説明

スクリーン印刷装置及びスクリーン印刷方法及びスクリーンマスク

【課題】 スキージによりスクリーン印刷を行う場合の版離れをより効果的に行い、印刷時の精度維持を可能にする。
【解決手段】 スキージを取付たスライダ106にサクション装置303を取付る。サクション装置303はスキージの移動とともに移動する。サクション装置303は吸引口403を有して、吸引口403はエアポンプ411から空気によってスキージ111が通過したスクリーン201を吸引して、スクリーンを効果的に版離れさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スクリーン印刷装置の版離れの向上に関するものである。例えば、吸引力或いは吸着力を利用して版離れさせることを特徴とするスクリーン印刷装置、スクリーン印刷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のスクリーン印刷の版離れに関する発明として「特開平11−235806号」の「スクリーン印刷における版離れ制御装置」がある。この「特開平11−235806号」の発明は、スクリーン版の上面をスキージ装置が移動し終えた後に、スクリーン版に接触して吸引可能な吸着体をスクリーン版の上面に載置する。そして、スクリーン版を吸引しながら吸着体を上方へ移動させて、スクリーン版とともに被印刷物から垂直に離間するものである。
【特許文献1】特開平11−235806号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した「特開平11−235806号」の発明は、スキージ装置がスクリーン版の上面を移動し終えた後に、つまり、印刷が完了した後に、スクリーン版を被印刷物から離間する。このことは、吸着体を載置する処理工程とスクリーン版を吸着する処理工程とが従来の印刷工程に追加されることを示している。このことにより、印刷が完了するまでのスピードが従来よりも遅くなることが考えられる。
また、スキージ装置がスクリーン版の上面を移動し終えた後に、スクリーン版を被印刷物から離間するので、インクが乾いていて離間しづらくなることが考えられる。
【0004】
この発明は、スクリーンの版離れを向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に係るスキージによりスクリーンマスクを用いてスクリーン印刷をするスクリーン印刷装置は、スキージを取り付けてスクリーンマスクを押圧しながらスキージを移動させるスキージ駆動部と、上記スキージ駆動部によるスキージの移動とともにスクリーンマスクを吸引するサクション装置とを備えたことを特徴とする。
【0006】
また、上記サクション装置は、上記スキージが通過したスクリーンマスクを吸引してスクリーンマスクを版離れさせることを特徴とする。
【0007】
また、上記サクション装置は、上記スキージと平行して延在する吸引口を有することを特徴とする。
【0008】
また、上記サクション装置は、複数の吸引口を有することを特徴とする。
【0009】
また、上記サクション装置の複数の吸引口は、上記スクリーンマスクの印刷パターンのない部分を吸引することを特徴とする。
【0010】
また、上記サクション装置は、上記スクリーンマスクを吸引する位置を変更可能にする吸引位置駆動部を有することを特徴とする。
【0011】
この発明に係るスキージによりスクリーンマスクを用いてスクリーン印刷をするスクリーン印刷装置のスクリーン印刷方法は、スクリーンマスクを押圧しながらスキージを移動させスクリーン印刷するスキージ印刷工程と、上記スキージ工程によるスクリーン印刷とともに動作し、上記スキージが通過したスクリーンマスクを吸引してスクリーンマスクを版離れさせるサクション工程とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、上記スクリーン印刷装置は、スクリーンマスクを装着し、上記スクリーンマスクは、スクリーンの印刷方向の左右に配置された印刷パターン部と、上記左右に配置された印刷パターン部の間に配置された非印刷パターン部と、上記非印刷パターン部に配置され上記印刷方向に延在するスクリーンマスクを保護する保護部とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、上記保護部は、上記サクション部によって吸引される面が摩擦の少ない物質で形成されていることを特徴とする。
【0014】
また、上記保護部は、磁力によって吸着される物質を含み、上記サクション部は、上記スクリーンマスクを吸引するとともに、磁力を有する物質を有し、磁力によって上記保護部を吸着することを特徴とする。
【0015】
この発明に係るスクリーン印刷に用いられるスクリーンマスクは、スクリーンの印刷方向の左右に配置された印刷パターン部と、上記左右に配置された印刷パターン部の間に配置された非印刷パターン部と、上記非印刷パターン部に配置され上記印刷方向に延在するスクリーンマスクを保護する保護部とを備えたことを特徴とする。
【0016】
また、上記保護部は、スクリーンマスクのスキージ側の面に粘着された粘着テープであることを特徴とする。
【0017】
また、上記保護部は、磁力により吸着される物質を含んでいることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
この発明は、スクリーンマスクを吸引するサクション装置を、スキージ装置の移動とともに移動させ、スキージ装置が通過したスクリーンマスクを吸引して版離れさせる。このため、印刷が完了するまでの時間は、従来と変わらずに、版離れを向上させることができる効果がある。
また、スキージ装置が通過した部分のスクリーンマスクを吸引するので、インクが乾かないうちにスクリーンマスクを吸引できる。このため、無理な吸引力がスクリーンマスクに掛かることを防止でき、スクリーンマスクの版離れを向上できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
実施の形態1.
