説明

スチレン化されたテルペン樹脂並びにそれを製造及び使用する方法

本発明は、スチレン化されたテルペン樹脂、並びに、該樹脂を製造及び使用する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1. 発明の分野
本発明は、ポリマー類、ポリマー類を含む製品、並びに、該ポリマー類及び製品を製造及び使用する方法に関する。別の態様では、本発明は、スチレン化されたテルペン樹脂、該樹脂を含む製品、並びに、該樹脂及び製品を製造及び使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2. 関連分野の説明
改質されたテルペン樹脂類、例えば、スチレン化されたテルペン樹脂類は、接着剤工業において、特にホットメルトパッケージング、不織布及びホットメルト感圧接着剤の分野において、粘着付与剤としての用途が見出されている。このような樹脂類は、松の木から(硫酸塩ターペンタイン、クラフト紙製造プロセスの副生物、又は、ガムターペンタイン(松の生木から得られる)を経由して)得られるか;又は、柑橘類源、例えばオレンジの皮のテルペン、とスチレンとのコポリマー類である。松の木から得られるこのようなコポリマー類を合成するための有用なテルペン類は、一般式C10H16を有する。典型的な例は、アルファピネン、ベータピネン、ジペンテン及び、デルタ-3-カレンである。柑橘類源から得られる非常に有用なテルペンは、d-リモネン(これもまたC10H16)である。接着剤の用途に有用なスチレン-テルペンコポリマーは、主として、テルペン(又は、テルペン類のブレンド)及びスチレンを、ルイス酸触媒、例えば、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、三フッ化ホウ素、塩化錫、塩化チタン、三フッ化ホウ素のエーテル錯体等を、炭化水素溶剤、例えば、トルエン、キシレン、ナフサ等中で使用して、カチオン重合させることにより得られる。典型的なスチレン化されたテルペン樹脂類は、周囲温度で固体であり、ホットメルトパッケージング、不織布及びホットメルト感圧接着剤に使用される最も有用な粘着付与剤樹脂は、軟化点(SP)約95〜約115℃、重量平均分子量(Mw)約2000未満、数平均分子量(Mn)約1000未満及び多分散性約2.0未満を有する樹脂である。カチオン重合プロセスは、前述の特性を有するスチレン化されたテルペン樹脂の合成を可能にする。対照的に、スチレン及びテルペンのラジカル重合又はアニオン重合は、実質的により高いMWを有する樹脂を生ずる傾向があり(例えば、米国特許第5,364,723号は、ラジカル重合及びアニオン重合プロセスにより入手される、38000を越えるMw値及び8000を越えるMn値を有するスチレン-ミルセン樹脂の合成を記載している)、このような樹脂は、ホットメルトパッケージング、不織布接着剤又はホットメルト感圧接着剤では、粘着付与剤として十分に機能し得ない。
【0003】
スチレン化されたテルペン樹脂類は、前述のテルペン類のいずれかを使用して合成することができるが、歴史的には、全体の反応性に最も好ましい効果、及び、カチオン重合条件下でのテルペン-スチレン系の重合容易性をもたらすことが見出されたのは、d-リモネン又はジペンテン(ラセミ体のリモネン)であった。これらのテルペン類は、所望の程度にまで分子量(MW)を増加させることを容易にし、MWをより良好にコントロールし、軟化点の上昇及びコントロールを促進し、明るい色に着色した樹脂を提供し、最終樹脂生成物の全体的な収率を優れたものにする。ルイス酸触媒カチオン重合条件下その他のテルペン類(すなわち、アルファピネン、ベータピネン、デルタ-3-カレン等)を使用してスチレン化されたテルペン樹脂の合成を行う場合、以下の障害、すなわち、MWの増加及び軟化点の上昇が困難であること、重大な収率の損失、過度のMW増加、そして更に、接着剤システムにおける樹脂の相溶性に及ぼす好ましくない影響、低MW副生物の過度の形成に向かう強い傾向等、の1つ以上に直面する。
【0004】
以下の市販のスチレン化されたテルペン樹脂類は、Arizona Chemical Companyから入手可能である。
SYLVARES(登録商標) ZT105LT:105℃軟化点
SYLVARES(登録商標) ZT106LT:105℃軟化点
SYLVARES (登録商標) M 106:105℃軟化点
上記列挙した樹脂類の各々は、ルイス酸触媒を使用してカチオン重合プロセスにより製造される。樹脂類は、主要テルペン成分としてリモネンを基本成分とする。これら全ての樹脂類におけるリモネン含量は、40〜70%であり、CST誘導テルペン成分は、配合物の0〜30%を構成する。
【0005】
世界中で入手可能な粗製のD-リモネンの大半は、オレンジの皮から誘導され、ブラジル産の阻製品が主要な供給源である。全世界での供給量は、通常約60メトリックトンであり、そのうち、約50%は、アロマ薬品及び溶剤/洗浄剤工業によって消費される。樹脂用に最終的に入手可能な粗製のリモネンは、多数の樹脂製造者の間で配分されている。粗製のリモネンは、それをカチオン重合プロセス用のモノマーとして使用可能なほど十分に純粋ではなく、したがって、樹脂製造者は、粗製品を精製する。典型的には、精製されたリモネンは、95%以上の純度を有する。
【0006】
樹脂製造者が入手できる世界中のリモネンの大部分は、スチレン化されたテルペン樹脂類の製造のために使用される。したがって、販売量に見合うように、毎年、十分な量の粗製リモネンを購入する必要が常に存在する。しかし、リモネンの入荷量及び価格は、需要に依存するというよりは、むしろ個別の年度毎のオレンジの収穫状況に大きく依存している。また、最近、伝統的な用途(例えば、不織布)以外の分野でのリモネン系ポリテルペン樹脂類の利用(スチレン化されたテルペン樹脂類と同類の、カチオン重合に基づくリモネン及びその他のCST誘導テルペン類のコポリマー類)に対する関心が高まりつつある。これらの新たな用途へのリモネン系ポリテルペン類の供給量が急速に大きくなると、伝統的な分野に使用されるスチレン化されたテルペン樹脂類の供給は脅かされるであろう。
