スクリーン印刷用メッシュ部材
【課題】高粘度のペーストを利用し、印刷パターンの幅を小さく(細く)した場合にも、印刷高さが高く、且つ印刷幅のばらつきの小さな印刷を実現できると共に、必要で均一な強度を有するスクリーン印刷用メッシュ部材を提供する。
【解決手段】本発明のスクリーン印刷用メッシュ部材は、感光性乳剤で印刷パターンを形成するためのスクリーン印刷用メッシュ部材であって、前記スクリーン印刷用メッシュ部材は圧延金属箔によって構成されており、前記圧延金属箔は、印刷対象物の印刷領域に相当する部分以外に、印刷対象物の非印刷領域に相当する部分を有し、前記印刷領域に相当する圧延金属箔の部分には、印刷対象物に向かって広がるような複数の孔が一列に配置され、且つメッシュ部材を構成する線部が交差する部分がないような領域が存在するものである。
【解決手段】本発明のスクリーン印刷用メッシュ部材は、感光性乳剤で印刷パターンを形成するためのスクリーン印刷用メッシュ部材であって、前記スクリーン印刷用メッシュ部材は圧延金属箔によって構成されており、前記圧延金属箔は、印刷対象物の印刷領域に相当する部分以外に、印刷対象物の非印刷領域に相当する部分を有し、前記印刷領域に相当する圧延金属箔の部分には、印刷対象物に向かって広がるような複数の孔が一列に配置され、且つメッシュ部材を構成する線部が交差する部分がないような領域が存在するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン印刷に用いられるメッシュ部材に関するものであり、特に太陽電池の表面電極の印刷等に用いられる高粘度ペーストを使った印刷において、印刷パターンの幅を小さく(細く)した場合でも、印刷高さが高く、且つ印刷幅のばらつきの小さな印刷を実現するためのスクリーン印刷用メッシュ部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スクリーン印刷は積層チップコンデンサ等の電子部品の製造をはじめ、太陽電池の表面電極である集電用メイン電極(バスバー)や集電用グリッド電極(フィンガー電極)の形成にも利用されている。スクリーン印刷に使われる印刷版(スクリーン版)には、金属または樹脂(ポリエステル)からなる細線を編んだメッシュ部材が使われている。また、ステンレス鋼細線を編んだメッシュ織物(以下、「金属メッシュ織物」と呼ぶことがある)の周辺にポリエステル細線を編んだメッシュ織物(以下、「ポリエステルメッシュ織物」と呼ぶことがある)を接合させた印刷版(コンビネーションマスク)も広く利用されている。
【0003】
コンビネーションマスクは、ポリエステル細線を編んだメッシュ織物をアルミニウム製の型枠に張った後に、金属メッシュ織物を接着し、乾燥後金属メッシュ織物と重なった部分のポリエステルメッシュ織物を切断する。その後感光性乳剤を塗布し、金属メッシュ織物上に目的の印刷パターンを露光・現像し、印刷版を作製する。細線を編んだメッシュ織物で同じ厚みの場合、開口率(後記図1に示す開口部の合計面積率)が高いほど透過するペーストの量は多くなる。太陽電池の表面電極の印刷等には、開口率50〜60%程度の金属メッシュ織物が利用されている。
【0004】
電子部品の小型化や太陽電池の発電効率の向上のために、スクリーン印刷で印刷する電極の幅を細く、且つ高くするための努力がなされている。これは、電極の抵抗値は断面積に依存するため、電子部品の小型化のためや、太陽電池の受光面積を大きくして発電効率を高めるためには、電極を細く、且つ高くして断面積をなるべく大きくし、電極の抵抗値が高くならないようにするためである。しかしながら、金属メッシュ織物を使って印刷する場合にメッシュ痕(後述する)が残りやすく、印刷の高低差にばらつきが出やすいという問題がある。また、印刷後(印刷用スキージが通過した後)、印刷版のメッシュ織物の細線が交差した部分にペーストが残存し、印刷(電極)高さが低くなることがある。そのため、印刷パターン幅をより小さくした場合には、印刷かすれが生じやすく、電極高さが低い部分が存在することがあり、このような場合には目的の電気抵抗値を得られないものとなる。
【0005】
図1は、スクリーン印刷に通常用いられている印刷版の一部拡大説明図である。金属やポリエステルからなる細線1を編んだメッシュ部材(メッシュ織物)を、スクリーン枠(図示せず)に張った後、全面に樹脂4(感光性乳剤)を塗布してからマスクで覆い、印刷しない部分のみに露光して、感光性乳剤4を硬化させ、印刷したい部分の感光性乳剤4を除去し、印刷版5を作製する[図中、2はメッシュ部材の開口部(メッシュ開口部)を示す]。
【0006】
スクリーン印刷においては、図2に示すように、スキージ6を移動させることにより印刷パターン部3(前記図1参照)のメッシュ開口部2にペースト7を充填すると共に、印刷対象物8にペースト7を付着させる。スキージ6が通過した後は、印刷版の張力(テンション)により印刷版5(前記図1参照)と印刷対象物8が離れるが、ペースト7は印刷対象物8に残り、感光性乳剤4が除去されたパターン通りに印刷される。印刷された直後のペースト7は、メッシュ開口部2に対応する部分には厚く、細線1に対応する部分は薄くなっているが[図2(b)]、ペースト7の粘性と表面張力により平坦化(レべリング)する[図2(c)]。この際、印刷版5のメッシュ開口部2を越えてペースト7が広がることとなる。このペーストの広がりを印刷の滲みと称す[図2中、7aで示す]。
【0007】
尚、印刷膜厚(印刷対象物8に塗布されたペースト7の厚さd1)は、印刷版5の厚さと、メッシュ部材の開口率(開口部2の合計面積比率)によって決定され、同じ印刷面積の場合、印刷膜厚(μm)=印刷版の厚さ(μm)×開口率(%)の関係が成り立つことが知られている。
【0008】
表面に凹凸のないメッシュ部材を使用すれば、メッシュ痕が残りにくく、印刷の高低差を少なくできることが期待できる。表面に凹凸のないメッシュ部材を製造する方法としては、電鋳法によりニッケルなどをメッシュ状に堆積させる方法が提案されている(例えば、特許文献1、2)。しかしながら電鋳法で作製した金属箔には強度のばらつきが生じることが知られており、電鋳法で作製したメッシュ部材にも強度のばらつきが生じる恐れがある。またニッケルなどの電解箔にエッチングなどで孔開け加工したものをメッシュ部材とすることも考えられるが、電鋳法によるメッシュ部材と同様に強度のばらつきが生じる恐れがある。
【0009】
こうしたことから、太陽電池の表面電極の印刷に使われる導電性銀ペーストのように、高粘度のペーストを用いて、印刷パターンの幅を小さく(細く)した場合にも印刷高さが高く、且つ印刷幅のばらつきの小さな印刷を実現でき、しかもメッシュ部材として必要で均一な強度を有するスクリーン印刷用メッシュ部材が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3516882号公報
【特許文献2】特許第2847746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、高粘度のペーストを利用し、印刷パターンの幅を小さく(細く)した場合にも、印刷高さが高く(印刷かすれがなく)、且つ印刷幅のばらつきの小さな印刷を実現できると共に、必要で均一な強度を有するスクリーン印刷用メッシュ部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決することのできた本発明に係るスクリーン印刷用メッシュ部材とは、感光性乳剤で印刷パターンを形成するためのスクリーン印刷用メッシュ部材であって、前記スクリーン印刷用メッシュ部材は圧延金属箔によって構成されており、前記圧延金属箔は、印刷対象物の印刷領域に相当する部分以外に、印刷対象物の非印刷領域に相当する部分を有し、前記印刷領域に相当する圧延金属箔の部分には、印刷対象物に向かって広がるような複数の孔が一列に配置され、且つメッシュ部材を構成する線部が交差する部分がないような領域が存在するものである点に要旨を有するものである。
【0013】
本発明のスクリーン印刷用メッシュ部材では、前記印刷領域に相当する部分から、幅:15mm、標点距離:100mmの試験片を切り出し、引張速度:10mm/分で引張試験を行ったときの破断荷重(N)を引張試験片の幅1cmあたりに換算した引張強度が20N/cm以上の強度を発揮できるものとなる。
【0014】
本発明のスクリーン印刷用メッシュ部材は、(a)非印刷領域に相当する部分には、孔が開けられていないものや、(b)非印刷領域に相当する部分には、前記印刷領域に相当する部分における孔の開口率よりも小さい開口率で多数の孔が開けられたもの、等も含むものである。
【0015】
本発明のスクリーン印刷用メッシュ部材における好ましい実施形態としては、(a)厚みが5μm以上、30μm以下である、(b)前記印刷領域に相当する圧延金属箔の部分と、非印刷領域に相当する圧延金属箔の部分の境界の輪郭は、少なくとも一部が丸みを帯びたものである、(c)線部を構成する少なくとも片面が平坦である、等の構成が挙げられる。
【0016】
