説明

スクリューフィーダ

【課題】流動化手段を備えたスクリューフィーダにおいて、スクリュー軸を軸支する軸受けの焼き付きや固着を防止する。
【解決手段】スクリュー軸12を軸支する軸受け26をスペーサ手段30によって軸受け用ダストシール24から軸方向外側に離間させると共に、軸受けとダストシールとの間の領域を外部雰囲気に開放させることにより、ダストシール24を通過した粉粒体が外部雰囲気へ排出されるのを可能にし、これにより、粉粒体が軸受け26に到達するのを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体を定量供給するためのスクリューフィーダに係り、より詳しくは、ホッパーに収容された粉粒体を流動化させる流動化手段を備えたスクリューフィーダの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
粉粒体を定量供給するためにスクリューフィーダが使用されている。図1に示したように、スクリューフィーダ1はホッパー2とスクリューケース3と出口管4を備え、スクリューケース3内に回転可能に配置されたスクリュー5を減速歯車付きモータのようなモータ6によって回転駆動することにより粉粒体を輸送先容器7へ定量供給するようになっている。
【0003】
粉粒体を安定して切り出すようにするため、スクリューフィーダのホッパー2内の粉粒体に対してエアレーションを行うことにより粉粒体を流動化させるようになったスクリューフィーダが使用されている。
図1に示した例では、この流動化手段は、空気透過性で微多孔性の円錐截頭形の流動化用隔膜8をホッパー2の内側に半径方向に離間して配置することによりホッパー2の内側に密閉された空気充満室9を形成し、この空気充満室9にエアコンプレッサ10などから圧縮空気を送って流動化用隔膜8を介してホッパー内に吹き込むことにより粉粒体を流動化させるようになっている。
空気充満室9には一般に大気圧よりも1気圧程度高い圧力で圧縮空気が供給される。使用済みのエアレーション用空気はバッグフィルターを備えた空気抜き装置11から大気に放出される。
【0004】
図2は図1に示したスクリューフィーダの破線円A内部分の拡大断面を示すもので、図2に示したように、フィーダのスクリュー5のスクリュー軸12は例えばモータ6の取付けプレート13に装着された軸受け14によって軸支されている。粉塵が軸受け14に進入するのを防止するため、軸受け14の上流側にはリップシール型のダストシール15が配置してある。
モータ6の出力軸16はスクリュー軸12の端部に形成した軸方向孔内に離脱自在に嵌合されかつキー止めされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
圧縮空気による流動化手段を備えたスクリューフィーダにおいては、軸受けやダストシールを所定の時間間隔で定期的に交換しているにも拘わらず、軸受けが早期に焼き付いたり固着したりするという問題がある。この問題は、定量供給すべき粉粒体が研削性を有する場合には特に顕著である。
本発明の発明者が原因を究明したところ、流動化手段を備えたスクリューフィーダにおいては、何等かの理由によって排出管4が詰まったり空気抜き装置11の通気抵抗がフィルターの目詰まりなどにより増加すると、ホッパー2の内圧が予想外に大きくなり、その結果、ダストシール15の前後に加わる差圧が増大し、スクリューケース3内の粉粒体がダストシール15内に進入することが分かった。
こうして、回転するスクリュー軸12とダストシール15のリップとの間に粉粒体が進入すると、ダストシール15のリップが摩耗し、ダストシール15のシール機能が失われる。その結果、粉粒体が軸受け14に進入し、予想以上に早期に軸受け14の焼き付きや固着を招いていた。
【0006】
本発明は、流動化手段を備えたスクリューフィーダにおいては、軸受けの焼き付き或いは固着の原因の一は、前述したようにホッパーの内圧の増大によりダストシールを通過した粉粒体に因るものであるという知見に立脚するもので、本発明の目的は、流動化手段を備えたスクリューフィーダにおいて、ダストシールの機能が低下してもその下流に配置した軸受けの焼き付きや固着が生じることのないスクリューフィーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ホッパーに収容された粉粒体に対してエアレーションを行うことにより粉粒体を流動化させるための流動化手段を備えたスクリューフィーダにおいて、スクリュー軸を軸支するための軸受けをスペーサ手段によって軸受け用ダストシールから軸方向外側に離間させると共に、前記軸受けとダストシールとの間の領域を外部雰囲気に開放させることにより、ダストシールを通過した粉粒体が外部雰囲気へ排出されるのを可能にし、ダストシールを通過した粉粒体が軸受けに到達するのを防止するようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
