説明

ステージの制御を行う装置、方法、プログラム、及びシステム

【課題】超音波モータを駆動源として用いる電動ステージを手動による入力装置を用いて操作する際に、手動ステージと同等の操作性を保ちつつ、且つ、手動での移動操作が確実に行えるようにする。
【解決手段】ステージ制御装置に含まれる演算部24は、サンプリング間隔Ts毎に、手動入力装置15及びリニアエンコーダ14の出力信号に基づいて目標位置Xt、目標移動距離D、及び目標速度Vt(=α・D/Ts(但しα<1))を算出し、目標速度Vtでステージ12を移動させるように制御する。そして、任意の時点において、ステージ位置Xaと目標位置Xtとを比較し、|Xt−Xa|<Δdという条件式が成立した場合、又は、サンプリング間隔Ts毎に取り込まれた手動入力装置15の出力信号が所定数回連続して0の移動量に対応する信号であった場合に、ステージ12を停止させるように制御し、当該時点の目標位置Xtを当該時点のステージ位置として目標位置Xtを更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料を載せてその観察や測定のために顕微鏡等で使用される電動ステージの制御を行う技術に関し、特に、使用者が手動の操作装置等を介して試料上の観察視野を所望の位置へ正確に移動させること等ができる、電動ステージの制御を行う装置、方法、プログラム、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、顕微鏡用のステージ等では、手動のハンドルの回転軸とステージの可動軸とを機械的に接続し、手動によるハンドル操作でステージ上の観察位置を移動させる手動ステージが広く使用されている。
【0003】
一方、ステージの可動軸の駆動源としてモータを用いた電動ステージの制御装置が知られている。このような電動ステージの制御装置では、ステージの可動軸の位置を、別途指定した位置に移動させるという使い方だけではなく、従来の手動ステージのように使用者が試料を観察しながら手動入力用の機器を用いて操作し、目的の位置で停止させるという使い方がある。
【0004】
例えば特許文献1に開示されている電動微動装置では、回転つまみに取り付けたロータリーエンコーダの出力パルスをカウントした値、若しくは、そのカウントした値を整数倍した値と、ステージを移動させるための回転モータに取り付けられたロータリーエンコーダの出力パルスをカウントした値とが、一致するようにモータを駆動することで、回転つまみの操作に応じたステージの移動が可能になるとされている。また、例えば特許文献2に開示されている試料微動装置の制御方法も上記装置とほぼ同様の制御方法であるが、こちらの装置では、電子顕微鏡において回転つまみの操作量と像のみかけの移動量とが拡大倍率にかかわらず一定になるようにすることが目的である。
【0005】
また、例えば特許文献3に開示されている装置では、一定のサンプリング時間内に与えられた手動パルス発生器のパルス数を工作機械の送り量に換算してサーボモータを制御するが、入力パルス数と送り量の関係を入力パルス数に応じて変化させることが特徴で、入力パルス数が多いときほど送り量も多くなるようにしている。これは、工作機械を手動で操作する場合、目標位置から離れた箇所ではできるだけ速く動かし、目標位置の近くの箇所ではゆっくりと動かして位置決めを行いたいという意図によるものである。
【0006】
また、例えば特許文献4に開示されている装置は、上記の特許文献3の装置と類似する技術を備えたものであり、その特許文献4には、手動でハンドルを回転させたときの回転数(回転速度)とサーボモータの回転数(回転速度)の関係の決め方について述べられている。
【0007】
また、例えば特許文献5、特許文献6、及び特許文献7には、ステージの駆動源としてステッピングモータを使用した場合の、モータへの駆動パルスの与え方について述べられている。
【0008】
また、例えば特許文献8には、ステージの駆動源としてステッピングモータと送りねじ等を組み合わせて使用した場合のロストモーションを抑えるための技術が提案されている。
一方、近年においては、従来のモータの代替として多くの機器において超音波モータが使用されるようになっている。超音波モータは、稼動時の消費電力が少ないこと、摩擦により被駆動体を保持するためステッピングモータのような停止時の励磁が必要なく消費電力が必要ないこと、歯車や送りねじなどの複雑な機械的構成要素が不要でバックラッシュがないこと、及び、ステッピングモータなどに比べて音の発生が少ないこと、等といった特徴がある。そして、位置測定システムと併用すれば、位置測定システムの分解能に応じた位置制御が可能である。
【0009】
このような特徴を持つ超音波モータを顕微鏡用ステージに適用した技術としては、例えば特許文献9に開示されている装置等がある。また、例えば特許文献10には、超音波モータを使用してサブミクロン単位の位置決めを行う装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭61−235913号公報
【特許文献2】特開平2−174046号公報
【特許文献3】特開平8−339228号公報
【特許文献4】特開平11−110043号公報
【特許文献5】特開平8−124510号公報
【特許文献6】特許2675248号公報
【特許文献7】特開2004−21779号公報
【特許文献8】特開2008−257122号公報
【特許文献9】特開2008−14913号広報
【特許文献10】特開2009−27865号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
顕微鏡用の電動ステージを手動入力装置の操作により制御する用途においては、従来の手動ステージと同等の操作感、即ち、手動入力装置の操作に対し素早く応答(追従)すること、目視による観察下で振動やぎくしゃくした動きがないこと、停止時のオーバーシュートが無いこと、及び、サブミクロン程度の微小な距離の移動を確実に操作できること、等が求められる。
【0012】
上記の従来技術では、ステージや送り装置の駆動源としてステッピングモータを使用するものとそれ以外のモータを使用するものとに大別できるが、いずれの場合でも歯車や送りねじ等によってモータの回転運動をステージの直線運動に変換する必要があり、その際に必ずロストモーションが発生する。
【0013】
上記の特許文献のうち、特許文献1、特許文献2、特許文献4、及び、特許文献7に提案されている方法は、いずれもモータにエンコーダなどの位置検出機能が取り付けられており、モータを精度良く位置決めできたとしても、ステージ等の被駆動体の位置はロストモーションによる誤差が発生する虞がある。また、それと同時に、反転時等にはモータが動作しても被駆動体が動かない、或いは、移動すべき距離を動かないという問題が発生し、目視による観察では動作に違和感を与える原因となる。上記の特許文献6の実施例で述べられているステッピングモータを用いた装置においても同様の問題が起こり得る。
【0014】
また、ロストモーションの影響を抑えるには、上記の特許文献8に提案されているような複雑な制御を必要としてしまうのが難点である。
上記の特許文献3の装置では、一定のサンプリング間隔毎の手動入力装置からの入力量を被駆動体の移動量に換算してサーボ系を制御している。この方法では、サンプリング間隔以内の時間で該移動量を動かすが、次のサンプリング間隔で手動入力装置の入力量を確認するまで引き続き被駆動体を動かすのか停止させるのかの判断ができない。仮に滑らかな動きを優先すると、移動量をサンプリング間隔で割った値を移動速度として制御することになるが、停止を判断したときには既に目標位置に到達しているので、正確な位置決めを行うにはオーバーシュートが発生してしまう。一方、位置決めを優先すると、サンプリング間隔毎に目標位置で停止しないと上記のような問題があるため、移動と停止を繰り返す間欠的な制御にならざるを得ない。いずれの場合も、目視で観察する際には問題となるため、顕微鏡用のステージには採用できない。また、上記の特許文献6にも、位置検出とサーボモータとを組み合わせた装置が変形例として述べられているが、これと全く同様の問題が起こり得る。
【0015】
上記の特許文献5、特許文献6、及び特許文献7の装置におけるステッピングモータを使用する方法では、ステッピングモータに与えるパルス数のみで被駆動体の移動制御を行うが、上記のロストモーションの問題に加えて、ステッピングモータの脱調を補償する手段がないため、脱調すると精度良く位置決めを行うことが困難になるという問題がある。
【0016】
一方、超音波モータを使用した場合、被駆動体との位置関係や、超音波モータを被駆動体に押し付ける力である押圧力、或いは、被移動体との接触面の磨耗などによって、被移動体との間の摩擦力が変化するため、ステッピングモータのように駆動信号と移動量の関係は定まらない。図23は、超音波モータを使用した場合のステージ位置に対するステージ移動量の測定結果の一例を示す図である。同図の測定結果は、後述する実施例で実際に使用するステージにおいて、超音波モータを同一の駆動信号で一定時間動作させたときのステージの移動量を、ステージの位置を変えて測定した結果を示したものである。同図に示したように、同条件で動作させても位置によっては3倍以上もの移動量の開きがあり、駆動信号と移動量とを一対一で対応させることは不可能である。また、同図に示したような測定結果を予め記憶させておき、ステージの位置に応じて駆動信号を変更するといった方法も考えられるが、接触面の磨耗やごみの付着による摩擦力の変化など時間的に変化する要因もあるため、このような方法も採用することはできない。従って、顕微鏡用ステージ等のサブミクロン単位での動作性能が要求される用途において、超音波モータを駆動源とし、これを手動入力装置で操作しようとする場合、従来のステッピングモータやサーボモータの場合と同様の方法では十分な性能が得られず、上記の従来技術の欠点以外にも解決すべき課題がある。そのため、位置制御に関しては、上記の特許文献10の装置のような方法が必要になるが、この方法では、ステージの整定に少なくとも0.1秒程度の時間を要し、更に1ミクロン程度のオーバーシュートが発生する場合もあることが実験により確認されており、手動ステージと同等の操作性が得られない虞がある。
【0017】
