説明

ストッパ収納ケース

【課題】歯科用インプラント治療を行う際に顎骨に歯科用インプラントフィクスチャー埋入用孔を穿設するドリルに刃部の刃先側から挿入される筒状を成しドリルのシャンク部に突設されているフランジ部にバネ状係止部が係止されるドリル刃侵入深さを規定するストッパを並列状態に複数個収納するストッパ収納ケースを提供する。
【解決手段】
ストッパ収納ケースを、一端にストッパのバネ状係止部が挿通可能な大きさの開口部3が、他端にドリルの刃部が挿通可能な上面が開口しているドリル刃部挿入路4が形成されており、開口部3からドリル刃部挿入路4に至るそれぞれ長さが異なるストッパXを収納できるストッパ収納用凹部2内にそれぞれストッパの外周面に形成されている凹溝に係合する突起2aが設けられていると共にストッパ収納用凹部2の上面側の側部にはストッパの挿入と離脱とを妨げないストッパ保持用の突条部2bが突設されている構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科用インプラント治療を行う際に顎骨に所定深さの歯科用インプラントフィクスチャー埋入用孔を穿設するためのドリルに刃部の先端側から挿入される筒状を成しドリルのシャンク部に突設されているフランジ部にバネ状係止部が係止されるドリル刃侵入深さを規定するストッパを並列状態に複数個収納することができ、且つ歯科用ハンドピースに取り付けられているドリルへのストッパの着脱を容易に行うことができると共に、好ましくは使用後のストッパを収納状態のまま洗浄,消毒,オートクレーブ滅菌も可能なストッパ収納ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、歯科補綴治療の一つとして、欠如歯部の顎骨内に生体親和性に優れたチタン又はチタン合金製の歯科用インプラントフィクスチャーを埋入し骨との直接的な結合(オッセオインテグレーション)を介して天然歯根の代用とする歯科用インプラント治療が普及してきている。そして、この歯科用インプラント治療において用いられる歯科用インプラントフィクスチャーとしては、歯科用補綴物を固定するアバットメントと別体で構成されるものと、アバットメントと一体で構成されるものとがある。
【0003】
これらの歯科用インプラントフィクスチャーは顎骨内に所定の深さまで埋入されることが必要であり、そのためには顎骨に歯科用インプラントフィクスチャー埋入用孔を穿設するためのドリルに穿設深さを規定するためのストッパを取り付けることが従来から行われている。このスットパの取付はドリルの刃部の所定位置にネジ等で取り付ける方法が採用されていたが(例えば、特許文献1参照。)、その度に取付位置の調整を行わなければならないので煩雑であり、またそのネジの固定が確実に行われていないとストッパが移動してしまうという事故が発生するという問題があった。
【0004】
そこで本発明者らは歯科用インプラント治療を行う際に顎骨に所定深さの歯科用インプラントフィクスチャー埋入用孔を穿設するためのドリルのシャンク部にフランジ部を突設させておき、このフランジ部にドリル刃侵入深さを規定するストッパに設けたバネ状係止部が係止させれば、フランジ部はドリルのシャンク部に一体になっているのでネジによる取付のようにその取付位置が移動してしまうというような弊害が生じないので好ましいことを究明したのである。このようにフランジ部をドリルのシャンク部に一体に設けておいてドリルに刃部の先端側から挿入される筒状を成しドリルのシャンク部に突設されているフランジ部にバネ状係止部が係止されるドリル刃侵入深さを規定するストッパを複数個準備しておけば、ドリルのドリル刃侵入深さを簡単に規定することができるのであるが、ストッパのバネ状係止部はドリルのシャンク部に突設されているフランジ部に係止されたらドリルのシャンク部に突設されているフランジ部から簡単に離脱しないように係止されなければならないので、ストッパのバネ状係止部をドリルのシャンク部に突設されているフランジ部に係止させたりフランジ部から取り外したりするのに強い力が必要なのである。