このように、ダストシールを通過した粉粒体が軸受けに到達する前に外部へ排出させるようにしたので、万一、ダストシールの摩耗によりシール機能が低下し或いは失われた場合でも、ダストシールを通過した粉粒体が軸受けに達するのが防止され、軸受けの焼き付きや固着が防止される。
本発明によれば、スクリューフィーダのトラブルにより粉粒体の定量供給が不可能或いは不安定になり、その結果生産ラインを止めざるを得ない、といった不測の事態を回避することができる。
本発明によれば、砥粒のように非常の研削性の高い粉粒体でさえも安定的に定量供給することができ、軸受けやダストシールの定期的な保守交換よりも早期に不本意に軸受けが焼き付いたり固着したりするのを防止することができる。
【0009】
好ましい実施態様においては、スペーサ手段はダストシールと軸受けとを互いに離間させる複数のスペーサボルトを備えている。
より簡素な実施態様においては、スペーサ手段はダストシールと軸受けとを互いに離間させるスペーサスリーブを備え、このスペーサスリーブには軸受けとダストシールとの間の領域を外部雰囲気に連通させるための一若しくは複数の切欠きが設けてある。
好ましくは、フィーダのスクリュー軸は軸受けにより駆動部の側で片持ち状に支持されている。このようにすれば、スクリュー軸をそれに付随するダストシールおよび軸受けと共にスクリューケースから側方に抜き出すことができ、ダストシールおよび軸受けの保守点検および交換を容易に行うことができる。
また、このようにスクリュー軸を駆動部の側で片持ち支持すれば、スクリュー軸がグルグルと回転する時にはスクリュー軸の自由端(駆動部側とは反対側の端部)が軸振れにより首振り運動を起こし、その振動がホッパーに伝わってホッパーを加振するので、ホッパーの出口付近で粉体がブリッジを形成するのが防止され、粉体の切り出しが安定化される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】流動化手段を備えた従来のスクリューフィーダの一部切欠き模式的側面図である。
【図2】図1の破線円A内部分の一部切欠き拡大図である。
【図3】本発明のスクリューフィーダのうち図1の破線円A内部分に対応する領域を示す図で、スクリュー軸の中心軸線より上の部分は一部切欠き断面が示してあり、中心軸線より下の部分は側面が示してある。
【図4】図3に示した部分の分解斜視図である。
【図5】図3と同様の図で、本発明のスクリューフィーダの第2実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のスクリューフィーダの構成は、図1の破線円A内および図2に示した領域を除き、図1に示したスクリューフィーダの構成と同様にすることができる。従って、以下では、図1および図2に示した構成については重複説明は省略し、図3以下を参照しながら相違点のみについて説明する。
【0012】
図3および図4を参照するに、図示した実施例では、スクリューケース3の自由端にはダストシール・軸受けアッセンブリ20が着脱自在に取り付けられている。ダストシール・軸受けアッセンブリ20は、第1フェルールプレート22とダストシールアッセンブリ24と軸受けアッセンブリ26と第2フェルールプレート28とを複数(例えば4本)のスペーサボルト30とナットにより互いに一体に締結することにより形成されている。
ダストシールアッセンブリ24はダストシールケース32とリップ型シールリング34とシール押さえ36とで形成されている。リップ型シールリング34はガータースプリング(参照番号なし)を備えており、シールリップをスクリューフィーダのスクリュー軸12の外周に対して緊迫するようになっている。
軸受けアッセンブリ26はベアリングケース38とベアリングアッセンブリ40からなる。
【0013】
夫々のスペーサボルト30は、その軸方向外側端部に第2フェルールプレート28の雌ネジ穴42(図4)に螺合するネジ部44を備え、その軸方向内側端部にナット46が螺合するネジ部48を備えている。