本発明は、上記実情に鑑み、超音波モータを駆動源として用いる電動ステージを手動による入力装置を用いて操作する際に、手動ステージと同等の操作性を保ちつつ、且つ、手動での移動操作が確実に行える、ステージの制御を行う装置、方法、プログラム、及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の第1の態様に係るステージ制御装置は、超音波モータを駆動源とするステージを手動操作に応じて移動させる際の移動量に関する移動量信号を所定のサンプリング間隔Ts毎に取り込む移動量信号取込手段と、前記移動量信号取込手段による取り込みと同期して当該取り込み時点における前記ステージの位置に関するステージ位置信号を取り込むこと、及び、任意の時点における前記ステージの位置に関するステージ位置信号を取り込むこと、を行う位置信号取込手段と、前記移動量信号取込手段により取り込まれた移動量信号を前記ステージの移動量に換算する移動量換算手段と、前記移動量換算手段により換算された移動量を、当該移動量に対応する前記移動量信号が取り込まれた時点における目標位置Xtに積算して、当該目標位置Xtを更新する目標位置算出手段と、前記目標位置算出手段により更新された目標位置Xtと、当該目標位置Xtの更新で使用された前記移動量に対応する前記移動量信号が取り込まれた時点において取り込まれた前記ステージ位置信号に対応するステージ位置Xsとの差から前記ステージの目標移動距離Dを算出する目標移動距離算出手段と、前記サンプリング間隔Ts、前記目標移動距離D、及び係数α(但し、α<1)を用いて、前記ステージの目標速度Vtを、Vt=α・D/Tsという式により、算出する目標速度算出手段と、前記目標速度算出手段により算出された目標速度Vtで前記ステージを移動させるように前記ステージの速度制御を行う速度制御手段と、任意の時点において前記位置信号取込手段により取り込まれたステージ位置信号に対応するステージ位置Xaと、当該時点における前記目標位置Xtとを比較する位置比較手段と、を備え、前記位置比較手段による比較の結果、比較された前記ステージ位置Xa及び前記目標位置Xtと、所定の停止距離Δdとの間で、|Xt−Xa|<Δdという条件式が成立した場合、又は、前記サンプリング間隔Ts毎に前記移動量信号取込手段により取り込まれた移動量信号が所定数回連続して0の移動量に対応する信号であった場合に、前記速度制御手段は、前記ステージを停止させるように前記ステージの速度制御を行い、前記位置信号取込手段は、前記ステージが停止した時点におけるステージ位置信号を取り込み、前記目標位置算出手段は、当該時点における前記目標位置Xtを、前記停止した時点におけるステージ位置信号に対応するステージ位置として、当該目標位置Xtを更新する、ことを特徴とする。
【0019】
本発明の第2の態様に係るステージ制御装置は、超音波モータを駆動源とするステージを手動操作に応じて移動させる際の目標位置に関する目標位置信号を所定のサンプリング間隔Ts毎に取り込む目標位置信号取込手段と、前記目標位置信号取込手段による取り込みと同期して当該取り込み時点における前記ステージの位置に関するステージ位置信号を取り込むこと、及び、任意の時点における前記ステージの位置に関するステージ位置信号を取り込むこと、を行う位置信号取込手段と、前記目標位置信号取込手段により取り込まれた目標位置信号を前記ステージの目標位置Xtに換算する目標位置換算手段と、前記目量位置換算手段により換算された目標位置Xtと、当該目標位置Xtの換算で使用された前記目標位置信号が取り込まれた時点において取り込まれた前記ステージ位置信号に対応するステージ位置Xsとの差から前記ステージの目標移動距離Dを算出する目標移動距離算出手段と、前記サンプリング間隔Ts、前記目標移動距離D、及び係数α(但し、α<1)を用いて、前記ステージの目標速度Vtを、Vt=α・D/Tsという式により、算出する目標速度算出手段と、前記目標速度算出手段により算出された目標速度Vtで前記ステージを移動させるように前記ステージの速度制御を行う速度制御手段と、任意の時点において前記位置信号取込手段により取り込まれたステージ位置信号に対応するステージ位置Xaと、当該時点における前記目標位置Xtとを比較する位置比較手段と、を備え、前記位置比較手段による比較の結果、比較された前記ステージ位置Xa及び前記目標位置Xtと、所定の停止距離Δdとの間で、|Xt−Xa|<Δdという条件式が成立した場合、又は、前記サンプリング間隔Ts毎に前記目標位置信号取込手段により取り込まれた目標位置信号が所定数回連続して同じ位置に対応する信号であった場合に、前記速度制御手段は、前記ステージを停止させるように前記ステージの速度制御を行い、前記位置信号取込手段は、前記ステージが停止した時点におけるステージ位置信号を取り込み、更に、当該時点における前記目標位置Xtを、前記停止した時点におけるステージ位置信号に対応するステージ位置として、当該目標位置Xtを更新する、ことを特徴とする。
【0020】
本発明の第3の態様に係るステージ制御装置は、上記第1又は第2の態様において、前記所定のサンプリング間隔Tsは0.05秒以下である、ことを特徴とする。
本発明の第4の態様に係るステージ制御装置は、上記第1乃至第3の何れか一つの態様において、前記所定数回は2回である、ことを特徴とする。
【0021】
本発明の第5の態様に係るステージ制御装置は、上記第1乃至第4の何れか一つの態様において、前記目標速度算出手段により算出された目標速度Vtの値が所定の下限速度Vminの値以下の場合、前記速度制御手段は、前記目標速度Vtの値を前記下限速度Vminの値として処理を行う、ことを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、上記のステージ制御装置の他、ステージを制御する方法及びプログラムとして構成することもできるし、上記のステージ制御装置を含むステージ制御システムとして構成することも可能である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、超音波モータを駆動源として用いる電動ステージを手動による入力装置を用いて操作する際に、手動ステージと同等の操作性を保ちつつ、且つ、手動での移動操作を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】一実施例に係るステージ制御システムの全体構成を模式的に示す図である。
【図2】可動軸を2軸とした場合のステージ制御システムの主要構成例を模式的に示す図である。
【図3】使用者が手動入力装置の回転つまみを操作したときの、ステージの目標位置及びステージ位置の時間的変化を模式的に示す図である。
【図4】図3の一部拡大図である。
【図5】時刻6Tsでのステージ位置Xsと目標位置Xtとの差dと、目標速度Vtとの関係を示す図である。
【図6】停止時の動作例を拡大して示した第1の図である。
【図7】停止時の動作例を拡大して示した第2の図である。
【図8】一実施例に係るステージ制御システムの動作をフローチャートとして表した図である。
【図9】S200で行われるハンドル読み込み処理のフローチャートを示す図である。
【図10】S300で行われるステージ位置チェック処理のフローチャートを示す図である。
【図11】S600で行われる目標位置設定処理のフローチャートを示す図である。
【図12】手動入力装置の出力信号の代わりに、目標速度Vtが0.5um/secに相当するインクリメンタル信号をハンドルカウンタに与えたときの、ステージの目標位置Xtと実際のステージ位置とをプロットした結果を示す図である。
【図13】手動入力装置の出力信号の代わりに、目標速度Vtが5um/secに相当するインクリメンタル信号をハンドルカウンタに与えたときの、ステージの目標位置Xtと実際のステージ位置とをプロットした結果を示す図である。
【図14】手動入力装置の出力信号の代わりに、目標速度Vtが50um/secに相当するインクリメンタル信号をハンドルカウンタに与えたときの、ステージの目標位置Xtと実際のステージ位置とをプロットした結果を示す図である。
【図15】手動入力装置の出力信号の代わりに、目標速度Vtが500um/secに相当するインクリメンタル信号をハンドルカウンタに与えたときの、ステージの目標位置Xtと実際のステージ位置とをプロットした結果を示す図である。
【図16】手動入力装置の出力信号の代わりに、目標速度Vtが1mm/secに相当するインクリメンタル信号をハンドルカウンタに与えたときの、ステージの目標位置Xtと実際のステージ位置とをプロットした結果を示す図である。
【図17】手動入力装置の出力信号の代わりに、目標速度Vtが5mm/secに相当するインクリメンタル信号をハンドルカウンタに与えたときの、ステージの目標位置Xtと実際のステージ位置とをプロットした結果を示す図である。
【図18】手動入力装置の出力信号の代わりに、目標速度Vtが10mm/secに相当するインクリメンタル信号をハンドルカウンタに与えたときの、ステージの目標位置Xtと実際のステージ位置とをプロットした結果を示す図である。
【図19】使用者が実際に手動入力装置の回転つまみを手で操作したときの、ステージの目標位置Xtとステージ位置とをプロットした結果を示す第1の図である。
【図20】使用者が実際に手動入力装置の回転つまみを手で操作したときの、ステージの目標位置Xtとステージ位置とをプロットした結果を示す第2の図である。
【図21】使用者のゆっくりとした操作に対する移動量を複数回測定したときの、その測定値の分布をヒストグラムとして示した第1の図である。
【図22】使用者のゆっくりとした操作に対する移動量を複数回測定したときの、その測定値の分布をヒストグラムとして示した第2の図である。
【図23】超音波モータを使用した場合のステージ位置に対するステージ移動量の測定結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施例に係るステージ制御システムの全体構成を模式的に示す図である。
【0026】
同図に示したように、本実施例に係るステージ制御システムは、固定台11と、ステージ12と、超音波モータ13と、リニアエンコーダ14と、手動入力装置(ハンドル)15と、ステージ制御装置16とを含む。
【0027】
ここで、ステージ12は、固定台11に対して一軸方向に移動可能に支持されている。超音波モータ13は、ステージ12の駆動源であり、ステージ制御装置16から出力される駆動信号に応じてステージ12を移動させる。リニアエンコーダ14は、ステージ12の位置を計測し、ステージ12の位置に関するステージ位置信号をステージ制御装置16へ出力する計測手段の一例である。より具体的には、リニアエンコーダ14は、ステージ12に取り付けられた図示しないリニアスケールとの位置関係をリサージュ信号に変換してステージ制御装置16へ出力する。手動入力装置15は、ステージ12を手動操作に応じて移動させる際の移動量を受け付け、当該移動量に関する移動量信号を出力する受付手段の一例である。より具体的には、手動入力装置15は、使用者による手動操作が行われる回転つまみと、その回転つまみが操作されたときの回転量をインクリメンタル信号として出力するためのロータリーエンコーダと、が同一の回転軸に取り付けられており、そのロータリーエンコーダの出力信号をステージ制御装置16へ出力する。ステージ制御装置16は、当該システムの全体を制御する。
