説明

スズメバチの調理法とその商品化方法

【課題】ハチ酒とハチの子を食用できるように調理加工する方法とその商品化方法を提供する。
【解決手段】オオスズメバチ・キイロスズメバチ・コガタスズメバチ・ヒメスズメバチ等の野生のスズメバチを生けどりした幼虫の調理法であって、前記生けどりしたスズメバチの巣から生きている幼虫を取り出し、酒・ミリン・砂糖などで味付けして焼いたり煮たりして調整するスズメバチの調理法と、前記スズメバチ調理法で調理加工したハチの子をビン・ガラス等の容器に詰めて商品化して市場化するスズメバチのハチの子製品を商品化するスズメバチの調理法とその商品化方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハチ酒とハチの子の調理方法に関するが、詳しくはオオスズメバチ・キイロスズメバチ・コガタスズメバチ・ヒメスズメバチ等の猛毒を有する野生のスズメバチを原料にしたハチ酒とハチの子の調理加工方法とその商品化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のハチ酒は、山林等の蜂の巣を煙幕などを使用し仮死状態にしたものを焼酎入りのビンなどの容器に入れて製造しているのが一般的である。従って、焼酎漬けにしても毒性が放出されないので本来のハチ酒ではなく、単に野生のハチを焼酎に漬けたハチ酒にすぎず何の役にも立たないハチ焼酎漬酒であった。
【0003】
例えば従来のスズメバチを原料にしたハチ酒の製造方法としては、特開2002−306152号(特許第3472275号)公報で公開されている「毒性を有するはち酒の製造方法」がある。この従来方法は、毒性を有するハチ全般を対象にしたハチ酒製造方法であるところに特徴を有するものである。
【特許文献1】特開2002−306152号公報 この従来公知のハチ酒製造方法は、従来の煙幕を使用して親バチを仮死状態にして焼酎漬けしているため、毒性を焼酎に吐かすことができないので毒性を有するハチ酒を製造できない欠点があった。そこで、この公開発明によれば次のように改良することで良質なハチ酒を製造することが可能となった。
【0004】
すなわち、天然で毒性を有するキイロスズメバチ・オオスズメバチ・コガタスズメバチ・ヒメスズメバチ等の天然蜂を巣ごとに集める天然蜂の収集工程と、前記収集した天然蜂を鋼鉄製の網でつくった立方状の箱体に入れる天然蜂の収納工程と、前記収納の天然蜂を容器に入れた焼酎の中に瞬時に落下させて天然蜂の毒成分を瞬時に放出させる天然蜂の毒成分放出工程と、前記放出した毒成分と毒放出後の天然蜂とを混合して漬込む天然蜂の混合熟成工程と、からなることを特徴とする毒性を有するはち酒の製造方法(請求項1)の提供をすることができる。
【0005】
更にこの公開発明は、前記使用焼酎の度数が30度以上で熟成該焼酎の中に天然蜂を瞬間的にたたきつけるように落下させる毒性を有するはち酒の製造方法(請求項2)であり、また前記焼酎たたきつけを2〜3回程度つづけかつ天然蜂の体内に含有している毒成分を全部放出させる毒性を有するはち酒の製造方法(請求項3)であり、また前記放出された天然蜂の毒成分と該毒成分を放出された天然蜂とを同一容器に数ケ月間漬込みかつ天然蜂が含有している成分と毒成分とを混合させてはち酒を製造する毒性を有するはち酒の製造方法(請求項4)であり、更に前記はち酒の主成分が100g当りグルタミン酸27mg、アスパラギン酸17mg、ロイシン15mg、リジン13mg、バリン12mg、アラニン12mg、プロリン11mg、グリシン10mg、イソロイシン10mgのアミノ酸組成を含有する毒性を有するはち酒の製造方法(請求項5)である。
【0006】
