説明

ストラップ緊張装置のストラップ収納安全装置

【課題】ストラップを段階的に収納する手段により、ストラップを収納する回転弾力を段階的にリリースし、操作員又は周りにいる作業員が負傷する危険性を減らすストラップ緊張装置のストラップ収納安全装置を提供する。
【解決手段】芯軸35によりベース40とハンドル50とが枢着される。芯軸35には、リール及びコイルばねが接続される。リールにより長ストラップ32が巻取られる。ベース40は、短ストラップ31と、リールに弾性接触されたストッパ部材42とを有する。ベース40の縁部には、リリースストラップ収納エリア46及び引っ張り操作エリア47が設けられる。ハンドル50は、ストッパ部材42を押し開くロブが周縁に設けられるとともに、中空部51と、ハンドル50に弾性枢着されて中空部51から一部が露出されたサプレッサ53とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結束技術に関し、特に、ストラップ緊張装置のストラップ収納安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のストラップ緊張装置(又はテンショナ)は、商品が流通する場所などで、商品を搬送する際に商品が落下して損壊することを防ぐために、トラックなどの搬送手段に積んだ荷物を結束するために用いられる。
【0003】
従来のストラップ緊張装置の構造は非常に簡素である。例えば、図1に示すように、ベース10とハンドル11との間にリール12が配置され、それぞれ軸13により枢着されている。ベース10には、短ストラップ15及びサプレッサ16を貫設させることができるようにロッド14が強固に取り付けられている。サプレッサ16は、リール12の円周部に設けられた各爪17と弾力接触されている。ベース10の縁部には、突出部18が突設され、この突出部18は、ハンドル11に枢着されたストッパ部材19に当接され、リール12の円周部に設けられた各爪17にストッパ部材19が接触することを防いでハンドル11をベース10に隣接した状態に維持し、制止部材23を押し開いてリール12の回転が制止部材23により止められることがないようにする。リール12に長ストラップ20を巻き付け、長ストラップ20に外力21を加えてベース10の外側へ引っ張り出すと、ベース10に対してリール12が矢印方向で回転され、各爪17によりサプレッサ16がそれぞれ押し開かれて「カチャ」と音が鳴り、コイルばね(図示せず)が蓄勢される。
【0004】
このようなストラップ緊張装置のストラップ収納装置は、自動モード及び手動モードの2種類から選択することができる。図2を参照する。図2に示すように、自動モードの場合、ハンドル11の中空部22を利用し、ストッパ部材19の端部に対して力を加えると、ストッパ部材19の端部がシーソーの原理で跳ね上がり、リール12の円周部の各爪17からサプレッサ16が外れる。これにより、リール12が回転自在の状態となり、コイルばねの弾力によりベース10に対して矢印方向に回転し、長ストラップ20を迅速に巻取ることができる。
【0005】
図3に示すように、手動モードの場合、ベース10の縁部に設けられた突出部18を超え、リール12の円周部の何れか1つの爪17にストッパ部材19を係合させる。ハンドル11をベース10に対して揺動させると、ベース10に対してリール12が矢印方向で回転し、1〜4個の爪17のピッチに等しい長さで長ストラップ20を徐々に巻取ることができる。その後、ハンドル11を突出部18近くに戻し、長ストラップ20の巻取りが全て完了するまで、両矢印方向で往復させる。
【0006】
ただし、このようなストラップ緊張装置の場合、ユーザは2種類の操作モードからしか選択することができず、選択肢が少なかった。特に、自動巻取モードにおいてコイルばねをリリースする際、長ストラップを迅速かつスムーズに巻取り、ストラップの始端部(又はフック)を慣性力により引き戻した場合、ストラップが跳ね上がって操作員又は周囲の作業員を負傷させる虞があった。
【0007】
そのため、自動的にストラップを巻取る際に操作員又は周りにいる作業員が負傷する危険性を下げることができるとともに、巻取りモードの選択肢を増やすことができるストラップ緊張装置のストラップ収納安全装置が求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ストラップを段階的に収納する方式により、ストラップを収納する回転弾力を段階的にリリースし、操作員又は周りにいる作業員が負傷する危険性を減らすストラップ緊張装置のストラップ収納安全装置を提供することを課題とする。
