説明

ストレス起因性肺出血を治療するための放線菌目細菌の全細胞の使用

ストレス起因性肺出血(SIPH)、好ましくは運動起因性肺出血(EIPH)の治療または予防のための医薬の製造における放線菌目の好気性生物の属に属する細菌の全細胞の使用、および放線菌目の好気性生物の属に属する細菌の全細胞を含む有効量の組成物を被験体に投与することにより被験体においてSIPH、好ましくはEIPHを治療または予防する方法。好ましくは、好気性生物は、たとえば、次の属:ツカムレラ(Tsukamurella)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、ゴルドニア(Gordonia)属、ノカルディア(Nocardia)属、ディエツィア(Dietzia)属、およびマイコバクテリウム(Mycobacterium)属のうちの1つ以上に属する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレス起因性肺出血の治療および/または予防に有効な組成物および/または医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ストレス起因性肺出血(SIPH)とは、動物がストレスを受けたときに肺内の血管から出血を生じる病状のことである。本明細書中で使用される「SIPH」という用語は、肺内への体液の取込み(湿性肺としても知られる)を引き起こす肺毛細血管のストレス障害により生じる病状であるHAPE(高地肺浮腫)病状を包含しうる。そのほかに、本明細書中で使用される「SIPH」という用語は、激しい運動時に肺内の血管から出血を生じる病状である運動起因性肺出血(EIPH)をも包含しうる。
【0003】
HAPEは、典型的には標高3000m超まで上昇した2〜4日後に生じる致死の可能性のある病状である。通常の上昇速度では、発生率は、約1%〜2%であるが、4500mまで急速に上昇した人々の10%程度は、この病状を呈する可能性がある。HAPEに先行して急性の山酔いを生じる可能性があるが、必ずしもこうなるとはかぎらない。主症状は、運動耐容能の低下を伴う呼吸困難である。多くの場合、最初に乾性咳が起こるが、これは、進行して泡状血痰を生じる咳になる可能性がある。診察では、頻呼吸および頻脈が多く見受けられる。
【0004】
EIPHは、哺乳動物、特にレースを行う哺乳動物、たとえば、ウマ、グレーハウンド、ラクダ、およびヒトで発症することが知られる。EIPHは、激しい運動の後、哺乳動物、特にレースを行う哺乳動物で発症することが知られる。
【0005】
EIPHは、サラブレッド種のウマで最も広く報告され、能力の低下を引き起こすと考えられるが、スタンダードブレッド種のレース用(斜対速歩または側対速歩)、ポロ用、障害飛越用、クロスカントリー用、およびバレルレース用のウマでも確認されている。EIPHは、競争馬の85%までが罹患すると考えられる一般的な病状である。
【0006】
EIPHの症状は、ファイバースコープ検査により得られる気管支肺胞液中の赤血球を観測することにより検出されるわずかな出血から、レースの終了時に鼻孔周辺の粘液の泡内に現れる血液まで、さまざまである。最も重篤な症例ではEIPHは鼻孔からの出血(鼻出血)として現れるが、多くのウマは、いかなる徴候をも示さない。内視鏡検査を用いることにより、サラブレッド種のウマの40〜75%がレース後に気管内に血液を有することが示されている。気管洗浄によりおよび気管支肺胞洗浄(BAL)により診断を行うことも可能である。
【0007】
多くの場合、SIPH、特にEIPHは、年齢および運動の増加と共に悪化する。EIPHは、能力の低下、トレーニング日数の減少、投薬の費用、およびレース出場の禁止の原因になるので、レース業界に経済的損失を招く。
【0008】
SIPHはまた、魚のような他の生物でも確認されている。たとえば、魚を水から引き上げた場合、これにより鰓内の血管から出血を生じることがある。この現象は、コイで確認されており、魚の健康に害を及ぼす可能性がある。
【0009】
EIPHの原因は、いまだにわかっていない。広く受け入れられている2つの理論は、以下のとおりである。
【0010】
・ウマが運動時に肺血管内で高血圧を呈してこうした血管のストレス障害または破裂を起こすことが原因で出血が起こる。出血が高血圧に起因するという科学的証拠は不十分であり、この理論では、なぜ出血が肺の背尾側(上側かつ後側)の部分に見いだされる傾向にあるかが説明されない。
【0011】
・出血は、運動に伴う衝撃により生じる肺損傷の結果である。レース時またはジャンプ時に地面を蹴る前肢に加わる衝撃は、波動として肩甲骨に伝播され、これが胸壁に突き当たり、肺組織および骨格に伝わる。肺の形状に起因して、波動は、増幅されて背尾側領域で最も強くなり、この領域で組織の剪断および血管の破裂を生じる。
【0012】
EIPHに対する有効性の実証された治療法は存在せず、治療法の開発は、EIPHの正確な原因が不明確であることから制限されてきた。
【0013】
EIPHに対する主要な治療法は、フロセミド(LasixTM)および他の利尿剤の使用である。
【0014】
フロセミド(LasixTM)やエタクリン酸のような強力な利尿剤は、EIPHを抑制すべくレース前に投与される。LasixTMは、米国では適法であるが、ほとんどの他の国々では禁止されており、その有効性に関する結果は、さまざまである。それは、運動の約4時間前に静脈内投与され、尿生成の増大を引き起こす。続いて血漿/血液の量が減少して血圧低下が起こり、これにより出血の重症度が低減される。また、LasixTMで治療されたウマは、排尿により体重が減少するのでより良好な動作が可能になり、より速いウマになる。
【0015】
検討されてきた他の治療法としては、運動時に内皮機能に影響を与えると考えられる血管平滑筋弛緩因子としての一酸化窒素(NO)の投与が挙げられる。それは、激しい運動時にウマの肺動脈圧を低下させることが示されているが、ある研究では、EIPHの重症度が増大した。
【0016】
EIPH−NOxTMは、用具と医薬治療剤との組合せであり、一酸化窒素をベースにしたものである。これは、承認されるとすれば、EIPH治療法としてFDAにより承認される最初の治療法となろう。それは、EquATecTM, Canadaにより製造され、第I相実現可能性試験を通過したところである。
【0017】
検討されてきた他の治療法は、鼻腔拡張具である。
【0018】
外部鼻腔拡張ストリップ、たとえば、FLAIRTMネーザルストリップは、鼻道圧潰(nasal passage collapse)の予防または減少および鼻腔抵抗の低減のために使用されてきた(特にヒト運動選手に)。EIPHの減少が実証されているが、ストリップを使用してもEIPHは消失しない。
【0019】
血管拡張剤もまた、検討されてきた。血管拡張剤は、肺血管の外周を拡張するように作用して、ストレス障害を伴うことなく肺が血流の増加に対処できるようにする。それは、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤を包含する。
【0020】
ウマ濃縮血清(SeramuneTM)は、ウマIgGおよび他の免疫グロブリンを含有し、現場試験では62%のEIPH減少を示した。これは、おそらく、免疫治療効果および抗炎症効果によるものと思われる。
【0021】
ハーブ治療剤および栄養治療剤もまた、検討されてきた。これらは、必須栄養素を提供するPlatinum Performance EquineTMバーおよび一酸化窒素の産生を刺激するPulmonEzTMを包含する。
【0022】
しかしながら、現在までのところ、SIPH、特にEIPHの治療および/または予防および/または減少に有効な手段は、考案されていない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の独創的な発見は、放線菌目の好気性生物の属に属する細菌の全細胞を投与することにより、特に、好気性放線菌類の細菌の全細胞を投与することにより、ストレス起因性肺出血(SIPH)、特に運動起因性肺出血(EIPH)の治療および/または予防および/または減少を行いうるということである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
