説明

ストレーナ装置

【課題】 ストレーナ交換の水抜き時に流入側の水がストレーナで濾過されることなく、流出側の水路内に残留することを防ぎ、かつストレーナを流入口へ押し当てる力を、水を流した状態でも調整可能としたストレーナ装置を提供することである。
【解決手段】 流入口2と流出口3とが直交するように設けられた筐体1と、一方に開口部位23を備えた有底筒状体であって側面が網状体22よりなるストレーナ20と、ストレーナ20が取り出し可能となるように筐体1の流出口3の対向面に取り付けられた蓋50と、を備えたストレーナ装置70において、筐体1の流入口2との対向面に形成されたネジ穴6にストレーナ20の底部を押圧する押え部材40をねじ込むことにより、ストレーナ20の開口部位23が筐体1の流入口2に押し当て固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ストレーナ装置に関し、具体的には、水洗便器への貯水タンクに至る配管系や食器乾燥機の排水管系などに介在させるのに有用なストレーナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、特開2002−102616号公報に示される如く、水洗便器への貯水タンクに至る配管系等に用いられ、流入口と流出口とが直交するように設けられた筐体の内部に水路を形成しているとともに、蓋をねじ込んで側面が網状体よりなるゴミ取り用のストレーナを筐体の流入口に開口部位が接面するように取り付けられているストレーナ装置は知られている。
【0003】
このようなストレーナ装置は、水洗便器への貯水タンクに至る配管系や食器乾燥機の排水管系などに介在させるのに使用されるものであった。例えば、水洗便器に対して使用される場合であると、同水洗便器に温水洗浄や温水便座などの設備を付与させたりするのに用いられ、貯水タンクに対しての既設の配管系から新に配置した付帯設備に給水させるため、ゴミ取り用のストレーナを取り付けたストレーナ装置を介在させたものであった。
【特許文献1】特開2002−102616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特開2002−102616号公報に示されるようなストレーナ装置においては、ストレーナの交換時には流入側の水路を止水した後、蓋を取り外して水抜きを行う。このとき、流出側の水路から逆流してきた水が、筐体の流入口と流出口との間の空間において乱流状態となり、大部分は筐体外へと排出されるが、一部が流入側の水をまき込んで流出側の水路に残留する。また、ストレーナは蓋をねじ込むことにより流入口に取り付けられているので、水抜き時にはストレーナは固定されておらず、そのため流入側の水路内のゴミを含んだ水がストレーナで濾過されずに、流出側の水路に流れ込んで残留してしまい、そのゴミを含んだ水が貯水タンクに流入するという不具合があった。
【0005】
また、ストレーナを流入口へ押し当てる力を、水を流しながら調整することができないので、その分過度に押し当てる設計を行う必要があり、そのため取り付け時にストレーナが変形してしまう不具合もあった。
【0006】
本願発明は、上記背景技術に鑑みて発明されたものであり、その課題は、ストレーナ交換の水抜き時に流入側の水路の水がストレーナで濾過されることなく、流出側の水路内に流入して残留することを防ぎ、かつストレーナを流入口へ押し当てる力を、水を流した状態でも調整可能としたストレーナ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本願発明は、流入口と流出口とが直交するように設けられた筐体と、一方に開口部位を備えた有底筒状体であって側面が網状体よりなるストレーナと、ストレーナが取り出し可能となるように筐体の流出口の対向面に取り付けられた蓋と、を備えたストレーナ装置において、筐体の流入口との対向面に形成されたネジ穴にストレーナの底部を押圧する押え部材をねじ込むことにより、ストレーナの開口部位が筐体の流入口に押し当て固定されているものである。
【発明の効果】
【0008】
本願発明のストレーナ装置においては、蓋を外してもストレーナは筐体の流入口に押し当てられているので、水抜き時に流出側から流入側へゴミが流入することを防止できる。また、ストレーナを流入口へ押し当てる力を、水を流した状態でも調整可能としたので、過度に押し当てることによるステレーナの変形を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1および2は、本願の請求項1から4の全ての請求項に対応した実施形態のストレーナ装置70を示している。この実施形態で用いるストレーナ装置70は、流入口2と流出口3とが直交するように設けられた筐体1と、一方に開口部位23を備えた有底筒状体であって側面が網状体22よりなるストレーナ20と、ストレーナ20が取り出し可能となるように筐体1の流出口3の対向面に取り付けられた蓋50と、を備えたストレーナ装置70において、筐体1の流入口2との対向面に形成されたネジ穴6にストレーナ20の底部を押圧する押え部材40をねじ込むことにより、ストレーナ20の開口部位23が筐体1の流入口2に押し当て固定されているものである。