【0007】
スチレン化されたテルペン樹脂類を合成するためにリモネンを添加しないで又は少量添加して配合を行う場合に、可能な限り大量のアルファピネンを使用することが好ましい。なぜなら、アルファピネンが世界中で見出されるCST 及びガムテレビン油の大部分で利用可能な最も豊富なテルペンだからである。しかし、高軟化点かつ高MW樹脂を生じさせるためのアルファピネンのカチオン重合は、ルイス酸触媒重合の標準的な条件の下で単純には進まない。重要な/唯一のテルペンモノマーとしてアルファピネンを用いた標準的なプロセスは、低収率の固体の樹脂を生成し、このような低収率の場合でも、軟化点は、それほど高くない。
【0008】
カチオン重合により高レベル(更には100%まで)のアルファピネンを基本成分とするテルペン樹脂類の軟化点を上昇させ且つMWを増加させる手段は、より低い重合温度、典型的にはゼロ度以下の温度を使用することである。また、このような低い反応温度の下でのカチオン重合プロセスは、しばしば、慣用のルイス酸触媒の代わりに改質されたルイス酸触媒の使用を含むこともある。米国特許第3,478,007号;同第3,622,550号;同第4,016,346号;同第4,057,682号;及び、同第4,113,653号は、単独のテルペンとして、又は、このような低い重合温度を使用するその他のテルペン類又は非芳香族炭化水素類と組み合わせて使用される主要なテルペンとしてアルファピネンを基本成分とする100〜115℃の軟化点(s.p.)を有する樹脂の合成を記載している。また、上記特許には、触媒系、例えば、塩化アルミニウム-トリアルキルクロロシラン類;、塩化アルミニウム-ハロゲン化アンチモン;及び、ハロゲン化アルミニウム-有機ゲルマニウムハライド又はアルコキシドの使用が好ましいことが記載されている。しかし、上記特許のいずれにも、アルファピネンとビニル芳香族(例えば、スチレン又はアルファメチルスチレン)との共重合は記載されていない。
【0009】
前掲の米国特許に関する重大な欠点は、それらが全て毒性を有し且つ時に非常に高価な触媒系、例えば、ハロゲン化アンチモン、トリアルキルハロシラン類及び有機ゲルマニウムハライド類及びアルコキシド類の使用を含むことである。また、該プロセスに伴う触媒の除去及び/又は回収システムは、該重合条件の採用の経済的正当性について障害となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,364,723号
【特許文献2】米国特許第3,478,007号
【特許文献3】米国特許第3,622,550号
【特許文献4】米国特許第4,016,346号
【特許文献5】米国特許第4,057,682号
【特許文献6】米国特許第4,113,653号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
発明の概要
本発明の幾つかの実施態様は、配合物の主要なテルペン成分としてのリモネンの必要性を最小限にするか又は取り除くことを促進するプロセスによりスチレン化されたテルペン樹脂類への合成ルートを提供する。
【0012】
本発明の幾つかの実施態様は、高レベルのCST誘導テルペン類、例えば、ベータピネン及びアルファピネンを基本成分とし、最少量のリモネンを含む配合物又はリモネンなしの配合物から高収率で得られる、95℃以上、好ましくは、100℃より高い軟化点(s.p.)を有するスチレン化されたテルペン樹脂類への合成ルートを提供する。
【0013】
本発明の幾つかの実施態様は、可能な限り最高レベルのアルファピネンを使用する配合物を使用するこのようなスチレン化されたテルペン樹脂類への合成ルートを提供する。
本発明の幾つかの実施態様は、毒性を有する系又は高価な系を基本成分としないルイス酸触媒系を使用する低い重合温度に基づく方法を提供する。
【0014】
本発明の幾つかの実施態様は、商業化されたリモネン系のスチレン化されたテルペン樹脂類に(接着剤にて)かなり機能する許容可能な特性を有する最少量のリモネンを基本成分とするか又はリモネンなしのスチレン化されたテルペン樹脂を与える合成ルートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の1つの実施態様に従えば、15wt%未満のリモネン;25〜35wt%のアルファピネン;25〜45wt%のベータピネン;及び、25wt%より多いスチレン又はその誘導体を含む反応生成物から製造されるスチレン化されたテルペン樹脂が提供される。
【0016】
本発明の別の実施態様に従えば、15wt%未満のリモネン;25〜35wt%のアルファピネン;25〜45wt%のベータピネン;及び、25wt%より多いスチレン又はその誘導体を含む反応生成物から製造されるスチレン化されたテルペン樹脂を含む接着剤が提供される。
【0017】
本発明の更に別の実施態様に従えば、スチレン化されたテルペン樹脂を製造する方法であって、金属ハロゲン化物触媒の存在下、-20℃から+10℃の範囲の温度で反応混合物を重合させる工程を含み、該反応混合物が、15wt%未満のリモネン;25〜35wt%のアルファピネン;25〜45wt%のベータピネン;及び、25wt%より多いスチレン又はその誘導体を含む方法が提供される。
【0018】
本発明の更に別の実施態様に従えば、接着剤を第1の表面と第2の表面との間に置く工程を含み、前記接着剤が、15wt%未満のリモネン;25〜35wt%のアルファピネン;25〜45wt%のベータピネン;及び、25wt%より多いスチレン又はその誘導体を含む反応生成物から製造されるスチレン化されたテルペン樹脂を含む接着方法が提供される。
【0019】
