スクリュー移送装置
【課題】スクリューで流動物(粉状、粒状、泥状等)を移送するスクリュー移送装置において、スクリュー移送運転後の管路内に流動物が残留しないようにする。
【解決手段】このスクリュー移送装置は、スクリューの螺旋羽根(9)の螺旋周縁に、弾性材料からなる掃掻子(11)を有する掃掻部材(10)が取付けられている。掃掻子(11)は金属又は樹脂等の細線からなる刷毛状ブラシ、又は硬質ゴム等の短冊状板材で形成されている。掃掻子(11)は管路内面(1s)に弾性的に押圧されて螺旋羽根(9)と管路内面(1s)とのあいだの隙間(g)を塞ぎ、スクリューの回転駆動により管路内面に弾性摺接する。スクリュー移送運転において、掃掻子(11)は管路内面に接する流動物を前方に押しやるので、スクリュー移送運転後の流動物の残留が抑制防止される。
【解決手段】このスクリュー移送装置は、スクリューの螺旋羽根(9)の螺旋周縁に、弾性材料からなる掃掻子(11)を有する掃掻部材(10)が取付けられている。掃掻子(11)は金属又は樹脂等の細線からなる刷毛状ブラシ、又は硬質ゴム等の短冊状板材で形成されている。掃掻子(11)は管路内面(1s)に弾性的に押圧されて螺旋羽根(9)と管路内面(1s)とのあいだの隙間(g)を塞ぎ、スクリューの回転駆動により管路内面に弾性摺接する。スクリュー移送運転において、掃掻子(11)は管路内面に接する流動物を前方に押しやるので、スクリュー移送運転後の流動物の残留が抑制防止される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉状,粒状,砂状,泥状等の流動物の移送、または該流動物の乾燥、圧縮成形、造粒等の各種処理ないし加工の実施に使用されるスクリュー移送装置に係り、特にその螺旋羽根構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリュー移送装置は、粉状,粒状,砂状あるいは泥状等の流動物の移送手段として広く使用されている。スクリュー移送装置は、図12に示すように、回転軸(8)の周りに螺旋羽根(9)を有するスクリューを、筒状ハウジング(1)の管路の軸方向と一致する向きに配置した構造を有する。スクリューの回転軸(8)の片側は、筒状ハウジング(1)の一方の閉塞板(2)に設けた軸受(4)に支持され、他方の端部は、筒状ハウジングのもう一方の側の閉塞板(3)を貫通して軸受(5)に支承され、更にスプロケットを介して回転駆動用モーター(20)に連結されている。図示のスクリュー移送装置は、被移送物を斜め上方に移送する例であり、傾斜設置された筒状ハウジングジ(1)の下部側に被移送物の供給口(6)、上部側に排出口(7)がそれぞれ設けられている。供給口(6)から投入される被搬送物(流動物)は、スクリューの回転駆動により管路内を斜め上方に移送され排出口(7)から排出される。
【0003】
被移送物(流動物)として、例えば加熱処理された高温の流動物を、スクリュー移送装置で次工程に送出する場合において、被移送物を常温に冷却する必要がある場合は、筒状ハウジング(1)を冷媒流通ジャケット(21)で包囲した構造とし、筒状ハウジング(1)内を移動する過程で所定温度に冷却降温するようにしている。
【0004】
更にスクリュー移送装置は、単に移送手段としてだけでなく、スクリュー移送しながら流動物に所要の処理・加工を施す手段として種々の分野で使用されている。例えば、(1)筒状ハウジング(1)の先端開口部に成形型を設置し、スクリューの回転駆動で流動物に軸方向の圧縮力を作用させて成形型に圧入し固形物を成形するようにしたもの(特許文献1)、(2)湿潤流動物の脱水処理を目的として、筒状ハウジング(1)の管路内面にスクリーンを配置すると共に先端側に背圧板を設け、スクリューの回転駆動による圧縮力の作用(スクリュープレス)で流動物から水分を搾出分離するようにしたもの(特許文献2)、(3)汚泥等の処理手段として、スクリュー移送装置に加熱手段と破砕手段とを付設し、スクリュー移送の過程で加熱乾燥と乾燥物の破砕処理を行うようにしたもの(特許文献3)、等が提案されている。
【特許文献1】特開昭59 −202200号公報
【特許文献2】特開2001−038490号公報
【特許文献3】特開2002−235984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スクリュー移送装置は、図13に示すように、筒状ハウジングの管路内面(1s)と螺旋羽根(9)の先端縁(螺旋周縁)との間に一定の隙間(c)が与えられている。スクリュー運転時の両者の干渉による毀損を防止するためであり、隙間(c)の大きさは、装置構造体の撓み変形等をも考慮して設計される。具体的には移送装置のサイズ等により異なるが、一例を挙げると、筒状ハウジングの管路口径400mm、スクリューの回転軸長9000mmにおいて、隙間(c)の大きさ(隙間幅)は約10〜15mmである。隙間幅は、装置運転の繰返しで摩耗や変形等のため経時的に拡大する。
【0006】