一態様では、本発明は、ストレス起因性肺出血の治療または予防のための医薬の製造における放線菌目の好気性生物の属に属する細菌の全細胞を含む組成物の使用を提供する。
【0025】
さらなる態様では、本発明は、放線菌目の好気性生物の属に属する細菌の全細胞を含む有効量の組成物、好ましくは医薬組成物を被験体に投与することを含む、被験体においてストレス起因性肺出血を治療または予防する方法を提供する。
【0026】
好適には、有効量の組成物、好ましくは医薬組成物は、単回用量として投与可能である。他の選択肢として、有効量の組成物、好ましくは医薬組成物は、複数回(反復)用量、たとえば、2回以上、3回以上、4回以上、5回以上、6回以上、10回以上、20回以上の反復用量で投与可能である。
【0027】
他の態様では、本発明は、放線菌目の好気性生物の属に属する細菌の全細胞を含む医薬組成物を被験体に投与することを含む、ストレス起因性肺出血から被験体を保護(免疫化を包含する)する方法を提供する。
【0028】
さらなる態様では、本発明は、少なくとも1つのコンパートメントが放線菌目の好気性生物の属に属する細菌の全細胞を含む、ストレス起因性肺出血の治療に使用するための医薬パックを提供する。
【0029】
本明細書中で使用する場合、「ストレス起因性肺出血(stress-induced pulmonary haemorrhageまたはstress-induced pulmonary haemorrhaging)」という用語は、それぞれ、「運動起因性肺出血(exercise-induced pulmonary haemorrhageまたはexercise-induced pulmonary haemorrhaging)」を包含する。好ましくは、ストレス起因性肺出血は、運動起因性肺出血である。
【0030】
一実施形態では、本明細書中で使用される「ストレス起因性肺出血(stress-induced pulmonary haemorrhageまたはstress-induced pulmonary haemorrhaging)」という用語は、「高地肺浮腫」をも包含する。好ましくは、ストレス起因性肺出血は、高地肺浮腫である。
【0031】
本明細書中で使用される「放線菌目の好気性生物の属に属する細菌の全細胞」という用語は、細菌の1つ以上の菌株の全細胞を包含する。好適には、全細胞が細菌の2つ以上の菌株に由来する場合、該菌株は、1つ以上の属に属しうる。また、好適には、該全細胞が2つ以上の属に由来する場合、該属は、1つ以上の科に属しうる。したがって、この用語は、特定の菌株に由来する全細胞(たとえば、ツカムレラ・インコネンシス(Tsukamurella inchonensis)の特定の菌株の全細胞)ならびに異なる科の好気性生物の属に属する細菌の全細胞(たとえば、それぞれツカムレラ科およびマイコバクテリウム科に属するツカムレラ・インコネンシス(Tsukamurella inchonensis)およびマイコバクテリウム・オブエンセ(Mycobacterium obuense)の菌株の全細胞)を包含する。
【0032】
多くの好気性放線菌属の全細胞は、免疫媒介性損傷に対して矯正作用を有しうる。
【0033】
一実施形態では、好適には、本発明に係る使用に供される放線菌目の好気性生物は、マイコバクテリウム(Mycobacterium)属に属しうる(たとえば、マイコバクテリウム・バッカエ(M. vaccae)またはマイコバクテリウム・オブエンセ(M. obuense))。
【0034】
他の実施形態では、好適には、本発明に係る使用に供される放線菌目の好気性生物は、ノカルディオフォルム放線菌でありうる(たとえば、Bergy’s Manual of Determinative Bacteriology, Ninth Editionのグループ22に挙げられている細菌。たとえば、ミコール酸含有細菌など)。
【0035】
好ましくは、好気性生物は、ミコール酸含有細菌である(たとえば、Bergy’s Manual of Determinative Bacteriology, Ninth Editionのグループ22のサブグループ1に属する細菌。たとえば、ツカムレラ(Tsukamurella)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、ノカルディア(Nocardia)属、およびゴルドニア(Gordonia)属など)。
【0036】
好ましくは、好気性生物は、次の属:ツカムレラ(Tsukamurella)属(たとえば、ツカムレラ・インコネンシス(T. inchonensis)およびツカムレラ・パウロメタボラ(T. paurometabola)、好ましくはツカムレラ・インコネンシス(T. inchonensis));ゴルドニア(Gordonia)属(たとえば、ゴルドニア・ブロンキアリス(G. bronchialis)、ゴルドニア・アマラエ(G. amarae)、ゴルドニア・スプティ(G. sputi)、およびゴルドニア・テラエ(G. terrae)、好ましくはゴルドニア・ブロンキアリス(G. bronchialis)));ロドコッカス(Rhodococcus)属(たとえば、ロドコッカス・ルベル(Rhodococcus ruber)(以前は、ノカルディア・ルブラ(Nocardia rubra)として知られていた)、ロドコッカス・ロドニー(R. rhodnii)、ロドコッカス・コプロフィラス(R. coprophilus)、ロドコッカス・オパカス(R. opacus)、およびロドコッカス・エリスロポリス(R. erythopolis)、好ましくは、ロドコッカス・コプロフィラス(R. coprophilus));ならびにノカルディア(Nocardia)属(たとえば、ノカルディア・アステロイデス(Nocardia asteroides)およびノカルディア・ブラシリエンシス(N. brasiliensis))のうちの1つ以上に属しうる。
【0037】
さらに他の実施形態では、好適には、本発明に係る使用に供される放線菌目の好気性生物は、細胞壁の成分としてミコール酸を含有する1つもしくは複数の属に属しうる。そのような属の例としては、ツカムレラ(Tsukamurella)属、マイコバクテリウム(Mycobacterium)属、ディエツィア(Dietzia)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、ノカルディア(Nocardia)属、およびゴルドニア(Gordonia)属が挙げられる。
【0038】
好ましくは、本発明に係る使用に供される放線菌目の好気性生物は、次の属:ツカムレラ(Tsukamurella)属(たとえば、ツカムレラ・インコネンシス(T. inchonensis)およびツカムレラ・パウロメタボラ(T. paurometabola)、好ましくはツカムレラ・インコネンシス(T. inchonensis));マイコバクテリウム(Mycobacterium)属(たとえば、マイコバクテリウム・バッカエ(M. vaccae)およびマイコバクテリウム・オブエンセ(M. obuense)、好ましくはマイコバクテリウム・オブエンセ(M. obuense));ディエツィア(Dietzia)属(たとえば、ディエツィア・マリス(Dietzia maris));ロドコッカス(Rhodococcus)属(たとえば、ロドコッカス・ルベル(Rhodococcus ruber)(以前は、ノカルディア・ルブラ(Nocardia rubra)として知られていた)、ロドコッカス・ロドニー(R. rhodnii)、ロドコッカス・コプロフィラス(R. coprophilus)、ロドコッカス・オパカス(R. opacus)、およびロドコッカス・エリスロポリス(R. erythopolis)、好ましくはロドコッカス・コプロフィラス(R. coprophilus));ノカルディア(Nocardia)属(たとえば、ノカルディア・アステロイデス(Nocardia asteroides)およびノカルディア・ブラシリエンシス(N. brasiliensis));ならびにゴルドニア(Gordonia)属(たとえば、ゴルドニア・ブロンキアリス(G. bronchialis)、ゴルドニア・アマラエ(G. amarae)、ゴルドニア・スプティ(G. sputi)、およびゴルドニア・テラエ(G. terrae)、好ましくはゴルドニア・ブロンキアリス(G. bronchialis))のうちの1つ以上に属する。
