説明

スクリーニングテストの施行においてエラーを減らすための方法および装置

スクリーニングテストのエラーを検出するためのシステムは、少なくとも1つのスクリーニングテストタスクに関係する少なくとも1つの動作パラメータを測定する測定デバイスと、この測定デバイスに通信するコンピュータデバイスとを備える。このコンピュータデバイスは、少なくとも1つの測定された動作パラメータを受信し、この測定された動作パラメータを特徴付ける少なくとも1つの動作の統計量を計算し、そして、この少なくとも1つの動作の統計量と、エラーフリーのスクリーニングテストに関連する少なくとも1つの基準統計量とを比較する。関係する実施形態によれば、このシステムはさらに、少なくとも1つの動作の統計量が少なくとも1つの基準統計量と異なる程度を表示するディスプレイデバイスを備え得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、スクリーニングテスト、特に、スクリーニングテストの施行においてエラーを検出するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景技術)
スクリーニングテストは通常、障害となる前に、早期の慢性の病状を検出するために使用される。スクリーニングテストを実施するために使用されるデバイスとしては、早期の心脈管疾患の徴候を検出する血圧計、および早期の緑内障の徴候を検出する眼圧試験が挙げられる。費用を抑えるために、スクリーニングテストは、生理学的な変化に対して感受性でなければならない。スクリーニングテストはまた、多数の個人に対して正確に、アクセス可能に、かつ容易に施行されなければならず、そして、製造費用が比較的安くなければならない。これらの基準を満たす場合、多数の個体をスクリーニングするコストは、障害となった慢性疾患の発生率および/または重篤度の減少を通じて達成される節約によって埋め合わされ得る。
【0003】
主に(全くこれだけではないが)老齢者人口において生じる、新たに認識された慢性の医学的な問題は、転倒(fallingおよびfall)に関係する傷害を含む。このような転倒に関係する傷害は、しばしば、日常生活に関する活動の制限、および自立した運動の喪失をもたらす。細菌の疫学的研究は、活動の制限、および転倒に関係する傷害が、65歳を超える人口における機能的自立に対する機能障害の主な原因であることを見出している。現代、人々はより長く生存しているので、これらの慢性的問題の罹患率は、来る数年で、実質的に増加すると予想される。
【0004】
最近の研究は、転倒に関係する活動の制限、および転倒に関係する傷害の危険性が、機能不全が生じる前に同定され得ることを実証している。この危険性が早期に同定されて、処置される場合、傷害および機能的自立の喪失の発生率は、減少され得る。他の最近の研究によれば、平衡は、転倒の危険性に影響を与える最も重要な要因のうちの1つである。Archives of Physical Medicineにおいて出版された「Preventable Medical Injuries in Older Patients」との表題の論文の関係する総説は、この問題の簡潔な要約を提供する。
【0005】
当該分野の現状において、主観的な観察および客観的な技術に基づく手段の両方が、個体の平衡機能を数量化するために利用可能である。転倒の危険性を検出する、実証された能力を有する観察的なテストの1つの周知の例は、Berg平衡テストである。このBergテストは、個体が、一連の標準化された平衡および移動のタスクを実施する能力を観察し、数値的に評価するために、臨床的に訓練された個人を必要とする。このテストは、特別な設備を必要としないという利点を有する。しかし、このテストは、かなりの施行時間を必要とし、そして、結果は、観察の技量と臨床的に訓練された施行者の経験に依存する。
【0006】
聴力、視力、および血圧の異常のための有効なスクリーニングテストが、現在、未制御の、非医療環境(例えば、薬局およびショッピングモール)における一般公衆に対して提案されている。これらの型のスクリーニングテストは、特別な医療上の訓練をしていない個体により施行される。制御された医療環境における高度に訓練された個体により施行される医療上のテストと比較すると、これらのテストの施行および解釈におけるエラーの可能性は、実質的により高い。これらのスクリーニングのエラーは、1つ以上のエラーが正常な被験体を危険状態にあるというカテゴリーに入れる場合に、被験体の一部を不必要に心配させ得る。さらに、テストの施行においてエラーが生じて、施行者が、被験体が危険状態にあるということを検出し損ねる場合、危険状態にある個体を救う機会が失われ得る。
【0007】
非医療環境において施行されるスクリーニングテストにおいて、データ通信アプリケーションがしばしば採用される。これらのデータ通信アプリケーションの多くは、高容量の情報が一方の側から他方へと、最小限のエラーで、可能な限り速く通信されることを必要とする。高容量の情報を迅速に通信するために使用される2つのデバイスとしては、デジタルデータを電話回線を通じて通信するための高速モデム;および遠く離れた宇宙空間を超えて無線通信するための、宇宙飛行体(例えば、衛星)上の比較的低出力の送信機が挙げられる。データ通信の効率を最大にするために、これらおよび多くの他のアプリケーションが、データ圧縮手段を使用する。しかし、高容量の圧縮データの通信は、エラーの危険性を増加させる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明の一実施形態によれば、スクリーニングテストのエラーを検出するためのシステムは、少なくとも1つのスクリーニングテストタスクに関係する少なくとも1つの動作パラメータを測定する測定デバイス、およびこの測定デバイスと通信するコンピュータデバイスを備える。このコンピュータデバイスは、少なくとも1つの測定された動作パラメータを受信し、この測定された動作パラメータを特徴付ける少なくとも1つの動作の統計量を計算し、そして、この少なくとも1つの動作の統計量と、エラーフリーのスクリーニングテストに関連する少なくとも1つの基準統計量とを比較する。関係する実施形態によれば、このシステムは、さらに、少なくとも1つの動作の統計量が、少なくとも1つの基準統計量と異なる程度を表示するディスプレイデバイスを備え得る。
【0009】
本発明の別の実施形態によれば、平衡に関係するスクリーニングテストにおいてエラーを検出するためのシステムは、複数の異なる感覚条件下で、1人の被験体による試行において実施される平衡タスクの安定係数に関係する量を測定するためのフォースプレート(force−plate)、およびこのフォースプレートと通信しているコンピュータデバイスを備える。このコンピュータデバイスは、(i)各試行についての安定係数に関係する量を受信し、(ii)各試行についての各量を順位と関連付けて、この量について順位を決定し、そして、(iii)試行の特定の1つに関連する任意の順位が、エラーフリーの条件下で実施された特定の試行に関連する基準範囲から外れているかどうかを決定する。関係する実施形態によれば、このシステムはまた、試行の特定の1つに関連する任意の順位が、特定の試行に関連する基準範囲から外れているというインスタンスを示すための、コンピュータデバイスと通信しているディスプレイデバイスを備え得る。
