ステッピングモーターの駆動方法、ステッピングモーターの駆動装置およびステッピングモーターの駆動装置を備えた電子機器
【課題】低消費電力で確実なステッピング動作を実現するステッピングモーターの駆動方法、その駆動装置、及びその駆動装置を用いた電子機器をもたらす。
【解決手段】駆動パルスP1を含むパルスを出力しているパルス出力区間Xとパルスを出力していないパルス休止区間Yとを設け、パルス出力区間Xにおいて、最後に出力する最終駆動パルスPnの直後に当該最終駆動パルスPnと合体する継続パルスPxと、最初に出力する初回駆動パルスP1の直前に当該初回駆動パルスP1と合体する先導パルスPyとの少なくともいずれかをコイル103に出力する。
【解決手段】駆動パルスP1を含むパルスを出力しているパルス出力区間Xとパルスを出力していないパルス休止区間Yとを設け、パルス出力区間Xにおいて、最後に出力する最終駆動パルスPnの直後に当該最終駆動パルスPnと合体する継続パルスPxと、最初に出力する初回駆動パルスP1の直前に当該初回駆動パルスP1と合体する先導パルスPyとの少なくともいずれかをコイル103に出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステッピングモーターの駆動方法、ステッピングモーターの駆動装置およびステッピングモーターの駆動装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ステッピングモーターは、駆動パルスが入力されるコイルと永久磁石との磁気作用に基づいてローターがステップ駆動するものであり、多くの電子機器に搭載されている。またこのステッピングモーターを駆動する駆動装置は、少なくとも前記駆動パルスを含む駆動制御信号を前記コイルに出力する駆動制御部を有して構成されている。
【0003】
上記ステッピングモーターは、多くの電子機器に使用されている。例えば、プリンター用給紙装置の搬送ローラーを駆動するため、あるいは時計や計測器の表示針をステップ駆動するために用いられる。
【0004】
従来のステッピングモーターの駆動方法は、特許文献1に見られるようにステッピングモーターがステッピング動作を停止している期間は待機電流を流している。ステッピング動作を開始する段階になると、ステッピング動作を行わせる最初の駆動パルスの前段階から上記待機電流の値より大きなモーター電流を流し、ステッピングが可能な回転作動電流まで引き上げている。上記待機電流値から回転作動電流値まで引き上げる時に、段階的あるいは徐々にモーター電流を引き上げている。(特許文献1の要約、段落番号0009を参照)
【0005】
このため、ステッピングモーターの駆動開始時において、モーター電流を待機電流値から回転作動電流値まで引き上げるときに、段階的に或いは徐々にモーター電流を引き上げることにより、ステッピングモーター駆動開始時の振動を低減する。またステッピングモーターの停止時間が長いときの待機電流を低くして冷却ファンや放熱ファンなどを付加することなく消費電流を低減するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−330046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1は、ステッピングモーターが停止しているときでも待機電流を流しており、しかも常時流しているため、常時発熱している。この発熱により周囲部材を徐々に高温にし、モーター駆動制御回路を誤動作させ、磁気回路の特性を悪化し、ローターのステッピング動作を不安定にしている。加えて電流を常時流しており、電力を浪費する。
【0008】
本発明は、上記課題を解消するもので、低消費電力で確実なステッピング動作を実現するステッピングモーターの駆動方法、ステッピングモーターの駆動装置、及びステッピングモーターの駆動装置を用いた電子機器をもたらすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明のステッピングモーターの駆動方法は、永久磁石と駆動パルスが入力した際のコイルとの磁気作用によりローターがステップ駆動するステッピングモーターの駆動方法であって、前記駆動パルスを含むパルスを継続的に出力するパルス出力区間と前記パルスを継続的に出力せずかつ待機電流を流さないパルス休止区間とを設け、前記パルス出力区間において、最後に出力する駆動パルスである最終駆動パルスの直後に当該最終駆動パルスと実質的に合体する継続パルスと、最初に出力する駆動パルスである初回駆動パルスの直前に当該初回駆動パルスと実質的に合体する先導パルスと、の少なくともいずれかと前記駆動パルスとを前記コイルに出力することを前記コイルに出力することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、ステッピングモーターが継続的に停止している間はパルス休止区間であり、待機電流が流れない。従って待機電流による発熱がなく、周囲部材を高温にすることがない。このため、ステッピングモーターの駆動制御回路を誤動作させ磁気回路の特性を悪化させることはない。よって安定したステッピングモーターの駆動を実現できる。さらにパルス休止区間は待機電流を流さないため節電できる。
【0011】
本発明によれば、ステッピング動作を確実に行うことができる。
【0012】
本発明によれば、最終駆動パルスの出力後に当該最終駆動パルスと実質的に合体する継続パルスを出力するので、継続パルスに助長された最終駆動パルスは、ローターを所定ステップ位置へ確実に回転することができる。さらに継続パルスはパルス休止区間もローターを所定停止位置に停止し続け易くするので、次の初回駆動パルスはローターの回転駆動を確実に行いやすい。
【0013】
詳細に述べると、次の通りである。通常、駆動パルスが出力すると、ローターは所定停止位置から1ステップ先の所定ステップ位置まで回転する。しかし、場合によりローターが所定ステップ位置へ回転しないことがある。例えば、駆動パルスのパルス幅を極限まで狭くしたことによりローターのステップ駆動力が不十分の場合、ローターステップ回転中に衝撃等の突発的な外力を受けローターが所定ステップ位置まで回転できなかった場合、あるいは部品のバラツキによりローターが所定ステップ位置まで回転しなかった場合等である。これらの場合、通常の駆動パルスが出力されたにもかかわらず、ローターは所定ステップ位置へ回転せず、ステッピングモーターの負荷を正規に駆動できない。このためステッピングモーターの信頼性を損なう。
【0014】
本発明によれば、継続パルスは、最終駆動パルスの出力により所定ステップ位置近傍で回転中のローターを確実に上記所定ステップ位置に吸引する。このため最終駆動パルスだけではローターを所定ステップ位置へ回転できない前述の場合でも、継続パルスがローターを所定ステップ位置側に吸引し、このためローターを所定ステップ位置に回転させることができる。しかも継続パルスは、ローターを所定ステップ位置近傍の所定停止位置側に吸引する。このため、ローターは、パルス休止区間も所定停止位置に停止し続けることが容易となる。従って次のパルス出力区間になった際、初回駆動パルスがローターの回転駆動を確実に行うことができる。
【0015】
本発明によれば、初回駆動パルスの出力前に当該初回駆動パルスと実質的に合体する先導パルスを出力するので、先導パルスに助長された初回駆動パルスは、ローターを所定ステップ位置へ確実に回転することができる。
【0016】
ローターは、時にはパルス休止区間に本来の停止位置に停止していない(非所定停止位置に停止している)場合があり得る。例えば、パルス休止区間に停止しているローターが衝撃等の突発的な外力を受けて多少回転しそのまま停止した場合、あるいは部品のバラツキによりローターが本来の停止位置に停止していない場合である。また、パルス出力区間になり初回駆動パルスが出力されてもローターが所定ステップ位置に駆動されない場合があり得る。例えば、駆動パルスのパルス幅を極限まで狭くしたためローターのステップ駆動が不十分である場合等である。上記のようにローターが非所定停止位置に停止した場合及び初回駆動パルスが出力されてもローターが所定ステップ位置に駆動されない場合は、次の通常の駆動パルスが出力されても、ローターは所定ステップ位置へ回転されず、ステッピングモーターの負荷を正規に駆動できない。ステッピングモーターの信頼性を損なう。
【0017】
本発明は、パルス休止区間にローターが停止している際に、上記のようにローターが非所定停止位置に停止していたとしても、先導パルスは、このローターを所定ステップ位置側に吸引し、初回駆動パルスの動作を助長する。このため、先導パルスに助長された初回駆動パルスは、ローターを所定ステップ位置へ確実に回転することができる。
【0018】
本発明は、前記継続パルスと前記先導パルスのどちらか一方だけを出力してもよく、あるいは、両者を出力してもよい。継続パルスと先導パルスの双方が出力される場合には、前述した継続パルスの作用効果と先導パルスの作用効果を合わせ持つと共に、両者による相乗効果をもたらす。即ち、継続パルスは、ローターを所定停止位置側に吸引し所定停止位置側に確実に停止させるので、ローターを上記の非所定停止位置に停止させる機会を少なくし、かつ例え非所定停止位置に停止する場合でも所定停止位置の近傍とすることが出来る。この状態で先導パルスが出力する。先導パルスはローターを所定ステップ位置側により確実に吸引しやすくなる。従って、初回駆動パルスがローターをより確実に所定ステップ位置に回転することが出来る。
【0019】
なお、継続パルスが最終駆動パルスと実質的に合体する、及び先導パルスが初回駆動パルスに実質的に合体するとは、両者間に時間差がない場合と、僅かに時間差がある場合とを含む。上記多少の時間差は、継続パルスが最終駆動パルスにより所定ステップ位置の近傍へ回転したローターを確実に上記所定ステップ位置側に吸引できる時間差である。また、上記多少の時間差は、ローターの停止している位置が所定停止位置から多少ずれていたとしても先導パルスがローターを所定停止位置側に吸引し初回駆動パルスによりローターを所定ステップ位置まで駆動できる時間差である。また上記合体は、継続パルスと最終駆動パルスはコイル内で同じ電流方向でほぼ同じ電圧であり、先導パルスと初回駆動パルスはコイル内で同じ電流方向でほぼ同じ電圧である状態になる。
【0020】
(2)本発明のステッピングモーターの駆動方法は、(1)に記載されたステッピングモーターの駆動方法であって、前記パルス出力区間と前記パルス休止区間とは、所定時間が定められた1サイクル中に設けられていることが好ましい。
【0021】
本発明によれば、前記パルス出力区間と前記パルス休止区間とは、所定時間が定められた1サイクル中に設けられているので、何サイクルでも同様の形態でステッピングモーターを継続して安定的に駆動することが出来る。さらに、ステッピングモーターの出力先の負荷の必要に応じて、各サイクル中でパルス出力区間を適宜変更することもできる。このため、負荷の必要性に柔軟に対応することが出来る。例えば、ステッピングモーターが時計針を30秒間隔で駆動する場合、針が所定位置まで駆動されたか否かを針位置検出手段で検出し、所定位置まで駆動されなかった際には所定位置まで駆動パルスを出力する。この場合は、パルス出力区間を長くすることになる。このため、針を所定位置まで正確に駆動することが出来る。
【0022】
(3)本発明のステッピングモーターの駆動方法は、(1)または(2)に記載されたステッピングモーターの駆動方法であって、前記継続パルスと前記先導パルスとが出力され、前記継続パルスのパルス幅は前記先導パルスのパルス幅よりも長く設定されていることが好ましい。
【0023】
本発明によれば、継続パルスと先導パルスの双方が出力される。従って、前述した継続パルスの作用効果と先導パルスの作用効果及び双方による相乗効果を有する。この場合、継続パルスのパルス幅(パルスの出力時間)を十分長くすることができるので、駆動直後のローターを所定停止位置側により確実に停止させることができる。従って、パルス休止区間中、ローターは磁気的安定位置である所定停止位置に停止することになる。この状態で外力が加わったとしても、もともとローターが磁気的安定位置に停止しているため、外力による位置ずれは起こりにくい。例え外力により多少の位置ずれが生じても、もとの磁気的安定位置に戻りやすい。以上のように停止中のローターは所定停止位置の近傍に停止することになるので、先導パルスが出力された際に、先導パルスはローターを所定ステップ位置に駆動し易くなる。このため先導パルスのパルス幅を狭くすることが出き、消費電力を節約できる。
【0024】
(4)本発明のステッピングモーターの駆動方法は、(1)から(3)のうちいずれかに記載されたステッピングモーターの駆動方法であって、前記駆動パルスは、パルス幅が一定であり、前記継続パルスと先導パルスの少なくとも一方のパルス幅は、前記駆動パルスのパルス幅の整数倍に設定されていることが好ましい。
【0025】
本発明によれば、駆動パルスのパルス幅は一定であるので、ローターのステップ駆動が安定する。しかもパルスを形成し出力するパルス形成回路やその出力回路等の駆動制御部を単純化できる。また、先導パルスと継続パルスのパルス幅を、駆動パルスのパルス幅の整数倍で構成すると、上記パルス形成回路を用いて形成できる。従って、先導パルスと継続パルスの形成回路も容易に形成でき、回路動作が迅速で低消費電力化と低コスト化を実現する。
【0026】
(5)本発明のステッピングモーターの駆動装置は、永久磁石と駆動パルスが入力した際のコイルとの磁気作用によりローターがステップ駆動するステッピングモーターの駆動装置であって、前記駆動装置は、少なくとも前記駆動パルスを前記コイルに出力する駆動制御部を有し、前記駆動制御部は、前記駆動パルスを含むパルスを継続的に出力するパルス出力区間と前記パルスを継続的に出力せずかつ待機電流を流さないパルス休止区間とを設定し、前記パルス出力区間において、最後に出力する駆動パルスである最終駆動パルスの直後に当該最終駆動パルスと実質的に合体する継続パルスと、最初に出力する駆動パルスである初回駆動パルスの直前に当該初回駆動パルスと実質的に合体する先導パルスとの少なくともいずれかと、前記駆動パルスとを前記コイルに出力することを特徴とする。
【0027】
上記本発明によれば、ステッピングモーターが継続的に停止しているパルス休止区間は、待機電流が流れず、発熱がなく、周囲部材を高温にすることがない。このため、ステッピングモーターの駆動制御回路を含んだ駆動制御部を誤動作させ、また磁気回路の特性を悪化させることはない。よって安定したステッピングモーターの駆動を実現できる。加えてパルス休止区間は節電できる。さらに継続パルスと先導パルスとの少なくともいずれかにより、前述したように確実なローターのステッピング動作を実現する。
【0028】
(6)本発明のステッピングモーターの駆動装置は、(5)に記載されたステッピングモーターの駆動装置であって、前記パルス出力区間と前記パルス休止区間は、所定時間が定められた1サイクル中に設けられていることが好ましい。
【0029】
本発明によれば、前記パルス出力区間と前記パルス休止区間とは、所定時間が定められた1サイクル中に設けられているので、何サイクルでも同様の形態でステッピングモーターを継続して安定的に駆動することが出来る。さらに、ステッピングモーターの出力先の負荷の必要に応じて、各サイクルの中で前記パルス出力区間を適宜可変できる。このため、負荷の必要性に柔軟に対応することが出来る。
【0030】
(7)本発明のステッピングモーターの駆動装置は、(5)に記載されたステッピングモーターの駆動装置であって、時間を設定可能な時間設定部をさらに備え、前記時間設定部は、前記駆動パルス、前記パルス出力区間、前記パルス休止区間、前記継続パルス、前記先導パルスの少なくともいずれかの時間間隔または出力タイミングを設定可能であり、前記駆動制御部は、前記設定された時間間隔または出力タイミングに基づいた前記継続パルスと前記先導パルスとの少なくともいずれかと前記駆動パルスとを前記コイルに出力することが好ましい。
【0031】
上記本発明によれば、上記時間設定部を用いて、前記駆動パルス、前記パルス出力区間、前記パルス休止区間、前記継続パルス、前記先導パルスの少なくともいずれかの時間間隔または出力タイミングを、ステッピングモーターの使用状況により最適に設定することが出来る。
【0032】
(8)本発明のステッピングモーターの駆動装置は、(6)に記載されたステッピングモーであって、時間を設定可能な時間設定部をさらに備え、前記時間設定部は、前記1サイクルの前記所定時間、前記駆動パルス、前記パルス出力区間、前記パルス休止区間、前記継続パルス、前記先導パルスの少なくともいずれかの時間間隔または出力タイミングを設定可能であり、前記駆動制御部は、前記設定された時間間隔または出力タイミングに基づいて、前記1サイクル毎に前記継続パルスと前記先導パルスとの少なくともいずれかと前記駆動パルスとを前記コイルに出力することが好ましい。
【0033】
上記本発明によれば、上記時間隔設定部を用いて、前記1サイクルの前記所定時間、前記駆動パルス、前記パルス出力区間、前記パルス休止区間、前記継続パルス、前記先導パルスの少なくともいずれかの時間間隔または出力タイミングを、ステッピングモーターの使用状況により最適に設定することが出来る。
【0034】
(9)本発明の電子機器は、(5)から(8)のうちいずれかに記載されたステッピングモーターの駆動装置を備えたことを特徴とする。
【0035】
上記本発明によれば、前述した(5)から(8) のうちいずれかの作用効果を有する電子機器を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態1のスッテッピングモーター101の平面図。
【図2】本発明の実施形態1のスッテッピングモーター101周辺の機能ブロック図。
【図3】本発明の実施形態1のスッテッピングモーター101に供給される駆動パルスの出力状態を表す図。
【図4】本発明の実施形態1のスッテッピングモーター101におけるローター105の動作図。
【図5】最終駆動パルスPnと継続パルスPxによるローター105の回転動作を示す図。
【図6】本発明の実施形態2のスッテッピングモーター101に供給される駆動パルスの出力状態を表す図。
【図7】本発明の実施形態2のスッテッピングモーター101におけるローター105の主な動作図。
【図8】本発明の実施形態4のスッテッピングモーター201の外観斜視図。
【図9】図8のスッテッピングモーター201の主要部断面図。
【図10】図8のスッテッピングモーター201におけるステーターコア対214の斜視図。
【図11】本発明の実施形態4のスッテッピングモーター201に供給される駆動パルスの出力状態を表す図。
【図12】本発明の実施形態7のスッテッピングモーター101、201周辺の機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明を具体的な実施形態に基づいて説明する。
【0038】
実施形態1〜実施形態3のステッピングモーター101の駆動方法は、ローター磁石107と駆動パルスP1〜P5、Pn−1、Pnが入力した際のコイル103との磁気作用によりローター105がステップ駆動するステッピングモーター101の駆動方法であって、前記駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnを含むパルスを継続的に出力するパルス出力区間Xと前記パルスを継続的に出力せずかつ待機電流を流さないパルス休止区間Yとを設け、前記パルス出力区間Xにおいて、最後に出力する駆動パルスである最終駆動パルスPnの直後に当該最終駆動パルスPnと実質的に合体する継続パルスPxと、最初に出力する駆動パルスである初回駆動パルスP1の直前に当該初回駆動パルスP1と実質的に合体する先導パルスPyと、の少なくともいずれかと前記駆動パルスP1〜P5、Pn−1、Pnとを前記コイル103に出力して前記ローター105をステップ駆動するものである。
【0039】
また実施形態1〜実施形態3のステッピングモーター101の駆動装置108は、ローター磁石107と駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnが入力した際のコイル103との磁気作用によりローター105がステップ駆動するステッピングモーター101の駆動装置108であって、前記駆動装置108は、少なくとも前記駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnを前記コイル103に出力する駆動制御部110を有し、前記駆動制御部110は、前記駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnを含むパスルを継続的に出力するパルス出力区間Xと前記パルスを継続的に出力せずかつ待機電流を流さないパルス休止区間Yとを設定し、前記パルス出力区間Xにおいて、最後に出力する駆動パルスである最終駆動パルスPnの直後に当該最終駆動パルスPnと実質的に合体する継続パルスPxと、最初に出力する駆動パルスである初回駆動パルスP1の直前に当該初回駆動パルスP1と実質的に合体する先導パルスPyとの少なくともいずれかと、前記駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnとを前記コイル103に出力させるものである。
【0040】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1は、コイルと、該コイルに通電する駆動パルスにより励磁されるステーター及びローターを有し、ローターをステッピング駆動するステッピングモーターに関する。図1は実施形態1のステッピングモーター101の平面図、図2は実施形態1のスッテッピングモーター101周辺の機能ブロック図、図3は実施形態1のスッテッピングモーター101に供給される駆動パルスの出力状態を表す図及び図4は実施形態1のスッテッピングモーター101におけるローター105の動作図である。
【0041】