上記隙間(c)は装置設計上不可欠であるが、そのためにスクリュー移送運転の後、運転を停止すると、図13に示したように、筒状ハウジングの管路内面(1s)に、被移送物(流動物)が残留(R)する。残留は主に管路の底面側であるが、被移送物の種類・性質により、側面及び天井側にも付着残留する。管路内の残留物をそのまま放置すると、次のスクリュー移送運転で投入される新たな流動物に混入し、品質の変動等をきたすことになる。流動物の種類によっては、その残留物が管路内面に付着固結し、スクリュー移送効率の低下をきたす原因ともなる。従って残留物の除去作業を適時実施する必要があり、通常水洗作業が行われている。しかし管路内には全長に亘ってスクリューが延在しているため、その回転軸(8)及び螺旋羽根(9)が洗浄作業の邪魔になり、十分な水流や噴射流を残留物に作用させることができない。このため洗浄除去作業は著しく非能率であり、多大の時間と労力とを要している。これまでスクリュー移送装置について上記残留物の除去ないしその抑制防止策に関する有効な提案は見当たらない。
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、被移送物の管路内の残留を効果的に抑制防止することを可能とする改良された螺旋羽根構造を有するスクリュー移送装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のスクリュー移送装置は、回転軸の周りに螺旋羽根を有するスクリューが筒状ハウジング内の軸線方向に回転駆動可能に軸受され、筒状ハウジングの一端側から供給される被移送物である粉状、粒状ないし泥状等の流動物をスクリューの回転駆動により他端側の排出口側に向って移送するスクリュー移送装置において、
筒状ハウジングの内周面に弾性的に押付けられる耐摩耗弾性材からなる掃掻子(11)を備えた掃掻部材(10)を、前記螺旋羽根の螺旋周縁に取付け、スクリューの回転駆動により筒状ハウジングの内周面に摺接させることにより、前記内周面に接する被移送物を前記排出口側に向って移動させるようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
スクリューの回転駆動により流動物(粉状、砂状ないし泥状等)を移送する過程において、螺旋羽根の螺旋周縁に取付けられている掃掻子は、筒状ハウジングの管路内面に弾性的に押圧され、螺旋羽根と管路内面との隙間(c)(図13)を塞いだ状態で管路内面に摺接する。この掃掻子の弾性摺接により、螺旋羽根と管路内面との隙間(c)の流動物はスクリューの回転運動に従って前方(スクリュー移送方向)に押しやられ、管路内の流動物の残留が抑制防止される。
掃掻子は管路内面に対し弾性的に押圧されているので、管路内面に実質的な損傷をきたすことはなく、流動物の管内残留が抑制防止されることにより、管路内面を水洗等により清掃する非能率な除去作業の負担が軽減され、スクリュー移送の運転効率が高められる。また流動物の残留に起因する各種弊害、例えば残留物が次に移送運転される新たな流動物に混入することによる品質への悪影響等が緩和解消される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳しく説明する。各図中、前記図12に示したものと同一の部分には同一の符号を付している。
図1は、本発明のスクリュー移送装置を構成する螺旋羽根の一実施例を示している。図2は、図1の螺旋羽根の螺旋周縁部分を示し、図3は、図2のA-A矢視断面を示している。掃掻部材(10)は、耐摩耗弾性材料からなる掃掻子(11)と、これを保持する取付け金具(12)とからなる。
【0011】
この例における掃掻子(11)は刷毛状ブラシとして形成されている。取付け金具(12)は、螺旋羽根(9)の螺旋周縁に沿う螺旋形状を有すると共に、その外側と内側の背中あわせに形成された断面コ字型の2条の溝(121)と溝(122)とを有している。外側の溝(121)は掃掻子(11)を保持する溝であり、ブラシ毛は根元側を金具(13)で結束され、溝(121)内に保持されて刷毛状の掃掻子(11A)を形成している。刷毛状の掃掻子(11A)を保持した掃掻部材(10A)は、内側の溝(122)を螺旋羽根(9)の螺旋周縁に嵌着されたうえ、螺旋方向の複数個所をビス等の金具(14)で着脱可能に係止されている。
【0012】
図4は、上記掃掻部材(10A)を螺旋羽根(9)に取付けたスクリューの回転駆動時の状態を示している。刷毛状の掃掻子(11A)は、筒状ハウジング(1)の管路内面に弾性的に押圧されて螺旋羽根(9)と管路内面(1s)との隙間(c)(図13)を塞ぎ、スクリューの回転運動と共に管路内面に摺接する。管路の内周面に接する被移送物は、管路内面に押圧された掃掻子(11A)によりスクリューの回転運動に伴なって前方に押しやられる。
【0013】
掃掻子(11A)は、上記のように管路内面の被移送物をスクリューの回転運動に従って前方に押しやる作用をなす部材であるから、その作用に必要な弾性率、耐力等を備えた材種であることを要する。またその作用が安定に保持されるように、管路内面との摺接による摩損を容易に生じない耐摩耗性を有すると共に、被移送物が例えば腐食性の物質を含むものである場合には、それに耐える化学的安定性(耐食性等)を必要とする。この掃掻子(11A)を形成するブラシ毛は、金属細線(例えばステンレス鋼線)、プラスチック細線(例えばナイロン線)等であり、具体的な材種、線径,線長等は、移送物の種類やスクリュー運転条件等に応じて適宜選択される。
【0014】