本発明は、ストラップ収納モードを増やすストラップ緊張装置のストラップ収納安全装置を提供することをもう一つの課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によれば、芯軸によりベースとハンドルとが枢着され、前記芯軸には、リール及びコイルばねが接続され、前記リールにより長ストラップが巻取られ、前記ベースは、短ストラップと、前記リールに弾性接触されたストッパ部材と、を有し、前記ベースの縁部には、リリースストラップ収納エリア及び引っ張り操作エリアが設けられ、前記ハンドルは、前記ストッパ部材を押し開くロブが周縁に設けられるとともに、中空部と、前記ハンドルに弾性枢着されて前記中空部から一部が露出されたサプレッサと、を有し、前記サプレッサが前記リリースストラップ収納エリア内に拘束されて巻取りローラにより前記長ストラップが巻取られることを防ぎ、前記長ストラップが引き出されると前記巻取りローラが回転され、前記コイルばねが蓄勢され、前記サプレッサが前記引っ張り操作エリア内に拘束され、前記ハンドルを手動で揺動させると前記長ストラップが前記リールに巻き取られ、前記ハンドルが前記リリースストラップ収納エリア内で揺動されると、前記サプレッサが前記巻取りローラに飛び跳ねて接触し、前記コイルばねの蓄勢により前記巻取りローラが回転され、回転運動エネルギが前記サプレッサにより相殺されて回転が止まるまで、前記長ストラップの一部を自動的に巻取り、前記ハンドルの前記中空部を介して前記サプレッサを押下して前記巻取りローラの抵抗力を解除し、前記巻取りローラの残りの蓄勢をリリースし、前記巻取りローラにより残りの前記長ストラップを巻取ることを特徴とするストラップ緊張装置のストラップ収納安全装置が提供される。
【0010】
前記サプレッサの前記巻取りローラに対向した箇所には、凸部が突設されていることが好ましい。
【0011】
前記ハンドルの前記ロブには、ストッパ部が突設され、前記ストッパ部は、前記ハンドルの動きに対応して前記リリースストラップ収納エリア内で揺動し、前記巻取りローラと弾性接触された前記ストッパ部材に当接されることが好ましい。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の第2の形態によれば、芯軸によりベースとハンドルとが枢着され、前記芯軸には、リール及びコイルばねが接続され、巻取りローラは、2つの爪車及び巻軸を有し、前記巻軸は、前記爪車の間に接続され、前記巻軸内には、前記芯軸に取り付けられた長ストラップが配置され、前記長ストラップの残りの部分は、前記巻軸の外側に巻き付けられ、前記ベースの両側には、折り曲げられた立片がそれぞれ配置され、前記立片それぞれの縁部には、突出部及び終止部が設けられ、前記突出部は、一方の端部にリリースストラップ収納エリアが設けられ、他方の端部から終止部にかけて、前記ハンドルの揺動幅を拘束する引っ張り操作エリアが凹設され、前記立片の間には、往復運動することが可能なストッパ部材及びロッドが配置され、前記ロッドに短ストラップが外嵌され、前記ハンドルには、中空部が設けられ、前記ハンドルの両側には、折り曲げられて前記立片に対して平行にカムがそれぞれ設けられ、前記カムそれぞれの周縁には、前記ハンドルの動きに対応して揺動し、前記ストッパ部材を押し開くロブが設けられるとともに、前記カムの間に、サプレッサが枢着され、前記サプレッサは、一方の端部が前記ハンドルの前記中空部から露出され、他方の端部が前記引っ張り操作エリア内に拘束され、前記ハンドルを揺動させて前記巻取りローラを駆動し、手動で前記長ストラップを巻取り、前記リリースストラップ収納エリア内に拘束されると、前記巻取りローラが前記長ストラップを巻き取ることを止め、前記長ストラップが引っ張り出されると前記コイルばねが蓄勢され、前記ハンドルが前記リリースストラップ収納エリア内で揺動されると、前記サプレッサが飛び跳ねて前記爪車に接触し、前記コイルばねの蓄勢により前記巻取りローラを回転させ、回転運動エネルギが前記サプレッサにより相殺されて回転が止まるまで、前記長ストラップの一部が自動的に巻き取られ、前記ハンドルの前記中空部を介して前記サプレッサを押下して前記爪車の抵抗力を解除すると、前記コイルばねの残りの蓄勢がリリースされ、前記巻軸により残りの前記長ストラップが巻取られることを特徴とするストラップ緊張装置のストラップ収納安全装置が提供される。