【0010】
本発明のさらなる実施形態によれば、スクリーニングテストのエラーを検出するための方法は、少なくとも1つのスクリーニングテストタスクに関係する少なくとも1つの動作パラメータを測定する工程、この測定されたパラメータを特徴付ける少なくとも1つの動作の統計量を計算する工程、およびこの少なくとも1つの動作の統計量と、エラーフリーのスクリーニングテストに関連する少なくとも1つの基準統計量とを比較する工程を包含する。関係する実施形態によれば、この統計量は、平均に関連する値を表し得るか、または、この統計量は、標準偏差に関連する値を表し得る。さらに、この統計量は、標準誤差に関連する値を表し得るか、または、この統計量は、パワースペクトルに関連する値を表し得る。この統計量は、さらに、平均平方根(root mean square)または振動数ヒストグラムに関連する値を表し得る。この方法はまた、少なくとも1つの動作の統計量が、少なくとも1つの基準統計量から異なる程度を、ディスプレイデバイス上に表示する工程を包含し得る。
【0011】
別の関係する実施形態によれば、(i)スクリーニングテストタスクは、平衡タスクであり得;(ii)少なくとも1つの動作パラメータは動揺偏差(sway deviation)であり得;(iii)少なくとも1つの動作の統計量が、動揺偏差の速度についての移動窓(moving window)の平均平方根値に対応し得;そして、(iv)少なくとも1つの動作の統計量と少なくとも1つの基準統計量とを比較する工程が、移動窓の平均平方根値が、一定値から所定の閾値だけ外れているかどうかを決定する工程を包含し得る。さらなる関係する実施形態によれば、(i)スクリーニングテストタスクは、平衡タスクであり得;(ii)少なくとも1つの動作パラメータは、フォースプレートに加えられる垂直力(vertical force)であり得;(iii)少なくとも1つの動作の統計量は、フォースプレートに加えられる全垂直力についての移動窓の平均値に対応し得;そして、(iv)少なくとも1つの動作の統計値と、少なくとも1つの基準統計量とを比較する工程が、移動窓の平均値が、一定値から所定の閾値だけ外れているかどうかを決定する工程を包含し得る。
【0012】
さらなる関係する実施形態によれば、(i)スクリーニングテストタスクは、平衡タスクであり得;(ii)少なくとも1つの動作パラメータは、フォースプレートに加えられる垂直力であり得;(iii)少なくとも1つの動作の統計量は、フォースプレートに加えられる全垂直力の数学的導関数(mathematical derivative)の平均に対応し得;そして、(iv)少なくとも1つの動作の統計量と、少なくとも1つの基準統計量とを比較する工程が、平均が、0から所定の閾値だけ外れているかどうかを決定する工程を包含し得る。同様に、さらなる関係する実施形態において、(i)スクリーニングテストタスクは、平衡タスクであり得;(ii)少なくとも1つの動作パラメータは、フォースプレートに加えられる水平力(horizontal force)であり得;(iii)少なくとも1つの動作の統計量は、フォースプレートに加えられる全水平力の数学的導関数の平均に対応し得;そして、(iv)少なくとも1つの動作の統計量と、少なくとも1つの基準統計量とを比較する工程が、平均が、0から所定の閾値だけ外れているかどうかを決定する工程を包含し得る。
【0013】
本発明の別の実施形態によれば、平衡に関係するスクリーニングテストにおいてエラーを検出するための方法は、複数の異なる感覚条件下で、1人の被験体による試行において実施される平衡タスクの安定係数に関係する量を測定する工程、およびそれによって各試行についての安定係数に関係する量を取得する工程を包含する。各試行についての各量を順位と関連付けて、量についての順位が決定され、そして、試行の特定の1つに関連する任意の順位が、エラーフリーの条件下で実施された特定の試行に関連する基準範囲から外れているかどうかがまた決定される。関係する実施形態によれば、この方法はまた、被験体による平衡タスクの動作が、基準範囲から外れる回数に対応する数を表示する工程を包含し得る。
【0014】
他の関係する実施形態によれば、安定係数に関係する量を測定する工程が、改変したCTSIBプロトコールに従う工程を包含し得、そして/または、複数の別個のタスクの動作についての順位を決定する工程が、平衡タスクの難易度のレベルに従って順位を決定する工程を包含し得る。
【0015】
本発明のなお別の実施形態によれば、動揺偏差を測定する間に、平衡タスクの個々の試行において、スクリーニングテストのエラーを検出するための方法は、動揺偏差の速度についての移動窓の平均平方根値に対応する量を決定する工程であって、該窓は、該試行の持続時間に関しては短いが、動揺速度の代表的な偏差の持続時間に関しては長い、工程;および、この量が閾値を超える場合に、警告状態に入る工程を包含する。
【0016】
本発明のさらなる実施形態によれば、少なくとも1つの垂直力検知デバイスの誤作動に起因する、スクリーニングテストのエラーを検出するための方法は、デバイスにより測定された全垂直力についての移動窓の平均値に対応する量を決定する工程であって、この窓は、全垂直力における、予測される自然発生的な変動の持続時間に関して長い、工程;および、この量が評価された定数から所定の閾値だけ外れている場合に、警告状態に入る工程を包含する。
【0017】
本発明の別の実施形態によれば、少なくとも1つの垂直力検知デバイスの誤作動に起因する、スクリーニングテストのエラーを検出するための方法は、デバイスにより測定された全垂直力についての数学的導関数の平均を計算して、全垂直力の変化率を決定する工程、所定の時間にわたる、全垂直力の平均変化率に対応する値を決定する工程、および、平均が0から所定の閾値だけ外れている場合に、警告状態に入る工程を包含する。
【0018】
本発明のさらなる実施形態によれば、少なくとも1つの水平力検知デバイスの誤作動に起因する、スクリーニングテストのエラーを検出するための方法は、デバイスにより測定された全水平力についての数学的導関数の平均を計算し、全水平力の変化率を決定する工程、所定の時間にわたる、全水平力の平均変化率に対応する量を決定する工程を包含する。平均が0から所定の閾値だけ外れている場合に、警告状態に入る。
【0019】
本発明の以下の特徴は、添付の図面を参照すれば、以下の詳細な説明を参照して、より容易に理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(具体的な実施形態の詳細な説明)