そしてこのストッパは小さいので保管時や洗浄,消毒,オートクレーブ滅菌時にバラバラになって紛失し易いという欠点もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2003−501135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は準備した複数個のストッパを並列状態に収納しておくことができると共に、歯科用ハンドピースに取り付けられているドリルへのストッパの着脱を容易に行うことができると共に、好ましくは使用後のストッパを収納状態のまま洗浄,消毒,オートクレーブ滅菌も可能なストッパ収納ケースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意研究の結果、歯科用インプラント治療を行う際に顎骨に歯科用インプラントフィクスチャー埋入用孔を穿設するドリルに刃部の先端側から挿入される筒状を成しドリルのシャンク部に突設されているフランジ部にバネ状係止部が係止されるドリル刃侵入深さを規定するストッパを並列状態に複数個収納するストッパ収納ケースを、
一端にストッパのバネ状係止部が挿通可能な大きさの開口部が、また他端にドリルの刃部が挿通可能な上面が開口しているドリル刃部挿入路が形成されており、該開口部からドリル刃部挿入路に至るそれぞれ長さが異なるストッパを収納できるストッパ収納用凹部内にそれぞれストッパの外周面に形成されている凹溝に係合する突起が設けられていると共に該ストッパ収納用凹部の上面側の側部にはストッパを該ストッパ収納用凹溝内に上面側から挿入する際と該ストッパ収納用凹溝内から上面側に離脱させる際に弾性によりストッパの挿入と離脱とを妨げないストッパ保持用の突条部が突設されている構成にすれば、ストッパを使用しないときにストッパがストッパ収納ケース内から脱落することがなく安定してストッパ収納ケース内にストッパを収納しておくことができると共にストッパの着脱をストッパ収納ケース内で行うことができるのでストッパを紛失することがなく、また所望のドリル刃侵入深さを規定するストッパを容易に見つけ出すことができることを究明して本発明を完成したのである。
【0008】
即ち本発明は、歯科用インプラント治療を行う際に顎骨に歯科用インプラントフィクスチャー埋入用孔を穿設するドリルに刃部の先端側から挿入される筒状を成しドリルのシャンク部に突設されているフランジ部にバネ状係止部が係止されるドリル刃侵入深さを規定するストッパを並列状態に複数個収納するストッパ収納ケースであって、
一端にストッパのバネ状係止部が挿通可能な大きさの開口部が、また他端にドリルの刃部が挿通可能な上面が開口しているドリル刃部挿入路が形成されており、該開口部からドリル刃部挿入路に至るそれぞれ長さが異なるストッパを収納できるストッパ収納用凹部内にそれぞれストッパの外周面に形成されている凹溝に係合する突起が設けられていると共に該ストッパ収納用凹部の上面側の側部にはストッパを該ストッパ収納用凹溝内に上面側から挿入する際と該ストッパ収納用凹溝内から上面側に離脱させる際に弾性によりストッパの挿入と離脱とを妨げないストッパ保持用の突条部が突設されていることを特徴とするストッパ収納ケースである。
【0009】
そしてこのような構成のストッパ収納ケースにおいて、ストッパ収納用凹部の開口部の端部がそれぞれ一直線上に位置するように設けられていると、ストッパ収納用凹部内に収納されたストッパの選定が容易になって好ましく、ストッパ収納用凹部の横断面形状が角溝である場合は突起がストッパ収納用凹部内の両側面に設けられていればよく、ストッパ収納用凹部の横断面形状が底面が半円状の溝である場合は突起がストッパ収納用凹部内の半円状の底面に設けられていればよく、ストッパ保持用の突条部がストッパ収納ケース本体を形成する素材に形成されている場合にはストッパ収納ケース本体を形成する素材がストッパをストッパ収納用凹溝内に上面側から挿入する際とストッパ収納用凹溝内から上面側に離脱させる際にストッパ収納用凹溝の上面側の開口面積を拡げることができる弾性を有する素材で構成されていればよく、ストッパ保持用の突条部がストッパ収納ケース本体を形成する素材の上面に接着固定されたエラストマーの如き弾性材料からなる場合にはストッパ収納ケース本体を形成する素材が略剛体とみなせるような素材で構成されていればよい。