【0028】
ステージ制御装置16は、更に、超音波モータ駆動回路21と、エンコーダ処理部22と、ハンドルカウンタ23と、演算部24とを含む。
ここで、超音波モータ駆動回路21は、演算部24から出力される制御信号に応じて超音波モータ13を駆動するための信号を発生させ、その駆動信号を超音波モータ13へ出力する回路で、例えば特開2008−301563号公報に開示されている回路を使用することができる。エンコーダ処理部22は、リニアエンコーダ14から出力されるリサージュ信号をステージ位置信号に変換する。ハンドルカウンタ23は、手動入力装置15から出力されるインクリメンタル信号を計数するカウンタである。演算部24は、一般にマイクロコントローラ等と称される組み込み機器用のマイクロプロセッサであり、内蔵メモリ24aに格納されているステージ制御プログラムを読み出し実行することにより、当該システムの全体を制御する。
【0029】
なお、演算部24は、そのステージ制御プログラムの実行により、次のような手段及び機能を実現することができる。例えば、ハンドルカウンタ23を用いて、手動入力装置15から出力される移動量信号を所定のサンプリング間隔Ts毎に取り込む移動量信号取込手段及びその機能を実現することができる。また、例えば、エンコーダ処理部22を用いて、その取り込みと同期して当該取り込み時点におけるリニアエンコーダ14により出力されたステージ位置信号を取り込むこと、及び、任意の時点におけるリニアエンコーダ14により出力されたステージ位置信号を取り込むこと、を行う位置信号取込手段及びその機能を実現することができる。また、例えば、取り込まれた移動量信号をステージ12の移動量に換算する移動量換算手段及びその機能を実現することができる。また、例えば、換算された移動量を、当該移動量に対応する移動量信号が取り込まれた時点における目標位置Xtに積算して、当該目標位置Xtを更新する目標位置算出手段及びその機能を実現することができる。また、例えば、更新された目標位置Xtと、当該目標位置Xtの更新で使用された移動量に対応する移動量信号が取り込まれた時点において取り込まれたステージ位置信号に対応するステージ位置Xsとの差からステージ12の目標移動距離Dを算出する目標移動距離算出手段及びその機能を実現することができる。また、例えば、サンプリング間隔Ts、目標移動距離D、及び係数α(但し、α<1)を用いて、ステージ12の目標速度Vtを、Vt=α・D/Tsという式により、算出する目標速度算出手段及びその機能を実現することができる。また、例えば、超音波モータ駆動回路21を用いて、算出された目標速度Vtでステージ12を移動させるようにステージ12の速度制御を行う速度制御手段及びその機能を実現することができる。また、例えば、任意の時点において取り込まれたステージ位置信号に対応するステージ位置Xaと、当該時点における前記目標位置Xtとを比較する位置比較手段及びその機能を実現することができる。また、例えば、その比較の結果、比較されたステージ位置Xa及び目標位置Xtと、所定の停止距離Δdとの間で、|Xt−Xa|<Δdという条件式が成立した場合、又は、サンプリング間隔Ts毎に取り込まれた移動量信号が所定数回連続して0の移動量に対応する信号であった場合に、ステージ12を停止させるようにステージ12の速度制御を行い、ステージ12が停止した時点におけるリニアエンコーダ14により出力されたステージ位置信号を取り込み、当該時点における目標位置Xtを、その停止した時点におけるステージ位置信号に対応するステージ位置として、当該目標位置Xtを更新する手段及び機能を実現することができる。なお、本明細書において、|Xt−Xa|<Δdとは、目標位置Xtからステージ位置Xaを差し引いた値の絶対値がΔdよりも小さい、すなわち、目標位置Xtとステージ位置Xaとの差分がΔdよりも小さい、ことを意味する。
【0030】
本実施例に係るステージ制御システムでは、説明の便宜のため、ステージの可動軸を1軸のみとして説明するが、顕微鏡等で使用されるステージでは直交する2つの可動軸を用いてXYステージとするのが一般的であり、このようにして使用する場合には、上記の各構成要素を可動軸の数の分だけ設けるようにすればよい。図2は、このように可動軸を2軸とした場合のシステムの主要構成例を模式的に示す図である。同図において、ステージ12、超音波モータ13、及びリニアエンコーダ14は、X軸用であり、ステージ12´、超音波モータ13´、及びリニアエンコーダ14´は、Y軸用である。なお、同図では、説明の便宜のため、超音波モータ13及びリニアエンコー1ダ4と、超音波モータ13´及びリニアエンコーダ14´を、一つのユニットとして示している。また、手動入力装置15及びステージ制御装置16は、それぞれ一つのユニットとして示されているが、内部構成においてはX軸用の構成とY軸用の構成が設けられている。なお、手動入力装置15において、回転つまみ15aはX軸用であり、回転つまみ15bはY軸用である。このような構成により、顕微鏡等で使用されるXYステージとして使用することもできる。
【0031】
次に、上述の図1に示した本実施例に係るステージ制御システムにおいて、使用者が手動入力装置15の回転つまみを操作してステージ12を移動させる場合の動作について説明する。但し、ここでは、説明の便宜のため、ステージ12を正の方向(+X方向)に移動させる場合を例に、その動作を説明する。なお、本動作は、演算部24が内蔵メモリ24aに格納されているステージ制御プログラムを読み出し実行することによって、行われるものである。
【0032】
まず、本動作の概要を図3乃図7を用いて説明する。
図3は、使用者が手動入力装置15の回転つまみを操作したときの、ステージ12の目標位置及びステージ位置の時間的変化を模式的に示す図である。図4は、図3の一部拡大図である。
【0033】
図3及び図4において、縦軸はステージ12のX方向の位置を示す。横軸は、時間を示し、演算部24がハンドルカウンタ23を介して手動入力装置15の回転つまみの回転量を読み込むサンプリング間隔Tsを基準としている。
【0034】
また、実線31は、使用者が手動入力装置15の回転つまみを操作したときの、その回転量に対応するハンドルカウンタ23のカウント値を、ステージ12の目標位置に換算したものである。ここでは、時刻0でのハンドルカウンタ23のカウント値を0とし、1サンプリング時間後つまり時刻1Tsでのハンドルカウンタ23のカウント値に対応する目標位置をX1、2サンプリング時間後つまり時刻2Tsでのハンドルカウンタ23のカウント値に対応する目標位置をX2、以下同様にして、nサンプリング時間後つまり時刻nTsでのハンドルカウンタ23のカウント値に対応する目標位置をXnとする。
【0035】
また、一点鎖線32は、演算部24が認識するステージ12の目標位置Xtを示すものである。演算部24がハンドルカウンタ23からカウント値を取得するのはサンプリング間隔Ts毎であるので、実際に演算部24が認識するステージ12の目標位置Xtは、その一点鎖線32に示すように、時間に対して階段状の値になる。
【0036】
また、点線33は、エンコーダ処理部22によって得られたステージ位置信号に対応するステージ位置を示すものである。なお、ここでは、時刻0でのステージ位置を0とし、時刻0においてステージ12は停止しているものとする。
【0037】
図3及び図4に示したように、時刻1Tsにおいて、演算部24は、目標位置XtがX1であり(一点鎖線32参照)、ステージ位置Xsが0である(点線33参照)ことから、ステージ12の目標移動距離Dを、Xt−Xs=X1−0より算出し、X1を得る。次に、ステージ12の目標速度Vtを、係数α(但し、本例では0.9≦α<1とする)を用いて、Vt=α・D/Ts=α・X1/Tsにより計算する。そして、これを目標速度Vtとして速度制御の演算を行い、超音波モータ駆動回路21に対して超音波モータ13に出力する駆動信号の設定を行う。
【0038】
これにより、時刻1Tsにて目標速度Vt=α・X1/Tsでのステージ12の移動が開始され、時刻2Tsに達した時のステージ位置Xsはα・X1となる(点線33参照)。ここで、係数αは1未満の値であるので、時刻2Tsでは目標位置XtであるX1には到達しない。
【0039】
この時刻2Tsにおいて、演算部24は、時刻1Tsから時刻2Tsの間にハンドルカウンタ23によりカウントされた値に対応するステージ12の移動量を、この時点での目標位置Xt(=X1)に積算することにより、当該目標位置Xtの値をX2へ更新する。これにより、目標位置XtがX2となり(一点鎖線32参照)、この時点のステージ位置Xsがα・X1である(点線33参照)ことから、ステージ12の目標移動距離Dを、Xt−Xsより算出し、X2−α・X1を得る。次に、ステージ12の目標速度Vtを、Vt=α・D/Ts=α・(X2−α・X1)/Tsにより計算する。そして、これを目標速度Vtとして速度制御の演算を行い、超音波モータ駆動回路21に対して超音波モータ13に出力する駆動信号の設定を行う。
【0040】
これにより、時刻2Tsにて目標速度Vt=α・(X2−α・X1)/Tsでのステージ12の移動が開始され、時刻3Tsに達した時のステージ位置Xsは、α・(X2−α・X1)+α・X1=X2−(1−α)・(X2−α・X1)となる(点線33参照)。当然のことながら、時刻3Tsでは目標位置XtであるX2には到達しない。
【0041】
なお、このようにしてステージ12の移動が行われたときのステージ位置の軌跡をプロットしたものが点線33である。但し、ここでは、説明の便宜のため、超音波モータ駆動回路21に対して超音波モータ13に出力する駆動信号の設定を行ってから即座にステージ12が目標速度Vtに達するものとして示している。
【0042】
その後、時刻3Ts、時刻4Ts、及び時刻5Tsのそれぞれの時刻において、上記の時刻2Tsで行われた処理と同様の処理が行われる。
なお、図3に示したように、時刻5Tsより少し手前の時点で手動入力装置(ハンドル)15の操作が停止したため、時刻5Tsにおいて、ステージ12の目標位置Xtは、その停止した時点までのX5に更新される。一方、時刻4Tsにて更新された時刻5Tsまでのステージ12の目標位置XtはX4であり、時刻5Tsに達した時のステージ位置Xsは、上述と同様に、目標位置XtであるX4には到達しない。そして、時刻5Tsで更新されたステージ12の目標位置XtがX5として時刻6Tsまでステージ12の移動が行われる。時刻6Tsでは、上述と同様に、ステージ12は、目標位置XtであるX5には到達しない。
【0043】
