説明

スケジュール実行支援装置、システム、方法、プログラム

【課題】スケジュールを効率よく実行させる。
【解決手段】スケジュール実行支援システムは、IDカードを用いて行われる入退室の記録に基づいて、ユーザーの現在位置を検知する位置検知部を備えている。そして、スケジュール開始時間となると、スケジュール開始場所にユーザーが到着しているか否かを調べ、到着している場合は、スケジュールで使用する資料をユーザーの携帯端末に表示させる。他方、スケジュール開始時間になってもスケジュール開始場所にユーザーが到着していない場合は、スケジュール開始場所へ向かうためのルートをユーザーの携帯端末に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スケジュールの実行を支援するスケジュール実行支援装置、システム、方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
パソコンを利用し、スケジュール管理を行うソフトウエアが広く知られている。また、近年では、インターネットの普及に伴い、スケジュールを記憶したサーバに、インターネットを介して複数の端末(例えば、自宅や職場のパソコン、携帯端末などの携帯端末)からアクセスしてスケジュールの閲覧や登録、編集ができるシステムも提案されている(例えば、下記特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−146961号公報
【特許文献2】特開2005−346484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のシステムは、スケジュールの進行度合いに関係なく予め設定された時間や期日になるとこの旨を示すメッセージなどが通知されるものであり、スケジュールを効率よく実行するための配慮がなされていなかった。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、スケジュールの進行度合いに適応した通知や案内を行うことによってスケジュールを効率良く実行することができるスケジュール実行支援装置、システム、方法、プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明のスケジュール実行支援システムは、通信網を介して通信可能に接続されたサーバとクライアント端末とから構成され、前記サーバは、実行日時と実行場所とが対応付けされており前記クライアント端末のユーザーによって実行されるスケジュールを記憶したスケジュール記憶手段と、現在日時を検知する日時検知手段と、前記クライアント端末の現在位置を検知する位置検知手段と、前記日時検知手段により検知された現在日時及び前記位置検知手段により検知された現在位置を、前記スケジュールの実行日時及び実行場所と比較して前記スケジュールの進行度を判定する進行度判定手段と、前記進行度判定手段により判定されたスケジュールの進行度に基づいて、前記スケジュールの実行を補佐するための案内情報を前記クライアント端末に送信する案内情報送信手段とを備え、前記クライアント端末は、前記案内情報送信手段から送信された案内情報を受信する案内情報受信手段と、前記案内情報を表示する表示手段とを備えていることを特徴としている。
【0007】
前記位置検知手段は、前記スケジュールを実行する際に前記クライアント端末のユーザーが入場する各エリアの入場ゲートに設置されて前記ユーザーが携帯するカードの情報を読み取る読み取り装置を備え、前記読み取り装置により読み取った前記カードの情報に基づいて前記ユーザーの存在エリアを特定し、特定したエリアを前記クライアント端末の現在位置として検知し、検知した現在位置を前記サーバに通知するものでもよい。
【0008】
また、前記クライアント端末は、GPS衛星からの電波を受信することによって現在位置を検知するGPS機能を有し、このGPS機能により検知された現在位置を前記サーバーに通知し、前記位置検知手段は、前記通知により前記クライアント端末の現在位置を検知するものでもよい。
【0009】
さらに、前記クライアント端末は、カメラを備え、前記位置検知手段は、前記カメラによって撮影された画像の解析結果に基づいて、前記クライアント端末の現在位置を検知するものでもよい。
【0010】
また、前記クライアント端末は、マイクを備え、前記位置検知手段は、前記マイクに入力された音声の解析結果に基づいて、前記クライアント端末の現在位置を検知するものでもよい。
【0011】
