説明

スクリーン装置

【課題】
本発明は、隙間に繊維原料中の異物、繊維等が詰まりにくいと共に、選別された良繊維中に異物が混入するのを防ぐことができるスクリーン装置を提供することを目的としている。
【解決手段】
製紙原料をスクリーン1に供給すると共に、スクリーン1の外側又は内側に対向して回転する攪拌部材2により、スクリーン1の目洗い作用を行って、前記製紙原料から異物を除去するスクリーン装置Aにおいて、スクリーン1は、長手形状の隙間Sを有し、長手形状の隙間Sの長手方向を直交する横断面には、対向する第1のスクリーン部の面11Aと第2のスクリーン部の面11Bとを有し、第1のスクリーン部の面11A、第2のスクリーン部の面11Bの内、少なくとも、第1のスクリーン部の面11Aに凹所Cを形成し、この凹所Cは、この凹所Cは対向する第1のスクリーン部の面11Aと第2のスクリーン部の面11Bの製紙原料流れの出口端部Mより対向する第1のスクリーン部の面11Aと第2のスクリーン部の面11Bとの距離Dが最も狭い最狭対向部Nに近い側に位置しているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン装置に係り、特に、隙間(スリット)に繊維原料中の異物、繊維等が詰まりにくいと共に、選別された良繊維中に異物が混入するのを防ぐことができるスクリーン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーン装置にあっては、製紙原料中の良繊維は長手形状の隙間(スリット)を通過し、製紙原料中の異物は長手形状の隙間を通過しないようにして選別を行うようにしている(例えば、特許文献1参照)。
近時、隙間(スリット)の巾を小さくして異物の混入が、少ない品質の良好な製紙原料が求められる。
【特許文献1】特開2003−201691号公報(図6の隙間40参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上述したスクリーン装置において、隙間(スリット)の巾を小さくすると、製紙原料の流動性が悪くなり、隙間(スリット)に繊維原料中の異物、繊維が詰まり易いという問題点が生じた。
本発明は、上述した問題点を除去するようにしたスクリーン装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
製紙原料をスクリーンに供給すると共に、前記スクリーンの外側又は内側に対向して回転する攪拌部材により、前記スクリーンの目洗い作用を行って、前記製紙原料から異物を除去するスクリーン装置において、前記スクリーンは、長手形状の隙間を有し、前記長手形状の隙間の長手方向を直交する横断面には、対向する第1のスクリーン部の面と第2のスクリーン部の面とを有し、前記第1のスクリーン部の面、前記第2のスクリーン部の面の内、少なくとも、前記第1のスクリーン部の面に凹所を形成し、この凹所は対向する前記第1のスクリーン部の面と前記第2のスクリーン部の面の製紙原料流れの出口端部より対向する前記第1のスクリーン部の面と前記第2のスクリーン部の面との距離が最も狭い最狭対向部に近い側に位置するものである。
【発明の効果】
【0005】
請求項1記載のスクリーン装置によれば、対向する第1のスクリーン部の面、第2のスクリーン部の面の内、少なくとも、前記第1のスクリーン部の面に凹所を形成し、この凹所は対向する前記第1のスクリーン部の面と前記第2のスクリーン部の面の製紙原料流れの出口端部より対向する前記第1のスクリーン部の面と前記第2のスクリーン部の面との距離が最も狭い最狭対向部に近い側に位置するため、隙間(スリット)に繊維原料中の異物、繊維等が詰まりにくいと共に、選別された良繊維中に異物が混入するのを防ぐことができる。
【実施例】
【0006】
本発明の一実施例のスクリーン装置を図面を参照して説明する。
図1乃至図6において、Aはスクリーン装置で、スクリーン装置Aは、スクリーン1の外側(又は内側)に対向して回転する攪拌部材2(アジテーター、フォイル)により、製紙原料をスクリーン1に供給して、繊維と異物を選別すると共に、スクリーン1の目洗い作用を行って、継続的に製紙原料から異物を除去することができるようになっている。
【0007】
スクリーン1と攪拌部材2は、製紙原料を受け入れる槽3内に設けられている。槽3には、製紙原料を受け入れる供給口3aと、スクリーン1を通過した製紙原料を槽3の外へ排出する製紙原料排出口3bと、スクリーン1を通過しない異物を含む製紙原料を槽3の外へ排出する異物排出口3cとを有する。