また、ストッパ収納ケースがドリル刃部挿入路の開口部と反対側の下面にストッパ収納ケースの安定性を高めるためにストッパ収納ケース本体と一体又は別体で延長部が設けられていると共にこの延長部に少なくとも各ストッパ収納用凹溝の延長に対応する部分が切欠されていると、ストッパ収納ケースのストッパ収納用凹部内に収納されているストッパのバネ状係止部に向けて歯科用ハンドピースに取り付けられているドリルを移動させてドリルの刃部をストッパに貫通されている貫通穴に挿入・貫通させてドリルの刃部の先端がドリル刃部挿入路に位置した状態でドリルのシャンク部に突設されているフランジ部をストッパのバネ状係止部内に押し込んで係止させた後、歯科用ハンドピースをストッパ収納ケースから離れる方向に引き上げてストッパをストッパ保持用の突条部の弾性に抗してストッパ収納用凹溝内から上面側に離脱させる際にドリル刃部挿入路から突出しているドリルの刃部の先端が延長部に接触することを防止でき、この延長部が設けられている場合には、歯科用ハンドピースに取り付けられているドリルのシャンク部に突設されているフランジ部がバネ状係止部内に押し込まれて係止されているストッパを収納ケース本体の上面側又は開口部側から挿入してストッパのドリルの刃先側の端面が当接する部位を有する測定用凹部がストッパ収納用凹溝に並んでストッパ収納ケース本体に設けられていて、延長部にストッパのドリル刃先側の端面からドリルの刃部の先端までの長さを示す目盛部が設けられていると使い勝手が良くて好ましい。また、ストッパ収納ケースを形成する素材がオートクレーブ滅菌時の熱に耐える素材で形成されていれば、使用後のストッパを収納状態のままオートクレーブ滅菌することができるばかりでなく、洗浄,消毒,オートクレーブ滅菌時にストッパがバラバラになって紛失してしまうこともないので好ましい。
【発明の効果】
【0010】
このような本発明に係るストッパ収納ケースは、歯科用インプラント治療を行う際に顎骨に歯科用インプラントフィクスチャー埋入用孔を穿設するドリルに刃部の先端側から挿入される筒状を成しドリルのシャンク部に突設されているフランジ部にバネ状係止部が係止されるドリル刃侵入深さを規定するストッパを並列状態に複数個収納するストッパ収納ケースであって、一端にストッパのバネ状係止部が挿通可能な大きさの開口部が、また他端にドリルの刃部が挿通可能な上面が開口しているドリル刃部挿入路が形成されており、該開口部からドリル刃部挿入路に至るそれぞれ長さが異なるストッパを収納できるストッパ収納用凹部内にそれぞれストッパの外周面に形成されている凹溝に係合する突起が設けられていると共に該ストッパ収納用凹部の上面側の側部にはストッパを該ストッパ収納用凹溝内に上面側から挿入する際と該ストッパ収納用凹溝内から上面側に離脱させる際に弾性によりストッパの挿入と離脱とを妨げないストッパ保持用の突条部が突設されている構成であるので、歯科用ハンドピースに取り付けられているドリルへストッパを装着するには、ストッパ収納用凹部内にバネ状係止部が開口部に位置しストッパ保持用の突条部によって上面側に離脱しないようにまた突起によって開口部から離脱しないように収納されているストッパに向けて開口部側から歯科用ハンドピースに取り付けられているドリルを移動させてドリルの刃部をストッパに貫通されている貫通穴に挿入・貫通させてドリルの刃部の先端をドリル刃部挿入路を通過させてドリルのシャンク部に突設されているフランジ部をストッパのバネ状係止部内に押し込んで係止させた後、ストッパ収納用凹部及びドリル刃部挿入路からストッパ保持用の突条部の弾性に抗して上方に引き出せばよいのである。また、歯科用ハンドピースに取り付けられているドリルからストッパを取り外すには、ドリルの刃部がドリル刃部挿入路内に、ストッパのバネ状係止部が開口部側にそれぞれ位置するようにストッパ収納用凹部内に上方から挿入し、歯科用ハンドピースを開口部から離れる方向に移動させれば、ストッパはストッパ収納用凹部内に形成されている突起にストッパの外周面に形成されている凹溝が係合して開口部側に移動できないので、ドリルのシャンク部に突設されているフランジ部がストッパのバネ状係止部内から抜け出しストッパのみがストッパ収納用凹部内に残って歯科用ハンドピースに取り付けられているドリルからストッパが取り外されるのである。
このようにストッパの着脱をストッパ収納ケース内で行うことができるのでストッパを紛失することがないと共に、ストッパ収納ケースのストッパ収納用凹部内に収納されたストッパはストッパ収納用凹部内に形成されている突起にストッパの外周面に形成されている凹溝が係合して開口部側に移動できないと共にストッパ収納用凹部の上面側の側部に突設されているストッパ保持用の突条部の弾性によって上面側に移動できないのでストッパ収納ケースのストッパ収納用凹部内に収納された状態に保持され、更に所望のドリル刃侵入深さを規定するストッパを容易に見つけ出すことができる状態に維持されるのである。