図6は、掃掻部材の他の例を示している。同図のB-B矢視断面を図7に示す。図8はこの掃掻部材(10B)を矢符C方向(図7)から眺めた図である。この例における掃掻子(11B)は弾性材料からなる短冊形状の板材の列として形成されている。短冊状掃掻子(11B)の先端縁は管路の内周面に略相応する円弧形状をなしている。取付け金具(12)は、前記図3のそれと同様に、外側と内側とに背中あわせに形成された断面コ字型の2条の溝(121)と(122)とを有する。短冊状掃掻子(11B)は2列をなして螺旋方向に並び、その根元は取付け金具(12)の外側の溝(121)内に固定されている。短冊状掃掻子(11B)を保持した掃掻部材(10B)は、内側の溝(122)を螺旋羽根(9)の螺旋周縁に嵌着されたうえ、螺旋方向の複数個所においてビス等の金具(14)で着脱可能に係止されている。
【0015】
図9は、短冊状掃掻子(11B)を螺旋羽根(9)の螺旋方向に傾斜させて取付け金具(12)の溝(121)内に固定した例を示している。この掃掻部材(10B)は、短冊状掃掻子(11B)が傾斜姿勢をなしている点を除いて、前記図6の掃掻部材と同様に、先端縁は管路の内周面に略相応する円弧形状を有し、螺旋方向に2列の配置(図8)とされている。
【0016】
上記2列配置された短冊状掃掻子(11B)は、各列における隣合う掃掻子同士の間に末広がり状の隙間(f)(図6,図9)を有すると共に、図8に示したように、一方の列(m)の短冊状掃掻子(11B)を他方の列(n)の短冊状板材(11B)に対し板幅方向(螺旋方向)に若干ずらした位置関係をもって配列されている(図は板幅の約1/2幅分だけずらした例を示している)。
【0017】
短冊状板材同士のあいだに末広がり状の隙間(f)をもたせているのは、短冊状掃掻子(11B)を管路内面に押圧したときに、隣合う掃掻子(11B)(11B)同士が干渉するのを回避するためである。短冊状掃掻子同士が干渉しあうと、相互のせめ合いで短冊状掃掻子(11B)が浮上がり、被移送物の残留を防止すための押出し作用が弱められるからである。また、短冊状掃掻子を2列配置とし、一方の列(m)と他方の列(n)の短冊状掃掻子(11B)を互いに板幅方向に(図では板幅の1/2幅分だけ)ずらしているのは、各列の隙間(f)(被移送物を前方に押出すことができない)を互いの板面で塞ぐためである。
【0018】
上記掃掻部材(10B)を螺旋羽根(9)に取付けたスクリューの回転駆動において、短冊状掃掻子(11B)は、図4に示した刷毛状掃掻子(11A)と同じように、筒状ハウジング(1)の管路内面(1s)に弾性的に押圧されて隙間(c)(図13)を塞いでおり、スクリューの回転運動に従って管路内面に対し弾性的に摺接する。その摺接運動により管路の内面に接している被移送物は、スクリューの回転運動と共に前方に押しやられる。
【0019】
上記短冊状掃掻子(11B)の材種については、前記刷毛状掃掻子(11A)のそれと同じように、管路内面の被移送物を前方に押しやる作用をなすに必要な弾性率、耐力等を有すると共に、その作用が安定に保持されるように管路内面の摺接に対する耐摩耗性を具備するものであることを要し、また被移送物の性質に応じた化学的安定性(例えば耐食性等)を必要とする。短冊状板材の例として硬質ゴム、繊維強化プラスチック等からなる板材が挙げられ、具体的な種類や板材の形状サイズ(板幅,厚さ、長さ等)等は、被移送物の種類やスクリュー運転条件等に応じて適宜設計される。
【0020】
螺旋羽根(9)に取付けられた掃掻部材(10)の掃掻子(11)は、スクリュー移送運転の繰り返しに伴なう摩損その他の原因で漸次劣化するが、前記のように螺旋羽根(9)への取付けを着脱可能にしておけば、損傷等の進み具合に応じて適宜取り替えることができる。 なお、掃掻部材(10)は、螺旋羽根(9)に対する取り付け作業の便宜のために、具体的には、図5に示すように螺旋方向に適当な長さに分割された複数個の部材として製作される。図は刷毛状掃掻子(11A)を有する掃掻部材(10A)を示しているが、短冊状の掃掻部材(10B)の場合も同様である。
【0021】
図1(及び図12)のスクリューは、螺旋羽根(9)の条数が1条である例を示しているが、本発明はこれに限定されず、螺旋羽根(9)の条数は任意である。図10は、2条の螺旋羽根(91)(92)を有するスクリューにおいて、2つの螺旋羽根(91)(92)のそれぞれに掃掻部材(10)を取付けた例を示している。図では刷毛状掃掻部材(10A)を取付けているが、短冊状掃掻子(10B)であってもよく、更には一方の螺旋羽根(91)に刷毛状掃掻部材(10A)を取付け、他方の螺旋羽根(92)には短冊状掃掻部材(10B)を取付けるなど、掃掻部材(10)の選択・組合せは任意である。
【0022】
また、螺旋羽根(9)に対する掃掻部材(10)の取り付け態様として、図1及び図5では、螺旋周縁に連続的に取付けているが、多条螺旋スクリューにおいては、必ずしもそうである必要はなく、図11に示すように、掃掻部材のない断点(g)をおいて断続的に取付けることとしてもよい。2条の螺旋羽根(91)(92)の両方ともに掃掻部材(10)の取付けを断続的とする場合は、図示のようの、両者における断点(掃掻部材を省略した個所)(g)が重複しないように互いの断点を軸方向にずらして設けるとよい。
【0023】
本発明のスクリュー移送装置のスクリュー構造は、螺旋羽根(9)の螺旋周縁に掃掻部材(10)が取付けられている点を除いて、通常のそれと特に異ならず、またスクリュー移送装置の設置形態として、前記図12では、被移送物(流動物)を斜め方向に移送する傾斜型の例を示しているが、むろんこれに限定されず、水平方向に移送する横型、垂直方向に移送する縦型、あるいは傾斜型、横型、縦型等の2つ以上を連設した組合せ型等のいずれにも適用される。