スクリーン1は、例えば、棒状の長手形状部材11を隙間(長手形状の隙間)Sを有して環状に並設して、外形形状を略円筒形状としたもので、天井部12を閉塞すると共に底面部13を開放して槽3内に立設している。槽3は、スクリーン1によって、製紙原料の供給側1Xと製紙原料の排出側1Yとに仕切られている。
【0008】
また、攪拌部材2は、例えば、スクリーン1の天井部12より高い位置に支持された円盤状部材21から垂下した垂下部22で、垂下部22が図示しないモーターから動力伝達部材4を介して回転するようになっている。攪拌部材2の垂下部材22は、例えば、4個である。
攪拌部材2が回転すると、攪拌部材2の前部ではスクリーン1に対して加圧を生じさせ(図5参照)、また、攪拌部材2の後部では、逆に、スクリーン1に対して負圧になり、製紙原料が製紙原料の排出側1Yから製紙原料の供給側1Xへと、逆流し(図6参照)、スクリーン1の隙間Sを洗うスクリーン目洗いの作用を行って、隙間Sに繊維原料中の異物、繊維等の詰まらないようにして、継続的に製紙原料から異物を除去することができるようになっている。
【0009】
上述したスクリーンSは、図4に示すように、長手形状部材11と長手形状部材11との間に長手形状の隙間Sを有し、長手形状の隙間Sの長手方向を直交する横断面には、図3に示すように、対向する第1のスクリーン部の面11Aと第2のスクリーン部の面11Bとを有している。そして、第1のスクリーン部の面11A、第2のスクリーン部の面11Bの内、第1のスクリーン部の面11Bに凹所Cを形成している。この凹所Cは、この凹所Cは対向する第1のスクリーン部の面11Aと第2のスクリーン部の面11Bの製紙原料流れの出口端部Mより対向する第1のスクリーン部の面11Aと第2のスクリーン部の面11Bとの距離Dが最も狭い最狭対向部Nに近い側に位置している(図3,図5及び図6参照)。
【0010】
上述した凹所Cにより、長手形状の隙間(スリット)Sに繊維原料中の異物、繊維等が詰まりにくいと共に、選別された良繊維中に異物Fが混入するのを防ぐことができる。
これは(図5及び図6参照)、
1,製紙原料が対向する第1のスクリーン部の面11Aと第2のスクリーン部の面11 Bとの間を通過する際、凹所C内に乱流が形成され、この乱流の製紙原料の供給側1 Xへの戻り流れにより製紙原料中の異物Fが製紙原料の排出側1Yへの移動を阻止す ることができること(図5参照)、
2,また、製紙原料中の異物Fが凹所C内の乱流により凹所C内に取り込まれ(図5参 照)、この凹所C内に取り込まれた製紙原料中の異物Fは、攪拌部材2の回転移動に より製紙原料の供給側1Xが負圧になって製紙原料の排出側1Yから製紙原料の供給 側1Xへ製紙原料が逆流する際(図6参照)、製紙原料の供給側1Xに戻され、選別 された良繊維中に異物Fが混入することを防止することができること、
3,更に、長手形状の隙間(スリット)Sの巾が小さい状態で、製紙原料の排出側1Y から製紙原料の供給側1Xへ製紙原料が多量に流れると、目詰まりの原因となるが、 本願のように、製紙原料の排出側1Yから製紙原料の供給側1Xへ製紙原料が逆流す る際(図6参照)、凹所C内で生じる乱流により、製紙原料の排出側1Yから製紙原 料の供給側1Xへの製紙原料の流れをある程度阻止して、目詰まりを防ぐことができ ること
に起因すると考察される。
【0011】
なお、上述した実施例においては、第1のスクリーン部の面11A、第2のスクリーン部の面11Bの内、第1のスクリーン部の面11Aに凹所Cを形成しているが、本発明にあってはこれに限らず、図示しないが、第1のスクリーン部の面11A、第2のスクリーン部の面11Bの内、第2のスクリーン部の面11Bに凹所(図示せず)を形成しても良く、
また、図示しないが、第1のスクリーン部の面11A、第2のスクリーン部の面11Bの内、第1のスクリーン部の面11Aに凹所Cを、第2のスクリーン部の面11Bに凹所(図示せず)を、それぞれ形成しても良い。
また、上述した実施例における凹所Cは、対向する第1のスクリーン部の面11Aと第2のスクリーン部の面11Bの平行な部分と、製紙原料の排出側1Yに向かって逐次拡大する拡大部分との内、平行な部分に形成されているが、本発明にあってはこれに限らず、例えば、図7に示すように、製紙原料の排出側1Yに向かって逐次拡大する拡大部分に凹所Cを設けても良く、また、図8に示すように、対向する第1のスクリーン部の面11Aと第2のスクリーン部の面11Bとが平行でない近接した部分に凹所Cを設けても良い。