【0010】
又、この実施形態のストレーナ装置70は、ストレーナ20が、底部にも網状体22を備えて、かつ底部の中央に押え部材40と接触する押受部位24を有する円筒形状体のフレーム21を備えているものである。
【0011】
又、この実施形態のストレーナ装置70は、流入口2が、ストレーナ20の開口部位23が押し当てられる部位でテーパ5を備えているものである。
【0012】
又、この実施形態のストレーナ装置70は、ストレーナ20が、Oリング60を介して流入口2に押し当てられているものである。
【0013】
以下、この実施形態のストレーナ装置70を、より具体的に説明する。この実施形態のストレーナ装置70は、図1・2に示す如く、内部に水を流すための空洞を備えた筐体1と、その水の中にある水垢等のゴミを捕集して水を濾過するためのストレーナ20と、ストレーナ20を筐体1の内部に固定するための押え部材40と、ストレーナ20を交換する際における筐体1の内部の水抜き及びストレーナ20の取り出しのための蓋50と、水の漏洩を防止するためにストレーナ20・押え部材40・蓋50の各部と筐体1との間に取り付けられたOリング60・61・62と、で構成されている。
【0014】
筐体1は、流入口2と流出口3とが直交するように設けられて、その直交部位4には入口と流出口3を繋ぎつつストレーナ20を内部に配置するための空間を備えている。また、筐体1は流出口3との対向面に開口8を備えており、その開口8の内側に蓋50と螺合するためのネジ溝が設けられている。さらに、筐体1の流入口2との対向面には押え部材40と螺合するためのネジ穴6が形成されており、このネジ穴6の周囲はネジ穴6の長さを確保するために外側に突出した台座7が設けられている。そして、筐体1の内部の流入口2はストレーナ20を配置・固定し易いようにテーパ5を備えている。
【0015】
ストレーナ20は、図3に示す如く、押え部材40からの押し当て力を支持するためのフレーム21と、フレーム21の内面に接合されてゴミを捕集するための網状体22で構成されている。フレーム21は、流入口2の内径よりも大きな外径を備えた2つの薄い円筒体を4本のリブ25で繋いだ構造を概略なしており、一方の円筒体の中央部には3本のリブ26で支持された円柱体形状の押受部位24を備えている。また、フレーム21は、他方の円筒体の外側面にOリング60を介して良好に流入口2のテーパ部に押し当て可能なようにOリング溝27と流入口2のテーパ5よりも大きな傾斜角度を備えたテーパ部位28と、を備えている。一方網状体22は、円筒体を繋いだ4本のリブ25で構成されるフレーム21の側面部および押受部位24・3本のリブ26・円筒体で構成されるフレーム21の底部の内面に接合されており、網目のサイズは捕集したい水中にある水垢等のゴミのサイズに応じて自由自在に設定することができるものとなっている。そして、Oリング溝27及びテーパ部位28を備えた円筒体の側の内面には網状体22は接合されておらず、開口部位23となっているものである。
【0016】
押え部材40には、筐体1の流入口2との対向面に設けられたネジ穴6にねじ込むことが可能なすりわり付き小ネジ等の市販のネジが用いられており、その長さは筐体1の内部に取り付けられているストレーナ20の形状、筐体1の形状を考慮して設定されている。また、ストレーナ20の押受部位24との接触箇所となる押え部材40の先端は、押受部位24に良好に押し当てることが可能なように平滑面となっているものである。
【0017】
蓋50は、筐体1の流出口3と対向する面に設けられた開口8を塞ぐために、筐体1の開口8を覆うことが可能な大きさの径と筐体1の開口8の内側に設けられたネジ溝に螺合する雄ネジ径とを備えた段付きの円柱形状を成しており、その背面には蓋50を筐体1に着脱し易いように溝52が設けられているものである。
【0018】
次に、この実施形態のストレーナ装置70における各部材の配置について詳細を説明する。ストレーナ20は、その開口部位23がOリング溝27に嵌め込まれたOリング60を介して筐体1の流入口2のテーパ5と対向するように位置決めされて配置されている。また、ストレーナ20は、流入口2との対向面のネジ穴6に螺合された押え部材40をねじ込んでストレーナ20の押受部位24を押えつけることにより、筐体1の流入口2に押し当て固定されているものである。このとき、押え部材40の頭部41と筐体1の台座7との間には押え部材40のネジ径と略等しい内径を備えたOリング61を配しており、このOリング61を圧縮・変形させることにより流入口2との対向面に形成されたネジ穴6から水が漏洩するのを防止している。そして、このOリング61の厚みにストレーナ20に嵌め込まれたOリング60の厚みを加えた長さ分だけ押え部材40のねじ込み量(ストレーナ20の筐体1の流入口2への押し当て力)が調整可能なものとなっている。蓋50は、蓋50のネジ径と略等しい内径を備えたOリング62が嵌め込まれた後、筐体1の流出口3との対向面に設けられた開口8に蓋50がねじ込まれて、筐体1に固定されている。そして、このOリング62を圧縮・変形させることにより、筐体1の開口8と蓋50との隙間から水が漏洩するのを防止しているものとなっている。