【0039】
好適には、好気性生物は、ツカムレラ(Tsukamurella)属に属しうる。好ましくは、好気性生物は、ツカムレラ・インコネンシス(T. inchonensis)および/またはツカムレラ・パウロメタボラ(T. paurometabola)に属する。好ましくは、ツカムレラ・インコネンシス(T. inchonensis)に属する。
【0040】
好適には、好気性生物は、ゴルドニア(Gordonia)属に属しうる。好ましくは、好気性生物は、次の種:ゴルドニア・ブロンキアリス(G. bronchialis)、ゴルドニア・アマラエ(G. amarae)、ゴルドニア・スプティ(G. sputi)、およびゴルドニア・テラエ(G. terrae)のうちの1つ以上に属する。好ましくは、ゴルドニア・ブロンキアリス(G. bronchialis)に属する。
【0041】
本明細書中で使用されるゴルドニア(Gordonia)属はまた、ゴルドニア(Gordonia)として称されることもありうる。明細書中では、これらの用語は、同義であるものとする。
【0042】
好適には、好気性生物は、マイコバクテリウム(Mycobacterium)属に属しうる。好ましくは、好気性生物は、マイコバクテリウム・バッカエ(M. vaccae)および/またはマイコバクテリウム・オブエンセ(M. obuense)に属する。好ましくは、マイコバクテリウム・オブエンセ(M. obuense)に属する。
【0043】
本発明に係る使用に供されるマイコバクテリウム・オブエンセ(M. obuense)菌株は、寄託番号NCTC13365として2005年7月14日付でthe National Collection of Type Cultures (NCTC), Central Public Health Laboratory, 61 Colindale Avenue, London, NW9 5HTに特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約(the Budapest Treaty on the International Recognition of the Deposit of Microorganisms for the purposes of Patent Procedure)に基づいてBioEos Limited of 67 Lakers Rise, Woodmansterne, Surrey, SM7 3LAにより寄託されている。
【0044】
好適には、好気性生物は、ディエツィア(Dietzia)属に属しうる。好ましくは、好気性生物は、ディエツィア・マリス(Dietzia maris)に属する。
【0045】
好適には、好気性生物は、ロドコッカス(Rhodococcus)属から選択可能である。好適には、好気性生物は、次の種:ロドコッカス・ルベル(Rhodococcus ruber)(以前は、ノカルディア・ルブラ(Nocardia rubra)として知られていた)、ロドコッカス・ロドニー(R. rhodnii)、ロドコッカス・コプロフィラス(R. coprophilus)、ロドコッカス・オパカス(R. opacus)、およびロドコッカス・エリスロポリス(R. erythopolis)のうちのいずれか1つ以上から選択可能であり、好ましくは、ロドコッカス・コプロフィラス(R. coprophilus)から選択可能である。
【0046】
好適には、好気性生物は、ノカルディア(Nocardia)属から選択可能である。好適には、好気性生物は、次の種:ノカルディア・アステロイデス(Nocardia asteroides)および/またはノカルディア・ブラシリエンシス(N. brasiliensis)のうちのいずれか1つ以上から選択可能である。
【0047】
好適には、本発明に使用するための細菌は、使用前に死滅させうる。
【0048】
好ましい実施形態では、本発明に係る医薬パックは、ストレス起因性肺出血の予防または治療に使用するのに好適であることを記載したラベルをさらに含む。
【0049】
好ましくは、ストレスを受けた後で肺出血を呈することが知られている動物に対してさらなるストレスにさらす前に組成物(好ましくは医薬組成物)の投与コースを実施する。最初、コースは、2回の皮内注射からなるべきであり、好ましくは2〜3週間の間隔で実施され、かつ好ましくは新たにストレスをかける1〜3週間前に終了する。
【0050】
好ましい態様では、続いて、毎回さらにストレスにさらす前に1もしくは2回の注射の投与コースを同一の間隔で実施するべきである。
【0051】
好ましくは、新たにストレスをかける(たとえば次の競馬を行う)1ヶ月以内に2回目の用量を投与することを含めて、SIPH(たとえばEIPH)を患っている被験体(たとえば競走馬)を2回用量の本発明に係る細菌の全細胞で治療することが可能である。しかしながら、新たにストレスをかける(たとえば次の競馬を行う)1ヶ月以上前に2回目の用量を投与する場合、新たにストレスをかける(たとえば競馬を行う)前の1ヶ月以内、好ましくは1〜3週間以内にさらなる用量を投与することが可能である。
【0052】
好ましくは、被験体は、年少であり、および/または不可逆的な組織再構築(Tissue remodelling)が生じていないように思われる程度にSIPHに関して年少である。本明細書中で使用される「SIPHに関して年少」という用語は、短期間(たとえば約5年未満、好ましくは約3年未満、より好ましくは約2年未満)、および/または以前の発病に対する治癒応答が完了する前に次の事象が起こるほど互いに近接した一連の個別事象において、被験体がSIPH(たとえばEIPH)の症状を示しているにすぎないことを意味する。本明細書中で使用される「年少(young)」という用語は、動物(たとえばウマ)に使用する場合、約7歳未満の哺乳動物(たとえばウマ)を意味し、好ましくは約5歳未満、好ましくは約4歳未満、好ましくは約3歳未満、より好ましくは約2歳未満である。
【0053】
有利には、本発明に係る組成物は、不可逆的な組織再構築がまだ行われていない被験体に対して増強された効果を有する。
【0054】
EIPHが多く見受けられることを考えると、代替ストラテジーは、年少動物の最初のレース前に投与コースを実施することであろう。そのような動物は、好適なブースト注射を行えば、病状の発症から保護されるであろう。
【0055】
本明細書中で使用される「保護」という用語は、被験体が本発明に係る組成物を用いて治療や投与の行われていない被験体と比較して疾患/障害に対して感受性が低いこと、および/または、被験体が本発明に係る組成物を用いて治療や投与の行われていない被験体と比較して疾患/障害をより多く阻止もしくは克服できることを意味する。
【0056】
他の実施形態では、症状が現れた後、たとえば、レース後に症状が顕在化した時、組成物を被験体に投与することが可能である。この実施形態では、好ましくは、被験体たとえばウマは、組成物の免疫化コースをあらかじめ受けていてもよい。
【0057】