本発明によれば、テストの施行において潜在的なエラーを検出するように設計された統計学的分析技術を用いるコンピュータベースのスクリーニングデバイスが提供される。このエラー情報は、テストの施行の完了時にコンピュータの操作者または使用者に対して表示され得、この時点で、操作者は、テストを繰り返すのか、または任意のエラーのあるテスト結果を無視するのかどうかを選択し得る。あるいは、エラー情報は、テスト結果を解釈する責任のある別の個人への送信手段により送信される、スクリーニングテストレポートに表示され得る。
【0021】
スクリーニングテストの施行、およびスクリーニングテスト結果の適切な解釈に有害な影響を及ぼし得る、多数の潜在的なエラー供給源が存在する。被験体が、テストの全てもしくは一部の施行の間に、一時的に注意散漫であるか、または指示に従い損ねた場合、エラーが生じ得る。被験体が、不適切に指示されたか、そして/もしくは、テストの指示を取り違えるか、または、最初は取り違えていたが、テストの施行の過程において、次第に指示を理解する場合、エラーが生じ得る。さらに、被験体が、タスクのある局面に驚くか、もしくはびっくりし、そして、彼もしくは彼女の動作を変えることによって反応する場合、エラーが生じ得る。一般的である上記の3つの施行上の問題のいずれもが、スクリーニングテストに関連するタスクを実行する被験体の能力を変更し得、これにより、スクリーニングテストの結果においてエラーを生じ得る。
【0022】
平衡制御および/または協調性を測定するように設計されたスクリーニングテストの場合、正常なヒト被験体に、病理学的に冒された平衡を有する個体に、および、平衡障害の症状が悪化した個体に、平衡制御のプロセスを理解するための、認められた科学的な情報源が存在する。一般に認められた平衡制御の原理の中でも、平衡機能の測定におけるエラーを検出するために統計学的基準が定式化され得る特定の原理がある。以下は、平衡制御の原理の2つの簡単に説明した例、およびテストの施行におけるエラーの検出へのその適用である。
【0023】
1)平衡の行為は、目を閉じて立っているか、および/または、不規則もしくは伸展性の表面上に立っている場合と比べて、固い表面上で目を開けて立っている場合の方が、より簡単であることが知られている。従って、個体は、統計学的根拠から、より容易なタスク条件(例えば、固い表面上で目を開けて立っている)と比べて、より困難なタスク条件(例えば、目を閉じて立っているか、または不規則もしくは伸展性の表面上で立っている)下で、より高い自発的な動揺活動を示すべきである。
【0024】
2)立った状態の平衡は、被験体が疲労する点まで延長されない限り、タスク条件が不変の時間の間中、比較的連続した制御プロセスであることが知られている。結果として、自発的な動揺活動の統計学的特性は、タスク条件が一定である限りは、比較的一定である。あるいは、動揺活動の統計学的特性は、タスク条件の変化に応答して変化する。
【0025】
3)平衡タスクを実施する個体の注意が散漫になると、平衡動作は、一時的に低下するか、または他に変化する。従って、不変のタスク条件下で実施されるテストの間の注意力の変化は、動作測定の統計学的特性を変化させる。
【0026】
テストの施行における問題に加えて、結果におけるエラーが、機器の誤作動によってか、または、機器の不適切な使用によって生じ得る。以下は、テストの結果の完全性を減少させ得る、機器の誤作動、および不適切な使用のいくつかの容易に理解される例である。
【0027】
1)個体が、複数の力測定センサを有するフォースプレートデバイス上に直立し、外部の支えに掴まらずに平衡テストを実施する場合、センサにより測定される力の垂直成分の平均合計は、平均すると、一定のままであり、これは、被験体の体重に等しく、一方で、センサにより測定される力の前後および側方の水平成分の平均合計は、平均すると、一定のままであり、これは、0に等しい。一方向における、垂直力および水平力の自発的な変動は、被験体が身体を上下に動かすか、腰を曲げるか、または腕を動かす場合に生じ得る。しかし、これらの変動は、1〜2秒も続かず、常に、同等な対向する力が続く。被験体が動くと、各センサにより測定される(一定の)垂直および水平の力の合計の割合が変わる。力測定センサのうちの1つが、垂直または水平の力成分を正確に測定し損ねると、複数のセンサにより測定される一定の垂直および水平の合計は、任意の自発的な変動を超える時間にわたって揺らぐようである。これは垂直力の割合が、フォースプレート上での被験体の動きと共に変化するからである。
【0028】
2)被験体が、外部の支えに掴まらずに、フォースプレート表面上でタスクを実施するように指示される場合、複数のセンサにより測定される垂直および水平平面の力の合計は、平均すると、長時間にわたって一定のままである。被験体が、フォースプレートから降りて、さらなる支えのために近くの物体を掴むか、または、任意の他の方法で、さらなる外部の支えを受ける場合、力成分の合計(フォースプレート表面に対して垂直および/または水平)は、体系的な変化を示す。
【0029】
多数の方法が、平衡タスクの動作を定量するための当該分野において記載されている。平衡タスクの個体の動作を測定する、NeuroCom International,Inc.により製造された平衡製品は、フォースプレートを使用し、このフォースプレート上に、被験体が立って、支持表面に対して足により与えられる力の中心点の変化を記録する。(このようなデバイスは、米国特許第5,476,103号、米国特許第5,551,445号、および米国特許第6,010,465号に開示され、これらの各々は、その全体が本明細書中に参考として援用される。)長時間にわたって、個体の平衡を保つ能力は、個体にフォースプレート上で平衡タスクを実施するように指示し、次いで、このタスクの間の力の中心の移動に関係する種々の一時的かつ統計学的な量を計算することによって定量される。個体の平衡動作は、種々の異なる方法で定量され得る。一般に使用される量としては、動きの振幅、動きの平均速度、動きの頻度、および動きの標準偏差が挙げられる。このような方法は、米国特許第5,980,429号;同第5,269,318号;同第5,052,406号;および同第4,738,269号に記載される。本明細書中で言及される特許の各々は、その全体が、本明細書中に参考として援用される。
【0030】
平衡タスクの個体の動作に関係する信号を記録するための、別の一般的な手段は、身体の1つ以上の部分の動きを測定するための、身体のその部分への直線運動センサおよび/または角運動センサの配置である。NeuroCom International,Inc.は、個体が平衡タスクを実施する際の個体の頭の角運動を測定するために、慣性デバイスを使用する製品を製造する。この製品は、EquiTestTMのためのHead−Shake Sensory Organization Test Accessoryである。身体の動きを検出するための、慣性センサ、重力センサ、磁気センサ、光学センサ、および単純なバネに基づくセンサがまた、先行技術において記載されている。
