説明

スチレン改質直鎖状低密度ポリエチレン系発泡性樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体

【課題】ポリエチレン系樹脂の本来の性質である優れた耐衝撃性を保ちつつ、剛性を改良し、更に加熱時の寸法安定性にも優れた発泡成形体を、ポリエチレン鎖を架橋することなく得ることを課題とする。
【解決手段】無架橋で直鎖状の低密度ポリエチレン系樹脂成分100重量部に対して、300重量部を超え1000重量部以下のスチレン系樹脂成分を含有する基材樹脂と揮発性発泡剤とを含み、前記低密度ポリエチレン系樹脂成分と前記ポリスチレン系樹脂成分とのグラフト重合体からなるゲル分が該基材樹脂中に2〜40重量%含まれ、密度33kg/cm3に発泡成形させたときの発泡成形体が85cm以上の落球衝撃値を有するスチレン改質直鎖状低密度ポリエチレン系発泡性樹脂粒子により上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチレン改質直鎖状低密度ポリエチレン系発泡性樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にポリエチレン系樹脂の発泡体は、弾性が高く、耐油性、耐衝撃性に優れているので、包装資材として使用されている。しかし、剛性が低く圧縮強度が弱い等という短所を有している。一方、ポリスチレン系樹脂の発泡体は、剛性には優れているが、脆いという短所を有している。
【0003】
このような欠点を改良する方法として、特公昭51−46138号公報、特開昭62−59642号公報では、ポリエチレン系樹脂にスチレンモノマーを含浸させて重合を行い、スチレン改質ポリエチレン系樹脂発泡粒子を得る方法が提案されている。
【0004】
これらの方法で用いられるポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等がほとんどで、ポリエチレンを架橋することで成形性の向上や成形体の物性を向上させる場合が多い。架橋により気泡膜の強度は高くなり、発泡成形時の張力が増すため気泡膜の破れがなくなり、高発泡倍率化も可能となる。
【0005】
その結果、外観良好な発泡成形体が得られ、発泡成形体の衝撃強度も強めることができる。しかし、この方法では、あらかじめ架橋させたポリエチレンを使用するか、スチレンモノマーの重合が終わった時点で温度を更に上げ、ポリエチレンを架橋させる架橋工程を設ける必要があった。
【0006】
また、これらの問題を解決するため特許第2668384号では、無架橋で直鎖状の低密度ポリエチレン系樹脂粒子100重量部、ビニル芳香族モノマー5〜300重量部及び該モノマー100重量部に対して1〜3重量部の重合開始剤を水性媒体中に分散させ、得られた水性懸濁液を、前記モノマーの重合が実質的に起こらない温度に加熱して前記モノマーを前記ポリエチレン系樹脂粒子の内部及び表面に含浸せしめた後、上記水性懸濁液の温度を上昇させて前記モノマーの重合を行い、ビニル芳香族重合体をポリエチレン中にミクロ分散させることで、剛性及び耐衝撃性に優れた改質ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得る方法が提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この特許の実施例では融点が122℃の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂粒子にスチレンモノマーを加えた後、115℃で重合を行うことが示されている(なお、この特許の実施例では、融点が明記されていないが、本発明の発明者等は、実施例に記載された樹脂粒子の商品名から、樹脂粒子が上記融点を示すことを確認している)。この温度で重合した場合、スチレンモノマーのポリエチレン鎖へのグラフト重合が起こりやすい。その結果として、得られる樹脂は、架橋はしていないもののポリエチレン鎖へのポリスチレンのグラフト重合が起こり、良好な発泡成形体を得ることができる。ここで、グラフト重合体とは、ゲル分中にポリスチレンが存在するゲルをいい、架橋体は、ポリスチレンが実質的に存在しないゲルをいう。
【0008】
しかし、ポリエチレン100重量部に対するスチレンモノマーの量は5〜300重量部であり、300重量部を超えるスチレンモノマーを含有させると、ポリスチレンの重合体粉末が多数生成するという問題があった。
更に、スチレンモノマーをポリエチレン系樹脂粒子に含浸重合させて得られる樹脂に揮発性発泡剤を含有させ、加熱成形して発泡成形体を得る場合、発泡成形体の衝撃強度を高め、また発泡成形体を加熱した場合の寸法変化を小さくする、言い換えると耐熱性をもたせたり、剛性を更に高めたりするには、ポリエチレンを架橋させる必要があった。しかし、架橋させるには、架橋剤の使用や製造工程が増えることによるコストアップの問題があった。
【0009】
このようなことから、ポリエチレンに対するスチレンモノマーの比率を広く変化させることができ、しかも十分な強度を有する発泡成形体を提供できるスチレン改質直鎖状低密度ポリエチレン系発泡性樹脂粒子の開発が期待されている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ポリエチレン系樹脂の本来の性質である優れた耐衝撃性を保ちつつ、剛性を改良し、更に加熱時の寸法安定性にも優れた発泡成形体を、ポリエチレン鎖を架橋することなく得ることを目的とする。
本発明の発明者等は、上記目的を実現するため鋭意研究を重ねた結果、ポリエチレンとして直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂を選択し、該樹脂にスチレン系モノマーを含浸重合させる際、重合開始剤の種類及び用量の選択及び重合温度を制御することにより、スチレンのポリエチレン鎖へのグラフト重合等に由来するゲル分の量を制御し、耐衝撃性、剛性、耐熱性等の物性を満足する発泡成形体を与えうるスチレン改質直鎖状低密度ポリエチレン系発泡性樹脂粒子を得られることを見いだし本発明に至った。
【0011】
かくして、本発明によれば、無架橋で直鎖状の低密度ポリエチレン系樹脂成分100重量部に対して、300重量部を超え1000重量部以下のスチレン系樹脂成分を含有する基材樹脂と揮発性発泡剤とを含み、前記低密度ポリエチレン系樹脂成分と前記ポリスチレン系樹脂成分とのグラフト重合体からなるゲル分が該基材樹脂中に2〜40重量%含まれ、密度33kg/cm3に発泡成形させたときの発泡成形体が85cm以上の落球衝撃値を有するスチレン改質直鎖状低密度ポリエチレン系発泡性樹脂粒子が提供される。
【0012】
更に、本発明によれば、上記スチレン改質直鎖状低密度ポリエチレン系発泡性樹脂粒子を予備発泡させて得られた嵩密度20〜200kg/m3の予備発泡粒子が提供される。
また、本発明によれば、上記予備発泡粒子を発泡成形させて得られた密度20〜200kg/m3の発泡成形体が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
