説明

スクリュー機械

【課題】ハウジングの長手方向の膨張が単純な態様で補償されるようにスクリュー機械を構成する。
【解決手段】スクリュー機械、特に押し出し機が、供給端部に供給開口(37)を有するハウジング(1)を有する。縦軸(7)を備えた少なくとも1つのボア(11,12)が具備され、これにスクリューシャフト(13,14)が回転可能に配置される。駆動はギヤ(16)を用いたドライブモータによって行われ、その出力軸(18)はスクリューシャフト(13,14)との回転駆動連結部を有する。ハウジング(1)とギヤ(16)の間に具備されているのは、スライド連結部(24)であり、これにより、ギヤ(16)に対する縦軸(7)の方向におけるハウジング(1)の移動が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプレアンブル部分に従うスクリュー機械に関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプのスクリュー機械は、特に始動時に室温から、一般的に200℃〜300℃の間の非常に高い作動温度まで加熱される。よって、それぞれのハウジングとそれぞれのスクリューシャフトの両方又は多軸機械ではスクリューシャフトが長手方向に膨張する。ここで、それぞれの場合にギヤの出力軸に回転しないように設置されたスクリューシャフトは、そのスクリュー先端に向かって、言い換えればハウジングの排出端部に向かって膨張する。とにかく、スクリュー先端とハウジングの排出端部の間の領域に軸方向遊び(axial play)が存在すれば、これは容易に可能である。従来、実際には熱により引き起こされるハウジングの膨張を補償するために、例えば特許文献1から知られているように、スライド連結部が排出端部に存在する。
【0003】
作動又は構造上の理由のため、ハウジングの排出端部を縦軸の方向に固定することもしばしば必要である。従って、ハウジングの軸方向膨張が、ギヤと場合によりその後ろに配置されたモータとにより吸収されなければならないという問題が生じる。この目的のために、実際には複雑なマルチ玉軸受けがギヤと場合によりドライブモータのために使用され、これらが全体として移動可能になっている。
【0004】
請求項1のプレアンブル部分に従うスクリュー機械は、特許文献2から知られている。熱により生じる長手方向の膨張を補償するために、ここではスクリュー機械とギヤのアタッチメントハウジング(付属装置ハウジング)との間に間隙が設けられ、それでスクリュー機械のハウジングはギヤに向かって熱膨張することができる。ギヤとスクリュー機械のハウジングの間の所定位置は、これによっては実現されない。
【0005】
押出機とこれに隣接するメルトライン(melt line)との間にスライド連結部を構成することが特許文献3から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】EP0849065A1(US5865472に対応)
【特許文献2】US2006/0076705A1
【特許文献3】EP1990176A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ハウジングの長手方向の膨張が単純な態様で補償されるようにスクリュー機械を構成するという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1のプレアンブル部分に従うスクリュー機械において請求項1の特徴部分の構成により達成される。本発明の核は、スクリュー機械の製造方向に見て、ハウジングの直前、言い換えれば機械の供給端部の直前に、熱により生じるハウジングの長手方向の膨張を吸収し補償するスライド連結部を配置することである。同時に、スクリュー機械のハウジングと、縦軸と垂直なギヤとの間に相互支持部がある。
【0009】
有利な構造は従属請求項から明らかであり、これらは互いに及び請求項1と組み合わせて使用される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】二軸押出機として構成されたスクリュー機械の側面縦断面を示す図である。
【図2】ハウジングからギヤへの遷移領域における図1に従うスクリュー機械を通る垂直部分縦断面を示す図である。
【図3】図2に従う遷移領域からのアダプタの斜視図である。
【図4】アダプタの別な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
さらに、本発明のさらなる構成、利点及び詳細は、図面を用いた実施形態の以下の記載から明らかである。
図面に示すスクリュー機械は従来の押出機である。これは、フランジ3により互いに連結した個々のハウジング部分2、いわゆるハウジングセクションからなるハウジング1を有する。ハウジング1は支持部4によりベース5に対して支持され、滑り軸受6が支持部4とハウジング1の間に配置されている。滑り軸受6により、ハウジング1はその縦軸7の方向に移動することができる。従って、支持部4による支持は実質的に垂直方向に行われる。製造方向8の下流である排出端部9の領域では、ハウジング1は、垂直方向と縦軸7の方向の両方に連結部10によって固定されている。従って、ハウジング1のこの排出端部9は静止して固定されている。
【0012】
スクリュー機械は二軸押出機として構成され、言い換えればそれは、相互に平行な縦軸7の方向に延在した穴であって、8の形状の互いに貫通した2つのスクリュー穴11,12を有する。当該スクリュー穴には、2つのスクリューシャフト13,14が互いに平行に配置され、密に噛み合って構成されている。
【0013】
スクリューシャフト13,14は、電気モータ15と減速・分岐ギヤ16により駆動され、クラッチ17がモータ15とギヤ16の間に配置されている。ギヤ16の出力軸18が、クラッチスリーブ19を介してスクリューシャフト13,14のドライブジャーナル20に従来の態様で連結している。これらのクラッチスリーブ19は、ギヤ16のアタッチメントハウジング21、いわゆるランタン内に位置している。このアタッチメントハウジング21も、垂直方向にベース5に対して支持部22により支持されている。
【0014】
ハウジング1、すなわち供給端部を形成する、アタッチメントハウジング21に最も近いハウジング部分2は、従来のように縦軸7の方向にアタッチメントハウジング21に固定連結されておらず、縦軸7の方向にスライド連結部24を介してその対向する端部壁23に移動可能に案内され、これに対して直角に、言い換えれば垂直な方向に固定して支持され、縦軸7に対して水平に横に延在している。
【0015】
この目的のために、アダプタ25が、ねじ26によってアタッチメントハウジング21に隣接した前述のハウジング部分2のフランジ3に締結されている。アダプタ25は2つの部分、すなわち隣接ハウジング部分2に隣接するスクリュー穴部分27と、軸受部分28を有する。スクリュー穴11,12のそれぞれの開始部分が、ねじ26により隣接ハウジング部分2に連結したスクリュー穴部分27に構成されており、スクリュー穴11,12には、図2から分かるように、スクリューシャフト13,14が突出(延出)している。軸受穴29,30が軸受部分28に構成されており、軸受穴29,30には、スクリューシャフト13,14のドライブジャーナル20が回転可能に設置され、例えばグランドパッキンなどのシール32によってシールされている。
【0016】
軸受部分28は、アタッチメントハウジング21の端部壁23における適合軸受開口33に軸方向に移動可能に設置されているが、これに対して垂直に支持されている。さらに、端部壁23の対応する案内溝35に案内された嵌合キー34が、軸受部分28に装着されている。
【0017】
後部のガス抜き通路36が、アダプタ25のスクリュー穴部分27のスクリュー穴11,12から延出している。最初の隣接ハウジング部分においてその直後に製造方向8に構成されているのは、スクリュー機械で調製又は加工されるべき材料のための供給開口37である。
【0018】
作動メカニズムは以下のようである。
始動されると特に加熱により、室温から200℃以上、場合によっては300℃以上もの温度までの急激な温度上昇のために、一方でスクリューシャフト13,14が、他方でハウジング1が大きく膨張する。従来通り縦軸7の方向にギヤ16に対して固定されたスクリューシャフト13,14は、一般的に従来のように、ハウジング1の端部9の方向に、すなわちそれらのスクリュー先端(図示せず)の方向に膨張する。その排出端部9の領域のハウジング1は、スクリューシャフト13,14がハウジング1においてその端部まで膨張できるように構成されている。
【0019】
他方で、ハウジング1は、前述の構造のためにギヤ16の方向に膨張する。スクリュー穴部分27と端部壁23の間の最大の軸方向遊び38は、軸受部分28が適度に軸受開口33内でギヤ16に向かって移動することができるような大きさである。
【符号の説明】
【0020】
1 ハウジング
7 縦軸
9 排出端部
11,12 スクリュー穴
13,14 スクリューシャフト
15 ドライブモータ
16 ギヤ
18 出力軸
24 スライド連結部
25 アダプタ
27 スクリュー穴部分
28 軸受部分
33 軸受開口
37 供給開口