図1は、スクリーン印刷装置を示す斜視図である。
図2は、スクリーン印刷装置の概略側面図である。
図3は、スクリーン印刷装置の概略平面図である。
【0020】
図1において、101はスクリーン印刷装置、102はスクリーン印刷装置の基台、103は移動可能に取り付けられたテーブル、104はテーブルの移動をガイドするガイドレール、105はスクリーン印刷装置の操作ボックス、107は操作ボックスに取り付けられた操作スイッチ、109はテーブル103の上に乗せられたワークに対してスクリーン印刷を行う印刷部である。
【0021】
図2,図3において、110はテーブル103の上に乗せられたワーク、200はスクリーン製版、1はスクリーン製版200のスクリーン枠、201はスクリーン製版200に張られたスクリーン、106はスキージ111、サクション装置303及び図示していないスクレッパーを保持するとともに、矢印Aと矢印Dの方向にスライドするスライダ、108はスクリーン製版200を取り付けるとともに、スライダ106をスライドさせるスクリーン製版取付部である。サクション装置303は、エアホースを取り付けるホース取付部308を有する。411はエアポンプ、305はエアホースであり、エアホース305は一端をエアポンプ411に接続し、他端をホース取付部308に接続する。
【0022】
テーブル103は基台102に取り付けられたガイドレール104に沿って左右にスライドできるように取り付けられている。テーブル103が印刷部109の下に移動するとテーブル103が図示していないストッパーにより制止され、印刷部109によりワーク110に対してスクリーン印刷が行われる。
【0023】
図4は、スクリーン製版200の一例を示す図である。
図4に示すスクリーン製版200は、コンビネーションスクリーンの場合を示している。
図において、1はスクリーン枠、2は支持スクリーン、3はプリントスクリーン、4は支持スクリーン2とプリントスクリーン3の接合部である。また、201は支持スクリーン2、プリントスクリーン3、接合部4からなるスクリーンである。
【0024】
図5は、スクリーン印刷装置の概略斜視図である。
図6は、テーブル103とスクリーン印刷装置の断面概略図(図3のX−X断面図)である。
図7は、サクション装置303によるスクリーンを吸引する手順を示すフローチャートである。
図5,図6において、スライダ106が矢印Aと矢印Dの方向に移動することによって、スライダ106に保持されたスキージ111とスクレッパー112とサクション装置303とは、矢印Aと矢印Dの方向に移動する。図5,図6は、スライダ106が矢印Dの方向に移動する様子を示している。この実施の形態では、矢印Dの方向を印刷方向とする。スキージ111、スクレッパー112は、矢印Eと矢印Fの方向に移動する。矢印Dの方向にスライダ106が移動する場合は、スキージ111はスクリーン201に接触する方向の矢印Eの方向に移動を行い、スクレッパー112は、スクリーン201に接触しない方向の矢印Fの方向に移動を行う。反対に、矢印Aの方向にスライダ106が移動する場合は、スキージ111はスクリーン201に接触しない方向の矢印Fの方向に移動を行い、スクレッパー112は、インク306を押し戻すことができるように矢印Eの方向に移動を行う。
【0025】
スキージ111はスクリーン201を押圧しながら矢印Dの方向にインク306を押し流しながら移動する。この時、プリントスクリーン3は、たるみが発生しないようにスクリーン枠1によって張られているので、ワーク110の印刷される面と、スクリーン201のスキージ111に押圧されたスクリーン201との間には、図6に示すクリアランス309が発生する。このクリアランス309の発生によって、図6のようにスキージ111が通過した部分のスクリーン201とワーク110が版離れして、充填されたインク306がスクリーン201から離れる。