[ステッピングモーターの構造]
図1において、101はステッピングモーターである。ステッピングモーター101は、ステーター102、コイル103、コイル103が外周に巻き付かれた磁心104及びステーター102のローター挿入孔102aに回転可能に挿入されたローター105を備えている。
【0042】
ステーター102は、磁性材からなり平面形状が略コ字状であり、上側の中央にはローター挿入孔102aが形成され、下側の左右には連結ピン106により磁心104が固定されている。ステーター102は、ローター挿入孔102aの近傍に2つのノッチ対を備えている。第1のノッチ対は、ローター挿入孔102aより外縁に形成された外ノッチ102b、102bである。第2のノッチ対は、ローター挿入孔102aの内縁に形成された内ノッチ102c、102cである。外ノッチ102b、102bは、ローター挿入孔102aの中心に対して図1紙面のほぼ上側と下側の対向位置に形成されている。外ノッチ102b、102bは、駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnがコイル103に入力すると、外ノッチ102b、102bの各中心点を結んだ仮想線(以下、外ノッチ対中心線Lと称する。図4の(2)を参照)に対して左側部分と右側部分とにN極とS極又はS極とN極を励磁させる。
【0043】
ステーター102の外ノッチ102b、102b及び内ノッチ102c、102cは、ローター挿入孔102aの中心を挟んだほぼ対向する平面位置、すなわち互いにほぼ180度回転した平面位置に形成されている。各外ノッチ102b、102bの前記外ノッチ対中心線Lは、各内ノッチ102c、102cの各中心位置を結んだ内ノッチ対中心線Mに対し角度θだけ傾斜している。内ノッチ対中心線Mは、外ノッチ対中心線Lに対してローター挿入孔102aの中心を中心に前記角度θ(5〜20度)だけ半時計回り寄りに形成されている。
【0044】
コイル103は、磁心104に巻かれている。コイル103の一端103aと他端103bは、後述する駆動回路としての駆動制御部110に接続している。駆動制御部110は、駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnを形成し、前記駆動パルスをコイル103に出力する。駆動制御部110は、前記駆動パルスをコイル103の一端103aから入力するか、他端103bから入力するかを制御している。その制御により、ローター挿入孔102a周囲のステーター102において、外ノッチ対中心線Lの左側部分と右側部分に励起される各々の磁極は異なる。
【0045】
磁心4は、磁性材からなり平面形状が長方形で、外周にコイル103が巻かれており、両端は連結ピン106によりステーター102に結合している。前述のようにコイル103に駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnが入力すると磁心104に磁界が励起されるが、磁心104はステーター102と一体化しており、ステーター102も同様に励起する。磁心104がステーター102と別部品であるので、ステーター102に結合される前の磁心104単体にコイル103を巻くことができる。
【0046】
ローター105は、ローター挿入孔102aに挿入されて回転する。このためローター105の回転軸であるローター回転軸は、その両端が一対のローター受部材(図示せず)に回転可能に保持されている。またローター回転軸には、永久磁石からなる円柱状のローター磁石107が固定されている。ローター磁石107は、外周の1/2がN極に、他の1/2がS極に着磁され、ローター挿孔102a内に挿入されている。ローター105は、ローター磁石107の円外縁にN極とS極とが1つづつ配置された2極ローターである。ローター回転軸は、小歯車(図示せず)を同軸に固定している。この小歯車は、後述する負荷111を回転駆動する歯車列(図示せず)に噛合している。
【0047】
[ステッピングモーター周辺の構成]
図2は、上記スッテッピングモーター101周辺の機能ブロック図である。図2において、108は駆動装置、109は電源、110は駆動制御部、111は負荷である。駆動装置108は、駆動制御部110を含む。
【0048】
前記電源109は、電池、交流電源等の電力源に接続してステッピングモーター101を駆動可能な所定電圧に降圧または昇圧する電圧変換器を備え、前記電力源が交流の場合には直流に整流する整流器を備えている。
【0049】
駆動制御部110は、電源109から供給される電力を用いてステッピングモーター101を駆動制御する。駆動制御部110は、駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pn及び継続パルスPxを生成し、それらのパルスをステッピングモーター101に供給する。
駆動制御部110には、1サイクルの時間間隔、1サイクルの中のパルス出力区間X及びパルス休止区間Yの時間間隔、駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pn及び継続パルスPxのパルス幅(パルスの出力時間)とその出力タイミングが予め設定されている。このため、駆動制御部110は、予め設定された時間間隔でパルス出力区間Xとパルス休止区間Yを制御しており、予め設定されたパルス幅とタイミングで駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pn及び継続パルスPxをコイル103に出力している。
【0050】
負荷111は、ステッピングモーター101が駆動する駆動対象である。負荷111の具体例は、時計の時刻表示針としての分針と時針とそれらに回転駆動力を伝達する歯車列である。ステッピングモーター101は、この分針及び時針を例えば30秒間隔で間欠駆動する。分針と時針は歯車で連動している。なお、秒針を備えている時計の場合は、上記ステッピングモーター101とは別の秒針駆動用ステッピングモーターと秒針駆動用歯車列を備える。
【0051】
[駆動パルス関係]
図3はスッテッピングモーター101に供給される駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnの出力状態を表す図で、図3の(1)は駆動パルスのタイミングチャート、図3の(2)は電源電圧の印加状態を表す図である。
【0052】
図3の(1)において、P1〜P5・・・Pn−1、Pnは駆動パルスであり、その駆動パルスパルス幅は全て等しい。このため駆動制御部110によるパルス形成が容易であり、そのパルス生成回路の動作が単純になり消費電力が軽減される。Pxは継続パルスである。駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnと継続パルスPxは、駆動制御部110により生成され、コイル103に出力される。駆動パルスP1、P3、P5・・・Pn−1は、駆動パルスP2、P4・・・Pnの極性と反対の極性である。具体的には駆動制御部110により各駆動パルスが次のようにコイル103に出力される。駆動パルスP1、P3、P5・・・Pn−1は、コイル103の一端103aに入力し他端103bから出力する。するとステーター102のローター挿入孔102a周辺には、図4の(2)のように外ノッチ対中心線Lに対して図面に向かって左側にS極、右側にN極が励磁される。また駆動パルスP2、P4・・・Pn、及び継続パルスPxは、コイル103の他端103bに入力し一端103aから出力する。するとステーター102のローター挿入孔102a周辺には、図4の(4)のように外ノッチ対中心線Lの左側にN極、右側にS極が励磁される。すなわち図4の(2)とは逆の極が励磁される。なお、コイル103の巻き方を逆にすれば、上記S極とN極が逆側に励磁される。
【0053】
図3において、各駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnが各々出力されると、ローター105が2極ローターであるから、ローター105は各々半回転する。また駆動パルスP1の始点t1から駆動パルスP2の終点t4までの期間でローター105がほぼ1回転するから、ローター1回転期間にほぼ相当する。
【0054】
全てのパルス、すなわち駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnと継続パルスPxが出力されている区間は、パルス出力区間Xである。どのパルスも継続的に出力されていない区間は、パルス休止区間Yである。パルス出力区間Xは、初回駆動パルスP1の始点t1〜継続パルスPxの終点txの区間である。パルス休止区間Yは、継続パルスPxの終点tx〜次の初回駆動パルスP1の始点t1の区間である。初回駆動パルスP1の始点t1〜次の初回駆動パルスP1の始点t1の間は、便宜上1サイクルと称する。
【0055】
電源電圧の印加状態は、図3の(2)のように、パルス出力区間Xでは電源電圧がON状態であり、パルス休止区間Yでは電源電圧はOFF(電圧ゼロ)状態である。パルス休止区間Yでは、電源電圧の待機電流は流れない。すなわち、電源109は、駆動制御部110により制御されて、前記パルス出力区間Xでは駆動パルスを出力できるよう電源電圧出力状態下にあるが、前記パルス休止区間Yでは電源電圧非出力状態下にある。
【0056】
上記1サイクル中においてパルス出力区間Xとパルス休止区間Yを設けることは、ステッピングモーター101が負荷111である時計の指針(図示せず)を駆動する場合に好ましい。上記ステッピングモーター101は、そのローター105の回転で時計歯車列(図示せず)を回転し指針を回転駆動する。その場合、例えば指針である分針を分針駆動用のステッピングモーター101で回転するが、例えば30秒毎に30秒分を瞬間的に回転する表示タイプ(間欠表示タイプ)である。間欠表示タイプの方が、常時表示タイプよりも、ステッピングモーターの消費電力が少ない。
【0057】
上記分針駆動用ステッピングモーター101の駆動において、30秒を1サイクルとした1サイクルの中に、パルス出力区間Xとパルス休止区間Yとが設けられており、パルス出力区間Xの中で出力される駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnが分針を一気に30秒分だけ回転する。上記1サイクルの中のパルス休止区間Yでは、上記駆動パルスは出力しない。さらに30秒が経過すると、次の1サイクルが同様に行われる。
【0058】
前述した1サイクル中において、ステッピングモーター101の負荷111の必要に応じて前記パルス出力区間Xを可変とすることができる。前述の可変の必要性は、次の場合である。上記分針は、30秒経過するたびに分ステッピングモーター101は一気に30秒分回転する。その場合、30秒毎の所定位置に分針が到達したか否かをつど分針位置検出装置で検出し、その検出信号が出力するまで分針駆動用ステッピングモーターを駆動する。その際、駆動パルスのパルス数を所定パルス数に対して増減させる必要が生じる場合がある。所定パルス数が出力されても、突発的外乱が生じるなど何らかの原因によりローター105が所定位置まで回転しなかった場合があり、その場合には追加の駆動パルスを出力する。逆に所定パルス数が出力するとローター105が所定位置を越えて次の所定位置まで回転し過ぎる場合もあり、その場合が繰り返されると予め所定パルス数を減じる必要がある。本実施形態では、1サイクルの中にパルス休止区間Yが設けられているので、駆動パルス数の増減、つまりパルス出力区間Xの間隔を変更することが容易にでき、しかも30秒1サイクルの間隔を変更させないようにすることが出来る。したがって、30秒の所定間隔での間欠駆動を繰り返すことができ、分針による正確な時刻表示を継続することができる。
【0059】
なお、継続パルスPxが最終駆動パルスPnと実質的に合体するとは、継続パルスPxが最終駆動パルスPnの後に時間を置かずに出力され、その際、継続パルスPxと最終駆動パルスPnは、コイル103内で同じ方向に電流が流れかつほぼ同じ電圧である状態をいう。
【0060】
[ローターの回転動作]
駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnと継続パルスPxがコイル103に出力された際のローター5の回転動作を、図4の各図に沿って説明する。
【0061】
まず図3の(1)の駆動パルスのタイミングチャートにおいて、図3の(1)の左側の最初の駆動パルスP1が出力される始点t1以前(左側)の期間は、駆動パスルが何も出力されていない。その期間は、前のパルス休止区間Yである。前記の前のパルス休止区間Yではローター105は、図4の(1)に図示したローター位置に停止している。その際、ローター105は、図4の(1)図示のように内ノッチ102c、102cを結ぶ内ノッチ対中心線Mに対してほぼ直交方向にN極とS極を向けて停止している。この停止状態のローター105は、ローター磁石107の右上側がN極に位置するよう予め組み立てられている。
【0062】
その後、駆動制御部110により設定された始点t1に至ると、最初の駆動パルス(初回駆動パルス)P1がコイル103に出力される。駆動パルスP1は、始点t1から終点t2まで電流が流れるパルスであり、駆動制御部110により当該パルス電流がコイル103の一端103aに入力し他端103bから出力する。ステーター102は、コイル103により励磁され、図4の(2)のように外ノッチ対中心線Lに対して左側にS極、右側にN極が励磁される。するとローター磁石107の右上の実線矢印のN極が、ステーター102のN極に反発し、同時にステーター102のS極に吸引される。このためローター105は、図4の(2)の実線矢印が鎖線矢印まで反時計回りに回転する。駆動パルスP1の始点t1〜終点t2の期間は駆動パルスP1のパルス幅と称される。このパルス幅は、省エネルギー化のため、ローター105が実線矢印から鎖線矢印まで回転する期間より短くされている。こうしてローター105は、図4の(2)の鎖線矢印まで回転し停止する。次にt2〜t3の期間は、駆動パルスが出力しない期間である。この時のローター105は、図4の(3)に図示されており、ローター磁石107のN極は、図4の(1)に対して180度回転した位置である。この時のローター105の停止位置は、図4の(2)の鎖線矢印位置に対して前記角度θだけ半時計回りに回転した磁気的安定位置である。
【0063】
次に駆動制御部110により設定された始点t3に至ると、2番目の駆動パルスP2がコイル103に出力する。駆動パルスP2は、始点t3〜終点t4まで電流が流れているパルスであり、駆動制御部110により当該電流がコイル103の他端103bに入力し一端103aから出力する。ステーター102は、コイル103により励磁され、図4の(4)のようにステーター102の外ノッチ対中心線Lに対して左側にN極、右側にS極が励磁される。するとローター磁石107の左下の実線矢印のN極が、ステーター102のN極に反発し、同時にステーター102のS極に吸引される。このためローター105は、図4の(4)の実線矢印が鎖線矢印まで反時計回りに回転する。こうしてローター105は、図4の(4)の鎖線矢印位置まで回転し停止する。次にt4〜t5の期間は、駆動パルスが出力しない期間である。このときのローター105位置は、図4の(5)に図示されており、ローター磁石107のN極は、図4の(1)と同じ位置の時期的安定位置であり、図4の(3)に対して180度回転した位置である。以上、駆動パルスP1とP2により、ローター105は1回転(360度)回転する。以下、P3、P4、P5・・・Pnが順次出力されて、前述のようにローター105が回転及び停止を繰り返してゆく。なお、駆動パルスP3、P5・・・Pn−1によるローター105の回転は、駆動パルスP1の場合と同様である。また、駆動パルスP4・・・Pnによるローター105の回転は、駆動パルスP2の場合と同様である。
【0064】
各駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnが出力している出力期間(パルス幅)は、ローター105が当該駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnにより回転し始める回転開始時点から次の所定停止位置に至るまで(180度回転)のローター所定回転時間より短く設定されている。従って、ローター105は、上記駆動パルスにより回転開始された後、途中まで上記駆動パルスにより回転駆動力を受けるが、回転の途中で駆動パルスが停止するので、ローター自身の回転慣性で次の所定停止位置まで回転する。従ってローター105は前記次の所定停止位置を多少通過し、またもとに多少戻るという振動動作を行った後、前記所定停止位置に停止する。なお、上記パルス幅が上記ローター所定回転時間より短く設定されているのは、電力の省力化のためである。
【0065】
前記駆動制御部110により定められた前記パルス出力区間Xにおいて最後の駆動パルスである最終駆動パルスPnが出力すると、前記駆動制御部110により継続パルスPxが出力する。継続パルスPxは、最終駆動パルスPnとの間に時間を置かず同じ極性と同じ電圧で出力されるので、最終駆動パルスPnと一体となる。継続パルスPxは、最終駆動パルスPnと同様にコイル103の他端103bに入力し一端103aから出力する。従って、継続パルスPxは、最終駆動パルスPnと同様で図4の(4)のように、ステーター102において外ノッチ中心線Lに対して左側にN極、右側にS極を励磁する。上記最終駆動パルスPnの出力により、ローター105は、図4の(4)の鎖線矢印位置に回転する。ここで継続パルスPxが出力されなかったとすると、ローター105は、内ノッチ対中心線Mに対して直交する方向にN極を向けた図4の(5)の位置に停止する。しかし前述のように継続パルスPxが出力されると、その出力期間tn〜txの間、ローター105は図4の(4)の鎖線矢印位置に留まり続ける。その状態が図4の(6)に図示されている。継続パルスPxの出力が停止すると、ローター105は、図4の(5)の磁気的安定位置に停止し続ける。この際、ローター105は、磁気的安定位置でローター磁石107がステーター102に最も強力に吸引していること、負荷111である時計歯車列及び指針が回転しようとする際には回転抵抗が存在することにより、磁気的安定位置に留まり続ける。ローター105は、次のパルス出力区間Xになって次の初回駆動パルスP1が出力されると、図4の(2)のように、正しく回転駆動できる。
【0066】
ここで、最終駆動パルスPnと継続パルスPxがローター105を回転する状態を図5に沿って詳述する。図5は、最終駆動パルスPnと継続パルスPxによるローター105の回転動作を示す図である。図5において、最終駆動パルスPnによりローター105が回転を開始するローター回転開始位置イ(図4の(4)の実線矢印位置、図3のtn−1時点の位置)から次のローター所定ステップ位置ロ(図4の(4)の鎖線矢印位置)までをローター1ステップ回転区間γとする。図5のハは、最終駆動パルスPnが出力を終了する最終駆動パルス終了位置である。最終駆動パルスPnは、ローター105をローター1ステップ回転区間γの途中のハ位置まで回転させる。ローター回転開始位置イ〜最終駆動パルス終了位置ハは、最終駆動パルスPnがローター105を回転駆動するパルス駆動区間αである。継続パルスPxは、上記ハ位置以降(ロ位置に向かう方向)において出力される。βは、継続パルスPxが出力している区間の継続パルス駆動区間である。
【0067】
ここで、最終駆動パルスPnのパルス駆動区間αはローター1ステップ回転区間γより短く設定されている。そこで、前記継続パルス出力区間βは、図5のように、最終駆動パルス出力終了位置ハから次の所定ステップ位置ロ付近までローター105を回転させる区間である。継続パルスPxは、図5の様に最終駆動パルスPnと同様にステーター102の右側に鎖線矢印のN極を吸引するS極を励起するので、その出力時間(パルス幅)は相当長くてもよい、好ましい継続パルスPxのパルス幅は、最終駆動パルスPnのパルス幅の整数倍であり、好ましくは1〜20倍、より好ましくは5〜15倍である。このように整数倍とすると、前記継続パルスPxを形成する形成回路が簡便で消費電力が節約でき、その設計も容易でコストダウンが可能である。
【0068】
仮に継続パルスPxが出力しない場合には、最終駆動パルスPnの出力直後に、負荷111側に突発的な負荷変動があった場合、あるいは急激な外部衝撃が働いた場合もしくは最終駆動パルスPnの出力が不十分である場合等の異常時が発生すると、ローター105の次のステップ駆動を正確に行うことができなくなる。これに対して、本実施形態1では、そのような異常事態が発生しても、継続パルスPxがローター105を所定停止位置に引き付けているので、ローター105の次のステップ駆動を正確に行うことができる。
【0069】
なお、駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnのパルス幅は、ほぼ一定である。また上記駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnのパルス幅は、ローター105の上記ローター1ステップ回転時間に対し長くても2分の1以下、多くは3分の1〜10分の1程度に設定している。このため、低消費電力化を実現し、ローター105が駆動し始めてから1ステップ先の更に1ステップ先の2ステップ先まで回転し過ぎる(過回転)ことを防止している。
【0070】
以上の実施形態1のステッピングモーター101の駆動方法及びその駆動装置108によれば、次の作用効果を有する。
【0071】
(イ).ステッピングモーター101が継続的に停止している間はパルス休止区間Yであり、待機電流が流れない。従って待機電流による発熱がなく、周囲部材を高温にすることがない。このため、ステッピングモーター101の駆動制御部104を誤動作させ、磁気回路の特性を悪化させることはない。よって安定したステッピングモーター101の駆動を実現できる。さらにパルス休止区間Yは電流を流さないため節電できる。