まず、本発明のスチレン改質直鎖状低密度ポリエチレン系発泡性樹脂粒子(以下、発泡性樹脂粒子と称する)は、無架橋で直鎖状の低密度ポリエチレン系樹脂成分及びポリスチレン系樹脂成分を含有する基材樹脂と揮発性発泡剤とを含む。
本発明において使用される無架橋で直鎖状の低密度ポリエチレン系樹脂成分(以下、単にポリエチレン系樹脂成分と称する)は、エチレンとα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。
【0014】
α−オレフィンとしては1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−オクテン等が挙げられる。この内、1−ブテン、1−ヘキセンが好ましい。
エチレンとα−オレフィンとの構成比は、所望する物性に応じて適宜変化してもよいが、1:0.01〜0.1(重量比)の範囲であることが好ましい。なお、低密度とは、0.910〜0.925g/mlの範囲を意味する。
【0015】
また、本発明の目的とする効果を阻害しない範囲で、架橋及び/又は分岐鎖を有する低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、これら2種以上を併用してもよい。
ポリスチレン系樹脂成分は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン等のモノマー由来の樹脂成分が挙げられる。
【0016】
ポリスチレン系樹脂成分の量は、ポリエチレン系樹脂成分100重量部に対して300重量部を超え、1000重量部以下、好ましくは300重量部を超え、900重量部以下である。
また、300重量部を超えるポリスチレン系樹脂成分を均一に含む発泡性樹脂粒子は、従来法で得ることは困難であるが、本発明では得ることができる。更に、1000重量部を超える場合、ポリエチレン系樹脂成分の弾性が高く、耐油性、耐衝撃性が良好であるという特性が発現し難い。また、ポリエチレン系樹脂成分の内部にスチレンが十分に吸収されず、スチレン自体が単独で重合するため、多量の重合体粉末を発生することとなる。
【0017】
揮発性発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ヘキサン等の炭化水素を単独もしくは2種以上混合して用いることができる。
発泡剤の含有量は、発泡性樹脂粒子を構成する樹脂成分(ポリエチレン系樹脂成分及びポリスチレン系樹脂成分の合計)100重量部に対して、5〜10重量部であることが好ましい。
【0018】
更に、本発明では、ポリエチレン系樹脂成分とポリスチレン系樹脂成分とのグラフト重合体からなるゲル分が、発泡性樹脂粒子の基材樹脂中に2〜40重量%(ゲル分率)含まれる。ここで、ゲル分がグラフト重合体であることは、ゲル分中にポリスチレンが存在するか否かを判断基準とし、本発明では、ゲル分中にポリスチレンが10重量%以上存在する場合をグラフト重合体であるとする。なお、ゲル分中のポリスチレン量の測定方法は、実施例に記載する。
ゲル分率が2重量%未満の場合、衝撃強度や加熱時の成形体の寸法変化等の改善が十分でないため好ましくない。一方、40重量%を超えた場合、気泡膜強度が高すぎるため、成形時の伸びが悪くなり、発泡成形体の外観が劣るため好ましくない。より好ましいゲル分率は、5〜35重量%である。
【0019】
また、発泡性樹脂粒子は、粒子の長さをL、平均径をDとした場合のL/Dが0.6〜1.6である円筒状ないしは略球状であり、平均粒子径が0.3〜2.0mmであることが好ましい。
L/Dが0.6以下ないしは1.6以上のように扁平度が大きい場合は、スチレン改質発泡性樹脂粒子として予備発泡し、金型に充填して発泡成形体を得る際の金型への充填性が悪くなるため好ましくない。
また形状は、充填性をよくするには略球状がより好ましい。
平均粒子径は0.3mm未満の場合、発泡剤の保持性が低くなり、低密度化が困難となるため好ましくない。2.0mmを超える場合、充填性が悪くなるだけでなく、発泡成形体の薄肉化も困難となるため好ましくない。
【0020】
次に、本発明の発泡性樹脂粒子の製造方法を説明する。
ポリエチレン系樹脂粒子100重量部に対するスチレン系モノマーが、300重量部を超える場合、1段階の含浸では、ポリスチレンの重合体粉末が多くなる傾向にある。重合体粉末の発生を極力少なくするために、以下のようにスチレン系モノマーを2段階に分けてポリエチレン系樹脂粒子に含浸させる。
【0021】
まず、ここで使用するポリエチレン系樹脂粒子は、粒子の長さをL、平均径をDとした場合のL/Dが0.6〜1.6である円筒状ないしは略球状であり、平均粒子径が0.2〜1.5mmであることが好ましい。L/Dが0.6以下ないしは1.6以上のように扁平度が大きい場合は、スチレン改質発泡性樹脂粒子として予備発泡させ、金型に充填して発泡成形体を得る際の金型への充填性が悪くなるため好ましくない。また形状も充填性をよくするには略球状がより好ましい。平均粒子径は0.2mm未満の場合、発泡剤の保持性が低くなり、低密度化が困難となるため好ましくない。1.5mmを超える場合、充填性が悪くなるだけでなく、発泡成形体の薄肉化も困難となるため好ましくない。
【0022】
水性懸濁液を構成する水性媒体としては、水、水と水溶性溶媒(例えば、低級アルコール)との混合媒体が挙げられる。
分散剤としては、特に限定されず、公知のものをいずれも使用することができる。具体的には、リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸ナトリウム、酸化マグネシウム等の難溶性無機物等が挙げられる。
【0023】
重合開始剤としては、一般にスチレン系モノマーの懸濁重合開始剤として用いられているものが使用できる。但し、重合開始剤の種類に応じてゲル分の発生率が異なる。たとえば、水素引き抜き効果の比較的強い、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、t−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン等を用いるとゲル分は多くなる。水素引き抜き効果の比較的弱い、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン等を用いるとゲル分は少なくなる。これらの重合開始剤は、所望するゲル分率に応じて、単独もしくは2種以上を併用してもよい。
【0024】
重合開始剤の使用量は、スチレン系モノマー100重量部に対して、0.1〜0.9重量部が好ましく、0.2〜0.5重量部がより好ましい。0.1重量部未満ではスチレンの重合がスムーズに行われず、その結果、樹脂粒子のポリスチレンとポリエチレンの混合の均一性を損ない、重合体粉末の生成も多くなり好ましくない。0.9重量部を超える重合開始剤の使用は、ポリスチレン系樹脂の分子量を低くする。
また、良好な物性を得るためには、ポリスチレン系樹脂成分の分子量は20万〜40万程度が好ましいが、0.9重量部を超える量ではこれを下回るものしか得られない。
【0025】
第1の重合時に使用されるスチレン系モノマーの量は、ポリエチレン系樹脂粒子100重量部に対して、30〜300重量部の範囲内である。30重量部未満の場合はポリエチレン中へのスチレン系モノマーの含浸が均一でなくなり好ましくない。また、300重量部を超えると、スチレン系モノマー由来の重合体粉末が発生しやすくなる。