一方、従来のハチの子は家庭用として調理されていたが商品化して市場化までには至っていなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来から猛毒を有するスズメバチは食用に適さないものとして捕獲して処分されていた。この従来廃棄処分されていたスズメバチの親バチとハチの子とを調理し商品化して市場化を図るところに本発明が解決しようとする課題を有する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記の如き課題を解決するために開発したものであって、オオスズメバチ・キイロスズメバチ・コガタスズメバチ・ヒメスズメバチ等の野生のスズメバチを生けどりした幼虫の調理法であって、前記生けどりしたスズメバチの巣から生きている幼虫を取り出し、酒・ミリン・砂糖などで味付けして焼いたり煮たりして調整するスズメバチの調理法であり、また前記のスズメバチ調理法で調理加工したハチの子をビン・ガラス等の容器に詰めて商品化して市場化するスズメバチのハチの子製品を商品化するスズメバチの調理法とその商品化方法であり、また前記ハチの子製品にハチ酒を箱詰めセットして市場化するスズメバチ製品を商品化するスズメバチの調理方法とその商品化方法
【発明の効果】
【0009】
本発明は、オオスズメバチ・キイロスズメバチ・コガタスズメバチ・ヒメスズメバチ等の野生のスズメバチを生けどりした幼虫の調理法であって、前記生けどりしたスズメバチの巣から生きている幼虫を取り出し、酒・ミリン・砂糖などで味付けして焼いたり煮たりして調整するスズメバチの調理法であり、また前記スズメバチ調理法で調理加工したハチの子をビン・ガラス等の容器に詰めて商品化して市場化するスズメバチのハチの子製品を商品化するスズメバチの調理法とその商品化方法であり、更に前記ハチの子製品にハチ酒を箱詰めセットして市場化するスズメバチ製品の商品化するスズメバチの調理方法とその商品化方法であるから、従来から人間の食用に適さないとして廃棄処分されていた野生の猛毒を有するスズメバチの親バチと子バチを食用に適するように調理加工して商品化及び市場化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の最良な実施形態は、猛毒を有するオオスズメバチ・キイロスズメバチ・コガタスズメバチ・ヒメスズメバチ等の野生のスズメバチを原料とするハチ酒の製造方法において、前記野生のスズメバチを捕獲する真綿と生カエルの皮を剥がして小枝の先端に差し込みスズメバチを呼び込むスズメバチの誘導方法と、該誘導したスズメバチをコヨリ状に成型した真綿の先端部に生カエルを差し込みスズメバチに喰わえさせて大空を追跡するスズメバチ追跡方法と、前記真綿付の生カエルの肉を喰わえたスズメバチによりスズメバチの巣穴を見つけるスズメバチ巣穴発見方法と、該方法で見つけたスズメバチを夜間に生けどりして布袋に収納するスズメバチ収納方法と、該生けどりしたスズメバチ入りの布袋を持ち帰り焼酎漬用容器に巣ごと投入するスズメバチ焼酎漬方法と、該スズメバチ入りの容器に焼酎を注入しとスズメバチの猛毒を吐き出させた後に巣の中から親バチを取り除き幼虫入りの巣のみを容器から取り出すスズメバチ取出方法と、該親バチと焼酎入りの容器のまま一昼夜放置してスズメバチから猛毒を吐き出させるスズメバチ猛毒放出方法と、該方法で放置した後に保存用の容器に猛毒入りの焼酎と親バチを移し2、3年位漬け込み焼酎と毒成分を混合するスズメバチのハチ酒製造方法とから構成することを特徴とするスズメバチを原料にしたハチ酒の製造方法であるから、スズメバチの巣穴を簡単容易に発見することができ、しかも毒性を有する親バチを生きたまま捕獲できるのでハチの毒性と焼酎とを完全に混合して熟成されたハチ酒を製造することが可能となった。
【0011】
なお、本発明方法で得られるハチ酒とハチの子には次のような成分を有することが判明した。下表の試験結果は、平成11年6月24日に社団法人日本食品衛生協会で試験検査したデータ結果である。
【0012】
アミノ酸組成データ
イソロイシン 10 mg
ロイシン 15 mg
リジン 13 mg
メチオニン 不検出(検出限界10ppm)
シスチン 3 mg
フェニルアラニン 7 mg
チロシン 6 mg
スレオニン 8 mg
トリプトファン 1 mg
バリン 12 mg
ヒスチジン 3 mg
アルギニン 3 mg
アラニン 12 mg
アスパラギン酸 17 mg
グルタミン酸 27 mg
グリシン 10 mg
プロリン 11 mg
セリン 7 mg
試験試料:100g当りの単位
試験方法:アミノ酸自動分析計
このように、アミノ酸組成が含有されているハチ酒には、理化学研究所でも高い評価を得ており、特にスズメバチのような大量の毒性を有する物質は不整脈瘤に有効な物質であり、将来特効薬の誕生として大いに期待されている。
【0013】