【0011】
そしてこのような構成のストッパ収納ケースにおいて、ストッパ収納用凹部の開口部の端部がそれぞれ一直線上に位置するように設けられていると、ストッパ収納用凹部内に収納されたストッパの選定が容易になって好ましく、ストッパ収納用凹部の横断面形状が角溝である場合は突起がストッパ収納用凹部内の両側面に設けられていればよく、ストッパ収納用凹部の横断面形状が底面が半円状の溝である場合は突起がストッパ収納用凹部内の半円状の底面に設けられていればよく、ストッパ保持用の突条部がストッパ収納ケース本体を形成する素材に形成されている場合にはストッパ収納ケース本体を形成する素材がストッパをストッパ収納用凹溝内に上面側から挿入する際とストッパ収納用凹溝内から上面側に離脱させる際にストッパ収納用凹溝の上面側の開口面積を拡げることができる弾性を有する素材で構成されていればよく、ストッパ保持用の突条部がストッパ収納ケース本体を形成する素材の上面に接着固定されたエラストマーの如き弾性材料からなる場合にはストッパ収納ケース本体を形成する素材は略剛体とみなせるような素材で構成されていればよい。また、ストッパ収納ケースがドリル刃部挿入路の開口部と反対側の下面にストッパ収納ケースの安定性を高めるためにストッパ収納ケース本体と一体又は別体で延長部が設けられていると共にこの延長部に少なくとも各ストッパ収納用凹溝の延長に対応する部分が切欠されている切欠部が設けられていると、ストッパ収納ケースのストッパ収納用凹部内に収納されているストッパのバネ状係止部に向けて歯科用ハンドピースに取り付けられているドリルを移動させてドリルの刃部をストッパに貫通されている貫通穴に挿入・貫通させてドリルの刃部の先端がドリル刃部挿入路に位置した状態でドリルのシャンク部に突設されているフランジ部をストッパのバネ状係止部内に押し込んで係止させた後、歯科用ハンドピースをストッパ収納ケースから離れる方向に引き上げてストッパをストッパ保持用の突条部の弾性に抗してストッパ収納用凹溝内から上面側に離脱させる際にドリル刃部挿入路から突出しているドリルの刃部の先端が延長部に接触することを防止でき、この延長部が設けられている場合には、歯科用ハンドピースに取り付けられているドリルのシャンク部に突設されているフランジ部がバネ状係止部内に押し込まれて係止されているストッパを収納ケース本体の上面側又は開口部側から挿入してストッパのドリルの刃先側の端面が当接する部位を有する測定用凹部がストッパ収納用凹溝に並んでストッパ収納ケース本体に設けられていて延長部にストッパのドリル刃先側の端面からドリルの刃部の先端までの長さを示す目盛部が設けられていると使い勝手が良くて好ましいのである。また、ストッパ収納ケースを形成する素材がオートクレーブ滅菌時の熱に耐える素材で形成されていれば、使用後のストッパを収納状態のままオートクレーブ滅菌することができるばかりでなく、オートクレーブ滅菌時にストッパがバラバラになって紛失してしまうこともないのである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るストッパ収納ケースの一実施例を示す斜視図である。
【図2】歯科用インプラント治療を行う際に顎骨に歯科用インプラントフィクスチャー埋入用孔を穿設するためのシャンク部にフランジ部が突設されているドリルの一例を示す斜視説明図である。
【図3】図2に示したドリルに刃部の刃部の先端側から挿入されてドリルのシャンク部に突設されているフランジ部にバネ状係止部が係止されるドリル刃侵入深さを規定するストッパの一例を示す斜視図である。
【図4】図3に示したストッパが装着された図2に示したドリルが歯科用ハンドピースに取り付けられている状態を示す斜視図である。
【図5】本発明に係るストッパ収納ケースの他の実施例を示す斜視図である。