【0013】
前記サプレッサの前記爪車に対向した箇所には、凸部がそれぞれ突設されていることが好ましい。
【0014】
前記カムの前記ロブには、ストッパ部がそれぞれ突設され、前記ストッパ部は、互いに離れて対向し、前記ハンドルに対応して前記リリースストラップ収納エリア内で揺動し、前記巻取りローラと弾性接触された前記ストッパ部材に当接されることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のストラップ緊張装置のストラップ収納安全装置は、ストラップを段階的に収納する方式により、ストラップを収納する回転弾力を段階的にリリースし、操作員又は周りにいる作業員が負傷する危険性を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来のストラップ緊張装置が自動モード又は手動モードによりストラップを収納するときの状態を示す断面図である。
【図2】従来のストラップ緊張装置が自動モード又は手動モードによりストラップを収納するときの状態を示す断面図である。
【図3】従来のストラップ緊張装置が自動モード又は手動モードによりストラップを収納するときの状態を示す断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態によるストラップ緊張装置を示す斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態によるストラップ緊張装置から長ストラップを引き出すときの状態を示す断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態によるストラップ緊張装置がストラップを複数回収納し、サプレッサが爪車により押し開かれるときの連続動作を示す断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態によるストラップ緊張装置がストラップを複数回収納し、サプレッサが爪車により押し開かれるときの連続動作を示す断面図である。
【図8】本発明の第1実施形態によるストラップ緊張装置がストラップを複数回収納し、サプレッサが爪車により押し開かれるときの連続動作を示す断面図である。
【図9】本発明の第1実施形態によるストラップ緊張装置がストラップを複数回収納し、サプレッサが爪車により押し開かれるときの連続動作を示す断面図である。
【図10】本発明の第1実施形態によるストラップ緊張装置により残りの長ストラップを自動的に巻き取るときの状態を示す断面図である。
【図11】本発明の第1実施形態によるストラップ緊張装置により手動でストラップを巻き取るときの状態を示す断面図である。
【図12】本発明の第1実施形態によるストラップ緊張装置により手動でストラップを巻き取るときの状態を示す断面図である。
【図13】本発明の第2実施形態によるストラップ緊張装置のサプレッサ及び爪車を示す断面図である。
【図14】本発明の第2実施形態によるストラップ緊張装置のサプレッサ及び爪車を示す断面図である。
【図15】本発明の第2実施形態によるストラップ緊張装置のサプレッサ及び爪車を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のストラップ緊張装置のストラップ収納安全装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
(第1実施形態)
図4及び図5を参照する。図4及び図5に示すように、本発明の第1実施形態によるストラップ緊張装置のストラップ収納安全装置のストラップ緊張装置30は、互いに枢着されたベース40、ハンドル50、巻取りローラ60を含み、短ストラップ31及び長ストラップ32の直線長さを調整するために用いる。これら短ストラップ31及び長ストラップ32の外側に位置する端部に接続されたフック33を、トラックなどの運搬手段又は固定された物体上に掛着し、ハンドル50により2つのフック33間の距離を縮め、貨物を結束して商品が損壊することを防ぐ。
【0019】