【0026】
さらに、版離れを良くするため、スキージ111が通過した後のスクリーン201をサクション装置303によって吸引する。例えば、スキージ111の矢印Dの方向への移動に伴い、サクション装置303が矢印Dの方向に移動する(図7,S10,スキージ印刷工程)。サクション装置303は移動しながら、スクリーン201の特定のポジションを図6のように持ち上げる(図7,S12,サクション工程)。図6では、持ち上げた後のスクリーン201の状態を網掛けしたスクリーン201として示す。特定のポジションを持ち上げると、図6の網掛けしたスクリーン201のように、クリアランス309よりもさらに大きな角度のクリアランス309aが発生して、さらに良好に版離れをさせることができる。この結果、版離れを向上させることができる。
【0027】
次に、サクション装置303の動作と形状について説明する。
サクション装置303は、エアホース305を接続するホース取付部308を備える。図5,6の例では、ホース取付部308を2つ備え、それぞれのホース取付部に接続したエアホースは、エアポンプ411に接続されている。エアポンプ411は、2つのホースそれぞれに対応するように、2つ備えているが、エアポンプ411は、1つでもかまわない。また、ホース取付部が3つ以上の場合は、エアポンプ411も3つ以上であってもかまわない。吸引口403は、スキージ111と平行して延在するように設けられている。また、内側が空洞の形状をしており、エアホース305によってスクリーン201を吸引する。また、サクション装置303は、スキージ111が矢印Dの方向に移動した後に続いて、矢印Dの方向に移動する。このため、スキージ111が押圧していたスクリーン201と同じ部分のスクリーンを吸引することができ、インクが充填された部分のスクリーンを確実に吸引できる。
【0028】
また、サクション装置303は、軸307を矢印Kの方向と矢印Lの方向とに移動させることができる。この移動によって、吸引口403とスクリーン201との間の距離を調整できる。また、軸307を矢印Pの方向と矢印Qの方向とに移動させることができる。この移動によって、吸引口403とスキージ111との間の距離を調整できる。上記した軸307の移動は、自動で行う、或いは、手動で行う。また、吸引口403は、弾性体のような柔軟な素材、例えば、ゴム素材で形成したり、スクリーン201と接触する可能性のある部分を弾性体で覆うなどの処置を行い、吸引したスクリーンを傷つけないようにしてもかまわない。
【0029】
上記したサクション装置を備えたスクリーン印刷装置の利用例を説明する。
例えば、スクリーンマスクサイズが増大すると、版離れを行うためにクリアランスの増大が必須となる。しかし、クリアランスを増大させるとスクリーンマスクが伸びてしまい、印刷時の寸法精度維持が困難になる。このため、スクリーンマスクを伸ばすことなく、サクション装置303によって版離れをさせる。サクション装置303は、スキージ111が通過したスクリーン201の特定の部分を吸引するので、スクリーン201に対するストレスを極力押さえることが可能である。スクリーンに対するストレスを押さえることができるので、印刷時の寸法精度維持が可能になる。この結果、サクション装置303を用いることによって、スクリーンマスクサイズに対応できる効果がある。
【0030】
また、クリアランス309を従来よりも縮小することが可能である。サクション装置303がスクリーン201を吸引するので、クリアランス309を縮小しても、版離れをさせることができる。従来のスクリーンマスクサイズのスクリーンを用いる場合であっても、サクション装置を用いることによってクリアランス309を縮小できる。クリアランス309を縮小すると、スクリーンに対するストレスを押さえられるので、印刷時の寸法精度維持を従来より向上できる効果がある。
【0031】
実施の形態2.
