説明

ステント内ステント構造

多数のステントが拡張し且つ整合して外側のステントのストラット間の空間を遮って組織の内部成長を受け難い管状のステントを形成する種々のステント構造が記載されている。1以上のステントが外側のステントの内側に選択的に位置決めされて、1以上のステントのストラットが少なくとも部分的に該外側のステントの開口部を塞ぐようになされている。別の方法として、1以上のステントが外側のステントに永久的に固定されていて、外側のステントのストラット間の開口部が1以上のステントによって遮られているステント構造が形成される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して医療器具に関し、更に特定すると体管腔の狭くなった部分を拡張させるために使用されるステント構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ステントは、狭くなった体管腔を大きくしたり、拡張させたり、又は開存性を維持したりするために医療専門家の間で広く使用されている。ステントは、圧縮されている状態にある間に狭くなった領域に跨って位置決めされる。該ステントは、次いで、管腔を広げるために拡張される。
【0003】
胃腸系内で使用されるステントは、典型的にはプラスチックで作られて来た。プラスチック製のステントは、その後の処置中におけるステントの回収及び/又は交換を容易にする。しかしながら、プラスチック製のステントは拡張可能ではなく、一定の直径を有する。プラスチック製のステントは内視鏡のワーキングチャネルを介して送り込まれることが多く、該ワーキングチャネルの直径はステントの直径を限られたものにする。例えば、プラスチック製のステントの直径は典型的には11.5フレンチ以下である。しかしながら、このような小径のステントは、胆管及び膵管内で急速に詰まり、その結果、3ヶ月毎又はそれよりも早期の交換を必要とする。
【0004】
種々の合金によって作られたステントもまた胆管及び膵管内に使用されて来た。これらのタイプの金属製のステントは、自己拡張型又はバルーン拡張型であり且つ上記のプラスチック製ステントより遙かに大きい直径まで拡張するように設計されている。その結果、このような金属製のステントは、プラスチック製のステントより長期間開存性を維持し、平均すると詰まるまでおそらく六ヶ月となる。しかしながら、直径が比較的大きいステントが内視鏡給送装置内に挿入できるように圧潰される機能を有するようにするには、メッシュ又はワイヤーからなる幾何学的構造が必要とされるが、このような幾何学的構造は、内皮形成として一般的に知られている組織の内部成長を招き、これにより頻繁にステントが永久的で取り外すことができない状態となる。従って、回収可能な金属製のステントが使用されているときでさえ、周囲組織を破壊することなく取り外すことは出来ないかも知れない。
【0005】
既存のステントのこのような欠点に鑑みると、内皮形成が制限される改良されたステントが必要とされる。以下に記載する発明は内皮形成を制限するのに有用であるけれども、本発明は他の問題点をも解決することができる。
【発明の概要】
【0006】
従って、上記の欠点に対処するためにステント内ステント構造が提供されている。
【0007】
第一の特徴においては、体管腔を拡張させるための医療器具が提供されている。該体管腔を拡張させるための医療器具は複数の外側ストラットによって形成された拡張可能な外側人工器官を備えており、該外側人工器官においては、前記複数の外側ストラットの各々が間に外側開口部を形成するために互いに隔置されている。拡張可能な内側人工器官が複数の内側ストラットによって形成されており、該内側人工器官においては、複数の内側ストラットの各々が間に複数の内側開口部を形成するために互いに隔置されている。該内側人工器官は、外側人工器官の管腔の一部分の内側に配置されていて、前記内側ストラットの一部分が外側の開口部を少なくとも部分的に遮るようになされている。
【0008】
第二の特徴においては、体管腔を拡張させるための医療器具が提供されている。該器具は、互いの間に外側空間を形成するように互いに隔置されている外側ストラットを有している外側ステントを備えている。内側ステントもまた設けられている。内側ステントは内側ストラットを備えており、該内側ストラットは互いに隔置されて互いの間に内側空間を形成している。内側ステントの少なくとも一部分は、外側ステント内に摺動可能な形態で嵌り込んでいる。かみ合い部材が内側ステントを外側ステント内に固着させている。内側ストラットの少なくとも一部分が外側ストラットの外側空間を遮って該外側ストラットの中に組織の内部成長が生じるのを実質的に阻止している。
【0009】
第三の特徴においては体管腔内にステント構造を埋め込む方法が提供されており、該方法は以下のステップを含んでいる。外側ステントと内側ステントとが体管腔へ送り込まれる。外側ステントと内側ステントとは体管腔内の目標部位に配備される。外側ステントが、第一の直径から該第一の直径よりも大きい第二の直径まで拡張する。外側ステントは複数の外側ストラットを備えており、これらの外側ストラットは、第二の直径においては互いに隔置されて複数の外側開口部を形成する。次いで、内側ステントが外側ステントにかみ合う。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明は、図面と共に以下の説明を読むことによって更に良く理解できる。
【0011】
【図1a】図1aは、外側ステント内に配備され且つ係留されている圧縮されたステントの側面図である。
【0012】
【図1b】図1bは、内側に図1aの圧縮されたステントが配備される拡張された状態で示されている外側ステントの側面図である。
【0013】
【図2】図2は、図1bの外側ステント内で拡張され且つ係留されている図1aの圧縮されたステントの斜視図である。
【0014】
【図3】図3は図2の断面図であり、内側ステントに固定され且つ外側ステントの編み目内を延びていて内側ステントを外側ステントにかみ合わせているアンカーが示されている。
【0015】
【図4】図4は、体管腔の狭窄領域で外側ステント内に係留されている内側ステントの側面図である。
【0016】
【図5a】図5aは、外側ステント内に配備され且つ係留されている圧縮されたステントの側面図である。
【0017】
【図5b】図5bは、拡張状態で示されている外側ステントの側面図であり、図5aの圧縮されたステントが外側ステント内に配備されている。
【0018】
【図6】図6は、図5bの外側ステント内で拡張され且つ係留されてステント内ステント構造を形成している図5aの圧縮されたステントの斜視図である。
【0019】
【図7a】図7aは、外側のZ型ステントの壁の部分断面図である。
【0020】
【図7b】図7bは、図7aの外側Z型ステントから若干ずらして配置されてステント内ステント構造を形成している内側のZ型ステントの壁の部分断面図であり、該ステント内ステント構造内では、内側のZ型ステントのストラットが外側のZ型ステントの編み目を遮っている。
【0021】
【図8】図8は、内側ステントのストラットと係合している外側の編み上げられたステントの内側に曲げられた冠状部の端面図である。
【0022】
【図9】図9は図8の側面図である。
【0023】
【図10】図10は、遠位端が形状記憶スペーサ用棒材によって外側ステントに永久的に固定されている内側ステントの断面図であり、この図においては、内側ステントと外側ステントとのステントパターンが互いに一致しているか又は整合されている。
【0024】
【図11】図11は、図10のステント内ステント構造の断面図であり、スペーサ用棒材が動かされて内側のステントが所定の距離だけずらされて、外側ステントの外側メッシュ開口部が内側ステントの内側ストラットによって少なくとも部分的に覆われるか又は遮られている。
【0025】
【図12】図12は、編み上げられたステントの断面図であり、該ステントは、管腔内に外側ステントの内面に沿って設けられている取り外し可能な内側スリ―ブを備えている。
【0026】
【図13】図13は、拡張したコイル状に巻かれた内側ステントが拡張した外側のZ型ステントの管腔内に配置されている実施形態を示している図である。
【0027】
【図14】図14は、カニューレによって相互に結合されて単一の結合点を形成している内側ステントの内側ストラットと外側ステントの外側ストラットとを示している図である。