【0024】
本発明のスクリュー移送装置は、例えば酸化鉄粉末の移送手段として使用される。その一例を挙げれば、鉄鋼製造所における酸洗処理設備の酸洗浴槽(鋼板等を浴中通板して鋼板表面のスケールを分離除去する装置)の浴中に懸濁する多量の酸化鉄粉末を回収(例えば磁性材料のフェライト原料として利用)することが試みられており、その回収処理ラインにおける酸化鉄粉末の移送手段として有効に使用することができる。酸洗浴槽から回収される酸化鉄粉末は、所定の処理(焙焼その他の加熱処理)が施された高温状態(例えば600〜850℃)であるが、筒状ハウジング(1)に適宜の冷却手段(例えば筒状ハウジングの外周を被包する冷却水ジャケット)を設けておくことにより、スクリュー移送中に冷却することができる。
【0025】
被移送物(粉状、粒状、泥状等の流動物)は、無機物又は有機物あるいはその混合物等であり、乾燥状態ないし含水・湿潤状態のいずれであってもよい。 また、本発明のスクリュー移送装置は、流動物を単に移送するだけの手段に限定されず、流動物をスクリュー移送しながら、流動物に所要の処理ないし加工を施す装置に適用される。その例として、筒状ハウジング(1)に加熱手段(スチームヒーター等)を設けておき、湿潤(含水)流動物をスクリュー移送しながら加熱乾燥するようにしたもの、流動物の圧縮成形装置として、筒状ハウジング(1)の先端開口部に成形型を設置し、スクリューの回転駆動による軸方向の圧縮力の作用で流動物を成形型に圧入して所要形状に成形された固形物を得るようにしたもの、スクリュー移送装置に加熱手段と破砕手段とを設け、含水流動物を移送しながら流動物の加熱乾燥と破砕処理とを行うようにしたもの、あるいはスクリューに造粒手段を形設し、湿潤流動物の移送過程で乾燥と造粒とを行うようにしたもの等が挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明によれば、粉状、粒状、泥状等の流動物のスクリュー移送操業において、不可避的に生じていた被移送物の管路内残留を抑制防止することができ、残留物を水洗等で管路外に排除している従来の著しく非能率な除去作業の負担が大幅に軽減されると共に、被移送物の残留に起因する種々の不具合が緩和解消され、スクリュー移送運転を効率的に遂行することができ、また残留物が次にスクリュー移送される被移送物に混入する弊害も減少し被移送物の品質維持に奏効するものである。
【0027】
スクリュー移送される流動物(粉状、粒状、泥状等)は、無機物、有機物又はその混合物等であり、乾燥物または含水湿潤物のいずれであってもよく、広範囲の各種分野に適用することができる。更に、流動物の単なる移送手段としての使用にとどまらず、流動物をスクリュー移送しながら所要の処理ないし加工、例えば加熱処理、脱水乾燥、圧縮成形(固形化)、造粒等を行うように構成された各種の装置におけるスクリュー装置に適用して上記の作用効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の螺旋羽根に掃掻部材が取付けられたスクリューの実施例を示す正面図である。
【図2】図1の掃掻部材が取付けられた螺旋羽根の一部を示す図である。
【図3】図2のA-A矢視断面図である。
【図4】筒状ハウジングの管路内面に螺旋羽根の掃掻部材が押圧され摺接している状態を示す断面説明図である。
【図5】掃掻部材の分割構造を示す側面図である。
【図6】螺旋羽根に取付けられた掃掻部材の他の実施例を示す部分図である。
【0029】
【図7】図6のB-B矢視断面図である。
【図8】図7の掃掻部材を矢符C方向から眺めた図である。
【図9】螺旋羽根に取付けられた掃掻部材の他の実施例を示す部分図である。
【図10】本発明の螺旋羽根に掃掻部材が取付けられたスクリューの他の実施例を示す正面図である。
【図11】掃掻部材を螺旋羽根の螺旋方向に断続的に取付けられた例を示す部分図である。
【図12】スクリュー移送装置の例を示す一部切欠き正面図である。
【図13】螺旋羽根と筒状ハウジング内周面との隙間を示す説明図である。
【符号の説明】
【0030】
1:円筒状ハウジング
1s:筒状ハウジングの管路内面
2,3:閉塞板
4,5:軸受
6:被移送物供給口
7:被移送物排出口
8:回転軸
9(91,92) :螺旋羽根
10(10A, 10B):掃掻部材
【0031】
11 :掃掻子
11A:刷毛状掃掻子
11B:短冊状掃掻子
12:取付け金具
121:掃掻子保持用溝
122:螺旋羽根取付け溝
13:ブラシ毛結束金具
14:係止具(ビス)
20:回転駆動用電動機
21:冷却水ジャケット
c :隙間(螺旋羽根の先端縁と管路内面の間)
f :末広がり状の隙間(短冊状掃掻子同士の間)
g :断点(掃掻部材の取付けが省略された個所)
R :被移送物の残留