【図6】図4に示したストッパが装着されたドリルが取り付けられた歯科用ハンドピースを図5に示した本発明に係るストッパ収納ケースの所定位置に位置せしめた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面中、Xは歯科用インプラント治療を行う際に顎骨に歯科用インプラントフィクスチャー埋入用孔を穿設する刃部Xaを備えたドリルであり、そのシャンク部Xbにフランジ部Xcが突設されている。
【0014】
YはドリルXに刃部Xaの先端側から挿入される貫通穴Yaを有する筒状を成しドリルXのシャンク部Xbに突設されているフランジ部Xcにバネ状係止部Ybが係止されるドリル刃侵入深さを規定するストッパであり、バネ状係止部YbはドリルXのフランジ部Xcに係止される際に一度拡がってからバネ作用により元の状態に戻ることが必要であるので、貫通穴Yaと平行に数本のスリットが設けられている。そしてバネ状係止部Ybに続く筒状部の外周には所定長さ毎に凹溝Ycが周設されている。
【0015】
1は本発明に係るストッパ収納ケースであり、一端にストッパYのバネ状係止部Ybが挿通可能な大きさの開口部3が、また他端にドリルXの刃部Xaが挿通可能な上面が開口しているドリル刃部挿入路4が形成されており、この開口部3からドリル刃部挿入路4に至るそれぞれ長さが異なるストッパYを収納できるストッパ収納用凹部2内にそれぞれストッパYの外周面に形成されている凹溝Ycに係合する突起2aが設けられていると共にこのストッパ収納用凹部2の上面側の側部にはストッパYをストッパ収納用凹溝2内に上面側から挿入する際とストッパ収納用凹溝2内から上面側に離脱させる際に弾性によりストッパYの挿入と離脱とを妨げないストッパ保持用の突条部2bが突設されている。
【0016】
上記構成において、ストッパ収納用凹部2の開口部3の端部がそれぞれ一直線上に位置するように設けられていると、ストッパ収納ケース1のストッパ収納用凹溝2に収納されているストッパYのバネ状係止部Ybの端部が一直線上に位置した状態になるのでストッパYの選定が容易になって好ましく、ストッパ収納用凹部2の横断面形状が角溝である場合は突起2aがストッパ収納用凹部2内の両側面に設けられていればよく、ストッパ収納用凹部2の横断面形状が底面が半円状の溝である場合は突起2aがストッパ収納用凹部2内の半円状の底面に設けられていればよく、ストッパ保持用の突条部2bがストッパ収納ケース本体を形成する素材で形成されている場合にはストッパ収納ケース本体を形成する素材がストッパYをストッパ収納用凹溝2内に上面側から挿入する際とストッパ収納用凹溝2内から上面側に離脱させる際にストッパ収納用凹溝2の上面側の開口面積を拡げることができる弾性を有する素材で構成されていればよく、ストッパ保持用の突条部2bがストッパ収納ケース本体を形成する素材の上面に接着固定されたエラストマーの如き弾性材料からなる場合にはストッパ収納ケース本体を形成する素材は略剛体とみなせるような素材で構成されていればよい。
【0017】
また、5は前記ストッパ収納ケース1のドリル刃部挿入路4の開口部3と反対側の下面にストッパ収納ケース1の安定性を高めるためにストッパ収納ケース本体と一体又は別体で設けられていることがある延長部であり、この延長部5には少なくとも各ストッパ収納用凹溝2の延長に対応する部分が切欠されている切欠部5aが設けられている。この切欠部5aが設けられていると、ストッパ収納ケース1のストッパ収納用凹部2内に収納されているストッパYのバネ状係止部Ybに向けて歯科用ハンドピースに取り付けられているドリルXを移動させてドリルXの刃部XaをストッパYに貫通されている貫通穴Yaに挿入・貫通させてドリルXの刃部Xaがドリル刃部挿入路4に位置した状態でドリルXのシャンク部Xbに突設されているフランジ部XcをストッパYのバネ状係止部Yb内に押し込んで係止させた後、歯科用ハンドピースをストッパ収納ケース1から離れる方向に引き上げて突設されているストッパ保持用の突条部2bの弾性に抗してストッパYをストッパ収納用凹溝2内から上面側に離脱させる際にドリル刃部挿入路4から突出しているドリルXの刃部Xaの先端が延長部5に接触することを防止でき、この延長部5が設けられている場合には、歯科用ハンドピースに取り付けられているドリルXのシャンク部Xbに突設されているフランジ部Xcがバネ状係止部Yb内に押し込まれて係止されているストッパYをストッパ収納ケース本体の上面側又は開口部側から挿入してストッパYのドリルの刃部Xa側端面が当接する部位を有する測定用凹部6がストッパ収納用凹溝2に並んでストッパ収納ケース本体に設けられていて延長部5にストッパYのドリルの刃部Xa側の端面からドリルYの刃部Xaの先端までの長さを示す目盛部5bが設けられていると使い勝手が良くて好ましい。そしてこの延長部5がストッパ収納ケース本体と別体をなしていて、ストッパ収納ケース本体に着脱自在であると、洗浄,消毒や保管のときに便利である。