【0028】
【図15】図15は、内側ステントと外側ステントとのそれらの遠位端の各々において相互に整合されている内側ステントの穴と外側ステントの穴とを示している図である。
【0029】
【図16】図16は、外側ステントに磁気によって結合されている内側ステントを示している図である。
【0030】
【図17】図17は、内側ステントが外側ステントに溶着されているステント内ステント構造を示している図である。
【0031】
【図18】図18は、内側ステントと外側ステントとが装填された単一の導入器の断面図である。
【0032】
【図19】図19は、第一のステントと該第一のステントから近位方向に隔置されている第二のステントとが直列に装填されている代替的な給送導入器を示している図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参考にして本発明を説明するが、これらの図面においては同様の部材は同様の参照符号によって示されている。本発明の種々の部材の相対関係及び機能は以下の詳細な説明によって更に良く理解できる。しかしながら、以下に説明する本発明の実施形態は例示的なものであり、本発明は図面に示されている実施形態に限定されない。図面は等尺ではなく、ある種の例においては、構成及び組立の一般的な細部のような本発明の理解に必要ではない細部は省略されていることは理解されるべきである。
【0034】
図1aには内側ステント110の側面図が示されており、内側ステント110は外側ステント100内に配備され且つ係留されるようになされている。図1bには、配備され且つ拡張状態にある外側ステント100が示されている。外側ステント100はメッシュ構造を形成しているストラット111を備えている。ストラット111は、拡張状態においては編み目112(すなわち、互いに隣接しているストラットによって規定されているメッシュ開口部)を形成するように互いに隔置されている。内側ステント110は、給送カテーテルを後退させることができる外側送り込みシース120内に拘束された状態で示されている。図1aには、内側ステント110が同じくメッシュ構造を形成しているストラット125を備えていることが示されている。図1a及び1bに示されているように、内側ステント110のメッシュ構造は、外側ステント100よりも多数の螺旋ピッチを有している(すなわち、より密な織り目である)。アンカー130及び140が、内側ステント110の遠位端に固定された状態で示されている。アンカー130及び140は、内側ステント110を外側ステント100に結合するための結合部材として機能する。図1aに示されているアンカー130及び140は、アンカー130及び140が外側送り込みシース120の近位方向への後退の際の摩擦抵抗を最小化できるように、外側送り込みシース120の長手軸線に実質的に平行となっているのが好ましい。更に、アンカー130及び140のこのような平行配向によって、拡張された外側ステント100の管腔内への送り込み中の外側送り込みシース120と内側ステント110とを十分に小さな外形に維持する。別の方法として、アンカー130と140は給送中は内方へ角度が付けられていても良い。
【0035】
一般的には、アンカー130と140は、内側ステント110が外側ステント100の管腔内に配備された状態になったときに、内側ステント110を外側ステント100と連結させるように機能する。別の言い方をすると、アンカー130及び140は、内側ステント110を外側ステント100に結合/係合させるための結合部材又は係合部材として機能する。配備形態にあるときには、配備された内側ステント110のストラット125は、外側ステント100の編み目112を覆うように即ち上に重なるように配置される。編み目112の少なくとも一部分が内側ステント110によって遮られて外側ステント100のストラット111間の有効な又は結果的な自由空間が減じられるという最終的な結果となる。このように外側ステント100のストラット111間の自由空間が減じられることによって、外側ステント100のストラット111を通って起こる組織の内部成長が著しく減じられる。図2に示されているように内側ステント110が外側ステント100とかみ合うと、アンカー130と140は、図1aに示されている平行配向状態から図2に示されているように外方へ動く。このような動きは、アンカー130及び140が有している形状記憶特性によって生じる。アンカー130,140が第二の位置に向かって外方へ動くと、これらのアンカーは、外側ステント100の編み目112を貫通して延び、次いで外側ステント100のストラット111上に引っ掛かる。アンカー130,140は、内側ステント110を外側ステント100に固定するように機能する。この係留された状態によって、内側ステント110が外側ステント100から滑り出すのが阻止される。アンカー130,140は、内側ステント110の遠位端に位置決めされた状態で示されているけれども、アンカー130,140はまた、内側ステント110の近位端及び/又は内側ステント110に沿った種々の所定位置に位置決めされても良い。2つのアンカー130,140が示されているけれども、1つ又は3以上のアンカーが任意に使用されても良い。
【0036】
図2には、ステント内ステント構造200を形成するために外側ステント100内に完全に配備されている内側ステント110が示されている。内側ステント110は如何なる直径であっても良い。内側ステント110は直径が外側ステント100と同じであっても良い。別の方法として、内側ステント110は外側ステント100より直径が大きくて、内側ステント110が外側ステント100の内面に対して緊密に拡張できるようにしても良い。一般的に言うと、直径が外側ステント100と同じか又はそれより大きい内側ステント110は、拡張したときに図3に関連して以下に説明するようにステント100と110との間に適切な嵌合を形成し且つ維持するのに十分な径方向外方に向けられた力が外側ステント100の内側面にかけられる。内側ステント110による径方向外方への力の寄与によって、ステント内ステント構造200を目標部位に固定された状態に維持することが補助される。
【0037】
図3は図2のステント内ステント構造200の断面図である。図3には、内側ステント110が外側ステント100の内面に当接するように径方向に拡張し、アンカー130及び140が平行な配向状態から外方へ曲がった配向状態へ動いて外側ステント100のメッシュ開口部112内を通り、その結果、内側ステント110が外側ステント100のストラット111にかみ合っている状態が示されている。
【0038】
既に記したように、図2には、内側ステント110の比較的密な織物が外側ステント100のメッシュ開口部を実質的に遮っていることが示されている。最終的に得られたステント内ステント構造200のメッシュ開口部201は、外側ステント100のメッシュ開口部112よりも著しく小さいことが示されている。比較的小さなメッシュ開口部201の結果として、ステント内ステント構造200は、体管腔内に埋め込まれたときに大幅な組織の内部成長を受けにくい。
【0039】
図2に示されていないけれども、第三のステントを内側ステント110内に挿入して外側ステント100のメッシュ開口部を更に小さくすることもできる。該第三のステントは、外側ステント100又は内側ステント110よりも密な織物パターンを有していて、そのストラットがメッシュ開口部201を更に遮るようにさせることができる。別の方法として、第三のステントが外側ステント100と同じ織物パターンを有している場合には、該第三のステントは選択的に外側ステント100からずらして、そのストラットがメッシュ開口部を遮るようにすることができる。該ステントがストラットに対して大きな割合の自由空間を有しているときには、メッシュ開口部を実質的に遮るためには2以上のストラットが必要である。互いの内部に配備されるべきストラットの正確な個数は、少なくとも部分的には、体管腔の大きさ及び阻止されることが望ましい組織の内部成長の度合いに依存する。
【0040】