本発明のスクリーン印刷用メッシュ部材の素材となる圧延金属箔としては、特に限定されるものではないが、ステンレス鋼、チタン若しくはチタン合金、ニッケル若しくはニッケル合金、銅若しくは銅合金、およびアルミ合金のいずれかが挙げられる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のスクリーン印刷用メッシュ部材によれば、圧延金属箔によって構成すると共に、この圧延金属箔に、印刷対象物の印刷領域に相当する部分以外に、印刷対象物の非印刷領域に相当する部分を有し、印刷対象物の印刷領域に相当する圧延金属箔の部分に、印刷対象物に向かって広がるように多数の孔を有し、前記印刷領域に相当する圧延金属箔の少なくとも一部には、複数の孔が一列に配置され、メッシュ部材を構成する線部が交差する部分がないような領域が存在するようにしたので、高粘度のペーストを用いた場合にでも印刷高さが高く、且つ印刷幅のばらつきの小さな印刷を実現できると共に、必要で均一な強度を有するスクリーン印刷用メッシュ部材が実現でき、このようなスクリーン印刷用メッシュ部材は、電子部品の製造をはじめ、太陽電池の表面電極である集電用メイン電極(バスバー)や集電用グリッド電極(フィンガー電極)の形成に極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】スクリーン印刷に通常使われている印刷版の部分拡大説明図である。
【図2】従来技術でのスクリーン印刷におけるペーストの充填状態を説明するための図である。
【図3】メッシュ部材を構成する線部の交差部分の存在が断線数に影響を与える状況を説明する図である。
【図4】線幅Bが印刷幅Aの50%以上ある部分(線幅が印刷幅の50%以上、且つ印刷幅以上)の箇所数と、断線数の関係を示すグラフである。
【図5】従来の孔の開口形状を説明するための拡大図である。
【図6】本発明のメッシュ部材の形態の一例を示す説明図である。
【図7】本発明のメッシュ部材の形態の他の例を示す説明図である。
【図8】本発明のメッシュ部材の形態の更に他の例を示す説明図である。
【図9】本発明のメッシュ部材の形態の他の例を示す説明図である。
【図10】比較品のメッシュ部材の形態の一例を示す説明図である。
【図11】本発明のメッシュ部材の形態の他の例を示す説明図である。
【図12】本発明のメッシュ部材における孔の開口形状の一例を示す説明図である。
【図13】本発明のメッシュ部材における孔の開口形状の他の例を示す説明図である。
【図14】本発明のメッシュ部材を用いたときのスクリーン印刷におけるペーストの充填状態を説明するための図である。
【図15】実施例1で得られたメッシュ部材の一部を拡大した形状を示す図面代用写真である。
【図16】実施例2で得られたメッシュ部材の一部を拡大した形状を示す図面代用写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明者らは、圧延金属箔に孔開け加工したメッシュ部材とステンレス細線メッシュ織物を用いて、高粘度のペーストの吐出状況を観察した。その結果、圧延金属箔によって構成されるメッシュ部材(圧延金属箔メッシュ部材)では、ペーストの吐出状況が金属メッシュ織物によって構成されるメッシュ部材に比べて均一であることが判明した。また、圧延金属箔メッシュ部材では、細線メッシュ織物で観察されたような孔(開口)にペーストは残存していなかった。圧延金属箔に孔開け加工したメッシュ部材は、ペーストの吐出が均一で、且つ開口部にペーストが残存しないために、高低差が少ない印刷ができるものとなる。しかしながら、圧延金属箔に孔開け加工したメッシュ部材を用いて、印刷パターンの幅を狭くした場合に、印刷かすれが発生することがあった。
【0020】
こうした現象が発生する原因を解析するために、厚さ:21μmのステンレス鋼圧延箔(東洋精箔株式会社製、規格SUS304−H)に、メッシュ数250または320(本/インチ)、開口率50〜62%、バイアス22.5度若しくは57.5度で孔開け加工したメッシュ部材を作製し、これらのメッシュ部材を用いて、印刷パターン部の幅(印刷パターン幅)40、60、80、100(μm)の印刷版を製作した。尚、上記「バイアス」とは、メッシュ部材の線部(後記図5参照)の方向と印刷方向(後記図14の左右方向)とのなす角度を意味する。
【0021】
これらの印刷版と太陽電池用銀ペーストを用いて印刷試験を行い、印刷後の印刷長さ1cm当りの印刷かすれ箇所の数(断線数)を測定した。測定の結果、印刷パターン幅が100、80μmでは断線はほとんど発生しなかったが、印刷パターン幅が60μm、40μmと細くなるにつれて断線数が多くなり、印刷パターン幅が40μmで最大となった。そこで、印刷版をマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、型式VHX−2000)で観察し、断線数に影響を及ぼす要因を解析した。解析の結果、メッシュ部材を構成する線部の交差部分が印刷パターン部に存在し、印刷パターン幅の50%以上が線部で塞がれると共に、その部分の長さが印刷線幅以上となっている箇所の数と、印刷かすれの箇所(断線)数の間に正の相関関係があることが判明したのである。
【0022】
図3は、メッシュ部材を構成する線部の交差部分の存在が断線数に影響を与える状況を説明する図であり、図中Aは印刷パターン幅(印刷幅)、Bは線部で塞がれている幅、CはB(線部で塞がれている幅:線幅)がA(印刷幅)の50%以上ある部分の長さを夫々示している。また、線幅Bが印刷幅Aの50%以上ある部分の箇所数(但し、印刷幅A以上の部分)と、断線数の関係を図4に示す(但し、印刷パターン幅が100、80μmのものは、断線がなかったため図示せず)。
【0023】
これらの結果から、次のように考察できた。即ち、線部が、印刷パターン幅の50%以上を塞ぐ箇所は、すべてメッシュ部材の線部が交差する部分(交差部分)が印刷パターン内に存在する場合であった。そのため、メッシュ部材の線部の交差部分を細くすることで、印刷かすれのない印刷を実現できることが予想される。しかし、線部の交差部分を大幅に小さくすると、強度が低下し、印刷版作製時や印刷時に破断する恐れがある。そこで、線部の交差部分の影響を取り除くための方法を、更に検討した。
【0024】
メッシュ部材の従来の孔の開口形状は、図5(拡大図)に示すように、線部が格子状態に形成され、交差部分を有するのが一般的である。しかしながら、こうした孔の開口形状では、上記のような問題が生じることになる。そこで本発明者らは、印刷パターンのための領域(印刷対象物の印刷領域に相当する部分:以下、単に「印刷領域」と呼ぶことがある)に、線部の交差部分を有しないメッシュ部材に想到した。
【0025】
図6は、本発明のメッシュ部材の形態の一例を示す説明図である。本発明のメッシュ部材では、図6に示すように印刷領域の孔を一列に配置して、印刷領域で線部が交差する部分をなくすことで、ペーストの吐出性が良好なメッシュ部材を実現できたものである。ペーストの吐出が均一かつ良好になることによって、印刷パターン幅を細くした場合にも印刷高さが高く(印刷かすれがなく)、高低差がなく、更に印刷幅のばらつきも少なくなる。印刷領域のみ孔開け加工し、周辺の非印刷領域には孔開けしない、或は印刷領域に比べて低い開口率で孔開けすることで、メッシュ部材としての強度を維持できるものとなる。図7に、このようなメッシュ部材の一例を示す(平面図:非印刷領域の孔は図示していない)。また、上記のような孔を一列に配置する場合は、印刷領域の少なくとも一部であれば本発明の効果を発揮することができる。図8に、印刷領域の一部の孔が一列に配置され、線部の交差部分を有しないメッシュ部材の一例を示す(平面図:非印刷領域の孔は図示していない)。尚、本発明において、「一列に配置」とは、前記図6〜8から明らかなように、孔が同一方向に並んで配列した状態を意味する。
【0026】
本発明のメッシュ部材(即ち、線部の交差部分を有しないメッシュ部材)の有効性を確認するため、厚さ21μmのステンレス鋼圧延箔(東洋精箔株式会社製、規格SUS304−H)を用いて、印刷領域の孔が四角形で一列になるように片側からエッチングで加工し、線幅が15μm、開口幅が85μm、メッシュ数250(本/インチ)の圧延金属箔メッシュ部材を作製した。このとき用いた圧延金属箔メッシュ部材を図9(平面図:非印刷領域の孔は図示していない)に示す。
【0027】
このとき比較品として、印刷領域(印刷パターン幅が広い印刷領域および印刷パターン幅が狭い印刷領域)に四角形の孔が複数並んだ線部の交差部分を有する圧延金属箔メッシュを作製した。この比較品の圧延金属箔メッシュ部材を図10(但し、非印刷領域の孔は図示していない)に示す。
【0028】
尚、線部の交差部分のないもの(前記図9)は、印刷方向に対してバイアス0度、交差部分があるもの(前記図10)はバイアス22.5度とした。これらの圧延金属箔メッシュ部材を用いて印刷パターン幅が40μmの印刷版を作製し、太陽電池用銀ペーストを用いて印刷試験を実施した。印刷された電極を夫々3本ずつマイクロスコープ(キーエンス製:型式VHK−2000)で観察し、電極長さ1cm当りの印刷かすれの箇所数(断線数)を測定した。その結果を下記表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
この結果から、次のように考察できる。線部の交差部分がある比較品では、印刷パターン内に線部の交差部分が存在するため、この部分でペーストがメッシュ部材の線部の下側に十分に回り込まないために、印刷かすれが生じる。一方、線部の交差部分がない本発明のもの(発明品)では、線部の交差部分がないために、ペーストが線部の下側に十分回り込み、印刷かすれが発生しないものと考えられる。
【0031】
