、番組管理情報の視聴を行うことで、視聴を希望する番組(または番組の所望シーン)のスクランブル鍵を取得し、番組のスクランブル解除を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
(実施の形態1)
次に、本発明における放送局装置と受信装置の実施の形態について図面を参照しながら説明を行う。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態1における放送局装置構成と受信装置構成を含むスクランブル放送システムの概要を示す図である。
【0023】
図1の放送局内の設備において、番組提供サーバ106から提供される番組は、番組管理装置101によって、番組関連情報提供サーバ102から提供される広告情報等の番組関連情報と対応付けを行い、対応情報を作成する。この対応情報は図2に示すように番組識別情報とスクランブル鍵番号と番組中のシーンを特定するシーン特定情報と、番組を視聴するために必要な番組関連情報で構成され、各番組に対応付けを行った番組関連情報の管理を行う。
【0024】
例として、図2の対応情報は番組A、番組B、番組Cの3種類の番組に対して、5種類のスクランブル鍵を用いてスクランブルを施し、それに対応した5種類の番組番組関連情報を含んでいる。また、シーン特定情報としては、番組中の時刻情報や番組メタ情報を用いる。
【0025】
番組管理装置101からは、スクランブル鍵をスクランブラ107に送ると共に、番組関連情報提供サーバ102へと同じスクランブル鍵を送る。さらに、番組と番組関連情報との対応情報も番組関連情報提供サーバ102へと送る。番組関連情報提供サーバ102では、前記対応情報を参照して、番組関連情報中にスクランブル鍵を挿入する。
【0026】
ここで、番組関連情報コンテンツは、番組や商品のコマーシャルやプロモーション映像、URL等の、番組内容に関連したコンテンツで構成される。
【0027】
なお、対応情報中で、番組関連情報中と対応するスクランブル鍵は一つないし複数の情報であり、一つの番組関連情報に複数のスクランブル鍵が含まれる構成でもよい。また、一つの番組関連情報が複数の番組と対応している場合や、逆に一つの番組に対して複数の番組関連情報が関連している場合も想定される。
【0028】
次に、図1における受信装置103での処理を示す。
【0029】
スクランブラ107によってスクランブルを施された番組や番組関連情報はマルチプレクサ108によって伝送路へと配信され、受信装置103によって受信する。
【0030】
受信装置での処理は図3に示す通りである。図3において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0031】
図3において、受信側は受信装置103、ICカード104、画面表示装置105を備える。受信装置103が番組関連情報を受信した場合には、視聴者がその番組関連情報を視聴すると、中に含まれているスクランブル鍵がICカード104へと送られ、そこで各鍵情報を保持する。また、対応情報によって、番組と番組を視聴するために必要な番組関連情報中に含まれるスクランブル鍵がICカード内で関連付けられる。
【0032】
受信装置103にスクランブルが施された番組が受信された場合は、その番組の情報として、番組識別情報と放送時刻をICカード104へと送り、それに対応したシーン特定情報を検索する。もし対応するシーン特定情報が存在しない場合には、視聴情報表示手段201によって受信装置103から画面表示装置105へとその状況を視聴者に伝えるメッセージを表示する。
【0033】
既に対応する番組関連情報を視聴している場合には、対応するスクランブル鍵が存在するため、対応情報によって番組関連情報を参照して視聴することで、ICカード104から受信装置103へとスクランブル鍵を送り、受信装置103のスクランブル解除手段202において番組のスクランブル解除を行う。
【0034】
なお、ICカード104には複数のスクランブル鍵とシーン特定情報を保持することが可能であり、対応情報に従って受信装置103へスクランブル鍵の供給を行う。
【0035】
図4に本発明の実施の形態1におけるスクランブル鍵の供給処理の一例を示す。図4において、図3と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0036】
図4のICカード104では、既に番組A、番組B、番組Cに対応した番組関連情報を視聴者が視聴している状態である。また、対応情報を用いることで、それらの番組のシーン情報に対応したスクランブル鍵も保持されている。例えば受信装置103で番組Cの視聴を行う場合、その識別情報と視聴しているシーン情報がICカード104へと送られる。そこでシーン特定情報とスクランブル鍵が関連付けられ、スクランブルを解除するのに必要なスクランブル鍵4は受信装置103へと送られる。この鍵を用いて番組Cのスクランブルを解除し、番組視聴が可能となる。
【0037】
かかる構成によれば、スクランブルが施された放送番組を視聴するためには、視聴者が番組関連情報を視聴することでスクランブル鍵を獲ることが必要となる。このことにより、番組関連情報を早送り等の特殊再生によって飛ばすことを防いだり、受信装置による番組関連情報の提示によって、番組関連情報の視聴を促進させたりすることが可能となる。
【0038】
また、ICカード内には複数のシーン特定情報とスクランブル鍵が蓄積されているために、番組管理装置において各番組に対して細かなスクランブル設定を行うことが可能となり、番組関連情報と視聴制御を様々なパターンで関連付けることができる。
【0039】
本実施の形態においては、受信側のICカード104が、シーン特定情報保持部およびスクランブル鍵保持部を備えているが、シーン特定情報保持部およびスクランブル鍵保持部は、受信装置103に設けられていてもよい。
【0040】
なお、前記の説明では、スクランブル解除時に予め番組関連情報を視聴者が見ていることを前提にしており、番組のスクランブル解除が行えない場合には、視聴情報表示手段によって関連する番組関連情報を表示する。
