説明

スクリーン印刷用フレーム

【課題】短時間で簡便に紗張りが行えるとともに、フレームの再利用性を高め、作業スペースの省スペース化を実現できるスクリーン印刷用のフレームを提供する。
【解決手段】それぞれ複数の枠部材から分割構成された1対の縦枠と横枠とを方形に枠組みするとともに、上記各枠部材を伸縮機構と連結させてそれぞれその長手方向に接近、離間可能に形成し、枠組みされた枠体上にスクリーンを固定した上で、上記伸縮機構によって上記各枠部材をそれぞれその長手方向に離間させることにより上記枠体を拡大させて上記スクリーンを張設可能とし、上記伸縮機構に設けられた操作部を操作することにより、すべての上記縦枠及び上記横枠が連動して長手方向に離間するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスクリーン印刷に使用されるフレームに関し、詳しくは、スクリーンを固定するためのフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スクリーン印刷用にアルミフレームに紗張りを行うに際し、クランプ付きのエアーシリンダーが使用されている。すなわち、アルミフレームの四辺にクランプ付きのエアーシリンダーを配置し、その上にスクリーンを乗せ、四辺をクランプにて挟んでアルミフレームとスクリーンとを押さえ、この状態でエアーシリンダーにて外側に引っ張ることでスクリーンを強く張ることが行われている。
【0003】
このような紗張りにおいては、エアーシリンダーのエアーの圧力調整によりスクリーンの張力を調整し、十分な張力が得られた状態でアルミフレームにスクリーンをボンドで接着し、これにより紗張りを行うこととなっていた(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−28849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記したような従来の方法では、スクリーンをフレームに接着するためにボンドを使用するため、ボンドが凝固するまでに時間がかかったり、ボンド特有の臭いが発生したり、汚れの原因となったりしていた。
【0006】
更には、フレームを再利用するためにはボンドを剥がす必要があり、フレームをラッカーシンナー等MEKに漬けてボンドを剥ぎ取らねばならず、煩雑な作業が必要となっていた。
【0007】
また、エアーシリンダーを配置するためのスペースも必要となるため、作業スペースの制約も大きいものとなっていた。
【0008】
そこで本発明は、短時間で簡便に紗張りが行えるとともに、フレームの再利用性を高め、作業スペースの省スペース化を実現できるスクリーン印刷用のフレームを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものである。
【0010】
以下、各請求項にそれぞれ記載された発明の特徴を説明する。
【0011】
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、以下を特徴とする。
【0012】
すなわち、請求項1に記載のスクリーン印刷用フレームは、それぞれ複数の枠部材から分割構成された1対の縦枠と横枠とを方形に枠組みするとともに、上記各枠部材を伸縮機構と連結させてそれぞれその長手方向に接近、離間可能に形成し、枠組みされた枠体上にスクリーンを固定した上で、上記伸縮機構によって上記各枠部材をそれぞれその長手方向に離間させることにより上記枠体を拡大させて上記スクリーンを張設可能とし、上記伸縮機構には操作部が設けられ、この操作部を操作することによりすべての上記縦枠及び上記横枠が連動して長手方向に離間することを特徴とする。
【0013】
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の特徴点に加え、以下を特徴とする。
【0014】
すなわち、上記伸縮機構は、回転しつつ伸縮可能な軸状部材を上記枠体内部に設けることによって構成されていることを特徴とする。
【0015】
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は2に記載の発明の特徴点に加え、以下を特徴とする。