メッシュ部材における孔(開口)の形状(開口形状)が正方形の場合(前記図6、9)には、印刷パターンを露光する際に、露光位置(即ち、感光性乳剤の塗布位置)が印刷領域からずれ、印刷パターンを設計どおり形成できない恐れがある。また、印刷パターンが非印刷領域に入ると、ペーストが吐出しないこととなる。そのため、印刷パターン幅よりも大きい開口幅としながら強度を維持するためには、印刷領域の線部の交差部分を有しない領域では、図11[図11(a)は、平面図、図11(b)は、感光性乳剤を塗布した状態を示す図]に示すように、孔の形状を長方形にすれば、印刷パターンを露光する位置が多少ずれても、図11(b)に示すように印刷領域に印刷パターンを形成できる(即ち、感光性乳剤を塗布できる)。
【0032】
メッシュ部材をアルミニウム枠に張る際や印刷中のスキージによる印圧による応力集中を避けるためには、図12[図12(a)は、孔の開口形状が長方形のもの、図12(b)はR形状を設けたもの]に示すように、印刷領域の線部の交差部分を有しない領域の孔の隅にR形状を付けることが好ましい。また、孔の開口形状は、正方形や長方形を平行に配置したものに限定されるものではなく、例えば図13に示すように、平行四辺形[図13(a)]、台形[図13(c)]を一列に配置したものや、長方形を傾斜させて一列に配置したもの[図13(b)]、長方形に丸みを持たせたもの[図13(d)]、等様々な形状を採用することができる。これらの形状は、印刷パターンの形状および幅等を考慮して選定すれば良い。
【0033】
印刷領域に相当する圧延金属箔の部分と、該非印刷領域に相当する圧延金属箔の部分の境界の輪郭は少なくとも一部が丸みを帯びたものとすることで、紗張り時の応力集中を低減でき、破断しにくいメッシュ部材を得ることができる。特にメッシュ部材の厚さが薄く(20μm程度以下)、開口率の高い領域の開口率を高くし、さらに高いテンションで紗張りした場合でも破断を防止できることが期待できる。
【0034】
印刷領域相当部分と非印刷領域相当部分の境界は、前記図12のDに示したように、印刷領域相当部分の開口部の端部を基準に設定されるものであり、この境界Dが、印刷領域相当部分と該非印刷領域相当部分の夫々の開口率を計算するときの基準となる。
【0035】
本発明のメッシュ部材は、前記図12に示したように、圧延金属箔には、印刷対象物の印刷領域に相当する部分以外に、印刷対象物の非印刷領域に相当する部分を有するものであるが、(a)非印刷領域に相当する部分には孔が開けられていないもの[即ち、開口率:0%]である形態や、(b)非印刷領域に相当する部分には、印刷領域に相当する部分における孔の開口率よりも小さい開口率で多数の孔が開けられた形態等も含むものであるが、これらの形態は開口率を高くしながら強度を向上させるという観点から構成されたものである。
【0036】
圧延金属箔の非印刷領域に相当する部分に、孔を形成しないものとすることによって[上記(a)の形態]、強度の点では十分なものとなる。但し、感光性乳剤の種類によっては圧延金属箔との接着性が低くなるために、繰り返し印刷する途中で剥離することがあることが懸念される。そのため、非印刷領域に相当する部分の開口率は[上記(b)の形態]、感光性乳剤の接着性(および接着性に影響を及ぼす圧延金属箔の種類等)を考慮して設定するのがよい。
【0037】
またメッシュ部材内部でペーストが滞留することを防ぎ、高粘度のペーストの吐出性を向上させるため、孔の外観形状は印刷対象物に向かって広がるように形成するのが良い(後記図14参照)。尚、孔の形状を印刷対象物に向かって広がるように形成した場合のメッシュ部材の開口率は、スキージ面側と印刷対象物面側の開口率の平均値とする。
【0038】
メッシュ部材の内に強度の低い部分があるとアルミニウム枠に紗張りする際や印刷時のスキージの圧力により亀裂が入り、メッシュ全体に破断する恐れがある。メッシュ部材のうち最も強度が低くなるのは、開口率が最も高い部分であるため、メッシュ部材の印刷領域に相当する部分のうち開口率が最も高い部分が標点距離の中央部となるように、幅:15mm、標点距離:100mmの試験片を切り出し、引張速度10mm/分で引張試験を行ったときの破断荷重(N)を引張試験片の幅1cmあたりに換算した引張強度が20N/cm以上となるようにすることが好ましい。
【0039】
印刷領域の線部の交差部分の有無が、引張強度に影響するかを確かめるための試験を実施した。厚さ21μmのステンレス鋼圧延箔(東洋精箔株式会社製、規格SUS304−H)に、印刷領域のみ孔開け加工し、印刷領域に線部の交差部分がないメッシュ部材と交差部分があるメッシュ部材を製作した(基本的な形状は前記図9、10と同じ)。尚、線部の幅はいずれも50μm、開口幅は150μm、メッシュ数は125(本/インチ)とし、線部の交差部分のないものは印刷方向に対してバイアス0度、交差部分があるものはバイアス22.5度とした。
【0040】
印刷領域(開口)が中央部になるように、夫々のメッシュ部材から幅:15mm、標点距離:100mmの試験片を切り出し、引張試験機(株式会社オリエンテック製)を用いて引張速度10mm/分で引張試験を実施した。引張試験を行ったときの破断荷重(N)を引張試験片の幅1cm当りに換算したものを単位幅当りの引張強度として求めた。その結果を下記表2に示すが、線部の交差部分がない場合にも、線部の交差部分がある場合と同程度の引張強度を有することが分かる。
【0041】
【表2】
【0042】
メッシュ部材の開口率は高いほうが、同一面積あたりのペーストの透過量は多くなる。そのため圧延金属箔メッシュと高粘度ペーストを用いたスクリーン印刷では、ペーストが透過するための領域の開口率は高くするのが望ましい。導電性銀ペーストのうち比較的粘度の高いペーストを使って印刷する場合には、開口率は50%以上、理想的には70%以上とすることが望ましい。但し、開口率をあまり高くすることはメッシュ部材の強度低下に繋がることから、厚さが5μmの場合は50%程度まで、厚さが30μmの場合は90%程度までとすることが好ましい。
【0043】
また印刷パターンの幅が細い場合、メッシュ数が少ない(即ちメッシュ部材の線部のピッチが大きい)と、必要な強度を確保するために、線部の幅を大きくする必要がある。そのため、印刷パターン幅が細い(例えば100μm未満)の場合は、メッシュ数を大きく(即ちメッシュ部材の線部のピッチを小さく)することが好ましい。こうした観点から、メッシュ数は125(本/インチ)以上とすることが好ましい。しかしながら、メッシュ数が多くなり過ぎると開口幅が小さくなり、高粘度のペーストが透過(吐出)しにくくなるため、420(本/インチ)以下であることが好ましい。印刷パターン幅が更に細い(例えば60μm未満)でより粘度の高いペーストを使用する場合は、メッシュ数は210(本/インチ)以上、320(本/インチ)以下が好適である。
【0044】
メッシュ部材の厚さが厚いほど、同じ感光性乳剤の場合は厚い印刷ができるが、印刷に使用するペーストによってはメッシュ部材の厚さが厚すぎると印刷高さの高低差が生じやすくなる。このような事態が予想される場合には、メッシュ部材の厚さ(即ち、圧延金属箔の厚さ)を30μm以下にすることで、高低差の少ない印刷をする上で好ましい。メッシュ部材の厚さは、薄いほど高低差の少ない印刷ができやすいが、厚さが5μm未満の圧延金属箔は入手が困難で、強度を確保することも難しいため、メッシュ部材の厚さは5μm以上とすることが好ましい。この厚さは、より強度を確保するという観点から、より好ましくは10μm以上である。
【0045】
本発明のメッシュ部材は、圧延金属箔に上記のような多数の孔を形成したものであるが、こうしたメッシュ部材では、線部を構成する少なくとも片面が平坦なものとなるので、例えば図14(ペーストの充填状態を説明するための図)に示すように(図中1aは線部を示す)、表面に凹凸を有する細線を編んだメッシュに比べてスキージ6の移動がスムースになり[図14(a)]、ペースト7を均一に引き伸ばし易くなると共に[図14(b)]、印刷膜厚d2が比較的厚いパターンの印刷を行なうことができるので好ましい[図14(c)]。また、このような平坦な面を有することによって、コンビネーションマスク(周囲が樹脂メッシュで中央が金属メッシュのマスク)を作製するときに、樹脂メッシュとの接着が容易になるという利点もある。尚、図14では、孔2の外観形状が印刷面側(図14の下側)に向かって広がるように形成されている状態も示している(図14の上側はスキージ側)。
【0046】
本発明のメッシュ部材は、圧延金属箔にエッチング、レーザー加工、ショットブラストにより孔開け加工をすることによって製造できるが、開口精度と開口速度の点から、エッチングによる方法が最適である。尚、エッチングによって孔開け加工するに際して、両面からのエッチングにより孔開けした場合には、孔の一部に凸部が形成されるため、スクリーン印刷時にペーストが滞留する恐れがある。そこで、一方面からエッチングにより孔開け加工するのが良い。その結果、孔の形状(外観形状)は、一方側から他方側に向かって広がるような形状になるが、印刷対象物に向かって広がるように孔を形成することによって、ペーストが滞留する事態も回避できる。
【0047】
本発明のメッシュ部材をエッチングによる孔開け加工によって圧延金属箔に多数の孔を形成して製造するときの手順は下記の通りである。まず、圧延金属箔を張ってガラスなどの表面が平坦な固定板に貼り付けた状態、または圧延金属箔を巻きつけたロールを張った状態、即ち圧延金属箔に皺(しわ)がないように張った状態で以下の加工を行う。まず圧延金属箔に感光性レジストをなるべく薄く塗布した後、マスクに描画したメッシュの開口部のパターンを露光、現像して、開口部のパターンを圧延金属箔に形成する。
【0048】