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉状,粒状,砂状,泥状等の流動物の移送、または該流動物の乾燥、圧縮成形、造粒等の各種処理ないし加工の実施に使用されるスクリュー移送装置に係り、特にその螺旋羽根構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリュー移送装置は、粉状,粒状,砂状あるいは泥状等の流動物の移送手段として広く使用されている。スクリュー移送装置は、図12に示すように、回転軸(8)の周りに螺旋羽根(9)を有するスクリューを、筒状ハウジング(1)の管路の軸方向と一致する向きに配置した構造を有する。スクリューの回転軸(8)の片側は、筒状ハウジング(1)の一方の閉塞板(2)に設けた軸受(4)に支持され、他方の端部は、筒状ハウジングのもう一方の側の閉塞板(3)を貫通して軸受(5)に支承され、更にスプロケットを介して回転駆動用モーター(20)に連結されている。図示のスクリュー移送装置は、被移送物を斜め上方に移送する例であり、傾斜設置された筒状ハウジングジ(1)の下部側に被移送物の供給口(6)、上部側に排出口(7)がそれぞれ設けられている。供給口(6)から投入される被搬送物(流動物)は、スクリューの回転駆動により管路内を斜め上方に移送され排出口(7)から排出される。
【0003】
被移送物(流動物)として、例えば加熱処理された高温の流動物を、スクリュー移送装置で次工程に送出する場合において、被移送物を常温に冷却する必要がある場合は、筒状ハウジング(1)を冷媒流通ジャケット(21)で包囲した構造とし、筒状ハウジング(1)内を移動する過程で所定温度に冷却降温するようにしている。
【0004】
更にスクリュー移送装置は、単に移送手段としてだけでなく、スクリュー移送しながら流動物に所要の処理・加工を施す手段として種々の分野で使用されている。例えば、(1)筒状ハウジング(1)の先端開口部に成形型を設置し、スクリューの回転駆動で流動物に軸方向の圧縮力を作用させて成形型に圧入し固形物を成形するようにしたもの(特許文献1)、(2)湿潤流動物の脱水処理を目的として、筒状ハウジング(1)の管路内面にスクリーンを配置すると共に先端側に背圧板を設け、スクリューの回転駆動による圧縮力の作用(スクリュープレス)で流動物から水分を搾出分離するようにしたもの(特許文献2)、(3)汚泥等の処理手段として、スクリュー移送装置に加熱手段と破砕手段とを付設し、スクリュー移送の過程で加熱乾燥と乾燥物の破砕処理を行うようにしたもの(特許文献3)、等が提案されている。
【特許文献1】特開昭59 −202200号公報
【特許文献2】特開2001−038490号公報
【特許文献3】特開2002−235984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スクリュー移送装置は、図13に示すように、筒状ハウジングの管路内面(1s)と螺旋羽根(9)の先端縁(螺旋周縁)との間に一定の隙間(c)が与えられている。スクリュー運転時の両者の干渉による毀損を防止するためであり、隙間(c)の大きさは、装置構造体の撓み変形等をも考慮して設計される。具体的には移送装置のサイズ等により異なるが、一例を挙げると、筒状ハウジングの管路口径400mm、スクリューの回転軸長9000mmにおいて、隙間(c)の大きさ(隙間幅)は約10〜15mmである。隙間幅は、装置運転の繰返しで摩耗や変形等のため経時的に拡大する。
【0006】
上記隙間(c)は装置設計上不可欠であるが、そのためにスクリュー移送運転の後、運転を停止すると、図13に示したように、筒状ハウジングの管路内面(1s)に、被移送物(流動物)が残留(R)する。残留は主に管路の底面側であるが、被移送物の種類・性質により、側面及び天井側にも付着残留する。管路内の残留物をそのまま放置すると、次のスクリュー移送運転で投入される新たな流動物に混入し、品質の変動等をきたすことになる。流動物の種類によっては、その残留物が管路内面に付着固結し、スクリュー移送効率の低下をきたす原因ともなる。従って残留物の除去作業を適時実施する必要があり、通常水洗作業が行われている。しかし管路内には全長に亘ってスクリューが延在しているため、その回転軸(8)及び螺旋羽根(9)が洗浄作業の邪魔になり、十分な水流や噴射流を残留物に作用させることができない。このため洗浄除去作業は著しく非能率であり、多大の時間と労力とを要している。これまでスクリュー移送装置について上記残留物の除去ないしその抑制防止策に関する有効な提案は見当たらない。
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、被移送物の管路内の残留を効果的に抑制防止することを可能とする改良された螺旋羽根構造を有するスクリュー移送装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のスクリュー移送装置は、回転軸の周りに螺旋羽根を有するスクリューが筒状ハウジング内の軸線方向に回転駆動可能に軸受され、筒状ハウジングの一端側から供給される被移送物である粉状、粒状ないし泥状等の流動物をスクリューの回転駆動により他端側の排出口側に向って移送するスクリュー移送装置において、
筒状ハウジングの内周面に弾性的に押付けられる耐摩耗弾性材からなる掃掻子(11)を備えた掃掻部材(10)を、前記螺旋羽根の螺旋周縁に取付け、スクリューの回転駆動により筒状ハウジングの内周面に摺接させることにより、前記内周面に接する被移送物を前記排出口側に向って移動させるようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
スクリューの回転駆動により流動物(粉状、砂状ないし泥状等)を移送する過程において、螺旋羽根の螺旋周縁に取付けられている掃掻子は、筒状ハウジングの管路内面に弾性的に押圧され、螺旋羽根と管路内面との隙間(c)(図13)を塞いだ状態で管路内面に摺接する。この掃掻子の弾性摺接により、螺旋羽根と管路内面との隙間(c)の流動物はスクリューの回転運動に従って前方(スクリュー移送方向)に押しやられ、管路内の流動物の残留が抑制防止される。