ベース40の両側には、折り曲げられた立片41がそれぞれ配置され、2つの立片41間に弾力性を有するストッパ部材42及びロッド43が配置され、そのうちの1つの立片41の外側にストラップ収納装置が堅固に取り付けられている。各立片41の縁部には、突出部44及び終止部45が突設されている。突出部44は、一方の端部にリリースストラップ収納エリア46が凹設され、他方の端部から終止部45にかけて引っ張り操作エリア47が凹設されている。ストッパ部材42の両側部は、立片41の矩形孔48中にそれぞれ貫設され、弾力により孔壁に沿って往復運動を行う。ロッド43は、立片41の端部に密着され、ロッド43に短ストラップ31が取り付けられている。
【0020】
前述のストラップ収納装置には、コイルばね36が設置された殻体34が取り付けられている。コイルばね36は、一方の端部が、殻体34の内壁に固定されて移動できないようにされ、他方の端部が芯軸35に接続されている。芯軸35及び巻取りローラ60は、同期で作動するため、コイルばね36を利用することにより、巻取りローラ60は長ストラップ32を自動的に回収することができる。
【0021】
ハンドル50の中央部分には、中空部51が設けられ、ハンドル50の両側にはカム52が設けられている。各カム52は、立片41の内面に対して平行に配置され、巻取りローラ60が芯軸35により枢着されている。2つのカム52の間には、サプレッサ53が枢着され、各カム52の周縁には、ロブ54が設けられている。このロブ54は、芯軸35までの距離がそれぞれ異なり、ストッパ部55が突設されている。サプレッサ53は、略T字状プレートであり、長手セクション57がハンドル50の中空部51下方に位置して中空部51から露出され、短手セクション56が2つの立片41のリリースストラップ収納エリア46に掛け渡され、この短手セクション56には、巻取りローラ60に対向した箇所に2つの凸部58が突設されている。
【0022】
巻取りローラ60の巻軸61の両端部には、爪車62が接続されている。巻軸61は、芯軸35に外嵌され、長ストラップ32の一部を取り付けるために用いる。爪車62の中央部には、孔部63が設けられ、芯軸35に孔壁が外嵌され、芯軸35の周りを回る巻取りローラ60を孔壁により支持する。爪車62の周縁には、ラジアルエッジ65及び曲面66をそれぞれ有する複数の爪64が環設されている。
【0023】
前述の芯軸35は、長ストラップ32の端部に貫設され、コイルばね36に接続されている。芯軸35を円心としてハンドル50をロッド43に向けて倒す。
【0024】
サプレッサ53が突出部44により拘束されているため、掛け渡されたリリースストラップ収納エリア46の所定範囲内で往復運動が可能となるため、ハンドル50は、カム52のロブ54によりストッパ部材42を押し動かして矩形孔48に沿って案内し、ストッパ部55がストッパ部材42に当接されるまで、後方に押し開かれる。サプレッサ53は、短手セクション56がリリースストラップ収納エリア46の上面に掛け渡され、突出部44から外れると、凸部58により爪車62の力を受け止め、巻取りローラ60をコイルばね36とともに静止状態に維持する。このとき、長ストラップ32が力を受けて矢印に沿って所定長さが引き出され、巻取りローラ60が同期で回転され、コイルばね36が蓄勢される。
【0025】
長ストラップ32を段階的に引っ張り出し、巻取りローラ60により一定角度回転させる。特に、長ストラップ32を引っ張り出す長さが長いほど、コイルばね36の蓄勢が大きくなる。しかし、サプレッサ53の凸部58は、互いに隣接した爪64間に位置し、そのうちの1つの爪64の曲面66に当接されるため、互いに隣接した爪64のラジアルエッジ65が所定距離dで保持される。この所定距離dは、互いに隣接した2つの爪64の間隔(以下、「ピッチ」という)より小さい。即ち、長ストラップ32を全部引き出してコイルばね36の蓄勢が最大となっても凸部58を押し開くことができない。そのため、巻取りローラ60を回転させる運動エネルギを得ることができず、長ストラップ32が緩んで、巻取りローラ60の回転が停止する。
【0026】
