説明

スタンドおよび携帯型顕微鏡

【課題】ヘッドとスタンドを機械的かつ電気的に接続する場合に、電気接続部の破損を防止できるようにする。
【解決手段】顕微鏡11はヘッド21とスタンド22からなり、ヘッド21はスタンド22に対して着脱可能とされている。ヘッド21は、スタンド22から取り外された状態で、単独で携帯型顕微鏡として機能する。ヘッド21とスタンド22は、機械接続部および電気接続部により、機械的かつ電気的に接続される。例えば、スタンド22の電気接続部を機械接続部とは異なる位置に設けることで、スタンド22にヘッド21を装着する際に、ヘッド21の機械接続部等がスタンド22の電気接続部に当たることを防止することができ、電気接続部が破損することもなくなる。本発明は、顕微鏡に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドとスタンドからなり、スタンドから取り外したヘッド単独で試料を観察できる顕微鏡システムに用いて好適なスタンドおよびヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルマイクロスコープと呼ばれる顕微鏡が知られている。デジタルマイクロスコープは、筒形状のヘッドと、ヘッドを機械的に保持するスタンドとからなる顕微鏡であり、ヘッドには光学系と、光学系により導かれた、試料からの観察光を撮像するCCD(Charge Coupled Devices)とが設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
デジタルマイクロスコープで試料を観察する場合、ヘッドの動作を制御するコントローラと、CCDにより撮像された試料の観察画像を表示させるモニタが、ケーブルによりヘッドに接続される。そして、観察対象となる試料に応じて、ヘッドがスタンドから取り外された状態、またはヘッドがスタンドに取り付けられた状態で観察が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−175893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、デジタルマイクロスコープを用いた観察では、コントローラやモニタがケーブルによりヘッドに接続されるため、ケーブルの引き回しが煩雑で使い勝手が悪いだけでなく、ケーブルの長さ等の制約から、試料の観察環境も良好とはいえなかった。
【0006】
そこで、スタンドにモニタやコントローラを接続し、スタンドとヘッドとを機械的にだけでなく、電気的にも接続することができれば、デジタルマイクロスコープの使い勝手を向上させることができるものと考えられる。しかしながら、ヘッドとスタンドを機械的に接続する機械接続部、およびヘッドとスタンドを電気的に接続する電気接続部を一体的に設けると、ヘッドをスタンドに装着するときに機械接続部等が電気接続部にぶつかってしまい、電気接続部が破損してしまう恐れがある。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ヘッドとスタンドとを機械的および電気的に接続しようとする場合に、電気接続部の破損を防止できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のスタンドは、単独で携帯型顕微鏡として機能するヘッドと機械的かつ電気的に接続されるスタンドであって、前記ヘッドと機械的に接続するための第1の機械接続部と、前記第1の機械接続部とは異なる位置に設けられ、前記ヘッドと電気的に接続するための第1の電気接続部とを備え、前記第1の機械接続部と前記第1の電気接続部の相対的な位置関係は、前記第1の機械接続部および前記第1の電気接続部と接続される、前記ヘッドの第2の機械接続部と第2の電気接続部の相対的な位置関係と同じとなっていることを特徴とする。
【0009】
本発明の携帯型顕微鏡は、スタンドと機械的かつ電気的に接続され、前記スタンドに保持される携帯型顕微鏡であって、前記スタンドと機械的に接続するための第1の機械接続部と、前記第1の機械接続部とは異なる位置に設けられ、前記スタンドと電気的に接続するための第1の電気接続部とを備え、前記第1の機械接続部と前記第1の電気接続部の相対的な位置関係は、前記第1の機械接続部および前記第1の電気接続部と接続される、前記スタンドの第2の機械接続部と第2の電気接続部の相対的な位置関係と同じとなっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ヘッドとスタンドとを機械的および電気的に接続しようとする場合に、電気接続部の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本願発明を適用した顕微鏡観察システムの一実施の形態の構成例を示す図である。
【図2】ヘッドの外観を示す斜視図である。
【図3】ヘッドの外観を示す上面図である。