本発明の更に別の実施態様に従えば、第1の表面;第2の表面;及び、前記第1の表面と前記第2の表面との間に位置し且つ前記第1の表面と前記第2の表面を接合する接着剤を含み、前記接着剤が、15wt%未満のリモネン;25〜35wt%のアルファピネン;25〜45wt%のベータピネン;及び、25wt%より多いスチレン又はその誘導体を含む反応生成物から製造されるスチレン化されたテルペン樹脂を含む製品が提供される。
【0020】
その他の実施態様については、当業者が本特許明細書を検討すれば容易に着想し得るであろう。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の詳細な説明
本発明は、リモネンを使用せず又は最少量ののリモネンを使用して経済的で且つプラントに適合しやすいプロセスに基づきスチレン化されたテルペン樹脂を提供する。このような樹脂の所望の特性/特徴は、以下のような1以上の特性を有するものとして要約することができる。
【0022】
配合:0〜5%リモネン、65%を上回るCST誘導テルペン類及び上回る25%スチレン
標的軟化点(s.p.):95℃以上
分子量(MW):市販の樹脂、例えば、SYLVARES(登録商標) ZT106LT、M106又はZT105LT(Arizona Chemical Companyから入手可能)と同等
性能特性:接着剤配合物中の市販入手可能な樹脂、例えば、SYLVARES(登録商標) ZT106LT、M106又はZT105LT(Arizona Chemical Companyから入手可能)と同等
本発明では、スチレン化されたテルペン樹脂類は、標準的な重合条件の下で種々のアルファピネン系配合物(アルファピネン含量15〜60重量%)を使用して合成し、軟化点が76〜94℃の範囲でかつ収率が58〜89%の範囲である樹脂を得た。0〜15%リモネン及び50%を上回るCST誘導テルペン類を配合した配合物のための標準的な処理手順を使用する時、軟化点100℃未満のスチレン化されたテルペン樹脂類が得られた。
【0023】
100℃より高い軟化点を達成することが困難な理由は、主として、新たな配合物が相当多量のアルファピネンを含有するという事実にあった。樹脂配合物中の高レベルのアルファピネンは、上記のカチオン重合条件下では、より多様な連鎖停止反応副生物を生成する傾向がある。連鎖停止反応は、重合温度が上昇するにつれてカチオン重合中に促進され、立体的な障害を有するアルファピネンからのこのような望ましくないプロセスにとって、45℃の温度が好ましい。連鎖停止の程度が大きいほど、全体の分子量は低くなり、軟化点を上昇させたり、MWを増加させたりすることは困難になる。
【0024】
本発明の実施態様は、リモネンを含まないか又は極めて低レベルのリモネン(柑橘類工業の副生物)と実質的に高レベルのCST誘導テルペン類からなる配合物に基づき、95℃以上、好ましくは100℃以上の軟化点を有するスチレン化されたテルペン樹脂類を合成するための方法を提供する。好ましくは、樹脂類は、カチオン重合プロセスにより製造することができる。さらに好ましくは、改質されたルイス酸触媒を使用しない方法、最も好ましくは、-20℃〜+10℃の重合温度を使用する方法である。
【0025】
幾つかの実施態様では、本発明の樹脂及び方法は、任意のテルペン、好ましくは、CST誘導テルペン類を配合することができる。スチレン化されたテルペン樹脂類を製造するのに使用するのに適したCST誘導テルペン類の非制限的な例としては、ジテルペン、α-ピネン、β-ピネン及びδ-3-カレンが(特に制限するものではないが)挙げられる。これらのテルペン類の各々は、種々の市販供給元、例えば、Aldrich Chemical(Milwaukee,WI)、Arizona Chemical Company,Jacksonville,FL(例えば、SYLVAPINE(登録商標)Aテルペン、SYLVAPINE Bテルペン、SYLVAPINE 405テルペン、SYLVAPINE 402等の商標名)、Bush Boake & Allen/International Flavors and Fragrances,Jacksonville,FL(例えば、UNITENE(登録商標) LPテルペンの商標名)、及び、Millennium Specialty Chemicals,Jacksonville,FL(例えば、MILLENNIUM(登録商標)2B13テルペンの商標名)から入手可能である。α-ピネン及びβ-ピネンモノマー類は、一般に、粗製の硫酸塩ターペンタインの蒸留により得られ、これは、紙工業の副生物である。樹脂等級のα-ピネンは、約94重量%のα-ピネンである。樹脂等級のβ-ピネンは、概して、約80重量%のβ-ピネンと約20重量%のα-ピネンである。さらに純粋な等級のβ-ピネンは、いわゆるアロマ薬品等級のβ-ピネンであり、これは、90重量%を上回るβ-ピネンであり、また、これらスチレン化されたテルペン樹脂類を製造するのに使用することができる。
【0026】
スチレンは、数々の供給元、例えば、Aldrich Chemical(Milwaukee,WI)、Westlake、Chevron Phillips Chemical、US Chemicals,Inc.等から得ることができる。さらに、スチレンの誘導体を本発明に使用することができる。このような誘導体の例としては、アルファメチルスチレンが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0027】
スチレン化されたテルペン樹脂類の製造を促進するために、ルイス酸が使用され、好適なルイス酸としては、金属ハロゲン化物、例えば、ハロゲン化アルミニウム及びその誘導体又は錯体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ハロゲン化物の例としては、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物及びアスタチドが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