【0031】
NeuroCom International,Inc.はまた、平衡および移動性の自動化された客観的なテストを実施するための、コンピュータベースの製品を製造しており、これらの製品のいくつかは、上で引用され、本明細書中に参考として援用されている特許に記載されている。NeuroComの平衡評価製品の3つの例としては、EquiTestTM、Balance MasterTM、およびVSRTMが挙げられる。これらの3つのシステムは、平衡機能を正確に定量するために、フォースプレート測定デバイス、グラフィックコンピュータベースのテストの施行、コンピュータ化されたデータ分析、および結果のグラフィック表示を利用する。特別の機器を必要とするが、これらのテストは、実質的にテスト時間を短くし、感度の良い客観的な結果を提供するという、観察的なテスト法を超える利点を有する。これらの結果は、操作者の訓練および経験レベルに比較的無関係である。
【0032】
多数の統計学的方法が、平衡タスクの個体の動作に関係する記録された信号を特徴付けるための、当該分野において記載されている。試行の間に記録された信号、または、記録された信号の1つ以上の数学的導関数に適用され得る統計学的方法としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:(1)平均、(2)標準偏差、(3)標準誤差、(4)平均平方根、(5)パワースペクトル、および(6)振動数ヒストグラム。上記の統計学的測定の各々はまた、試行の部分に限定される時間の1つ以上の窓にわたって計算され得る。このアプローチの1つの例は、移動窓の平均を計算することである。
【0033】
本発明の1つの実施形態において、1つ以上の垂直力検知デバイスの故障に起因する機器の誤作動は、以下の方法により検出される。移動窓の平均が、個体がフォースプレート上に立ち、平衡タスクを実施する間に測定される垂直力の合計に関して計算される。時間窓の持続時間は、垂直力の合計に関して予測される自発的な変動の持続時間を超える。1つ以上の力検知デバイスは、移動平均が、一定値から特定の閾値より多く外れるときに故障したと決定される。この閾値は、予備知識に基づいて特定され、これらの知識の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:個々の垂直力検知デバイスの間での測定の精度の偏差、力検知デバイスの故障後に生じる可能性がある精度の変化、および移動平均計算の精度。移動平均を採用する同様の方法を使用して、水平力を測定するデバイスにおける故障を検出し得る。
【0034】
本発明の別の実施形態において、フォースプレートデバイスにより測定される垂直力の合計の数学的導関数が、垂直力の合計の変化率を決定するために計算される。変化率の平均が、次いで、試行の間中ずっと計算される。1つ以上の力検知デバイスは、垂直力の合計の変化率の平均が0から特定の閾値だけ外れた場合に、試行の間に故障したと決定される。閾値の規格は、先行技術の知識に基づき、これらの例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:個々の垂直力検知デバイスの間の測定精度の偏差、機械的ノイズおよび電気的ノイズに起因する信号の変動、力検知デバイスの故障後に生じる可能性がある精度の変化、ならびに移動平均計算の精度。水平力を測定するデバイスにおいて故障を検出するために、同様の平均化操作が、水平力成分の変化率に関係する信号に関して実施され得る。
【0035】
以下は、立った状態の平衡タスクの個々の試行の間に生じるエラーを検出するために使用され得る方法の一例である。試行の間に、被験体の動揺偏差に関係する信号が記録され、次いで、動揺速度を決定するために微分される。次いで、移動窓の平均平方根の量が、この試行について計算される。移動時間窓の持続時間は、この試行の持続時間と比較すると短いが、動揺速度の代表的な偏差の持続時間と比較すると長い。移動平均平方根の量が、一定値から特定の閾値だけ外れる場合に、動作エラーが生じたと決定される。この閾値は、以下の手順によって経験的に決定される。上記の量は、エラーなしで同じタスクを実施したと知られている個体の集団において、測定および計算される。次いで、閾値が、エラーフリーの群集団の95%において観察される移動窓の平均平方根の偏差よりも大きな値に設定される。上記の平均平方根の量に加えて、動作エラーを検出する、移動窓の平均化法は、標準偏差、標準誤差、パワースペクトル、および振動数ヒストグラムのような他の統計学的量に基づき得る。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態に従うスクリーニングテストの施行においてエラーを検出するためのシステムを図示する、ブロック図である。この実施形態において、システム100は、測定デバイス101、この測定デバイスと通信するコンピュータデバイス102、およびこのコンピュータデバイスと通信する任意のディスプレイデバイス103を備える。測定デバイス101は、少なくとも1つのスクリーニングテストタスクに関係する少なくとも1つの動作パラメータを測定する。上記のように、これらの動作パラメータとしては、動きの振幅、動きの平均速度、動きの頻度、および動きの標準偏差が挙げられ得るがこれらに限定されない。
【0037】
コンピュータデバイス102は、測定デバイス101から少なくとも1つの測定された動作パラメータを受信し、そして、この測定された動作パラメータを特徴付ける少なくとも1つの動作の統計量を計算する。このコンピュータデバイス102はまた、この少なくとも1つの動作パラメータと、エラーフリーのスクリーニングテストに関連する少なくとも1つの基準統計量とを比較する。このコンピュータデバイス102は、プロセッサおよびメモリ(図示せず)を備え、各々のタスクのエラーフリーの動作を示す1つ以上の基準範囲にアクセスするようにプログラムされ得る。次いで、この基準範囲が、スクリーニングテストの施行においてエラーが生じたかどうかを確認するために、計算された統計学的量と比較され得る。あるいは、使用者または操作者は、例えば、コンピュータデバイスに付随するキーボードを介して手動でか、または、その基準範囲が見出され得る場所(例えば、アドレス、ハイパーリンクまたはファイル)を提供することによってのいずれかで、基準範囲を提供し得る。
【0038】
ディスプレイデバイス103は、少なくとも1つの動作の統計量が、少なくとも1つの基準統計量から外れる程度を、使用者または操作者に表示し得る。
【0039】