図2には、外側ステント100のメッシュ開口部112の全てが内側ステント110のストラット125によって遮られるように外側ステント100と同じ長手方向の長さを有している内側ステント110が示されているけれども、内側ステント110は、図6に示されているようなステント内ステント構造600を形成するために外側ステント100よりも長さが短くても良い。図6には、外側ステント500内に設けられている内側ステント502が示されている。内側ステント502は外側ステント500よりも長さが短い。図1a〜3の実施形態とは異なり、外側ステント500はアンカー510,520,530,540を備えている。アンカー510,520,530,540は、図5a,5bに示されているように、最初は外側ステント500の長手軸線に平行である。内側ステント502が外側ステント500内に配備され且つ拡張すると、アンカー510,520,530,540は図6に示されている位置へ動く。アンカー510,520,530,540は、内側ステント502の編み目を通って内方へ動き、その後、内側ステント502のストラットに留められる。この係留によって、内側ステント502が外側ステント500から滑り出すのが防止される。
【0041】
内側ステント502は、外側ステント500の中央部分内に摺動可能な形態で嵌め込まれてステント内ステント構造600を形成しており、このステント内ステント600は、外側ステント500のメッシュ開口部570(図5a,5b)よりも小さいメッシュ開口部を有している。ステント内ステント構造600の端部は外側ステント500のメッシュ開口部570を有している。図4に示されているように、図6のステント内ステント600は、狭窄した領域420が比較的小さいメッシュ開口部560と整合するように体管腔410内に埋め込まれる。メッシュ開口部560は、その中を通る大幅な組織の内部成長が阻止されるほど十分に小さい。ステント内ステント構造600の端部に設けられている比較的大きいメッシュ開口部570は体管腔410の非狭窄部分に沿って延びている。従って、組織の内部成長は大きい方のメッシュ開口部570内に生じるが、これは、ステント内ステント600が体管腔410内に十分に係留されるようにするので望ましい。
【0042】
図1〜6には、比較的密な織物パターンを備えた内側ステント110が示されており、この内側ステント110は、内側ステント110のストラット125が外側ステント100のメッシュ開口部112を遮って組織の内部成長を阻止するように外側ステント100内に摺動可能な形態で嵌め込まれ且つ整合されている。代替例として、内側ステント110の織物パターンは外側ステント100よりも密である必要はない。むしろ、内側ステント110の織物パターンは外側ステント100の織物パターンと同じにすることができる。内側ステント110を外側ステント100内に配備させるときに、送り込みカテーテルの外側シース120は、内側ステント110を外側ステント100に対して選択的にずらされた位置において外側ステント100の管腔内に配備して内側ステント110のストラット125が外側ステントのメッシュ開口部112を遮るようにする。
【0043】
ステント内ステント構造を形成するために種々のステント構造を使用することができる。該ステント構造としては、限定的ではないが、網状構造、ジグザグ構造、レーザー加工構造、及び蛇行構造がある。一般的に言うと、ステントには、間に開口部を備えた中実部材を備えているあらゆるタイプの拡張可能な部材が含まれる。
【0044】
更に、全ての図面において内側ステントと外側ステントとが同じステント構造を有するものとして示されているが、内側ステントと外側ステントとは異なるステント構造を有することができる。例えば、外側ステントは、ストラットに対して高い割合の自由な隙間空間を有するステントパターンによって構成することができる。従って、内側ステントは、自由空間が外側ステントの自由空間より少ない適切なステント構造を有しており、その結果、内側ステントのストラットが外側ステントの自由空間を覆い又は遮るように配置させることができる。
【0045】
ここに記載したアンカーは、ニチノールのような形状記憶材料によって作られるのが好ましい。形状記憶材料は、該材料に以前の形状又は構造を“記憶させて”以前の形状又は構造に戻らせる実質的に可逆性の相変態を受ける。例えば、ニッケル−チタン合金の場合には、オーステナイト相とマルテンサイト相との間での変態は、冷却及び/又は加熱すること(形状記憶効果)によって、又は一定温度で応力をかけ且つ/又は応力を除去すること(超弾性効果)によって生じる。オーステナイトは比較的強い相(すなわち、比較的大きな引っ張り強さ)を特徴としており、マルテンサイトは比較的容易に変形可能な相である。形状記憶効果の一つの例においては、オーステナイト相で初期形状を有しているニッケル−チタン合金は、マルテンサイト相への変態温度(M)より低い温度まで冷却されて第二の形状へ変形される。別の変態温度(A)へ加熱されると、該材料は自然にその初期形状へ戻る。一般的に、記憶効果は一方向であり、このことは、一つの形状からもう一つ別の形状への自発的変化が加熱された際にのみ生じることを意味している。しかしながら、形状記憶材料が冷却時にも加熱時にも自然に形状を変える双方向形状記憶効果を得ることもできる。
【0046】
ここに記載した形状記憶効果の原理を適用すると、ニチノール製のアンカーは、該アンカーが連結形状に温度設定される変態温度において作られる(例えば、図2,4,6)。ニチノールが作られる温度は概ね体温より若干低いのが好ましい。従って、アンカーが体管腔の目標部位へ送り込まれているときに、アンカーは、該変態温度より低くマルテンサイト結晶相を有しており、該マルテンサイト結晶相においては、アンカーは、容易に圧縮させて且つ操作して所望の平行な形態(図1及び5)にすることができる。アンカーは、給送中は外方へ曲がらないでアンカーがカテーテルの送り込みシースの表面をこするのを避けるのが好ましい。従って、アンカーは送り込みカテーテル120と同一平面となる構造とされているのが好ましい。別の方法として、アンカーは内方に向かって角度が付けられた構造とされていても良い。内側ステントが部分的に外側ステント内に配備されたときに、ニチノール製のアンカーは熱で動かされて元の製造された形状(すなわち、“記憶されている”オーステナイト状態)に戻り、この形状においては、アンカーは外方へ曲げられる。例えば、温水がアンカーの表面に注射される。該温水の温度は体温より若干高く、この温度により、アンカーは給送中の圧縮された変形形状(すなわちマルテンサイト相)から配備中の互いにかみ合った外方へ曲がった形状(すなわち、オーステナイト相)へと変態する。該温水の温度は沸騰するほどは高くない。なぜならば組織が損傷されるからである。
【0047】
形状記憶合金の熱による起動に対する代替例として、圧力による起動を使用して、アンカーを給送中の変形した形状から配備中の内方へ曲がった形状(アンカーが外側ステントに固定されている場合)又は外方へ曲がった形状(アンカーが外側ステントに固定されている場合)へ復元させても良い。応力誘発性マルテンサイト(SIM)合金を使用しても良く、該合金においては超弾性効果が利用される。これは、オーステナイト相で初期形状を有している形状記憶材料に応力をかけて、温度変化が無い状態でのマルテンサイト相への変態を惹き起すステップを含んでいる。オーステナイト相へ戻る変態は、かけた応力を取り去ることによって達成される。超弾性効果はAより高い温度で利用される。しかしながら、温度がMより高い温度まで(この温度はAよりも約50℃高い)上げられると、かけられた応力によって、マルテンサイトの形成を誘発する代わりにオーステナイト相が塑性的に(永久的に)変態する。この場合には、応力が取り除かれても変形の全ては復元しない。体温に近い温度でSIMを示す適切な合金は、当業者が公知の形状記憶合金から選択することができる。
【0048】