夫々のスペーサボルト30は、シール押さえ36およびベアリングケース38のボルト挿通孔の内径より大きな外径を有する中間部50を有する。従って、図3に示したようにスペーサボルト30の外側ネジ部44を第2フェルールプレート28の雌ネジ穴42に螺合すると共に内側ネジ部48にナット46を螺合した時には、軸受けアッセンブリ26はダストシールアッセンブリ24から軸方向外側に離間される。
また、図3に示したようにシール押さえ36とベアリングケース38との間には空隙が介在するので、シール押さえ36とベアリングケース38との間においてはスクリュー軸12は外部雰囲気に対して露出している。
【0014】
図3から良く分かるように、スクリューケース3の外側端にはフェルールプレート22のフェルールの形のフランジ(以下、フェルール)52と同じ外径のフェルール54が形成示してある。従って、ダストシール・軸受けアッセンブリ20を組み立てた状態で、
フェルールプレート22のフェルール52をスクリューケース3のフェルール54に突き合わせ、市販のフェルール・クランプバンド(図示せず)によってフェルール52とフェルール54とを互いに締結すれば、容易かつ迅速にダストシール・軸受けアッセンブリ20をスクリューケース3に連結することができる。また、フェルール・クランプバンドを開放すればスクリューケース3からダストシール・軸受けアッセンブリ20を簡単に取り外すことができる。
【0015】
ダストシール・軸受けアッセンブリ20の軸方向外側端部には、第2軸受けアッセンブリ56を収容したフェルール付きスリーブ58が同じくフェルール・クランプバンド(図示せず)を用いて着脱自在に締結される。第2軸受けアッセンブリ56は、例えば、ベアリングケース62とベアリングアッセンブリ64(図4)からなる。
モータ6が取付けられたモータ取付けプレート13は複数のボルト60によってスリーブ58に締結される。
【0016】
図示した実施例では、モータ取付けプレート13の軸孔には第3ベアリングアッセンブリ66(図3)が装着されている。
図示しないが、互いに隣接する第2ベアリングアッセンブリ40と第3ベアリングアッセンブリ66との間には、それらの外輪の直径より小さな直径を有しかつそれらの内輪の直径より大きな直径を有する薄い間座が配置してあり、互いに隣接する第2ベアリングアッセンブリ40の内輪と第3ベアリングアッセンブリ66の内輪とが干渉しないようになっている。
【0017】
こうして、図示した実施例では、スクリュー軸12は第1ベアリングアッセンブリ40と第2ベアリングアッセンブリ64と第3ベアリングアッセンブリ66との3つのベアリングによってモータ6の側で片持ち状に支持されている。このようにスクリュー軸12はモータ6の側で片持ち支持されており、出口管4の側ではベアリングによって軸支されていないので、フェルール52とフェルール54とを締結するフェルール・クランプバンド(図示せず)を開放するだけで点検保守のためにスクリュー軸12とダストシール・軸受けアッセンブリ20とモータユニット6との組立体をスクリューケース3から側方に(即ち、図1および図3において右方へ)抜き出して容易に取り外すことができる。
また、このようにスクリュー軸12をモータ6の側で片持ち支持すれば、スクリュー軸12の回転時にはスクリュー軸12の自由端(出口管4の側の端部)に行くにつれてスクリュー軸12が軸振れ(半径方向の振れ)を起こして揺動し、その振動がホッパー2に伝わってホッパー2ひいては流動化用隔膜8を揺さぶるので、ホッパー2の出口で粉体がブリッジを形成するのが防止され、ホッパー2からの粉体の切り出しが安定化される。
なお、第2〜第3ベアリングアッセンブリのいづれかは省略することができる。更に、スクリュー軸12の出口管4の側をも軸受けで支持する場合には、第1〜第3ベアリングアッセンブリの数は低減することができる。
【0018】
このように、軸受けアッセンブリ26はダストシールアッセンブリ24から軸方向外側に離隔してあり、軸受けアッセンブリ26とダストシールアッセンブリ24との間の空隙は外部雰囲気に露出させてあるので、万一、ダストシールアッセンブリ24のシールリング34が早期に摩耗した場合でも、ダストシール24を通過した粉粒体は外部へ排出される。従って、本発明によれば、漏洩した粉粒体が軸受けアッセンブリ26に達するのが防止され、軸受けの焼き付き等が防止される。
また、ダストシールアッセンブリ24と軸受けアッセンブリ26との間ではスクリュー軸12は外部に露出しているので、摩耗したシールリング34から逸出した粉粒体を容易に肉眼で発見することができ、シールリング34の摩耗を知ることができるという利点がある。