一方、時刻5Tsから時刻6Tsの間は手動入力装置15の操作が行われていないことからステージ12の目標位置XtはX5のままであり、時刻6Tsにて得られる、時刻5Tsから時刻6Tsの間にハンドルカウンタ23によりカウントされた値に対応するステージ12の移動量は0である。よって、演算部21は、時刻6Tsにて手動入力装置15の操作が停止したと判断することができる。ここで、手動入力装置15の操作に対するステージ12の追従性を重視すると、手動入力装置15の操作が停止したと判断した時点、つまり時刻6Tsにてステージ12を停止することが望ましい。しかしながら、この時点ではステージ12の目標位置XtであるX5に到達していないために、手動入力装置15の操作量(回転つまみの回転量)に対応した移動距離と、ステージ12の実際の移動距離との間に誤差が生じてしまう。そこで、この問題を解決するために、本実施例では、手動入力装置15の操作が停止したと判断した時点から更に時間1Tsだけステージ12の移動を続けることで、より目標位置Xtに近づけることを可能にしている。
【0044】
ここで、時刻6Tsでのステージ位置Xsと目標位置XtであるX5との差をdとする(図3参照)。つまり、Xs(6Ts)=X5−dとすると、時刻6Tsで求められるステージ12の目標速度VtはVt=α・d/Tsとなり、これが時刻6Tsから時刻7Tsまでの目標速度Vtとなる。従って、上述と同様に、時刻6Tsから時刻7Tsでのステージ12の移動距離はα・dとなり、目標位置XsであるX5との間にd−α・d=(1−α)・dの差が残る。そこで、本実施例では、ステージ12の目標速度Vtの算出において、速度の下限値Vminを設け、算出された目標速度Vtの値が下限速度Vminの値よりも低い場合には、目標速度Vtの値を下限速度Vminの値としてステージ12の移動を行うようにしている。
【0045】
図5は、上述の時刻6Tsでのステージ位置Xsと目標位置Xtとの差dと、目標速度Vtとの関係を示す図である。
上記の差dがd<Vmin・Tsの条件を満たす場合、つまり同図の範囲(1)では、時刻7Tsまでにステージ12は目標位置Xt(=X5)に到達することになる。このときは、時刻7Tsまでステージ12の移動を行うと目標位置Xtを通過してしまう。そこで、演算部21は、時刻6Tsから時刻7Tsにかけて、ステージ12の目標位置Xtとエンコーダ処理部22を介して得られるステージ位置Xsとを随時比較して、ステージ12の停止時の慣性力を考慮した停止距離Δdだけ目標位置Xtの手前の位置にステージ12が到達したときに停止するように制御する。これにより、ほぼ目標位置Xtでステージ12を停止させることができる。このような停止時の動作が行われたときの様子を拡大して示したものが図6である。
【0046】
一方、上記の差dがd≧Vmin・Tsの条件を満たす場合、つまり同図の範囲(2)及び(3)では、時刻7Tsにおいて目標位置Xt(=X5)に到達することはない。この場合、目標位置Xtまでの不足する距離は、上記の差dがd<Vmin・Ts/αの条件を満たす場合、つまり同図の領域(2)では、d−Vmin・Tsとなる。また、上記の差dがd≧Vmin・Ts/αの条件を満たす場合、つまり同図の領域(3)では、(1−α)・dとなる。このとき、不足する距離を補うために、手動入力装置15の操作が停止した後も長時間ステージ12を移動し続けると、使用者に対して手動入力装置15の操作を停止したのにステージ12が動くという違和感を与えることになる。そこで、このような場合は、操作性を重視してステージ12も停止する方が都合がよいことから、演算部24は、そのように制御する。このような停止時の動作が行われたときの様子を拡大したものが図7である。同図に示したように、時刻7Tsにおいてステージ12は目標位置Xt(=X5)に到達していないが、時刻6Ts及び時刻7Tsという2つのサンプリング間隔Ts毎の時刻で連続して目標位置Xtに変化が無いので強制的にステージ12を停止するように制御している。なお、2つの連続するサンプリング間隔Ts毎の時刻で目標位置Xtに変化が無いとは、サンプリング間隔Ts毎に取り込まれた移動量信号が2回連続して0の移動量に対応する信号であったということである。
【0047】
ところで、図7に示した制御が行われた場合は、目標位置Xtとステージ12の停止位置に差が生じることは確実であるが、図6に示した制御が行われた場合においても、ステージ12の停止位置が目標位置Xtに一致するという保証は無い。この差を放置しておくと、次に手動入力装置15が操作されてステージ12の移動が開始されたときに、この差が目標移動距離Dに積算されて、手動入力装置15の操作量とステージ12の移動量との間にずれが生じてしまう。この問題は、ステージ12の停止後、ステージ12の目標位置Xtをステージ12の停止位置と同じ位置に設定し直すことで回避することができる。一方で、図6に示した制御が行われた場合のようにd<Vmin・Tsに対応する入力が手動入力装置15の操作によって連続的に行われた場合、ステージ12の位置が後述の図12のように時間に対して階段状に変化し、手動操作装置15の操作量から決まる移動量と階段状の各段それぞれの実際の移動量との間に誤差が発生する場合がある。そこで、この誤差の発生を抑制するという観点から、このような場合に、その階段状の各段の移動終了後(停止後)に目標位置Xtを停止時のステージ12の位置に設定し直す、という制御方法も考えられる。しかしながら、この制御方法では、その階段状の各段で発生した誤差が蓄積され、結果として手動入力装置15の操作量とステージ12の移動量との差を大きくさせる可能性がある。例えば、目標位置Xtへの移動量が1umのときにステージ12が実際に1.1um移動してしまうと仮定する。このとき、サンプリング間隔Ts毎に1umずつ移動させようとした場合、1Ts経過してステージ12が実際に1.1um移動して停止した後すぐに目標位置Xtを設定し直すとすると、次の目標位置Xtは、停止位置から1um離れた位置になるので、最初の位置(移動開始位置)からは2.1um離れた位置になる。そして、更に1Tsが経過するとステージ12が実際に更に1.1um移動して停止し、結果として、本来は最初の位置から2um移動しようとしたところ実際には2.2um移動してしまうことになる。
【0048】
そこで、この問題を回避するために、本実施例では、ステージ12の停止後すぐに目標位置Xtを設定し直すのではなく、ステージ12の停止という条件として、サンプリング間隔Ts毎の2つの連続する時刻で目標位置Xtに変化が無いこと(手動入力装置15の操作が無いこと)を追加して制御を行うようにしている。つまり、目標位置Xtへの移動が行われてステージ12が一旦停止したときに、引き続き手動入力装置15の操作があった場合は、目標位置Xtの設定し直しを行わずに、目標位置Xtを維持したまま新しい目標位置Xtを設定(新しい目標位置へ更新)することで、手動入力装置15の操作量とステージ12の移動量との乖離を抑えるようにしている。このような制御を、上記の例に適用すると、1Ts経過してステージ12が実際に1.1um移動した後も目標位置Xtは1umの位置のままなので、次の目標位置Xtは、それに1um積算した値、すなわち、最初の位置から2umの位置となる。つまり、次の目標位置Xtへの移動量(目標移動距離D)は、2um−1.1umより0.9umという設定になるので、目標位置Xtと実際の位置とのずれを小さくすることができる。
【0049】
以上、本実施例に係るステージ制御システムの動作の概要を説明したが、その動作をフローチャートとして表したものが図8である。なお、同図に示したフローチャートは、演算部24が、内蔵メモリ24aに格納されているステージ制御プログラムを読み出し実行することによって行われるものである。
【0050】
本動作では、サンプリング間隔Ts毎に、超音波モータ13を駆動源とするステージ12を手動操作に応じて移動させる際の移動量に関する移動量信号を取り込むこと、その取り込みと同期して当該取り込み時点におけるステージ12の位置に関するステージ位置信号を取り込むこと、その取り込まれた移動量信号をステージ12の移動量に換算すること、その換算された移動量を、当該移動量に対応する移動量信号が取り込まれた時点における目標位置Xtに積算して、当該目標位置Xtを更新すること、その更新された目標位置Xtと、当該目標位置Xtの更新で使用された移動量に対応する移動量信号が取り込まれた時点において取り込まれたステージ位置信号に対応するステージ位置Xsとの差からステージ12の目標移動距離Dを算出すること、サンプリング間隔Ts、目標移動距離D、及び係数α(但し、α<1)を用いて、ステージ12の目標速度Vtを、Vt=α・D/Tsという式により算出すること、その算出された目標速度Vtでステージ12を移動させるようにステージ12の速度制御を行うこと、を繰り返す。そして、任意の時点において、ステージ12の位置に関するステージ位置信号を取り込み、当該ステージ位置信号に対応するステージ位置Xaと当該時点における目標位置Xtとを比較した結果、比較されたステージ位置Xa及び目標位置Xtと、所定の停止距離Δdとの間で、|Xt−Xa|<Δdという条件式が成立した場合、又は、サンプリング間隔Ts毎に取り込まれた移動量信号が所定数回連続して0の移動量に対応する信号であった場合に、ステージ12を停止させるようにステージ12の速度制御を行い、ステージ12が停止した時点における当該ステージの位置に関するステージ位置信号を取り込み、当該時点における目標位置Xtを、停止した時点におけるステージ位置信号に対応するステージ位置として、当該目標位置Xtを更新する。
【0051】
より具体的には、図8に示したように、本動作が開始すると、まず、ステップ(以下単に「S」という)100において、サンプリング間隔Tsが経過したか否かの判定が行われ、その判定結果がYesの場合にはS200へ移行し、Noの場合にはS200をスキップしてS300へ移行する。
【0052】
S200では、ハンドル読み込み処理が行われる。
図9は、そのS200で行われるハンドル読み込み処理のフローチャートを示す図である。同図に示したように、このハンドル読み込み処理では、まず、S210において、当該時点までの1サンプリング間隔Tsの間にハンドルカウンタ23によりカウントされた値が読み込まれる。S220では、上述の目標位置Xt、目標移動距離D、及び目標速度Vtが算出される。S230では、目標位置Xtが2つの連続するサンプリング間隔Ts毎の時刻で同じ値であったか否かが判定される。すなわち、サンプリング間隔Ts毎に取り込まれた移動量信号が2回連続して0の移動量に対応する信号であったか否かが判定される。この判定結果がYesの場合には、S240へ移行して、移動フラグが0に設定されると共に、目標位置設定フラグが1に設定される。一方、その判定結果がNoの場合には、S250へ移行して、移動フラグが1に設定されると共に、目標位置設定フラグが0に設定される。
【0053】
なお、移動フラグは、ステージ12を移動させるか停止させるかを判定するためのフラグである。また、目標位置設定フラグは、目標位置Xtを設定し直すか否かを判定するためのフラグである。