本明細書中で使用される「全細胞(whole cell)」という用語は、無傷または実質的に無傷の細菌を意味する。特に、本明細書中で使用される「無傷」という用語は、全細胞、特に全生細胞に存在するすべての成分で構成されている細菌および/またはそれから1つ以上の成分を除去するような特別な処理が行われていない細菌を意味する。本明細書中で使用される「実質的に無傷」という用語は、細菌の取得に使用される単離および/または精製のプロセスにより、たとえば、細胞のわずかな変化および/または細胞の成分の1つ以上の除去が起こる可能性があったとしても、そのような変化および/または除去が起こる程度が有意でないことを意味する。特に、本発明に係る実質的に無傷の細胞では、それから1つ以上の成分を除去するような特別な処理が行われていない。
【0058】
疑問を生じないように述べておくが、たとえば熱処理により使用前に細菌を死滅させる場合、そのような熱処理は、細菌の成分を不活性化または破壊する可能性がある。そのような死滅させた細菌、たとえば熱処理された細菌は、本発明によれば、依然として実質的に無傷の全細胞とみなしうる。
【0059】
WO2004/022093およびWO2005/049056(これらの参考文献はいずれも参照により本明細書に組み入れられるものとする)には、ロドコッカス(Rhodococcus)属、ゴルドニア(Gordonia)属、ノカルディア(Nocardia)属、ディエツィア(Dietzia)属、ツカムレラ(Tsukamurella)属、およびノカルディオイデス(Nocardioides)属からの細菌の全細胞を含む組成物(たとえば医薬組成物)が開示されている。しかしながら、これらの文献のいずれにも、ストレス起因性肺出血(特に運動起因性肺出血)の臨床症候群を治療および/または予防するためのそのような免疫モジュレーター組成物または医薬組成物の使用に関する教示や提案はなされていない。
【0060】
マイコバクテリウム・バッカエ(Mycobacterium vaccae)またはその一部分(WO2002/032455に教示されている)は、マイコバクテリア症(たとえば結核)に対するワクチンに使用されてきた。しかしながら、SIPHの予防または治療におけるマイコバクテリウム・バッカエ(M. vaccae)の使用については、教示も提案もなされていない。
【0061】
好適には、本明細書中で使用される組成物または医薬組成物は、製薬上許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含みうる。
【0062】
好適には、組成物および/または医薬組成物は、2種以上の全細胞を含みうる。より好ましくは、多数種の全細胞を含む。
【0063】
一態様では、放線菌目の好気性生物の属に属する細菌の全細胞を含む組成物および/または医薬組成物は、少なくとも1種の(または少なくとも1種のさらなる)抗原または抗原決定基をさらに含みうる。
【0064】
本発明に従って使用される組成物は、ワクチンでありうる。ワクチンは、予防用ワクチンまたは治療用ワクチンでありうる。
【0065】
好適には、本発明に係る使用に供される組成物は、放線菌目の好気性生物属に属する2種以上または3種以上の細菌を含みうる。
【0066】
好ましくは、本発明に係る使用に供される細菌は、培地上で増殖可能な種である。この培地は、低抗原性培地、好ましくは非抗原性培地である。単なる例にすぎないが、好適な非抗原性培地は、ソートン(Sauton)培地である。
【0067】
本明細書中で使用される「被験体」という用語は、動物を意味する。好ましくは、被験体は、哺乳動物、トリ、サカナ、または甲殻動物であり、例としては、家畜およびヒトが挙げられる。好ましくは、参照される被験体は、レース動物である。レース動物以外の被験体において関連症候群の治療に本発明を使用しうることが意図される。したがって、本発明は、たとえば、ウマ、グレーハウンド、ラクダ、およびヒトにおいて、ストレス起因性肺出血、特に運動起因性肺出血の治療および/または予防および/または減少に有効である。本発明はまた、サカナまたは甲殻動物において、たとえばコイにおいて、ストレス起因性肺出血の治療および/または予防および/または減少に有効でありうる。しかしながら、この症候群または類似の症候群が他の被験体、たとえば異なる動物で確認された場合、本明細書に教示される組成物および/または医薬組成物は、他の被験体において、たとえば他の動物において、そのような症候群を治療および/または予防するのに有効であると考えられる。一実施形態では、好ましくは、被験体は、ウマ、より好ましくは競走馬である。
【0068】
好ましくは、本発明に係る細菌を使用前に死滅させる。好ましくは、それを熱処理することにより、たとえば、オートクレーブ中121℃で15分間熱処理することにより、本発明に係る細菌を死滅させる。
【0069】
細菌を死滅させるのに好適な他の処理としては、紫外線照射もしくは電離線照射またはフェノール、アルコール、もしくはホルマリンのような化学物質による処理が挙げられうる。好適には、Co60線源から2.5メガラド(Mrad)を照射することにより電離線照射を行いうる。
【0070】
好ましくは、本発明に係る細菌を精製および/または単離する。
【0071】
好ましくは、本発明に係る細菌を水中または緩衝生理食塩水中、好適にはpH8のホウ酸緩衝生理食塩水中に懸濁させる。
【0072】
<ワクチン>
本発明に係る組成物は、SIPHワクチンとして使用可能である。
【0073】
活性成分として1種以上の物質を含有するワクチンの調製については、当業者に公知である。典型的には、そのようなワクチンは、液体溶液剤またはサスペンジョン剤のいずれかの注射剤として調製され、注射前に液体中に溶解または懸濁させるのに好適な固体製剤もまた、調製可能である。調製物を乳化したりまたは活性成分をリポソーム中にカプセル化したりすることも可能である。活性成分は、多くの場合、製薬上許容されかつ活性成分と相容する賦形剤と混合される。好適な賦形剤は、たとえば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、およびそれらの組合せである。あるいは、たとえば、経口摂取されるようにおよび/または吸入しうるように、ワクチンを調製することが可能である。
【0074】
そのほかに、所望により、ワクチンは、少量の補助物質、たとえば、湿潤剤または乳化剤およびpH緩衝剤を含有しうる。
【0075】
<投与>
典型的には、個々の被験体に最も好適な組成物または医薬組成物の実際の用量は、医師により決定されるであろう。それは、特定の被験体の年齢、体重、および応答によって異なるであろう。以下の用量は、平均的なケースを例示したものである。もちろん、より多量またはより少量の用量範囲を用いるのがよい個々の事例が存在しうる。
【0076】
好ましくは、使用される実際の用量では、被験体に対して最小限の毒性を生じる。
【0077】
本発明に係る組成物は、直接注射により投与可能である。組成物は、非経口投与、粘膜投与、筋肉内投与、静脈内投与、皮下投与、眼内投与、皮内投与、または経皮投与に供すべく製剤化可能である。
【0078】
好適には、本発明に係る組成物は、10〜1011個の生物、好ましくは10〜1010個の生物、より好ましくは10〜10−5×10個の生物、さらにより好ましくは10〜2×10個の生物の用量で投与可能である。典型的には、本発明に係る組成物は、ヒトおよび動物に使用する場合、10〜2×10個の細菌の用量で投与可能である。
【0079】
本発明に係る組成物を免疫増強剤として投与するのであれば、ヒトおよび動物に使用する場合、単位用量あたり10〜1011個の生物、好ましくは単位用量あたり10〜1010個の生物、より好ましくは単位用量あたり10〜5×10個の生物、さらにより好ましくは単位用量あたり10〜2×10個の生物、さらにより好ましくは単位用量あたり10〜2×10個の細菌を決められた間隔で投与することが可能である。
【0080】
当業者であれば容易にわかるであろうが、投与される用量は、用量の投与対象の生物に依存するであろう。
【0081】
本明細書中で使用される「投与」という用語は、医薬の提供を目的とした本発明に係る細菌の投与を意味する。好ましくは、「投与」は、SIPHの予防、治療、および/または抑制を目的とした投与に関係する。言い換えれば、一実施形態では、「投与」という用語は、細菌を(好ましくは医薬として)被験体に与えることを意味する。すなわち、被験体が細菌を自然に含有または取得しうる状況を包含しない。
