説明

ステビア由来甘味物質を含有する甘味料

【課題】 シクロデキストリンの配合量は少ないが、ステビア由来甘味物質固有の苦味をマスキングすることができるステビア由来甘味物質含有甘味料を提供する。
【解決手段】 ステビア由来甘味物質の質量に対して0.5〜20質量%の、粒径30μm以下のシクロデキストリンを該ステビア由来甘味物質へ配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステビア由来甘味物質を含有する甘味料に関する。
【背景技術】
【0002】
植物ステビアに含まれるステビア由来甘味物質は、砂糖の約50倍〜450倍の甘味強度を有する物質である。かかる高い甘味強度を有するステビア由来甘味物質は、その使用量が砂糖の約50分の1〜450分の1で済むため、摂取カロリー量を有意に低減させることができる。そのため、消費者の健康意識・美容意識の高まりに伴い、ステビア由来甘味物質は砂糖代替甘味料として注目されてきている。
しかしながら、ステビア由来甘味物質は、砂糖にはない固有の苦味を有する。かかる苦味をマスキングすることは、ステビア由来甘味物質を甘味料として使用する際の最大の課題となっている。
【0003】
ステビア由来甘味物質に固有の苦味をマスキングする試みとして、他の物質を包接することができるシクロデキストリンを用いる技術が知られている(例えば、特許文献1〜3を参照のこと)。
特許文献1〜3の技術は、いずれも、シクロデキストリンをステビオサイドの質量に対して高い割合で用いている(特許文献1及び2:ステビア由来甘味物質の質量の等量以上。特許文献3:ステビア由来甘味物質の質量に対して50質量%以上)。
しかしながら、シクロデキストリンは吸湿性が高いので、食品へ多量に配合すると、食品自体の吸湿性が高くなる。吸湿による食品の劣化を防止するためには、吸湿防止措置を施した容器が必要になるので、結果として製造コストが上昇するという問題がある。
更に、シクロデキストリンを食品へ多量に配合すると、ステビア由来甘味物質の苦味成分のみならず、食品固有の香気成分までもシクロデキストリンに包接されてしまうので、食品の風味が損なわれるといった問題もある。
また、最近になって、大量摂取されたシクロデキストリンが、本来ならば体内に吸収されることがない有害物質を包接して、体内へ吸収させてしまう危険性が指摘された。これを受けて、米国では、シクロデキストリンの使用量が規制されている。かかる観点からも、シクロデキストリンをステビア由来甘味物質へ多量に配合することは回避されるべきである。
一方、シクロデキストリンは水難溶性の物質である。そのため、水分の多い食品(例えば、コーヒー)、特に冷却した水分の多い食品へステビア由来甘味物質とシクロデキストリンとを含む甘味料を用いる場合に、シクロデキストリンの配合量が少ないと苦味マスキング効果が十分に現れないという問題がある。かかる問題を解決すべく、シクロデキストリンの配合量を増やすと、前述したシクロデキストリンの大量使用の問題が生じる。
【0004】
【特許文献1】特開昭57−150358号公報
【特許文献2】特開昭60−98957号公報
【特許文献3】特開昭60−188035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明は、シクロデキストリンの配合量は少ないが、ステビア由来甘味物質固有の苦味をマスキングすることができる、ステビア由来甘味物質含有甘味料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明者等は鋭意検討を重ねたところ、所定の平均粒径まで微粉砕したシクロデキストリンを、ステビア由来甘味物質に対して所定割合で配合することにより、少量のシクロデキストリンでステビア由来甘味物質固有の苦味をマスキングできることを見出した。本発明は、この知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明は、ステビア由来甘味物質と、該ステビア由来甘味物質の質量に対して0.5〜20質量%の、平均粒径30μm以下のシクロデキストリンとを含む甘味料に関するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の甘味料では、後述する実施例で示されるように、シクロデキストリンの配合量は少ないが、ステビア由来甘味物質に固有の苦味をマスキングすることができる。したがって、砂糖代替甘味料として有利に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の甘味料は、ステビア由来甘味物質と、該ステビア由来甘味物質の質量に対して0.5〜20質量%の平均粒径30μm以下のシクロデキストリンとを含むことを特徴とする。