【0054】
S240又はS250が終了すると、当該ハンドル読み込み処理が終了し、図8のS300へ移行する。
S300では、目標位置Xtと実際のステージ位置との比較が行われるステージ位置チェック処理が行われる。
【0055】
図10は、そのS300で行われるステージ位置チェック処理のフローチャートを示す図である。同図に示したように、このステージ位置チェック処理では、まず、S310において、エンコーダ処理部22を介してステージ12のステージ位置Xaが取得される。S320では、そのステージ位置Xaと当該時点における目標位置Xtとの比較が行われ、ステージ位置Xaが、目標位置XtのΔd手前か否か、すなわち、Xt−Xa<Δdであるか否かが判定される。なお、ここでは、ステージ12が正方向に移動する場合を想定しているので、Xt−Xa<Δdであるか否かの判定が行われるが、ステージ12が負方向に移動した場合には、その判定が、Xa−Xt<Δdであるか否かの判定に置き換えられる。S320の判定の結果がYesの場合には、S330へ移行して、移動フラグが0に設定される。一方、その判定結果がNoの場合には、S330をスキップする。S330の後、又は、S320がNoになると、当該ステージ位置チェック処理が終了し、図8のS400へ移行する。
【0056】
S400では、移動フラグが1であるか否かが判定される。
S400の判定結果がNoの場合(移動フラグが0であった場合)には、S500へ移行して、ステージ12が移動中であるか否かが判定される。なお、ステージ12が移動中であるか否かの判定は、例えば、エンコーダ処理部22を介して取得するステージ位置に基づいて行うことができる。S500の判定結果がYesの場合には、S600へ移行して、ステージ12を停止させる処理が行われる。一方、その判定結果がNoの場合には、S600をスキップする。
【0057】
S600の後、又は、S500の判定結果がNoになると、S700へ進み、目標位置設定処理が行われる。
図11は、そのS600で行われる目標位置設定処理のフローチャートを示す図である。同図に示したように、この目標位置設定処理では、まず、S610において、目標位置設定フラグが1であるか否かが判定される。ここで、その判定結果がYesの場合には、S620へ移行して、ステージ12の目標位置Xtの値が、当該時点にエンコーダ処理部22を介して取得したステージ位置の値に設定し直されると共に、目標位置設定フラグが0に設定される(クリアされる)。一方、その判定結果がNoの場合には、S620をスキップする。
【0058】
S620の後、又は、S610の判定結果がNoになると、当該目標位置設定処理が終了する。
一方、図8のS400の判定結果がYesの場合には、S800へ移行して、算出されている目標速度Vtでステージ12を移動させる速度制御処理が行われる。
【0059】
S700又はS800の処理が終了すると、S100へ戻り、再び上述の処理が繰り返される。
以上が、本実施例に係るステージ制御システムの動作を示すフローチャートの説明であるが、この動作の処理形式は、このフローチャートに示したように時間的に順次実行されるものに限定されず、例えば、このフローチャートの処理を複数に分割して、それぞれをマルチタスクの中の一つのタスクとして個々に処理するように構成することも可能である。
【0060】
ここで、本実施例に係るステージ制御システムを実際に動作させたときの具体例を説明する。但し、使用される各種パラメータは、次のとおりとする。
・サンプリング間隔Ts:30msec
・エンコーダ処理部22によるステージ12の位置分解能:20nm
・係数α:0.9375
・停止距離Δd:20nm
・下限速度Vmin:100um/sec
・ハンドルカウンタ23の1カウントあたりの目標移動距離:0.1um又は1um
・手動入力装置15の回転つまみの1回転あたりのハンドルカウンタ23のカウント数:1000
図12乃至図18は、手動入力装置15の出力信号の代わりに、目標速度Vtが0.5um/sec、5um/sec、50um/sec、500um/sec、1mm/sec、5mm/sec、10mm/secに相当するインクリメンタル信号をハンドルカウンタ23に与えたときの、ステージ12の目標位置Xtと実際のステージ位置とをプロットした結果を示す図である。
【0061】
なお、図12乃至図18において、縦軸はステージ12の位置を示し、横軸は時間である。また、実線はステージ12の目標位置Xtを示し、破線は実際のステージ位置を示している。
【0062】
図12乃至図18に示したように、いずれの場合にも、目標位置Xtに対してステージ位置が約30msec(サンプリング間隔Ts相当)遅れで追従していることが確認できる。また、それと同時に停止時のオーバーシュートがほとんど無いことも確認できる。
【0063】
なお、図12等では、多少のオーバーシュートが見られる。これは、超音波モータ13やその周辺部が駆動信号の停止後もわずかの時間振動しているためであり、オーバーシュートの距離、時間ともに短く、実使用上(例えばステージ12を顕微鏡用ステージとして使用した場合等であっても)問題になるような値ではない。
【0064】
また、100um/sec未満相当の信号を付与した場合には、図12乃至図14(特に図12参照)に示したように、ステージ位置が階段状に変化していることも確認できる。これは、サンプリング間隔Ts内でステージ12が目標位置Xtに到達するためであり、図6に示したような停止時の動作(図6の6Tsから7Tsの間に行われる動作に相当)が連続的に行われていることを意味している。
【0065】
図12においては、ステージ12が目標位置Xtの変化に従ってほぼ0.1umステップで移動していることが確認できる。また、目標位置Xtよりもステージ位置の方が先行している傾向にあるが、これは目標位置Xtの手前Δd(ここでは20nm)にて駆動信号を停止した後、ステージ12の慣性力や超音波モータ13やその周辺部の残留振動のためにステージ12が僅かに進んでしまうためである。しかしながら、例えばステージ12を顕微鏡用ステージとして使用し、仮に総合倍率2000倍(接眼レンズの倍率を20倍とし対物レンズの倍率を100倍とする等)のような高倍率で観察した場合であっでも、0.1umと0.2umの移動距離の違いを目視で確実に認識するのは難しく、また、かなり注意して観察しないと判別が難しい量であるので、通常の光学顕微鏡と共に使用する場合においては問題にならない。
【0066】
また、ステージ12の目標速度Vtが大きくなるとステージ12の運動量も大きくなるため、超音波モータ13の駆動信号を停止してから実際にステージ12が止まるまでに進む距離も目標速度Vtによって異なる。図12乃至図18の各図では判別が難しいので、以下に、各図における最終的な実際の停止位置と目標位置Xtとの差を示す。
・図12(0.5um/sec相当の信号を付与)の例では、その差が0um。
・図13(5um/sec相当の信号を付与)の例では、その差が0.02um。
・図14(50um/sec相当の信号を付与)の例では、その差が0.08um。
・図15(500um/sec相当の信号を付与)の例では、その差が0um。
・図16(1mm/sec相当の信号を付与)の例では、その差が0.7um。
・図17(5mm/sec相当の信号を付与)の例では、その差が3.42um。
・図18(10mm/sec相当の信号を付与)の例では、その差が26.38um。
【0067】
このように、500um/sec以下相当の信号を付与した例では、その差がサブミクロン程度しか生じないが、速度(目標速度Vt)が大きくなるに従ってその差が大きくなることが確認できる。そこで、これを抑えるために、目標速度Vtによって停止距離Δdを変えるという方法も考えられる。しかしながら、ステージ12を顕微鏡用ステージとして使用しているときにステージ12を高速で移動させる場合には、観察倍率を低くしないとステージ上の試料の動きを目視で確認することができないので、位置決め精度が低下しても使用者はそれを認識できない。従って、停止距離Δdを固定としても不都合は生じない。また、使用者が微細な位置設定を行う際には、手動入力装置15の回転つまみをゆっくり操作するので、必然的に目標速度Vtも低い値となり細かい位置設定が可能となる。
【0068】
図19及び図20は、使用者が手動入力装置15の回転つまみを手で操作したときの、ステージ12の目標位置Xtとステージ位置とをプロットした結果を示す図である。
但し、図19に示した結果は、ハンドルカウンタ23の1カウントあたりの目標移動距離を0.1umとして得られたものであり、例えば、手動入力装置15の回転つまみが1回転した場合には、その1回転がハンドルカウンタ23の1000カウントに対応することから、100umの移動距離が指示されたことになる。また、図20に示した結果は、それを1umとして得られたものであり、例えば、手動入力装置15の回転つまみが1回転した場合には、1mmの移動距離が指示されたことになる。
【0069】
なお、図19及び図20の各図において、上段は、使用者の手動入力装置15の操作による目標位置Xt(実線参照)と実際のステージ位置(破線参照)とをプロットしたものである。但し、説明の便宜のため、破線で示すステージ位置については、サンプリング間隔Ts(ここでは30msec)分だけ前にずらして示している。なお、上段において、縦軸はステージ12の位置を示し、横軸は時間を示す。下段は、目標位置Xtとステージ位置との差をプロットしたものである。なお、下段において、縦軸はその差を示し、横軸は時間を示す。
【0070】
図19及び図20に示したように、使用者の手動入力装置15の操作に対して非常に良く追従していることが確認できる。また、手動入力装置15の回転つまみが反転(右回転から左回転へ又は左回転から右回転へ反転)されたときに、一時的に目標位置Xtが停止しているところでは(目標位置Xtに変化が無いところでは)、目標位置Xtとステージ位置との差が、図19に示した結果では0.5um以下、図20に示した結果では5um以下となっており、ほぼ目標位置Xt付近に到達していることが確認できる。
【0071】
なお、この結果は、特に位置決めを意識せずに使用者が手動入力装置15の回転つまみを手で大きく速く回転させた場合の結果であり、例えばステージ12を顕微鏡用ステージとして使用した場合に実際に顕微鏡下で位置決めを行う際には、停止時の操作は更にゆっくりとしたものになる。
【0072】
図21及び図22は、使用者のゆっくりとした操作に対する移動量を複数回測定したときの、その測定値の分布をヒストグラムとして示したものである。ここでは、そのゆっくりとした操作に対する移動量を確認するために、ハンドルカウンタ23の1カウントあたりの目標移動距離を0.1umとした場合(図21参照)と1umとした場合(図22参照)のそれぞれの場合において、ハンドルカウンタ24に1カウント相当の信号を入力したときのステージ12の移動距離を400回測定し、その分布をヒストグラムとして示している。また、それぞれの場合における、測定値の平均値と標準偏差は次のとおりである。