さらに、前記サーバは、前記スケジュールの実行日時の所定時間前に、前記クライアント端末の現在位置が前記スケジュールの実行場所と一致するか否かを調べ、一致しなかった場合に、前記実行日時が近づいたことを示す旨の案内情報を前記クライアント端末に送信し、この案内情報の送信により、前記クライアント端末にアラーム画面が表示されるものでもよい。
【0012】
また、前記サーバは、前記スケジュールの実行日時となったときに、前記クライアント端末の現在位置が前記スケジュールの実行場所と一致するか否かを調べ、一致しなかった場合に、現在位置から実行場所への移動をガイドするための案内情報を送信し、この案内情報の送信により、前記クライアント端末に現在位置から実行場所への移動ルートを示す案内画面が表示されるものでもよい。
【0013】
さらに、本発明のスケジュール実行支援装置は、現在日時を検知する日時検知手段と、現在位置を検知する位置検知手段と、前記日時検知手段により検知された現在日時及び前記位置検知手段により検知された現現在位置を、実行日時及び実行場所が対応付けされたスケジュールと比較してスケジュールの進行度を判定する進行度判定手段と、前記進行度判定手段により判定されたスケジュールの進行度に基づいて、表示手段の表示画面を切り替える表示制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0014】
前記スケジュールを記憶するスケジュール記憶手段を設けてもよい。
【0015】
また、前記スケジュールは、当該スケジュール実行支援装置と通信網を介して接続されたサーバに記憶されており、前記サーバーから読み出されるものでもよい。
【0016】
さらに、本発明のスケジュール支援方法は、現在日時を検知する日時検知ステップと、現在位置を検知する位置検知ステップと、前記日時検知ステップで検知された現在日時及び前記位置検知ステップで検知された現現在位置を、実行日時及び実行場所が対応付けされたスケジュールと比較してスケジュールの進行度を判定する進行度判定ステップと、前記進行度判定ステップで判定されたスケジュールの進行度に基づいて、表示手段の表示画面を切り替える表示切り替えステップとを備えたことを特徴としている。
【0017】
また、本発明のスケジュール支援プログラムは、現在日時を検知する日時検知機能と、現在位置を検知する位置検知機能と、前記日時検知機能で検知された現在日時及び前記位置検知機能で検知された現現在位置を、実行日時及び実行場所が対応付けされたスケジュールと比較してスケジュールの進行度を判定する進行度判定機能と、前記進行度判定機能で判定されたスケジュールの進行度に基づいて、表示手段の表示画面を切り替える表示切り替え機能とをコンピュータに実現させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、現在日時及びスケジュールを実行するユーザー(クライアント端末)の現在位置を、スケジュールの実行日時及び実行時間と比較してスケジュールの進行度合いを判定し、この判定結果に基づいて通知や案内を行うようにしたので、スケジュールを効率よく実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】スケジュール実行支援システムの構成を示すブロック図である。
【図2】記憶部に記憶された情報の内容を示す説明図である。
【図3】スケジュールデータの内容を示す説明図である。
【図4】スケジュールの実行を支援する処理の流れを表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1において、スケジュール実行支援システム10は、携帯端末(クライアント端末)12と、IDカード14と、IDカードリーダ16a、16b、16cと、サーバ18とから構成される。スケジュール実行支援システム10は、ユーザーが効率よくスケジュールを実行できるように、スケジュールの実行を支援するものである。なお、スケジュールの内容は自由に設定できるが、以下では、試験対象の化学物質をマウスに投与し、経過を観察して毒性の判断を行う化学物質の毒性試験がスケジュールとして登録されており、スケジュール実行支援システム10により毒性試験の支援を行う例で説明する。
【0021】
携帯端末12は、スケジュール実行支援システム10を利用するユーザーの所有物であり、このユーザーに携帯される。携帯端末12としては、例えば、携帯電話やノート型パソコン、PDAなど周知の携帯型電子機器が用いられる。携帯端末12は、各種画面を表示するディスプレイや、各種操作を行うための操作部などが設けられている。また、携帯端末12は、インターネット20を介してサーバ18と接続されている。ユーザーは、インターネット20を介してサーバ18にアクセスし、予め登録されたユーザー名やパスワードを入力してログインすることで新たなスケジュールの登録や、登録済みスケジュールの閲覧や編集を行える。