【0072】
(ロ).ステッピング動作を確実に行うことができる。実施形態1によれば、最終駆動パルスPnの出力後に当該最終駆動パルスPnと実質的に合体する継続パルスPxを出力するので、継続パルスPxに助長された最終駆動パルスPnは、ローター105を所定ステップ位置まで確実に回転する。さらに継続パルスPxはパルス休止区間Yもローター105を所定停止位置で停止し続け易くするので、次の初回駆動パルスP1はローター105の回転駆動を確実に行いやすい。
【0073】
通常、駆動パルスが出力するとローターは停止位置から所定ステップ位置まで回転するが、場合によりローターが所定ステップ位置へ回転しないことがある。例えば、駆動パルスのパルス幅を極限まで狭くしたことによりローターのステップ駆動力が不十分である場合、逆に駆動パルス幅が広すぎてローターが次の所定ステップ位置まで回転しすぎた場合、ローターのステップ回転中に衝撃等の突発的な外力を受けローターが所定ステップ位置まで回転しなかった場合、あるいは部品のバラツキによりローターが所定ステップ位置まで回転しなかった場合等である。これらの場合、通常の駆動パルスが出力されたにもかかわらず、ローターは所定ステップ位置へ回転せず、ステッピングモーターの信頼性を損なう。
【0074】
実施形態1によれば、継続パルスPxは、最終駆動パルスPnにより所定ステップ位置近傍で回転中のローター105を確実に上記所定ステップ位置に吸引する。このため最終駆動パルスPnだけではローター105を所定ステップ位置へ回転できない前述のような場合でも、継続パルスPxはローターを所定ステップ位置側に吸引するので上記所定ステップ位置への回転を確実に行うことができる。しかも継続パルスPxは、ローター105を所定ステップ位置側に吸引しほぼ停止させる。このため、ローター105は、パルス休止区間Yも所定停止位置に停止し続けることが容易となる。従って次のパルス出力区間Xに至った際、初回駆動パルスP1はローター105の回転駆動を確実に行うことが可能になる。
【0075】
(ハ)パルス出力区間Xとパルス休止区間Yとは所定時間が定められた1サイクル中に設けられているので、何サイクルでも同様にステッピングモーター101を駆動することが出来る。すなわちパルス出力区間Xではステッピングモーター101を駆動しパルス休止区間Yではステッピングモーター101を停止するので、ステッピングモーター101の出力を間欠駆動する場合に適用できる。しかも1サイクル中において、ステッピングモーター101の出力先の負荷の必要に応じてパルス出力区間Xを可変可能である。従って、ステッピングモーター101の負荷の必要性に柔軟に対応することが出来る。特に、ステッピングモーター101が時計針を30秒間隔で駆動する場合、針が所定位置まで駆動されたか否かを針位置検出し、所定位置まで駆動されなかった際には、前記所定位置まで駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnを出力する。この場合は、パルス出力区間Xが長くなる。このため、針を所定位置まで正確に駆動することが出来る。
【0076】
(ニ)駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnのパルス幅は一定であるので、ローター105のステップ駆動が安定する。しかもパルスを形成し出力するパルス形成回路やその出力回路等を備えた駆動制御部110を単純化できる。また、継続パルスPxのパルス幅を、この駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnのパルス幅の整数倍で構成すると、駆動制御部110を用いて容易に形成できる。従って、継続パルスPxの駆動制御部110単純化し、回路動作が迅速で低消費電力化と低コスト化を実現する。
【0077】
〔実施形態2〕
実施形態2は、実施形態1の継続パルスPxを出力するとともに、初回駆動パルスP1の前に当該初回駆動パルスP1と合体する先導パルスPyをコイル103に出力するものであり、それ以外は実施形態1と同様である。スッテッピングモーター101周辺の機能ブロック図は、基本的には実施形態1と同様である。
【0078】
図6は実施形態2のスッテッピングモーター101に供給される駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnの出力状態を表す図である。図6の(1)は駆動パルスのタイミングチャート、図6の(2)は電源電圧の印加状態を表す図である。図7は実施形態2のスッテッピングモーター101におけるローター105の主な動作図である。なお、スッテッピングモーター101周辺の機能ブロック図は、実施形態1と同様で図2の通りである。駆動制御部110は、先導パルスPyを生成出力するとともに、そのパルス幅を決定し、その出力タイミングも決定している。
【0079】
図6の(1)は、初回駆動パルスP1の前に先導パルスPyを出力している点が図3とは異なる。先導パルスPyは、駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnと同様にコイル103に出力される。全てのパルス、すなわち駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnと継続パルスPx及び先導パルスPyが出力されている区間は、パルス出力区間Xである。どのパルスも出力されていない区間は、パルス休止区間Yである。パルス出力区間Xは、先導パルスPyの始点(ty)〜継続パルスPxの終点(tx)の区間である。パルス休止区間Yは、継続パルスPxの終点tx〜次の先導パルスPyの始点(ty)の区間である。初回駆動パルスP1の始点t1〜次の初回駆動パルスP1の始点t1の間は、便宜上1サイクルと称する。
【0080】
先導パルスPyは、初回駆動パルスP1と一体に出力され、同じ極性と同じ電圧で出力される。先導パルスPyが出力する前段階(ty以前)のローター105は、図7の(1)図示の磁気的安定位置に停止している。この停止状態は、図4の(1)と同様である。先導パルスPyが出力する(ty時点を過ぎる)と、ローター105は図7の(2)の実線矢印位置から鎖線矢印位置まで回転駆動される(図4の(2)と同様である)。上記鎖線矢印位置まで回転駆動されたローター105は、先導パルスPy及び初回駆動パルスP1により吸引され続け、図7の(3)の位置に留まり続ける。初回駆動パルスP1の出力が停止する(t2〜t3)と、ローター105は、磁気的安定位置の図4の(3)位置で停止し続ける。
【0081】
上記のように先導パルスPyは、それまでのローター105の停止位置が所定停止位置(図7の(1)の実線矢印位置)から多少ずれていても、ローター105を回転駆動し始める。このため先導パルスPyに続いて出力する初回駆動パルスP1は、ローター105を確実に所定ステップ位置(図7の(2)の鎖線矢印位置)まで回転することが出来る。すなわち先導パルスPyは、初回駆動パルスP1の動作を先導助長するものである。
【0082】
先導パルスPyのパルス幅は、初回駆動パルスP1の動作を助長できればどのような長さでも良い。但し、先導パルスPyのパルス幅は、初回駆動パルスP1を含めた他の駆動パルスのパルス幅の整数倍で構成することが好ましい。その整数倍にすると、上記駆動制御部110を用いて容易に形成できる。従って、前記先導パルスPyを形成する上記駆動制御部110も単純化し、回路動作が迅速で低消費電力と低コストを実現する。
【0083】
実施形態2では、継続パルスPxを出力するとともに先導パルスPyも出力している。この場合、先導パルスPyのパルス幅と継続パルスPxのパルス幅との関係は、両者とも同じでも良く、どちらか一方が他方より長くしてもよい。特に、継続パルスPxのパルス幅が、先導パルスPyのパルス幅よりも長くすることが実用的に好ましい。
【0084】
なお、先導パルスPyが初回駆動パルスP1と実質的に合体するとは、先導パルスPyが初回駆動パルスP1の前に時間を置かずに出力され、その際、先導パルスPyと初回駆動パルスP1は、コイル103内で同じ方向に電流が流れかつほぼ同じ電圧である状態をいう。
【0085】
電源電圧の印加状態は、図6の(2)のように、パルス出力区間Xでは電源電圧がON状態であり、パルス休止区間Yでは電源電圧はOFF(電圧ゼロ)状態(電源電圧の待機電流は流れない状態)である。
【0086】
以上の実施形態2のステッピングモーター101及びその駆動装置108によれば、実施形態1の(イ)〜(ハ)の作用効果を有するとともに、さらに次の作用効果を有する。
【0087】
(ホ)初回駆動パルスP1の出力前に当該初回駆動パルスP1と実質的に合体する先導パルスPyを出力するので、先導パルスPyに助長された初回駆動パルスP1は、ローター105を所定ステップ位置まで確実に回転できる。
【0088】
ローター105は、場合によりパルス休止区間Yに本来の停止位置に停止していない(非所定停止位置に停止している)ことがある。例えば、パルス休止区間Yに停止しているローター105が衝撃等の突発的な外力を受けて多少回転しそのまま停止した場合、あるいは部品のバラツキによりローターが本来の停止位置に停止しない場合である。またパルス出力区間になり初回駆動パルスが出力されてもローターが所定ステップ位置に駆動されない場合がある。例えば、駆動パルスのパルス幅を極限まで狭くしたことによりローターのステップ駆動が不十分である場合等である。上記のようにローターが非所定停止位置に停止している場合及び初回駆動パルスが出力されてもローターが所定ステップ位置に駆動されない場合は、通常の駆動パルスが出力されても、ローターは次の所定ステップ位置まで回転することはできず、ステッピングモーターの信頼性を損なう。
【0089】
これに対し、実施形態2は、パルス休止区間Yにローター105が停止している際に、上記のようにローター105が本来の停止位置に停止していなかったとしても、先導パルスPyは、このローター105を次の所定ステップ位置側に吸引し、初回駆動パルスP1の動作を助長する。このため、先導パルスPyに助長された初回駆動パルスP1は、ローター105を所定ステップ位置まで確実に回転することができる。こうしてパルス出力区間X中のローター105の回転動作が確実に行われる。
【0090】
(ヘ)継続パルスPxとパルス先導パルスPyの双方が出力されるから、前述した継続パルスPxの作用効果と先導パルスPyの作用効果を合わせ持つ。特に、最終駆動パルスPnの後に継続パルスPxが出力されるので、ローター105は図4の(6)のように所定停止位置に留まり続けるので、その後の突発的な外力や部品のバラツキが生じても、ローター105が所定停止位置の少なくとも近傍には留まることになる。従って、前記継続パルスPxと先導パルスPyは、より確実な回転駆動をローター105に行わせることができる。
【0091】
(ト)継続パルスPxと先導パルスPyの双方が出力される際に、前記継続パルスPxのパルス幅は前記先導パルスPyのパルス幅よりも長く設定している。継続パルスPxのパルス幅を十分長く設定するので、駆動直後のローター105を所定位置により確実に停止させることができる。このためパルス休止区間Y中のローター105の停止位置をより安定化する。例えパルス休止区間Y中に外力が加わったとしても、もともとローター105の停止位置が正確で磁気的安定位置に停止するので、外力による位置ずれは起こりにくい。例え外力により多少の位置ずれが生じても、もとの磁気的安定位置に戻りやすい。しかも、停止中のローター105は所定停止位置の近傍に停止しているので、先導パルスPyはパルス幅を狭くすることが出来る。このため、先導パルスPyの出力電力はその分だけ節約できる。
【0092】
(チ)さらに、前記駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnのパルス幅は一定であるので、ローター105のステップ駆動が安定する。しかもパルスを形成し出力するパルス形成回路やその出力回路等を備えた駆動制御部110を単純化できる。また、先導パルスPyと継続パルスPxのパルス幅を、この駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnのパルス幅の整数倍で構成すると、先導パルスPyと継続パルスPxを駆動制御部110を用いて容易に形成できる。従って、駆動制御部110を単純化し、回路動作が迅速で低消費電力化と低コスト化を実現する。
【0093】
〔実施形態3〕
実施形態2は、実施形態1(図3)のように継続パルスPxを出力するとともに、初回駆動パルスの前に当該初回駆動パルスと合体する先導パルスPyをコイル103に出力するものであった。実施形態3は、実施形態2に対し、継続パルスPxを出力せず、初回駆動パルスの前に当該初回駆動パルスと合体する先導パルスPyのみをコイル103に出力するもので、それ以外は実施形態2と同様である。なお、スッテッピングモーター101周辺の機能ブロック図は、実施形態1及び実施形態2と同様であり図2の通りである。駆動制御部110は、継続パルスを出力せず、先導パルスPyを生成出力し、そのパルス幅を決定しその出力タイミングも決定している。
【0094】
実施形態3のスッテッピングモーターに供給される駆動パルスの出力状態の図は、図6において継続パルスPxが削除された状態である。すなわち図6において、tn〜txの継続パルスPxが削除され、最終パルスPnが鎖線のように出力された状態である。その場合、パルス出力区間Xは、先導パルスPyの始点ty〜最終パルスPnの終点tnの期間である。パルス休止区間Yは、最終パルスPnの終点tn〜次回の先導パルスPyの始点tyの期間である。最初の駆動パルスP1の始点t1〜次の駆動パルスP1の始点t1の間は、便宜上1サイクルと称する。
【0095】
実施形態3のスッテッピングモーターの駆動方法及びその駆動装置によれば、実施形態1の(イ)〜(ハ)及び実施形態2の先導パルスPyで得られる同様の作用効果(ホ)を有する。
【0096】
(チ)先導パルスPyのパルス幅を、この駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnのパルス幅の整数倍で構成するので、駆動制御部110を用いて容易に形成できる。従って、先導パルスPyの駆動制御部110単純化し、回路動作が迅速で低消費電力化と低コスト化を実現する。
【0097】
実施形態4〜実施形態6のステッピングモーター201の駆動方法は、ローターマグネット215と駆動パルスS1〜S8が入力した際の励磁コイル211との磁気作用により回転子206がステップ駆動するステッピングモーター201の駆動方法であって、前記駆動パルスS1〜S8を含むパルスを継続的に出力するパルス出力区間Xと前記パルスS1〜S8を継続的に出力せずかつ待機電流を流さないパルス休止区間Yとを設け、前記パルス出力区間Xにおいて、最後に出力する駆動パルスである最終駆動パルスS8の直後に当該最終駆動パルスS8と実質的に合体する継続パルスPxと、最初に出力する駆動パルスである初回駆動パルスS1の直前に当該初回駆動パルスS1と実質的に合体する先導パルスPyとの少なくともいずれかと、前記駆動パルスS1〜S8とを前記励磁コイル211に出力して前記回転子206をステップ駆動するものである。
【0098】
また実施形態4〜実施形態6のステッピングモーター201の駆動装置108は、ローターマグネット215と駆動パルスS1〜S8が入力した際の励磁コイル211との磁気作用により回転子206がステップ駆動するステッピングモーター201の駆動装置108であって、前記駆動装置108は、少なくとも前記駆動パルスS1〜S8を前記励磁コイル211に出力する駆動制御部110を有し、前記駆動制御部110は、前記駆動パルスS1〜S8を含むパスルを継続的に出力するパルス出力区間Xと前記パルスS1〜S8を継続的に出力せずかつ待機電流を流さないパルス休止区間Yとを設定し、前記パルス出力区間Xにおいて、最後に出力する駆動パルスである最終駆動パルスS8の直後に当該最終駆動パルスS8と実質的に合体する継続パルスPxと、最初に出力する駆動パルスである初回駆動パルスS1の直前に当該初回駆動パルスS1と実質的に合体する先導パルスPyとの少なくともいずれかと、前記駆動パルスS1〜S8とを前記励磁コイル211に出力させるものである。
【0099】
〔実施形態4〕
実施形態4は、ステッピングモーターの構造と動作が実施形態1〜実施形態3と異なり、それに伴って駆動パルスの出力状態も異なる。実施形態4は、最終駆動パルスと合体した継続パルスを出力するものである。
【0100】
図8は実施形態4のスッテッピングモーター201の外観斜視図であり、図9は図8のスッテッピングモーターの主要部断面図であり、図10は図9のステーター対214の斜視図であり、図11は実施形態4のスッテッピングモーター201に供給される駆動パルスの出力状態を表す図である。なお、スッテッピングモーター201周辺の機能ブロック図は、基本的には実施形態1〜実施形態3と同様であり図2の通りである。但し図2において、ステッピングモーター101はステッピングモーター201に置き換わる。また駆動制御部110は、駆動パルスS1〜S8と継続パルスPxを生成し出力し、駆動パルスS1〜S8と継続パルスPxのパルス幅を決定しその出力タイミングも決定している。
【0101】
ステッピングモーター201の構造を、図8〜図10に沿って説明する。ステッピングモーター201は、マグネットを備えた回転子206を、固定子205が励磁コイル211が誘起する電磁力で吸引して回転させるものである。
【0102】
202は、ステッピングモーター201のケーシングである。ケーシング202は、共に強磁性材の金属材料からなるハウジング203と蓋部材204を備えている。ハウジング203は、有底中空筒状に形成され、開口部に蓋部材204を固着している。205は固定子で、ケーシング202の内部に固定されている。206は回転子である。回転子206は、その中心側に長手方向に軸線を持つ回転軸207を固定している。回転子206は、さらに固定子205の内方かつケーシング202の内部に配置されている。回転軸207は、ハウジング203と蓋部材204にそれぞれ固着された軸受部材208、208に回転可能に支持されている。
【0103】
固定子205は、第1ブロック209と第2ブロック210とを備えて構成されている。第1ブロック209と第2ブロック210は、ハウジング203と蓋部材204の内面に固定されると共に、図9のように回転軸207の軸線方向に沿って並設されている。第1ブロック209と第2ブロック210は、同じ構造である。
【0104】
第1ブロック209は、励磁コイル211、コイルボビン213、ステーターコア対214を備えている。励磁コイル211は、外周部が開放された断面U字状(又は逆U字状)部が環状に形成されたコイルボビン213に巻回されている。
【0105】
ステーターコア対214は、共に強磁性体の金属からなる一方ステーターコア214Aと他方ステーターコア214Bから構成されている。一方ステーターコア214Aと他方ステーターコア214Bは、図10に図示されているように、環状の円板部214a、214aと、円板部214a,214aの内周縁214b、214bから中心軸線214dに平行に一方方向に突出するとともに内周縁214b、214bの周りに均一間隔で配設された複数個の櫛歯形状の櫛歯状磁極214c、214cとを備えている。櫛歯状磁極214c、214cは、内周縁214b、214bの幅が広く、先端側の幅が狭く形成されている。ステーターコア対214は、一方のステーターコアAと他方のステーターコアBが対向配置されて構成されている。一方ステーターコア214Aと他方ステーターコア214Bは、各々の中心軸214dが一致するとともに、その中心軸214dは回転軸207の軸線とも一致した状態でかつ中心軸214dの軸線に沿った方向で対向配置されている。この対向配置とは、各々の櫛歯状磁極214c、214cが所定の空隙をもって相互に噛合うように配置している状態であり、各円板部214a、214a及び対向している各櫛歯状磁極214c、214cによりコイルボビン213及び励磁コイル211を配置できる凹部空間214eを構成する状態を指す。励磁コイル211が外方に巻回されたコイルボビン213は、この凹部空間214eに配置される。このようにして第1ブロック209が構成される。
【0106】
第2ブロック210は、第1ブロック209と同様の構成である。第2ブロック210は、第1ブロック209に対し回転軸207の軸線方向に隣接配置されてケーシング202に収納配置されている。その場合、回転軸207の軸線方向から見た平面配置において、第1ブロック209と第2ブロック210は、同一である。即ち、第1ブロック209の各櫛歯状磁板214cの平面位置は、第2ブロック210の各櫛歯状磁板214cの平面位置と同様の位置関係となっている。なお、第1ブロック209の各櫛歯状磁板214cの平面位置は、多少ずらせておいてもよい。
【0107】
第1ブロック209の励磁コイル211及び第2ブロック210の励磁コイル211は、外部の駆動制御部110からパルス電流が供給されるために各端子を備えている。各端子は、第1ブロック209の励磁コイル211では一方端子211a及び他方端子211bであり、第2ブロック210の励磁コイル211では一方端子211c及び他方端子211dである。その場合、第1ブロック209の励磁コイル211及び第2ブロック210の励磁コイル211の各巻き方向は同一である。従って、第1ブロック209と第2ブロック210は、構造、平面配置、励磁コイルの巻き方向、各端子の引き出し位置は、全て同じであり、前記軸線方向に沿って隣接配置されている。但し、第1ブロック209と第2ブロック210は、前述以外の隣接的配置にしてもよい。
【0108】