【図4】アームの外観を示す斜視図である。
【図5】アームの外観を示す上面図である。
【図6】アームの外観を示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明を適用した実施の形態について説明する。
【0013】
[顕微鏡観察システムの構成例]
図1は、本発明を適用した顕微鏡観察システムの一実施の形態の構成例を示す図である。
【0014】
この顕微鏡観察システムは、顕微鏡11と、顕微鏡11に接続されたモニタ12とからなり、顕微鏡観察システムにより観察対象の試料13が観察される。
【0015】
顕微鏡11は、試料13を観察するための光学系、撮像素子、各部を制御する電気系等が設けられたヘッド21と、ヘッド21が固定されるスタンド22とからなり、ヘッド21はスタンド22に対して着脱可能となっている。
【0016】
図1の例では、ヘッド21とスタンド22とは、機械的にかつ電気的に接続された状態となっており、スタンド22に設けられたステージ31上に試料13が載置されている。なお、ヘッド21は、スタンド22から取り外された状態であっても、ヘッド21単体で1つの携帯型顕微鏡として機能するようになされている。
【0017】
ヘッド21には、把持部32が形成されており、ユーザは把持部32を把持することで、ヘッド21を携帯して容易に操作を行なうことができる。また、把持部32には、ユーザが試料13の観察画像をキャプチャさせるときに操作されるボタン33が設けられている。
【0018】
ヘッド21のステージ31側の端には、ヘッド21の筐体内壁に沿って複数のLED(Light Emitting Diode)34が並べられて固定されており、LED34は試料13に照明光を照射することで、試料13を照明する。
【0019】
また、ヘッド21内部のステージ31側の端には、LED34に囲まれるように対物レンズ35が設けられ、ヘッド21内部の中央には、試料13からの観察光の像の倍率を変化させるズーム光学系36と、観察光の像を形成する結像光学系37とが設けられている。さらに、ヘッド21内部の対物レンズ35の設けられた端と反対側の端には、結像光学系37により形成された観察光の像を撮像することで、試料13の観察画像、より詳細には観察画像の画像データを得るCCD38が設けられている。
【0020】
ヘッド21には、液晶パネルなどからなり、CCD38により撮像された観察画像を表示する折りたたみ式の小型モニタ部39が設けられている。この小型モニタ部39には、ズーム光学系36のズーム倍率を変化させるためのボタンや、LED34からの照明光の光量等を調整するためのボタン等、ヘッド21の動作を制御するための各種のボタンも設けられている。
【0021】
さらに、ヘッド21内部には、ヘッド21全体の動作を制御する制御基板40が設けられており、制御基板40は、図示せぬ電気接続部を介して、スタンド22内の制御基板41と電気的に接続される。例えば、制御基板40は、制御基板41から供給された指令に基づいてヘッド21の各部を動作させたり、CCD38により撮像された観察画像を制御基板41に供給したりする。
【0022】
その他、ヘッド21内部には、ヘッド21の各部に電力を供給するバッテリや、CCD38で撮像された観察画像を記録するメモリなども設けられている。
【0023】
スタンド22には、スタンド22全体の動作を制御する制御基板41が設けられており、制御基板41は、制御基板40から供給された観察画像を、図示せぬメモリに供給して記録させたり、観察画像をモニタ12に供給して表示させたりする。また、制御基板41は、ヘッド21に観察画像をキャプチャさせるためのボタン等からなるボタン群42が操作されると、その操作に応じた指令を制御基板40に供給する。
【0024】
スタンド22には、ステージ31を図中、横方向または奥行き方向に移動させるときに操作される図示せぬハンドルが設けられている。なお、ステージ31は、機械的な機構により、手動で駆動されてもよく、電動駆動されてもよい。さらに、ステージ31が回転したり、傾斜したりするような機構が設けられてもよい。
【0025】
また、スタンド22には、ヘッド21が接続されるアーム43が設けられており、アーム43は、スタンド22に設けられた上下動ハンドル44が操作されると、スタンド22に対して図中、上下方向に移動する。ユーザは、上下動ハンドル44を操作することで、ステージ31に対してヘッド21を、対物レンズ35等からなるヘッド21の光学系の光軸方向に移動させ、ピント調整を行うことができる。なお、アーム43も手動または電動の何れにより駆動されてもよい。さらにアーム43には、クランプ機構によりヘッド21をアーム43に固定させるときに操作されるレバー45が設けられている。
【0026】
[ヘッドの外観構成例]