次に、得られた分散液をスチレン系モノマーが実質的に重合しない温度に加熱してスチレン系モノマーをポリエチレン系樹脂粒子に含浸させる。
【0026】
ポリエチレン系樹脂粒子内部にスチレン系モノマーを含浸させる時間は30分〜2時間が適当である。十分に含浸させる前に重合が進行すると、ポリスチレンの重合体粉末を生成してしまうからである。前記モノマーが実質的に重合しない温度とは、高い方が含浸速度を速めるには有利であるが、重合開始剤の分解温度を考慮して決定する必要がある。
更に、前記ポリエチレン系樹脂粒子の融点をT℃としたとき、(T−8)〜(T+1)℃の温度で、前記スチレン系モノマーの第1の重合が行われる。(T−8)℃より低い又は(T+1)℃より高い温度の場合、グラフト重合が十分起こらない。
【0027】
次に、重合転化率が80〜99.9%に達したときに、スチレン系モノマーと、スチレン系モノマー100重量部に対して0.1〜0.9重量部の重合開始剤とを加え、前記ポリエチレン系樹脂粒子の融点をT℃としたとき、(T−15)〜(T+5)℃の温度とすることで、前記低密度ポリエチレン系樹脂粒子への前記スチレン系モノマーの含浸と第2の重合とが行われる。但し、低密度ポリエチレン系樹脂粒子100重量部に対して、第1の重合と第2の重合で使用するスチレン系モノマーの合計は、300重量部を超え1000重量部以下である。
【0028】
重合転化率が80%に達していれば、300重量部を超えるスチレン系モノマーを添加した時、ポリエチレン系樹脂粒子中に速やかに含浸及び重合が行われるため、ポリスチレンの重合体粉末の発生を抑えることができる。重合転化率が99.9%を超えると、添加されたスチレン系モノマーは含浸されにくくなり、重合速度も低下するため重合体粉末の発生を抑えにくくなる。
【0029】
2回目のスチレン系モノマーと重合開始剤とを含む混合液の添加方法は、連続的でも断続的でもよいが、重合体粉末の生成を防ぐためには、ポリエチレン系樹脂粒子内部への含浸と重合を、ほぼ同時に行うことが好ましい。比較的高い温度での重合であるため、あまり添加速度が速いと含浸される前に重合が進んでしまうため好ましくない。極端に遅い添加速度は重合を妨げるため好ましくない。例えば、添加速度は、300〜1000重量部を添加するのに3〜5時間である。
また、第2の重合の重合温度を(T−8)〜(T+1)℃の範囲とすれば、グラフト重合をより効率よく起こすことができるので好ましい。
【0030】
最後に、重合中もしくは重合終了後の樹脂粒子に揮発性発泡剤を含浸させることによって発泡性樹脂粒子を得ることができる。この含浸は、それ自体公知の方法により行うことができる。例えば、重合中での含浸は、重合反応を密閉式の容器中で行い、容器中に揮発性発泡剤を圧入することにより行うことができる。重合終了後の含浸は、密閉式の容器中で、揮発性発泡剤を圧入することにより行われる。含浸を密閉式の容器中で行いさえすれば、重合用の容器は密閉式の容器でなくてもよい。
【0031】
上記のようにして得られた本発明の発泡性樹脂粒子は、公知の方法で所定の嵩密度(例えば、20〜200kg/m3)に予備発泡させることで予備発泡粒子とすることができる。嵩密度の測定法は、実施例に記載する。
更に、予備発泡粒子を金型内に充填し、再度加熱して予備発泡粒を発泡させながら、発泡粒子同士を熱融着させることで、発泡成形体を得ることができる。
【0032】
加熱用の媒体は、水蒸気が好適に使用される。発泡成形体の密度は20〜200kg/m3が好ましい。20kg/m3より低密度にすると十分な強度が得られにくく、200kg/m3より高密度では軽量化ができないことや、ポリエチレン発泡成形体の特徴のひとつである弾性等が十分に発揮できない場合があるため好ましくない。
得られた発泡成形体は強靭であり、衝撃強度に優れたものである。また、スチレンでの改質により剛性も高い。
【0033】
発泡成形体の落球衝撃値は85cm以上であることが好ましい。落球衝撃値が85cm未満の成形体でも使用することは可能であるが、85cm以上であれば割れ欠けを嫌う物や重量部品の梱包材等への使用も可能となる。より好ましい落球衝撃値は、90cm以上である。落球衝撃値の測定法は、実施例に記載する。
本発明の発泡成形体は、種々の用途に使用できるが、特に自動車内装材、バンパー内部に装着されるエネルギー吸収材、重量物の梱包材等に好適に使用できる。
実施例
【0034】
以下、実施例及び比較例により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中の各種値の測定方法を下記する。
(ゲル分率の測定)
ゲル分率の測定にあたっては、樹脂粒子の試料を計量し、フラスコに入れ、トルエン100mlを加えた後、130℃のオイルバス中にて24時間かけて溶解させる。オイルバスより取り出した後、直ちに80メッシュ(φ0.12mm)の金網にて濾過し、金網上に残った沸騰トルエンに不溶の試料と金網とを130℃のオーブン中に1時間放置してトルエンを除去し、残った固形物の重量を測定する。ゲル分率は次式で求められる。
【0035】
【数1】

【0036】
残った固形物を約200μg精秤し、強磁性金属体(パイロホイル:日本分析工業社製)に圧着するように包み、熱分解装置キューリーポイントパイロライザーJHP−3型(日本分析工業社製)を用いて分解生成物を発生させた。分解生成物を、ガスクロマトグラフAuto System(パーキンエルマー社製)を用いて分析し、分析結果からポリスチレン量を算出した。その分析条件は、590℃の熱分解温度−5set、オーブン温度280℃、ニードル温度300℃で、カラムはDB−5(0.25μm×φ0.25mm×30m J&W社製)を用いた。カラム温度条件は、50℃(1分)→昇温10℃/分→100℃→昇温40℃/分→320℃(3.5分)で、キャリアーガスHe、キャリアー流量1ml/分、カラム入口圧力12psi、入口温度300℃、検出器温度300℃、検出器FIDとした。定量は標準試料に旭化成社製ポリスチレン樹脂QC254を用いた絶対検量線法による。
なお、ポリスチレン量が10重量%以上の場合、ゲル分が架橋体でなく、グラフト重合体からなると判断した。
【0037】
(粉末量の測定)
粉末量の測定にあたっては、まず、重合スラリーサンプルを、上部に35メッシュの金網を貼り付けた通水孔を有するポリビーカーに約1000g計量する。これに洗浄水約6リットルを徐々に流し込み、上部通水孔から流れ出た液を採取する。この液をガラス繊維ろ紙(GA−100)で濾過し、60℃のオーブン中で3時間乾燥させた後、乾いた重合体粉末の重量を測定する。また、洗浄後のスラリーサンプルに残っている樹脂も乾燥させてその重量を測定し、下式により粉末量を求める。
【0038】
【数2】

【0039】
(樹脂粒子中のポリスチレン樹脂成分の分子量の測定)
重合体の平均分子量(Mw)は、GPC(Gel Permeation Chromatography)によって以下の条件で測定した。
測定装置:東ソー社製 高速GPC装置 HLC−8020