以下のモノマーの組み合わせは、非常に良好な収率及び許容可能なMW特性 (ホットメルト及び感圧接着剤における粘着付与剤として使用される場合)で95℃以上の軟化点を有するスチレン化されたテルペン樹脂類を与えるのに適している:
アルファピネン、ベータピネン及びスチレン;及び/又は
アルファピネン、ベータピネン、リモネン及びスチレン。
【0029】
重合プロセス用の溶剤の例としては、芳香族炭化水素が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、芳香族炭化水素の例としては、トルエン及びキシレンが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0030】
重合プロセスは、任意の適切な温度で行うことができる。非制限的な例としては、-20℃〜+10℃の温度、好ましくは-10℃〜+5℃の温度が挙げられる。重合の温度は、任意の及び全ての範囲及びその中の下位的範囲を含め、-20、-15、-10、-9、-8、-7、-6、-5、-4、-3、-2、-1、0、1、2、3、4、5及び10℃とすることができる。もちろん、重合プロセスは、前示の温度より高い温度又は低い温度でも行うことができる。
【0031】
重合プロセスは、任意の適切な時間をかけて行うことができる。例えば、重合プロセスは、前記重合温度で約30分〜約3時間;好ましくは、60分〜2時間行うことができるが、これらに限定されるものではない。時間は、任意の及び全ての範囲及びその中の下位的範囲を含め、1/2、3/4、1、1.25、1.5、1.75、2.0、2.25、2.5、2.75及び3時間が挙げられる。もちろん、重合プロセスは、前示の時間よりも長い時間又は短い時間で行うことができる。
【0032】
重合は、任意の望ましい化学量論の下で行うことができる。例として、重合プロセスは、スチレン(又はその誘導体)対全テルペンの広範な重量比、好ましくは、15:85〜85:15、さらに好ましくは、20:80〜40:60、最も好ましくは、25:75〜35:65を使用して行うことができるが、これらの重量比に限定されるものではない。スチレン対全テルペンのこの重量比としては、任意の及び全ての範囲及びその中の下位的範囲を含め、5:95、10:90、15:85、20:80、25:75、30:70、35:65、40:60、45:55、50:50、55:45、60:40、65:35、70:30、75:25、80:20、85:15、90:10及び95:5が挙げられるが、これらに限定されるものではない。もちろん、重合プロセスは、前記の範囲より多いか又は少ない化学量論の下で実施することができる。
【0033】
重合プロセスは、樹脂配合物中のアルファピネンの広範な重量%、概して1〜99wt%、好ましくは、10〜90wt%、さらに好ましくは、15〜50wt%、最も好ましくは、30%を使用して行われる。アルファピネンのwt%は、任意の及び全ての範囲及びその中の下位的範囲を含め、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90及び95wt%とすることができる。本出願書類中、“wt%”は、反応混合物の全重量を基準にする。
【0034】
重合プロセスは、樹脂配合物中のベータピネンの広範な重量%、概して1〜99wt%、好ましくは、10〜90wt%、さらに好ましくは、25〜50wt%、最も好ましくは、35〜40wt%を使用し、行われる。ベータピネンのwt%は、任意の及び全ての範囲及びその中の下位的範囲を含め、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90及び95wt%とすることができる。本出願書類中、“wt%”は反応混合物の全重量を基準とする。
【0035】
重合プロセスは、樹脂配合物中のリモネンの広範な重量%、好ましくは、25wt%未満、さらに好ましくは、15wt%未満、最も好ましくは、5wt%未満を使用して行われる。リモネンのwt%は、任意の及び全ての範囲及びその中の下位的範囲を含め、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、22及び25wt%以下とすることができる。本出願書類中、“wt%”は反応混合物の全重量を基準とする。
【0036】
重合プロセスの間、広範な範囲の触媒対モノマーの重量比を使用することができるが、しかし、この比は、好ましくは、0.1〜0.001、さらに好ましくは、0.05〜0.02、最も好ましくは、0.04〜0.03である。触媒対モノマーの重量比は、任意の及び全ての範囲及びその中の下位的範囲を含め、0.1、0.08、0.06、0.05、0.04、0.039、0.038、0.037、0.036、0.035、0.034、0.033、0.032、0.031、0.030、0.02、0.01、0.008、0.006、0.004、0.002及び0.001とすることができる。
【実施例】
【0037】
以下の実施例を用いて、本発明をさらに詳細に説明するが、これは、本発明の特許請求の範囲のをいかなる意味においても制限することを意図したものではなくまた実際に制限するものではない。
【0038】
実施例
樹脂の評価は、数々の異なる方法、例えば、ホットメルト接着剤曇り点の測定、該樹脂で製造したホットメルト及び感圧接着剤の接着剤特性の試験、ある温度での貯蔵中の樹脂の酸化(着色)安定性の研究、及び、樹脂の臭いにより行うことができる。
【0039】
EVA曇り点試験:
接着剤配合物における樹脂の有用性の尺度は、接着剤のその他の成分(主としてポリマー及びワックス)とのその相溶性である。樹脂の相溶性を示す試験は、曇り点試験である。曇り点が低いほど、相溶性が高い、つまり、接着剤配合者により好まれる。現存する樹脂についてのオフセットを展開する場合、曇り点における類似点は、新たな樹脂が現存樹脂と同等に機能する可能性を示す相当に有効な指標である。
【0040】