印刷領域に相当する部分以外に非印刷領域相当部分を有し、非印刷領域相当部分に印刷領域相当部分における孔の開口率よりも小さい開口率で多数の孔が開けられたメッシュ部材を製造するに当っては、圧延金属箔に感光性レジストを塗布した後、印刷領域相当部分の開口パターンを描画したマスクの上に非印刷領域相当部分の開口パターンを描画したマスクを重ねて配置して露光・現像し、引き続きエッチングするようにすれば良く、これによって比較的簡単な手順にて、開口率の高い部分と低い部分を有するメッシュ部材を製造することができる。
【0049】
露光する印刷パターンに合わせて印刷領域を設定し、孔開け加工した場合、メッシュ部材をアルミニウム枠に張ると、メッシュ部材が伸びて、印刷領域の位置が印刷パターンからずれることがある。そのため、印刷パターンを露光する際に露光した印刷パターンが印刷領域から外れる恐れがある。その場合、印刷パターンの一部が非印刷領域に入り、ペーストが吐出しないため、印刷かすれや印刷幅のばらつきが生じる。そこで、孔開け加工する印刷領域の位置をあらかじめ中央部に偏らせておき、アルミニウム枠に張った際にメッシュ部材が伸び、印刷パターンの位置を合わせやすくすることができる。
【0050】
こうした有効性を確かめるための試験を実施した。厚さ:21μmのステンレス鋼圧延箔(東洋精箔株式会社製、規格SUS304−H)に、印刷領域の最も外側が印刷パターンに対して縮尺率0.9992(100μm内側)になるように、片側からエッチングで孔開け加工し、圧延金属箔メッシュを作製した。開口率の高い印刷領域は太陽電池の表面電極パターンの形状に合わせた形状で、フィンガー電極の印刷パターンを露光・現像する部分は幅500μmとなっている。このメッシュ部材を使って印刷版を作製した。比較のため、印刷パターンに合わせたまま孔開け加工したメッシュ部材を作製し、印刷領域の中心からの印刷パターンの位置ずれの大きさをマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、型式VHX−2000)で測定した。その結果を、下記表3に示すが、本発明のメッシュ部材では、位置ずれが少ないことを確認できた。
【0051】
【表3】
【0052】
圧延金属箔の素材としてはステンレス鋼の他、チタン若しくはチタン合金、ニッケル若しくはニッケル合金、銅若しくは銅合金、アルミ合金等で箔状にできるものであれば良く、例えばステンレス鋼であればSUS304−H等、チタン合金であればJISH4600 80種等、ニッケル合金であればJISCS2520(1986)NCHRW1等、銅合金であればJISH3130 C1720R−H等、アルミ合金であればJISH4000 5052等が挙げられる。また、このような圧延金属箔は、一般的に市販されており、容易に入手できる。
【実施例】
【0053】
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0054】
[実施例1]
厚さ21μmの市販のステンレス鋼圧延箔(東洋精箔株式会社製:規格SUS304−H)に片側からエッチングで孔開け加工し、圧延金属箔メッシュを作製した。開口率の高い領域は、太陽電池の表面電極パターンの形状に合わせた形状であり、フィンガー電極の印刷パターンを露光・現像する部分は、幅:500μm、長さ:152mm、バスバーのパターンを露光・現像する部分は、幅:2.4mm、長さ:152mmとなっている。また、孔の外観形状は、印刷面側に向かって開口が広がる形状となっている。開口率の高い部分(印刷領域相当部分)の印刷面側のピッチは80μm[メッシュ数:320(本/インチ)]となっている。開口率は、開口率の高い部分(印刷領域に相当する部分)のうちフィンガー電極の印刷パターンを露光・現像する部分は78%、バスバーのパターンを露光・現像する部分は52%、開口率の低い部分(非印刷領域に相当する部分)は20%となっている。これらのうち、フィンガー電極の印刷パターンを露光・現像する部分は、線部が交差する部分がなく、その他は線部が交差する部分が存在するものとなっている。開口率の高い部分の孔の開口形状は、隅にR形状を付したものとなっている。得られたメッシュ部材の一部を拡大した形状を図15(図面代用顕微鏡写真)に示す。
【0055】
このメッシュ部材をポリエステル細線メッシュと接合し、感光性乳剤を塗布後、フィンガー電極幅:40μm、バスバー幅:2mmの印刷パターンを露光・現像して印刷版を作製した。作製した印刷版を用いて導電性銀ペースト(東洋インキ製造株式会社製:「RAFS」)を使った印刷を行い、レーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製:型式VK−9700)で印刷高さを測定したところ、印刷かすれがなく、平均高さが18μm、高低差が9μm、幅のばらつきが4μmの印刷ができることが確認できた。
【0056】
また得られたメッシュ部材から、印刷領域に相当する部分のうち開口率が最も高いフィンガー電極の印刷パターンを露光・現像する部分(孔が一列に配置)が標点距離の中央部になるように、幅:15mm、標点距離:100mmの試験片を切り出し、引張速度:10mm/分で引張試験を行ったときの破断荷重(N)を引張試験片の幅1cmあたりに換算した引張強度は、29N/cmであった。
【0057】
[実施例2]
厚さ21μmの市販のステンレス鋼圧延箔(東洋精箔株式会社製:規格SUS304−H)に片側からエッチングで孔開け加工し、圧延金属箔メッシュを作製した。開口率の高い領域は、太陽電池の表面電極パターンの形状に合わせた形状であり、フィンガー電極の印刷パターンを露光・現像する部分は、幅:400μm、長さ:152mm、バスバーのパターンを露光・現像する部分は、幅:2.4mm、長さ:152mmとなっている。また、孔の外観形状は、印刷面側に向かって開口が広がる形状となっている。開口率の高い部分(印刷領域相当部分)の印刷面側のピッチは100μm[メッシュ数:250(本/インチ)]となっている。開口率は、開口率の高い部分(印刷領域に相当する部分)のうちフィンガー電極の印刷パターンを露光・現像する部分は64%、バスバーのパターンを露光・現像する部分は51%、開口率の低い部分(非印刷領域に相当する部分)は20%となっている。これらのうち、フィンガー電極の印刷パターンを露光・現像する部分は、線部が交差する部分がなく、その他は線部が交差する部分が存在するものとなっている。開口率の高い部分の孔の開口形状は、隅にR形状を付したものとなっている。得られたメッシュ部材の一部を拡大した形状を図16(図面代用顕微鏡写真)に示す。
【0058】
このメッシュ部材をポリエステル細線メッシュと接合し、感光性乳剤を塗布後、フィンガー電極幅:60μm、バスバー幅:2mmの印刷パターンを露光・現像して印刷版を作製した。得られた印刷版を用いて導電性銀ペースト(東洋インキ製造株式会社製:「RAFS」)を使った印刷を行い、レーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製:型式VK−9700)で印刷高さを測定したところ、印刷かすれがなく、平均高さが26μm、高低差が6μm、幅のばらつきが5μmの印刷ができることが確認できた。
【0059】
また得られたメッシュ部材の印刷領域に相当する部分から、印刷領域に相当する部分のうち開口率が最も高いフィンガー電極の印刷パターンを露光・現像する部分(孔が一列に配置)が標点距離の中央部になるように、幅:15mm、標点距離:100mmの試験片を切り出し、引張速度:10mm/分で引張試験を行ったときの破断荷重(N)を引張試験片の幅1cmあたりに換算した引張強度は、43N/cmであった。
【符号の説明】
【0060】
1 細線
1a 線部
2 孔(開口)
3 印刷パターン部
4 感光性乳剤
5 印刷版
6 スキージ
7 ペースト
7a 滲み
8 印刷対象物
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン印刷に用いられるメッシュ部材に関するものであり、特に太陽電池の表面電極の印刷等に用いられる高粘度ペーストを使った印刷において、印刷パターンの幅を小さく(細く)した場合でも、印刷高さが高く、且つ印刷幅のばらつきの小さな印刷を実現するためのスクリーン印刷用メッシュ部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スクリーン印刷は積層チップコンデンサ等の電子部品の製造をはじめ、太陽電池の表面電極である集電用メイン電極(バスバー)や集電用グリッド電極(フィンガー電極)の形成にも利用されている。スクリーン印刷に使われる印刷版(スクリーン版)には、金属または樹脂(ポリエステル)からなる細線を編んだメッシュ部材が使われている。また、ステンレス鋼細線を編んだメッシュ織物(以下、「金属メッシュ織物」と呼ぶことがある)の周辺にポリエステル細線を編んだメッシュ織物(以下、「ポリエステルメッシュ織物」と呼ぶことがある)を接合させた印刷版(コンビネーションマスク)も広く利用されている。
【0003】
コンビネーションマスクは、ポリエステル細線を編んだメッシュ織物をアルミニウム製の型枠に張った後に、金属メッシュ織物を接着し、乾燥後金属メッシュ織物と重なった部分のポリエステルメッシュ織物を切断する。その後感光性乳剤を塗布し、金属メッシュ織物上に目的の印刷パターンを露光・現像し、印刷版を作製する。細線を編んだメッシュ織物で同じ厚みの場合、開口率(後記図1に示す開口部の合計面積率)が高いほど透過するペーストの量は多くなる。太陽電池の表面電極の印刷等には、開口率50〜60%程度の金属メッシュ織物が利用されている。