【0082】
「投与」という用語は、注射、脂質媒介トランスフェクション、リポソーム、イムノリポソーム、リポフェクチン、陽イオン性表面両親媒性物質(CFA; cationic facial amphiphile)、およびそれらの組合せ、またはさらにはウイルス送達をはじめとする送達機序による送達を包含する。そのような送達機序の経路としては、粘膜経路、鼻経路、経口経路、非経口経路、胃腸経路、局所経路、または舌下経路が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0083】
「投与」という用語は、粘膜経路(たとえば、鼻スプレー剤もしくは吸入用エアロゾル剤としてまたは摂取可能な溶液剤として);注射可能な形態で送達が行われる非経口経路(たとえば、静脈内経路、筋肉内経路、皮内経路、または皮下経路など)による送達を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0084】
「共投与」という用語は、免疫系の必要なモジュレーションが達成されるように本発明に係る組成物、アジュバント、抗原、および/または抗原決定基のそれぞれの投与の部位および時間が設定されることを意味する。したがって、同一時点でかつ同一部位に組成物と抗原および/またはアジュバントのいずれかとを投与しうるのであれば、アジュバントと異なる時間でかつ異なる部位に組成物および/または抗原および/または抗原決定基を投与することに利点が存在しうる。組成物および/または抗原および/または抗原決定基とアジュバントとを同一の送達ベヒクルで送達することさえも可能であり、しかも抗原および/または抗原決定基とアジュバントとの結合および/または非結合ならびに/あるいは遺伝子的結合および/または遺伝子的非結合が可能である。単なる例にすぎないが、本発明に係る組成物は、1種以上の抗原またはさらなる抗原の投与前、投与時、または投与後に投与可能である。
【0085】
組成物は、単回用量としてまたは複数回用量で宿主被験体に投与可能である。
【0086】
本発明に係る使用に供される組成物および/または医薬組成物は、注射(非経口注射、皮下注射、皮内注射、および筋肉内注射を包含する)、鼻腔内投与、粘膜投与、経口投与、腟内投与、尿道投与、または眼投与のような、多くの異なる経路により投与可能である。
【0087】
好ましくは、本発明では、投与は、注射により行われる。より好ましくは、注射は、皮内注射である。
【0088】
好ましくは、本発明では、投与は、経口的に許容される組成物により行われる。
【0089】
ワクチン接種に供する場合、組成物を0.1〜0.2mlの水溶液、好ましくは緩衝生理食塩水溶液として提供し、非経口的に、たとえば皮内接種により投与することが可能である。本発明に係るワクチンは、好ましくは皮内注射される。わずかな腫脹および潮紅、ときにはさらに痒みが、注射部位に見いだされることもある。当業者であれば、投与形態、用量、および投与回数を公知の方法により最適化することが可能である。
【0090】
<抗原>
本明細書中で使用する場合、「抗原」とは、免疫適合性宿主に導入したときに、ある物質と結合しうる1種もしくは複数種の特異抗体の産生を改変し、ならびに/またはTh2および/もしくはTh1のような関連するTヘルパー細胞の応答を改変する物質を意味する。抗原は、純粋な物質、物質の混合物、または可溶性もしくは粒子状の物質でよい(細胞または細胞断片または細胞超音波処理物を包含する)。この意味で、この用語は、任意の好適な抗原決定基、交差反応性抗原、同種抗原、異種抗原、寛容原、アレルゲン、ハプテン、および免疫原、またはそれらの一部分、さらにはそれらの任意の組合せを包含し、これらの用語は、本文全体を通して同義的に使用される。
【0091】
本明細書中で使用される「抗原決定基またはエピトープ」という用語は、抗体またはT細胞レセプターにより認識されるかまたはTヘルパー細胞の応答を引き起こす役割を担う抗原上の部位を意味する。好ましくは、それは、タンパク質抗原由来か、またはタンパク質抗原の一部分である短いペプチドである。しかしながら、この用語はまた、グリコペプチドおよび炭水化物エピトープを包含することも意図される。この用語はまた、全生物体を認識する応答を刺激するアミノ酸または炭水化物の改変配列をも包含する。
【0092】
「防止用」または「予防用」ワクチンとは、防御免疫を刺激することなどにより病状の発症を予防するために未処置個体に投与されるワクチンのことである。
【0093】
「治療用」ワクチンとは、病状を軽減したりもしくは最小限に抑えたり、または病状の免疫病理学的帰結を抑止したりするために既存の病状を有する個体に投与されるワクチンのことである。
【0094】
<アジュバント>
本明細書中で使用される「アジュバント」という用語は、免疫応答の影響を増大させたりまたはそれに関与したりすることの可能な物質を意味する。アジュバントは、抗原に対する免疫応答を支援したり、増大させたり、ダウンレギュレートしたり、改変したり、または多様化させたりする任意の物質または物質の混合物である。
【0095】
本発明に係る組成物および/または医薬組成物は、組成物および/または医薬組成物の有効性を向上させる1種以上のアジュバントを含みうる。有効であろうと思われる追加のアジュバントの例としては、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム(ミョウバン)、硫酸ベリリウム、シリカ、カオリン、カーボン、油中水型エマルジョン、水中油型エマルジョン、ムラミルジペプチド、細菌エンドトキシン、リピドX、コリネバクテリウム・パルバム(Corynebacterium parvum)(プロピオノバクテリウム・アクネス(Propionobacterium acnes))、ボルデテラ・ペルツッシス(Bordetella pertussis)、マイコバクテリウム・バッカエ(Mycobacterium vaccae)、ポリリボヌクレオチド、ナトリウムアルギネート、ラノリン、リゾレシチン、ビタミンA、インターロイキン2やインターロイキン12のようなインターロイキン、サポニン、リポソーム、レバミゾール、DEAE−デキストラン、ブロック化コポリマー、または他の合成アジュバントが挙げられるが、これらに限定されるものではない。そのようなアジュバントは、種々の供給元から市販品として入手可能であり、例としては、Merck Adjuvant 65(Merck and Company, Inc., Rahway, N.J.)またはフロイントの不完全アジュバントおよび完全アジュバント(Difco Laboratories, Detroit, Michigan)が挙げられる。水酸化アルミニウムだけは、ヒトに使用することが承認されている。他のアジュバントのうちのいくつか、たとえばマイコバクテリウム・バッカエ(M. vaccae)などは、臨床試験に供することが承認されている。
【0096】
好適には、アジュバントは、放線菌目の好気性生物の属に属する細菌の全細胞でありうる。
【0097】
当技術分野では、本質的に金粒子に結合されたDNA配列でありかつヘリウム銃により皮膚中に発射されるDNAワクチンは、効率的なワクチン送達システムであることが知られている。従来のワクチンとは異なり、こうしたDNAワクチンは、伝統的なアジュバント成分を必要としない。本発明のさらなる態様によれば、好適には、免疫応答の影響を増大させたりまたはそれに関与したりするために、本明細書中に定義される組成物をそのようなDNAワクチンと組み合わせて使用することが可能である。
【0098】
<医薬組成物>
本発明はまた、治療上有効量の放線菌目の好気性生物の属に属する細菌の全細胞と、任意に製薬上許容される担体、希釈剤、または賦形剤(それらの組合せを包含する)とを含む医薬組成物を提供する。
【0099】