ガラスジャー中に、樹脂、ポリマー及びパラフィンワックスの各成分を1:1:1重量比で配合する。ポリマーは、典型的には、28%酢酸ビニルを含有するエチレンビニルアセテートポリマーである。一般的なブランドは、DuPontから入手可能なELVAX 250である。その後、ガラスジャーは、177℃でオーブン内に置く。ブレンドを45分間放置後、混合物をガラスロッドで手動で攪拌し、オーブン内に戻す。この段階で、ブレンドは透明である。攪拌を20分間隔でさらに2回繰り返す。続いて、ブレンドをオーブンから取り出す。温度計をブレンド内に挿入し、素早く持ち上げ、ガラスジャーの真上のスタンドにクランプする。バルブから流れる接着剤ストランドが冷却するにつれ、増粘し始め、下から上方に曇る。温度計のバルブが曇り始める温度をその樹脂の曇り点として記録する。
【0041】
EVA接着剤:
接着剤の配合
EVAポリマーを含有する接着剤をパイントカン中で配合した。接着剤の合計重量は200グラムであった。ワックス及び抗酸化剤をカンに直接秤量し、カンを加熱マントル内に置いた。カンとマントルとの間に温度プローブを挿入し、これを使用して、その温度を140℃にコントロールした。ワックスが一度溶融したら、平らな分散翼を挿入し、ほぼ140rpmで攪拌を始めた。塊ができないような速度で、ポリマーを加えた。ポリマーが一度全て溶融したら、樹脂を加えた。混合物が一度全て溶融し均質に見えたら、20〜30分間混合を継続した。混合物をTeflon処理布帛上に注ぎ、冷却させた。
【0042】
Olinger接着試験
各試料を少量(〜20g)ずつOlingerの溶融タンク内340°Fで溶融し、ついで、ガンによってパージした。ついで、約40gの樹脂を溶融し、試料スレッド(sample sled)内にTeflon処理した布帛を挿入し、風乾時間を最長の硬化に設定し、装置を稼動して、容易に除去して秤量できる布帛にビーズを塗布することにより、塗被量を試験した。。次の試料について、塗被される接着剤の量が第1の試料の5%以内となるように溶融タンク圧力を調節した。基板から剥がすのに必要とされる力を記録した。その力が大きいほど、基板に接着された接着剤は強い。
【0043】
PSA接着剤:
PSAsは、典型的には、スチレンブロックコポリマー類(SBC)、例えば、SIS(スチレン-イソプレン-スチレン)及びSBS(スチレン-ブタジエン-スチレン)を基本成分とする。このような接着剤に使用される粘着付与剤は、ブロックコポリマーのミッドブロック(すなわち、イソプレン又はブタジエン成分)、エンドブロック成分(すなわち、スチレン);又は、その両方と相溶性であるのがよい。スチレン化されたテルペン樹脂類は、このような接着剤に使用できることが見出された。SBCは、2つの主要な基準、すなわちスチレン含量とジブロック含量とにより分類される。配合者の要求に応じて、SBCの性質及び/又は量は、配合の際に調節しうる。SBC系のPSAsとしては、ポリマーを軟化させかつ接着剤の粘度を低下させるための鉱油が挙げられる。
【0044】
感圧接着剤をパイントジャー内で室温で配合した。接着剤の全重量は、100グラムであった。鉱油は、ジャーに直接加えた。ほぼ90グラムのトルエンを加え、平らな分散翼を使用して、ほぼ200rpmでトルエンを攪拌した。続いて、塊が生じないような速度で、ポリマー(SBC)を加えた。ポリマーが溶解した後、樹脂を加えた。外観上均質な混合物が得られたら、混合を20〜30分間継続した。
【0045】
接着剤塗被
Paul N.Gardner Company,Inc.からのマイクロメートル調節ギャップコータを使用し、手動により、感圧接着剤を塗被した。2ミルのポリエステル上に1ミルの厚さに、湿潤接着剤(トルエン中)を塗被した。塗膜を室温で15分間乾燥し、ついで、さらに100℃で5分乾燥した。接着剤の頂部に2ミルのポリエステルの第2の層を積層し、合計の厚さを測定した。1.0〜1.1ミルの乾燥接着剤層が得られるまで、湿潤塗膜厚さを調節した。接着剤の厚さごとに、引落(draw down)を試験した。
【0046】
PSA試験:
Cheminstruments DC-500 Sample Dieカッターを使用し、試料を1インチ幅のストリップに切断する。Cheminstrumentsから入手可能な基板用のステンレススチールパネルを使用し、全ての試験を行った。
【0047】
剥離試験(接着剤接着強さの尺度)
180°引張力、12’’/分でInstron 4201上で、剥離試験を行った。試験の開始時及び終了時の測定値を除くために、ソフトウエアを使用した。報告される数は、3〜4インチ長さにわたって剥離するために使用される平均の力である。試料に均一な圧力を印加するためにChemsultantsロールダウン装置を使用し、基板に試料を塗被した。この装置は、試料に圧力を印加するために10インチ/分で移動するゴムを塗被した2kg、幅4.5cmのローラを使用する。ローラが各試料を3回通過するようにした。試料は、塗布後試験前に、15分間の休止時間を与えた。
【0048】
剪断接着破損温度(SAFT)試験(接着剤及びその凝集強さの高温性能の尺度)
ステンレススチールパネルに1インチ長さについて、試料の1インチ幅のストリップを塗被した。平らな末端になるように切断したタングディプレッサー(tongue depressor)を使用し、スチール基板に各試料を強固に塗被した。試料は、塗布後試験前に、30分の休止時間を与えた。パネルは、Cheminstruments HT-8高温剪断試験機に吊るし、Blue Mプログラム設定可能なオーブン内に置いた。30分の休止時間に続き、500グラムのおもりを試料に懸け、オーブンのドアを閉じ、1分当り1°Fで温度を上昇させるオーブンプログラムを開始した。各試験について、時間/温度プロフィールを保ち、試料が落下する温度を記録した。温度が高いほど、接着剤の高温性能はより良好になる。
【0049】
ループ粘着力(瞬間粘着力の尺度)