【0016】
すなわち、上記枠体上へのスクリーンの固定は、上記枠部材に設けられた溝部に押さえ材を嵌め込むことによりスクリーンを巻き込み保持して行われることを特徴とする。
【0017】
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項3に記載の発明の特徴点に加え、以下を特徴とする。
【0018】
すなわち、上記枠体の4辺のうち対向する2辺に形成された上記溝部は、上記2辺の全長にわたり形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明は上記の通りであり、フレーム自体に紗張り装置の機能を持たせたため、作業スペースの省スペース化を図ることができる。
【0020】
また、枠体上にスクリーンを保持した状態でスクリーンの張力を調整可能としたため、張力調整後にボンドを使用して固定する必要がない。このため、ボンドを使用した場合の問題点、例えば、接着剤が凝固するまでに時間がかかったり、接着剤特有の臭いが発生したり、汚れの原因となる、などの問題点を回避することができる。また、フレームを再利用する際にボンドを剥がす必要がなく、古いスクリーンを取り外して新しいスクリーンを取り付けるのみでフレームを再利用できるため、きわめて簡便にフレームの再利用が可能となっている。
【0021】
更には、スクリーンの張りが緩むことにより印刷精度が悪くなった場合でも、従来のようにスクリーンを張り替える必要はなく、枠体の各辺を伸長させるだけでスクリーンの張りを調節することができる。
【0022】
また、伸縮機構に操作部を設け、この操作部を操作することによりすべての縦枠及び横枠が連動して長手方向に離間するようにしたため、各辺の張力調整を個別に行う必要がなく、一回の操作で簡便に紗張りが行えるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態を説明する図であって、枠体の大きさが最大時のスクリーン印刷用フレームの平面透視図である。
【図2】本発明の実施形態を説明する図であって、枠体の大きさが最小時のスクリーン印刷用フレームの平面透視図である。
【図3】本発明の実施形態を説明する図であって、軸状部材の連結部分の拡大平面図である。
【図4】本発明の実施形態を説明する図であって、枠体の大きさが最大時のスクリーン印刷用フレームの側面図である。
【図5】本発明の実施形態を説明する図であって、図4のA−A’断面図である。
【図6】本発明の実施形態を説明する図であって、枠部材の側面図である。
【図7】本発明の実施形態を説明する図であって、張力調整を行う前の状態を示すスクリーン印刷用フレームの平面図である。
【図8】本発明の実施形態を説明する図であって、枠部材にスクリーンを張る様子を示す(a)斜視図、(b)断面図である。
【図9】本発明の実施形態を説明する図であって、張力調整を行った後の状態を示すスクリーン印刷用フレームの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は本発明の実施形態に係るスクリーン印刷用フレーム1の平面透視図であって、枠体2の大きさが最大時のものである。また、図2は本発明の実施形態に係るスクリーン印刷用フレーム1の平面透視図であって、枠体2の大きさが最小時のものである。このように、本実施形態に係るスクリーン印刷用フレーム1は、各辺の長さが伸縮可能となっており、これにより枠体2に張ったスクリーン16の張力を調整可能とするものである。
【0025】
以下、詳しく説明する。
【0026】
(枠体2)
枠体2は、図1が示すように、1対の縦枠18と横枠19とを連結金具6で連結し、方形に枠組みしたものである。なお、後述するように、この枠体2の各辺それぞれの内部には伸縮機構が設けられている。これら伸縮機構は、縦枠18及び横枠19のそれぞれの内部において回転可能に支持された軸状部材によって構成されており、それぞれの軸状部材はその両端付近で枠部材3及び連結金具6に回動可能に支持されている。
【0027】