上記の実施形態においては、内側ステントと外側ステントとが別々に配備されるステント内ステント構造を説明した。内側ステントが外側ステントに永久的に固定されるステント内ステント構造もまた想定できる。図10及び11には、形状記憶スペーサ棒910,920,930によって外側ステント985に永久的に固定されている内側ステント980が示されている。一つの実施形態においては、スペーサ棒910,920,930は、ニチノールのようなニッケル−チタン合金によって作られる。ニチノール製のスペーサ棒910,920,930は、内側ステント980の遠位端を外側ステント985の遠位端に結合している。スペーサ棒910,920,930はばねのような特性を有している。ニチノール製のスペーサ棒が熱によって動かされると、スペーサ棒910,920,930が圧縮して内側ステント980が外側ステント985に対してずれる。図10には、スペーサ棒910,920,930は、内側ステント980のストラットが外側ステント985のストラットと合致する構造とされていることが示されている。内側ステント980は外側ステント985と整合されているので、これらは給送カテーテル内に一緒に十分に拘束される。図10のステント構造900が目標部位へ送り込まれ且つ内側ステント980及び外側ステント985が径方向に拡張された後に、ニチノール製のスペーサ棒910,920,930は、当技術において知られているように、熱によって動かされて図11に示されているように内側ステント980が遠位方向にずらされる。スペーサ棒910,920,930が(例えば、スペーサ棒910,920,930上に温水を注射することによって)熱によって動かされると、これらのスペーサ棒は、所定量だけ短縮して図11に示されているようにそれらの初期の圧縮状態へ復元する。スペーサ910,920,930が所定量だけ短縮することによって、図11に示されているように、内側ステント980が遠位方向にずれて内側ステント980のストラットが外側ステント985の開口したメッシュを遮る。内側ステント980が所定距離だけずれたので、図11のステント構造1000の開口したメッシュは図10のステント構造900の開口したメッシュより著しく小さい。熱による起動の代替例として、スペーサ棒910,920,930は、圧力によって動かすことができるSIM合金によって作ることができる。内側ステント980は、外側ステント985と同じ螺旋ピッチを有していて、ステント構造900が給送カテーテル内に効率良く拘束されるようにするのが望ましい。
【0049】
図示されていないけれども、第三のステントが図10及び11のステント構造に固定されてメッシュ開口部を更に遮ることができる。第三のステントの遠位端は、別個の組のニチノール製のスペーサ棒によって最も外側のステント980の遠位端に固定される。この別個の組のニチノール製のスペーサ棒は、所定量だけ圧縮されて第三のステントが最も外側のステント980及び中間のステント985に対して十分にずらされてメッシュ開口部を更に小さくするように設計されている。図10に示されているように互いに固定されるステントの数は多くの要因によって決定される。該要因としては、ステントが給送中に給送カテーテル内に拘束される機能及びメッシュ開口部のサイズがある。一般的に言うと、永久的に固定されるステントの数がより多いとメッシュ開口部はより小さくなって組織の内部成長が起き難くなる。しかしながら、永久的に固定されるステントの数が多ければ多いほど給送中の外形は大きくなる。当業者には、特定の用途に鑑みて他の要因と共にこれらの互いに対抗する要因のバランスをとって、使用されるステントの理想的な数を決定する方法がわかるであろう。
【0050】
図10及び11の実施形態は、内側ステント980を外側ステント985とかみ合わせ且つ/又は外側ステント985の隙間を遮るために内側ステント980を操作する必要がない点で有利である。上記したように、内側ステント980と外側ステント985とは、むしろそれらの適正な位置において既に整合されている。続いてニチノール製のスペーサ棒910,920,930を熱によって又は圧力によって動かすことによって、内側ステント980が所定の量だけ摺動し、外側ステント985はいわゆる閉塞位置にずらされる。
【0051】
図16及び17は、内側ステントが外側ステントに永久的に取り付けられる他の方法の例である。図17には、内側ステント1410が遠位の箇所1430,1440において外側ステント1420に溶着されているステント構造1400が示されている。図16には、磁気によって外側ステント1510に結合されている内側ステント1520が示されている。特に、各々、点1530,1531と点1540,1541とに反対極性の磁石を配置することによって、内側ステント1520上の点1530は外側ステント1510の点1531に磁気的に結合されており、内側ステント1520の点1540は外側ステント1510の点1541に磁気的に結合されている。反対の極性は、磁石を相互に磁気的に結合させる。
【0052】
図16及び17の実施形態においては、内側ステントと外側ステントとは、給送中に開口メッシュが既に遮られた形状にあるように固定されている。別の言い方をすると、内側ステント1520,1410は各々の外側ステント1510,1420よりも大きい螺旋ピッチ(すなわち、より密な織物)を有していて、内側ステント1520,1410をそれらの各々の外側ステント1520,1410からずらす必要がない。
【0053】
従って、ステント構造1400,1500が給送カテーテル内に十分に拘束されるようにするためには、唯一つの内側ステントを外側ステントに固定されるようにさせることが好ましい。図16及び17の内側ステント1520,1410は、それらの各々の外側ステント1510,1420と同じ螺旋ピッチを有している。内側ステント1520,1410がそれらの各々の外側ステント1510,1420と同じ螺旋ピッチを有している場合には、次いで、内側ステント1520,1410は、それらの外側ステント1510,1420に対してずれた位置において外側ステント1510,1420に永久的に固定されて、内側ステント1520,1410のストラットが外側ステント1510,1420の隙間を遮るようにさせる。
【0054】
内側ステントと外側ステントとが別々に配備されるステント内ステント構造を使用するか又は内側ステントが外側ステントに永久的に固定されたステント内ステント構造を使用するかの決定は、多くの要因に依存する。該要因としては、ステントのメッシュ開口部が遮られることが必要な程度、目標部位の幾何学的構造、許容される処置時間、及び送り込みカテーテル内に拘束されるときのステントの外形がある。医師が内側ステントを外側ステント内にかみ合わせるのに費やす時間が無いときには、恒久的に固定されているステント内ステント構造を使用することが有利である。別の方法として、メッシュ開口部のより大きな閉塞を達成するためには、内側ステントと外側ステントとが別々に配備されるステント内ステント構造を使用することが有利かも知れない。
【0055】
内側ステントと外側ステントとを結合させるための付加的な構造及び技術もまた想定される。一例として、図14には、内側ステント1505の内側ストラット1503と外側ステント1507の外側ストラット1502とがカニューレ1501によって相互に結合されて単一の結合点1530を形成していることが示されている。穴1506が、内側ストラット1503と外側ストラット1502とを完全に貫通して延びている。穴1506(図15)は、カニューレ1501の本体部分1525がその中を完全に貫通して挿入できる大きさとされている。カニューレ1501はフランジ付きの端部1520及び1521を備えており、これらのフランジは穴1506より広い。フランジ付きの端部1521は、内側ストラット1503に当接しており、フランジ付きの端部1520は外側ストラット1502に当接している。カニューレ1501は放射線不透過性のマ−カ−であるのが好ましく、該マ−カ−は配備中に内側ステント1505と外側ステント1507との可視化を可能にしている。図15に示されているように、内側ステント1505と外側ステント1507の穴1506は、それらの各々の遠位端において互いに整合されていて、カニューレ1501がその中を貫通して挿入することができるようになされている。内側ステント1505を外側ステント1507に結合させるステップは、外側ステント1507と異なる螺旋ピッチ(すなわち、より大きいか又はより小さい螺旋ピッチ)の内側ステント1505を使用して、外側ステント1507の編み目が内側ステント1505のストラットによって遮られるようにするステップを含んでいる。内側ステント1505を外側ステント1507に結合させ且つ内側ステント1505を外側ステント1507に対して位置決めするためのここに記載されている構造及び技術は、種々のステント構造に適用できることは理解できるはずである。該種々のステント構造としては、限定的ではないが、編み上げステント、及びZ型ステントのようなレーザー加工されたステントがある。
【0056】