掃掻子は管路内面に対し弾性的に押圧されているので、管路内面に実質的な損傷をきたすことはなく、流動物の管内残留が抑制防止されることにより、管路内面を水洗等により清掃する非能率な除去作業の負担が軽減され、スクリュー移送の運転効率が高められる。また流動物の残留に起因する各種弊害、例えば残留物が次に移送運転される新たな流動物に混入することによる品質への悪影響等が緩和解消される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳しく説明する。各図中、前記図12に示したものと同一の部分には同一の符号を付している。
図1は、本発明のスクリュー移送装置を構成する螺旋羽根の一実施例を示している。図2は、図1の螺旋羽根の螺旋周縁部分を示し、図3は、図2のA-A矢視断面を示している。掃掻部材(10)は、耐摩耗弾性材料からなる掃掻子(11)と、これを保持する取付け金具(12)とからなる。
【0011】
この例における掃掻子(11)は刷毛状ブラシとして形成されている。取付け金具(12)は、螺旋羽根(9)の螺旋周縁に沿う螺旋形状を有すると共に、その外側と内側の背中あわせに形成された断面コ字型の2条の溝(121)と溝(122)とを有している。外側の溝(121)は掃掻子(11)を保持する溝であり、ブラシ毛は根元側を金具(13)で結束され、溝(121)内に保持されて刷毛状の掃掻子(11A)を形成している。刷毛状の掃掻子(11A)を保持した掃掻部材(10A)は、内側の溝(122)を螺旋羽根(9)の螺旋周縁に嵌着されたうえ、螺旋方向の複数個所をビス等の金具(14)で着脱可能に係止されている。
【0012】
図4は、上記掃掻部材(10A)を螺旋羽根(9)に取付けたスクリューの回転駆動時の状態を示している。刷毛状の掃掻子(11A)は、筒状ハウジング(1)の管路内面に弾性的に押圧されて螺旋羽根(9)と管路内面(1s)との隙間(c)(図13)を塞ぎ、スクリューの回転運動と共に管路内面に摺接する。管路の内周面に接する被移送物は、管路内面に押圧された掃掻子(11A)によりスクリューの回転運動に伴なって前方に押しやられる。
【0013】
掃掻子(11A)は、上記のように管路内面の被移送物をスクリューの回転運動に従って前方に押しやる作用をなす部材であるから、その作用に必要な弾性率、耐力等を備えた材種であることを要する。またその作用が安定に保持されるように、管路内面との摺接による摩損を容易に生じない耐摩耗性を有すると共に、被移送物が例えば腐食性の物質を含むものである場合には、それに耐える化学的安定性(耐食性等)を必要とする。この掃掻子(11A)を形成するブラシ毛は、金属細線(例えばステンレス鋼線)、プラスチック細線(例えばナイロン線)等であり、具体的な材種、線径,線長等は、移送物の種類やスクリュー運転条件等に応じて適宜選択される。
【0014】
図6は、掃掻部材の他の例を示している。同図のB-B矢視断面を図7に示す。図8はこの掃掻部材(10B)を矢符C方向(図7)から眺めた図である。この例における掃掻子(11B)は弾性材料からなる短冊形状の板材の列として形成されている。短冊状掃掻子(11B)の先端縁は管路の内周面に略相応する円弧形状をなしている。取付け金具(12)は、前記図3のそれと同様に、外側と内側とに背中あわせに形成された断面コ字型の2条の溝(121)と(122)とを有する。短冊状掃掻子(11B)は2列をなして螺旋方向に並び、その根元は取付け金具(12)の外側の溝(121)内に固定されている。短冊状掃掻子(11B)を保持した掃掻部材(10B)は、内側の溝(122)を螺旋羽根(9)の螺旋周縁に嵌着されたうえ、螺旋方向の複数個所においてビス等の金具(14)で着脱可能に係止されている。
【0015】
図9は、短冊状掃掻子(11B)を螺旋羽根(9)の螺旋方向に傾斜させて取付け金具(12)の溝(121)内に固定した例を示している。この掃掻部材(10B)は、短冊状掃掻子(11B)が傾斜姿勢をなしている点を除いて、前記図6の掃掻部材と同様に、先端縁は管路の内周面に略相応する円弧形状を有し、螺旋方向に2列の配置(図8)とされている。
【0016】
上記2列配置された短冊状掃掻子(11B)は、各列における隣合う掃掻子同士の間に末広がり状の隙間(f)(図6,図9)を有すると共に、図8に示したように、一方の列(m)の短冊状掃掻子(11B)を他方の列(n)の短冊状板材(11B)に対し板幅方向(螺旋方向)に若干ずらした位置関係をもって配列されている(図は板幅の約1/2幅分だけずらした例を示している)。
【0017】
短冊状板材同士のあいだに末広がり状の隙間(f)をもたせているのは、短冊状掃掻子(11B)を管路内面に押圧したときに、隣合う掃掻子(11B)(11B)同士が干渉するのを回避するためである。短冊状掃掻子同士が干渉しあうと、相互のせめ合いで短冊状掃掻子(11B)が浮上がり、被移送物の残留を防止すための押出し作用が弱められるからである。また、短冊状掃掻子を2列配置とし、一方の列(m)と他方の列(n)の短冊状掃掻子(11B)を互いに板幅方向に(図では板幅の1/2幅分だけ)ずらしているのは、各列の隙間(f)(被移送物を前方に押出すことができない)を互いの板面で塞ぐためである。
【0018】