カラム:積水ファインケミカル社製 HSG−60S×2本 HSG−40H×1本 HSG−20H×1本
測定条件:カラム温度:40℃
移動相:THF(テトラハイドロフラン)
流量:1.0ml/分
注入量:500ml
検出器:東ソー社製 RID−6A
試料の分子量測定:試料の分子量測定に当たっては、該試料の有する分子量分布が、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された分子量の対数とカウンド数からなる検量線が、直線となる範囲内に包含される測定条件を選択した。
また、本発明において、ポリスチレンの検量線は、重量平均分子量が2.74×103、1.91×104、1.02×105、3.55×105、2.89×106、4.48×106である東ソー社製の6個のポリスチレン標準試料(TSKスタンダードポリスチレン)を用いて作製した。
【0040】
(嵩密度の測定)
JIS K 6911:1995「熱硬化性プラスチック一般試験方法」記載の方法に準拠して測定した。具体的には、見かけ密度測定器により予備発泡粒子をメスシリンダー内に自然落下させ、その重量を測定し、次式により算出する。
嵩密度(kg/m3)=重量(kg)/メスシリンダー内の粒子容積(m3
【0041】
(発泡成形体密度の測定)
発泡成形体密度は、JIS A 9511:1995「発泡プラスチック保温材」記載の方法で測定した。
【0042】
(圧縮強度の測定)
圧縮強度は、JIS A9511:1995「発泡プラスチック保温材」記載の方法により測定した。すなわち、テンシロン万能試験機UCT−10T(オリエンテック社製)を用いて、試験体サイズは50×50×50mmで圧縮速度を10mm/分として5%圧縮時の圧縮強度を測定した。
【0043】
(衝撃強度の測定)
衝撃強度の測定にあたっては、まず、発泡成形体を、215×40×20mmの大きさにカットしたサンプルを作製した。次にこのサンプルを、155mmのスパンで配置された一対の保持部材上に載置した後、両保持部材の中間位置でかつサンプルの幅方向の中心位置に、所定の高さから重さ321gの鋼球を落下させて、サンプルの破壊の有無を確認した。
この試験は、鋼球を落下させる高さを変えて繰り返し行い、サンプルが破壊された高さの最低値を落球衝撃値として、衝撃強度を評価した。従って、値の高いほど、衝撃強度は高くなる。
【0044】
(加熱寸法変化率の測定)
長さ400mm、幅300mm、厚み16mmの平板形状の発泡成形体を成形金型から取り出し、温度23℃、+相対湿度50%の恒温恒湿室(JIS−K7100の標準温湿度状態)に24時間放置した後、この発泡成形体の中央部から上下面が平行で正方形状の平板(長さ150mm、巾150mm、厚み16mm)を切り出し、その中央部に縦及び横方向にそれぞれ互いに平行に3本の直線を50mm間隔になるように記入して、JIS−K6767に従う試験片とした。この試験片の寸法(加熱前寸法:L1)を測定した後、80℃に保った熱風循環式乾燥機の中に水平に置き、168時間加熱した後に取り出し、再び恒温恒湿室に1時間放置し、試験片の寸法(加熱後寸法:L2)を測定した。加熱試験の前後における寸法測定はJIS−K6767に従って行い、寸法変化率は次の式に従って求めた。
寸法変化率(%)=(L2−L1)×100/L1
(但し、L1は、型内成形後に23℃、相対湿度50%で24時間放置された発泡成形体から得られた試験片の寸法、L2は該成形体を80℃で168時間加熱した後の試験片の寸法である)
なお、寸法とは、発泡成形体から得られた試験片に記入した縦横それぞれ3本の直線の長さの平均値である。
寸法変化率が0.5%以下であるものを耐熱性有と評価する。
【0045】
実施例1
(ポリエチレン系樹脂粒子の作製)
直鎖状低密度ポリエチレン(エチレン・ヘキセン共重合体、メルトインデックス1.0g/10分、密度0.921g/ml、融点126℃)を押出機にて造粒し、L/D=0.9、平均粒径が0.8mmの略球状のポリエチレン系樹脂粒子を得た。なお、造粒時に気泡調整剤として、前記ポリエチレン100重量部に対して0.5重量部のタルクを添加した。
【0046】
(スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子の作製)
内容積100リットルのオートクレーブに純水40kg、分散剤としてピロリン酸マグネシウム200g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ20gを加えて水性媒体とし、上記ポリエチレン系樹脂粒子8kgを懸濁させ、回転数150rpmで撹拌した。
【0047】
これにスチレンモノマー16kg(ポリエチレン100重量部に対して200重量部)と重合開始剤として、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート(TBPOEHC)48g(スチレンモノマー100重量部に対して0.3重量部)を含んだ混合液を加え、60℃の温度で60分間放置し、ポリエチレン系樹脂中にスチレンモノマーを含浸させた。
【0048】
更に、119℃に昇温し3時間重合させた。スチレンモノマーの重合転化率が85%に達した後、119℃の温度で、スチレンモノマー16kg(ポリエチレン100重量部に対して200重量部)と重合開始剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート(TBPB)48g(スチレンモノマー100重量部に対して0.3重量部)を含んだ混合液を3時間かけて加えることで、ポリエチレン内部にスチレンモノマーを含浸させながら重合を行った。その後、140℃の温度に昇温して2時間維持し、残存モノマーを強制重合させて減少させた後、冷却してスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を取り出した。
ゲル分率を測定したところ、7.2重量%であった。ゲル分中のポリスチレン量は22.2重量%であり、重合スラリー中に含まれる粉末量は0.7重量%であった。ポリスチレン樹脂成分の分子量は、約32万であった。
【0049】
(スチレン改質ポリエチレン系発泡性樹脂粒子の作製及びその発泡性・成形性評価)
内容積50リットルの耐圧で密閉可能なV型ブレンダーに上記スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子20kg、トルエン400gを投入し、密閉してから回転させブタン(n−ブタン:i−ブタン=7:3、体積比、以下同じ)2800gを圧入した。そして、70℃の温度に昇温して4時間維持してブタンを含浸させた後、冷却してスチレン改質ポリエチレン系発泡性樹脂粒子を取り出した。
【0050】
取り出した発泡性樹脂粒子は、直ちに水蒸気で嵩密度33kg/m3に予備発泡させた。約24時間後、この予備発泡粒子を金型内に充填し、蒸気により加熱して予備発泡粒子を発泡させながら、発泡粒子同士を熱融着させ、密度33kg/m3の発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の圧縮強度は40N/cm2であり、落球衝撃値は85cmと高く、強度に優れたものであった。また、加熱寸法変化率は0.4%であった。