医薬組成物は、2つの成分、すなわち、抗原を含む第1の成分およびそのアジュバントを含む第2の成分を含みうる。第1および第2の成分は、逐次的に、同時に、または一緒に、さらには異なる投与経路により送達可能である。
【0100】
好適には、抗原は、疾患過程の一部として宿主組織内で発生する可能性さえもありうる。したがって、抗原は、細菌の侵入、宿主の浸潤、もしくは寄生生物の侵入に由来しうるか、または組織から放出される物質、たとえば、細菌の熱ショックタンパク質と等価なストレスタンパク質もしくは腫瘍抗原でありうる。
【0101】
医薬組成物は、人間医学および獣医学においてヒトまたは動物に使用することが可能であり、典型的には、製薬上許容される希釈剤、担体、または賦形剤のうちのいずれか1つ以上を含むであろう。治療に使用するための許容される担体または希釈剤は、製薬技術分野で周知であり、たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co. (A. R. Gennaro edit. 1985)に記載されている。医薬用の担体、賦形剤、または希釈剤の選択は、意図される投与経路および標準的な薬務に関連して選択可能である。
【0102】
医薬組成物は、担体、賦形剤、もしくは希釈剤として、またはそれらに加えて、任意の好適な結合剤、滑沢剤、懸濁化剤、コーティング剤、可溶化剤を含みうる。
【0103】
保存剤、安定化剤、染料、さらには風味剤をも、医薬組成物中に提供することが可能である。保存剤の例としては、ナトリウムベンゾエート、ソルビン酸、およびp−ヒドロキシ安息香酸エステルが挙げられる。抗酸化剤および懸濁化剤を使用することも可能である。
【0104】
送達システムが異なれば、それに依存して組成物/製剤の要件が異なりうる。例として、ミニポンプを用いてまたは粘膜経路により(たとえば、鼻スプレー剤もしくは吸入用エアロゾル剤もしくは摂取可能な溶液剤として)あるいは非経口的に(この場合、組成物は、静脈内経路、筋肉内経路、皮内経路、または皮下経路などにより送達すべく注射可能な形態で製剤化される)送達すべく本発明に係る医薬組成物を製剤化することが可能である。他の選択肢として、両方の経路により送達すべく製剤をデザインすることが可能である。
【0105】
好ましくは、本発明では、製剤は、注射可能な形態をとる。より好ましくは、製剤は、皮内注射される。
【0106】
好ましくは、本発明では、製剤は、経口的に許容される組成物である。
【0107】
胃腸粘膜を介して薬剤を粘膜送達する場合、それは、胃腸管を通過する間、安定状態を維持できることが望ましい。たとえば、それは、タンパク質分解に対して耐性があり、酸性pHで安定であり、かつ胆汁の界面活性作用に対して耐性があることが望ましい。
【0108】
適切であれば、吸入により、坐剤もしくはペッサリーの形態で、ローション剤、溶液剤、クリーム剤、軟膏剤、もしくは散粉剤の形態で局所的に、皮膚貼付剤を用いて、デンプンやラクトースのような賦形剤を含有する錠剤の形態でまたは単独でもしくは賦形剤と混合してカプセル剤もしくはオビュール剤としてまたは風味剤もしくは着色剤を含有するエリキシル剤、溶液剤、またはサスペンジョン剤の形態で経口的に、医薬組成物を投与することが可能であるか、あるいは非経口的に、たとえば、静脈内、筋肉内、皮内、または皮下に注射することが可能である。非経口投与に供する場合、溶液を血液と等張にするのに十分な塩やモノサッカリドなどの他の物質を含有しうる滅菌水溶液剤の形態で最も良好に組成物を使用することが可能である。頬投与または舌下投与に供する場合、従来の方法で製剤化しうる錠剤またはロゼンジ剤の形態で組成物を投与することが可能であるか、または被験体の食料および/または飼料に組み込むことにより組成物を投与することが可能である。
【0109】
<医薬の組合せ>
本発明に係る薬剤は、1種以上の他の医薬活性物質と共に投与可能である。例として、本発明は、本発明に係る組成物および/または医薬組成物と、1種以上のステロイド、鎮痛剤、抗ウイルス剤、IL−2のようなインターロイキン、または他の医薬活性物質とを用いた同時治療または逐次治療を包含する。
【0110】
こうしたレジメンは、逐次的に、同時に、または一緒に物質を投与することを包含することが理解されよう。
【0111】
<免疫増強剤>
本明細書中で使用される「免疫増強剤」という用語は、被験体に投与したときに同被験体の健康に有益である1種以上の単離された細菌または培養下の細菌のいずれかを意味する。好ましくは、この有益性は、被験体の細胞性免疫応答の改変により達成される。
【0112】
本発明によれば、ストレス起因性肺出血、特に運動起因性肺出血を治療/予防するために免疫増強剤を使用することが可能である。
【0113】
免疫増強剤は、特別にデザインされた食料に組み込んで、または動物用飼料、たとえば、本発明に係る細菌が追加された動物用飼料に組み込んで摂取により投与可能である。
【0114】
他の経路により、たとえば直接注射により、免疫増強剤を投与することも可能である。
【0115】
好ましくは、生製剤を保持する困難を回避したりおよび/または生細菌内に隠蔽されることの多い免疫学的活性物質を露出させたりするために、細菌を死滅させる。
【0116】
<ストレス起因性肺出血の治療に使用可能な細菌の同定>
他の態様において、本発明は、ストレス起因性肺出血(SIPH)、特に運動起因性肺出血(EIPH)を治療および/または予防しうる放線菌目の好気性生物の属に属する細菌の1種以上の全細胞を同定する方法を関する。この方法は、(a)第1のグループの試験動物に免疫刺激剤を投与するステップ、(b)第2のグループの試験動物に放線菌目の好気性生物の属に属する細菌と混合された免疫刺激剤を投与するステップ、(c)各試験動物でSIPH(好ましくはEIPH)の発生回数および/または重症度を測定するステップ、および(d)各グループの試験動物の結果を比較するステップとを含み、ここで、単独の免疫刺激剤と比較して細菌と混合された免疫刺激剤のほうがSIPH(好ましくはEIPH)の発生率および/または重症度が低ければ、本発明に係る使用に好適な細菌であることを示す。
【0117】
本明細書中で使用する場合、「試験動物」という用語は、免疫刺激剤に対する細胞性免疫応答を引き起こす任意の動物を意味する。好ましくは、試験動物は、哺乳動物である。
【0118】
好ましくは、細菌は、Tヘルパー細胞の応答を改変する。好適には、細菌は、Th1応答の増大およびTh2応答のダウンレギュレーションによりTヘルパー細胞の応答を改変しうる。
【0119】
好ましくは、免疫刺激剤は、既知のTh1応答およびTh2応答を誘発/増大するであろう。たとえば、免疫刺激剤BCGを用いた場合、ツベルクリン反応は、通常、Th1応答の指標であるとき24時間で最大であり、48時間の反応は、通常、より少なく、Th2の寄与を含む。BCGは、未処置動物で主にTh1応答を刺激することが知られている。
【0120】
そのような免疫刺激剤を用いることにより、試験細菌のTh1/Th2応答を測定することが可能であり、したがって、特定の疾患および/または障害を治療および/または予防するのに、望ましいTh1/Th2応答を有する1種以上の細菌を同定することが可能である。
【0121】
好ましくは、細胞性免疫応答は、ツベルクリン皮膚試験を用いて測定される。マウスでは、ツベルクリン皮膚試験は、好ましくは足蹠上で行われる。優位Th1反応では、陽性足蹠免疫応答は、24時間で最大であり、48時間で減少する。しかしながら、Th2の反応性が増大するので、48時間での陽性足蹠免疫応答は増大し、24時間での足蹠免疫応答を超えることさえも起こりうる。
【0122】