【0018】
本発明に係るストッパ収納ケース1を用いて歯科用ハンドピースに取り付けられているドリルXへストッパYを装着するには、ストッパ収納用凹部2内にストッパ保持用の突条部2bによって上面側に離脱しないようにまた突起2aによって開口部3から離脱しないように収納されているストッパYに向けて開口部3側から歯科用ハンドピースに取り付けられているドリルXを移動させてドリルXの刃部XaをストッパYの貫通穴Yaに挿入・貫通させてドリルXの刃部Xaをドリル刃部挿入路4を通過させてドリルXのシャンク部Xbに突設されているフランジ部XcをストッパYのバネ状係止部Yb内に押し込んで係止させた後、ストッパ収納用凹部2及びドリル刃部挿入路4からストッパ保持用の突条部2bの弾性に抗して上方に引き出せばよいのである。
【0019】
また、本発明に係るストッパ収納ケース1を用いて歯科用ハンドピースに取り付けられているドリルXからストッパYを取り外すには、ドリルXの刃部Xaがドリル刃部挿入路4内に、ストッパYのバネ状係止部Ybが開口部3側に位置するようにストッパYをストッパ収納用凹部2内にそれぞれ位置するように上方から挿入し、歯科用ハンドピースを開口部3から離れる方向に移動させれば、ストッパYはストッパ収納用凹部2内に形成されている突起2aにストッパYの外周面に形成されている凹溝Ycが係合して開口部3側に移動できないので、ドリルXのシャンク部Xbに突設されているフランジ部XcがストッパYのバネ状係止部Yb内から抜け出しストッパYのみがストッパ収納用凹部2内に残って歯科用ハンドピースに取り付けられているドリルXからストッパYが取り外されるのである。
【0020】
そしてまたストッパ収納ケース1のドリル刃部挿入路4の開口部3と反対側の下面にストッパ収納ケース1の安定性を高めるために一体又は別体で延長部5が設けられており、ストッパ収納ケース本体にストッパ収納用凹溝2に並んで測定用凹部6が設けられていて延長部5にストッパYのドリルの刃部Xa側の端面からドリルYの刃部Xaの先端までの長さを示す目盛部5bが設けられていると、歯科用ハンドピースに取り付けられているドリルXのシャンク部Xbに突設されているフランジ部Xcがバネ状係止部Yb内に押し込まれて係止されているストッパYをストッパ収納ケース本体の上面側又は開口部側から挿入して測定用凹部6のストッパYのドリルの刃部Xa側端面が当接する部位に当接させると、ストッパYのドリルの刃部Xa側の端面からドリルYの刃部Xaの先端までの長さを目盛部5bによって容易に測定できるので使い勝手が良い。
【0021】
またストッパYを使用しないときは、本発明に係るストッパ収納ケース1の各ストッパ収納用凹部2内にバネ状係止部Ybが開口部3側に位置するようにストッパYを収納しておけば、ストッパYはストッパ収納用凹部2内に形成されている突起2aにストッパYの外周面に形成されている凹溝Ycが係合して開口部3側に移動できず、またストッパ収納用凹部2の上面側の側部に突設されているストッパ保持用の突条部2bによって容易にストッパ収納用凹溝2内から上面側に離脱できないので、安定してストッパ収納ケース1内にストッパYを収納しておくことができるのである。また、ストッパ収納ケース1を形成する素材がオートクレーブ滅菌時の熱に耐える素材で形成されていれば、使用後のストッパYを収納状態のままオートクレーブ滅菌することができるばかりでなく、オートクレーブ滅菌時にストッパYがバラバラになって紛失してしまうこともないので好ましいのである。
【符号の説明】
【0022】
X ドリル
Xa 刃部
Xb シャンク部
Xc フランジ部
Y ストッパ
Ya 貫通穴
Yb バネ状係止部
Yc 凹溝
1 本発明に係るストッパ収納ケース
2 ストッパ収納用凹部
2a 突起
2b ストッパ保持用の突条部
3 開口部
4 ドリル刃部挿入路
5 延長部
5a 切欠部
5b 突起