第1ブロック209において、ハウジング203と、ステーターコア対214の円板部214a、214a及び櫛歯状磁極214c、214cとによって、第1ブロック209の励磁コイル211が生成する磁束を通す第1の磁気回路が構成される。一方、第2ブロック210においても、ハウジング203と、ステーターコア対214の円板部214a、214a及び櫛歯状磁極214c、214cとによって、第2ブロック210の励磁コイル211が生成する磁束を通す第2の磁気回路が構成される。従って、第1ブロック209及び第2ブロック210の各励磁コイル211、211に互いに位相のずれた駆動パルス等を供給すれば、第1の磁気回路及び第2の磁気回路に交互に磁力が発生する。
【0109】
回転子206は、ローターマグネット215を固定した状態で、ステーターコア対214の半径方向内方に配設されている。ローターマグネット215は、回転軸207の軸線と平行な方向に延びる磁極を円周方向に複数個配列してなる永久磁石で構成された円筒状の永久磁石である。即ち、ローターマグネット215は、円筒状外周面にN極とS極を交互に配列した8極磁石である。
【0110】
上記構成のステッピングモーター201において、第1ブロック209及び第2ブロック210の各励磁コイル211、211に互いに位相のずれた駆動パルスを流すと、各励磁コイル211、211によりそれぞれ励磁される各櫛歯状磁極214c、214c、214c、214cの励磁位置は、所定のステップ角だけずれる。すると、櫛歯状磁極214c、214c、214c、214cにより回転子206のローターマグネット215が吸引されて回転子206が所定のステップ角だけ回転する。このようにして回転する回転子206の回転軸207は、外部の電子機器等を駆動することになる。
【0111】
上記ステッピングモーター201を駆動する駆動パルスと動作について、図11に基づいて説明する。
【0112】
図11の駆動パルスの出力チャートにおいて、駆動パルスS1〜S8と継続パルスPxを出力しているパルス出力区間Xと、いずれのパルスも出力していないパルス休止区間Yとが設定されている。パルス出力区間Xとパルス休止区間Yとが設定されている理由は、実施形態1で説明した通りである。パルス出力区間Xは、初回駆動パルスS1の始点t1〜継続パルスPxの終点txの区間である。パルス休止区間Yは、継続パルスPxの終点tx〜次の初回駆動パルスS1の始点t1の区間である。初回駆動パルスS1の始点t1〜次の初回駆動パルスS1の始点t1の間は、便宜上1サイクルと称する。
【0113】
回転子206は、外周にN極とS極を交互に配置して合計8極を有するローターマグネット215を備えているので、8ステップで1回転する。即ち、回転子206は、駆動パルスが8ステップ単位で出力されて1回転する。図11の「回転子1回転」と表示されている「S1〜S8」は、上記8ステップのステップ順番を表す。図11の(1)は上記第1ブロック209において、励磁コイル211に供給される駆動パルスの波形を示しており、図11の(2)は上記第2ブロック210において、励磁コイル211に供給される駆動パルスの波形を示している。図11の(1)において、S1及びS2の駆動パルスは、励磁コイル211の一方端子211aに入り他方端子211bから出て行く際のパルス波形であり、S4〜S6の駆動パルスは上記とは逆に他方端子211bに入り一方端子211aから出て行く際のパルス波形である。S3、S7、S8は駆動パルスが出力されていない状態での波形である。図11の(2)において、S2〜S4の駆動パルスは励磁コイル211の一方端子211cに入り他方端子211dから出て行く際の波形であり、S6〜S8の駆動パルスは上記と逆に他方端子211dに入り一方端子211cから出て行く際の波形である。S1、S5では、駆動パルスが出力されていない状態での波形である。
【0114】
上記図11の(1)の各駆動パルスにより第1ブロック209の励磁コイル211が第1ブロック209のステーター対214を励磁し、ローターマグネット215の各磁極と吸引または反発して回転子206を回転する。同時に、図11の(2)の各駆動パルスにより第2ブロック210の励磁コイル211が第2ブロック210のステーター対214を励磁し、ローターマグネット215の各磁極を吸引または反発して回転子206を回転する。
【0115】
ここで、図11の(2)のように、最終駆動パルスS8の直後に最終駆動パルスS8に合体する継続パルスPxが出力する。この継続パルスPxは、最終駆動パルスS8と同じ向きに電流が流れ電圧も同一である。なお継続パルスPxは、最終駆動パルスS8の整数倍の長さを有し、好ましくは5〜15倍である。図11の(3)は、電源電圧の印加状態を表す図である。電源電圧は、実施形態1と同様に、パルス出力区間Xでは印加され、パルス休止区間Yでは印加されていない。このためパルス休止区間Yでは、電源電圧の待機電流が流れない。
【0116】
なお、ローターマグネット215は、外周にN極とS極を交互に配置し合計8極を有し、回転子206は8ステップ(S1〜S8)で1回転するものであったが、その極数に限定されない。上記極数は偶数極であればどのようでも適用できる。例えば、n極とした場合、駆動パルスは図11において、S1〜Snが出力される。前述の継続パルスPxは、最終駆動パルスSnに継続して出力する。
【0117】
上記の継続パルスPxが最終駆動パルスS8と実質的に合体するとは、継続パルスPxが最終駆動パルスS8の後に時間を置かずに出力され、その際、継続パルスPxと最終駆動パルスS8は、励磁コイル211、211内で同じ方向に電流が流れかつほぼ同じ電圧である状態をいう。
【0118】
実施形態4のステッピングモーター201の駆動方法及びその駆動装置によれば、基本的には実施形態1と同様の作用効果を有する。但し、次の点が異なっている。即ち、実施形態1のステッピングモーター101は実施形態4のステッピングモーター201に読み替える。以下同様にステーター102は固定子205に、コイル103は各励磁コイル211、211に、ローター105は回転子206に、ローター磁石107はローターマグネット215に、駆動パルスP1〜P5、Pn−1及びPnはS1〜S8に、初回駆動パルスP1はS1に、最終駆動パルスPnはS8に、読み替える。但し、(ロ)に関しては、実施形態4では、実施形態1の「駆動パルス幅が広すぎてローターが次の所定ステップ位置まで回転しすぎた場合」は生じないので、その言及は除外する。
【0119】
〔実施形態5〕
実施形態5は、実施形態4のように継続パルスPxを出力するが、さらに初回駆動パルスS1の前に当該初回駆動パルスS1と合体する先導パルスPyを各励磁コイル211,211に出力するものである。それ以外は実施形態4と同様である。スッテッピングモーター201周辺の機能ブロック図は、基本的には実施形態4と同様である。但し実施形態4の駆動制御部110は、駆動パルスS1〜S8と継続パルスPxを生成出力し駆動パルスS1〜S8と継続パルスPxのパルス幅を決定しその出力タイミングを決定していたが、実施形態5の駆動制御部110は、さらに加えて先導パルスPyを生成出力しその出力タイミングも決定している。
【0120】
実施形態5のパルス出力状態は、図11の(2)のように最終駆動パルスS8の直後に最終駆動パルスS8に合体する継続パルスPxが出力するとともに、図11の(1)において初回駆動パルスS1の前に初回駆動パルスS1と合体する先導パルスPy(鎖線表示)を出力している。先導パルスPyは、各駆動パルスS1〜S8と同様に各励磁コイル211,211に出力される。全てのパルス、すなわち各駆動パルスS1〜S8と継続パルスPx及び先導パルスPyが出力されている区間は、パルス出力区間Xである。どのパルスも出力されていない区間は、パルス休止区間Yである。パルス出力区間Xは、先導パルスPyの始点ty〜継続パルスPxの終点txの区間である。パルス休止区間Yは、継続パルスPxの終点tx〜次の先導パルスPyの始点tyの区間である。初回駆動パルスS1の始点t1〜次の初回駆動パルスS1の始点t1の間は、便宜上1サイクルと称する。
【0121】
先導パルスPyは、初回駆動パルスS1と一体に出力され、同じ極性と同じ電圧で出力される。先導パルスPyのパルス幅は、初回駆動パルスS1の整数倍が好ましい。先導パルスPyのパルス幅を、初回駆動パルスS1を含めた他の駆動パルスS2〜S8のパルス幅の整数倍で構成すると、上記駆動制御部110を用いて容易に形成することができる。従って、先導パルスPyを形成する駆動制御部110も単純化し、回路動作が迅速で低消費電力と低コストを実現する。
【0122】
先導パルスPyが初回駆動パルスS1と実質的に合体するとは、先導パルスPyが初回駆動パルスS1の後に時間を置かずに出力され、その際、先導パルスPyと初回駆動パルスS1は、励磁コイル211、211内で同じ方向に電流が流れかつほぼ同じ電圧である状態である。
【0123】
先導パルスPyのパルス幅と継続パルスPxのパルス幅との関係は、両者とも同じでも良く、どちらか一方が他方よりも長くてもよい。特に、継続パルスPxのパルス幅が、先導パルスPyのパルス幅よりも長くすることが実用的に好ましい。
【0124】
以上の実施形態5によれば、実施形態2と同様の作用効果を有する。但し、実施形態4で読み替えたと同様に読み替える。即ち、実施形態2のステッピングモーター101は実施形態5のステッピングモーター201に、以下同様にステーター102は固定子205に、コイル103は各励磁コイル211、211に、ローター105は回転子206に、ローター磁石107はローターマグネット215に、駆動パルスP1〜P5、Pn−1及びPnはS1〜S8に、初回駆動パルスP1はS1に、最終駆動パルスPnはS8に、読み替える。但し、(ロ)に関しては、実施形態5では、実施形態1の「駆動パルス幅が広すぎてローターが次の所定ステップ位置まで回転しすぎた場合」は生じないので、その言及は当てはまらない。
【0125】
〔実施形態6〕
実施形態5は、実施形態4(図11)のように継続パルスPxを出力するとともに、先導パルスPyを出力するものであった。実施形態6は、実施形態5に対し、継続パルスPxを出力させないものであり、それ以外は実施形態4と同様である。なお、スッテッピングモーター201周辺の機能ブロック図は、実施形態4と基本的に同様である。駆動制御部110は、先導パルスPyのパルス幅を決定し、その出力タイミングも決定している。
【0126】
実施形態6のスッテッピングモーター201に供給される駆動パルスの出力状態は、図11において継続パルスPxが削除された状態である。すなわち図11の(2)において、継続パルスPxが削除され最終パルスS8が鎖線のように出力される。その場合、パルス出力区間Xは、先導パルスPyの始点ty〜最終パルスS8の終点t8の区間である。パルス休止期間Yは、最終パルスS8の終時点t8〜次回の先導パルスPyの始点tyの区間である。初回駆動パルスS1の始点t1〜次の初回駆動パルスS1の始点t1の間は、便宜上1サイクルと称する。
【0127】
実施形態6の作用効果は、実施形態3の先導パルスPyの作用効果と同様である。但し、実施形態4で読み替えたと同様に読み替える。即ち、実施形態3のステッピングモーター101は実施形態6のステッピングモーター201に、以下同様にステーター102は固定子205に、コイル103は各励磁コイル211、211に、ローター105は回転子206に、ローター磁石107はローターマグネット215に、駆動パルスP1〜P5、Pn−1及びPnはS1〜S8に、初回駆動パルスP1はS1に、最終駆動パルスPnはS8に、読み替える。但し、(ロ)に関しては、実施形態5では、実施形態1の「駆動パルス幅が広すぎてローターが次の所定ステップ位置まで回転しすぎた場合」は生じないので、その言及は当てはまらない。
【0128】
〔実施形態7〕
実施形態1〜6の駆動制御部110は、1サイクル、駆動パルス、パルス出力区間X、パルス休止区間Y、継続パルスPx、先導パルスPyの各所定時間を予め設定していた。実施形態7は、前記1サイクル、駆動パルス、パルス出力区間、パルス休止区間、継続パルス、先導パルスの少なくともいずれかの時間間隔または出力タイミングを随意に設定可能である。さらに駆動制御部110は、設定された時間間隔または出力タイミングに基づいて、1サイクル毎に継続パルスPxと先導パルスPyとの少なくともいずれかと駆動パルスとをコイル103、211、211に出力するものである。
【0129】
図12は、実施形態7のスッテッピングモーター周辺の機能ブロック図である。図12は、図2に対して時間設定部320を付加している点が異なる。時間設定部320は、駆動制御部110に時間設定信号を送付する。このため時間設定部320は、駆動制御部110がステッピングモーター101、201を駆動する際、前記1サイクル、駆動パルス、パルス出力区間X、パルス休止区間Y、継続パルスPx、先導パルスPyの少なくともいずれかの時間間隔または出力タイミングを変更できる。即ち時間設定部320は、1サイクルの間隔、駆動パルスと継続パルスPx及び先導パルスPyのパルス幅、駆動パルスと継続パルスPx及び先導パルスPyの出力タイミング、パルス出力区間X及びパルス休止区間Yの間隔を変更できる。このため、種々の要求に対応できる駆動方法及び駆動装置を実現できる。なお、駆動パルスのパルス幅を変更する場合、全ての駆動パルスのパルス幅を変更してもよく、あるいは一部の駆動パルスのパルス幅を変更しても良い。
【0130】
〔変形例1〕
上記各実施形態の負荷111は、ステッピングモーター101、201が駆動する時計の分針と時針とそれらに回転駆動力を伝達する歯車列であった。本発明の負荷は、それに限定されるものではなく、本発明の趣旨にかなうならば上記以外の負荷にも適用される。例えば、流体を供給する小型ポンプの駆動源に本発明のステッピングモーターの駆動方法及びその駆動装置を用いることができる。上記小型ポンプの駆動源に本発明のステッピングモーターの駆動方法や駆動装置を用いると、小型ポンプの出力流量を増減制御することが容易である。即ち、ステッピングモーターの一連の動作を、所定時間に設定された1サイクルとして設定する。この1サイクル内に、パルス出力期間Xとパルス休止区間とを設けておく。小型ポンプの出力流量を増加させたい場合はパルス出力期間Xを長く設定する。その場合は、出力される駆動パルス数が多くなりステッピングモーターの駆動ステップ数も増加するので、その分、ステッピングモーターが小型ポンプを長く駆動する。従って小型ポンプの出力流量を増加することができる。その場合、当然ながらパルス休止区間の間隔は短くなる。2サイクル以降も同様に動作し、以降、繰り返される。
【0131】
〔変形例2〕
上記各実施形態では、継続パルスは最終駆動パルスに合体しており、先導パルスは初回駆動パルスに合体して出力されていた。変形例2は、継続パルスが最終駆動パルスの多少の時間経過後に出力され、或いは先導パルスが初回駆動パルスの多少の時間経過後に出力される。
【0132】
変形例2は、図5において、継続パルスが最終駆動パルスの出力終了位置である最終駆動パルス終了位置ハから多少の時間を経過してから出力される。この多少の時間は、上記最終駆動パルス終了位置ハから次のローター所定ステップ位置ロまでの時間以内である。ローター105及び回転子206は、上記終駆動パルス終了位置ハでは回転中であり、その後も慣性によって上記ロ位置付近まで回転する。この際に、ローター105及び回転子206が、外乱が生じて上記ロ位置を越えて更に次の所定位置まで回転しないため、或いはもとのローター回転位置イに戻ってしまわないために、上記ロ位置に到達する前に継続パルスを出力させることが好ましい。なお、上記多少の時間は、最終駆動パルスのパルス幅以内に留める方がより好ましい。先導パルスにおいても、上記多少の時間は、初回駆動パルスのパスル幅以内に留めることが好ましい。
【0133】
〔変形例3〕
各実施形態において、駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pn、S1〜S8のパルス幅は一定であったが、各パルス幅を異ならせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明のステッピングモーターの駆動方法及びその駆動装置は、時計や計測器の表示針及びその他の電子機器の被駆動体を駆動するために用いる。本発明は、上記ステッピングモーターの駆動装置で時刻表示針を駆動する時計、電圧や電流等の電気計測結果を指示する表示針を駆動する計測器及びその他の電子機器に適用することが出来る。なお、本発明は、本発明の趣旨を損ねないならば、記述していないステッピングモーターの駆動方法、その駆動装置及びその駆動装置を用いた電子機器に適用することができる。
【符号の説明】
【0135】
101,201・・・ステッピングモーター、102・・・ステーター、102a・・・ローター挿入孔、102b・・・外ノッチ、102c・・・内ノッチ、103・・・コイル、103a・・・コイルの一端、103b・・・コイルの他端、104・・・磁心、105・・・ローター、106・・・連結ピン、107・・・ローター磁石、108・・・駆動装置、109・・・電源、110・・・駆動制御部、111・・・負荷、202・・・ケーシング、203・・・ハウジング、204・・・蓋部材、205・・・固定子、206・・・回転子、207・・・回転軸、208・・・軸受部材、209・・・第1ブロック、210・・・第2ブロック、211・・・励磁コイル、211a、211c・・・一方端子、211b、211d・・・他方端子、213・・・コイルボビン、214・・・ステーターコア対、214A・・・一方ステーターコア、214B・・・他方ステーターコア、214a・・・円板部、214b・・・内周縁、214c・・・櫛歯状磁極、214d・・・中心軸線、214e・・・凹部空間、215・・・ローターマグネット、320・・・時間設定部、θ・・・内ノッチ中心線と外ノッチ中心線の角度、P1〜P5、Pn−1、Pn,S1〜S8・・・駆動パルス、P1、S1・・・初回駆動パルス、Pn、S8・・・最終駆動パルス、Px・・・継続パルス、Py・・・先導パルス、X・・・パルス出力区間、Y・・・パルス休止区間、L・・・外ノッチ対中心線、M・・・内ノッチ対中心線、α・・・パルス駆動区間、β・・・継続パルス駆動区間、γ・・・ローター1ステップ回転区間、イ・・・ローター回転開始位置、ロ・・・次のローター所定ステップ位置、ハ・・・最終駆動パルス出力終了位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステッピングモーターの駆動方法、ステッピングモーターの駆動装置およびステッピングモーターの駆動装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ステッピングモーターは、駆動パルスが入力されるコイルと永久磁石との磁気作用に基づいてローターがステップ駆動するものであり、多くの電子機器に搭載されている。またこのステッピングモーターを駆動する駆動装置は、少なくとも前記駆動パルスを含む駆動制御信号を前記コイルに出力する駆動制御部を有して構成されている。
【0003】
上記ステッピングモーターは、多くの電子機器に使用されている。例えば、プリンター用給紙装置の搬送ローラーを駆動するため、あるいは時計や計測器の表示針をステップ駆動するために用いられる。
【0004】
従来のステッピングモーターの駆動方法は、特許文献1に見られるようにステッピングモーターがステッピング動作を停止している期間は待機電流を流している。ステッピング動作を開始する段階になると、ステッピング動作を行わせる最初の駆動パルスの前段階から上記待機電流の値より大きなモーター電流を流し、ステッピングが可能な回転作動電流まで引き上げている。上記待機電流値から回転作動電流値まで引き上げる時に、段階的あるいは徐々にモーター電流を引き上げている。(特許文献1の要約、段落番号0009を参照)
【0005】
このため、ステッピングモーターの駆動開始時において、モーター電流を待機電流値から回転作動電流値まで引き上げるときに、段階的に或いは徐々にモーター電流を引き上げることにより、ステッピングモーター駆動開始時の振動を低減する。またステッピングモーターの停止時間が長いときの待機電流を低くして冷却ファンや放熱ファンなどを付加することなく消費電流を低減するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−330046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1は、ステッピングモーターが停止しているときでも待機電流を流しており、しかも常時流しているため、常時発熱している。この発熱により周囲部材を徐々に高温にし、モーター駆動制御回路を誤動作させ、磁気回路の特性を悪化し、ローターのステッピング動作を不安定にしている。加えて電流を常時流しており、電力を浪費する。
【0008】
本発明は、上記課題を解消するもので、低消費電力で確実なステッピング動作を実現するステッピングモーターの駆動方法、ステッピングモーターの駆動装置、及びステッピングモーターの駆動装置を用いた電子機器をもたらすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明のステッピングモーターの駆動方法は、永久磁石と駆動パルスが入力した際のコイルとの磁気作用によりローターがステップ駆動するステッピングモーターの駆動方法であって、前記駆動パルスを含むパルスを継続的に出力するパルス出力区間と前記パルスを継続的に出力せずかつ待機電流を流さないパルス休止区間とを設け、前記パルス出力区間において、最後に出力する駆動パルスである最終駆動パルスの直後に当該最終駆動パルスと実質的に合体する継続パルスと、最初に出力する駆動パルスである初回駆動パルスの直前に当該初回駆動パルスと実質的に合体する先導パルスと、の少なくともいずれかと前記駆動パルスとを前記コイルに出力することを前記コイルに出力することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、ステッピングモーターが継続的に停止している間はパルス休止区間であり、待機電流が流れない。従って待機電流による発熱がなく、周囲部材を高温にすることがない。このため、ステッピングモーターの駆動制御回路を誤動作させ磁気回路の特性を悪化させることはない。よって安定したステッピングモーターの駆動を実現できる。さらにパルス休止区間は待機電流を流さないため節電できる。