図6を参照する。短手セクション56がリリースストラップ収納エリア46からリリースされて突出部44に当接されるまで、ハンドル50をベース40に向かって倒して段差が形成されると、サプレッサ53が1つ又は2つ以上のピッチで変位し、互いに隣接した2つの爪64間に位置する凸部58を同期で移動させることができる。この際、爪車62がコイルばねの蓄勢作用により、爪64の曲面66を凸部58に密着しながら所定位置まで変位し、隙間(又は僅かな距離)が生じずにサプレッサ53が押し開かれることがない。さらに、ハンドル50を倒すとストッパ部55がストッパ部材42から離れ、カム52のロブ54がストッパ部材42を止めずに、ストッパ部材42が、弾力により爪車62の周囲に設けられた爪64に接触され、爪64のラジアルエッジ65に引っかかり、巻取りローラ60が長ストラップ32により回転することを防ぐことができる。言い換えると、巻取りローラ60がストッパ部材42及び凸部58により止められると、静止状態を保つことができる。
【0027】
連続動作を分かり易く説明するために、以下、A爪、B爪、C爪…と記して説明する。
【0028】
図7に示すように、巻取りローラ60は、C爪の曲面66により凸部58に接触され、サプレッサ53を所定位置に移動させて静止させる。
【0029】
図8を参照する。図8に示すように、ハンドル50が力を受けてベース方向に倒されると、C爪の曲面66に沿って凸部58が移動し、ラジアルエッジ65が交差する歯先部まで凸部58が摺動し、サプレッサ53が矢印方向に起き上がる。凸部58が曲面66と接触して摩擦が生じるにも係わらず、巻取りローラ60(又は爪車62)は図面に示すように逆時計回りで回転させることができず、曲面66の弧面に沿って押し開かれるだけである。
【0030】
続いて、図9を参照する。図9に示すように、ハンドル50の変位が増大し続けると、凸部58がC爪から離れ、爪車62に対するサプレッサ53の当接作用が失われる上、ストッパ部材42が図5に示すように爪64に接触されなくなり、巻取りローラ60がロックされていない状態となり、コイルばねが巻取りローラ60に迅速に反応して爪車62を夾角θで回転させ、B爪が凸部58に当接され、サプレッサ53を矢印方向で押し開く。これにより、サプレッサ53が蓄勢により復位し、同じ角度まで回転されたA爪が押し開かれてこのサイクルが繰り返される。爪車62が複数回回転されることにより、周囲に設けられた爪64によりサプレッサ53が連続的に押し開かれ、ストラップの一部が巻き取られる。サプレッサ53が飛び跳ねて巻取りローラ60に接触すると、回転運動エネルギが徐々に相殺されてバランスがとれた状態となり、凸部58が互いに隣接した爪64間に位置し、巻取りローラ60の回転を止めてストラップの巻取り動作を停止する。
【0031】
長ストラップが引き出される長さが長いほど、コイルばねの蓄勢は大きくなり、巻取りローラ60の回転数が多くなり、自動的に巻き取られる長ストラップが自然と長くなる。反対に、長ストラップを引き出す長さが長くない場合、巻取りローラ60の回転速度が遅くなる。この場合、以下のステップにより、ストラップの残りを巻き取ってもよい。
【0032】
図10を参照する。図10に示すように、ハンドル50の中空部51を利用し、サプレッサ53の長手セクション57を押下すると、短手セクション56が上に跳ね上がり、爪64の曲面66に対応して爪車62から凸部58が離れ、コイルばねの残りの蓄勢により残りの長ストラップ32を矢印方向で巻き取る。これにより、フック33が慣性により跳ね上がることがなくなり、操作員又は周囲の作業員達の安全を確保することができる。
【0033】
続いて、図11及び図12を参照する。図11及び図12に示すように、手動モードによりハンドル50を倒してストラップを巻取る場合、サプレッサ53が短手セクション56により突出部44を超えて引っ張り操作エリア47に掛け渡すように配置され、ハンドル50が突出部44と終止部45との間だけで揺動することができるようにする。短手セクション56は、ラジアルエッジ65に当接され、巻取りローラ60を1つ又は2つ以上の爪64の幅で回転させ、引っ張り出された長ストラップ32をゆっくりと巻き取って収納する。
【0034】
(第2実施形態)
図13〜図15を参照する。図13〜図15に示すように、本発明の第2実施形態によるストラップ緊張装置のストラップ収納安全装置は、サプレッサ53の短手セクション56に、凸部が設けられていない点が第1実施形態と異なる。
【0035】
