説明

ストッパー付き医療用ドレーンチューブ

【課題】 本発明は、体腔内より抜去するのは容易で、逆に体腔側への動きには抵抗性を示し、体腔内への落下を防止するストッパー付き医療用ドレーンチューブを提供する。
【解決手段】 医療用ドレーンチューブの人体壁にかかる可能性のある部分の外壁に同一円周上にならぶ複数個のストッパーをチューブの長軸に対してほぼ同一間隔でもうける。ストッパーは後端側に向かって流線型のかたちをしており、前端側はチューブ外壁と鈎状あるいはほぼ垂直なかたちをしている。ストッパーの前端側は体腔内への落下を防ぐ抵抗としてはたらき、チューブの落下を防ぐことができる。一方、後端側へはなだらかな勾配を形成しており、チューブを人体壁に通す際や手術後、チューブを抜去する際には抵抗がほとんどかからず容易に抜くことができる。つば状やらせん状のストッパーにおいても同様の原理でチューブの体腔内への落下を防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腹腔あるいは胸腔(以下、体腔と略す)内より抜去するのは容易で、逆に体腔側への動きには抵抗性を示し、体腔への落下を防止するストッパー付き医療用ドレーンチューブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の医療用ドレーンチューブ自体には、チューブが体腔内に落下するのを防ぐための工夫はなく、非接続型のドレーンチューブや接続型ドレーンチューブを短く切った場合には、安全ピンや糸でチューブを固定して体腔内への落下を防いだつもりでも、安全ピンや糸が取れたり、はずれると短時間のうちに何の抵抗もなく体腔内へ落ちるリスクが高い。また、患者が手術後に不穏状態になり、はさみなどでドレーンチューブを切った場合にも、同じようにチューブが落ちるリスクが高い。
体腔内に落ちたチューブは基本的には手術的にしか取り出すことができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこでこの発明は、前記のような従来の問題を解決し、体腔内へ落下するリスクのないストッパー付き医療用ドレーンチューブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的を達成するため、医療用ドレーンチューブの人体壁にかかる可能性のある部分の外壁に同一円周上にならぶ複数個のストッパーをチューブの長軸に対してほぼ同一間隔でもうける。
ストッパーは後端側に向かって流線型のかたちをしており、前端側はチューブ外壁と鈎状あるいはほぼ垂直なかたちをしている。この流線型の突起は同じ高さで流線型の突起を連続させたつば状の突起であってもよいし、あるいはつば状の突起をらせん状にした構造でもよい。
【発明の効果】
【0005】
本発明のストッパー付きドレーンチューブは、ストッパーの前端側がチューブに対して鈎状、あるいは垂直におわっている。そのため、安全ピンや糸がはずれたり、患者がドレーンチューブを切っても、ストッパーが皮膚面および人体壁で体腔側への落下を防ぐ抵抗の役割をし、ドレーンチューブの体腔側への落下を防ぐことができる。
一方、ストッパーは後端側へ流線型をしており、チューブを抜去する際には抵抗がほとんどかからず容易に抜くことができる。
【発明の実施の最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
イ 医療用ドレーンチューブ本体(1)の人体壁にかかる可能性のある部分の外壁に同一円周上にならぶストッパー(2)をチューブ長軸に対してほぼ同一間隔でもうける。
ロ このストッパーは後端側に対して流線型をしている。
ハ このストパーの前端側はチューブ外壁に対し鈎状(5)または垂直なかたち(6)をしている。
ニ ストッパーは突起を連続させたつば状(11)あるいはらせん状であってもよい。
本発明は以上の構成からなる。
本発明を使用するときは、まず、従来の方法と同じ方法で手術創の閉鎖の前にチューブを体腔側から人体壁を通して体腔外へ出す。その際、本チューブに存在するストッパーは後端側に向かって流線型をしているので、チューブが人体壁を通る際に問題となる抵抗は生じない。
チューブの先端は、体腔内の浸出液が最もたまりやすい部位に位置させるが、チューブが皮膚面、あるいは人体壁に位置する部位では、チューブのストッパーがチューブの体腔内への落下を防ぐ抵抗としての役割をはたし、ドレーンに止めてある安全ピンが取れたり、ドレーンを皮膚に固定している糸ゆるむ、あるいは患者が不穏になってドレーンをはさみで切ってしまっても体腔内へ落下するリスクがない。
手術後に必要性が無くなり、チューブを抜去する際にも、ストッパーが後端側に向かって流線型をしているので、抵抗がほとんどかからずチューブを容易に抜くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】 本発明の斜視図
【図2】 本発明の要部拡大のの正面図
【図3】 本発明の要部拡大のの正面図
【図4】 ドレーンチューブが人体壁に位置する際の断面図
【図5】 つば状のストッパーの斜視図
【符合の説明】
【0008】
(1)ドレーンチューブ本体 (2)落下を防止するためのストッパー (3)前端側 (4)後端側 (5)鈎状ストッパー (6)本体に垂直なストッパー (7)人体壁の皮膚 (8)人体壁の皮下脂肪 (9)人体壁の筋肉 (10)人体壁の腹膜 (11)つば状のストッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁の同じレベルの円周上にもうけた、後端側に対し流線型の複数個の突起がチューブの長軸に対してほぼ同一間隔で、チューブの人体壁にかかる可能性のある部分に並ぶ所定の長さの管状の医療用ドレーンチューブ。
【請求項2】
この流線型の突起の前端側が鈎(かぎ)状のかたちをしている請求項1の医療用ドレーンチューブ。
【請求項3】
この流線型の突起の前端側がチューブ外壁とほぼ垂直になるかたちをしている請求項1の医療用ドレーンチューブ
【請求項4】
請求項1と請求項2,請求項3の流線型の突起をそれぞれ同一円周上で連続させたつば状の突起を持つ所定の長さの医療用ドレーンチューブ。
【請求項5】
請求項4のつば状の突起をらせん状にした構造を持つ所定の長さの医療用ドレーンチューブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−312005(P2006−312005A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−172903(P2005−172903)
【出願日】平成17年5月4日(2005.5.4)
【出願人】(505221155)
【Fターム(参考)】