上記掃掻部材(10B)を螺旋羽根(9)に取付けたスクリューの回転駆動において、短冊状掃掻子(11B)は、図4に示した刷毛状掃掻子(11A)と同じように、筒状ハウジング(1)の管路内面(1s)に弾性的に押圧されて隙間(c)(図13)を塞いでおり、スクリューの回転運動に従って管路内面に対し弾性的に摺接する。その摺接運動により管路の内面に接している被移送物は、スクリューの回転運動と共に前方に押しやられる。
【0019】
上記短冊状掃掻子(11B)の材種については、前記刷毛状掃掻子(11A)のそれと同じように、管路内面の被移送物を前方に押しやる作用をなすに必要な弾性率、耐力等を有すると共に、その作用が安定に保持されるように管路内面の摺接に対する耐摩耗性を具備するものであることを要し、また被移送物の性質に応じた化学的安定性(例えば耐食性等)を必要とする。短冊状板材の例として硬質ゴム、繊維強化プラスチック等からなる板材が挙げられ、具体的な種類や板材の形状サイズ(板幅,厚さ、長さ等)等は、被移送物の種類やスクリュー運転条件等に応じて適宜設計される。
【0020】
螺旋羽根(9)に取付けられた掃掻部材(10)の掃掻子(11)は、スクリュー移送運転の繰り返しに伴なう摩損その他の原因で漸次劣化するが、前記のように螺旋羽根(9)への取付けを着脱可能にしておけば、損傷等の進み具合に応じて適宜取り替えることができる。 なお、掃掻部材(10)は、螺旋羽根(9)に対する取り付け作業の便宜のために、具体的には、図5に示すように螺旋方向に適当な長さに分割された複数個の部材として製作される。図は刷毛状掃掻子(11A)を有する掃掻部材(10A)を示しているが、短冊状の掃掻部材(10B)の場合も同様である。
【0021】
図1(及び図12)のスクリューは、螺旋羽根(9)の条数が1条である例を示しているが、本発明はこれに限定されず、螺旋羽根(9)の条数は任意である。図10は、2条の螺旋羽根(91)(92)を有するスクリューにおいて、2つの螺旋羽根(91)(92)のそれぞれに掃掻部材(10)を取付けた例を示している。図では刷毛状掃掻部材(10A)を取付けているが、短冊状掃掻子(10B)であってもよく、更には一方の螺旋羽根(91)に刷毛状掃掻部材(10A)を取付け、他方の螺旋羽根(92)には短冊状掃掻部材(10B)を取付けるなど、掃掻部材(10)の選択・組合せは任意である。
【0022】
また、螺旋羽根(9)に対する掃掻部材(10)の取り付け態様として、図1及び図5では、螺旋周縁に連続的に取付けているが、多条螺旋スクリューにおいては、必ずしもそうである必要はなく、図11に示すように、掃掻部材のない断点(g)をおいて断続的に取付けることとしてもよい。2条の螺旋羽根(91)(92)の両方ともに掃掻部材(10)の取付けを断続的とする場合は、図示のようの、両者における断点(掃掻部材を省略した個所)(g)が重複しないように互いの断点を軸方向にずらして設けるとよい。
【0023】
本発明のスクリュー移送装置のスクリュー構造は、螺旋羽根(9)の螺旋周縁に掃掻部材(10)が取付けられている点を除いて、通常のそれと特に異ならず、またスクリュー移送装置の設置形態として、前記図12では、被移送物(流動物)を斜め方向に移送する傾斜型の例を示しているが、むろんこれに限定されず、水平方向に移送する横型、垂直方向に移送する縦型、あるいは傾斜型、横型、縦型等の2つ以上を連設した組合せ型等のいずれにも適用される。
【0024】
本発明のスクリュー移送装置は、例えば酸化鉄粉末の移送手段として使用される。その一例を挙げれば、鉄鋼製造所における酸洗処理設備の酸洗浴槽(鋼板等を浴中通板して鋼板表面のスケールを分離除去する装置)の浴中に懸濁する多量の酸化鉄粉末を回収(例えば磁性材料のフェライト原料として利用)することが試みられており、その回収処理ラインにおける酸化鉄粉末の移送手段として有効に使用することができる。酸洗浴槽から回収される酸化鉄粉末は、所定の処理(焙焼その他の加熱処理)が施された高温状態(例えば600〜850℃)であるが、筒状ハウジング(1)に適宜の冷却手段(例えば筒状ハウジングの外周を被包する冷却水ジャケット)を設けておくことにより、スクリュー移送中に冷却することができる。
【0025】
被移送物(粉状、粒状、泥状等の流動物)は、無機物又は有機物あるいはその混合物等であり、乾燥状態ないし含水・湿潤状態のいずれであってもよい。 また、本発明のスクリュー移送装置は、流動物を単に移送するだけの手段に限定されず、流動物をスクリュー移送しながら、流動物に所要の処理ないし加工を施す装置に適用される。その例として、筒状ハウジング(1)に加熱手段(スチームヒーター等)を設けておき、湿潤(含水)流動物をスクリュー移送しながら加熱乾燥するようにしたもの、流動物の圧縮成形装置として、筒状ハウジング(1)の先端開口部に成形型を設置し、スクリューの回転駆動による軸方向の圧縮力の作用で流動物を成形型に圧入して所要形状に成形された固形物を得るようにしたもの、スクリュー移送装置に加熱手段と破砕手段とを設け、含水流動物を移送しながら流動物の加熱乾燥と破砕処理とを行うようにしたもの、あるいはスクリューに造粒手段を形設し、湿潤流動物の移送過程で乾燥と造粒とを行うようにしたもの等が挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明によれば、粉状、粒状、泥状等の流動物のスクリュー移送操業において、不可避的に生じていた被移送物の管路内残留を抑制防止することができ、残留物を水洗等で管路外に排除している従来の著しく非能率な除去作業の負担が大幅に軽減されると共に、被移送物の残留に起因する種々の不具合が緩和解消され、スクリュー移送運転を効率的に遂行することができ、また残留物が次にスクリュー移送される被移送物に混入する弊害も減少し被移送物の品質維持に奏効するものである。