実際に使用する際は、短手セクション56によりC爪の曲面66を抑え付け、巻取りローラ60を静止状態に維持する。ハンドル50が力を受けて倒されると、短手セクション56がC爪の曲面66に沿って歯先部まで摺動し、矢印方向でサプレッサ53を押し開く。ハンドル50を押下し続けると、短手セクション56がC爪から外れて巻取りローラ60が高速で回転し、爪車62に周設した各爪64が短手セクション56に連続して当たり、巻取りローラ60の回転運動エネルギが短手セクション56により次第に相殺され、巻取りローラ60による長ストラップの巻取りが停止されるまで、長ストラップの一部が巻取られ続ける。
【0036】
上述したことから分かるように、本発明のストラップ緊張装置は、以下(1)〜(3)のストラップ収納方式を含む。
【0037】
(手動方式)
(1)揺動ストラップ収納:サプレッサを利用してハンドルの揺動範囲を引っ張り操作エリア内に拘束し、巻取りローラを所定範囲内で回転させ、引っ張り出された長ストラップをゆっくりと巻取る。
【0038】
(自動方式)
(2)単数回によるストラップ収納:サプレッサを利用してベースに向かって倒すハンドルの可動範囲をリリースストラップ収納エリア内に限定し、ハンドルの中空部を利用してサプレッサを押下して巻取りローラの抵抗力を解除すると、コイルばねの全ての蓄勢が1度にリリースされ、巻取りローラにより長ストラップを全て巻取る。
【0039】
(3)複数回によるストラップ収納:サプレッサを利用してハンドルを揺動させる範囲をリリースストラップ収納エリア内に限定し、サプレッサが巻取りローラに飛び跳ねて接触し、回転運動エネルギがサプレッサにより相殺されて回転が止まるまで、長ストラップの一部を巻取って1回目のストラップ自動収納のステップを行う。ハンドルの中空部を利用してサプレッサを押下して巻取りローラの抵抗力を解除すると、コイルばねの残りの蓄勢がリリースされ、巻取りローラにより残りの長ストラップを巻き取る2回目のストラップ自動収納のステップを行う。
【0040】
上述した3種類のストラップ収納モードのなかでは、ストラップを迅速かつ安全に収納できる機能を有する上、操作員又は周囲の作業員達の安全を確保することができるため、(3)の方式が一番好ましい。
【0041】
当該分野の技術を熟知するものが理解できるように、本発明の好適な実施形態を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではない。本発明の主旨と領域を逸脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の特許請求の範囲は、このような変更や修正を含めて広く解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0042】
10 ベース
11 ハンドル
12 リール
13 軸
14 ロッド
15 短ストラップ
16 サプレッサ
17 爪
18 突出部
19 ストッパ部材
20 長ストラップ
21 外力
22 中空部
23 制止部材
30 ストラップ緊張装置
31 短ストラップ
32 長ストラップ
33 フック
34 殻体
35 芯軸
36 コイルばね
40 ベース
41 立片
42 ストッパ部材
43 ロッド
44 突出部
45 終止部
46 リリースストラップ収納エリア
47 引っ張り操作エリア
48 矩形孔
50 ハンドル
51 中空部
52 カム
53 サプレッサ
54 ロブ
55 ストッパ部
56 短手セクション
57 長手セクション
58 凸部
60 巻取りローラ
61 巻軸
62 爪車
63 孔部
64 爪
65 ラジアルエッジ
66 曲面
d 距離
S 段差
θ 夾角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯軸によりベースとハンドルとが枢着され、前記芯軸には、リール及びコイルばねが接続され、前記リールにより長ストラップが巻取られ、前記ベースは、短ストラップと、前記リールに弾性接触されたストッパ部材と、を有し、前記ベースの縁部には、リリースストラップ収納エリア及び引っ張り操作エリアが設けられ、前記ハンドルは、前記ストッパ部材を押し開くロブが周縁に設けられるとともに、中空部と、前記ハンドルに弾性枢着されて前記中空部から一部が露出されたサプレッサと、を有し、前記サプレッサが前記リリースストラップ収納エリア内に拘束されて巻取りローラにより前記長ストラップが巻取られることを防ぎ、前記長ストラップが引き出されると前記巻取りローラが回転され、前記コイルばねが蓄勢され、前記サプレッサが前記引っ張り操作エリア内に拘束され、前記ハンドルを手動で揺動させると前記長ストラップが前記リールに巻き取られ、