【0009】
「ステビア由来甘味物質」とは、キク科ステビア属植物であるステビア(Stevia rebaudiana Bertoni)に含まれる甘味物質をいう。ステビア由来甘味物質は砂糖の約50倍〜450倍の甘味強度を有することが知られている。具体例としては、ステビオサイド、レバウディオサイドA、レバウディオサイドC、レバウディオサイドD、レバウディオサイドE及びズルコサイドA等が挙げられる。これらの中では、レバウディオサイドAが味質の点で最も好ましい。
本発明の甘味料において、ステビア由来甘味物質は、単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
ステビア由来甘味物質は公知物質であり、市場において容易に入手することができ、又は、例えば特許第3436317号明細書に記載の方法にしたがいステビアから精製することもできる。
ステビア由来甘味物質は、酵素処理されていることが味質改善の点で好ましい。
処理に用いる酵素としては、グルコアミラーゼ及びα−グルコシダーゼ等が挙げられる。
酵素処理は、例えば特公昭57−18779号明細書(特許第1169566号)に記載の方法にしたがい行うことができる。
【0010】
「シクロデキストリン」とは、6分子〜8分子のD−グルコースがα1→4結合で環状構造を形成した分子をいう。シクロデキストリンは、他の物質をその中に包接することができることが知られている。具体例としては、α−シクロデキストリン(グルコース6分子からなる)、β−シクロデキストリン(グルコース7分子からなる)及びγ−シクロデキストリン(グルコース8分子からなる)が挙げられる。
本発明の甘味料において、シクロデキストリンは、単独で又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
シクロデキストリンは公知物質であり、市場において容易に入手することができ、又は、例えば特開平第5−244945号明細書に記載の方法にしたがいデンプンを酵素処理することにより生成することができる。
【0011】
本発明で使用するシクロデキストリンは、30μm以下、好ましくは10μm以下、特に好ましくは5μm以下の平均粒径を有する。
シクロデキストリンの平均粒径は、レーザー回折・散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置を用いて測定することができる。例えば、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(製品名:HORIBA LA910、入手先:株式会社堀場製作所)を使用し、湿式法にて測定することができる。
平均粒径が30μm以下であると、少量(すなわち、ステビア由来甘味物質の質量に対して0.5〜20質量%)であってもステビア由来甘味物質に固有の苦味をマスキングすることができる。
前述の市販されているシクロデキストリン及びデンプンの酵素処理により生成したシクロデキストリンは、一般的には50〜500μmの平均粒径を有している。この場合、本発明に使用するためには、シクロデキストリンを微粉砕する必要がある。シクロデキストリンの微粉砕は、当該技術分野で一般的に使用されている微粉砕手段、例えばジェットミル、ボールミル、自動乳鉢、オシレーター、コーミル、ハンマーミル、アトマイザー等を用いて行うことができる。これらの中では、微粉砕時に発熱することなく、かつ、効率的に微粉化できるジェットミルが特に好ましい。
【0012】
本発明の甘味料におけるシクロデキストリンの配合量は、ステビア由来甘味物質の質量に対して0.5〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%、特に好ましくは0.5〜5質量%である。配合量がステビア由来甘味物質の質量に対して0.5〜20質量%であると、当該甘味料が添加される食品に固有の風味を損なうことなしに、ステビア由来甘味物質の苦味をマスキングすることができる。