次に、図2および図3に、ヘッド21がスタンド22から取り外された状態を示す。ここで、図2はヘッド21の斜視図であり、図3はヘッド21の上面図、つまりヘッド21を図1中、左側から右方向に見た図である。なお、図2および図3において、図1における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
【0027】
ヘッド21をスタンド22から取り外して、携帯型顕微鏡として使用する場合、ユーザは把持部32を把持し、図2中、ヘッド21の右下側の端面71を試料13に向けて、ヘッド21に試料13の観察画像を撮像させる。
【0028】
このとき、試料13からの観察光は、端面71に設けられた窓から対物レンズ35乃至結像光学系37を通って、CCD38に入射する。そして、CCD38により観察光が受光されて光電変換されると、その結果得られた観察画像が、小型モニタ部39に表示される。より詳細には、観察画像は、小型モニタ部39の図2中、手前側の面と対向する面に設けられた液晶パネルに表示される。
【0029】
そして、ユーザが小型モニタ部39に表示された観察画像を確認しながら、ボタン33を押すと、制御基板40はCCD38により撮像された観察画像をキャプチャし、図示せぬメモリに記録させる。
【0030】
なお、小型モニタ部39は、図2中、小型モニタ部39の左側の端に設けられた、縦方向に長い図示せぬ軸を中心として回動するようになされている。すなわち、小型モニタ部39を折りたたむことが可能とされている。
【0031】
また、ヘッド21には、ヘッド21の筐体に沿って長いオスアリ72が設けられている。このオスアリ72は、ヘッド21の筐体に設けられた突出部であり、ヘッド21とスタンド22とを機械的に接続する機械接続部として機能する。
【0032】
オスアリ72の図2中、左側の端近傍には、ヘッド21のスタンド22への装着時に、ヘッド21をアーム43に押し当てて係止させる当接面73が設けられている。この当接面73は、その面がオスアリ72の長手方向と略直交するようになされている。
【0033】
さらに、ヘッド21の当接面73と隣接する位置には、ヘッド21とスタンド22を電気的に接続する電気接続部としてのメスコネクタ74が設けられている。例えば、メスコネクタ74は、図3に示すように、オスアリ72に対して、オスアリ72の長手方向と略垂直な方向、つまり図3中、横方向に予め定められた所定の距離だけ離れた位置に配置されている。
【0034】
[スタンドの外観構成例]
このように、ヘッド21には、機械接続部としてのオスアリ72と、電気接続部としてのメスコネクタ74とが設けられているが、スタンド22にもこれらのオスアリ72とメスコネクタ74に対応する機械接続部と電気接続部が設けられている。
【0035】
図4乃至図6にスタンド22のアーム43のより詳細な外観構成例を示す。ここで、図4はアーム43の斜視図であり、図5および図6は、アーム43の上面図および右側面図である。つまり、図5は、アーム43を図1中、上から下方向に見た図であり、図6は、アーム43を図1中、正面から見た図である。なお、図4乃至図6において、図1における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
【0036】
図4に示すように、ヘッド21が押し当てられるアーム43の図4中、手前側の当接面101には、図4中、縦方向に長い溝が設けられてメスアリ102とされている。このメスアリ102は、ヘッド21とスタンド22とを機械的に接続する機械接続部として機能する。
【0037】
すなわち、メスアリ102の図4中、上側の端から、オスアリ72の図3中、下側の端が挿入されてオスアリ72とメスアリ102が嵌合されることで、ヘッド21とスタンド22とが機械的に接続される。このとき、当接面101と直交するアーム43の当接面103に対してヘッド21の当接面73が押し当てられ、ヘッド21が係止される。
【0038】
また、当接面103には、当接面101から、アーム43の当接面101と対向する面の方向に予め定められた距離Dだけ離れた位置に、ヘッド21のメスコネクタ74と嵌合するオスコネクタ104が設けられている。すなわち、メスアリ102とオスコネクタ104の相対的な位置関係は、ヘッド21におけるオスアリ72とメスコネクタ74の相対的な位置関係と同じとなっている。
【0039】
さらに図4の例では、オスコネクタ104がメスコネクタ74に挿入される方向は、オスアリ72がメスアリ102に挿入される方向と同じ方向、つまり図4中、縦方向となっている。そのため、オスアリ72とメスアリ102が嵌合されると、それと同時にメスコネクタ74とオスコネクタ104が嵌合されることになる。すなわち、ヘッド21がアーム43に装着されると、ヘッド21とスタンド22は、機械的に接続されると同時に電気的にも接続されることになる。
【0040】
なお、オスコネクタ104がメスコネクタ74に挿入可能な限度まで挿入された状態において、当接面73が当接面103に押し当てられていないと、挿入方向に対してヘッド21は、オスコネクタ104およびメスコネクタ74によって支えられている状態となる。そのような状態ではヘッド21は不安定であるだけでなく、オスコネクタ104、またはメスコネクタ74、或いはその両方が破損してしまう恐れがある。