【0004】
電子部品の小型化や太陽電池の発電効率の向上のために、スクリーン印刷で印刷する電極の幅を細く、且つ高くするための努力がなされている。これは、電極の抵抗値は断面積に依存するため、電子部品の小型化のためや、太陽電池の受光面積を大きくして発電効率を高めるためには、電極を細く、且つ高くして断面積をなるべく大きくし、電極の抵抗値が高くならないようにするためである。しかしながら、金属メッシュ織物を使って印刷する場合にメッシュ痕(後述する)が残りやすく、印刷の高低差にばらつきが出やすいという問題がある。また、印刷後(印刷用スキージが通過した後)、印刷版のメッシュ織物の細線が交差した部分にペーストが残存し、印刷(電極)高さが低くなることがある。そのため、印刷パターン幅をより小さくした場合には、印刷かすれが生じやすく、電極高さが低い部分が存在することがあり、このような場合には目的の電気抵抗値を得られないものとなる。
【0005】
図1は、スクリーン印刷に通常用いられている印刷版の一部拡大説明図である。金属やポリエステルからなる細線1を編んだメッシュ部材(メッシュ織物)を、スクリーン枠(図示せず)に張った後、全面に樹脂4(感光性乳剤)を塗布してからマスクで覆い、印刷しない部分のみに露光して、感光性乳剤4を硬化させ、印刷したい部分の感光性乳剤4を除去し、印刷版5を作製する[図中、2はメッシュ部材の開口部(メッシュ開口部)を示す]。
【0006】
スクリーン印刷においては、図2に示すように、スキージ6を移動させることにより印刷パターン部3(前記図1参照)のメッシュ開口部2にペースト7を充填すると共に、印刷対象物8にペースト7を付着させる。スキージ6が通過した後は、印刷版の張力(テンション)により印刷版5(前記図1参照)と印刷対象物8が離れるが、ペースト7は印刷対象物8に残り、感光性乳剤4が除去されたパターン通りに印刷される。印刷された直後のペースト7は、メッシュ開口部2に対応する部分には厚く、細線1に対応する部分は薄くなっているが[図2(b)]、ペースト7の粘性と表面張力により平坦化(レべリング)する[図2(c)]。この際、印刷版5のメッシュ開口部2を越えてペースト7が広がることとなる。このペーストの広がりを印刷の滲みと称す[図2中、7aで示す]。
【0007】
尚、印刷膜厚(印刷対象物8に塗布されたペースト7の厚さd1)は、印刷版5の厚さと、メッシュ部材の開口率(開口部2の合計面積比率)によって決定され、同じ印刷面積の場合、印刷膜厚(μm)=印刷版の厚さ(μm)×開口率(%)の関係が成り立つことが知られている。
【0008】
表面に凹凸のないメッシュ部材を使用すれば、メッシュ痕が残りにくく、印刷の高低差を少なくできることが期待できる。表面に凹凸のないメッシュ部材を製造する方法としては、電鋳法によりニッケルなどをメッシュ状に堆積させる方法が提案されている(例えば、特許文献1、2)。しかしながら電鋳法で作製した金属箔には強度のばらつきが生じることが知られており、電鋳法で作製したメッシュ部材にも強度のばらつきが生じる恐れがある。またニッケルなどの電解箔にエッチングなどで孔開け加工したものをメッシュ部材とすることも考えられるが、電鋳法によるメッシュ部材と同様に強度のばらつきが生じる恐れがある。
【0009】
こうしたことから、太陽電池の表面電極の印刷に使われる導電性銀ペーストのように、高粘度のペーストを用いて、印刷パターンの幅を小さく(細く)した場合にも印刷高さが高く、且つ印刷幅のばらつきの小さな印刷を実現でき、しかもメッシュ部材として必要で均一な強度を有するスクリーン印刷用メッシュ部材が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3516882号公報
【特許文献2】特許第2847746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、高粘度のペーストを利用し、印刷パターンの幅を小さく(細く)した場合にも、印刷高さが高く(印刷かすれがなく)、且つ印刷幅のばらつきの小さな印刷を実現できると共に、必要で均一な強度を有するスクリーン印刷用メッシュ部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決することのできた本発明に係るスクリーン印刷用メッシュ部材とは、感光性乳剤で印刷パターンを形成するためのスクリーン印刷用メッシュ部材であって、前記スクリーン印刷用メッシュ部材は圧延金属箔によって構成されており、前記圧延金属箔は、印刷対象物の印刷領域に相当する部分以外に、印刷対象物の非印刷領域に相当する部分を有し、前記印刷領域に相当する圧延金属箔の部分には、印刷対象物に向かって広がるような複数の孔が一列に配置され、且つメッシュ部材を構成する線部が交差する部分がないような領域が存在するものである点に要旨を有するものである。
【0013】
本発明のスクリーン印刷用メッシュ部材では、前記印刷領域に相当する部分から、幅:15mm、標点距離:100mmの試験片を切り出し、引張速度:10mm/分で引張試験を行ったときの破断荷重(N)を引張試験片の幅1cmあたりに換算した引張強度が20N/cm以上の強度を発揮できるものとなる。
【0014】
本発明のスクリーン印刷用メッシュ部材は、(a)非印刷領域に相当する部分には、孔が開けられていないものや、(b)非印刷領域に相当する部分には、前記印刷領域に相当する部分における孔の開口率よりも小さい開口率で多数の孔が開けられたもの、等も含むものである。
【0015】
本発明のスクリーン印刷用メッシュ部材における好ましい実施形態としては、(a)厚みが5μm以上、30μm以下である、(b)前記印刷領域に相当する圧延金属箔の部分と、非印刷領域に相当する圧延金属箔の部分の境界の輪郭は、少なくとも一部が丸みを帯びたものである、(c)線部を構成する少なくとも片面が平坦である、等の構成が挙げられる。
【0016】
本発明のスクリーン印刷用メッシュ部材の素材となる圧延金属箔としては、特に限定されるものではないが、ステンレス鋼、チタン若しくはチタン合金、ニッケル若しくはニッケル合金、銅若しくは銅合金、およびアルミ合金のいずれかが挙げられる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のスクリーン印刷用メッシュ部材によれば、圧延金属箔によって構成すると共に、この圧延金属箔に、印刷対象物の印刷領域に相当する部分以外に、印刷対象物の非印刷領域に相当する部分を有し、印刷対象物の印刷領域に相当する圧延金属箔の部分に、印刷対象物に向かって広がるように多数の孔を有し、前記印刷領域に相当する圧延金属箔の少なくとも一部には、複数の孔が一列に配置され、メッシュ部材を構成する線部が交差する部分がないような領域が存在するようにしたので、高粘度のペーストを用いた場合にでも印刷高さが高く、且つ印刷幅のばらつきの小さな印刷を実現できると共に、必要で均一な強度を有するスクリーン印刷用メッシュ部材が実現でき、このようなスクリーン印刷用メッシュ部材は、電子部品の製造をはじめ、太陽電池の表面電極である集電用メイン電極(バスバー)や集電用グリッド電極(フィンガー電極)の形成に極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】スクリーン印刷に通常使われている印刷版の部分拡大説明図である。
【図2】従来技術でのスクリーン印刷におけるペーストの充填状態を説明するための図である。
【図3】メッシュ部材を構成する線部の交差部分の存在が断線数に影響を与える状況を説明する図である。
【図4】線幅Bが印刷幅Aの50%以上ある部分(線幅が印刷幅の50%以上、且つ印刷幅以上)の箇所数と、断線数の関係を示すグラフである。
【図5】従来の孔の開口形状を説明するための拡大図である。
【図6】本発明のメッシュ部材の形態の一例を示す説明図である。
【図7】本発明のメッシュ部材の形態の他の例を示す説明図である。
【図8】本発明のメッシュ部材の形態の更に他の例を示す説明図である。
【図9】本発明のメッシュ部材の形態の他の例を示す説明図である。
【図10】比較品のメッシュ部材の形態の一例を示す説明図である。
【図11】本発明のメッシュ部材の形態の他の例を示す説明図である。
【図12】本発明のメッシュ部材における孔の開口形状の一例を示す説明図である。
【図13】本発明のメッシュ部材における孔の開口形状の他の例を示す説明図である。
【図14】本発明のメッシュ部材を用いたときのスクリーン印刷におけるペーストの充填状態を説明するための図である。
【図15】実施例1で得られたメッシュ部材の一部を拡大した形状を示す図面代用写真である。
【図16】実施例2で得られたメッシュ部材の一部を拡大した形状を示す図面代用写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明者らは、圧延金属箔に孔開け加工したメッシュ部材とステンレス細線メッシュ織物を用いて、高粘度のペーストの吐出状況を観察した。その結果、圧延金属箔によって構成されるメッシュ部材(圧延金属箔メッシュ部材)では、ペーストの吐出状況が金属メッシュ織物によって構成されるメッシュ部材に比べて均一であることが判明した。また、圧延金属箔メッシュ部材では、細線メッシュ織物で観察されたような孔(開口)にペーストは残存していなかった。圧延金属箔に孔開け加工したメッシュ部材は、ペーストの吐出が均一で、且つ開口部にペーストが残存しないために、高低差が少ない印刷ができるものとなる。しかしながら、圧延金属箔に孔開け加工したメッシュ部材を用いて、印刷パターンの幅を狭くした場合に、印刷かすれが発生することがあった。