本発明は特定の理論に限定されるものではないが、ステビア由来甘味物質の質量に対して0.5〜20質量%という少量のシクロデキストリンを含む本発明の甘味料でステビア由来甘味物質の苦味をマスキングできるのは、シクロデキストリンを平均粒径30μm以下へ微粉砕化したことにより水への溶解性が高まったためであると考えられる(シクロデキストリンは外側が親水性、内側が疎水性の構造を有する。そのため、水の存在下(甘味料を食品へ添加したとき又は口内に入れたとき)において、疎水性物質(ステビア由来甘味物質の苦味物質)を包接することができる。したがって、シクロデキストリンの水への溶解性が向上すると、より多くの苦味物質をマスキングすることができる)。
更に、本発明の甘味料が、当該甘味料が添加される食品の風味を損なわないのは、ステビア由来甘味物質の質量に対して0.5〜20質量%という少量のシクロデキストリンの包接作用が専らステビア由来甘味物質の苦味成分にのみ及び、食品固有の香気成分にまで及ばないためであると考えられる。
【0013】
本発明の甘味料は、ステビア由来甘味物質と微粉砕化シクロデキストリンとを混合又は混練することにより製造することができる。
混合手段としては、当該技術分野で一般的に用いられているものを特に制限なく使用することができる。
また、甘味料中におけるステビア由来甘味物質と微粉砕化シクロデキストリンとの均一な配合を図るために、ステビア由来甘味物質と微粉砕化シクロデキストリンとを湿潤剤の存在下で混練し、得られた混練物を乾燥することが好ましい。
湿潤剤としては安全性の点から、水及びエタノールが好ましい。湿潤剤は、単独で又は2種以上の組み合わせ(例えば、水とエタノールの混合物)で使用することができる。
混練手段としては、当該技術分野で一般的に用いられているものを特に制限なく使用することができる。
乾燥手段としては、当該技術分野で一般的に用いられているものを特に制限なく使用することができる。
【0014】
本発明の甘味料は、ステビア由来甘味物質以外の甘味物質を適宜含んでいてもよい。ステビア由来甘味物質以外の甘味物質としては、砂糖、グルコース、フルクトース、マルチトール、キシリトール、エリスリトール等が挙げられる。
本発明の甘味料において、ステビア由来甘味物質以外の甘味物質は、単独で又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0015】
本発明の甘味料は、食品、嗜好品、食品添加物及び薬剤等へ砂糖代替甘味料として使用することができる。これらの中では、水分の多い食品(例えば、コーヒー、紅茶等の飲料、ヨーグルト並びに柑橘類等)、特に冷却した水分の多い食品に好適に使用することができる。
以下に実施例を示して具体的に説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
【実施例】
【0016】
[製造例1]
β−シクロデキストリン(製品名:セルデックス(登録商標)B−100、入手先:日本食品化工株式会社)100gを、ボールミル(製品名:ポットミル、入手先:日本化学陶業株式会社)を用いて、50rpmで30分間で微粉砕した。得られた微粉砕化シクロデキストリンの平均粒径を、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(HORIBA LA910)を用いて湿式法で測定したところ、30μmであった。
【0017】
[製造例2]
β−シクロデキストリン(製品名:セルデックス(登録商標)B−100z、入手先:日本食品化工株式会社)100gを、ジェットミル(製品名:CO−JET System α−mkIII、入手先:株式会社セイシン企業)を用いて、プッシャーノズル:0.6MPa、グライディングノズル:0.5MPaで微粉砕した。得られた微粉砕化シクロデキストリンの平均粒径を、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(HORIBA LA910)を用いて湿式法で測定したところ、2.4μmであった。
【0018】
[製造例3]
シクロデキストリンとしてγ−シクロデキストリン(製品名:セルデックス(登録商標)G−100、入手先:日本食品化工株式会社)を用いたことを除いて、製造例2と同様の手順によりγ−シクロデキストリンを微粉砕して、平均粒径が2.4μmのγ−シクロデキストリンを得た。
【0019】
[製造例4]
シクロデキストリンとしてα−シクロデキストリン(製品名:セルデックス(登録商標)A−100、入手先:日本食品化工株式会社)を用いたことを除いて、製造例2と同様の手順によりγ−シクロデキストリンを微粉砕して、平均粒径が2.4μmのγ−シクロデキストリンを得た。
【0020】
[製造例5]