【0041】
そこで、顕微鏡11では、オスコネクタ104がメスコネクタ74に挿入可能な限度まで挿入された状態となる前に、当接面73が当接面103に押し当てられて、ヘッド21が図4中、下方向に移動しないようにヘッド21が係止されるようになされている。つまり、ヘッド21が当接面103に係止されている状態では、オスコネクタ104は、メスコネクタ74に挿入されているが、挿入可能な限度まではメスコネクタ74に挿入されておらず、かつヘッド21とスタンド22は電気的に接続された状態となっている。
【0042】
このように、オスコネクタ104が、挿入可能な限度までメスコネクタ74に挿入される前に、ヘッド21が当接面103に係止されるようにすることで、オスコネクタ104の破損を防止することができる。
【0043】
また、より詳細には、オスコネクタ104は、ばね機構等により、図4中、横方向および奥行き方向、つまり当接面103と平行な方向に僅かに可動するようになされている。これにより、オスアリ72およびメスコネクタ74の相対的な位置関係と、メスアリ102およびオスコネクタ104の相対的な位置関係とに、何らかの要因によりずれが生じてしまった場合でも、そのずれがオスコネクタ104の移動により許容され、ヘッド21が正しくスタンド22に装着される。
【0044】
このように、オスコネクタ104が可動するようにすることで、スタンド22に取り付けるヘッド21の機差、オスアリ72のガタ、ヘッド21の製造誤差等を許容することができるようになる。
【0045】
さらに、顕微鏡11では、図5に示すように、当接面101からオスコネクタ104までの距離Dが、オスアリ72の厚みBよりも長くなるようにされている。なお、図5は、ヘッド21がアーム43に取り付けられた状態を示しており、図5では、ヘッド21の各部は点線で表されている。
【0046】
図5に示すように、オスコネクタ104を、当接面101と垂直な方向に対して、オスアリ72の厚みBよりも当接面101から離れた位置に配置することで、ヘッド21のスタンド22への装着時に起こり得るオスコネクタ104の破損を防止することができる。
【0047】
例えば、図2におけるオスアリ72の図中、右端にオスコネクタが設けられているとすると、オスアリ72をメスアリ102に嵌合させようとするときに、オスアリ72の先端に設けられたオスコネクタが、当接面103等にぶつかってしまうことがある。このようにアリとコネクタを一体的に設けると、ヘッド21をアーム43に装着しようとするときに、コネクタがアーム43にぶつかって破損してしまう恐れがある。
【0048】
これに対して、オスコネクタ104やメスコネクタ74を、メスアリ102やオスアリ72と異なる位置に設ければ、オスアリ72とメスアリ102の嵌合時に、オスコネクタ104やメスコネクタ74が他の部位に当たってしまうことを防止することができる。
【0049】
ヘッド21をアーム43に取り付ける場合、ユーザはまず、ヘッド21の筐体における図2中、オスアリ72の右下の部分をアーム43の当接面101に当てて、オスアリ72とメスアリ102の位置合わせを行なう。そして、オスアリ72の先端がメスアリ102の端に挿入されると、ユーザは、当接面73が当接面103に押し当てられるまで、ヘッド21をメスアリ102の長手方向に沿って移動させることで、オスアリ72とメスアリ102を嵌合させる。
【0050】
このとき、ヘッド21の筐体(例えば、図2のA11の部分)を当接面101に当ててしまっても、オスアリ72が当接面103における面102aよりも奥に行くことはない。そこで、オスアリ72の厚みBよりも長い距離Dだけ当接面101から離れた位置にオスコネクタ104を配置すれば、ヘッド21の取り付け時にオスアリ72等のヘッド21の部位がオスコネクタ104に当たり、オスコネクタ104が破損してしまうこともない。
【0051】
なお、ここでいうオスアリ72の厚みBとは、ヘッド21とスタンド22が接続された図5に示す状態における、メスアリ102とオスコネクタ104が並ぶ方向、つまり図5中、縦方向のオスアリ72の長さをいう。
【0052】
また、アーム43におけるメスアリ102の位置は、ヘッド21をアーム43に取り付けたときに、ヘッド21の光学系が適切な位置となるように設計される。
【0053】
例えば、スタンド22のステージ31が基準となる位置にある状態、すなわちステージ31の稼動範囲が中心振り分けとなる位置において、ヘッド21がアーム43に取り付けられたときに、ヘッド21内部の光学系の光軸がステージ31の中心に位置するようになされる。換言すれば、ステージ31が基準となる位置にある状態において、対物レンズ35の視野中心が、ステージ31の中心の位置となるように、メスアリ102の位置が定められる。
【0054】