6 測定用凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科用インプラント治療を行う際に顎骨に歯科用インプラントフィクスチャー埋入用孔を穿設するドリル(X)に刃部(Xa)の刃先側から挿入される筒状を成しドリル(X)のシャンク部(Xb)に突設されているフランジ部(Xc)にバネ状係止部(Yb)が係止されるドリル刃侵入深さを規定するストッパ(Y)を並列状態に複数個収納するストッパ収納ケースであって、
一端にストッパ(Y)のバネ状係止部(Yb)が挿通可能な大きさの開口部(3)が、また他端にドリル(X)の刃部(Xa)が挿通可能な上面が開口しているドリル刃部挿入路(4)が形成されており、該開口部(3)からドリル刃部挿入路(4)に至るそれぞれ長さが異なるストッパ(X)を収納できるストッパ収納用凹部(2)内にそれぞれストッパ(Y)の外周面に形成されている凹溝(Yc)に係合する突起(2a)が設けられていると共に該ストッパ収納用凹部(2)の上面側の側部にはストッパ(Y)を該ストッパ収納用凹溝(2)内に上面側から挿入する際と該ストッパ収納用凹溝(2)内から上面側に離脱させる際に弾性によりストッパ(Y)の挿入と離脱とを妨げないストッパ保持用の突条部(2b)が突設されていることを特徴とするストッパ収納ケース(1)。
【請求項2】
ストッパ収納用凹部(2)の開口部(4)の端部がそれぞれ一直線上に位置するように設けられている請求項1に記載のストッパ収納ケース(1)。
【請求項3】
ストッパ収納用凹部(2)の横断面形状が角溝であり、突起(2a)が該ストッパ収納用凹部(2)内の両側面に設けられている請求項1又は2に記載のストッパ収納ケース(1)。
【請求項4】
ストッパ収納用凹部(2)の横断面形状が底面が半円状の溝であり、突起(2a)が該ストッパ収納用凹部(2)内の半円状の底面に設けられている請求項1又は2に記載のストッパ収納ケース(1)。
【請求項5】
ストッパ保持用の突条部(2b)がストッパ収納ケース本体を形成する素材で形成されており、ストッパ収納ケース本体を形成する素材がストッパ(Y)をストッパ収納用凹溝(2)内に上面側から挿入する際とストッパ収納用凹溝(2)内から上面側に離脱させる際にストッパ収納用凹溝(2)の上面側の開口面積を拡げることができる弾性を有する素材で構成されている請求項1から4までのいずれか1項に記載のストッパ収納ケース(1)。
【請求項6】
ストッパ保持用の突条部(2b)がストッパ収納ケース本体を形成する素材の上面に接着固定された弾性材料からなり、ストッパ収納ケース本体を形成する素材が略剛体とみなせるような素材で構成されている請求項1から4までのいずれか1項に記載のストッパ収納ケース(1)。
【請求項7】
ドリル刃部挿入路(4)の開口部(3)と反対側の下面にストッパ収納ケース本体と一体又は別体で延長部(5)が設けられていると共に該延長部(5)に少なくとも各ストッパ収納用凹溝(2)の延長に対応する部分が切欠されている切欠部(5a)が設けられている請求項1から6までのいずれか1項に記載のストッパ収納ケース(1)。
【請求項8】
ストッパ収納ケース本体にストッパ収納用凹溝(2)に並んで歯科用ハンドピースに取り付けられているドリル(X)のシャンク部(2)に突設されているフランジ部(Xc)がバネ状係止部(Yb)内に押し込まれて係止されているストッパ(Y)を収納ケース本体の上面側又は開口部側から挿入してストッパ(Y)のドリル刃先側の端面が当接する部位を有する測定用凹部(6)が設けられていて、延長部(5)にストッパ(Y)のドリル刃先側の端面からドリル(Y)の刃部(Xa)の先端までの長さを示す目盛部(5b)が設けられている請求項7に記載のストッパ収納ケース(1)。
【請求項9】
ストッパ収納ケースを形成する素材がオートクレーブ滅菌時の熱に耐える素材で形成されている請求項1から8までのいずれか1項に記載のストッパ収納ケース(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−65985(P2012−65985A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215254(P2010−215254)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000181217)株式会社ジーシー (279)
【Fターム(参考)】