β−シクロデキストリン(製品名:セルデックス(登録商標)B−100、入手先:日本食品化工株式会社)を、微粉砕することなしにそのまま用いた。シクロデキストリンの平均粒径を、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(HORIBA LA910)を用いて湿式法で測定したところ、100μmであった。
【0021】
[製造例6]
ステビア由来甘味物質として、酵素処理されたステビア由来甘味物質(商品名:αGスイートPX、入手先:東洋精糖株式会社)を入手した。
【0022】
[実施例1]
製造例1のβ−シクロデキストリン(平均粒径30μm)1質量部と、製造例6の酵素処理されたステビア由来甘味物質 5質量部とを、バーチカルグラニュレーターVG−1(株式会社パウレック製)を用い、ブレード:400rpm、クロススクリュー:400rpmの条件で3分間混合して、ステビア由来甘味物質含有甘味料を得た。
本実施例のステビア由来甘味物質含有甘味料における、微粉砕化シクロデキストリンの含量は、ステビア由来甘味物質の質量に対して20質量%であった。
【0023】
[実施例2]
シクロデキストリンとして、製造例1のβ−シクロデキストリン(平均粒径30μm)0.025質量部(ステビア由来甘味物質の質量に対して0.5質量%)を用いたことを除き、実施例1と同様の手順にしたがいステビア由来甘味物質含有甘味料を得た。
【0024】
[実施例3]
製造例2のβ−シクロデキストリン(平均粒径2.4μm)0.1質量部と、製造例6の酵素処理されたステビア由来甘味物質 5質量部と、任意成分としての砂糖(製品名:グラニュ糖GFH、入手先:新三井製糖株式会社)94.9質量部とを、バーチカルグラニュレーターVG−1(株式会社パウレック製)を用い、エタノール1.2重量部と共に混合し、その後乾燥して、ステビア由来甘味物質含有甘味料を得た。
本実施例のステビア由来甘味物質含有甘味料における、微粉砕化シクロデキストリンの含量は、ステビア由来甘味物質の質量に対して2質量%であった。
【0025】
[実施例4]
微粉砕化シクロデキストリンとして、製造例3のγ−シクロデキストリン(平均粒径2.4μm)0.1質量部(ステビア由来甘味物質の質量に対して2質量%)を用いたことを除き、実施例3と同様の手順にしたがいステビア由来甘味物質含有甘味料を得た。
【0026】
[実施例5]
製造例4のα−シクロデキストリン(平均粒径2.4μm)0.17質量部と、製造例6の酵素処理されたステビア由来甘味物質 16.7質量部と、任意成分としての砂糖(製品名:グラニュ糖GFH、入手先:新三井製糖株式会社)383.13質量部とを、バーチカルグラニュレーターVG−1(株式会社パウレック製)を用い混合して、ステビア由来甘味物質含有甘味料を得た。
本実施例のステビア由来甘味物質含有甘味料における、微粉砕化シクロデキストリンの含量は、ステビア由来甘味物質の質量に対して1.02質量%であった。
【0027】
[実施例6]
微粉砕化シクロデキストリンとして、製造例3のγ−シクロデキストリン(平均粒径2.4μm)0.17重量部(ステビア由来甘味物質の質量に対して1.02質量%)を用いたことを除き、実施例5と同様の手順にしたがいステビア由来甘味物質含有甘味料を得た。
【0028】
[比較例1]
製造例5のβ−シクロデキストリン(平均粒径100μm)1質量部と、製造例6の酵素処理されたステビア由来甘味物質 5質量部とを、バーチカルグラニュレーターVG−1(株式会社パウレック製)を用い、ブレード:400rpm、クロススクリュー:400rpmの条件で3分間混合して、ステビア由来甘味物質含有甘味料を得た。
本製造例のステビア由来甘味物質含有甘味料における、微粉砕化シクロデキストリンの含量は、ステビア由来甘味物質の質量に対して20質量%であった。
【0029】
[比較例2]
シクロデキストリンとして、製造例1のβ−シクロデキストリン(平均粒径30μm)2質量部(ステビア由来甘味物質の質量に対して40質量%)を用いたことを除き、比較例1と同様の手順にしたがいステビア由来甘味物質含有甘味料を得た。
【0030】
[比較例3]
シクロデキストリンとして、製造例1のβ−シクロデキストリン(平均粒径30μm)0.005質量部(ステビア由来甘味物質の質量に対して0.1質量%)を用いたことを除き、比較例1と同様の手順にしたがいステビア由来甘味物質含有甘味料を得た。
【0031】
以下の表1に、実施例1〜5及び比較例1〜3の各ステビア由来甘味物質含有甘味料の組成を示す。尚、表中の各成分の数値は質量部を表す。