【0022】
IDカード14は、ユーザーを識別するためのユーザーIDが記憶されており、携帯端末12とともにユーザーに携帯される。IDカード14は、例えば、スケジュール実行支援システム10を運営する管理者や企業からユーザーに対して貸与される。なお、本実施形態では、IDカードとして、非接触で情報の読み込みや書き込むができるものを用いている。
【0023】
IDカードリーダ16a、16b、16cは、毒性試験を行う試験施設22の各エリアへの入退場ゲート24a、24b、24cに設置され、社内LAN26を介してサーバ18に接続されている。なお、本実施形態では、試験施設22が、マウスへ投与する化学物質を生成するためのA室28aと、マウスへ化学物質を投与するためのB室28bと、投与した物質の影響を調べるためのC室28cとからなり、A室28aの入退場ゲート24aにIDカードリーダ16aが配置され、B室28bの入退場ゲート24bにIDカードリーダ16bが配置され、C室28cの入退場ゲート24cにIDカードリーダ16cが配置されている例で説明を行う。
【0024】
IDカードリーダ16aは、IDカード14が翳されると、IDカード14からユーザーIDを読み取る。入退場ゲート24aは、読み取られたユーザーIDが、A室28aへの入場が許可されたものである場合に開放される。そして、IDカードリーダ16aは、A室28aの入退場ゲート24aが開放されると、このとき読み取ったユーザーIDを、社内LAN26を介してサーバ18へ通知する。
【0025】
同様に、IDカードリーダ16bは、IDカード14が翳されるとIDカード14からユーザーIDを読み取り、読み取ったユーザーIDがB室28bへの入場が許可されたものであり入退場ゲート24bが開放されると、このとき読み取ったユーザーIDをサーバ18へ通知する。また、IDカードリーダ16cは、IDカード14が翳されるとIDカード14からユーザーIDを読み取り、読み取ったユーザーIDがC室28cへの入場が許可されたものであり入退場ゲート24cが開放されると、このとき読み取ったユーザーIDをサーバ18へ通知する。
【0026】
サーバ18には、通信部30、日時検知部32、位置検知部34、記憶部36、制御部38が設けられている。通信部30は、インターネット20及び社内LAN26に接続され、携帯端末12及びIDカードリーダ16a、16b、16cとの間で情報の送受信を行う。日時検知部32は、時計とカレンダーとを備え、現在日時を検知する。
【0027】
位置検知部34には、各IDカードリーダ16a、16b、16cから送信されたユーザーIDが入力される。そして、位置検知部34は、IDカードリーダ16a、16b、16cのいずれからユーザーIDが入力されたかに基づいて、このユーザーIDの付与されたユーザーの所在エリアを検知する。
【0028】
具体的には、IDカードリーダ16aからユーザーIDが送信され、この送信が奇数回目の送信である場合、ユーザーがA室28aに入室したと見なし、偶数回目の送信である場合、ユーザーがA室28aから退室したと見なす。同様に、IDカードリーダ16bからのユーザーIDの送信回数に基づいて、ユーザーがB室28bに存在するか否かを検知し、IDカードリーダ16cからのユーザーIDの送信回数に基づいて、ユーザーがC室28cに存在するか否かを検知する。なお、入退出の判定は、上記のものに限定されず、周知の各種方法を用いることができる。
【0029】
図2に示すように、記憶部36には、ユーザー情報記憶領域40、資料記憶領域42、スケジュール記憶領域44が設けられている。ユーザー情報記憶領域40には、ユーザー名やユーザーID、並びに、サーバ18にアクセスする際のパスワードなどがユーザー毎に対応付けされて記憶されている。
【0030】
資料記憶領域42には、試験施設22や、毒性試験で用いられる機材及び資料の情報が記憶されている。これらの情報は、例えば、試験施設の地図や、毒性試験の各段階のそれぞれで使用する機材の情報(毒性試験の段階と使用する機材の対応情報、各機材の設置場所や設置個数、取り扱い説明書など)、毒性試験の進め方や注意事項、結果を判断する際の判断基準、結果や所見を記入するための入力シートなどからなる。
【0031】