なお、図7及び図8において、上述した実施例(図1乃至図6)と同一部分に同一符号を付してその説明を省略している。
【0012】
また、上述した実施例においては、スクリーン1の外側に対向して回転する攪拌部材2を位置させ、製紙原料をスクリーン1の外側から内側に向かわせて精選するインワードフロースクリーンについて説明したが、本発明にあっては、これに限らず、図示しないが、スクリーンの内側に対向して回転する攪拌部材2を位置させ、製紙原料をスクリー1の内側から外側に向かわせ手精選するアウトワードフロースクリーンについても同様に適用することができる。
また、上述した実施例においては、スクリーン1を長手形状部材11を隙間を設けて環状に並設したが、本発明にあっては、これに限らず、図示しないが、直線状に設けても良く、また、棒状部材に限らず、平板状のプレート、円筒形状のプレートにより周知のスクリーンを形成し、上述した実施例と同様に、前記スクリーンに長手形状の隙間(図示せず)を設け、前記長手形状の隙間の長手方向を直交する横断面には、対向する第1のスクリーン部の面と第2のスクリーン部の面とを有し、前記第1のスクリーン部の面、前記第2のスクリーン部の面の内、少なくとも、前記第1のスクリーン部の面に凹所を形成するようにしても良い。
要するに、本発明にあっては、第1のスクリーン部の面11A、第2のスクリーン部の面11Bの内、少なくとも、第1のスクリーン部の面11Bに凹所Cが形成され、この凹所Cは対向する第1のスクリーン部の面11Aと第2のスクリーン部の面11Bの製紙原料流れの出口端部Mより対向する第1のスクリーン部の面11Aと第2のスクリーン部の面11Bとの距離Dが最も狭い最狭対向部Nに近い側に位置しているていれば良い(図5,図6,図7及び図8参照)。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の一実施例のスクリーン装置の概略的断面図である。
【図2】図2は、図1の2−2線による概略的断面図である。
【図3】図3は、図2の一部を拡大して示す概略的一部拡大断面図である。
【図4】図4は、図3のY方向から見た概略的図である。
【図5】図5は、図3の一部を拡大して示す概略的一部拡大断面図で、製紙原料を製紙原料の供給側1Xから製紙原料の排出側1Yへと送り込む状態を示し、矢印は製紙原料の流れを示している。
【図6】図6は、図3の一部を拡大して示す概略的一部拡大断面図で、製紙原料が製紙原料の排出側1Yから製紙原料の供給側1Xへと逆流する状態を示し、矢印は製紙原料の流れを示している。
【図7】図7は、図1乃至図6記載のスクリーンと異なる他のスクリーン部材の断面を示す概略的断面図である。
【図8】図8は、図7と異なる他のスクリーン部材の断面を示す概略的断面図である。
【符号の説明】
【0014】
A ・・・・・スクリーン装置
1 ・・・・・スクリーン
2 ・・・・・攪拌部材
11A ・・・・・第1のスクリーン部の面
11B ・・・・・第2のスクリーン部の面
S ・・・・・長手形状の隙間
C ・・・・・凹所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製紙原料をスクリーンに供給すると共に、前記スクリーンの外側又は内側に対向して回転する攪拌部材により、前記スクリーンの目洗い作用を行って、前記製紙原料から異物を除去するスクリーン装置において、
前記スクリーンは、長手形状の隙間を有し、前記長手形状の隙間の長手方向を直交する横断面には、対向する第1のスクリーン部の面と第2のスクリーン部の面とを有し、
前記第1のスクリーン部の面、前記第2のスクリーン部の面の内、少なくとも、前記第1のスクリーン部の面に凹所を形成し、
この凹所は対向する前記第1のスクリーン部の面と前記第2のスクリーン部の面の製紙原料流れの出口端部より対向する前記第1のスクリーン部の面と前記第2のスクリーン部の面との距離が最も狭い最狭対向部に近い側に位置する
ことを特徴とするスクリーン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−45747(P2006−45747A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−232533(P2004−232533)
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【出願人】(000202235)相川鉄工株式会社 (18)
【Fターム(参考)】