さらに、例えばヘッド21をアーム43に取り付けて、アーム43を図1中、下方向の限度まで移動させた状態において、対物レンズ35の焦点面がステージ31の試料13が載置されている載置面と一致するように、メスアリ102と当接面103の配置位置が定められる。すなわち、対物レンズ35が最もステージ31に近付いた状態となるように、アーム43を図1中、最下端まで移動させた場合に、ヘッド21の光学系のピントがステージ31の載置面に合うように、アーム43におけるメスアリ102や当接面103の位置が定められる。
【0055】
このように、ヘッド21の光学系の位置を考慮して、アーム43上の当接面103の高さやメスアリ102の位置を定めることで、より適切に試料13を観察できるようになり、試料13の観察環境を向上させることができる。
【0056】
なお、より詳細には、嵌合し易くするため、メスアリ102等の寸法誤差を許容するためなどの理由により、オスアリ72よりもメスアリ102のほうが大きく形成されている。そのため、ヘッド21を当接面103で係止させても、振動等によりヘッド21ががたつくことがある。
【0057】
そこで、顕微鏡11では、よりヘッド21がアーム43に強固に固定されるように、クランプ機構が設けられている。このクランプ機構によれば、図5に示すようにオスアリ72とメスアリ102が嵌合された状態で、オスアリ72の側面72aが、メスアリ102の側面102bに押し当てられるように、オスアリ72が図5中、右方向に押される。
【0058】
具体的には、図6に示すように、アーム43には、レバー45が図6中、上側から下側に移動するようにレバー45を回動させると、レバー45に加えられた力が伝達されて移動する棒状のクランプ131が設けられている。クランプ131は、メスアリ102の長手方向の略中央に位置するように、メスアリ102の側面に配置されている。
【0059】
ユーザがレバー45を図6中、下側に回動させるとクランプ131は図中、右方向に移動し、これによりオスアリ72がクランプ131に押されて、オスアリ72の側面72aが、メスアリ102の側面102bに押し当てられる。
【0060】
ここで、側面72aと側面102bは、当接面101に対して斜め方向に傾斜していることから、オスアリ72がクランプ131に押されると、オスアリ72は、図5中、右斜め上方向に押さえつけられることになる。
【0061】
これにより、ヘッド21の筐体と当接面101、および側面72aと側面102bがそれぞれ密着し、ヘッド21がアーム43に対して強固に固定される。すなわち、ヘッド21が、図5中、縦方向および横方向に動かなくなるように固定される。
【0062】
また、ヘッド21をアーム43から取り外すときは、ユーザはレバー45が、図6中、上側、つまり図6に示す状態となるようにレバー45を回動させて、ヘッド21をアーム43から抜き取る。
【0063】
以上のように、スタンド22のメスアリ102とオスコネクタ104とを互いに異なる位置に設けることで、スタンド22とヘッド21を機械的および電気的に接続する場合に、オスコネクタ104にヘッド21の各部位が当たりにくくすることができる。これにより、ヘッド21の装着時にオスコネクタ104が破損してしまうことを防止することができる。特に、メスアリ102の当接面101からオスアリ72の厚みより長い距離だけ離れた位置にオスコネクタ104を配置することで、ヘッド21がオスコネクタ104に当たらないようにすることができる。
【0064】
なお、以上においては、機械接続部および電気接続部として、スタンド22にメスアリ102とオスコネクタ104が設けられ、ヘッド21にオスアリ72とメスコネクタ74が設けられると説明したが、これらのアリやコネクタの一方または両方が逆に設けられてもよい。
【0065】
すなわち、例えば電気接続部として、スタンド22にメスコネクタ74が設けられ、ヘッド21にオスコネクタ104が設けられるようにしてもよい。そのような場合には、例えばヘッド21に設けられたオスコネクタ104が、ヘッド21に対して当接面73と平行な方向に可動するようになされる。
【0066】
さらに、以上においては、スタンド22に設けられたオスコネクタ104の破損が防止されると説明したが、スタンド22とヘッド21とでは、アリとコネクタが同じ位置関係で設けられているので、ヘッド21に設けられた電気接続部としてのメスコネクタ74の破損も防止されることになる。
【0067】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0068】
11 顕微鏡, 21 ヘッド, 22 スタンド, 43 アーム, 72 オスアリ, 73 当接面, 74 メスコネクタ, 101 当接面, 102 メスアリ, 103 当接面, 104 オスコネクタ, 131 クランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単独で携帯型顕微鏡として機能するヘッドと機械的かつ電気的に接続されるスタンドであって、