【0051】
実施例2
重合温度を121℃としたこと以外は、実施例1と同様に重合を進め、スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。
ゲル分率を測定したところ、26.5重量%であった。ゲル分中のポリスチレン量は31.9重量%であり、重合スラリー中に含まれる粉末量は0.8重量%であった。ポリスチレン樹脂成分の分子量は、約31万であった。
得られた予備発泡粒子の嵩密度は33kg/m3、発泡成形体の密度は33kg/m3であり、圧縮強度は42N/cm2であり、落球衝撃値は95cmと高く、強度に優れたものであった。また、加熱寸法変化率は0.3%であった。
【0052】
実施例3
重合温度を122℃としたこと以外は、実施例1と同様に重合を進め、スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。
ゲル分率を測定したところ、33.5重量%であった。ゲル分中のポリスチレン量は20.9重量%であり、重合スラリー中に含まれる粉末量は0.7重量%であった。ポリスチレン樹脂成分の分子量は、約30万であった。
得られた予備発泡粒子の嵩密度は33kg/m3、発泡成形体の密度は33kg/m3であり、圧縮強度は44N/cm2であり、落球衝撃値は95cmと高く、強度に優れたものであった。また、加熱寸法変化率は0.2%であった。
【0053】
実施例4
重合温度を123℃としたこと以外は、実施例1と同様に重合を進め、スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。
ゲル分率を測定したところ、20.8重量%であった。ゲル分中のポリスチレン量は22.1重量%であり、重合スラリー中に含まれる粉末量は0.6重量%であった。ポリスチレン樹脂成分の分子量は、約29万であった。
得られた予備発泡粒子の嵩密度は33kg/m3、発泡成形体の密度は33kg/m3であり、圧縮強度は42N/cm2であり、落球衝撃値は90cmと高く、強度に優れたものであった。また、加熱寸法変化率は0.3%であった。
【0054】
実施例5
重合温度を125℃としたこと以外は、実施例1と同様に重合を進め、スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。
ゲル分率を測定したところ、5.8重量%であった。ゲル分中のポリスチレン量は34.5重量%であり、重合スラリー中に含まれる粉末量は0.5重量%であった。ポリスチレン樹脂成分の分子量は、約28万であった。
得られた予備発泡粒子の嵩密度は33kg/m3、発泡成形体の密度は33kg/m3であり、圧縮強度は40N/cm2であり、落球衝撃値は85cmと高く、強度に優れたものであった。また、加熱寸法変化率は0.4%であった。
【0055】
実施例6
内容積100リットルのオートクレーブに純水40kg、分散剤としてピロリン酸マグネシウム200g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ20gを加えて水性媒体とし、実施例1で得たポリエチレン系樹脂粒子4.4kgを懸濁させ、回転数150rpmで撹拌した。
これにスチレンモノマー13.2kg(ポリエチレン100重量部に対して300重量部)とTBPOEHC39.6g(スチレンモノマー100重量部に対して0.3重量部)を含んだ混合液を加え、60℃の温度で60分間放置し、ポリエチレン系樹脂中にスチレンモノマーを含浸させた。
【0056】
その後、122℃に昇温し3時間重合させた。スチレンモノマーの重合転化率が85%に達した後、122℃の温度で、スチレンモノマー22.4kg(ポリエチレン100重量部に対して500重量部)とTBPB67.2g(スチレンモノマー100重量部に対して0.3重量部)を含んだ混合液を5時間かけて加えることで、ポリエチレン内部にスチレンモノマーを含浸させながら重合を行った。その後、140℃の温度に昇温して2時間維持し、残存モノマーを強制重合させて減少させた後、冷却してスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を取り出した。
【0057】
ゲル分率を測定したところ、38.5重量%であった。ゲル分中のスチレン量は21.3重量%であり、重合スラリー中に含まれる粉末量は0.8重量%であった。ポリスチレン樹脂成分の分子量は、約30万であった。
得られた樹脂粒子を用いること以外は実施例1と同様にして嵩密度33kg/m3の予備発泡粒子、密度33kg/m3の発泡成形体を得た。得られた成形体の圧縮強度は48N/cm2であり落球衝撃値は85cmと高く、強度に優れたものであった。また、加熱寸法変化率は0.2%であった。
【0058】
実施例7
内容積100リットルのオートクレーブに純水40kg、分散剤としてピロリン酸マグネシウム200gドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ20gを加えて水性媒体とし、実施例1で得られたポリエチレン系樹脂8.0kgを懸濁させ、回転数150rpmで撹拌した。
これにスチレンモノマー8.0kg(ポリエチレン100重量部に対して100重量部)とTBPB24.0g(スチレンモノマー100重量部に対して0.3重量部)を含んだ混合液を加え、60℃で60分間放置して、ポリエチレン系樹脂粒子中にスチレンモノマーを含浸させた後、119℃に昇温して3時間重合させた。スチレンモノマーの重合転化率が85%に達した後、121℃の温度でスチレンモノマー24.0kg(ポリエチレン100重量部に対して300重量部)とTBPB27.0g(スチレンモノマー100重量部に対して0.3重量部)を含んだ混合液を4時間かけて加えることで、ポリエチレン内部にスチレンを含浸させながら重合を行った。その後、140℃に昇温して2時間維持し、残存モノマーを強制重合させて減少させた後、冷却してスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を得た。この後、実施例1と同様にして予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。
【0059】
得られた樹脂粒子のゲル分率は7.2重量%であった。ゲル分中のポリスチレン量は25.0重量%であり、重合スラリーに含まれる粉末量は0.5重量%であった。ポリスチレン樹脂成分の分子量は、約30万であった。
得られた予備発泡粒子の嵩密度は33kg/m3、発泡成形体の密度は33kg/m3であり、圧縮強度は43N/cm2であり、落球衝撃値は85cmと高く、強度に優れたものであった。また、加熱寸法変化率は0.4%であった。
【0060】
実施例8
第1の重合温度を126℃とし、第1の重合開始剤にDCPを用いたこと以外は、実施例7と同様にして重合を進め、スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。
得られた樹脂粒子のゲル分率は3.5重量%であった。ゲル分中のポリスチレン量は22.8重量%であり、重合スラリーに含まれる粉末量は0.5重量%であった。ポリスチレン樹脂成分の分子量は、約30万であった。