内側ステント1505と外側ステント1507とを固定するために1以上の結合点1530を使用しても良い。穴1506はまた、ステント1505及び1507の遠位端の外周に沿って延びていて、多くの結合点1530を形成している。一般的に言うと、更に多数の結合点1530を採用することによって、内側ステント1505が外側ステント1507に結合される度合いが増す。採用される結合点1530の正確な数は、少なくとも部分的には、配備させる目標部位及び該目標部位の大きさに依存する。例えば、ステント内ステント構造が蠕動を受ける食道のような体管腔内に配備される場合には、内側ステント1505を外側ステント1507内の所定の固定位置に維持するために多くの結合箇所を使用することが望ましい。ステント内ステント構造が頻繁な蠕動を受けない胆管のような比較的小さい体管腔内に配備されるものである場合には、ステント内ステント構造の給送外形を著しく大きくすることなく内側ステント1505と外側ステント1507とを結合するのに単一の結合箇所1530で十分である。図示されていないけれども、内側ステント1505と外側ステント1507の最も近位のストラットはまた、カニューレ1501が固着される穴も備えている。更に、結合点の位置はステント1505及び1507の一端又は両端に位置しているように示されているけれども、結合点1530の位置はまた、ステント1505,1507の本体部分に沿って位置していても良い。
【0057】
内側ステントと外側ステントとが同じ螺旋ピッチを有している場合には、次いで、内側ステントは外側ステントから若干ずらして配置されて図7bに示されている構造が形成される。図7a及び7bは、各々のステントの壁を断面した部分断面図である。図7bには、外側Z型ステント1720から若干ずらして配置されてステント内ステント構造1700を形成している内側Z型ステント1710が示されている。内側Z型ステントのストラット1712は、外側Z型ステント1720のストラット1730からずらして位置決めされている。図7aには、外側Z型ステント1720の編み目1711が示されており、該編み目内には内側ステント1710は挿入されていない。内側Z型ステント1710が外側Z型ステント1720内に配備されると(図7aの下方に矢印によって示されている)、編み目1711は図7aにおける編み目1711に対して約50%減らされる。
【0058】
図8及び9には、ステント内ステント構造を維持するためのもう一つ別の実施形態が示されている。内側ステント1810によって付与される径方向の力の寄与は、内側ステント1810が外側ステント1820の管腔から不意に移動するのを阻止するのに十分である。しかしながら、更なる安全性のための構造として、図8及び9には、外側ステント1820の遠位端1860に沿って内方へ折り曲げられている冠状部1850が、図9において明確にわかるように、内側ステント1810が目標部位において外側ステント1820の管腔から外方へ完全に移動するのを阻止する機能を果たすことが示されている。特に、外側ステントの最も遠位の冠状部1850は、内側ステント1810のストラット1870に当接していて、内側ステント1810が外側ステント1820の管腔から更に遠位方向に滑り出るのを阻止している。図8には、冠状部1850の頂端が内側ステント1810の管腔内へと内方へ折り曲げられて冠状部1850が内側ステント1810のストラットに当接するようにさせていることが示されている。冠状部1850は、外側ステント1820の壁に対して90°以上内方へ折り曲げられるのが好ましい。外側ステント1820の遠位端1860に沿ってのみ内側に折り曲げられた冠状部1850を備えることは、内側ステント1810と外側ステント1820とが食道領域内に配備されるときに生じる内側ステント1810が遠位方向に移動する傾向を有している場合に好ましい。
【0059】
遠位の冠状部1850の全てが内方へ曲げられた状態で示されているけれども、遠位の冠状部1850の一部分のみが内方へ曲げられて、内側ステント1810のストラットに当接し且つ内側ステント1810が外側ステント1820の管腔から更に遠位方向に移動することが阻止されても良い。
【0060】
内側ステント1810は、外側ステント1820内の狭窄した領域の長さに亘って伸長する構造とされて、外側ステント1820の編み目内を通る組織の内部成長を阻止するのが好ましい。外側ステント1820は、形状記憶材料によって作られるのが好ましい。組織の内部成長は、外側ステント1820の端部に沿って生じることは許容されている。なぜならば、両端に沿った外側ステント1820の編み目を遮っている内側ステント1810のストラット1870が無いからである。外側ステント1820の端部を通る組織の内部成長は、外側ステント1820を体管腔内の目標部位に十分に係留させる。
【0061】
別の方法として、フランジ付きの端部を備えている外側ステント1820又は移動を阻止するのに十分な径方向外方への力を有しているあらゆるタイプの端部は、外側ステント1820の編み目を通る組織の内部成長が必要とされる係留を提供する必要性がない状態で、目標部位での外側ステント1820の十分な係留を提供することができる。従って、外側ステント1820の全長に亘って延びる内側ステント1810を、このような端部に十分な係留を提供することができる外側ステント1820の管腔内に配備させることができる。
【0062】
もう一つ別の実施形態においては、内側ステント1810は、外側ステント1820の拡張した直径に等しいか又はこれより大きい直径まで拡張して、外側ステント1820の内側面に対して径方向外方への力を付与することができる。内側ステント1810による径方向の力の寄与は、ステント内ステント構造を係留するのに十分であって、十分な係留力を付与することができる外側ステント1820の端部を通る組織の内部成長及び/又は外側ステント1820の端部(例えば、フランジ付きの端部)に対する依存性が必要とされない。
【0063】
依然として図8及び9を参照すると、外側ステント1820の近位端(図示せず)に沿った冠状部は外側ステント1820の長手軸線に平行なままであって内側ステント1810が外側ステント1820の管腔内へ外側ステント1820の近位端から挿入できる。内側ステント1810は外側ステント1820の管腔内に係留されていない。内側ステント1810が外側ステントの管腔内から不意に移動するのを阻止するために、図8及び9には、外側ステント1820が遠位端に沿った冠状部1850を備えており、該冠状部は外側ステント1820の形状記憶特性の結果として、目標部位への配備後に平行な形状から内方へ折り曲げられた形状へ復元する。別の方法として、図8及び9に示されている外側ステント1820の遠位の冠状部1850は、内方へ曲げられた形状に予備成形されてステント1820の冠状部1850が平行状態から曲がった配向ヘと動くことができる形状記憶材料によって作られる必要性を排除している。
【0064】
別の方法として、内側ステント1810はその一端又は両端に沿って冠状部を備えていて、該冠状部が、内側ステント1810の形状記憶特性の結果として、目標部位に配備された後に、給送中の平行な形状から外方へ折れ曲がった形状へ復元するようにしても良い。内側ステント1810の近位の冠状部と遠位の冠状部とは、外方へ広がって外側ステント1820のストラットと係合して内側ステント1810を外側ステント1820の管腔内で外側ステント1820に対して固定するように設計されているのが好ましい。内側ステント1810の冠状部は、外側ステント1810の編み目内の如何なる組織も穿孔しない状態で十分な量だけ外方へ広がって外側ステント1820のストラットに係合し且つ当接するのが好ましい。
【0065】
冠状部1850を形成している形状記憶材料はニッケル−チタン合金であるのが好ましい。ニッケル−チタン合金の温度の記憶によって、冠状部1850は、給送中の平行形状から配備後の折れ曲がった形状(図18及び19)へと変形される。特に、ニッケル−チタン合金の冠状部1850は、比較的低い温度のマルテンサイト相と、比較的高い温度のオーステナイト相との間での変態を受ける。冠状部1850の給送形状はニッケル−チタン合金のマルテンサイト相からなる。冠状部1850の配備形状は形状記憶材料のオーステナイト相からなる。オーステナイトは比較的強い相であることが特徴であり、マルテンサイトは約8%の復元可能な歪みまで変形される。冠状部の平行な給送形状を達成するためにマルテンサイト相にある冠状部内に導入された歪みは、オーステナイト相への逆の相変態が完了したときに復元され、冠状部1850は予め規定された内方折り曲げ形状(配備形状)へ戻る。順方向相変態及び逆方向相変態は、応力の適用及び除去(超弾性効果)及び/又は温度の変化(形状記憶効果)によってなされる。代替的な実施形態によると、冠状部の平行な給送形状はオーステナイト相からなり、冠状部の配備された内方/外方へ広がった形状はマルテンサイト相からなる。熱誘起記憶を使用するときには、ニッケル−チタン合金は、体温(37℃)より低いか又は等しい変態温度を有していて、オーステナイト相への変態は冠状部1850が目標部位へ位置決めされたときになされる。