すなわち、スズメバチの毒の中に含まれている物質は、分子量約400のペプチド(アミノ酸化合物の一種)であり、これまでに知られているペプチドとは全く異なる珍しい構造をしている。特に、約1万匹のスズメバチの中から50マイクログラム(1マイクロは100万分の1)のペプチドを取り出すことに成功し、ラットを使って実験した結果によれば同ペプチドが心拍速度を遅らせると同時に心筋の収縮力を強化されて不整脈症に効果があることが分かった。例えば、ヘビやフグの毒成分は直接他の生物に害を与える毒だけを持っているが、これに対してスズメバチは毒作用を及ぼすマンダラトキシンやホスファッパーゼのような化合物と、セロトニンやアドレナリンといったホルモンに似た生体アミンが巧妙に混じり合っている。このうち、生体アミンは毛細血管を拡張させたり心臓の作用を強くするなど循環器系を活性化や「本当の毒」の回りを速くする。
【0014】
今回発見されたペプチドは、この生体アミンの一種であり「この物質を不整脈症患者に与えても副作用は考えられない」とされており、スズメバチの毒が持つ「思わぬ効能」が不整脈症の特効薬を誕生させる可能性も大きい。
【実施例1】
【0015】
次に、図面に従って本発明の調理法及び商品化法について具体的な説明する。
【0016】
図1はスズメバチの巣穴から巣を取り出して蜂の子のみを調理工場に出荷する状態を示したものであり、図2は巣の中から蜂の子を取り出す状態を示したのである。このように蜂の子のみを巣から取り出したならば、つくだにのように醤油で味付けて図3のビンに詰めて市場化する。すなわち、スズメバチなどの蜂の子のビン詰めにして市場化することによって味を変えずに長期保存が可能となる。
【0017】
図4は密封状にしたビンの中でハチ酒を市販用のビンに移して密封状にし、図5のように2種類のハチ酒をセットして市場化する。更に、図6、7に示すようにスズメバチのビン詰めにした蜂の子とスズメバチのハチ酒とをセットして市場化することも可能となる。なお、図8と図9は、現在市場化されているスズメバチの蜂の子ビン詰めとスズメバチのハチ酒を示したものである。
【0018】
更に、我が国におけるスズメバチの食用方法は表1〜表2のとおりである。
【0019】
【表1】

【0020】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の出荷に使用するスズメバチ入りの出荷箱を示した概要図。
【図2】図1で出荷されたハチ巣から幼虫のハチの子を採取する概要図。
【図3】本発明方法で調理された蜂の子のビン詰め状態を示した斜視図。
【図4】本発明方法で製造されたスズメバチのハチ酒漬の状態を示した概要図。
【図5】本発明方法で製造及び調理してビン詰めにセットした状態図。
【図6】本発明方法で製造及び調理してビン詰めにセットした状態図。
【図7】本発明方法で製造及び調理してビン詰めにセットした状態図。
【図8】本発明商品をビン詰めして市場化されている状態図。
【図9】本発明商品をビン詰めして市場化されている状態図。
【符号の説明】
【0022】
A 出荷箱入りハチ巣 B 蜂の子採取
C ハチ酒熟成容器 D、E、F ビン入りハチ酒セット
G ビン詰め蜂の子 H ビン入りハチ酒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オオスズメバチ・キイロスズメバチ・コガタスズメバチ・ヒメスズメバチ等の野生のスズメバチを生けどりした幼虫の調理法であって、前記生けどりしたスズメバチの巣から生きている幼虫を取り出し、酒・ミリン・砂糖などで味付けして焼いたり煮たりして調整するスズメバチの調理法。
【請求項2】
前項のスズメバチ調理法で調理加工したハチの子をビン・ガラス等の容器に詰めて商品化して市場化するスズメバチのハチの子製品を商品化する請求項1記載のスズメバチの調理法とその商品化方法。
【請求項3】
請求項2記載のハチの子製品にハチ酒を箱詰めセットして市場化するスズメバチ製品の商品化する請求項1及び2記載のスズメバチの調理方法とその商品化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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