【0020】
こうした現象が発生する原因を解析するために、厚さ:21μmのステンレス鋼圧延箔(東洋精箔株式会社製、規格SUS304−H)に、メッシュ数250または320(本/インチ)、開口率50〜62%、バイアス22.5度若しくは57.5度で孔開け加工したメッシュ部材を作製し、これらのメッシュ部材を用いて、印刷パターン部の幅(印刷パターン幅)40、60、80、100(μm)の印刷版を製作した。尚、上記「バイアス」とは、メッシュ部材の線部(後記図5参照)の方向と印刷方向(後記図14の左右方向)とのなす角度を意味する。
【0021】
これらの印刷版と太陽電池用銀ペーストを用いて印刷試験を行い、印刷後の印刷長さ1cm当りの印刷かすれ箇所の数(断線数)を測定した。測定の結果、印刷パターン幅が100、80μmでは断線はほとんど発生しなかったが、印刷パターン幅が60μm、40μmと細くなるにつれて断線数が多くなり、印刷パターン幅が40μmで最大となった。そこで、印刷版をマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、型式VHX−2000)で観察し、断線数に影響を及ぼす要因を解析した。解析の結果、メッシュ部材を構成する線部の交差部分が印刷パターン部に存在し、印刷パターン幅の50%以上が線部で塞がれると共に、その部分の長さが印刷線幅以上となっている箇所の数と、印刷かすれの箇所(断線)数の間に正の相関関係があることが判明したのである。
【0022】
図3は、メッシュ部材を構成する線部の交差部分の存在が断線数に影響を与える状況を説明する図であり、図中Aは印刷パターン幅(印刷幅)、Bは線部で塞がれている幅、CはB(線部で塞がれている幅:線幅)がA(印刷幅)の50%以上ある部分の長さを夫々示している。また、線幅Bが印刷幅Aの50%以上ある部分の箇所数(但し、印刷幅A以上の部分)と、断線数の関係を図4に示す(但し、印刷パターン幅が100、80μmのものは、断線がなかったため図示せず)。
【0023】
これらの結果から、次のように考察できた。即ち、線部が、印刷パターン幅の50%以上を塞ぐ箇所は、すべてメッシュ部材の線部が交差する部分(交差部分)が印刷パターン内に存在する場合であった。そのため、メッシュ部材の線部の交差部分を細くすることで、印刷かすれのない印刷を実現できることが予想される。しかし、線部の交差部分を大幅に小さくすると、強度が低下し、印刷版作製時や印刷時に破断する恐れがある。そこで、線部の交差部分の影響を取り除くための方法を、更に検討した。
【0024】
メッシュ部材の従来の孔の開口形状は、図5(拡大図)に示すように、線部が格子状態に形成され、交差部分を有するのが一般的である。しかしながら、こうした孔の開口形状では、上記のような問題が生じることになる。そこで本発明者らは、印刷パターンのための領域(印刷対象物の印刷領域に相当する部分:以下、単に「印刷領域」と呼ぶことがある)に、線部の交差部分を有しないメッシュ部材に想到した。
【0025】
図6は、本発明のメッシュ部材の形態の一例を示す説明図である。本発明のメッシュ部材では、図6に示すように印刷領域の孔を一列に配置して、印刷領域で線部が交差する部分をなくすことで、ペーストの吐出性が良好なメッシュ部材を実現できたものである。ペーストの吐出が均一かつ良好になることによって、印刷パターン幅を細くした場合にも印刷高さが高く(印刷かすれがなく)、高低差がなく、更に印刷幅のばらつきも少なくなる。印刷領域のみ孔開け加工し、周辺の非印刷領域には孔開けしない、或は印刷領域に比べて低い開口率で孔開けすることで、メッシュ部材としての強度を維持できるものとなる。図7に、このようなメッシュ部材の一例を示す(平面図:非印刷領域の孔は図示していない)。また、上記のような孔を一列に配置する場合は、印刷領域の少なくとも一部であれば本発明の効果を発揮することができる。図8に、印刷領域の一部の孔が一列に配置され、線部の交差部分を有しないメッシュ部材の一例を示す(平面図:非印刷領域の孔は図示していない)。尚、本発明において、「一列に配置」とは、前記図6〜8から明らかなように、孔が同一方向に並んで配列した状態を意味する。
【0026】
本発明のメッシュ部材(即ち、線部の交差部分を有しないメッシュ部材)の有効性を確認するため、厚さ21μmのステンレス鋼圧延箔(東洋精箔株式会社製、規格SUS304−H)を用いて、印刷領域の孔が四角形で一列になるように片側からエッチングで加工し、線幅が15μm、開口幅が85μm、メッシュ数250(本/インチ)の圧延金属箔メッシュ部材を作製した。このとき用いた圧延金属箔メッシュ部材を図9(平面図:非印刷領域の孔は図示していない)に示す。
【0027】
このとき比較品として、印刷領域(印刷パターン幅が広い印刷領域および印刷パターン幅が狭い印刷領域)に四角形の孔が複数並んだ線部の交差部分を有する圧延金属箔メッシュを作製した。この比較品の圧延金属箔メッシュ部材を図10(但し、非印刷領域の孔は図示していない)に示す。
【0028】
尚、線部の交差部分のないもの(前記図9)は、印刷方向に対してバイアス0度、交差部分があるもの(前記図10)はバイアス22.5度とした。これらの圧延金属箔メッシュ部材を用いて印刷パターン幅が40μmの印刷版を作製し、太陽電池用銀ペーストを用いて印刷試験を実施した。印刷された電極を夫々3本ずつマイクロスコープ(キーエンス製:型式VHK−2000)で観察し、電極長さ1cm当りの印刷かすれの箇所数(断線数)を測定した。その結果を下記表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
この結果から、次のように考察できる。線部の交差部分がある比較品では、印刷パターン内に線部の交差部分が存在するため、この部分でペーストがメッシュ部材の線部の下側に十分に回り込まないために、印刷かすれが生じる。一方、線部の交差部分がない本発明のもの(発明品)では、線部の交差部分がないために、ペーストが線部の下側に十分回り込み、印刷かすれが発生しないものと考えられる。
【0031】
メッシュ部材における孔(開口)の形状(開口形状)が正方形の場合(前記図6、9)には、印刷パターンを露光する際に、露光位置(即ち、感光性乳剤の塗布位置)が印刷領域からずれ、印刷パターンを設計どおり形成できない恐れがある。また、印刷パターンが非印刷領域に入ると、ペーストが吐出しないこととなる。そのため、印刷パターン幅よりも大きい開口幅としながら強度を維持するためには、印刷領域の線部の交差部分を有しない領域では、図11[図11(a)は、平面図、図11(b)は、感光性乳剤を塗布した状態を示す図]に示すように、孔の形状を長方形にすれば、印刷パターンを露光する位置が多少ずれても、図11(b)に示すように印刷領域に印刷パターンを形成できる(即ち、感光性乳剤を塗布できる)。
【0032】
メッシュ部材をアルミニウム枠に張る際や印刷中のスキージによる印圧による応力集中を避けるためには、図12[図12(a)は、孔の開口形状が長方形のもの、図12(b)はR形状を設けたもの]に示すように、印刷領域の線部の交差部分を有しない領域の孔の隅にR形状を付けることが好ましい。また、孔の開口形状は、正方形や長方形を平行に配置したものに限定されるものではなく、例えば図13に示すように、平行四辺形[図13(a)]、台形[図13(c)]を一列に配置したものや、長方形を傾斜させて一列に配置したもの[図13(b)]、長方形に丸みを持たせたもの[図13(d)]、等様々な形状を採用することができる。これらの形状は、印刷パターンの形状および幅等を考慮して選定すれば良い。
【0033】
印刷領域に相当する圧延金属箔の部分と、該非印刷領域に相当する圧延金属箔の部分の境界の輪郭は少なくとも一部が丸みを帯びたものとすることで、紗張り時の応力集中を低減でき、破断しにくいメッシュ部材を得ることができる。特にメッシュ部材の厚さが薄く(20μm程度以下)、開口率の高い領域の開口率を高くし、さらに高いテンションで紗張りした場合でも破断を防止できることが期待できる。
【0034】
印刷領域相当部分と非印刷領域相当部分の境界は、前記図12のDに示したように、印刷領域相当部分の開口部の端部を基準に設定されるものであり、この境界Dが、印刷領域相当部分と該非印刷領域相当部分の夫々の開口率を計算するときの基準となる。
【0035】
本発明のメッシュ部材は、前記図12に示したように、圧延金属箔には、印刷対象物の印刷領域に相当する部分以外に、印刷対象物の非印刷領域に相当する部分を有するものであるが、(a)非印刷領域に相当する部分には孔が開けられていないもの[即ち、開口率:0%]である形態や、(b)非印刷領域に相当する部分には、印刷領域に相当する部分における孔の開口率よりも小さい開口率で多数の孔が開けられた形態等も含むものであるが、これらの形態は開口率を高くしながら強度を向上させるという観点から構成されたものである。
【0036】
圧延金属箔の非印刷領域に相当する部分に、孔を形成しないものとすることによって[上記(a)の形態]、強度の点では十分なものとなる。但し、感光性乳剤の種類によっては圧延金属箔との接着性が低くなるために、繰り返し印刷する途中で剥離することがあることが懸念される。そのため、非印刷領域に相当する部分の開口率は[上記(b)の形態]、感光性乳剤の接着性(および接着性に影響を及ぼす圧延金属箔の種類等)を考慮して設定するのがよい。