【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給端部と、排出端部(9)と、当該供給端部に供給開口(37)とを有するハウジング(1)と、
縦軸(7)を有する、ハウジング(1)に配置された少なくとも1つのスクリュー穴(11,12)と、
スクリュー穴(11,12)に回転可能に配置されたスクリューシャフト(13,14)と、
ドライブモータ(15)と、
ドライブモータ(15)に駆動連結したギヤであって、スクリューシャフト(13,14)に連結した出力軸(18)を有するギヤ(16)と、を有するスクリュー機械であって、
スライド連結部(24)が、縦軸(7)の方向にハウジング(1)とギヤ(16)の間に配置され、
スライド連結部(24)は、ハウジング(1)に連結したスクリュー穴部分(27)とギヤ(16)に対向する軸受部分(28)とを有したアダプタ(25)を有し、
出力軸(18)を取り囲むアタッチメントハウジング(21)が、ギヤ(16)に設けられ、縦軸(7)に対して横にハウジング(1)を支持する軸受開口(33)を有することを特徴とするスクリュー機械。
【請求項2】
アダプタ(25)の軸受部分(28)は、軸受開口(33)内で縦軸(7)の方向に移動可能に支持されていることを特徴とする請求項1に記載のスクリュー機械。
【請求項3】
スクリューシャフト(13,14)は、縦軸(7)の方向に移動できないように出力軸(18)に連結していることを特徴とする請求項1に記載のスクリュー機械。
【請求項4】
スクリューシャフト(13,14)は、アダプタ(25)のスクリュー穴部分(27)に突出していることを特徴とする請求項1に記載のスクリュー機械。
【請求項5】
スクリューシャフト(13,14)のドライブジャーナル(20)が、アダプタ(25)の軸受穴(29,30)に設置されることを特徴とする請求項1に記載のスクリュー機械。
【請求項6】
ハウジング(1)の排出端部(9)は縦軸(7)の方向に固定可能であることを特徴とする請求項1に記載のスクリュー機械。
【請求項7】
二軸押出機であることを特徴とする請求項1に記載のスクリュー機械。
【請求項8】
ハウジング(1)は、ベース(5)に対して支持部(4)によって支持され、
滑り軸受(6)が支持部(4)とハウジング(1)の間に配置され、当該滑り軸受(6)により、ハウジング(1)は支持部(4)に対して縦軸(7)の方向に移動可能であることを特徴とする請求項1に記載のスクリュー機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−131673(P2010−131673A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−268598(P2009−268598)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(501164665)コペリオン ゲーエムベーハー (20)
【Fターム(参考)】