【0019】
そして、この実施形態のストレーナ装置70は、ストレーナ20を取り外す際にはストレーナ20を押え部材40で固定したまま蓋50を筐体1から取り外して水抜きを行った後、押え部材40を取り外してストレーナ20の固定を解除し、ストレーナ20を筐体1の開口8より取り出すことが可能なものとなっている。また、ストレーナ20を取り付ける際にはストレーナ20の開口部位23が筐体1の流入口2のテーパ5にストレーナ20に取り付けられたOリング60を介して対向するように配置した後、押え部材40を筐体1の流入口2との対向面よりねじ込むことによりストレーナ20を固定して、その後蓋50を筐体1に取り付けて、ストレーナ20の取り付けは完了するものである。また、その後必要に応じてストレーナ20を流入口2へ押し当てる力を、押え部材40のねじ込み量を調整することにより、水を流した状態で調整するものである。
【0020】
なお、ストレーナ20はこの実施形態ではフレーム21と網状体22より構成されていたが、筐体1の流入口2との対向面に配された押え部材40でその開口部位23が筐体1の流入口2に押し当て固定できる構造であれば、網状体22のみで構成されていても良い。
【0021】
以上の構成を備えることにより、蓋50を外してもストレーナ20は筐体1の流入口2に押し当てられているので、水抜き時に流出側から流入側へゴミが流入することを防止できる。また、ストレーナ20を流入口2へ押し当てる力を、水を流した状態でも調整可能としたので、過度に押し当てることによるステレーナの変形を防止できるものである。
【0022】
また、この実施形態のストレーナ装置70は、ストレーナ20の底部にも網状体22を備えて、かつ底部の中央に押え部材40と接触する押受部位24を有する円筒形状体のフレーム21を備えているので、ストレーナ20の底部からも水が流れることができ、水が流れている際のストレーナ装置70における圧力損失を小さくできる。
【0023】
また、この実施形態のストレーナ装置70は、筐体1の流入口2がテーパ5を成しているものであるので、ストレーナ20を筐体1の内部の流入口2に配置し易い。
【0024】
また、この実施形態のストレーナ装置70は、ストレーナ20がOリング60を介して流入口2に押圧されているものであるので、ストレーナ20を通らずに流入口2から流出口3に水が流れることを防止できて、流出口3へゴミが流れるのを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本願発明の実施形態に係るストレーナ装置の正面断面図。
【図2】図1における側面図(左側)とA−A断面図(右側)。
【図3】図1のストレーナ装置に備えられたストレーナの斜視図。
【符号の説明】
【0026】
1 筐体
2 流入口
3 流出口
4 直交部位
5 テーパ
6 ネジ穴
7 台座
8 開口
20 ストレーナ
21 フレーム
22 網状体
23 開口部位
24 押受部位
25 リブ
26 リブ
27 Oリング溝
28 テーパ部位
40 押え部材
41 頭部
50 蓋
51 雄ネジ部
52 溝
60 Oリング
61 Oリング
62 Oリング
70 ストレーナ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入口と流出口とが直交するように設けられた筐体と、一方に開口部位を備えた有底筒状体であって側面が網状体よりなるストレーナと、ストレーナが取り出し可能となるように筐体の流出口の対向面に取り付けられた蓋と、を備えたストレーナ装置において、筐体の流入口との対向面に形成されたネジ穴にストレーナの底部を押圧する押え部材をねじ込むことにより、ストレーナの開口部位が筐体の流入口に押し当て固定されていることを特徴とするストレーナ装置。
【請求項2】
前記ストレーナが、底部にも網状体を備えて、かつ底部の中央に押え部材と接触する押受部位を有する円筒形状体のフレームを備えていることを特徴とする請求項1に記載のストレーナ装置。
【請求項3】
前記流入口が、ストレーナの開口部位が押し当てられる部位でテーパ形状を成していることを特徴とする請求項1または2に記載のストレーナ装置。
【請求項4】
前記ストレーナが、Oリングを介して流入口に押し当てられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のストレーナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−35077(P2006−35077A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−217907(P2004−217907)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】