図2は、本発明の一実施形態に従う、平衡および協調性のタスクに関するスクリーニングテストの施行においてエラーを検出するために使用され得るシステムの例である。このシステム200は、上で言及したVSRシステムの実例であり、フォースプレート201、このフォースプレート201の上に置くための任意のフォームパッド202、コンピュータ203、任意の視覚ディスプレイデバイス204、および任意のプリンタ205を備える。このシステム200の構成要素は、コンピュータ203が、コンピュータデバイス102に関連するタスクを実行し、そして、視覚ディスプレイデバイス204が、少なくとも1つの動作の統計量が少なくとも1つの基準統計量と異なる程度を表示するように構成され得る。あるいは、または加えて、システム200は、図1の測定デバイス101に対応し得、そして、これは、別のコンピュータデバイスおよびディスプレイデバイスと、直接もしくはネットワークを介してのいずれかで、通信するように構成され得る。
【0040】
フォースプレート201は、複数の異なる感覚条件下で(例えば、平衡タスクは、例えば、立つことまたは歩くことであり得る)、1人の被験体による試行において、1人の被験体により実施される平衡タスクの安定係数に関連する量を測定する。フォームパッド202は、被験体の体性感覚系(固有受容系、皮膚系および関節系)の平衡および方向に関する情報の精度を下げるために使用され得る。コンピュータ203は、各試行についての安定係数に関係する量を受信し、この情報を処理して、個々の動作に関係する測定を提供し、リアルタイム生体フィードバックを提供し、そして、スクリーニングテストの間に使用され得るディスプレイに入力する。コンピュータ203がフォースプレート201から情報を受信すると、コンピュータ203は、量についての順位を決定し、ここで、各々の量は、順位に関係している。コンピュータ203はまた、特定の試行に関連する順位のいずれかが、エラーフリーの条件下で実施された特定の試行に関連する基準範囲から外れるかどうかを決定する。あるいは、システム200とは別個で、このシステムと通信する、別のコンピュータが、これらの決定を行なうために使用され得る。特定の試行に関連する順位のいずれかが、エラーフリーの条件下で実施された試行に関連する基準範囲から外れるかどうかを決定するコンピュータは、次いで、被験体、または、スクリーニングテストを施行している操作者のいずれかに対して、試行の特定の1つに関連する順位のいずれかが、特定の試行に関連する基準範囲から外れているインスタンスを示す、ディスプレイ、ユーザインターフェース、または警告状態もしくは状態を生成し得る。コンピュータ203はまた、スクリーニングテストの間に、被験体により使用されるタスクの指示を生成し得る。
【0041】
視覚ディスプレイ204は、コンピュータ203から情報を受信し、コンピュータにより生成された任意の指示、リアルタイム生体フィードバック情報、警告状態、およびスクリーニングテストの完了時の安定係数に関係する量と基準範囲との間の関係を被験体に表示し得る。あるいは、または加えて、安定係数に関係する量と基準範囲との間の関係は、このシステムとは別個の視覚ディスプレイデバイス上に表示され得、その結果、操作者またはスクリーニングテストの施行者は、ディスプレイを見ることができる。いずれの場合においても、ディスプレイデバイス204はまた、テスト結果の分析に関係するいかなる情報(例えば、結果が、テストの施行におけるエラーおよび/または機器の誤作動を示したかどうか)も表示し得る。プリンタ205は、コンピュータ203から情報を受信し得、そして、スクリーニングテストに関係するハードコピーレポートを生成し得る。
【0042】
システム200は、複数のタスクの各々について、複数のテストから構成されるテストプロトコールを実施するために使用され得る。他のプロトコールの中でもとりわけ、システム200は、改変版Clinical Test for Sensory Interaction on Balance(mCTSIB)を実施し得る。mCTSIBによれば、被験体は、合計12回の10秒間の試行について、フォースプレート上で自由に立ち位置を維持する;これらの試行は、4つの次第に困難になる感覚条件についての各々3回の試行を含む。この4つの条件は、以下から構成される:
1)目を開けて、固いフォースプレート表面上に立つ;
2)目を閉じて、固いフォースプレート表面上に立つ;
3)目を開けて、フォースプレートの上面に置いた伸展性のフォームパッド上に立つ;および
4)目を閉じて、フォースプレートの上面に置いたフォームパッド上に立つ。
【0043】
各試行について、フォースプレート201からの信号は、他の量の中でもとりわけ、被験体の安定性に関係する1つの量を計算するために使用される。テストプロトコールが完了すると、12の安定性スコアが、コンピュータ203によってか、または、このシステムと通信する別のコンピュータによってかのいずれかで、最小から最大の順序で順位付けされる。12の安定性スコアの各々についての順位が、次いで、コンピュータ203によって評価されるか、または上記のような別のコンピュータによって評価され得る、基準範囲と比較される。安定性スコアの順位が、その感覚条件についてのそれぞれの基準範囲から外れるインスタンスの数が合計され、そして、視覚ディスプレイ204を介して被験体に表示され得る。あるいは、またはさらに、この順位が、基準範囲から外れるインスタンスの数は、システム200と通信する別の視覚ディスプレイを介して、スクリーニングテストの操作者または施行者に対して表示され得る。そのそれぞれの範囲から外れる順位のインスタンスの数が多ければ多いほど、テストの施行においてエラーが存在した可能性が大きくなる。
【0044】
1つの実施形態において、順位の基準範囲は、立つタスクの困難性が増すにつれて、安定性が減少するという原理に基づいて設定される。この方法によれば、条件1の3回の試行についての順位範囲は、1〜5に設定され;条件2については、順位は、3〜7に設定され;条件3については、順位は、6〜10に設定され、そして、条件4については、順位は、8〜12に設定される。この実施形態において使用される基準範囲を広くすることにより、エラーに対する感度が減少し、一方で、この範囲を狭くすることによって、エラーに対する感受性が増加する。第2の実施形態において、基準範囲は、高度に熟練していると知られている操作者を登用して、協力的で、かつ熟練していると知られている複数の被験体をテストすることによって、経験的に確立される。この条件1についての基準範囲は、全ての条件1の試行の95%の順位を含むように設定され、条件2についての基準範囲は、条件2の試行の95%の順位を含むように設定され、条件3についての基準範囲は、全ての条件3の試行の95%の順位を含むように設定され、そして、条件4についての基準範囲は、全ての条件4の試行の95%の順位を含むように設定される。
【0045】
さらなる好ましい実施形態が、複数のタスクの各々について行なった複数の試行を含む、テストプロトコールを採用し得ることが理解されるべきである。一例として、システム200は、被験体が、スクリーン上の異なる点に配置された標的までの、合計8回の急速かつ自発的な動きを行なう、Limits of Stability(LOS)テストプロトコールを実施し得る。各標的の動きについて、複数の動作スコアが計算される。計算される動作スコアとしては、反応時間、動きの速度、動きの距離、および動きの精度が挙げられ得る。完全なLOSテストを2回実施することによって、または、各々少なくとも2回、8つの標的の一部を実施することによって、複数のタスクの各々についての複数の試行の要件が満たされる。