【0066】
図18には、単一の導入管2100を使用して上記した内側ステント2110と外側ステント2120とを配備させることができることが示されている。内側ステント2110と外側ステント2120とは、それらの各々の送り込みシース2130,2140内に拘束された状態で示されている。図18には、内側ステント2110と外側ステント2120とが遠位端2180において放射線不透過性マーカー2160に結合されていることが示されている。
【0067】
図示されていないけれども、上記したアンカー又は冠状部は、内側ステント2110上か外側ステント2120上で使用されている。給送中は、このようなアンカー又は冠状部は、シース2130,2140の長手軸線に対して平行に配向されていてシース2130,2140とアンカー又は冠状部との間の摩擦抵抗を避けるのが好ましい。
【0068】
単一の導入器2100は、各々のシース2130,2140内を送り込む間ステント2110と2120との分離を維持して内側ステント2110と外側ステント2120とのストラットが不意に絡まるのを防止するので、一般的な導入器より有利である。使用時には、ステント2110及び2120が図18に示されている装填された状態で、単一の導入器2100が目標部位へと進められる。目標部位に達すると、外側シース2140が中心の内側カテーテル2190に対して近位方向に後退されて外側ステント2120が配備される。ストッパ2191は、外側ステント2120が各々の外側シース2140と一緒に引き戻されるのを阻止する。この時点では、内側ステント2110は外側ステント2120に結合された状態のままで、まだ配備されていない。シース2130は、内側カテーテル2190に対して近位方向に後退されて内側ステント2110を外側ステント2120の管腔内に配備させる。ストッパ2192は、内側ステント2110がその各々のシース2130と共に後方へ引っ張られるのを阻止している。内側ステント2110と外側ステント2120とを目標部位に対して見えるようにすることは、遠位端2180に設けられた放射線不透過性のマーカー2160によって可能である。
【0069】
各々の遠位端同士が結合されている内側ステント2110と外側ステント2120とが示されているけれども、これらのステントは、既に説明したように非結合状態で単一の導入器2100内に装填される。ステント2110と2120とは、同時に配備させるのではなく一回に一つずつ配備される。外側ステント2120が外側シース2140を後退させることによって配備され、それに続いて、シース2130を後退させることによって内側ステント2110が配備される。配備中に内側ステント2110と外側ステント2120とを単一の導入器2100内で分離させることによって、内側ステント2110を外側ステント2120の管腔の特定の位置内に配置させることができる。別の言い方をすると、単一の導入器2100内での内側ステント2110と外側ステント2120との形状は、これらが非配備状態でなす形状と実質的に同じである。
【0070】
更に、図18の単一の導入器2100は、公知のように、体管腔を拡張させ且つ第一のステント101及び/又は第二のステント1902の位置を設定するために、例えばバルーンカテーテルのような一般的な拡張可能な部材と組み合わせて使用することができる。追加の拡張力によって、第一のステント1901及び/又は第二のステント1902の目標部位の組織内への固定が増大される。
【0071】
分離された内側及び外側のステントはまた、内側ステントが外側ステントの管腔内に配置されている一般的な導入器を使用して同時に配備させることができることも理解できるはずである。外側シースが内側カテーテルに対して近位方向に後退されると、内側ステントと外側ステントとの両方が目標部位に同時に配備される。
【0072】
図19には、上記した内側ステントを外側ステント内に配備することができる代替的な単一の導入器1900が示されている。図19には、第一のステント1901と第二のステント1902とが直列に装填されている導入器1900が示されている。第二のステント1902は、第一のステント1901から近位方向に隔置されている状態で示されている。第一のステント1901と第二のステント1902との各々は、プッシャ部材1903上に取り付けられている。プッシャ部材1903は、第一のステント1901の近位端及び第二のステント1902の遠位端と係合可能な第一の肩部1904を備えている。第一の肩部1904は、ステントが装填されている導入器1900を目標部位へ進入させる際に第一のステント1901を第二のステント1902から分離された状態に維持する。プッシャ部材1903はまた、第二のステント1902と係合可能な第二の肩部1905をも備えている。プッシャ部材が外側シース1907に対して遠位方向に進められるときに、第二の肩部1905は第二のステント1902の近位端と係合して第二のステント1902を導入器1900から取り外す。導入器1900はまた拡張可能な部材(例えば、バルーンカテーテル)をも備えていても良く、該拡張可能な部材は、体管腔を拡張させ、その後に、該技術において公知のように、第一のステント1901及び/又は第二のステント1902の位置を設定するために使用することができる。別の方法として、単一の導入器1900は、ステント1901と1902とがバルーン拡張可能であるときに、別個の拡張可能な部材が第一のステント1901と第二のステント1902との各々の管腔内に配置されるように改造することができる。
【0073】
以下、内側ステントと外側ステントとが一般的な送り込みシースを使用して別々に配備されるステント内ステント構造を埋め込む方法を説明する。図1bを参照すると、外側ステント100が最初に体管腔の目標部位へ送り込まれ且つ配備される。外側ステント100は、目標部位において径方向に拡張される。図1bには、外側ステント100がメッシュ構造を形成しているメッシュ開口部112とストラット111とからなることが示されている。外側ステント100が完全に配備された後に、内側ステント110が外側ステント100内に送り込まれ且つ配備される。図1aに示されているように、内側ステント110は2つのアンカー130,140を備えており、これらのアンカーは長手方向において内側ステントと同面である。アンカー130,140を給送中に内側ステント110と同一面になる構造とすることによって、給送カテーテル120内に拘束される小さな給送外形を維持する補助となる。内側ステント110の螺旋ピッチは外側ステント100に対してずらす必要がない。内側ステント110は、むしろそれらの端部が外側ステント100の端部と整合するように外側ステント100内に配備される。
【0074】
送り込みカテーテル120は、径方向に拡張した外側ステント100内へ動かされる。この時点で内側ステント110は部分的に配備される。送り込みカテーテル120の外側シースが若干後退され、ステント110とアンカー130,140の遠位端とが露出するようにされる。内側ステント110の遠位端が径方向に拡張し始める。アンカー130,140と内側ステント110の遠位端とがカテーテル120の送り込みシースから露出された後に、内側ステント110の遠位端を更に操作するために送り込みカテーテル120が移動され、その結果、アンカー130,140が所望の位置で外側ステント100とかみ合う。この時点で、アンカー130,140は、図2に示されているかみ合い状態へ動かされる。このかみ合い状態はアンカー130,140によって構成される。アンカー130,140は、外側ステントの編み目112を通って外方へ広がるか又は曲がり、その後に外側ステント100のストラット111に引っ掛けられて内側ステント110を外側ステント100に対して固定させる。アンカー130,140がニチノールのような形状記憶合金によって形成されている場合には、該アンカーは次いで熱によって動かされて前記のかみ合い状態へ復元する。
【0075】