【0037】
またメッシュ部材内部でペーストが滞留することを防ぎ、高粘度のペーストの吐出性を向上させるため、孔の外観形状は印刷対象物に向かって広がるように形成するのが良い(後記図14参照)。尚、孔の形状を印刷対象物に向かって広がるように形成した場合のメッシュ部材の開口率は、スキージ面側と印刷対象物面側の開口率の平均値とする。
【0038】
メッシュ部材の内に強度の低い部分があるとアルミニウム枠に紗張りする際や印刷時のスキージの圧力により亀裂が入り、メッシュ全体に破断する恐れがある。メッシュ部材のうち最も強度が低くなるのは、開口率が最も高い部分であるため、メッシュ部材の印刷領域に相当する部分のうち開口率が最も高い部分が標点距離の中央部となるように、幅:15mm、標点距離:100mmの試験片を切り出し、引張速度10mm/分で引張試験を行ったときの破断荷重(N)を引張試験片の幅1cmあたりに換算した引張強度が20N/cm以上となるようにすることが好ましい。
【0039】
印刷領域の線部の交差部分の有無が、引張強度に影響するかを確かめるための試験を実施した。厚さ21μmのステンレス鋼圧延箔(東洋精箔株式会社製、規格SUS304−H)に、印刷領域のみ孔開け加工し、印刷領域に線部の交差部分がないメッシュ部材と交差部分があるメッシュ部材を製作した(基本的な形状は前記図9、10と同じ)。尚、線部の幅はいずれも50μm、開口幅は150μm、メッシュ数は125(本/インチ)とし、線部の交差部分のないものは印刷方向に対してバイアス0度、交差部分があるものはバイアス22.5度とした。
【0040】
印刷領域(開口)が中央部になるように、夫々のメッシュ部材から幅:15mm、標点距離:100mmの試験片を切り出し、引張試験機(株式会社オリエンテック製)を用いて引張速度10mm/分で引張試験を実施した。引張試験を行ったときの破断荷重(N)を引張試験片の幅1cm当りに換算したものを単位幅当りの引張強度として求めた。その結果を下記表2に示すが、線部の交差部分がない場合にも、線部の交差部分がある場合と同程度の引張強度を有することが分かる。
【0041】
【表2】
【0042】
メッシュ部材の開口率は高いほうが、同一面積あたりのペーストの透過量は多くなる。そのため圧延金属箔メッシュと高粘度ペーストを用いたスクリーン印刷では、ペーストが透過するための領域の開口率は高くするのが望ましい。導電性銀ペーストのうち比較的粘度の高いペーストを使って印刷する場合には、開口率は50%以上、理想的には70%以上とすることが望ましい。但し、開口率をあまり高くすることはメッシュ部材の強度低下に繋がることから、厚さが5μmの場合は50%程度まで、厚さが30μmの場合は90%程度までとすることが好ましい。
【0043】
また印刷パターンの幅が細い場合、メッシュ数が少ない(即ちメッシュ部材の線部のピッチが大きい)と、必要な強度を確保するために、線部の幅を大きくする必要がある。そのため、印刷パターン幅が細い(例えば100μm未満)の場合は、メッシュ数を大きく(即ちメッシュ部材の線部のピッチを小さく)することが好ましい。こうした観点から、メッシュ数は125(本/インチ)以上とすることが好ましい。しかしながら、メッシュ数が多くなり過ぎると開口幅が小さくなり、高粘度のペーストが透過(吐出)しにくくなるため、420(本/インチ)以下であることが好ましい。印刷パターン幅が更に細い(例えば60μm未満)でより粘度の高いペーストを使用する場合は、メッシュ数は210(本/インチ)以上、320(本/インチ)以下が好適である。
【0044】
メッシュ部材の厚さが厚いほど、同じ感光性乳剤の場合は厚い印刷ができるが、印刷に使用するペーストによってはメッシュ部材の厚さが厚すぎると印刷高さの高低差が生じやすくなる。このような事態が予想される場合には、メッシュ部材の厚さ(即ち、圧延金属箔の厚さ)を30μm以下にすることで、高低差の少ない印刷をする上で好ましい。メッシュ部材の厚さは、薄いほど高低差の少ない印刷ができやすいが、厚さが5μm未満の圧延金属箔は入手が困難で、強度を確保することも難しいため、メッシュ部材の厚さは5μm以上とすることが好ましい。この厚さは、より強度を確保するという観点から、より好ましくは10μm以上である。
【0045】
本発明のメッシュ部材は、圧延金属箔に上記のような多数の孔を形成したものであるが、こうしたメッシュ部材では、線部を構成する少なくとも片面が平坦なものとなるので、例えば図14(ペーストの充填状態を説明するための図)に示すように(図中1aは線部を示す)、表面に凹凸を有する細線を編んだメッシュに比べてスキージ6の移動がスムースになり[図14(a)]、ペースト7を均一に引き伸ばし易くなると共に[図14(b)]、印刷膜厚d2が比較的厚いパターンの印刷を行なうことができるので好ましい[図14(c)]。また、このような平坦な面を有することによって、コンビネーションマスク(周囲が樹脂メッシュで中央が金属メッシュのマスク)を作製するときに、樹脂メッシュとの接着が容易になるという利点もある。尚、図14では、孔2の外観形状が印刷面側(図14の下側)に向かって広がるように形成されている状態も示している(図14の上側はスキージ側)。
【0046】
本発明のメッシュ部材は、圧延金属箔にエッチング、レーザー加工、ショットブラストにより孔開け加工をすることによって製造できるが、開口精度と開口速度の点から、エッチングによる方法が最適である。尚、エッチングによって孔開け加工するに際して、両面からのエッチングにより孔開けした場合には、孔の一部に凸部が形成されるため、スクリーン印刷時にペーストが滞留する恐れがある。そこで、一方面からエッチングにより孔開け加工するのが良い。その結果、孔の形状(外観形状)は、一方側から他方側に向かって広がるような形状になるが、印刷対象物に向かって広がるように孔を形成することによって、ペーストが滞留する事態も回避できる。
【0047】
本発明のメッシュ部材をエッチングによる孔開け加工によって圧延金属箔に多数の孔を形成して製造するときの手順は下記の通りである。まず、圧延金属箔を張ってガラスなどの表面が平坦な固定板に貼り付けた状態、または圧延金属箔を巻きつけたロールを張った状態、即ち圧延金属箔に皺(しわ)がないように張った状態で以下の加工を行う。まず圧延金属箔に感光性レジストをなるべく薄く塗布した後、マスクに描画したメッシュの開口部のパターンを露光、現像して、開口部のパターンを圧延金属箔に形成する。
【0048】
印刷領域に相当する部分以外に非印刷領域相当部分を有し、非印刷領域相当部分に印刷領域相当部分における孔の開口率よりも小さい開口率で多数の孔が開けられたメッシュ部材を製造するに当っては、圧延金属箔に感光性レジストを塗布した後、印刷領域相当部分の開口パターンを描画したマスクの上に非印刷領域相当部分の開口パターンを描画したマスクを重ねて配置して露光・現像し、引き続きエッチングするようにすれば良く、これによって比較的簡単な手順にて、開口率の高い部分と低い部分を有するメッシュ部材を製造することができる。
【0049】
露光する印刷パターンに合わせて印刷領域を設定し、孔開け加工した場合、メッシュ部材をアルミニウム枠に張ると、メッシュ部材が伸びて、印刷領域の位置が印刷パターンからずれることがある。そのため、印刷パターンを露光する際に露光した印刷パターンが印刷領域から外れる恐れがある。その場合、印刷パターンの一部が非印刷領域に入り、ペーストが吐出しないため、印刷かすれや印刷幅のばらつきが生じる。そこで、孔開け加工する印刷領域の位置をあらかじめ中央部に偏らせておき、アルミニウム枠に張った際にメッシュ部材が伸び、印刷パターンの位置を合わせやすくすることができる。
【0050】
こうした有効性を確かめるための試験を実施した。厚さ:21μmのステンレス鋼圧延箔(東洋精箔株式会社製、規格SUS304−H)に、印刷領域の最も外側が印刷パターンに対して縮尺率0.9992(100μm内側)になるように、片側からエッチングで孔開け加工し、圧延金属箔メッシュを作製した。開口率の高い印刷領域は太陽電池の表面電極パターンの形状に合わせた形状で、フィンガー電極の印刷パターンを露光・現像する部分は幅500μmとなっている。このメッシュ部材を使って印刷版を作製した。比較のため、印刷パターンに合わせたまま孔開け加工したメッシュ部材を作製し、印刷領域の中心からの印刷パターンの位置ずれの大きさをマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、型式VHX−2000)で測定した。その結果を、下記表3に示すが、本発明のメッシュ部材では、位置ずれが少ないことを確認できた。
【0051】
【表3】
【0052】
圧延金属箔の素材としてはステンレス鋼の他、チタン若しくはチタン合金、ニッケル若しくはニッケル合金、銅若しくは銅合金、アルミ合金等で箔状にできるものであれば良く、例えばステンレス鋼であればSUS304−H等、チタン合金であればJISH4600 80種等、ニッケル合金であればJISCS2520(1986)NCHRW1等、銅合金であればJISH3130 C1720R−H等、アルミ合金であればJISH4000 5052等が挙げられる。また、このような圧延金属箔は、一般的に市販されており、容易に入手できる。
【実施例】
【0053】
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0054】
[実施例1]