この実施の形態2では、サクション装置の吸引口の形状について、実施の形態1とは異なる形状を説明する。
図8は、実施の形態2のスクリーン製版200の一例を示す図である。
図9は、実施の形態2のスクリーン印刷装置の概略斜視図である。
図8に示したスクリーンは、印刷パターン部5がスクリーンの印刷方向の左右に配置されている。図8のスクリーンを用いて印刷する場合、サクション装置303の吸引口は図9のように、印刷パターン部5がある部分には設けず、印刷パターン部がない部分に設ける。図9のサクション装置303の例では、印刷パターン部5がない部分である非印刷パターン部405にそれぞれ吸引口407、408、409を設けている。また、それぞれの吸引口407、408、409には、エアホースを接続するためのホース取付部308をそれぞれ設けている。また、エアポンプ411もそれぞれの吸引口407、408、409に対応して1つずつ設けている。軸307によって吸引口を移動させることは、上記実施の形態1と同様である。
【0032】
また、吸引口を有する部材を含む軸307をスライダ106から取り外し可能にする。取り外し可能にすると、スクリーンの印刷パターンの配列に合った吸引口を有する部材に換えることができる。例えば、スクリーンの印刷パターンが図8のように印刷方向の左右に配置されている場合には、図9のような吸引口が3つ設けられたサクション装置を使用できる。また、図4のように印刷パターンが1つである場合には、図5のように吸引口が1つ設けられた部材を使用できる。サクション装置が備える吸引口の例は図5や図9に限らず、印刷パターンの配列に合わせて、2つ、或いは、4つ以上設けてもかまわない。
【0033】
以上のように、非印刷パターンに吸引口があるサクション装置を使用することによって、吸引口がスクリーンを吸引しても印刷パターンを破損したり、損傷したり、伸ばすことがないので、印刷精度を確保することができ、印刷時の寸法維持を可能にする効果がある。
【0034】
実施の形態3.
この実施の形態では、スクリーンを吸引する場合に、吸引を行いやすくする手段について一例を説明する。
図10(a),(b)は、実施の形態3の保護部を有するスクリーンを示す図である。図10(a),(b)において、1はスクリーン枠、201はスクリーン、5は印刷パターン部である。図10(a)のスクリーン201は、印刷方向に左右それぞれに印刷パターン部5を有している。図面正面左側の2つの印刷パターン部5をパターンA6とする。また、図面正面右側の2つの印刷パターン部5をパターンB7とする。また、図10(b)のスクリーン201は、印刷方向に左右それぞれに印刷パターン部5を有している。図面正面左側の3つの印刷パターン部5をパターンA6とする。また、図面正面右側の3つの印刷パターン部5をパターンB7とする。図10(a),(b)ともに、保護部421はパターンA6とパターンB7との間の印刷パターン部がない部分(非印刷パターン部)に印刷方向に延在して設ける。また、保護部421は、スクリーン201のスキージ111が移動する側の面に粘着された粘着テープである。また、保護部421の面は、サクション装置303によって吸引される場合に、摩擦の少ない物質で形成されているものとする。
【0035】
図10(a),(b)のような位置に保護部421を設けることによって、保護部421の左右にあるパターンA6とパターンB7が互いに干渉することを防ぐことができる。例えば、図10(a),(b)のスクリーンを使用して印刷を行う時、印刷パターン部5に充填されたインクが、印刷パターン部5の外側に漏れてしまうと、漏れたインクが隣接する印刷パターン部5まで流れてしまうことが考えられる。このような場合に、保護部421は、漏れたインクが隣接する印刷パターン部5へ流れることを防ぐことができる。このため、印刷時の精度維持が可能となる。
【0036】
また、保護部421を設けたことによって、図5に示したサクション装置303がスキージ111の通過したスクリーン201を吸引する場合に、吸引を効果的に行うことができる。上記したように、保護部421の表面は吸引を行った場合に摩擦の少ない物質で形成されている。このため、吸引口403が保護部を吸引すると、摩擦が少ないため、吸引を効率的に行うことができる。