【0011】
本発明によれば、ステッピング動作を確実に行うことができる。
【0012】
本発明によれば、最終駆動パルスの出力後に当該最終駆動パルスと実質的に合体する継続パルスを出力するので、継続パルスに助長された最終駆動パルスは、ローターを所定ステップ位置へ確実に回転することができる。さらに継続パルスはパルス休止区間もローターを所定停止位置に停止し続け易くするので、次の初回駆動パルスはローターの回転駆動を確実に行いやすい。
【0013】
詳細に述べると、次の通りである。通常、駆動パルスが出力すると、ローターは所定停止位置から1ステップ先の所定ステップ位置まで回転する。しかし、場合によりローターが所定ステップ位置へ回転しないことがある。例えば、駆動パルスのパルス幅を極限まで狭くしたことによりローターのステップ駆動力が不十分の場合、ローターステップ回転中に衝撃等の突発的な外力を受けローターが所定ステップ位置まで回転できなかった場合、あるいは部品のバラツキによりローターが所定ステップ位置まで回転しなかった場合等である。これらの場合、通常の駆動パルスが出力されたにもかかわらず、ローターは所定ステップ位置へ回転せず、ステッピングモーターの負荷を正規に駆動できない。このためステッピングモーターの信頼性を損なう。
【0014】
本発明によれば、継続パルスは、最終駆動パルスの出力により所定ステップ位置近傍で回転中のローターを確実に上記所定ステップ位置に吸引する。このため最終駆動パルスだけではローターを所定ステップ位置へ回転できない前述の場合でも、継続パルスがローターを所定ステップ位置側に吸引し、このためローターを所定ステップ位置に回転させることができる。しかも継続パルスは、ローターを所定ステップ位置近傍の所定停止位置側に吸引する。このため、ローターは、パルス休止区間も所定停止位置に停止し続けることが容易となる。従って次のパルス出力区間になった際、初回駆動パルスがローターの回転駆動を確実に行うことができる。
【0015】
本発明によれば、初回駆動パルスの出力前に当該初回駆動パルスと実質的に合体する先導パルスを出力するので、先導パルスに助長された初回駆動パルスは、ローターを所定ステップ位置へ確実に回転することができる。
【0016】
ローターは、時にはパルス休止区間に本来の停止位置に停止していない(非所定停止位置に停止している)場合があり得る。例えば、パルス休止区間に停止しているローターが衝撃等の突発的な外力を受けて多少回転しそのまま停止した場合、あるいは部品のバラツキによりローターが本来の停止位置に停止していない場合である。また、パルス出力区間になり初回駆動パルスが出力されてもローターが所定ステップ位置に駆動されない場合があり得る。例えば、駆動パルスのパルス幅を極限まで狭くしたためローターのステップ駆動が不十分である場合等である。上記のようにローターが非所定停止位置に停止した場合及び初回駆動パルスが出力されてもローターが所定ステップ位置に駆動されない場合は、次の通常の駆動パルスが出力されても、ローターは所定ステップ位置へ回転されず、ステッピングモーターの負荷を正規に駆動できない。ステッピングモーターの信頼性を損なう。
【0017】
本発明は、パルス休止区間にローターが停止している際に、上記のようにローターが非所定停止位置に停止していたとしても、先導パルスは、このローターを所定ステップ位置側に吸引し、初回駆動パルスの動作を助長する。このため、先導パルスに助長された初回駆動パルスは、ローターを所定ステップ位置へ確実に回転することができる。
【0018】
本発明は、前記継続パルスと前記先導パルスのどちらか一方だけを出力してもよく、あるいは、両者を出力してもよい。継続パルスと先導パルスの双方が出力される場合には、前述した継続パルスの作用効果と先導パルスの作用効果を合わせ持つと共に、両者による相乗効果をもたらす。即ち、継続パルスは、ローターを所定停止位置側に吸引し所定停止位置側に確実に停止させるので、ローターを上記の非所定停止位置に停止させる機会を少なくし、かつ例え非所定停止位置に停止する場合でも所定停止位置の近傍とすることが出来る。この状態で先導パルスが出力する。先導パルスはローターを所定ステップ位置側により確実に吸引しやすくなる。従って、初回駆動パルスがローターをより確実に所定ステップ位置に回転することが出来る。
【0019】
なお、継続パルスが最終駆動パルスと実質的に合体する、及び先導パルスが初回駆動パルスに実質的に合体するとは、両者間に時間差がない場合と、僅かに時間差がある場合とを含む。上記多少の時間差は、継続パルスが最終駆動パルスにより所定ステップ位置の近傍へ回転したローターを確実に上記所定ステップ位置側に吸引できる時間差である。また、上記多少の時間差は、ローターの停止している位置が所定停止位置から多少ずれていたとしても先導パルスがローターを所定停止位置側に吸引し初回駆動パルスによりローターを所定ステップ位置まで駆動できる時間差である。また上記合体は、継続パルスと最終駆動パルスはコイル内で同じ電流方向でほぼ同じ電圧であり、先導パルスと初回駆動パルスはコイル内で同じ電流方向でほぼ同じ電圧である状態になる。
【0020】
(2)本発明のステッピングモーターの駆動方法は、(1)に記載されたステッピングモーターの駆動方法であって、前記パルス出力区間と前記パルス休止区間とは、所定時間が定められた1サイクル中に設けられていることが好ましい。
【0021】
本発明によれば、前記パルス出力区間と前記パルス休止区間とは、所定時間が定められた1サイクル中に設けられているので、何サイクルでも同様の形態でステッピングモーターを継続して安定的に駆動することが出来る。さらに、ステッピングモーターの出力先の負荷の必要に応じて、各サイクル中でパルス出力区間を適宜変更することもできる。このため、負荷の必要性に柔軟に対応することが出来る。例えば、ステッピングモーターが時計針を30秒間隔で駆動する場合、針が所定位置まで駆動されたか否かを針位置検出手段で検出し、所定位置まで駆動されなかった際には所定位置まで駆動パルスを出力する。この場合は、パルス出力区間を長くすることになる。このため、針を所定位置まで正確に駆動することが出来る。
【0022】
(3)本発明のステッピングモーターの駆動方法は、(1)または(2)に記載されたステッピングモーターの駆動方法であって、前記継続パルスと前記先導パルスとが出力され、前記継続パルスのパルス幅は前記先導パルスのパルス幅よりも長く設定されていることが好ましい。
【0023】
本発明によれば、継続パルスと先導パルスの双方が出力される。従って、前述した継続パルスの作用効果と先導パルスの作用効果及び双方による相乗効果を有する。この場合、継続パルスのパルス幅(パルスの出力時間)を十分長くすることができるので、駆動直後のローターを所定停止位置側により確実に停止させることができる。従って、パルス休止区間中、ローターは磁気的安定位置である所定停止位置に停止することになる。この状態で外力が加わったとしても、もともとローターが磁気的安定位置に停止しているため、外力による位置ずれは起こりにくい。例え外力により多少の位置ずれが生じても、もとの磁気的安定位置に戻りやすい。以上のように停止中のローターは所定停止位置の近傍に停止することになるので、先導パルスが出力された際に、先導パルスはローターを所定ステップ位置に駆動し易くなる。このため先導パルスのパルス幅を狭くすることが出き、消費電力を節約できる。
【0024】
(4)本発明のステッピングモーターの駆動方法は、(1)から(3)のうちいずれかに記載されたステッピングモーターの駆動方法であって、前記駆動パルスは、パルス幅が一定であり、前記継続パルスと先導パルスの少なくとも一方のパルス幅は、前記駆動パルスのパルス幅の整数倍に設定されていることが好ましい。
【0025】
本発明によれば、駆動パルスのパルス幅は一定であるので、ローターのステップ駆動が安定する。しかもパルスを形成し出力するパルス形成回路やその出力回路等の駆動制御部を単純化できる。また、先導パルスと継続パルスのパルス幅を、駆動パルスのパルス幅の整数倍で構成すると、上記パルス形成回路を用いて形成できる。従って、先導パルスと継続パルスの形成回路も容易に形成でき、回路動作が迅速で低消費電力化と低コスト化を実現する。
【0026】
(5)本発明のステッピングモーターの駆動装置は、永久磁石と駆動パルスが入力した際のコイルとの磁気作用によりローターがステップ駆動するステッピングモーターの駆動装置であって、前記駆動装置は、少なくとも前記駆動パルスを前記コイルに出力する駆動制御部を有し、前記駆動制御部は、前記駆動パルスを含むパルスを継続的に出力するパルス出力区間と前記パルスを継続的に出力せずかつ待機電流を流さないパルス休止区間とを設定し、前記パルス出力区間において、最後に出力する駆動パルスである最終駆動パルスの直後に当該最終駆動パルスと実質的に合体する継続パルスと、最初に出力する駆動パルスである初回駆動パルスの直前に当該初回駆動パルスと実質的に合体する先導パルスとの少なくともいずれかと、前記駆動パルスとを前記コイルに出力することを特徴とする。
【0027】
上記本発明によれば、ステッピングモーターが継続的に停止しているパルス休止区間は、待機電流が流れず、発熱がなく、周囲部材を高温にすることがない。このため、ステッピングモーターの駆動制御回路を含んだ駆動制御部を誤動作させ、また磁気回路の特性を悪化させることはない。よって安定したステッピングモーターの駆動を実現できる。加えてパルス休止区間は節電できる。さらに継続パルスと先導パルスとの少なくともいずれかにより、前述したように確実なローターのステッピング動作を実現する。
【0028】
(6)本発明のステッピングモーターの駆動装置は、(5)に記載されたステッピングモーターの駆動装置であって、前記パルス出力区間と前記パルス休止区間は、所定時間が定められた1サイクル中に設けられていることが好ましい。
【0029】
本発明によれば、前記パルス出力区間と前記パルス休止区間とは、所定時間が定められた1サイクル中に設けられているので、何サイクルでも同様の形態でステッピングモーターを継続して安定的に駆動することが出来る。さらに、ステッピングモーターの出力先の負荷の必要に応じて、各サイクルの中で前記パルス出力区間を適宜可変できる。このため、負荷の必要性に柔軟に対応することが出来る。
【0030】
(7)本発明のステッピングモーターの駆動装置は、(5)に記載されたステッピングモーターの駆動装置であって、時間を設定可能な時間設定部をさらに備え、前記時間設定部は、前記駆動パルス、前記パルス出力区間、前記パルス休止区間、前記継続パルス、前記先導パルスの少なくともいずれかの時間間隔または出力タイミングを設定可能であり、前記駆動制御部は、前記設定された時間間隔または出力タイミングに基づいた前記継続パルスと前記先導パルスとの少なくともいずれかと前記駆動パルスとを前記コイルに出力することが好ましい。
【0031】
上記本発明によれば、上記時間設定部を用いて、前記駆動パルス、前記パルス出力区間、前記パルス休止区間、前記継続パルス、前記先導パルスの少なくともいずれかの時間間隔または出力タイミングを、ステッピングモーターの使用状況により最適に設定することが出来る。
【0032】
(8)本発明のステッピングモーターの駆動装置は、(6)に記載されたステッピングモーであって、時間を設定可能な時間設定部をさらに備え、前記時間設定部は、前記1サイクルの前記所定時間、前記駆動パルス、前記パルス出力区間、前記パルス休止区間、前記継続パルス、前記先導パルスの少なくともいずれかの時間間隔または出力タイミングを設定可能であり、前記駆動制御部は、前記設定された時間間隔または出力タイミングに基づいて、前記1サイクル毎に前記継続パルスと前記先導パルスとの少なくともいずれかと前記駆動パルスとを前記コイルに出力することが好ましい。
【0033】
上記本発明によれば、上記時間隔設定部を用いて、前記1サイクルの前記所定時間、前記駆動パルス、前記パルス出力区間、前記パルス休止区間、前記継続パルス、前記先導パルスの少なくともいずれかの時間間隔または出力タイミングを、ステッピングモーターの使用状況により最適に設定することが出来る。
【0034】
(9)本発明の電子機器は、(5)から(8)のうちいずれかに記載されたステッピングモーターの駆動装置を備えたことを特徴とする。
【0035】
上記本発明によれば、前述した(5)から(8) のうちいずれかの作用効果を有する電子機器を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態1のスッテッピングモーター101の平面図。
【図2】本発明の実施形態1のスッテッピングモーター101周辺の機能ブロック図。
【図3】本発明の実施形態1のスッテッピングモーター101に供給される駆動パルスの出力状態を表す図。
【図4】本発明の実施形態1のスッテッピングモーター101におけるローター105の動作図。
【図5】最終駆動パルスPnと継続パルスPxによるローター105の回転動作を示す図。
【図6】本発明の実施形態2のスッテッピングモーター101に供給される駆動パルスの出力状態を表す図。
【図7】本発明の実施形態2のスッテッピングモーター101におけるローター105の主な動作図。
【図8】本発明の実施形態4のスッテッピングモーター201の外観斜視図。
【図9】図8のスッテッピングモーター201の主要部断面図。
【図10】図8のスッテッピングモーター201におけるステーターコア対214の斜視図。
【図11】本発明の実施形態4のスッテッピングモーター201に供給される駆動パルスの出力状態を表す図。
【図12】本発明の実施形態7のスッテッピングモーター101、201周辺の機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明を具体的な実施形態に基づいて説明する。
【0038】
実施形態1〜実施形態3のステッピングモーター101の駆動方法は、ローター磁石107と駆動パルスP1〜P5、Pn−1、Pnが入力した際のコイル103との磁気作用によりローター105がステップ駆動するステッピングモーター101の駆動方法であって、前記駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnを含むパルスを継続的に出力するパルス出力区間Xと前記パルスを継続的に出力せずかつ待機電流を流さないパルス休止区間Yとを設け、前記パルス出力区間Xにおいて、最後に出力する駆動パルスである最終駆動パルスPnの直後に当該最終駆動パルスPnと実質的に合体する継続パルスPxと、最初に出力する駆動パルスである初回駆動パルスP1の直前に当該初回駆動パルスP1と実質的に合体する先導パルスPyと、の少なくともいずれかと前記駆動パルスP1〜P5、Pn−1、Pnとを前記コイル103に出力して前記ローター105をステップ駆動するものである。
【0039】
また実施形態1〜実施形態3のステッピングモーター101の駆動装置108は、ローター磁石107と駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnが入力した際のコイル103との磁気作用によりローター105がステップ駆動するステッピングモーター101の駆動装置108であって、前記駆動装置108は、少なくとも前記駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnを前記コイル103に出力する駆動制御部110を有し、前記駆動制御部110は、前記駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnを含むパスルを継続的に出力するパルス出力区間Xと前記パルスを継続的に出力せずかつ待機電流を流さないパルス休止区間Yとを設定し、前記パルス出力区間Xにおいて、最後に出力する駆動パルスである最終駆動パルスPnの直後に当該最終駆動パルスPnと実質的に合体する継続パルスPxと、最初に出力する駆動パルスである初回駆動パルスP1の直前に当該初回駆動パルスP1と実質的に合体する先導パルスPyとの少なくともいずれかと、前記駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnとを前記コイル103に出力させるものである。
【0040】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1は、コイルと、該コイルに通電する駆動パルスにより励磁されるステーター及びローターを有し、ローターをステッピング駆動するステッピングモーターに関する。図1は実施形態1のステッピングモーター101の平面図、図2は実施形態1のスッテッピングモーター101周辺の機能ブロック図、図3は実施形態1のスッテッピングモーター101に供給される駆動パルスの出力状態を表す図及び図4は実施形態1のスッテッピングモーター101におけるローター105の動作図である。
【0041】
[ステッピングモーターの構造]
図1において、101はステッピングモーターである。ステッピングモーター101は、ステーター102、コイル103、コイル103が外周に巻き付かれた磁心104及びステーター102のローター挿入孔102aに回転可能に挿入されたローター105を備えている。
【0042】
ステーター102は、磁性材からなり平面形状が略コ字状であり、上側の中央にはローター挿入孔102aが形成され、下側の左右には連結ピン106により磁心104が固定されている。ステーター102は、ローター挿入孔102aの近傍に2つのノッチ対を備えている。第1のノッチ対は、ローター挿入孔102aより外縁に形成された外ノッチ102b、102bである。第2のノッチ対は、ローター挿入孔102aの内縁に形成された内ノッチ102c、102cである。外ノッチ102b、102bは、ローター挿入孔102aの中心に対して図1紙面のほぼ上側と下側の対向位置に形成されている。外ノッチ102b、102bは、駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnがコイル103に入力すると、外ノッチ102b、102bの各中心点を結んだ仮想線(以下、外ノッチ対中心線Lと称する。図4の(2)を参照)に対して左側部分と右側部分とにN極とS極又はS極とN極を励磁させる。
【0043】
ステーター102の外ノッチ102b、102b及び内ノッチ102c、102cは、ローター挿入孔102aの中心を挟んだほぼ対向する平面位置、すなわち互いにほぼ180度回転した平面位置に形成されている。各外ノッチ102b、102bの前記外ノッチ対中心線Lは、各内ノッチ102c、102cの各中心位置を結んだ内ノッチ対中心線Mに対し角度θだけ傾斜している。内ノッチ対中心線Mは、外ノッチ対中心線Lに対してローター挿入孔102aの中心を中心に前記角度θ(5〜20度)だけ半時計回り寄りに形成されている。
【0044】
コイル103は、磁心104に巻かれている。コイル103の一端103aと他端103bは、後述する駆動回路としての駆動制御部110に接続している。駆動制御部110は、駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnを形成し、前記駆動パルスをコイル103に出力する。駆動制御部110は、前記駆動パルスをコイル103の一端103aから入力するか、他端103bから入力するかを制御している。その制御により、ローター挿入孔102a周囲のステーター102において、外ノッチ対中心線Lの左側部分と右側部分に励起される各々の磁極は異なる。
【0045】
磁心4は、磁性材からなり平面形状が長方形で、外周にコイル103が巻かれており、両端は連結ピン106によりステーター102に結合している。前述のようにコイル103に駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnが入力すると磁心104に磁界が励起されるが、磁心104はステーター102と一体化しており、ステーター102も同様に励起する。磁心104がステーター102と別部品であるので、ステーター102に結合される前の磁心104単体にコイル103を巻くことができる。
【0046】
ローター105は、ローター挿入孔102aに挿入されて回転する。このためローター105の回転軸であるローター回転軸は、その両端が一対のローター受部材(図示せず)に回転可能に保持されている。またローター回転軸には、永久磁石からなる円柱状のローター磁石107が固定されている。ローター磁石107は、外周の1/2がN極に、他の1/2がS極に着磁され、ローター挿孔102a内に挿入されている。ローター105は、ローター磁石107の円外縁にN極とS極とが1つづつ配置された2極ローターである。ローター回転軸は、小歯車(図示せず)を同軸に固定している。この小歯車は、後述する負荷111を回転駆動する歯車列(図示せず)に噛合している。
【0047】
[ステッピングモーター周辺の構成]
図2は、上記スッテッピングモーター101周辺の機能ブロック図である。図2において、108は駆動装置、109は電源、110は駆動制御部、111は負荷である。駆動装置108は、駆動制御部110を含む。
【0048】
前記電源109は、電池、交流電源等の電力源に接続してステッピングモーター101を駆動可能な所定電圧に降圧または昇圧する電圧変換器を備え、前記電力源が交流の場合には直流に整流する整流器を備えている。
【0049】
駆動制御部110は、電源109から供給される電力を用いてステッピングモーター101を駆動制御する。駆動制御部110は、駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pn及び継続パルスPxを生成し、それらのパルスをステッピングモーター101に供給する。