9×1インチ試料の末端の1/2インチを4201Instronのアッパージョー(upper jaws)に置いた。裏紙を取り除き、接着剤がアッパージョーから吊り下がった滴形状のループの外側に位置するように、試料を配置した。ボトムジョー(bottom jaw)では、試験基板の1インチ幅の試験片を、平らな表面が上向きになるように、且つ、1インチ寸法が試料のループと平行になるように調整した。試料が基板と完全に接触するまで、10インチ/分でループを下降させた。2秒の休止時間の後、アッパージョーを12インチ/分で上昇させ、基板から試料を分離するために必要とされる最大力を記録した。その力が大きいほど、接着剤は基板に強く接着する。
【0050】
1.8℃/分の温度勾配速度を使用し、ステンレススチールのボールを有するMettlerの機器を使用して、樹脂類の軟化点を測定した。示差走査熱量法(DSC)を使用して、ガラス転移温度を測定した。ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により、分子量を決定した。
【0051】
酸素雰囲気中で93°F(34℃)に保持したオーブン内に樹脂200グラムの試料を貯蔵する間に、1週間単位で樹脂の生の色(neat color)をモニターすることにより、樹脂の貯蔵安定性を測定した。
【0052】
樹脂の貯蔵安定性は、また、溶融した樹脂を185℃の温度に48時間保持し、特定の間隔で色を測定することにより測定した。接着剤製造者は、樹脂の軟化点より十分に高い温度で貯蔵タンク内に溶融したそれらの粘着付与剤を貯蔵する頻度が高い。このような条件に数時間〜数日暴露してから、樹脂は、最終接着剤を形成するその他の成分と結局混合される。溶融貯蔵の間に、樹脂の色に全く変化がないか最小限の変化しかないことが重要である。
【0053】
樹脂の臭いは、臭気パネルにより評価した。この方法は、約30グラムの樹脂試料を4オンスのジャーに入れ、ジャーの蓋をし、そのジャーをオーブン内に50℃で2時間保持し、ついで、30分間隔でパネリストに樹脂の臭いをかがせ(その間、樹脂は、50℃に保持し続けた)、臭いの強さを0〜10(0は、マイルド又は臭いなし、10は、強い又は非常に不快である)のスケールに等級づけることからなるものであった。
【0054】
実施例1(α、β、sty−を使用する本発明の方法、すなわち、リモネン0%:-10℃で供給)
1.0リットルのフラスコに、Arizona Chemicalの Panama Cityプラントで回収されたテルペン樹脂溶剤(キシレン)140g及び無水塩化アルミニウム10.5gを装填し、窒素雰囲気下、周囲温度で懸濁液を攪拌した。懸濁液は、ついで、-10℃まで冷却した。滴下ロートを使用し、アルファピネン、ベータピネン及びスチレン(35:35:30重量比)のブレンド175グラムを30分間かけてフラスコに導入し、その間、重合温度を-12〜-8℃(エタノール-ドライアイス混合物を使用し、必要に応じて外部冷却)に維持した。ブレンドを供給した後、反応内容物をさらに、-12〜-8℃で2時間攪拌させた。続いて、内容物を25℃まで温め、3時間攪拌させた。3時間の終了時に、100gの冷水で内容物をクエンチした(触媒を中和する)。処理操作の残りは、実施例1に記載したものと同じであった。生ずる樹脂は、以下の特性を有していた:s.p.=95.6℃、収率=94.4%、生の色=3+Gardner。
【0055】
実施例2(α,β,limo,styを使用する本発明の方法:-10℃で供給)
触媒使用量が6.1gであり、重合温度を-12〜-8℃に維持しつつ、60分間かけて、アルファピネン、ベータピネン、リモネン及びスチレン(30:37:3:30の重量比)のブレンドをフラスコに導入した以外は、実施例1におけると同様な処理操作を実施した。ブレンドを供給した後、反応内容物は、即座に45℃まで温め、90分間攪拌させた。生ずる樹脂は、以下の特性を有していた:s.p.=103.1℃、収率=89.0%、生の色=2Gardner。
【0056】
実施例3(α,β,limo,styを使用する本発明の方法:+5℃で供給)
重合温度が+5℃であり、重合温度を+3〜+7℃に維持しつつ、60分間かけて、アルファピネン、ベータピネン、リモネン及びスチレン(30:37:3:30の重量比)のブレンドをフラスコに導入した以外は、実施例1におけると同様な処理操作を実施した。ブレンドを供給した後、反応内容物を即座に45℃まで温め、90分間攪拌させた。生ずる樹脂は、以下の特性を有していた:s.p.=103.9℃、収率=88.0%、生の色=1+Gardner。
【0057】
実施例4(α,β,limo,styを使用する本発明の方法:-10℃で供給)
アルファピネン、ベータピネン、リモネン及びスチレン(30:35:5:30の重量比)のブレンドを使用し、ブレンドを供給した後、反応内容物を即座に25℃まで温め、90分間攪拌させた以外は、実施例1におけると同様な処理操作を実施した。粘土(Filtrol 20)及びライムの混合物を添加することにより、触媒を中和した。内容物を加熱し、2時間還流させた。ついで、混合物を濾過すると、透明な樹脂溶液を与えた。生ずる樹脂は、以下の特性を有した:s.p.=100.0℃、収率=80.0%、生の色=5Gardner。
【0058】
比較実施例1(α,β,styを用いた現行のプロセス条件−すなわち、リモネン0%)