また、保護部421は印刷方向に延在して設けているので、吸引口403は常に保護部421を吸引することになる。このため、1つのスクリーンの印刷の開始から終了まで、効果的に吸引を行って、スクリーンの版離れを効率良く行える。この結果、印刷時の精度維持が可能になる。
【0037】
保護部は図10に限らず、別の位置に設けてもかまわない。
図11(a),(b)は、実施の形態3の別の位置に保護部を複数設けたスクリーンを示す図である。図11(a)と図10(a)との違いは、保護部421に加えて、パターンA6の左側とパターンB7の右側との印刷パターン部がない部分(非印刷パターン部)に、保護部423と保護部425とを設けたことである。
図11(b)と図10(b)との違いも同じである。保護部423,425は、印刷方向に延在して設ける。また、保護部423,425は、スクリーン201のスキージ111が移動する側の面に粘着された粘着テープである。また、保護部423、425の面は、サクション装置303によって吸引される場合に、摩擦の少ない物質で形成されているものとする。
【0038】
このように保護部423,421,425とをスクリーン201に設けると、例えば図5或いは図9のサクション装置303がスキージ111の通過したスクリーン201を吸引する場合に、図10のように保護部が1つである場合よりも吸引を効果的に行うことができる。上記したように、保護部421,423,425の表面は吸引を行った場合に摩擦の少ない物質で形成されている。このため、吸引口403が保護部を吸引すると、図10のスクリーンよりも図11のスクリーンのほうが保護部が設けられている面積が大きいので、より吸引する際の摩擦が少なく、効率的に吸引を行うことができる。
【0039】
以上のように、スクリーンの非印刷パターン部に保護部を設けることによって、印刷パターン部に充填したインクが他の印刷パターン部に流れてしまうことを防ぐ効果がある。
【0040】
また、保護部を印刷方向に延在させて、吸引された際の摩擦が少ない物質で形成することによって、サクション装置によるスクリーンの吸引を効果的に行える効果がある。
【0041】
また、保護部をスクリーン上の非印刷パターン部の複数設けることによって、保護部が1つである時よりも、より効果的にスクリーンを吸引できる効果がある。
【0042】
実施の形態4.
この実施の形態では、空気以外の別の手段を使用してスクリーンを吸引する一例を説明する。
図12は、実施の形態4のスクリーン印刷装置の概略斜視図である。図5と図12との違いは、図12では、サクション装置303の吸引口413を磁力を有する物質で形成していることである。すなわち、サクション装置303は磁力によってスクリーンを吸引するので、エアホース305、ホース取付部308、エアポンプ411が不要となる点が、図5と異なる。この他の要素は、図5と同様である。
【0043】
図12に示したサクション装置303は、図10、図11に示した保護部を有するスクリーンを吸引する。この場合、保護部421、423、425とは磁力により吸引される物質を含んだ物質で形成されているものとする。サクション装置303は、スキージ111が通過したスクリーンの保護部を吸引口413によって磁力を利用して吸着する。この時、磁力によって吸着されるのは保護部421、423、425とがある部分のスクリーンである。このため、空気を利用して保護部を吸引する場合と比較すると、吸着される部分が特定されるため、スクリーンに与えるストレスを少なくできる。また、吸引口413がスクリーンに接触しても、保護部421,423,425とがスクリーンを保護する。
【0044】
また、図9に示した吸引口407,408,409とを磁力を有する物質で形成し、磁力により吸引される物質を含んだ物質で形成された保護部421,423,425とを吸着してもかまわない。
【0045】
以上のように、磁力を利用して保護部を吸着すると、空気を利用して吸引するよりも、スクリーンに与えるストレスを小さくできる効果がある。
【0046】
また、空気を利用するサクション装置よりも部品点数を少なくできる。このため、サクション装置の製造コストを押さえることができる効果がある。
【0047】
実施の形態5.