【0046】
図3は、本発明の1つの実施形態に従って使用され得る別のシステムを示す図である。図3(上述したBalance Masterシステムの図である)のシステムは、以下のテストプロトコールを備える:歩行テスト、速い回転(quick turn)のテスト、着席−起立(sit−to−stand)のテスト、踏み台の昇降(step up/over)のテスト、負荷スクアット(bear−bearing squat)のテスト、リズミカルな体重移動(rhythmic weight shift)のテスト、およびルンゲ(lunge)テスト。これらのテストの全てが、複数のタスクが各々複数回実施される、プトロコールの要件を満たす。
【0047】
システム300は、フォースプレート301、フォースプレート上への配置のための任意のツール302、コンピュータ303、任意の視覚ディスプレイデバイス304、および任意のプリンタ305を備える。フォースプレート301は、所定の、着席、起立および歩行の評価、ならびに運動トレーニングのタスクの間に、個体の動作に関する力の変数を測定する。ツール302は、フォースプレート上に配置するために利用可能なデバイスを備え、踏み台の昇降タスク、および着席起立タスクもしくは起立着席タスクのような、種々の動作の追加の評価タスクを可能にし得る。このようなシステム300は、米国特許第5,980,429号および同第6,190,287号、ならびに、米国特許出願第09/785,673号(これらの各々は、本明細書中に参考として援用される)に記載されている。
【0048】
図2の実施形態の場合と同様に、コンピュータが、フォースプレート301から、各試行についての安定係数に関する量を受信すると、コンピュータは、量について順位を決定する。上記のように、コンピュータ303はまた、特定の1試行に関連する順位が、エラーフリーの条件下で実施された特定の試行に関連する基準範囲から外れるかどうかを決定し得る。再び、システム300とは別個で、かつ、システムと通信する、別のコンピュータが、これらの量を計算するために使用され得る。特定の1試行に関連する順位が、基準範囲から外れるかどうかを決定するコンピュータは、次いで、特定の1試行に関連する順位が、特定の試行に関連する基準範囲から外れるインスタンスを示す、ディスプレイ、ユーザインターフェース、または警告条件もしくは警状態を、被験体、またはスクリーニングテストを施行する操作者のいずれかに対して生成する。コンピュータ303はまた、スクリーニングテストの間に、被験体により使用される指示を生成し得る。視覚ディスプレイ304およびプリンタ305は、図2の実施形態の視覚ディスプレイ204およびプリンタ205と同じ様式で機能する。
【0049】
図4は、スクリーニングテストのエラーを検出するための方法を例示するフローチャートである。プロセス401において、少なくとも1つのスクリーニングテストタスクに関連する少なくとも1つの動作パラメータが測定される。プロセス402において、この測定された動作パラメータを特徴付ける少なくとも1つの動作統計量が計算され(402)、そして、少なくとも1つの動作統計量が、エラーフリーのスクリーニングテストに関連する少なくとも1つの基準統計量と比較される(403)。この統計量は、平均に関連する値を表し得るか、または、この統計量は、標準偏差に関連する値を表し得る。さらに、この統計量は、標準誤差に関連する値を表し得るか、またはこの統計量は、パワースペクトルに関連する値を表し得る。この統計量はさらに、平均平方根に関連する値、または、振動数ヒストグラムに関連する値を表し得る。この方法はまた、ディスプレイデバイス上に、少なくとも1つの動作の統計量が、少なくとも1つの基準統計量とは異なる程度を表示する工程を包含し得る。
【0050】
図5は、平衡に関係するスクリーニングテストにおいてエラーを検出するための方法を例示するフローチャートである。複数の異なる感覚条件下での、被験体による試行において実施された平衡タスクの安定係数に関係する量が、プロセス501において測定され、それによって、各試行についての安定係数に関係する量が得られる。これらの量についての順位が、決定され(502)、この各々の試行についての各々の量は、順位に関連している。特定の1試行に関連する順位が、エラーフリーの条件下で実施された特定の試行に関連する基準範囲から外れるかどうかがまた、プロセス503において決定される。関係する実施形態によれば、この方法はまた、被験体による平衡タスクの動作が基準範囲から外れる回数に対応する数を表示する工程を包含し得る。
【0051】
上記のように、安定係数に関係する量を測定する工程は、改変CTSIBプロトコールに従う工程を包含し得る。同様に、複数の別個のタスクの動作についての順位を決定する工程は、平衡タスクの難易度のレベルによって順位を決定する工程を包含し得る。
【0052】
図6は、動揺偏差が測定される間の、平衡タスクの個々の試行におけるスクリーニングテストのエラーを検出するための方法を例示するフローチャートである。この方法によれば、動揺偏差の速度についての移動窓の平均平方根の値に対応する量が、決定される(601)。この窓は、試行の持続時間に関しては短いが、動揺速度の代表的な偏差の持続時間に関しては長い。この量が閾値を超えると、警告状態に入る(602)。
【0053】
図7は、少なくとも1つの垂直力検知デバイス(または少なくとも1つの水平力検知デバイス)の誤作動に起因するスクリーニングテストのエラーを検出するための方法を例示するフローチャートである。ここでは、このデバイスにより測定される全垂直力(または全水平力)についての移動窓の平均値に対応する量が決定される(701)。この窓は、全垂直力(または全水平力)における、予測される自然発生的な変動の持続時間に関して長い。この量が、評価された定数から所定の閾値だけ外れている場合に、警告状態に入る(702)。
【0054】
図8は、少なくとも1つの力検知デバイスの誤作動に起因するスクリーニングテストのエラーを検出するための代替的な方法を例示するフローチャートである。ここでは、デバイスにより測定された全垂直(または水平)力についての数学的導関数の平均が計算されて(801)、変化率が決定され、そして、プロセス802において、所定の時間にわたる全垂直力の平均変化率に対応する量が決定される。この平均が、0から所定の閾値だけ外れている場合に、警告状態に入る(803)。
【0055】