アンカー130,140の各々がそれ自体のかみ合い状態へ動かされた後に、送り込みシース全体が後退されて内側ステント110の残りの部分が径方向に自己拡張して外側ステント100の内面に当接する。この例においては、内側ステント110の直径は概ね外側ステント100の直径と同じであるので、内側ステント110は外側ステント100に対して適切に嵌合する。
【0076】
外側ステント100と内側ステント110とが同一の螺旋ピッチを有している場合には、次いで、内側ステントは、内側ステント110のストラットが外側ステント100の自由空間112又は開口メッシュを遮るように、外側ステント100に対してずらして位置決めされる。
【0077】
上記の方法は自己拡張型のステントに関して説明したけれども、これらのステントはバルーン拡張型としても良い。更に、あらゆるタイプのステント構造パターンが想定される。該ステント構造パターンとしては、限定的ではないが、ジグザグ形状のステント、正弦曲線形状のステント、蛇行形状のステントがある。何らかのタイプのレーザー加工されたステントパターンも想定される。
【0078】
個々のステントを配備させて上記したステント内ステント構造を形成することによって、拡張可能なステントを本体部分に沿ったカバーと共に配備する必要が無くなる。典型的には、カバーを備えているステントは、内視鏡の付属通路に嵌め込むには大きすぎる送り込み外形を有しており、組織の内部成長を潜在的に深刻な問題とさせる。更に、ステントの端部の穴を通る組織の内部成長は、カバー付きのステントが取り外しできないようにカバー付きのステントを目標部位に恒久的に係留するには極めて深刻な問題である。これと対照的に、上記したように、むき出しの金属製の内側ステントを配備した後に外側のむき出しの金属製のステントを配備することにより、付属通路を介する給送を依然として可能にしつつ、これに続いて、外側ステント及び内側ステントを目標部位から取り外すことを可能にして組織の内部成長による問題を解決することができる。
【0079】
組織の内部成長を実質的に排除すること以外の他の利点が、上記したステント構造を使用することによって達成される。例えば、閉塞された内側ステントを新しい内側ステントと置き換えることによって、外側ステントの寿命及び開存性を引き延ばすことができる。一般的に言うと、内側ステントは外側ステントの内面を保護するように機能する。内側ステントは、狭窄した領域の長さに沿ってのみ長手方向に延びていて、外側ステントが体管腔から取り外される必要がない場合に、外側ステントの端部を通る組織の内部成長によって外側ステントが目標部位に係留されるようにする。組織の内部成長は内側ステントの編み目を貫通しては生じないので、閉塞された内側ステントは取り外すことができる。別の方法として、フランジ付きの端部又はその他の適切な端部構造を備えていて体管腔の壁に径方向外方への十分な力をかけて体管腔への固定を提供する外側ステントが使用される場合には、係留を提供するための組織の内部成長の必要性がないので、内側ステントは外側ステントの全長に亘って延びることができる。しかしながら、フランジ付きの端部を備えている外側ステントは、径方向外方への力に対して十分に寄与してステント内ステント構造の移動が生じないようにする場合には必要とされない。内側ステントは、図1〜6に記載され且つ図示されている形状記憶アンカーによって外側ステントに係留される。閉塞された内側ステントを取り外すときに、アンカーは温度又は圧力によって動かされて平行なマルテンサイト相の給送形状へと復元して内側ステントが外側ステントから外される。
【0080】
別の方法として、外側ステントの開存性を長引かせる種々の他のステント構造が想定されることは理解できるはずである。一例として、全ての実施形態において図示し且つ上記した内側ステントはスリーブに置き換えることができる。図12には、管腔内且つ外側ステント1100の内側面に沿って配置されている取り外し可能なスリーブ1110を備えている編み上げステント1100の断面図が示されている。スリーブ1110は生体適合性材料によって作られている。図12に示されているように、スリーブ1110は、狭窄領域の長さに沿って延びていて外側ステント1100の端部1120及び1130での組織の内部成長が必要な係留を提供するようにさせている。別の方法として、フランジ付きの端部又はその他の適当な端部構造を備えていて体管腔の壁に径方向外方への十分な力をかけて体管腔内での係留を提供する外側ステントが使用されている場合には、係留を提供する組織の内部成長の必要性が無いので、スリーブ1110は外側ステントの全長に亘って延びていても良い。
【0081】
依然として図12を参照すると、スリーブ1110は、形状記憶アンカー1150,1160によって係留されているステント1100に結合されている。以前の実施形態において記載した内側ステントと同様に、内側スリーブ1110は、目標部位において組織に恒久的に係留されていないので、閉塞したときに取り外すことができる構造とされている。スリーブ1110に固定されている形状記憶アンカー1150,1160は、温度によって動かされる(例えば、冷水又は冷たい食塩水がアンカー1150,1160の表面に注射されてアンカー1150,1160の温度が体温より下げられる)。アンカー1150,1160は、平行なマルテンサイト相の給送形状へと復元して内側スリーブ1110が外側ステント1100から分離できるようにする。次いで、鉗子のような回収部材を導入して、アンカー1150及び1160のうちの一つに引っ掛け、その後にスリーブ1110を外側ステント1100の管腔から引き出すことができる。スリーブ1110を取り外した後に、新しいスリーブを外側ステント1100の外側管腔に取り付けることができる。内側スリーブ1110は交換可能であって外側ステント100の開存性を引き延ばす。
【0082】
内側スリーブ1110は実質的に非多孔質であるのが好ましい。従って、内側スリーブ1110は、目標部位に埋め込まれたときに外側ステント1100の内側面を覆う保護のための内側カバー又はシースとして機能する。別の方法として、アンカー1150,1160を備えている内側スリ―ブ1110は、生分解性材料によって形成することができる。該生分解性材料は、所定のときに生体分解されて内側スリーブ1110を取り外す必要性を排除している。内側スリーブ1110は、閉塞された後に生分解を始めるように設計されているのが好ましい。内側スリーブ1110が完全に生分解された後、必要な場合には外側ステント1100の外側管腔内に新しいスリーブを配備させても良い。
【0083】
高い開存性及び低い組織内皮形成に加えて更に別の利点が上記したステント構造において想定される。例えば、内側ステントは外側ステントの径方向外方への力に寄与することができる。図13には、コイル状に巻かれた内側ステント1210が外側のZ型ステント1220の管腔内に配置されてステント内ステント構造1200を形成している実施形態が示されている。図13は、外側Z型ステント1220の全長に沿って付加的な径方向の力を付与するために、内側のコイル状に巻かれたステント1210が外側のZ型ステント1220の長手方向全長に亘って延びていることを示している。図13は、内側のコイル状に巻かれたステント1210が十分な径方向外方への力を付与して、ステント内ステント構造1200が目標部位に固定されたままとなることを示している。別の方法として、内側のコイル状に巻かれたステント1210は、外側のZ型ステント1220の管腔内に配備されたときに、外側Z型ステント1220よりも長手方向の長さが短くて目標部位の狭窄領域に沿ってのみ延びていても良い。内側のコイル状に巻かれたステント1210は、外側のZ型ステント1220の編み目を遮ってその中を通る組織の内部成長を少なくしている状態で示されている。内側のコイル状に巻かれたステント1210の螺旋ピッチは、必要に応じて多かれ少なかれ外側のZ型ステント1220の編み目を遮るように変えることができる。一般的に言うと、外側のZ型ステント1220は如何なるタイプの構造を有していても良い。内側ステントは、図13に示されているコイル状に巻かれたステント1210のような短縮するステントであるのが好ましく、該短縮ステントにおいては、内側ステントを外側ステントの管腔から回収する際に内側ステントの端部を引っ張るとそれに応じて該内側ステントの長さが増加し、それに伴って直径が小さくなる。この結果、このような短縮するステントは、内側ステントを外側ステントの管腔から取り外す補助となる。内側のコイル状に巻かれたステント1210の取り外しは、閉塞が内側のコイル状に巻かれたステント1210の管腔内にある場合になされる。