なお、本実施形態では、支援するスケジュールが毒性試験に特定されているので、毒性試験に関わる情報が資料記憶領域に記憶されている例で説明をするが、毒性試験以外のスケジュールを支援する場合は、支援するスケジュールに対応する情報を資料記憶領域に記憶させればよい。また、支援するスケジュールが多岐に渡る場合などは、全ての情報を予め漏れなく資料記憶領域に記憶させるとことは事実上不可能なので、資料記憶領域に記憶させる情報の種類や内容を、サーバにログインしたユーザーが管理(登録、閲覧、削除、編集など)できるようにしておくことが好ましい。
【0032】
スケジュール記憶領域44には、各ユーザー毎のスケジュールデータ46が、各ユーザーのID番号と対応付けされて記憶されている。図3に示すように、スケジュールデータ46は、スケジュールの段階を示す各タスクに、各タスクの実行日時及び実行場所、並びに、各タスクで使用する機材と資料が対応付けされたものである。
【0033】
本実施形態では、毒性試験のスケジュールが、投与する物質を生成する第1タスク、生成した物質の投与を行う第2タスク、物質の投与によるマウスの影響を調べる第3タスクからなっている。第1タスクは、化学物質の生成を行うタスクであり、実行日時は2011年4月1日午前10時〜12時であり、実行場所はA室28aである。また、第1タスクでは、機材a、資料aが用いられる。第2タスクは、第1タスクで生成した化学物質をマウスに投与するタスクであり、実行日時は2011年4月1日午後1時〜2時、実行場所はB室28b、使用機材は機材b、使用資料は資料bである。第3タスクは、事前に化学物質を投与しておいたマウスを観察しこの化学物質のマウスへの影響を調べるタスクであり、実行日時は2011年4月1日午後3時〜4時、実行場所はC室28c、使用機材は機材c、使用資料は資料cである。
【0034】
なお、このスケジュールデータ46は、その全てがユーザー(携帯端末)の操作よって作成されるものでもよいし、ユーザーが一部の情報を入力し、残りの部分についてはサーバ側で自動的に生成するものでもよい。後者の場合、例えば、ユーザーにいずれのタスクをどのような日時に実行するかを指定させ、この後、サーバ側で、同日のタスクをグループ化するとともに、資料記憶領域を参照し、各タスクで使用する機材や資料を各タスクに関連付けしてスケジュールデータを作成すればよい。もちろん、社内において従業員(ユーザー)のスケジュールを管理するために、スケジュール実行支援システム10の管理者などが各ユーザーのスケジュールデータを作成し、ユーザーにダウンロードさせてもよい。
【0035】
さらに、資料記憶領域には、各タスクで使用する機材の種類の他、各機材の個数も記憶されているので、他のユーザーのスケジュールデータと資料記憶領域の情報と比較することで、機材の空き状況も判明する。これを利用し、ユーザーがタスクを指定すると、サーバ側でこのタスクで使用する機材の空き状況を調べてタスクを実行可能な日時を示し、このなかから日時を指定させてもよい。こうすることで、スケジュールの管理や後述する実行支援に加え、機材の使用予約も行えるので便利である。
【0036】
制御部38は、サーバ18の各部と接続されこれらを統括的に駆動制御する。制御部38は、携帯端末12からのアクセス要求を受けると、このとき入力されたユーザー名とパスワードとがユーザー情報記憶領域40に記憶されたものと一致するか否かを調べ、致する場合に、このユーザーのスケジュールデータ46の登録、閲覧、削除、編集を許容する。ユーザーは、携帯端末12を操作して、スケジュールデータ46の登録、閲覧、削除、編集ができる。
【0037】
また、制御部38は、スケジュールの実行を支援する支援処理を行う。図4に示すように、支援処理は、ユーザーの指示で開始される。具体的には、携帯端末12を操作してサーバ18にログインすると表示されるメニュー画面において支援タグをクリックし、支援を要請するスケジュールを指定すると、支援処理が開始される。
【0038】
支援処理中は、携帯端末12がサーバ18にログインした状態となり、制御部38から携帯端末12に送信された情報に基づく画面がリアルタイムで携帯端末12のディスプレイに表示される。制御部38は、携帯端末12のディスプレイに表示させる画面を切り替えることでスケジュールの実行を支援する。
【0039】
なお、ユーザーの指示を待たずに、スケジュール開始の所定時間前またはスケジュール開始時間となったときに自動的に支援処理を開始してもよい。さらに、スケジュール開始の所定時間前となっても支援処理開始の指示が無かった場合に、例えば、ユーザーの携帯端末12宛に電子メールを送信し、スケジュールの開始時間が迫っていることや支援処理開始の指示を促す内容を通知してもよい。
【0040】