厚さ21μmの市販のステンレス鋼圧延箔(東洋精箔株式会社製:規格SUS304−H)に片側からエッチングで孔開け加工し、圧延金属箔メッシュを作製した。開口率の高い領域は、太陽電池の表面電極パターンの形状に合わせた形状であり、フィンガー電極の印刷パターンを露光・現像する部分は、幅:500μm、長さ:152mm、バスバーのパターンを露光・現像する部分は、幅:2.4mm、長さ:152mmとなっている。また、孔の外観形状は、印刷面側に向かって開口が広がる形状となっている。開口率の高い部分(印刷領域相当部分)の印刷面側のピッチは80μm[メッシュ数:320(本/インチ)]となっている。開口率は、開口率の高い部分(印刷領域に相当する部分)のうちフィンガー電極の印刷パターンを露光・現像する部分は78%、バスバーのパターンを露光・現像する部分は52%、開口率の低い部分(非印刷領域に相当する部分)は20%となっている。これらのうち、フィンガー電極の印刷パターンを露光・現像する部分は、線部が交差する部分がなく、その他は線部が交差する部分が存在するものとなっている。開口率の高い部分の孔の開口形状は、隅にR形状を付したものとなっている。得られたメッシュ部材の一部を拡大した形状を図15(図面代用顕微鏡写真)に示す。
【0055】
このメッシュ部材をポリエステル細線メッシュと接合し、感光性乳剤を塗布後、フィンガー電極幅:40μm、バスバー幅:2mmの印刷パターンを露光・現像して印刷版を作製した。作製した印刷版を用いて導電性銀ペースト(東洋インキ製造株式会社製:「RAFS」)を使った印刷を行い、レーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製:型式VK−9700)で印刷高さを測定したところ、印刷かすれがなく、平均高さが18μm、高低差が9μm、幅のばらつきが4μmの印刷ができることが確認できた。
【0056】
また得られたメッシュ部材から、印刷領域に相当する部分のうち開口率が最も高いフィンガー電極の印刷パターンを露光・現像する部分(孔が一列に配置)が標点距離の中央部になるように、幅:15mm、標点距離:100mmの試験片を切り出し、引張速度:10mm/分で引張試験を行ったときの破断荷重(N)を引張試験片の幅1cmあたりに換算した引張強度は、29N/cmであった。
【0057】
[実施例2]
厚さ21μmの市販のステンレス鋼圧延箔(東洋精箔株式会社製:規格SUS304−H)に片側からエッチングで孔開け加工し、圧延金属箔メッシュを作製した。開口率の高い領域は、太陽電池の表面電極パターンの形状に合わせた形状であり、フィンガー電極の印刷パターンを露光・現像する部分は、幅:400μm、長さ:152mm、バスバーのパターンを露光・現像する部分は、幅:2.4mm、長さ:152mmとなっている。また、孔の外観形状は、印刷面側に向かって開口が広がる形状となっている。開口率の高い部分(印刷領域相当部分)の印刷面側のピッチは100μm[メッシュ数:250(本/インチ)]となっている。開口率は、開口率の高い部分(印刷領域に相当する部分)のうちフィンガー電極の印刷パターンを露光・現像する部分は64%、バスバーのパターンを露光・現像する部分は51%、開口率の低い部分(非印刷領域に相当する部分)は20%となっている。これらのうち、フィンガー電極の印刷パターンを露光・現像する部分は、線部が交差する部分がなく、その他は線部が交差する部分が存在するものとなっている。開口率の高い部分の孔の開口形状は、隅にR形状を付したものとなっている。得られたメッシュ部材の一部を拡大した形状を図16(図面代用顕微鏡写真)に示す。
【0058】
このメッシュ部材をポリエステル細線メッシュと接合し、感光性乳剤を塗布後、フィンガー電極幅:60μm、バスバー幅:2mmの印刷パターンを露光・現像して印刷版を作製した。得られた印刷版を用いて導電性銀ペースト(東洋インキ製造株式会社製:「RAFS」)を使った印刷を行い、レーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製:型式VK−9700)で印刷高さを測定したところ、印刷かすれがなく、平均高さが26μm、高低差が6μm、幅のばらつきが5μmの印刷ができることが確認できた。
【0059】
また得られたメッシュ部材の印刷領域に相当する部分から、印刷領域に相当する部分のうち開口率が最も高いフィンガー電極の印刷パターンを露光・現像する部分(孔が一列に配置)が標点距離の中央部になるように、幅:15mm、標点距離:100mmの試験片を切り出し、引張速度:10mm/分で引張試験を行ったときの破断荷重(N)を引張試験片の幅1cmあたりに換算した引張強度は、43N/cmであった。
【符号の説明】
【0060】
1 細線
1a 線部
2 孔(開口)
3 印刷パターン部
4 感光性乳剤
5 印刷版
6 スキージ
7 ペースト
7a 滲み
8 印刷対象物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光性乳剤で印刷パターンを形成するためのスクリーン印刷用メッシュ部材であって、前記スクリーン印刷用メッシュ部材は圧延金属箔によって構成されており、前記圧延金属箔は、印刷対象物の印刷領域に相当する部分以外に、印刷対象物の非印刷領域に相当する部分を有し、前記印刷領域に相当する圧延金属箔の部分には、印刷対象物に向かって広がるような複数の孔が一列に配置され、且つメッシュ部材を構成する線部が交差する部分がないような領域が存在するものであることを特徴とするスクリーン印刷用メッシュ部材。
【請求項2】
前記印刷領域に相当する部分から、幅:15mm、標点距離:100mmの試験片を切り出し、引張速度:10mm/分で引張試験を行ったときの破断荷重(N)を引張試験片の幅1cmあたりに換算した引張強度が20N/cm以上である請求項1に記載のメッシュ部材。
【請求項3】
前記非印刷領域に相当する部分には、孔が開けられていないものである請求項1または2に記載のメッシュ部材。
【請求項4】
前記非印刷領域に相当する部分には、印刷領域に相当する部分における孔の開口率よりも小さい開口率で多数の孔が開けられたものである請求項1または2に記載のメッシュ部材。
【請求項5】
厚みが5μm以上、30μm以下である請求項1〜4のいずれかに記載のメッシュ部材。
【請求項6】
前記印刷領域に相当する圧延金属箔の部分と、前記非印刷領域に相当する圧延金属箔の部分の境界の輪郭は、少なくとも一部が丸みを帯びたものである請求項1〜5のいずれかに記載のメッシュ部材。
【請求項7】
線部を構成する少なくとも片面が平坦である請求項1〜6のいずれかに記載のメッシュ部材。
【請求項8】
前記圧延金属箔は、ステンレス鋼、チタン若しくはチタン合金、ニッケル若しくはニッケル合金、銅若しくは銅合金、およびアルミ合金のいずれかからなるものである請求項1〜7のいずれかに記載のメッシュ部材。
【請求項1】
感光性乳剤で印刷パターンを形成するためのスクリーン印刷用メッシュ部材であって、前記スクリーン印刷用メッシュ部材は圧延金属箔によって構成されており、前記圧延金属箔は、印刷対象物の印刷領域に相当する部分以外に、印刷対象物の非印刷領域に相当する部分を有し、前記印刷領域に相当する圧延金属箔の部分には、印刷対象物に向かって広がるような複数の孔が一列に配置され、且つメッシュ部材を構成する線部が交差する部分がないような領域が存在するものであることを特徴とするスクリーン印刷用メッシュ部材。
【請求項2】
前記印刷領域に相当する部分から、幅:15mm、標点距離:100mmの試験片を切り出し、引張速度:10mm/分で引張試験を行ったときの破断荷重(N)を引張試験片の幅1cmあたりに換算した引張強度が20N/cm以上である請求項1に記載のメッシュ部材。
【請求項3】
前記非印刷領域に相当する部分には、孔が開けられていないものである請求項1または2に記載のメッシュ部材。
【請求項4】
前記非印刷領域に相当する部分には、印刷領域に相当する部分における孔の開口率よりも小さい開口率で多数の孔が開けられたものである請求項1または2に記載のメッシュ部材。
【請求項5】
厚みが5μm以上、30μm以下である請求項1〜4のいずれかに記載のメッシュ部材。
【請求項6】
前記印刷領域に相当する圧延金属箔の部分と、前記非印刷領域に相当する圧延金属箔の部分の境界の輪郭は、少なくとも一部が丸みを帯びたものである請求項1〜5のいずれかに記載のメッシュ部材。
【請求項7】
線部を構成する少なくとも片面が平坦である請求項1〜6のいずれかに記載のメッシュ部材。
【請求項8】
前記圧延金属箔は、ステンレス鋼、チタン若しくはチタン合金、ニッケル若しくはニッケル合金、銅若しくは銅合金、およびアルミ合金のいずれかからなるものである請求項1〜7のいずれかに記載のメッシュ部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−845(P2012−845A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137720(P2010−137720)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000130259)株式会社コベルコ科研 (174)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000130259)株式会社コベルコ科研 (174)
【Fターム(参考)】
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