【0027】
スクリュー移送される流動物(粉状、粒状、泥状等)は、無機物、有機物又はその混合物等であり、乾燥物または含水湿潤物のいずれであってもよく、広範囲の各種分野に適用することができる。更に、流動物の単なる移送手段としての使用にとどまらず、流動物をスクリュー移送しながら所要の処理ないし加工、例えば加熱処理、脱水乾燥、圧縮成形(固形化)、造粒等を行うように構成された各種の装置におけるスクリュー装置に適用して上記の作用効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の螺旋羽根に掃掻部材が取付けられたスクリューの実施例を示す正面図である。
【図2】図1の掃掻部材が取付けられた螺旋羽根の一部を示す図である。
【図3】図2のA-A矢視断面図である。
【図4】筒状ハウジングの管路内面に螺旋羽根の掃掻部材が押圧され摺接している状態を示す断面説明図である。
【図5】掃掻部材の分割構造を示す側面図である。
【図6】螺旋羽根に取付けられた掃掻部材の他の実施例を示す部分図である。
【0029】
【図7】図6のB-B矢視断面図である。
【図8】図7の掃掻部材を矢符C方向から眺めた図である。
【図9】螺旋羽根に取付けられた掃掻部材の他の実施例を示す部分図である。
【図10】本発明の螺旋羽根に掃掻部材が取付けられたスクリューの他の実施例を示す正面図である。
【図11】掃掻部材を螺旋羽根の螺旋方向に断続的に取付けられた例を示す部分図である。
【図12】スクリュー移送装置の例を示す一部切欠き正面図である。
【図13】螺旋羽根と筒状ハウジング内周面との隙間を示す説明図である。
【符号の説明】
【0030】
1:円筒状ハウジング
1s:筒状ハウジングの管路内面
2,3:閉塞板
4,5:軸受
6:被移送物供給口
7:被移送物排出口
8:回転軸
9(91,92) :螺旋羽根
10(10A, 10B):掃掻部材
【0031】
11 :掃掻子
11A:刷毛状掃掻子
11B:短冊状掃掻子
12:取付け金具
121:掃掻子保持用溝
122:螺旋羽根取付け溝
13:ブラシ毛結束金具
14:係止具(ビス)
20:回転駆動用電動機
21:冷却水ジャケット
c :隙間(螺旋羽根の先端縁と管路内面の間)
f :末広がり状の隙間(短冊状掃掻子同士の間)
g :断点(掃掻部材の取付けが省略された個所)
R :被移送物の残留
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸の周りに螺旋羽根を有するスクリューが筒状ハウジング内の軸線方向に回転駆動可能に軸受され、筒状ハウジングの一端側から供給される被移送物である粉状、砂状ないし泥状等の流動物をスクリューの回転駆動により他端側の排出口側に向って移送するスクリュー移送装置において、
筒状ハウジングの内周面に弾性的に押付けられる耐摩耗弾性材からなる掃掻子を備えた掃掻部材を、前記螺旋羽根の螺旋周縁に取付け、スクリューの回転駆動により筒状ハウジングの内周面に摺接させることにより、前記内周面に接する被移送物を前記排出口側に向って移動させるようにしたことを特徴とするスクリュー移送装置。
【請求項2】
掃掻子は、金属細線又は樹脂細線からなる刷毛状ブラシである請求項1に記載のスクリュー移送装置。
【請求項3】
掃掻子は、短冊形状を有する複数枚の樹脂板材の列からなる請求項1に記載のスクリュー移送装置。
【請求項1】
回転軸の周りに螺旋羽根を有するスクリューが筒状ハウジング内の軸線方向に回転駆動可能に軸受され、筒状ハウジングの一端側から供給される被移送物である粉状、砂状ないし泥状等の流動物をスクリューの回転駆動により他端側の排出口側に向って移送するスクリュー移送装置において、
筒状ハウジングの内周面に弾性的に押付けられる耐摩耗弾性材からなる掃掻子を備えた掃掻部材を、前記螺旋羽根の螺旋周縁に取付け、スクリューの回転駆動により筒状ハウジングの内周面に摺接させることにより、前記内周面に接する被移送物を前記排出口側に向って移動させるようにしたことを特徴とするスクリュー移送装置。
【請求項2】
掃掻子は、金属細線又は樹脂細線からなる刷毛状ブラシである請求項1に記載のスクリュー移送装置。
【請求項3】
掃掻子は、短冊形状を有する複数枚の樹脂板材の列からなる請求項1に記載のスクリュー移送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−306506(P2006−306506A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−127253(P2005−127253)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(000004581)日新製鋼株式会社 (1,178)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(000004581)日新製鋼株式会社 (1,178)
【Fターム(参考)】
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