上記した図5のサクション装置303の吸引口403、及び、図9のサクション装置303の吸引口407、408、409とを磁力によって吸着される物質を含んだ物質で形成してもかまわない。この場合、スクリーン201は、図10(a),(b)のように保護部421を有するか、図11(a),(b)のように、保護部421,423,425とを有するものとする。
【0048】
図5及び図9のサクション装置303は、空気を利用してスクリーンを吸引する装置であった。さらに、磁力を利用してスクリーン201を吸着することによって、より効果的にスクリーン201を版離れさせることが可能となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】スクリーン印刷装置を示す斜視図である。
【図2】スクリーン印刷装置の概略側面図である。
【図3】スクリーン印刷装置の概略平面図である。
【図4】実施の形態1のスクリーン製版200の一例を示す図である。
【図5】実施の形態1のスクリーン印刷装置の概略斜視図である。
【図6】テーブル103とスクリーン印刷装置の断面概略図(図3のX−X断面図)である。
【図7】サクション装置303によるスクリーンを吸引する手順を示すフローチャート図である。
【図8】実施の形態2のスクリーン製版200の一例を示す図である。
【図9】実施の形態2のスクリーン印刷装置の概略斜視図である。
【図10】(a),(b)は、実施の形態3の保護部を有するスクリーンを示す図である。
【図11】(a),(b)は、実施の形態3の保護部を複数有するスクリーンを示す図である。
【図12】実施の形態4のスクリーン印刷装置の概略斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
1 スクリーン枠、2 支持スクリーン、3 プリントスクリーン、4 接合部、5 印刷パターン部、6 パターンA、7 パターンB、101 スクリーン印刷装置、102 基台、103 テーブル、104 ガイドレール、105 操作ボックス、106 スライダ、107 操作スイッチ、108 スクリーン製版取付部、109 印刷部、110 ワーク、111 スキージ、112 スクレッパー、200 スクリーン製版、201 スクリーン、303 サクション装置、305 エアホース、306 インク、307 軸、308 ホース取付部、309,309a クリアランス、403,407,408,409 吸引口、405 非印刷パターン部、411 エアポンプ、413 吸引口、421,423,425 保護部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキージによりスクリーンマスクを用いてスクリーン印刷をするスクリーン印刷装置において、
スキージを取り付けてスクリーンマスクを押圧しながらスキージを移動させるスキージ駆動部と、
上記スキージ駆動部によるスキージの移動とともにスクリーンマスクを吸引するサクション装置と
を備えたことを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項2】
上記サクション装置は、上記スキージが通過したスクリーンマスクを吸引してスクリーンマスクを版離れさせることを特徴とする請求項1記載のスクリーン印刷装置。
【請求項3】
上記サクション装置は、上記スキージと平行して延在する吸引口を有することを特徴とする請求項1記載のスクリーン印刷装置。
【請求項4】
上記サクション装置は、複数の吸引口を有することを特徴とする請求項1記載のスクリーン印刷装置。
【請求項5】
上記サクション装置の複数の吸引口は、上記スクリーンマスクの印刷パターンのない部分を吸引することを特徴とする請求項4記載のスクリーン印刷装置。
【請求項6】
上記サクション装置は、上記スクリーンマスクを吸引する位置を変更可能にする吸引位置駆動部を有することを特徴とする請求項1記載のスクリーン印刷装置。
【請求項7】
スキージによりスクリーンマスクを用いてスクリーン印刷をするスクリーン印刷装置のスクリーン印刷方法において、
スクリーンマスクを押圧しながらスキージを移動させスクリーン印刷するスキージ印刷工程と、
上記スキージ工程によるスクリーン印刷とともに動作し、上記スキージが通過したスクリーンマスクを吸引してスクリーンマスクを版離れさせるサクション工程と
を備えたことを特徴とするスクリーン印刷方法。
【請求項8】
上記スクリーン印刷装置は、スクリーンマスクを装着し、
上記スクリーンマスクは、スクリーンの印刷方向の左右に配置された印刷パターン部と、
上記左右に配置された印刷パターン部の間に配置された非印刷パターン部と、
上記非印刷パターン部に配置され上記印刷方向に延在するスクリーンマスクを保護する保護部と
を備えたことを特徴とする請求項1記載のスクリーン印刷装置。
【請求項9】
上記保護部は、上記サクション部によって吸引される面が摩擦の少ない物質で形成されていることを特徴とする請求項8記載のスクリーン印刷装置。
【請求項10】
上記保護部は、磁力によって吸着される物質を含み、
上記サクション部は、上記スクリーンマスクを吸引するとともに、磁力を有する物質を有し、磁力によって上記保護部を吸着する
ことを特徴とする請求項8記載のスクリーン印刷装置。
【請求項11】
スクリーン印刷に用いられるスクリーンマスクにおいて、
スクリーンの印刷方向の左右に配置された印刷パターン部と、
上記左右に配置された印刷パターン部の間に配置された非印刷パターン部と、
上記非印刷パターン部に配置され上記印刷方向に延在するスクリーンマスクを保護する保護部と
を備えたことを特徴とするスクリーンマスク。
【請求項12】
上記保護部は、スクリーンマスクのスキージ側の面に粘着された粘着テープであることを特徴とする請求項11記載のスクリーンマスク。
【請求項13】
上記保護部は、磁力により吸着される物質を含んでいることを特徴とする請求項12記載のスクリーンマスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−159594(P2006−159594A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−353697(P2004−353697)
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【出願人】(593039856)マイクロ・テック株式会社 (21)
【Fターム(参考)】