1.0リットルのフラスコに、キシレン140g及び無水塩化アルミニウム5.7gを装填し、窒素雰囲気下、周囲温度で、懸濁液を攪拌した。次に、懸濁液を45℃まで温めた。滴下ロートを使用し、アルファピネン、ベータピネン及びスチレン(30:40:30の重量比)のブレンド175グラムを60分間かけてフラスコに導入し、その間、重合温度を45〜47℃(水-氷混合物を使用し、必要に応じて外部冷却)に維持した。ブレンドを供給した後、100gの冷水で反応内容物をクエンチした(触媒を中和した)。内容物を攪拌し、75〜80℃まで加熱した。75〜80℃で10分間攪拌後、水層を除き、有機溶液を水100gで洗浄した。内容物を再度75〜80℃まで加熱し、水層と有機層を分離した。有機層は、樹脂溶液を構成する。この樹脂溶液は、ついで、窒素雰囲気下、240℃まで加熱した。大部分の溶剤及び低沸副生物を140〜200℃で蒸留した。温度が240℃に到達した後、溶融された樹脂の試料を集め、その軟化点を測定した。(低分子量副生物を除去するために)、窒素スパージを使用し、所望のs.p.が達成されるまで、樹脂をさらにストリップした。達成される最高軟化点は、91.1℃であった。この時点で、溶融した樹脂を貯蔵のために容器に注いだ。樹脂は、生の色=2+Gardnerを有し、総収率は84%であった。必要に応じて、樹脂は漂白することができ、ヨウ素のキシレン溶液の導入及び15分間の攪拌により、ストリッピングプロセスの間に、樹脂の色を240℃で薄くすることができる。ヨウ素は、フラスコ中の溶融樹脂全体の300重量ppmである。漂白により、生の色約1+の樹脂が生じた。
【0059】
比較実施例2(α,β,limo,styを用いた現行のプロセス条件)
塩化アルミニウム7.9g及びアルファピネン、ベータピネン、リモネン及びスチレン(30:25:15:30の重量比)のブレンドを使用した以外は、比較実施例1に記載のそれと同様な処理操作を実施した。生ずる樹脂は、以下の特性を有した:s.p.=91℃、収率=83%、生の色=3+Gardner。
【0060】
比較実施例3(α,styを用いた現行のプロセス条件−すなわち、リモネン0%)
塩化アルミニウム7.0g及びアルファピネン及びスチレン(60:40の重量比)のブレンドを使用した以外は、比較実施例1に記載したものと同様の処理操作を実施した。生ずる樹脂は、以下の特性を有した:s.p.=76.1℃、収率=58.1%、生の色=5Gardner。
【0061】
比較実施例4(α,β,limo,styを比較実施例2とは異なる比率で用いた現行のプロセス条件)
アルファピネン、ベータピネン、リモネン及びスチレン(15:40:15:30の重量比)のブレンドを使用した以外は、比較実施例1に記載のものと同様の処理操作を実施した。生ずる樹脂は、以下の特性を有した:s.p.=94.3℃、収率=89%、生の色=2+Gardner。
【0062】
上記4つの比較実施例はすべて、現行のプロセス条件下(すなわち、45℃の重合温度を使用して)、リモネンなしで又は最少量ののリモネン(すなわち、0〜5%のリモネン)を用いてスチレン化されたテルペン樹脂類を合成する試みでは、低い収率で100℃よりかなり低い軟化点を有する生成物が得られることを示している。
【0063】
実施例5
接着剤系において相溶性を達成するために、粘着付与剤の曇り点を測定した。
【0064】
【表1】

【0065】
表Iは、本発明の樹脂の相溶性が市販品のの相溶性と同等であることを示す。
実施例6:実施例3からの樹脂のEVA接着剤
市販品の樹脂の接着性能とともに本発明の樹脂の接着性能を決定するために、EVA接着剤を調製した。
【0066】
配合
微結晶質ワックス(SasolからのM7381) 19.5%
Irganox(Cibaからの抗酸化剤) 0.5%
EVA 33%VA,400MI(DuPontからのElvax 140) 40.0%
樹脂 40.0%
この試験に使用した基板は、高光沢UV硬化完全被覆ファイルフォルダーストックであった。
【0067】
【表2】

【0068】
表IIは、本発明の樹脂の接着力が市販品の接着力と同等であることを示す。
実施例7:実施例3からの樹脂の感圧接着剤
市販の樹脂等級の接着性能とともに本発明の樹脂の接着性能を決定するために、SBS系の感圧接着剤を調製した。
【0069】
配合1(SBS)−典型的なSBS系PSAの配合
Kraton D1102(Kratonから;28%スチレン及び16%ジブロック含有):32.0%
Nyflex 222B(Nynasからの鉱油) :10.4%
Irganox 1010(Cibaからの抗酸化剤) :0.6%
樹脂 :57.0%
【0070】
【表3】

【0071】
表IIIは、本発明の樹脂のSBS系感圧接着剤における性能が市販品の性能と同等であることを示す。
実施例8:実施例3からの樹脂の感圧接着剤
市販の樹脂等級の接着性能とともに本発明の樹脂の接着性能を決定するために、SIS系感圧接着剤を調製した。
【0072】
配合2(SIS)
Vector4211(Dexcoから;30%スチレン及び<1%ジブロックを含有) 140%
Kraton1161(Kratonから;15%スチレン及び19%ジブロックを含有) 180%
Nyflex 222B(Nynasからの鉱油) 130%
樹脂 550%
【0073】
【表4】

【0074】
表IVは、本発明の樹脂のSIS系感圧接着剤における性能が市販品の性能と同等であることを示す。
実施例9:実施例3の樹脂の酸化安定性
【0075】
【表5】

【0076】
表Vにおける結果は、本発明の樹脂が非常に良好な貯蔵安定性を有し、その貯蔵安定性が、市販品の貯蔵安定性に十分に匹敵することを示す。
実施例10:実施例3の樹脂の臭い
【0077】
【表6】

【0078】
表VIにおける結果は、本発明の樹脂が例外的にマイルドな臭いを有し、実際にその臭いが現存の市販品の臭いに比べかなり低かったことを示す。
実施例11:実施例3の樹脂の溶融貯蔵安定性(185℃での着色)
【0079】
【表7】

【0080】
表VIIにおけるデータは、市販品と比較して、本発明の樹脂が優れた着色安定性を有し、実際に185℃で48時間かけた溶融貯蔵下で改善された着色安定性を有することを示す。
本明細書の全体を通じて、範囲は、その中の全ての下位的範囲を含み、その範囲内に入る各値及び全ての値を記載するための便法として使用されている。
【0081】
上記教示に照らし、本発明について数多くの変更及び変形が可能である。したがって、特許請求の範囲の請求項の範囲内で、本発明は、本明細書に具体的に記載した以外の別の形で実施できることを理解すべきである。
【0082】