・図21(目標移動距離:0.1um)の場合、
平均値:0.1014um、標準偏差:0.0184umである。
・図22(目標移動距離:1um)の場合、
平均値:1.0517um、標準偏差:0.0252umである。
【0073】
このように、手動入力装置15の回転つまみをゆっくり操作した場合には、ほぼ設定した1カウント相当の移動量が得られていることが確認できる。
よって、図19乃至図22に示した測定結果から、手動入力装置15を速く操作した場合には、その回転つまみの動きに対して素早い応答をし、且つ、ゆっくり操作した場合には、サブミクロンオーダーの高い位置決めが可能となることが確認できる。
【0074】
以上のように、本実施例に係るステージ制御システムでは、所定のサンプリング間隔Ts毎に手動入力装置15から出力される移動量信号を取り込み、ステージ12の移動すべき目標位置Xtとその位置までの目標移動距離Dとを算出する。そして、この目標移動距離Dをサンプリング間隔Tsで割った値に係数α(但し、α<1)を乗じたものをステージ12の目標速度Vtとして、速度制御によりステージ12を移動させ、ステージ12の位置が目標位置Xtから別途定める誤差範囲内(停止距離Δd内)に入るか、又は、手動入力装置15からの移動量信号が移動量0に相当する移動量信号となって一定時間が経過したら、超音波モータ13の駆動を停止してステージ12を停止させる。これにより、オーバーシュートを発生させること無く、目標位置Xt近傍でステージ12を停止させることができる。
【0075】
また、連続する複数のサンプリング間隔Tsの時間に渡って手動入力装置15の回転つまみの操作が続けられた場合に、係数αを1以上とすると、サンプリング間隔Ts内で目標位置Xtに到達してしまうため、サンプリング間隔Ts毎にステージ12の停止処理を行うことになり間欠的な動きになってしまう。そこで、本実施例に係るステージ制御システムでは、係数αを1未満とすることで、滑らかなステージ12の移動を可能としている。
【0076】
一方、手動入力装置15の操作に対するステージ12の追従性を重視すると、手動入力装置15の操作停止が確認されたときに速やかにステージ12も停止することが望ましい。しかしながら、本実施例に係るステージ制御システムでは、係数αを1未満としているため、サンプリング間隔Tsの間にステージ12が目標位置Xtに到達することはなく、手動入力装置15の操作停止が確認されたときにステージ12を停止すると、目標位置Xtとの誤差が大きくなってしまう。そこで、本実施例に係るステージ制御システムでは、次のサンプリング間隔Tsの間だけ引き続きステージ12を動かすことで、目標位置Xtとの誤差を小さくすることを可能としている。
【0077】
以上、本実施例に係るステージ制御システムによれば、超音波モータ13を駆動源として用いる電動のステージ12を手動入力装置15を用いて操作する際に、手動ステージと同等の操作性を保ちつつ、且つ、手動での移動操作を確実に行うことができ、更に、停止時のオーバーシュートが無く、サブミクロンオーダーの優れた動作性能を実現することができる。よって、ステージ12を顕微鏡用ステージとして使用した場合には、使用者が手動入力装置15を介して試料上の観察視野を所望の位置へ正確に移動させること等が可能になる。
【0078】
なお、本実施例に係るステージ制御システムにおいて、サンプリング間隔Tsは0.05秒以下、若しくは、より好ましくは0.03秒以下とするのが好ましい。これにより、ステージ12を顕微鏡用ステージとして使用したときに、目視による観察下でのぎくしゃくした動きを抑えることが可能になる。
【0079】
また、本実施例に係るステージ制御システムでは、サンプリング間隔Ts毎に取り込まれた移動量信号が2回連続して0の移動量に対応する信号であった場合にステージ12を停止させるように制御したが、それが3回以上連続して0の移動量に対応する信号であった場合にステージ12を停止させるように制御するよう構成することも可能である。
【0080】
また、本実施例に係るステージ制御システムにおいて、設定可能な目標移動距離Dの最小値をDminとするとき、即ち手動入力装置15の回転つまみの最小操作量に対応するステージ12の移動距離をDminとするとき、目標速度Vtの下限値となる下限速度Vminの値をDmin/Tsより大きくすることで、その最小の移動距離Dminを確実に移動させることが可能になる。
【0081】
また、本実施例に係るステージ制御システムでは、手動入力装置15として、回転つまみとロータリーエンコーダとを組み合わせたものを使用したが、同じくロータリーエンコーダを使用するマウスやトラックボール等のような他の手動の入力装置を使用することも可能である。
【0082】
また、本実施例に係るステージ制御システムでは、手動入力装置15からのインクリメンタル信号がステージ制御装置16に入力され、それに基づいて演算部24による目標位置Xtの算出が行われるものであったが、使用者の手動操作に応じてステージ制御装置16に入力される信号はインクリメンタル信号に限らず、その他の信号とすることも可能である。例えば、インクリメンタル信号の代わりに、直接、目標位置に関する信号をステージ制御装置16に入力させるように構成することも可能である。この場合は、エンコーダ処理部23の代わりにRS−232CやUSB等のインターフェースをステージ制御装置16に追加し、このインターフェースを介して目標位置に関する信号を取り込むように構成することも可能である。このように構成することで、ステージ12を顕微鏡用ステージとして使用する場合には、試料を撮影するためのカメラ装置とタッチパネルディスプレイ装置とを組み合わせて、試料の映像をタッチパネルディスプレイ装置に表示し、これに使用者がタッチすることで操作したり、或いは、PC(パーソナルコンピュータ)と接続して、PCのGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)の画面上に仮想的な操作部を配置して、ステージ12を動作させたりすることも可能である。ここで、タッチパネルディスプレイ装置やPCは、ステージ12を手動操作に応じて移動させる際の目標位置を受け付け、当該目標位置に関する目標位置信号を出力する受付手段の一例である。
【0083】
なお、このように、使用者の手動操作に応じた目標位置に関する信号がステージ制御装置16に入力されるように構成した場合、演算部24は、内蔵メモリ24aに格納されているステージ制御プログラムの実行により、少なくとも次のような手段及び機能を実現するように構成される。つまり、ステージ12を手動操作に応じて移動させる際の目標位置に関する目標位置信号を所定のサンプリング間隔Ts毎に取り込む目標位置信号取込手段及びその機能と、その取り込みと同期して当該取り込み時点におけるステージ12の位置に関するステージ位置信号を取り込むこと、及び、任意の時点におけるステージ12の位置に関するステージ位置信号を取り込むこと、を行う位置信号取込手段及びその機能と、取り込まれた目標位置信号をステージ12の目標位置Xtに換算する目標位置換算手段及びその機能と、換算された目標位置Xtと、当該目標位置Xtの換算で使用された目標位置信号が取り込まれた時点において取り込まれたステージ位置信号に対応するステージ位置Xsとの差からステージ12の目標移動距離Dを算出する目標移動距離算出手段及びその機能と、サンプリング間隔Ts、目標移動距離D、及び係数α(但し、α<1)を用いて、ステージ12の目標速度Vtを、Vt=α・D/Tsという式により、算出する目標速度算出手段及びその機能と、算出された目標速度Vtでステージ12を移動させるようにステージ12の速度制御を行う速度制御手段及びその機能と、任意の時点において取り込まれたステージ位置信号に対応するステージ位置Xaと、当該時点における目標位置Xtとを比較する位置比較手段及びその機能と、その比較の結果、比較されたステージ位置Xa及び目標位置Xtと、所定の停止距離Δdとの間で、|Xt−Xa|<Δdという条件式が成立した場合、又は、サンプリング間隔Ts毎に取り込まれた目標位置信号が所定数回連続して同じ位置に対応する信号であった場合に、ステージ12を停止させるようにステージ12の速度制御を行い、ステージ12が停止した時点におけるステージ位置信号を取り込み、更に、当該時点における目標位置Xtを、停止した時点におけるステージ位置信号に対応するステージ位置として、当該目標位置Xtを更新する手段及びその機能である。
【0084】
また、このような構成では、演算部24が内蔵メモリ24aに格納されているステージ制御プログラムの実行により、少なくとも次のような動作が行われる。つまり、サンプリング間隔Ts毎に、超音波モータ13を駆動源とするステージ12を手動操作に応じて移動させる際の目標位置に関する目標位置信号を取り込むこと、その取り込みと同期して当該取り込み時点におけるステージ12の位置に関するステージ位置信号を取り込むこと、その取り込まれた目標位置信号をステージ12の目標位置Xtに換算すること、その換算された目標位置Xtと、当該目標位置Xtの換算で使用された目標位置信号が取り込まれた時点において取り込まれたステージ位置信号に対応するステージ位置Xsとの差からステージ12の目標移動距離Dを算出すること、サンプリング間隔Ts、目標移動距離D、及び係数α(但し、α<1)を用いて、ステージ12の目標速度Vtを、Vt=α・D/Tsという式により算出すること、その算出された目標速度Vtでステージ12を移動させるようにステージ12の速度制御を行うこと、を繰り返す。そして、任意の時点において、ステージ12の位置に関するステージ位置信号を取り込み、当該ステージ位置信号に対応するステージ位置Xaと当該時点における目標位置Xtとを比較した結果、比較されたステージ位置Xa及び目標位置Xtと、所定の停止距離Δdとの間で、|Xt−Xa|<Δdという条件式が成立した場合、又は、サンプリング間隔Ts毎に取り込まれた目標位置信号が所定数回連続して同じ位置に対応する信号であった場合に、ステージ12を停止させるようにステージ12の速度制御を行い、ステージ12が停止した時点における当該ステージの位置に関するステージ位置信号を取り込み、当該時点における目標位置Xtを、停止した時点におけるステージ位置信号に対応するステージ位置として、当該目標位置Xtを更新する。
【0085】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は、上述した実施例に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良・変更が可能である。