【0041】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2におけるスクランブル鍵の供給処理の一例を示す。図5において、図4と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。また、本発明の実施の形態2では、番組や番組関連情報の対応付けや、伝送路を通じた番組の配信の方法は実施の形態1と同様である。
【0042】
図5において、受信装置103は番組に関連する番組関連情報を受信して保持しておくものとする。ただし視聴者はまだこの番組関連情報を視聴していない状態である。また、番組関連情報を受信した際には、その中に含まれる番組との対応情報を抽出して保持しておくものとする。
【0043】
例えば、受信装置103番組Cを視聴する場合には、受信装置103に保持されている対応情報から判断して、番組関連情報4を視聴する必要がある。視聴者が番組関連情報4を視聴した場合には、そこに含まれるECMを抽出して受信装置103からICカード104へと送る。ICカード104ではECMから番組Cの視聴に必要なスクランブル鍵4を抽出して受信装置103へと鍵を返信する。
【0044】
かかる構成によって、ICカード104は既存の限定受信の関連情報であるECMを用いて視聴制御を実現しているため、受信機の対応によって現行のCAS(Conditional Access System)の用いられるICカードを適用することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明にかかるスクランブル放送システムは、放送番組とそれに関連する広告情報との対応付けを行う手段を有し、広告情報視聴を促進させる手段として有用である。また、放送番組とプロモーション映像等の関連する情報を関連させる他、視聴者のニーズに対応させたスクランブル処理等の用途にも応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態1におけるスクランブル放送システムの概要を示す図
【図2】本発明の実施の形態1における対応情報の構成の一例を示す図
【図3】本発明の実施の形態1における受信側での処理内容を示す図
【図4】本発明の実施の形態1におけるスクランブル鍵の供給処理の一例を示す図
【図5】本発明の実施の形態2におけるスクランブル鍵の供給処理の一例を示す図
【図6】従来のスクランブル放送を送出するビデオ送信機のブロック図を示す図
【図7】TS(トランスポートストリーム)パケット中のECMセクション構造を示す図
【符号の説明】
【0047】
101 番組管理装置
102 番組関連情報提供サーバ
103 受信装置
104 ICカード
105 画面表示装置
301 番組提供サーバ
302 CM提供サーバ
303 スクランブラ
304 マルチプレクサ
305 CASSコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル放送番組を提供する放送局装置であって、
スクランブルを施した番組を受信装置に送信する番組送信手段と、
前記番組と前記番組の関連情報である番組関連情報とを対応付ける対応情報を作成する対応情報作成手段と、
前記対応情報を前記受信装置に送信する対応情報送信手段と、
前記番組関連情報に、スクランブル鍵を挿入して前記受信装置に送信する番組関連情報送信手段と、を具備する放送局装置。
【請求項2】
前記対応情報作成手段において、前記対応情報はさらに、前記番組のシーンを特定するシーン特定情報を含む、請求項1に記載の放送局装置。
【請求項3】
前記番組関連情報は、番組公告情報である、請求項2に記載の放送局装置。
【請求項4】
デジタル放送番組を受信する受信装置であって、
スクランブルを施した番組を受信する番組受信手段と、
前記番組と前記番組の関連情報である番組関連情報とを対応付ける対応情報を、受信する対応情報受信手段と、
前記番組関連情報を受信する番組関連情報受信手段と、
前記対応情報から、視聴する番組を選択し、前記視聴する番組に対応する番組関連情報を特定する視聴番組関連情報特定手段と、
前記特定された番組関連情報から、スクランブル鍵を抽出するスクランブル鍵抽出手段と、
前記視聴する番組のスクランブルを、前記抽出されたスクランブル鍵を用いて解除するスクランブル解除手段と、を具備する受信装置。
【請求項5】
前記対応情報はさらに、前記番組のシーンを特定するシーン特定情報を含む、請求項4に記載の受信装置。
【請求項6】
前記番組関連情報は、番組公告情報である、請求項5に記載の受信装置。
【請求項7】
デジタル放送番組を提供するデジタル放送提供方法であって、
スクランブルを施した番組を受信装置に送信する番組送信ステップと、
前記番組と前記番組の関連情報である番組関連情報とを対応付ける対応情報を作成する対応情報作成ステップと、
前記対応情報を前記受信装置に送信する対応情報送信ステップと、
前記番組関連情報に、スクランブル鍵を挿入して前記受信装置に送信する番組関連情報送信ステップと、を包含するデジタル放送提供方法。
【請求項8】
デジタル放送番組を受信するデジタル放送受信方法であって、
スクランブルを施した番組を受信する番組受信ステップと、
前記番組と前記番組の関連情報である番組関連情報とを対応付ける対応情報を、受信する対応情報受信ステップと、
前記番組関連情報を受信する番組関連情報受信ステップと、
前記対応情報から、視聴する番組を選択し、前記視聴する番組に対応する番組関連情報を特定する視聴番組関連情報特定ステップと、
前記特定された番組関連情報から、スクランブル鍵を抽出するスクランブル鍵抽出ステップと、
前記視聴する番組のスクランブルを、前記抽出されたスクランブル鍵を用いて解除するスクランブル解除ステップと、を具備する受信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−115075(P2006−115075A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−298690(P2004−298690)
【出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】