なお、図3に示すように、この伸縮機構を構成する軸状部材は、それぞれの両端部付近に設けられた傘歯車13により枠体2の4隅において他の軸状部材と互いに噛合している。このように噛合することにより、後述する角穴ハンドル11が操作されたときにすべての軸状部材が回転するように形成されている。なお、この角穴ハンドル11操作時の回転動作については後ほど詳述する。
【0028】
(枠部材3)
枠部材3は、枠体2の縦枠18及び横枠19を形成するアルミ製の部材であり、図1や図2に示すように、各縦枠18及び横枠19に2本の枠部材3が用いられている。すなわち、図2に示すように、枠体2が最小となるときには、枠体2の1辺をなす2本の枠部材3は、それぞれの端部が接することとなり、1本の連続した柱状となるように形成されている。そして、図1に示すように、枠体2が最大となるときには、枠体2の1辺をなす2本の枠部材3の間に間隙が生まれるようになっている。このように、2本の枠部材3がカップリングホルダー4上をスライドしつつ、その長手方向に接近、離間可能に形成されており、これにより、枠体2の各辺が伸縮するようになっている。
【0029】
なお、各枠部材3のスクリーン16が載置される側の面には、図5及び図6に示すように、軸方向に溝部14が形成されている。この溝部14はスクリーン16を保持するためのものであり、この溝部14にスクリーン16を載置した状態で後述するプレート17を溝部14に差し込むことにより、プレート17でスクリーンを巻き込み保持できるようになっている。
【0030】
そして、枠部材3でスクリーン16を保持した状態で角穴ハンドル11を操作することにより、後述するようなスクリーン16の張力調節が可能となっている。
【0031】
(伸縮機構)
伸縮機構は、枠体2の各辺内部において回転可能に支持される軸状部材によって構成されるものであり、前述したように縦枠18及び横枠19のそれぞれの内部に設けられるものである。
【0032】
すなわち、この伸縮機構は、図1に示すように、連結軸7とスクリュー軸8とがカップリング5により連結された軸状部材を備え、この軸状部材が回転しつつ伸縮することにより、枠体2を拡大または縮小させるためのものである。
【0033】
(カップリング5)
カップリング5は、連結軸7とスクリュー軸8とを連結して互いに回転力を伝達させるためのものである。図5に示すように、枠部材3の内部にはMCナイロン製のカップリングホルダー4が嵌め込まれており、カップリング5はこのカップリングホルダー4内部の丸穴に回転可能に挿入されるものである。また、カップリング5は、中空が断面六角状の筒状部材であり、この中空部分の一方側から連結軸7を挿入し、他方側からスクリュー軸8を挿入することにより、連結軸7とスクリュー軸8とを連結するものである。このとき、図5に示すように、連結軸7及びスクリュー軸8の挿入端側の軸は、カップリング5の内周面と嵌合するように断面六角状となっている。このため、カップリング5により連結されることにより、連結軸7が回転したときに、スクリュー軸8が一緒に回転するようになっている。
【0034】
(連結軸7)
連結軸7は、角穴ハンドル11を操作した時に周方向に回転する棒状部材である。図1に示すように、この連結軸7の角穴ハンドル11に近い側の端には、傘歯車13が設けられており、これにより当該端において隣接する他の軸状部材(スクリュー軸8)の傘歯車13と係合するように形成されている。一方、連結軸7の角穴ハンドル11から遠い側の端は、断面六角状となっており、カップリング5に挿入されてカップリング5中空の内周面と嵌合することとなっている。
【0035】
(スクリュー軸8)
スクリュー軸8は、角穴ハンドル11を操作した時に周方向に回転する棒状部材である。図1に示すように、この連結軸7の角穴ハンドル11に遠い側の端には、傘歯車13が設けられており、これにより当該端において隣接する他の軸状部材(連結軸7)の傘歯車13と係合するように形成されている。一方、連結軸7の角穴ハンドル11から近い側の端は、断面六角状となっており、カップリング5に挿入されてカップリング5中空の内周面と嵌合することとなっている。
【0036】