駆動制御部110には、1サイクルの時間間隔、1サイクルの中のパルス出力区間X及びパルス休止区間Yの時間間隔、駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pn及び継続パルスPxのパルス幅(パルスの出力時間)とその出力タイミングが予め設定されている。このため、駆動制御部110は、予め設定された時間間隔でパルス出力区間Xとパルス休止区間Yを制御しており、予め設定されたパルス幅とタイミングで駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pn及び継続パルスPxをコイル103に出力している。
【0050】
負荷111は、ステッピングモーター101が駆動する駆動対象である。負荷111の具体例は、時計の時刻表示針としての分針と時針とそれらに回転駆動力を伝達する歯車列である。ステッピングモーター101は、この分針及び時針を例えば30秒間隔で間欠駆動する。分針と時針は歯車で連動している。なお、秒針を備えている時計の場合は、上記ステッピングモーター101とは別の秒針駆動用ステッピングモーターと秒針駆動用歯車列を備える。
【0051】
[駆動パルス関係]
図3はスッテッピングモーター101に供給される駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnの出力状態を表す図で、図3の(1)は駆動パルスのタイミングチャート、図3の(2)は電源電圧の印加状態を表す図である。
【0052】
図3の(1)において、P1〜P5・・・Pn−1、Pnは駆動パルスであり、その駆動パルスパルス幅は全て等しい。このため駆動制御部110によるパルス形成が容易であり、そのパルス生成回路の動作が単純になり消費電力が軽減される。Pxは継続パルスである。駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnと継続パルスPxは、駆動制御部110により生成され、コイル103に出力される。駆動パルスP1、P3、P5・・・Pn−1は、駆動パルスP2、P4・・・Pnの極性と反対の極性である。具体的には駆動制御部110により各駆動パルスが次のようにコイル103に出力される。駆動パルスP1、P3、P5・・・Pn−1は、コイル103の一端103aに入力し他端103bから出力する。するとステーター102のローター挿入孔102a周辺には、図4の(2)のように外ノッチ対中心線Lに対して図面に向かって左側にS極、右側にN極が励磁される。また駆動パルスP2、P4・・・Pn、及び継続パルスPxは、コイル103の他端103bに入力し一端103aから出力する。するとステーター102のローター挿入孔102a周辺には、図4の(4)のように外ノッチ対中心線Lの左側にN極、右側にS極が励磁される。すなわち図4の(2)とは逆の極が励磁される。なお、コイル103の巻き方を逆にすれば、上記S極とN極が逆側に励磁される。
【0053】
図3において、各駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnが各々出力されると、ローター105が2極ローターであるから、ローター105は各々半回転する。また駆動パルスP1の始点t1から駆動パルスP2の終点t4までの期間でローター105がほぼ1回転するから、ローター1回転期間にほぼ相当する。
【0054】
全てのパルス、すなわち駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnと継続パルスPxが出力されている区間は、パルス出力区間Xである。どのパルスも継続的に出力されていない区間は、パルス休止区間Yである。パルス出力区間Xは、初回駆動パルスP1の始点t1〜継続パルスPxの終点txの区間である。パルス休止区間Yは、継続パルスPxの終点tx〜次の初回駆動パルスP1の始点t1の区間である。初回駆動パルスP1の始点t1〜次の初回駆動パルスP1の始点t1の間は、便宜上1サイクルと称する。
【0055】
電源電圧の印加状態は、図3の(2)のように、パルス出力区間Xでは電源電圧がON状態であり、パルス休止区間Yでは電源電圧はOFF(電圧ゼロ)状態である。パルス休止区間Yでは、電源電圧の待機電流は流れない。すなわち、電源109は、駆動制御部110により制御されて、前記パルス出力区間Xでは駆動パルスを出力できるよう電源電圧出力状態下にあるが、前記パルス休止区間Yでは電源電圧非出力状態下にある。
【0056】
上記1サイクル中においてパルス出力区間Xとパルス休止区間Yを設けることは、ステッピングモーター101が負荷111である時計の指針(図示せず)を駆動する場合に好ましい。上記ステッピングモーター101は、そのローター105の回転で時計歯車列(図示せず)を回転し指針を回転駆動する。その場合、例えば指針である分針を分針駆動用のステッピングモーター101で回転するが、例えば30秒毎に30秒分を瞬間的に回転する表示タイプ(間欠表示タイプ)である。間欠表示タイプの方が、常時表示タイプよりも、ステッピングモーターの消費電力が少ない。
【0057】
上記分針駆動用ステッピングモーター101の駆動において、30秒を1サイクルとした1サイクルの中に、パルス出力区間Xとパルス休止区間Yとが設けられており、パルス出力区間Xの中で出力される駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnが分針を一気に30秒分だけ回転する。上記1サイクルの中のパルス休止区間Yでは、上記駆動パルスは出力しない。さらに30秒が経過すると、次の1サイクルが同様に行われる。
【0058】
前述した1サイクル中において、ステッピングモーター101の負荷111の必要に応じて前記パルス出力区間Xを可変とすることができる。前述の可変の必要性は、次の場合である。上記分針は、30秒経過するたびに分ステッピングモーター101は一気に30秒分回転する。その場合、30秒毎の所定位置に分針が到達したか否かをつど分針位置検出装置で検出し、その検出信号が出力するまで分針駆動用ステッピングモーターを駆動する。その際、駆動パルスのパルス数を所定パルス数に対して増減させる必要が生じる場合がある。所定パルス数が出力されても、突発的外乱が生じるなど何らかの原因によりローター105が所定位置まで回転しなかった場合があり、その場合には追加の駆動パルスを出力する。逆に所定パルス数が出力するとローター105が所定位置を越えて次の所定位置まで回転し過ぎる場合もあり、その場合が繰り返されると予め所定パルス数を減じる必要がある。本実施形態では、1サイクルの中にパルス休止区間Yが設けられているので、駆動パルス数の増減、つまりパルス出力区間Xの間隔を変更することが容易にでき、しかも30秒1サイクルの間隔を変更させないようにすることが出来る。したがって、30秒の所定間隔での間欠駆動を繰り返すことができ、分針による正確な時刻表示を継続することができる。
【0059】
なお、継続パルスPxが最終駆動パルスPnと実質的に合体するとは、継続パルスPxが最終駆動パルスPnの後に時間を置かずに出力され、その際、継続パルスPxと最終駆動パルスPnは、コイル103内で同じ方向に電流が流れかつほぼ同じ電圧である状態をいう。
【0060】
[ローターの回転動作]
駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnと継続パルスPxがコイル103に出力された際のローター5の回転動作を、図4の各図に沿って説明する。
【0061】
まず図3の(1)の駆動パルスのタイミングチャートにおいて、図3の(1)の左側の最初の駆動パルスP1が出力される始点t1以前(左側)の期間は、駆動パスルが何も出力されていない。その期間は、前のパルス休止区間Yである。前記の前のパルス休止区間Yではローター105は、図4の(1)に図示したローター位置に停止している。その際、ローター105は、図4の(1)図示のように内ノッチ102c、102cを結ぶ内ノッチ対中心線Mに対してほぼ直交方向にN極とS極を向けて停止している。この停止状態のローター105は、ローター磁石107の右上側がN極に位置するよう予め組み立てられている。
【0062】
その後、駆動制御部110により設定された始点t1に至ると、最初の駆動パルス(初回駆動パルス)P1がコイル103に出力される。駆動パルスP1は、始点t1から終点t2まで電流が流れるパルスであり、駆動制御部110により当該パルス電流がコイル103の一端103aに入力し他端103bから出力する。ステーター102は、コイル103により励磁され、図4の(2)のように外ノッチ対中心線Lに対して左側にS極、右側にN極が励磁される。するとローター磁石107の右上の実線矢印のN極が、ステーター102のN極に反発し、同時にステーター102のS極に吸引される。このためローター105は、図4の(2)の実線矢印が鎖線矢印まで反時計回りに回転する。駆動パルスP1の始点t1〜終点t2の期間は駆動パルスP1のパルス幅と称される。このパルス幅は、省エネルギー化のため、ローター105が実線矢印から鎖線矢印まで回転する期間より短くされている。こうしてローター105は、図4の(2)の鎖線矢印まで回転し停止する。次にt2〜t3の期間は、駆動パルスが出力しない期間である。この時のローター105は、図4の(3)に図示されており、ローター磁石107のN極は、図4の(1)に対して180度回転した位置である。この時のローター105の停止位置は、図4の(2)の鎖線矢印位置に対して前記角度θだけ半時計回りに回転した磁気的安定位置である。
【0063】
次に駆動制御部110により設定された始点t3に至ると、2番目の駆動パルスP2がコイル103に出力する。駆動パルスP2は、始点t3〜終点t4まで電流が流れているパルスであり、駆動制御部110により当該電流がコイル103の他端103bに入力し一端103aから出力する。ステーター102は、コイル103により励磁され、図4の(4)のようにステーター102の外ノッチ対中心線Lに対して左側にN極、右側にS極が励磁される。するとローター磁石107の左下の実線矢印のN極が、ステーター102のN極に反発し、同時にステーター102のS極に吸引される。このためローター105は、図4の(4)の実線矢印が鎖線矢印まで反時計回りに回転する。こうしてローター105は、図4の(4)の鎖線矢印位置まで回転し停止する。次にt4〜t5の期間は、駆動パルスが出力しない期間である。このときのローター105位置は、図4の(5)に図示されており、ローター磁石107のN極は、図4の(1)と同じ位置の時期的安定位置であり、図4の(3)に対して180度回転した位置である。以上、駆動パルスP1とP2により、ローター105は1回転(360度)回転する。以下、P3、P4、P5・・・Pnが順次出力されて、前述のようにローター105が回転及び停止を繰り返してゆく。なお、駆動パルスP3、P5・・・Pn−1によるローター105の回転は、駆動パルスP1の場合と同様である。また、駆動パルスP4・・・Pnによるローター105の回転は、駆動パルスP2の場合と同様である。
【0064】
各駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnが出力している出力期間(パルス幅)は、ローター105が当該駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnにより回転し始める回転開始時点から次の所定停止位置に至るまで(180度回転)のローター所定回転時間より短く設定されている。従って、ローター105は、上記駆動パルスにより回転開始された後、途中まで上記駆動パルスにより回転駆動力を受けるが、回転の途中で駆動パルスが停止するので、ローター自身の回転慣性で次の所定停止位置まで回転する。従ってローター105は前記次の所定停止位置を多少通過し、またもとに多少戻るという振動動作を行った後、前記所定停止位置に停止する。なお、上記パルス幅が上記ローター所定回転時間より短く設定されているのは、電力の省力化のためである。
【0065】
前記駆動制御部110により定められた前記パルス出力区間Xにおいて最後の駆動パルスである最終駆動パルスPnが出力すると、前記駆動制御部110により継続パルスPxが出力する。継続パルスPxは、最終駆動パルスPnとの間に時間を置かず同じ極性と同じ電圧で出力されるので、最終駆動パルスPnと一体となる。継続パルスPxは、最終駆動パルスPnと同様にコイル103の他端103bに入力し一端103aから出力する。従って、継続パルスPxは、最終駆動パルスPnと同様で図4の(4)のように、ステーター102において外ノッチ中心線Lに対して左側にN極、右側にS極を励磁する。上記最終駆動パルスPnの出力により、ローター105は、図4の(4)の鎖線矢印位置に回転する。ここで継続パルスPxが出力されなかったとすると、ローター105は、内ノッチ対中心線Mに対して直交する方向にN極を向けた図4の(5)の位置に停止する。しかし前述のように継続パルスPxが出力されると、その出力期間tn〜txの間、ローター105は図4の(4)の鎖線矢印位置に留まり続ける。その状態が図4の(6)に図示されている。継続パルスPxの出力が停止すると、ローター105は、図4の(5)の磁気的安定位置に停止し続ける。この際、ローター105は、磁気的安定位置でローター磁石107がステーター102に最も強力に吸引していること、負荷111である時計歯車列及び指針が回転しようとする際には回転抵抗が存在することにより、磁気的安定位置に留まり続ける。ローター105は、次のパルス出力区間Xになって次の初回駆動パルスP1が出力されると、図4の(2)のように、正しく回転駆動できる。
【0066】
ここで、最終駆動パルスPnと継続パルスPxがローター105を回転する状態を図5に沿って詳述する。図5は、最終駆動パルスPnと継続パルスPxによるローター105の回転動作を示す図である。図5において、最終駆動パルスPnによりローター105が回転を開始するローター回転開始位置イ(図4の(4)の実線矢印位置、図3のtn−1時点の位置)から次のローター所定ステップ位置ロ(図4の(4)の鎖線矢印位置)までをローター1ステップ回転区間γとする。図5のハは、最終駆動パルスPnが出力を終了する最終駆動パルス終了位置である。最終駆動パルスPnは、ローター105をローター1ステップ回転区間γの途中のハ位置まで回転させる。ローター回転開始位置イ〜最終駆動パルス終了位置ハは、最終駆動パルスPnがローター105を回転駆動するパルス駆動区間αである。継続パルスPxは、上記ハ位置以降(ロ位置に向かう方向)において出力される。βは、継続パルスPxが出力している区間の継続パルス駆動区間である。
【0067】
ここで、最終駆動パルスPnのパルス駆動区間αはローター1ステップ回転区間γより短く設定されている。そこで、前記継続パルス出力区間βは、図5のように、最終駆動パルス出力終了位置ハから次の所定ステップ位置ロ付近までローター105を回転させる区間である。継続パルスPxは、図5の様に最終駆動パルスPnと同様にステーター102の右側に鎖線矢印のN極を吸引するS極を励起するので、その出力時間(パルス幅)は相当長くてもよい、好ましい継続パルスPxのパルス幅は、最終駆動パルスPnのパルス幅の整数倍であり、好ましくは1〜20倍、より好ましくは5〜15倍である。このように整数倍とすると、前記継続パルスPxを形成する形成回路が簡便で消費電力が節約でき、その設計も容易でコストダウンが可能である。
【0068】
仮に継続パルスPxが出力しない場合には、最終駆動パルスPnの出力直後に、負荷111側に突発的な負荷変動があった場合、あるいは急激な外部衝撃が働いた場合もしくは最終駆動パルスPnの出力が不十分である場合等の異常時が発生すると、ローター105の次のステップ駆動を正確に行うことができなくなる。これに対して、本実施形態1では、そのような異常事態が発生しても、継続パルスPxがローター105を所定停止位置に引き付けているので、ローター105の次のステップ駆動を正確に行うことができる。
【0069】
なお、駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnのパルス幅は、ほぼ一定である。また上記駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnのパルス幅は、ローター105の上記ローター1ステップ回転時間に対し長くても2分の1以下、多くは3分の1〜10分の1程度に設定している。このため、低消費電力化を実現し、ローター105が駆動し始めてから1ステップ先の更に1ステップ先の2ステップ先まで回転し過ぎる(過回転)ことを防止している。
【0070】
以上の実施形態1のステッピングモーター101の駆動方法及びその駆動装置108によれば、次の作用効果を有する。
【0071】
(イ).ステッピングモーター101が継続的に停止している間はパルス休止区間Yであり、待機電流が流れない。従って待機電流による発熱がなく、周囲部材を高温にすることがない。このため、ステッピングモーター101の駆動制御部104を誤動作させ、磁気回路の特性を悪化させることはない。よって安定したステッピングモーター101の駆動を実現できる。さらにパルス休止区間Yは電流を流さないため節電できる。
【0072】
(ロ).ステッピング動作を確実に行うことができる。実施形態1によれば、最終駆動パルスPnの出力後に当該最終駆動パルスPnと実質的に合体する継続パルスPxを出力するので、継続パルスPxに助長された最終駆動パルスPnは、ローター105を所定ステップ位置まで確実に回転する。さらに継続パルスPxはパルス休止区間Yもローター105を所定停止位置で停止し続け易くするので、次の初回駆動パルスP1はローター105の回転駆動を確実に行いやすい。
【0073】
通常、駆動パルスが出力するとローターは停止位置から所定ステップ位置まで回転するが、場合によりローターが所定ステップ位置へ回転しないことがある。例えば、駆動パルスのパルス幅を極限まで狭くしたことによりローターのステップ駆動力が不十分である場合、逆に駆動パルス幅が広すぎてローターが次の所定ステップ位置まで回転しすぎた場合、ローターのステップ回転中に衝撃等の突発的な外力を受けローターが所定ステップ位置まで回転しなかった場合、あるいは部品のバラツキによりローターが所定ステップ位置まで回転しなかった場合等である。これらの場合、通常の駆動パルスが出力されたにもかかわらず、ローターは所定ステップ位置へ回転せず、ステッピングモーターの信頼性を損なう。
【0074】
実施形態1によれば、継続パルスPxは、最終駆動パルスPnにより所定ステップ位置近傍で回転中のローター105を確実に上記所定ステップ位置に吸引する。このため最終駆動パルスPnだけではローター105を所定ステップ位置へ回転できない前述のような場合でも、継続パルスPxはローターを所定ステップ位置側に吸引するので上記所定ステップ位置への回転を確実に行うことができる。しかも継続パルスPxは、ローター105を所定ステップ位置側に吸引しほぼ停止させる。このため、ローター105は、パルス休止区間Yも所定停止位置に停止し続けることが容易となる。従って次のパルス出力区間Xに至った際、初回駆動パルスP1はローター105の回転駆動を確実に行うことが可能になる。
【0075】
(ハ)パルス出力区間Xとパルス休止区間Yとは所定時間が定められた1サイクル中に設けられているので、何サイクルでも同様にステッピングモーター101を駆動することが出来る。すなわちパルス出力区間Xではステッピングモーター101を駆動しパルス休止区間Yではステッピングモーター101を停止するので、ステッピングモーター101の出力を間欠駆動する場合に適用できる。しかも1サイクル中において、ステッピングモーター101の出力先の負荷の必要に応じてパルス出力区間Xを可変可能である。従って、ステッピングモーター101の負荷の必要性に柔軟に対応することが出来る。特に、ステッピングモーター101が時計針を30秒間隔で駆動する場合、針が所定位置まで駆動されたか否かを針位置検出し、所定位置まで駆動されなかった際には、前記所定位置まで駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnを出力する。この場合は、パルス出力区間Xが長くなる。このため、針を所定位置まで正確に駆動することが出来る。
【0076】
(ニ)駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnのパルス幅は一定であるので、ローター105のステップ駆動が安定する。しかもパルスを形成し出力するパルス形成回路やその出力回路等を備えた駆動制御部110を単純化できる。また、継続パルスPxのパルス幅を、この駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnのパルス幅の整数倍で構成すると、駆動制御部110を用いて容易に形成できる。従って、継続パルスPxの駆動制御部110単純化し、回路動作が迅速で低消費電力化と低コスト化を実現する。
【0077】
〔実施形態2〕
実施形態2は、実施形態1の継続パルスPxを出力するとともに、初回駆動パルスP1の前に当該初回駆動パルスP1と合体する先導パルスPyをコイル103に出力するものであり、それ以外は実施形態1と同様である。スッテッピングモーター101周辺の機能ブロック図は、基本的には実施形態1と同様である。
【0078】
図6は実施形態2のスッテッピングモーター101に供給される駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnの出力状態を表す図である。図6の(1)は駆動パルスのタイミングチャート、図6の(2)は電源電圧の印加状態を表す図である。図7は実施形態2のスッテッピングモーター101におけるローター105の主な動作図である。なお、スッテッピングモーター101周辺の機能ブロック図は、実施形態1と同様で図2の通りである。駆動制御部110は、先導パルスPyを生成出力するとともに、そのパルス幅を決定し、その出力タイミングも決定している。
【0079】