得られた予備発泡粒子の嵩密度は33kg/m3、発泡成形体の密度は33kg/m3であり、圧縮強度は42N/cm2であり、落球衝撃値は85cmと高く、強度に優れたものであった。また、加熱寸法変化率は0.4%であった。
【0061】
実施例9
第1の重合温度を123℃、第2の重合温度を112℃とし、第2の重合開始剤にt−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート(TBPOTMH)を用いたこと以外は、実施例7と同様にして重合を進め、スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。
得られた樹脂粒子のゲル分率は3.2重量%であった。ゲル分中のポリスチレン量は24.4重量%であり、重合スラリーに含まれる粉末量は0.5重量%であった。ポリスチレン樹脂成分の分子量は、約34万であった。
得られた予備発泡粒子の嵩密度は33kg/m3、発泡成形体の密度は33kg/m3であり、圧縮強度は43N/cm2であり、落球衝撃値は85cmと高く、強度に優れたものであった。また、加熱寸法変化率は0.3%であった。
【0062】
実施例10
第1の重合温度を123℃、第2の重合温度を130℃とし、第2の重合開始剤にDCPを用いたこと以外は、実施例7と同様にして重合を進め、スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。
得られた樹脂粒子のゲル分率は3.8重量%であった。ゲル分中のポリスチレン量は24.2重量%であり、重合スラリーに含まれる粉末量は0.6重量%であった。ポリスチレン樹脂成分の分子量は、約24万であった。
得られた予備発泡粒子の嵩密度は33kg/m3、発泡成形体の密度は33kg/m3であり、圧縮強度は43N/cm2であり、落球衝撃値は85cmと高く、強度に優れたものであった。また、加熱寸法変化率は0.4%であった。
【0063】
実施例11
内容積100リットルのオートクレーブに純水40kg、分散剤としてピロリン酸マグネシウム200g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ20gを加えて水性媒体とし、実施例1で得られたポリエチレン系樹脂粒子8.0kgを懸濁させ、回転数150rpmで撹拌した。
これにスチレンモノマー8.0kg(ポリエチレン100重量部に対して100重量部)とTBPB48.0g(スチレンモノマー100重量部に対して0.6重量部)を含んだ混合液を加え、60℃で60分間放置して、ポリエチレン系樹脂粒子中にスチレンモノマーを含浸させた後、120℃に昇温して3時間重合させた。
【0064】
スチレンモノマーの重合転化率が90%に達した後、120℃の温度でスチレンモノマー24.0kg(ポリエチレン100重量部に対して300重量部)とTBPB144.0g(スチレンモノマー100重量部に対して0.6重量部)を含んだ混合液を4時間かけて加え、ポリエチレン内部にスチレンを含浸させながら重合を行った。その後140℃に昇温して2時間維持し、残存モノマーを強制重合させて減少させた後、冷却してスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を得た。この後、実施例1と同様にして予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。
【0065】
得られた樹脂粒子のゲル分率は19.6重量%であった。ゲル分中のポリスチレン量は25.0重量%であり、重合スラリーに含まれる粉末量は0.7重量%であった。ポリスチレン樹脂成分の分子量は、約26万であった。
得られた予備発泡粒子の嵩密度は33kg/m3、発泡成形体の密度は33kg/m3であり、圧縮強度は40N/cm2であり、落球衝撃値は90cmと高く、強度に優れたものであった。また、加熱寸法変化率は0.3%であった。
【0066】
実施例12
第1及び第2の重合時の重合開始剤の量を0.3重量部とし、重合転化率を95%としたこと以外は、実施例11と同様に重合を進め、スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。
ゲル分率を測定したところ、18重量%であった。ゲル分中のポリスチレン量は23.3重量%であり、重合スラリーに含まれる粉末量は0.3重量%であった。ポリスチレン樹脂成分の分子量は、約32万であった。
得られた予備発泡粒子の嵩密度は33kg/m3、発泡成形体の密度は33kg/m3であった。圧縮強度は46N/cm2であり、落球衝撃値は95cmと高く、強度に優れたものであった。また、加熱寸法変化率は0.2%であった。
【0067】
実施例13
内容積100リットルのオートクレーブに純水40kg、分散剤としてピロリン酸マグネシウム200g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ20gを加えて水性媒体とし、実施例1で得られたポリエチレン系樹脂粒子8.0kgを懸濁させ、回転数150rpmで撹拌した。
これにスチレンモノマー8.0kg(ポリエチレン100重量部に対して100重量部)とTBPB19.20g(スチレンモノマー100重量部に対して0.24重量部)を含んだ混合液を加え、60℃で60分間放置して、ポリエチレン系樹脂粒子中にスチレンモノマーを含浸させた。その後、120℃に昇温して3時間重合させた。スチレンモノマーの重合転化率が90%に達した後、120℃の温度でスチレンモノマー24.0kg(ポリエチレン100重量部に対して300重量部)とTBPB57.6g(スチレンモノマー100重量部に対して0.24重量部)を含んだ混合液を4時間かけて加えることで、ポリエチレン内部にスチレンを含浸させながら重合を行った。その後140℃に昇温して2時間維持し、残存モノマーを強制重合させて減少させた後、冷却してスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を得た。この後、実施例1と同様にして予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。
【0068】
得られた樹脂粒子のゲル分率は17.5重量%であった。ゲル分中のポリスチレン量は24.6重量%であり、重合スラリーに含まれる粉末量は0.5重量%であった。ポリスチレン樹脂成分の分子量は、約32万であった。
得られた予備発泡粒子の嵩密度は33kg/m3、発泡成形体の密度は33kg/m3であり、圧縮強度は46N/cm2であり、落球衝撃値は95cmであった。また、加熱寸法変化率は0.2%であった。
【0069】
比較例1
重合温度を117℃としたこと以外は、実施例1と同様に重合を進め、スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。
ゲル分率を測定したところ、0.3重量%であった。ゲル分中のポリスチレン量は、26.6重量%であった。重合スラリー中に含まれる粉末量は0.5重量%であった。ポリスチレン樹脂成分の分子量は、約33万であった。