なお、図示しないが、スクリュー軸8のカップリング5に挿入される側の端付近外周面には雄ネジがきってあり、この雄ネジに螺合するスクリューナット9が嵌め込まれている。すなわち、このスクリューナット9の内周面には、スクリュー軸8外周面の雄ネジと螺合する雌ネジがきってあり、これにより、スクリューナット9とスクリュー軸8とが周方向に相対回転したときに、スクリューナット9がスクリュー軸8の軸方向に相対的に移動するように形成されている。
【0037】
(各伸縮機構の動作)
すでに説明したように、各伸縮機構は連結軸7とスクリュー軸8とをカップリング5で連結した軸状部材から構成されるものであるが、この軸状部材は回転することにより伸縮が可能となっている。
【0038】
以下、この伸縮機構の動作について、図4を見ながら説明する。
【0039】
図4は、枠体2の大きさが最大時のスクリーン印刷用フレーム1の側面図(一部省略)である。この図4が示すように、連結軸7とスクリュー軸8とはいずれもカップリング5内に挿入されているものの、両者の間にはスペースSが存在しており、間隙を有することとなっている。
【0040】
この状態で連結軸7が回転すると、その回転力がカップリング5を介してスクリュー軸8に伝わり、連結軸7とスクリュー軸8とが連動して回転する。このとき、スクリューナット9は枠部材3に固定されたカップリングホルダー4に保持されているため、スクリュー軸8が回転した場合でも、スクリューナット9は回転しない。このため、スクリュー軸8が回転した場合には、スクリュー軸8とスクリューナット9とに設けられたネジの作用によって、スクリュー軸8の軸方向におけるスクリュー軸8とスクリューナット9との相対位置が移動することになる。
【0041】
具体的に説明すると、図4において、スクリュー軸8とスクリューナット9とに設けられたネジが右ネジである場合、スクリュー軸8が右回転したときには、スクリューナット9は右方向へと相対的に移動し、スクリュー軸8が左回転したときには、スクリューナット9は左方向へと相対的に移動する。
【0042】
このように、スクリュー軸8の軸方向におけるスクリューナット9の相対位置が移動することにより、スクリュー軸8のカップリング5挿入端側の軸がカップリング5内を進退することとなり、これにより、軸状部材の長さを調節することが可能となっている。言い換えると、カップリング5内のスペースSの幅を調節することにより、軸状部材の長さを調節している。例えば、枠体2の大きさが最小時においては、図2に示すように、カップリング5内における連結軸7とスクリュー軸8との間のスペースSが存在せず、連結軸7の一端面とスクリュー軸8の一端面とがカップリング5内において接することとなっている。
【0043】
このように、本実施形態においては、回転しつつ伸縮可能な軸状部材を備えており、これにより、枠体2の各辺を構成する枠部材3を長手方向に接近、離間させるための伸縮機構が構成されている。
【0044】
すなわち、図4に示すように、連結軸7とスクリュー軸8とは、それぞれが異なる枠部材3に連結されており、これにより、軸状部材が伸長したときにはこれらの枠部材3が離間する方向へと移動し、軸状部材が縮短したときにはこれらの枠部材3が接近する方向へと移動するようになっている。(角穴ハンドル11)
角穴ハンドル11は、図1に示すように、伸縮機構を構成する4本の軸状部材のうちの1本の軸状部材Aに設けられたものである。詳しくは、所定の軸状部材Aの一方端が枠体2から突出しており、その突出部分に角穴ハンドル11が設けられている。この角穴ハンドル11は、軸状部材Aを回転させることにより、その回転力で他のすべての軸状部材をも回転させ、1回のハンドル操作ですべての縦枠18及び横枠19が連動して長手方向に接近、離間することを可能とするためのものである。
【0045】
(角穴ハンドル11操作時の動作)
以下、角穴ハンドル11を操作した時の動作について説明する。
【0046】
ここで、前述したように、伸縮機構を構成する各軸状部材においてスクリュー軸8とスクリューナット9とはネジ機構により係合している。本実施形態においては、このネジ方向は、(1)角穴ハンドル11が設けられた軸状部材Aについては右ネジ、(2)軸状部材Aと連結される軸であって、角穴ハンドル11とは逆側において軸状部材Aと連結される軸状部材Bについては右ネジ、(3)軸状部材Aと連結される軸であって、角穴ハンドル11側において軸状部材Aと連結される軸状部材Dについては左ネジ、(4)軸状部材B及び軸状部材Dと連結される軸状部材Cについては左ネジ、となっている。