図6の(1)は、初回駆動パルスP1の前に先導パルスPyを出力している点が図3とは異なる。先導パルスPyは、駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnと同様にコイル103に出力される。全てのパルス、すなわち駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnと継続パルスPx及び先導パルスPyが出力されている区間は、パルス出力区間Xである。どのパルスも出力されていない区間は、パルス休止区間Yである。パルス出力区間Xは、先導パルスPyの始点(ty)〜継続パルスPxの終点(tx)の区間である。パルス休止区間Yは、継続パルスPxの終点tx〜次の先導パルスPyの始点(ty)の区間である。初回駆動パルスP1の始点t1〜次の初回駆動パルスP1の始点t1の間は、便宜上1サイクルと称する。
【0080】
先導パルスPyは、初回駆動パルスP1と一体に出力され、同じ極性と同じ電圧で出力される。先導パルスPyが出力する前段階(ty以前)のローター105は、図7の(1)図示の磁気的安定位置に停止している。この停止状態は、図4の(1)と同様である。先導パルスPyが出力する(ty時点を過ぎる)と、ローター105は図7の(2)の実線矢印位置から鎖線矢印位置まで回転駆動される(図4の(2)と同様である)。上記鎖線矢印位置まで回転駆動されたローター105は、先導パルスPy及び初回駆動パルスP1により吸引され続け、図7の(3)の位置に留まり続ける。初回駆動パルスP1の出力が停止する(t2〜t3)と、ローター105は、磁気的安定位置の図4の(3)位置で停止し続ける。
【0081】
上記のように先導パルスPyは、それまでのローター105の停止位置が所定停止位置(図7の(1)の実線矢印位置)から多少ずれていても、ローター105を回転駆動し始める。このため先導パルスPyに続いて出力する初回駆動パルスP1は、ローター105を確実に所定ステップ位置(図7の(2)の鎖線矢印位置)まで回転することが出来る。すなわち先導パルスPyは、初回駆動パルスP1の動作を先導助長するものである。
【0082】
先導パルスPyのパルス幅は、初回駆動パルスP1の動作を助長できればどのような長さでも良い。但し、先導パルスPyのパルス幅は、初回駆動パルスP1を含めた他の駆動パルスのパルス幅の整数倍で構成することが好ましい。その整数倍にすると、上記駆動制御部110を用いて容易に形成できる。従って、前記先導パルスPyを形成する上記駆動制御部110も単純化し、回路動作が迅速で低消費電力と低コストを実現する。
【0083】
実施形態2では、継続パルスPxを出力するとともに先導パルスPyも出力している。この場合、先導パルスPyのパルス幅と継続パルスPxのパルス幅との関係は、両者とも同じでも良く、どちらか一方が他方より長くしてもよい。特に、継続パルスPxのパルス幅が、先導パルスPyのパルス幅よりも長くすることが実用的に好ましい。
【0084】
なお、先導パルスPyが初回駆動パルスP1と実質的に合体するとは、先導パルスPyが初回駆動パルスP1の前に時間を置かずに出力され、その際、先導パルスPyと初回駆動パルスP1は、コイル103内で同じ方向に電流が流れかつほぼ同じ電圧である状態をいう。
【0085】
電源電圧の印加状態は、図6の(2)のように、パルス出力区間Xでは電源電圧がON状態であり、パルス休止区間Yでは電源電圧はOFF(電圧ゼロ)状態(電源電圧の待機電流は流れない状態)である。
【0086】
以上の実施形態2のステッピングモーター101及びその駆動装置108によれば、実施形態1の(イ)〜(ハ)の作用効果を有するとともに、さらに次の作用効果を有する。
【0087】
(ホ)初回駆動パルスP1の出力前に当該初回駆動パルスP1と実質的に合体する先導パルスPyを出力するので、先導パルスPyに助長された初回駆動パルスP1は、ローター105を所定ステップ位置まで確実に回転できる。
【0088】
ローター105は、場合によりパルス休止区間Yに本来の停止位置に停止していない(非所定停止位置に停止している)ことがある。例えば、パルス休止区間Yに停止しているローター105が衝撃等の突発的な外力を受けて多少回転しそのまま停止した場合、あるいは部品のバラツキによりローターが本来の停止位置に停止しない場合である。またパルス出力区間になり初回駆動パルスが出力されてもローターが所定ステップ位置に駆動されない場合がある。例えば、駆動パルスのパルス幅を極限まで狭くしたことによりローターのステップ駆動が不十分である場合等である。上記のようにローターが非所定停止位置に停止している場合及び初回駆動パルスが出力されてもローターが所定ステップ位置に駆動されない場合は、通常の駆動パルスが出力されても、ローターは次の所定ステップ位置まで回転することはできず、ステッピングモーターの信頼性を損なう。
【0089】
これに対し、実施形態2は、パルス休止区間Yにローター105が停止している際に、上記のようにローター105が本来の停止位置に停止していなかったとしても、先導パルスPyは、このローター105を次の所定ステップ位置側に吸引し、初回駆動パルスP1の動作を助長する。このため、先導パルスPyに助長された初回駆動パルスP1は、ローター105を所定ステップ位置まで確実に回転することができる。こうしてパルス出力区間X中のローター105の回転動作が確実に行われる。
【0090】
(ヘ)継続パルスPxとパルス先導パルスPyの双方が出力されるから、前述した継続パルスPxの作用効果と先導パルスPyの作用効果を合わせ持つ。特に、最終駆動パルスPnの後に継続パルスPxが出力されるので、ローター105は図4の(6)のように所定停止位置に留まり続けるので、その後の突発的な外力や部品のバラツキが生じても、ローター105が所定停止位置の少なくとも近傍には留まることになる。従って、前記継続パルスPxと先導パルスPyは、より確実な回転駆動をローター105に行わせることができる。
【0091】
(ト)継続パルスPxと先導パルスPyの双方が出力される際に、前記継続パルスPxのパルス幅は前記先導パルスPyのパルス幅よりも長く設定している。継続パルスPxのパルス幅を十分長く設定するので、駆動直後のローター105を所定位置により確実に停止させることができる。このためパルス休止区間Y中のローター105の停止位置をより安定化する。例えパルス休止区間Y中に外力が加わったとしても、もともとローター105の停止位置が正確で磁気的安定位置に停止するので、外力による位置ずれは起こりにくい。例え外力により多少の位置ずれが生じても、もとの磁気的安定位置に戻りやすい。しかも、停止中のローター105は所定停止位置の近傍に停止しているので、先導パルスPyはパルス幅を狭くすることが出来る。このため、先導パルスPyの出力電力はその分だけ節約できる。
【0092】
(チ)さらに、前記駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnのパルス幅は一定であるので、ローター105のステップ駆動が安定する。しかもパルスを形成し出力するパルス形成回路やその出力回路等を備えた駆動制御部110を単純化できる。また、先導パルスPyと継続パルスPxのパルス幅を、この駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnのパルス幅の整数倍で構成すると、先導パルスPyと継続パルスPxを駆動制御部110を用いて容易に形成できる。従って、駆動制御部110を単純化し、回路動作が迅速で低消費電力化と低コスト化を実現する。
【0093】
〔実施形態3〕
実施形態2は、実施形態1(図3)のように継続パルスPxを出力するとともに、初回駆動パルスの前に当該初回駆動パルスと合体する先導パルスPyをコイル103に出力するものであった。実施形態3は、実施形態2に対し、継続パルスPxを出力せず、初回駆動パルスの前に当該初回駆動パルスと合体する先導パルスPyのみをコイル103に出力するもので、それ以外は実施形態2と同様である。なお、スッテッピングモーター101周辺の機能ブロック図は、実施形態1及び実施形態2と同様であり図2の通りである。駆動制御部110は、継続パルスを出力せず、先導パルスPyを生成出力し、そのパルス幅を決定しその出力タイミングも決定している。
【0094】
実施形態3のスッテッピングモーターに供給される駆動パルスの出力状態の図は、図6において継続パルスPxが削除された状態である。すなわち図6において、tn〜txの継続パルスPxが削除され、最終パルスPnが鎖線のように出力された状態である。その場合、パルス出力区間Xは、先導パルスPyの始点ty〜最終パルスPnの終点tnの期間である。パルス休止区間Yは、最終パルスPnの終点tn〜次回の先導パルスPyの始点tyの期間である。最初の駆動パルスP1の始点t1〜次の駆動パルスP1の始点t1の間は、便宜上1サイクルと称する。
【0095】
実施形態3のスッテッピングモーターの駆動方法及びその駆動装置によれば、実施形態1の(イ)〜(ハ)及び実施形態2の先導パルスPyで得られる同様の作用効果(ホ)を有する。
【0096】
(チ)先導パルスPyのパルス幅を、この駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pnのパルス幅の整数倍で構成するので、駆動制御部110を用いて容易に形成できる。従って、先導パルスPyの駆動制御部110単純化し、回路動作が迅速で低消費電力化と低コスト化を実現する。
【0097】
実施形態4〜実施形態6のステッピングモーター201の駆動方法は、ローターマグネット215と駆動パルスS1〜S8が入力した際の励磁コイル211との磁気作用により回転子206がステップ駆動するステッピングモーター201の駆動方法であって、前記駆動パルスS1〜S8を含むパルスを継続的に出力するパルス出力区間Xと前記パルスS1〜S8を継続的に出力せずかつ待機電流を流さないパルス休止区間Yとを設け、前記パルス出力区間Xにおいて、最後に出力する駆動パルスである最終駆動パルスS8の直後に当該最終駆動パルスS8と実質的に合体する継続パルスPxと、最初に出力する駆動パルスである初回駆動パルスS1の直前に当該初回駆動パルスS1と実質的に合体する先導パルスPyとの少なくともいずれかと、前記駆動パルスS1〜S8とを前記励磁コイル211に出力して前記回転子206をステップ駆動するものである。
【0098】
また実施形態4〜実施形態6のステッピングモーター201の駆動装置108は、ローターマグネット215と駆動パルスS1〜S8が入力した際の励磁コイル211との磁気作用により回転子206がステップ駆動するステッピングモーター201の駆動装置108であって、前記駆動装置108は、少なくとも前記駆動パルスS1〜S8を前記励磁コイル211に出力する駆動制御部110を有し、前記駆動制御部110は、前記駆動パルスS1〜S8を含むパスルを継続的に出力するパルス出力区間Xと前記パルスS1〜S8を継続的に出力せずかつ待機電流を流さないパルス休止区間Yとを設定し、前記パルス出力区間Xにおいて、最後に出力する駆動パルスである最終駆動パルスS8の直後に当該最終駆動パルスS8と実質的に合体する継続パルスPxと、最初に出力する駆動パルスである初回駆動パルスS1の直前に当該初回駆動パルスS1と実質的に合体する先導パルスPyとの少なくともいずれかと、前記駆動パルスS1〜S8とを前記励磁コイル211に出力させるものである。
【0099】
〔実施形態4〕
実施形態4は、ステッピングモーターの構造と動作が実施形態1〜実施形態3と異なり、それに伴って駆動パルスの出力状態も異なる。実施形態4は、最終駆動パルスと合体した継続パルスを出力するものである。
【0100】
図8は実施形態4のスッテッピングモーター201の外観斜視図であり、図9は図8のスッテッピングモーターの主要部断面図であり、図10は図9のステーター対214の斜視図であり、図11は実施形態4のスッテッピングモーター201に供給される駆動パルスの出力状態を表す図である。なお、スッテッピングモーター201周辺の機能ブロック図は、基本的には実施形態1〜実施形態3と同様であり図2の通りである。但し図2において、ステッピングモーター101はステッピングモーター201に置き換わる。また駆動制御部110は、駆動パルスS1〜S8と継続パルスPxを生成し出力し、駆動パルスS1〜S8と継続パルスPxのパルス幅を決定しその出力タイミングも決定している。
【0101】
ステッピングモーター201の構造を、図8〜図10に沿って説明する。ステッピングモーター201は、マグネットを備えた回転子206を、固定子205が励磁コイル211が誘起する電磁力で吸引して回転させるものである。
【0102】
202は、ステッピングモーター201のケーシングである。ケーシング202は、共に強磁性材の金属材料からなるハウジング203と蓋部材204を備えている。ハウジング203は、有底中空筒状に形成され、開口部に蓋部材204を固着している。205は固定子で、ケーシング202の内部に固定されている。206は回転子である。回転子206は、その中心側に長手方向に軸線を持つ回転軸207を固定している。回転子206は、さらに固定子205の内方かつケーシング202の内部に配置されている。回転軸207は、ハウジング203と蓋部材204にそれぞれ固着された軸受部材208、208に回転可能に支持されている。
【0103】
固定子205は、第1ブロック209と第2ブロック210とを備えて構成されている。第1ブロック209と第2ブロック210は、ハウジング203と蓋部材204の内面に固定されると共に、図9のように回転軸207の軸線方向に沿って並設されている。第1ブロック209と第2ブロック210は、同じ構造である。
【0104】
第1ブロック209は、励磁コイル211、コイルボビン213、ステーターコア対214を備えている。励磁コイル211は、外周部が開放された断面U字状(又は逆U字状)部が環状に形成されたコイルボビン213に巻回されている。
【0105】
ステーターコア対214は、共に強磁性体の金属からなる一方ステーターコア214Aと他方ステーターコア214Bから構成されている。一方ステーターコア214Aと他方ステーターコア214Bは、図10に図示されているように、環状の円板部214a、214aと、円板部214a,214aの内周縁214b、214bから中心軸線214dに平行に一方方向に突出するとともに内周縁214b、214bの周りに均一間隔で配設された複数個の櫛歯形状の櫛歯状磁極214c、214cとを備えている。櫛歯状磁極214c、214cは、内周縁214b、214bの幅が広く、先端側の幅が狭く形成されている。ステーターコア対214は、一方のステーターコアAと他方のステーターコアBが対向配置されて構成されている。一方ステーターコア214Aと他方ステーターコア214Bは、各々の中心軸214dが一致するとともに、その中心軸214dは回転軸207の軸線とも一致した状態でかつ中心軸214dの軸線に沿った方向で対向配置されている。この対向配置とは、各々の櫛歯状磁極214c、214cが所定の空隙をもって相互に噛合うように配置している状態であり、各円板部214a、214a及び対向している各櫛歯状磁極214c、214cによりコイルボビン213及び励磁コイル211を配置できる凹部空間214eを構成する状態を指す。励磁コイル211が外方に巻回されたコイルボビン213は、この凹部空間214eに配置される。このようにして第1ブロック209が構成される。
【0106】
第2ブロック210は、第1ブロック209と同様の構成である。第2ブロック210は、第1ブロック209に対し回転軸207の軸線方向に隣接配置されてケーシング202に収納配置されている。その場合、回転軸207の軸線方向から見た平面配置において、第1ブロック209と第2ブロック210は、同一である。即ち、第1ブロック209の各櫛歯状磁板214cの平面位置は、第2ブロック210の各櫛歯状磁板214cの平面位置と同様の位置関係となっている。なお、第1ブロック209の各櫛歯状磁板214cの平面位置は、多少ずらせておいてもよい。
【0107】
第1ブロック209の励磁コイル211及び第2ブロック210の励磁コイル211は、外部の駆動制御部110からパルス電流が供給されるために各端子を備えている。各端子は、第1ブロック209の励磁コイル211では一方端子211a及び他方端子211bであり、第2ブロック210の励磁コイル211では一方端子211c及び他方端子211dである。その場合、第1ブロック209の励磁コイル211及び第2ブロック210の励磁コイル211の各巻き方向は同一である。従って、第1ブロック209と第2ブロック210は、構造、平面配置、励磁コイルの巻き方向、各端子の引き出し位置は、全て同じであり、前記軸線方向に沿って隣接配置されている。但し、第1ブロック209と第2ブロック210は、前述以外の隣接的配置にしてもよい。
【0108】
第1ブロック209において、ハウジング203と、ステーターコア対214の円板部214a、214a及び櫛歯状磁極214c、214cとによって、第1ブロック209の励磁コイル211が生成する磁束を通す第1の磁気回路が構成される。一方、第2ブロック210においても、ハウジング203と、ステーターコア対214の円板部214a、214a及び櫛歯状磁極214c、214cとによって、第2ブロック210の励磁コイル211が生成する磁束を通す第2の磁気回路が構成される。従って、第1ブロック209及び第2ブロック210の各励磁コイル211、211に互いに位相のずれた駆動パルス等を供給すれば、第1の磁気回路及び第2の磁気回路に交互に磁力が発生する。
【0109】
回転子206は、ローターマグネット215を固定した状態で、ステーターコア対214の半径方向内方に配設されている。ローターマグネット215は、回転軸207の軸線と平行な方向に延びる磁極を円周方向に複数個配列してなる永久磁石で構成された円筒状の永久磁石である。即ち、ローターマグネット215は、円筒状外周面にN極とS極を交互に配列した8極磁石である。
【0110】
上記構成のステッピングモーター201において、第1ブロック209及び第2ブロック210の各励磁コイル211、211に互いに位相のずれた駆動パルスを流すと、各励磁コイル211、211によりそれぞれ励磁される各櫛歯状磁極214c、214c、214c、214cの励磁位置は、所定のステップ角だけずれる。すると、櫛歯状磁極214c、214c、214c、214cにより回転子206のローターマグネット215が吸引されて回転子206が所定のステップ角だけ回転する。このようにして回転する回転子206の回転軸207は、外部の電子機器等を駆動することになる。
【0111】
上記ステッピングモーター201を駆動する駆動パルスと動作について、図11に基づいて説明する。
【0112】
図11の駆動パルスの出力チャートにおいて、駆動パルスS1〜S8と継続パルスPxを出力しているパルス出力区間Xと、いずれのパルスも出力していないパルス休止区間Yとが設定されている。パルス出力区間Xとパルス休止区間Yとが設定されている理由は、実施形態1で説明した通りである。パルス出力区間Xは、初回駆動パルスS1の始点t1〜継続パルスPxの終点txの区間である。パルス休止区間Yは、継続パルスPxの終点tx〜次の初回駆動パルスS1の始点t1の区間である。初回駆動パルスS1の始点t1〜次の初回駆動パルスS1の始点t1の間は、便宜上1サイクルと称する。
【0113】
回転子206は、外周にN極とS極を交互に配置して合計8極を有するローターマグネット215を備えているので、8ステップで1回転する。即ち、回転子206は、駆動パルスが8ステップ単位で出力されて1回転する。図11の「回転子1回転」と表示されている「S1〜S8」は、上記8ステップのステップ順番を表す。図11の(1)は上記第1ブロック209において、励磁コイル211に供給される駆動パルスの波形を示しており、図11の(2)は上記第2ブロック210において、励磁コイル211に供給される駆動パルスの波形を示している。図11の(1)において、S1及びS2の駆動パルスは、励磁コイル211の一方端子211aに入り他方端子211bから出て行く際のパルス波形であり、S4〜S6の駆動パルスは上記とは逆に他方端子211bに入り一方端子211aから出て行く際のパルス波形である。S3、S7、S8は駆動パルスが出力されていない状態での波形である。図11の(2)において、S2〜S4の駆動パルスは励磁コイル211の一方端子211cに入り他方端子211dから出て行く際の波形であり、S6〜S8の駆動パルスは上記と逆に他方端子211dに入り一方端子211cから出て行く際の波形である。S1、S5では、駆動パルスが出力されていない状態での波形である。
【0114】
上記図11の(1)の各駆動パルスにより第1ブロック209の励磁コイル211が第1ブロック209のステーター対214を励磁し、ローターマグネット215の各磁極と吸引または反発して回転子206を回転する。同時に、図11の(2)の各駆動パルスにより第2ブロック210の励磁コイル211が第2ブロック210のステーター対214を励磁し、ローターマグネット215の各磁極を吸引または反発して回転子206を回転する。
【0115】
ここで、図11の(2)のように、最終駆動パルスS8の直後に最終駆動パルスS8に合体する継続パルスPxが出力する。この継続パルスPxは、最終駆動パルスS8と同じ向きに電流が流れ電圧も同一である。なお継続パルスPxは、最終駆動パルスS8の整数倍の長さを有し、好ましくは5〜15倍である。図11の(3)は、電源電圧の印加状態を表す図である。電源電圧は、実施形態1と同様に、パルス出力区間Xでは印加され、パルス休止区間Yでは印加されていない。このためパルス休止区間Yでは、電源電圧の待機電流が流れない。
【0116】
なお、ローターマグネット215は、外周にN極とS極を交互に配置し合計8極を有し、回転子206は8ステップ(S1〜S8)で1回転するものであったが、その極数に限定されない。上記極数は偶数極であればどのようでも適用できる。例えば、n極とした場合、駆動パルスは図11において、S1〜Snが出力される。前述の継続パルスPxは、最終駆動パルスSnに継続して出力する。
【0117】
上記の継続パルスPxが最終駆動パルスS8と実質的に合体するとは、継続パルスPxが最終駆動パルスS8の後に時間を置かずに出力され、その際、継続パルスPxと最終駆動パルスS8は、励磁コイル211、211内で同じ方向に電流が流れかつほぼ同じ電圧である状態をいう。