免疫刺激剤(たとえばBCG)を用いたワクチン接種を行うと、後で試験したときにツベルクリン(結核菌の可溶性調製物)を用いた皮膚試験に対する応答が誘発される。局所反応は、種々の間隔で、たとえば、ツベルクリン注射の24時間後、48時間後、および72時間後に測定される。簡潔に述べると、ツベルクリンに対する陽性免疫応答を誘発する免疫刺激剤(たとえばBCG)が使用される。試験動物では、ツベルクリン皮膚試験は、好ましくは足蹠上で行われる。優位Th1反応では、陽性足蹠免疫応答は、通常、24時間で最大であり、48時間で減少する。しかしながら、Th2の反応性が増大するので、48時間での陽性足蹠免疫応答は増大し、24時間での足蹠免疫応答を超えることさえも起こりうる。したがって、このアッセイは、本発明に係る免疫モジュレーター組成物の導入により細胞性免疫応答がモジュレートされるか否かを評価するために使用可能である。
【0123】
好ましくは、免疫刺激剤はBCGである。
【0124】
本発明を実施例によりさらに説明するが、実施例は、当業者が本発明を実施するのを支援する役割を担うように意図されたものであり、本発明の範囲をなんら限定しようとするものではない。
【実施例】
【0125】
〔実施例1〕
運動起因性肺出血(EIPH)は、競争馬の85%までが罹患する一般的な病状である。それは、ファイバースコープ検査により得られる気管支肺胞液中の赤血球を観察することにより検出されるわずかな出血から、レースの終了時に鼻孔周辺の粘液の泡内に現れる明らかな血液まで、さまざまである。最後の数ハロンでウマの速度を低下させるこの病状を起こしやすいウマは、すべてのレース後、こうした症状を患う。
【0126】
この病状の正確な原因は、不明である。理論により拘束されることを望むものではないが、肺高血圧がこの病状の原因または原因の一部になっている可能性があると考えられる。たとえば、血圧が高くなると肺の細動脈および毛細血管が破裂し、多くの場合さらに、肺胞構造が損傷を受け、肺繊維症を併発して肺予備能が次第に減少すると推測される。動脈レベルで肺高血圧が反復して発症すると、内膜の損傷および内膜筋の過形成(myointimal hyperplasia)を生じて病状がさらに悪化する可能性がある。
【0127】
理論により拘束されることを望むものではないが、現在、アレルギー性応答もまた一翼を担っている可能性がありかつEIPHを示すウマの肺胞間に好酸球が浸潤することが多いことから、運動起因性喘息もまた病状に寄与している可能性があることが示唆されると考えられる。
【0128】
現在、肺動脈圧の上昇に起因する動脈壁の炎症がアレルギー過程による肺胞膜の損傷と同時に起こったときに、過度の出血を生じる可能性があると考えられる。
【0129】
この病状に対する治療法はわかっておらず、フロセミド(furosamide)により問題が軽減されるとはいえ、レース前に痕跡が検出されるとウマは失格になる。
【0130】
現在、動脈損傷とたとえばアレルギー性応答に起因する肺損傷とが組み合わさることによりSIPH(特にEIPH)が誘発される可能性があると考えられるので、本発明者らは、Th1機序が増強されかつTh2機序がダウンレギュレートされる免疫モジュレーションにSIPH(特にEIPH)が応答するかどうかを調べた。
【0131】
単位用量あたり1〜2mgで2回用量のツカムレラ・インコネンシス(Tsukamurella inchonensis)の全細胞を3週間の間隔で用いて、すべてのレース後にEIPHを患うウマを治療し、次に、数週間後にレースに出場させた。ウマは、病状の完全な軽減を示した。
【0132】
〔実施例2〕
免疫化プロトコル下で非感染性肺炎症を有するウマから得られる気管支肺胞洗浄液の比較試験
<序>
ターフスポーツ活動を行う年少の馬は、環境変化を経験し、いくつかある疾患の中でもとくに非感染性肺炎症を引き起こす。文献のデータによれば、最も激しい運動時、ウマの能力低下が起こり、多くの場合、診断が容易でない無症候期に入るので、効果的な治療が困難であることが示唆される。
【0133】
この試験のこうした背景を考慮して、免疫療法製剤を用いた治療によりそのような種類のウマから得られる気管支肺胞洗浄液(BAL)の炎症性浸潤物の細胞組成が変化するかどうかを分析することにした。
【0134】
<材料および方法>
平均年齢2.5±0.5歳の6頭の雄競争馬(平均体重460±40Kg)で試験を行う。ウマはすべて、3回の連続的な細胞学的検査によりBALサンプルから診断される非感染性肺炎症を呈した。20日間の間隔で測定を行った。
【0135】
La Plata競馬場のある地域でウマに個別の小屋を割り当てる。シェービングを用いて小屋床を用意した。また、(アルファルファ)ムラサキウマゴヤシ乾草、オートムギ、および水を飼料としてウマに与える。環境の質は、中位の質として分類される小屋床洗浄、換気、および食料品質に関連付けられた。
【0136】
300mlの滅菌生理食塩水(体温)を5つのアリコートとして与えてBALを実施した。ただし、最初のアリコートは、試験に使用しなかった。さらに15秒染色(15-staining)で染色してから鑑別細胞計数に付すべく、肉眼で見える沈降物が得られるまで(1500rpmで10分間を2回)、サンプルの遠心分離を行った。
【0137】
<結果>
免疫化前(サンプル採取の間隔は20日間であった(時間0、時間1、および時間2))、1回目のツカムレラ・インコネンシス(Tsukamurella inchonensis)注射の後(時間3)、ならびに2回目のツカムレラ・インコネンシス(Tsukamurella inchonensis)注射の後(時間4)で得られた3つのBALサンプルでの鑑別細胞計数。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【0138】
記号内容および正常値:
MA:活性マクロファージ <5%
MI:不活性マクロファージ 40〜60%
L:リンパ球 20〜40%
Mast:マスト細胞 <2%
N:PMN <5%
Epit:上皮細胞 <0.5%
H:ヘモシデロファージ <1%
第3のサンプル(時間2)を取得した後、ツカムレラ・インコネンシス(Tsukamurella inchonensis)をウマに注射し、20日後にサンプルを採取した(時間3)。
【0139】
ツカムレラ・インコネンシス(Tsukamurella inchonensis)注射の2回目を1回目の3週間後に行った。
【0140】
20日後に追加のサンプル(時間5)を採取する。
【0141】
ツカムレラ・インコネンシス(Tsukamurella inchonensis)の最初の注射の後、6頭のウマのうちの3頭が改善を示した。2回目の注射の後、そのような3頭のウマは継続して改善され、追加のウマもまた改善された。改善は、アレルギー反応に対処する炎症細胞、たとえばマスト細胞の減少に基づくものであった。
【0142】
以上の説明で引用した刊行物はすべて、参照により本明細書に組み入れられるものとする。本発明に係る記載の方法およびシステムの種々の変形および変更は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく当業者に自明なものであろう。特定の好ましい実施形態に関連させて本発明について説明してきたが、請求された本発明は、そのような特定の実施形態に過度に限定されるものではないと理解されるべきである。実際上、本発明を実施するための記載の形態の種々の変形のうち生化学・バイオテクノロジー分野または関連分野の当業者に自明なものは、特許請求の範囲内に含まれるものとみなされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストレス起因性肺出血の治療または予防のための医薬の製造における放線菌目の好気性生物の属に属する細菌の全細胞を含む組成物の使用。
【請求項2】
前記ストレス起因性肺出血が運動起因性肺出血である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記細菌が任意のミコール酸含有細菌から選択可能である、請求項1または請求項2に記載の使用。
【請求項4】