【0084】
以上、本発明の好ましい実施状態を説明したけれども、本発明はこれらの実施形態に限定されず、本発明から逸脱することなく改造することができることは理解できるはずである。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって規定され、逐語的に又は等価的に特許請求の範囲の意義に含まれる全ての器具が該特許請求の範囲内に包合されることが意図されている。更に、上記した利点は、必ずしも本発明唯一の利点ではなく、上記した利点の全てが本発明の各実施形態によって得られることが必ずしも期待できる訳ではない。
【符号の説明】
【0085】
100 外側ステント、 110 内側ステント、
111 ストラット、 112 外側ステントのメッシュ開口部、
120 送り込みシース、 125 ストラット、
130 アンカー、 140 アンカー、
200 ステント内ステント構造、
201 ステント内ステント構造のメッシュ開口部、
420 狭窄領域、 410 体管腔、
500 外側ステント、 502 内側ステント、
510 アンカー、 520 アンカー、
530 アンカー、 540 アンカー、
560 小さいメッシュ開口部、 570 大きいメッシュ開口部、
600 ステント内ステント構造、 910 スペーサ棒、
920 スペーサ棒、 930 スペーサ棒、
980 内側ステント、 985 外側ステント、
1100 外側ステント、 1110 スリーブ、
1120 外側ステントの端部、 1130 外側ステントの端部、
1150 形状記憶アンカー、 1160 形状記憶アンカー、
1200 ステント内ステント構造、 1210 コイル状に巻かれたステント、
1220 外側のZ型ステント、 1400 ステント構造、
1410 内側ステント、 1420 外側ステント、
1430 遠位の箇所、 1440 遠位の箇所、
1500 ステント構造、 1501 カニューレ、
1502 外側ステントの外側ストラット、
1503 内側ステントの内側ストラット、
1505 内側ステント、 1506 穴、
1507 外側ステント、 1510 外側ステント、
1520 フランジ付きの端部、 1521 フランジ付きの端部、
1525 カニューレの本体部分、 1530 単一の結合点、
1530,1531 点、 1540,1541 点、
1700 ステント内ステント構造、 1710 内側Z型ステント、
1711 外側Z型ステントの編み目、
1712 内側Z型ステントのストラット、
1720 外側Z型ステント、
1730 外側Z型ステントのストラット、
1810 内側ステント、 1820 外側ステント、
1850 最も遠位の冠状部、 1860 外側ステントの遠位端、
1870 内側ステントのストラット、 1900 単一の導入器、
1901 第一のステント、 1902 第二のステント、
1903 プッシャ部材、 1904 第一の肩部、
1905 第二の肩部、 1907 外側シース、
2100 単一の導入器、 2110 内側ステント、
2120 外側ステント、 2130 シース、
2140 外側シース、 2160 放射線不透過性マーカー、
2180 遠位端、 2190 内側カテーテル
2191 ストッパ、 2192 ストッパ
【図1a−1b】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
体管腔を拡張させるための医療用器具であって、
複数の外側ストラットによって形成されており、各外側ストラットが間に外側開口部を形成するように互いに隔置されている、拡張可能な外側の人工器官と、
複数の内側ストラットによって形成されており、各内側ストラットが間に複数の内側開口部を形成するように互いに隔置されている、拡張可能な内側の人工器官と、を備え
前記内側の人工器官が前記外側の人工器官の管腔の一部分の内側に配置されて前記内側のストラットの一部分が前記外側開口部を少なくとも部分的に遮るようになされている、ことを特徴とする医療用器具。
【請求項2】
前記内側の人工器官が前記外側の人工器官の螺旋状のピッチよりも大きな螺旋状のピッチを有していて、前記内側開口部が前記外側の人工器官の前記外側開口部よりもサイズが小さくなるようにされている、ことを特徴とする請求項1に記載の医療器具。
【請求項3】
前記複数の外側のストラットが外側の構造体を規定しており、前記複数の内側のストラットが前記外側の構造体とは異なる複数の内側の構造体を規定している、ことを特徴とする請求項1に記載の医療器具。
【請求項4】
前記内側の人工器官が前記外側の人工器官からずらして配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の医療器具。
【請求項5】
前記係合部材が、前記外側の人工器官と保護用の前記内側の人工器官とのうちの一方に固定されている形状記憶アンカーからなる、ことを特徴とする請求項5に記載の医療器具。
【請求項6】
第一の拡張状態にある前記内側の人工器官が、第二の拡張状態にある前記外側の人工器官の前記複数のストラットのうちの1つと取り外し可能な形態で係合するのに十分な量だけ外側に広がって湾曲している冠状の部分を有している、ことを特徴とする請求項1に記載の医療器具。
【請求項7】
第一の拡張状態にある前記外側の人工器官が、第二の拡張状態にある前記内側の人工器官のストラットと取り外し可能な形態で係合するのに十分な量だけ内側に広がって湾曲している冠状の部分を有している、ことを特徴とする請求項1に記載の医療器具。
【請求項8】
体管腔を拡張させるための医療器具であって、
互いの間に外側の空間を形成するように互いに隔置されている外側のストラットを有する外側のステントと、
互いの間に複数の内側の空間を形成するように互いに隔置されている内側ストラットを有する内側のステントであって、少なくともその一部分が前記外側のステントの管腔内に摺動可能な形態で嵌合される内側のステントと、
前記内側のステントを前記外側のステント内に固定する連結部材と、を備え、
前記内側のストラットの少なくとも一部分が前記外側のストラットの前記外側の空間を覆っていてそれらの間での組織の内部成長を実質的に阻止している、ことを特徴とする医療器具。
【請求項9】
前記連結部材が1以上のアンカーからなる、ことを特徴とする請求項8に記載の医療器具。
【請求項10】
前記1以上のアンカーが前記内側のストラットと外側のストラットとのうちの少なくとも一方の表面に固定されている、ことを特徴とする請求項9に記載の医療器具。
【請求項11】
前記少なくとも1つのアンカーが、形状記憶材料によって作られており且つ第一の形状と第二の形状との間で動くことができるようになされている、ことを特徴とする請求項9に記載の医療器具。
【請求項12】
前記第一の形状にある前記1以上のアンカーが当該医療器具の長手軸線に対して実質的に平行に配向されている、ことを特徴とする請求項11に記載の医療器具。
【請求項13】
前記第二の形状にある前記1以上のアンカーが当該医療器具の長手軸線から離れる方向に曲げられている、ことを特徴とする請求項11に記載の医療器具。
【請求項14】
前記連結部材が、前記内側のステントと前記外側のステントとの間に溶着部又は磁気結合点を備えている、ことを特徴とする請求項8に記載の医療器具。
【請求項15】
前記連結部材が、前記内側のストラットと前記外側のストラットとの穴の中を貫通して延びているカニューレを備えている、ことを特徴とする請求項8に記載の医療器具。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a−5b】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2013−508083(P2013−508083A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535256(P2012−535256)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/052795
【国際公開番号】WO2011/049823
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(511152957)クック メディカル テクノロジーズ エルエルシー (76)
【氏名又は名称原語表記】COOK MEDICAL TECHNOLOGIES LLC
【Fターム(参考)】