【符号の説明】
【0086】
11 固定台
12 ステージ
13 超音波モータ
14 リニアエンコーダ
15 手動入力装置
16 ステージ制御装置
21 超音波モータ駆動回路
22 エンコーダ処理部
23 ハンドルカウンタ
24 演算部
24a 内蔵メモリ
31 実線
32 一点鎖線
33 点線



【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波モータを駆動源とするステージを手動操作に応じて移動させる際の移動量に関する移動量信号を所定のサンプリング間隔Ts毎に取り込む移動量信号取込手段と、
前記移動量信号取込手段による取り込みと同期して当該取り込み時点における前記ステージの位置に関するステージ位置信号を取り込むこと、及び、任意の時点における前記ステージの位置に関するステージ位置信号を取り込むこと、を行う位置信号取込手段と、
前記移動量信号取込手段により取り込まれた移動量信号を前記ステージの移動量に換算する移動量換算手段と、
前記移動量換算手段により換算された移動量を、当該移動量に対応する前記移動量信号が取り込まれた時点における目標位置Xtに積算して、当該目標位置Xtを更新する目標位置算出手段と、
前記目標位置算出手段により更新された目標位置Xtと、当該目標位置Xtの更新で使用された前記移動量に対応する前記移動量信号が取り込まれた時点において取り込まれた前記ステージ位置信号に対応するステージ位置Xsとの差から前記ステージの目標移動距離Dを算出する目標移動距離算出手段と、
前記サンプリング間隔Ts、前記目標移動距離D、及び係数α(但し、α<1)を用いて、前記ステージの目標速度Vtを、Vt=α・D/Tsという式により、算出する目標速度算出手段と、
前記目標速度算出手段により算出された目標速度Vtで前記ステージを移動させるように前記ステージの速度制御を行う速度制御手段と、
任意の時点において前記位置信号取込手段により取り込まれたステージ位置信号に対応するステージ位置Xaと、当該時点における前記目標位置Xtとを比較する位置比較手段と、
を備え、
前記位置比較手段による比較の結果、比較された前記ステージ位置Xa及び前記目標位置Xtと、所定の停止距離Δdとの間で、|Xt−Xa|<Δdという条件式が成立した場合、
又は、前記サンプリング間隔Ts毎に前記移動量信号取込手段により取り込まれた移動量信号が所定数回連続して0の移動量に対応する信号であった場合に、
前記速度制御手段は、前記ステージを停止させるように前記ステージの速度制御を行い、前記位置信号取込手段は、前記ステージが停止した時点におけるステージ位置信号を取り込み、前記目標位置算出手段は、当該時点における前記目標位置Xtを、前記停止した時点におけるステージ位置信号に対応するステージ位置として、当該目標位置Xtを更新する、
ことを特徴とするステージ制御装置。
【請求項2】
超音波モータを駆動源とするステージを手動操作に応じて移動させる際の目標位置に関する目標位置信号を所定のサンプリング間隔Ts毎に取り込む目標位置信号取込手段と、
前記目標位置信号取込手段による取り込みと同期して当該取り込み時点における前記ステージの位置に関するステージ位置信号を取り込むこと、及び、任意の時点における前記ステージの位置に関するステージ位置信号を取り込むこと、を行う位置信号取込手段と、
前記目標位置信号取込手段により取り込まれた目標位置信号を前記ステージの目標位置Xtに換算する目標位置換算手段と、
前記目量位置換算手段により換算された目標位置Xtと、当該目標位置Xtの換算で使用された前記目標位置信号が取り込まれた時点において取り込まれた前記ステージ位置信号に対応するステージ位置Xsとの差から前記ステージの目標移動距離Dを算出する目標移動距離算出手段と、
前記サンプリング間隔Ts、前記目標移動距離D、及び係数α(但し、α<1)を用いて、前記ステージの目標速度Vtを、Vt=α・D/Tsという式により、算出する目標速度算出手段と、
前記目標速度算出手段により算出された目標速度Vtで前記ステージを移動させるように前記ステージの速度制御を行う速度制御手段と、
任意の時点において前記位置信号取込手段により取り込まれたステージ位置信号に対応するステージ位置Xaと、当該時点における前記目標位置Xtとを比較する位置比較手段と、
を備え、
前記位置比較手段による比較の結果、比較された前記ステージ位置Xa及び前記目標位置Xtと、所定の停止距離Δdとの間で、|Xt−Xa|<Δdという条件式が成立した場合、
又は、前記サンプリング間隔Ts毎に前記目標位置信号取込手段により取り込まれた目標位置信号が所定数回連続して同じ位置に対応する信号であった場合に、
前記速度制御手段は、前記ステージを停止させるように前記ステージの速度制御を行い、前記位置信号取込手段は、前記ステージが停止した時点におけるステージ位置信号を取り込み、更に、当該時点における前記目標位置Xtを、前記停止した時点におけるステージ位置信号に対応するステージ位置として、当該目標位置Xtを更新する、
ことを特徴とするステージ制御装置。
【請求項3】
前記所定のサンプリング間隔Tsは0.05秒以下である、
ことを特徴とする請求項1又は2記載のステージ制御装置。
【請求項4】
前記所定数回は2回である、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のステージ制御装置。
【請求項5】
前記目標速度算出手段により算出された目標速度Vtの値が所定の下限速度Vminの値以下の場合、前記速度制御手段は、前記目標速度Vtの値を前記下限速度Vminの値として処理を行う、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のステージ制御装置。
【請求項6】
所定のサンプリング間隔Ts毎に、
超音波モータを駆動源とするステージを手動操作に応じて移動させる際の移動量に関する移動量信号を取り込み、
前記取り込みと同期して当該取り込み時点における前記ステージの位置に関するステージ位置信号を取り込み、
前記取り込まれた移動量信号を前記ステージの移動量に換算し、
前記換算された移動量を、当該移動量に対応する前記移動量信号が取り込まれた時点における目標位置Xtに積算して、当該目標位置Xtを更新し、
前記更新された目標位置Xtと、当該目標位置Xtの更新で使用された前記移動量に対応する前記移動量信号が取り込まれた時点において取り込まれた前記ステージ位置信号に対応するステージ位置Xsとの差から前記ステージの目標移動距離Dを算出し、
前記サンプリング間隔Ts、前記目標移動距離D、及び係数α(但し、α<1)を用いて、前記ステージの目標速度Vtを、Vt=α・D/Tsという式により算出し、
前記算出された目標速度Vtで前記ステージを移動させるように前記ステージの速度制御を行い、
という処理を繰り返し、
任意の時点において、前記ステージの位置に関するステージ位置信号を取り込み、当該ステージ位置信号に対応するステージ位置Xaと当該時点における前記目標位置Xtとを比較した結果、比較された前記ステージ位置Xa及び前記目標位置Xtと、所定の停止距離Δdとの間で、|Xt−Xa|<Δdという条件式が成立した場合、
又は、前記サンプリング間隔Ts毎に取り込まれた移動量信号が所定数回連続して0の移動量に対応する信号であった場合に、
前記ステージを停止させるように前記ステージの速度制御を行い、前記ステージが停止した時点における当該ステージの位置に関するステージ位置信号を取り込み、当該時点における前記目標位置Xtを、前記停止した時点におけるステージ位置信号に対応するステージ位置として、当該目標位置Xtを更新する、
ことを特徴とするステージ制御方法。
【請求項7】
所定のサンプリング間隔Ts毎に、
超音波モータを駆動源とするステージを手動操作に応じて移動させる際の目標位置に関する目標位置信号を取り込み、
前記取り込みと同期して当該取り込み時点における前記ステージの位置に関するステージ位置信号を取り込み、
前記取り込まれた目標位置信号を前記ステージの目標位置Xtに換算し、
前記換算された目標位置Xtと、当該目標位置Xtの換算で使用された前記目標位置信号が取り込まれた時点において取り込まれた前記ステージ位置信号に対応するステージ位置Xsとの差から前記ステージの目標移動距離Dを算出し、
前記サンプリング間隔Ts、前記目標移動距離D、及び係数α(但し、α<1)を用いて、前記ステージの目標速度Vtを、Vt=α・D/Tsという式により算出し、
前記算出された目標速度Vtで前記ステージを移動させるように前記ステージの速度制御を行い、
という処理を繰り返し、
任意の時点において、前記ステージの位置に関するステージ位置信号を取り込み、当該ステージ位置信号に対応するステージ位置Xaと当該時点における前記目標位置Xtとを比較した結果、比較された前記ステージ位置Xa及び前記目標位置Xtと、所定の停止距離Δdとの間で、|Xt−Xa|<Δdという条件式が成立した場合、
又は、前記サンプリング間隔Ts毎に取り込まれた目標位置信号が所定数回連続して同じ位置に対応する信号であった場合に、
前記ステージを停止させるように前記ステージの速度制御を行い、前記ステージが停止した時点における当該ステージの位置に関するステージ位置信号を取り込み、当該時点における前記目標位置Xtを、前記停止した時点におけるステージ位置信号に対応するステージ位置として、当該目標位置Xtを更新する、
ことを特徴とするステージ制御方法。
【請求項8】
前記サンプリング間隔Tsは0.05秒以下である、
ことを特徴とする請求項6又は7記載のステージ制御方法。
【請求項9】
前記所定数回は2回である、
ことを特徴とする請求項6乃至8の何れか一項に記載のステージ制御方法。
【請求項10】
前記算出された目標速度Vtの値が所定の下限速度Vminの値以下の場合には、前記目標速度Vtの値を前記下限速度Vminの値として処理を行う、
ことを特徴とする請求項6乃至9の何れか一項に記載のステージ制御方法。
【請求項11】
コンピュータに以下の機能を実現させるためのステージ制御プログラムであって、
超音波モータを駆動源とするステージを手動操作に応じて移動させる際の移動量に関する移動量信号を所定のサンプリング間隔Ts毎に取り込む移動量信号取込機能と、
前記移動量信号取込機能による取り込みと同期して当該取り込み時点における前記ステージの位置に関するステージ位置信号を取り込むこと、及び、任意の時点における前記ステージの位置に関するステージ位置信号を取り込むこと、を行う位置信号取込機能と、
前記移動量信号取込機能により取り込まれた移動量信号を前記ステージの移動量に換算する移動量換算機能と、
前記移動量換算機能により換算された移動量を、当該移動量に対応する前記移動量信号が取り込まれた時点における目標位置Xtに積算して、当該目標位置Xtを更新する目標位置算出機能と、