支援処理が開始されると、制御部38は、現在日時及び携帯端末12の現在位置の監視を開始する。そして、現在日時と現在位置とに基づいてスケジュールの進行度合いを判断し、スケジュールの進行度合いに応じた画面を携帯端末12のディスプレイに表示させる。
【0041】
具体的には、制御部38は、各タスクの開始時間の所定時間前(例えば、15分前)に、ユーザー(携帯端末12)がタスク実行場所に到着しているか否かを調べる。そして、到着していない場合(現在位置がタスク実行場所と一致しなかった場合)、スケジュールが予定通りに実行されない可能性があると判断し、タスクの開始時間が迫っている旨のメッセージを携帯端末12のディスプレイに表示させる。
【0042】
他方、各タスクの開始時間の所定時間前に、ユーザーがタスク実行場所に到着している場合(現在位置がタスク実行場所と一致した場合)、スケジュールが予定以上に順調に進行していると判断し、予定を早めてタスクを実行するか否かを選択させる選択画面を携帯端末12に表示させる。そして、タスクを実行する旨の選択がなされた場合、このタスクに対応付けされた資料を携帯端末12に表示させる。ユーザーはこの資料を参照しながらタスクを実行できる。一方、タスクを実行しない旨の選択がなされた場合、タスクの実行時間となるのを待って、タスクに対応付けされた資料を携帯端末12に表示させる。
【0043】
また、制御部38は、各タスクの開始時間になると、ユーザーがタスク実行場所に到着しているか否かを調べる。そして、到着していない場合、スケジュールが遅れていると判断し、この旨を示すメッセージや、タスクの開始場所、及び、現在位置からタスクの開始場所へ向かうためのルートを携帯端末12に表示させる。他方、タスクの開始時間にユーザーがタスク実行場所に到着している場合、制御部38は、スケジュールが順調に進んでいると判断し、タスクに対応付けされた資料を携帯端末12に表示させる。
【0044】
このように、スケジュール実行支援システム10では、スケジュールの実行日時及び実行時間を、現在日時と及びーザー(携帯端末)の現在位置と比較し、この比較結果に基づいてスケジュールの進行度合いに対応した支援を行うので、スケジュールを効率よく実行できる。
【0045】
なお、本発明は、現在日時及びユーザーの現在位置と、スケジュールとを比較してスケジュールの進行度合い対応した支援を行えばよいので、細部の構成は上記実施形態に限定されず適宜変更できる。例えば、上記実施形態では、携帯端末の画面を切り替えることによって支援を行う例で説明をしたが、画面切り替えによる支援に加え、音声案内による支援を行ってもよい。もちろん、音声案内のみで支援を行ってもよい。
【0046】
さらに、上記実施形態では、インターネットを介して携帯端末とサーバとを接続する例で説明をしたが、インターネット以外の周知の通信網を介してこれらを接続してもよい。また、上記実施形態では、社内LANを介してIDカードリーダとサーバとを接続する例で説明をしたが、社内LAN以外の周知の通信網を介してこれらを接続してもよい。さらに、携帯端末とサーバ及びIDカードリーダとサーバを共通の通信網により接続してもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、スケジュールが予定通りに実行されるように支援を行う例で説明をしたが、スケジュールの進行度合いに基づいて、サーバー側で自動的にスケジュールを変更してもよい。この場合、例えば、1つ前のタスクが1時間遅れて開始された場合に、以降のタスクの開始時間を1時間ずつ遅らせたり、反対に、1つ前のタスクが1時間早く開始された場合に、以降のタスクの開始時間を1時間ずつ早めるといったように、1つ前のタスクの開始時間に応じて以降のタスクの開始時間を変更すればよい。
【0048】
さらに、例えば、少ない機材を多くのユーザーで順番に使用する場合などは、他のユーザーのスケジュールの進行度合いによって、自己のスケジュールが予定通りに進められない場合や、他のユーザーのスケジュールの進行度合いに合わせて自己のスケジュールを組み直した方が効率がよい場合が考えられる。このため、サーバーが、他のユーザーのスケジュールの進行度合いを判断し、この判断結果に応じて自己のスケジュールを変更したり、支援方法を異ならせてもよい。
【0049】
この場合、具体的には、他のユーザーのスケジュールが遅れており、自己のスケジュールが予定通りにできない場合に、この旨を携帯端末に通知してスケジュールの変更を促したり、サーバー側で自動的にスケジュールの組み直しを行うといったことが考えられる。また、他のユーザーの影響でスケジュールを開始できない場合には、スケジュールの開始日時が迫っていることの通知や、実行場所への案内、開始日時になったときの資料の表示を行わないといったことも考えられる。