得られた予備発泡粒子の嵩密度は33kg/m3、発泡成形体の密度は33kg/m3であり、圧縮強度は36N/cm2であり、落球衝撃値は80cmであり、加熱寸法変化率は0.8%であった。
【0070】
比較例2
重合温度を130℃とし、重合開始剤をジクミルパーオキサイド(DCP)としたこと以外は、実施例1と同様に重合を進め、スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。
ゲル分率を測定したところ、0.8重量%であった。ゲル分中のポリスチレン量は、25.0重量%であり、重合スラリー中に含まれる粉末量は0.8重量%であった。ポリスチレン樹脂成分の分子量は、約24万であった。
得られた予備発泡粒子の嵩密度は33kg/m3、発泡成形体の密度は33kg/m3であり、圧縮強度は38N/cm2であり、落球衝撃値は80cmと高く、強度に優れたものであったが、加熱寸法変化率は0.7%であった。
【0071】
比較例3
重合転化率が60%に達した時に追加のスチレンモノマーを添加すること以外は実施例1と同様に重合を進め、スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。
ゲル分率を測定したところ、5.6重量%であった。ゲル分中のポリスチレン量は21.4重量%であり、重合スラリーに含まれる粉末量は1.6重量%であった。ポリスチレン樹脂成分の分子量は、約32万であった。
得られた予備発泡粒子の嵩密度は33kg/m3、発泡成形体の密度は33kg/m3であった。また、重合がスムーズに行われなかったため、ポリスチレンの重合体粉末の発生が多く、発泡粒子の融着性が低下したため、圧縮強度は38N/cm2であり、落球衝撃値は60cmであった。また、加熱寸法変化率は0.8%であった。
【0072】
比較例4
第1の重合温度を117℃、第2の重合温度を121℃としたこと以外は、実施例7と同様にして重合を進め、スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。
得られた樹脂粒子のゲル分率は1.6重量%であった。ゲル分中のポリスチレン量は25.0重量%であり、重合スラリーに含まれる粉末量は0.5重量%であった。ポリスチレン樹脂成分の分子量は、約30万であった。
得られた予備発泡粒子の嵩密度は33kg/m3、発泡成形体の密度は33kg/m3であり、圧縮強度は38N/cm2であり、落球衝撃値は80cmであった。また、加熱寸法変化率は0.7%であった。
【0073】
比較例5
第1の重合温度を128℃とし、第1の重合開始剤にDCPを用いたこと以外は、実施例7と同様にして重合を進め、スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。
得られた樹脂粒子のゲル分率は1.8重量%であった。ゲル分中のポリスチレン量は25.0重量%であり、重合スラリーに含まれる粉末量は0.6重量%であった。ポリスチレン樹脂成分の分子量は、約30万であった。
得られた予備発泡粒子の嵩密度は33kg/m3、発泡成形体の密度は33kg/m3であり、圧縮強度は40N/cm2であり、落球衝撃値は80cmであった。また、加熱寸法変化率は0.7%であった。
【0074】
比較例6
第1の重合温度を123℃、第2の重合温度を110℃とし、第2の重合開始剤にTBPOTMHを用いたこと以外は、実施例7と同様にして重合を進め、スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。
得られた樹脂粒子のゲル分率は2.6重量%であった。ゲル分中のポリスチレン量は25.0重量%であり、重合スラリーに含まれる粉末量は0.5重量%であった。ポリスチレン樹脂成分の分子量は、約36万であった。
得られた予備発泡粒子の嵩密度は33kg/m3、発泡成形体の密度は33kg/m3であり、圧縮強度は37N/cm2であり、落球衝撃値は50cmであった。また、加熱寸法変化率は0.4%であった。
【0075】
比較例7
第1の重合温度を123℃、第2の重合温度を132℃とし、第2の重合開始剤にDCPを用いたこと以外は、実施例7と同様にして重合を進め、スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。
得られた樹脂粒子のゲル分率は1.8重量%であった。ゲル分中のポリスチレン量は24.4重量%であり、重合スラリーに含まれる粉末量は0.6重量%であった。ポリスチレン樹脂成分の分子量は、約22万であった。
得られた予備発泡粒子の嵩密度は33kg/m3、発泡成形体の密度は33kg/m3であり、圧縮強度は40N/cm2であり、落球衝撃値は80cmであった。また、加熱寸法変化率は0.7%であった。
【0076】
比較例8
内容積100リットルのオートクレーブに純水40kg、分散剤としてピロリン酸マグネシウム200g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ20gを加えて水性媒体とし、実施例1で得られたポリエチレン系樹脂粒子8.0kgを懸濁させ、回転数150rpmで撹拌した。これにスチレンモノマーを32.0kg(ポリエチレン100重量部に対して400重量部)とTBPB96g(スチレンモノマー100重量部に対して0.3重量部)を含んだ混合液を加え、60℃で60分間放置して、ポリエチレン系樹脂粒子中にスチレンモノマーを含浸させた後、121℃に昇温して5時間重合させた。その後、140℃に昇温して2時間維持し、残存モノマーを強制重合させて減少させた後、冷却してスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を得た。
【0077】
ゲル分率を測定したところ、1.7重量%であった。ゲル分中のポリスチレン量は20.6重量%であり、重合スラリーに含まれる粉末量は1.8重量%であった。ポリスチレン樹脂成分の分子量は、約32万であった。
重合スラリーに含まれる粉末量が多く、重合体粉末が融着性を阻害するため、良好な予備発泡粒子及び発泡成形品を得ることができなかった。
【0078】
比較例9
第1及び第2の重合時の重合開始剤の量を0.3重量部とし、重合転化率を75%としたこと以外は、実施例11と同様に重合を進め、スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。
ゲル分率を測定したところ、7.2重量%であった。ゲル分中のポリスチレン量は22.2重量%であった。また、過剰なスチレンモノマーが単独もしくはポリエチレン系樹脂粒子表面で重合するため、重合体粉末の発生が非常に多く、重合スラリーに含まれる粉末量は1.9重量%であった。ポリスチレン樹脂成分の分子量は、約32万であった。
得られた予備発泡粒子の嵩密度は33kg/m3、発泡成形体の密度は33kg/m3であった。圧縮強度は45N/cm2であった。また、ポリスチレンの重合体粉末の発生が多く、発泡粒子の融着性が低下したため、落球衝撃値は40cmと低いものであった。また、加熱寸法変化率は0.4%であった。
【0079】