前記目標位置算出機能により更新された目標位置Xtと、当該目標位置Xtの更新で使用された前記移動量に対応する前記移動量信号が取り込まれた時点において取り込まれた前記ステージ位置信号に対応するステージ位置Xsとの差から前記ステージの目標移動距離Dを算出する目標移動距離算出機能と、
前記サンプリング間隔Ts、前記目標移動距離D、及び係数α(但し、α<1)を用いて、前記ステージの目標速度Vtを、Vt=α・D/Tsという式により、算出する目標速度算出機能と、
前記目標速度算出機能により算出された目標速度Vtで前記ステージを移動させるように前記ステージの速度制御を行う速度制御機能と、
任意の時点において前記位置信号取込機能により取り込まれたステージ位置信号に対応するステージ位置Xaと、当該時点における前記目標位置Xtとを比較する位置比較機能と、
を備え、
前記位置比較機能による比較の結果、比較された前記ステージ位置Xa及び前記目標位置Xtと、所定の停止距離Δdとの間で、|Xt−Xa|<Δdという条件式が成立した場合、
又は、前記サンプリング間隔Ts毎に前記移動量信号取込機能により取り込まれた移動量信号が所定数回連続して0の移動量に対応する信号であった場合に、
前記速度制御機能は、前記ステージを停止させるように前記ステージの速度制御を行い、前記位置信号取込機能は、前記ステージが停止した時点におけるステージ位置信号を取り込み、前記目標位置算出機能は、当該時点における前記目標位置Xtを、前記停止した時点におけるステージ位置信号に対応するステージ位置として、当該目標位置Xtを更新する、
ことを特徴とするステージ制御プログラム。
【請求項12】
コンピュータに以下の機能を実現させるためのステージ制御プログラムであって、
超音波モータを駆動源とするステージを手動操作に応じて移動させる際の目標位置に関する目標位置信号を所定のサンプリング間隔Ts毎に取り込む目標位置信号取込機能と、
前記目標位置信号取込機能による取り込みと同期して当該取り込み時点における前記ステージの位置に関するステージ位置信号を取り込むこと、及び、任意の時点における前記ステージの位置に関するステージ位置信号を取り込むこと、を行う位置信号取込機能と、
前記目標位置信号取込機能により取り込まれた目標位置信号を前記ステージの目標位置Xtに換算する目標位置換算機能と、
前記目量位置換算機能により換算された目標位置Xtと、当該目標位置Xtの換算で使用された前記目標位置信号が取り込まれた時点において取り込まれた前記ステージ位置信号に対応するステージ位置Xsとの差から前記ステージの目標移動距離Dを算出する目標移動距離算出機能と、
前記サンプリング間隔Ts、前記目標移動距離D、及び係数α(但し、α<1)を用いて、前記ステージの目標速度Vtを、Vt=α・D/Tsという式により、算出する目標速度算出機能と、
前記目標速度算出機能により算出された目標速度Vtで前記ステージを移動させるように前記ステージの速度制御を行う速度制御機能と、
任意の時点において前記位置信号取込機能により取り込まれたステージ位置信号に対応するステージ位置Xaと、当該時点における前記目標位置Xtとを比較する位置比較機能と、
を備え、
前記位置比較機能による比較の結果、比較された前記ステージ位置Xa及び前記目標位置Xtと、所定の停止距離Δdとの間で、|Xt−Xa|<Δdという条件式が成立した場合、
又は、前記サンプリング間隔Ts毎に前記目標位置信号取込機能により取り込まれた目標位置信号が所定数回連続して同じ位置に対応する信号であった場合に、
前記速度制御機能は、前記ステージを停止させるように前記ステージの速度制御を行い、前記位置信号取込機能は、前記ステージが停止した時点におけるステージ位置信号を取り込み、更に、当該時点における前記目標位置Xtを、前記停止した時点におけるステージ位置信号に対応するステージ位置として、当該目標位置Xtを更新する、
ことを特徴とするステージ制御プログラム。
【請求項13】
前記所定のサンプリング間隔Tsは0.05秒以下である、
ことを特徴とする請求項11又は12記載のステージ制御プログラム。
【請求項14】
前記所定数回は2回である、
ことを特徴とする請求項11乃至13の何れか一項に記載のステージ制御プログラム。
【請求項15】
前記目標速度算出機能により算出された目標速度Vtの値が所定の下限速度Vminの値以下の場合、前記速度制御機能は、前記目標速度Vtの値を前記下限速度Vminの値として処理を行う、
ことを特徴とする請求項11乃至14の何れか一項に記載のステージ制御プログラム。
【請求項16】
ステージと、
前記ステージを移動させる超音波モータと、
前記ステージの位置を計測し、当該ステージの位置に関するステージ位置信号を出力する計測手段と、
前記ステージを手動操作に応じて移動させる際の移動量を受け付け、当該移動量に関する移動量信号を出力する受付手段と、
前記受付手段により出力された移動量信号を所定のサンプリング間隔Ts毎に取り込む移動量信号取込手段と、
前記移動量信号取込手段による取り込みと同期して当該取り込み時点における前記計測手段により出力されたステージ位置信号を取り込むこと、及び、任意の時点における前記計測手段により出力されたステージ位置信号を取り込むこと、を行う位置信号取込手段と、
前記移動量信号取込手段により取り込まれた移動量信号を前記ステージの移動量に換算する移動量換算手段と、
前記移動量換算手段により換算された移動量を、当該移動量に対応する前記移動量信号が取り込まれた時点における目標位置Xtに積算して、当該目標位置Xtを更新する目標位置算出手段と、
前記目標位置算出手段により更新された目標位置Xtと、当該目標位置Xtの更新で使用された前記移動量に対応する前記移動量信号が取り込まれた時点において取り込まれた前記ステージ位置信号に対応するステージ位置Xsとの差から前記ステージの目標移動距離Dを算出する目標移動距離算出手段と、
前記サンプリング間隔Ts、前記目標移動距離D、及び係数α(但し、α<1)を用いて、前記ステージの目標速度Vtを、Vt=α・D/Tsという式により、算出する目標速度算出手段と、
前記目標速度算出手段により算出された目標速度Vtで前記ステージを移動させるように前記ステージの速度制御を行う速度制御手段と、
任意の時点において前記位置信号取込手段により取り込まれたステージ位置信号に対応するステージ位置Xaと、当該時点における前記目標位置Xtとを比較する位置比較手段と、
を備え、
前記位置比較手段による比較の結果、比較された前記ステージ位置Xa及び前記目標位置Xtと、所定の停止距離Δdとの間で、|Xt−Xa|<Δdという条件式が成立した場合、
又は、前記サンプリング間隔Ts毎に前記移動量信号取込手段により取り込まれた移動量信号が所定数回連続して0の移動量に対応する信号であった場合に、
前記速度制御手段は、前記ステージを停止させるように前記ステージの速度制御を行い、前記位置信号取込手段は、前記ステージが停止した時点における前記計測手段により出力されたステージ位置信号を取り込み、前記目標位置算出手段は、当該時点における前記目標位置Xtを、前記停止した時点におけるステージ位置信号に対応するステージ位置として、当該目標位置Xtを更新する、
ことを特徴とするステージ制御システム。
【請求項17】
ステージと、
前記ステージを移動させる超音波モータと、
前記ステージの位置を計測し、当該ステージの位置に関するステージ位置信号を出力する計測手段と、
前記ステージを手動操作に応じて移動させる際の目標位置を受け付け、当該目標位置に関する目標位置信号を出力する受付手段と、
前記受付手段により出力された目標位置信号を所定のサンプリング間隔Ts毎に取り込む目標位置信号取込手段と、
前記目標位置信号取込手段による取り込みと同期して当該取り込み時点における前記計測手段により出力されたステージ位置信号を取り込むこと、及び、任意の時点における前記計測手段により出力されたステージ位置信号を取り込むこと、を行う位置信号取込手段と、
前記目標位置信号取込手段により取り込まれた目標位置信号を前記ステージの目標位置Xtに換算する目標位置換算手段と、
前記目量位置換算手段により換算された目標位置Xtと、当該目標位置Xtの換算で使用された前記目標位置信号が取り込まれた時点において取り込まれた前記ステージ位置信号に対応するステージ位置Xsとの差から前記ステージの目標移動距離Dを算出する目標移動距離算出手段と、
前記サンプリング間隔Ts、前記目標移動距離D、及び係数α(但し、α<1)を用いて、前記ステージの目標速度Vtを、Vt=α・D/Tsという式により、算出する目標速度算出手段と、
前記目標速度算出手段により算出された目標速度Vtで前記ステージを移動させるように前記ステージの速度制御を行う速度制御手段と、
任意の時点において前記位置信号取込手段により取り込まれたステージ位置信号に対応するステージ位置Xaと、当該時点における前記目標位置Xtとを比較する位置比較手段と、
を備え、
前記位置比較手段による比較の結果、比較された前記ステージ位置Xa及び前記目標位置Xtと、所定の停止距離Δdとの間で、|Xt−Xa|<Δdという条件式が成立した場合、
又は、前記サンプリング間隔Ts毎に前記目標位置信号取込手段により取り込まれた目標位置信号が所定数回連続して同じ位置に対応する信号であった場合に、
前記速度制御手段は、前記ステージを停止させるように前記ステージの速度制御を行い、前記位置信号取込手段は、前記ステージが停止した時点における前記計測手段により出力されたステージ位置信号を取り込み、更に、当該時点における前記目標位置Xtを、前記停止した時点におけるステージ位置信号に対応するステージ位置として、当該目標位置Xtを更新する、
ことを特徴とするステージ制御システム。
【請求項18】
前記所定のサンプリング間隔Tsは0.05秒以下である、
ことを特徴とする請求項16又は17記載のステージ制御システム。
【請求項19】
前記所定数回は2回である、
ことを特徴とする請求項16乃至18の何れか一項に記載のステージ制御システム。
【請求項20】
前記目標速度算出手段により算出された目標速度Vtの値が所定の下限速度Vminの値以下の場合、前記速度制御手段は、前記目標速度Vtの値を前記下限速度Vminの値として処理を行う、
ことを特徴とする請求項16至19何れか一項に記載のステージ制御システム。


【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−164310(P2011−164310A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25993(P2010−25993)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】