【0050】
なお、上記実施形態では、サーバーが主となって支援を行う例で説明をしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上記実施形態のサーバーと同様の処理を携帯端末の制御部に行わせるためのアプリケーションを携帯端末にインストールし、携帯端末が自己の位置検知を行うとともに、現在日時、現在位置をスケジュールと比較してスケジュールの進行度合いを判断し、進行度合いに応じた支援を表示画面の切り替えや音声の出力によって行えばよい。この場合、スケジュールデータも携帯端末に記憶させることによって、サーバーを廃止してもよいし、スケジュールデータはサーバーに記憶させ、携帯端末がサーバーにアクセスしてスケジュールデータを参照(または、ダウンロード)し、支援を行ってもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、IDカードを用いてユーザーの位置を検知する例で説明をしたが、携帯端末のGPS機能を利用してユーザーの位置を検知してもよい。もちろん、携帯端末にGPS受信機を接続してユーザーの位置を検知してもよい。さらに、ユーザーが携帯端末のカメラで撮影を行うことによって取得された画像を、携帯機器またはサーバで解析し、この解析結果に基づいてユーザーの現在位置を検知してもよい。また、ユーザーが携帯機器のマイクに向かって現在位置を発声することで得られた音声に基づいて、ユーザーの現在位置を検知してもよい。
【0052】
さらに、上記実施形態では、タスク開始の所定時間前とタスク開始時間とのそれぞれにおいて、タスクの開始場所に到着したか否かを判断する例、すなわち、4段階でスケジュールの進行度合いを判断する例で説明をしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、所定時間毎(例えば、1分毎)に、現在位置とタスク開始場所との距離を算出し、算出した距離とタスク開始までの残り時間とを比較し、この比較結果に基づいてスケジュールが予定通りに実行できるか否かをより細かく判断し、より細かな支援を行ってもよい。
【0053】
なお、スケジュールが予定よりも早く進み、空き時間ができた場合などは、資料記憶領域を参照して次のタスクで用いる機材や資料を確認したり、スケジュールを変更して予定を早めるなどといった作業をユーザーが行うといったことが考えられる。しかし、この途中で、例えば、スケジュール開始時間が迫っていることの通知などがなされてしまうと、スケジュールの進行を遅らせる原因となってしまう。このため、ユーザーが携帯端末を操作している間は前述した通知や案内などの支援機能を一時的に停止させることが好ましい。
【符号の説明】
【0054】
10 スケジュール実行支援システム
12 携帯端末
14 IDカード
16a、16b、16c IDカードリーダ
18 サーバ
20 インターネット
24a、24b、24c 入退場ゲート
26 社内LAN
30 通信部
32 日時検知部
34 位置検知部
36 記憶部
38 制御部
40 ユーザー情報記憶領域
42 資料記憶領域
44 スケジュール記憶領域
46 スケジュールデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信網を介して通信可能に接続されたサーバとクライアント端末とから構成され、
前記サーバは、
実行日時と実行場所とが対応付けされており前記クライアント端末のユーザーによって実行されるスケジュールを記憶したスケジュール記憶手段と、
現在日時を検知する日時検知手段と、
前記クライアント端末の現在位置を検知する位置検知手段と、
前記日時検知手段により検知された現在日時及び前記位置検知手段により検知された現在位置を、前記スケジュールの実行日時及び実行場所と比較して前記スケジュールの進行度を判定する進行度判定手段と、
前記進行度判定手段により判定されたスケジュールの進行度に基づいて、前記スケジュールの実行を補佐するための案内情報を前記クライアント端末に送信する案内情報送信手段とを備え、
前記クライアント端末は、
前記案内情報送信手段から送信された案内情報を受信する案内情報受信手段と、
前記案内情報を表示する表示手段とを備えていることを特徴とするスケジュール実行支援システム。
【請求項2】
前記位置検知手段は、
前記スケジュールを実行する際に前記クライアント端末のユーザーが入場する各エリアの入場ゲートに設置されて前記ユーザーが携帯するカードの情報を読み取る読み取り装置を備え、