【0118】
実施形態4のステッピングモーター201の駆動方法及びその駆動装置によれば、基本的には実施形態1と同様の作用効果を有する。但し、次の点が異なっている。即ち、実施形態1のステッピングモーター101は実施形態4のステッピングモーター201に読み替える。以下同様にステーター102は固定子205に、コイル103は各励磁コイル211、211に、ローター105は回転子206に、ローター磁石107はローターマグネット215に、駆動パルスP1〜P5、Pn−1及びPnはS1〜S8に、初回駆動パルスP1はS1に、最終駆動パルスPnはS8に、読み替える。但し、(ロ)に関しては、実施形態4では、実施形態1の「駆動パルス幅が広すぎてローターが次の所定ステップ位置まで回転しすぎた場合」は生じないので、その言及は除外する。
【0119】
〔実施形態5〕
実施形態5は、実施形態4のように継続パルスPxを出力するが、さらに初回駆動パルスS1の前に当該初回駆動パルスS1と合体する先導パルスPyを各励磁コイル211,211に出力するものである。それ以外は実施形態4と同様である。スッテッピングモーター201周辺の機能ブロック図は、基本的には実施形態4と同様である。但し実施形態4の駆動制御部110は、駆動パルスS1〜S8と継続パルスPxを生成出力し駆動パルスS1〜S8と継続パルスPxのパルス幅を決定しその出力タイミングを決定していたが、実施形態5の駆動制御部110は、さらに加えて先導パルスPyを生成出力しその出力タイミングも決定している。
【0120】
実施形態5のパルス出力状態は、図11の(2)のように最終駆動パルスS8の直後に最終駆動パルスS8に合体する継続パルスPxが出力するとともに、図11の(1)において初回駆動パルスS1の前に初回駆動パルスS1と合体する先導パルスPy(鎖線表示)を出力している。先導パルスPyは、各駆動パルスS1〜S8と同様に各励磁コイル211,211に出力される。全てのパルス、すなわち各駆動パルスS1〜S8と継続パルスPx及び先導パルスPyが出力されている区間は、パルス出力区間Xである。どのパルスも出力されていない区間は、パルス休止区間Yである。パルス出力区間Xは、先導パルスPyの始点ty〜継続パルスPxの終点txの区間である。パルス休止区間Yは、継続パルスPxの終点tx〜次の先導パルスPyの始点tyの区間である。初回駆動パルスS1の始点t1〜次の初回駆動パルスS1の始点t1の間は、便宜上1サイクルと称する。
【0121】
先導パルスPyは、初回駆動パルスS1と一体に出力され、同じ極性と同じ電圧で出力される。先導パルスPyのパルス幅は、初回駆動パルスS1の整数倍が好ましい。先導パルスPyのパルス幅を、初回駆動パルスS1を含めた他の駆動パルスS2〜S8のパルス幅の整数倍で構成すると、上記駆動制御部110を用いて容易に形成することができる。従って、先導パルスPyを形成する駆動制御部110も単純化し、回路動作が迅速で低消費電力と低コストを実現する。
【0122】
先導パルスPyが初回駆動パルスS1と実質的に合体するとは、先導パルスPyが初回駆動パルスS1の後に時間を置かずに出力され、その際、先導パルスPyと初回駆動パルスS1は、励磁コイル211、211内で同じ方向に電流が流れかつほぼ同じ電圧である状態である。
【0123】
先導パルスPyのパルス幅と継続パルスPxのパルス幅との関係は、両者とも同じでも良く、どちらか一方が他方よりも長くてもよい。特に、継続パルスPxのパルス幅が、先導パルスPyのパルス幅よりも長くすることが実用的に好ましい。
【0124】
以上の実施形態5によれば、実施形態2と同様の作用効果を有する。但し、実施形態4で読み替えたと同様に読み替える。即ち、実施形態2のステッピングモーター101は実施形態5のステッピングモーター201に、以下同様にステーター102は固定子205に、コイル103は各励磁コイル211、211に、ローター105は回転子206に、ローター磁石107はローターマグネット215に、駆動パルスP1〜P5、Pn−1及びPnはS1〜S8に、初回駆動パルスP1はS1に、最終駆動パルスPnはS8に、読み替える。但し、(ロ)に関しては、実施形態5では、実施形態1の「駆動パルス幅が広すぎてローターが次の所定ステップ位置まで回転しすぎた場合」は生じないので、その言及は当てはまらない。
【0125】
〔実施形態6〕
実施形態5は、実施形態4(図11)のように継続パルスPxを出力するとともに、先導パルスPyを出力するものであった。実施形態6は、実施形態5に対し、継続パルスPxを出力させないものであり、それ以外は実施形態4と同様である。なお、スッテッピングモーター201周辺の機能ブロック図は、実施形態4と基本的に同様である。駆動制御部110は、先導パルスPyのパルス幅を決定し、その出力タイミングも決定している。
【0126】
実施形態6のスッテッピングモーター201に供給される駆動パルスの出力状態は、図11において継続パルスPxが削除された状態である。すなわち図11の(2)において、継続パルスPxが削除され最終パルスS8が鎖線のように出力される。その場合、パルス出力区間Xは、先導パルスPyの始点ty〜最終パルスS8の終点t8の区間である。パルス休止期間Yは、最終パルスS8の終時点t8〜次回の先導パルスPyの始点tyの区間である。初回駆動パルスS1の始点t1〜次の初回駆動パルスS1の始点t1の間は、便宜上1サイクルと称する。
【0127】
実施形態6の作用効果は、実施形態3の先導パルスPyの作用効果と同様である。但し、実施形態4で読み替えたと同様に読み替える。即ち、実施形態3のステッピングモーター101は実施形態6のステッピングモーター201に、以下同様にステーター102は固定子205に、コイル103は各励磁コイル211、211に、ローター105は回転子206に、ローター磁石107はローターマグネット215に、駆動パルスP1〜P5、Pn−1及びPnはS1〜S8に、初回駆動パルスP1はS1に、最終駆動パルスPnはS8に、読み替える。但し、(ロ)に関しては、実施形態5では、実施形態1の「駆動パルス幅が広すぎてローターが次の所定ステップ位置まで回転しすぎた場合」は生じないので、その言及は当てはまらない。
【0128】
〔実施形態7〕
実施形態1〜6の駆動制御部110は、1サイクル、駆動パルス、パルス出力区間X、パルス休止区間Y、継続パルスPx、先導パルスPyの各所定時間を予め設定していた。実施形態7は、前記1サイクル、駆動パルス、パルス出力区間、パルス休止区間、継続パルス、先導パルスの少なくともいずれかの時間間隔または出力タイミングを随意に設定可能である。さらに駆動制御部110は、設定された時間間隔または出力タイミングに基づいて、1サイクル毎に継続パルスPxと先導パルスPyとの少なくともいずれかと駆動パルスとをコイル103、211、211に出力するものである。
【0129】
図12は、実施形態7のスッテッピングモーター周辺の機能ブロック図である。図12は、図2に対して時間設定部320を付加している点が異なる。時間設定部320は、駆動制御部110に時間設定信号を送付する。このため時間設定部320は、駆動制御部110がステッピングモーター101、201を駆動する際、前記1サイクル、駆動パルス、パルス出力区間X、パルス休止区間Y、継続パルスPx、先導パルスPyの少なくともいずれかの時間間隔または出力タイミングを変更できる。即ち時間設定部320は、1サイクルの間隔、駆動パルスと継続パルスPx及び先導パルスPyのパルス幅、駆動パルスと継続パルスPx及び先導パルスPyの出力タイミング、パルス出力区間X及びパルス休止区間Yの間隔を変更できる。このため、種々の要求に対応できる駆動方法及び駆動装置を実現できる。なお、駆動パルスのパルス幅を変更する場合、全ての駆動パルスのパルス幅を変更してもよく、あるいは一部の駆動パルスのパルス幅を変更しても良い。
【0130】
〔変形例1〕
上記各実施形態の負荷111は、ステッピングモーター101、201が駆動する時計の分針と時針とそれらに回転駆動力を伝達する歯車列であった。本発明の負荷は、それに限定されるものではなく、本発明の趣旨にかなうならば上記以外の負荷にも適用される。例えば、流体を供給する小型ポンプの駆動源に本発明のステッピングモーターの駆動方法及びその駆動装置を用いることができる。上記小型ポンプの駆動源に本発明のステッピングモーターの駆動方法や駆動装置を用いると、小型ポンプの出力流量を増減制御することが容易である。即ち、ステッピングモーターの一連の動作を、所定時間に設定された1サイクルとして設定する。この1サイクル内に、パルス出力期間Xとパルス休止区間とを設けておく。小型ポンプの出力流量を増加させたい場合はパルス出力期間Xを長く設定する。その場合は、出力される駆動パルス数が多くなりステッピングモーターの駆動ステップ数も増加するので、その分、ステッピングモーターが小型ポンプを長く駆動する。従って小型ポンプの出力流量を増加することができる。その場合、当然ながらパルス休止区間の間隔は短くなる。2サイクル以降も同様に動作し、以降、繰り返される。
【0131】
〔変形例2〕
上記各実施形態では、継続パルスは最終駆動パルスに合体しており、先導パルスは初回駆動パルスに合体して出力されていた。変形例2は、継続パルスが最終駆動パルスの多少の時間経過後に出力され、或いは先導パルスが初回駆動パルスの多少の時間経過後に出力される。
【0132】
変形例2は、図5において、継続パルスが最終駆動パルスの出力終了位置である最終駆動パルス終了位置ハから多少の時間を経過してから出力される。この多少の時間は、上記最終駆動パルス終了位置ハから次のローター所定ステップ位置ロまでの時間以内である。ローター105及び回転子206は、上記終駆動パルス終了位置ハでは回転中であり、その後も慣性によって上記ロ位置付近まで回転する。この際に、ローター105及び回転子206が、外乱が生じて上記ロ位置を越えて更に次の所定位置まで回転しないため、或いはもとのローター回転位置イに戻ってしまわないために、上記ロ位置に到達する前に継続パルスを出力させることが好ましい。なお、上記多少の時間は、最終駆動パルスのパルス幅以内に留める方がより好ましい。先導パルスにおいても、上記多少の時間は、初回駆動パルスのパスル幅以内に留めることが好ましい。
【0133】
〔変形例3〕
各実施形態において、駆動パルスP1〜P5・・・Pn−1、Pn、S1〜S8のパルス幅は一定であったが、各パルス幅を異ならせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明のステッピングモーターの駆動方法及びその駆動装置は、時計や計測器の表示針及びその他の電子機器の被駆動体を駆動するために用いる。本発明は、上記ステッピングモーターの駆動装置で時刻表示針を駆動する時計、電圧や電流等の電気計測結果を指示する表示針を駆動する計測器及びその他の電子機器に適用することが出来る。なお、本発明は、本発明の趣旨を損ねないならば、記述していないステッピングモーターの駆動方法、その駆動装置及びその駆動装置を用いた電子機器に適用することができる。
【符号の説明】
【0135】
101,201・・・ステッピングモーター、102・・・ステーター、102a・・・ローター挿入孔、102b・・・外ノッチ、102c・・・内ノッチ、103・・・コイル、103a・・・コイルの一端、103b・・・コイルの他端、104・・・磁心、105・・・ローター、106・・・連結ピン、107・・・ローター磁石、108・・・駆動装置、109・・・電源、110・・・駆動制御部、111・・・負荷、202・・・ケーシング、203・・・ハウジング、204・・・蓋部材、205・・・固定子、206・・・回転子、207・・・回転軸、208・・・軸受部材、209・・・第1ブロック、210・・・第2ブロック、211・・・励磁コイル、211a、211c・・・一方端子、211b、211d・・・他方端子、213・・・コイルボビン、214・・・ステーターコア対、214A・・・一方ステーターコア、214B・・・他方ステーターコア、214a・・・円板部、214b・・・内周縁、214c・・・櫛歯状磁極、214d・・・中心軸線、214e・・・凹部空間、215・・・ローターマグネット、320・・・時間設定部、θ・・・内ノッチ中心線と外ノッチ中心線の角度、P1〜P5、Pn−1、Pn,S1〜S8・・・駆動パルス、P1、S1・・・初回駆動パルス、Pn、S8・・・最終駆動パルス、Px・・・継続パルス、Py・・・先導パルス、X・・・パルス出力区間、Y・・・パルス休止区間、L・・・外ノッチ対中心線、M・・・内ノッチ対中心線、α・・・パルス駆動区間、β・・・継続パルス駆動区間、γ・・・ローター1ステップ回転区間、イ・・・ローター回転開始位置、ロ・・・次のローター所定ステップ位置、ハ・・・最終駆動パルス出力終了位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
永久磁石と駆動パルスが入力した際のコイルとの磁気作用によりローターがステップ駆動するステッピングモーターの駆動方法であって、
前記駆動パルスを含むパルスを継続的に出力するパルス出力区間と前記パルスを継続的に出力せずかつ待機電流を流さないパルス休止区間とを設け、
前記パルス出力区間において、最後に出力する駆動パルスである最終駆動パルスの直後に当該最終駆動パルスと実質的に合体する継続パルスと、最初に出力する駆動パルスである初回駆動パルスの直前に当該初回駆動パルスと実質的に合体する先導パルスと、の少なくともいずれかと前記駆動パルスとを前記コイルに出力することを
特徴とするステッピングモーターの駆動方法。
【請求項2】
請求項1に記載されたステッピングモーターの駆動方法であって、
前記パルス出力区間と前記パルス休止区間とは、所定時間が定められた1サイクル中に設けられている
ことを特徴とするステッピングモーターの駆動方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載されたステッピングモーターの駆動方法であって、
前記継続パルスと前記先導パルスとが出力され、前記継続パルスのパルス幅は前記先導パルスのパルス幅よりも長く設定されている
ことを特徴とするステッピングモーターの駆動方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちいずれかに記載されたステッピングモーターの駆動方法であって、
前記駆動パルスは、パルス幅が一定であり、
前記継続パルスと先導パルスの少なくとも一方のパルス幅は、前記駆動パルスの前記パルス幅の整数倍に設定されている
ことを特徴とするステッピングモーターの駆動方法。
【請求項5】
永久磁石と駆動パルスが入力した際のコイルとの磁気作用によりローターがステップ駆動するステッピングモーターの駆動装置であって、
前記駆動装置は、少なくとも前記駆動パルスを前記コイルに出力する駆動制御部を有し、
前記駆動制御部は、前記駆動パルスを含むパルスを継続的に出力するパルス出力区間と前記パルスを継続的に出力せずかつ待機電流を流さないパルス休止区間とを設定し、前記パルス出力区間において、最後に出力する駆動パルスである最終駆動パルスの直後に当該最終駆動パルスと実質的に合体する継続パルスと、最初に出力する駆動パルスである初回駆動パルスの直前に当該初回駆動パルスと実質的に合体する先導パルスと、の少なくともいずれかと前記駆動パルスとを前記コイルに出力する
ことを特徴とするステッピングモーターの駆動装置。
【請求項6】
請求項5に記載されたステッピングモーターの駆動装置であって、
前記パルス出力区間と前記パルス休止区間は、所定時間が定められた1サイクル中に設けられている
ことを特徴とするステッピングモーターの駆動装置。
【請求項7】
請求項5に記載されたステッピングモーターの駆動装置であって、
時間を設定可能な時間設定部をさらに備え、
前記時間設定部は、前記駆動パルス、前記パルス出力区間、前記パルス休止区間、前記継続パルス、前記先導パルスの少なくともいずれかの時間間隔または出力タイミングを設定可能であり、
前記駆動制御部は、前記設定された時間間隔または出力タイミングに基づいた前記継続パルスと前記先導パルスとの少なくともいずれかと前記駆動パルスとを前記コイルに出力する
ことを特徴とするステッピングモーターの駆動装置。
【請求項8】
請求項6に記載されたステッピングモーターの駆動装置であって、
時間を設定可能な時間設定部をさらに備え、
前記時間設定部は、前記1サイクルの前記所定時間、前記駆動パルス、前記パルス出力区間、前記パルス休止区間、前記継続パルス、前記先導パルスの少なくともいずれかの時間間隔または出力タイミングを設定可能であり、
前記駆動制御部は、前記設定された時間間隔または出力タイミングに基づいて、前記1サイクル毎に前記継続パルスと前記先導パルスとの少なくともいずれかと前記駆動パルスとを前記コイルに出力する
ことを特徴とするステッピングモーターの駆動装置。
【請求項9】
請求項5から請求項8のうちいずれかに記載されたステッピングモーターの駆動装置を備えた
ことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
永久磁石と駆動パルスが入力した際のコイルとの磁気作用によりローターがステップ駆動するステッピングモーターの駆動方法であって、
前記駆動パルスを含むパルスを継続的に出力するパルス出力区間と前記パルスを継続的に出力せずかつ待機電流を流さないパルス休止区間とを設け、
前記パルス出力区間において、最後に出力する駆動パルスである最終駆動パルスの直後に当該最終駆動パルスと実質的に合体する継続パルスと、最初に出力する駆動パルスである初回駆動パルスの直前に当該初回駆動パルスと実質的に合体する先導パルスと、の少なくともいずれかと前記駆動パルスとを前記コイルに出力することを
特徴とするステッピングモーターの駆動方法。
【請求項2】
請求項1に記載されたステッピングモーターの駆動方法であって、
前記パルス出力区間と前記パルス休止区間とは、所定時間が定められた1サイクル中に設けられている
ことを特徴とするステッピングモーターの駆動方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載されたステッピングモーターの駆動方法であって、
前記継続パルスと前記先導パルスとが出力され、前記継続パルスのパルス幅は前記先導パルスのパルス幅よりも長く設定されている
ことを特徴とするステッピングモーターの駆動方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちいずれかに記載されたステッピングモーターの駆動方法であって、
前記駆動パルスは、パルス幅が一定であり、
前記継続パルスと先導パルスの少なくとも一方のパルス幅は、前記駆動パルスの前記パルス幅の整数倍に設定されている
ことを特徴とするステッピングモーターの駆動方法。
【請求項5】
永久磁石と駆動パルスが入力した際のコイルとの磁気作用によりローターがステップ駆動するステッピングモーターの駆動装置であって、
前記駆動装置は、少なくとも前記駆動パルスを前記コイルに出力する駆動制御部を有し、
前記駆動制御部は、前記駆動パルスを含むパルスを継続的に出力するパルス出力区間と前記パルスを継続的に出力せずかつ待機電流を流さないパルス休止区間とを設定し、前記パルス出力区間において、最後に出力する駆動パルスである最終駆動パルスの直後に当該最終駆動パルスと実質的に合体する継続パルスと、最初に出力する駆動パルスである初回駆動パルスの直前に当該初回駆動パルスと実質的に合体する先導パルスと、の少なくともいずれかと前記駆動パルスとを前記コイルに出力する
ことを特徴とするステッピングモーターの駆動装置。
【請求項6】
請求項5に記載されたステッピングモーターの駆動装置であって、
前記パルス出力区間と前記パルス休止区間は、所定時間が定められた1サイクル中に設けられている
ことを特徴とするステッピングモーターの駆動装置。
【請求項7】
請求項5に記載されたステッピングモーターの駆動装置であって、
時間を設定可能な時間設定部をさらに備え、
前記時間設定部は、前記駆動パルス、前記パルス出力区間、前記パルス休止区間、前記継続パルス、前記先導パルスの少なくともいずれかの時間間隔または出力タイミングを設定可能であり、
前記駆動制御部は、前記設定された時間間隔または出力タイミングに基づいた前記継続パルスと前記先導パルスとの少なくともいずれかと前記駆動パルスとを前記コイルに出力する
ことを特徴とするステッピングモーターの駆動装置。
【請求項8】
請求項6に記載されたステッピングモーターの駆動装置であって、
時間を設定可能な時間設定部をさらに備え、
前記時間設定部は、前記1サイクルの前記所定時間、前記駆動パルス、前記パルス出力区間、前記パルス休止区間、前記継続パルス、前記先導パルスの少なくともいずれかの時間間隔または出力タイミングを設定可能であり、
前記駆動制御部は、前記設定された時間間隔または出力タイミングに基づいて、前記1サイクル毎に前記継続パルスと前記先導パルスとの少なくともいずれかと前記駆動パルスとを前記コイルに出力する
ことを特徴とするステッピングモーターの駆動装置。
【請求項9】
請求項5から請求項8のうちいずれかに記載されたステッピングモーターの駆動装置を備えた
ことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−147585(P2012−147585A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4136(P2011−4136)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(591093494)株式会社ミスズ工業 (58)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(591093494)株式会社ミスズ工業 (58)
【Fターム(参考)】
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