前記細菌が、次の属:ツカムレラ(Tsukamurella)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、ゴルドニア(Gordonia)属、ノカルディア(Nocardia)属、ディエツィア(Dietzia)属、およびマイコバクテリウム(Mycobacterium)属のうちのいずれか1つ以上から選択される、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記細菌が、次の種:ツカムレラ・インコネンシス(Tsukamurella inchonensis)、ツカムレラ・パウロメタボラ(Tsukamurella paurometabola)、ゴルドニア・ブロンキアリス(Gordonia bronchialis)、ゴルドニア・アマラエ(G. amarae)、ゴルドニア・スプティ(G. sputi)、ゴルドニア・テラエ(G. terrae)、ノカルディア・アステロイデス(Nocardia asteroides)、ノカルディア・ブラシリエンシス(N. brasiliensis)、ディエツィア・マリス(Dietzia maris)、ロドコッカス・ルベル(Rhodococcus ruber)、ロドコッカス・ロドニー(R. rhodnii)、ロドコッカス・コプロフィラス(R. coprophilus)、ロドコッカス・オパカス(R. opacus)、ロドコッカス・エリスロポリス(R. erythopolis)、マイコバクテリウム・バッカエ(Mycobacterium vaccae)、およびマイコバクテリウム・オブエンセ(M. obuense)のうちの1つ以上に属する、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記細菌がロドコッカス(Rhodococcus)属に属する、請求項4に記載の使用。
【請求項7】
前記細菌がロドコッカス・コプロフィラス(Rhodococcus coprophilus)に属する、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記細菌がツカムレラ(Tsukamurella)属に属する、請求項4に記載の使用。
【請求項9】
前記細菌がツカムレラ・インコネンシス(Tsukamurella inchonensis)に属する、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記細菌がマイコバクテリウム(Mycobacterium)属に属する、請求項4に記載の使用。
【請求項11】
前記細菌がマイコバクテリウム・バッカエ(Mycobacterium vaccae)および/またはマイコバクテリウム・オブエンセ(Mycobacterium obuense)に属する、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
前記細菌が死滅している、請求項1〜11のいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
被験体においてストレス起因性肺出血を治療または予防する方法であって、放線菌目の好気性生物の属に属する細菌の全細胞を含む有効量の組成物を該被験体に投与することを含む、上記方法。
【請求項14】
前記ストレス起因性肺出血が運動起因性肺出血である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記細菌が任意のミコール酸含有細菌から選択可能である、請求項13または請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記細菌が、次の属:ツカムレラ(Tsukamurella)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、ゴルドニア(Gordonia)属、ノカルディア(Nocardia)属、ディエツィア(Dietzia)属、およびマイコバクテリウム(Mycobacterium)属のうちの1つ以上である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記細菌が、次の種:ツカムレラ・インコネンシス(Tsukamurella inchonensis)、ツカムレラ・パウロメタボラ(Tsukamurella paurometabola)、ゴルドニア・ブロンキアリス(Gordonia bronchialis)、ゴルドニア・アマラエ(G. amarae)、ゴルドニア・スプティ(G. sputi)、ゴルドニア・テラエ(G. terrae)、ノカルディア・アステロイデス(Nocardia asteroides)、ノカルディア・ブラシリエンシス(N. brasiliensis)、ツカムレラ・パウロメタボラ(Tsukamurella paurometabola)、ロドコッカス・ルベル(Rhodococcus ruber)、ロドコッカス・ロドニー(Rhodococcus rhodnii)、ロドコッカス・コプロフィラス(R. coprophilus)、ロドコッカス・オパカス(R. opacus)、ロドコッカス・エリスロポリス(R. erythopolis)、ディエツィア・マリス(Dietzia maris)、マイコバクテリウム・バッカエ(Mycobacterium vaccae)、およびマイコバクテリウム・オブエンセ(M. obuense)のうちの1つ以上である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記細菌がロドコッカス(Rhodococcus)属に属する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記細菌がロドコッカス・コプロフィラス(Rhodococcus coprophilus)に属する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記細菌がツカムレラ(Tsukamurella)属に属する、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記細菌がツカムレラ・インコネンシス(Tsukamurella inchonensis)に属する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記細菌がマイコバクテリウム(Mycobacterium)属に属する、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記細菌がマイコバクテリウム・バッカエ(Mycobacterium vaccae)および/またはマイコバクテリウム・オブエンセ(Mycobacterium obuense)に属する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記細菌が死滅している、請求項13〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
少なくとも1つのコンパートメントが放線菌目の好気性生物の属に属する細菌の全細胞を含む、ストレス起因性肺出血の治療に使用するための医薬パック。
【請求項26】
前記パックが、ストレス起因性肺出血の予防または治療に使用するのに好適であることを示すラベルを含む、請求項25に記載の医薬パック。
【請求項27】
明細書に実質的に記載される使用。
【請求項28】
明細書に実質的に記載される方法。
【請求項29】
明細書に実質的に記載される医薬パック。

【公表番号】特表2009−520788(P2009−520788A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546598(P2008−546598)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【国際出願番号】PCT/GB2006/004787
【国際公開番号】WO2007/071982
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(508178375)バイオイオス リミテッド (4)
【Fターム(参考)】