前記読み取り装置により読み取った前記カードの情報に基づいて前記ユーザーの存在エリアを特定し、特定したエリアを前記クライアント端末の現在位置として検知し、検知した現在位置を前記サーバに通知することを特徴とする請求項1記載のスケジュール実行支援システム。
【請求項3】
前記クライアント端末は、GPS衛星からの電波を受信することによって現在位置を検知するGPS機能を有し、このGPS機能により検知された現在位置を前記サーバーに通知し、
前記位置検知手段は、前記通知により前記クライアント端末の現在位置を検知することを特徴とする請求項1記載のスケジュール実行支援システム。
【請求項4】
前記クライアント端末は、カメラを備え、
前記位置検知手段は、前記カメラによって撮影された画像の解析結果に基づいて、前記クライアント端末の現在位置を検知することを特徴とする請求項1記載のスケジュール実行支援システム。
【請求項5】
前記クライアント端末は、マイクを備え、
前記位置検知手段は、前記マイクに入力された音声の解析結果に基づいて、前記クライアント端末の現在位置を検知することを特徴とする請求項1記載のスケジュール実行支援システム。
【請求項6】
前記サーバは、前記スケジュールの実行日時の所定時間前に、前記クライアント端末の現在位置が前記スケジュールの実行場所と一致するか否かを調べ、一致しなかった場合に、前記実行日時が近づいたことを示す旨の案内情報を前記クライアント端末に送信し、
この案内情報の送信により、前記クライアント端末にアラーム画面が表示されることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のスケジュール実行支援システム。
【請求項7】
前記サーバは、前記スケジュールの実行日時となったときに、前記クライアント端末の現在位置が前記スケジュールの実行場所と一致するか否かを調べ、一致しなかった場合に、現在位置から実行場所への移動をガイドするための案内情報を送信し、
この案内情報の送信により、前記クライアント端末に現在位置から実行場所への移動ルートを示す案内画面が表示されることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載のスケジュール実行支援システム。
【請求項8】
現在日時を検知する日時検知手段と、
現在位置を検知する位置検知手段と、
前記日時検知手段により検知された現在日時及び前記位置検知手段により検知された現現在位置を、実行日時及び実行場所が対応付けされたスケジュールと比較してスケジュールの進行度を判定する進行度判定手段と、
前記進行度判定手段により判定されたスケジュールの進行度に基づいて、表示手段の表示画面を切り替える表示制御手段とを備えたことを特徴とするスケジュール実行支援装置。
【請求項9】
前記スケジュールを記憶するスケジュール記憶手段を備えたことを特徴とする請求項8記載のスケジュール実行支援装置。
【請求項10】
前記スケジュールは、当該スケジュール実行支援装置と通信網を介して接続されたサーバに記憶されており、前記サーバーから読み出されることを特徴とする請求項8記載のスケジュール実行支援装置。
【請求項11】
現在日時を検知する日時検知ステップと、
現在位置を検知する位置検知ステップと、
前記日時検知ステップで検知された現在日時及び前記位置検知ステップで検知された現現在位置を、実行日時及び実行場所が対応付けされたスケジュールと比較してスケジュールの進行度を判定する進行度判定ステップと、
前記進行度判定ステップで判定されたスケジュールの進行度に基づいて、表示手段の表示画面を切り替える表示切り替えステップとを備えたことを特徴とするスケジュール実行支援方法。
【請求項12】
現在日時を検知する日時検知機能と、
現在位置を検知する位置検知機能と、
前記日時検知機能で検知された現在日時及び前記位置検知機能で検知された現現在位置を、実行日時及び実行場所が対応付けされたスケジュールと比較してスケジュールの進行度を判定する進行度判定機能と、
前記進行度判定機能で判定されたスケジュールの進行度に基づいて、表示手段の表示画面を切り替える表示切り替え機能とをコンピュータに実現させるためのスケジュール実行支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−208873(P2012−208873A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75671(P2011−75671)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】