本明細書の全体を通じて、範囲は、その中の全ての下位的範囲を含み、その範囲内に入る各値及び全ての値を記載するための便法として使用されている。
本明細書中に引用された全文献及びそれらが引用した文献は、、本発明の主題及びその全実施態様に関連する該当箇所について本明細書中に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
15wt%未満のリモネン;
25〜35wt%のアルファピネン;
25〜45wt%のベータピネン;及び、
25wt%を上回るスチレン又はその誘導体;
を含む反応生成物から製造される、スチレン化されたテルペン樹脂。
【請求項2】
スチレン又はその誘導体対全テルペンの重量比が、25:75〜35:65である、請求項1に記載の樹脂。
【請求項3】
前記反応生成物が、
5wt%未満のリモネン;
35〜40wt%のベータピネン;
25〜35wt%のスチレン又はその誘導体;及び、
25〜35wt%のアルファピネン;
を含む、請求項1に記載の樹脂。
【請求項4】
スチレン又はその誘導体対全テルペンの重量比が、25:75〜35:65である、請求項2に記載の樹脂。
【請求項5】
15wt%未満のリモネン;
25〜35wt%のアルファピネン;
25〜45wt%のベータピネン;及び、
25wt%を上回るスチレン又はその誘導体;
を含む反応生成物から製造されるスチレン化されたテルペン樹脂を含むホットメルト接着剤。
【請求項6】
スチレン又はその誘導体対全テルペンの重量比が、25:75〜35:65である、請求項5に記載のホットメルト接着剤。
【請求項7】
前記反応生成物が、
5wt%未満のリモネン;
35〜40wt%のベータピネン;
25〜35wt%のスチレン又はその誘導体;及び、
25〜35wt%のアルファピネン;
を含む、請求項5に記載のホットメルト接着剤。
【請求項8】
スチレン又はその誘導体対全テルペンの重量比が、25:75〜35:65である、請求項6に記載のホットメルト接着剤。
【請求項9】
スチレン化されたテルペン樹脂を製造する方法であって、
金属ハロゲン化物触媒の存在下、-20℃から+10℃の範囲の温度で反応混合物を重合させる工程を含み、前記反応混合物が、
15wt%未満のリモネン;
25〜35wt%のアルファピネン;
25〜45wt%のベータピネン;及び、
25wt%より多いスチレン又はその誘導体
を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
スチレン又はその誘導体対全テルペンの重量比が、25:75〜35:65である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記反応混合物が、
5wt%未満のリモネン;
35〜40wt%のベータピネン;
25〜35wt%のスチレン又はその誘導体;及び、
25〜35wt%のアルファピネン;
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
スチレン又はその誘導体対全テルペンの重量比が、25:75〜35:65である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
接着方法であって、
接着剤を第1の表面と第2の表面との間に置く工程を含み、前記接着剤が、
15wt%未満のリモネン;
25〜35wt%のアルファピネン;
25〜45wt%のベータピネン;及び、
25wt%より多いスチレン又はその誘導体;
を含む反応生成物から製造されるスチレン化されたテルペン樹脂を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
スチレン又はその誘導体対全テルペンの重量比が、25:75〜35:65である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記反応生成物が、
5wt%未満のリモネン;
35〜40wt%のベータピネン;
25〜35wt%のスチレン又はその誘導体;及び、
25〜35wt%のアルファピネン;
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
スチレン又はその誘導体対全テルペンの重量比が、25:75〜35:65である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
第1の表面;
第2の表面;
前記第1の表面と前記第2の表面との間に位置し且つ前記第1の表面と前記第2の表面とを接合する接着剤を含む製品であって、前記接着剤が、
15wt%未満のリモネン;
25〜35wt%のアルファピネン;
25〜45wt%のベータピネン;及び、
25wt%より多いスチレン又はその誘導体;
を含む反応生成物から製造されるスチレン化されたテルペン樹脂を含むことを特徴とする製品。
【請求項18】
スチレン又はその誘導体対全テルペンの重量比が、25:75〜35:65である、請求項17に記載の製品。
【請求項19】
前記反応生成物が、
5wt%未満のリモネン;
35〜40wt%のベータピネン;
25〜35wt%のスチレン又はその誘導体;及び、
25〜35wt%のアルファピネン;
を含む、請求項17に記載の製品。
【請求項20】
スチレン又はその誘導体対全テルペンの重量比が、25:75〜35:65である、請求項19に記載の製品。

【公表番号】特表2009−543942(P2009−543942A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−520965(P2009−520965)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/073725
【国際公開番号】WO2008/011433
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(505333816)アリゾナ・ケミカル・カンパニー・エルエルシー (13)
【Fターム(参考)】