【0047】
このため、角穴ハンドル11を右回転させた場合、軸状部材Aにおけるスクリュー軸A'は右回転し、軸状部材の長さが長くなるように作用する。
【0048】
そして、上記した軸状部材Aの回転は、傘歯車13を介して軸状部材B、軸状部材C及び軸状部材Dに伝達される。ここで、図1に示すように、本実施形態においては、軸状部材Bは軸状部材Aと同じ方向へ回転するように傘歯車13が設けられ、軸状部材C及び軸状部材Dは軸状部材Aと逆方向へ回転するように傘歯車13が設けられているため、軸状部材Aが右回転した場合には、軸状部材Bは右回転し、軸状部材C及び軸状部材Dは左回転する。
【0049】
ここで前述したように、軸状部材Bは右ネジであるので、右回転により軸状部材Aと同様に、その長さが長くなるように作用する。
【0050】
そして、軸状部材C及び軸状部材Dにおいても、左ネジであるので、左回転により軸状部材Aと同様に、その長さが長くなるように作用する。
【0051】
このように、本実施形態においては、角穴ハンドル11を右回転させることにより、すべての軸状部材の長さが長くなるように作用し、これにより枠体2の大きさを拡大することが可能となっている。
【0052】
一方、角穴ハンドル11を左回転させた場合、軸状部材Aにおけるスクリュー軸A'は左回転し、その長さが短くなるように作用する。そして、角穴ハンドル11を右回転させた場合と同様に、軸状部材B乃至Dにおいても軸状部材Aと同様に作用するため、すなわち、軸状部材B乃至Dにおいても、その長さが短くなるように作用する。
【0053】
このように、本実施形態においては、角穴ハンドル11を左回転させることにより、すべての軸状部材の長さが短くなるように作用し、これにより枠体2の大きさを縮小することが可能となっている。
【0054】
以上のように、本実施形態に係るスクリーン印刷用フレーム1においては、角穴ハンドル11を操作することにより枠体2の大きさを調節可能となっている。
【0055】
(スクリーン印刷用フレーム1の使用方法)
本実施形態に係るスクリーン印刷用フレーム1の具体的な使用方法について、図7〜9を参照しつつ説明する。
【0056】
まず、図7は、張力調整を行う前のスクリーン印刷用フレーム1の状態を示す平面図である。この図7が示すように、まずは枠体2の大きさを最小とした状態で、スクリーン16をスクリーン印刷用フレーム1の上に載置する。
【0057】
次に、枠部材3の溝部14を使用してスクリーン16を枠体2に固定する。すなわち、図8が示すように、溝部14は、端部開口からプレート16を差し込み可能に形成されており、プレート17を溝部14に差し込んだときに、溝部14の内面とプレート17とで、スクリーン16が巻き込み保持されるようになっている。
【0058】
なお、図7に示すように、対向する横枠19を構成する枠部材3は、溝部14が枠体3の外縁にまで形成されている一方、対向する縦枠18を構成する枠部材3は、端部14に横枠19を構成する枠部材3が接合されているため、溝部14の端が横枠19を構成する枠部材3によって塞がれることとなっている。このため、縦枠18を構成する枠部材3に設けられた溝部14の端には、プレート17の幅よりも大きく開口した拡開部15が設けられており、この拡開部15が設けられることにより、当該溝部14にプレート17を挿入可能となっている。
【0059】
そして、縦枠18及び横枠19のすべてにおいて、プレート17を挿入することによるスクリーン16の巻き込み保持が完了したら、次に、角穴ハンドル11を回転させ、枠体2の大きさを拡大していき、スクリーン16に張力を与える。すなわち、図9に示すように、角穴ハンドル11を右回転することにより、各軸状部材を回転させ、枠体2の各辺を伸長させる。このように枠体2の各辺が伸長すると、スクリーン16が外側に引っ張られることとなる。
【0060】