前記ハンドルが前記リリースストラップ収納エリア内で揺動されると、前記サプレッサが前記巻取りローラに飛び跳ねて接触し、前記コイルばねの蓄勢により前記巻取りローラが回転され、回転運動エネルギが前記サプレッサにより相殺されて回転が止まるまで、前記長ストラップの一部を自動的に巻取り、前記ハンドルの前記中空部を介して前記サプレッサを押下して前記巻取りローラの抵抗力を解除し、前記巻取りローラの残りの蓄勢をリリースし、前記巻取りローラにより残りの前記長ストラップを巻取ることを特徴とするストラップ緊張装置のストラップ収納安全装置。
【請求項2】
前記サプレッサの前記巻取りローラに対向した箇所には、凸部が突設されていることを特徴とする請求項1に記載のストラップ緊張装置のストラップ収納安全装置。
【請求項3】
前記ハンドルの前記ロブには、ストッパ部が突設され、
前記ストッパ部は、前記ハンドルの動きに対応して前記リリースストラップ収納エリア内で揺動し、前記巻取りローラと弾性接触された前記ストッパ部材に当接されることを特徴とする請求項2に記載のストラップ緊張装置のストラップ収納安全装置。
【請求項4】
芯軸によりベースとハンドルとが枢着され、前記芯軸には、リール及びコイルばねが接続され、巻取りローラは、2つの爪車及び巻軸を有し、前記巻軸は、前記爪車の間に接続され、前記巻軸内には、前記芯軸に取り付けられた長ストラップが配置され、前記長ストラップの残りの部分は、前記巻軸の外側に巻き付けられ、前記ベースの両側には、折り曲げられた立片がそれぞれ配置され、前記立片それぞれの縁部には、突出部及び終止部が設けられ、前記突出部は、一方の端部にリリースストラップ収納エリアが設けられ、他方の端部から終止部にかけて、前記ハンドルの揺動幅を拘束する引っ張り操作エリアが凹設され、前記立片の間には、往復運動することが可能なストッパ部材及びロッドが配置され、前記ロッドに短ストラップが外嵌され、前記ハンドルには、中空部が設けられ、前記ハンドルの両側には、折り曲げられて前記立片に対して平行にカムがそれぞれ設けられ、前記カムそれぞれの周縁には、前記ハンドルの動きに対応して揺動し、前記ストッパ部材を押し開くロブが設けられるとともに、前記カムの間に、サプレッサが枢着され、前記サプレッサは、一方の端部が前記ハンドルの前記中空部から露出され、他方の端部が前記引っ張り操作エリア内に拘束され、前記ハンドルを揺動させて前記巻取りローラを駆動し、手動で前記長ストラップを巻取り、前記リリースストラップ収納エリア内に拘束されると、前記巻取りローラが前記長ストラップを巻き取ることを止め、前記長ストラップが引っ張り出されると前記コイルばねが蓄勢され、
前記ハンドルが前記リリースストラップ収納エリア内で揺動されると、前記サプレッサが飛び跳ねて前記爪車に接触し、前記コイルばねの蓄勢により前記巻取りローラを回転させ、回転運動エネルギが前記サプレッサにより相殺されて回転が止まるまで、前記長ストラップの一部が自動的に巻き取られ、前記ハンドルの前記中空部を介して前記サプレッサを押下して前記爪車の抵抗力を解除すると、前記コイルばねの残りの蓄勢がリリースされ、前記巻軸により残りの前記長ストラップが巻取られることを特徴とするストラップ緊張装置のストラップ収納安全装置。
【請求項5】
前記サプレッサの前記爪車に対向した箇所には、凸部がそれぞれ突設されていることを特徴とする請求項4に記載のストラップ緊張装置のストラップ収納安全装置。
【請求項6】
前記カムの前記ロブには、ストッパ部がそれぞれ突設され、
前記ストッパ部は、互いに離れて対向し、前記ハンドルに対応して前記リリースストラップ収納エリア内で揺動し、前記巻取りローラと弾性接触された前記ストッパ部材に当接されることを特徴とする請求項5に記載のストラップ緊張装置のストラップ収納安全装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−39952(P2013−39952A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178986(P2011−178986)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(510310473)
【Fターム(参考)】