実施例1〜13及び比較例1〜9の原料比及び重合条件を表1に、ゲル分率、ポリスチレン量、粉末量、ポリスチレン樹脂成分の分子量、圧縮強度、落球衝撃値及び加熱寸法変化率を表2にまとめて示す。
【0080】
【表1】

【0081】
【表2】

【0082】
実施例14
実施例1とは融点の異なる直鎖状低密度ポリエチレン(エチレン・ブテン共重合体:メルトインデックス 0.7g/10分 密度 0.922g/ml 融点 121℃)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン系樹脂粒子を得た。
内容積100リットルのオートクレーブに純水40kg、分散剤としてピロリン酸マグネシウム200g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ20gを加えて水性媒体とし、ポリエチレン系樹脂粒子8.0kgを懸濁させ、回転数150rpmで撹拌した。
【0083】
これにスチレンモノマー8.0kg(ポリエチレン100重量部に対して100重量部)とTBPB24.0g(スチレンモノマー100重量部に対して0.3重量部)を含んだ混合液を加え、60℃で60分間放置して、ポリエチレン系樹脂粒子中にスチレンモノマーを含浸させた。その後、118℃に昇温して3時間重合させた。
【0084】
スチレンモノマーの重合転化率が90%に達した後、118℃の温度でスチレンモノマー24.0kg(ポリエチレン100重量部に対して300重量部)とTBPB72.0g(スチレンモノマー100重量部に対して0.3重量部)を含んだ混合液を4時間かけて加えることで、ポリエチレン内部にスチレンを含浸させながら重合を行った。その後140℃に昇温して2時間維持し、残存モノマーを強制重合させて減少させた後、冷却してスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を得た。この後、実施例1と同様にして予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。
【0085】
得られた樹脂粒子のゲル分率は29.8重量%であった。ゲル分中のポリスチレン量は24.2重量%であり、重合スラリーに含まれる粉末量は0.5重量%であった。ポリスチレン樹脂成分の分子量は、約32万であった。
得られた予備発泡粒子の嵩密度は33kg/m3、発泡成形体の密度は33kg/m3であり、圧縮強度は43N/cm2であり、落球衝撃値は90cmと高く、強度に優れたものであった。また、加熱寸法変化率は0.2%であった。
実施例14の原料比、重合条件、粉末量、ゲル分率、ポリスチレン量及びポリスチレン樹脂成分の分子量、落球衝撃値、圧縮強度及び加熱寸法変化率を表3にまとめて示す。
【0086】
【表3】

【0087】
上記表3から、ポリエチレン系樹脂の融点を異ならせても、耐衝撃性、剛性、耐熱性に優れた発泡成形体を得られることが分かる。
【0088】
実施例15
内容積100リットルのオートクレーブに純水40kg、分散剤としてピロリン酸マグネシウム200g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ20gを加えて水性媒体とし、実施例1で得られたポリエチレン系樹脂粒子8.0kgを懸濁させ、回転数150rpmで撹拌した。
【0089】
これにスチレンモノマー3.2kg(ポリエチレン100重量部に対して40重量部)とDCP9.6g(スチレンモノマー100重量部に対して0.3重量部)を含んだ混合液を加え、60℃で60分間放置して、ポリエチレン系樹脂粒子中にスチレンモノマーを含浸させた後、126℃に昇温して3時間重合させた。
【0090】
スチレンモノマーの重合転化率が90%に達した後、122℃の温度でスチレンモノマー28.6kg(ポリエチレン100重量部に対して358重量部)とα−メチルスチレン0.2kg(ポリエチレン100重量部に対して2重量部)とTBPB86.4g(スチレンモノマー100重量部に対して0.3重量部)を含んだ混合液を5時間かけて加えることで、ポリエチレン内部にスチレンを含浸させながら重合を行った。その後140℃に昇温して2時間維持し、残存モノマーを強制重合させて減少させた後、冷却してスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を得た。この後、実施例1と同様にして予備発泡粒子及び発泡成形体を得た。
【0091】
得られた樹脂粒子のゲル分率は30.6重量%であった。ゲル分中のポリスチレン量は25.0重量%であり、重合スラリーに含まれる粉末量は0.8重量%であった。ポリスチレン樹脂成分の分子量は、約30万であった。
得られた予備発泡粒子の嵩密度は33kg/m3、発泡成形体の密度は33kg/m3であり、圧縮強度は42N/cm2であり、落球衝撃値は90cmと高く、強度に優れたものであった。また、加熱寸法変化率は0.2%であった。
実施例15の原料比、重合条件、粉末量、ゲル分、ポリスチレン量及びポリスチレン樹脂成分の分子量、落球衝撃値、圧縮強度及び加熱寸法変化率を表4にまとめて示す。
【0092】
【表4】

【0093】
上記表4から、2種のスチレンモノマーの混合物を使用しても、耐衝撃性、剛性、耐熱性に優れた発泡成形体を得られることが分かる。
以上のように、本発明によれば、ポリエチレン系樹脂粒子にスチレンモノマーを含浸重合させる際、重合開始剤の選択及び重合温度を制御することにより、ゲル分率を制御し、耐衝撃性、剛性、耐熱性等の物性を満足するスチレン改質直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂発泡粒子を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無架橋で直鎖状の低密度ポリエチレン系樹脂成分100重量部に対して、300重量部を超え1000重量部以下のスチレン系樹脂成分を含有する基材樹脂と揮発性発泡剤とを含み、前記低密度ポリエチレン系樹脂成分と前記ポリスチレン系樹脂成分とのグラフト重合体からなるゲル分が該基材樹脂中に2〜40重量%含まれ、密度33kg/cm3に発泡成形させたときの発泡成形体が85cm以上の落球衝撃値を有するスチレン改質直鎖状低密度ポリエチレン系発泡性樹脂粒子。
【請求項2】
請求項に記載のスチレン改質直鎖状低密度ポリエチレン系発泡性樹脂粒子を予備発泡させて得られた嵩密度20〜200kg/m3の予備発泡粒子。
【請求項3】
請求項に記載の予備発泡粒子を発泡成形させて得られた密度20〜200kg/m3の発泡成形体。

【公開番号】特開2008−81746(P2008−81746A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298384(P2007−298384)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【分割の表示】特願2005−504039(P2005−504039)の分割
【原出願日】平成16年3月22日(2004.3.22)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】