そして、スクリーン16に十分な張力が与えられた状態となったら、固定ナット12を使用して各軸状部材の回転を抑制し、スクリーン16張りが完了する。このとき、枠体2からはみ出したスクリーン16などの余剰部分をカットしてもよい。
【0061】
なお、スクリーン16の張りが緩むことにより印刷精度が悪くなった場合には、一度固定ナット12を取り外し、角穴ハンドル11を回転させてスクリーン16の張りを調節し、再度固定ナット12で固定すれば、スクリーン16を張り替えることなく緩みを解消することもできる。
【0062】
このように、本実施形態によれば、フレーム自体に紗張り装置の機能を持たせたため、従来と比較して大幅な省スペース化を図ることができる。
【0063】
また、ボンドを使用せずにスクリーン16を固定できるため、ボンドを使用した場合の問題点、例えば、接着剤が凝固するまでに時間がかかったり、接着剤特有の臭いが発生したり、汚れの原因となる、などが発生することがない。
【0064】
また、古いスクリーン16を取り外して新しいスクリーン16を取り付けるのみでフレームを再利用できるため、きわめて簡便にフレームの再利用が可能となっている。
【0065】
また、図7に示すように、対向する横枠19を構成する枠部材3は、溝部14が枠体3の外縁にまで形成されているため、枠体2の隅においてもスクリーン16が引っ張られるようになっており、スクリーンを強く張ることによりスクリーンに強力なテンションが加わった場合でも枠体2の4隅に弛みや皺が発生しないようになっている。しかも、4辺が同時に伸長し、そのときの伸長量も同じに設定されているため、均等にスクリーンに張力を与えるとともに、弛みや皺が発生しないようになっている。
【0066】
なお、上記した実施形態においては、縦枠18及び横枠19のすべてが連動して伸長または縮短することとしたが、これに限らず、個別に伸長または縮短させるための操作部を設け、個別に長さを調節できるようにしても良い。
【符号の説明】
【0067】
1 スクリーン印刷用フレーム
2 枠体
3 枠部材
4 カップリングホルダー
5 カップリング(伸縮機構)
6 連結金具
7 連結軸(伸縮機構)
8 スクリュー軸(伸縮機構)
9 スクリューナット
10 カラー
11 角穴ハンドル(操作部)
12 固定ナット
13 傘歯車(ギア)
14 溝部
15 拡開部
16 スクリーン
17 プレート(押さえ材)
18 縦枠
19 横枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ複数の枠部材から分割構成された1対の縦枠と横枠とを方形に枠組みするとともに、上記各枠部材を伸縮機構と連結させてそれぞれその長手方向に接近、離間可能に形成し、
枠組みされた枠体上にスクリーンを固定した上で、上記伸縮機構によって上記各枠部材をそれぞれその長手方向に離間させることにより上記枠体を拡大させて上記スクリーンを張設可能とし、
上記伸縮機構には操作部が設けられ、この操作部を操作することによりすべての上記縦枠及び上記横枠が連動して長手方向に離間することを特徴とするスクリーン印刷用フレーム。
【請求項2】
上記伸縮機構は、回転しつつ伸縮可能な軸状部材を上記枠体内部に設けることによって構成されていることを特徴とする、請求項1記載のスクリーン印刷用フレーム。
【請求項3】
上記枠体上へのスクリーンの固定は、上記枠部材に設けられた溝部に押さえ材を嵌め込むことによりスクリーンを巻き込み保持して行われることを特徴とする、請求項1又は2に記載のスクリーン印刷用フレーム。
【請求項4】
上記枠体の4辺のうち対向する2辺に形成された上記溝部は、上記2辺の全長にわたり形成されていることを特徴とする、請求項3に記載のスクリーン印刷用フレーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−152731(P2011−152731A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16337(P2010−16337)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(592178543)
【出願人】(510026563)
【Fターム(参考)】