表1

【0032】
[試験例]
実施例1〜4及び比較例1〜3のステビア由来甘味物質含有甘味料について官能評価を行った。具体的には、コーヒー200ml(コーヒーの温度:約65〜70℃)へ、下記表2に示す使用量の各甘味料を添加して得られたコーヒーの
(1)ステビア由来甘味物質に固有の苦味、及び
(2)コーヒーの風味
について官能評価した。尚、(2)のコーヒーの風味の評価は、シクロデキストリンがコーヒーの香気成分を包接することによりコーヒーの風味が損なわれていないか否かを評価するために行った。

表2

【0033】
(1)ステビア由来甘味物質に固有の苦味の官能評価
官能評価は、「ステビア由来甘味物質固有の苦味が気になる」又は「ステビア由来甘味物質固有の苦味が気にならない」を評価基準として、20名の評価パネルにより行った。
結果を表3に示す。

表3

【0034】
(2)コーヒーの風味の官能評価
官能評価は、「風味が良い」又は「風味が悪い」を評価基準として、10名の評価パネルにより行った。
結果を表4に示す。

表4

【0035】
前述の官能評価と、シクロデキストリンの平均粒径及び添加量との関係を表5に示す。
表5中、「ステビア由来甘味物質に固有の苦味」及び「コーヒーの風味」の評価は、下記の基準にしたがって示した。

苦味○:過半数の人が「ステビア由来甘味物質固有の苦味が気にならない」と評価したサンプル
苦味×:過半数の人が「ステビア由来甘味物質固有の苦味が気になる」と評価したサンプル
風味○:過半数の人が「コーヒーの風味が良い」と評価したサンプル
風味×:過半数の人が「コーヒーの風味が悪い」と評価したサンプル




表5

実施例1と比較例1との比較より、少量のシクロデキストリンでステビア由来甘味物質固有の苦味をマスキングするためには、シクロデキストリンの平均粒径を30μm以下にする必要があることが理解される。
実施例2と比較例3との比較より、微粉砕化シクロデキストリンが苦味マスキング効果を発揮するためには、微粉砕化シクロデキストリンの配合量をステビア由来甘味物質の質量に対して0.5質量%以上とする必要があることが理解される。
一方、実施例1と比較例2との比較より、シクロデキストリンの包接作用によるコーヒーの風味の劣化を防ぐためには、シクロデキストリンの配合量をステビア由来甘味物質の質量に対して20質量%以下とする必要があることが理解される。
以上より、シクロデキストリンの使用量を抑えつつ、ステビア由来甘味物質固有の苦味をマスキングするためには、ステビア由来甘味物質の質量に対して0.5〜20質量%の、粒径30μm以下のシクロデキストリンをステビア由来甘味物質へ配合することが必要であることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、砂糖代替甘味料として利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステビア由来甘味物質を含有する甘味料であって、
ステビア由来甘味物質と、
該ステビア由来甘味物質の質量に対して0.5〜20質量%の、平均粒径30μm以下のシクロデキストリンとを含む、
ことを特徴とする甘味料。
【請求項2】
シクロデキストリンの粒径が、10μm以下である、請求項1に記載の甘味料。
【請求項3】
シクロデキストリンの粒径が、5μm以下である、請求項1に記載の甘味料。
【請求項4】
ステビア由来甘味物質の質量に対して0.5〜10質量%のシクロデキストリンを含む、請求項1に記載の甘味料。
【請求項5】
ステビア由来甘味物質の質量に対して0.5〜5質量%のシクロデキストリンを含む、請求項1に記載の甘味料。
【請求項6】
ステビア由来甘味物質の質量に対して0.5〜10質量%の平均粒径10μm以下のシクロデキストリンとを含む、請求項1に記載の甘味料。
【請求項7】
ステビア由来甘味物質の質量に対して0.5〜5質量%の平均粒径5μm以下のシクロデキストリンとを含む、請求項1に記載の甘味料。
【請求項8】
ステビア由来甘味物質が、酵素処理されたステビア由来甘味物質である、請求項1〜7のいずれかに記載の甘味料。
【請求項9】
ステビア由来甘味物質が、レバウディオサイドAである、請求項1〜8のいずれかに記載の甘味料。
【請求項10】
更に、ステビア由来甘味物質以外の甘味物質を含む、請求項1〜9のいずれかに記載の甘味料。
【請求項11】
ステビア由来甘味物質を含有する甘味料の製造方法であって、
ステビア由来甘味物質と、該ステビア由来甘味物質の質量に対して0.5〜20質量%の、平均粒径30μm以下のシクロデキストリンとを混合する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
ステビア由来甘味物質を含有する甘味料の製造方法であって、
ステビア由来甘味物質と、該ステビア由来甘味物質の質量に対して0.5〜20質量%の、平均粒径30μm以下のシクロデキストリンとを、湿潤剤の存在下で混練する工程、
得られた混練物を乾燥する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
湿潤剤が水及び/又はエタノールである、請求項12に記載の方法。