測定の統計学的特性と順位付け以外の基準標準とを比較するための方法が使用され得ることが理解されるべきである。例えば、多変量統計学を使用して、複数の測定の各々の複数の試行の間の関係を決定し得る。多変量統計学についての基準範囲は、上記のような経験的な方法によって規定され得る。具体的には、多変量統計学は、高度に熟練していると知られている操作者を登用して、協力的で、かつ熟練していると知られている複数の被験体の各々について計算され得る。
【0056】
上述されたもののような、専用のシステムを使用することによって、専門的な医学的トレーニングを受けていない個人によって、多数の人に対して有効なスクリーニングテストが施行され得る。これらのテストはまた、未制御の、非医療環境(例えば、薬局およびショッピングモール)において施行され得る。慢性疾患の発生率を低下させることにおいて最大限に有効であり、かつ、慢性の病状を同定し損ねる、スクリーニング係員の責任を最小限にするために、スクリーニングテストの偽陰性の割合(すなわち、問題を検出し損ねること)は、可能な限り低くなければならない。言い換えると、テスト結果を異常として判断するための基準は、危険性のある個体を可能な限り見逃さないように十分広く設定されなければならない。しかし、異常の基準をあまりにも広く設定すると、多数の偽陽性の結果が生じ、これは次いで、不必要な心配および医療費をもたらす。
【0057】
スクリーニングテストのための異常の基準を設定する場合、慢性疾患を検出するテストの感受性、ならびにテストの施行および解釈におけるエラーの可能性の両方が、考慮されなければならない。テストのエラーの可能性が増加するにつれて、偽陽性の割合は、許容可能な偽陰性の割合を維持するように増加されるにちがいない。従って、テストの施行および解釈におけるエラーを減少する方法は、スクリーニングテストの有効性を有意に高める。
【0058】
本明細書において上述された実施形態が好ましいが、本発明の精神および範囲から逸脱しない、多くの改変および改良が、当業者により想到され得る。全てのこのような改変(上に示したものを含むがこれらに限定されない)は、添付の特許請求の範囲により網羅されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に従う、スクリーニングテストの施行および評価においてエラーを検出するためのシステムを図示する、ブロック図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に従う、平衡および協調のタスクに関するスクリーニングテストの施行および評価においてエラーを検出するために使用され得るシステムを示す、イラストである。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に従う、平衡および強調のタスクに関するスクリーニングテストの施行および評価においてエラーを検出するために使用され得る別のシステムを示す、イラストである。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に従う、スクリーニングテストのエラーを検出するための方法を図示する、フローチャートである。
【図5】図5は、本発明の別の実施形態に従う、平衡に関するスクリーニングテストにおいてエラーを検出するための方法を図示する、フローチャートである。
【図6】図6は、本発明の別の実施形態に従う、平衡タスクの個々の試行においてスクリーニングテストのエラーを検出するための方法を図示する、フローチャートである。
【図7】図7は、本発明のさらなる実施形態に従う、力を検出するデバイスの誤作動に起因する、スクリーニングテストのエラーを検出するための方法を図示する、フローチャートである。
【図8】図8は、本発明の別の実施形態に従う、力を検出するデバイスの誤作動に起因する、スクリーニングテストのエラーを検出するための方法を図示する、フローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーニングテストのエラーを検出するためのシステムであって、該システムは、以下:
少なくとも1つのスクリーニングテストタスクに関係する少なくとも1つの動作パラメータを測定する、測定デバイス;および
該少なくとも1つの測定された動作パラメータを受信し、該測定された動作パラメータを特徴付ける少なくとも1つの動作の統計量を計算し、そして、該少なくとも1つの動作の統計量とエラーフリーのスクリーニングテストに関連する少なくとも1つの基準統計量とを比較する、該測定デバイスと通信する、コンピュータデバイス
を備える、システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの動作の統計量が前記少なくとも1つの基準統計量と異なる程度を表示する、ディスプレイデバイスをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
平衡に関係するスクリーニングテストにおいてエラーを検出するためのシステムであって、該システムは、以下:
複数の異なる感覚条件下で、1人の被験体による試行において実施される平衡タスクの安定係数に関係する量を測定するための、フォースプレート;および
該フォースプレートと通信するコンピュータデバイスであって、該コンピュータデバイスは、
(i)各試行についての安定係数に関係する量を受信し、
(ii)各試行についての各量を順位と関連付けて、該量について順位を決定し、そして
(iii)該試行の特定の1つに関連する任意の順位が、エラーフリーの条件下で実施された特定の試行に関連する基準範囲から外れているかどうかを決定する、
コンピュータデバイス
を備える、システム。
【請求項4】
インスタンスを示すための、前記コンピュータデバイスと通信するディスプレイデバイスをさらに備え、該インスタンスにおいて、前記試行の特定の1つに関連する任意の順位が、該特定の試行に関連する基準範囲から外れている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
スクリーニングテストのエラーを検出するための方法であって、該方法は、以下:
少なくとも1つのスクリーニングテストタスクに関係する少なくとも1つの動作パラメータを測定する工程;および
該測定された動作パラメータを特徴付ける少なくとも1つの動作の統計量を計算する工程;および
該少なくとも1つの動作の統計量と、エラーフリーのスクリーニングテストに関連する少なくとも1つの基準統計量とを比較する工程
を包含する、方法。
【請求項6】
前記統計量が、平均に関連する値を表す、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記統計量が、標準偏差に関連する値を表す、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記統計量が、標準誤差に関連する値を表す、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記統計量が、パワースペクトルに関連する値を表す、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記統計量が、平均平方根に関連する値を表す、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記統計量が、振動数ヒストグラムに関連する値を表す、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