前記ヘッドと機械的に接続するための第1の機械接続部と、
前記第1の機械接続部とは異なる位置に設けられ、前記ヘッドと電気的に接続するための第1の電気接続部と
を備え、
前記第1の機械接続部と前記第1の電気接続部の相対的な位置関係は、前記第1の機械接続部および前記第1の電気接続部と接続される、前記ヘッドの第2の機械接続部と第2の電気接続部の相対的な位置関係と同じとなっている
ことを特徴とするスタンド。
【請求項2】
前記第1の電気接続部は、前記第1の電気接続部と前記第1の機械接続部とが並ぶ方向に対して、前記第1の機械接続部から、前記第2の機械接続部の前記方向の長さ以上の距離だけ離れた位置に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のスタンド。
【請求項3】
前記ヘッドと前記スタンドとは、前記第1の機械接続部と前記第2の機械接続部とが所定方向に嵌合されることで機械的に接続されるとともに、前記第1の電気接続部と前記第2の電気接続部とが前記所定方向に嵌合されることで電気的に接続される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスタンド。
【請求項4】
前記第1の電気接続部は、前記スタンドに対して前記所定方向と垂直な方向に可動する
ことを特徴とする請求項3に記載のスタンド。
【請求項5】
前記ヘッドと前記スタンドの接続時において、前記所定方向と垂直な前記ヘッドの面が押し当てられて前記ヘッドを係止する、前記所定方向と垂直な当接面をさらに備え、
前記ヘッドは、前記ヘッドと前記スタンドの接続時において、前記第1の電気接続部が前記第2の電気接続部に前記所定方向に挿入可能な限度まで挿入される前に、前記当接面により係止される
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載のスタンド。
【請求項6】
前記第1の機械接続部および前記第1の電気接続部が設けられ、接続された前記ヘッドを前記ヘッドの光学系の光軸方向に移動させる保持部と、
観察対象が載置されるステージと
をさらに備え、
前記ヘッドは、前記ヘッドが前記ステージに最も近付いた状態となるように前記保持部を移動させた場合に、前記ヘッドの光学系の焦点面が前記ステージの載置面の位置となるように、前記保持部に接続される
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載のスタンド。
【請求項7】
スタンドと機械的かつ電気的に接続され、前記スタンドに保持される携帯型顕微鏡であって、
前記スタンドと機械的に接続するための第1の機械接続部と、
前記第1の機械接続部とは異なる位置に設けられ、前記スタンドと電気的に接続するための第1の電気接続部と
を備え、
前記第1の機械接続部と前記第1の電気接続部の相対的な位置関係は、前記第1の機械接続部および前記第1の電気接続部と接続される、前記スタンドの第2の機械接続部と第2の電気接続部の相対的な位置関係と同じとなっている
ことを特徴とする携帯型顕微鏡。
【請求項8】
前記第1の電気接続部は、前記第1の電気接続部と前記第1の機械接続部とが並ぶ方向に対して、前記第1の機械接続部から、前記第2の機械接続部の前記方向の長さ以上の距離だけ離れた位置に配置されている
ことを特徴とする請求項7に記載の携帯型顕微鏡。
【請求項9】
前記携帯型顕微鏡と前記スタンドとは、前記第1の機械接続部と前記第2の機械接続部とが所定方向に嵌合されることで機械的に接続されるとともに、前記第1の電気接続部と前記第2の電気接続部とが前記所定方向に嵌合されることで電気的に接続される
ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の携帯型顕微鏡。
【請求項10】
前記第1の電気接続部は、前記携帯型顕微鏡に対して前記所定方向と垂直な方向に可動する
ことを特徴とする請求項9に記載の携帯型顕微鏡。
【請求項11】
前記携帯型顕微鏡と前記スタンドの接続時において、前記所定方向と垂直な前記スタンドの面に押し当てられて前記携帯型顕微鏡を係止させる、前記所定方向と垂直な当接面をさらに備え、
前記携帯型顕微鏡は、前記携帯型顕微鏡と前記スタンドの接続時において、前記第1の電気接続部が前記第2の電気接続部に前記所定方向に挿入可能な限度まで挿入される前に、前記当接面により係止される
ことを特徴とする請求項9または請求項10に記載の携帯型顕微鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−58604(P2012−58604A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203491(P2010−203491)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】