【0019】
図5は、図3および図4に示したダストシール・軸受けアッセンブリ20の変化形を示す。図5においては図3および図4に示した構成要素と共通する構成要素は同じ参照番号で示し、説明は省略する。
図5を参照するに、この実施例では、ダストシールアッセンブリ24と第1ベアリングアッセンブリ40を支持するために単一のスペーサスリーブ68が使用してある。スペーサスリーブ68の前後の端部には夫々フェルール70、72が形成してあり、これらはスクリューケース3のフェルール54およびフェルール付きスリーブ58のフェルールに対してフェルール・クランプバンド(図示せず)を用いて締結されている。
この実施例ではダストシールアッセンブリ24は縮径してあり、スペーサスリーブ68の前部軸孔に装着してある。第1ベアリングアッセンブリ40は直接にスペーサスリーブ68の前部軸孔に圧入してある。
【0020】
この実施例では、スペーサスリーブ68の中央部の下半部を切欠くことにより下向きの開口74が形成してある。その結果、スクリュー軸12のうちダストシールアッセンブリ24とベアリングアッセンブリ40との間に位置する領域は下方に露出している。
従って、この実施例においても、ダストシールアッセンブリ24のシールリングが摩耗し、粉粒体が逸出したとしても、粉粒体は下方へ排出されるので、ベアリングアッセンブリ40に達することがない。従って、軸受けの焼き付きや固着が同様に防止される。
【0021】
以上には本発明の特定の実施例を記載したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の修正や変更を施すことができる。例えば、スペーサボルト30の数は適宜増減することができ、それらの形状や配置は変更することができる。スペーサスリーブ68の開口74の数は適宜増加することができ、そのサイズや形状も適宜変更することができる。軸受けの数も適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0022】
1: スクリューフィーダ
2: スクリューフィーダのホッパー
3: スクリューケース
8、9、10: 流動化手段
12: スクリュー軸
20、30、68: スペーサ手段
24: ダストシールアッセンブリ
26、40、56、66: 軸受け
30: スペーサボルト
68: スペーサスリーブ

特許出願人 株式会社 ワイ・エム・エス
代理人 弁理士 伊藤 宏


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホッパーに収容された粉粒体に対してエアレーションを行うことにより粉粒体を流動化させるための流動化手段を備えたスクリューフィーダにおいて、スクリュー軸を軸支するための軸受けをスペーサ手段によって軸受け用ダストシールから軸方向外側に離間させると共に、前記軸受けとダストシールとの間の領域を外部雰囲気に開放させることにより、ダストシールを通過した粉粒体が外部雰囲気へ排出されるのを可能にし、もって、ダストシールを通過した粉粒体が軸受けに到達するのを防止するようにしたことを特徴とするスクリューフィーダ。
【請求項2】
前記スペーサ手段はダストシールと軸受けとを互いに離間させる複数のスペーサボルトを備えていることを特徴とする請求項1に基づくスクリューフィーダ。
【請求項3】
前記スペーサ手段はダストシールと軸受けとを互いに離間させるスペーサスリーブを備え、前記スペーサスリーブには前記軸受けとダストシールとの間の領域を外気に連通させるための切欠きが設けてあることを特徴とする請求項1に基づくスクリューフィーダ。
【請求項4】
前記スクリュー軸はその駆動部の側で前記軸受けにより片持ち支持されており、保守点検にあたりスクリュー軸と軸受けとの組立体をスクリューケースから側方に容易に取り外すことができることを特徴とする請求項1から3のいづれかに基づくスクリューフィーダ。
【請求項5】
前記スクリュー軸はその駆動部の側で前記軸受けにより片持ち支持されており、スクリュー軸の回転時にスクリュー軸の自由端が軸振れにより揺動してホッパーを加振するようになっていることを特徴とする請求項1から3のいづれかに基づくスクリューフィーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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