請求項5に記載の方法であって、以下:
(i)前記スクリーニングテストタスクが、平衡タスクであり;
(ii)前記少なくとも1つの動作パラメータが動揺偏差であり;
(iii)前記少なくとも1つの動作の統計量が、該動揺偏差の速度についての移動窓の平均平方根値に対応し;そして
(iv)該少なくとも1つの動作の統計量と前記少なくとも1つの基準統計量とを比較する工程が、該移動窓の平均平方根値が、一定値から所定の閾値だけ外れているかどうかを決定する工程を包含する、
方法。
【請求項13】
請求項5に記載の方法であって、以下:
(i)前記スクリーニングテストタスクが、平衡タスクであり;
(ii)前記少なくとも1つの動作パラメータが、フォースプレートに加えられる垂直力であり;
(iii)前記少なくとも1つの動作の統計量が、該フォースプレートに加えられる全垂直力についての移動窓の平均値に対応し;そして
(iv)該少なくとも1つの動作の統計値と、前記少なくとも1つの基準統計量とを比較する工程が、該移動窓の平均値が、一定値から所定の閾値だけ外れているかどうかを決定する工程を包含する、
方法。
【請求項14】
請求項5に記載の方法であって、以下:
(i)前記スクリーニングテストタスクが、平衡タスクであり;
(ii)前記少なくとも1つの動作パラメータが、フォースプレートに加えられる垂直力であり;
(iii)前記少なくとも1つの動作の統計量が、該フォースプレートに加えられる全垂直力の数学的導関数の平均に対応し;そして
(iv)該少なくとも1つの動作の統計量と、前記少なくとも1つの基準統計量とを比較する工程が、該平均が、0から所定の閾値だけ外れているかどうかを決定する工程を包含する、
方法。
【請求項15】
請求項5に記載の方法であって、以下:
(i)前記スクリーニングテストタスクが、平衡タスクであり;
(ii)前記少なくとも1つの動作パラメータが、フォースプレートに加えられる水平力であり;
(iii)前記少なくとも1つの動作の統計量が、該フォースプレートに加えられる全水平力の数学的導関数の平均に対応し;そして
(iv)該少なくとも1つの動作の統計量と、前記少なくとも1つの基準統計量とを比較する工程が、該平均が、0から所定の閾値だけ外れているかどうかを決定する工程を包含する、
方法。
【請求項16】
ディスプレイデバイス上に、前記少なくとも1つの動作の統計量が、前記少なくとも1つの基準統計量と異なる程度を表示する工程をさらに包含する、請求項5に記載の方法。
【請求項17】
平衡に関係するスクリーニングテストにおいてエラーを検出するための方法であって、該方法は、以下:
複数の異なる感覚条件下で、1人の被験体による試行において実施される平衡タスクの安定係数に関係する量を測定する工程;
それによって各試行についての安定係数に関係する量を取得する工程;
各試行についての各量を順位と関連付けて、該量についての順位を決定する工程;および
該試行の特定の1つに関連する任意の順位が、エラーフリーの条件下で実施された特定の試行に関連する基準範囲から外れているかどうかを決定する工程
を包含する、方法。
【請求項18】
前記被験体による平衡タスクの動作が、前記基準範囲から外れる回数に対応する数を表示する工程をさらに包含する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記安定係数に関係する量を測定する工程が、改変したCTSIBプロトコールに従う工程を包含する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記複数の異なるタスクの動作についての順位を決定する工程が、前記平衡タスクの難易度のレベルに従って順位を決定する工程を包含する、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
動揺偏差を測定する間に、平衡タスクの個々の試行において、スクリーニングテストのエラーを検出するための方法であって、該方法は、以下:
該動揺偏差の速度についての移動窓の平均平方根値に対応する量を決定する工程であって、該窓は、該試行の持続時間に関しては短いが、動揺速度の代表的な偏差の持続時間に関しては長い、工程;および
該量が閾値を超える場合に、警告状態に入る工程
を包含する、方法。
【請求項22】
少なくとも1つの垂直力検知デバイスの誤作動に起因する、スクリーニングテストのエラーを検出するための方法であって、該方法は、以下:
該デバイスにより測定された全垂直力についての移動窓の平均値に対応する量を決定する工程であって、該窓は、全垂直力における、予測される自然発生的な変動の持続時間に関して長い、工程;および
該量が評価された定数から所定の閾値だけ外れている場合に、警告状態に入る工程
を包含する、方法。
【請求項23】
少なくとも1つの垂直力検知デバイスの誤作動に起因する、スクリーニングテストのエラーを検出するための方法であって、該方法は、以下:
該デバイスにより測定された全垂直力についての数学的導関数の平均を計算して、該全垂直力の変化率を決定する、工程;
所定の時間にわたる、該全垂直力の平均変化率に対応する値を決定する工程;および
前記平均が0から所定の閾値だけ外れている場合に、警告状態に入る工程
を包含する、方法。
【請求項24】
少なくとも1つの水平力検知デバイスの誤作動に起因する、スクリーニングテストのエラーを検出するための方法であって、該方法は、以下:
該デバイスにより測定された全水平力についての数学的導関数の平均を計算し、該全水平力の変化率を決定する、工程;
所定の時間にわたる、該全水平力の平均変化率に対応する量を決定する工程;および
該平均が0から所定の閾値だけ外れている場合に、警告状態に入る工程
を包含する、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−521842(P2007−521842A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527155(P2006−527155)
【出願日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/031176
【国際公開番号】WO2005/030047
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(502252459)ニューロコム インターナショナル インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】